JP2020013151A - レンズアレイ及びヘッドアップディスプレイ - Google Patents
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Abstract
Description
第1周期構造を構成するように配列される複数のレンズを備え、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズのうちの一部の組み合せにより各々が前記レーザ光に光路長差を生じさせる構造を有する複数の基本ブロックを構成し、
前記光路長差は、前記レンズアレイの0次の回折光の回折効率と1次の回折光の回折効率とが略同一となるように設定されている。
第1周期構造を構成するように配列される複数のレンズを備え、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズのうちの一部の組み合せにより各々が前記レーザ光に光路長差を生じさせる構造を有する複数の基本ブロックを構成し、
前記光路長差は、前記レンズアレイの0次の回折光の回折効率が略0となるように設定されている。
図1(A)は、本発明における「映像投影装置」の一態様であるヘッドアップディスプレイの概略構成図である。ヘッドアップディスプレイは、ウィンドシールド25及びダッシュボード29を備える車両の搭乗者に虚像を視認させるシステムであって、主に、光源部1と、スクリーン2と、凹面鏡3と、を備える。
(1)スクリーンの概略構成
図2は、スクリーン2のYZ平面での側面図を示す。図2に示すように、光源1からの光が入射されるスクリーン2の入射面には、Z軸方向の高さが異なるマイクロレンズ21(21H、21L)が交互に並べられたマイクロレンズアレイ20が形成されている。ここで、高段マイクロレンズ21Hは、低段マイクロレンズ21LよりもZ軸での頂点位置が高く、高段マイクロレンズ21Hと低段マイクロレンズ21Lとの間に段差が形成されている。なお、マイクロレンズ21の有効径及び開口数は、高段マイクロレンズ21Hか低段マイクロレンズ21Lかによらずに全て等しい。ここで、図2に示すように、高段マイクロレンズ21Hと低段マイクロレンズ21Lにより形成される凹凸の周期(「凹凸周期PC」とも呼ぶ。)は、マイクロレンズ21の周期(「レンズ周期PL」とも呼ぶ。)の整数倍である2倍となっている。
次に、スクリーン2の各マイクロレンズ21の回折光の光強度分布の例について図4及び図5を参照して説明する。
図4(E)は、マイクロレンズアレイ20に段差Δが設けられていないと仮定した場合のYZ平面での回折光を示す。 マイクロレンズ21のY方向のピッチPLyとビームのY方向における1次回折光の回折角度θyとの関係は、
なお、前記集光角度の全角「2α」および視点位置でのビームサイズ「w」は、幾何光学的に計算されるビームの輪郭から算出してもよいが、レーザビームの強度分布がガウシアン分布をしており、視点位置における光強度分布の半値全幅が幾何光学的に計算されるビームの輪郭より小さい場合、前記集光角度の全角「2α」はレーザビーム強度分布の半値全幅における集光角度の全角、ビームサイズ「w」は視点位置におけるビーム強度分布の半値全幅として考えても良い。
次に、スクリーン2の回折光の回折効率について説明する。図3(B)に示す基本ブロックを有する位相構造を通過した波長λの透過光の回折効率「I(m、n)」は、図3に示すPx、Py、Δを用いて、以下の一般式(13)により表される。
光源部1は、R、G、Bのそれぞれ異なる波長の光を出射するため、RGBのいずれの波長を基準として低段マイクロレンズ21Lと高段マイクロレンズ21Hとの段差Δを設計するかが問題となる。これについて説明する。
[変形例]
次に、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下に示す変形例は、組み合わせて上述の実施例に適用されてもよい。
図3に示すスクリーン2の正面図では、低段マイクロレンズ21Lと高段マイクロレンズ21Hとが1つずつ交互に配置されていた。これに代えて、低段マイクロレンズ21Lと高段マイクロレンズ21Hとが所定個数ずつ交互に配置されていてもよい。
このような課題を考慮し、変形例1では、レンズ周期PLに対して4倍周期となる凹凸周期PCで段差を設け、より多くの回折光を基準面Ptagに敷き詰めることとした。
図10(B)は、マイクロレンズアレイ20に、レンズ周期PLに対して4倍周期となる凹凸周期PCで段差を設けた場合のYZ平面での回折光を示し、図12(A)は、その際の基準面Ptagにおける回折光の光強度分布を示す。この場合、図12(B)に示すように、レンズ周期PLにより発生する互いに隣接した回折光に対して各々発生する凹凸周期PCによる1次回折光の位置をずらすことができる。すなわち、基準面Ptagにおいて、より多くの回折光を敷き詰めることができるため、好ましい。
ここで、レンズ周期PLに対して4倍周期となる凹凸周期PCを設けることが好適な理由について説明する。輝度ムラを低減するには凹凸周期PCによって生じる1次回折光の回折光強度が同一であることが望ましいが、そのためには低段部分と高段部分の面積を同一とすることが好ましい。またここで、凹凸周期PCをレンズ周期PLの奇数倍として設計を行うと、図10(C)に示すように、段差がレンズ面内に入る設計となる。段差を含むレンズでは、段差のダレや製造誤差等により、段差の無いレンズ部との特性に差が出てしまい、それが輝度ムラの原因となるため、好ましくない。すなわち、変形例1の凹凸周期PCは、レンズ周期PLの偶数倍である必要があり、かつ先に述べているように3倍以上である必要があるため、両者の条件を勘案して4倍とすることで、段差がレンズ面内に入ることなく、かつ、凹凸周期PCにより発生する1次回折光が同一位置で重ならないようにすることが可能となる。さらに、凹凸周期PCを6倍や8倍としても同様の効果を得ることができるが、その場合は、図13に示すように、凹凸周期PCにより発生する1次回折光が、レンズ周期PLにより発生する回折光に近接して発生してしまうため、回折光全体でみた場合に、回折の間隔が不均一になってしまう。すなわち、凹凸周期PCの周期はレンズ周期PLの4倍程度が好ましい。
また、段差で発生する光路長差Δは、レンズ周期PLや、光源部1から投影される光の集光角度αの大きさに応じて設計の条件を使い分けることが望ましい。
レンズ周期PLを細かくする必要がある場合や、光源部1から投影される光の集光角度αを比較的小さくする必要がある場合に対しては、段差で発生する光路長差Δを「N±0.377λ」とすること(図6、条件[2]参照)が好適である。この場合、段差周期PCにより発生する0次回折光の回折効率と、1次回折光の個々の回折効率が「0.141」で等しくなるため、0次回折光と4つの1次回折光を利用して、より多くの均一な強度の回折光を敷き詰めることができという点で好ましい。
さらに、レンズ周期PLを比較的粗くできる場合や、光源部1から投影される光の集光角度αを比較的大きくできる場合に対して好適な例が存在する。説明のため、X軸とY軸の交点を原点Oとし、凹凸周期PCにより発生する0次回折光の中心を基準としたときに、(+1、+1)次光および(−1、−1)次光が発生する方向をR軸として設定し、(+1、+1)次光が発生する方向を正とする。同様に、(−1、+1)次光および(+1、−1)次光が発生する方向をS軸として設定し、(−1、+1)次光が発生する方向を正とする。図10(D)は、回折光の最大隙間がゼロとなるように、光源部1の集光角度αを比較的大きく設定した場合におけるRZ平面上での回折光を示し、図14(A)はその際の、視点位置Ptagにおける光強度分布を示す。
図14(B)は、レンズ周期PLによる回折光の1つに対して発生する凹凸周期PCによる4つの1次回折光を示す。図14(B)では、4つの1次回折光に隙間が発生しないよう、R軸、S軸方向に相対する1次回折光が接するようにプロジェクタの集光角度が決められている。このような設計を行うことで、視点位置Ptagにおいて、光が存在しない領域を無くすことができる。
ここで、図14(B)において、4つの1次回折光で形成されるビーム群のR軸、S軸方向における幅が、レンズ周期PLにより発生する回折光サイズに対して、ちょうど2倍になっていることから、
以上の内容は、段差以外の手段で周期構造を適用した場合でも同様である。
(変形例2)
マイクロレンズ21は、2段階にZ軸方向の高さが設定されていた。これに代えて、マイクロレンズ21は、3段階以上にZ軸方向の高さが設定されていてもよい。
(変形例3)
マイクロレンズ21の段差によりレンズ周期PLの整数倍となる凹凸周期PCを設ける代わりに、マイクロレンズ21の曲率半径を異ならせることでレンズ周期PLの整数倍となる凹凸周期PCを設けてもよい。
(変形例4)
マイクロレンズアレイ20に段差を設ける代わりに、曲率の符号が異なる凹レンズと凸レンズをマイクロレンズ21として並べて配置してもよい。
(変形例5)
マイクロレンズアレイ20に対し、レンズ周期PLの整数倍となるような複数の異なる周期構造を付加してもよい。
(変形例6)
マイクロレンズアレイ20は、スクリーン2の入射面に形成されるのに代えて、スクリーン2の入射面と反対側の面に形成されていてもよく、スクリーン2の両面に形成されていてもよい。
(変形例7)
マイクロレンズアレイ20は、図19(A)に示すような、レンズアレイ面の反対側の面に反射膜が施されている反射型レンズアレイであってもよい。
(変形例8)
変形例7の構成では、光がレンズ面を2回通過する。反射型レンズアレイの場合、レンズに対して斜入射で光を入射する場合があり、1回目に光が通過するレンズ面の位置と、反射後に光が通過するレンズ面の位置がずれてしまうことがある。この場合、位置ずれのある2枚のマイクロレンズアレイを通過した場合と同様に、モアレ縞が発生してしまうので、好ましくない。そこで、変形例8では、マイクロレンズアレイ20は、図19(B)に示すように、レンズアレイ面に反射膜が施されており、反対側の面に反射防止膜が施されている構成となっている。この場合、光はレンズ面自体で反射されるため、透過型レンズアレイの場合と同様に、レンズアレイによる周期的な位相変調を1回だけ受けることになる。これにより、変形例7で問題となるモアレ縞の発生を防ぐことができるため、好適である。また、凸凹形状のレンズ面は、付着した汚れを除去することが困難であるが、変形例8の構成では、露出しているレンズ面に汚れ等が付着しても、光に影響を与えることがない。すなわち、レンズアレイ面の汚れによる画質劣化を防ぐことができるので、好適である。
(変形例9)
変形例9では、マイクロレンズアレイ20は、図19(C)に示すように、レンズ面に反射膜が施されており、かつ、レンズ面を光側に配置している。この場合、光がレンズ面内部を通過しないため、材料の吸収による光量の損出や、材料の複屈折や透過率ムラなどに起因する画質の劣化を防ぐことができるため、好適な構成である。さらに、反対側の面に反射防止膜を施す必要がなくなるので、部品のコストを下げることができるため好適である。また、この反対側の面は、レンズアレイの性能に影響を与えないので、光学部品に要求される高い面精度を必要としなくなるため、部品の製造難易度を緩和できるため好ましい。さらに、形状の自由度があるので、周辺の部品形状に合わせた設計も可能となり、部品形状の設計自由度が高くなるため、好ましい。
2 スクリーン
3 凹面鏡
20、20A〜20D マイクロレンズアレイ
21 マイクロレンズ
Claims (11)
- レーザ光が照射されるレンズアレイであって、
第1周期構造を構成するように配列される複数のレンズを備え、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズのうちの一部の組み合せにより各々が前記レーザ光に光路長差を生じさせる構造を有する複数の基本ブロックを構成し、
前記光路長差は、前記レンズアレイの0次の回折光の回折効率と1次の回折光の回折効率とが略同一となるように設定されていることを特徴とするレンズアレイ。 - レーザ光が照射されるレンズアレイであって、
第1周期構造を構成するように配列される複数のレンズを備え、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズのうちの一部の組み合せにより各々が前記レーザ光に光路長差を生じさせる構造を有する複数の基本ブロックを構成し、
前記光路長差は、前記レンズアレイの0次の回折光の回折効率が略0となるように設定されていることを特徴とするレンズアレイ。 - 前記光路長差は、前記レーザ光の波長をλとし、0以上の整数をNとしたとき、
N±0.283λ、あるいは、N±0.377λ
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。 - 前記光路長差は、前記レーザ光の波長をλとし、0以上の整数をNとしたとき、
N±0.5λ
を満たすことを特徴とする請求項2に記載のレンズアレイ。 - 前記整数Nは、0または1であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレンズアレイ。
- 前記複数のレンズは、当該複数のレンズ間で同一の曲率を有し、段差を設けて配置されることにより前記光路長差を生じさせる、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
- 前記レンズアレイの各々レンズの有効径及び開口数は、すべて等しいことを特徴とする請求項6に記載のレンズアレイ。
- 前記複数の基本ブロックの各々は、前記第1周期構造の4倍の第2周期構造を構成するように配列されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
- 前記レンズアレイは、一方の面に反射膜が形成され、他方の面に反射防止膜が形成され、
前記他方の面から入射した前記レーザ光を前記一方の面に形成された前記反射膜で反射することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズアレイ。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを搭載し、
前記レーザ光を画像信号に基づいて変調した合成光を前記レンズアレイ上に走査するように射出する光源部を含み、
前記レンズアレイが生成する中間像の虚像を観察者に視認させるヘッドアップディスプレイ。 - 前記光源部は、異なる波長のレーザ光を射出するレーザ光源を複数有し、
前記光路長差は、前記レーザ光源が射出するレーザ光のうち最も長い第1波長、前記レーザ光源が射出するレーザ光のうち最も視感度の高い第2波長、前記第1波長と前記第2波長の中間の波長である第3波長、のいずれか1つの波長に基づき設定されることを特徴とする請求項10に記載のヘッドアップディスプレイ。
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