JP2020015234A - 画像形成方法、印刷物、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット画像の解析は、例えば、最も古くからある簡易的な分析方法として、一般的な光学顕微鏡で印字試料の断面を観察する方法がある。しかしこの分析方法は、空間分解能が低いため断面のマクロ的な観察に限られ、評価に値するような空間分解能での画像層の形状を観察するには至らない。さらに、得られる情報も三次元情報ではなく、二次元情報に限られる。
このように、インクジェット画像の分析は非常に難しく、どのような画像形成方法であれば、耐擦過性に優れるか全く分からなかった。
本発明は、耐擦過性に優れる画像形成方法を提供することにある。
(1)蛍光物質を含有したインクを用いて、被印刷物に画像を形成する画像形成方法であって、
該画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である画像を形成する画像形成方法。
(1)蛍光物質を含有したインクを用いて、被印刷物に画像を形成する画像形成方法であって、
該画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である画像を形成する画像形成方法である。
(2)前記蛍光物質が、マゼンタ用顔料、またはイエロー用顔料である前記(1)に記載の画像形成方法。
(3)前記被印刷物として、塗工紙を用いる前記(1)または(2)に記載の画像形成方法。
(4)被印刷物に、処理剤を溶解してなる前処理液を塗布する工程を有する前記(1)〜(3)の何れかに記載の画像形成方法。
(5)前記画像形成方法が、前記インクを吐出して画像を形成する方法である前記(1)〜(4)の何れかに記載の画像形成方法。
(6)被印刷物に画像を有する印刷物であって、
該画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である印刷物。
(7)インク、インクを吐出する吐出手段を有する画像形成装置であって、
該インクは、蛍光物質を含有するインクであり、
画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である画像を形成する画像形成装置。
共焦点蛍光顕微鏡としては、画像層の三次元形状をより高精細に取得するため、空間分解能が高い構成が好ましい。光源にはコヒーレンスの高いレーザ光が好ましい。また、対物レンズには開口数(NA)が高い液浸レンズが好ましく、より好ましくはさらにNAが高い油浸レンズが好ましい。対物レンズに使用する油は共焦点蛍光顕微鏡のメーカー専用の物を使用するのが一般的であるが、塗工紙に直接浸す液は塗工紙の屈折率により近いほうが好ましい。
サラダ油を用いることにより、サラダ油の屈折率は画像の屈折率と近いので、光学的な凹凸はなくなり、解像度が高くなる。サラダ油を用いないと、空気と画像の屈折率差が大きいため、画像に凹凸があると空気/画像界面で屈折が起き、解像度が悪くなる。
画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から、Z方向の蛍光強度を平均化し、二次元の蛍光強度F’(Xi,Yj)を作成し、F’(Xi,Yj)の平均値F’aveを算出する。
例えば、X,Y方向は18.45μm×18.45μmの領域を、512×512に分割して測定する場合、n1=512,n2=512となる。
Z方向は、0.1545μm間隔で測定した。Z方向は、画像底面の被印刷物に凹凸がある、画像表面及び底面に凹凸がある、画像を完全に水平に固定することが難しい、こと等を考慮し、k=1の位置及び、n3は余裕をもって画像の膜厚よりも大きな範囲で、画像の膜厚が十分に含まれる範囲で測定することが好ましい。k=1の位置は、基本的には測定領域内での画像底面の最も低い位置を設定するが、測定領域内の画像が全て入るよう、k=1の位置が画像底面の最も低い位置よりも低くなってもかまわない。また、n3も同様に、余裕をもって画像の膜厚よりも大きな範囲で、画像の膜厚が十分に含まれる範囲で測定することが好ましい。本発明の実施例ではn3=86で測定した。F’(Xi,Yj)の値は、k=1の位置及びn3をどこまでとるかによって変わり、k=1の位置が画像底面の位置から離れるほど、及びn3が大きくなるほど、F’(Xi,Yj)の値は小さくなっていく。ただ、全ての箇所のF’(Xi,Yj)の値も小さくなるため、平均値のF’aveも同じように小さくなり、(F’(Xi,Yj)≦0.75×F’aveの算出には影響を与えない。
二次元の蛍光強度F’(Xi,Yj)が、F’aveの75%以下となる箇所(F’(Xi,Yj)≦0.75×F’ave)は、画像の微細な割れ部分となる。微細な割れ部分が、Z方向に真っ直ぐ存在していれば、微細な割れ部分のF’(Xi,Yj)はF’aveの0%となるのであるが、微細な割れ部分は曲がっていることが多く、かつ、内部にのみ存在していることもある。また、F’aveにかける係数を大きくしすぎると、画像の底面あるいは表面の凹凸をひろってしまう。F’aveの75%以下とすれば、全ての微細な割れ部分を的確に検出することができる。
通常、インク層の厚みが一定で微細な割れ部分がなければ、顔料が画像の底面と表面に偏差があったとしても、F’(Xi,Yj)は同じ値になるため、F’(Xi,Yj)≦0.75×F’aveとなる箇所は、ほとんどない。
本発明の画像形成方法は、普通紙上の画像であっても可能である。ただし、普通紙表面は平坦部が全く無く、インクの浸透が深いため、画像の底面を特定することが難しい。そのため、本発明の画像形成方法は、塗工紙上の画像に対して極めて有効である。
塗工紙は、表面に塗料を塗布し、白色度や平滑性を高めた紙のことである。塗工紙として、微塗工紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等が挙げられる。塗料は、白色顔料(タルク、パイロフィライト、クレー(カオリン)、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)と、デンプンやラテックスなどの接着剤を混合して作る。
処理剤として、無機酸化物分散系処理剤について記す。無機酸化物分散系処理剤の機能は主に裏抜け防止、画像の鮮明性に寄与する。カチオン系の場合はアニオン系着色剤の耐水性改良にも寄与する。また、ある程度粒径の大きなものは表面画像が透けて見えるのを防止する。材料としてはカチオン系、あるいはアニオン系の酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を使用でき、これらの微粒子で粒子系は0.6μm以下のものである。市販のアルミナ、シリカコロイドゾルも使用できる。
これらはpH調整で変化するが、フリーの状態はpHが高くアニオン染料への定着性は比較的弱いが使用可能である。
これらは塩素など対アニオンと塩を形成したものでもよいしフリーの状態でもよい。これらの高分子カチオン性化合物は塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の任意の酸との化合物として用いることができる。
本発明の画像形成方法はインク中に自家蛍光物質を含んでいれば、原理的には染料インク、顔料インクともに分析することができる。しかし、前述のように高精細な分析を行うため、オイルを使用すると、染料の多くはオイルに溶けてしまうので、高精細の分析を行うことが難しい。それに対して、顔料インクの多くは、色材である顔料はオイルに溶けないため、高精細の分析を行うことができる。
前記蛍光物質が、マゼンタ用顔料、またはイエロー用顔料であることが好ましい。蛍光物質が、マゼンタ用顔料、またはイエロー用顔料であれば、好ましいインク層を共焦点蛍光顕微鏡により、明確に規定することができる。
本発明の画像形成方法は、蛍光物質として、有機顔料ピグメントイエロー185またはピグメントイエロー74を含むイエローインク(励起波長:476nm)、有機顔料ピグメントレッド269またはピグメントレッド122を含むマゼンタインク(励起波長:488nm)で印刷した画像の画像層に適用することが好ましい。上記の有機顔料はいずれも水性インクに用いられる代表的な有機顔料であり、可視光の照射により蛍光を発する物質である。
本発明に用いるインクジェット画像は、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機で画像形成される。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するものも含まれる。
記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
塗工紙に処理剤が塗布されていれば、原理的には前処理装置は不要であるが、しかしインクが塗工紙に付着してできるだけ速く処理剤によりインクを凝集させるためには、処理剤は溶解した状態でインクと接触させることが好ましい。そのため、前述のように前処理装置を設け、処理剤を溶解させた処理液が乾燥する前に、インクと接触させることが好ましい。塗工紙の上に処理液が完全に乾燥する前にインクを接触させると、インクは瞬時に凝結させることができ、画像の擦過性を向上させることができ、特にマゼンタ画像において、その効果が高い。その際、処理剤が塗布された塗工紙を用いると、擦過性は著しく向上する。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
前処理液は、前述の処理剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
前述のように本発明の画像形成方法は、蛍光物質を含有したインクを用い、蛍光物質としては、マゼンタ用顔料、イエロー顔料が挙げられる。本発明の画像形成方法は、蛍光物質を含有したインクと、蛍光物質を含有しないインクとを併用しても良く、蛍光物資を含有しないインクの色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃まで昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下し、65℃で1時間熟成した。さらに、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、1時間熟成した後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、50質量%のポリマー溶液を800g得た。
ポリマー溶液28g、マゼンタ用顔料(C.I.ピグメントレッド122/トナーマゼンタEO02、クラリアント社製)42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練し、ペーストを得た。次に、ペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いて、メチルエチルケトン及び水を留去した。さらに、平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターを用いて加圧濾過し、顔料の含有量が15質量%、固形分が20質量%のマゼンタ顔料分散液1を得た。
(共重合体の合成)
−モノマーM−a1の合成−
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)を700mLの塩化メチレンに溶解し、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。
この溶液に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成工業株式会社製)を100mLの塩化メチレンに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの下記構造式(I−1)の反応中間体を得た。
20.3g(282mmol)のアクリル酸(東京化成工業株式会社製)、79.7g(234mmol)のモノマーM−a1を、500mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10質量%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に5.0gの2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、東京化成工業株式会社製)を溶解した溶液を2時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出物した共重合体をろ別し、減圧乾燥して、95.7gの[共重合体CP−1](重量平均分子量(Mw):22,500)を得た。
4.0質量部の共重合体CP−1を、pHが8.0となるように、80.0質量部のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に溶解した。得られた共重合体水溶液84.0質量部に対し、16.0質量部のマゼンタ用顔料(C.I.ピグメントレッド122/トナーマゼンタEO02、クラリアント社製)を加えて12時間攪拌した。
得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、97.0質量部の[顔料分散体2](顔料固形分濃度:16質量%)を得た。
下記表1の各欄に示す材料をビーカー中で混合、攪拌してインク1〜4を製造した。
界面活性剤:
BYK−348;ビックケミー製、ポリエーテル系ポリシロキサン界面活性剤
FZ−2146;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤
Tego wet−270;エボニック社製、
ポリエーテル変性ポリシロキサン界面活性剤
アクリル樹脂エマルジョン:ポリゾールROY6312、昭和高分子社製、
最低造膜温度(MFT)が20℃のアクリル−シリコーン樹脂エマルジョン
ウレタン樹脂エマルジョン:W5661、三井化学ポリウレタン株式会社製、
ポリウレタン系樹脂エマルジョン
下記表2の各欄に示す材料をビーカー中で混合、攪拌して処理液1〜6を調製した。
LS−106:エマルゲンLS−106
(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、花王社製)
ハイマックスSC−506:カチオン性樹脂
(商品名:ハイマックスSC−506、ハイモ社製、カチオン当量5.0meq/g)
OK金藤+104.7GMS(王子製紙製)の塗工面に、処理液2をローラー塗布法により0.9g/m2付着させた後、90℃の恒温槽中に30秒間乾燥させた。
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000改造機(処理液を塗布する前処理機を設置))にインク3、処理液1を充填し、水性インクジェット記録法により、処理液1及びインク3を、シングルパス 600dpi(120m/分)で吐出してべた画像を形成した。
インク層の厚みは、2.0μmであった。
上述の手順で得たベタ画像を、印刷後100℃の定温乾燥機(アズワン社製OF−300B)で180秒乾燥させた。クロックメーター(大栄科学精器製作所製)を利用して、用紙(Lumi Art Gross(90gms))で、印刷したベタ部を擦って10往復させ、用紙への顔料の転写具合を目視観察したところ、用紙への転写は見られなかった。
上記の印字した画像の一部を鋏で切り出し、スライドガラス上に両面テープで固定した。その上からサラダ油(日清サラダ油、日清オイリオ製)を適量滴下し、さらにその上にカバーガラスを載せた。これを倒立型の共焦点蛍光顕微鏡TCS SP8(Leica製)で観察し、インクジェット画像層の三次元形状を可視化した。測定条件は以下のとおりである。
・光源 アルゴンレーザ488nm
・受光波長 500〜620nm
・対物レンズ 油浸レンズHC PLAPO CS2(NA1.4)
・検出器 HyDのPhoton Countingモード
・ピンホール径 32.2μm
・視野径 X×Y=18.45μm×18.45μm
・Zstep 0.1545μm
・画素数 X×Y×Z=512×512×86
(n1=512,n2=512、n3=86)
・スキャンスピード 400Hz
・ズーム 10倍
測定後、Maximum projection機能により各F(X,Y)のZ方向のデータを重ね合わせ(蛍光強度の平均)を行い、F’(Xi,Yj)を求めた。図4に結果を示す。図中の明るさは蛍光強度を表し、明るいほど蛍光強度は強く、暗いほど蛍光強度は弱い。図4で、F’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)(512×512=262144個)の蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所を抜き出したところ、図5のようになり、その割合は3.54%であった。
実施例1において、インク3をインク4へ、処理液1を処理液2とする以外は実施例1と同様にべた画像を作成し、実施例1と同様に定着性の評価を行ったところ、用紙への転写は見られなかった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、2.18%であった。
実施例1において、インク3をインク1へ、処理液1を処理液2とする以外は実施例1と同様にべた画像を作成し、実施例1と同様に定着性の評価を行ったところ、用紙への著しい転写が見られた。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、0.03%であった。
実施例2において、処理液2を塗布したOK金藤+104.7GMS(王子製紙製)をLumi Art Gross(90gms)とする以外は実施例2と同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写は見られなかった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、3.71%であった。
実施例3において、処理液2を処理液5とする以外は実施例3と同様にして同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写がわずかに見られるものの、許容レベルであった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、8.55%であった。
実施例3において、処理液2を処理液6とする以外は実施例3と同様にして同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写見られ、許容できないレベルであった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、9.37%であった。
Lumi Art Gross(90gms)の塗工面に、処理液2をローラー塗布法により1.8g/m2付着させた後、90℃の恒温槽中に30秒間乾燥させた。
実施例1において、処理液2を塗布したOK金藤+104.7GMS(王子製紙製)に変えて上記用紙を用いる以外は実施例1と同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写はわずかに見られるが、許容できるレベルであった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、0.08%であった。
Lumi Art Gross(90gms)の塗工面に、処理液1をローラー塗布法により1.8g/m2付着させた後、90℃の恒温槽中に30秒間乾燥させた。
実施例5において、用紙として上記用紙を用いる以外は実施例5と同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写は見られなかった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、0.12%であった。
実施例2において、用紙としてOK金藤+104.7GMS(王子製紙製)のみを用いる以外は実施例2と同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写は見られなかった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、2.68%であった。
実施例7において、処理液に処理液3を用いる以外は実施例7と同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への転写は見られなかった。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、1.19%であった。
実施例8において、インクをインク2とする以外は実施例8と同様にべた画像を作成し、定着性の評価を行ったところ、用紙への著しい転写が見られた。また、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、蛍光強度の平均値(F’ave)の75%以下となる箇所の割合を調べたところ、0.02%であった。
1 ランプ
2 照明レンズ
3 対物レンズ
4 ダイクロイックミラー
5 点光源
7 焦点面
8 検出器
9 試料
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
Claims (7)
- 蛍光物質を含有したインクを用いて、被印刷物に画像を形成する画像形成方法であって、
該画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である画像を形成する画像形成方法。 - 前記蛍光物質が、マゼンタ用顔料、またはイエロー用顔料である請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記被印刷物として、塗工紙を用いる請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 被印刷物に、処理剤を溶解してなる前処理液を塗布する工程を有する請求項1〜3の何れかに記載の画像形成方法。
- 前記画像形成方法が、前記インクを吐出して画像を形成する方法である請求項1〜4の何れかに記載の画像形成方法。
- 被印刷物に画像を有する印刷物であって、
該画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である印刷物。 - インク、インクを吐出する吐出手段を有する画像形成装置であって、
該インクは、蛍光物質を含有するインクであり、
画像を共焦点蛍光顕微鏡により測定した蛍光強度F(Xi,Yj,Zk)
(但しi=1〜n1、j=1〜n2、k=1〜n3、k=1は画像底面のZ方向の位置、k=n3は画像上面のZ方向の位置を表す。)
から下記式により求められるF’(Xi,Yj)、F’aveにおいて、
となるF’(Xi,Yj)が、全F’(Xi,Yj)の0.05〜9.00%である画像を形成する画像形成装置。
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