JP2020012165A - 水素脆性防止鋼製ワークの製造方法 - Google Patents

水素脆性防止鋼製ワークの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用鋼種製の部材に高い靱性・耐久性を付与して、商品価値を向上させる。【解決手段】炭素量0.25重量%以上の合金鋼からなるワークWを、真空炉1で無炭素・無水素状態で加熱してから、焼入れ室2で油焼入れ又は水焼入れを行い、次いで、焼き戻し炉3で焼き戻す。ワークWは、例えばSUJ、SCM、SKS、SNCMなどが好適である。無水素状態で加熱するために、加熱工程で水素が侵入することはなくて、水素に起因した遅れ破壊は生じず、靱性に優れている。材料は合金鋼であって焼き入れ性に優れているため、必要な硬度は確保できる。従って、汎用鋼種に高い商品価値を付与できる。真空炉1での昇温を窒素ガス充満の下で行うと、酸化・脱炭を防止しつつ早期昇温できる利点がある。焼入れを減圧下で行うと、ワークWを真空炉1から速やかに移動させて、酸化・脱炭を防止した状態で焼入れできる利点がある。【選択図】図1

Description

本願発明は、鋼製ワークを水素脆性が発生しない状態に熱処理して製造する方法(調質方法)に関するものである。
鋼製ワークの熱処理は、硬度アップや靱性の向上、調質、高輝度化など様々な目的で行われている。いずれにしても、加熱装置が必要であり、加熱装置としては、天然ガスやプロパンガスなどの炭化水素ガスを燃料(或いは炭素源)として使用するガス炉(雰囲気炉)や、熱源として電熱ヒータを使用している真空炉やマッフル炉など、複数種類が存在している。
硬度アップにしても調質にしても、加熱工程の後に焼入れ、焼き戻しを行っており、焼入れには、冷却手段として水又は油(すなわち液体)を使用する場合と、窒素ガスや炭酸ガスのようなガスを使用する場合とがある。
硬化や調質のためにワークを熱処理した場合の大きな問題として、水素脆性による遅れ破壊が挙げられる。すなわち、加熱手段や浸炭用炭素源として炭化水素ガスが多用されているが、加熱工程で水素がワークの内部に侵入することによって遅れ破壊が生じるものである。
水素脆性の原因は水素にあるが、水素脆性を引き起こすメカニズムとしては、従来から水素自体が脆性を引き起こすとの考え方が主流であり、そこで、焼き戻し工程などで水素を放散させる対策が採られていたが、残留水素がゼロであっても遅れ破壊の解消には至っていないのが現実であった。
この点について本願発明者たちは、水素脆性の原因は水素自体にあるのではなく、水素が侵入して形成された空孔にあるのではないかと推測し、そして、炭化水素ガスを浸炭炭素源として使用しつつ、ワークへの水素の侵入を防止又は著しく抑制することにより、ワークに空孔が発生することを防止又は著しく抑制した硬度アップ技術を開発し、これを特許文献1において開示した。この特許文献1の技術によると、従来品に比べて非常に高い遅れ破壊防止効果が発揮されており、市場で高い評価を受けるに至っている。
他方、鋼製ワークの熱処理の一分野として調質がある。調質の概念は必ずしも明確でなく、浸炭や浸窒してから焼入れ・焼き戻しする熱処理に調質の用語を用いている文献も見られる。いずれにしても、加熱工程は必須であり、加熱手段としては、一般的に、電気、ガスを加熱源として炭化水素ガスを加熱分解させたガス雰囲気炉が多用されているが、ガスに含まれている水素がワークに侵入して水素脆性の原因になる問題があった。
この点については、加熱手段としてガスを使用せずに無炭素・無水素状態で行えばよいと考えられる。例えば特許文献2には、グラファイトで内張りした炉(マッフル炉)を使用してワークを加熱してから焼入れする熱処理方法が開示されており、調質にこの加熱手段を採用したら、水素脆性が発生しない状態に調質できると推測される。
特開2017−172035号公報 再公表WO2014/007046号公報
さて、鋼材の種類は組成や用途によって様々であるが、機械的性質や熱処理特性には、炭素量と配合元素とが大きく影響している。炭素の添加は硬度を高くすると共に焼入れ性を向上させる性質があり、クロム、マンガン、ボロン、タングステン、ニッケル、チタンなどの元素は、硬度や靱性、強度、耐磨耗性、焼入れ性・焼き戻し性、耐食性能などの様々な性質に影響している。すなわち、炭素の添加だけでは確保できない性能を得るために、改質剤として各種の元素が添加されている。
そして、JISでは炭素量や配合元素などに応じて様々な鋼種を規定しており、ユーザーは用途に応じて鋼種を特定して購入しているが、鋼製ワークの多くには、品質の安定性(すなわち、機械的性質の安定性)が求められている。例えば鋼製の機械部品の場合、硬ければ良いと云うものではなく、装置全体の円滑な動きや耐久性を確保するために、硬度や弾性、耐磨耗性などの機械的性質を均一化して他の部品との調和を確保する必要がある。
そこで、熱処理による調質について見直すと、特に中・高炭素合金鋼製のワークに関しては焼入れ性に優れているため、浸炭や浸窒のような特別の硬化処理を施さなくても、焼入れ・焼き戻しのみで必要な硬度を確保できる場合も多くあり、このようなワークについでは、各工程での品質の安定化が強く要請されると云える。
そこで、更に進んで検討すると、加熱工程での品質の安定化のためには、無炭素・無水素の雰囲気を形成することに加えて、ワークに元から含まれている炭素が放散しないように(脱炭しないように)保持しておくなどの管理が必要であるが、特許文献2のようなグラファイト製の炉では、炉内が大気圧であることも関連して、グラファイトの成分である炭素が炉内に拡散してワークに侵入するおそれ(浸炭してしまうおそれ)があるが、浸炭量はワークによってまちまちで一定しないため、品質を安定化させ難いという問題がある。
また、ガス炉やマッフル炉などの大気炉では、炉内に多くの酸素が残っている可能性があるため、ワークが酸化しやすいという問題もある(鉄分の酸化の問題のみでなく、ワークに含まれている炭素が空気に含まれている酸素と結合して炭酸ガスとなり、ワークから放散して脱炭することによる硬度低下が発生する問題もある。)。
他方、加熱手段として真空炉を使用した場合は、浸炭や酸化・脱炭の問題は生じないが、従来は、真空炉はガス焼入れとセットで使用されているため、焼入れるによる硬度アップが不十分になるおそれがある。
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、水素脆性を防止しつつ品質安定性に優れたワークを得る方法を提供せんとするものである。
本願発明は、請求項1のとおり、炭素を0.25重量%以上含む中炭素又は高炭素でかつ焼入れ性向上のために他の金属元素が含まれている鋼材製ワークを水素脆性が生じない状態に熱処理して製造する方法に関する。
そして、「加熱工程と焼入れ工程と焼き戻し工程とを備えており、前記焼入れ工程は、減圧下で加熱する真空炉を使用して、無炭素・無水素状態で浸窒も行われない雰囲気下でかつ前記ワークから脱炭しない温度域で行われる一方、前記焼入れ工程は油又は水を使用して行われる。
焼入れ性改善のために添加される金属元素は、既述のクロム、マンガン、ボロン、ニッケル、チタンの他に、コバルト、ホウ素、銅、タングステンなどが挙げられるが、その下限量は、ISOの規定に従って定められる。従って、本願発明は、合金鋼のワークを対象にしている。
本願発明は様々な構成を含んでおり、その例を請求項2以下で特定している。このうち請求項2では鋼種を特定している。すなわち、前記ワークは、JISで規定する鋼種のうち、特に好適な素材として、クロムを含むSUJ、クロム及びモリブデンを含むSCM、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウムを含むSKS(工具鋼)、ニッケル及びクロムを含むSNCMのうちのいずれかで製造されている。
請求項3では、鋼種と工程条件とを特定している。すなわち、請求項2において、前記ワークはJISで規定するSUJ2で製造されており、前記加熱工程は主として790〜850℃の温度で行われ、前記焼き戻し工程は150〜650℃で行われるようになっている。
請求項4では、加熱条件を特定している。すなわち、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記ワークを前記真空炉に投入してから、前記真空炉を窒素ガス又は他の不活性ガスで満たして炉内を設定温度まで昇温せしめ、炉内が設定温度に達したら減圧下での加熱に切り換えられるようになっている。不活性ガスとしては、窒素ガスの他にアルゴンガスなども使用可能である。
請求項5では、加熱工程と焼入れ工程との関係を特定している。すなわち、請求項1〜4のうちのいずかにおいて、
前記焼入れ工程は、遮蔽扉付き中継通路を介して前記真空炉と連通した焼入れ室で行われており、前記真空炉による加熱工程の終了後、前記焼入れ室を前記真空炉と略同じ真空度に維持した状態で前記遮蔽扉を空けて前記ワークを焼入れ室に移行し、次いで、前記遮蔽扉を閉じた後、減圧状態に維持された前記焼入れ室において油による焼入れが行われるようになっている。
なお、請求項5では焼入れ方法として油焼入れを特定しているが、本願発明は水焼入れを排除するものではない。ワークの鋼種や形状などの様々の要素を考慮して、水焼入れを採用することは可能である。
本願発明では、加熱炉として真空炉を使用しているため、炉内を炭素が存在しない状態に保持して、浸炭を確実に阻止できる。従って、浸炭・浸窒による変質を防止できると共に、脱炭による変質も生じない。従って、焼入れ性に優れた鋼種の特性を利用して、所望の硬度を得ることができる。また、焼入れは冷却手段として油又は水を使用しているため、急速冷却によってバラ付きのない高い硬度を得ることができると共に、作業性にも優れている。
従って、本願発明では、硬度や各種の機械的性質を揃えて品質安定性に優れた鋼製ワークを、能率良く製造することができる。従って、機械部品などの製法(硬化調質方法)として好適である。なお、真空炉の内面に、他のワークの浸炭工程で発生した煤が付着していることが有り得るが、煤から炭素分子が放散してワークに侵入することは実質的には皆無と云えるので、真空炉が浸炭の用途に使用されていても、本願発明の効果には影響はない。
鋼材は様々な種類があるが、焼入れ特定や用途を考慮すると、ワークの鋼種としては、請求項2で特定したSUJ、SCM、SKS、SNCMのうちのいずれかが好適であると云える。加熱温度及び加熱時間を鋼種によって設定したらよいが、請求項3で特定した温度域と時間域とが好適である。
JISでは、焼入れ特性に優れていて軸受けなどの機械部品に好適な鋼種としてSUJ2〜5を規定しており、このうちSUJ2は安価で多用されている汎用鋼種であるが、請求項3のように本願発明を適用することにより、ワークの品質を高めて商品価値を大きく向上できる。
真空炉を使用した加熱工程において、ワークを真空炉に投入して密閉してから加熱と同時に減圧を行うことも可能ではあるが、この場合は、炉内での流体の対流がないため昇温速度が遅くてワークの加熱効率が良くないという問題がある。さりとて、炉内を空気で満たして昇温させると、高熱効率は良くなるが、酸化や脱炭という別の問題が現れる。
これに対して、請求項4のように炉内を不活性ガスで満たして昇温させると、炉内で対流する不活性ガスによって、ワークを酸化・脱炭させることなく所定の加熱温度に速やかに昇温させることができる。従って、熱処理の品質を確保しつつ、処理能率を向上できる。
液体を使用した焼入れは、ガス焼入れに比べて処理時間の短縮や硬度アップなどの利点があり、特に、油焼入れは、割れを防止して品質を安定化できる利点がある。そして、その利点をしっかりと確保するには、真空炉から取り出したワークをできるだけ早く油槽に投入する必要がある。
この場合、焼入れ室を大気圧として、真空炉を大気圧に減圧してからワークを焼入れ室に移動させることが考えられるが、この場合は、ワークが空気に触れるため、酸化・脱炭が発生するおそれがある。他方、真空炉及び焼入れ室を窒素ガス等の不活性ガスで満たしてからワークを移動させることも考えられが、これは処理時間が長くなるため、ワークの温度低下によって焼入れ性が悪くなるおそれがある。
これに対して請求項5のように、焼入れ室を減圧して真空炉から焼入れ室にワークを移動させると、ワークを、温度低下や酸化・脱炭を生じることなく速やかに油槽に浸漬できるため、所望の硬度に保持されたワークを提供できる。すなわち、高品質の熱処理を提供できる。
本願発明の実施に使用する装置の模式図である。 昇温温度の水素拡散量との関係を示すグラフであり、(B)は(A)の縦軸を大きくとった部分拡大図である。 焼き戻し後の硬度と残留オーステナイト量との関係を示すグラフである。 (A)は焼き戻し温度と圧痕の深さとの関係を示すグラフ、(B)(C)は圧痕深さ検査方法を示す図である。
(1).実施装置
次に、図面を参照しつつ本願発明の実施形態を説明する。まず、本願発明を実施するための熱処理設備を、図1を参照して説明する。
熱処理設備は従来と同様のものであり、主要要素として、真空炉1とこれに併設した焼入れ室2、及び、焼き戻し炉3とを備えている。焼き戻し炉3は焼入れ室2に併設していてもよいし、分離していてもよい。なお、焼き戻し工程を真空炉1で行うことも可能である。
真空炉1には、外部に開口したワーク投入口4と、焼入れ室2と連通した中継通路5とが形成されており、両者は扉6,7で覆われている。焼入れ室2には、扉9を備えた出口8が設けられている。また、焼入れ室2には油槽10を設けており、油槽10で焼入れされたワークは、焼入れ室2の内部又は外部に設けた設備で油切りされてから、焼き戻し炉3に投入される。焼き戻し炉3は、ガス加熱式大気炉などの従来のものでよい。
真空炉1は浸炭にも使用されるものであり、炭化水素ガス導入口15と窒素ガス導入口16とが開口しており、炭化水素ガス導入口15には第1管路17を介して炭化水素ガスボンベ18が接続されて、窒素ガス導入口16には、第2管路19を介して窒素ガスボンベ20が接続されている。炭化水素ガスは、一般にアセチレンが使用される。
敢えて述べるまでもないが、炭化水素ガスは浸炭処理の場合に使用するものであり、本実施形態では使用しない。本願発明の専用の真空炉の場合は、炭化水素ガスボンベ18も炭化水素ガス導入口15も不要である。
真空炉1にはガス排出口21が開口しており、ガス排出口21には、真空ポンプ22で真空引きされる真空管路23が接続されている。真空管路23は焼入れ室2にも接続されている。真空炉1の内部には多数の電熱式ヒータ24を配置しており、各ヒータ24は電源25に接続されている。
真空管路23のうち真空炉1に近い部位にはバイパス管路26を設けており、バイパス管路26に水素濃度センサ27を設けている。水素濃度センサ27は浸炭焼入れ工程で必須のセンサであり、本実施形態では必要はないが、真空炉1の内部が無水素状態であることを確認するために使用することは可能である。真空炉1には、温度センサ28や酸素濃度センサ29を設けている。温度センサ28は本実施形態の制御に必要であるが、酸素濃度センサ29は必ずしも必要ではない。
更に、熱処理設備は、制御装置(制御手段)30を有している。制御装置30により、各管路17,19,23に設けたバルブ31の開閉が制御される。また、制御装置30には、ヒータ電源25,各センサ27,28,29などが電気的に接続されている。
(2).熱処理工程
ワークWは、真空炉1を使用した加熱工程、焼入れ室2を使用した焼入れ工程、焼き戻し炉3を使用した焼き戻し工程を経て、硬化及び調質の処理が施される。加熱工程は、例えば、設定温度(850℃)まで昇温してから所定時間継続して加熱する。加熱温度は鋼種によって定まっており、また、加熱時間はワークの厚さや形状、1バッチの処理量などによって大きく相違する。
加熱工程において真空炉1の内部を昇温させる必要があるが、昇温工程では、真空炉1の内部に窒素ガス導入口16から窒素を導入して、真空炉1の内部を窒素ガスを満たした状態で行う。従って、昇温工程で真空炉1は減圧されていない。なお、窒素ガスの熱膨張によって真空炉1の内部は大気圧よりも高い正圧になるが、ガス排出口21を大気に開放しつつ、窒素ガス導入口16から窒素を僅かに導入することにより、真空炉1の内部を所定の圧力に保持することも可能である。
なお、真空炉1を使用した熱処理はバッチ処理になるが、浸炭や浸窒も含めた熱処理を断続的に行う場合、2回目以降の熱処理時には真空炉1の内部は余熱で昇温しているので、昇温時間も個々のバッチ処理において相違することが多いといえる。
昇温工程で真空炉1の内部が窒素ガスで満たされているため、真空炉1の内部で高温に加熱された窒素ガスの対流が発生して、炉内を早期昇温できる。そして、真空炉1の内部は不活性ガスである窒素で満たされていて酸素は存在しないため、昇温工程での酸化や脱炭は生じない。炉内が設定温度(例えば850℃)に達したら、真空ポンプ22を駆動して窒素ガスを排出すると共に真空炉1の内部を減圧し、定常的な加熱に移行する。従って、減圧下での定常的な加熱は、輻射熱による加熱になる。
特許文献1で開示したように、浸炭は、例えば4〜10torrで行えるが、本実施形態では炭化水素ガスや窒素ガスは存在しないため、炉のガスの分圧はゼロになる(厳密には、極めて微量なガスが残っているが、それは無視できる量である。)。したがって、真空度は浸炭の場合よりも高くなっている。
真空炉1による加熱工程を終えるのに先立って、焼入れ室2を減圧し、真空炉1と同じ真空度に設定する。そして、加熱工程が終了したら、中継通路5の扉7を開いて、図示しない搬送装置によってワークWを焼入れ室2に移し変えて、それから中継通路5の扉7を閉じてワークWを油槽13に浸漬して焼入れする。従って、ワークWが焼入れ室2において空気には触れることはなく、酸化したり脱炭したりすることはない。
その後、油槽13から引き上げて油切り(洗浄・乾燥)し、それから焼き戻し炉3を使用して焼き戻す。焼き入れ油の温度は例えば80℃として、焼き戻しの温度と時間は鋼種や厚さや大きさなどの諸要素を考慮して定められるが、例えば200〜300℃で2時間とすることができる。
油槽10の油に水分が含まれていると、焼入れ室2が減圧されることで水分は蒸発しやすい状態になっている。従って、ワークWの浸漬によって水分が気化膨張して蒸発することが有り得るが、油は炭素と水素の高分子化合物であり、油自体が気化膨張することはないため、水分の気化膨張の現象があってもごく僅かであり、油が周囲に飛散するような不具合は生じない。また、焼入れ工程もバッチ処理として行われているため、油に水分が含まれていても、最初の工程において飛散・消滅してしまい、後続の工程で気化膨張の現象が現れることはない。なお、油槽13には、水冷式等の冷却装置を設けている。
(3).実施例の評価
次に、図2以下に示す実施例の試験結果を説明する。実施例は、軸受け多用されているSUJ2を使用した。図2は、加熱温度と水素放出量との関係を示すグラフであり、実施例は真空炉1を使用して、850℃で40分加熱しており、比較例は、プロパンを使用したガス炉雰囲気炉を使用して、850℃で40分加熱した後、油焼入れを行った。そして、自然冷却させて常温まで温度を硬化させてから、100℃/hの昇温速度で600度まで昇温し、水素放出量を測定した。
図2のうち(A)では、実施例と生材とは殆どゼロとして重なっているため、図2(B)では、0.005ppm/minの範囲を拡大して表示している。図2(A)及び(B)とも、実施例及び生材の線は0よりも僅かに上に位置しているが、これは線を明示するための措置であり、実際には、横軸に近接してこれと平行になっている部分は、実質的に0になっている。
この図2から、比較例は大量の水素を吸蔵しているのに対して、本願実施例は、生材と同様に、実質的には水素吸蔵が皆無といっても差し支えない。従って、水素が鋼中に侵入して空孔を形成する現象は生じていない。
図2(B)において、実施例は、実質的に水素放出量は0で推移しているのに対して、生材は、500℃よりも少し低い温度域からごく僅かながら水素が放出される現象が見られる。この理由は明確でないが、実施例では、製鋼中に含まれていた水素が加熱工程で放散してしまっているのに対して、生材は、製鋼中に含まれていた水素が500℃付近からの鋼組織変化によって放出されているためと推測される。
図3では、焼き戻し後の硬度(HRC)と残留オーステナイト量(γ)との関係を示している(なお、硬度及び残留オーステナイト量の計測とも、焼き戻しを行って常温に低下した試料について行っている。)。鋼が焼入れによって硬くなるのは、大まかには、鋼の組織がオーステナイト組織に移行してからマルテンサイト組織に変化する現象であるので、硬度と残留オーステナイト量とは正の相関関係がある。また、焼き戻し温度が高いと組織が戻る現象は高くなるので、硬度及び残留オーステナイト量とは、温度が高くなると硬度及び残留オーステナイト量は低下する。
実施例及び比較例とも、焼入れ・焼き戻しの原理に則って、基本的には、温度が高くなると硬度及び残留オーステナイト量は低下しているが、第1の特徴として、実施例の硬度は比較例より常に低い点が挙げられる。また、第2の特徴として、残留オーステナイト量について、比較例は傾きの変化はあるものの一貫して低下しているのに対して、実施例では、260℃程度までは比較例よりも低い範囲で低下して、260℃程度を1つの下ピークとして上昇に転じ、280℃程度を上ピークとして低下に転じ、270℃程度からは、実施例の残留オーステナイト量が比較例よりも上回っている点が挙げられる。
つまり、比較例は、硬度と残留オーステナイト量とが単純な正の相関関係にあり、両者は温度が高くなると単純に低下しているのに対して、実施例では、硬度は温度の正関数として単純に低下しているのに対して、残留オーステナイト量はいったん上昇に転じる範囲があり、硬度は残留オーステナイト量とに不整合が見られる。
実施例の硬度が比較例に比べて常に低いのは、比較例は加熱によって浸炭が生じているのに対して、実施例は浸炭が生じていないことに起因していると解され、また、残留オーステナイト量に関して、傾向として実施例が比較例よりも少ないことも、浸炭の有無に起因していると解される。しかし、実施例において、焼き戻し温度が高くなっても残留オーステナイト量が増加する領域がなぜ存在するのか、その理由は明確でない。この点は、今後の課題として解明していきたい。
図4では、試料33に鋼球34を押し付けて圧痕を形成し、塑性変形後の凹所の最大高さHの高さを、焼き戻し温度を変えて測定した。従って、ロックウエル硬さに類似している。
試料33は、外径が20mmで厚さは10mmであり、鋼球34は、試料33と同じ材質のSUJ2で、外径は19.05mmのものを使用した。押圧荷重(最大接触面圧)は3.8GPaであり、最大荷重での押圧保持時間は10秒であった。試験は、等距離で離れた3箇所について行い、3か所の平均値を試験値とした。
図4(A)から、比較例及び実施例とも、250〜260℃程度で圧痕深さが下限のピークになっていることが判る。この傾向は、図3において実施例の残留オーステナイト量が260℃程度から上昇に転じていることと整合していると解されるが、比較例において残留オーステナイト量が一貫して低下していることとは整合しておらず、硬度や残留オーステナイト量とは別の要因が作用していることも考えられる。
また、実施例は、比較例2よりは常に圧痕深さは高くなっており、比較例1と比べると、220℃程度よりも低い焼き戻し温度域では圧痕深さが浅くなっているが、傾向としては、比較例よりも圧痕深さが深いといえる。このことは、実施例が比較例よりも柔らかいことを意味しているが、図4(A)から、圧痕深さと温度変化との関係が安定していることを読み取ることができる。これは、浸炭・脱炭がなくて、組織が安定しているためと解される。
比較例2は、温度変化に対する圧痕深さの変化率が大きくて、いわば、数値が暴れているが、これも、加熱工程で生じた浸炭が影響しているのではないかと推測される。
いずれにしても、実施例は、ガス雰囲気炉を使用した比較例に対して、水素が混入していないために水素脆性の問題は生じないといえる。また、実施例は比較例に比べて硬度は少し低いが、製品として必要な硬度を保持しておれば実用上の問題はないし、また、硬度が低いのは靱性に優れていることを意味しているから、耐久性にも優れている。
図3のロックウエル硬さ(HRC)及び図4の圧痕深さは、軸受けの構成部材(ボール・コロ・インナーレース・アウターレース)やギアのように、加圧力が作用する部材において重要な評価要素であるが、本願発明の実施物は、水素に起因した遅れ破壊は生じないため、極めて高い耐久性を確保できるといえる。従って、軸受鋼のように焼入れ可能な汎用鋼種から成る部材に、高い商品価値を付与できるといえる。
また、エンジンの構成部材や変速機など、使用状態で昇温する鋼製部材は多く存在するが、使用状態で250〜260℃になるような部品の場合、図4(A)の結果を利用して、焼き戻し温度を250〜260℃程度に設定しておくと、変形を最小限度に抑制しつつ、遅れ破壊をしっかりと防止して高い耐久性を確保することができる。
特に、繰り返し荷重や交番荷重が作用する部材、負荷変動が大きい部材、或いは、ボルトのように常に荷重(負荷)が作用し続けている部材などは遅れ破壊が大きな問題になるが、本願発明を適用した部材を使用することにより、品質の安定性や耐久性を格段に向上させて、商品価値を大きく向上できるといえる。
鋼製部材に作用する外力は様々であり、部材に要求される強度して、圧縮強度の他に、引っ張り強度、曲げ強度、剪断強度などが挙げられるが、本願発明の実施品は、靱性に優れているため、例えば引っ張り強度においては、降伏点を上にシフトさせる効果が期待される。
本願発明のワークは、ギアや軸受け部材のように完成品の形態を成している場合と、後加工が成される中間品とのいずれも含んでいる。また、本願発明は、後工程として他の熱処理を行うことを否定するものではない。例えば、本願発明で熱処理したワークを、特許文献1の方法で更に浸炭又は浸窒若しくは浸炭浸窒してから焼入れすることにより、水素脆性を防止しつつ表面硬度を高くすることが可能である。
本願発明は、実際に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 真空炉
2 焼入れ室
3 焼き戻し炉
4 真空炉のワーク投入口
5 真空炉のワーク出口
8 中継通路
13 油槽
16 窒素ガス導入口
18 水素濃度センサ
20 窒素ガスボンベ
22 真空ポンプ
30 制御装置

Claims (5)

  1. 炭素を0.25重量%以上含む中炭素又は高炭素でかつ焼入れ性向上のために他の金属元素が含まれている鋼材製ワークを水素脆性が生じない状態に熱処理して製造する方法であって、
    加熱工程と焼入れ工程と焼き戻し工程とを備えており、
    前記焼入れ工程は、減圧下で加熱する真空炉を使用して、無炭素・無水素状態で浸窒も行われない雰囲気下でかつ前記ワークから脱炭しない温度域で行われる一方、
    前記焼入れ工程は油又は水を使用して行われる、
    水素脆性防止鋼製ワークの製造方法。
  2. 前記ワークは、JISで規定するSUJ2、SCM、SKS、SNCMのうちのいずれかで製造されている、
    請求項1に記載した水素脆性がない鋼製ワークの製造方法。
  3. 前記ワークはJISで規定するSUJ2で製造されており、前記加熱工程は主として790〜850℃の温度で行われて、前記焼入れは油を使用して行われており、かつ、前記焼き戻し工程は150〜650℃で行われる、
    請求項2に記載した水素脆性防止鋼製ワークの製造方法。
  4. 前記ワークを前記真空炉に投入してから、前記真空炉を窒素ガス又は他の不活性ガスで満たして炉内を設定温度まで昇温せしめ、炉内が設定温度に達したら減圧下での加熱に切り換えられる、
    請求項1〜3のうちのいずれかに記載した水素脆性防止鋼製ワークの製造方法。
  5. 前記焼入れ工程は、遮蔽扉付き中継通路を介して前記真空炉と連通した焼入れ室で行われており、
    前記真空炉による加熱工程の終了後、前記焼入れ室を前記真空炉と略同じ真空度に維持した状態で前記遮蔽扉を空けて前記ワークを焼入れ室に移行し、次いで、前記遮蔽扉を閉じた後、減圧状態に維持された前記焼入れ室において油による焼入れが行われる、
    請求項1〜4のうちのいずれかに記載した水素脆性防止鋼製ワークの製造方法。
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