JP2020002079A - 分離剤の製造方法、分離剤の洗浄方法及び抗体の精製方法 - Google Patents

分離剤の製造方法、分離剤の洗浄方法及び抗体の精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく製造する分離剤の製造方法を提供する。【解決手段】多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した後、還元剤で洗浄する、分離剤の製造方法。多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した分離剤を、還元剤で洗浄する、分離剤の洗浄方法。前記製造方法により製造した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製する、抗体の精製方法。前記洗浄方法により洗浄した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製する、抗体の精製方法。【選択図】なし

Description

本発明は、分離剤の製造方法、分離剤の洗浄方法及び抗体の精製方法に関する。
近年、遺伝子工学、タンパク質工学及び細胞工学の発展に伴い、抗体医薬品と呼ばれる抗体の有する機能を利用した医薬品の開発が盛んに行われている。抗体医薬品は、従来の医薬品と比べて、標的分子に対してより特異的に働くことから、副作用をより軽減させ、かつ、高い治療効果が得られることが期待されており、実際に様々な病態の改善に寄与している。
一方、抗体医薬品は、生体に大量に投与されることから、他の組み換えタンパク質医薬品と比べた場合、その純度が品質に与える影響は大きいと言われている。したがって、純度の高い抗体を製造するためには、抗体に対して特異的に結合する分子をリガンドとする吸着材料を利用する、アフィニティクロマトグラフィー等の方法が一般的に用いられている。抗体医薬品として開発されているのは、基本的にモノクローナルIgG抗体であり、組み換え培養細胞技術等を用いて大量に生産され、IgG抗体にアフィニティを有するタンパク質を利用して精製される。
アフィニティリガンドは、特定の分子に特異的に結合する機能を有するタンパク質であり、そのアフィニティリガンドを担体に固定化したアフィニティ分離剤は、生体成分や組み換え体を含む微生物及び哺乳類培養細胞から、有用物質の効率的な分離精製に利用されている。実際に産業的に利用されているアフィニティリガンドとしては、例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインL等の微生物由来若しくはそれらを組み換え発現させて得られる機能的改変体(類縁物質)のペプチド性又は蛋白質性リガンド、ラクダ一本鎖抗体、抗体のFcレセプター等の組み換え蛋白質性リガンド、チアゾール誘導体等の化学合成性リガンド等が挙げられ、抗体医薬品等の精製に使用されている。抗体医薬品は、化学薬品に対しより低い毒性で、より高い特異性を示すことから、理想的な医薬品としてその需要が高まってきている。
例えば、特許文献1には、アフィニティリガンドを担体に固定化したアフィニティ分離剤が開示されている。
特表2005−509169号公報
しかしながら、アフィニティ分離剤は、その使用時に、細胞に由来するプロテアーゼによりアフィニティリガンド又はそのフラグメントが漏出したり、抗体溶出と同時にアフィニティリガンド又はそのフラグメントが漏出したり、様々な要因でアフィニティリガンド又はそのフラグメントが漏出する、いわゆる「リガンドリーク」という課題を有する。
リガンドリーク量が多いアフィニティ分離剤は、抗体の精製が不十分であったり、アフィニティリガンド又はそのフラグメントが不純物として抗体中に残存したり、抗体の純度に悪影響を及ぼす。このような純度の高くない抗体は、患者の副作用を誘発する、更なる精製工程が必要となるという課題を有する。
特許文献1には、アフィニティ分離剤を界面活性剤で洗浄する方法が開示されているが、特許文献1に開示される方法は、リガンドリーク量の低減効果が極めて低く、アフィニティ分離剤と界面活性剤との接触時間も極めて長いという課題を有する。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく製造する分離剤の製造方法を提供することにある。
リガンドリーク量の低減効果に優れるアフィニティ分離剤の処理方法は、従前知られていなかった。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく製造する分離剤の製造方法を見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した後、還元剤で洗浄する、分離剤の製造方法。
[2]還元剤が、ジチオスレイトール及びトリス(カルボキシエチル)ホスフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の分離剤の製造方法。
[3]アフィニティ吸着性を有するリガンドが、タンパク質を含む、[1]又は[2]に記載の分離剤の製造方法。
[4]タンパク質が、プロテインA、プロテインG及びプロテインLからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離剤の製造方法。
[5]多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した分離剤を、還元剤で洗浄する、分離剤の洗浄方法。
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法により製造した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製する、抗体の精製方法。
[7][5]に記載の洗浄方法により洗浄した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製する、抗体の精製方法。
本発明の分離剤の製造方法は、リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく製造することができる。
また、本発明の分離剤の洗浄方法は、リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく得ることができる。
更に、本発明の抗体の精製方法は、得られる抗体の純度に優れる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」、「メタクリル」又はその両者をいい、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」又はその両者をいう。
(分離剤)
本発明の分離剤の製造方法における分離剤は、多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した分離剤である。
本明細書において、多孔性粒子は、多数の微細な細孔を有する粒子をいう。
アフィニティ吸着性を有するリガンドとしては、目的の抗体を特異的に認識するものであれば特に限定されないが、例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインL、Fc結合タンパク、アビジン等のタンパク質;インシュリン等のペプチド;モノクローナル抗体等の抗体;酵素;ホルモン;DNA;RNA;ヘパリン、ルイスX、ガングリオシド等の糖質等が挙げられる。これらのアフィニティ吸着性を有するリガンドの中でも、分子認識選択性に優れることから、タンパク質、ペプチドが好ましく、タンパク質がより好ましく、プロテインA、プロテインG、プロテインLが更に好ましく、プロテインAが特に好ましい。
多孔性粒子を構成する材料としては、例えば、ポリビニルアルコール系重合体、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体や(メタ)アクリル系重合体等の架橋性合成高分子;セルロース、セファロース、アガロース、キトサン等の天然有機高分子;シリカ、ガラス、セラミック等の無機高分子等が挙げられる。これらの多孔性粒子を構成する材料の中でも、本発明の効果が顕著に表れることから、架橋性合成高分子が好ましく、(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。
尚、本明細書において、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体は、重合体を構成する全単量体単位100質量%中、スチレン及びジビニルベンゼン由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上が好ましい。また、本明細書において、(メタ)アクリル系重合体は、重合体を構成する全単量体単位100質量%中、(メタ)アクリレート由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上が好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、架橋構造を形成するため、架橋性(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことが好ましい。
架橋性(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロキシブタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの架橋性(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの架橋性(メタ)アクリレートの中でも、架橋反応性に優れることから、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、アフィニティ吸着性を有するリガンドと共有結合で固定化できることから、官能基を有する(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことが好ましい。
官能基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10−エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの官能基を有する(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの官能基を有する(メタ)アクリレートの中でも、タンパク質のリガンドとの反応性に優れることから、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、架橋性(メタ)アクリレート、官能基を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート由来の構成単位を含んでもよい。
架橋性(メタ)アクリレート、官能基を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒子を多孔質にする方法は、例えば、粒子を形成する際の重合時に、多孔化剤を添加する方法が挙げられる。
分離剤は、多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを共有結合で固定化することが好ましい。多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを共有結合で固定化する方法は、例えば、多孔性粒子の特定の官能基とリガンドの特定の官能基との双方を選択的に反応させる方法が挙げられる。
アフィニティ吸着性を有するリガンドは、多孔性粒子に直接結合させてもよく、スペーサーを介して結合してもよい。
分離剤は、多孔性粒子が有する反応性基を親水化処理することが好ましい。具体的には、エポキシ基を開環、親水性高分子鎖を共有結合で結合等の処理である。親水化処理を施されている分離剤は、非特異吸着を抑制することができ、分離処理の際の目的物質の回収率を向上させることができる。
分離剤の細孔容積は、0.4mL/g〜1.5mL/gが好ましく、0.7mL/g〜1.2mL/gがより好ましい。分離剤の細孔容積0.4mL/g以上であると、吸着対象物質の拡散性に優れ、吸着容量に優れる。また、分離剤の細孔容積が1.5mL/g以下であると、分離剤の強度に優れる。
本明細書において、分離剤の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、分離剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
分離剤の比表面積は、30m/g〜200m/gが好ましく、70m/g以上100m/gがより好ましい。分離剤の比表面積が30m/g以上であると、リガンドの固定に必要な細孔内の表面積が十分存在し、リガンドが十分固定化でき、吸着量に優れる。また、分離剤の比表面積が200m/g以下であると、細孔の内部へ吸着対象物質が行き渡るまでに時間がかからず、動的吸着容量に優れる。
本明細書において、分離剤の比表面積は、水銀圧入法により測定したものとする。具体的には、分離剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
分離剤の体積平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、5μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmが更に好ましい。分離剤の体積平均粒子径が1μm以上であると、分離剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、分離処理の生産性に優れる。また、分離剤の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や分離性能に優れる。
本明細書において、分離剤の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の分離剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した分離剤の商品としては、例えば、「ProSep A」(商品名、メルクミリポア社製)、「ProSep vA」(商品名、メルクミリポア社製)、「POROS 50 A」(商品名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、「TOYOPEARL AF−rProteinA」(商品名、東ソー株式会社製)、「MabSpeed」(商品名、三菱ケミカル株式会社製)、「rProtein A Sepharose Fast Flow」(商品名、GEヘルスケア社製)、「MabSelect」(商品名、GEヘルスケア社製)等が挙げられる。
(還元剤)
本発明の分離剤の製造方法における還元剤は、分離剤のリガンドリーク量を少なくすることを目的として用いられる。
還元剤としては、例えば、ジチオスレイトール、ジチオエリトリトール、トリス(カルボキシエチル)ホスフィン、トリブチルホスフィン、メルカプトエタノール、メルカプトエチルアミン、グルタチオン、システイン等が挙げられる。これらの還元剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの還元剤の中でも、高い還元性を有することから、ジチオスレイトール、トリス(カルボキシエチル)ホスフィンが好ましく、臭気が少なく、適用可能なpHの範囲が広いことから、トリス(カルボキシエチル)ホスフィンがより好ましい。
(洗浄方法)
本発明の分離剤の製造方法における洗浄は、分離剤と還元剤とを接触させれば特に限定されないが、還元剤を溶解させた洗浄液中で洗浄することが好ましい。
本発明の分離剤の製造方法における洗浄は、リガンドリーク量の低減効果に優れることから、複数回行うことが好ましい。
洗浄液の溶媒は、還元剤を溶解させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、水、エタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらの洗浄液の溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの洗浄液の溶媒中でも、還元剤の溶解性に優れ、リガンドの変性を抑制することができることから、水、エタノールが好ましく、水がより好ましい。
洗浄液は、pHを調整する目的で、塩を含んでもよい。
塩としては、例えば、トリス、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等が挙げられる。これらの塩の中でも、トリス(カルボキシエチル)ホスフィンを還元剤として用いる場合に、幅広いpHを調整することができることから、リン酸塩が好ましい。
洗浄時の温度は、2℃〜60℃が好ましく、10℃〜50℃がより好ましく、15℃〜35℃が更に好ましい。洗浄時の温度が2℃以上であると、リガンドリーク量の低減効果に優れる。また、洗浄時の温度が60℃以下であると、分離剤の性能低下を抑制することができる。
洗浄時のpHは、還元剤の種類に応じて適宜設定すればよいが、1.5〜13が好ましく、7.5〜12.5がより好ましい。洗浄時のpHが1.5以上であると、リガンドリーク量の低減効果に優れる。また、洗浄時のpHが13以下であると、分離剤の性能低下を抑制することができる。
洗浄液中の還元剤の濃度は、0.1mmol/L〜200mmol/Lが好ましく、0.2mmol/L〜10mmol/Lがより好ましい。洗浄液中の還元剤の濃度が0.1mmol/L以上であると、リガンドリーク量の低減効果に優れる。また、洗浄液中の還元剤の濃度が200mmol/L以下であると、製造コストを抑制することができる。
洗浄するタイミングは、特に限定されないが、分離剤の生産性に優れることから、多孔性粒子にリガンドを固定化した後のブロッキング工程後のブロッキング剤の洗浄と共に行うことが好ましい。
本発明の分離剤の洗浄方法は、本発明の分離剤の製造方法における洗浄方法をそのまま適用すればよい。
(精製方法)
本発明の抗体の精製方法は、得られる抗体の純度に優れることから、本発明の分離剤の製造方法により製造した分離剤又は本発明の分離剤の洗浄方法により洗浄した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製することが好ましい。
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異的抗体、人工的に高分子化した抗体、人工的に低分子化した抗体等が挙げられる。これらの抗体の中でも、薬効性、安全性に優れることから、モノクローナル抗体、人工的に低分子化した抗体が好ましく、モノクローナル抗体がより好ましい。
(用途)
本発明の分離剤の製造方法及び本発明の分離剤の洗浄方法は、リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく得ることができる。これらの製造方法又は洗浄方法で得られる分離剤を用いた本発明の抗体の精製方法は、得られる抗体の純度に優れることから、抗体医薬品の製造・精製に好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[リガンドリーク量の測定用のサンプル調製]
実施例・比較例の洗浄前・洗浄後の分離剤を、リン酸緩衝液生理食塩水、純水、20体積%エタノール水溶液で順次洗浄し、20体積%エタノール水溶液に分散させた10体積%の分離剤スラリーを調製した。
調整した分離剤スラリー400μLを、96wellフィルタプレートに採取し、分離剤スラリー中のエタノール水溶液を吸引濾過により除去した。得られた分離剤を、純水、リン酸緩衝液生理食塩水で順次洗浄し、濾過した。得られた分離剤に、2.6mg/mLのモノクローナル抗体を含む培養液の上澄みを600μL添加し、インキュベーターを用いてフィルタプレートを25℃、1200rpmの条件で、1時間振とうさせた。その後、培養液の上澄みを吸引濾過により除去し、分離剤をリン酸緩衝液生理食塩水で2回洗浄し、濾過した。得られた分離剤に、pH3.8の100mmol/Lの酢酸ナトリウム緩衝液を添加し、モノクローナル抗体を溶離させ、リガンドリーク量の測定に用いる溶離液を得た。
[リガンドリーク量の測定]
得られた溶離液に含まれるプロテインAのリーク量の測定は、キット(商品名「Protein A ELISA kit ADI−900−057」、Enzo lifescience社製)を用い、下記(1)〜(12)の手順にてリガンドリーク量を測定した。
(1)プロテインA標準液の希釈系列を、キット中に含まれる10ng/mLのプロテインA標準液と緩衝液とで2−0.0625ng/mLの範囲で作成する。
(2)キット中に含まれる緩衝液で、溶離液中の抗体濃度が50μg/mLになるように溶離液を希釈する。
(3)プロテインA標準液と希釈後の溶離液とを、100℃で20分加熱し、13800rpmで4分間遠心させ、上澄みを採取する。
(4)プロテインA標準液と希釈後の溶離液とを、ニワトリの抗プロテインA抗体で被覆したウェルに加え、プレートを25℃、500rpmの条件で、1時間インキュベートする。
(5)プレートを洗浄バッファーで洗浄し、アッセイ希釈液を除去する。
(6)ビオチン化されたニワトリの抗プロテインA抗体を各ウェルに加え、プレートを25℃、500rpmの条件で、1時間インキュベートする。
(7)プレートを洗浄バッファーで洗浄し、余分な抗プロテインA抗体液を除去する。
(8)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲートを各ウェルに加え、プレートを25℃、500rpmの条件で、30分間インキュベートする。
(9)プレートを洗浄バッファーで洗浄し、余分なストレプトアビジン−HRPコンジュゲートを除去する。
(10)テトラメチルベンジジン発光基質溶液を加え、プレートを25℃、500rpmの条件で、10分間インキュベートする。
(11)停止溶液を加え、基質反応を停止する。
(12)結合したプロテインAの量を、マイクタイタープレートリーダーを用い、490nmでの光学密度を測定し、リガンドリーク量を決定する。
[実施例1]
グリシジルメタクリレート単位を有する多孔性粒子を水湿潤状態とし、10質量%硫酸水溶液に浸漬して50℃で5時間加熱し、開環中間体を得た。得られた開環中間体を水湿潤状態とし、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル及びアルカリ触媒を添加し、開環中間体の水酸基末端への付加反応を行い、末端基にエポキシ基を有するスペーサーを有する多孔性粒子を得た。得られたスペーサーを有する多孔性粒子を水湿潤状態とし、5質量%プロテインA水溶液を添加して23℃で22時間反応させ、水で十分洗浄した。得られたプロテインAを固定化した多孔性粒子を、pH9に調製した2−アミノエタノール水溶液を添加して未反応エポキシ基の不活性化を行い、水で十分洗浄し、分離剤を得た。
還元剤として、トリス(カルボキシエチル)ホスフィンを用い、洗浄液中の還元剤の濃度が100mmol/Lとなるよう、還元剤を水に溶解させた。分離剤と洗浄液との体積比が1:5になるよう分離剤と洗浄液とを容器に採取し、4℃の環境下で容器を振とうさせ、分離剤を洗浄した。
洗浄前、2時間洗浄後、6時間洗浄後、24時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表1に示す。
[実施例2〜3]
洗浄温度を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、分離剤を洗浄した。
洗浄前、2時間洗浄後、6時間洗浄後、24時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表1に示す。
[実施例4]
還元剤として、トリス(カルボキシエチル)ホスフィンを用い、洗浄液中の還元剤の濃度が1mmol/Lとなるよう、還元剤を100mmol/Lのリン酸カリウム緩衝液に溶解させた。洗浄液のpHは、8であった。実施例1と同じ分離剤を準備し、分離剤と洗浄液との体積比が1:5になるよう分離剤と洗浄液とを容器に採取し、25℃の環境下で容器を振とうさせ、分離剤を洗浄した。
洗浄前、1時間洗浄後、4時間洗浄後、8時間洗浄後、24時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表2に示す。
[実施例5〜6]
リン酸カリウム緩衝液のpHを変更し、洗浄液のpHを表2のように変更した以外は、実施例4と同様に操作を行い、分離剤を洗浄した。
洗浄前、1時間洗浄後、4時間洗浄後、8時間洗浄後、24時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表2に示す。
[実施例7]
洗浄液中の還元剤の濃度を表2のように変更した以外は、実施例4と同様に操作を行い、分離剤を洗浄した。
洗浄前、1時間洗浄後、4時間洗浄後、8時間洗浄後、24時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表2に示す。
[実施例8〜9]
リン酸カリウム緩衝液のpHを変更し、洗浄液のpHを表2のように変更した以外は、実施例7と同様に操作を行い、分離剤を洗浄した。
洗浄前、1時間洗浄後、4時間洗浄後、8時間洗浄後、24時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表2に示す。
[比較例1]
界面活性剤として、Tween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)を用い、洗浄液中の界面活性剤の濃度が0.5体積%となるよう、界面活性剤を水に溶解させた。実施例1と同じ分離剤を準備し、分離剤と洗浄液との体積比が1:5になるよう分離剤と洗浄液とを容器に採取し、25℃の環境下で容器を振とうさせ、分離剤を洗浄した。
洗浄前、49時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表3に示す。
[比較例2〜4]
洗浄温度及び界面活性剤の種類を表3のように変更した以外は、比較例1と同様に操作を行い、分離剤を洗浄した。
洗浄前、49時間洗浄後のリガンドリーク量(ng/mg)を、表3に示す。
尚、表3中のCHAPSは、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを表す。
Figure 2020002079
Figure 2020002079
Figure 2020002079
表1及び表2からも分かるように、還元剤を用いた実施例1〜9の分離剤の洗浄は、分離剤のリガンドリーク量の低減効果に優れた。特に、洗浄温度が高いほど、分離剤のリガンドリーク量の低減効果に優れた。
一方、界面活性剤を用いた比較例1の分離剤の洗浄は、分離剤のリガンドリーク量の低減効果に劣った。
本発明の分離剤の製造方法及び本発明の分離剤の洗浄方法は、リガンドリーク量の少ないアフィニティ分離剤を効率よく得ることができる。これらの製造方法又は洗浄方法で得られる分離剤を用いた本発明の抗体の精製方法は、得られる抗体の純度に優れることから、抗体医薬品の製造・精製に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した後、還元剤で洗浄する、分離剤の製造方法。
  2. 還元剤が、ジチオスレイトール及びトリス(カルボキシエチル)ホスフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の分離剤の製造方法。
  3. アフィニティ吸着性を有するリガンドが、タンパク質を含む、請求項1又は2に記載の分離剤の製造方法。
  4. タンパク質が、プロテインA、プロテインG及びプロテインLからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離剤の製造方法。
  5. 多孔性粒子にアフィニティ吸着性を有するリガンドを固定化した分離剤を、還元剤で洗浄する、分離剤の洗浄方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により製造した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製する、抗体の精製方法。
  7. 請求項5に記載の洗浄方法により洗浄した分離剤を、カラムに充填し、抗体を精製する、抗体の精製方法。
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