JP2020015071A - 締結構造、画像形成装置及び加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バーリング加工による突き出し量を長くしつつ、雄ねじを傾くことなく孔部に侵入させることができ、雄ねじの締結を確実に行うこと。【解決手段】雄ねじ22が螺合することにより雌ねじが形成されるバーリング部を有する孔部を備える締結構造であって、孔部は、雄ねじ22の孔部における前記螺合の際の進行方向の上流側の径が雄ねじ22の径よりも大きく雄ねじ22の頭部の径よりも小さい雌ねじが形成されないねじ逃げ部11Hを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、締結構造、画像形成装置及び加工方法に関する。特に、薄板にバーリング加工して円筒形の立ち上げ部を形成する薄板バーリング構造、及び立ち上げ部の内壁面に雌ねじを形成する締結構造に関する。
従来、板状の被加工部材を薄板化しても、バーリング加工による円環状部分の突き出し量を長くすることが可能な薄板バーリング加工方法がある(例えば、特許文献1参照)。図2(A)に示すように、従来の薄板バーリング加工方法は、次のステップを備えている。第1ステップでは、板状の被加工部材11に対して加工対象部位に潰し加工を施して、加工対象部位に元の板厚より薄い部分11Cを形成する。第2ステップでは、板厚の薄い部分11Cに穴抜き加工によって円形の貫通孔11Dを形成する。第3ステップでは、板厚の薄い部分11Cに形成した貫通孔11Dを中心にしてバーリング加工による突き出し加工を施して、被加工部材11の表面から立ち上がった円環状部分11Eを形成する。図2(B)は2つのステップを有するバーリング加工方法であるが、図2(B)に示す加工方法と比較すると、図2(A)の加工方法では1ステップ、工程が増える。しかし、図2(B)のバーリング高さh2に対して図2(A)のバーリング高さh1は、高さをhだけ高くすることができる。これにより、図2(A)の薄板バーリング加工方法では、突出し量を長くすることが可能となる。
しかしながら、従来例では以下の課題がある。まず、金属製で板状の被加工部材11に対しては、材料の使用量を削減する目的で製造コストの低減を図るために薄板化の要求が高まっている。しかし、被加工部材11を薄板化すると、円環状部分の突出し量が短くなってしまう。突出し量が短くなると、雄ねじが締結される部分の長さも短くなってしまい、所望の締め付けトルクで雄ねじの締め付けができなくなる。つまり、所望の締め付けトルクの前で雌ねじのねじ山が破壊されてしまう現象がおきるおそれがある。被加工部材11を薄板化しても上述したようなバーリング加工によるバーリング高さを高くすることができる加工方法が望まれている。
図8は従来の雄ねじを示す図である。なお、雄ねじが孔部に螺合する際の進行方向を矢印Dr(以下、進行方向Drという)で示す。一般的に、雄ねじの首には、不完全ねじ部20がねじ山間隔の1.5ピッチある。なお、1ピッチは、所定のねじ山と所定のねじ山に隣り合うねじ山との間の距離をいい、一般に雄ねじが1回転して進む距離をいう。図8(A)に示す様に、不完全ねじ部20より厚みのない被締結部材である薄板21を取り付ける場合、最後まで雄ねじを締め付けることができず、ねじの頭部22aと薄板21との間に隙間があいて、薄板21が取り付けられずにカタカタする。例えば、雌ねじが加工される板厚0.8mmの被加工部材である板金に、M3ねじによって0.4mm未満の厚さの板金を取り付ける場合等にこのような隙間が生じる。薄板21をしっかりと板金に取り付けるために、雄ねじを締め付けると、雄ねじ又は雌ねじの山の高さが変形して減少する。さらに雄ねじを締め付けると、ねじ山が破損するおそれがある。薄板21がカタカタすることを防ぐために、図8(B)のように不完全ねじ部20を逃がすためのバーリング加工を施す。そうすると、不完全ねじ部20の長さ1.5ピッチ〜2ピッチ以上の不完全ねじ部20を逃がすためのバーリング形状としなければならない。
仮に、図8(B)に示すように、不完全ねじ部20を逃がすために、曲げ内Rを大きくしたバーリング加工方法により加工することができた場合でも、次のような課題が生じる。図3(A)は従来例の課題を説明するための図である。すなわち、図3(A)に示すように、雄ねじを締結するときに板金に対して直交するように締結せず、雄ねじが板金に対して斜めに侵入した状態で締結を続けると、次のような課題が生じる。すなわち、板金が薄板になるほど強度が落ちるために、雄ねじのねじ先によってバーリング部30を破損してしまうという課題がある。このため、バーリング加工による突出し量を長くしつつ、雄ねじを略直交するように侵入させてしっかりと締結することができる締結構造が求められている。言い換えれば、雄ねじがバーリング部30に螺合する際に雄ねじの進行方向がバーリング部30に対して傾きを有しないように締結する必要がある。
本発明は、このような状況の下でなされたもので、バーリング加工による突き出し量を長くしつつ、雄ねじを傾くことなく孔部に侵入させることができ、雄ねじの締結を確実に行うことを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)雄ねじが螺合することにより雌ねじが形成されるねじ形成部を有し、バーリング加工によって形成されたバーリング部を備える締結構造であって、前記バーリング部は、前記雄ねじの前記螺合の際の進行方向の上流側の径が前記雄ねじの径よりも大きく前記雄ねじの頭部の径よりも小さい前記雌ねじが形成されない逃げ部を有することを特徴とする締結構造。
(2)記録材に画像形成を行う画像形成部と、前記画像形成部を内部に有する筐体と、を備える画像形成装置であって、前記(1)に記載の締結構造を有し、前記締結構造によって前記筐体に締結される被締結部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、バーリング加工による突き出し量を長くしつつ、雄ねじを傾くことなく孔部に侵入させることができ、雄ねじの締結を確実に行うことができる。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム101に形成されたトナー像を記録材Pに転写して、定着装置114で記録材Pに画像を定着させるレーザービームプリンタである。画像形成装置100は、回転する感光ドラム101の周囲に帯電ローラ102、露光装置103、現像装置104、転写ローラ105、ドラムクリーニング装置109を配置している。感光ドラム101は、OPC(Organic Photo Conductor)感光層をアルミニウム基体上に形成した電子写真感光体であって、所定のプロセススピードで矢印R1方向(時計回り方向)に回転する。記録材Pへの画像形成に寄与する部材を総称して画像形成部という。
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム101に形成されたトナー像を記録材Pに転写して、定着装置114で記録材Pに画像を定着させるレーザービームプリンタである。画像形成装置100は、回転する感光ドラム101の周囲に帯電ローラ102、露光装置103、現像装置104、転写ローラ105、ドラムクリーニング装置109を配置している。感光ドラム101は、OPC(Organic Photo Conductor)感光層をアルミニウム基体上に形成した電子写真感光体であって、所定のプロセススピードで矢印R1方向(時計回り方向)に回転する。記録材Pへの画像形成に寄与する部材を総称して画像形成部という。
帯電ローラ102は、感光ドラム101を一様な電位に帯電させる。露光装置103は、画像データを展開した画像信号に応じてオン−オフ変調されたレーザービームを走査して、感光ドラム101の表面に画像の静電潜像を形成する。現像装置104は、一成分現像剤を現像スリーブ104aに担持して、感光ドラム101上の静電潜像をトナー像に現像する。転写ローラ105は、感光ドラム101に圧接して記録材Pを挟持搬送するニップ部T1を形成する。転写ローラ105へ電圧を印加することにより、感光ドラム101に担持されたトナー像がニップ部T1を搬送される記録材Pへ転写される。
カセット106から給紙ローラ107によって取り出された記録材Pは、レジストレーションローラ(以下、レジストローラという)108によって、感光ドラム101のトナー像に同期させてニップ部T1へ給送される。ニップ部T1でトナー像を転写されて感光ドラム101から分離された記録材Pは、定着装置114へ搬送される。定着装置114は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱・加圧して、画像を記録材Pに定着させる。画像を定着された記録材Pは、排出ローラ111によって、画像形成装置100の筐体上の排出トレイ112へ排出・積載される。なお、画像形成装置100の筐体とは、内部に画像形成部を有する枠体を指す。
組み立て構造体の一例である画像形成装置100は、その下面に固定された薄い金属板材の被加工部材11に、底板としての被締結部材21が、セルフタップねじ22を用いて固定されている。セルフタップねじ22は雄ねじの一例であり、以下、雄ねじ22とする。
<バーリング加工>
図2は後述する実施例との比較のための従来例を示す図である。図2(A)は、バーリング高さが高い薄板バーリング加工方法を示す図、図2(B)は(A)の薄板バーリング加工方法より前の薄板バーリング加工方法を示す図である。図2(A)に示すように、(i)に示す被加工部材11に対して潰し加工が行われる。(ii)に示すように、潰し加工によって、被加工部材11には凹部11Aが形成され、凹部11Aの底部には板厚の薄い部分11Cが形成される。次に、(iii)に示すように、潰し加工によって形成された板厚の薄い部分11Cが穴抜き加工で打ち抜かれる。そのため、穴抜き加工前の薄い部分11Cは、穴抜き加工によってスクラップ11C’となり、被加工部材11から分離する。スクラップ11C’は不要な部分となるが、板厚が薄いため、捨てられる材料の量が少ないという効果を有している。
図2は後述する実施例との比較のための従来例を示す図である。図2(A)は、バーリング高さが高い薄板バーリング加工方法を示す図、図2(B)は(A)の薄板バーリング加工方法より前の薄板バーリング加工方法を示す図である。図2(A)に示すように、(i)に示す被加工部材11に対して潰し加工が行われる。(ii)に示すように、潰し加工によって、被加工部材11には凹部11Aが形成され、凹部11Aの底部には板厚の薄い部分11Cが形成される。次に、(iii)に示すように、潰し加工によって形成された板厚の薄い部分11Cが穴抜き加工で打ち抜かれる。そのため、穴抜き加工前の薄い部分11Cは、穴抜き加工によってスクラップ11C’となり、被加工部材11から分離する。スクラップ11C’は不要な部分となるが、板厚が薄いため、捨てられる材料の量が少ないという効果を有している。
一方、図2(B)に示す薄板バーリング加工方法では、(i)に示す被加工部材11に対して、潰し加工等を行うことなく、穴抜き加工を行っている。すなわち、(ii)に示すように、被加工部材11に対して加工対象部位に、金型(下型及び上型)(不図示)を用いて、直接、穴抜き加工を行う。このため、穴抜き加工によって被加工部材11に円形の貫通孔11Fが形成される。また、貫通孔11Fを埋めていた被加工部材11の部分はスクラップ11F’となり、被加工部材11から分離する。図2(B)の薄板バーリング加工方法では、潰し加工を行うことなく穴抜き加工を行っているため、スクラップ11F’の板厚は被加工部材11の元の板厚に等しく、スクラップ11F’として捨てられる材料の量が多くなり経済的でない。また、(iii)に示すように、スクラップ11F’として捨てられる材料が多いので、被加工部材11に対してバーリング加工を施したとき、被加工部材11の表面から下方に向かって突出した円環状部分11Gの高さ(以下、バーリング高さという)も小さい。
図2(A)の(iv)に示すように、の薄型バーリング加工方法を用いたときの円環状部分11Eのバーリング高さをh1、図2(B)の円環状部分11Gのバーリング高さをh2とする。図2(A)の加工方法では、円環状部分11Eのバーリング高さh1が図2(B)の円環状部分11Gの高さh2よりもh(=h1−h2、h1>h2)の高さ分、高くなる。
<雄ねじの螺合>
図3(B)が本実施例の薄板バーリング加工方法で加工した被加工部材11に雄ねじ22を止めるときの図である。図3(C)は、後述する本実施例の薄板バーリング加工によって加工が施された被加工部材11の断面図である。雄ねじ22を締結するときに板金等の被加工部材11の面に対して、雄ねじ22を直交するように締結しない場合、図3(C)に示す径φD1が雄ねじ22の山の径に対して広いため、雄ねじのねじ山が全域接することができない。このため、被加工部材11に形成されたバーリング部に雌ねじを形成するための力を発生させることができず、バーリング部に雌ねじが形成できない。このため、雄ねじ22を被加工部材11に締結させようとしているユーザーは、雄ねじ22を締結することができないため、雄ねじ22が被加工部材11に対して直交するようになっていないことに気が付く。そして、ユーザーは被加工部材11に対して直交するように雄ねじ22を締結し直す。このように、雄ねじ22がバーリング部に螺合する際に雄ねじ22の進行方向Drがバーリング部分に対して傾きを有しないように締結することができる。
図3(B)が本実施例の薄板バーリング加工方法で加工した被加工部材11に雄ねじ22を止めるときの図である。図3(C)は、後述する本実施例の薄板バーリング加工によって加工が施された被加工部材11の断面図である。雄ねじ22を締結するときに板金等の被加工部材11の面に対して、雄ねじ22を直交するように締結しない場合、図3(C)に示す径φD1が雄ねじ22の山の径に対して広いため、雄ねじのねじ山が全域接することができない。このため、被加工部材11に形成されたバーリング部に雌ねじを形成するための力を発生させることができず、バーリング部に雌ねじが形成できない。このため、雄ねじ22を被加工部材11に締結させようとしているユーザーは、雄ねじ22を締結することができないため、雄ねじ22が被加工部材11に対して直交するようになっていないことに気が付く。そして、ユーザーは被加工部材11に対して直交するように雄ねじ22を締結し直す。このように、雄ねじ22がバーリング部に螺合する際に雄ねじ22の進行方向Drがバーリング部分に対して傾きを有しないように締結することができる。
<実施例のバーリング構造>
図4は本実施例の締結構造を説明する図である。本実施例の被加工部材11は、バーリング加工によって、ねじ逃げ部11Hが形成される。ねじ逃げ部11Hは、雄ねじ22の螺合の際の進行方向Drの上流側の径が雄ねじ22の径よりも大きく雌ねじが形成されない部分である。なお、バーリング部とは、バーリング加工によって被加工部材11に形成されたフランジ部分をいう。本実施例のバーリング部は、以下に説明するねじ逃げ部11H(逃げ部)及びねじ形成部(円環状部分)11Gを有する。ねじ逃げ部11Hの径φD1は、例えばM3ねじ(有効径2.6mm〜2.8mm)でφ3.2mm〜φ4.2mm、M4ねじ(有効径3.6mm〜3.8mm)でφ4.2mm〜φ5.2mmである。いずれも、ねじ逃げ部11Hの径φD1は、雄ねじ22の径よりも大きい。
図4は本実施例の締結構造を説明する図である。本実施例の被加工部材11は、バーリング加工によって、ねじ逃げ部11Hが形成される。ねじ逃げ部11Hは、雄ねじ22の螺合の際の進行方向Drの上流側の径が雄ねじ22の径よりも大きく雌ねじが形成されない部分である。なお、バーリング部とは、バーリング加工によって被加工部材11に形成されたフランジ部分をいう。本実施例のバーリング部は、以下に説明するねじ逃げ部11H(逃げ部)及びねじ形成部(円環状部分)11Gを有する。ねじ逃げ部11Hの径φD1は、例えばM3ねじ(有効径2.6mm〜2.8mm)でφ3.2mm〜φ4.2mm、M4ねじ(有効径3.6mm〜3.8mm)でφ4.2mm〜φ5.2mmである。いずれも、ねじ逃げ部11Hの径φD1は、雄ねじ22の径よりも大きい。
ねじ形成部11Gは、雄ねじ22が螺合することにより雌ねじが形成される部分である。ねじ形成部11Gの径φD2は、M3ねじの場合はφ2.6mm〜φ2.8mmであり、M4ねじの場合はφ3.6mm〜3.8mmである。いずれも、ねじ形成部11Gの径φD2は、雄ねじ22の有効径と同程度である。
ねじ逃げ部11Hの深さHは、M3ねじで1ピッチが0.5mmなので、0.75mm〜1mmであり、M4ねじで1ピッチが0.7mmなので、1.05mm〜1.4mmである。いずれも、1ピッチを単位とすると1.5ピッチ以上2ピッチ以下である。ねじ逃げ部11Hは、進行方向Drにおける長さが雄ねじ22の不完全ねじ部20の進行方向Drにおける長さに略等しい。このため、雄ねじ22が被加工部材11に締結され、雄ねじ22と被加工部材11との間に被締結部材21が取り付けられたとき、雄ねじの不完全ねじ部20によって隙間が生じることはない。すなわち、被締結部材21が不完全に締結されてカタカタすることがない。また、図3(B)で説明したように、ねじ逃げ部11Hは、雄ねじ22をねじ形成部11Gに対して平行に、言い換えれば被加工部材11の面に対して直交するように、螺合させるためのガイド部としても機能する。
<実施例のバーリング加工>
図5は、本実施例のバーリング加工方法を説明する図である。なお、加工を行う際の金型を一点鎖線で示す。図5(i)は、本実施例のバーリング加工を施す前の被加工部材11を示す図である。被加工部材11は、板厚t1の部材である。図5(ii)は、第1のステップを示す図である。第1のステップでは、板状の被加工部材11に対して加工対象部位に潰し加工を施して、加工対象部位に元の板厚より薄い部分11Cを形成する。薄い部分11Cは、雄ねじ22が螺合する際の進行方向Drの下流側の被加工部材11の厚さ(板厚t1)よりも薄い底部である。薄い部分11Cの板厚はt2である(t2<<t1)。図5(iii)は、第2のステップを示す図である。第2のステップでは、穴抜き加工によって(ii)で形成された薄い部分11Cに円形の貫通孔11Dを形成する。図5(iv)は、第3のステップを示す図である。第3のステップでは、薄い部分11Cに形成した貫通孔11Dを中心にしてバーリング加工による突き出し加工を施して、被加工部材11の表面から立ち上がった円環状部分11Eを形成する。本実施例では、円環状部分11Eは、ねじ逃げ部11Hとねじ形成部11Gとを含む部分である。
図5は、本実施例のバーリング加工方法を説明する図である。なお、加工を行う際の金型を一点鎖線で示す。図5(i)は、本実施例のバーリング加工を施す前の被加工部材11を示す図である。被加工部材11は、板厚t1の部材である。図5(ii)は、第1のステップを示す図である。第1のステップでは、板状の被加工部材11に対して加工対象部位に潰し加工を施して、加工対象部位に元の板厚より薄い部分11Cを形成する。薄い部分11Cは、雄ねじ22が螺合する際の進行方向Drの下流側の被加工部材11の厚さ(板厚t1)よりも薄い底部である。薄い部分11Cの板厚はt2である(t2<<t1)。図5(iii)は、第2のステップを示す図である。第2のステップでは、穴抜き加工によって(ii)で形成された薄い部分11Cに円形の貫通孔11Dを形成する。図5(iv)は、第3のステップを示す図である。第3のステップでは、薄い部分11Cに形成した貫通孔11Dを中心にしてバーリング加工による突き出し加工を施して、被加工部材11の表面から立ち上がった円環状部分11Eを形成する。本実施例では、円環状部分11Eは、ねじ逃げ部11Hとねじ形成部11Gとを含む部分である。
以下、本実施例による薄板バーリング加工方法を詳細に説明する。本実施例による薄板バーリング加工方法は、図5(ii)に示すように、平板状の被加工部材11を用意し、被加工部材11を金型の下型12の上に載置する。このとき、被加工部材11の上方には金型の上型13が配置されている。下型12及び上型13は潰し加工用の金型であり、下型12には深さの浅い、断面が逆円錐台形状の窪み12Aが形成されており、上型13には下方へ突出した断面が逆円錐台形状の突起部13Aがそれぞれ形成されている。
そして、上型13を下降させて、被加工部材11に対して加工対象部位に潰し加工を施す。これにより、被加工部材11には、その上面側に断面が台形状(又はすり鉢状)の凹部11Aが形成されるとともに、下面側には下方へ突出した逆円錐台形状の凸部11Bが形成される。凹部11Aと凸部11Bは、それぞれの中心軸R2が一致している。特に、本実施例では、潰し加工において、すり鉢状の凹部11Aの底壁(凹部11Aの底面と凸部11Bの下面との間の壁部)を薄く形成し、底壁に、被加工部材11の元の板厚t1よりも板厚t2の薄い部分11C(底部)が形成されている。この薄い部分11Cの板厚t2は、t2<<t1という関係となっている。
次に、図5(iii)に示すように、穴抜き加工用の金型である下型14及び上型15を用意し、潰し加工後の被加工部材11を下型14の上に載置する。下型14には、潰し加工用の下型12の窪み12Aに合わせて窪み14Aが形成され、その窪み14Aの中央に円形の孔部14Bが設けられている。上型15には下方へ突出した円柱状の突起部15Aが設けられている。被加工部材11は、その板厚t2の薄い部分11Cが、下型14の孔部14B及び上型15の突起部15Aにそれぞれ合致するよう配置される。そして、上型15を下降させて被加工部材11に対して穴抜き加工を行って、凹部11Aの底部に円形の貫通孔11Dを形成する。このとき、穴抜き加工によって、板厚t2の薄い部分11Cがカット(切断)され、円形平板状のスクラップ11C’が生じる。このスクラップ11C’は捨てられるものである。
最後に、図5(iv)に示すように、バーリング加工用の金型である下型19及び上型20を用意し、穴抜き加工後の被加工部材11を下型19の上に載置する。下型19には、被加工部材11の凸部11Bの外径が収まるサイズの円形の孔部19Aが形成され、被加工部材11を、その凸部11Bが下型19の孔部19Aに合致するように配置される。上型20には下方へ突出した円柱状の突起部20Aが設けられている。突起部20Aは、径がφD1となるような円柱状の部分20A1と、部分20A1よりも下型19側に位置し径がφD2(<φD1)となるような円柱状の部分20A2とから構成されている。下型19の孔部19Aも、上型20の部分20A1に対応する部分19A1と、上型20の部分20A2に対応する部分19A2とから構成されている。
上型20を下降させて被加工部材11に対してバーリング加工のよる突き出し加工を行って、被加工部材11の凹部11Aを大きく拡径するとともに、被加工部材11の表面から立ち上がったねじ形成部11G及びねじ逃げ部11Hとを形成する。円環状部分11Eは上型20の突起部20Aの部分20A2により形成される。詳細には、円環状部分11Eのねじ逃げ部11Hは上型20の突起部20Aの部分20A1により形成され、円環状部分11Eのねじ形成部11Gは上型20の突起部20Aの部分20A2により形成される。図5(iv)では、円環状部分11Eは下方に向けられているが、上下を逆にしてバーリング加工を行えば、円環状部分11Eは被加工部材11の表面から立ち上がった形状となる。
<実施例と従来例との比較>
図6(A)は本実施例の加工方法を示し、図6(B)は従来のバーリング高さを高くする加工方法を示す図であり、両者を比較した図である。すなわち、図6(A)(i)〜(iv)は図5(i)〜(iv)と同様の図であり、一部の符号を省略している。また、図6(B)は図2(A)で説明した図に、上型13、15、17と下型12、14、16とを一点鎖線で追加して示した図である。すでに説明した構成と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する。両者は、打ち抜きの工程数は同じであるが、上型及び下型の形状が異なっていることがわかる。
図6(A)は本実施例の加工方法を示し、図6(B)は従来のバーリング高さを高くする加工方法を示す図であり、両者を比較した図である。すなわち、図6(A)(i)〜(iv)は図5(i)〜(iv)と同様の図であり、一部の符号を省略している。また、図6(B)は図2(A)で説明した図に、上型13、15、17と下型12、14、16とを一点鎖線で追加して示した図である。すでに説明した構成と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する。両者は、打ち抜きの工程数は同じであるが、上型及び下型の形状が異なっていることがわかる。
特に、(iv)のバーリング加工において、(B)の(iv)に示す上型17の突起部17Aが一様に同じ径であるのに対し、(A)の(iv)に示す上型20の突起部20Aは径の異なる部分20A1、20A2を有する。また、(B)の(iv)に示す下型16の孔部16Aについても一様に同じ径であるのに対し、(A)の(iv)に示す下型19の孔部19Aは径の異なる部分を有する。これにより、雄ねじ22が被加工部材11の穴部に斜めに挿入されたとき、ねじ逃げ部11Hによって雌ねじが形成されず、ユーザーに雄ねじ22が斜めに挿入されていることがわかる。そして、雄ねじ22が被加工部材11の面に対し略直交して挿入されると、ねじ形成部11Gに雌ねじが形成され、確実に締結がなされる。
<締め付けトルクと緩みトルク>
図7が図6(B)に示す従来の加工方法と図6(A)に示す本実施例の加工法で加工したバーリングの締め付けトルクと緩みトルクを比較したものである。図7は、横軸に締め付けトルク[Nm]、縦軸に緩みトルク[Nm]を示すグラフである。実線のグラフが図6(A)の本実施例を示し、破線のグラフが図6(B)の従来例を示す。また、tは被加工部材11の板厚である。板厚tは、本実施例、従来例ともに0.5mmとしている。破線で示す従来例の場合、締め付けトルクを大きくしていくと、板厚t=0.5mmの様な薄い板金では、締め付けトルクが2Nmで雌ねじ、すなわちバーリング部が破断してしまう。しかし、実線で示す本実施例の場合、バーリング高さh1が従来例のバーリング高さh2よりもhだけ高いため、締め付けトルクは2.3Nmまで向上することができる。
図7が図6(B)に示す従来の加工方法と図6(A)に示す本実施例の加工法で加工したバーリングの締め付けトルクと緩みトルクを比較したものである。図7は、横軸に締め付けトルク[Nm]、縦軸に緩みトルク[Nm]を示すグラフである。実線のグラフが図6(A)の本実施例を示し、破線のグラフが図6(B)の従来例を示す。また、tは被加工部材11の板厚である。板厚tは、本実施例、従来例ともに0.5mmとしている。破線で示す従来例の場合、締め付けトルクを大きくしていくと、板厚t=0.5mmの様な薄い板金では、締め付けトルクが2Nmで雌ねじ、すなわちバーリング部が破断してしまう。しかし、実線で示す本実施例の場合、バーリング高さh1が従来例のバーリング高さh2よりもhだけ高いため、締め付けトルクは2.3Nmまで向上することができる。
以上のことから、本実施例のバーリング構造によれば、雄ねじ22の不完全ねじ部20よりも薄い被締結部材21を雄ねじ22で取り付ける場合でも、最後まで雄ねじ22を締結することができ、被締結部材21がカタカタすることがない。また、雄ねじ22を止めるバーリング部の板厚が薄い場合でも、締結によるねじ山の破損を従来よりも発生しにくくすることができる。また、雄ねじ22を締結する際に、被加工部材11の面に対して略直交するように雄ねじ22を孔部に挿入することができる。
以上、実施例によれば、バーリング加工による突き出し量を長くしつつ、雄ねじを傾くことなく孔部に侵入させることができ、雄ねじの締結を確実に行うことができる。
11F ねじ逃げ部
11G ねじ形成部
22 雄ねじ
11G ねじ形成部
22 雄ねじ
Claims (9)
- 雄ねじが螺合することにより雌ねじが形成されるねじ形成部を有し、バーリング加工によって形成されたバーリング部を備える締結構造であって、
前記バーリング部は、前記雄ねじの前記螺合の際の進行方向の上流側の径が前記雄ねじの径よりも大きく前記雄ねじの頭部の径よりも小さい前記雌ねじが形成されない逃げ部を有することを特徴とする締結構造。 - 前記雌ねじが形成される部分はM3サイズの雄ねじに対応する径であり、
前記逃げ部の径は、前記雄ねじがM3ねじである場合にφ3.2mm〜φ4.2mmであることを特徴とする請求項1に記載の締結構造。 - 前記雌ねじが形成される部分はM4サイズの雄ねじに対応する径であり、
前記逃げ部の径は、前記雄ねじがM4ねじである場合にφ4.2mm〜φ5.2mmであることを特徴とする請求項1に記載の締結構造。 - 前記逃げ部は、前記進行方向における長さが前記雄ねじの不完全ねじ部の前記進行方向における長さに略等しいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の締結構造。
- 前記逃げ部の前記進行方向の長さは、前記雄ねじの1ピッチを単位として1.5ピッチ以上2ピッチ以下であることを特徴とする請求項4に記載の締結構造。
- 前記逃げ部は、前記雄ねじが前記ねじ形成部に螺合する際に前記進行方向が前記ねじ形成部に対して傾きを有しないように螺合するようにガイドするガイド部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の締結構造。
- 記録材に画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部を内部に有する筐体と、
を備える画像形成装置であって、
前記筐体は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の締結構造を有し、
前記締結構造によって前記筐体に締結される被締結部材を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 雄ねじが螺合する際の進行方向の下流側に被加工部材の厚さよりも薄い底部を有し、前記進行方向に進むほど径が小さくなるような凹部であって、断面が台形状の前記凹部を形成する潰し加工を行う潰し工程と、
前記底部を切断し前記凹部を貫通する孔部を形成する穴抜き加工を行う穴抜き工程と、
前記孔部に前記雄ねじが螺合することにより雌ねじが形成されるねじ形成部を有するバーリング部を形成するバーリング加工を行うバーリング工程と、
を備える加工方法であって、
前記バーリング工程において、前記バーリング部に、前記進行方向の上流側の径が前記雄ねじの径よりも大きく前記雌ねじが形成されない逃げ部が形成されることを特徴とする加工方法。 - 請求項8に記載の加工方法によって形成されたことを特徴とする締結構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018140043A JP2020015071A (ja) | 2018-07-26 | 2018-07-26 | 締結構造、画像形成装置及び加工方法 |
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JP2018140043A JP2020015071A (ja) | 2018-07-26 | 2018-07-26 | 締結構造、画像形成装置及び加工方法 |
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JP2020015071A true JP2020015071A (ja) | 2020-01-30 |
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ID=69579871
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JP2018140043A Pending JP2020015071A (ja) | 2018-07-26 | 2018-07-26 | 締結構造、画像形成装置及び加工方法 |
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JP (1) | JP2020015071A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115246060A (zh) * | 2021-04-27 | 2022-10-28 | 博世华域转向系统(烟台)有限公司 | 一种冲压摆动节叉螺纹孔的加工方法 |
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2018
- 2018-07-26 JP JP2018140043A patent/JP2020015071A/ja active Pending
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