JP2020004569A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な輝度効率及び輝度を示すことができる有機EL素子を提供する。【解決手段】基礎有機エレクトロルミネッセンス素子と、素子に対して、金属系粒子集合体層50とを含み、金属系粒子集合体層50は30個以上の金属系粒子51が互いに離間して二次元的に配置されて、金属系粒子51の平均粒径が200〜1600nm、平均高さが55〜500nm、アスペクト比が1〜8、隣り合う金属系粒子51間の平均距離が1〜150nm、の各々範囲内であり、基礎有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード層10、有機発光材料を含有する発光層20及びアノード層30をこの順に含み、かつカソード層10側からの発光の強度Aとアノード層30側からの発光の強度Bとの比が0.2以上であり、カソード層10とアノード層30との間に微小共振器構造を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)に関する。
金属粒子をナノサイズにまで微細化すると、バルク状態では見られなかった機能を発現するようになることが従来知られており、中でも応用が期待されているのが「局在プラズモン共鳴」である。プラズモンとは、金属ナノ構造体中の自由電子の集団的な振動によって生起する自由電子の粗密波のことである。
近年、上記プラズモンを扱う技術分野は、「プラズモニクス」と呼ばれ大きな注目を集めているとともに活発な研究が行われており、かかる研究は、金属ナノ粒子の局在プラズモン共鳴現象を利用した発光素子の発光効率向上を目的とするものを含む。
例えば、特許文献1には、局在プラズモン共鳴現象を利用して蛍光を増強させる技術及び該技術を用いた光励起発光素子が開示されている。特許文献2には、金属系粒子集合体のプラズモン共鳴を利用した有機EL素子が開示されている。非特許文献1には、銀ナノ粒子による局在プラズモン共鳴に関する研究及び局在プラズモン共鳴を利用して発光を増強させた単分子膜を発光層とする光励起発光素子が示されている。
特開2007−139540号公報 特開2013−179017号公報
T. Fukuura and M. Kawasaki, "Long Range Enhancement of Molecular Fluorescence by Closely Packed Submicro-scale Ag Islands", e-Journal of Surface Science and Nanotechnology, 2009, 7, 653
しかし、特許文献2に記載の有機EL素子は、金属系粒子集合体を有しない有機EL素子に比べて高い輝度効率及び輝度を示すが、さらに改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、良好な輝度効率及び輝度を示すことができる有機EL素子を提供することにある。
本発明は、以下に示す有機EL素子及び有機EL素子の発光増強方法を提供する。
[1] 基礎有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記基礎有機エレクトロルミネッセンス素子に対して付設される金属系粒子集合体層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記金属系粒子集合体層は、30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなり、前記金属系粒子の平均粒径が200nm以上1600nm以下の範囲内であり、平均高さが55nm以上500nm以下の範囲内であり、前記平均高さに対する前記平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1以上8以下の範囲内であり、隣り合う金属系粒子間の平均距離が1nm以上150nm以下の範囲内であり、
前記基礎有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード層、有機発光材料を含有する発光層及びアノード層をこの順に含み、
前記基礎有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記カソード層側からの発光の強度Aと前記アノード層側からの発光の強度Bとの比A/Bが0.2以上であり、
前記カソード層と前記アノード層との間の光学的共振器長M(nm)が、いずれかの自然数mにおいて下記式(1)を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子。

[式中、
Mは、前記カソード層と前記アノード層との間の光学的共振器長(nm)を表す。
mは、任意の自然数を表す。
λは、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルの最大ピークにおける極大波長(nm)を表す。]
[2] 前記カソード層、前記発光層、前記アノード層及び前記金属系粒子集合体層をこの順に含む、[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[3] 前記カソード層、前記発光層、前記アノード層、前記金属系粒子集合体層及び基板をこの順に含む、[1]又は[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[4] 前記アノード層と前記金属系粒子集合体層との間に絶縁層をさらに含む、[2]又は[3]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[5] 前記金属系粒子が、紫外〜可視光領域においてプラズモン共鳴可能な金属系材料で構成されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[6] 前記発光層の厚みが10nm以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[7] 前記アスペクト比が1を超える、[1]〜[6]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
良好な輝度効率及び輝度を示すことができる有機EL素子を提供することができる。
本発明に係る有機EL素子は、ディスプレイ(画像表示装置)や照明装置に好適に適用することができる。
本発明に係る有機EL素子の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機EL素子の他の一例を模式的に示す断面図である。 実験例1で得られた積層体における金属系粒子集合体層を直上から見たときのSEM画像(10000倍及び50000倍スケール)である。 実験例1で得られた積層体における金属系粒子集合体層のAFM画像である。 実験例1、実験例2及び実験例3で得られた積層体の吸光スペクトルである。
<有機EL素子>
本発明に係る有機EL素子は、基礎有機エレクトロルミネッセンス素子と、基礎有機エレクトロルミネッセンス素子に対して付設される金属系粒子集合体層とを含む。
基礎有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード層、有機発光材料を含有する発光層及びアノード層をこの順に含む。
以下、実施の形態を示して、本発明をより詳細に説明する。
(1)有機EL素子の構造
図1は、本発明に係る有機EL素子の一例を模式的に示す断面図である。図1に示される有機EL素子1は、カソード層(カソード電極)10;有機発光材料を含有する発光層20;アノード層(アノード電極)30;絶縁層40;金属系粒子集合体層50をこの順に含む。金属系粒子集合体層50は、30個以上の金属系粒子51が互いに離間して二次元的に配置されてなる層である。
有機EL素子1において、基礎有機EL素子は、カソード層10、発光層20、アノード層30及び絶縁層40からなる。
有機EL素子1において、光は、少なくともカソード層10側から取り出され、通常はカソード層10側及びアノード層30側の両面から取り出される。ただし、後述のように、カソード層10側からの発光の強度Aとアノード層30側からの発光の強度Bとは、所定の関係を有する。
本発明に係る有機EL素子は、他の構成要素を含んでいてもよい。例えば、本発明に係る有機EL素子は、図2に示される有機EL素子2のように、金属系粒子集合体層50における絶縁層40とは反対側に配置され、金属系粒子集合体層50を支持するための基板(支持基板)60を含んでいてもよい。
また、本発明に係る有機EL素子は、カソード層10とアノード層30との間に配置される、発光層20以外の他の層を1種以上含むことができる。他の層の具体例については後述する。
本発明に係る有機EL素子に含まれる基礎有機エレクトロルミネッセンス素子において、カソード層10側からの発光の強度Aとアノード層30側からの発光の強度Bとは、所定の関係を有する。具体的には、基礎有機エレクトロルミネッセンス素子において、カソード層10側からの発光の強度Aとアノード層30側からの発光の強度Bとの比A/Bは、通常0.2以上、好ましくは0.22以上、より好ましくは0.23以上、さらに好ましくは0.24以上である。
有機EL素子における金属系粒子集合体層50の位置は、カソード層10側からの発光の強度Aを高める観点から、カソード層10側からの発光が金属系粒子集合体層50によって吸収されることがないように、アノード層30における発光層20とは反対側に配置されることが好ましい。本発明に係る有機EL素子において、より好ましくは、カソード層10、発光層20、アノード層30及び金属系粒子集合体層50がこの順に配置され、さらに好ましくは、カソード層10、発光層20、アノード層30、絶縁層40及び金属系粒子集合体層50がこの順に配置される。図2に示される有機EL素子2のように、金属系粒子集合体層50を支持するための基板60が含まれる場合、カソード層10、発光層20、アノード層30、絶縁層40、金属系粒子集合体層50及び基板60がこの順に配置されることが好ましい。
以下、有機EL素子を構成する各層について説明する。
(2)金属系粒子集合体層
金属系粒子集合体層50は、30個以上の金属系粒子51が互いに離間して二次元的に配置されてなる層である。
金属系粒子集合体層50は、有機EL素子の発光増強に特に有利な所定形状の金属系粒子集合体からなる層である。すなわち、金属系粒子集合体層50を構成する金属系粒子51の平均粒径は200nm以上1600nm以下の範囲内、平均高さは55nm以上500nm以下の範囲内、平均高さに対する平均粒径の比で定義されるアスペクト比は1以上8以下の範囲内であり、かつ、隣り合う金属系粒子51間の平均距離(以下、「平均粒子間距離」ともいう。)は1nm以上150nm以下の範囲内である。
上記所定の構造を有する金属系粒子集合体層50は、強いプラズモン共鳴を示すことができるため、これを含む有機EL素子において、発光層20の発光を効果的に増強させることができ、これにより有機EL素子の輝度効率及び輝度を向上させることができる。
金属系粒子集合体層50が示すプラズモン共鳴の強さは、特定波長における個々の金属系粒子51が示す局在プラズモン共鳴の単なる総和ではなく、それ以上の強さである。すなわち、30個以上の所定形状の金属系粒子51が所定の平均粒子間距離で密に配置されることにより、個々の金属系粒子51が相互作用して強いプラズモン共鳴が発現する。これは、金属系粒子51の局在プラズモン間の相互作用により発現したものと考えられる。
一般的に、プラズモン材料は、吸光光度法で吸光スペクトルを測定したとき、紫外〜可視光領域におけるピークとしてプラズモン共鳴ピーク(以下、「プラズモンピーク」ともいう。)が観測され、このプラズモンピークの極大波長における吸光度値の大小から、そのプラズモン材料のプラズモン共鳴の強さを略式に評価することができる。
上記所定の構造を有する金属系粒子集合体層50は、これをガラス基板上に積層した状態で吸光光度法により吸光スペクトルを測定したとき、紫外〜可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長における吸光度が1以上、さらには1.5以上、なおさらには2程度となり得る。
金属系粒子集合体層50の吸光スペクトルは、ガラス基板上に形成したものを測定サンプルとして、吸光光度法によって測定することができる。具体的には、吸光スペクトルは、金属系粒子集合体層50が積層されたガラス基板の裏面側(金属系粒子集合体層50とは反対側)であって、基板面に垂直な方向から紫外〜可視光領域の入射光を照射し、金属系粒子集合体層50側に透過した全方向における透過光の強度Iと、該測定サンプルの基板と同じ厚み及び同じ材質の基板であって、金属系粒子集合体層50が積層されていない基板の面に垂直な方向から先と同じ入射光を照射し、入射面の反対側から透過した全方向における透過光の強度Iとを、それぞれ積分球分光光度計を用いて測定することにより得られる。このとき、吸光スペクトルの縦軸である吸光度は、下記式:
吸光度=−log10(I/I
で表される。
吸光スペクトルは、一般の分光光度計を用いて測定することができる。
また、紫外〜可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長やその吸光度を測定するにあたっては、対物レンズと分光光度計を用い、測定視野を絞って吸光スペクトル測定を行ってもよい。
従来のプラズモン材料(金属ナノ粒子又はその集合体)の局在プラズモン共鳴現象を利用した発光増強においては、局在プラズモン共鳴の作用範囲が金属ナノ粒子表面から10nm以下と極めて狭い範囲内に限定されるという問題があった。これは、金属ナノ粒子と励起される分子との距離を大きくしていくと、局在プラズモン共鳴が有効に影響しなくなることによって有機EL素子に対する発光増強効果は徐々に弱まり、フェルスター機構のエネルギー移動が発現する範囲(1nm〜10nm)を超えると、発光増強効果をほとんど得ることができなかったためである。
例えば上記特許文献1には、互いに独立する多数の平板状金属粒子からなる粒子集合体を、局在プラズモン共鳴現象を利用して蛍光増強素子として用いることが開示されているが、この発光増強方法においても、効果的な発光増強効果を得るために有効な金属ナノ粒子と励起される分子との間の距離は10nm以下とされている。
従って、従来の金属ナノ粒子又はその集合体の局在プラズモン共鳴現象を利用した有機EL素子の発光増強効果は、局在プラズモン共鳴の作用範囲の制限のために必ずしも十分満足のいくものではなかった。例えば、有機EL素子が厚み数十nm又はそれ以上の発光層を有している場合には、仮に金属ナノ粒子を発光層に近接、あるいは内在させて配置することができたとしても、局在プラズモン共鳴による直接的な発光増強効果は、発光層の一部でしか得ることができないため、輝度効率及び輝度の向上効果は部分的なものであった。
これに対して、上記所定の構造を有する金属系粒子集合体層50は、これを構成する金属系粒子51が、一般に発光増強効果が小さくなると考えられている比較的大粒径の粒子であるにもかかわらず(特許文献1の段落0010及び0011参照)、特定の形状を有する金属系粒子51が特定の平均粒子間距離で離間して配置されていることに起因して、強いプラズモン共鳴を示すとともに、伸長されたプラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)を示す。
上記所定の構造を有する金属系粒子集合体層50によれば、従来では概ねフェルスター距離の範囲内(約10nm以下)に限定されていたプラズモン共鳴の作用範囲を、例えば数百nm程度まで伸長することができる。この作用範囲の伸長によって、発光層20の厚みが大きい場合や、金属系粒子集合体層50を配置する位置が発光層20から離れている場合であっても発光層20の全体を増強させることが可能になり、これにより有機EL素子の輝度効率及び輝度を向上させることができる。
上記のようなプラズモン共鳴の作用範囲の伸長効果もまた、30個以上の所定形状の金属系粒子51を所定間隔で密に配置したことによって生じた金属系粒子51の局在プラズモン間の相互作用により発現したものと考えられる。
上記所定の構造を有する金属系粒子集合体層50は、強いプラズモン共鳴を示し、さらにはプラズモン共鳴の作用範囲が伸長されているため、例えば、10nm以上、さらには20nm以上、なおさらには30nm以上の厚みを有する発光層20の全体を増強させる能力を有し得る。
また、例えば10nm以上、さらには数十nm(例えば20nm、30nm又は40nm)以上、なおさらには数百nm以上離れた位置に配置された発光層20をも発光増強させる能力を有し得る。
また、上記所定の構造を有する金属系粒子集合体層50は、紫外〜可視光領域における吸光スペクトルにおいて、金属系粒子51の平均粒径及び平均粒子間距離に依存して、プラズモンピークの極大波長が特異なシフトを示し得る。
具体的には、平均粒子間距離を一定にして金属系粒子51の平均粒径を大きくするに従い、紫外〜可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長が短波長側にシフト(ブルーシフト)する。同様に、金属系粒子51が比較的大型である場合において、金属系粒子51の平均粒径を一定にして平均粒子間距離を小さくするに従い(金属系粒子51をより密に配置すると)、紫外〜可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長が短波長側にシフトする。この特異な現象は、プラズモン材料に関して一般的に認められているミー散乱理論〔この理論に従えば、粒径が大きくなるとプラズモンピークの極大波長は長波長側にシフト(レッドシフト)する。〕に反するものである。
上記のような特異なブルーシフトもまた、特定の形状を有する金属系粒子51が特定の平均粒子間距離で離間して配置されていることに伴い、金属系粒子51の局在プラズモン間の相互作用が生じていることによるものと考えられる。
金属系粒子集合体層50(ガラス基板上に積層した状態)は、金属系粒子51の形状や平均粒子間距離に応じて、吸光光度法によって測定される紫外〜可視光領域における吸光スペクトルにおいて、最も長波長側にあるプラズモンピークが、例えば350nm以上550nm以下又は350nm以上500nm以下の波長領域に極大波長を示し得る。また、金属系粒子集合体層50は、金属系粒子51が十分に長い粒子間距離(例えば1μm)を置いて配置される場合と比較して、典型的には30nm以上500nm以下(例えば30nm以上250nm以下)のブルーシフトを生じ得る。
このような、従来のものと比べてプラズモンピークの極大波長がブルーシフトしている金属系粒子集合体層50、例えば青色又はその近傍の波長領域にプラズモンピークを有する金属系粒子集合体層50は、励起光源に紫外光又は紫色光を用い、青色又はその近傍の波長領域の発光を生じる有機発光材料を含む発光層20を用いる場合にとりわけ有用である。すなわち、青色又はその近傍の波長領域の発光を効果的に増強させることができる。
次に、金属系粒子集合体層50の具体的構成についてより詳細に説明する。
金属系粒子51を構成する金属系材料は、紫外〜可視光領域においてプラズモン共鳴可能な材料である。紫外〜可視光領域においてプラズモン共鳴可能な材料とは、ナノ粒子又はその集合体としたときに、吸光光度法による吸光スペクトル測定において紫外〜可視光領域に現れるプラズモンピークを示す材料であることを意味する。
紫外〜可視光領域においてプラズモン共鳴可能な金属系材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属;アルミニウム、タンタル等の貴金属以外の金属;該貴金属及び貴金属以外の金属から選択される金属を含有する合金;該貴金属及び貴金属以外の金属から選択される金属を含む金属化合物(金属酸化物や金属塩等)が挙げられる。中でも、紫外〜可視光領域においてプラズモン共鳴可能な金属系材料としては、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属が好ましく、安価で吸収が小さい(可視光波長において誘電関数の虚部が小さい)という観点からは銀であることがより好ましい。
金属系粒子51の平均粒径は200nm以上1600nm以下の範囲内であり、発光層20の発光を増強させる効果を効果的に得るために、好ましくは200nm以上1200nm以下、より好ましくは250nm以上500nm以下、さらに好ましくは300nm以上500nm以下の範囲内である。
金属系粒子51の平均粒径は、金属系粒子51を構成する金属系材料の種類に応じて適切に選択されることが好ましい。
金属系粒子51の平均粒径とは、二次元的に金属系粒子51が配置された金属系粒子集合体層50の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、各粒子像内に無作為に接線径を5本引き(ただし、接線径となる直線はいずれも粒子像内部のみを通ることができ、このうち1本は粒子内部のみ通り、最も長く引ける直線であるものとする)、その平均値(以下、この平均値を「接線径平均値」ともいう。)を各粒子の粒径としたときの、選択した10個の粒子についての粒径の平均値である。接線径とは、粒子の輪郭(投影像)をこれに接する2本の平行線で挟んだときの間隔(日刊工業新聞社 「粒子計測技術」,1994,第5頁)を結ぶ垂線と定義する。
平均粒径の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM−5500」を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1〜1280から10個の乱数(x、x、x、x、x、x、x、x、x、x10)、1〜960から10個の乱数(y、y、y、y、y、y、y、y、y、y10)をそれぞれ得る。得られた各10個の乱数から10組の乱数組み合わせ(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)及び(x10,y10)を得る。1〜1280から発生させた乱数の数値をx座標、1〜960から発生させた乱数の数値をy座標として、10組の座標点(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)及び(x10,y10)を得る。そして、当該座標点を含む合計10個の粒子像のそれぞれについて上記の接線径平均値を得、次いで当該10個の接線径平均値の平均値として平均粒径を得る。10組の乱数組み合わせである10個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、10個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子51の平均高さは、55nm以上500nm以下の範囲内であり、発光層20の発光を増強させる効果を効果的に得るために、好ましくは55nm以上300nm以下、より好ましくは70nm以上150nm以下の範囲内である。金属系粒子51の平均高さとは、金属系粒子集合体層50のAFM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、これら10個の粒子の高さを測定したときの、10個の測定値の平均値である。
金属系粒子51のアスペクト比は1以上8以下の範囲内であり、発光層20の発光を増強させる効果を効果的に得るために、好ましくは2以上8以下、より好ましくは2.5以上8以下の範囲内である。金属系粒子51のアスペクト比は、上記平均高さに対する上記平均粒径の比(平均粒径/平均高さ)で定義される。金属系粒子51は真球状であってもよいが、発光層20の発光を増強させる効果を効果的に得るために、アスペクト比が1を超える扁平形状を有していることが好ましい。
金属系粒子51は、効果の高いプラズモンを励起する観点から、その表面が滑らかな曲面からなることが好ましく、とりわけ表面が滑らかな曲面からなる扁平形状を有していることがより好ましいが、表面に微小な凹凸(粗さ)を幾分含んでいてもよく、このような意味において金属系粒子51は不定形であってもよい。
金属系粒子集合体層50の面内におけるプラズモン共鳴の強さの均一性に鑑み、金属系粒子51間のサイズのバラツキはできるだけ小さいことが好ましい。ただし、粒径に多少バラツキが生じたとしても、大型粒子間の距離が大きくなることは好ましくなく、その間を小型の粒子が埋めることで大型粒子間の相互作用を発現しやすくすることが好ましい。
金属系粒子集合体層50において金属系粒子51は、その隣り合う金属系粒子51との平均距離(平均粒子間距離)が1nm以上150nm以下の範囲内となるように配置される。このように金属系粒子51を密に配置することにより、強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の伸長等の効果を発現させることができる。
平均粒子間距離は、発光層20の発光を増強させる効果を効果的に得るために、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは1nm以上50nm以下、さらに好ましくは1nm以上20nm以下の範囲内である。平均粒子間距離が1nm未満であると、粒子間でデクスター機構に基づく電子移動が生じ、局在プラズモンの失活の点で不利となる。
金属系粒子51が互いに離間して配置されている金属系粒子集合体層50は、当該層として導電性を示さないものであることが好ましく、具体的には、金属系粒子集合体層50にマルチメーター〔テスター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕の一対のテスタープローブを10mm〜15mm離して接触させたとき、レンジ設定「30MΩ」のときに、当該測定条件にて抵抗値が30MΩ以上である結果、「オーバーロード」と表示されることが好ましい。
一部もしくは全ての金属系粒子51間で電子の授受が可能であると、プラズモン共鳴効果が低減する傾向にある。従って、金属系粒子51間は確実に離間されており、金属系粒子51間には導電性物質が介在されないことが好ましい。
平均粒子間距離とは、二次元的に金属系粒子51が配置された金属系粒子集合体層50の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を30個選択し、選択したそれぞれの粒子について、隣り合う粒子との粒子間距離を求めたときの、これら30個の粒子の粒子間距離の平均値である。隣り合う粒子との粒子間距離とは、すべての隣り合う粒子との距離(表面同士間の距離である)をそれぞれ測定し、これらを平均した値である。
平均粒子間距離の測定方法についてより具体的に説明すると、まずSEM観察画像は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JSM−5500」を用いて測定する。次いで、得られた観察画像を、アメリカ国立衛生研究所製のフリー画像処理ソフト「ImageJ」を用いて横1280ピクセル×縦960ピクセルで読み込む。次に、Microsoft社製の表計算ソフト「Excel」の乱数発生関数「RANDBETWEEN」を用いて、1〜1280から30個の乱数(x〜x30)、1〜960から30個の乱数(y〜y30)をそれぞれ得る。得られた各30個の乱数から30組の乱数組み合わせ(x,y)から(x30,y30)を得る。1〜1280から発生させた乱数の数値をx座標、1〜960から発生させた乱数の数値をy座標として、30組の座標点(x,y)〜(x30,y30)を得る。そして、当該座標点を含む合計30個の粒子像のそれぞれについて、当該粒子と隣り合う粒子との粒子間距離を得、次いで当該30個の隣り合う粒子との粒子間距離の平均値として平均粒子間距離を得る。30組の乱数組み合わせである30個の座標点の少なくともいずれか1つが粒子像内に含まれない場合、あるいは同一粒子内に2つ以上の座標点が含まれる場合には、この乱数組み合わせを破棄し、30個の座標点がすべて異なる粒子像内に含まれるまで乱数発生を繰り返す。
金属系粒子集合体層50に含まれる金属系粒子51の数は30個以上であり、好ましくは50個以上である。金属系粒子51を30個以上含む粒子集合体を形成することにより、金属系粒子51の局在プラズモン間の相互作用によって強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の伸長が発現する。
有機EL素子の一般的な素子面積に照らせば、金属系粒子集合体層50に含まれる金属系粒子51の数は、例えば300個以上、さらには17500個以上となり得る。金属系粒子集合体層50における金属系粒子51の数密度は、7個/μm以上であることが好ましく、15個/μm以上であることがより好ましい。
本発明に係る有機EL素子において、金属系粒子集合体層50は、図2に示されるように、基板(支持基板)60上に金属系粒子集合体層50が積層された積層体として有機EL素子に組み込まれてもよい。有機EL素子において、基板60は、金属系粒子集合体層50における発光層20側とは反対側に配置される。金属系粒子集合体層50を形成するために製法上用いることができる形成用基板を、基板60としてそのまま用いることもできる。
上記積層体において、金属系粒子集合体層50は、基板60上に直接積層されることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子に含まれる金属系粒子集合体層50において、金属系粒子51間は互いに絶縁されている、換言すれば、隣り合う金属系粒子51との間に関して非導電性であることが好ましい。
一部もしくは全ての金属系粒子51間で電子の授受が可能であると、プラズモン共鳴効果が低減する傾向にある。従って、基板60上に金属系粒子集合体層50が積層された積層体が有機EL素子に組み込まれる場合、基板60は、非導電性材料からなることが好ましい。
基板60を構成する非導電性材料としては、マイカ、SiO、ZrO、ガラス等の無機絶縁材料、熱可塑性樹脂等が挙げられる。金属系粒子集合体層50が形成される基板60の表面は、平滑であることが好ましい。
基板60は、透光性を有する基板又は光学的に透明な基板であってもよいし、非透光性(光吸収性)であってもよい。
アノード層30側から光を取り出す場合、基板60は、透光性を有する基板又は光学的に透明な基板であることが好ましい。この場合、基板60は、発光層20から出射される光に関して、80%以上の光透過率を有することが好ましく、90%以上の光透過率を有することがより好ましい。
基板60の厚みは特に制限されず、例えば10μm以上10mm以下であり、好ましくは20μm以上5mm以下であり、さらに好ましくは30μm以上1mm以下である。
本発明に係る有機EL素子において、金属系粒子51の表面を覆う、あるいはさらに金属系粒子51間の間隙を埋める保護層を設けてもよい。金属系粒子51間の電気的絶縁性を確保するために、保護層は、絶縁材料からなることが好ましい。保護層を構成する絶縁材料については、絶縁層40を構成する絶縁材料についての後述の記述が引用される。
図1に示されるように、後述する絶縁層40が上記保護層を兼ねていてもよい。
発光層20から出射される光の極大発光波長は、金属系粒子集合体層50のプラズモンピークの極大波長と一致するか又は近いことが好ましい。これにより、プラズモン共鳴による増強効果をより効果的に高めることができる。金属系粒子集合体層50のプラズモンピークの極大波長は、これを構成する金属系粒子61の構成材料、平均粒径、平均高さ、アスペクト比及び/又は平均粒子間距離の調整により制御可能である。
金属系粒子集合体層50は、例えば次のような方法によって作製することができる。
〔a〕基板(例えば基板60)上において微小な種(seed)から金属系粒子51を成長させていくボトムアップ法、
〔b〕所定の形状を有する金属系粒子51を所定の厚みを有する両親媒性材料からなる保護層で被覆した後、LB(Langmuir Blodgett)膜法により、これを基板(例えば基板60)上にフィルム化する方法、
〔c〕その他、蒸着又はスパッタリングにより作製した薄膜を後処理する方法、レジスト加工、エッチング加工、金属系粒子が分散された分散液を用いたキャスト法など。
例えば国際公開第2013/042449号には、上記〔a〕の一例として、スパッタンリング等により金属系粒子を基板上に成長させる製造方法が記載されている。また例えば国際公開第2014/045852号には、上記〔c〕の一例として、金属系粒子が分散された分散液を基板上に塗布し、得られた薄膜を金属系粒子集合体層へ形態変化させる製造方法が記載されている。本発明においても、これらの製造方法を好適に用いることができる。また、上記〔a〕の他の例として、金属系粒子を構成する金属カチオンを含む液体に基板を接触させた状態で金属カチオンを還元し、これにより金属系粒子集合体層を基板上に形成する方法を挙げることもできる。
(3)カソード層及びアノード層
本発明に係る有機EL素子は、微小共振器(マイクロキャビティ)構造を有する。このために、カソード層10及びアノード層30は、発光層20が発する光に関して、通常、反射性能を有する。
カソード層10を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表13族金属等が挙げられ、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、ランタノイド元素等の金属;前記金属から選択される2種以上の合金;前記金属から選択される1種以上と、金、銀、白金、銅、パラジウム、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル及びタングステンから選択される1種との合金;金、白金、銀、銅;酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO);ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物;又は、グラファイトもしくはグラファイト層間化合物が好ましい。
上記合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
カソード層10は、異種材料からなる2層以上の多層構造であってもよい。
カソード層10の厚みは、通常1nm以上500nm以下であり、好ましくは5nm以上60nm以下であり、より好ましくは10nm以上40nm以下である。
カソード層10の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法及び塗布法等が挙げられる。塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びインクジェットプリント法等が挙げられる。
アノード層30を構成する材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、金、白金、銀、及び銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好適に用いられる。アノード層30として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物の透明導電膜を用いてもよい。
アノード層30は、異種材料からなる2層以上の多層構造であってもよい。
アノード層30の厚みは、例えば1nm以上200nm以下であり、好ましくは5nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。
アノード層30の形成方法としては、カソード層10の形成方法と同様の方法が挙げられる。
本発明に係る有機EL素子は、カソード層10とアノード層30との間の光学的共振器長M(nm)が、いずれかの自然数mにおいて上記式(1)を満たす。上記式(1)を満たすことにより、微小共振器(マイクロキャビティ)構造を含むことに起因する輝度効率及び輝度の向上効果を得ることができる。
輝度効率及び輝度を向上させる観点から、本発明に係る有機EL素子は、光学的共振器長M(nm)が、いずれかの自然数mにおいて、好ましくは式(2)を満たし、より好ましくは式(3)を満たし、さらに好ましくは式(4)を満たし、なおさらに好ましくは式(5)を満たし、特に好ましくは式(6)を満たす。式(2)〜式(6)において、m及びλの意味は、式(1)における意味と同じである。
式(1)〜式(6)において、カソード層10とアノード層30との間の光学的共振器長M(nm)は、下記式で表される。
式(7)中、M1は、カソード層10とアノード層30との間の光学光路長(すなわち、カソード層10とアノード層30との間に介在する各層の光学光路長(nm)の総和)であり、式(8)で表される。式(8)中、λは式(1)における意味と同じであり、n(λ)は波長がλ(nm)である光についての、上記各層のそれぞれの屈折率を表し、Lは上記各層のそれぞれの厚み(nm)を表す。
式(7)中、M2は、カソード層10とアノード層30との間に介在する各層の界面で光が反射するときに生じる位相シフト(nm)の総和であり、式(9)で表される。式(9)中、λは式(1)における意味と同じであり、nは反射面に対して光入射・反射側の物質の屈折率の実部を表し、nは反射面に対して光入射・反射側と逆側の物質の屈折率の実部を表し、kは反射面に対して光入射・反射側と逆側の物質の屈折率の虚部を表す。
カソード層10とアノード層30との間の光学的共振器長Mは、カソード層10とアノード層30との間に介在する1以上の層の屈折率(材質)及び/又は厚みを調整することによって制御できる。
(4)発光層
発光層20は発光する機能を有する層であり、有機発光材料を含有する。発光層20は、当該分野において従来公知の材料で構成することができる。有機発光材料は、例えば、従来公知の有機燐光発光材料(燐光発光性高分子等)や有機蛍光発光材料(蛍光発光性高分子等)等である。
本発明に係る有機EL素子は、1層又は2層以上の発光層を有していてもよい。
より具体的には、有機発光材料としては、発光性低分子及び発光性高分子等が挙げられる。発光性低分子としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体〔トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体;Alq〕、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体〔BeBq〕等が挙げられる。発光性低分子を含む発光層20は、例えば、スピンコート法、蒸着法等のドライ成膜法又はウェット成膜法によって得ることができる。
発光性高分子としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−alt−ベンゾチアジアゾール)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン等のπ共役系高分子等が挙げられる。発光性高分子を含む発光層20は、例えばスピンコート法など、発光性高分子含有液を用いたウェット成膜法によって得ることができる。
発光層20は、発光性低分子又は発光性高分子がマトリックス中に分散された層であってもよい。マトリックス材料としては、導電性高分子及び半導体高分子等の透明高分子を用いることができる。
発光層20は、色素分子の単分子膜からなるもの、又はマトリックス中に色素分子を分散させたものであってもよい。単分子膜からなる発光層20は、色素分子含有液をスピンコートした後、溶媒を除去する方法により得ることができる。色素分子としては、Exciton社から販売されているローダミン101、ローダミン110、ローダミン560、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン640、ローダミン700等のローダミン系色素、Exciton社から販売されているクマリン503等のクマリン系色素等が挙げられる。
マトリックス中に色素分子を分散してなる発光層20は、色素分子及びマトリックス材料を含有する液をスピンコートした後、溶媒を除去する方法により得ることができる。マトリックス材料としては、導電性高分子及び半導体高分子等の透明高分子を用いることができる。
本発明によれば、強いプラズモン共鳴を示すとともに、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)が伸長された金属系粒子集合体層50を備えるため、発光層20が例えば10nm以上、さらには20nm以上、なおさらには30nm以上の厚みを有する場合であっても、発光層20全体の発光増強、ひいては輝度効率及び輝度の向上が可能である。発光層20の厚みの上限は特に制限されないが、好ましくは300nmであり、より好ましくは200nmである。
本発明によれば、強いプラズモン共鳴を示すとともに、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)が伸長された金属系粒子集合体層50を備えるため、発光層20の金属系粒子集合体層50側の表面と金属系粒子集合体層50の発光層20側の表面との間の距離が例えば10nm以上、さらには20nm以上、なおさらには30nm以上の厚みを有する場合であっても、発光層20の発光増強、ひいては輝度効率及び輝度の向上が可能である。
本発明に係る有機EL素子は、発光層20の金属系粒子集合体層50側の表面と金属系粒子集合体層50の発光層20側の表面との間の距離が20nm以上であっても、発光層20に含有される有機発光材料のフォトルミネッセンス量子収率(放出されたフォトン数/吸収されたフォトン数)が、金属系粒子集合体層50を有しないこと以外は同じ構成を有する有機EL素子(基礎有機EL素子)と比べて、1.5倍以上、さらには2倍以上、なおさらには3倍以上となり得る。
本発明に係る有機EL素子は、発光層20の金属系粒子集合体層50側の表面と金属系粒子集合体層50の発光層20側の表面との間の距離が20nm以上であっても、発光層20に含有される有機発光材料のフォトルミネッセンス量子収率(放出されたフォトン数/吸収されたフォトン数)が、金属系粒子集合体層50を有しないこと以外は同じ構成を有する有機EL素子(基礎有機EL素子)と比べて、1.5倍以上、さらには2倍以上、なおさらには3倍以上となり得る。
1.5倍以上のフォトルミネッセンス量子収率を得るためには、上記距離は、好ましくは150nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは80nm以下である。
金属系粒子集合体層50のプラズモン共鳴による発光増強効果は、発光層20と金属系粒子集合体層50との間の距離が大きくなるほど小さくなる傾向にある。かかる観点から、発光層20の金属系粒子集合体層50側の表面と金属系粒子集合体層50の発光層20側の表面との距離は、例えば200nm以下であり、好ましくは150nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。
(5)絶縁層
アノード層30と金属系粒子集合体層50との間に配置され得る絶縁層40は、アノード層30と金属系粒子集合体層50との間の電気的絶縁性を図るための層である。アノード層30と金属系粒子集合体層50との間の電気的絶縁性を確保することにより、金属系粒子集合体層50に電流が流れてプラズモン共鳴による発光増強効果が十分に得られないおそれを防ぐことができる。
絶縁層40は、図1に示されるように、金属系粒子51間の間隙を埋めるように形成されていてもよく、この場合、絶縁層40は、金属系粒子51間の電気的絶縁性を確保する役割をも果たす。
本発明に係る有機EL素子は、アノード層30と金属系粒子集合体層50との間に1層又は2層以上の絶縁層を有していてもよい。絶縁層を2層以上有する場合、これらは、互いに異なる材料で構成されていていてもよい。例えば、絶縁層40は、金属系粒子51の表面を覆う、あるいはさらに金属系粒子51間の間隙を埋める上述の保護層と、その上に積層される絶縁材料からなる1以上の層との積層構造であってもよい。
絶縁層40を構成する材料としては、良好な絶縁性を有するものであれば特に制限されず、例えば、スピンオングラス(SOG;例えば有機シロキサン材料を含有するもの)のほか、SiOやSi、樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、硬化樹脂)等を用いることができる。
絶縁層40の厚みは、所望の絶縁性を確保する観点から、好ましくは20nm以上であり、より好ましくは30nm以上である。
また、絶縁層40の厚みは、発光層20の金属系粒子集合体層50側の表面と金属系粒子集合体層50の発光層20側の表面との距離を小さくする観点からは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは150nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下であり、なおさらに好ましくは80nm以下である。
(6)有機EL素子が有し得る他の構成要素
本発明に係る有機EL素子は、カソード層10とアノード層30との間に配置される、発光層20以外の他の層を1種以上含むことができる。
他の層としては、カソード層10と発光層20との間に設ける層、アノード層30と発光層20との間に設ける層が挙げられる。
カソード層10と発光層20との間に設ける層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。これらの層はそれぞれ、2層以上設けられてもよい。
電子注入層は、カソード層10からの電子注入効率を改善する機能を有する層であり、電子輸送層は、電子注入層又はカソード層10により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。
また、電子注入層又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を正孔ブロック層と称することがある。
正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、ホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
アノード層30と発光層20との間に設ける層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。これらの層はそれぞれ、2層以上設けられてもよい。
正孔注入層は、アノード層30からの正孔注入効率を改善する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔注入層又はアノード層30により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。
また、正孔注入層又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を電子ブロック層と称することがある。
電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
アノード層30からカソード層10までの層構成の例を挙げれば、例えば次のとおりである。
a)アノード層30/発光層20/カソード層10
b)アノード層30/正孔注入層/発光層20/カソード層10
c)アノード層30/正孔注入層/発光層20/電子注入層/カソード層10
d)アノード層30/正孔注入層/発光層20/電子輸送層/カソード層10
e)アノード層30/正孔輸送層/発光層20/電子注入層/カソード層10
f)アノード層30/正孔輸送層/発光層20/電子輸送層/電子注入層/カソード層10
g)アノード層30/正孔注入層/発光層20/電子輸送層/電子注入層/カソード層10
h)アノード層30/正孔注入層/正孔輸送層/発光層20/カソード層10
i)アノード層30/正孔注入層/正孔輸送層/発光層20/電子注入層/カソード層10
j)アノード層30/正孔注入層/正孔輸送層/発光層20/電子輸送層/カソード層10
k)アノード層30/正孔注入層/正孔輸送層/発光層20/電子輸送層/電子注入層/カソード層10
l)アノード層30/発光層20/電子注入層/カソード層10
m)アノード層30/発光層20/電子輸送層/電子注入層/カソード層10
記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
(7)カソード層側からの発光の強度とアノード層側からの発光の強度との比
本発明に係る有機EL素子に含まれる基礎有機EL素子において、カソード層10側からの発光の強度Aとアノード層30側からの発光の強度Bとの比A/Bは、0.2以上であり、好ましくは0.22以上、より好ましくは0.23以上、さらに好ましくは0.24以上である。このような発光特性を有する基礎有機EL素子に対して、アノード層30における発光層20とは反対側に金属系粒子集合体層50を配置すれば、カソード層10側からの発光の強度を大きくすることができる。
上記比A/Bは、通常3以下であり、典型的には2以下であり、より典型的には1.5以下である。
上記比A/Bは、カソード層10とアノード層30との間に介在する1以上の層の屈折率(材質)及び/又は厚みを調整することによって制御できる。
基礎有機EL素子は、金属系粒子集合体層50を有する有機EL素子から金属系粒子集合体層50を取り除いた部分構造であり、少なくともカソード層10、発光層20及びアノード層30をこの順に含み、典型的には、カソード層10からアノード層30に至る積層構造部を含む。
例えば、カソード層10、発光層20、アノード層30、絶縁層40、金属系粒子集合体層50及び基板60がこの順に配置された有機EL素子において、基礎有機EL素子の比A/Bは、基板60上に金属系粒子集合体層50を形成しないこと以外は上記有機EL素子と同様にして金属系粒子集合体層50を有しない有機EL素子を作製したときの当該有機EL素子の比A/Bとして求めることができる。
<有機EL素子の発光増強方法>
上述のとおり、カソード層、有機発光材料を含有する発光層及びアノード層をこの順に含み、カソード層側からの発光の強度Aとアノード層側からの発光の強度Bとの比A/Bが0.2以上である基礎有機EL素子に対して所定の構造を有する金属系粒子集合体層を配置することによって有機EL素子を構成するとともに、カソード層とアノード層との間の光学的共振器長M(nm)が、いずれかの自然数mにおいて式(1)を満たすように有機EL素子を構成することにより、有機EL素子の発光を増強させることができ、これにより有機EL素子の輝度効率及び輝度を向上させることができる。
すなわち、本発明は、下記に示す有機EL素子の発光増強方法にも関する。
カソード層、有機発光材料を含有する発光層及びアノード層をこの順に含み、前記カソード層側からの発光の強度Aと前記アノード層側からの発光の強度Bとの比A/Bが0.2以上である基礎有機EL素子に対して、
30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなり、前記金属系粒子の平均粒径が200nm以上1600nm以下の範囲内であり、平均高さが55nm以上500nm以下の範囲内であり、前記平均高さに対する前記平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1以上8以下の範囲内であり、隣り合う金属系粒子間の平均距離が1nm以上150nm以下の範囲内である金属系粒子集合体層を付設すること、及び
前記カソード層と前記アノード層との間の光学的共振器長M(nm)が、いずれかの自然数mにおいて下記式(1)を満たすように有機EL素子を構成することを特徴とする、有機EL素子の発光増強方法。

[式中、
Mは、前記カソード層と前記アノード層との間の光学的共振器長(nm)を表す。
mは、任意の自然数を表す。
λは、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルの最大ピークにおける極大波長(nm)を表す。]
以下、具体例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
<実験例1:金属系粒子集合体層の作製>
直流マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下記の条件で、支持基板としての無アルカリガラス基板(0.7mm厚)上に、銀粒子を極めてゆっくりと成長させ、支持基板表面の全面に金属系粒子集合体の薄膜を形成して、支持基板と金属系粒子集合体層との積層体を得た。
使用ガス:アルゴン
チャンバ内圧力(スパッタガス圧):10Pa
基板・ターゲット間距離:100mm
スパッタ電力:4W
平均粒径成長速度(平均粒径/スパッタ時間):0.9nm/分
平均高さ成長速度(=平均堆積速度=平均高さ/スパッタ時間):0.25nm/分
基板温度:300℃
基板サイズ及び形状:7mm×11mmの長方形
図3は、得られた積層体における金属系粒子集合体層を直上から見たときのSEM画像である。図3(a)は10000倍スケールの拡大像であり、図3(b)は50000倍スケールの拡大像である。また図4は、得られた積層体における金属系粒子集合体層を示すAFM画像である。AFM像撮影にはキーエンス社製「VN−8010」を用いた(以下同様)。図4に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
AFM画像から、実験例1の金属系粒子集合体層を構成する銀粒子の「平均高さ」を求めた。また、SEM画像から、上記の測定方法に従って、実験例1の金属系粒子集合体層を構成する銀粒子の「平均粒径」及び「平均粒子間距離」を求め、得られた平均粒径及び平均高さから「アスペクト比」(平均粒径/平均高さ)を算出した。その結果、平均粒径は335nm、平均粒子間距離は16.7nm、平均高さは96.2nm、アスペクト比は3.48であった。さらにSEM画像より、本製造例の金属系粒子集合体層は、約1.93×10個(約25個/μm)の銀粒子を有することがわかる。
テスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」)〕を用いた上述の方法により、実験例1の金属系粒子集合体層の導電性の有無を確認したところ、上述の測定条件にて抵抗値が30MΩ以上である結果、「オーバーロード」と表示された。実験例1の金属系粒子集合体層は、導電性を有していないことが確認された。
<実験例2及び3:金属系粒子集合体層の作製>
直流マグネトロンスパッタリング法のスパッタ時間を変更したこと以外は実験例1と同様にして、支持基板と金属系粒子集合体層との積層体を2種類作製した(実験例2及び実験例3)。実験例2の金属系粒子集合体層は、金属系粒子の平均高さが約10nmであること以外は実験例1と略同じ粒子形状、アスペクト比及び平均粒子間距離を有し、実験例3の金属系粒子集合体層は、金属系粒子の平均高さが約30nmであること以外は実験例1と略同じ粒子形状、アスペクト比及び平均粒子間距離を有するものであった。
〔金属系粒子集合体層積層基板の吸光スペクトル測定〕
図5は、実験例1、実験例2及び実験例3で得られた金属系粒子集合体層を有する積層体の吸光光度法により測定された吸光スペクトルである(吸光スペクトルの測定方法は上述のとおり)。非特許文献(K. Lance Kelly, et al., "The Optical Properties of Metal Nanoparticles: The Influence of Size, Shape, and Dielectric Environment", The Journal of Physical Chemistry B, 2003, 107, 668)に示されているように、実験例1のような扁平形状の銀粒子は、平均粒径が200nmのとき約550nm付近に、平均粒径が300nmのときは650nm付近にプラズモンピークを持つことが一般的である(いずれも銀粒子単独の場合である)。
一方、実験例1の積層体は、これを構成する銀粒子の平均粒径が約300nm(335nm)であるにもかかわらず、図5に示されるように、紫外〜可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長は約450nm付近と、短波長側にシフトしていることがわかる。
プラズモンピークの極大波長は金属系粒子の平均粒径にも依存する。例えば、実験例2及び実験例3では、平均粒径が小さいために実験例1と比較してかなり長波長側にプラズモンピークを有しており、その極大波長は、それぞれ約510nm、約470nmである。
また実験例1では、紫外〜可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長における吸光度が約1.9と、実験例2及び実験例3に比べて極めて高く、これより実験例1の金属系粒子集合体層は、極めて強いプラズモン共鳴を示すことがわかる。
<実施例1:有機EL素子の作製>
実験例1に従って積層体を作製した後ただちに、スピンオングラス(SOG)溶液を金属系粒子集合体層上にスピンコートして、平均厚み30nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
次に、イオンスパッタリング法により、アノード層としてのITO層(厚み20nm)を絶縁層上に積層した後、正孔注入層形成用溶液をアノード層上にスピンコートして、平均厚み20nmの正孔注入層を積層した。正孔注入層形成用溶液には、PLEXTRONICS社製、商品名「Plexcore AQ 1200」を、エタノールを用いて希釈したものを用いた。
ついで、正孔輸送材料を含有するキシレン溶液を正孔注入層上にスピンコートして、20nm厚の正孔輸送層を形成した。正孔輸送材料は、特開2013−47315号公報に従って合成した高分子化合物である。
次に、正孔輸送層上に、真空蒸着法によって発光層としてのAlqを厚み30nmで成膜した。
その後、真空蒸着法により、電子注入層としてのNaF層(4nm厚)、カソード層としてのMg層(4nm厚)及びAg層(16nm厚)をこの順で発光層上に積層し、乾燥剤付きガラスで封止して、有機EL素子を得た。
<実施例2:有機EL素子の作製>
発光層としてのAlqの厚みを45nmとしたこと以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
<比較例1〜4:有機EL素子の作製>
発光層としてのAlqの厚みをそれぞれ65nm(比較例1)、80nm(比較例2)、120nm(比較例3)、145nm(比較例4)としたこと以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
<参考例1〜2、比較参考例1〜4>
無アルカリガラス基板(0.7mm厚)上に、金属系粒子集合体層を形成することなく、絶縁層、アノード層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層及びカソード層を順に形成したこと以外はそれぞれ実施例1〜2、比較例1〜4と同様にして、金属系粒子集合体層を有しない参考例1〜2、比較参考例1〜4の有機EL素子を作製した(参考例1〜2、比較参考例1〜4はそれぞれ実施例1〜2、比較例1〜4に対応する)。
(光学的共振器長Mの算出)
実施例1〜2及び比較例1〜4の有機EL素子について、カソード層とアノード層との間の光学的共振器長Mを、下記の数値に基づき、上記式(7)〜(9)に従って算出した。結果を表1に示す。
λ:530nm
n(λ):1.4(絶縁層)
1.9(アノード層)
1.63(正孔注入層)
1.75(発光層)
1.4(電子注入層)
(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層の厚み):上記のとおり
:1.4
:0.176
:3.291
(カソード層側からの発光の強度Aとアノード層側からの発光の強度Bとの比A/Bの取得)
参考例1〜2、比較参考例1〜4で作製した金属系粒子集合体層を有しない有機EL素子について上記比A/Bを求め、これらをそれぞれ実施例1〜2、比較例1〜4の有機EL素子に含まれる基礎有機EL素子の比A/Bとした。A/Bの値を表1に示す。
カソード層側からの発光の強度Aは、カソード層側が検出器に相対するように有機EL素子を装置にセットし、有機EL素子に対して0〜12Vの電圧を掃引して印加したときの最大輝度効率(Cd/A)及び最大輝度効率となる電圧印加時の輝度(Cd/m)として測定した。
アノード層側からの発光の強度Bは、アノード層側(無アルカリガラス基板側)が検出器に相対するように金属系粒子集合体層を有しない有機EL素子を装置にセットし、該有機EL素子に対して0〜12Vの電圧を掃引して印加したときの最大輝度効率(Cd/A)及び最大輝度効率となる電圧印加時の輝度(Cd/m)として測定した。
(有機EL素子の最大輝度効率及び最大輝度効率となる電圧印加時の輝度の評価)
実施例1〜2、比較例1〜4の有機EL素子について、次の方法に従って、カソード層側から出射される光の最大輝度効率及び最大輝度効率となる電圧印加時の輝度(最大輝度)を測定し、評価した。
輝度測定装置を用いて、電圧を掃引して、有機EL素子の基板発光面から垂直上面方向にて観測される輝度(Cd/m)を測定した。
観測された輝度が1000Cd/mであったときの電流値(単位:A)を測定し、当該輝度をその電流値で割ってCd/A @1000Cd/mを求めた。
結果を表1に示す。実施例1及び実施例2の有機EL素子の最大輝度効率及び最大輝度効率となる電圧印加時の輝度は、比較例1〜4の有機EL素子に比べて有意に向上していた。
<実施例3:有機EL素子の作製>
厚み30nmのAlqを成膜する代わりに、発光材料を含有するキシレン溶液を正孔輸送層上にスピンコートして、厚み145nmの発光層を形成したこと以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。発光材料は、特開2012−216815号公報に記載の方法に従って合成した青色蛍光発光性の発光高分子材料である。
<比較例5:有機EL素子の作製>
無アルカリガラス基板(0.7mm厚)上に、金属系粒子集合体層の代わりに、厚み100nmのAg連続膜を真空蒸着法で形成したこと以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
<参考例3>
無アルカリガラス基板(0.7mm厚)上に、金属系粒子集合体層を形成することなく、絶縁層、アノード層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層及びカソード層を順に形成したこと以外は実施例3と同様にして、金属系粒子集合体層を有しない参考例3の有機EL素子を作製した。
(光学的共振器長Mの算出)
実施例3の有機EL素子について、カソード層とアノード層との間の光学的共振器長Mを、下記の数値に基づき、上記式(7)〜(9)に従って算出した。結果を表2に示す。
λ:475nm
n(λ):1.4(絶縁層)
1.9(アノード層)
1.63(正孔注入層)
1.8(正孔輸送層)
1.8(発光層)
1.4(電子注入層)
(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層の厚み):上記のとおり
:1.4
:0.176
:3.291
(カソード層側からの発光の強度Aとアノード層側からの発光の強度Bとの比A/Bの取得)
参考例3で作製した金属系粒子集合体層を有しない有機EL素子について上記比A/Bを求め、これを実施例3の有機EL素子に含まれる基礎有機EL素子の比A/Bとした。A/Bの値を表2に示す。A及びBの測定方法は上記と同じである。
(有機EL素子の最大輝度、最大輝度効率及び外部量子効率(EQE)の評価)
実施例3、比較例5の有機EL素子について、カソード層側から出射される光の最大輝度、最大輝度効率及び外部量子効率(EQE)を測定し、評価した。
最大輝度及び最大輝度効率の測定方法は、上記と同じである。外部量子効率(EQE)は、観測された輝度が1000Cd/mであったときの当該輝度、発光スペクトル、印加電圧及び電流量からEQE @1000Cd/mを求めた。
結果を表2に示す。実施例3の有機EL素子の最大輝度、最大輝度効率及びEQEは、比較例5の有機EL素子に比べて有意に向上していた。
1,2 有機EL素子、10 カソード層、20 発光層、30 アノード層、40 絶縁層、50 金属系粒子集合体層、51 金属系粒子、60 基板。

Claims (7)

  1. 基礎有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記基礎有機エレクトロルミネッセンス素子に対して付設される金属系粒子集合体層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記金属系粒子集合体層は、30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなり、前記金属系粒子の平均粒径が200nm以上1600nm以下の範囲内であり、平均高さが55nm以上500nm以下の範囲内であり、前記平均高さに対する前記平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1以上8以下の範囲内であり、隣り合う金属系粒子間の平均距離が1nm以上150nm以下の範囲内であり、
    前記基礎有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード層、有機発光材料を含有する発光層及びアノード層をこの順に含み、
    前記基礎有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記カソード層側からの発光の強度Aと前記アノード層側からの発光の強度Bとの比A/Bが0.2以上であり、
    前記カソード層と前記アノード層との間の光学的共振器長M(nm)が、いずれかの自然数mにおいて下記式(1)を満たす、有機エレクトロルミネッセンス素子。

    [式中、
    Mは、前記カソード層と前記アノード層との間の光学的共振器長(nm)を表す。
    mは、任意の自然数を表す。
    λは、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルの最大ピークにおける極大波長(nm)を表す。]
  2. 前記カソード層、前記発光層、前記アノード層及び前記金属系粒子集合体層をこの順に含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記カソード層、前記発光層、前記アノード層、前記金属系粒子集合体層及び基板をこの順に含む、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記アノード層と前記金属系粒子集合体層との間に絶縁層をさらに含む、請求項2又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記金属系粒子が、紫外〜可視光領域においてプラズモン共鳴可能な金属系材料で構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光層の厚みが10nm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記アスペクト比が1を超える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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