JP2020002317A - 自動現像機の洗浄液 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期にわたり現像処理した場合であっても、ウォッシュオフされた感光層により生成された付着物を容易に除去することが可能な自動現像機の洗浄液を提供する。【解決手段】洗浄液が少なくとも1種以上のジカルボン酸エステル化合物を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、支持体上に親水性層と、該親水性層上に重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層を少なくとも有する感光性平版印刷版を現像する際に用いられる自動現像機の洗浄液に関する。
光重合を利用した感光性組成物には種々の応用分野があるが、特に平版印刷版に関わる分野においては、近年、コンピューター上で作製したデジタルデータをもとにフィルム上に出力せずに直接印刷版上に出力するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式が開発され、各種プレートセッターに適合する感光性平版印刷版の開発が盛んである。
CTP方式の普及と共にクローズアップされてきた重要な問題点あるいは要望として、現像処理に関わる諸点が挙げられる。通常のCTP方式では、感光性平版印刷版をレーザー露光した後、アルカリ性現像液により非画像部を溶出し、水洗及びガム引き工程を経て印刷に供される。しかし、アルカリ性現像液は人体に有害であり、その取扱い及び保管には十分な注意と管理が必要とされる。
上記のようなアルカリ性現像液を用いることを回避し、水等で現像可能なネガ型感光性平版印刷版としては、例えば特開2003−215801号公報、特開2008−265297号公報、特開2009−226596号公報、特開2010−237559号公報、特開2010−231133号公報、特開2010−224188号公報等に詳しく記載されている。
これら感光性平版印刷版は支持体上に、印刷時に水を選択的に受容して非画像部となる親水性層と、その上に印刷時にインキを選択的に受容可能な画像部となる感光層を有する。露光工程で像様に露光されることで光重合した部分の感光層は画像部に、それ以外の感光層部分は現像時にウォッシュオフされる事により親水性層が露出する。
上記した感光性平版印刷版の現像処理工程は、一般的に自動現像機を用いて行われる事が広く知られている。しかしながら自動現像機を用いて長期間にわたり現像処理が施された場合、ウォッシュオフされた感光層が現像槽中に滞留することになり、現像槽の壁面や搬送ロール、現像液の循環経路内等に付着物を生成する事があり、しばしばこれら付着物が版面に転写することで様々なインキ汚れトラブルを引き起こしていた。
これら印刷トラブルを回避する為には、定期的な自動現像機の清掃や現像液の交換を行う必要がある。従来、自動現像機の清掃作業を行う際には、一般的に市販されている家庭用洗剤が用いられていたが、ウォッシュオフされた感光層が強固に付着した現像槽を洗浄するには大変な労力と時間が必要であった。一方、家庭用洗浄剤には研磨剤を含有するものがあり、これらを使用することである程度の労力と作業時間を短縮することは可能であるが、自動現像機内の各パーツを損傷する恐れがあり、作業には専門的な知識が求められていた。
自動現像機を洗浄する洗浄液あるいはその方法としては、例えば、特開平9−151394号公報(特許文献1)には金属イオン封鎖剤を含む洗浄液が、特開平10−3172号公報(特許文献2)には酸化剤を含む洗浄液を自動現像機内で45℃以上に加熱循環する洗浄方法が、特開2001−255667号公報(特許文献3)にはキレート剤とアニオン性界面活性剤、有機溶剤、n−アルカン酸及び緩衝剤を含みpHが8.0以上である洗浄液が、特開2005−283752号公報(特許文献4)には分子内にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤を含有する洗浄液が、特開2008−83224号公報(特許文献5)にはアルカノールアミンを0.4モル/L以上6モル/L以下含有する洗浄液が、特開2010−211023号公報(特許文献6)には4級アンモニウム化合物と分子内にエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含有するアルキルアミン化合物を含有する洗浄液が記載されている。
しかしながら、これらの方法はいずれも感光性平版印刷版を現像処理する際にアルカリ性の現像液を用いることを前提に設計されており、例えば水等で現像可能な感光性平版印刷版用の自動現像機に適用するには効果が不十分であった。
他方、特開平8−231993号公報(特許文献7)にはジカルボン酸エステル化合物とアルキレングリコールエーテル化合物、パラフィン系又はオレフィン系炭化水素及び界面活性剤を含有する洗浄液組成物が開示されているが、該洗浄液はエレクトロニクス製品の部品洗浄を意図したものである。
特開平9−151394号公報 特開平10−3172号公報 特開2001−255667号公報 特開2005−283752号公報 特開2008−83224号公報 特開2010−211023号公報 特開平8−231993号公報
本発明の目的は、水等で現像可能な感光性平版印刷版を長期間にわたって現像処理した自動現像機の洗浄に好適であり、ウォッシュオフされた感光層により生成された付着物を容易に除去することが可能な自動現像機の洗浄液を提供する事にある。
上記した本発明の課題は、支持体上に親水性層と、該親水性層上に重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層を少なくとも有する感光性平版印刷版を現像する際に用いられる自動現像機の洗浄液であって、該洗浄液が少なくとも1種以上のジカルボン酸エステル化合物を含有することを特徴とする自動現像機の洗浄液によって解決することができる。
本発明によって感光性平版印刷版を長期間にわたって現像処理した自動現像機の洗浄に好適であり、ウォッシュオフされた感光層により生成された付着物を容易に除去することが可能な自動現像機の洗浄液を提供することができる。
本発明の自動現像機の洗浄液(以下、本発明の洗浄液とも記載)が含有するジカルボン酸エステル化合物は、例えば、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸化合物とヒドロキシ基を有する飽和または不飽和の炭化水素化合物とから形成されるエステルであれば良く、好ましくはジカルボン酸化合物とヒドロキシ基を有する炭素数が6以下の飽和炭化水素化合物とから形成されるエステルであり、具体的にはマレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、マレイン酸ジ−n−ブチルエステル、マレイン酸ジイソブチルエステル、マレイン酸ジペンチルエステル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジオクチルエステル、コハク酸ジメチルエステル、コハク酸ジエチルエステル、コハク酸ジ−n−ブチルエステル、コハク酸ジイソブチルエステル、コハク酸ジペンチルエステル、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジオクチルエステル、グルタル酸ジメチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、グルタル酸ジ−n−ブチルエステル、グルタル酸ジイソブチルエステル、グルタル酸ジペンチルエステル、グルタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、グルタル酸ジオクチルエステル、アジピン酸ジメチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸ジ−n−ブチルエステル、アジピン酸ジイソブチルエステル、アジピン酸ジペンチルエステル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチルエステル等が挙げられる。中でもアジピン酸ジメチルエステル及びアジピン酸ジエチルエステルが好ましく、特にアジピン酸ジエチルエステルが好ましい。
これら、ジカルボン酸エステル化合物の含有量に制限はないが、含有量が少ないと十分な洗浄効果が得られない事から、好ましくは10g/L以上、より好ましくは35g/L以上である。上限は500g/L以下であることが好ましい。
本発明の洗浄液は、前記ジカルボン酸エステル化合物の他にpH緩衝剤を含有することが好ましい。洗浄液の好ましいpHは6.5〜7.5であり、適用できる緩衝剤としては例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、ポリリン酸、炭酸、フィチン酸及びこれらの金属塩が挙げられる。これらpH緩衝剤は1種もしくは2種以上を併用しても良く、中でもリン酸塩とクエン酸塩を併用する事が好ましい。
また、本発明の洗浄液が含有する他の成分として、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプレピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート等のノニオン性界面活性剤、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル燐酸ナトリウム、ステアリル燐酸ナトリウム、オレイル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル燐酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上を併せて含有することもできる。これらグリコール類、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の含有量は50〜300g/Lである事が好ましい。
更に、本発明の洗浄液は必要に応じて、エチレンジアミンテトラ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸等のキレート剤、ジエタノールアミン、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、ベンゾトリアゾール誘導体、4−イソチアゾリン−3−オン化合物等の防腐剤、シリコーン系化合物、アルキレングリコール化合物等の消泡剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース等を感光層付着物の分散剤として含有する事もできる。
本発明の洗浄液が適用される自動現像機において現像される感光性平版印刷版としては、例えばアルミニウム支持体の表面を陽極酸化する事で形成された親水性層を有する感光性平版印刷版、もしくはプラスチックフィルム支持体上に無機フィラーを含有する親水性層を有する感光性平版印刷版等が挙げられるが、後者の感光性平版印刷版は現像時のウォッシュオフが不適であった場合にインキ汚れを引き起こし易く、感光層付着物の影響をより顕著に受けるという問題があった。従って、本発明の洗浄液はプラスチック支持体上に無機フィラーを含有する親水性層と該親水性層上に重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層を有する感光性平版印刷版、とりわけ水等で現像が可能な、プラスチックフィルム支持体上に無機フィラーを含有する親水性層と、該親水性層上に重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層を少なくとも有する感光性平版印刷版を現像する自動現像機の洗浄作業に好適に用いられる。
以下、本発明の洗浄液を好適に用いることができる、水等で現像が可能な、プラスチックフィルム支持体上に無機フィラーを含有する親水性層と、該親水性層上に重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層を少なくとも有する感光性平版印刷版に関して詳細に説明する。
上記した感光性平版印刷版が有するプラスチックフィルム支持体として用いるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース等の各種プラスチックフィルムが代表的に挙げられ、特にポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく用いられる。
プラスチックフィルムの表面は、親水性層や必要に応じて設けられる裏塗り層などとの接着を良くするために、表面処理されていても良い。こうした表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。更なる表面処理としてプラスチックフィルム支持体上に設ける親水性層との接着性を高める為、該支持体上に下引き層を設けても良い。
親水性層が含有する無機フィラーとしては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、コロイダルシリカ、細孔シリカ、カオリン等が挙げられる。中でも二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム及びコロイダルシリカが好ましい。
二酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型のいずれでもよく、その製法についても硫酸法、塩素法等いずれかに限定されるものではない。それらを単独または混合して使用してもよい。更に、分散安定性や他の機能性の観点から、各種表面処理を施したものを選択的に用いることも可能である。市販されている二酸化チタンとしては、例えば堺化学工業株式会社からのSR−1、R−650、R−5N、R−7E、R−3L、A−110、A−190等、石原産業株式会社からのタイペーク(登録商標)R−580、同R−930、同A−100、同A−220、同CR−58、チタン工業株式会社からのKRONOS(登録商標)KR−310、同KR−380、同KA−10、同KA−20等、テイカ株式会社からのチタニックス(登録商標)JR−301、同JR−600A、同JR−800、同JR−701等、デュポン株式会社からのタイピュア(登録商標)R−900、同R−931等が挙げられる。
硫酸バリウムは、バリウム塩素溶液に硫酸塩水溶液を加えて化学的に沈殿させて製造される沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。沈降性硫酸バリウムは例えば堺化学工業株式会社から“バリエース(登録商標)”として様々な粒子径のものや表面処理が施されたものなどが市販されているが、いずれも用いることができる。
水酸化アルミニウムは、アルミナ含有鉱石であるボーキサイトを苛性ソーダもしくはアルミン酸ナトリウム溶液と混合し、高温高圧条件下でアルミナ成分を抽出し、その抽出液から溶解残分である赤泥を分離除去して、清澄化したアルミン酸ナトリウム溶液を得、その後、該溶液に種子を添加して水酸化アルミニウムを晶析させ、得られた水酸化アルミニウムを粉砕することで得ることができる。水酸化アルミニウムは昭和電工株式会社から“ハイジライト(登録商標)”として各種グレードが市販されており、本発明ではいずれも用いることができる。
コロイダルシリカは、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。あるいは、アルコキシドの加水分解といった液相合成法によっても製造することができる。例えば日産化学工業株式会社からスノーテックス(登録商標)XS、スノーテックスS、スノーテックス20、MP−2040、MP−1040、スノーテックスZL、スノーテックスO、スノーテックスOL、スノーテックスUP、スノーテックスPS−S、スノーテックスPS−M等が市販されており、用いることができる。
また、親水性層に含有する無機フィラーの粒度分布においては、ピークが0.2μm以上0.6μm未満の範囲と、0.6μm以上1.5μm未満の範囲に存在し、0.2μm以上0.6μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度をfx、0.6μm以上1.5μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度をfyとしたとき、fx/fy比が1.5以上であり、かつ分布頻度fyが25%以上であることが好ましい。またfx/fy比は2.0以上であればより好ましく、fx/fy比の上限は3.5未満である。なお上記した範囲で、例えば0.2μm以上0.6μm未満の範囲に複数のピークが存在する場合は高い方のピークにて分布頻度fxを求めれば良いが、この2つのピークが隣接し、2つのピーク間の凹部の高さが高い方のピークの60%以上であるような場合においては、1つのピークと見なすこととする。
上記、粒度分布とは体積基準の粒度分布であり、測定対象となるサンプル粒子群がどのような粒子径のものでどのような割合で構成されているかを表す指標であり、一般に知られる公知の方法により測定することができる。測定方法としては例えば、ふるい法、コールター法(コールター原理)、動的光散乱法、画像解析法、レーザー回折散乱法等が知られているが、測定する粒子サイズや再現性、操作性等の観点からレーザー回折散乱法が好ましく用いられ、例えば(株)堀場製作所製LA−920(レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置)により測定することができる。また分布頻度はその測定結果に基づき、測定結果を大きさ(粒子径)毎の存在比率の分布として求めることができる。
粒度分布と分布頻度は、塗工液中で分散された無機フィラーを測定することで、あるいは塗布された親水性層の乾燥塗膜をアルカリにより再溶解した溶液中の無機フィラーを測定することで求めることができる。2種以上の無機フィラーを併用した場合において、レーザー回折散乱法ではFraunhofer回折理論とMie散乱理論より光強度の分布パターンを求める為、対象物固有の屈折率が必要となり、屈折率の異なる2種以上の無機フィラーを含有する塗工液の粒度分布や分布頻度を正確に測定することは困難である。しかしこのような場合、予めそれぞれの無機フィラー単体での粒度分布と分布頻度を測定し、得られた測定結果に塗工液中での添加比率を係数として乗じることによって塗工液の粒度分布と分布頻度を求めることができる。
前記した親水性層に含有される無機フィラーの好適な粒度分布を得るためには、平均一次粒子径が0.1μm以上0.6μm未満の無機フィラーと、平均一次粒子径が0.6μm以上2.0μm未満の無機フィラーを組み合わせて用いることが好ましく、このような組み合わせであれば無機フィラーは更に3種、4種と組み合わせて用いてもよい。
また、粒度分布を有する無機フィラー全体の中で、珪素含有化合物の含有量は少ない方が望ましい。珪素含有化合物とはコロイダルシリカや細孔シリカ、およびカオリン等といったもので、全無機フィラーに対して5質量%以下で用いることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、とりわけ1質量%以下で用いることが望ましい。
更に親水性層には例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体などの蛋白質またはその誘導体、アラビアゴム、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、デキストラン、プルランなどの多糖類、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン・マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、アクリルアミド重合体などの高分子化合物等を含有する事ができる。
親水性層が含有できる他の成分としては、親水性層の膜強度や接着強度を向上させる目的で例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホン等の架橋剤、親水性層中の無機フィラーを高濃度で含有する塗液の塗布性を向上させる目的で例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、オクタン酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキルベタイン型両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸、ステアリルジメチルアミノ酢酸等のアルキルベタイン型両性界面活性剤、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシド等のアミンオキシド型の両性界面活性剤を含有する事ができる。
親水性層の乾燥固形分量は0.1〜20g/Lの範囲である事が好ましく、0.2〜10g/Lの範囲である事がより好ましい。親水性層が含有する無機フィラーが占める割合は全乾燥固形分量に対して60質量%以上である事が耐汚れ性に優れた感光性平版印刷版が得られるため好ましい。
次に前記した親水性層上に設けられる重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層に関して説明する。
重合性二重結合基を有する化合物は高分子及び低分子の化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を混合して用いる事ができる。
重合性二重結合基を有する高分子化合物は、任意の繰り返し単位によって形成された高分子化合物であり、任意の連結基を介して重合性二重結合基が側鎖に結合した高分子化合物が好ましく例示される。中でもビニル基を重合性二重結合基として有する高分子化合物が好ましく、ビニル基が置換したフェニル基が直接もしくは任意の連結基を介して主鎖と結合した高分子化合物が特に好ましい。また、該高分子化合物の構造中、任意の連結基を介して主鎖に連結するカルボキシル基、スルホ基、四級アンモニウム基等を導入することが好ましいが、中でも現像性の高さからスルホ基を有する高分子化合物を好ましく用いることができる。該スルホ基は塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等)を形成しても良い。これらの連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。ビニル基が置換したフェニル基およびスルホ基は、それぞれ独立して主鎖に結合していても良いし、あるいはビニル基が置換したフェニル基とスルホ基が連結基の一部または全部を共有する形で結合していても良い。
上記ビニル基が置換したフェニル基において、該フェニル基は置換されていても良く、また、該ビニル基はハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。
重合性二重結合基を有する高分子化合物に関しては例えば、特開2012−203312号公報、特開2012−208152号公報、特開2012−208331号公報、特開2012−208332号公報、特開2013−20103号公報等に詳しく記載されており、利用する事ができる。
感光層には、前記した重合性二重結合基を有する高分子化合物と共に重合性二重結合基を有する低分子化合物を含有することが好ましい。この場合の重合性二重結合基を有する低分子化合物とは、光重合開始剤の光分解により発生するラジカルにより重合を行う化合物であればいずれも好ましく用いることができる。更には、分子内に2個以上の重合性二重結合基を有する化合物を含んで用いた場合には、ラジカルによる重合の結果、架橋物が生成するため、耐刷性及びインキ乗り性に優れた印刷版を与える為、極めて好ましく用いることができる。こうした目的で用いることのできる重合性二重結合基を有する化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性アクリル系モノマー等を挙げることができ、あるいはアクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用される。
感光層を構成する他の要素としては光重合開始剤を例示することができる。光重合開始剤としては、従来から知られる公知の化合物、例えばトリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、有機ホウ素塩、ヘキサアリールビイミダゾール、チタノセン化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの光重合開始剤の中でも、特にトリハロアルキル置換化合物、有機ホウ素塩が好ましく用いられる。更に好ましくは、トリハロアルキル置換化合物と有機ホウ素塩を組み合わせて用いることである。トリハロアルキル置換化合物と有機ホウ素塩を組み合わせる事で、更に感光性平版印刷版の感度を向上する事ができるために好ましい。
光重合開始剤であるトリハロアルキル置換化合物としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、あるいは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環あるいは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
更に感光層には前述の光重合開始剤を増感する化合物を併せて含有することが好ましい。400〜430nmの波長域の感度を増大される化合物としてシアニン系色素、特開平7−271284号公報、特開平8−29973号公報等に記載されるクマリン系化合物、特開平9−230913号公報、特開2001−42524号公報等に記載されるカルバゾール系化合物や、特開平8−262715号公報、特開平8−272096号公報、特開平9−328505号公報等に記載されるカルボメロシアニン系色素、特開平4−194857号公報、特開平6−295061号公報、特開平7−84863号公報、特開平8−220755号公報、特開平9−80750号公報、特開平9−236913号公報等に記載されるアミノベンジリデンケトン系色素、特開平4−184344号公報、特開平6−301208号公報、特開平7−225474号公報、特開平7−5685号公報、特開平7−281434号公報、特開平8−6245号公報等に記載されるピロメチン系色素、特開平9−80751号公報等に記載されるスチリル系色素、あるいは(チオ)ピリリウム系化合物等が挙げられる。これらのうち、シアニン系色素またはクマリン系化合物あるいは(チオ)ピリリウム系化合物が好ましい。
更に感光層にシランカップリング剤を含有する事で耐地汚れ性、耐網がらみ性、およびインキ脱離性等を低下させる事なく、耐刷性を向上する事ができる。
上記、シランカップリング剤として例えば、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリス(3−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等を含有する事ができる。中でも、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランが特に好ましい。なお、シランカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用しても良い。
本感光層は、光重合開始剤および重合性二重結合基を有する化合物の水中乳化物を少なくとも含有する水性塗工液を塗布、乾燥する事で形成された層である事が好ましい。水中乳化物の作製にあたっては、光重合開始剤及び重合性二重結合基を有する化合物をアニオン性界面活性剤の存在下で水中に乳化分散することで、ある程度高温に晒しても安定に乳化分散状態が保てる水中乳化物が得られる為、好ましい。また、光重合開始剤、重合性二重結合基を有する化合物、及び増感色素をアニオン性界面活性剤の存在下で水中に乳化分散する事が、塗工液の保存安定性の観点から好ましい。
乳化分散する際に用いるアニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、オクチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルアンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、アセチルアルコール硫酸エステルナトリウム等の脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウリル燐酸ナトリウム、ステアリル燐酸ナトリウム等のアルキル燐酸エステル塩類、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸アンモニウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ラウリルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げる事ができる。これらのうちで、特にジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及びアルキルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類が、最も分散安定性が向上する事から極めて好ましい。
またこの系に、前述した重合性二重結合基と塩を形成したスルホ基を有する高分子化合物を加えて乳化分散することで、水中乳化物の分散安定性は更に向上する。該高分子化合物は水溶性であるので、水中乳化物を作製する為の乳化分散時に添加してもよいし、あるいは乳化分散後に添加してもよいが、乳化分散時に添加する事で、水中における分散粒子径が顕著に減少し、極めて微小な液滴、微粒子の形態で分散する為、経時による沈降あるいは浮上などの問題発生が抑えられる事からより好ましい。更に、該高分子化合物は、その一部を分散時に使用して先ず分散液を作製し、安定な分散液が作製された後に更に該高分子化合物を添加する事も好ましく行う事ができる。
乳化分散するための分散方法は特に限定されず、回転式分散機、ビーズミルやボールミル等のメディアミル、超音波式分散機または混練機等の任意の分散機を利用する事ができ、ホモミキサーやホモジナイザー、あるいはサンドグラインダー等の市販される装置が好ましく利用できる。
水中乳化物を作製するにあたり、有機溶剤中に予め光重合開始剤および重合性二重結合基を有する化合物を溶解してから、あるいは有機溶剤中に予め光重合開始剤、重合性二重結合基を有する化合物、および増感色素を溶解してから、上記した分散方法にて乳化物を作製し、有機溶剤を蒸留で乳化物から除去して水中に微粒子が分散した水中乳化物を作製する事が好ましい。使用できる有機溶剤としては、常温で液体であり、重合性二重結合基を有する化合物や光重合開始剤、あるいは増感色素等を溶解もしくは分散可能である有機溶剤であればよい。有機溶剤の例として、揮発性有機溶剤と不揮発性有機溶剤が挙げられる。揮発性有機溶剤を用いた場合には、作製した分散液から揮発性有機溶剤を加熱もしくは放置する事などで系中から取り除く事が好ましい。不揮発性有機溶剤を用いる場合には、不揮発性有機溶剤が50℃より高い引火点を示し、通常の取扱いにおいて危険物としての対策が軽減できる場合があり、好ましい。
上記の揮発性有機溶剤の具体例としては例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の低級アルカノールの酢酸エステル類、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール系酢酸エステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられるが、酢酸エチルが最も好ましく使用される。
不揮発性有機溶剤として、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等が挙げられる。具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1′−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点溶剤が挙げられる。
水中乳化物を作製する際に用いる有機溶剤は、揮発性有機溶剤である事がより好ましい。この場合、分散状態が最も安定した水中乳化物が製造でき、かつ室温より高い温度に晒しても分散状態が安定に保たれる事から好ましい。揮発性有機溶剤としては、特に酢酸エチルが好ましい。酢酸エチルは揮発性が高いため、加熱もしくは減圧下に置くだけで簡便に溜去でき、酢酸エチルを溜去した後の水中乳化物は固体分散状態であり、酢酸エチル等の有機溶剤を含んだ状態よりも更に安定な水性塗工液を形成する事から極めて好ましい。なお、水性塗工液とは、該塗工液中の液媒体成分として水が50質量%以上占めることを意味し、より好ましくは80質量%以上である。
上記感光層は乾燥固形分量として0.2〜5.0g/mの範囲で設ける事が好ましい。より好ましくは0.5〜3.0g/mの範囲である。
更に感光層の上部に保護層を設けることも好ましく行われる。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する、大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光感度を更に向上させる好ましい効果を有する。更には感光層表面を傷から防止する効果も併せて期待される。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低く力学的強度に優れ、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、光重合性感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。
このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報等に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが良く、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等のような水溶性ポリマーが知られているが、これらのうち、ポリビニルアルコールを用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に最も良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。
上記保護層は乾燥固形分量として0.1〜10g/mの範囲であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜3g/mの範囲である。
感光性平版印刷版を像様に露光する為に用いる光源としては、カーボンアーク、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、ディープUVランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、エキシマーUVランプ、LED灯、各種蛍光ランプ等(白色蛍光灯、ブラックライト、ケミカルライト等)を用いることが可能であるが、製版効率の観点からレーザーによる走査露光が非常に好ましい。レーザー光源としては、青紫色半導体レーザー(バイオレットレーザー)、アルゴンレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、赤色LED、近赤外レーザー、赤外レーザー等が挙げられる。また、走査方法としては、内面ドラム方式あるいは外面ドラム方式、平面走査方式等のいずれであってもよいが、内面ドラム方式が好ましい。また、版面におけるレーザー強度は、1〜600μJ/cmとするのが好ましく、30〜400μJ/cmとするのが特に好ましい。
感光性平版印刷版の現像方法としては、例えば浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の公知の現像法により、好ましくは10〜60℃程度、更に好ましくは15〜45℃程度の温度で、5秒〜10分程度の時間でなされる。その際、感光層上に必要に応じて設けられる保護層は、予め水等で除去しておいても良いし、現像時に除去することとしても良い。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。なお、以下の記述の中における%や部は、特に記載がない限りは全て質量比を示すものである。
<感光性平版印刷版の作製>
厚みが約200μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記組成の親水性層塗工液をスライドホッパーコーティング法により塗布した。その際、湿分塗布量が35g/mになるように予め設定して塗布を行った。塗布後直ちに1〜5℃の冷風にて塗膜をゲル化、その後は50℃に設定された乾いた風を用いて乾燥を行った。乾燥後には40℃40%RHに調整された恒温恒湿機に入れ7日間の加温を施すことで親水性層を完成させた。
<親水性層塗工液>
アルカリ処理ゼラチン 1.2部
無機フィラー1:二酸化チタン 4.0部
(堺化学工業株式会社製 SR−1、平均一次粒子径≒0.3μm、
相対屈折率≒2.04)
無機フィラー2:硫酸バリウム 1.6部
(堺化学工業株式会社製 バリエースB−35、平均一次粒子径≒0.3μm、
相対屈折率≒1.23)
無機フィラー3:水酸化アルミニウム 0.4部
(昭和電工株式会社製 ハイジライトH−42、平均一次粒子径≒1.0μm、
相対屈折率≒1.24)
分散剤(アクリル酸共重合金属塩、10%溶液) 1.0部
界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム 0.4部
(第一工業製薬株式会社製 ネオハイテノール(登録商標)ECL−45
10%溶液)
キレート剤:トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウム 0.1部
硬膜剤(ジビニルスルホン、5%溶液) 4.0部
1Nの硫酸を用いてpHを7.0に調整し、水で全量を35部とした。
上記親水性層塗工液が含有する無機フィラーの粒度分布と分布頻度に関しては、上記親水性層塗工液が含有する無機フィラー2と3を添加せず、親水性層塗工液中に無機フィラー1が単独で存在する塗工液を作製し、また同様の手法で親水性層塗工液中に無機フィラー2や3が単独で存在する塗工液をそれぞれ作製し、各々の無機フィラーの粒度分布と分布頻度をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA920)を用いて測定し、得られた各々単体分散液の粒度分布に添加比率を係数として乗じ、上述の親水性層塗工液の粒度分布と分布頻度を算出した。この結果、0.2μm以上0.6μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度fxは64.8%であり、0.6μm以上1.5μm未満の範囲に存在する無機フィラーの分布頻度fyは30.1%であり、fx/fyは2.15であった。
<光重合性感光層>
上記で得られた親水性層上に、下記光重合性感光層塗工液を固形分量が1.5g/mになるよう塗布を行い、塗布後75℃の乾燥器内にて10分間乾燥した。
<光重合性感光層塗工液>
下記組成の液組成物A、Bを作製した。
<液組成物A>
イオン交換水 300部
重合性二重結合基を有する高分子化合物 20.0部
(下記化1/質量平均分子量20万)
アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム) 5.0部
(花王株式会社製 ペレックス(登録商標)OT−P)
着色剤(ピグメントブルー15) 0.2部
<液組成物B>
重合性二重結合基を有する低分子化合物 6.0部
(トリメチロールプロパントリアクリレート)
光重合開始剤1(下記化2) 2.0部
光重合開始剤2(下記化3) 1.5部
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.5部
増感色素(下記化4) 0.05部
酢酸エチル200部を加えて溶解した。
Figure 2020002317
Figure 2020002317
Figure 2020002317
Figure 2020002317
液組成物Aを真空乳化装置PVQ−1D(みづほ工業株式会社製)に投入しホモミキサーの回転速度は5000rpmに設定した上で、液組成物Bを真空乳化装置に投入し、室温下でホモミキサーを20分間高速撹拌し、乳化分散を行った。その後、真空乳化装置内をアスピレーターを用いて減圧状態にし、大気圧の20%の減圧条件下で温度を50℃に上昇させて酢酸エチルを減圧溜去して光重合性感光層塗工液とした。冷却器にて回収した酢酸エチルの量から、用いた全ての酢酸エチルが水中乳化物から溜去されたことを確認した。
<保護層>
下記保護層処方に従って塗工液を作製し、前記光重合性感光層上に固形分量が1.5g/mになるよう塗布を行い、塗布後75℃の乾燥器内にて10分間乾燥を行って感光性平版印刷版を得た。
<保護層処方>
ポリビニルアルコール 1部
(株式会社クラレ製 PVA−102)
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム 0.4部
(10%水溶液)
イオン交換水 9部
<露光・現像処理>
上記で得られた感光性平版印刷版を、三菱製紙株式会社製プレートセッターVDP(登録商標)−CF3070(発振波長405nm、青紫半導体レーザー出力120mW、版面露光エネルギー200μJ/cm)にて露光及び現像を行った。現像液としては水道水を用い、液温30℃で15秒間浸漬現像中にモルトンローラーにて感光層及び保護層を有する面を擦り取り、ウォッシュオフを行った。かかる現像処理を繰り返して実施した1日あたりの製版量は25m、現像液の補充量は200ml/mとし、4週間(休日2日/週)続けた。総製版量は500mであった。
次に、下記に示す洗浄液(実施例1〜10及び比較例1〜5)を作製して、現像液を抜き取り、現像カスが付着した現像槽内に個々の洗浄液をそれぞれ満たし、液温30℃にて30分間槽内を循環洗浄した。洗浄終了時に洗浄液を排出し、セルローススポンジを用いて残った現像カスを拭き取り洗浄効果を目視確認した。
<洗浄液のベース液>
純水 450g
リン酸2水素ナトリウム 1.0g
クエン酸三ナトリウム 1.0g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 50g
(花王株式会社製 エマール(登録商標)20C)
ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 100g
(日信化学工業株式会社製 オルフィン(登録商標)E1010)
(実施例1)
上記洗浄液のベース液に、コハク酸ジメチルエステルを100g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例1の洗浄液を得た。なお、実施例及び比較例の全ての洗浄液において、pHはリン酸または水酸化ナトリウムを用いて7.0に調整した。
(実施例2)
上記洗浄液のベース液に、グルタル酸ジメチルエステルを100g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例2の洗浄液を得た。
(実施例3)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジメチルエステルを100g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例3の洗浄液を得た。
(実施例4)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジエチルエステルを100g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例4の洗浄液を得た。
(実施例5)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジエチルエステルを25g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例5の洗浄液を得た。
(実施例6)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジエチルエステルを50g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例6の洗浄液を得た。
(実施例7)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジエチルエステルを75g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例7の洗浄液を得た。
(実施例8)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジエチルエステルを25g及びアジピン酸ジメチルエステルを75g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例8の洗浄液を得た。
(実施例9)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ジイソブチルエステルを100g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例9の洗浄液を得た。
(実施例10)
上記洗浄液のベース液に、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)を100g添加した後、全量を純水で1Lに調整して実施例10の洗浄液を得た。
(比較例1)
上記洗浄液のベース液に、水酸化テトラメチルアンモニウムを20g、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンラウリルアミン(日油株式会社製ナイミーン(登録商標)L703)を10g添加した後、全量を純水で1Lに調整して比較例1の洗浄液を得た。
(比較例2)
上記洗浄液のベース液に、N−メチルエタノールアミンを375g添加した後、全量を純水で1Lに調整して比較例2の洗浄液を得た。
(比較例3)
上記洗浄液のベース液に、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンn−ブチルエーテル(日油株式会社製ユニルーブ(登録商標)50MB5)を50g添加した後、全量を純水で1Lに調整して比較例3の洗浄液を得た。
(比較例4)
上記洗浄液のベース液に、2−フェノキシエタノールを30g、ジエチレングリコールフェニルエーテルを10g、ペラルゴン酸を90g、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムを30g、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを20g添加した後、全量を純水で1Lに調整して比較例4の洗浄液を得た。
(比較例5)
上記洗浄液のベース液に、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウムを10g添加した後、全量を純水で1Lに調整して比較例5の洗浄液を得た。
実施例及び比較例の洗浄液を用いた洗浄性の評価は、前記した4週間の現像処理で使用された搬送ガイド、搬送ローラー、現像槽壁面の各部分に付着した感光層残渣に対する洗浄効果を、目視観察により下記の評価基準で評価を行った。更に現像液循環経路内部の洗浄性に関しては洗浄終了後に新たな現像液を投入して循環流量を測定し、現像処理を開始する前に予め測定していた循環流量に対する相対値で評価した。なお、4週間現像処理した後、洗浄作業を行う前の循環流量は設定値に対して65%であった。
<洗浄性評価基準>
◎:擦らずに付着物が除去できた。
○:軽く擦るだけで付着物が除去できた。
△:軽く擦っただけでは付着物を完全に除去する事ができなかった。
×:強く擦っても付着物を完全に除去する事ができなかった。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2020002317
表1に示す結果から明らかな様に、本発明の洗浄液を利用する事で、長期間にわたり現像処理を繰り返した際に生成された自動現像機内の現像カス付着物を容易に除去する事が可能となる。

Claims (1)

  1. 支持体上に親水性層と、該親水性層上に重合性二重結合基を有する化合物を含有する感光層を少なくとも有する感光性平版印刷版を現像する際に用いられる自動現像機の洗浄液であって、該洗浄液が少なくとも1種以上のジカルボン酸エステル化合物を含有することを特徴とする自動現像機の洗浄液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113093481A (zh) * 2021-03-15 2021-07-09 广州华普环保科技有限公司 一种显影添加剂及其制备方法和应用

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