JP2020002837A - 可変容量圧縮機 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載されている可変容量圧縮機では、クランク室の冷媒を吸入室に排出する放圧通路の開度を調整する第二制御弁において、クランク室の圧力を受ける弁室と圧力供給通路の圧力を受ける背圧室とを区画する区画部材を備える。また、区画部材は、スプールの弁部を囲むように設けられた側壁と、側壁の一端側に接続してスプールの軸部が貫通する端壁を有する。そして、第二制御弁において区画部材の側壁の端壁と反対側の端面が弁室における背圧室と反対側の壁面と当接し、スプールの弁部が、弁室における背圧室と反対側の壁面に当接したときに、スプールの受圧部が区画部材の端壁と当接する。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、駆動軸の軸方向に沿った方向への大型化を抑制することが可能な可変容量圧縮機を提供することを目的とする。
これにより、可変容量圧縮機の内部に、第二制御弁を配置するために専用の収容室を設ける必要が無くなる。このため、駆動軸の軸方向に沿った方向への大型化を抑制することが可能な可変容量圧縮機を提供することが可能となる。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1から図5を用いて、第一実施形態の構成を説明する。
(可変容量圧縮機)
図1中に表すように、可変容量圧縮機1は、シリンダブロック2と、フロントハウジング3と、バルブプレート4と、シリンダヘッド5と、駆動軸6と、供給通路7と、排出通路8と、第一制御弁9と、第二制御弁10を備える。なお、図1における上方は、鉛直方向の上方である。同様に、図1における下方は、鉛直方向の下方である。
第一実施形態では、一例として、可変容量圧縮機1が、車両用(車載)のエアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に適用される、クラッチレス可変容量圧縮機として構成されている場合について説明する。
シリンダブロック2と、フロントハウジング3と、バルブプレート4と、シリンダヘッド5は、図示しないガスケットを介し、通しボルト11により締結されることで、可変容量圧縮機1のハウジングを形成している。
シリンダブロック2には、複数のシリンダボア21と、一つのセンタボア22が区画形成されている。
複数のシリンダボア21は、環状に配列されている。
シリンダボア21の内部には、ピストン23が収容されている。
センタボア22は、環状に配列された複数のシリンダボア21の径方向内側で中心に配置されており、シリンダブロック2を貫通する空間である。
フロントハウジング3は、シリンダブロック2の一端側(フロント側。図1中では、左側)を閉塞している。また、フロントハウジング3は、シリンダブロック2と共に、クランク室30を画成している。
クランク室30は、フロントハウジング3とシリンダブロック2によって形成された空間であり、斜板31が配置されている。また、クランク室30の内部には、駆動軸6が、軸方向を水平に向けて配置されている。
また、斜板31は、駆動軸6に固定されたロータ32に、リンク機構33を介して連結されており、駆動軸6と共に回転する。すなわち、ロータ32は、駆動軸6に固定されて駆動軸6と一体に回転する。
さらに、斜板31は、駆動軸6の軸線に対する傾角(傾斜角度)を変化させることが可能である。
リンク機構33は、第一アーム33aと、第二アーム33bと、リンクアーム33cを含む。
第一アーム33aは、ロータ32の斜板31と対向する面から突出している。第二アーム33bは、斜板31のロータ32と対向する面から突出している。リンクアーム33cの一端側は、第一連結ピン33dを介して第一アーム33aと回転可能に連結されている。リンクアーム33cの他端側は、第二連結ピン33eを介して第二アーム33bと回転可能に連結されている。
最小傾角における傾角増大バネ37の付勢力は、傾角減少バネ35の付勢力よりも大きく設定されている。このため、駆動軸6が回転していないとき、斜板31の傾角は、傾角減少バネ35の付勢力と傾角増大バネ37の付勢力とが釣り合う角度となる。
バルブプレート4は、シリンダブロック2とシリンダヘッド5との間に設けられており、一方の面がシリンダブロック2の他端側(図1中では、右側)を閉塞することで、各シリンダボア21を閉塞している。
また、バルブプレート4には、吐出孔41と、吸入孔42が形成されている。
吐出孔41と吸入孔42は、それぞれ、各シリンダボア21と連通している。
すなわち、バルブプレート4は、シリンダブロック2の他端側(リア側。図1中では、右側)を閉塞し、且つシリンダボア21と連通する吐出孔41及び吸入孔42が形成されている。
シリンダヘッド5は、バルブプレート4を間に挟んで、シリンダブロック2と対向して設けられている。すなわち、シリンダヘッド5は、バルブプレート4を介して、シリンダブロック2の他端側に設けられている。
また、シリンダヘッド5には、吸入室51と吐出室52が、シリンダヘッド5の内部に区画されて形成されている。なお、吸入室51と吐出室52は、バルブプレート4の他方の面により閉塞されている。
吸入室51は、駆動軸6の軸方向から見て、シリンダヘッド5の中央に配置されている。
また、吸入室51は、吸入ポート53と吸入通路54を介して、エアコンシステムが有する吸入側の外部冷媒回路と接続されており、吸入側の外部冷媒回路から、低圧側の冷媒(冷媒ガス)を吸入する。
吐出室52は、駆動軸6の軸方向から見て、吸入室51を環状に包囲する位置に配置されている。すなわち、吐出室52は、吸入室51の外側へ環状に配置されている。
また、吐出室52は、吐出弁(図示せず)と、バルブプレート4に設けられた吐出孔41を介して、各シリンダボア21と連通している。
さらに、吐出室52は、吐出通路55と吐出ポート56を介して、エアコンシステムが有する吐出側の外部冷媒回路と接続されている。したがって、吐出室52へ吐出された、圧縮部によって圧縮された冷媒は、吐出通路55と吐出ポート56を介して、吐出側の外部冷媒回路へ、高圧側の冷媒(冷媒ガス)が吐出される。
吐出逆止弁57は、吐出室52(上流側)と吐出通路55(下流側)との圧力差に応答して動作する。そして、吐出逆止弁57は、圧力差が予め設定した閾値の圧力よりも小さい場合には、吐出室52と吐出通路55との間を遮断して、吐出通路55から吐出室52への冷媒の移動を阻止する。一方、吐出逆止弁57は、圧力差が閾値の圧力よりも大きい場合には、吐出室52と吐出通路55との間を連通させる。
したがって、吐出室52から、吐出通路55と吐出ポート56を介して、吐出側の外部冷媒回路へ吐出される高圧側の冷媒は、吐出逆止弁57によって、逆流を阻止されている。
駆動軸6は、フロントハウジング3及びシリンダブロック2の内部へ配置されており、両端がフロントハウジング3とシリンダブロック2に、回転可能に支持されている。
駆動軸6の一端は、センタボア22へ挿入されている。駆動軸6とセンタボア22との間には、第一滑り軸受61が配置されている。
また、駆動軸6のバルブプレート4と対向する側の端面は、円環状のスラストプレート62で支持されている。
駆動軸6とスラストプレート62との接触状態(隙間)は、シリンダブロック2に対する調整ねじ63の取り付け状態によって調整されている。
調整ねじ63は、円環状に形成されており、外径面に雄ねじ(図示せず)が形成されている。また、センタボア22のうち、調整ねじ63の外径面と対向する面には、調整ねじ63に形成されている雄ねじと嵌合する雌ねじ(図示せず)が形成されている。
また、図4中に示すように、調整ねじ63が有する空隙部は、六角形に形成されている。
また、調整ねじ63は、調整ねじ63の駆動軸6と対向する面と調整ねじ63の外径面とを連通させるねじ側通路63aが形成されている。
ねじ側通路63aは、駆動軸6の軸方向から見て、調整ねじ63の駆動軸6と対向する面の一部を切除した形状に形成されている。したがって、調整ねじ63の駆動軸6と対向する面のうち、ねじ側通路63aを形成していない部分が、スラストプレート62と接触している。
駆動軸6とフロントハウジング3との間には、第二滑り軸受64と、軸封装置65が配置されている。第二滑り軸受64は、駆動軸6を、ラジアル方向から回転可能に支持している。また、駆動軸6の他端側に向かうスラスト方向の荷重を、ロータ32を介してスラスト軸受66で支持している。
軸封装置65は、クランク室30の内部を、外部空間から遮断している。
なお、可変容量圧縮機1の内部には、潤滑用のオイル(図示せず)が封入されており、駆動軸6が回転すると、オイルが攪拌される。また、可変容量圧縮機1の内部を冷媒が移動すると、冷媒と共にオイルが移動して、可変容量圧縮機1の内部が潤滑される。
供給通路7は、吐出室52とクランク室30とを連通させており、吐出室52の冷媒をクランク室30へ供給する通路である。
また、供給通路7は、図2中に示すように、ヘッド側供給通路形成部71と、プレート側供給通路形成部72と、ブロック側供給通路形成部73を有する。
ヘッド側供給通路形成部71は、供給通路7のうちシリンダヘッド5に形成されている通路であり、供給通路7のうち吐出室52から供給された冷媒を排出する部分と、プレート側供給通路形成部72とを連通させている。
プレート側供給通路形成部72は、供給通路7のうちバルブプレート4に形成されている部分であり、ヘッド側供給通路形成部71と、弁室100とを連通させている。なお、バルブプレート4には、供給通路7のうちプレート側供給通路形成部72と吸入室51とを連通させる絞り通路74が形成されている。また、弁室100の詳細な説明は、後述する。
また、ブロック側供給通路形成部73のうち、クランク室30側の端部には、逆止弁75が配置されている。すなわち、絞り通路74は、第一制御弁9と逆止弁75との間の供給通路と、吸入室51とを連通させる。
すなわち、逆止弁75は、供給通路7のうち第一制御弁9よりもクランク室30に近い側に配置され、且つクランク室30から第一制御弁9への冷媒の移動を阻止する。
排出通路8は、クランク室30と吸入室51とを連通させており、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する通路である。
また、排出通路8は、軸内通路81と、ブロック側排出通路形成部82と、プレート側排出通路形成部83を有する。
軸内通路81は、排出通路8のうち駆動軸6の内部に形成されている通路である。すなわち、排出通路8の一部は、駆動軸6の内部に形成されている。
軸内通路81の一端は、駆動軸6の側面に開口しており、クランク室30と連通している。軸内通路81の他端は、駆動軸6のバルブプレート4と対向する側の端面に開口しており、ねじ側通路63aを介してセンタボア22の一部と連通するとともに、調整ねじ63が有する空隙部を介して弁室100の一部と連通している。したがって、排出通路8には、弁室100の一部も含む。
ブロック側排出通路形成部82は、排出通路8のうちシリンダブロック2に形成されている通路であり、絞り82aと、拡張部82bと、排出部82cを備える。
絞り82aは、シリンダブロック2のうち、バルブプレート4と対向する面の一部を切除した形状に形成されており、軸内通路81と、拡張部82bとを常時連通させている。
すなわち、排出通路8が有する拡張部82bは、弁室100よりもクランク室30に近い位置に設けられて第三ポートP3と連通しているとともに、第三ポートP3よりも流路断面積が大きい。なお、第三ポートP3の説明は、後述する。
排出部82cは、シリンダブロック2のうち、拡張部82bよりもクランク室30から遠い位置に形成されている通路であり、拡張部82bと、プレート側排出通路形成部83とを連通させている。
なお、ブロック側排出通路形成部82は、例えば、センタボア22のうち、拡張部82bのクランク室30側の開口部を閉塞部材84で閉塞することで形成されている。
プレート側排出通路形成部83は、排出通路8のうちバルブプレート4に形成されている開口部であり、排出部82cと、吸入室51とを連通させている。
第一制御弁9は、シリンダヘッド5の内部において、吐出室52とクランク室30とを連通させており、供給通路7に配置されている。
また、第一制御弁9は、供給通路7の開度(断面積)を調整することが可能である。
第一制御弁9によって供給通路7の開度を調整することで、吐出室52からクランク室30への冷媒の導入量を制御することが可能である。したがって、第一制御弁9によって供給通路7の開度を調整することによって、クランク室30の圧力を変化させ、斜板31の傾斜角を変化させると、ピストン23のストロークを変化させることが可能となる。そして、ピストン23のストロークを変化させると、可変容量圧縮機1の吐出容量(吐出する冷媒の流量)を、可変制御することが可能となる。
例えば、空調装置の作動時、すなわち、可変容量圧縮機1を作動させている状態では、第一制御弁9に内蔵されるソレノイドの通電量が、外部から入力を受けた信号に基づいて調整される。これにより、吸入室51の圧力が所定値となるように、可変容量圧縮機1の吐出容量が可変制御される。このとき、第一制御弁9は、外部環境に応じて、吸入圧力を最適な値に制御することが可能である。
また、例えば、空調装置の非作動時、すなわち、可変容量圧縮機1を作動させていない状態では、第一制御弁9に内蔵されるソレノイドを通電させないことにより、供給通路7を強制的に開放し、可変容量圧縮機1の吐出容量を最小に制御する。
第二制御弁10は、センタボア22のうち駆動軸6の一端とバルブプレート4との間に配置された弁室100と、弁室100に駆動軸6の軸方向に沿って移動可能に収容されている弁体110を有する。
(弁室)
弁室100は、センタボア22のうち、バルブプレート4に近い側の一部によって形成されている。
また、弁室100は、図3中に示すように、センタボア22のうち、駆動軸6の一端とバルブプレート4との間に配置された空間である。駆動軸6の一端とは、バルブプレート4と対向する側の端部である。
さらに、弁室100は、第一壁面101と、第二壁面102と、周壁面103と、第一ポートP1と、第二ポートP2と、第三ポートP3を有しており、軸内通路81の他端と連通している。
第一壁面101は、弁室100のうち、バルブプレート4に近い側の壁面であり、弁体110の移動方向の一方側(リア側)に配置される壁面を構成している。
第二壁面102は、駆動軸6の軸方向で、第一壁面101と対向する壁面であり、弁体110の移動方向の他方側(フロント側)に配置される壁面を構成している。
第一ポートP1は、第一壁面101に開口しており、供給通路7における第一制御弁9と逆止弁75との間の領域と、弁室100とを連通させる開口部である。すなわち、第一ポートP1は、第一壁面101に開口して、供給通路7における第一制御弁9と逆止弁75との間の領域と連通する。
また、図4中に示すように、第二ポートP2は、駆動軸6の軸方向から見て、センタボア22のうち駆動軸6が配置されている領域を含む。
また、図4中に示すように、第三ポートP3は、駆動軸6の軸方向から見て、センタボア22のうち駆動軸6が配置されている領域よりも外側に配置されている。
周壁面103は、第一壁面101と第二壁面102とを連続させる壁面であり、駆動軸6の軸方向から見て、円環状に形成されている。
以上により、供給通路7は、弁室100と、センタボア22とは別の経路でシリンダブロック2に形成され、且つクランク室30と弁室100に接続するブロック側供給通路を有する。これに加え、供給通路7は、第一壁面101に形成され、且つ第一ポートP1を介して弁室100に接続するプレート側供給通路と、プレート側供給通路及び第一制御弁9に接続するヘッド側供給通路を有する。
弁体110は、円板状に形成されている。
なお、弁室100は、例えば、センタボア22に駆動軸6とスラストプレート62を配置し、さらに、シリンダブロック2に調整ねじ63を取り付ける作業において、必要な空間を用いて形成することが可能である。このため、弁室100は、可変容量圧縮機1の内部に、第二制御弁10(弁体110)を配置するために、専用の収容室として形成した空間ではなく、可変容量圧縮機1に既存の構成を利用して形成することが可能な構成である。
弁体110を形成する材料としては、例えば、金属材料や樹脂材料を用いることが可能であるが、弁体110を軽量化するためには、弁体110を形成する材料として樹脂材料を用いることが好適である。弁体110を樹脂材料で形成する場合、樹脂材料としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂や、ナイロン(ポリアミド)樹脂等を用いることが可能である。
弁体110の厚さ(図1及び図5中では、左右方向の長さ)は、弁室100の駆動軸6の軸方向に沿った長さ(図1及び図5中では、左右方向の長さ)よりも小さい。
また、弁体110は、図5中に示すように、大径部110aと、小径部110bを備えている。
大径部110aは、小径部110bよりも駆動軸6に近い側に配置されている。
大径部110aの外径は、周壁面103の内径よりも小さい。
大径部110aのうち、駆動軸6と対向する面である第二受圧面112には、第二凹部112aが形成されている。
第二凹部112aの底面は、駆動軸6の軸方向から見て、軸内通路81と対向している。
第二受圧面112のうち、第二凹部112aが形成されていない部分の一部は、駆動軸6の軸方向から見て、第三ポートP3と、絞り82aと対向している。
したがって、第二受圧面112は、第二壁面102と対向する面である。
小径部110bの外径は、大径部110aの外径よりも小さい。また、小径部110bが形成する円の中心と、大径部110aが形成する円の中心は、駆動軸6の軸方向から見て重なっている。
小径部110bのうち、バルブプレート4と対向する面である第一受圧面111には、第一凹部111aが形成されている。
第一凹部111aの底面は、駆動軸6の軸方向から見て、第一ポートP1と対向している。
したがって、第一受圧面111は、第一壁面101と対向する面である。
以上により、弁体110は、第一壁面101と対向する面である第一受圧面111と、第二壁面102と対向する面である第二受圧面112を備えている。
図1から図5を参照しつつ、図6から図8を用いて、第一実施形態の可変容量圧縮機1で行う動作の一例と、作用を説明する。
可変容量圧縮機1の使用時には、駆動軸6の回転によりロータ32と斜板31が回転すると、斜板31とシュー38によって、駆動軸6の回転がピストン23の往復運動に変換され、シリンダボア21の内部に供給された冷媒を圧縮する。
シリンダボア21の内部におけるピストン23のストロークは、第一制御弁9によって供給通路7の開度を調整することで変化する。
ここで、第一実施形態の構成では、シリンダブロック2が備える弁室100に、第一受圧面111が第一壁面101と対向し、第二受圧面112が第二壁面102と対向する弁体110を収容している。
このため、第一ポートP1を通過して弁室100へ移動する冷媒の圧力によって弁体110が押され、弁体110がバルブプレート4から離れる方向へ移動する。
これにより、図6中に示すように、第一受圧面111が第一壁面101から離間するとともに、第二受圧面112が第二壁面102に当接する。なお、図6中には、冷媒の流れを、破線の矢印で示す。
すなわち、弁体110は、第一制御弁9が供給通路7を開くことで、第一ポートP1を通過して弁室100へ移動する冷媒の圧力が、第二ポートP2の冷媒の圧力よりも高くなったときに、第二壁面102に接触する。これにより、軸内通路81と拡張部82bとを絞り82aのみで連通させて、排出通路8の開度を、ゼロよりも大きな最小の開度とする。
排出通路8が備える絞り82aは、第二ポートP2と第三ポートP3とを常に連通させる。
また、第一受圧面111が第一壁面101から離間すると、供給通路7を、弁室100から逆止弁75に向けて冷媒が流れ、逆止弁75の入口側の圧力が上昇する。このため、逆止弁75が供給通路7を開放し、クランク室30に冷媒が供給される。
逆止弁75が供給通路7を閉じると、弁室100の圧力が吸入室51の圧力Psと等しくなり、第一受圧面111に吸入室51の圧力が作用するとともに、第二受圧面112にクランク室30の圧力Pcが作用する。これにより、弁体110に、クランク室30の圧力Pcと吸入室51の圧力Psとの差圧(Pc−Ps)が作用する。
そして、第一受圧面111が第一壁面101に当接すると、第二ポートP2と第三ポートP3が、弁室100のうち弁体110と第二壁面102との間を介して連通するとともに、第一ポートP1が、第二ポートP2及び第三ポートP3と遮断される。これにより、排出通路8の開度が最大となる。
したがって、供給通路7における第一制御弁9と逆止弁75との間の領域の圧力がクランク室30の圧力よりも低いときは、弁体110が第二壁面102から離間して第二ポートP2及び第三ポートP3を開放することで、排出通路8の開度を最大とする。
以上により、弁体110は、供給通路7における第一制御弁9と逆止弁75との間の領域の圧力とクランク室30の圧力との差に応じて、第一壁面101と第二壁面102との間を、駆動軸6の軸方向に沿って移動する。また、大径部110aの外周面は、弁体110が弁室100の内部を移動する際の、ガイド面を形成する。
すなわち、第二制御弁10は、排出通路8に配置されており、供給通路7の圧力変化に応じて、排出通路8の開度を調整する。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
第一実施形態の可変容量圧縮機1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)排出通路8の開度を調整する第二制御弁10が、センタボアのうち駆動軸6の一端とバルブプレート4との間に配置された弁室100と、弁室100へ駆動軸6の軸方向に沿って移動可能に収容された弁体110を有する。これに加え、供給通路7における第一制御弁9と逆止弁75との間の領域の圧力が、クランク室30の圧力よりも高いときは、弁体110が第二壁面102に当接して第二ポートP2及び第三ポートP3を閉鎖することで、排出通路8の開度を最小とする。一方、供給通路7における第一制御弁9と逆止弁75との間の領域の圧力が、クランク室30の圧力よりも低いときは、弁体110が第二壁面102から離間して第二ポートP2及び第三ポートP3を開放することで、排出通路8の開度を最大とする。
このため、センタボアのうち駆動軸6の一端とバルブプレート4との間を弁室100とし、この弁室100に弁体110を収容することで、可変容量圧縮機1の内部に、第二制御弁10を配置するために専用の収容室を設ける必要が無くなる。
その結果、駆動軸6の軸方向に沿った方向への大型化を抑制することが可能な可変容量圧縮機1を提供することが可能となる。
その結果、可変容量圧縮機1に既存の構成である、シリンダブロック2と、バルブプレート4と、シリンダヘッド5を加工することで、可変容量圧縮機1に新たな構成を追加すること無く、供給通路7を形成することが可能となる。
その結果、可変容量圧縮機1に既存の構成である駆動軸6を用いて、排出通路8を形成することが可能となる。
(4)第二ポートP2が、駆動軸6の軸方向から見て、センタボア22のうち駆動軸6が配置されている領域を含む。これに加え、第三ポートP3が、駆動軸6の軸方向から見て、センタボア22のうち駆動軸6が配置されている領域よりも外側に配置されている。
その結果、第二壁面102に、第二ポートP2及び第三ポートP3を容易に設けることが可能となる。
その結果、センタボア22のうちシリンダボア21に近い位置に第三ポートP3を設けた場合であっても、拡張部82bを設けることによって、第三ポートP3と吸入室51とを容易に接続させることが可能となる。
これに加え、拡張部82bにおいて、クランク室30から吸入室51へ移動する冷媒の流速が低下し、さらに、冷媒の移動する向きが反転するため、冷媒が含むオイルが吸入室51へ流出することを抑制することが可能となる。
その結果、第一制御弁9が供給通路7を開いているか閉じているかに係わらず、センタボア22と駆動軸6との間へ、冷媒が含むオイルを供給することが可能となるため、駆動軸6の潤滑を円滑に行うことが可能となる。
また、弁体110の第二受圧面112が第二壁面102に当接しているときは、クランク室30から吸入室51に排出される冷媒の流れが第二受圧面112に作用するが、第二ポートP2は駆動軸6が挿通されるセンタボア22の領域よりも大きく開口している。このため、クランク室30から吸入室51に排出される冷媒の流速が極めて低くなり、冷媒の流れが第二受圧面112を押圧する力が小さくなるため、弁体110の第二受圧面112が不用意に第二壁面102から離間することを抑制することが可能となる。
その結果、第二ポートP2とクランク室30とを、容易に連通させることが可能となる。
(8)弁体110が、第二受圧面112に形成された凹部である第二凹部112aを備えており、第二凹部112aの底面が、軸内通路81と対向している。
その結果、第二ポートP2を通過して弁室100へ移動する冷媒の圧力を、第二凹部112aで効率的に受けることが可能となり、弁体110を、駆動軸6から離れる方向へ効率的に移動させることが可能となる。
その結果、第一ポートP1を通過して弁室100へ移動する冷媒の圧力を、第一凹部111aで効率的に受けることが可能となり、弁体110を、バルブプレート4から離れる方向へ効率的に移動させることが可能となる。
(1)第一実施形態では、駆動軸6の内部に形成した軸内通路81により、排出通路8の一部を形成したが、これに限定するものではなく、例えば、図9中に示すように、駆動軸6に軸内通路81を形成しない構成としてもよい。
この場合、排出通路8の一部を、例えば、駆動軸6と第一滑り軸受61との間に形成されている隙間(駆動軸6を回転させるために確保している隙間)と、シリンダブロック2に形成したブロック側排出通路85によって形成してもよい。
ブロック側排出通路85は、センタボア22と拡張部82bとを連通させる通路である。
なお、図9中には、図6と同様、冷媒の流れを、破線の矢印で示す。
Claims (8)
- 環状に配列された複数のシリンダボアと、前記複数のシリンダボアの内側に配置されたセンタボアと、が区画形成されたシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの一端側を閉塞し、且つ前記シリンダボアと連通する吐出孔及び吸入孔が形成されたバルブプレートと、
前記シリンダブロックの他端側を閉塞し、且つ前記シリンダブロックと共にクランク室を画成するフロントハウジングと、
前記バルブプレートを間に挟んで前記シリンダブロックと対向して設けられ、且つ中央に配置された吸入室と、前記吸入室の外側へ環状に配置された吐出室と、が形成されたシリンダヘッドと、
一端が前記センタボアに挿通されて前記シリンダブロックに支持され、他端が前記フロントハウジングに支持された駆動軸と、
前記複数のシリンダボアにそれぞれ配設され、且つ前記駆動軸の軸方向に往復運動するピストンと、
前記駆動軸に固定されて駆動軸と一体に回転するロータと、
前記ロータに連結され、且つ前記ロータと同期回転して前記駆動軸の軸線に対して傾角が可変となるように駆動軸へ摺動自在に取り付けられた斜板と、
前記斜板の回転を前記ピストンの往復運動に変換する変換機構と、
前記吐出室と前記クランク室とを連通させる供給通路と、
前記供給通路に配置され、且つ前記供給通路の開度を調整する第一制御弁と、
前記クランク室と前記吸入室とを連通させる排出通路と、
前記排出通路に配置され、且つ前記排出通路の開度を調整する第二制御弁と、
前記供給通路のうち前記第一制御弁よりも前記クランク室に近い側に配置され、且つ前記クランク室から前記第一制御弁への冷媒の移動を阻止する逆止弁と、
前記第一制御弁と前記逆止弁との間の供給通路と前記吸入室とを連通させる絞り通路と、を備え、前記第一制御弁の開度調整により前記クランク室の圧力を変化させることで前記斜板の傾角を変更して前記ピストンのストロークを調整し、さらに、前記ストロークを調整した前記ピストンにより前記吸入室から前記シリンダボアに吸入された冷媒を圧縮して前記吐出室に吐出する可変容量圧縮機であって、
前記第二制御弁は、前記センタボアのうち前記駆動軸の一端と前記バルブプレートとの間に配置された弁室と、前記弁室へ前記駆動軸の軸方向に沿って移動可能に収容された弁体と、を有し、
前記弁室は、前記弁体の移動方向の一方側に配置される第一壁面と、前記弁体の移動方向の他方側に配置される第二壁面と、前記第一壁面に開口して前記供給通路における前記第一制御弁と前記逆止弁との間の領域と連通する第一ポートと、前記第二壁面に開口して前記排出通路の一部を介して前記クランク室に連通する第二ポートと、前記第二壁面に開口して前記排出通路の一部を介して前記吸入室に連通する第三ポートと、を有し、
前記弁体は、前記第一壁面と対向する面である第一受圧面と、前記第二壁面と対向する面である第二受圧面と、を備え、前記供給通路における前記第一制御弁と前記逆止弁との間の領域の圧力と前記クランク室の圧力との差に応じて前記第一壁面と前記第二壁面との間を移動し、
前記供給通路における前記第一制御弁と前記逆止弁との間の領域の圧力が前記クランク室の圧力よりも高いときは、前記弁体が前記第二壁面に当接して前記第二ポート及び前記第三ポートを閉鎖することで前記排出通路の開度を最小とし、
前記供給通路における前記第一制御弁と前記逆止弁との間の領域の圧力が前記クランク室の圧力よりも低いときは、前記弁体が前記第二壁面から離間して前記第二ポート及び前記第三ポートを開放することで前記排出通路の開度を最大とすることを特徴とする可変容量圧縮機。 - 前記供給通路は、前記弁室と、前記センタボアとは別の経路で前記シリンダブロックに形成され、且つ前記クランク室と前記弁室に接続するブロック側供給通路と、前記第一壁面に形成され、且つ前記第一ポートを介して前記弁室に接続するプレート側供給通路と、前記プレート側供給通路及び前記第一制御弁に接続するヘッド側供給通路と、を有していることを特徴とする請求項1に記載した可変容量圧縮機。
- 前記第二ポートは、前記駆動軸の軸方向から見て、前記センタボアのうち前記駆動軸が配置されている領域を含み、
前記第三ポートは、前記駆動軸の軸方向から見て、前記センタボアのうち前記駆動軸が配置されている領域よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した可変容量圧縮機。 - 前記排出通路は、前記弁室よりも前記クランク室に近い位置に設けられて前記第三ポートと連通し、且つ前記第三ポートよりも流路断面積が大きい拡張部と、前記駆動軸の軸方向から見て前記弁室よりも径方向の外側に配置されて前記拡張部と前記吸入室とを連通させ、且つ前記拡張部よりも流路断面積が小さい排出部と、を有し、
前記排出部は、前記拡張部よりも前記クランク室から遠い位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した可変容量圧縮機。 - 前記排出通路は、前記第二ポートと前記第三ポートとを連通させる絞りを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した可変容量圧縮機。
- 前記第二ポートは、前記駆動軸の前記弁体と対向する面に開口する軸内通路を介して前記クランク室と連通していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載した可変容量圧縮機。
- 前記第二受圧面は、前記駆動軸と対向し、
前記弁体は、前記第二受圧面に形成された凹部である第二凹部を備え、
前記第二凹部の底面は、前記軸内通路と対向していることを特徴とする請求項6に記載した可変容量圧縮機。 - 前記第一受圧面は、前記バルブプレートと対向し、
前記弁体は、前記第一受圧面に形成された凹部である第一凹部を備え、
前記第一凹部の底面は、前記第一ポートと対向していることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載した可変容量圧縮機。
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