JP2020012047A - 粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、高温高湿条件下においても優れた基材密着性を発揮し得る粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
アクリル共重合体はアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有し、
アクリル共重合体の全質量に対して、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が50〜90質量%であり、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜35質量%であり、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜15質量%であり、
粘着剤層の全質量に対して、熱硬化型架橋剤の含有量が0.1質量%以下である、粘着シート。
[2] 粘着剤層のゲル分率が5質量%以下である[1]に記載の粘着シート。
[3] 粘着剤層は、自己開裂型光重合開始剤をさらに含む[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 粘着剤層は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体及び分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体をさらに含む[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 粘着剤層における多官能単量体の含有量は、アクリル共重合体100質量部に対して、5〜40質量部である[4]に記載の粘着シート。
[6] 粘着剤層における単官能単量体の含有量は、アクリル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部である[4]又は[5]記載の粘着シート。
[7] 単官能単量体が、アルキル(メタ)アクリレートである[4]〜[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] アクリル共重合体は、窒素含有単量体に由来する単位をさらに含む[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シート。
[9] アクリル共重合体におけるカルボキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、0.1質量%以下である[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着シート。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の粘着シートの両表面に剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを備える剥離シート付き粘着シート。
[11] [3]〜[9]のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することで硬化させた粘着剤層と、硬化後の粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体と、を備える積層体。
[12] [3]〜[9]のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層を被着体に貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”は同義であり、“重合体”と“ポリマー”は同義である。
本発明の粘着シートは、アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する。ここで、アクリル共重合体はアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有する。アクリル共重合体の全質量に対して、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は50〜90質量%であり、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は5〜35質量%であり、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜15質量%である。そして、粘着剤層の全質量に対して、熱硬化型架橋剤の含有量は、0.1質量%以下である。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、粘着シートは、片面に基材(好ましくは透明基材)を備えた片面粘着シートでも、両面粘着シートでもよい。両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シート、支持体の片面に粘着剤層が積層し、他方の面に他の粘着剤層が積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。支持体としては、透明基材と同様に光学分野に用いられる一般的なフィルムを用いることができる。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有し、この粘着剤層は後硬化性を有していることが好ましい。後硬化性を有する粘着シートは、粘着剤層を被着体に貼合させた後に硬化する性質を有している。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着シートの採取質量)×100・・・式1
アクリル共重合体は、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有する。本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。なお、アクリル共重合体は、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。
アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートは、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートである。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルコキシ基の炭素数が1〜12であり、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数が1〜18であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルコキシ基の炭素数は1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1もしくは2であることが特に好ましい。また、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜4であることが一層好ましく、1〜3であることが特に好ましい。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及び8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種は好ましく用いられる。
アクリル共重合体は、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有する。メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
アクリル共重合体は、窒素含有単量体に由来する単位をさらに含んでいることが好ましい。中でも、アクリル共重合体は、アミノ基及びアミド基から選択される少なくとも1種を有する(メタ)アクリレートに由来する単位をさらに含んでいることが好ましい。
アクリル共重合体の重量平均分子量は、10万〜200万が好ましく、20万〜150万がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、粘着シートが後硬化した際に高硬度となりやすく、加工性に優れる。重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。アクリル共重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体を含有することが好ましい。多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上有するものであり、中でも、多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上5つ未満有するものであることが好ましく、2つ以上4つ未満有するものであることがより好ましい。
多官能単量体は、1分子中にアルキレングリコール基を1つ有するものであってもよく、2つ以上有するものであってもよい。多官能単量体1分子中におけるアルキレングリコール基の数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体を含有することが好ましい。単官能単量体を重合した場合のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は50℃以上200℃未満であることが好ましい。
粘着剤層は、自己開裂型光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。粘着剤層が自己開裂型光重合開始剤を含むことにより、活性エネルギー線を照射することで上述した多官能単量体や単官能単量体が重合し、後硬化性を付与することが可能となる。
ここで、「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184として市販)等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド系開始剤として具体的には、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)製、IRGACURE819として市販)等が挙げられる。
粘着剤層においては、熱硬化型架橋剤の含有量は、粘着剤層の全質量に対して、0.1質量%以下であればよい。これは、粘着剤層が実質的に熱硬化型架橋剤を含有しないことを意味する。すなわち、粘着剤層においては、熱硬化型架橋剤の含有量は、粘着剤層の全質量に対して、0質量%であることがより好ましい。なお、熱硬化型架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤が挙げられる。
粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。なお、粘着剤組成物中の溶剤の一部は、粘着剤層にも残留する場合があってもよい。
粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい。
可塑剤としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾリアゾール系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、後硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
本発明の粘着シートの製造方法は、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程を含むことが好ましい。ここで、粘着剤組成物は、アクリル共重合体を含み、アクリル共重合体の全質量に対して、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が50〜90質量%であり、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜35質量%であり、メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜15質量%である。なお、粘着剤組成物における熱硬化型架橋剤の含有量は0.1質量%以下である。
本発明の粘着シートの使用方法においては、粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させることが好ましい。粘着シートが後硬化性を有している場合は、粘着剤層が未硬化状態のときに被着体と貼合し、例えば活性エネルギー線を照射するなどして粘着剤層を硬化させることが好ましい。
本発明の粘着シートは、高温高湿条件下においても耐久性が必要とされる光学部材、特に形状が複雑で積層体になってからの打抜き加工や切削加工が必要な用途に好ましく用いられる。
本発明は、上述した粘着シートと被着体を有する積層体に関するものでもある。粘着剤層が、例えば、多官能単量体、単官能単量体および自己開裂型光重合開始剤を含む両面粘着シートである場合、積層体は、2つの被着体を未硬化状態の粘着シートで貼合した状態で活性エネルギー線を照射することで、硬化することで形成されるものであることが好ましい。ここで、被着体は、基材および光学部材であることがより好ましく、ポリカーボネート基材、偏光板、透明フィルム、透明樹脂またはガラスであることが特に好ましい。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
粘着剤層が、例えば、多官能単量体、単官能単量および自己開裂型光重合開始剤を含むものである場合、積層体の製造方法は、上述した粘着シートの粘着剤層を被着体に対して未硬化状態で貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化させる工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘着剤層は未硬化状態であることから、基材への初期密着性が良好となる。このように、粘着シートを被着体に貼合した後、粘着剤層を活性エネルギー線で後硬化させることで、粘着剤層の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。また、後硬化した粘着剤層は基材が変形したり、歪んだりすることを防止できる。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
紫外線の照射出力は、積算光量が100〜10000mJ/cm2となるようにすることが好ましく、500〜5000mJ/cm2となるようにすることがより好ましい。
<アクリル共重合体(A−1)の合成>
アクリル共重合体(A−1)を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。2−メトキシエチルアクリレートモノマー(MEA)、2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びブチルアクリレート(BA)を質量比で70:10:10:5:5となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、固形分濃度が35質量%、23℃における溶液粘度が2000mPa・sのアクリル共重合体溶液(A−1)を得た。
アクリル共重合体溶液(A−1)100質量部に対して、多官能単量体として、ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成(株)社製、アロニックス M211B)を15質量部、単官能単量体としてイソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業社製、IBXA、Tg=97℃)を15質量部、自己開裂型光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184)を0.7質量部添加し、固形分濃度が40質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して粘着剤組成物を得た。
この粘着シートの片面に第1の剥離シートより剥離性の高い離型処理が施された第2の剥離シート(軽セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製)を貼り合わせ、剥離シート付きの粘着シートである実施例1の粘着シートを得た。
多官能単量体の添加量を20質量部、単官能単量体の添加量を10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2の粘着シートを得た。
多官能単量体、単官能単量体及び自己開裂型光重合開始剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして実施例3の粘着シートを得た。
アクリル共重合体溶液(A−1)100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)0.5質量部をさらに配合した以外は実施例1と同様にして比較例1の粘着シートを得た。
アクリル共重合体溶液(A−1)の代わりに、以下のようにして作製したアクリル共重合体溶液(A−2)を使用した以外は比較例1と同様にして比較例2の粘着シートを得た。
アクリル共重合体(A−2)を、酢酸エチル中での溶液重合により作製した。2−ヒドロキシエチルアクリレートモノマー(2HEA)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)及びブチルアクリレート(BA)を質量比で5:20:75となるように配合し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、固形分濃度が35質量%、23℃における溶液粘度が2500mPa・sのアクリル共重合体溶液(A−2)を得た。
<ゲル分率>
実施例及び比較例で得た粘着シート(粘着剤層)を100mm×60mmとなるようにカットし、硬化前の測定用サンプルを作製した。
粘着シート(粘着剤層)を100mm×60mmとなるようにカットし、重セパレータフィルムである第1の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、後硬化後の測定用サンプルを作製した。
各測定用サンプルの粘着シート約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥質量(g)を測定した。得られた乾燥質量から下記式1によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着シートの採取質量)×100・・・式1
粘着シートの軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、厚み25μmのPETフィルムに貼合した。
次に重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、PC板に貼着した。PET/粘着剤層/PCの構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、PETフィルム側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、試験サンプルを得た。次いで、試験サンプルの端部をギロチン断裁機を用いてカットし、カット端部をPC板側から手でPETフィルムを剥がすようにこすった。その際の剥がれ距離を測定した。
剥がれ距離が0.05mm未満・・・◎
剥がれ距離が0.05mm以上0.1mm未満・・・〇
剥がれ距離が0.1mm以上・・・×
基材密着性は、85℃、相対湿度10%以下の環境下、もしくは85℃、相対湿度85%の環境下における定荷重剥離距離を測定することで評価した。具体的には、第2の剥離シートである軽剥離セパレーターを剥がして、剥がしたセパレーターの代わりにトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、フジタックTD60UL 厚み60μm)をハンドローラーを用いて貼合し、積層フィルムを作製した。この積層フィルムを幅25mm、長さ100mmの大きさにカットし、第1の剥離シートを剥がした。次いで、露出した幅25mm、長さ100mm粘着面のうち幅25mm、長さ75mmの領域を被着体(ハードコート層付ポリカーボネート板:三菱ガス化学社製、ユーピロンMR58 厚み1mm)のハードコート面側に2kgの圧着ローラーを用いて貼り付けた。この状態で、40℃、5気圧の条件のオートクレーブ内に30分間保持させてPC板に密着させた後、トリアセチルセルロースフィルム側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射し、試験片を作製した。同様にして試験片を作製し、2つ(1組)の試験片を作製した。
この2つの試験片を各々、85℃、相対湿度10%以下の環境下、もしくは、85℃、相対湿度85%の環境下で24時間放置した後、85℃、相対湿度10%以下の環境下、もしくは、85℃、相対湿度85%の環境下で図1のように、粘着シート1とトリアセチルセルロースフィルム30からなる積層フィルムの非貼合領域(幅25mm、長さ25mm)の長さ方向端部に100gの錘34を吊るし、被着体32の平面に対して90°の方向に100gの荷重を加え、その状態で5分放置した。その間に積層フィルムが剥離した箇所の長さL(定荷重剥離距離)を測定した。
○:定荷重剥離距離が20mm以下である。
×:定荷重剥離距離が20mmを超える。
IBXA:イソボルニルアクリレート
一方、比較例の粘着シートは高温高湿条件下における基材密着性が劣っていた。
11 粘着剤層
12a 透明基材または剥離シート
12b 剥離シート
20 積層体
21 粘着シート
22 基材
24 光学部材
27a、27b、27c、27d 段差部
30 トリアセチルセルロースフィルム
32 被着体
34 錘
L 定荷重剥離距離
Claims (12)
- アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記アクリル共重合体はアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位、及びメチル(メタ)アクリレートに由来する単位を含有し、
前記アクリル共重合体の全質量に対して、前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が50〜90質量%であり、前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜35質量%であり、前記メチル(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量が5〜15質量%であり、
前記粘着剤層の全質量に対して、熱硬化型架橋剤の含有量が0.1質量%以下である、粘着シート。 - 前記粘着剤層のゲル分率が5質量%以下である請求項1に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層は、自己開裂型光重合開始剤をさらに含む請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体及び分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層における前記多官能単量体の含有量は、前記アクリル共重合体100質量部に対して、5〜40質量部である請求項4に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層における前記単官能単量体の含有量は、前記アクリル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部である請求項4又は5記載の粘着シート。
- 前記単官能単量体が、アルキル(メタ)アクリレートである請求項4〜6のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記アクリル共重合体は、窒素含有単量体に由来する単位をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記アクリル共重合体におけるカルボキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位の含有量は、前記アクリル共重合体の全質量に対して、0.1質量%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘着シートの両表面に剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを備える剥離シート付き粘着シート。
- 請求項3〜9のいずれか1項に記載の粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することで硬化させた粘着剤層と、硬化後の粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体と、を備える積層体。
- 請求項3〜9のいずれか1項に記載の粘着シートの粘着剤層を被着体に貼合した後、活性エネルギー線を照射して前記粘着剤層を硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
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