JP2020005165A - 分散補償システム、および、分散補償方法 - Google Patents
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Abstract
Description
光集線リングシステムは、OLT(Optical Line Terminal)のPONデバイスであるコアノード91と、ONU(Optical Network Unit)のPONデバイスであるアクセスノード92(92a,92b,92c)とが、所定周り(図9では時計回り)のリング網93で接続されて構成される。リング網93は、1リング内に複数ノードが接続される多段ノード接続構成であり、各ノード間は10km〜25km程度離れている。各アクセスノード92から出力されるバースト光信号が時間多重(時分割)され、コアノード91にて一括で受信される。
なお、図示は省略したが、コアノード91はコア網に接続され、コア網とリング網93との中継装置である。同様に、アクセスノード92はアクセス網に接続され、アクセス網とリング網93との中継装置である。
まず、コアノード91の出力先901では、まだ何の信号もリング網93上には流れていない。なお、リング網93上に流れるバースト光信号は、波長多重されており、図9では、3つの波長λ1,λ2,λ3のうちの波長λ1にだけ多重化される例を示す。
次に、アクセスノード92cは、収容するアクセス網から2つの信号W1,W3を受信すると(符号902)、それらの信号をリング網93上に挿入(Add)する。これにより、アクセスノード92cの出力先903では、アクセスノード92cのタイミング制御により、2つの信号W1,W3がそれぞれ別々のタイムスロットに時分割されて流れる。
アクセスノード92aは、収容するアクセス網からの信号がないので、アクセスノード92bの出力先905からの信号をそのままコアノード91に転送する。これにより、コアノード91は、各アクセスノード92から3つの信号W1,W2,W3を受信できる。
コアノード91は、アクセスノード92cが挿入した信号W1と(符号911)、アクセスノード92bが挿入した信号W2と(符号912)、アクセスノード92aが挿入した信号W3と(符号913)をまとめて受信する。ここで、各信号W1〜W3には、波長λ1と、各アクセスノード92からコアノード91までの伝送距離と、に応じた波長分散(以下「分散」とする)が発生する。
バースト光信号に発生してしまった分散の度合いを「分散量」とし、その単位を[ps/nm]とする。psはパルスの広がり(遅延時間)を示し、nmは光信号のスペクトル幅に対応する波長を示す。
メトロ網で使われている代表的なファイバの分散特性を以下に示す。
・シングルモード光ファイバ(SMF:Single Mode Fiber)…1.55[μm]帯で分散特性13.3〜18.6[ps/nm・km](G.652規格)
・分散シフトシングルモード光ファイバ(DSF:Dispersion Shifted Fiber)…1.55[μm]帯で分散特性−2.3〜+2.3[ps/nm・km](G.653規格)
・信号W3の分散量D1=4250[ps/nm]
・信号W2の分散量D2=2125[ps/nm]
・信号W1の分散量D3=425[ps/nm]
これらの各信号W1〜W3が流れるタイムスロットは、10[μs]など非常に短期間であり、その短期間において瞬時に、各信号に適した分散補償量を設定する必要がある。
各ノードは、リング網93から流れてくるバースト光信号を増幅する光アンプと、バースト光信号を分岐してAdd/Dropするためのカプラとを有する(図11では一部を図示省略)。
DCFは、バースト光信号に発生する分散に対して、その分散を相殺するための分散補償量を与えるファイバである。このDCFを各スパンに設けることにより、多くのスパンを経由するバースト光信号ほど、多くの分散補償量が与えられる。つまり、各アクセスノード92からのバースト光信号をコアノード91が一括受信する時に、各アクセスノード92からの伝送距離に応じた分散量を低減できる。
図10の光集線リングシステムにおいて、各アクセスノード92からのバースト光信号を一括受信するコアノード91には、バースト送信器91Txに加え、EDCを用いたバースト受信器91Rxが備えられている。バースト受信器91Rxは、以下の部品を有する。
・APD(avalanche photodiode)は、光信号を電流信号に変換する。
・Burst TIA(Burst Transimpedance Amplifier)は、電流信号を増幅しながら電圧信号に変換する。
・Burst LA(Burst Limiting Amplifier)は、微弱な電圧信号や比較的大きな電圧信号を一定振幅の電圧信号に変換する。
・EDCは、受信光信号を電気信号に変換した後に、波長分散によって劣化した信号波形を補償する。EDCは、分散によって歪みが発生した波形を、分散量に応じた周波数特性で等化するフィルタである。なお、バースト受信器91RxごとにEDCが必要なので、バースト光信号を波長多重するときの波長数が増える程、必要なEDCも増える。
・Burst CDR(Burst Clock and Data Recovery circuit)は、一定振幅の電圧信号のタイミングを抽出してノイズの少ないクロックで波形を整形する。
まず、図11のDCFでは運用面が不充分である。DCFはSMFよりも伝搬ロスが大きいため、スパンごとに補償量を決めるための人手によるリング網93全体の事前設計が必要となってしまう。
本発明は、コアノードとアクセスノードとが光ファイバによるリングネットワークで接続される分散補償システムであって、
前記アクセスノードが、
遅延測定用信号を前記コアノードから受信することで、前記コアノードと前記アクセスノードとの間の遅延を測定する遅延測定部と、
測定された遅延をもとに、前記リングネットワークに向けて送信する前のバースト光信号に与える分散補償量を計算する分散補償量計算部と、
前記送信する前のバースト光信号の波形に対して計算した分散補償量を予等化する逆分散付与部と、を有することを特徴とする。
前記アクセスノードの前記分散補償量計算部が、2つの信号の波長間の中心波長における分散補償量を計算することを特徴とする。
これらの各ノード(コアノード1、アクセスノード2)は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、ハードディスクなどの記憶手段(記憶部)と、ネットワークインタフェースとを有するコンピュータとして構成される。
このコンピュータは、CPUが、メモリ上に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部により構成される制御部(制御手段)を動作させる。
アクセスノード2は、図1のリング網3に接続されるバースト送受信器21(バースト送信器21Tx、バースト受信器21Rx)に加え、ユーザ網内のPCやルータなどの上位レイヤ装置2Rとのインターフェース機能であるUNI部207を有する。さらに、アクセスノード2は、保守部201と、認証部202と、ブリッジ部203と、暗号化部204と、優先制御部205と、PONインターフェース部206とを有する。
認証部102はアクセスノード2を認証し、認証部202はコアノード1を認証する。
ブリッジ部103はサービス網1NSとリング網3とのブリッジ処理を行い、ブリッジ部203はユーザ網とリング網3とのブリッジ処理を行う。
暗号化部104,204は、フレームの暗号・復号処理を行う。
DBA部105は、上り帯域の割当て処理を行う。
優先制御部205は、あらかじめ指定された優先度に基づいてフレームの送出順制御を行う。
・光送受信機能は、リング網3の区間の光信号と装置内の電気信号を変換する。
・SerDes(SERializer/DESerializer)機能は、シリアル・パラレル変換を行う。
・PCS(Physical Coding Sublayer)機能は、通信路符号化および誤り訂正を行う。
・PON制御機能は、MPCP(Multi Point Control Protocol)制御フレームの送受信処理と、論理リンクの状態管理処理と、時刻同期処理とを行う。
逆分散付与部(実部逆分散付与部213I,虚部逆分散付与部213Q)は、平均分散量計算部219から平均分散量の通知を受け、その平均分散量を逆分散の分散補償量として実部データの波形と虚部データの波形とに与える(予等化する)。
・大規模メモリにあらかじめ変換表を格納したルックアップテーブル方式
・複素係数のFIRフィルタを用いて随時計算する方式
そして、高速のDAC(DAC:Digital to Analog Converter)214I,214Qは、予等化された実部データおよび虚部データをそれぞれアナログ電気波形の信号に変換する。光アンプ215I,215Qは、アナログ信号の実部データおよび虚部データをそれぞれ増幅する。
コアノード1は、新規のアクセスノード2に対して、送信タイミングを通知するためのDiscovery GATE信号を送信する(S102)。
コアノード1は、S102への応答として、アクセスノード2からの登録要求を受信すると(S103)、S102の信号送信時からS103の信号受信時までのフレーム往復時間であるRTT(Round Trip Time)を測定して、ノード間の時刻を同期させる。なお、フレーム往復時間の測定および時刻同期は、導通時だけで無くその後も定期的に行われ、線路条件の変化などによりズレが生じた場合には随時補正される。
そして、コアノード1は、新規のアクセスノード2との間のフレーム往復時間(RTT)または距離を通知し(S106)、S104のRegister信号への受信応答であるRegister ACK信号を受信する。
換言すると、遅延測定部218は、最新の遅延データを取得するために、わざわざ新規の測定処理を起動させることなく、既存のディスカバリ処理を活用することで、各ノードの制御処理に追加の負担を与えずに済む。
コアノード1は、パワーの大きい方をλ1、小さい方をλ8としてパワー差を付けた遅延測定用信号であるパルスλ1、λ8を、各アクセスノード2に送信する(S111,詳細は図6)。各アクセスノード2の遅延測定部218は、S111のパルスλ1、λ8の遅延差とパワーとを測定する(S112)。
このP2MPディスカバリでフレーム往復時間(RTT)が測定され、このRTTが前回の測定結果から大きく変化した場合は(S122,Yes)、コアノード1とアクセスノード2との間の経由距離(分散量)が変化したものとして、S111の遅延測定処理に戻る。または、リング網3の伝送路の状態に変化が生じた場合も、S111の遅延測定処理を再度実行してもよい。
コアノード1のバースト送受信器11は、波長ごとの(λ1,…,λ8)送信器Tx−λ1,…,Tx−λ8に加え、λ1とλ8とのパワー差を付けるための固定アッテネータATTが、Tx−λ8の出力部に備えられている。
コアノード1は、最短波長のパルスλ1と最長波長のパルスλ8とを下り信号としてアクセスノード2に送信する。そして、リング網3を介してアクセスノード2に送信されたパルスλ1、λ8は、アクセスノード2の遅延測定部218により遅延時間Δτが測定される。
ある中心波長λc[nm]における分散特性Dλc[ps/nm・km]は、計算式「Dλc×L=Δτ/Δλ」で求まる。なお、Lはスパン距離[km]であり、τは群遅延[ps]である。なお、図7の直線D(λ)は、以下の式2である。
なお、式2は、計算式「Δτ/Δλ=(τn−τk)/(λn−λk)」に変換できる。よって、λnとλkの光到達遅延差を測定することによって、λnとλkとの平均分散量(=λcのときの分散量)をτmとして導出することができる。
本実施形態では、C帯8波を補償対象としており、分散量の波長依存性は大きくないため、λcの際の分散補償量で充分に補償可能である。つまり、平均分散量計算部219は、以下の式により、2つの波長の平均分散量を導出する。
(平均分散量)=(遅延時間Δτ[ps])/(λ1−λ8[nm])
これにより、適切な分散補償量を得たバースト光信号が送信されるとともに、分散補償量を事前に想定したネットワーク設計をしなくて済むため、運用コストも削減できる。
2 アクセスノード
3 リング網
11 バースト送受信器
21 バースト送受信器
21Tx バースト送信器
21Rx バースト受信器
101 保守部
102 認証部
103 ブリッジ部
104 暗号化部
105 DBA部
106 PONインターフェース部
107 SNI部
201 保守部
202 認証部
203 ブリッジ部
204 暗号化部
205 優先制御部
206 PONインターフェース部
207 UNI部
210 プリ分散付与部
211 実部/虚部変換部
212 分散推定部
213I 実部逆分散付与部(逆分散付与部)
213Q 虚部逆分散付与部(逆分散付与部)
214 DAC
215I 光アンプ
215Q 光アンプ
216 IQ変調器
218 遅延測定部
219 平均分散量計算部(分散補償量計算部)
221 波長可変LD
222 LD Driver
Claims (4)
- コアノードとアクセスノードとが光ファイバによるリングネットワークで接続される分散補償システムであって、
前記アクセスノードは、
遅延測定用信号を前記コアノードから受信することで、前記コアノードと前記アクセスノードとの間の遅延を測定する遅延測定部と、
測定された遅延をもとに、前記リングネットワークに向けて送信する前のバースト光信号に与える分散補償量を計算する分散補償量計算部と、
前記送信する前のバースト光信号の波形に対して計算した分散補償量を予等化する逆分散付与部と、を有することを特徴とする
分散補償システム。 - 前記コアノードは、複数の波長およびパワーが異なる2つの信号を前記遅延測定用信号として、前記アクセスノードに送信し、
前記アクセスノードの前記分散補償量計算部は、2つの信号の波長間の中心波長における分散補償量を計算することを特徴とする
請求項1に記載の分散補償システム。 - 前記アクセスノードの前記遅延測定部は、前記コアノードと前記アクセスノードとの間の遅延として、新たな前記アクセスノードが前記リングネットワークに接続されることで起動するディスカバリ処理において前記コアノードと間で時刻同期用に測定した遅延を用いることを特徴とする
請求項1に記載の分散補償システム。 - コアノードとアクセスノードとが光ファイバによるリングネットワークで接続される分散補償システムにより実行される分散補償方法であって、
前記アクセスノードは、遅延測定部と、分散補償量計算部と、逆分散付与部と、を有しており、
前記遅延測定部は、遅延測定用信号を前記コアノードから受信することで、前記コアノードと前記アクセスノードとの間の遅延を測定し、
前記分散補償量計算部は、測定された遅延をもとに、前記リングネットワークに向けて送信する前のバースト光信号に与える分散補償量を計算し、
前記逆分散付与部は、前記送信する前のバースト光信号の波形に対して計算した分散補償量を予等化することを特徴とする
分散補償方法。
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