JP2020015272A - 画像形成装置、画像形成方法、及び乾燥装置 - Google Patents

画像形成装置、画像形成方法、及び乾燥装置 Download PDF

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Abstract

【課題】媒体を吸着し搬送する際の媒体の転写痕の発生を抑制し得る、画像形成装置、画像形成方法、及び乾燥装置を提供する。【解決手段】媒体(P)の片面又は両面にインクを用いて画像を形成する画像形成部(40)と、インクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥部(90)と、媒体を支持して搬送する搬送ベルト(310)を備え、搬送ベルトの媒体を支持する媒体支持面に吸着穴(311)が形成され、乾燥部の乾燥処理領域において媒体を搬送する乾燥搬送部(300)と、3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を吸着穴に発生させ、媒体を吸着する吸着部(316)と、を備え、搬送ベルトは非穴配置領域(313)に樹脂層が形成され、樹脂層は最大山高さが35μm以下となる。【選択図】図7

Description

本発明は画像形成装置、画像形成方法、及び乾燥装置に係り、特に媒体を搬送する搬送部に関する。
搬送ベルトを用いて搬送物を吸着し、搬送物の乾燥を行う場合、搬送ベルトの表面及び搬送物への汚れの付着防止を目的として、搬送ベルトの表面にフッ素樹脂等のコーティングを施す技術が知られている。
特許文献1は、複写機の自動原稿送りベルトに用いられるエラストマーベルトが記載されている。同文献に記載のエラストマーベルトは、中心線平均粗さが5マイクロメートル以上、10点平均粗さが20マイクロメートル未満であり、これにより、耐汚れ性及び紙送り精度を両立している。
特許文献2は、紙幣等を搬送する搬送用無端ベルトが記載されている。同文献に記載の搬送用無端ベルトは、自動改札機等に適用されるものであり、対向して配置されたベルト間に紙幣等を狭持して搬送するものである。
同文献に記載の搬送用無端ベルトは、イソシアネート成分にフッ素系ポリマー等を添加した表面処理液から形成される表面処理層が形成される。表面処理層の厚み等を規定して、表面処理層の剥がれの回避、ベルトの弾性変形を容易にする、及び表面処理層の割れ発生の回避といった効果を得ている。
同文献には、搬送用無端ベルトの搬送面の表面粗さの例示として、10マイクロメートル以下が記載されている。
特許文献3は、用紙を搬送する第一搬送ベルト、及び第一搬送ベルトの温度を上昇させるベルト加熱機構を備えたインク画像乾燥装置が記載されている。第一搬送ベルトは第一無端ベルトが二つの循環ローラの間に掛け渡されている。第一無端ベルトは弾性部材の層と金属の層との二層構造を有している。
第一搬送ベルトの内部には空気吸引装置が設けられており、第一無端ベルトの貫通孔に発生させた吸引力を用いて、用紙を第一無端ベルトの表面に吸着する。
特開平5−97266号公報 特開2004−59319号公報 特開2008−162035号公報
搬送ベルトと搬送物との離型性を維持するためには、コーティング層の表面に一定の粗さを付与することが有効である。しかしながら、搬送物がシート状の印刷物であり、印刷物を搬送ベルトに吸着して搬送する場合、コーティング層の表面に付与した粗さの形状が印刷物に転写されてしまう。
上記のように印刷物に転写痕が付いてしまうと、印刷物としての品質低下に留まらず、印刷物としての商品価値が損なわれる場合があり得る。転写痕の発生は、印刷物の吸着搬送を行う場合において、非常に重要な課題である。
特許文献1に記載のエラストマーベルトは、二枚のベルトに紙幣等を狭持するものであり紙幣等を吸着搬送するものではない。そうすると、同文献に記載の発明には、吸着搬送における搬送物の転写痕の発生といった課題は存在しない。
特許文献1には、算術平均粗さ及び10点平均粗さの数値範囲が記載されている。しかし、この数値範囲は、紙との摩擦係数の低下に起因する紙の搬送精度低下を防止する観点から規定されているものであって、搬送物の吸着搬送において搬送物の転写痕の発生の抑制という観点から規定されているものではない。
特許文献2には、被搬送体の吸着に関する記載はない。特許文献2には、搬送用無端ベルトの表面粗さの数値範囲が記載されているものの、この数値範囲は磨耗しても低摩擦係数が維持されるという観点から規定されているものであって、搬送物の吸着搬送において搬送物の転写痕の発生の抑制という観点から規定されているものではない。
特許文献3には、吸着搬送の際の用紙の転写痕の発生という技術課題の記載はない。また、特許文献3には、搬送ベルトの表面性の規定に関する記載はない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、媒体を吸着し搬送する際の媒体の転写痕の発生を抑制し得る、画像形成装置、画像形成方法、及び乾燥装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
第1態様に係る画像形成装置は、媒体の片面又は両面にインクを用いて画像を形成する画像形成部と、画像形成部を用いてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥部と、媒体を支持して搬送する搬送ベルトを備え、搬送ベルトの媒体を支持する媒体支持面に吸着穴が形成され、乾燥部の乾燥処理領域において媒体を搬送する乾燥搬送部と、3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を吸着穴に発生させ、媒体を吸着する吸着部と、を備え、搬送ベルトは、媒体支持面の媒体を支持する媒体支持領域における吸着穴が配置されない非穴配置領域に樹脂層が形成され、樹脂層は、表面の平均線からの山高さの最大値である最大山高さが35マイクロメートル以下となる画像形成装置である。
第1態様によれば、搬送ベルトの媒体支持面における非穴配置領域に樹脂層が形成される。樹脂層は最大山高さが35μメートル以下である。これにより、樹脂層の媒体と接触する凹凸の高さが均一化され、媒体の乾燥処理において媒体を吸着し搬送する際の、媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
乾燥処理は、規定の温度条件を適用し得る。乾燥処理は、規定の温度条件を常温とする非加熱の乾燥処理を含み得る。
樹脂層の表面の平均線は、ISO4287に規定される断面曲線を得るための平均線、又は粗さ曲線を求めるための平均線を適用し得る。
第2態様は、第1態様の画像形成装置において、樹脂層の最大山高さは10マイクロメートル以上である構成としてもよい。
第2態様によれば、搬送ベルトの基材を完全に被覆可能な樹脂層を形成し得る。
第3態様は、第1態様又は第2態様の画像形成装置において、樹脂層の最大山高さは15マイクロメートル以上である構成としてもよい。
第3態様によれば、搬送ベルトの基材を完全に被覆可能な樹脂層を形成し得る。
第4態様は、第1態様の画像形成装置において、樹脂層の最大山高さは、搬送ベルトに適用される基材の算術平均粗さ以上である構成としてもよい。
第4態様によれば、搬送ベルトの基材を完全に被覆可能な樹脂層を形成し得る。
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか一態様の画像形成装置において、樹脂層は、0.56マイクロメートル以上6.01マイクロメートル以下の算術平均粗さを有する構成としてもよい。
第5態様によれば、搬送ベルトの汚れが抑制される。また、搬送ベルトと媒体との離型性を確保し得る。
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか一態様の画像形成装置において、乾燥部の温度条件を80℃以上160℃以下の温度範囲に設定する温度条件設定を備えた構成としてもよい。
第6態様によれば、80℃以上160℃以下の温度条件が適用される乾燥処理の際の、吸着搬送における媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか一態様の画像形成装置において、媒体として枚葉紙を画像形成部へ供給する媒体供給部を備えた構成としてもよい。
第7態様によれば、画像が形成された枚葉紙に乾燥処理を施す際の、吸着搬送における枚葉紙の転写痕の発生を抑制し得る。
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか一態様の画像形成装置において、画像形成部は、インクを吐出させる複数のノズル開口が液体吐出面に配置されるインクジェットヘッドを備えた構成としてもよい。
第8態様によれば、インクジェット方式の画像形成において画像が形成された媒体に乾燥処理を施す際の、吸着搬送における媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか一態様の画像形成装置において、インクは水性インクである構成としてもよい。
第9態様によれば、水性インクを用いて画像が形成された媒体に乾燥処理を施す際の、吸着搬送における媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
第10態様は、第1態様から第9態様のいずれか一態様の画像形成装置において、インクは、加熱に起因して粘着性、又は弾性が生じる高分子成分、並びに加熱に起因して粘着性、又は弾性が生じる粘着成分の少なくともいずれか一方を含有する構成としてもよい。
第10態様によれば、高分子成分及び粘着成分の少なくともいずれか一方を含有するインクを用いて画像が形成された媒体に乾燥処理を施す際の、吸着搬送における媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
第11態様は、第1態様から第10態様のいずれか一態様の画像形成装置において、インクは黒色を表す色材粒子を含有する黒インクを含む構成としてもよい。
第11態様によれば、黒色を表す色材粒子を含有する黒インクを用いて画像が形成された媒体に乾燥処理を施す際の、吸着搬送における媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
第12態様に係る画像形成方法は、媒体の片面又は両面にインクを用いて画像を形成する画像形成工程と、画像形成工程においてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥工程と、を含み、乾燥工程は、媒体を搬送ベルトの媒体支持面に支持して搬送する乾燥搬送工程と、搬送ベルトの媒体支持面における吸着穴が配置されない非穴配置領域に樹脂層が形成され、樹脂層は表面の平均線からの山高さの最大値である最大山高さが35マイクロメートル以下であり、搬送ベルトの吸着穴に3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を発生させて媒体を吸着する吸着工程と、を含む画像形成方法である。
第12態様によれば、第1態様と同様の効果を得ることができる。
第12態様において、第2態様から第11態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像形成装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う画像形成方法の構成要素として把握することができる。
第13態様に係る乾燥装置は、画像形成装置を用いてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥部と、媒体を支持して搬送する搬送ベルトを備え、搬送ベルトの媒体を支持する媒体支持面に吸着穴が形成され、乾燥部の乾燥処理領域において媒体を搬送する乾燥搬送部と、3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を吸着穴に発生させ、媒体を吸着する吸着部と、を備え、搬送ベルトは、媒体支持面の媒体を支持する媒体支持領域における吸着穴が配置されない非穴配置領域に樹脂層が形成され、樹脂層は、表面の平均線からの山高さの最大値である最大山高さが35マイクロメートル以下となる乾燥装置である。
第13態様によれば、第1態様と同様の効果を得ることができる。
第13態様において、第2態様から第11態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、画像形成装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う乾燥装置の構成要素として把握することができる。
本発明によれば、搬送ベルトの媒体支持面における非穴配置領域に樹脂層が形成される。樹脂層は最大山高さが35μメートル以下である。これにより、樹脂層の媒体と接触する凹凸の高さが均一化され、媒体の乾燥処理において媒体を吸着し搬送する際の、媒体の転写痕の発生を抑制し得る。
図1はインクジェット印刷装置の全体構成図である。 図2は制御系の概略構成を示したブロック図である。 図3はインクジェットヘッドの構造例を示した透視平面図である。 図4はヘッドモジュールの斜視図であり部分断面図を含む図である。 図5はヘッドモジュールの液体吐出面の透視平面図である。 図6はヘッドモジュールの内部構造を示す断面図である。 図7はインク乾燥部の概要を示す構成図である。 図8は図7に示す吸着ベルト搬送装置の構造例を示す断面図である。 図9は両面印刷の模式図である。 図10は比較例に係る印刷物を撮像した写真である。 図11は実験装置の説明図である。 図12は最大山高さの説明図である。 図13は実施例に係る印刷物の写真であり、評価結果Cの印刷物の一例の写真である。 図14は実施例に係る印刷物の写真であり、評価結果Bの印刷物の一例の写真である。 図15は実施例に係る印刷物の写真であり、評価結果Aの印刷物の一例の写真である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略することとする。
[インクジェット印刷装置の説明]
〈全体構成〉
図1はインクジェット印刷装置の全体構成図である。インクジェット印刷装置1Aは、プリントヘッドとして、ライン型のインクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kを備える。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kは、枚葉紙である用紙Pにシアン、マゼンタ、イエロー、及び黒の四色のインクを使用して、所望の画像をシングルパス方式で印刷するシングルパスインクジェット方式の吐出ヘッドである。
以下、シアンはCを用いて表すことがある。マゼンタはMを用いて表すことがある。イエローはYを用いて表すことがある。黒はKを用いて表すことがある。
本実施形態では描画用のインクとして水性インクが用いられる。水性インクは、水及び水に可溶な溶媒の少なくともいずれか一方に、顔料及び染料などの色材を溶解、又は分散させたインクをいう。
インクジェット印刷装置1Aは、給紙部10、処理液付与部20、処理液乾燥部30、描画部40、インク乾燥部50、及び集積部60を備える。以下、各部について詳細に説明する。実施形態に示すインクジェット印刷装置1Aは画像形成装置の一例である。
〈給紙部〉
給紙部10は、用紙Pを一枚ずつ給紙する。給紙部10は、給紙装置12、フィーダボード14、及び給紙ドラム16を備える。用紙Pは、複数枚が積み重ねられた束の状態で給紙台12Aに載置される。用紙Pの種類は、特に限定されないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする印刷用紙を用いることができる。実施形態に示す枚葉紙及び用紙Pは媒体の一例である。
給紙装置12は、給紙台12Aにセットされた束の状態の用紙Pを上から順に一枚ずつ取り出して、フィーダボード14に給紙する。フィーダボード14は、給紙装置12から受け取った用紙Pを給紙ドラム16へと搬送する。実施形態に示す給紙部10は、媒体として枚葉紙を画像形成部へ供給する媒体供給部の一例である。
給紙ドラム16は、フィーダボード14から給紙される用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液付与部20へと搬送する。給紙ドラム16は、用紙Pの先端部を把持するグリッパー17を備える。
用紙Pの先端部は、用紙Pの先端を含む領域である。用紙Pの先端部は、用紙Pの搬送方向について、用紙Pの先端から予め決められた長さを有する領域である。予め決められた長さは、用紙Pのサイズ等の条件に基づき、適宜決められる。
グリッパー17は、図示しない複数の把持爪を備える。複数の把持爪は、給紙ドラム16の回転軸と平行となる方向に沿って配置されている。複数の把持爪は、図示しない爪支持部を用いて揺動可能に支持される。複数の把持爪は、図示しない爪台との間に用紙Pの先端部を把持する。給紙ドラム16は、グリッパー17を用いて用紙Pの先端部を把持して回転し、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
〈処理液付与部〉
処理液付与部20は、用紙Pに処理液を塗布する。処理液は、インク中の色材成分を凝集若しくは不溶化、又は増粘させる機能を備えた液体である。処理液付与部20は、処理液塗布ドラム22及び処理液塗布装置24を備える。
処理液塗布ドラム22は、給紙ドラム16から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液乾燥部30へと搬送する。処理液塗布ドラム22は、周面にグリッパー23を備える。処理液塗布ドラム22は、グリッパー23を用いて用紙Pの先端部を把持して回転し、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
グリッパー23は、グリッパー17と同様の構成を適用可能である。グリッパー23の詳細な説明は省略する。
処理液塗布装置24は、処理液塗布ドラム22を用いて搬送される用紙Pに処理液を塗布する。処理液はローラを用いて塗布される。処理液を塗布する方式は、ローラ塗布方式に限らない。処理液塗布装置24には他の方式が適用されてもよい。処理液塗布装置24の他の方式の例として、ブレードを用いた塗布、インクジェット方式を用いた吐出、及びスプレー方式を用いた噴霧などが挙げられる。
〈処理液乾燥部〉
処理液乾燥部30は、処理液が塗布された用紙Pを乾燥処理する。処理液乾燥部30は、処理液乾燥ドラム32、及び温風送風機34を備える。処理液乾燥ドラム32は、処理液塗布ドラム22から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを描画部40へと搬送する。処理液乾燥ドラム32は、周面にグリッパー33を備える。
処理液乾燥ドラム32は、グリッパー33を用いて用紙Pの先端部を把持して回転し、用紙Pを搬送する。なお、グリッパー33は、グリッパー17と同様の構成を適用可能である。グリッパー33の詳細な説明は省略する。
温風送風機34は、処理液乾燥ドラム32の内部に設置される。温風送風機34は、処理液乾燥ドラム32を用いて搬送される用紙Pに温風を吹き当てて、処理液を乾燥させる。なお、処理液付与部20及び処理液乾燥部30は省略可能である。
〈描画部〉
描画部40は、描画ドラム42、ヘッドユニット44、及び画像読取装置48を備える。描画ドラム42は、処理液乾燥ドラム32から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pをインク乾燥部50へと搬送する。描画ドラム42は、周面にグリッパー43を備える。描画ドラム42は、グリッパー43を用いて用紙Pの先端部を把持して回転し、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。なお、グリッパー43は、グリッパー17と同様の構成を適用可能である。グリッパー43の詳細な説明は省略する。
描画ドラム42は、図示しない吸着機構を備える。描画ドラム42は、周面に巻き付けられた用紙Pを周面に吸着して搬送する。吸着には負圧が利用される。描画ドラム42は、周面に図示しない複数の吸着穴を備える。描画ドラム42は、複数の吸着穴を介して描画ドラム42の内部から吸引し、用紙Pを描画ドラム42の周面に吸着させる。
ヘッドユニット44は、インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kを備える。インクジェットヘッド46Cは、シアンのインクの液滴を吐出する。
インクジェットヘッド46Mは、マゼンタのインクの液滴を吐出する。インクジェットヘッド46Yは、イエローのインクの液滴を吐出する。インクジェットヘッド46Kは、黒のインクの液滴を吐出する。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kのそれぞれには、対応する色のインク供給源である、図示しないインクタンクから、図示しない配管経路を介して、インクが供給される。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kの各々は、描画ドラム42を用いて搬送される用紙Pに対して、相対的に一回の走査をさせることで印刷可能なライン型ヘッドである。
換言すると、インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kの各々は、シングルパス方式を用いて印刷可能なライン型ヘッドである。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kは、各々のノズル面が描画ドラム42の周面に対向して配置される。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kは、描画ドラム42を用いた用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kの各々の液体吐出面には、インクの吐出口である複数のノズル開口が二次元状に配列されている。液体吐出面とはノズル開口が形成されている面である。液体吐出面はノズル面及びノズル形成面などの用語と同義である。二次元状に配列された複数のノズル開口の配列を二次元ノズル配列という。液体吐出面は符号277を付して図4に図示する。ノズル開口は符号280を付して図5に図示する。
描画ドラム42を用いて搬送される用紙Pに向けて、インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kのうち少なくとも一つのヘッドからインクの液滴が吐出され、吐出された液滴が用紙Pに付着して、用紙Pに画像が形成される。
描画ドラム42は、インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kと用紙Pとを相対移動させる手段として機能している。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kのそれぞれの吐出タイミングは、描画ドラム42に設置された図示しないロータリエンコーダから得られるロータリエンコーダ信号に同期させる。吐出タイミングとは、インクの液滴を吐出するタイミングであり、打滴タイミングと同義である。
なお、本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、及び黒の四色のインクを用いる構成を例示したが、インク色及び色数の組み合わせについては本実施形態に限定されない。必要に応じて淡インク、濃インク、及び特別色インクなどを追加してもよい。
例えば、ライトシアン及びライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成、並びにグリーン及びオレンジなどの特別色のインクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成なども可能である。また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
画像読取装置48は、インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kを用いて用紙Pに形成された画像を光学的に読み取る。画像読取装置48は、読取画像を示す画像データを生成する装置である。
画像読取装置48は、用紙Pに形成された画像を撮像して画像データを示す電気信号に変換する撮像デバイスを含む。画像読取装置48は、撮像デバイスの他、読み取り対象を照明する照明光学系及び撮像デバイスから得られる信号を処理して画像データを生成する信号処理回路が含まれてもよい。
画像読取装置48はカラー画像の読み取りが可能であってもよい。本実施形態に示す画像読取装置48は、撮像デバイスとしてカラーCCDリニアイメージセンサを適用し得る。CCDは、Charge-Coupled Deviceの省略語である。
カラーCCDリニアイメージセンサは赤、緑、及び青の各色のカラーフィルタを備えた受光素子が直線状に配列したイメージセンサである。Rは赤を表す。Gは緑を表す。Bは青を表す。なお、カラーCCDリニアイメージセンサに代えて、カラーCMOSリニアイメージセンサを用いることもできる。CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略語である。
画像読取装置48は、描画ドラム42を用いて搬送される用紙Pに形成された画像を読み取る。用紙Pの搬送経路に設置される画像読取装置48は、インラインスキャナ又はインラインセンサと呼ばれる。画像読取装置48はカメラであってもよい。
インクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kの少なくとも一つを用いて画像が形成された用紙Pは、画像読取装置48の読取領域を通過する際に、用紙P上の画像が読み取られる。用紙Pに形成される画像としては、印刷ジョブで指定される印刷対象のユーザ画像の他、ノズルごとの吐出状態を検査するための不良ノズル検知パターン、印刷濃度補正用テストパターン、印刷濃度ムラ補正用テストパターン、及びその他の各種のテストパターンが含まれてもよい。
画像読取装置48を用いて読み取られた読取画像のデータを基に、印刷画像の検査が行われ、画質異常の有無が判断される。また、画像読取装置48を用いて読み取られた読取画像のデータを基に、画像の濃度やインクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kの吐出不良などの情報が得られる。実施形態に示す描画部40は画像形成部の一例である。
〈インク乾燥部〉
インク乾燥部50は、描画部40を用いて画像が形成された用紙Pを乾燥処理する。インク乾燥部50は、チェーングリッパー70、用紙ガイド80、及び加熱乾燥処理部90を備える。
チェーングリッパー70は、描画ドラム42から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを集積部60へと搬送する。チェーングリッパー70は、規定の走行経路を走行する一対の無端状のチェーン72を備える。
チェーングリッパー70は、一対のチェーン72が備えるグリッパー74を用いて用紙Pの先端部を把持して、用紙Pを規定の搬送経路に沿って搬送する。グリッパー74は、チェーン72に一定の間隔で複数備えられる。
本実施形態に示すチェーングリッパー70は、第一スプロケット71A、第二スプロケット71B、チェーン72、及び複数のグリッパー74を備える。チェーングリッパー70は、一対の第一スプロケット71A及び第二スプロケット71Bに、一対の無端状のチェーン72が巻き掛けられた構造を有している。図1には、一対の第一スプロケット71A及び第二スプロケット71B、並びに一対のチェーン72のうち一方のみを図示する。
チェーングリッパー70は、複数のグリッパー74が、チェーン72の送り方向における複数の位置に配置される構造を有している。グリッパー74は、図示しないグリッパー支持部材を用いて支持される。
グリッパー支持部材は、チェーン72の送り方向における、用紙Pの全長未満の距離を離して配置されている。チェーン72の送り方向は、チェーングリッパー70における媒体搬送方向に相当する。
チェーングリッパー70を用いた用紙Pの搬送経路は、用紙Pを水平方向に沿って搬送する水平搬送領域と、水平搬送領域の終端から用紙Pを斜め上方向に搬送する傾斜搬送領域とを含んでいる。水平搬送領域を第一搬送区間といい、傾斜搬送領域を第二搬送区間という。
用紙ガイド80は、チェーングリッパー70を用いた用紙Pの搬送をガイドする機構である。用紙ガイド80は、第一用紙ガイド82及び第二用紙ガイド84を備える。第一用紙ガイド82は、チェーングリッパー70の第一搬送区間を搬送される用紙Pをガイドする。第二用紙ガイド84は、第一搬送区間の後段の第二搬送区間を搬送される用紙Pをガイドする。
第一用紙ガイド82は吸着ベルト搬送装置が用いられている。吸着ベルト搬送装置は、無端状の搬送ベルトに用紙Pを吸着させた状態で搬送ベルトを送って用紙Pを搬送する装置である。吸着ベルト搬送装置は符号302を用いて図7に図示する。
加熱乾燥処理部90は、描画部40を用いて画像が形成された用紙Pに熱を加えてインクの溶媒を蒸発させ用紙Pを乾燥させる。加熱乾燥処理部90の例として、温風送風ユニットが挙げられる。温風送風ユニットは、第一用紙ガイド82と対向して配置され、チェーングリッパー70を用いて搬送される用紙Pに温風を吹き当てる。
吸着ベルト搬送装置を用いた第一用紙ガイド82、及び加熱乾燥処理部90を備えた乾燥装置の構成について詳細な説明は後述する。
〈集積部〉
集積部60は、チェーングリッパー70を用いてインク乾燥部50から搬送されてくる用紙Pを受け取り、集積する集積装置62を備える。チェーングリッパー70は、予め決められた集積位置において用紙Pをリリースする。集積装置62は集積トレイ62Aを備える。集積装置62は、チェーングリッパー70からリリースされた用紙Pを受け取り、集積トレイ62Aの上に束状に集積する。
インクジェット印刷装置1Aは、用紙Pの両面に画像を形成する両面印刷機として使用することが可能である。インクジェット印刷装置1Aは、用紙Pの第一面と第二面とを自動的に反転させる、図示しない用紙反転部を備えてもよい。
インクジェット印刷装置1Aは、第一面と第二面とを自動的に反転させた用紙Pを、集積トレイ62Aから給紙台12Aへ搬送する両面印刷用紙搬送部を備えてもよい。用紙反転部と両面印刷用紙搬送部とを一体に構成してもよい。
[制御系の説明]
図2は制御系の概略構成を示したブロック図である。図2に示すインクジェット印刷装置1Aは、システムコントローラ100を備える。システムコントローラ100は、CPU100A、ROM100B、及びRAM100Cを備える。
図2に示すROM100B、及びRAM100Cは、システムコントローラ100の外部に設けられていてもよい。CPUはCentral Processing Unitの省略語である。ROMはRead Only Memoryの省略語である。RAMはRandom Access Memoryの省略語である。
〈システムコントローラ〉
システムコントローラ100は、インクジェット印刷装置1Aの各部を統括的に制御する全体制御部として機能する。また、システムコントローラ100は、各種演算処理を行う演算部として機能する。システムコントローラ100は、プログラムを実行して、インクジェット印刷装置1Aの各部を制御してもよい。
更に、システムコントローラ100は、ROM100B、及びRAM100Cなどのメモリにおけるデータの読み出し、及びデータの書き込みを制御するメモリーコントローラとして機能する。
インクジェット印刷装置1Aは、通信部102、画像メモリ104、搬送制御部110、給紙制御部112、処理液付与制御部114、処理液乾燥制御部116、描画制御部118、インク乾燥制御部120、及び集積制御部124を備える。
〈通信部〉
通信部102は、図示しない通信インターフェースを備える。通信部102は通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ103との間でデータの送受信を行うことができる。
〈画像メモリ〉
画像メモリ104は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能する。画像メモリ104は、システムコントローラ100を通じてデータの読み書きが行われる。通信部102を介してホストコンピュータ103から取り込まれた画像データは、一旦画像メモリ104に格納される。
〈搬送制御部〉
搬送制御部110は、システムコントローラ100からの指令に応じて、インクジェット印刷装置1Aにおける用紙Pの搬送部11の動作を制御する。図2に示す搬送部11には、図1に示す処理液塗布ドラム22、処理液乾燥ドラム32、描画ドラム42、及びチェーングリッパー70が含まれる。
〈給紙制御部〉
図2に示す給紙制御部112は、システムコントローラ100からの指令に応じて給紙部10を動作させる。給紙制御部112は、用紙Pの供給開始動作、及び用紙Pの供給停止動作などを制御する。
〈処理液付与制御部〉
処理液付与制御部114は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液付与部20を動作させる。処理液付与制御部114は、処理液の付与量、及び付与タイミングなどを制御する。
〈処理液乾燥制御部〉
処理液乾燥制御部116は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液乾燥部30を動作させる。処理液乾燥制御部116は、乾燥温度、乾燥気体の流量、及び乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
〈描画制御部〉
描画制御部118は、システムコントローラ100からの指令に応じて、描画部40の動作を制御する。すなわち、描画制御部118は、図1に示すインクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kのインク吐出を制御する。
描画制御部118は、図示しない画像処理部を備える。画像処理部は入力画像データからドットデータを形成する。画像処理部は、図示しない色分解処理部、色変換処理部、補正処理部、及びハーフトーン処理部を備える。
色分解処理部は、入力画像データに対して色分解処理を施す。例えば、入力画像データがRGBで表されている場合、色分解処理部は、入力画像データをRGBの色ごとのデータに分解する。ここで、Rは赤を表す。Gは緑を表す。Bは青を表す。
色変換処理部は、赤、緑、及び青に分解された色ごとの画像データを、インク色に対応するシアン、マゼンタ、イエロー、及び黒に変換する。
補正処理部は、シアン、マゼンタ、イエロー、及び黒に変換された色ごとの画像データに対して補正処理を施す。補正処理の例として、ガンマ補正処理、濃度むら補正処理、及び異常記録素子補正処理などが挙げられる。
ハーフトーン処理部は、例えば、0から255といった多階調数で表された画像データを、二値又は入力画像データの階調数未満の三値以上の多値で表されるドットデータに変換する。
ハーフトーン処理部は、予め決められたハーフトーン処理規則が適用される。ハーフトーン処理規則の例として、ディザ法及び誤差拡散法などが挙げられる。ハーフトーン処理規則は、画像形成条件及び画像データの内容等に応じて変更されてもよい。
描画制御部118は、図示しない波形生成部、波形記憶部、及び駆動回路を備える。波形生成部は駆動電圧の波形を生成する。波形記憶部は駆動電圧の波形が記憶される。駆動回路はドットデータに応じた駆動波形を有する駆動電圧を生成する。駆動回路は駆動電圧を、図1に示すインクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kへ供給する。
すなわち、画像処理部を用いた処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の吐出タイミング及びインク吐出量が決められる。各画素位置の吐出タイミング及びインク吐出量に応じた駆動電圧、並びに各画素の吐出タイミングを決める制御信号が生成される。駆動電圧がインクジェットヘッドへ供給され、インクジェットヘッドからインクを吐出させる。インクジェットヘッドから吐出させたインクはドットを形成する。
〈インク乾燥制御部〉
インク乾燥制御部120は、システムコントローラ100からの指令に応じてインク乾燥部50を動作させる。インク乾燥制御部120は、乾燥気体温度、乾燥気体の流量、及び乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。また、インク乾燥制御部120は、インク乾燥部50が備える吸着ベルト搬送装置の動作を制御する。
〈集積制御部〉
集積制御部124は、システムコントローラ100からの指令に応じて集積部60を動作させる。集積制御部124は、集積トレイ62Aが昇降機構を含む場合に、用紙Pの増減に応じて昇降機構の動作を制御する。
〈圧力制御部〉
インクジェット印刷装置1Aは、圧力制御部126を備える。圧力制御部126は、システムコントローラ100からの指令に応じて圧力発生部128の動作を制御する。圧力発生部128は真空ポンプを適用可能である。
圧力発生部128は、図1に示す描画ドラム42の内部の真空流路を介して、描画ドラム42の周面に形成される吸着穴と接続される。圧力発生部128は、図1に示す第一用紙ガイド82を構成する搬送ベルトの内部の真空流路を介して、搬送ベルトの第一面に形成される吸着穴と接続される。
なお、搬送ベルトは符号310を付して図7に図示する。搬送ベルトの第一面は符号310Aを付して図7に図示する。
圧力制御部126は、圧力設定部140を用いて設定された用紙Pの吸着圧力に基づき圧力発生部128を動作させて、図1に示す描画ドラム42に支持される用紙Pの吸着圧力を制御する。
圧力制御部126は、圧力設定部140を用いて設定された用紙Pの吸着圧力に基づき圧力発生部128を動作させて、図1に示す第一用紙ガイド82を構成する搬送ベルトに支持される用紙Pの吸着圧力を制御する。
図2では、図1に示す描画ドラム42に支持される用紙Pの吸着圧力を発生させる圧力発生部、及び第一用紙ガイド82に支持される用紙Pの吸着圧力を発生させる圧力発生部をまとめて、圧力発生部128として示す。これらは、一体に構成されてもよいし、分離されて構成されてもよい。
すなわち、図2に示す圧力制御部126は、図1に示す描画ドラム42に支持される用紙Pの吸着圧力を制御する第一圧力制御部、及び第一用紙ガイド82を構成する搬送ベルトに支持される用紙Pの吸着圧力を制御する第二圧力制御部を備えてもよい。第一圧力制御部は、搬送制御部110に含まれてもよい。第二圧力制御部は、インク乾燥制御部120に含まれてもよい。
〈操作部〉
インクジェット印刷装置1Aは、操作部130を備える。操作部130は、操作ボタン、キーボード、及びタッチパネル等の操作部材を備える。操作部130は複数の種類の操作部材が含まれていてもよい。操作部材の図示は省略する。
操作部130を介して入力された情報は、システムコントローラ100に送られる。システムコントローラ100は、操作部130から送出された情報に応じて各種処理を実行させる。
〈表示部〉
インクジェット印刷装置1Aは、表示部132を備える。表示部132は、液晶パネル等の表示装置及びディスプレイドライバーを備える。表示装置及びディスプレイドライバーの図示を省略する。表示部132はシステムコントローラ100からの指令に応じて、装置の各種設定情報及び異常情報などの各種情報を表示装置に表示させる。
〈パラメータ記憶部〉
インクジェット印刷装置1Aは、パラメータ記憶部134を備える。パラメータ記憶部134は、インクジェット印刷装置1Aに使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部134に記憶されている各種パラメータは、システムコントローラ100を介して読み出され、装置各部に設定される。
〈プログラム格納部〉
インクジェット印刷装置1Aは、プログラム格納部136を備える。プログラム格納部136は、インクジェット印刷装置1Aの各部に使用されるプログラムが格納される。プログラム格納部136に格納されている各種プログラムは、システムコントローラ100を介して読み出され、装置各部において実行される。
〈圧力設定部〉
インクジェット印刷装置1Aは、圧力設定部140を備える。圧力設定部140は、システムコントローラ100を介して、操作部130を用いて入力された圧力設定値、又はパラメータ記憶部134から読み出されて圧力設定値を圧力制御部126へ送出する。
〈温度設定部〉
インクジェット印刷装置1Aは、温度設定部142を備える。温度設定部142は、システムコントローラ100を介して、操作部130を用いて入力された温度設定値又はパラメータ記憶部134から読み出された温度設定値を、インク乾燥制御部120又は処理液乾燥制御部116へ送出する。実施形態に示す温度設定部142は、乾燥部の温度条件を設定する温度条件設定部の一例である。
〈温度センサ〉
インクジェット印刷装置1Aは、温度センサ144を備える。温度センサ144は、装置各部に配置される複数の温度センサをまとめて示すものである。温度センサ144を用いて検出された温度情報は、システムコントローラ100を介して、処理液乾燥制御部116及びインク乾燥制御部120へ送出される。処理液乾燥制御部116は、温度設定値及び温度情報に基づいて処理液乾燥部30の動作を制御する。インク乾燥制御部120は、温度設定値及び温度情報に基づいてインク乾燥部50の動作を制御する。
図2には機能ごとに各部を列挙した。図2に示す各部は適宜、統合、分離、兼用、又は省略が可能である。また、図2に示す各部はハードウェアとソフトウェアとを適宜組み合わせて構成することができる。
[インクジェットヘッドの構造]
〈全体構成〉
図3はインクジェットヘッドの構造例を示した透視平面図である。インクジェットヘッド46は、用紙Pの搬送方向と直交する方向である用紙Pの幅方向について複数のヘッドモジュール200を繋ぎ合わせた構造を有している。
インクジェットヘッド46は、図1に示すインクジェットヘッド46C、インクジェットヘッド46M、インクジェットヘッド46Y、及びインクジェットヘッド46Kのうちの任意の一つである。以下、符号を示していないインクジェットヘッドも同様である。
用紙Pの幅方向は符号Xを付した矢印線を用いて図示する。用紙Pの搬送方向は符号Yを付した矢印線を用いて図示する。
インクジェットヘッド46は、用紙Pの幅方向における用紙Pの全長Lmax以上の長さにわたって、複数のノズル部が配置されたライン型のインクジェットヘッドである。ライン型のインクジェットヘッドは、ラインヘッド及びライン型ヘッドと同義である。なお、ノズル部は符号281を付して図6に図示する。
インクジェットヘッド46を構成する複数のヘッドモジュール200は同一の構造を適用可能である。また、ヘッドモジュール200は単体でもインクジェットヘッドとして機能させることが可能である。なお、本明細書における同一の用語は、相違点が存在するものの、同様の作用効果を得ることが可能な実質的な同一が含まれる。
インクジェットヘッド46は、用紙Pの幅方向に関して、用紙Pの全記録領域を、一回の走査で規定の記録解像度による画像記録が可能なノズル列を有するライン型のインクジェットヘッドである。このようなインクジェットヘッドは、フルライン型のヘッド又はページワイドヘッドとも呼ばれる。
規定の記録解像度は、インクジェット印刷装置1Aにおいて予め定められた記録解像度であってもよい。規定の記録解像度は、ユーザの選択又は印刷モードに応じたプログラムを用いた自動選択により設定される記録解像度であってもよい。記録解像度として、例えば、1200ドット毎インチとすることができる。
解像度の単位表記であるドット毎インチは、dpiと表されることがある。dpiは、dot per inchを意味する。ドット毎インチは、1インチあたりのドットの数を表す単位表記である。1インチは25.4ミリメートルである。
用紙Pの搬送方向は、用紙搬送方向、媒体搬送方向、又は搬送方向と呼ばれることがあり得る。用紙Pの幅方向は、用紙幅方向、媒体幅方向、又は幅方向と呼ばれることがあり得る。
〈ヘッドモジュールの構造〉
図4はヘッドモジュール斜視図であり部分断面図を含む図である。ヘッドモジュール200は、ノズルプレート275の液体吐出面277と反対側である図4における上面の側に、インク供給室232とインク循環室236等からなるインク供給ユニットを有している。
インク供給室232は、供給側個別流路252を介して、図示しないインクタンクに接続される。インク循環室236は、回収側個別流路256を介して、図示されない回収タンクに接続される。
〈液体吐出面の構造〉
図5はヘッドモジュールの液体吐出面の透視平面図である。図5では液体吐出面277に配置されるノズル開口280の数が省略されて描かれているが、一つのヘッドモジュール200の液体吐出面277には、二次元配置が適用されて複数のノズル開口280が配置されている。
ヘッドモジュール200は、用紙Pの幅方向に対して角度βの傾きを有するV方向に沿った長辺側の端面と、用紙Pの搬送方向に対して角度αの傾きを持つW方向に沿った短辺側の端面とを有する平行四辺形の平面形状となっており、V方向に沿う行方向、及びW方向に沿う列方向について、複数のノズル開口280がマトリクス配置されている。
ノズル開口280の配置は図5に示す態様に限定されず、用紙Pの幅方向に沿う行方向及び用紙Pの幅方向に対して斜めに交差する列方向に沿って複数のノズル開口280が配置されてもよい。
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズル部を正射影した投影ノズル列は、ノズル列方向について、最大の記録解像度を達成するノズル密度で、各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。なお、正射影とはノズル列方向に沿って各ノズル部を並べる投影である。
概ね等間隔とは、インクジェット印刷装置で記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差、及び着弾干渉による媒体上での液滴の移動の少なくともいずれか一方を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も、等間隔の概念に含まれる。
投影ノズル列は実質的なノズル列に相当する。投影ノズル列を考慮すると、ノズル列方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。
インクジェットヘッド46におけるノズルの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、及びV字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
〈インクジェットヘッドの内部構造〉
図6はインクジェットヘッドの内部構造を示す断面図である。ヘッドモジュール200は、インク供給路214、個別供給路216、圧力室218、ノズル連通路220、循環個別流路226、及び循環共通流路228を備える。
個別供給路216は、各圧力室218とインク供給路214とを繋ぐ流路である。ノズル連通路220は、圧力室218とノズル開口280とを繋ぐ流路である。なお、圧力室218は、液室と呼ばれることがある。
ヘッドモジュール200は、インク供給路214、個別供給路216、圧力室218、ノズル連通路220、循環個別流路226、及び循環共通流路228を構成する流路構造体210の上に、振動板266が設けられる。振動板266の上には接着層267を介して、下部電極265、圧電体層231、及び上部電極264の積層構造から成る圧電素子230が備えられる。なお、下部電極265は共通電極と呼ばれることがあり、上部電極264は個別電極と呼ばれることがある。
上部電極264は、各圧力室218の形状に対応してパターニングされた個別電極となっており、圧力室218ごとに、それぞれ圧電素子230が設けられている。インク供給路214は、図4に示すインク供給室232に繋がっており、図6に示すインク供給路214から個別供給路216を介して圧力室218にインクが供給される。
入力画像データに応じて、圧力室218に設けられた圧電素子230の上部電極264に駆動電圧を印加すると、圧電素子230及び振動板266が変形して圧力室218の容積が変化する。圧力室218の容積が変化に伴う圧力変化がインクに生じて、ノズル連通路220を介してノズル開口280からインクが打滴される。入力画像データから生成されるドットデータに応じて、各ノズル開口280に対応した圧電素子230の駆動を制御し、ノズル開口280からインクを打滴し得る。
用紙Pを一定の速度で媒体搬送方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル開口280からのインクの打滴タイミングを制御し、用紙Pの上に所望の画像を形成することができる。
各ノズル開口280に対応して設けられている圧力室218は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル開口280への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口である個別供給路216が設けられている。圧力室218の平面形状の図示は省略される。
なお、圧力室の平面形状は、正方形に限定されない。圧力室の平面形状は、菱形、長方形などの四角形、五角形、六角形その他の多角形、円形、及び楕円形など、多様な形態があり得る。
ノズル開口280及びノズル連通路220を含むノズル部281には、循環出口が形成され、ノズル部281は循環出口を介して循環個別流路226と連通される。ノズル連通路220及びノズル開口280のインクのうち、打滴に使用されないインクは循環個別流路226を介して循環共通流路228へ回収される。
循環共通流路228は、図4に示したインク循環室236に繋がっており、循環個別流路226を通って常時インクが循環共通流路228へ回収される。これにより、非打滴時におけるノズル開口280近傍のインクの増粘が防止される。
ヘッドモジュールに備えられる吐出素子の一態様として、一つのノズル部281及び一つのノズル部281に連通される圧力室218などの流路、並びにノズル部281に対応する圧電素子230が含まれる態様が挙げられる。
本明細書におけるノズル部はノズル開口を含む概念を表している。本明細書においてノズル開口の用語とノズル部の用語とは、適宜、読み替えることが可能である。
圧電素子230の例として、ノズル部281に対応して個別に分離した構造を有する圧電素子230が挙げられる。もちろん、複数のノズル部281に対して一体に圧電体層231が形成され、各ノズル部281に対応して個別電極が形成され、ノズル部281ごとに活性領域が形成される構造を適用してもよい。
ヘッドモジュール200は、圧力発生素子として圧電素子に代わり圧力室218の内部にヒータを備え、ヒータに駆動電圧を供給して発熱させ、膜沸騰現象を利用して圧力室218内のインクをノズル開口280から打滴するサーマル方式を適用してもよい。
[インク乾燥部の概要]
図7はインク乾燥部の概要を示す構成図である。図の簡略化のために、図7では図1に示す画像読取装置48、第一スプロケット71A、及び第二スプロケット71Bの図示を省略する。
インク乾燥部50に適用される乾燥装置300は、加熱乾燥処理部90及び吸着ベルト搬送装置302を備える。吸着ベルト搬送装置302は、加熱乾燥処理部90の乾燥処理領域に配置される。吸着ベルト搬送装置302は、搬送ベルト310、駆動ローラ312、従動ローラ314、及び吸引チャンバ316を備える。実施形態に示す吸着ベルト搬送装置302は乾燥搬送部の一例である。
搬送ベルト310は、無端ベルトである。搬送ベルト310は、駆動ローラ312と従動ローラ314との間に巻き掛けられている。駆動ローラ312及び従動ローラ314に巻き掛けられた搬送ベルト310の外側面を搬送ベルト310の第一面310Aという。搬送ベルト310の第一面310Aは、用紙Pと接触し得る用紙支持面となり得る。搬送ベルト310の第一面310Aと反対側の面、すなわち、駆動ローラ312及び従動ローラ314に巻き掛けられた搬送ベルト310の内側面を搬送ベルト310の第二面310Bという。
搬送ベルト310の第一面310Aは、用紙Pを支持する領域である用紙支持領域に、図7に図示しない複数の吸着穴を備える。吸着穴の直径及び配置は用紙Pの良好な吸着を実現する観点から規定される。吸着穴は符号311を用いて図8に図示する。
搬送ベルト310の第一面310Aにおける吸着穴の非配置領域は、フッ素樹脂を用いたコーティングが施されている。吸着穴の非配置領域は符号313を付して図8に図示する。
換言すると、搬送ベルト310の第一面310Aにおける吸着穴の非配置領域は、フッ素樹脂のコーティングを用いて被覆されている。吸着穴の非配置領域は、用紙支持領域内の吸着穴の周囲を構成し、用紙Pと接触する部分が含まれる。以下、特に断らない限り、搬送ベルト310の第一面310Aは、搬送ベルト310の第一面310Aのフッ素樹脂のコーティングを表す。なお、フッ素樹脂のコーティングはフッ素樹脂層と同義である。
実施形態に示す搬送ベルト310の第一面310Aは媒体支持面の一例である。実施形態に示す用紙支持領域は、媒体支持領域の一例である。実施形態に示す吸着穴の非配置領域は、非穴配置領域の一例である。
吸引チャンバ316は、搬送ベルト310の第二面310Bの側に配置される。吸引チャンバ316は、図2に示す圧力発生部128と接続されている。圧力発生部128を用いて吸引チャンバ316から空気を吸引して吸引チャンバ316の内部を負圧とし、搬送ベルト310の吸着穴から空気を吸い込む。用紙Pは空気圧が作用して搬送ベルト310の第一面310Aに吸着される。実施形態に示す吸引チャンバ316は、吸着部の一例である。
描画部40を用いて画像が形成された用紙Pは、描画ドラム42からチェーングリッパー70に受け渡される。チェーングリッパー70に受け渡された用紙Pは、先端部がグリッパー74に把持された状態で搬送ベルト310の上に載り、搬送ベルト310に吸着される。
チェーングリッパー70は、描画ドラム42の回転速度に同期してグリッパー74を搬送する。駆動ローラ312は、グリッパー74の送り速度に合わせて搬送ベルト310を走行させるよう回転駆動させる。
搬送ベルト310は、グリッパー74と概ね同じ速度で送られる。搬送ベルト310の送り速度とグリッパー74の送り速度とは、必ずしも完全に一致させる必要はなく、僅かな速度差があってもよい。
用紙Pのサイズ及び用紙Pの剛度の少なくともいずれか一方が原因となり、搬送ベルト310とグリッパー74との速度差が異なり得る。グリッパー74の速度よりも搬送ベルト310の速度を僅かに遅くすると、用紙Pに引っ張り力を与えながら搬送することができる。一方、グリッパー74の速度よりも搬送ベルト310の速度が速くなると、搬送ベルト310が用紙Pを搬送方向に押し込みながら進むことになる。
搬送ベルト310は、同一期間に複数の用紙Pを吸着し得る長さを有する。図2に示された搬送ベルト310は、同一期間に二枚の用紙Pを吸着し得る長さを有しているが、搬送ベルト310の長さは、適宜設計することができ、同一期間に三枚以上の用紙Pを吸着し得る形態も可能である。
[吸着ベルト搬送装置の構造例]
図8は図7に示す吸着ベルト搬送装置の構造例を示す断面図である。搬送ベルト310は複数の吸着穴311が形成される。吸着穴311は搬送ベルト310を厚み方向に貫通する。符号313は搬送ベルト310の第一面310Aにおける吸着穴311の非配置領域を示す。
搬送ベルト310は、厚みが0.3ミリメートルのSUS304を適用し得る。なお、SUSはステンレス鋼を表す英語表記である、Steel Use Stainlessの省略語である。
吸引チャンバ316は、多孔質吸着板316A及びケース316Bを備える。吸引チャンバ316の開放面は、多孔質吸着板316Aが配置される。吸引チャンバ316の開放面は、搬送ベルト310の第二面310Bと対向する吸引チャンバ316の面である。
多孔質吸着板316Aは、図示しない多数の連通穴が形成される。多孔質吸着板316Aは樹脂、酸化アルミニウム等のセラミック、及び炭化ケイ素系材料等を適用し得る。多孔質吸着板316Aの厚みは5.0ミリメートルとし得る。
吸引性能の観点から、多孔質吸着板316Aは、気孔率が35パーセント以上75パーセント以下であり、平均気孔径が3.0マイクロメートル以下40マイクロメートル以下とし得る。多孔質吸着板316Aの一例として、気孔率が30パーセント以上40パーセント以下であり、平均気孔径が10マイクロメートルのPTFEが挙げられる。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンの英語表記である、polytetrafluoroethyleneの省略語である。
ケース316Bは図示しないポンプ接続口を備える。ケース316Bは、ポンプ接続口及び図示しない流路を介して、図2に示す圧力発生部128と接続される。圧力発生部128を動作させてケース316Bの内部を減圧して、用紙Pに付与する吸着圧力を吸着穴311に発生させる。
[両面印刷の説明]
図9は両面印刷の模式図である。図9に示す両面画像形成方法は、右から左へ向かって各工程が進行している。図9には、右から第一面描画工程、第一面インク乾燥工程、用紙反転工程、第二面描画工程、第二面インク乾燥工程、及び集積工程を示す。
第一面描画工程では、ヘッドユニット44を用いて用紙Pの第一面に青色のストライプ模様の画像が形成される。但し、第一面描画工程において用紙Pに形成される画像は任意の画像を適用可能である。
なお、第一面描画工程では、用紙Pの先端部は図7に示すグリッパー43を用いて把持されてもよい。その際に、第一面描画工程では、用紙Pの非先端部は図7に示す描画ドラム42の周面に吸着される。
用紙Pの非先端部は、用紙Pの先端部を除く領域である。用紙Pの非先端部は、用紙Pの中央部及び後端部の少なくともいずれか一方が含まれる。用紙Pの中央部は用紙Pの中央を含む領域である。用紙Pの中央部は、用紙Pの先端部、及び用紙Pの後端部を除く領域としてもよい。
実施形態に示す第一面描画工程は、媒体の片面にインクを用いて画像を形成する画像形成工程の一例である。
第一面描画工程の後に、第一面インク乾燥工程が実行される。第一面インク乾燥工程において、第一面に青色のストライプ模様の画像が形成された用紙Pに対して、加熱乾燥処理部90を用いて加熱乾燥処理が施される。第一面インク乾燥工程では、用紙Pの第一面の反対側の面となる第二面は、搬送ベルト310を用いて吸着支持される。
第一面インク乾燥工程において、搬送ベルト310は用紙Pを加熱するために加熱される。後述する第二面インク乾燥工程においても同様である。実施形態に示す第一面インク乾燥工程は、画像形成工程においてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥工程の一例である。
実施形態に示す、第一面インク乾燥工程において搬送ベルト310を用いて用紙Pを吸着支持して搬送する工程は、媒体を搬送ベルトの媒体支持面に支持して搬送する乾燥搬送工程の一例である。実施形態に示す、第一面インク乾燥工程において搬送ベルト310を用いて用紙Pを吸着支持する工程は、媒体を吸着する吸着工程の一例である。
図9には、用紙Pを支持する態様として、用紙Pの全面が搬送ベルト310の第一面310Aに支持される態様を例示した。図7に示すように、用紙Pの先端部が把持され、用紙Pの非先端部が搬送ベルト310の第一面310Aに支持されてもよい。
第一面インク乾燥工程の後に、用紙反転工程が実行される。用紙反転工程において、用紙Pは裏返しがされる。用紙Pに示す破線は、用紙Pの第一面に形成された青色のストライプ模様の画像を表している。
用紙反転工程の後に、第二面描画工程が実行される。第二面描画工程において、ヘッドユニット44を用いて、用紙Pの第二面に対して画像が形成される。図9には、用紙Pの第二面に形成される画像として、第一面と同様の青色のストライプ模様の画像が示されている。実施形態に示す第二面描画工程は、媒体の両面にインクを用いて画像を形成する画像形成工程の構成要素の一例である。
第二面描画工程の後に、第二面インク乾燥工程が実行される。第二面インク乾燥工程では、用紙Pの第一面は搬送ベルト310を用いて吸着支持される。第二面インク乾燥工程では、用紙Pの第二面に対して乾燥処理が施される。
第二面インク乾燥工程において、乾燥処理が施された用紙Pは、用紙集積工程において、図7に示す集積部60へ搬送される。実施形態に示す第二面インク乾燥工程は、画像形成工程においてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥工程の一例である。
実施形態に示す、第二面インク乾燥工程において搬送ベルト310を用いて用紙Pを吸着支持して搬送する工程は、媒体を搬送ベルトの媒体支持面に支持して搬送する乾燥搬送工程の一例である。実施形態に示す、第二面インク乾燥工程において搬送ベルト310を用いて用紙Pを吸着支持する工程は、媒体を吸着する吸着工程の一例である。
図1に示す処理液付与部20を用いて用紙Pの第一面に処理液を付与する第一処理液付与工程、及び用紙Pの第二面に処理液を付与する第二処理液付与工程を実行してもよい。
また、第一処理液付与工程の後に、処理液乾燥部30を用いて、用紙Pの第一面に付与された処理液を乾燥させる第一処理液乾燥工程を実行してもよい。更に、第二処理液付与工程の後に、処理液乾燥部30を用いて、用紙Pの第二面に付与された処理液を乾燥させる第二処理液乾燥工程を実行してもよい。
[搬送ベルトの詳細な説明]
〔凹凸画像故障〕
図10は比較例に係る印刷物を撮像した写真である。図10に示す印刷物400は、比較例に係る搬送ベルトの第一面に付与した粗さの形状が転写されている。搬送ベルトの第一面に付与した粗さとは、搬送ベルトの第一面に形成したフッ素樹脂層の凹凸を意味する。
比較例に係る搬送ベルトは、実施形態に係る搬送ベルト310と比較して、第一面に形成したフッ素樹脂層の表面性が相違する。比較例に係る搬送ベルトは、第一面に形成したフッ素樹脂層以外の構成要素は、実施形態に係る搬送ベルト310と同一である。なお、以下の説明において、搬送ベルトの第一面に付与した粗さの形状が転写された印刷物の故障を印刷物の凹凸画像故障と呼ぶこととする。
印刷物400は凹凸画像故障が発生している。すなわち、印刷物400はフッ素樹脂層の凹凸が転写された転写痕402が視認される。なお、図10では、一点鎖線を用いて転写痕402を囲んで図示する。また、図10では一部の転写痕402のみに符号を付す。
〔凹凸画像故障原因の考察〕
印刷物400の凹凸画像故障の原因として、印刷物400の乾燥において生じた用紙Pのしわ、搬送ベルトの吸着穴の形状の転写を考察した。また、印刷物400の凹凸画像故障の原因として、吸着搬送において発生した用紙Pのしわ、搬送ベルトの第一面に付着した塵等、及び用紙Pに付着した塵等を考察した。しかし、いずれも、印刷物400の凹凸画像故障の主たる原因ではないことが判明した。
発明者らは、フッ素樹脂層420の凹凸について、最大山高さRpが35マイクロメートル以下とした場合に、印刷物400の品質上、凹凸画像故障が問題とならないことを実験検証した。以下に、実験検証について説明する。
〔実験装置〕
図11は実験装置の説明図である。図11に示す実験装置440は、図8に示す吸着ベルト搬送装置302の基本構造を模したものである。実験装置440は、搬送ベルト442、多孔質吸着板444、吸着ボックス446、パンチング板448、及び支柱450を備える。
搬送ベルト442は、図8に示す搬送ベルト310と同一の基材が適用される。搬送ベルト442に形成される吸着穴443は、図8に示す搬送ベルト310の吸着穴311と同一サイズ及び同一配置が適用される。
多孔質吸着板444は、図8に示す多孔質吸着板316Aと同一の材料が適用される。多孔質吸着板444は、多孔質吸着板316Aと同一の厚みが適用される。多孔質吸着板444は、吸着ボックス446の内部に配置可能なサイズを有する。
吸着ボックス446は、図8に示す吸引チャンバ316のケース316Bに相当する。パンチング板448は、吸着ボックス446の内部において多孔質吸着板444を支持する。パンチング板448は、複数の貫通穴452が形成される。
複数の支柱450は、吸着ボックス446の内部において、パンチング板448を支持する。吸着ボックス446は図示しない吸引口及び図示しない流路を介して、図示しない吸引ポンプと接続される。
吸引ポンプを動作させて、吸着ボックス446の内部に負圧を発生させ、多孔質吸着板444及び吸着穴443を介して用紙441を吸引する。符号Pを付した矢印線は、吸引ポンプを用いた吸着ボックス446の内部の吸引を表す。符号Pを付した矢印線は、用紙441に作用する吸着圧力を表す。
〔実験条件〕
〈搬送ベルトの条件〉
スプレーガンを用いて、搬送ベルト442にフッ素樹脂を吹き付けてフッ素樹脂層を形成した。スプレーガンの吹き付け圧力の設定値は0.2メガパスカルを適用した。フッ素樹脂の塗工回数、及び搬送ベルト442自体のサンディング処理の有無を変えて、フッ素樹脂層の表面における凹凸の高さを調整した。凹凸の高さは、15マイクロメートルから40マイクロメートルまで、5.0マイクロメートル単位で調整した。
例えば、下記の表1におけるNo.3とNo.4とは、塗工回数が3回で同じである。一方、表1におけるNo.3は、搬送ベルト442自体のサンディング処理が有りの場合であり、No.4は、搬送ベルト442自体のサンディング処理が無しの場合である。すなわち、フッ素樹脂層の厚みが同じ場合に、フッ素樹脂層の表面における凹凸の高さを5.0マイクロメートル単位で調整するために、搬送ベルト442自体のサンディング処理を適用した。
なお、フッ素樹脂の塗工回数を変えた場合、フッ素樹脂層の厚みが変わる。例えば、表1におけるNo.2とNo.3とは、フッ素樹脂層の表面における凹凸の高さ及びフッ素樹脂層の厚みが相違している。
No.7は、サンディング処理の後に下塗り層を塗布し、フッ素樹脂層を塗工した搬送ベルト442である。下塗り層は、搬送ベルト442自体の凹凸を低減させ、かつ、搬送ベルト442とフッ素樹脂層との密着性を向上させる。これにより、フッ素樹脂層の算術平均粗さRaが低下する。No.7は、下塗り層の塗工回数が1回、フッ素樹脂層の塗工回数が1回であり、これらの合計2回を塗工回数とした。
〈測定条件〉
表面粗さ測定機を用いて、搬送ベルト442のフッ素樹脂層の最大山高さRp、及び算術平均粗さRaを測定した。表面粗さ測定器は、ミツトヨ社製、小型表面粗さ測定機、サーフテストSJ−210を適用した。測定モードは,ISO1997、オート設定とした。すなわち、搬送ベルト442のフッ素樹脂層の最大山高さRp、及び算術平均粗さRaの測定は、ISO4287−1997規格に準拠した測定方法が適用される。
なお、ISOは国際標準化機構を表す英語表記である、International Organization for Standardizationの省略語である。
図12は最大山高さの説明図である。最大山高さRpの測定では、基準長さLrにおける複数の測定点のそれぞれの平均線460からの高さを測定し、複数の測定値の中の最大値が最大山高さRpとされる。
〈印刷物の条件〉
用紙441は、王子製紙社製、オーケートップコートプラスを適用した。厚みが異なる複数の種類の用紙441について同じ実験を実施した。一方の面にべた画像を形成し、乾燥させた用紙441を印刷物とした。インクは黒インクを適用した。
〈インク乾燥条件について〉
23.5℃、40℃から160℃まで20℃おきに乾燥処理の設定温度を変えて、印刷物の乾燥処理を実行した。乾燥処理は赤外線ヒータを用いた。印刷物の現実の温度を測定して、乾燥処理の設定温度と現実の印刷物の温度との対応を確認した。なお、23.5℃は常温であり、乾燥処理の設定温度が23.5℃の場合は、赤外線ヒータを動作させない自然乾燥を意味する。
〈吸着圧力の条件〉
用紙441のべた画像が形成された面をフッ素樹脂層に接触させる。吸引ポンプを動作させ、圧力測定器を用いて用紙441にかかる圧力を測定した。圧力測定値が3.0キロパスカル及び11.3キロパスカルの両方について同じ実験検証を行った。吸引ポンプの圧力設定値と、用紙441にかかる圧力測定値とが同一又は実質的に同一の場合は、吸引ポンプの圧力設定値を用紙441にかかる圧力測定値としてもよい。なお、実質的に同一とは、吸引ポンプの圧力設定値と用紙441にかかる圧力測定値との差が許容し得る範囲内であることを意味する。
〔評価結果〕
〈凹凸画像故障の有無の確認〉
実験装置440を用いて用紙441を吸引する。吸引期間は固定とする。吸引を停止して用紙441のべた画像が形成されている面を目視する。表1に実験検証の結果を示す。
表1の凹凸画像故障における評価結果Aは商品として優れている状態を表す。評価結果Bは商品として良好に出荷できる状態を表す。評価結果Cは凹凸が視認されるが、商品として出荷ができる状態を表す。評価結果Dは商品として出荷できない状態を表す。
換言すると、評価結果Aは視認可能な転写痕402が存在しない印刷物を表す。評価結果Bは視認可能な転写痕402が存在するが、転写痕402が印刷物の品質に影響しない場合を表す。
評価結果Cは視認可能な転写痕402が存在するが、品質規格次第では商品として出荷が可能な印刷物を表す。評価結果Dは多数の視認可能な転写痕402が存在し、商品として出荷ができない印刷物を表す。
図10に示す印刷物400は、評価結果Dの印刷物一例である。印刷物400は多数の視認可能な転写痕402が存在している。印刷物400は商品として出荷できない印刷物の一例である。
図13は実施例に係る印刷物の写真であり、評価結果Cの印刷物の一例の写真である。図13に示す印刷物480は数か所の転写痕402が視認されるが、品質規格次第では商品として出荷が可能な印刷物である。
図14は実施例に係る印刷物の写真であり、評価結果Bの印刷物の一例の写真である。図14に示す印刷物482は視認可能な転写痕402が存在するが、転写痕402は印刷物482の品質に影響しない大きさ及び数である。
図15は実施例に係る印刷物の写真であり、評価結果Aの印刷物の一例の写真である。図15に示す印刷物484は、視認可能な転写痕402が存在しない印刷物である。
表1によれば、搬送ベルト310の第一面に形成されるフッ素樹脂層の最大山高さRpが35マイクロメートル以下の場合に、転写痕402の発生が抑制された印刷物を得ることが可能である。
フッ素樹脂層の最大山高さRpが25マイクロメートル以下の場合に、さらに転写痕402の発生が抑制された印刷物を得ることが可能である。フッ素樹脂層の最大山高さRpが15マイクロメートル以下の場合に、転写痕402がほとんど視認されない印刷物を得ることが可能である。
すなわち、図7に示す搬送ベルト310の汚れ防止、及び搬送ベルト310と用紙Pとの離型性確保の観点から、搬送ベルト310の第一面310Aに規定の算術平均粗さRaを有するフッ素樹脂層を形成する場合に、フッ素樹脂層の凹凸及び吸着穴311の周辺のフッ素樹脂層の盛り上がり等を原因として、印刷物に転写痕402が付くという問題が存在することが判明した。
そこで、フッ素樹脂層の表面の平均線からの高さである最大山高さRpを35マイクロメートル以下に管理すると、フッ素樹脂層に一定の算術平均粗さRaを付与し、かつフッ素樹脂層の最大山高さを一定範囲に揃えることができ、印刷物の転写痕402の発生を抑制し得ることが判明した。なお、平均線はISO4287−1997規格に規定される平均線が適用される。なお、表1に示す最大山高さRpは粗さ曲線を求めるための平均線を適用した。最大山高さRpは断面曲線を求めるための平均線を適用してもよい。
フッ素樹脂層の算術平均粗さRaを相対的に小さくすると、印刷物の転写痕402は視認されにくくなると考えられる。一方、フッ素樹脂層の算術平均粗さRaを相対的に小さくすると、搬送ベルト310の汚れの悪化、及び搬送ベルト310と用紙Pとの離型性の低下が懸念される。すなわち、フッ素樹脂層の算術平均粗さRaの大きさと、印刷物の転写痕402の視認性とはトレードオフの関係を有していることが判明した。
そこで、発明者らは、フッ素樹脂層の最大山高さRpに着目し、印刷物の転写痕402の発生を抑制し得るフッ素樹脂層の最大山高さRpの条件を導出した。
〈フッ素樹脂層の最大山高さRpの下限値について〉
表1によれば、評価結果A、評価結果B、及び評価結果Cの場合、フッ素樹脂層の最大山高さRpの下限値は、7.0マイクロメートルとし得る。
搬送ベルト442には、基材自体の算術平均粗さRaが6.0マイクロメートル程度のSUS304を適用した。すなわち、算術平均粗さRaが6.0マイクロメートル程度の基材を適用した搬送ベルトは、フッ素樹脂層の凹凸を6.0マイクロメートル以下とすることは困難である。
したがって、算術平均粗さRaが6.0マイクロメートル程度の基材を適用した搬送ベルトは、フッ素樹脂層の最大山高さRpを6.0マイクロメートル以上とし得る。すなわち、フッ素樹脂層の最大山高さRpの下限値は、搬送ベルト442に適用される基材自体の算術平均粗さRaの値を適用し得る。
フッ素樹脂層の最大山高さRpは低ければ低いほど、印刷物の転写痕402の発生は抑制される。そうすると、搬送ベルト442の基材を完全に被覆する厚みを有し、かつ最大山高さRpが15マイクロメートル未満のフッ素樹脂層が実現可能であれば、フッ素樹脂層の最大山高さRpは15マイクロメートル未満とし得る。
例えば、フッ素樹脂層の最大山高さRpの下限値は、フッ素樹脂層の算術平均粗さRaの値を適用し得る。
〈フッ素樹脂層の算術平均粗さRaについて〉
表1によれば、評価結果A、評価結果B、及び評価結果Cの場合、フッ素樹脂層の算術平均粗さRaは、0.56マイクロメートル以下以上6.01マイクロメートル以下とし得る。これにより、搬送ベルト442の汚れ抑制、及び搬送ベルト442と用紙441との一定の離型性を確保し得る。
〈フッ素樹脂層の厚みについて〉
本実施形態に示す実験検証では、フッ素樹脂の塗工回数を変えてフッ素樹脂層の表面における凹凸の高さを調整したが、フッ素樹脂の塗工回数を変えずにフッ素樹脂の濾過回数を変えて、フッ素樹脂層の表面における凹凸の高さを調整することも可能である。例えば、濾過回数を多くすれば多くするほど、フッ素樹脂層の表面における凹凸の高さは低くなる。
フッ素樹脂層は、搬送ベルト442の基材を完全に覆うことができ、かつ所望の凹凸の高さを実現できる必要最小限の厚みを有していればよく、フッ素樹脂層の厚み自体は、印刷物の転写痕402の発生への寄与が極めて小さいと考えられる。
したがって、フッ素樹脂の塗工回数を固定し、フッ素樹脂の濾過回数を変えて、フッ素樹脂層の厚みを固定して、フッ素樹脂層の表面における凹凸の高さを調整してもよい。
〈乾燥処理温度について〉
乾燥処理の設定温度が23.5℃から160℃までの範囲において、表1に示す評価結果が得られることを確認した。温度測定には、横河インスツルメンツ社製、デジタル温度計TX1003を適用した。乾燥処理の設定温度の下限値は、印刷物のコックリングの観点から規定し得る。すなわち、乾燥処理の設定温度の下限値は良好な印刷物の乾燥状態が得られるか否かという観点から規定し得る。例えば、乾燥処理の設定温度の下限値は80℃とし得る。すなわち、乾燥処理に適用される温度範囲は、80℃以上160℃以下とし得る。
なお、符号を付さない印刷物という用語は、実施例に係る印刷物を表す。例えば、実施例に係る印刷物は、図13に示す印刷物480、図14に示す印刷物482、及び図15に示す印刷物484が挙げられる。
〈印刷物の画像について〉
本実施形態では、凹凸画像故障の視認し易さの観点から印刷物の画像にべた画像を適用したが、印刷物の画像はべたに限定されない。また、印刷物のインクは黒色の色材粒子を含有する黒インクに限定されない。転写痕402の視認性の観点から最も厳しい条件である黒べた画像を適用した評価結果は、べた画像以外の画像及び黒インク以外の色のインクに適用し得る。
〈水性インク以外のインクへの適用について〉
画像の剥がれ等の画像故障の要因は、画像を構成するインクの高分子成分及び粘着成分の少なくともいずれか一方と考えられる。したがって、加熱に起因して粘着性又は弾性が生じる高分子成分、及び粘着成分の少なくともいずれか一方を含有するインクは、上記した水性インクの条件を適用することが可能である。
高分子成分及び粘着成分が使用されるインクの例として、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、塩素化ポリオレフィン樹脂、酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂、及びグラフト変性塩素化ポリオレフィン樹脂などを使用した油性インクが挙げられる。
また、他の高分子成分、及び粘着成分が使用されるインクの例として、アクリル樹脂を使用した油性インク、1,2−アルカンジオール、及び紫外線硬化性樹脂エマルジョンを使用した紫外線硬化性インク、並びに紫外線硬化性樹脂としてラジカル重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を使用した紫外線硬化性インクが挙げられる。なお、上記の化合物は、低分子化合物、及び高分子化合物の少なくともいずれかを含む概念である。
〈吸着圧力範囲について〉
用紙441の吸着圧力は、実験検証に適用した3.0キロパスカルを下限値とし、11.3キロパスカルを上限値として、3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下とし得る。
[作用効果]
上記の如く構成されたインクジェット印刷装置によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
〔1〕
用紙Pを吸着して乾燥処理を施す場合、特に、印刷分野においては、片面印刷及び両面印刷を問わずに、印刷物へのフッ素樹脂層の凹凸の転写痕402の発生が抑制される。
〔2〕
搬送ベルト310の汚れが抑制され、搬送ベルト310と用紙Pとの良好な離型性が確保される。
[用語の説明]
〔インク〕
媒体に画像を形成する液体を表す。吐出ヘッドへの供給前の状態、及び吐出前に吐出ヘッド内に保持される状態は固体であってもよい。インクには、色材等を含むグラフィック用途のインク、並びに樹脂粒子、及び金属粒子等を含有する工業用途の機能性液体を含み得る。
〔媒体〕
紙、繊維、皮革、金属、樹脂、ガラス、木材、及びセラミックなど、画像を形成する液体を付着させ得る媒体を表す。本明細書では、媒体、用紙、記録用紙、印刷用紙、記録媒体、及び印刷媒体は相互に読み替えが可能である。
〔画像形成〕
画像形成、印刷、印字、画像記録、及び記録は、媒体に液体を付着させて、文字、図形、及び模様等の形状を形成することを意味する。形成される形状は白黒であるかカラーであるかを問わない。本明細書では、画像形成、印刷、印字、画像記録、及び記録は相互に置き替えが可能である。
〔平行、及び直交〕
平行は、二方向が交差する場合において、平行と同様の作用効果を得ることが可能な実質的な平行が含まれてもよい。直交は、二方向が90度を超える角度、又は90度未満の角度で交差する場合において、90度で交差する場合と同様の作用効果を得ることが可能な実質的な直交が含まれてもよい。
〔同一〕
同一は、厳密には相違するものの、同一と同様の作用効果を得ることが可能な実質的な同一が含まれてもよい。
〔上下〕
上は重力方向と反対の方向の成分を有する方向を表す。下は重力方向の成分を有する方向を表す。
[実施形態及び変形例等の組み合わせについて]
上述した実施形態で説明した構成要素、及び適用例等で説明した構成要素は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の構成要素を置き換えることもできる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
1A インクジェット印刷装置
10 給紙部
11 搬送部
12 給紙装置
12A 給紙台
14 フィーダボード
16 給紙ドラム
17 グリッパー
20 処理液付与部
23 グリッパー
24 処理液塗布装置
30 処理液乾燥部
32 処理液乾燥ドラム
33 グリッパー
34 温風送風機
40 描画部
42 描画ドラム
43 グリッパー
44 ヘッドユニット
46 インクジェットヘッド
46C インクジェットヘッド
46K インクジェットヘッド
46M インクジェットヘッド
46Y インクジェットヘッド
48 画像読取装置
50 インク乾燥部
60 集積部
62 集積装置
62A 集積トレイ
70 チェーングリッパー
71A 第一スプロケット
71B 第二スプロケット
72 チェーン
74 グリッパー
80 用紙ガイド
82 第一用紙ガイド
84 第二用紙ガイド
90 加熱乾燥処理部
100 システムコントローラ
102 通信部
103 ホストコンピュータ
104 画像メモリ
110 搬送制御部
114 処理液付与制御部
116 処理液乾燥制御部
118 描画制御部
120 インク乾燥制御部
124 集積制御部
126 圧力制御部
128 圧力発生部
130 操作部
132 表示部
134 パラメータ記憶部
136 プログラム格納部
140 圧力設定部
142 温度設定部
144 温度センサ
200 ヘッドモジュール
210 流路構造体
214 インク供給路
216 個別供給路
218 圧力室
220 ノズル連通路
226 循環個別流路
228 循環共通流路
230 圧電素子
231 圧電体層
232 インク供給室
236 インク循環室
252 供給側個別流路
256 回収側個別流路
264 上部電極
265 下部電極
266 振動板
267 接着層
275 ノズルプレート
277 液体吐出面
280 ノズル開口
281 ノズル部
300 乾燥装置
302 吸着ベルト搬送装置
310 搬送ベルト
310A 第一面
310B 第二面
311 吸着穴
312 駆動ローラ
313 非配置領域
314 従動ローラ
316 吸引チャンバ
316A 多孔質吸着板
316B ケース
400 印刷物
402 転写痕
440 実験装置
441 用紙
442 搬送ベルト
443 吸着穴
444 多孔質吸着板
446 吸着ボックス
448 パンチング板
450 支柱
452 貫通穴
460 平均線
480 印刷物
482 印刷物
484 印刷物
P 用紙

Claims (13)

  1. 媒体の片面又は両面にインクを用いて画像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部を用いてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥部と、
    前記媒体を支持して搬送する搬送ベルトを備え、前記搬送ベルトの前記媒体を支持する媒体支持面に吸着穴が形成され、前記乾燥部の乾燥処理領域において媒体を搬送する乾燥搬送部と、
    3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を前記吸着穴に発生させ、前記媒体を吸着する吸着部と、
    を備え、
    前記搬送ベルトは、前記媒体支持面の前記媒体を支持する媒体支持領域における前記吸着穴が配置されない非穴配置領域に樹脂層が形成され、
    前記樹脂層は、表面の平均線からの山高さの最大値である最大山高さが35マイクロメートル以下となる画像形成装置。
  2. 前記樹脂層の最大山高さは10マイクロメートル以上である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記樹脂層の最大山高さは15マイクロメートル以上である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記樹脂層の最大山高さは、前記搬送ベルトに適用される基材の算術平均粗さ以上である請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記樹脂層は、0.56マイクロメートル以上6.01マイクロメートル以下の算術平均粗さを有する請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記乾燥部の温度条件を80℃以上160℃以下の温度範囲に設定する温度条件設定を備えた請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記媒体として枚葉紙を前記画像形成部へ供給する媒体供給部を備えた請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記画像形成部は、インクを吐出させる複数のノズル開口が液体吐出面に配置されるインクジェットヘッドを備えた請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記インクは水性インクである請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 前記インクは、加熱に起因して粘着性、又は弾性が生じる高分子成分、並びに加熱に起因して粘着性、又は弾性が生じる粘着成分の少なくともいずれか一方を含有する請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記インクは黒色を表す色材粒子を含有する黒インクを含む請求項1から10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  12. 媒体の片面又は両面にインクを用いて画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像形成工程においてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥工程と、
    を含み、
    前記乾燥工程は、
    前記媒体を搬送ベルトの媒体支持面に支持して搬送する乾燥搬送工程と、
    前記搬送ベルトの媒体支持面における吸着穴が配置されない非穴配置領域に樹脂層が形成され、前記樹脂層は表面の平均線からの山高さの最大値である最大山高さが35マイクロメートル以下であり、前記搬送ベルトの前記吸着穴に3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を発生させて前記媒体を吸着する吸着工程と、
    を含む画像形成方法。
  13. 画像形成装置を用いてインクが付与された媒体に乾燥処理を施す乾燥部と、
    前記媒体を支持して搬送する搬送ベルトを備え、前記搬送ベルトの前記媒体を支持する媒体支持面に吸着穴が形成され、前記乾燥部の乾燥処理領域において媒体を搬送する乾燥搬送部と、
    3.0キロパスカル以上11.3キロパスカル以下の吸着圧力を前記吸着穴に発生させ、前記媒体を吸着する吸着部と、
    を備え、
    前記搬送ベルトは、前記媒体支持面の前記媒体を支持する媒体支持領域における前記吸着穴が配置されない非穴配置領域に樹脂層が形成され、
    前記樹脂層は、表面の平均線からの山高さの最大値である最大山高さが35マイクロメートル以下となる乾燥装置。
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