JP2020006418A - 中間ストーク - Google Patents

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Abstract

【課題】周囲から受ける負荷およびシートショックにより耐火材料からなる内筒が破損するのを軽減できる中間ストークを提供すること。【解決手段】本発明は、保持炉10に保持される溶湯Mを金型キャビティ24に充填させるよう構成された鋳造装置1の中間ストーク30に関する。中間ストーク30は、セラミックス材料からなる内筒31と、内筒31の周囲に配置される金属材料製の外筒33と、内筒31の軸線方向Cおよび径方向Rの双方に内筒31と外筒33とが相対的に移動できるように、内筒31と前記外筒33とを連結する金属材料製の連結機構40と、を備え、軸線方向Cにおいて、外筒33と連結機構40が上下方向に連続していることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、炉側のストークと鋳造金型の湯口との間に、取り外し可能に設けられる中間ストークに関する。
例えば、低圧鋳造の鋳造装置において、鋳造装置の下方に配置される保持炉に保持される溶湯を不活性ガスで加圧し、保持炉に設けられるストークを介して、鋳造装置の固定プラテンの上方に設けられる鋳造金型の湯口から溶湯を金型キャビティに供給させる。
保持炉のメンテナンス等のため、炉を鋳造装置の下方から水平方向に引き出す必要があるが、炉側のストークの上端面が、固定プラテンの開口部を介して直接鋳造金型の湯口に接続されると炉の引き出しができないので、炉側のストークはその上端面の高さが鋳造装置の固定プラテンの下面よりも低い位置に制限される。そのために、炉側のストークと鋳造金型の湯口との間に、取り付けおよび取り外しが可能な中間ストークと称される部材が設けられる。
この中間ストークは、例えば特許文献1、特許文献2に開示されているように、金属材料からなる外筒と、外筒の内側に積層される耐火材料からなる内筒と、を有する二重筒構造のものが知られている。
特許文献1,2に開示される二重筒構造の中間ストークは、外筒をなす金属材料と内筒をなす耐火材料との温度上昇および降下にともなう熱変形量の差異を解消することを目的とする。
特許文献1は、熱変形量の差異を調整する遊び機構を設ける。この遊び機構は、ねじ等の締結部材によって締結される、金属製の上部支持部材と下部支持部材の締結部に設けられる。また、特許文献2は、熱変形量の差異を調整吸収する無機質材を外筒と内筒の間に介在させる。無機質材としては、無機繊維と無機バインダと適度な水分を含んだ柔軟性のある材料をパテ材として外皮材に塗って層を形成するものが例示されている。
特開2000−271724号公報 特開2006−272448号公報 特開2015−44218号公報
耐火材料は一般的に、圧縮にはある程度の強度を有するが、引張や曲げには弱い。中間ストークには、中間ストークの周囲、すなわち、下方にある保持炉および上方にある鋳造金型を構成する部材から、上下方向に作用する負荷を中心に想定外の方向や大きさの負荷が作用する。具体的には、中間ストークを中心に上下方向に接続されるこれら構成間に作用する垂直方向加重や、鋳造金型の湯口、中間ストーク、炉側ストークの据え付け誤差や組立誤差によりこれら構成間に作用する水平方向の偏芯加重による負荷、さらには、素材が異なる内筒および外筒の線膨張係数の差異による垂直方向や水平方向の熱変形量の差異によりこれら構成間に作用する負荷である。また、中間ストークは、鋳造を繰り返すことによる熱遍歴によるヒートショックを受ける。これらの負荷、ヒートショックが要因となり、耐火材料からなる内筒が破損するおそれがある。
以上より、本発明は、周囲から受ける負荷およびシートショックにより耐火材料からなる内筒が破損するのを軽減できる中間ストークを提供することを目的とする。
本発明は、保持炉に保持される溶湯を金型キャビティに充填させるよう構成された鋳造装置の中間ストークに関する。本発明に係る中間ストークは、耐火材料としてのセラミックス材料からなる内筒と、内筒の周囲に配置される金属材料製の外筒と、内筒の軸線方向に内筒と外筒とが相対的に移動できるように、内筒と外筒とを連結する、金属製部材を含む連結機構と、を備え、軸線方向において、外筒と連結機構の金属製部材とが上下方向に連続している。
本発明における連結機構は、好ましくは、下部連結部と上部連結部を備える。
下部連結部は、好ましくは、内筒の下部に設けられる下部内側保持体と、外筒の下部に設けられ、金属製部材を構成する下部外側保持体と、下部内側保持体と下部外側保持体を接続し、金属製部材を構成する下部ブラケットを備える。
上部連結部は、好ましくは、内筒の上部に設けられる上部内側保持体と、外筒の上部に設けられ、金属製部材を構成する上部外側保持体と、上部内側保持体と上部外側保持体を接続し、金属製部材を構成する上部ブラケットを備える。
好ましくは、下部内側保持体および上部内側保持体の一方または双方が、軸線方向に対して内筒に摺動可能に嵌合される。
本発明において、好ましくは、外筒と一体をなす下部外側保持体が下部ブラケットに支持されるとともに、下部ブラケットが下部内側保持体を把持し、かつ、内筒の下端が下部内側保持体よりも下方に突き出し、外筒と一体をなす上部外側保持体に支持される、上部ブラケットが上部内側保持体を把持する。
本発明において、好ましくは、溶湯が浸入するのを防止可能な嵌め合い精度で、下部内側保持体が内筒に軸線方向に摺動可能に嵌合される。
本発明において、好ましくは、内筒の内径が、保持炉に設けられるストークの内径よりも小さい。
本発明において、好ましくは、下部内側保持体および上部内側保持体が内筒と同じ窒化けい素系セラミックス材料から構成される。
この場合、好ましくは、内筒と外筒の間にヒータが配置される。
本発明において、好ましくは、内筒、上部内側保持体および上部ブラケットを径方向に貫通するガス流通路と、ガス流通路に設けられるフィルタと、を備え、フィルタは、ガスの流通を許容するが、溶湯の浸入を防止する。
本発明によれば、内筒の軸線方向および径方向の双方に内筒と外筒とが相対的に移動できるように、内筒と外筒とを連結する連結機構を備えるので、内筒を構成するセラミックス材料と外筒を構成する金属材料の間に熱変形量の差異があっても、これを吸収する。特に、本発明における連結機構は、軸線方向において、金属製部材が上下方向に連続して構成されるので、中間ストークの周囲の部材から想定外の負荷を受けたとしても、セラミックス材料からなる内筒に負荷が伝わるのを避けるか、伝わったとしても小さく抑えることができる。
本発明の実施形態に係る鋳造装置の概略構成を示す縦断面図である。 図1の鋳造装置に用いられる中間ストークを示す縦断面図である。 図2に示される中間ストークを構成する内筒および下部内側保持体を示し、(a−1),(a−2)は内筒の平面図および縦断面図であり、(b−1),(b−2)は下部内側保持体の平面図および縦断面図である。 図2に示される中間ストークを構成するブラケットを示し、(a−1),(a−2)は上部ブラケットの平面図および縦断面図であり、(b−1),(b−2)は下部ブラケットの平面図および縦断面図である。 ガス流通路を備える本実施形態に係る中間ストークを示す縦断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る鋳造装置および中間ストークについて説明する。
本実施形態に係る鋳造装置1は、溶湯を保持する保持炉10と、保持炉10から供給される溶湯が鋳造される鋳造金型20と、保持炉10と鋳造金型20の間に設けられ、保持炉10から鋳造金型20へ溶湯を流す中間ストーク30と、を備える。なお、中間ストーク30において、保持炉10と接続される側を下と定義し、また、鋳造金型20と接続される側を上と定義する。
本実施形態に鋳造装置1の中間ストーク30は、内筒31と外筒33からなる二重筒構造を有し、軸線方向Cおよび径方向Rの双方に内筒31と外筒33とが相対的に移動できるように、内筒31と外筒33とを連結する連結機構40を備える。また、鋳造装置1の中間ストーク30は、周囲から受ける負荷を金属製部材からなる外筒33と、内筒31と外筒33を連結する連結機構40で受ける構成を備える。これらの構成により、中間ストーク30のセラミックス材料からなる内筒31の破損が防止される。以下、鋳造装置1および中間ストーク30が備える各構成要素を順に説明する。
[保持炉10]
保持炉10は、図1に示すように溶湯Mを保持する坩堝11と、坩堝11の上部の開口を塞ぐ蓋13と、蓋13に金属材料製のブラケットを介して係止される耐火素材製のストーク15と、を備える。
鋳造時には、保持炉10の坩堝11の内部には図示を省略する供給源から不活性ガスが供給され、溶湯Mの湯面を所定の圧力Pで押す。そうすると、溶湯Mはストーク15、中間ストーク30を通って鋳造金型20が備える金型キャビティ24に供給される。
溶湯Mは、例えば、図示を省略する溶解炉で溶解された後に、坩堝11に供給される。坩堝11には、溶湯Mの温度を保持するためのヒータを備えることができる。
保持炉10は、必要最小限の要素だけが示されており、他の付帯機器、設備を備えることができる。
[鋳造金型20]
鋳造金型20は、図1に示すように、上下で分割される一対の下金型21、上金型23と、下金型21を支持する固定プラテン25と、上金型23を支持する可動プラテン27と、を備える。鋳造金型20には下金型21に湯口22が設けられており、中間ストーク30を通ってきた溶湯Mは、この湯口22を通って下金型21と上金型23の間に形成される金型キャビティ24に供給される。可動プラテン27は、図示を省略する駆動源により昇降され、下金型21および上金型23の型開閉動作が行われる。
鋳造金型20も必要最小限の要素だけが示されており、他の付帯機器、設備を備えることができる。
[中間ストーク30]
中間ストーク30は、保持炉10から鋳造金型20へ溶湯を流す役割を担う。中間ストーク30は、保持炉10と鋳造金型20に対して取り付けおよび取り外しが可能とされている。
中間ストーク30は、図1、図2、図3(a)に示すように、内筒31と、内筒31の周囲に配置される外筒33と、を備える。内筒31と外筒33は、連結機構40によって連結されている。連結機構40は、軸線方向Cおよび径方向Rの双方に内筒31と外筒33とが相対的に移動できるように、内筒31と外筒33とを連結する。
[内筒31]
内筒31は、保持炉10から鋳造金型20に向けて供給される溶湯Mが内部を流れる。本実施形態における内筒31は、主に耐溶損性の観点から、耐火材料の一種であるセラミックス材料から構成される。
内筒31を構成するセラミックス材料は任意であり、アルミナ(Al)系セラミックス、炭化けい素(SiC)系セラミックス、窒化けい素(Si)系セラミックス、ジルコニア(ZrO)系セラミックスなどの公知のセラミックス材料を用いることができる。ここに掲げたセラミックス材料の中では、耐熱衝撃性および高温強度の優れる窒化けい素系セラミックスを内筒31に用いることが好ましい。
耐熱衝撃温度差(JIS R 1648)を比較すると、窒化けい素系セラミックスが800〜900℃であるのに対して、アルミナ系セラミックスは200〜250℃程度、炭化けい素系セラミックスは400℃程度、ジルコニア系セラミックスは300〜450℃程度である。
また、窒化けい素系セラミックスの平均線膨張係数(JIS R 1618,40〜800℃)は一例として3.5×10−6/Kであり、熱伝導率(JIS R 1611,800℃)は一例として20W/(m・k)である。この平均線膨張係数は金属材料、例えば鉄(Fe)の11.5×10−6/Kに比べて小さく、また、熱伝導率についても金属材料に比べると相当に小さく、金属材料に対して断熱材料ということができる。ただし、窒化けい素系セラミックスは、煉瓦などの耐火材料に比べると、熱伝導率は大きい。
窒化けい素系セラミックスとは、窒化けい素を主体とするセラミックスを広く包含しており、サイアロン(SiAlON)を含む概念を有している。サイアロンとは、窒化けい素(Si)にアルミナ(Al)と酸化けい素(SiO)を合成して得られる、エンジニアリングセラミックスをいう。サイアロンはこの合成により、珪素(Si)原子の一部をアルミニウム(Al)原子が置換し、窒素(N)原子の一部を酸素(O)原子が置換する。サイアロンは、窒化けい素よりも耐熱性、高温環境下での機械的強度、耐熱衝撃性、耐摩耗性に優れる。
内筒31は、円筒状の構造を有しており、その内径(RI31)および外径(RO31)が軸線方向Cに亘り一定である。ただし、内筒31の上端の近傍には、径方向Rの外側にフランジ状に突き出す上部内側保持体46が内筒31と一体をなして設けられており、この部分は外径(RO31)が他の部分より大きい。
また、内筒31の下端の近傍には、径方向Rの外側にフランジ状に突き出す下部内側保持体42が設けられている。下部内側保持体42は、内筒31と一体的に構成されておらず、内筒31の外周面に嵌合されている。ただし、この嵌合は、内筒31と下部内側保持体42とが軸線方向Cに相対的に移動して摺動できる程度の嵌め合い(隙間)をもって行われる。この摺動可能な嵌め合いは、内筒31と外筒33の軸線方向Cにおける線膨張係数の差に起因する内筒31と外筒33の熱変形量の差異に対応するためのものであるが、詳しくは後述する。また、下部内側保持体42は、内筒31の外周面に嵌合される構成上、内筒31の外周面よりもその外径が大きい。
ここで、下部内側保持体42は内筒31と同じセラミックス材料で構成されることが好ましい。これは、以下説明するように、相対的な摺動が可能な内筒31と下部内側保持体42の隙間に溶湯Mが浸入するのを防ぐためである。
例えば、溶湯Mがアルミニウム合金からなる場合には、隙間が0.2mm以下であれば、溶湯Mが隙間に浸入するのを防ぐことができる、と当業者においては認識されている。
摺動部に関わる内筒31と下部内側保持体42が同じセラミックス材料から構成されていれば、内筒31の外径と下部内側保持体42の内径の径方向Rにおける熱変形量の差異が微小である。これにより、溶湯Mが浸入するのを防ぐのに要求される隙間、例えば0.2mm以下にすることは、セラミックス材料の加工精度上、極めて容易である。この0.2mm以下という値が、本発明における溶湯が浸入するのを防止可能な嵌め合い精度に該当する。
なお、内筒31は、内径および外径が軸線方向Cに亘り一定であると説明したが、上記嵌め合い精度を確保するため、内筒31の外周面の外径を精度よく加工する範囲は、内筒31の下端から、冷間状態において下部内側保持体42が吻合される位置に若干の余裕(数mm)を加味した範囲でよい。何故なら、冷間状態から中間ストーク30が熱間状態に移行する場合、線膨張係数の差から、外筒33他、金属材料製の構成の方が、セラミック材料製の内筒31よりも熱変形量が大きいため、下部内側保持体42から内筒31が上方へ引き抜かれるように摺動するからである。そのため、内筒31の外周面の外径は、上記範囲が上記隙間を確保するように加工されれば良く、それ以外の範囲(上部内側保持体46は除く)にこれと同様の加工精度は必要としない。そのため、上記範囲以外の外径と上記範囲の外径とが異なっていてもよい。
一例としての0.2mm以下という隙間は、内筒31と下部内側保持体42の嵌合部分の軸線方向Cにおいて、できるだけ長い距離が確保されることが、より確実に摺動部からの溶湯の浸入を防ぐために好ましい。そこで、本実施形態における中間ストーク30は、図2に示すように、内筒31の下方が下部内側保持体42の下面よりも突出している、つまり内筒31が下部内側保持体42を貫通していることが好ましい。そうすれば、軸線方向Cにおける線膨張係数の差により、内筒31と下部内側保持体42が相対的に軸線方向Cに摺動した場合でも、内筒31と下部内側保持体42の嵌合部分において、内筒31の下端面が、下部内側保持体42の下面より凹んだ状態にならない。こうして、当該嵌合部分の隙間が、下部内側保持体42の厚さ方向の全域に亘って常に維持される。
下部内側保持体42および上部内側保持体46は、内筒31と外筒33を連結する連結機構40を構成する要素であり、詳しくは連結機構40の部分で説明する。
[外筒33]
次に、外筒33は、内筒31の周囲を取り囲み、自己が負荷を受けることで内筒31に周囲からの負荷が伝わるのを避ける機能を発揮する。外筒33はセラミックス材料よりも機械的強度に優れる金属材料で構成される。ここでいう周囲とは、保持炉10(ストーク15)および鋳造金型20をいう。
外筒33を構成する金属材料は任意であるが、鉄系の金属材料を用いることができる。外筒33は、連結機構40を構成する要素(下部外側保持体43および上部外側保持体47)を一体的に備えているが、当該要素を溶接その他の手法により外筒33と一体的に製作してもよいし、鋳物として当該要素を外筒33と一体的に形成することもできる。本実施形態は、前者を採用する。
外筒33は、円筒状の構造を有しており、その内径(RI33)および外径(RO33)が軸線方向Cに亘り一定である。ただし、外筒33の下端および上端にはそれぞれ径方向Rの内側および外側にフランジ状に突き出す下部外側保持体43および上部外側保持体47が設けられる部分は、他の外筒33の部分と内径(RI33)および外径(RO33)が異なる。下部外側保持体43および上部外側保持体47は、内筒31と外筒33を連結する連結機構40を構成する要素であり、詳しくは連結機構40の部分で説明する。
ここで、図1および図2を参照すればわかるように、内筒31の外径(RO31)よりも外筒33の(内径RI33)が大きいために、内筒31と外筒33の間に空隙が設けられる。
[連結機構40]
連結機構40は、構成する素材(材料)が異なる内筒31と外筒33の線膨脹係数の差に起因する熱変形量の差異を吸収しながら、内筒31と外筒33を連結する機能を有する。また、連結機構40は保持炉10および鋳造金型20からの負荷を内筒31ではなく外筒33で受け、この負荷が直接内筒31に作用しないようにすることによって、セラミックス材料からなる内筒31が破損しないように、内筒31と外筒33を連結する機能を有する。連結機構40は、これら二つの機能を発揮するように、以下の構成を備える。
連結機構40は、図1および図2に示すように、下部連結部41と上部連結部45の二つの連結部分を備えており、下部連結部41は保持炉10の側に配置され、上部連結部45は鋳造金型20の側に配置される。
[下部連結部41]
下部連結部41は、図2に示すように、内筒31の下方外周面に嵌合される下部内側保持体42と、外筒33の下方に設けられ、金属製部材を構成する下部外側保持体43と、下部内側保持体42と下部外側保持体43を連結し、金属製部材を構成する下部ブラケット44と、を備える。
下部内側保持体42は、図2および図3(b)に示すように、平面視して円環状の形態をなしており、内筒31との間で軸線方向Cに相対的に移動が可能に内筒31に嵌合されている。
下部内側保持体42は、内筒31を構成するセラミックス材料と同じセラミックス材料で構成されている。したがって、溶湯Mが流れ内筒31および下部内側保持体42の温度が上昇したときの、内筒31と下部内側保持体42の嵌合部分における熱変形量の差異は微小である。
下部内側保持体42は、軸線方向Cの寸法(厚さ)の大きい嵌合筒42Aと、嵌合筒42Aから径方向の外側にフランジ状に突き出す把持片42Bと、が一体的に形成されている。
嵌合筒42Aは、内筒31との嵌合に供され、その内周面における内径(RI42)は嵌め合いの分だけ内筒31の外径(RO31)よりも大きい。また、把持片42Bは、内筒31と外筒33の径方向における間において、外筒33の下方に設けられる下部外側保持体43に固定される下部ブラケット44により把持される。
なお、ここで示される把持片42Bは周方向に連なって設けられることを前提としているが、周方向に間欠的に設けられていてもよい。これに対応して、後述する下部外側保持体43および下部ブラケット44も間欠的に設けられていてもよい。
下部外側保持体43は、図1および図2に示すように、外筒33と一体的に形成されているが、別体として作製された下部外側保持体43を溶接その他の手法により外筒33の下端に固定してもよい。
金属材料製の下部ブラケット44は、図1および図2に示すように、下部内側保持体42の把持片42Bを上下方向から挟んで支持する。下部ブラケット44が外筒33の下部外側保持体43に固定されており、下部内側保持体42が内筒31に嵌合されている。したがって、内筒31と外筒33は、下部内側保持体42、下部外側保持体43および下部ブラケット44を介して連結されている。
下部ブラケット44は、図2および図4(b−1),(b−2)に示されるように、軸線方向Cに分割される一対の接合片44A、44Aと、接合片44A、44Aの先端に設けられる把持爪44B、44Bと、を備える。下部ブラケット44は、把持爪44B、44Bの間に把持片42Bを挟み込むことで、下部内側保持体42を介して内筒31を支持する。把持爪44B、44Bと把持片42Bの間には、耐熱パッキン49が軸線方向Cに圧縮された状態で介在している。また、下部ブラケット44の、把持爪44B、44Bの間に形成される、下部内側保持体42の把持片42Bを収納する空間の内径は、下部内側保持体42の把持片42Bの外径よりも大きく、下部ブラケット44の把持爪44Bの内径は、下部内側保持体42の把持片42Bでない外周面の外径よりも大きい。そのため、下部ブラケット44と、下部ブラケット44に支持された下部内側保持体42は、径方向Rに所定の隙間が確保された状態で支持されており、径方向Rに摺動可能である。この径方向Rの摺動は鋳造時に温度上昇して中間ストーク30および連結機構40に熱変形が生じたときに起こる。
一方、中間ストーク30および連結機構40に熱変形が生じなければ、下部ブラケット44と下部内側保持体42は以下のように相対的な移動が制約される。
把持爪44B、44Bと把持片42Bの間には、耐熱パッキン49が軸線方向Cに圧縮された状態で介在している。ところが、耐熱パッキン49の軸線方向Cの圧縮代が残された状態であり、かつ、圧縮された耐熱パッキン49により、把持爪44B、44Bと把持片42Bとの間に、それぞれ、軸線方向Cの所定の押圧力が作用した状態である。この支持形態により、下部ブラケット44と、下部ブラケット44に支持された下部内側保持体42とを、軸線方向Cあるいは径方向Rに相対的に移動させようとする負荷が作用しない限り、この押圧力により、下部ブラケット44及び下部内側保持体42は軸線方向Cの相対的な移動を制約される。また、把持爪44B、44Bと把持片42Bとの間にそれぞれ作用する軸線方向Cの押圧力に伴う、把持爪44B、44Bと把持片42Bとの間にそれぞれ作用する摩擦力により、下部ブラケット44及び下部内側保持体42は径方向Rの相対的な移動が制約される。
そして、下部ブラケット44と、下部ブラケット44に支持された下部内側保持体42とを、軸線方向Cあるいは径方向Rに相対的に移動させようとする負荷が作用したとする。この場合は、下部ブラケット44と、下部ブラケット44に支持された下部内側保持体42とは、耐熱パッキン49の軸線方向Cの圧縮代分、軸線方向Cに相互に摺動可能であり、かつ、径方向Rに確保された所定の隙間分、径方向Rに相互に摺動可能である。
下部ブラケット44は、例えばボルト、その他の手段により外筒33の下部外側保持体43により相互に強固に接合される。また、下部ブラケット44の接合片44A、44Aは、例えばボルト、その他の手段により相互に強固に接合される。
[上部連結部45]
上部連結部45は、図1および図2に示すように、内筒31の上方に設けられる上部内側保持体46と、外筒33の上端に設けられ、金属製部材を構成する上部外側保持体47と、上部内側保持体46と上部外側保持体47を連結し、金属製部材を構成する上部ブラケット48と、を備える。
上部内側保持体46は、内筒31の外周面から径方向Rにフランジ状に突き出すように内筒31と一体的に形成される。また、上部内側保持体46は、内筒31の径方向における外側において、外筒33の上端に設けられる上部外側保持体47に固定される上部ブラケット48により把持される。
上部外側保持体47は、図1および図2に示すように、上部ブラケット48を軸線方向Cに支持する。また、上部外側保持体47は、鋳造金型20の固定プラテン25に、例えばボルト、その他の手段により固定される。これにより、外筒33および内筒31は、上部外側保持体47を介して固定プラテン25に固定され鋳造金型20の下金型21に連結される。
上部外側保持体47は、平面視して円環状の形態をなしており、外筒33の上端に外筒33と一体的に形成されているが、別体として作製された上部外側保持体47を溶接その他の手法により外筒33の上端に固定してもよい。
金属材料製の上部ブラケット48は、図2および図4(a−1),(a−2)に示すように、内筒31の上方に形成された上部内側保持体46を上下方向から挟んで支持する。また、上部ブラケット48が外筒33の上部外側保持体47に固定されている。したがって、内筒31と外筒33は、上部内側保持体46、上部外側保持体47および上部ブラケット48を介して連結されている。
上部ブラケット48は、下部ブラケット44と同様に、軸線方向Cに分割される一対の接合片48A、48Aと、一対の把持爪48B、48Bと、を備え、把持爪48B、48Bの間に上部内側保持体46を挟み込むことで、上部内側保持体46を介して内筒31を支持する。把持爪48B、48Bと把持片42Bの間には、耐熱パッキン49が軸線方向Cに圧縮代された状態で介在している。
上部ブラケット48は、例えばボルト、その他の手段により上部外側保持体47に支持される。また、上部ブラケット48の、把持爪48B、48Bの間に形成される、内筒31の上部内側保持体46を収納する空間の内径は、内筒31の上部内側保持体46の外径よりも大きく、上部ブラケット48の把持爪48Bの内径は、内筒31の外径よりも大きい。そのため、上部ブラケット48と、上部ブラケット48に支持された、内筒31(上部内側保持体46)は、径方向Rに所定の隙間が確保された状態で支持されており、径方向Rに摺動可能である。この径方向Rの摺動も中間ストーク30および連結機構40に熱変形が生じたときに起こる。
一方、中間ストーク30および連結機構40に熱変形が生じなければ、以下のように相対的な移動が制約される。
把持爪48B、48Bと上部内側保持体46の間には、耐熱パッキン49が軸線方向Cに圧縮された状態で介在している。ところが、耐熱パッキン49の軸線方向Cの圧縮代が残された状態であり、かつ、圧縮された耐熱パッキン49により、把持爪48B、48Bと上部内側保持体46との間に、それぞれ、軸線方向Cの所定の押圧力が作用した状態である。この支持形態により、上部ブラケット48と、上部ブラケット48に支持された内筒31(上部内側保持体46)とを、軸線方向Cあるいは径方向Rに相対的に移動させようとする負荷が作用しない限り、この押圧力により、上部ブラケット48及び内筒31(上部内側保持体46)は軸線方向Cの相対的な移動を制約される。また、把持爪48B、48Bと上部内側保持体46との間にそれぞれ作用する軸線方向Cの押圧力に伴う、把持爪48B、48Bと上部内側保持体46との間にそれぞれ作用する摩擦力により、上部ブラケット48及び内筒31(上部内側保持体46)は径方向Rの相対的な移動が制約される。
そして、上部ブラケット48と、上部ブラケット48に支持された内筒31(上部内側保持体46)とを、軸線方向Cあるいは径方向Rに相対的に移動させようとする負荷が作用したとする。この場合は、上部ブラケット48と、上部ブラケット48に支持された内筒31(上部内側保持体46)とは、耐熱パッキン49の軸線方向Cの圧縮代分、軸線方向Cに相互に摺動可能であり、かつ、径方向Rに確保された所定の隙間分、径方向Rに相互に摺動可能である。
上部ブラケット48は、例えばボルト、その他の手段により外筒33の上部外側保持体47により相互に強固に接合される。また、上部ブラケット48の接合片48A、48Aは、例えばボルト、その他の手段により相互に強固に接合される。
[中間ストーク30の配置]
中間ストーク30は、下部連結部41の下部ブラケット44の下端が保持炉10のストーク15の金属材料製のブラケット上面に接している。保持炉10からの軸線方向Cや径方向Rに作用する負荷は、保持炉10の蓋13に固定されるこの金属材料製のブラケットを介して中間ストーク30の金属材料製の下部ブラケット44に伝えられる。
中間ストーク30の内径(RI30)はストーク15の内径(RI18)よりも小さく設定されている。
また、中間ストーク30は、図1に示すように、外筒33の上部外側保持体47が鋳造金型20の固定プラテン25に固定されている。鋳造金型20や固定プラテン25からの軸線方向Cや径方向Rに作用する負荷は、金属材料製の上部ブラケット48や上部外側保持体47に伝えられる。
[中間ストーク30の作用および効果]
次に、鋳造装置1を用いて鋳造する際の中間ストーク30の挙動を説明する。
保持炉10から押し上げられる溶湯Mは中間ストーク30の内筒31を通過して鋳造金型20の金型キャビティに供給される。高温の溶湯Mが中間ストーク30の内筒31を流れるので、中間ストーク30の温度が上昇する。この温度上昇に伴って、中間ストーク30の構成要素である内筒31、外筒33が軸線方向C及び径方向Rに膨張して熱変形が生ずる。また、溶湯が供給された鋳造金型20(特に溶湯とより長く接触する下金型21)や、下金型21が取り付けられる固定プラテン25の温度上昇に伴って、中間ストーク30には、保持炉10および鋳造金型20を構成する周囲部材の熱変形による想定外の方向や大きさの負荷が作用する。中間ストーク30は、これらの熱変形による想定外の方向や大きさの負荷に対応することができる。
はじめに、内筒31と外筒33の熱変形について説明する。
内筒31と外筒33との軸線方向Cの熱変形については、線膨張係数が大きい外筒33の方が内筒31よりも熱変形量が大きい。この内筒31と外筒33との熱変形量の差異は、内筒31と下部内側保持体42の移動可能な嵌合と、連結機構40の下部ブラケット44、上部ブラケット48による、下部内側保持体42、内筒31(上部内側保持体46)の把持構造と、によって吸収される。
下部内側保持体42は、内筒31に嵌合されているとともに、下部ブラケット44を介して外筒33に連結されている。したがって、下部内側保持体42は、内筒31と外筒33の間に軸線方向Cにおける熱変形量の差異があると、軸線方向Cの負荷が作用する。ところが、下部内側保持体42と内筒31は軸線方向Cに相対的に移動可能であるから、この移動によって熱変形量の差異を吸収できる。そのため、内筒31と外筒33の間には軸線方向Cの負荷が作用しない。
また、下部ブラケット44は軸線方向Cに圧縮された状態の耐熱パッキン49を介して把持片42Bを把持し、上部ブラケット48も軸線方向Cに圧縮された状態の耐熱パッキン49を介して内筒31(上部内側保持体46)を把持している。耐熱パッキン49は、それ自身が軸線方向Cに許容量だけ変形が可能であるので、内筒31と外筒33の間に軸線方向Cにおける熱変形量に差異があったとしても、耐熱パッキン49の軸線方向Cの変形によっても熱変形量の差異を吸収できる。
次に、内筒31と外筒33は、径方向Rにも熱変形する。
中間ストーク30おいては、外筒33の方が内筒31よりも熱変形量が大きいので、径方向Rに内筒31、外筒33が熱変形した場合、内筒31と外筒33の間を支持する上部ブラケット48と下部ブラケット44と支持対象から径方向Rに離間するように移動する。具体的には、上部ブラケット48が内筒31の上部内側保持体46に対して径方向Rに離間するように移動し、下部ブラケット44が、下部内側保持体42(把持片42B)に対して径方向Rに離間するように移動する。
連結機構40の下部ブラケット44においては、前述したように、下部連結部41において確保された径方向Rの所定の隙間分、径方向Rに相互に摺動可能であり、下部内側保持体42(把持片42B)が、耐熱パッキン49により軸線方向Cに押圧されているだけなので、下部ブラケット44(把持爪44B、44B)と下部内側保持体42(把持片42B)とは径方向Rに相互に摺動可能である。同様に、上部ブラケット48においては、上部連結部45において確保された径方向Rの所定の隙間分、径方向Rに相互に摺動可能であり、内筒31(上部内側保持体46)が、耐熱パッキン49により軸線方向Cに押圧されているだけなので、上部ブラケット48(把持爪48B、48B)と内筒31(上部内側保持体46)とは径方向Rに相互に摺動可能である。
したがって、外筒33の径方向Rにおける熱変形量が内筒31より大きくても、下部ブラケット44と下部内側保持体42(把持片42B)の間で、また、上部ブラケット48と内筒31(上部内側保持体46)の間で相対移動が許容されるので、これらの間の熱変形量の差異を吸収できる。そのため、内筒31と外筒33の間には径方向Rの負荷が作用しない。
次に、周囲からの負荷への対応について説明する。
上下方向において、中間ストーク30は金属製部材が連続して設けられる。つまり、下方から下部ブラケット44、下部外側保持体43、外筒33、上部外側保持体47および上部ブラケット48が、上下方向に連続している。下部ブラケット44を保持炉10のストーク15を支持する金属製部材からなるブラケットの上面に当接するように中間ストーク30を配置する。また、上部ブラケット48を鋳造金型20の下金型21に当接させるとともに、外筒33の上部外側保持体47を固定プラテン25に固定するように中間ストーク30を配置する。そうすれば、中間ストーク30は、保持炉10および鋳造金型20から受ける負荷を連続する金属製部材で受けることができる。これにより、金属材料よりも機械的強度の低いセラミックス材料からなる内筒31は、周囲から受ける負荷をほとんど受けることがない。
なお、下部内側保持体42と上部ブラケット48の間および上部内側保持体46と上部ブラケット48の間には耐熱パッキン49が設けられている。ところが、耐熱パッキン49が存在したとしても、受ける負荷を連続する金属製部材で受けるという作用に影響を与えない。つまり、当該作用を害さない限り、本実施形態は下部ブラケット44〜上部ブラケット48の間に金属製以外の部材が介在することを許容する。
また、下部ブラケット44と下部内側保持体42が連結され、かつ、上部ブラケット48と内筒31(上部内側保持体46)が連結されているが、介在する耐熱パッキン49が当該負荷を吸収できる。
また、中間ストーク30は、図1に示すように、上部連結部45の上部ブラケット48と下金型21がインロー構造になっており、外筒33の上部外側保持体47の上面と固定プラテン25の上面が面一になるよう構成されている。鋳造金型20の下金型21が直接、固定プラテン25の上面に取り付けられることに対して、固定プラテン25の上面から突出する上部連結部45の上部ブラケット48の上端面と、下金型21下面の、該上部ブラケット48に準じた凹部の底面間には、図2に示すように耐熱パッキン49が圧縮された状態で介在するように構成されている。これも周囲からの熱変形による負荷吸収に寄与する。なお、このインロー構造は、鋳造金型20(下金型21)の固定プラテン25への取付位置が、中間ストーク30の内筒31の開口部と下金型21の湯口22とが精度よく接続されるように再現する位置決め部材として構成されてもよく、さらに、取り付けを容易にするため、上部連結部45の上部ブラケット48の、固定プラテン25の上面からの突出部位を円錐形状にしてもよい。
次に、鋳造装置1が奏する他の作用および効果を説明する。
鋳造装置1は、内筒31の内径(RI31)が、保持炉10に設けられるストーク15の内径(RI15)よりも小さい。つまり、内筒31の内周面の面積を小さくし、結果的に、溶湯Mの流通による内筒31の内周面への酸化物の絶対的な付着量を減少させる。これにより、得られる鋳造物の品質を確保できる。
また、保持炉10の側のストーク15の内周面に酸化物が発生・付着していても、中間ストーク30の内径(RI31)が小さければ、ストーク15からの溶湯の流動の内、ストーク15の内周面に近い側の流動が、内筒31の下方に吻合された下部内側保持体42に衝突して流動方向や流動速度が変化するため、ストーク15の内周面の酸化物が、中間ストーク側に入り込み難くなる。
中間ストーク30は、内筒31と外筒33の間に隙間が設けられている。
この隙間は空気断熱槽として機能するので、内筒31を流れる溶湯Mの温度低下を抑えることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
以上説明した鋳造装置1は、一般的な低圧鋳造法を行うものとして説明したが、本発明にかかる中間ストークは他の鋳造方法に適用することができる。一例として、特許文献3に開示される鋳造方法である。特許文献3の鋳造方法は、金型キャビティ内に溶湯を充填した後のストーク内の溶湯における酸化物の発生を効果的に抑制する。この鋳造方法は、金型キャビティ内の溶湯とストーク側の溶湯とを遮断した後から金型の型開きが終了するまでの間、加圧室との差圧を制御しつつ吹込部から不活性ガスをストークと金型の湯口の間の空間に導入することを特徴とする。つまり、特許文献3の鋳造方法は、金型キャビティが溶湯で満たされた後湯口が閉塞されるため、密閉状態のストーク内に保持された溶解を、ストークの上方から不活性ガスを吹き込んで、ストーク内の溶湯の湯面を、炉内の溶湯内に不活性ガス等を巻き込まないように低速で、炉内加圧室と略同じ湯面高さまで下降させる。なお、特許文献3の鋳造方法は、加圧室に保持されている溶湯に低圧が加えられる点において、低圧鋳造法と共通する。
特許文献3の鋳造方法は、金型キャビティが溶湯で満たされた後湯口が閉塞されるため、密閉状態のストーク内に保持された溶解を、ストークの上方から不活性ガスを吹き込んで、ストーク内の溶湯の湯面を、炉内の溶湯内に不活性ガス等を巻き込まないように低速で、炉内加圧室と略同じ湯面高さまで下降させるための不活性ガスを吹き込むガス流通路を備えるところが一般的な低圧鋳造装置とは異なる。本発明の中間ストークは、この不活性ガスのガス流通路を備えることができる。
図5にその一例を示すが、中間ストーク30の上端の近傍にガス流通路50が設けられている。ガス流通路50は、内筒31の上部内側保持体46および上部ブラケット48を径方向Rに貫通して設けられており、図示を省略するガス供給源と接続され上部ブラケット48の外周面に開口する、径方向Rに少なくとも1つ配置される導入路51と、内筒31の内周面から上部内側保持体46の外周面に連通する、径方向Rに少なくとも1つ配置される吹込路53と、を備える。導入路51と吹込路53とは、できるだけ一直線上に配置されることが好ましい。
なお、図5においては、図2に示されている上部ブラケット48のボルト挿入用の孔の記載を省略して、ガス流通路50が示されている。
また、ガス流通路50は、吹込路53の内部にフィルタ55を備える。フィルタ55は、不活性ガスを通過させて内筒31の内部に供給できるが、鋳造時に内筒31を通過する溶湯Mが吹込路53に浸入するのを防止する機能を有する。
フィルタ55としては、特許文献3に開示されている、円柱状の金属部材と複数の円環状の金属部材とが組み合わせられたフィルタの他に、金属製のガス抜き入子を用いることができる。その他として、多孔質フィルタ、焼結フィルタを用いることができる。焼結フィルタも多孔質である点で多孔質フィルタの範疇に含まれると言えるが、多孔質フィルタは例えば金属製の金網を積層して作製されるのに対して、焼結フィルタは金属粉末を焼結して得られるものであり、粉末を焼結するか否かで両者が区別される。なお、フィルタ55は金属材料で作製されるものに限らず、セラミックス材料で作製できる。
仮に中間ストーク30にガス流通路50を設けないものとすると、固定プラテン25にガス流通路50を設ける必要がある。この場合、金型交換の度、ガス流通路50を取り外す必要がある。この作業は煩雑である。
次に、ここまでは説明していなかったが、図1および図2に示すように、本発明は内筒31の周囲にヒータ35を設けることができる。ヒータ35は、内筒31の内部を流れる溶湯Mが必要な温度を維持させるために、内筒31の温度が低下するのを防ぐ。ここで、溶湯の供給時において、内筒31を構成するセラミックス材料の熱伝導率が高いほど内筒31の温度が下がりやすい。したがって、内筒31に熱伝導率の高いセラミックス材料を用いるときには、ヒータ35を用いることが推奨される。例えば、高温強度および耐熱衝撃性の高い窒化けい素系セラミックス材料は、熱伝導率が高く保温性が劣るので、内筒31を窒化けい素系セラミックス材料で構成する場合には、ヒータ35を用いるのがよい。ヒータ35における加熱手段としては、縦に2分割のヒータやバンドヒータなどの産業機械一般に使用されるものを適用すればよい。
鋳造装置1の中間ストーク30には、先に説明したように、内筒31と外筒33の間に空隙が設けられており、また、下部連結部41または上部連結部45の一方が取り外されていれば下方または上方からのアクセスも可能である。したがって、鋳造装置1の中間ストーク30は、ヒータ35の配置およびメンテナンスに好適である。また、中間ストーク30は、特許文献1、2に開示される二重筒構造の中間ストークと異なり、上記空隙が設けられたことにより、内筒31の外周面に直接、ヒータ35を配置させることができると共に、上記空隙が密閉空間であるため保温・断熱性にすぐれ、また、内筒31の外径が炉側のストーク15よりも小さいため、配置させたヒータ35の加熱効率を向上させることができる。
次に、以上で説明した中間ストーク30の構成は本発明の中間ストークの一例を示しているにすぎない。つまり、本発明は、内筒の軸線方向および径方向の双方に内筒と外筒とが相対的に移動できるように、内筒と外筒とを連結する連結機構を備え、この連結機構が、軸線方向において、金属材料製部材が上下方向に連続する限り、具体的な構成は任意である。以下、いくつかの変形例を説明する。
本実施形態においては、内筒31の下端の近傍にはフランジ状に突き出す下部内側保持体42が設けられ、内筒31の上端の近傍にフランジ状に突き出す上部内側保持体46が設けられている。下部内側保持体42と上部内側保持体46は、内筒31と外筒33の連結に供される部分であるが、必ずしもフランジ状に突き出す必要はない。つまり、図示はしていないが、内筒31の当該部位に円周上に連なる溝を形成する一方、上部ブラケット48をこの溝に挿入される構造にしてもよい。なお、本構造は上部内側保持体46および上部ブラケット48について説明しているが、下部内側保持体42および下部ブラケット44についても同様の構成にできる。つまり、下部内側保持体42、上部内側保持体46と下部ブラケット44、上部ブラケット48の一方が突状をなし他方が溝状をなしていれば、互いの保持を実現できる。
また、鋳造装置1は、上部外側保持体47と把持爪48Bを別体として作製していたが、図示はしていないが、上部ブラケット48の一方の把持爪48Bを上部外側保持体47と一体化させることもできる。
1 鋳造装置
10 保持炉
11 坩堝
13 蓋
15 ストーク
20 鋳造金型
21 下金型
22 湯口
23 上金型
25 固定プラテン
27 可動プラテン
30 中間ストーク
31 内筒
33 外筒
40 連結機構
41 下部連結部
42 下部内側保持体
42A 嵌合筒
42B 把持片
43 下部外側保持体
44 下部ブラケット
44A 接合片
44B 把持爪
45 上部連結部
46 上部内側保持体
47 上部外側保持体
48 上部ブラケット
48A 接合片
48B 把持爪
49 耐熱パッキン
50 ガス流通路
51 導入路
53 吹込路
55 フィルタ
M 溶湯
C 軸線方向
R 径方向

Claims (8)

  1. 保持炉に保持される溶湯を金型キャビティに充填させるよう構成された鋳造装置の中間ストークであって、
    セラミックス材料からなる内筒と、
    前記内筒の周囲に配置される金属材料製の外筒と、
    前記内筒の軸線方向に前記内筒と前記外筒とが相対的に移動できるように、前記内筒と前記外筒とを連結する、金属製部材を含む連結機構と、を備え、
    前記軸線方向において、前記外筒と前記連結機構の前記金属製部材とが上下方向に連続している、
    ことを特徴とする中間ストーク。
  2. 前記連結機構は、下部連結部と上部連結部を備え、
    下部連結部は、前記内筒の下部に設けられる下部内側保持体と、前記外筒の下部に設けられ、前記金属製部材を構成する下部外側保持体と、前記下部内側保持体と前記下部外側保持体を接続し、前記金属製部材を構成する下部ブラケットを備え、
    上部連結部は、前記内筒の上部に設けられる上部内側保持体と、前記外筒の上部に設けられ、前記金属製部材を構成する上部外側保持体と、前記上部内側保持体と前記上部外側保持体を接続し、前記金属製部材を構成する上部ブラケットを備え、
    前記下部内側保持体および前記上部内側保持体の一方または双方が、前記軸線方向に対して前記内筒に摺動可能に嵌合される、
    請求項1に記載の中間ストーク。
  3. 前記外筒と一体をなす前記下部外側保持体が前記下部ブラケットに支持されるとともに、前記下部ブラケットが前記下部内側保持体を把持し、かつ、前記内筒の下端が前記下部内側保持体よりも下方に突き出し、
    前記外筒と一体をなす前記上部外側保持体に支持される、前記上部ブラケットが前記上部内側保持体を把持する、
    請求項2に記載の中間ストーク。
  4. 前記溶湯が浸入するのを防止可能な嵌め合い精度で、前記下部内側保持体が前記内筒に前記軸線方向に摺動可能に嵌合される、
    請求項2または請求項3に記載に中間ストーク。
  5. 前記内筒の内径が、前記保持炉に設けられるストークの内径よりも小さい、
    請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載に中間ストーク。
  6. 前記下部内側保持体および前記上部内側保持体が前記内筒と同じ窒化けい素系セラミックス材料から構成される、
    請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載に中間ストーク。
  7. 前記内筒と前記外筒の間にヒータが配置される、
    請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載に中間ストーク。
  8. 前記内筒、前記上部内側保持体および前記上部ブラケットを前記径方向に貫通するガス流通路と、
    前記ガス流通路に設けられるフィルタと、を備え、
    前記フィルタは、ガスの流通を許容するが、前記溶湯の浸入を防止する、
    請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載の中間ストーク。
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