JP2020002902A - オイルセパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルの脈動及び逆流を防止し、オイルがオイル排出口にスムーズに流れ込むようにする。【解決手段】ミスト状オイルを含むガスから前記ミスト状オイルを分離するオイルセパレータ2は、ハウジング20と、上下方向の軸線回りに回転可能にハウジング20の内部空間に設けられたスピンドル52と、スピンドル52の周囲に設けられ、スピンドル52の軸線方向に隙間を置いて積層された複数枚の分離ディスク63と、分離ディスク63の下側においてスピンドル52の外周面から突設され、オイルを噴射することによってスピンドル52及び分離ディスク63を回転させるノズル53と、を備え、ハウジング20には、ハウジング20の外から内側に通じるオイル排出口21a及び通気路21dが設けられ、ハウジング20内において通気路21dがハウジング20内の底のオイル溜まり100の液面101及びオイル排出口21aよりも上の位置で開口する。【選択図】図5

Description

本発明は、ガスに含まれるミスト状オイルをそのガスから分離するオイルセパレータに関する。
特許文献1には、ブローバイガスからミスト状オイルを分離するオイルセパレータが開示されている。以下、特許文献1において使用した符号を括弧書きにして用い、特許文献1に開示されたオイルセパレータについて簡単に説明する。
ハウジング(20)が内部空間を有し、その内部空間が隔壁部材(31)によって区切られることによって隔壁部材(31)の上方の分離室(43)と隔壁部材(31)の下方の噴射室(44)が形成されている。噴射室(44)の底にはスピンドルシャフト(51)が立設されており、そのスピンドルシャフト(51)が隔壁部材(31)を上下に貫通する。そのスピンドルシャフト(51)がスピンドル(52)に挿入されており、そのスピンドル(52)がスピンドルシャフト(51)に回転可能に支持されている。分離室(43)内では、スピンドル(52)の周囲に複数枚の分離ディスク(63)が取り付けられており、それら分離ディスク(63)がスピンドル(52)の軸線方向に積み重ねられている。噴射室(44)内では、ノズル(53)がスピンドル(52)の外周面に突設されている。
エンジンからノズル(53)にオイルが供給されると、そのノズル(53)からオイルが周方向に噴射される。オイルの噴射圧力によってスピンドル(52)とともに分離ディスク(63)が回転駆動される。また、エンジンから分離ディスク(63)の中央部にブローバイガスが供給されると、そのブローバイガスが分離ディスク(63)の間の隙間を外側に通過するが、その際にブローバイガス中のミスト状オイルがその隙間に捕捉される。
ノズルによって噴射されたオイルは噴射室(44)の底に溜まりつつ、噴射室(44)の下部に設けられたオイル排出口(21a)を通ってエンジンに排出される。
WO2016/139715
ところが、噴射室(44)の底に溜まるオイルの量が増えると、オイル排出口(21a)がオイルに没してしまう。そうすると、オイルの流れに脈動が発生することによってオイルがオイル排出口(21a)にスムーズに流れ込まない。さらには、噴射室(44)内の圧力とエンジン内の圧力との差によりオイルが逆流することで、噴射室(44)内のオイルの油面が上昇するおそれがある。脈動とは、エンジン内のガスがオイルの流れに対して逆流してオイル排出口(21a)を間欠的に通過することで、オイルの流れが間欠的に阻害されることをいう。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、オイルの脈動及び逆流を防止することによってオイルがオイル排出口にスムーズに流れ込むようにすることを目的とする。
以上の課題を解決するために、ミスト状オイルを含むガスから前記ミスト状オイルを分離するオイルセパレータは、内部空間を有したハウジングと、上下方向の軸線回りに回転可能に前記内部空間に設けられたスピンドルと、前記スピンドルの周囲に設けられて前記スピンドルとともに回転し、前記スピンドルの軸線方向に隙間を置いて積層された複数枚の分離ディスクと、前記分離ディスクの下側において前記スピンドルの外周面から突設され、オイルを噴射することによって前記スピンドル及び前記分離ディスクを回転させるノズルと、を備え、前記ハウジングには、前記ハウジングの外側から内側に通じるオイル排出口及び通気路が設けられ、前記ハウジング内において前記通気路が前記ハウジング内の底のオイル溜まりの液面及び前記オイル排出口よりも上の位置で開口する。
以上のように、ハウジングに通気路が設けられ、ハウジング内において通気路がオイル排出口よりも上の位置で開口するため、通気路によってハウジング内の圧力が調整される。そのため、オイル排出口においてオイルの脈動及び逆流が発生せず、オイルがオイル排出口にスムーズに流れ込む。
また、ハウジング内において通気路がオイル排出口よりも上の位置で開口するため、ハウジングの底に溜まったオイルが通気路に流れ込みにくい上、ハウジング内における通気路の開口がオイル溜まりに没しない。よって、通気路によるハウジング内の圧力調整が確実になされる。
前記オイルセパレータは、前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上側の分離室と下側の噴射室に仕切る隔壁部材と、前記噴射室内において前記隔壁部材の下面から垂下し、筒状に設けられたオイルガードと、を更に備え、前記スピンドルが前記隔壁部材を上下に貫通し、前記分離ディスクが前記分離室内に配され、前記ノズルが前記オイルガードの内側に配され、前記オイル排出口及び前記通気路が前記ハウジングの外から前記噴射室内に通じ、前記噴射室内において前記通気路が前記オイルガードの下端よりも上の位置且つ前記オイルガードの外側で開口する。
以上のように、噴射室内における通気路の開口がオイルガードの下端よりも上の位置に設けられているため、ノズルによって噴射されたオイルが通気路に入り込まない。そのため、通気路がオイルによって塞がれず、通気路による噴射室内の圧力調整が確実になされる。よって、オイルがオイル排出口にスムーズに流れ込む。
前記オイルセパレータは、前記隔壁部材から上に離間して前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上下に仕切る中部隔壁部材と、前記中部隔壁部材から上に離間して前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上下に仕切る隔壁部と、前記隔壁部から上に離間して前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上下に仕切り、上下に貫通する開口部が形成された上部隔壁部材と、前記中部隔壁部材と前記隔壁部との間に設けられ、前記中部隔壁部材と前記隔壁部との間の領域を導入路とチャンバーに仕切る仕切り部と、を備え、前記ハウジングには、前記導入路に通じるとともに前記ガスを導入するインレットポートが設けられているとともに、前記上部隔壁部材の上側の領域に通じるアウトレットポートが設けられ、前記中部隔壁部材には、前記導入路と前記分離ディスクの中央部を連通させる流通穴が設けられるとともに、前記噴射室と前記チャンバーを連通させる第1連通孔が設けられ、前記隔壁部には、前記隔壁部と前記上部隔壁部材との間の領域と前記チャンバーを連通させる第2連通孔が設けられ、前記隔壁部材には、前記噴射室と前記分離室を連通させるオイル穴が設けられている。
以上によれば、分離ディスクの間の隙間が目詰まりした場合、ガスがインレットポートから導入路に導入されなくなる。そうしたとき、ガスが通気路を通って噴射室内に導入される。そのガスはオイル穴を通って分離室に流れ込む。そのガスは、第1連通孔、第1チャンバー、第2連通孔及び開口部を経由して、アウトレットポートから排出される。従って、分離ディスクの間の隙間が目詰まりした場合でも、ガスがオイルセパレータ内を流れ得る。
前記オイルセパレータは、前記上部隔壁部材と前記隔壁部の間に設けられ、前記開口部の開き度合いを調整するPCVバルブを更に備える。
以上によれば、分離ディスクの間の隙間が目詰まりした場合、通気路を通って噴射室内に導入されたガスはオイル穴、分離室、第1連通孔、第1チャンバー、第2連通孔及び開口部を経由して、アウトレットポートから排出される。従って、分離ディスクの間の隙間が目詰まりした場合でも、PCVバルブによってガスの流量を調整することができる。
前記ハウジング内における前記通気路の開口が上に向けられている。
以上によれば、ハウジングの内の底に溜まったオイルの液面にスロッシングが生じても、大量のオイルが通気路に流れ込むことがなく、通気路がオイルによって完全に塞がれることがない。そのため、通気路によって噴射室内の圧力が確実に調整され、オイルがオイル排出口にスムーズに流れ込む。
前記ハウジングの外側における前記通気路の開口の位置が前記ハウジングの外側における前記オイル排出口の位置よりも上である。
本発明によれば、ハウジング内の圧力が通気路によって調整され、オイル排出口におけるオイルの脈動及び逆流を防止でき、オイルがオイル排出口にスムーズに流れ込む。
閉鎖型クランクケース換気システムを示す概略図である。 オイルセパレータを俯瞰した斜視図である。 オイルセパレータを分解して俯瞰した分解斜視図である。 オイルセパレータの上面図である。 図4において切断箇所をV−Vによって示した断面の断面図である。 図5の上部の拡大図である。 図5の中部の拡大図である。 図5の下部の拡大図である。 図5において切断箇所をIX−IXによって示した断面の断面図である。 下部ケースを俯瞰した斜視図である。 図5の下部の拡大図である。 設計変更した下部ケースを用いたオイルセパレータの下部の断面図である。 設計変更した下部ケースを俯瞰した斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
1.閉鎖型クランクケース換気システム
図1に示すように、閉鎖型クランクケース換気システム1は、オイルセパレータ2と、ブリーザーパイプ3と、ガス供給管5と、オイル供給管10とを有する。オイルセパレータ2はエンジン4の側面に取り付けられている。ガス供給管5はエンジン4とオイルセパレータ2とに接続され、エンジン4のクランクケースから排出されたブローバイガスがガス供給管5を通ってオイルセパレータ2に供給される。エンジン4のクランクケースからオイルセパレータ2に供給されるブローバイガスはミスト状オイルを含有する。オイルセパレータ2は、そのブローバイガスからミスト状オイルを分離する。
ブリーザーパイプ3はオイルセパレータ2の上部とエンジン4の吸気側流路6との間に接続されている。オイルセパレータ2から排出された分離後のブローバイガスは、吸気側流路6におけるエアフィルタ7とターボチャージャー8とを接続する部分に環流される。環流されたブローバイガスは、エアフィルタ7からの新鮮な空気と混合される。ブローバイガスと新鮮な空気の混合気はターボチャージャー8によって圧縮される。その後、混合気は、チャージクーラー9によって冷却された上で、エンジン4に供給される。
オイル供給管10はオイルセパレータ2の下部とエンジン4との間に接続され、エンジン4から送出された作動オイルはオイル供給管10を通じてオイルセパレータ2に供給される。オイルセパレータ2に供給された作動オイルの流動がオイルセパレータ2の動力に利用され、その動力によってオイルセパレータ2(特に、後述のローターユニット50)が動作する。オイルセパレータ2に供給される作動オイルはエンジン4で用いられる潤滑オイルである。オイルセパレータ2が作動オイルによって動作すると、ミスト状オイルがブローバイガスから分離される。分離後のミスト状オイルは、オイルセパレータ2の内部において作動オイルに混合される。その混合されたオイルがオイルセパレータ2からエンジン4に排出される。本実施形態では、オイルセパレータ2から排出されるオイルの脈動及び逆流を防止して、オイルがオイルセパレータ2からエンジン4にスムーズに流れるようにする。オイルの脈動及び逆流を抑えるメカニズムを説明する前に、オイルセパレータ2の構成について説明する。
2.オイルセパレータの概要
図2〜図11を参照して、オイルセパレータ2について説明する。
図2〜図5に示すように、このオイルセパレータ2はハウジング20、下部隔壁部材31、中部隔壁部材32、上部隔壁部材33、ローターユニット50及びPCVバルブ90を備える。ハウジング20は下部ケース21、上部ケース22及びトップカバー23を有する。ハウジング20は下部ケース21、上部ケース22及びトップカバー23を組み立てて成り、ハウジング20の内側に内部空間が形成されている。下部隔壁部材31、中部隔壁部材32、隔壁部22a及び上部隔壁部材33がハウジング20の内側に設けられ、ハウジング20の内部空間が下部隔壁部材31、中部隔壁部材32、隔壁部22a及び上部隔壁部材33によって区切られている。ローターユニット50及びPCVバルブ90等は、ハウジング20の内部空間内に収容された状態でハウジング20に組み付けられている。
以下では、特に断りのない限り、軸方向とは、ローターユニット50の回転軸に平行な方向を示し、周方向とは、ローターユニット50の回転軸を中心とした周方向を示し、径方向とは、ローターユニット50の回転軸に直交する方向を示すものとする。オイルセパレータ2がエンジン4に取り付けられた状態では、ローターユニット50の回転軸が鉛直な上下方向に延びる。
3.ハウジング及びその内側の区画
ハウジング20及びその内部空間について説明するとともに、下部隔壁部材31、中部隔壁部材32、隔壁部22a及び上部隔壁部材33によるハウジング20の内部空間の区切りについて説明する。
図3及び図5〜図8に示すように、上部ケース22が筒状に設けられ、上部ケース22の上面及び下面が開放されている。上部ケース22の内側の上部に隔壁部22aが設けられ、上部ケース22の中空が隔壁部22aによって隔壁部22aよりも上側の空間と下側の空間に仕切られている。
上部ケース22のうち隔壁部22aよりも下側の部分には、インレットポート24が設けられている。このインレットポート24はガス供給管5(図1及び図3参照)に接続されている。従って、ブローバイガスがエンジン4からガス供給管5及びインレットポート24を通ってハウジング20の内部空間のうち隔壁部22aよりも下側の部分(具体的には、後述の導入路41)に導入される。
上部ケース22の内側には、円盤状の隔壁部22aから下方の離れた位置に中部隔壁部材32が設けられている。中部隔壁部材32の周縁部が上部ケース22の内周面に取り付けられ、上部ケース22の中空が中部隔壁部材32によって上下に区切られている。中部隔壁部材32の下面の中央部には、円筒状の嵌合部32bが下方に向けて突設されている。嵌合部32bの中空は、中部隔壁部材32の上面において開口するとともに、嵌合部32bの下端においても開口する。嵌合部32bの下端の開口には、支持部32dが嵌合部32bの下端の開口の中心から嵌合部32bの内周面まで放射状に設けられている。支持部32dが放射状に設けられているので、流通穴32eが支持部32dに形成されている。そのため、嵌合部32bの中空は支持部32dの穴を介して下に通じている。なお、支持部32dは、後述のスピンドルシャフト51の上端を支持する。
隔壁部22aの下面には仕切り部22cが突出した状態で設けられ、仕切り部22cの下端が中部隔壁部材32の上面に突き当てられている。図9に示すように、この仕切り部22cによって中部隔壁部材32と隔壁部22aの間の空間が導入路41とその導入路41を囲う第1チャンバー42とに仕切られている。インレットポート24が上部ケース22の外側と導入路41とを連通させる。図5及び図6に示すように、流通穴32eが導入路41と中部隔壁部材32の下側の空間とを連通させる。ブローバイガスがエンジン4からガス供給管5及びインレットポート24を通って導入路41に導入され、導入されたブローバイガスが導入路41及び嵌合部32bを経由して、流通穴32eを通って中部隔壁部材32の下側へ送られる。
隔壁部22aには第2連通孔22dが形成され(特に図9参照)、その第2連通孔22dが隔壁部22aを上下に貫通する。第2連通孔22dの位置は仕切り部22cの外側であり、第2連通孔22dが第1チャンバー42と隔壁部22aの上側の中空とを連通させる。一方、導入路41の上側が隔壁部22aによって塞がれ、隔壁部22aの上側の中空と導入路41が隔壁部22aによって仕切られている。
図5及び図6に示すように、中部隔壁部材32の周縁部を複数の第1連通孔32cが上下に貫通している。第1連通孔32cの位置は仕切り部22cの外側であり、第1連通孔32cが第1チャンバー42と中部隔壁部材32の下側の中空とを連通させる。
図5、図7及び図8に示すように、上部ケース22の下端には下部隔壁部材31が取り付けられ、上部ケース22の下側開口が下部隔壁部材31によって塞がれている。下部隔壁部材31が中部隔壁部材32から下に離間し、中部隔壁部材32と下部隔壁部材31との間には分離室43が形成されている。この分離室43は上部ケース22内の中空の一部である。この分離室43内において、インレットポート24から導入路41、嵌合部32b及び流通穴32eを通って後述のローターユニット50のローター60に導入されたブローバイガスからミスト状オイルガスがローター60によって分離される。
図5及び図6に示すように、上部ケース22の上端には上部隔壁部材33が取り付けられ、上部ケース22の上側開口が上部隔壁部材33によって塞がれている。上部隔壁部材33が隔壁部22aから上に離れており、上部隔壁部材33と隔壁部22aの間には第2チャンバー45が形成されている。上部隔壁部材33の中央部には開口部33aが形成され、その開口部33aが上部隔壁部材33を上下に貫通する。
上部ケース22の上端にはトップカバー23が取り付けられている。このトップカバー23が上部隔壁部材33にその上から覆い被さって、上部隔壁部材33の周縁部がトップカバー23の下端と上部ケース22の上端との間に挟持されている。トップカバー23がドーム状に形成されていて、トップカバー23の内側に第3チャンバー46が形成されている。その第3チャンバー46と第2チャンバー45が上部隔壁部材33によって仕切られ、開口部33aが第2チャンバー45と第3チャンバー46とを連通させる。
トップカバー23にはアウトレットポート23aが設けられ、このアウトレットポート23aがトップカバー23の外側と第3チャンバー46とを連通させる。このアウトレットポート23aがブリーザーパイプ3に接続され、第3チャンバー46内の分離後のブローバイガスが第3チャンバー46及びブリーザーパイプ3を通って吸気側流路6へ排出される。
図5、図7及び図8に示すように、上部ケース22の下端には下部ケース21が取り付けられている。この下部ケース21が下部隔壁部材31の下から下部隔壁部材31に覆い被さって、下部ケース21の上端部が上部ケース22の下端の開口に嵌め込まれ、下部ケース21と上部ケース22がボルト等によって固定されている。下部隔壁部材31の周縁部が下部ケース21の上端と上部ケース22の下端との間に挟持されている。この下部ケース21は、上面が開放された有底の箱状に形成されている。下部隔壁部材31が下部ケース21内の噴射室44と上部ケース22内の分離室43を仕切っている。下部隔壁部材31の中央部には、ローターユニット50が通される通し孔31aが形成されている。
下部隔壁部材31の下面には、下方に垂下する筒状のオイルガード31gが設けられている。オイルガード31gは通し孔31aの周囲を囲繞する。
下部隔壁部材31には、複数のオイル穴31cが周方向に所定間隔で形成されている。これらオイル穴31cはオイルガード31gの周囲に配置されている。ブローバイガスから分離されたオイルが分離室43からこれらオイル穴31cを通って噴射室44に流れ込む。
4.ブローバイガスの経路
図5に矢印で示すように、エンジン4からインレットポート24に導入されたブローバイガスは、導入路41、嵌合部32b、流通穴32e、ローター60、分離室43、第1連通孔32c、第1チャンバー42、第2連通孔22d、第2チャンバー45、開口部33a、第3チャンバー46の順に流れて、アウトレットポート23aからブリーザーパイプ3へ排出される。
5.オイル導入路、オイル排出口及び通気路
図5、図8及び図10に示すように、下部ケース21にはオイル排出口21a及び通気路21dが形成されている。オイル排出口21aは下部ケース21の側面において開口して、噴射室44内に通じている。オイル排出口21aがエンジン4に接続され、噴射室44内のオイルがオイル排出口21aを通ってエンジン4に排出される。
通気路21dの一端21eは下部ケース21の側面におけるオイル排出口21aよりも上の位置において開口し、その開口とオイル排出口21aが上下に並列されている。通気路21dは下部ケース21の側面から噴射室44内に向かって延設されて、その途中で上方に曲がっている。通気路21dの他端21fは噴射室44内において上向きに開口している。他端21fの開口はオイルガード31gの下端よりも上に、且つオイルガード31gの外側に配置されている。
下部ケース21の内側の底面は、オイル排出口21aに向かって下りに傾斜する。下部ケース21の内側の底面には、ボス21bが凸設されている。ボス21bにはオイル導入路21cが形成されている。このオイル導入路21cはボス21bの上面から下向きに穿設されて、横向きに分岐して下部ケース21の側面まで設けられており、オイル導入路21cの一端が下部ケース21の側面で開口し、オイル導入路21cの他端がボス21bの上面で開口する。下部ケース21の側面においてオイル導入路21cがオイル供給管10(図1及び図3参照)に接続されている。従って、作動オイルがエンジン4からオイル供給管10を通ってオイル導入路21cに導入される。
オイル導入路21cの中途部には、作動オイルを濾過する網状のストレーナ35が設けられている。下部ケース21の下端からプラグ35aを取り外すことによって、オイル導入路21cの下端が開いて、ストレーナ35をオイル導入路21cから取り外すことができる。
6.ローターユニット及び作動オイルについて
図3、図5、図7及び図8に示すように、ローターユニット50は、ブローバイガスからミスト状オイルを分離するための機構である。ローターユニット50は、スピンドルシャフト51、スピンドル52、ローター60及び複数のノズル53等を備える。
スピンドルシャフト51は、下部ケース21及び上部ケース22内において上下に延在して、下部隔壁部材31の通し孔31aを上下に貫通している。スピンドルシャフト51の下端部がオイル導入路21cの上端に挿入されている。スピンドルシャフト51の上端部が支持部32dに支持されている。スピンドルシャフト51の内部には、第1オイル供給路51bがスピンドルシャフト51の中心線に沿って形成されている。第1オイル供給路51bの下端がスピンドルシャフト51の下端面において開口して、第1オイル供給路51bがオイル導入路21cに通じている。第1オイル供給路51bの上部がスピンドルシャフト51の中間部において径方向外方に向けて複数に分岐し、第1オイル供給路51bの端がスピンドルシャフト51の外周面において開口する。
スピンドルシャフト51が筒状のスピンドル52に挿入され、このスピンドル52も下部隔壁部材31の通し孔31aを上下に貫通している。スピンドルシャフト51の上部がスピンドル52の上端から上方に突き出ているとともに、スピンドルシャフト51の下部がスピンドル52の下端から下方に突き出ている。スピンドルシャフト51の外周面とスピンドル52の内周面との間には隙間が形成されており、その隙間が第2オイル供給路52aである。この第2オイル供給路52aには、オイル導入路21cに導入された作動オイルが第1オイル供給路51bを通って供給される。
スピンドル52の下端部においてスピンドルシャフト51が下側ブッシュ55に挿入され、その下側ブッシュ55がスピンドルシャフト51の外周面とスピンドル52の内周面との間に挟まれている。スピンドル52の上端部においてスピンドルシャフト51が上側ブッシュ56に挿入され、その上側ブッシュ56がスピンドルシャフト51の外周面とスピンドル52の内周面との間に挟まれている。
スピンドル52のラジアル荷重がブッシュ55,56を介してスピンドルシャフト51に受けられ、スピンドル52が回転可能な状態でスピンドルシャフト51に支持されている。スピンドルシャフト51の上端部にナット58が螺合し、スピンドルシャフト51の下部がボス21bの上面に設けられたブッシュ54に挿入されている。そして、ナット58とブッシュ54との間にはワッシャー57、上側ブッシュ56、スピンドル52及び下側ブッシュ55が挟まれており、スピンドル52のスラスト荷重がブッシュ54及びナット58に受けられる。
スピンドル52及びブッシュ55,56が軸方向に僅かに移動できるように、僅かな隙間が下側ブッシュ55とブッシュ54との間や上側ブッシュ56とワッシャー57との間やワッシャー57とナット58との間に存在する。具体的には、ローター60の回転時にはスピンドル52及びブッシュ55、56が軸方向に沿って上昇し、ローター60の停止時にはスピンドル52及びブッシュ55、56が下降する。
また、スピンドル52の内周面と上側ブッシュ56との間に僅かな隙間が存在し、第2オイル供給路52a内の作動オイルの一部がその隙間を通じてスピンドル52の外に流出する。以下、この流出した作動オイルを分離用オイルという。
スピンドル52がスピンドルシャフト51に支持された状態では、スピンドル52が下部隔壁部材31の通し孔31aに通されており、そのスピンドル52が通し孔31aから上方へ延び出ているとともに、通し孔31aから下方へ延び出ている。
スピンドル52の下部の外周面には、複数のノズル53が周方向に等間隔(例えば、120°の間隔)で突設されている。これらノズル53はスピンドル52の軸線に対して下向き斜めに取り付けられている。ノズル53の先端寄りの周面には、噴射口53aが形成されている。噴射口53aは、スピンドル52の軸線を中心とした周方向に向けられている。ノズル53の基端部においてノズル53の中空が第2オイル供給路52aに連通している。第2オイル供給路52a内の作動オイルがノズル53内に供給されて、噴射口53aから噴出される。作動オイルの噴射圧によってスピンドル52が回転する。従って、これらノズル53は、オイルを噴射して、オイルの噴射圧によってスピンドル52の回転の動力を発生させるものである。
これらノズル53は噴射室44内に配置されているとともに、オイルガード31gの内側に配置されている。ノズル53の噴射口53aから噴射された作動オイルがオイルガード31gに吹き付けられる。よって、作動オイルがオイルガード31gの外側に飛散せず、通気路21dの他端21fの開口やオイル穴31cにも入り込まない。
オイルガード31gに吹き付けられた作動オイルはオイルガード31gから噴射室44内の底へ滴下する。滴下した作動オイルがオイル排出口21aに流れ込んで、エンジン4へ排出される。噴射室44が通気路21dによってエンジン4内に連通しているため、噴射室44内のガス圧とエンジン4内のガス圧が調圧される。従って、オイル排出口21aを流れる作動オイルに脈動が発生せず、その流れがスムーズとなる。
図8に示すように、噴射室44の底に作動オイルが溜まるが、そのオイル溜まり100の液面101の位置はエンジン4内の圧力の影響を受ける。エンジン4内の圧力が高くなる程、オイル溜まり100の液面101がより高くなり、逆にエンジン4内の圧力が低くなる程、オイル溜まり100の液面101がより低くなる。しかし、通気路21dの他端21fの開口が高い位置に、特にオイルガード31gの下端よりも上の位置に設けられているため、オイル溜まりの液面が通気路21dの他端21fの開口よりも上昇せず、通気路21dの他端21fの開口の油没を防止できる。特に、通気路21dの他端21fの開口が上に向けられているため、その開口の油没をより防止できる。また、オイル溜まり100の液面101にスロッシングが生じても、通気路21dの他端21fの開口に大量のオイルが流れ込むことがなく、その開口がオイルによって完全に塞がれることがない。よって、通気路21dによる噴射室44内の圧力調整が確実になされる。
通気路21dの他端21fの開口が上に向けられているため、車両が傾斜した場合でも、図11に示すようにオイル溜まり100の液面101が通気路21dの他端21fの開口よりも下に位置して、オイル溜まり100のオイルが通気路21dの他端21fの開口に流れ込みにくい。
続いて、図3、図5〜図8を参照して、ローター60について説明する。ローター60は分離室43内においてブローバイガスからミスト状オイルを分離する部分である。このローター60の外観形状が筒状に呈しており、ローター60の中心部が空間62とされ、その中心部空間62がローター60を上下方向に貫通し、中心部空間62の上下が開放されている。この中心部空間62にはスピンドル52が挿入されており、スピンドル52とローター60とは互いに結合されている。従って、ローター60は、ノズル53によるオイルの噴射圧によってスピンドル52とともに回転する。
このローター60は、分離ディスク群61、上部ホルダ71、下部ホルダ72及びディスク保持部73を備える。
分離ディスク群61は複数枚の分離ディスク63から構成され、これら分離ディスク63がスピンドル52の軸線方向に積層されている。分離ディスク63は、スピンドル52の軸線から径方向外向きに離れた上下逆V字を軸線周りに回転することによって得られた形状に設けられている。そのため、分離ディスク63の中央部には、開口が形成されている。分離ディスク63が積み重ねられることに伴って、これら開口からなる中心部空間62が形成される。
分離ディスク63が上下逆V字の回転体であるので、分離ディスク63の外周側部分64が分離ディスク63の中心の上方を頂点とした裁頭円錐面型に形作られ、分離ディスク63の内周側部分65が分離ディスク63の中心の下方を頂点とした裁頭円錐面型に形作られている。内周側部分65は径方向外方に向けて上向きに傾斜し、外周側部分64は内周側部分65の外縁から径方向外方に向けて下りに傾斜する。分離ディスク63が内周側部分65と外周側部分64との間の境界部で曲折しているので、分離ディスク63の剛性が向上する。また、分離ディスク63の内周縁から分離ディスク63の表面に沿って分離ディスク63の外周縁までの長さを長くとることができ、分離ディスク63の表面積を大きくとることができる。
分離ディスク63の上面若しくは下面又はこれらの両面には、複数の凸状部(例えば、リブ、突起等)が設けられている。凸状部が隣りの分離ディスク63に当接し、隣り合う分離ディスク63の間に隙間が形成され、その隙間の幅が凸状部の高さによって決められる。なお、図3及び図5〜図8では、分離ディスク63の間隔を空けて描いているが実際の間隔は極めて狭い。
以上のような複数枚の分離ディスク63が上部ホルダ71、下部ホルダ72及びディスク保持部73に組み付けられて、ローター60が組み立てられている。
ディスク保持部73が分離ディスク63の中央開口に挿入され、分離ディスク63がディスク保持部73に支持されている。スピンドル52がディスク保持部73に挿入され、スピンドル52がディスク保持部73に固定されている。ディスク保持部73には複数のスリットが放射状に設けられ、それらスリットがディスク保持部73の内周から外周に通じている。そのため、ディスク保持部73の内側の空洞部73aがディスク保持部73の複数のスリットによって分離ディスク63の間の隙間に通じている。
これら分離ディスク63が上部ホルダ71と下部ホルダ72との間に挟み込まれ、連結部74(図3参照)が上部ホルダ71の外周部と下部ホルダ72の外周部を連結する。これにより、分離ディスク63が上部ホルダ71と下部ホルダ72の間に保持される。
下部ホルダ72の外周縁が上部ケース22の内周面から離れており、下部ホルダ72の外周縁と上部ケース22の内周面の間には隙間43aが形成されている。
下部ホルダ72の中央部には開口72aが形成されている。この開口72aが最下層の分離ディスク63の中央開口の下に重なり、この開口72aが中心部空間62の下端の開口となる。スピンドル52が下部ホルダ72の開口72aに嵌合し、開口72aの周辺部がスピンドル52の下部の外周面及びディスク保持部73の下端に固定される。よって、この開口72aがスピンドル52によって塞がれている。
上部ホルダ71の中央部に開口71aが形成されている。この開口71aが最上層の分離ディスク63の中央開口の上に重なり、この開口71aが中心部空間62の上端の開口となる。この開口71aの縁部がディスク保持部73の上端に接続されており、ディスク保持部73の内側の空洞部73aが開口71aに通じている。空洞部73aの上部及び開口71aには、中部隔壁部材32の嵌合部32bが上部ホルダ71の開口71aに挿入されており、嵌合部32bの中空が流通穴32eによって空洞部73aに通じている。従って、インレットポート24を通ってハウジング20の内側に導入されたブローバイガスが、導入路41、嵌合部32bの中空及び流通穴32eを通って空洞部73aに流れる。
空洞部73aに流れ込んだブローバイガスは、ディスク保持部73の複数のスリットを径方向外方に向けて流動して、更に分離ディスク63の間の隙間に流れ込む。分離ディスク63の間の隙間に流れ込んだブローバイガスは径方向外方へ流動する。ここで、分離ディスク63の間の隙間に流れ込んだブローバイガスに対しては、上流側からの圧力が作用する上、ローター60の回転による遠心力も作用する。また、導入路41内のブローバイガスを空洞部73aへ吸引する吸引圧がローター60の回転による遠心力によって生じ、ブローバイガスの流速が上昇する。
一方、スピンドル52の内周面と上側ブッシュ56との間に僅かな隙間から空洞部73a内に流出した分離用オイルも、ブローバイガスとともに、ディスク保持部73の複数のスリットを径方向外方に向けて流動して、更に分離ディスク63の間の隙間に流れ込む。分離ディスク63の間の隙間に存在するオイルが遠心力によって分離ディスク63の表面に広がって、油膜が分離ディスク63の表面に形成されるが、油膜の形成される箇所は主に分離ディスク63の内周側部分65の上面と外周側部分64の下面である。
ブローバイガスが分離ディスク63の間の隙間を流動していると、ブローバイガスに含まれるミスト状オイルが分離ディスク63の表面の油膜に吸収される。これにより、ブローバイガス中のミスト状オイルが分離ディスク63によって捕捉されて、ブローバイガスからミスト状オイルが分離される。上述したように分離ディスク63の表面積が大きく、分離ディスク63の積み重ね枚数も多いため、ミスト状オイルが分離されやすい。
また、ブローバイガスから分離されたオイルのみならず、第2オイル供給路52aから流れ出た分離用オイルも、分離ディスク63の表面の油膜の成分となっているため、分離ディスク63の表面に十分な油膜が形成される。そのような油膜にブローバイガス中のミスト状オイルが吸収されるので、ミスト状オイルの分離効率が高い。
分離ディスク63の表面に付着したオイルは遠心力によって分離ディスク63の表面に沿って外周側へ流れる。分離ディスク63の外周縁では、分離ディスク63の表面に付着したオイルが遠心力によって分離ディスク63の間の隙間から外側に飛翔する。
図8に矢印で示すように、飛翔したオイルが上部ケース22の内周面に付着する。そのオイルは上部ケース22の内周面に付着した状態で流れ落ちる。そのオイルは、オイル穴31cを通って噴射室44内に流れ込む。そのオイルの一部は、噴射室44内の作動オイルと混合して、オイル排出口21aに流れ混む。残りのオイルは通気路21dを通ってエンジン4へ排出される。通気路21dを流れるオイルはブローバイガスから分離されたものであり、そのオイルはノズル53から噴射される作動オイルよりも少量である。従って、通気路21dを流れるオイルの量が少ないため、通気路21dがオイルによって閉塞されない。
7.分離後のブローバイガスの排出経路及びPCVバルブについて
分離ディスク63の間の隙間においてミスト状オイルが分離されたブローバイバスは、分離ディスク63の間の隙間から外方に噴出する。そのブローバイガスは、図5に示すように、分離室43内にて上昇して、第1連通孔32cを通って第1チャンバー42に流れ込む。そのブローバイガスは第1チャンバー42から第2連通孔22dを通って第2チャンバー45に流れ込む。そして、ブローバイガスは、第2チャンバー45から上部隔壁部材33の開口部33a、第3チャンバー46及びアウトレットポート23aを通ってブリーザーパイプ3に排出される。これにより、ブローバイガスがエンジン4へと環流される。
図5及び図6に示すように、第2チャンバー45から第3チャンバー46に流れるブローバイガスの流量がPCVバルブ90によって調整される。これにより、エンジン4の吸気圧力やクランクケース側の圧力が適切に調整される。
PCVバルブ90は第2チャンバー45内に取り付けられている。このPCVバルブ90はダイヤフラム91、上側スプリング92及び下側スプリング93を備える。ダイヤフラム91は、弾性変形する円盤状の弁体である。このダイヤフラム91は、第2チャンバー45内に収容されているとともに、上部隔壁部材33の開口部33aの下に配置されている。このダイヤフラム91の外縁部が隔壁部22aの上面に接合されている。隔壁部22aの第2連通孔22dがダイヤフラム91の外縁部よりも外側に配置されているため、第2連通孔22dを通過したブローバイガスがダイヤフラム91の上を流れる。
上側スプリング92は、ダイヤフラム91の中央部の上においてダイヤフラム91と上部隔壁部材33との間に挟まれている。下側スプリング93は、ダイヤフラム91の中央部の下においてダイヤフラム91と隔壁部22aとの間に挟まれている。これらの上側スプリング92と下側スプリング93がこれらの間にダイヤフラム91の中央部を挟み込んで、ダイヤフラム91の中央部が上側スプリング92及び下側スプリング93によって移動可能な状態で支持されている。
上部ケース22には調圧孔22bが形成されており、その調圧孔22bはダイヤフラム91の下側の空間と上部ケース22の外側を連通させる。従って、ダイヤフラム91の下側の空間が調圧孔22bによって大気圧とされている。
開口部33aを通過するブローバイガスの流量は以下のようにして調整される。つまり、エンジン4の吸気圧力(負圧)が過度に大きい場合には、ダイヤフラム91の中央部が上方へ移動するため、開口部33aの開き度合いが小さくなり、ブローバイガスの流量が低下する。一方、クランクケース側の圧力が高い場合には、ダイヤフラム91の中央部が下方へ移動して開口部33aの開き度合いが大きくなって、ブローバイガスの流量が上昇する。これにより、ブローバイガスの流量がダイヤフラム91によって適切に調整される。また、エンジン4、特にクランクケースの圧力も適切に調整される。
なお、PCVバルブ90が設けられていなくてもよい。
8.有利な効果
通気路21dの他端21fの開口がオイル排出口21aよりも上の位置に設けられているため、噴射室44内の圧力が通気路21dによって調整される。よって、オイルがオイル排出口21aにスムーズに流れ込む。
通気路21dの他端21fの開口が高い位置に、特にオイル溜まり100の液面101やオイルガード31gの下端よりも上の位置に設けられているため、通気路21dの他端21fの開口の油没を防止できる。よって、通気路21dによる噴射室44内の圧力調整が確実になされる。
9.フェイルセーフについて
分離ディスク63の間の隙間にスラッジ等が目詰まりした場合、エンジン4からインレットポート24へブローバイガスが流れなくなる。その場合、ブローバイガスの流動経路をオイルセパレータ2に確保することができるとともに、エンジン4の吸気圧力やクランクケース側の圧力がPCVバルブ90によって適切に調整される。
具体的には、ブローバイガスがエンジン4から通気路21dを通って噴射室44内に導入されて、オイル穴31cを通って分離室43に流れ込む。そのブローバイガスは、第1連通孔32c、第1チャンバー42、第2連通孔22d、第2チャンバー45、開口部33a、第3チャンバー46の順にこれらを通って、アウトレットポート23aからブリーザーパイプ3へ排出される。従って、ブローバイガスの循環経路が確保され、ブローバイガスの流量がPCVバルブ90によって調整される。
10.変形例
以上に説明した下部ケース21を図12及び図13に示す下部ケース121に変更してもよい。この下部ケース121について説明する。この下部ケース121は上面が開放された有底の箱状に形成されている。下部ケース121の上端部が上部ケース22の下端の開口に嵌め込まれて固定されている。下部隔壁部材31の周縁部が下部ケース21の上端と上部ケース22の下端との間に挟持され、下部ケース121内の噴射室144と分離室43が下部隔壁部材31によって仕切られている。下部ケース121の底部にオイル排出口121aが設けられ、このオイル排出口121aが噴射室144と下部ケース121の外側を連通させる。このオイル排出口121aはパイプを介してエンジン4に接続されている。
下部ケース121の内側の底面には、ボス121bが凸設されている。ボス121bにはオイル導入路121cが形成されている。このオイル導入路121cはボス121bの上端面から下に穿設されて、横に折れ曲がって下部ケース121の側面まで設けられており、オイル導入路121cの一端が下部ケース121の側面で開口し、オイル導入路121cの他端がボス121bの上面で開口する。スピンドルシャフト51の下端部がオイル導入路121cの上端に挿入されており、オイル導入路21cに導入された作動オイルが第1オイル供給路51b及び第2オイル供給路52aに流れる。
下部ケース121には通気路121dが形成されている。通気路121dの一端121eが下部ケース121の側面において開口し、その開口とオイル導入路121cの端の開口が上下に並列されている。通気路121dの一端121eの開口はパイプによってエンジン4に接続されている。通気路121dの一端121eの開口の位置は下部ケース121の下面におけるオイル排出口121aの位置よりも上である。
通気路121dの他端121fが下部ケース121の内面において開口し、その開口が横に向いている。その他端121fの開口はオイルガード31gの下端よりも上に、且つオイルガード31gの外側に配置されている。従って、ノズル53から噴射された作動オイルが通気路121dの他端121fの開口に入り込まず、その開口の油没を防止できる。
以上に幾つかの実施形態について説明したが、以上の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。
2…オイルセパレータ
20…ハウジング
21a…オイル排出口
21d…通気路
22a…隔壁部
22c…仕切り部
22d…第2連通孔
23a…アウトレットポート
24…インレットポート
31…下部隔壁部材(隔壁部材)
31g…オイルガード
32…中部隔壁部材
32c…第1連通孔
32e…流通穴
33…上部隔壁部材
41…導入路
42…第1チャンバー(チャンバー)
43…分離室
44…噴射室
52…スピンドル
53…ノズル
63…分離ディスク
90…PCVバルブ
100…オイル溜まり
101…液面

Claims (6)

  1. ミスト状オイルを含むガスから前記ミスト状オイルを分離するオイルセパレータであって、
    内部空間を有したハウジングと、
    上下方向の軸線回りに回転可能に前記内部空間に設けられたスピンドルと、
    前記スピンドルの周囲に設けられて前記スピンドルとともに回転し、前記スピンドルの軸線方向に隙間を置いて積層された複数枚の分離ディスクと、
    前記分離ディスクの下側において前記スピンドルの外周面から突設され、オイルを噴射することによって前記スピンドル及び前記分離ディスクを回転させるノズルと、を備え、
    前記ハウジングには、前記ハウジングの外側から内側に通じるオイル排出口及び通気路が設けられ、
    前記ハウジング内において前記通気路が前記ハウジング内の底のオイル溜まりの液面及び前記オイル排出口よりも上の位置で開口する
    オイルセパレータ。
  2. 前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上側の分離室と下側の噴射室に仕切る隔壁部材と、
    前記噴射室内において前記隔壁部材の下面から垂下し、筒状に設けられたオイルガードと、を更に備え、
    前記スピンドルが前記隔壁部材を上下に貫通し、前記分離ディスクが前記分離室内に配され、前記ノズルが前記オイルガードの内側に配され、前記オイル排出口及び前記通気路が前記ハウジングの外から前記噴射室内に通じ、前記噴射室内において前記通気路が前記オイルガードの下端よりも上の位置且つ前記オイルガードの外側で開口する
    請求項1に記載のオイルセパレータ。
  3. 前記隔壁部材から上に離間して前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上下に仕切る中部隔壁部材と、
    前記中部隔壁部材から上に離間して前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上下に仕切る隔壁部と、
    前記隔壁部から上に離間して前記内部空間に設けられ、前記内部空間を上下に仕切り、上下に貫通する開口部が形成された上部隔壁部材と、
    前記中部隔壁部材と前記隔壁部との間に設けられ、前記中部隔壁部材と前記隔壁部との間の領域を導入路とチャンバーに仕切る仕切り部と、を備え、
    前記ハウジングには、前記導入路に通じるとともに前記ガスを導入するインレットポートが設けられているとともに、前記上部隔壁部材の上側の領域に通じるアウトレットポートが設けられ、
    前記中部隔壁部材には、前記導入路と前記分離ディスクの中央部を連通させる流通穴が設けられるとともに、前記噴射室と前記チャンバーを連通させる第1連通孔が設けられ、
    前記隔壁部には、前記隔壁部と前記上部隔壁部材との間の領域と前記チャンバーを連通させる第2連通孔が設けられ、
    前記隔壁部材には、前記噴射室と前記分離室を連通させるオイル穴が設けられている
    請求項2に記載のオイルセパレータ。
  4. 前記上部隔壁部材と前記隔壁部の間に設けられ、前記開口部の開き度合いを調整するPCVバルブを更に備える請求項3に記載のオイルセパレータ。
  5. 前記内部空間における前記通気路の開口が上に向けられている
    請求項1から4の何れか一項に記載のオイルセパレータ。
  6. 前記ハウジングの外側における前記通気路の開口の位置が前記ハウジングの外側における前記オイル排出口の位置よりも上である
    請求項1から5の何れか一項に記載のオイルセパレータ。
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