JP2020003999A - マスフローコントローラの診断装置および診断方法 - Google Patents

マスフローコントローラの診断装置および診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】校正作業を行なうことなくマスフローコントローラの診断を行なう。【解決手段】診断装置は、マスフローコントローラ(MFC)11が配設された配管10の、MFC11よりも前方の部分で配管10から分岐してMFC11の前方で配管10に合流する配管13と、配管13を流れる流体の流量を計測するマスフローメータ(MFM)14と、MFC11の診断の前段階で、配管10を流れる流体の全てがMFC11に流入する前に配管13に流入した後に配管10に戻ってMFC11に流入するように配管を切り替える配管切替部15と、MFC11の診断の実行時に、MFC11で計測された第1の流量計測値を取得すると同時に、マスフローメータで計測された第2の流量計測値を取得する流量計測値取得部16と、第1の流量計測値と第2の流量計測値とをオペレータに対して提示する計測結果提示部17とを備える。【選択図】 図2

Description

本発明は、マスフローコントローラの診断を行なう診断装置および診断方法に関するものである。
半導体製造装置では、材料ガスなどを真空チャンバー内に一定流量で導入するために、マスフローコントローラ(MFC)などの流量制御装置が採用されている(特許文献1参照)。図9(A)は従来のMFCの構成を示す平面図、図9(B)は図9(A)のMFCのA−A線断面図である。図9(A)、図9(B)において、1は本体ブロック、2はセンサパッケージ、3はセンサパッケージ2のヘッド部、4はフローセンサ、5はバルブ、6は本体ブロック1の内部に形成された流路、7は流路6の入口側の開口、8は流路6の出口側の開口である。
流体は、開口7から流路6に流入してバルブ5を通過し、開口8から排出される。このとき、フローセンサ4は流体の流量を計測する。フローセンサ4は、センサパッケージ2のヘッダ部3に搭載され、計測対象の流体に晒されるように本体ブロック1に装着される。MFCの図示しない制御装置は、フローセンサ4の電圧出力から流体の流量を求め、この流量の値を予め設定された値と比較し、この比較結果に基づいてバルブ5への駆動電流を出力する。こうして、バルブ5を駆動することにより、流体の流量が設定値と一致するように制御される。
このようなMFCを半導体製造装置のように流量精度が重要なアプリケーションに適用する場合、定期的な校正でMFCの精度が維持されていることを確認することが求められている。
しかしながら、以下の理由により、MFCの定期的な校正が必ずしも現実的ではないのが実状である。
(I)校正費用(校正作業自体にかかる費用)。
(II)MFCの脱着費用(校正作業に伴う作業にかかる費用)。
(III)校正作業によって製品の製造が停止する。
(IV)MFCが設けられている配管の脱着には、配管内のガスを除去するパージや、配管の漏れを調べるリークチェックが必要となるが、これらパージやリークチェックが不十分な場合、製品の品質に影響がある。
以上のような理由からMFCの定期的な校正が困難なため、改善が求められている。
特開2008−039588号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、MFCが設置されている現場で校正作業を行なうことなくMFCを診断することができる診断装置および診断方法を提供することを目的とする。
本発明のマスフローコントローラの診断装置は、流体の流量制御を行なうマスフローコントローラが配設された第1の配管の、前記マスフローコントローラよりも前方の部分で前記第1の配管から分岐して前記マスフローコントローラの前方で前記第1の配管に合流するように設けられた第2の配管と、前記第2の配管を流れる前記流体の流量を計測するように構成されたマスフローメータと、前記マスフローコントローラの診断の前段階で、前記第1の配管を流れる前記流体の全てが前記マスフローコントローラに流入する前に前記第2の配管に流入した後に前記第1の配管に戻って前記マスフローコントローラに流入するように配管を切り替えるように構成された配管切替部と、前記マスフローコントローラの診断の実行時に、前記マスフローコントローラで計測された第1の流量計測値を取得すると同時に、前記マスフローメータで計測された第2の流量計測値を取得するように構成された流量計測値取得部と、前記第1の流量計測値と前記第2の流量計測値とをオペレータに対して提示するように構成された計測結果提示部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断装置の1構成例は、前記第2の流量計測値に対して前記第1の流量計測値が規定の方向にずれている場合に、アラームを出力するように構成されたアラーム発信部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断装置の1構成例は、過去から現在までの前記第1の流量計測値の変動状況の履歴に基づいて、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測し、予測した時期を推奨情報としてオペレータに提示するように構成された推奨情報提示部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断装置の1構成例において、前記推奨情報提示部は、過去から現在までの前記第1の流量計測値の変動状況の履歴と、最新の第1の流量計測値の、規定の許容誤差範囲に対する余裕量とに基づいて、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測することを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断装置の1構成例において、前記推奨情報提示部は、少なくとも過去から現在までの前記第1の流量計測値の前記第2の流量計測値に対する変動量の時系列データに基づいて、機械学習により、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測することを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断装置の1構成例において、前記推奨情報提示部は、過去から現在までの診断の実行回毎の、前記第1の流量計測値の前記第2の流量計測値に対する変動量の時系列データを取得するように構成された変動量取得部と、前記流体の温度計測値を診断の度に取得するように構成された温度取得部と、予め定められた複数の基準状態値のうち、前記変動量および前記温度計測値が取得されたときの前記第2の流量計測値に最も近い基準状態値を診断の度に取得するように構成された基準状態値取得部と、前記基準状態値取得部によって取得された基準状態値の時系列データと前記変動量取得部によって取得された変動量の時系列データと前記温度取得部によって取得された温度計測値の時系列データとに基づいて、機械学習により、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測する予測モデルと、この予測モデルの予測結果を推奨情報としてオペレータに提示するように構成された予測結果提示部とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断装置の1構成例は、前記マスフローコントローラの診断の前段階で、前記第2の流量計測値が予め定められた基準状態値の近傍で安定しているときに、オペレータに対して診断実行の推奨状態であることを通知するように構成された実行推奨通知部をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明のマスフローコントローラの診断方法は、流体の流量制御を行なうマスフローコントローラの診断の前段階で、前記マスフローコントローラが配設された第1の配管を流れる前記流体の全てが前記マスフローコントローラに流入する前に第2の配管に流入した後に前記第1の配管に戻って前記マスフローコントローラに流入するように配管を切り替える第1のステップと、前記マスフローコントローラの診断の実行時に、前記マスフローコントローラで計測された第1の流量計測値を取得すると同時に、前記第2の配管に配設されたマスフローメータで計測された第2の流量計測値を取得する第2のステップと、前記第1の流量計測値と前記第2の流量計測値とをオペレータに対して提示する第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、マスフローコントローラが設置されている現場で、脱着作業を伴う校正作業を行なうことなくマスフローコントローラを診断することができる。その結果、本発明では、マスフローコントローラをメーカや校正事業者に送らずとも、マスフローコントローラの校正作業の必要性を判断できるようになる。また、本発明では、マスフローコントローラの校正作業の実施までマスフローコントローラの脱着が不要になるので、パージやリークチェックが不要となり、安全性を向上させることができる。また、本発明では、マスフローコントローラを使用する流量計測システムの運用中にマスフローメータを取り外すことができるので、流量計測システムの運用を停止させることなく、マスフローメータの校正作業を行なうことができる。
図1は、本発明の原理を説明する図である。 図2は、本発明の実施例に係る流量計測システムの構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施例に係る流量計測システムの診断装置の動作を説明するフローチャートである。 図4は、本発明の実施例に係る診断装置の計測結果提示部による流量計測値提示とアラーム発信部によるアラーム出力の例を示す図である。 図5は、本発明の実施例に係る診断装置の推奨情報提示部による推奨情報提示の例を示す図である。 図6は、本発明の実施例に係る診断装置の推奨情報提示部の構成例を示す図である。 図7は、本発明の実施例に係る診断装置の推奨情報提示部の別の構成例を示す図である。 図8は、本発明の実施例に係る診断装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。 図9は、従来のマスフローコントローラの構成を示す平面図および断面図である。
[発明の原理1]
発明者は、図1に示すように、MFC11の流量計測値PVに対する診断装置12として、マスフローメータ(MFM)14を、MFC11が設置されている配管10に直列に挿入し、MFC11と診断装置12(MFM14)の計測値を比較する構成に想到した。これにより、MFCが流量を正常に計測できているか否かを、常時または定期的に確認できる。
本発明によれば、診断装置12については定期校正することの制約が小さいので、MFC11を利用する装置(例えば半導体製造装置)の運用としては、診断装置12の校正中でも製品の生産を継続できる。また、MFC11の脱着が不要になるので、パージやリークチェックが不要となり、安全性を向上させることができる、
[発明の原理2]
診断装置12によるMFC11の流量計測値PVの妥当性検証の結果に基づき、予め規定された危険側にずれが生じる傾向が流量計測値PVに見られる場合に、オペレータに対して特に注意喚起のアラームを発信できる。
[発明の原理3]
診断装置12によるMFC11の流量計測値PVの妥当性検証の結果に基づき、次にメンテナンス(定期的な確認)をするべき時期を予測して、オペレータに対してメンテナンス時期を推奨できる。
[発明の原理4]
予め特定された基準状態近傍で安定している状態を抽出したときに、オペレータに対して診断実行の推奨状態であることを提示することで、確度の高い診断を実行できる確率が向上する。
[実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図2は本発明の実施例に係る流量計測システムの構成を示すブロック図である。流量計測システムは、流量制御の対象となる流体が流れる配管10(第1の配管)と、配管10に配設され、流量計測値PV_Aを計測し、流量計測値PV_Aが流量設定値SPと一致するようにバルブ(図9のバルブ5)を制御するMFC11と、診断装置12とを備えている。
診断装置12は、配管10の、MFC11よりも前方の部分で配管10から分岐してMFC11の前方で配管10に合流する副配管13(第2の配管)と、副配管13に設置され、副配管13を流れる流体の流量を計測するMFM14と、MFC11の診断の前段階で、配管10を流れる流体の全てがMFC11に流入する前に副配管13に流入した後に配管10に戻ってMFC11に流入するように配管を切り替える配管切替部15と、MFC11の診断の実行時に、MFC11で計測された流量計測値PV_A(第1の流量計測値)を取得すると同時に、MFM14で計測された流量計測値PV_B(第2の流量計測値)を取得する流量計測値取得部16と、流量計測値PV_A,PV_Bをオペレータに対して提示する計測結果提示部17と、流量計測値PV_Bに対して流量計測値PV_Aが規定の方向にずれている場合に、アラームを出力するアラーム発信部18と、過去から現在までの流量計測値PV_Aの変動状況の履歴に基づいて、次にMFC11の診断を実行すべき時期を予測し、予測した時期を推奨情報としてオペレータに提示する推奨情報提示部19と、MFC11の診断の前段階で、流量計測値PV_Bが予め定められた基準状態値の近傍で安定しているときに、オペレータに対して診断実行の推奨状態であることを通知する実行推奨通知部20とから構成される。
MFC11の動作は従来と同様である。次に、診断装置12の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、配管切替部15は、流量制御の対象となる流体がMFC11に流入する前に全て副配管13に流入した後に配管10に戻ってMFC11に流入するように配管を切り替える(図3ステップS100)。図2から明らかなとおり、副配管13は配管10から分岐してMFM14を通過した後に配管10に合流するように配設されており、配管切替部15は配管10と副配管13の分岐部に配設されている。このような構造により、上記の配管切り替えを実現することができる。
配管の切り替えにより、流量制御の対象となる流体は一旦MFM14に流入し、MFM14から流出した後に、MFC11に流入する。
なお、配管切替部15は、診断の準備を指示するオペレータからの準備指示信号の受信に対応して、配管を自動的に切り替えるようにしてもよい。
次に、実行推奨通知部20は、MFM14で計測される流量計測値PV_Bが予め定められた基準状態値の近傍で安定しているときに(図3ステップS101においてYES)、オペレータに対して診断実行の推奨状態であることを通知する(図3ステップS102)。具体的には、実行推奨通知部20は、流量計測値PV_Bが一定時間以上(例えば30秒以上)連続して基準状態値PVref(例えば15.0mL/min.)を中心とする所定の範囲内(PVref±α、αは偏差であり、例えば1.0mL/min.)になったときに、流量計測値PV_Bが基準状態の近傍で安定していると判定する。
基準状態値PVrefについては、例えばMFC11を利用する装置(例えば半導体製造装置)にとって重要な数値範囲内の流量値を、基準状態値PVrefとして設定しておけばよい。なお、基準状態値PVrefを予め複数設定しておいて、流量計測値PV_Bが1つの基準状態値PVrefの近傍で安定しているときに、オペレータに対して診断実行の推奨状態であることを通知するようにしてもよい。
オペレータへの通知の方法としては例えばオペレータに対してメッセージを表示する等の方法が考えられるが、本発明は通知方法に限定されるものではない。
オペレータは、実行推奨通知部20からの通知に応じて、診断装置12の図示しない入力装置を操作して、診断の実行を指示する実行指示信号を入力する。
なお、診断装置12に実行指示信号生成部を設けるようにしてもよい。この場合、準備指示信号の受信の後で、流量計測値PV_Bが基準状態値PVrefの近傍で安定していることが実行推奨通知部20によって検出されたときに、実行指示信号生成部が、実行指示信号を自動的に生成すればよい。
次に、流量計測値取得部16は、実行指示信号を受信したときに(図3ステップS103においてYES)、MFC11で計測された流量計測値PV_Aを取得すると同時に、MFM14で計測された流量計測値PV_Bを取得する(図3ステップS104)。この場合、MFM14で計測された流量計測値PV_Bが正しい計測値として位置付けられる。
続いて、計測結果提示部17は、オペレータが流量計測値PV_Aと流量計測値PV_Bとを比較して、MFC11が正常に計測できているか否かを確認できるように、流量計測値取得部16によって取得された最新の流量計測値PV_A,PV_Bを提示する(図3ステップS105)。このとき、単純に流量計測値PV_A,PV_Bを提示(並列表示)してもよいが、計測結果提示部17は、流量計測値PV_Aが流量計測値PV_Bを中心とする規定の許容誤差範囲(例えばPV_B±0.1mL/min.)から外れている場合に、流量計測値PV_Aの表示色を変更する等の処理を行なうことが好ましい。これにより、MFC11が正常に計測できていないことをオペレータが認識し易くすることができる。
また、アラーム発信部18は、流量計測値PV_Bに対して流量計測値PV_Aが規定の方向にずれている場合に(図3ステップS106においてYES)、アラームを出力する(図3ステップS107)。例えば、流量が真値に対して想定外に多くなる方を規定の方向(危険な方向)とすると、実際の正しい流量(流量計測値PV_B)よりも、流量計測値PV_Aが小さい値で計測されているのであれば、規定の方向にずれが生じている場合に該当する。アラーム発信部18は、このような場合にアラームを出力する。
図4は計測結果提示部17による流量計測値提示とアラーム発信部18によるアラーム出力の例を示す図である。流量計測値PV_B=15.12mL/min.に対して流量計測値PV_A=15.01mL/min.が許容誤差範囲(15.12±0.1mL/min.)外のため、計測結果提示部17は、画面40に表示する流量計測値PV_Aの表示色を変更している。図4の例では、分かり易くするために、流量計測値PV_Aを黒地に白文字で示しているが、流量計測値PV_Aが許容誤差範囲内の場合に例えば青色で表示し、流量計測値PV_Aが許容誤差範囲外の場合に例えば赤色で表示すればよい。
また、流量計測値PV_Bよりも流量計測値PV_Aが小さい値となっているため、アラーム発信部18は、画面40に「<危険側>」という文字を表示することでアラームを出力している。なお、アラームの出力方法は、図4の例に限らず、例えばアラーム発生を知らせるLEDを点灯したり、アラーム発生を知らせる音声を出力したりしてもよい。
次に、推奨情報提示部19は、過去から現在までの流量計測値PV_Aの変動状況の履歴と、最新の流量計測値PV_Aの、許容誤差範囲に対する余裕量とに基づいて、次にMFC11の診断を実行すべき時期を予測し、予測した時期を推奨情報としてオペレータに提示する(図4ステップS108)。
図6は推奨情報提示部19の構成例を示すブロック図である。推奨情報提示部19は、流量計測値取得部16によって取得された流量計測値PV_A,PV_Bを記憶する記憶部190と、次にMFC11の診断を実行すべき時期を予測する予測部191と、予測部191の予測結果を提示する予測結果提示部192とから構成される。
流量計測値取得部16によって取得された流量計測値PV_A,PV_Bは、記憶部190に蓄積される。例えば数週間おきの3回(2期間)の診断実行で取得された流量計測値PV_A,PV_Bに基づいて、予測部191が流量計測値PV_Aの流量計測値PV_Bに対する変動量ΔPV=PV_A−PV_Bを1週間当たりの値に換算した結果、1週間当たりの変動量が例えば0.02mL/min.であったとする。また、今回の診断実行で取得された最新の流量計測値PV_Aの、許容誤差範囲(例えばPV_B±0.1mL/min.)に対する余裕量が例えば0.04mL/min.であったとする。この場合、流量計測値PV_Aが2週間で許容誤差範囲に達すると予測できるので、予測部191は、次にMFC11の診断を実行すべき時期を2週間以内と予測する。
図5は推奨情報提示部19による推奨情報提示の例を示す図である。図5の例では、最新の流量計測値PV_Aが15.14mL/min.、流量計測値PV_Bが15.08mL/min.となっている。したがって、流量計測値PV_A=15.14mL/min.の、許容誤差範囲(15.08±0.1mL/min.)に対する余裕量は上記のとおり0.04mL/min.である。このため、予測結果提示部192は、画面40に「<次回は2週間以内を推奨>」という推奨情報を表示する。
なお、MFC11の診断を実行すべき時期については、AI(Artificial Intelligence)などの機械学習機能を利用して予測してもよい。この場合の推奨情報提示部19の構成例を図7に示す。図7の推奨情報提示部19は、記憶部190と、変動量取得部193と、温度取得部194と、基準状態値取得部195と、予測モデル196と、学習部197と、予測結果提示部198とから構成される。
変動量取得部193は、過去から現在までの診断の実行回毎の、流量計測値PV_Aの流量計測値PV_Bに対する変動量ΔPV=PV_A−PV_Bを算出する。これにより、過去から現在までの変動量ΔPVの時系列データが得られる。
温度取得部194は、配管10または13に設置された図示しない温度センサから、流体の温度計測値Tを診断の度に取得する。これにより、過去から現在までの温度計測値Tの時系列データが記憶部190に格納される。
基準状態値取得部195は、予め定められた複数の基準状態値PVrefのうち、変動量ΔPVおよび温度計測値Tが取得されたときの流量計測値PV_Bに最も近い基準状態値PVrefを診断の度に取得する。これにより、過去から現在までの基準状態値PVrefの時系列データが記憶部190に格納される。
例えばニューラルネットワークからなる予測モデル196は、入力変数(本実施例では、基準状態値PVrefの時系列データと、変動量ΔPVの時系列データと、温度計測値Tの時系列データ)と出力変数(本実施例では、次にMFC11の診断を実行すべき時期)との関係をモデル化したものである。予測モデル196は、診断の実行時に、記憶部190に記憶されている基準状態値PVrefの時系列データと変動量ΔPVの時系列データと温度計測値Tの時系列データとを入力として、次にMFC11の診断を実行すべき時期(現在から次の診断実行時までの推奨週数または推奨日数)の予測結果を出力する。
一方、学習部197は、基準状態値取得部195によって取得された基準状態値PVrefの時系列データと、変動量取得部193によって算出された変動量ΔPVの時系列データと、温度取得部194によって取得された温度計測値Tの時系列データとを学習データ(入力)とし、これら(PVref,ΔPV,T)の組が得られた過去の各時点で例えばメンテナンス作業者が経験上から推測した、次にMFC11の診断を実行すべき時期(次の診断実行時までの週数または日数)を教師データ(出力)として、予測モデル196の学習を行なう。このように予測モデル196の機械学習を行なうことで、予測精度を向上させることができる。なお、機械学習の方法は周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
予測結果提示部198は、予測モデル196の予測結果を提示する。こうして、次にMFC11の診断を実行すべき時期を予測して、予測した時期を推奨情報としてオペレータに提示することができる。図7に示した構成によれば、予測のために利用すべき情報が多様な場合に対応することができる。
次に、配管切替部15は、診断の終了後に、ステップS100の配管の切り替えを解除して、流量制御の対象となる流体の全てが配管13に流入することなくMFC11に流入するように配管を診断前の状態に戻す(図3ステップS109)。
なお、配管切替部15は、診断の終了を指示するオペレータからの終了指示信号の受信に対応して、配管を自動的に切り替えるようにしてもよい。
以上のように、本実施例では、MFC11が設置されている現場で、脱着作業を伴う校正作業を行なうことなくMFC11を診断することができる。その結果、本実施例では、MFC11をMFCメーカや校正事業者に送らずとも、MFC11の校正作業の必要性を判断できるようになる。また、本実施例では、MFC11の校正作業の実施までMFC11の脱着が不要になるので、パージやリークチェックが不要となり、安全性を向上させることができる。また、本実施例では、MFC11を使用する流量計測システムの運用中にMFM14を取り外すことができるので、流量計測システムの運用を停止させることなく、MFM14の校正作業を行なうことができる。
本実施例の診断装置12のうち少なくとも流量計測値取得部16と計測結果提示部17とアラーム発信部18と推奨情報提示部19と実行推奨通知部20とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
このコンピュータの構成例を図8に示す。コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)202とを備えている。I/F202には、MFC11とMFM14の制御装置と配管切替部15の駆動装置(配管切替部15を自動で切り替える場合)とが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の診断方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
本発明は、マスフローコントローラを用いる流量計測システムに適用することができる。
10…配管、11…マスフローコントローラ、12…診断装置、13…副配管、14…マスフローメータ、15…配管切替部、16…流量計測値取得部、17…計測結果提示部、18…アラーム発信部、19…推奨情報提示部、20…実行推奨通知部、190…記憶部、191…予測部、192,198…予測結果提示部、193…変動量取得部、194…温度取得部、195…基準状態値取得部、196…予測モデル、197…学習部。

Claims (8)

  1. 流体の流量制御を行なうマスフローコントローラが配設された第1の配管の、前記マスフローコントローラよりも前方の部分で前記第1の配管から分岐して前記マスフローコントローラの前方で前記第1の配管に合流するように設けられた第2の配管と、
    前記第2の配管を流れる前記流体の流量を計測するように構成されたマスフローメータと、
    前記マスフローコントローラの診断の前段階で、前記第1の配管を流れる前記流体の全てが前記マスフローコントローラに流入する前に前記第2の配管に流入した後に前記第1の配管に戻って前記マスフローコントローラに流入するように配管を切り替えるように構成された配管切替部と、
    前記マスフローコントローラの診断の実行時に、前記マスフローコントローラで計測された第1の流量計測値を取得すると同時に、前記マスフローメータで計測された第2の流量計測値を取得するように構成された流量計測値取得部と、
    前記第1の流量計測値と前記第2の流量計測値とをオペレータに対して提示するように構成された計測結果提示部とを備えることを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  2. 請求項1記載のマスフローコントローラの診断装置において、
    前記第2の流量計測値に対して前記第1の流量計測値が規定の方向にずれている場合に、アラームを出力するように構成されたアラーム発信部をさらに備えることを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  3. 請求項1または2記載のマスフローコントローラの診断装置において、
    過去から現在までの前記第1の流量計測値の変動状況の履歴に基づいて、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測し、予測した時期を推奨情報としてオペレータに提示するように構成された推奨情報提示部をさらに備えることを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  4. 請求項3記載のマスフローコントローラの診断装置において、
    前記推奨情報提示部は、過去から現在までの前記第1の流量計測値の変動状況の履歴と、最新の第1の流量計測値の、規定の許容誤差範囲に対する余裕量とに基づいて、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測することを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  5. 請求項3記載のマスフローコントローラの診断装置において、
    前記推奨情報提示部は、少なくとも過去から現在までの前記第1の流量計測値の前記第2の流量計測値に対する変動量の時系列データに基づいて、機械学習により、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測することを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  6. 請求項5記載のマスフローコントローラの診断装置において、
    前記推奨情報提示部は、
    過去から現在までの診断の実行回毎の、前記第1の流量計測値の前記第2の流量計測値に対する変動量の時系列データを取得するように構成された変動量取得部と、
    前記流体の温度計測値を診断の度に取得するように構成された温度取得部と、
    予め定められた複数の基準状態値のうち、前記変動量および前記温度計測値が取得されたときの前記第2の流量計測値に最も近い基準状態値を診断の度に取得するように構成された基準状態値取得部と、
    前記基準状態値取得部によって取得された基準状態値の時系列データと前記変動量取得部によって取得された変動量の時系列データと前記温度取得部によって取得された温度計測値の時系列データとに基づいて、機械学習により、次にマスフローコントローラの診断を実行すべき時期を予測する予測モデルと、
    この予測モデルの予測結果を推奨情報としてオペレータに提示するように構成された予測結果提示部とから構成されることを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマスフローコントローラの診断装置において、
    前記マスフローコントローラの診断の前段階で、前記第2の流量計測値が予め定められた基準状態値の近傍で安定しているときに、オペレータに対して診断実行の推奨状態であることを通知するように構成された実行推奨通知部をさらに備えることを特徴とするマスフローコントローラの診断装置。
  8. 流体の流量制御を行なうマスフローコントローラの診断の前段階で、前記マスフローコントローラが配設された第1の配管を流れる前記流体の全てが前記マスフローコントローラに流入する前に第2の配管に流入した後に前記第1の配管に戻って前記マスフローコントローラに流入するように配管を切り替える第1のステップと、
    前記マスフローコントローラの診断の実行時に、前記マスフローコントローラで計測された第1の流量計測値を取得すると同時に、前記第2の配管に配設されたマスフローメータで計測された第2の流量計測値を取得する第2のステップと、
    前記第1の流量計測値と前記第2の流量計測値とをオペレータに対して提示する第3のステップとを含むことを特徴とするマスフローコントローラの診断方法。
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