以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の適用対象となる手持式作業機の一例として、刈払機を例示して説明する。刈払機の操作部の一例は、本願の出願人の出願に係る特開2006−291772号公報に、ハンドレバー装置10として詳しく説明されている。そこで、前記公開公報の一部をほぼそのまま引用する形で、ハンドレバー装置を備える刈払機について説明する。
図1の刈払機1は、所定間隔をあけてグリップ部11,12が並設された筒状のバーハンドル(操作桿)7の先端(前端)側に、工具としての刈刃13や安全カバー14等からなる作業部3が設けられ、後端側には、刈刃13をバーハンドル7に内挿されたドライブシャフト8(連結部材)を介して駆動する動力源としての、リコイルスタータ6や燃料タンク4が付設された内燃機関(小型空冷2サイクルガソリンエンジン)2が配備されており、この内燃機関2に、スロットル弁CVを有する気化器71(図12参照)や点火プラグ5を含む点火装置72(図12参照)が備えられている。
本実施形態では、スロットル弁CVは、気化器71側の戻しばね(図示せず)により常時最小(アイドル回転)開度方向に付勢されていて、スロットル弁CVには後述のスロットル(インナー)ケーブル17(図2、図4等を参照)が接続されている。
そして、グリップ部11,12のうちの、通常は作業者が右手で握る後側のグリップ部11に、スロットル弁CVの開度を調整すべく、ハンドレバー装置10が配設されている。
ハンドレバー装置10は、図2及び図3にその外観が示されている如くに、バーハンドル7のグリップ部11の前端近傍に外嵌固定された操作部ケース20を有し、この操作部ケース20に、スロットル弁CVに連結されたボーデンケーブル15のアウターチューブ16に挿通されたスロットルケーブル17を引っ張り操作する、メインレバー30が回動可能に保持されている。操作部ケース20は、合成樹脂製の右側カバーケース21と左側カバーケース22からなる二分割構造となっている。
右側カバーケース21及び左側カバーケース22は、それぞれ片面が開口した深さの異なる概略角皿状の外観を有しており、それらは、それぞれ上下二箇所ずつ計四箇所に挿入螺合せしめられたビス24,24,24,24により、バーハンドル7を左右から挟むように外嵌固定されている。
操作部ケース20に揺動自在に保持されたメインレバー30は、図3、図4、図6に示される如くに、右側カバーケース21の内面に設けられた凸部27(図7参照)から左方向に水平に突出する円筒状の支軸26に回動自在に外嵌されたボス部31と、このボス部31に連なり、平面視(図7)で左側に傾斜ないし湾曲せしめられた傾斜湾曲部32と、この傾斜湾曲部32に連なり、手指で握り操作される、直線状にグリップ部11の下側に沿って後方へ伸びる握り操作部33と、ボス部31に基端側が連結されて斜め上に伸びる半円弧状の揺動レバー部34と、からなっており、ボス部31は、バーハンドル7の中心軸線Caより平面視で右側に偏って配置され、握り操作部33は、中心軸線Caより左側に偏って配在されている。
また、揺動レバー部34の上部には、後述の引張レバー40を揺動させるべく前方に突出するカム状押動部34aと、握り操作部33が握り状態から解放され、後述する復帰用ねじりコイルばね36の付勢力によってメインレバー30全体が揺動せしめられるとき、図8、図10に示される解放位置Fにてその所定角度以上の揺動を停止させるべく、右側カバーケース21に設けられたストッパ部29に接当係止される後方突出係止部34bと、が設けられている。
また、右側カバーケース21に設けられた支軸26の自由端(左)側は、左側カバーケース22に設けられた凸部28の挿入穴28aに嵌挿され、この支軸26には左右のカバーケース21,22を結合するためのビスの内の一本24が、左側カバーケース22の外側からねじ込まれている。メインレバー30は、そのボス部31の左端面が前記凸部28に対接せしめられ、右端面が凸部27に対接せしめられ、支軸26の中心軸線である第一回動軸線Oaを支点として揺動操作されるようになっている。また、メインレバー30のボス部31の右端小径部31aには、メインレバー30を解放位置Fに向けて付勢する復帰用ねじりコイルばね36が外嵌されている。このねじりコイルばね36の一端部36aはメインレバー30に設けられた係止部30a(図4参照)に係止され、他端部36bは右側カバーケース22の内面に係止されている。
なお、ねじりコイルばね36による付勢力は、作業中にメインレバー30を握り続ける手指に負担を掛けない、必要最低限のものとすると好適である。
グリップ部11には、その下面側における、前面視でバーハンドル7の中心軸線Caより右側に断面外形が概略「し」字状の膨出部11cが長手方向に沿って設けられるとともに、その膨出部11cの左隣りに、左面側と下面側が開口した断面横倒しL形状のレバー受け部11dが形成されており、メインレバー30が握られて揺動操作されたとき、その握り操作部33がレバー受け部11dに収まるようにされている。ここでは、レバー受け部11dに握り操作部33が収まった状態のメインレバー30の位置を、解放位置Fに対して、セット位置S、あるいは、握り位置Sと称する(図9、図11参照)。なお、膨出部11c内にはボーデンケーブル15や機関停止スイッチ用等のリード線720(図2参照)が通されている。
一方、右側カバーケース21には、図4に示される如くに、第二回動軸線Obを支点として揺動せしめられるとともに、任意の揺動操作位置にて不動状態で保持されるサブレバー50と、このサブレバー50の上部に揺動自在に連結された引張レバー40と、が配在されている。
サブレバー50は、図4〜図6を参照すればよくわかるように、操作部ケース20にその下部が軸支されたレバー部51と、このレバー部51の上部に一体に設けられた断面コ字状部分52Aを有する連結支持部52と、この連結支持部52上にビス止め固定された、滑り止め用凹凸条53aが形成されている側面視横倒し「9」字状の押し引き操作部53と、からなっており、連結支持部52の断面コ字状部分52Aに、引張レバー40の上部41が圧入ピン45で揺動自在に連結されている。
また、操作部ケース20の上面には、図2、図4に示される如くに、サブレバー50の始端位置(アイドル位置)Lから終端位置(全開位置)Hへの揺動及びその逆方向の揺動を許容するように、側面視が第二回動軸線Obを中心とした円弧状で平面視長方形の切欠開口20fが形成されている。また、連結支持部52上で押し引き操作部53の下面側には、押し引き操作部53の角柱状連結部53bが嵌挿される長穴54aが形成され、操作部ケース20の上面に形成された切欠開口20fを連結支持部52及び押し引き操作部53と協同して塞ぐように揺動移動せしめられる、側面視が第二回動軸線Obを中心とした円弧状で平面視長方形の可動サブカバー54が配在されて、異物が切欠開口20fから操作部ケース20の内部に入り込むのを防止している。
サブレバー50における押し引き操作部53以外のレバー部分(レバー部51、連結支持部52、可動サブカバー54)は、右側カバーケース21内に収納されており、サブレバー50は、図8、図9に示される始端位置(アイドル位置)Lから図10、図11に示される後端位置(全開位置)Hまでの範囲内で自由に揺動(押し引き)操作され、任意の揺動操作位置にて指を放しても、不動状態で保持されるようになっている。
すなわち、図5、図6に示される如くに、サブレバー50のレバー部51と、右側カバーケース21の外側に配在されたキャップ状の押さえピース61とが、間にウェーブワッシャ63が介装された状態で、ボルト65−六角ナット66(図4参照)で締め付けられて、前記右側カバーケース21に圧接せしめられており、かつ、サブレバー50、押さえピース61、及び、ボルト65−六角ナット66が、一体回動するように組み付けられている。
より詳細には、サブレバー50のレバー部51の下部には、右側カバーケース21に形成された軸受穴56に嵌挿される軸部55が突設され、この軸部55の外端部に断面矩形の凹部55aがすり割り状に形成されるとともに、凹部55aに嵌合せしめられる凸部61aが押さえピース61に形成され、押さえピース61及び軸部55にそれぞれボルト穴61c、55cが形成されるとともに、レバー部51の下部における反軸部側に、六角ナット66が嵌め込まれる一体回動用の六角嵌合穴58(図4参照)が形成されている。なお、ウェーブワッシャ63は、押さえピース61に設けられた凸部61aに外嵌固定され、ウェーブワッシャ63と右側カバーケース21の外壁面との間、及び、レバー部51の下部内側面と右側カバーケース21の内壁面との間には、それぞれ円環状のウエアリングプレート64、68(図4、図5参照)が介装されている。
したがって、サブレバー50は、第二回動軸線Ob(ボルト65−六角ナット66の中心軸線)を支点にして前後に揺動操作される。この場合、サブレバー50及びウェーブワッシャ63は、ボルト65−六角ナット66で右側カバーケース21(の側壁部)に圧接するように締め付けられ、この締め付け力によるそれらの間の摩擦抵抗によって、サブレバー50を任意の揺動操作位置にて、手放しでも保持できるようになっている。なお、第一回動軸線Oaと第二回動軸線Obとは同一(鉛直)線上に配在されて、メインレバー30の揺動角度が小さくてもスロットルケーブル17の引き出しストロークを十分に確保できるよう配慮している(図4参照)。
一方、引張レバー40は、サブレバー50における連結支持部52の断面コ字状部分52Aに圧入されているピン45の中心線である第三回動軸線Ocを支点として揺動せしめられる。この引張レバー40の下部42には、スロットルケーブル17の先端に取り付けられた端金具18が嵌め込まれて係止されており、この端金具18(の中心)が引張レバー40とスロットルケーブル17との結合点Kとされている。なお、スロットルケーブル17が挿通せしめられているボーデンケーブル15のアウターチューブ16の先端(端金具19)は、右側カバーケース21に設けられたストッパ部29(図4)で前方への移動が係止され、スロットルケーブル17はストッパ部29から真っ直ぐ前方に引き出されて引張レバー40の下部42に連結されている。
メインレバー30のカム状押動部34aは、引張レバー40の下端寄りに形成されている厚肉中間部分43を押動するようにされている。すなわち、引張レバー40は、第三回動軸線Ocを支点とし、カム状押動部34aの押圧点を力点とし、下部42を作用点とする、てこ機構を構成している。
また、連結支持部52における断面コ字状部分52Aの縦辺部52a(図4、図8〜図11)は、メインレバー30が解放位置Fにあるとき、及び、サブレバー50が始端位置Lにあるときにおける、引張レバー40とケーブル17との結合点Kの位置が第二回動軸線Ob上となるように、引張レバー40のケーブル17による引っ張り方向の揺動限界位置を定める係止部となっている(図4、図8〜図11参照)。
ここでは、図8、図9に示される如くに、サブレバー50が始端位置Lにあるときは、引張レバー40がケーブル17に引っ張られてサブレバー50の縦辺部(係止部)52aに係止されるが、このとき、引張レバー40の下部42とスロットルケーブル17との結合点Kが第二回動軸線Ob上に位置し、かつ、メインレバー30が図8に示される解放位置Fにあるときは勿論、解放位置Fから図9に示されるセット位置Sまで揺動操作されても、メインレバー30によって引張レバー40が動かされることがなく、結合点Kの位置が変化しないように、各部の寸法形状が設定されている。
また、図10に示される如くに、結合点Kは、サブレバー50の回動軸線Ob上に位置しているので、サブレバー50を始端位置Lから後方へ適宜(例えば終端位置Hまで)移動させても、メインレバー30を解放位置Fからセット位置S方向へ揺動させない限り、結合点Kの位置は変化しない。つまり、図10に示される如くに、サブレバー50が終端位置Hにあり、かつ、メインレバー30が解放位置Fにあるときは、メインレバー30のカム状押動部34aが引張レバー40に近接するものの、それを押動することがないように、各部の寸法形状が設定されている。
かかる構成のもとでは、図10及び図11に示される如くに、サブレバー50を始端位置Lから後方へ適宜(例えば全開位置Hまで)親指で移動させた状態で、メインレバー30(の握り操作部33)を、図10に示される解放位置Fから図11に示されるセット位置Sまで手指で握って揺動させると、メインレバー30のカム状押動部34aが、引張レバー40の厚肉中間部分43を押動し、引張レバー40が第三回動軸線Ocを支点として時計回りに揺動し、それに伴い、スロットルケーブル17が前方側に引っ張られ、スロットル弁CVが最小開度(アイドル開度)から開方向に回動せしめられて、サブレバー50の揺動操作位置に応じた開度に調節される。この場合、引張レバー40とメインレバー30からなるてこ機構のレバー比により、メインレバー30によるスロットルケーブル17の引っ張り量が拡大される。
なお、左側カバーケース22の左肩中央部には、内燃機関2の点火プラグ5への電気回路を短絡して内燃機関2を停止させるための、スライド式の停止スイッチ70が配設されている(図1、図3参照)。
前記の如くの構成とされたハンドレバー装置10においては、メインレバー30が解放位置Fにあるとき(アイドリング時)においても、スロットル弁CVを制御するケーブル17に弛み(遊び)が生じないように予めケーブル長等が設定されており、サブレバー50を始端位置Lから適宜後方へ引いて移動させた状態で、メインレバー30をセット位置Sまで揺動操作すると、ケーブル17が引っ張られ、それに伴い、スロットル弁CVが最小開度(アイドル開度)から開方向に回動せしめられて、サブレバー50の操作位置に応じた開度に調節される。
ここで、メインレバー30が解放位置Fにあるとき(アイドリング時)における引張レバー40とケーブル17との結合点Kの位置が、サブレバー50の揺動支点である第二回動軸線Ob上に設定され、サブレバー50の操作位置が、始端(低速)L側乃至終端(高速)H側間の何処であっても、引張レバー40とケーブル17との結合点Kの位置が一定となるようにされているので、アイドリング時に、サブレバー50を移動操作しても、ケーブル17(前記結合点K)は動かず、したがって、スロットル弁CVもアイドル回転開度を保持したままとなるので、アイドル回転数が変動せず安定したものとなり、また、ケーブル17に弛みを生じさせないことから、ケーブル17が連結部等から外れ難くなり、その結果、作動の信頼性が増し、商品価値が向上する。
また、サブレバー50が始端位置Lにあるとき(図8、図9参照)には、メインレバー30が揺動操作されても、引張レバー40とケーブル17との結合点Kの位置が変化しないようにされているので、サブレバー50が始端位置Lにあるアイドリング時に、メインレバー30が不測に動かされても(図9)、ケーブル17は引っ張られず、したがって、スロットル弁CVもアイドル回転開度を保持したままとなるので、アイドル回転数が変動せず安定したものとなる。このため、メインレバー30や引張レバー40の不測の変位を阻止するためのロック機構等が不要となり、構造が簡素となる。
さらに、スロットル弁CVの開度を所望の作業位置に調節した状態で、例えば不測の事態が生じる等して直ちに内燃機関2の回転数をアイドル回転迄低下させたいときには、メインレバー30を解放する。ケーブル17は常時スロットル弁CVの閉方向に付勢されているので、カム状押動部34aによる制止が解除された引張レバー40が、前記とは逆方向(反時計回り)に移動せしめられ(図10に示される状態)、スロットル弁CVが自動的にアイドル回転開度に戻り、内燃機関2はアイドリング状態となる。
ここで、機関回転駆動力を、遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部3に伝達するようにした作業機1であれば、遠心クラッチが遮断状態となって作業部3への動力伝達が断たれるので、刈刃等の作動が直ちに停止せしめられる。このように一旦メインレバー30を解放した後、再びそのメインレバー30をセット位置Sまで揺動操作すると、サブレバー50は元の操作(作業)位置に保持されたままなので、スロットル弁CVが、メインレバー30が解放される前の開度に再び戻され、サブレバー50の再調節は不要となる。
したがって、ハンドレバー装置10においては、被駆動部材としてのスロットル弁CVの開度を、ケーブル17を介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できる。また、グリップ部11を握る手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁CVをアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にできる。
また、操作部ケース20内に、サブレバー50の押し引き操作部53以外のレバー部分(レバー部51、連結支持部52、可動サブカバー54)が収納されるので、操作部ケース20の外側にサブレバー50と一体に回動せしめる一体回動部材等の組み付け配在が不要となり、ロック機構も不要となることと相俟って、部品点数を大幅に削減できて、構造を簡素にでき、装置コストを低減できるとともに、外観がすっきりして(図2参照)美観を向上でき、さらには、小型化、軽量化を図り得ると同時に、作業性や操作性をより向上させることができる。
加えて、サブレバー50を任意の揺動操作位置で保持するための押さえピース61及びボルト65−六角ナット66がサブレバー50と相互に位置ずれを生ずることなく一体回動するように組み付けられていることから、ハンドレバー装置10(が用いられた作業機)を長期間使用しても、ボルト65−六角ナット66が弛まず、したがって、ボルト65−六角ナット66により常時所要の締め付け力を確保できるので、サブレバー50の連れ戻りは生じず、スロットル弁CVの開度、機関回転数を常時適正に調節できるとともに、ボルト類を頻繁に締め直す手間が省ける。
次に、図12及び図13を参照して、本発明に係る手持式作業機の一例としての刈払機に原動機として搭載されている内燃機関の制御装置について説明する。図12、図13において、図1〜図11における構成要素と同じ要素に対しては、それらと同じ符号を付してある。図12に示すように、内燃機関2の吸気系73は、上流端のエアクリーナ74と、このエアクリーナ74と内燃機関2との間に配設される気化器71と、で構成されている。内燃機関2の出力軸には遠心クラッチ75が連結され、エンジン回転数が所定の回転数以上となったときに遠心クラッチ75を介して刈刃13に内燃機関2の動力が伝達される。
遠心クラッチ75は内燃機関2の回転数が約5,000rpmに達すると係合状態となるように設定されており、遠心クラッチ75が係合状態になることで内燃機関2の出力軸の回転が刈刃13へと伝達される。なお、内燃機関2の常用回転数は約8,000〜13,000rpmである。
気化器71はスロットル弁CVを有し、このスロットル弁CVは、ボーデンケーブル15を介して、作業者によって操作されるメインレバー30に作動上連結されている。作業者がメインレバー30を操作してスロットル弁CVを開閉させることで、内燃機関2の出力を制御することができる。
内燃機関2は手動のリコイルスタータ6を有し、作業者がスタータグリップ6aを引っ張ることで内燃機関2を起動することができる。内燃機関2は、更に、発電機構76を有する。この発電機構76は、図13に示すように、発電コイル77とロータ78との組み合わせによって構成されており、ロータ78に磁極78aが配設されている。ロータ78はエンジン出力によって駆動され、ロータ78の回転によって、発電コイル77は磁極78aからの磁束を受けてパルス電圧を誘起する。そして、このパルス電圧のレベル及びタイミングはロータ78の回転速度つまりエンジン回転速度に対応したものとなる。発電機構76が生成した電圧を使って点火装置72の点火が行われる。
図12に戻って、点火装置72の制御、具体的には点火装置72への電源供給のON/OFF及び点火タイミングは、マイクロコンピュータからなる制御装置(点火制御装置)79によって実行される。この制御装置79は実質的にCDI型点火制御機能を有する。制御装置79には、発電機構76(前記ロータ78)からの点火タイミング信号、回転数センサ80からのエンジン回転数信号、出力操作部材としてのメインレバー30、サブレバー50、引張レバー40の位置を検知する第一の位置センサ82及び第二の位置センサ83からのレバー位置信号、温度センサ84からの遠心クラッチ75又はその周辺の温度信号などが入力される。なお、第一の位置センサ82及び第二の位置センサ83の詳細については後述する。
図12及び図13に示すように、制御装置79には停止スイッチ70が接続されている。作業者が停止スイッチ70を操作することで、点火装置72への電源供給が停止され、これにより内燃機関2を停止させることができる。
次に、図14〜図17を参照して、第一及び第二の位置センサ82,83の配設態様について説明する。図14〜図17は、図1〜図11を参照して説明した刈払機1及びハンドレバー装置10に対して本発明を適用した一例のものである。図14〜図17において、図1〜図11と異なる点は、第一及び第二の位置センサ82,83を備えている点、これらのセンサ82,83を操作部ケース20内に収容するために操作部ケース20の下部に下方への拡大部85が設けられている点、第一及び第二の位置センサ82,83と停止スイッチ70につながる配線の態様のみであり、それ以外については図1〜図11のものと同様であるので、それらと同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図16に示すように、本発明の実施の一形態に係る手持式作業機の一例としての刈払機1の操作部86は、前後方向に延びるバーハンドル(操作桿)7のグリップ部11の前端近傍に設けられる。操作部86は、前述の通り、刈払機1に原動機として搭載される内燃機関2の出力を操作するためのものである。操作部86は操作部ケース20を備え、該操作部ケース20には、内燃機関2の出力操作部材として、メインレバー30と、サブレバー50と、引張レバー40(図14、図15参照)と、が設けられている。これらのレバーの詳細については、図1〜図11を参照して既に述べた通りである。
図14及び図15に示すように、操作部ケース20には、レバー30,40,50の位置を検知するために、第一の位置センサとしてのアイドル位置センサ82と、第二の位置センサとしてのフルスロットル位置センサ83と、が設けられる。これらのセンサ82,83の検出信号を制御装置79に入力して内燃機関2の制御に役立てることにより、内燃機関2を安全に始動できるほか、内燃機関2の加速及び減速をスムーズに行うことができる。また、図12に示した他のセンサ80,84等との組み合わせにより、各運転状態に最適な点火制御や燃料制御等を確実に行うことができる。本実施の形態では、アイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83とが、共に機械式に動作するマイクロスイッチとされ、各スイッチ部82a,83aが押圧されることにより検知信号を発するようになっている。このため、簡易な構造で検知信号が得られる。
図14及び図15には示されていないが、操作部ケース20には内燃機関2の停止スイッチ70も配設されている。停止スイッチ70は、内燃機関2を停止させる際に作業者によって操作されるものであり、図1に示したように、作業者が刈払機1を通常の作業姿勢に保持した状態における操作部ケース20の上部位置であって、作業者から見て左寄りの位置に配設される。すなわち、停止スイッチ70は、操作部ケース20を構成する左側カバーケース22の上部に配設される。
図14に示すように、アイドル位置センサ82は、サブレバー50の位置に関わらず、メインレバー30が第一の位置としての解放位置F(図8及び図10に示す位置)にあることを検知するセンサである。アイドル位置センサ82は、メインレバー30が作業者により操作されていない状態であるデフォルト位置(解放位置F)にあることを検知し、この検知信号を制御装置79に入力することにより、内燃機関2の制御に寄与する。
アイドル位置センサ82を設けることにより、作業者がメインレバー30を操作していないことが制御装置79に速やかに受信されるので、この状態からメインレバー30を操作することで、内燃機関2を安全に始動できる。また、メインレバー30を増速方向又は減速方向に操作することで、速やかに加速、減速ができる。さらに、内燃機関2の回転数を検知するセンサ80(図12参照)等の他のセンサとの組み合わせにより、各運転状態に最適な点火制御や燃料制御等ができる。
図15に示すように、フルスロットル位置センサ83は、サブレバー50が後端位置(全開位置)Hにあり、且つ、メインレバー30がセット位置(握り位置)Sにある(したがって、引張レバー40がスロットルケーブル17を最大量引っ張った状態にある)ことを検知するセンサである。フルスロットル位置センサ83は、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50が気化器のスロットル弁の全開位置に対応するフルスロットル位置(第二の位置:図11に示す位置)にあることを検知し、この検知信号を制御装置79に入力することにより、内燃機関2の制御に寄与する。
但し、制御装置79におけるメインレバー30、サブレバー50、引張レバー40の位置情報の重要性から言えば、フルスロットル位置センサ83を省略して、アイドル位置センサ82だけを設けるようにすると良い。
図14及び図15に示すように、本実施の形態では、アイドル位置センサ82が、メインレバー30の下方位置であって操作部ケース20内の下部位置に配設される。そして、図14に示すように、メインレバー30が解放位置Fにあるときに、メインレバー30のボス部31(図6参照)のやや後方部分がアイドル位置センサ82のスイッチ部82aを押圧する。これにより、メインレバー30が解放位置Fにあることがアイドル位置センサ82によって検知される。なお、アイドル位置センサ82のスイッチ部82aは、メインレバー30の旋回の中心軸(第一回動軸線Oa)よりグリップ部11側に配設される。
また、本実施の形態では、フルスロットル位置センサ83が、メインレバー30及び引張レバー40の下方および前方位置であって操作部ケース20内の下部位置に配設される。そして、図15に示すように、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50がフルスロットル位置にあるときに、引張レバー40の下部42がフルスロットル位置センサ83のスイッチ部83aを押圧する。これにより、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50がフルスロットル位置にあることがフルスロットル位置センサ83によって検知される。なお、フルスロットル位置センサ83のスイッチ部83aは、メインレバー30の旋回の中心軸(第一回動軸線Oa)よりグリップ部11側と反対側に配設される。
以上のように、本実施の形態では、停止スイッチ70が操作部ケース20の上部位置に配設され、アイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83とが、操作部ケース20内の下部位置に配設される。すなわち、バーハンドル7の上方位置に配設される停止スイッチ70に対し、アイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83とが、バーハンドル7の下方位置に配設される。このため、操作部ケース20の上方への突出量が抑制され、操作部86のコンパクト化に貢献でき、且つ、刈払機1の取扱性も向上する。
また、本実施の形態では、停止スイッチ70とアイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83とが、操作部86を上から見たときにポール状のバーハンドル7と重なって配設される。このため、停止スイッチ70もアイドル位置センサ82もフルスロットル位置センサ83も、作業中に地面を向いた作業者の視界を遮らないので、作業の邪魔になることがない。この場合、アイドル位置センサ82及び/又はフルスロットル位置センサ83は、操作部86を上から見たときにバーハンドル7及び/又は出力操作部材30,40及び/又は50と重なって配設されてもよい。
図14及び図15に示すように、アイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83とを操作部ケース20内に収容するために、操作部ケース20の下部には下方への拡大部85が設けられる。操作部ケース20の下部は、操作部ケース20の上部よりも、作業時において作業者の視界や操作の邪魔になり難い位置である。よって、刈払機1の作業性や取扱性に悪影響は及ばない。なお、拡大部85の大きさは、アイドル位置センサ82及び/又はフルスロットル位置センサ83を収容するのに必要な最小限の大きさにとどめるのが好ましいことは勿論である。
図16に示すように、拡大部85は、工具としての刈刃13と内燃機関2との間にあって、刈払機1を地面Gに置いたパーキング状態で、地面Gから浮いていることを要する。拡大部85が地面Gに衝突することを防止し、内部にあるアイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83とを保護するためである。なお、刈払機1のパーキング状態においては、メインレバー30の下端(後端)30eも地面Gから浮いていることが必要であり、さらに、拡大部85の輪郭の全体が、メインレバー30の下端30eより上に(地面Gより上に)配設されていることが好ましい。このように配設することにより、拡大部85内の両位置センサ82,83が壊れにくい上に、拡大部85が作業の邪魔にならない。拡大部85は、内燃機関2から離れた位置にあるので、内燃機関2の作動による振動の影響を受け難い。
本実施の形態では、停止スイッチ70とアイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83が、操作部86を上から見たときに互いに同じ側に配設される。すなわち、停止スイッチ70とアイドル位置センサ82とフルスロットル位置センサ83が、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50とは逆側の左側カバーケース22に対して取り付けられている。これにより、図17に示すように、停止スイッチ70につながる停止スイッチ配線87と、アイドル位置センサ82につながる第一センサ配線88と、フルスロットル位置センサ83につながる第二センサ配線89とを、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50とは逆側にまとめることができる。このため、操作部ケース20内の配線が、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50、さらには引張レバー40に接続されるスロットルケーブル17の動作の邪魔になったりそれらのレバー等との接触により損傷したりする等の問題を回避できる。
また、本実施の形態では、図17に示すように、停止スイッチ配線87と第一センサ配線88と第二センサ配線89とが操作部ケース20(左側カバーケース22)の内壁面を這わせて配設され、停止スイッチ配線87と第一センサ配線88と第二センサ配線89とが操作部ケース20内で統合される。統合部にはマイクロコンピュータを含む基板90が配設される。この基板90は左側カバーケース22の内壁面に取り付けられる。基板90は内燃機関2の制御を行うものであり、機能的には図12に示した制御装置79の一部を構成する。
図17に示すように、左側カバーケース22の内壁面には、停止スイッチ配線87と第一センサ配線82と第二センサ配線89との少なくともいずれかを適合的に受け入れる配線溝91を形成しておくと好適である。この配線溝91を設けておけば、配線作業が容易に行えるほか、左側カバーケース22の内壁面への配線の接触性も向上する。配線溝91の形成方法は、例えば、配線を収容し得る間隔を開けて対向する凸部92,92を左側カバーケース22の内壁面に連続的又は間欠的に設け、対向する凸部92,92同士の間に相対的に配線溝91が形成されるようにすることができる。
基板90からは、一本の共通信号線93が延び出している。この共通信号線93は、内燃機関2側に向けて配線され、基板90で統合された停止スイッチ配線87と第一センサ配線88と第二センサ配線89とを、制御装置79に接続するためのものである。共通信号線93は、操作部ケース20(左側カバーケース22)の内壁面を這わせて刈払機1の後方へと配線されて、制御装置79に接続される。左側カバーケース22の内壁面には、共通信号線93を収容する配線溝を形成しておくと好適である。この配線溝の形成方法は前記と同様とすることができる。
本実施の形態のものによれば、停止スイッチ配線87と第一センサ配線88と第二センサ配線89とが、メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50とは逆側の左側カバーケース22の内壁面を這わせて配設されるので、各配線87,88,89が各レバー30,40,50やスロットルケーブル17の動作の邪魔になったりそれらのレバー30,40,50等に接触して損傷したりする等の問題を一層確実に回避できる。また、各配線87,88,89が基板90によって統合されるので、各配線87,88,89を簡易な構造で制御装置79に対して電気的に連結し易くなる。
また、基板90と制御装置79とをつなげる配線が共通信号線93として一本化されるので、配線重量及び配線コストが低減できる。さらに、共通信号線93が左側カバーケース22の内壁面を這わせて配設されるので、操作部ケース20内の各配線が前記メインレバー30、引張レバー40及びサブレバー50の動作の邪魔になったりそれらのレバー30,40,50に接触して損傷したりする等の問題を尚一層確実に回避できる。
次に、図18を参照して、本発明の他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、図14のものの変形例であり、アイドル位置センサ820を図14のものとは異なる位置に配設したものである。したがって、変更点についてのみ詳細に説明する。
図18の例では、出力操作部材としての引張レバー400が、側面視で、図14の棒状の引張レバー40を後部に含む略扇形状に構成される。図18の引張レバー400は、揺動中心軸Ocから第一距離D1にある第一外形401と、揺動中心軸Ocから第二距離D2にあって、アイドル位置センサ820を押圧する第二外形402と、を有する。第二距離D2は第一距離D1よりも長い。そして、図18のアイドル位置センサ820は、引張レバー400の下方および前方位置に配設される。アイドル位置センサ820は、機械式に動作するマイクロスイッチであって、スイッチ部820aが押されていないときに、出力操作部材としてのメインレバー30がデフォルト位置(前記解放位置F)にあることを検出する。
引張レバー400の下部には、第二外形として、揺動中心軸である第三回動軸線Ocを中心とする円弧面402が形成されている。この円弧面402は、第三回動軸線Ocから第二距離D2にあり、引張レバー400が前方へと揺動する際に、アイドル位置センサ820のスイッチ部820aを押すことができる。円弧面402の前端部には、引張レバー400からの押圧を避けるために、第一外形としての切欠部401が形成されている。この切欠部401は、円弧面402よりも第三回動軸線Ocに近い位置にあり、アイドル位置センサ820のスイッチ部820aを押圧不能である。
図18に示すように、メインレバー30が解放位置Fにあるときには、引張レバー400に切欠部401が設けられているので、引張レバー400によってアイドル位置センサ820のスイッチ部820aが押されることはない。このため、メインレバー30が解放位置Fにあることがアイドル位置センサ820によって検出される。
図18の状態から、作業者がメインレバー30を握ると、メインレバー30に押されて、引張レバー400が第三回動軸線Ocを中心として前方へと回動する。このため、引張レバー400の円弧面402によってアイドル位置センサ820のスイッチ部820aが押され、メインレバー30が解放位置Fから外れたことがアイドル位置センサ820によって検出される。
図18の実施の形態によれば、引張レバー400がアイドル位置センサ820を押圧する円弧面402とアイドル位置センサ820を押圧しない切欠部401とを有するので、メインレバー30が上下に揺動操作されることにより、引張レバー400がアイドル位置センサ820を押圧する押圧位置とアイドル位置センサ820を押圧しない押圧解除位置とがアイドル位置センサ820によって検出される。よって、簡易な構成で出力操作部材30,40の位置を検出することができる。
本発明の他の実施の形態として、原動機として電動モータを搭載した手持式作業機についても本発明を適用することができる。手持式作業機の例としては、刈払機のほか、ヘッジトリマー、枝打ち機等が挙げられ、特に、バーハンドル(操作桿)上にグリップ部を有する手持式作業機について適用すると好適である。また、本発明の適用対象の一例として図1〜図11を参照して説明したハンドレバー装置10は、複数のレバー30,40,50が所定の態様で連動する複雑な形式のものであるが、サブレバー50の無い形式のものや、単一の出力操作部材を備える簡易な構成のハンドレバー装置についても適用できることは勿論である。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。