JP2020007601A - 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法 - Google Patents
抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020007601A JP2020007601A JP2018128625A JP2018128625A JP2020007601A JP 2020007601 A JP2020007601 A JP 2020007601A JP 2018128625 A JP2018128625 A JP 2018128625A JP 2018128625 A JP2018128625 A JP 2018128625A JP 2020007601 A JP2020007601 A JP 2020007601A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thin film
- mass
- less
- resistance
- glass powder
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Apparatuses And Processes For Manufacturing Resistors (AREA)
- Non-Adjustable Resistors (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Abstract
Description
しかし、近年、所定の比抵抗及び高温安定性を得るための熱処理温度を低くすることが求められている。
しかし、近年、電子部品の小型化に伴い、特許文献2に提案されている抵抗薄膜と同様の比較的低い温度で熱処理を施した場合において、特許文献2に提案されている抵抗薄膜に比べて、更なる高抵抗、及び、更なる高温安定性を満たす抵抗被膜が求められている。
特許文献1に提案されているNi−Cr系合金にTa、AlおよびMoを添加した抵抗薄膜は、従来のNi−Cr系合金を用いた抵抗薄膜と比較して、高温安定性を維持したまま、抵抗および耐食性が改善されている。
また、特許文献2に提案されている抵抗薄膜は、電子部品用の薄膜抵抗器に用いられる抵抗体材料としては従来利用されていなかった、シリケート系ガラスをNi合金に所定量添加することにより、所望の特性を得るための熱処理温度を相対的に低下させている。
しかしながら、近年の電子部品の小型化に伴い、所定の比抵抗及び高温安定性を得るための熱処理温度を相対的に低下させた場合において、特許文献2に提案されている抵抗薄膜における改善効果以上の、十分な高抵抗、及び高温安定性が求められている。
なお、本発明における「抵抗体材料」とは、本発明の抵抗薄膜を形成するための材料を示し、上記の組成を有する混合粉末の焼結体からなるものであれば、その形態には特に制限されない。例えば、タブレットや、スパッタリングターゲットは、そのような抵抗体材料の形態の1つである。以下、本発明の実施形態に関して詳細に説明する。
本発明の実施形態の抵抗体材料は、NiをベースとしたNi合金粉末を用いて構成される。このNi合金粉末は、Cr、AlおよびYから選択される1種以上の添加元素を10質量%以上60質量%以下含有し、残部がNiと不可避不純物からなっている。
各添加元素を所定量含有させることにより、抵抗体材料としての特性を有した組成になっている。Crの含有は抵抗温度係数の絶対値の低減に特に効果がある。また、Alの含有は耐食性の向上に特に効果がある。また、Yの含有はNi合金とガラス粉末の密着性の向上に特に効果がある。これらの添加元素は、要求される特性に応じて必要量だけ添加されるものであるが、本発明の抵抗薄膜及び薄膜抵抗器における特性を具備するためには、すべての添加元素を一定量含有する必要があり、各添加元素の効果を発揮するためには、総量で10質量%以上含有させる必要がある。それぞれの特性をより効果的に発揮するためには、Crは20質量%以上含有させるのが好ましく、Alは10質量%以上含有させるのが好ましく、Yは0.3質量%以上含有させるのが好ましい。一方、これらの添加元素は過多になると成膜、加熱後の安定性が悪くなり、抵抗値など各種特性が大きくばらつき、再現性が悪くなってしまう場合がある。このため、これらの添加元素の含有量は、総量で60質量%以下とする必要がある。なお、添加元素の含有量の総量は、40質量%以上50質量%以下の範囲とするのがより好ましい。
本発明の実施形態の抵抗体材料は、このような組成のNi合金粉末に、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラスを3質量%以上20質量%以下含有する混合粉末の焼結体からなる。
この原因に関し、本発明者らは、シリケート系ガラス粉末の軟化点がNi合金粉末の融点に比べて低すぎることにあると考えた。
そこで、本発明者らは、上記B等の添加元素を含有するシリケート系ガラス粉末の代わりに、シリケート系ガラスよりも軟化点の高い添加元素を含有しない純粋なSiO2からなるガラス粉末をNi合金粉末に添加した混合粉末を準備し、準備した混合粉末を焼成して混合粉末の焼結体を作製し、作製した混合粉末の焼結体の断面の組織を調べた。
しかし、Ni合金粉末に添加する純粋なSiO2からなるガラス粉末の平均粒径が特許文献2に記載されている10μm程度の場合、焼成して混合粉末の焼結体を作製し、作製した混合粉末の焼結体の断面の組織は、図3に示したのと同様、ガラス粉末が溶融して凝集した状態となり、Ni合金粉末と純粋なSiO2からなるガラス粉末とが混ざり合っていないことが確認された。
この原因に関し、本発明者らは、純粋なSiO2からなるガラス粉末の平均粒径が小さすぎて、速く溶融してしまうことにあると考えた。
そこで、本発明者らは、次に、平均粒径の異なる純粋なSiO2からなるガラス粉末をNi合金粉末に添加した、数種類の混合粉末を準備し、夫々の混合粉末を焼成して混合粉末の焼結体を作製し、作製した夫々の混合粉末の焼結体の断面の組織を調べた。
その結果、本発明者らは、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末をNi合金粉末に添加した混合粉末を、焼成して作製した混合粉末の焼結体は、図2に示すように、純粋なSiO2からなるガラス粉末の凝集がなく、Ni合金粉末が溶融して変形し、Ni合金粉末と純粋なSiO2からなるガラス粉末とが適度に混ざり合った状態となることを見出した。
また、本発明者らは、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末は絶縁体であり、3質量%以上の含有量でその効果を得ることができることを見出した。含有量が20質量%を超えるとNi合金による導電性が十分に発揮されず、絶縁体となってしまい、抵抗体材料をスパッタリングターゲットの形態にしても、スパッタリングターゲットを用いたDCスパッタリングによる成膜ができなくなる場合があるため、好ましくない。なお、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末の含有量は、5質量%以上10質量%以下とするのがより好ましい。
本発明の実施形態の抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの原材料には、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末と、Cr、AlおよびYから選択される1種以上の添加元素を10質量%以上60質量%以下含有し、残部がNiと不可避不純物からなる平均粒径10μm以上200μm以下のNi合金粉末とを用いる。Ni合金粉末における上記添加元素の含有量の総量は40質量%以上50質量%以下とするのがより好ましい。
本発明の実施形態の抵抗薄膜は、例えば、上記のようにして得られた本発明の実施形態の抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットを使用して、スパッタリング法により成膜して得ることができる。このようなスパッタリングなどの方法により形成された抵抗薄膜は、抵抗体材料と実質的に同じ組成を得ることができる。このような抵抗薄膜を有する薄膜抵抗器用の基板としては、Al2O3、SiO2などの絶縁体基板を用いるのが望ましい。なお、抵抗薄膜の形成は、上記スパッタリング法のほか、本発明の実施形態の抵抗体材料を蒸着用タブレットに加工して、真空蒸着などの蒸着法により抵抗薄膜を成膜することも可能である。
1.評価用焼結体の作製
Ni合金粉末として、Cr、Al、およびYを総量で40質量%添加(Cr:Al:Y=29.5:10.0:0.5(質量比))した平均粒径50μmのNi合金粉末を準備した。一方、純粋なSiO2ガラス粉末として、不純物量10ppm以下の平均粒径100μmのSiO2ガラス粉末を準備した。
この2種類の粉末を、SiO2ガラス粉末の添加量が5質量%となるように混合し、原料粉末とした。
この原料粉末を、所定の形状のカーボン型に装填し、雰囲気ホットプレス炉を用いてホットプレスを行い、所定の形状の成形体を得た。その後、成形体を、Arを2L/minで流す不活性雰囲気中で、200kg/cm2の圧力、1100℃の焼成温度、3時間の焼成時間という条件で焼成し、混合粉末の焼結体を得た。得られた混合粉末の焼結体を平面研削盤にて厚さを3.0mmに加工した後、ワイヤーカットを用いて直径75.0mmの円盤状の抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットに加工した。得られたスパッタリングターゲットを、インジウム蝋材を使用して、銅バッキングプレートにボンディングしてスパッタリング用の試料を作製した。
得られた混合粉末の焼結体に対し、以下のように、密度、ガラス粉末の凝集の評価を行った。
密度の評価は、得られた混合粉末の焼結体(抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット)の重量及び体積から密度を求め、理論密度との比率を算出することにより行った。
ガラス粉末の凝集の評価は、得られた混合粉末の焼結体の断面観察を行い、ガラス粉末凝集の有無を確認することにより行った。
混合粉末の焼結体の評価結果を、ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に表1に示す。
このようにして得られた抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットを、スパッタリング装置に基板と距離が85mmとなるように装着し、5×10−4Paまで排気した後、純度99.999%以上のArガスを導入して、0.5Paの圧力に保持し、スパッタリングパワー200W、電圧500V、電流0.4Aで、膜厚が100nmとなるように、スパッタリングを行い、基板上に20mm×25mmの大きさの抵抗薄膜を成膜した。このときの基板にはAl2O3を使用した。
次に、スパッタリング装置から抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットを取り外し、別途準備しておいたAu電極形成用スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着し、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットによって得られた抵抗薄膜の両端に、膜厚が500nmのAu電極を、抵抗薄膜成膜時と同様のDCスパッタリング法により成膜した。その後、大気雰囲気中、300℃の温度で、3時間の熱処理を行い、本発明の実施例1の抵抗薄膜を用いた薄膜抵抗器を得た。
得られた薄膜抵抗器について、以下のように、比抵抗、および高温安定性の評価を行った。
比抵抗は、室温において、四探針法による測定により得た。
高温安定性については、得られた薄膜抵抗器を155℃の恒温槽内に1000時間保持し、その前後において測定した抵抗値から抵抗変化率(155℃、1000時間)を算出することにより評価した。
抵抗薄膜器の評価結果を、ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を3質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の平均粒径を30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の平均粒径を200μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を7質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を10質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を15質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を20質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の平均粒径を200μmとしたこと以外は、実施例8と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
ガラス粉末として、SiO2ガラスに、B、Ba、Mg、Ca、Zr、およびAlを総量で50質量%添加(B:Ba:Mg:Ca:Zr:Al=2:18:5:18:5:2(質量比))した平均粒径3μmのSiO2系ガラス粉末を添加量が20質量%となるようにNi合金粉末との混合に使用したこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2系ガラス粉末の平均粒径を30μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2系ガラス粉末の平均粒径を100μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2系ガラス粉末の平均粒径を200μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の平均粒径を3μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を3質量%としたこと以外は、比較例5と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を7質量%としたこと以外は、比較例5と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を10質量%としたこと以外は、比較例5と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を15質量%としたこと以外は、比較例5と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を20質量%としたこと以外は、比較例5と同様にして、混合粉末の焼結体、及び薄膜抵抗器を得て、その特性についての測定を行った。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。
SiO2ガラス粉末の添加量を30質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、混合粉末の焼結体(スパッタリングターゲット)を得た。しかしながら、このスパッタリングターゲットを用いて実施例1と同様に抵抗薄膜を成膜しようとしたところ、ターゲットの導電性が不十分であるため、成膜できなかった。ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に評価結果を表1に示す。なお、薄膜抵抗器は作製できなかったため、評価は「−」で示してある。
また、本発明の構成要件を具備する試料であって、平均粒径が本発明の範囲の下限値となっているSiO2ガラス粉末を用いた実施例3の試料は、混合粉末の焼結体の密度比は94.5%と比較的低い値を示したが、ガラス粉末の凝集もなく、比抵抗が530μΩ・cm、抵抗変化率が0.07%と本発明で要求される特性(比抵抗:525μΩ・cm以上、抵抗変化率:0.1%以下)を満たすことが認められる結果となった。
また、ガラス粉末の平均粒径が本発明の範囲内ではあるものの、従来のB等の添加元素を含有するSiO2系ガラスを用いた比較例2〜4の試料は、ガラス粉末の凝集はなかったが、密度比が94.5%以下と高くはならず、比抵抗も407μΩ・cmと十分には高くすることができず、また、抵抗変化率も0.11%以上と本発明で要求される特性(0.1%以下)を満たさないことが認められる結果となった。
また、添加元素を含有しないSiO2ガラスを用いた場合であっても、ガラス粉末の平均粒径が本発明の範囲の下限値よりも小さい比較例5〜10の試料は、密度比が92.7%以下と低い値を示し、かつガラス粉末の凝集があり、抵抗変化率も0.22%以上と本発明で要求される特性(0.1%以下)が得られないことが認められる結果となった。比較例5〜10の試料において、ガラスの含有量を増やすことにより比抵抗を高くすることは可能であるが、それに伴い高温保管時の抵抗変化率も高くなってしまうため、薄膜抵抗器として好ましくない。
また、ガラス粉末の含有量のみを本発明の範囲よりも多く含有させた比較例11の試料は、Ni合金粉末の含有量が少なすぎてスパッタリングに必要な導電性を得ることができず、抵抗薄膜を形成することができないことが認められる結果となった。
2 抵抗薄膜
3 (Au)電極
しかし、近年、所定の比抵抗及び高温安定性を得るための熱処理温度を低くすることが求められている。
しかし、近年、電子部品の小型化に伴い、特許文献2に提案されている抵抗薄膜と同様の比較的低い温度で熱処理を施した場合において、特許文献2に提案されている抵抗薄膜に比べて、更なる高抵抗、及び、更なる高温安定性を満たす抵抗薄膜が求められている。
本発明の実施形態の抵抗薄膜は、例えば、上記のようにして得られた本発明の実施形態の抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットを使用して、スパッタリング法により成膜して得ることができる。このようなスパッタリングなどの方法により形成された抵抗薄膜は、抵抗体材料と実質的に同じ組成を得ることができる。このような抵抗薄膜を有する薄膜抵抗器用の基板としては、Al2O3、SiO2などの絶縁材料基板を用いるのが望ましい。なお、抵抗薄膜の形成は、上記スパッタリング法のほか、本発明の実施形態の抵抗体材料を蒸着用タブレットに加工して、真空蒸着などの蒸着法により抵抗薄膜を成膜することも可能である。
このようにして得られた抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットを、スパッタリング装置に基板と距離が85mmとなるように装着し、5×10−4Paまで排気した後、純度99.999%以上のArガスを導入して、0.5Paの圧力に保持し、スパッタリングパワー200W、電圧500V、電流0.4Aで、膜厚が100nmとなるように、スパッタリングを行い、基板上に20mm×25mmの大きさの抵抗薄膜を成膜した。このときの基板にはAl2O3を使用した。
次に、スパッタリング装置から抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットを取り外し、別途準備しておいたAu電極形成用スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着し、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットによって得られた抵抗薄膜の両端に、膜厚が500nmのAu電極を、抵抗薄膜成膜時と同様のDCスパッタリング法により成膜した。その後、大気雰囲気中、300℃の温度で、3時間の熱処理を行い、本発明の実施例1の抵抗薄膜を用いた薄膜抵抗器を得た。
得られた薄膜抵抗器について、以下のように、比抵抗、および高温安定性の評価を行った。
比抵抗は、室温において、四探針法による測定により得た。
高温安定性については、得られた薄膜抵抗器を155℃の恒温槽内に1000時間保持し、その前後において測定した抵抗値から抵抗変化率(155℃、1000時間)を算出することにより評価した。
薄膜抵抗器の評価結果を、ガラス粉末の条件(含有量、添加物の有無、平均粒径)と共に表1に示す。
Claims (6)
- Cr、AlおよびYから選択される1種以上の添加元素を10質量%以上60質量%以下含有し、残部がNiと不可避不純物からなるNi合金粉末に、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末を3質量%以上20質量%以下含有する混合粉末の焼結体からなることを特徴とする、抵抗体材料。
- Cr、AlおよびYから選択される1種以上の添加元素を10質量%以上60質量%以下含有し、残部がNiと不可避不純物からなるNi合金粉末に、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末を3質量%以上20質量%以下含有する混合粉末の焼結体からなることを特徴とする、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット。
- Cr、AlおよびYから選択される1種以上の添加元素を10質量%以上60質量%以下含有し、残部がNiと不可避不純物からなるNi合金粉末に、平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末を3質量%以上20質量%以下含有する混合粉末の焼結体を材料として形成された薄膜であって、比抵抗が525μΩ・cm以上1700μΩ・cm以下であり、155℃の温度を1000時間保持したときにおける経時的抵抗変化率が0.1%以下となることを特徴とする、抵抗薄膜。
- 絶縁性基板と、該絶縁材料基板上に形成された請求項3に記載の抵抗薄膜と、該絶縁材料基板上で該抵抗薄膜の両側に形成された電極とからなる、薄膜抵抗器。
- 平均粒径30μm以上200μm以下の純粋なSiO2からなるガラス粉末と、
Cr、AlおよびYから選択される1種以上の添加元素を10質量%以上60質量%以下含有し、残部がNiと不可避不純物からなる、平均粒径10μm以上200μm以下のNi合金粉末とを、
前記ガラス粉末が3質量%以上20質量%以下となるように混合し、得られた混合粉末を所望形状に成形し、得られた成形体を、真空または不活性雰囲気中にて、50kg/cm2以上の加圧下において、1100℃以上1400℃以下の温度で焼成して焼結体を作製することを特徴とする、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項5に記載のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法により、絶縁材料基板上に薄膜を形成し、得られた薄膜を、大気中または不活性ガス雰囲気中において、200℃以上500℃以下の温度で、1時間以上10時間以下の熱処理を行うことを特徴とする、抵抗薄膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018128625A JP7087741B2 (ja) | 2018-07-05 | 2018-07-05 | 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018128625A JP7087741B2 (ja) | 2018-07-05 | 2018-07-05 | 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020007601A true JP2020007601A (ja) | 2020-01-16 |
JP7087741B2 JP7087741B2 (ja) | 2022-06-21 |
Family
ID=69150744
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018128625A Active JP7087741B2 (ja) | 2018-07-05 | 2018-07-05 | 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7087741B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5139858A (en) * | 1990-11-05 | 1992-08-18 | University Of Delaware | Cryogenic resistance thermometer comprising a granular nickel in silica film |
JP2011119234A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-06-16 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜、薄膜抵抗器、およびこれらの製造方法。 |
JP2012212761A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-01 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | 電気抵抗膜付き金属箔及びその製造方法 |
-
2018
- 2018-07-05 JP JP2018128625A patent/JP7087741B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5139858A (en) * | 1990-11-05 | 1992-08-18 | University Of Delaware | Cryogenic resistance thermometer comprising a granular nickel in silica film |
JP2011119234A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-06-16 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜、薄膜抵抗器、およびこれらの製造方法。 |
JP2012212761A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-01 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | 電気抵抗膜付き金属箔及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7087741B2 (ja) | 2022-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10863587B2 (en) | Ceramic structure, method for manufacturing the same, and member for semiconductor manufacturing apparatus | |
JP5045804B2 (ja) | 抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜、薄膜抵抗器、およびこれらの製造方法 | |
JP6305335B2 (ja) | 熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換モジュール並びに熱電変換材料の製造方法 | |
JP4622946B2 (ja) | 抵抗薄膜材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜、薄膜抵抗器およびその製造方法。 | |
JP7087741B2 (ja) | 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法 | |
EP3279366B1 (en) | Cu-ga alloy sputtering target and method of manufacturing cu-ga alloy sputtering target | |
JP4775140B2 (ja) | スパッタリングターゲット | |
JP3852446B2 (ja) | 抵抗薄膜材料およびこれを用いた抵抗薄膜の製造方法 | |
KR20110047145A (ko) | 저항체 재료, 저항 박막 형성용 스퍼터링 타겟, 저항 박막, 박막 저항기 및 이들의 제조방법 | |
JP4042714B2 (ja) | 金属抵抗体材料、スパッタリングターゲットおよび抵抗薄膜 | |
CN102117670B (zh) | 电阻体材料、电阻薄膜形成用溅射靶、电阻薄膜、薄膜电阻器以及它们的制造方法 | |
JP6627993B2 (ja) | Cu−Ni合金スパッタリングターゲット | |
JP4895481B2 (ja) | 抵抗薄膜および抵抗薄膜形成用のスパッタリングターゲット | |
JP2002241876A (ja) | 耐熱性、耐酸化性ニッケル合金及び導電ペースト | |
JP2010010009A (ja) | 溶造Si電熱合金の抵抗温度曲線を平坦化する方法 | |
WO2022210428A1 (ja) | Cr-Si系膜 | |
WO2019167564A1 (ja) | Cu-Ni合金スパッタリングターゲット | |
JP3969110B2 (ja) | 耐ガラス腐食性にすぐれた高精度光学ガラスレンズの熱間プレス成形用w基焼結合金製金型 | |
JPH09289339A (ja) | 熱電変換材料及びその製法 | |
JP2005294612A5 (ja) | ||
JP2002033525A (ja) | 熱電素子とその製造方法 | |
JPH0323630B2 (ja) | ||
JP4238689B2 (ja) | 金属抵抗体およびその製造方法 | |
JP2006005104A (ja) | 薄膜抵抗体、薄膜抵抗体の製造方法および薄膜抵抗体製造用スパッタリングターゲット | |
WO2016158293A1 (ja) | Cu-Ga合金スパッタリングターゲット、及び、Cu-Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180709 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210501 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220215 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220411 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220510 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220523 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7087741 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |