JP2020001383A - 樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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佳照 石上
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Abstract

【課題】視認性に影響を与えうる傷等の欠陥がなく、またフレキシブル表示装置の前面板に求められる光学的性質及び物理的性質を備える樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む樹脂フィルムの製造方法であって、原料フィルムを熱風で加熱する加熱工程を有し、前記加熱工程は、互いに対向する一対のノズルの吹き出し口からの熱風により行い、前記ノズルは、吹き出し口における吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒以下であり、ノズル一本当たりの吹き出し口からの吹き出し風量が、前記原料フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり0.1〜3m3/秒である、樹脂フィルムの製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む樹脂フィルムの製造方法に関する。
近年、画像表示装置の薄型化、軽量化及びフレキシブル化が求められているが、従来使用されていたガラス基材又はガラス前面板は、前記要求に対応できる充分な材質特性を有していなかった。そのため、ガラスに代わる材料又は基材の開発が進められている。その一つにポリイミド樹脂を含有する樹脂フィルムがある。ポリイミド樹脂を含有する樹脂フィルムは、柔軟性、透明性及び耐熱性の観点から、種々の用途で使用されている。(特許文献1)。
特開2009−286826号公報
ポリイミド系樹脂を含むフィルムを画像表示装置の前面板として使用する場合、表面硬度を高める等の目的で、フィルムを高温条件下で加熱する工程が行われている。しかし、高温条件下での加熱により、フィルムが黄変してフィルムの品質が損なわれるという問題があった。また、前面板は、画像表示装置の視認側に配置されるため、視認性に影響を与えうる傷等の欠陥がなく、また前面板に求められる光学的性質及び物理的性質を有することが求められている。
さらに、製造の観点から、このような物性の樹脂フィルムを効率よく製造する方法も求められている。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、製造過程におけるフィルムのばたつきに起因する傷などの欠陥が抑制され、前面板に求められる光学的性質と物理的性質とを備える樹脂フィルムの製造方法を提供する。また、このような樹脂フィルムを効率よく製造できる製造方法を提供する。すなわち、本発明は、以下の態様の樹脂フィルムの製造方法を提供する。
[1] ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む樹脂フィルムの製造方法であって、
原料フィルムを熱風で加熱する加熱工程を有し、
前記加熱工程は、互いに対向する一対のノズルの吹き出し口からの熱風により行い、
前記ノズルは、吹き出し口における吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒以下であり、ノズル一本当たりの吹き出し口からの吹き出し風量が、前記原料フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり0.1〜3m/秒である、樹脂フィルムの製造方法。
[2] 前記吹き出し口における吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒未満である、[1]記載の樹脂フィルムの製造方法。
[3] 前記ノズルは、前記原料フィルムの幅方向に伸びるスリット状の吹き出し口を有するノズル、又は開口を前記原料フィルムの搬送方向及び前記原料フィルムの幅方向にそれぞれ複数配置した吹き出し口を有するノズルである[1]または[2]に記載の樹脂フィルムの製造方法。
[4] 前記加熱工程で、前記原料フィルムに熱風を吹き付けるそれぞれの前記ノズルの吹き出し口における熱風の前記フィルムの幅方向における最大吹き出し風速と最小吹き出し風速との差が、4m/秒以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
[5] 前記加熱工程が、クリーンルーム内で行われる[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
[6] 前記加熱工程は、清浄度クラス1,000以下のクリーン度のオーブン中で行われる[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、傷などの欠陥が抑制され、前面板に求められる光学的性質(均一な面内位相差及び低い黄色度など)と物理的性質(均一な厚さ及び高い屈曲性など)とを備える樹脂フィルムの製造方法が提供される。また、このような樹脂フィルムを効率よく製造できる製造方法が提供される。
本発明により得られる樹脂フィルムは、フレキシブルディスプレイの前面板等の光学フィルムとして使用することができる。
本発明の樹脂フィルムの製造方法の好適な実施形態を模式的に示す工程断面図である。 本発明の樹脂フィルムの製造方法における加熱工程の好適な実施形態を模式的に示す工程断面図である。 本発明の樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられるジェットノズルの形状の一例を示す模式断面図である。 本発明の樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられるパンチングノズルの形状の一例を示す模式断面図である。 本発明の樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられるパンチングノズルの形状の他の例を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
<樹脂フィルムの製造方法>
本実施形態の樹脂フィルムの製造方法は、原料フィルムを熱風で加熱する加熱工程を有し、加熱工程は、互いに対向する一対のノズルの吹き出し口からの熱風によりフィルムの加熱を行う方法で行われる。前記ノズルは、吹き出し口における吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒以下であり、ノズル一本当たりの吹き出し口からの吹き出し風量が、前記原料フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり0.1〜3m/秒である。
前記吹き出し口における吹き出し風速は、好ましくは2m/秒以上25m/秒未満である。
加熱工程は、互いに対向する一対のノズルが設置された加熱ゾーンにて行うことができ、例えばオーブン内で行うことができる。本明細書において、オーブンとは、フィルムを加熱できる機器を意味し、加熱炉、乾燥炉及びテンター炉(フィルム幅方向の両端を固定して加熱する炉)を含む。加熱炉は、熱風処理又は輻射熱線処理のどちらでもよく、これらを併用する加熱炉でもよい。
本実施形態の樹脂フィルムの製造方法について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る樹脂フィルムの製造方法の好適な実施形態を模式的に示す工程断面図である。図1を参照し、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む原料フィルム20は、オーブン100に搬入され、オーブン100内の加熱ゾーンにおいて加熱され、その後オーブン100から搬出される。本明細書では、加熱工程を経る前と、溶媒の量などの経時変化はあるものの加熱工程中又はオーブンの中を搬送されているフィルムとを原料フィルムと言い、加熱工程を経てオーブンから搬出されたフィルムを樹脂フィルムと言う。
原料フィルム20は、原料フィルムが巻き取られたロールから繰り出されてオーブンに搬入されてもよいし、その直前の工程から連続的にオーブンに搬入されてもよい。図2は、本発明に係る樹脂フィルムの製造方法における加熱工程の好適な実施形態を模式的に示す工程断面図である。図2を参照して、原料フィルム20は、フィルムの搬送方向(MD方向とも言う)に垂直な方向(TD方向、幅方向とも言う)のフィルムの両端を固定されてオーブン内を搬送されることが好ましい。
両端の固定は、ピンシート、クリップ及びフィルムチャック等の一般にフィルムの製造装置に用いられる把持装置を用いて行うことができる。固定する両端は、用いる把持装置により適宜調整することができるが、フィルム端部から50cm以内の距離で固定されることが好ましい。図2を参照して、フィルムの両端は、複数の把持装置18で把持されながら、搬送することができる。フィルムの一方端に設置される複数の把持装置18は、その隣接する把持装置間の距離が、フィルムのばたつき又は加熱による寸法変化に起因するワレなどの欠陥を抑制できる距離であることが好ましい。隣接する把持装置間の距離は、好ましくは1〜50mm、より好ましくは3〜25mm、さらに好ましくは5〜10mmmである。また、把持装置は、フィルム搬送軸に直交する直線をフィルムの一方端の任意の把持装置の把持部中央に合せたとき、該直線とフィルムの他方の端との交点と、該交点に最も近い把持装置の把持部中央との距離が、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下となるように設置されることが好ましい。これにより、対抗するフィルム両端部のそれぞれに係る応力の差を小さくすることができるため、得られる樹脂フィルムは、光学的性質のばらつきが生じるのを抑制することができる。
把持装置でフィルムの両端を固定する操作の例としては、オーブンに搬入される前又はオーブンに搬入された後の適時に、フィルムの幅方向において、対向するように設けられた複数のフィルムチャックでフィルムの幅方向の両端を固定する方法が挙げられる。これらの操作により、フィルムのばたつきなどが抑制され、厚さムラや傷等の欠陥が十分に抑制された樹脂フィルムを得ることができる。フィルム両端の固定は、加熱工程が行われた後、適時解除されればよく、オーブン内で行ってもよいし、オーブンから搬出された後に行ってもよい。
加熱工程に用いられるオーブンのフィルム搬送方向の全長は、10〜100mとすることができ、好ましくは15〜80m、より好ましくは15〜60mである。オーブンは、その内部が1つの空間であってもよいし、複数の空間に分けられていてもよい。前記空間は、温度条件や風速条件等制御可能な空間であってよく、仕切り板等の物理的な境界を持たなくてもよい。オーブンの内部が複数の空間に分けられている場合、フィルムの搬送方向と、垂直又は平行に複数の空間に分けられていてもよい。空間の数は、2〜20個とすることができ、好ましくは3〜18個であり、より好ましくは4〜15個であり、さらに好ましくは5〜10個である。オーブンの内部構造によらず、オーブン全体が加熱ソーンとなってもよいし、内部の一部が加熱ゾーンとなっていてもよい。図1を参照し、ゾーン10、12及び14の3つが全て加熱ゾーンとなっていてもよいし、これらのうちの1つ、例えばゾーン14が加熱ソーンとなっていてもよい。
オーブンは、複数個用いることもできる。この場合のオーブンの数は、特に限定されないが、例えば2〜12つとすることができる。各オーブンの内部は、先に述べた構造であることができる。複数のオーブンは、フィルムが外気に触れることなく搬送されるように連続して設置することができる。オーブンを複数用いる場合、全てのオーブンが加熱ソーンとなってもよいし、一部のオーブンが加熱ゾーンとなっていてもよい。
オーブン内部の空気の循環と排気は、オーブンの内部が複数の空間に分けられている場合は各空間で行うことが好ましく、オーブンが複数ある場合は各オーブンで行えることが好ましい。オーブン内部の温度(オーブン中の雰囲気の温度)は、オーブン毎に調整できることが好ましく、オーブンの内部が複数の空間に分けられている場合は各空間で独立に温度調整ができることが好ましい。それぞれの空間の温度設定は、同じでもよいし、異なってもよい。ただし、それぞれのオーブン又は空間の温度は、後述の温度範囲を満たすことが好ましい。
図1を参照し、オーブン100は、その内部の上面100aに、複数の上側ノズル30が設けられており、その内部の下面100bに、複数の下側ノズル32が設けられている。上側ノズル30と下側ノズル32とは、上下方向に対向するように設けられている。ノズルは、例えば、図1のゾーン14のように4対のノズル(計8本)を設けてもよいし、図1のゾーン12のように10対のノズル(計20本)を設けてもよく、オーブンの構造に応じて適宜設置することができる。隣り合うノズルの間隔は、オーブンの構造を簡素化しつつ原料フィルムを均一に加熱する観点から、好ましくは0.1〜1m、より好ましくは0.1〜0.5m、さらに好ましくは0.1〜0.3mである。
オーブンの内部が複数の区間に区分される場合、各空間に設けられる熱風吹き出し用のノズルの本数は、通常5〜30本とすることができる。光学的な均一性により優れる樹脂フィルムを得る観点から、ノズルの本数は8〜20本であることが好ましい。ノズル本数が前記の範囲にあるとフローティングしているフィルムの曲率が大きくなりすぎにくい傾向があり、またフィルムがノズルの間で浮きやすい、すなわちフローティングしやすい傾向がある。
オーブン100の上面100aに設けられた上側ノズル30は、下部に吹き出し口を有しており、下方向(矢印B方向)に熱風を吹き出すことができる。一方、オーブン100の下面にそれぞれ設けられた下側ノズル32は、上部に吹き出し口を有しており、上方向(矢印C方向)に熱風を吹き出すことができる。なお、図1には示していないが、上側ノズル30及び下側ノズル32は、原料フィルムを幅方向に均一に加熱することができるように、図1の紙面に垂直方向に所定のサイズの奥行きを有している。
本実施形態の樹脂フィルムの製造方法では、原料フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり、ノズル30又は32の一本当たりの吹き出し口からの吹き出し風量が0.1〜3m/秒である。吹き出し風速は、光学的な均一性により一層優れる樹脂フィルムを得る観点から、好ましくは2〜23m/秒、より好ましくは8〜20m/秒である。また、吹き出し風量は、光学的な均一性により一層優れる樹脂フィルムを得る観点から、フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり、好ましくは0.1〜2.5m/秒、より好ましくは0.2〜2m/秒である。
ノズルからの吹き出し風速及び風量が前記範囲内であると、原料フィルムの加熱が均一に行われるため、フィルム全面において光学的及び物理的に均一な物性となるフィルムが得られやすい傾向にあるため好ましい。具体的に、前記条件で加熱工程を行うと、フィルム幅方向の面内位相差値のばらつきが小さくなり、フィルム全面でより均一な面内位相差値を有する樹脂フィルムが得られやすい。したがって、表示装置に適用した際に、コントラストのばらつきが抑制され、視認性により優れる前面板となる。
また、前記条件で加熱工程を行うと、均一に加熱されるため、フィルム中の残る溶媒量のばらつきが小さくなるため、フィルム全面でより均一な弾性率の樹脂フィルムが得られやすい。したがって、フィルム全面において屈曲性のばらつきが生じにくく、フィルム面における屈曲性の違いに起因する破損が生じるのを抑制できる。
オーブン内では、原料フィルム20が室温から原料フィルムに含まれる溶媒が蒸発する温度まで加熱されるが、原料フィルムの幅方向の長さがほとんど変わらないように把持装置18で保持されているため、熱膨張により垂れやすくなる傾向にある。吹き出し風速及び吹き出し風量が、前記の範囲であると、原料フィルム20を十分に加熱することができ、且つ原料フィルム20の垂れやばたつきを抑制することができる。
熱風の吹き出し風速は、ノズル30,32の熱風吹き出し口において、市販の熱式風速計を用いて測定することができる。また、吹き出し口からの吹き出し風量は、吹き出し風速と吹き出し口の面積との積により求めることができる。なお、熱風の吹き出し風速は、測定精度の観点から、各ノズルの吹き出し口で10点程度の測定を行い、その平均値とすることが好ましい。
熱風の吹き出し風速及び吹き出し風量は、製造する樹脂フィルムの物性(光学特性、機械的物性など)によって、適宜調整してもよいが、いずれの形態においても前記の範囲内にあることが好ましい。これによって、位相差が一層十分に均一であって、一層十分に高い軸精度を有する樹脂フィルムを得ることができる。加熱ゾーンにおいては、全ての加熱ゾーンにおいて、吹き出し風速は、2m/秒以上25m/秒以下であり、好ましくは2m/秒以上25m/秒未満であり、また、吹き出し風量は、原料フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり、0.1〜3m/秒であり、好ましくは0.1m/秒以上2m/秒以下である。
本実施形態では、オーブン100内に原料フィルム20を導入しない状態において、原料フィルム20が保持されるべき位置における熱風の風速が、5m/秒以下であることが好ましく、少なくとも加熱ゾーンにおいてこのような風速であることがより好ましい。このような熱風を用いて原料フィルム20を加熱することによって、光学的な均一性により十分に優れた樹脂フィルムを得ることができる。
加熱ゾーンにおいて、それぞれのノズル30,32の吹き出し口における熱風の吹き出し風速の幅方向(図1の紙面に垂直な方向)における最大値と最小値との差が4m/秒以下であることが好ましい。このように幅方向に風速のばらつきが少ない熱風を用いることによって、幅方向の光学的な均一性が一層高い樹脂フィルムを得ることができる。このように風速のばらつきが少ない熱風を用いることによって、光学的な均一性がより一層高い樹脂フィルムを得ることができる。
オーブン100における加熱ゾーンにおいて、互いに対向する上側ノズル30と下側ノズル32との間隔L(最短距離)は、好ましくは150mm以上、より好ましくは150〜600mm、さらに好ましくは150〜400mmである。このような間隔Lで上側ノズルと下側ノズルを配置することによって、各工程におけるフィルムのばたつきを一層確実に抑制することができる。
また、加熱ゾーンに設けられたそれぞれのノズル30,32の吹き出し口における熱風の幅方向(図1の紙面に垂直方向)における最高温度と最低温度との差(ΔT)は、好ましくは全て2℃以下、より好ましくは全て1℃以下である。このように幅方向における温度差が十分に小さい熱風を用いてフィルムを加熱することによって、幅方向の配向性のバラつきを一層抑制することができる。なお、熱風の温度は、好ましくは150〜400℃、より好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは150〜250℃である。
樹脂フィルムの製造方法で使用できるノズルの例としては、原料フィルムの幅方向に伸びるスリット状の吹き出し口を有するノズル、及び開口を原料フィルムの搬送方向及び原料フィルムの幅方向にそれぞれ複数配置した吹き出し口を有するノズルが挙げられる。本明細書において、原料フィルムの幅方向に伸びるスリット状の吹き出し口を有するノズルをジェットノズル(スリットノズル)と言い、開口を原料フィルムの搬送方向及び原料フィルムの幅方向にそれぞれ複数配置した吹き出し口を有するノズルをパンチングノズル(多孔ノズル)と言う。
図3は、本発明の樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられるジェットノズルの形状の一例を示す模式断面図である。図4は、本発明の樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられるパンチングノズルの形状の一例を示す模式断面図である。図5は、本発明の樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられるパンチングノズルの形状の別の例を示す模式断面図である。本実施形態におけるオーブン100は、図3に示すようなジェットノズルと図4及び図5に示すようなパンチングノズルの一方か又は双方とを備えることが好ましい。
図3は、ジェットノズル34を示し、図4及び図5はそれぞれパンチングノズル36,38を示す。なお、図3のジェットノズル34、図4のパンチングノズル36、図5のパンチングノズル38は、オーブン100内の上面100aに設けられて下向き(矢印B方向)に熱風を吹き出す構造となっている。また、ジェットノズル34、パンチングノズル36、パンチングノズル38は、オーブン100内の下面100bに設けられて、上向き(図3中矢印C方向)に熱風を吹き出す構造となっている。図3〜4には示していないが、ノズル34,36,38は、図1の紙面に垂直な方向に所定のサイズの奥行きを有している。奥行きの長さは、原料フィルム20の幅の長さよりも長いことが好ましい。
ジェットノズル34は、フィルムの幅方向にのびるスリット40を熱風の吹き出し口として有する。スリット40のスリット幅Dは、好ましくは5mm以上、より好ましくは5〜20mmである。スリット幅Dを前記の範囲にすることによって、得られる樹脂フィルムの光学的な均一性をより一層向上させることができる。なお、ジェットノズル34一本当たりの吹き出し口の面積は、ジェットノズル34のノズルの幅方向(図3の奥行き方向)の長さとスリット幅Dとの積によって求めることができる。このノズル一本当たりの吹き出し口の面積と吹き出し風速との積が、ノズル一本当たりの熱風の吹き出し風量となる。この熱風の吹き出し風量を、フィルムの幅方向に沿ったスリット40の長さで割ることによって、フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たりの熱風の吹き出し風量を求めることができる。
パンチングノズル36は、その長手方向に垂直な断面を図4に示すように、長方形の形状である。パンチングノズル36は、原料フィルム20と対向する面である下側の面36aに複数の開口(例えば円形の開口)42を有する。パンチングノズル36の熱風の吹き出し口は、面36aに設けられる複数の開口42によって構成される。複数の開口42は熱風の吹き出し口であり、熱風は開口42から所定の風速で吹き出される。開口42は、原料フィルム20の搬送方向に複数配置されるとともに、幅方向にも複数配置されている。開口42は、例えば千鳥状に配置することができる。なお、パンチングノズル36の一本当たりの吹き出し口の面積は、一本のパンチングノズル36に設けられる全ての開口42の面積の和によって求めることができる。このノズル一本当たりの吹き出し口の面積と吹き出し風速との積が、ノズル一本当たりの熱風の吹き出し風量となる。この熱風の吹き出し風量を、フィルムの幅方向に沿ったスリットの長さで割ることによって、フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たりの熱風の吹き出し風量を求めることができる。
パンチングノズル38は、その長手方向に垂直な断面を図5に示すように、原料フィルム20に対向する面38aに向かって末広がり状である台形形状である。パンチングノズル38は、フィルムに対向する面である下側の面38aに複数の開口(例えば円形の開口)44を有する。パンチングノズル38の熱風の吹き出し口は、面38aに設けられる複数の開口44によって構成される。複数の開口44は熱風の吹き出し口であり、熱風は開口44から所定の風速で吹き出される。開口44は、原料フィルム20の搬送方向に複数配置されるとともに、幅方向にも複数配置されている。開口44は、例えば千鳥状に配置することができる。なお、パンチングノズル38一本当たりの吹き出し口の面積は、一本のパンチングノズル38に設けられる全ての開口44の面積の和によって求めることができる。このノズル一本当たりの吹き出し口の面積と吹き出し風速との積が、ノズル一本当たりの熱風の吹き出し風量となる。フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たりの熱風の吹き出し風量は、パンチングノズル36と同様の方法で求めることができる。
パンチングノズル36又は38を用いる場合の、ノズルの吹き出し口における熱風の幅方向における最大吹き出し風速と最小吹き出し風速との差とは、同一ノズル36又は38上に設けられる複数の開口42又は44から吹き出される熱風の最大吹き出し速度と最小吹き出し速度との差として求めることができる。ノズルの吹き出し口における熱風の幅方向における最高温度と最低温度との差も同様に求めることができる。
オーブン100内に設けられるノズルの全てがパンチングノズル36又は38であると、オーブン100全体における熱風吹き出し口の面積の合計を大きくすることができる。このため、原料フィルム20にあたる熱風の風圧を小さくすることができ、原料フィルム20のばたつきを一層小さくすることができる。これにより、得られる樹脂フィルムの光学的な均一性を一層向上させることができる。オーブン内又は加熱ゾーンでは、原料フィルム20が室温から原料フィルムに含まれる溶媒が蒸発する温度まで加熱されるが、原料フィルムの幅方向の長さがほとんど変わらないように把持装置18で保持されているため、熱膨張により垂れやすくなる傾向にある。加熱ゾーン10にパンチングノズル36又は38を用いることにより、原料フィルム20の垂れやばたつきを一層抑制することができる。
パンチングノズル36,38の面36a,38aに設けられる開口42,44のそれぞれのサイズ及び数は、各開口42,44における熱風の吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒未満となり、且つそれぞれのノズルからの吹き出し風量がフィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり0.1〜3m/秒となる範囲内で適宜調整することができる。
パンチングノズル36,38の各開口からの吹き出し風速をより均一にする観点から、開口42,44の形状は、円形であることが好ましい。この場合、開口42,44の直径は、好ましくは2〜10mm、より好ましくは3〜8mmである。
パンチングノズル36,38を用いる場合、ノズル一本当たりの面36a,38aのフィルム搬送方向の長さは好ましくは50〜300mmである。さらに隣接するパンチングノズルの間隔は、好ましくは0.3m以下である。また、パンチングノズル36,38のフィルム幅方向の長さに対するパンチングノズル36、38の開口42、44の面積の総和(吹き出し口の面積)の比(パンチングノズルの開口の面積の総和(m)/パンチングノズルのフィルム幅方向の長さ(m))は、好ましくは0.008m以上である。
このようなパンチングノズル36,38を用いることにより、熱風の吹き出し口の面積を大きくすることができる。これによって、熱風の風速を十分に下げ、かつ十分な風量で熱風を吹き出すことが可能となり、フィルムをより一層均一に加熱することができる。したがって、位相差がより一層均一で、より一層高い軸精度を有するフィルムを製造することができる。
前記のジェットノズル及びパンチングノズルに加え、IRヒーター(輻射熱線処理)を併用してもよい。IRヒーターは、オーブン内又は加熱ゾーンに設置してもよいし、IRヒーター炉をオーブンの1つとして用いてもよい。
本実施形態において、フィルムに吹き付けられる熱風の風速は、オーブンに搬入された直後の風速が、オーブン内の他の搬送経路の風速よりも大きくなっていることが好ましい。オーブンに搬入された直後(以下、搬送経路1、と言う)とは、オーブンの内部が複数に区切られていない場合は、オーブン搬入口からオーブン長さ(オーブンの搬入口から搬出口までの長さ)の1/10未満の距離をいう。搬送経路1は、オーブンの内部が複数の空間に分けられている場合、フィルムが最初に通過する空間をいう。オーブンが複数使用される場合は、最初に使用されるオーブンの内部構造により先の記載と同様であってもよいし、最初に通過するオーブンが2つ目以降のオーブン内の風速よりも大きく設定されていることでもよい。
他の搬送経路とは、オーブンの内部が複数に区切られていない場合は、オーブン搬入口からオーブン長さの1/10以降にある搬送経路部をいう。オーブンの内部が複数の空間に分けられている場合は、フィルムが通過する2つ目以降にある任意の空間をいう。オーブンが複数使用される場合は、最初に使用されるオーブンの内部構造により先の記載と同様であってもよいし、2つ目以降のオーブンで任意のオーブン内の風速が最初に通過するオーブンよりも風速が小さく設定されていることでもよい。
搬送経路1の風速とオーブン内の他の搬送経路の風速との差は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下、とりわけ好ましくは3以下である。前記の上限と下限とは任意に組合せることができる。風速の差が前記範囲となるようにオーブン搬入直後の風速をオーブン内の他の搬送経路の風速よりも大きくすると、より効率よくフィルム中の溶媒を除去することができる傾向にある。風速の差が前記の範囲にあると、風速差に起因するフィルムのばたつきが生じにくく得られる樹脂フィルムの表面形状の欠陥又は位相差等の光学特性のばらつきが小さくなく傾向がある。
搬送経路1の風速とオーブン内の他の搬送経路の風速との差は、搬送経路1に設置されているノズルからの熱風の吹き出し風速と他の搬送経路に設置されているノズルからの熱風の吹き出し風速との差として求めることができる。フィルムに吹き付けられる熱風の風速とノズルからの熱風の吹き出し風速に2m/秒以上の差がある場合は、搬送経路1及び他の搬送経路のそれぞれにおけるフィルム付近の熱風の風速の差として求めてもよい。
他の搬送経路は、搬送経路1の次に位置する搬送経路(搬送経路2、という)であることが好ましい。搬送経路2は、オーブンの内部が複数に区切られていない場合、オーブン搬入口からオーブン長さの2/10に位置する搬送経路部をいう。搬送経路2は、オーブンの内部が複数の空間に分けられている場合、フィルムが通過する2つ目の空間をいう。オーブンが複数使用される場合は、最初に使用されるオーブンの内部構造により先の記載と同様であってもよいし、2つ目のオーブンの風速が最初に通過するオーブンよりも小さく設定されていることでもよい。
搬送経路1と搬送経路2との風速の差が前記のように設定されている場合、搬送経路2以降の搬送経路の風速は、前記熱風の吹き出し風速の範囲内であればよい。搬送経路2以降の搬送経路の風速と、搬送経路1又は搬送経路2のそれぞれの風速との差は、好ましくは0.1〜12m/秒、より好ましくは0.2〜8m/秒である。このような範囲の風速の差であれば、風速差に起因するフィルムのばたつきを抑制でき、また得られる樹脂フィルムの重量減少率を所望の範囲に調整しやすい傾向にある。
前記風速の差は、オーブンの内部が複数の空間に分かれていない場合はノズルを設ける位置、ノズルの熱風の吹き出し速度及び風量、オーブン内の気流の流れなどを調整することで調整すればよい。オーブンの内部が複数の空間に分かれている場合は、最初の空間とそれ以降の空間で、ノズルを設ける位置、ノズルの熱風の吹き出し速度及び風量、オーブン内の気流の流れなどを調整することで調整すればよい。複数のオーブンを用いる場合は、最初のオーブンの構造によって、先の記載と同様に行ってもよいし、最初のオーブンと2つめ以降のオーブンとで風速が異なるように、ノズルを設ける位置、ノズルの熱風の吹き出し速度及び風量、オーブン内の気流などを設定すればよい。
本実施形態において、加熱工程は、通常150〜350℃の範囲で行われ、好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上であり、また好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。本発明の実施形態において加熱工程がこの温度範囲であると、原料フィルムが後述の重量減少率Mとなるように調整しやすい傾向にあり、また、得られる樹脂フィルムの黄色度が3以上になりにくい傾向がある。加熱工程が行われるオーブン内の温度は、加熱ゾーンが前記の範囲であればよい。オーブンが複数ある場合及びオーブン内が複数の空間に分けられている場合は、適宜調整することができるが、全てのオーブン又は空間が前記範囲内にあることが好ましい。
オーブン100内の原料フィルム20の移動速度は、通常0.1〜50m/分の範囲内で適宜調整することができる。前記移動速度は、好ましくは20m/分以下、より好ましくは15m/分以下であり、好ましくは0.2m/分以上、より好ましくは0.5m/分以上、さらに好ましくは0.7m/分以上、とりわけ好ましくは0.8m/分以上である。移動速度が前記の範囲にあると、所望の乾燥時間を確保するために、オーブン長が長くなりすぎず、設備が大きくなりすぎない傾向にあり、また、原料フィルムが後述の重量減少率Mとなるように調整しやすい傾向にあり、さらにフィルムのばたつきが抑制され、フィルム面に傷が生じるのを抑制できる傾向にある。
加熱工程の処理時間は、通常60秒〜2時間の範囲で調整すればよく、好ましくは10分〜1時間の範囲で調整すればよい。処理時間は、前記のオーブンの温度、移動速度、熱風の風速及び風量などの条件を考慮して、適宜調整すればよい。
本実施形態の樹脂フィルムの製造方法は、加熱工程中にフィルムの幅を変える操作又はフィルム幅を保持して搬送する操作を行ってもよい。フィルムの幅を変える操作の例としては、フィルムの幅方向を延伸させる操作が挙げられる。フィルムの幅方向を延伸させる操作において、延伸倍率は、好ましくは0.7〜1.3倍、より好ましくは0.8〜1.2倍、さらに好ましくは0.8〜1.1倍である。フィルム幅を保持して搬送する操作の例としては、フィルムの幅方向の長さがほとんど変わらないように保持する操作が挙げられる。これらの操作を行った樹脂フィルムは、原料フィルムの幅方向の長さに対し、0.7〜1.3倍程度の長さとすることができ、原料フィルムの幅方向の長さから延伸、等倍又は収縮した長さであってもよい。延伸倍率は、把持する部分を除くフィルムの幅に対する、延伸後のフィルムの幅(把持する部分を除く)の比として求められる。
なお、図2には、フィルムの幅方向を延伸させる操作において、延伸倍率が1倍を超える場合を実線で、延伸倍率が等倍であるか又は1倍未満の場合を点線で示している。
樹脂フィルムは、フレキシブル表示装置などの画像表示装置の前面板など、光学用途に使用できるため、異物などの付着量が少ないことが好ましい。このため、加熱工程のクリーン度は、好ましくは10000以下、より好ましくは1,000以下である。具体的には、加熱工程が行われるオーブン100が、クリーンルーム内に設置されていることが好ましく、オーブン100の内部のクリーン度がクリーンルーム内のクリーン度よりも高い(空気中の異物が少ない)ことが好ましい。クリーンルームは、10,000のクリーン度であることが好ましい。また、オーブン100中のクリーン度は、清浄度クラス1,000以下とすることが好ましい。本明細書における「清浄度クラス」とは、米国連邦規格(USA FED.STD)209Dにて規定される清浄度クラスをいうものとし、「清浄度クラス1000」とは、空気中に含まれる粒子径0.5μm以下の微粒子が、1立方フィート(1ft)当たりに1,000個を超えない雰囲気であることを意味する。ちなみに、米国連邦規格209Dにて規定される清浄度クラス1,000は、JIS B 9920「クリーンルームの空気清浄度の評価方法」にて規定される清浄度クラス6に相当する。
加熱工程を経た樹脂フィルムは、オーブンから搬出された後、次の工程に連続して供給されてもよいし、ロール状に巻き取られて次の工程に供給されてもよい。樹脂フィルムをロールに巻き取る場合は、表面保護フィルム及び他の光学フィルム等の他のフィルムを積層して巻き取ってもよい。樹脂フィルムに積層する表面保護フィルムとしては、後述する原料フィルムに積層する表面保護フィルムと同様のものが使用できる。樹脂フィルムに積層する表面保護フィルムの厚さは、通常10〜100μm、好ましくは10〜80μmである。
<原料フィルム>
加熱工程に供給される原料フィルムは、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む。原料フィルムは、後述する原料フィルムの形成に使用されるワニスに含まれる成分と同じ成分を含むことが好ましいが、成分の構造変化や溶媒の一部の蒸発が生じうるため、同一でなくてもよい。原料フィルムは、自立膜であればよく、ゲルフィルムであってもよい。
原料フィルムは、無機材料を含有するか否かにかかわらず熱重量−示差熱測定(以下「TG−DTA測定」ということがある。)によって求められる120℃から250℃にかけての重量減少率Mは、好ましくは1〜40%程度、より好ましくは3〜20%、さらに好ましくは5〜15%、とりわけ好ましくは5〜12%である。原料フィルムの重量減少率Mは、市販のTG−DTAの測定装置を用いて以下の方法で測定することができる。TG−DTAの測定装置としては、(株)日立ハイテクサイエンス製TG/DTA6300を使用することができる。
まず、原料フィルムから約20mgの試料を取得し、試料を室温から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、120℃で5分間保持した後、400℃まで10℃/分の昇温速度で昇温する条件で加熱しながら、試料の重量変化を測定する。次に、TG−DTA測定の結果から、120℃から250℃にかけての重量減少率M(%)を下記式によって算出すればよい。下記式において、Wは120℃で5分間保持した後の試料の重量を示し、Wは250℃における試料の重量を示す。
M(%)=100−(W/W)×100
原料フィルムの重量減少率Mがある程度大きいと、原料フィルムを基材又は表面保護フィルムとの積層体として巻き取ったときに、積層体の折れ曲がり等の変形が抑制され、積層体の巻き取り性が向上する傾向にある。
原料フィルムの重量減少率Mがある程度小さいと、原料フィルムを基材又は表面保護フィルムとの積層体として巻き取ったときに、原料フィルムが基材又は表面保護フィルムに貼り付き難くなる傾向にある。そのため、原料フィルムの均一な透明性を維持しながら、積層体をロールから容易に巻き出すことができる。
(ポリイミド系樹脂及びポリアミド系樹脂)
原料フィルム及び樹脂フィルムに含まれるポリイミド系樹脂とは、イミド基を含む繰返し構造単位を含有する重合体(以下、ポリイミドと記載することがある)、並びにイミド基及びアミド基の両方を含む繰返し構造単位を含有する重合体(以下、ポリアミドイミドと記載することがある)からなる群から選択される少なくとも1種の重合体を示す。また、ポリアミド系樹脂とは、アミド基を含む繰り返し構造単位を含有する重合体を示す。
ポリイミド系樹脂は、式(10)で表される繰り返し構造単位を有することが好ましい。ここで、Gは4価の有機基であり、Aは2価の有機基である。ポリイミド系樹脂は、G及び/又はAが異なる、2種類以上の式(10)で表される繰り返し構造単位を含んでいてもよい。
Figure 2020001383
ポリイミド系樹脂は、樹脂フィルムの各種物性を損なわない範囲で、式(11)、式(12)及び式(13)で表される繰り返し構造単位からなる群から選択される1以上を含んでいてもよい。
Figure 2020001383
式(10)及び式(11)中、G及びGは、それぞれ独立して、4価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。G及びGとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基並びに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。樹脂フィルムの黄色度(YI値)を抑制しやすいことから、なかでも、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)又は式(27)で表される基が好ましい。
Figure 2020001383
式(20)〜式(29)中、
*は結合手を表し、
Zは、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−Ar−、−SO−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−又は−Ar−SO−Ar−を表す。Arはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。
式(12)中、Gは3価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Gとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基の結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基並びに3価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
式(13)中、Gは2価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Gとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)又は式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基及び炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
式(10)〜式(13)中、A、A、A及びAは、それぞれ独立して、2価の有機基であり、好ましくは炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。A、A、A及びAとしては、式(30)、式(31)、式(32)、式(33)、式(34)、式(35)、式(36)、式(37)もしくは式(38)で表される基;それらがメチル基、フルオロ基、クロロ基もしくはトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
Figure 2020001383
式(30)〜式(38)中、
*は結合手を表し、
、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−又は−CO−を表す。
1つの例は、Z及びZが−O−であり、かつ、Zが−CH−、−C(CH−、−C(CF−又は−SO−である。ZとZとの各環に対する結合位置、及び、ZとZとの各環に対する結合位置は、それぞれ、各環に対して好ましくはメタ位又はパラ位である。
ポリイミド系樹脂は、視認性性を向上させやすい観点から、式(10)で表される繰り返し構造単位と式(13)で表される繰り返し構造単位を少なくとも有するポリアミドイミドであることが好ましい。また、ポリアミド系樹脂は、式(13)で表される繰り返し構造単位を少なくとも有することが好ましい。
本発明の一実施態様において、ポリイミド系樹脂は、ジアミン及びテトラカルボン酸化合物(酸クロライド化合物、テトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸化合物類縁体)、並びに、必要に応じて、ジカルボン酸化合物(酸クロライド化合物等のジカルボン酸化合物類縁体)、トリカルボン酸化合物(酸クロライド化合物、トリカルボン酸無水物等のトリカルボン酸化合物類縁体)等を反応(重縮合)させて得られる縮合型高分子である。式(10)又は式(11)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びテトラカルボン酸化合物から誘導される。式(12)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びトリカルボン酸化合物から誘導される。式(13)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びジカルボン酸化合物から誘導される。
本発明の一実施態様において、ポリアミド系樹脂は、ジアミンとジカルボン酸化合物とを反応(重縮合)させて得られる縮合型高分子である。すなわち、式(13)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン及びジカルボン酸化合物から誘導される。
テトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロライド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物及び4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、環式又は非環式の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは、脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物であり、その具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物及びこれらの位置異性体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物を組合せて用いてもよい。
前記テトラカルボン酸二無水物の中でも、高透明性及び低着色性の観点から、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、並びにこれらの混合物が好ましい。また、テトラカルボン酸として、前記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体を用いてもよい。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−もしくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられ、それらを2種以上併用してもよい。
それらの具体例としては、テレフタル酸ジクロリド(テレフタロイルクロリド(TPC));イソフタル酸ジクロリド;ナフタレンジカルボン酸ジクロリド;4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド;3,3’−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド;4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC);炭素数8以下である鎖式炭化水素のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−もしくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン又はこれらの混合物が挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、芳香環がベンゼン環であることが好ましい。また「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン;4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB))、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
前記ジアミンの中でも、高透明性及び低着色性の観点からは、ビフェニル構造を有する芳香族ジアミンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることがより好ましく、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを用いることがさらに好ましい。
ポリイミド系樹脂は、前記ジアミン、テトラカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物等の各原料を慣用の方法、例えば、撹拌等の方法により混合した後、得られた中間体をイミド化触媒及び必要に応じて脱水剤の存在下で、イミド化することにより得られる。ポリアミド系樹脂は、前記ジアミン、ジカルボン酸化合物等の各原料を慣用の方法、例えば、撹拌等の方法により混合することで得られる。
イミド化工程で使用されるイミド化触媒としては、特に限定されないが、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、及びN−プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びに2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3,4−シクロペンテノピリジン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。
イミド化工程で使用される脱水剤としては、特に限定されないが、例えば無水酢酸、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、ピバル酸無水物、酪酸無水物、イソ吉草酸無水物などが挙げられる。
各原料の混合及びイミド化工程において、反応温度は、特に限定されないが、例えば15〜350℃、好ましくは20〜100℃である。反応時間も特に限定されないが、例えば10分〜10時間程度である。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において反応を行ってよい。また、反応は溶媒中で行ってよく、溶媒としては、例えばワニスの調製に使用される溶媒として例示のものが挙げられる。反応後、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂を精製する。精製方法としては、例えば反応液に貧溶媒を加えて再沈殿法により樹脂を析出させ、乾燥し沈殿物を取りだし、必要に応じて沈殿物をメタノール等の溶媒で洗浄して乾燥させる方法等が挙げられる。
なお、ポリイミド系樹脂の製造は、例えば特開2006−199945号公報又は特開2008−163107号公報に記載の製造方法を参照してもよい。また、ポリイミド系樹脂は、市販品を使用することもでき、その具体例としては、三菱瓦斯化学(株)製ネオプリム(登録商標)、河村産業(株)製KPI−MX300F等が挙げられる。
ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは200,000以上、より好ましくは250,000以上、さらに好ましくは300,000以上であり、好ましくは600,000以下、より好ましくは500,000以下である。ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の重量平均分子量が大きいほど、フィルム化した際の高い耐屈曲性を発現しやすい傾向がある。そのため、樹脂フィルムの耐屈曲性を高める観点からは、重量平均分子量が前記の下限以上であることが好ましい。一方、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の重量平均分子量が小さいほど、ワニスの粘度を低くしやすく、加工性を向上させやすい傾向がある。また、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の延伸性が向上しやすい傾向がある。そのため、加工性及び延伸性の観点からは、重量平均分子量が前記の上限以下であることが好ましい。なお、本願において重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行い、標準ポリスチレン換算により求めることができ、例えば実施例に記載の方法により算出できる。
ポリイミド系樹脂のイミド化率は、好ましくは95〜100%、より好ましくは97〜100%、さらに好ましくは98〜100%、特に好ましくは100%である。ワニスの安定性、得られた樹脂フィルムの機械物性の観点からは、イミド化率が前記の下限以上であることが好ましい。なお、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができる。前記観点から、ワニス中に含まれるポリイミド系樹脂のイミド化率が前記範囲内であることが好ましい。
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の樹脂フィルムに含まれるポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂は、例えば前記の含フッ素置換基等によって導入することができる、フッ素原子等のハロゲン原子を含んでよい。ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂がハロゲン原子を含む場合、樹脂フィルムの弾性率を向上させかつ黄色度(YI値)を低減させやすい。樹脂フィルムの弾性率が高いと、該フィルムにおけるキズ及びシワ等の発生を抑制しやすく、また、樹脂フィルムの黄色度が低いと、該フィルムの透明性を向上させやすくなる。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂にフッ素原子を含有させるために好ましい含フッ素置換基としては、例えばフルオロ基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂におけるハロゲン原子の含有量は、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。ハロゲン原子の含有量が前記の範囲にあると、フィルム化した際の弾性率をより向上させ、吸水率を下げ、黄色度(YI値)をより低減し、透明性をより向上させやすく、また、合成が容易になる場合がある。
本発明の一実施形態において、樹脂フィルム中におけるポリイミド系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂の含有量は、樹脂フィルムの全質量を基準として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。ポリイミド系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂の含有量が前記の下限以上であることが、耐屈曲性等を高めやすい観点から好ましい。なお、樹脂フィルム中におけるポリイミド系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂の含有量は、樹脂フィルムの全質量を基準として、通常100質量%以下である。
(添加剤)
本発明の樹脂フィルムは、添加剤をさらに含んでもよい。このような添加剤としては、例えば、シリカ粒子、紫外線吸収剤、増白剤、シリカ分散剤、酸化防止剤、pH調整剤、及びレベリング剤が挙げられる。
(シリカ粒子)
本発明の樹脂フィルムは、添加剤としてシリカ粒子をさらに含んでもよい。シリカ粒子の含有量は、該樹脂フィルムの総質量を基準として好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。また、シリカ粒子の含有量は、これらの上限値及び下限値のうち、任意の下限値と上限値とを選択して組合せることができる。シリカ粒子の含有量が前記上限値及び/又は下限値の数値範囲であると、本発明の樹脂フィルムにおいて、シリカ粒子が凝集しにくく、一次粒子の状態で均一に分散する傾向にあるため、本発明の樹脂フィルムの視認性の低下を抑制することができる。
シリカ粒子の粒子径は、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは8nm以上であり、好ましくは30nm以下、より好ましくは28nm以下、さらに好ましくは25nm以下、特に好ましくは20nm以下である。シリカ粒子の粒子径は、これらの上限値及び下限値のうち、任意の下限値と上限値とを選択して組合せることができる。シリカ粒子の含有量が前記上限値及び/又は下限値の数値範囲であると、本発明の樹脂フィルムにおいて、白色光における特定の波長の光と相互作用をしにくいため、本発明の樹脂フィルムの視認性の低下を抑制することができる。本明細書において、シリカ粒子の粒子径は、平均一次粒子径を示す。樹脂フィルム内のシリカ粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた撮像から測定することができる。樹脂フィルムを作製する前(例えば、ワニスに添加する前)のシリカ粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。シリカ粒子の粒子径の測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
シリカ粒子の形態としては、例えば、シリカ粒子が有機溶媒等に分散したシリカゾル、及び気相法で調製したシリカ粉末が挙げられる。これらの中でも、作業性の観点からシリカゾルが好ましい。
シリカ粒子は、表面処理を施してもよく、例えば、水溶性アルコール分散シリカゾルから溶媒(より具体的には、γ−ブチロラクトン等)置換したシリカ粒子であってもよい。
水溶性アルコールは、該水溶性アルコール分子1個においてヒドロキシ基1個当たりの炭素数が3以下のアルコールであり、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールなどが挙げられる。シリカ粒子とポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂の種類との相性によるが、通常、シリカ粒子が表面処理されると、樹脂フィルムに含まれるポリイミド系樹脂との相溶性が向上し、シリカ粒子の分散性が向上する傾向にあるため、本発明の視認性の低下を抑制することができる。
(紫外線吸収剤)
本発明の樹脂フィルムは、紫外線吸収剤をさらに含んでもよい。例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好適な市販の紫外線吸収剤としては、例えば、住化ケムテックス(株)製のSumisorb(登録商標) 340、(株)ADEKA製のアデカスタブ(登録商標) LA−31、及びBASFジャパン(株)製のチヌビン(登録商標) 1577等が挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、本発明の樹脂フィルムの質量を基準として、好ましくは1phr以上10phr以下、より好ましくは3phr以上6phr以下である。
(増白剤)
本発明の樹脂フィルムは、増白剤をさらに含んでもよい。増白剤は、例えば、増白剤以外の添加剤を添加した場合に、色味を調整するために添加することができる。増白剤としてはモノアゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料、及びアンスラキノン系染料が挙げられる。これらの中でもアンスラキノン系染料が好ましい。好適な市販の増白剤としては、例えば、ランクセス社製のマクロレックス(登録商標)バイオレット B、住化ケムテックス(株)製のスミプラスト(登録商標) Violet B、及び三菱化学(株)製のダイアレジン(登録商標) ブルー G等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。増白剤を含有する場合、その含有量は、本発明の樹脂フィルムの質量を基準として、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜45ppm、さらに好ましくは3〜40ppm、とりわけ好ましくは5〜35ppmである。
(原料フィルムの製造方法)
原料フィルムは、特に限定されないが、例えば以下の工程を含む方法によって製造することができる。
(a)前記樹脂及び前記フィラーを含む液(以下、ワニスと記載することがある)を調製するワニス調製工程、
(b)ワニスを基材に塗布して塗膜を形成する塗布工程、及び
(c)前記塗膜を乾燥させて、原料フィルムを形成する形成工程。
ワニス調製工程では、前記樹脂を溶媒に溶解し、前記フィラー及び必要に応じて他の添加剤を添加して撹拌混合することによりワニスを調製する。なお、フィラーとしてシリカを用いる場合、シリカを含むシリカゾルの分散液を、前記樹脂が溶解可能な溶媒、例えば下記のワニスの調製に用いられる溶媒で置換したシリカゾルを樹脂に添加してもよい。
ワニスの調製に用いられる溶媒は、前記樹脂を溶解可能であれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せが挙げられる。これらの中でも、アミド系溶媒又はラクトン系溶媒が好ましい。これらの溶媒は単独又は二種以上組合せて使用できる。また、ワニスには水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。ワニスの固形分濃度は、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
塗布工程において、公知の塗布方法により、基材上にワニスを塗布して塗膜を形成する。公知の塗布方法としては、例えばワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、スプレー法、流涎成形法等が挙げられる。
形成工程において、塗膜を乾燥し、基材から剥離することによって、原料フィルムを形成することができる。塗膜の乾燥は、通常50〜350℃の温度にて行うことができる。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。得られた原料フィルムは、前記加熱工程に供給されるが、連続して搬送されて加熱工程に供給されてもよいし、一旦巻き取られた後に供給されてもよい。
基材の例としては、金属系であれば、エンドレスSUSベルト、樹脂系であればPETフィルム、PENフィルム、他のポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂フィルム、シクロオレフィン系ポリマー(COP)フィルム、アクリル系フィルム等が挙げられる。中でも、平滑性、耐熱性に優れる観点から、PETフィルム、COPフィルム等が好ましく、さらに樹脂フィルムとの密着性及びコストの観点から、PETフィルムがより好ましい。
原料フィルムは、その表面に表面保護フィルムを積層して積層体としてもよく、積層された表面保護フィルムは、加熱工程が行われる前に剥離されればよい。表面保護フィルムは、原料フィルムの基材とは反対側の面に積層される。積層体のロール状に巻き取る際に、ブロッキング等の巻き取り性に問題がある場合は、さらに追加して、基材の原料フィルムは反対側の面に表面保護フィルムを積層してもよい。原料フィルムに貼合される表面保護フィルムは、原料フィルムの表面を一時的に保護するためのフィルムであり、原料フィルムの表面を保護できる剥離可能なフィルムである限り特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム及びアクリル系樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。積層体の両面に表面保護フィルムが貼合されている場合、各面の表面保護フィルムは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
表面保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、通常、10〜100μm、好ましくは10〜80μm、より好ましくは10〜50μmである。積層体の両面に表面保護フィルムが貼合されている場合、各面の表面保護フィルムの厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記積層体(基材、原料フィルム及び必要に応じて表面保護フィルム)が巻芯にロール状に巻回されたものを積層体フィルムロールとよぶ。積層体フィルムロールは、連続的に製造において、スペースその他の制約から一旦フィルムロールの形で保管することが多く、積層体フィルムロールもその一つである。
積層体フィルムロールの巻芯を構成する材料としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂;アルミニウム等の金属;繊維強化プラスチック(FRP:ガラス繊維等の繊維をプラスチックに含有させて強度を向上させた複合材料)等が挙げられる。巻芯は円筒状又は円柱状等の形状をなし、その直径は、例えば80〜170mmである。また、フィルムロールの、巻き取り後の直径は、特に限定されるものではないが、通常200〜800mmである。
<樹脂フィルム>
本発明の製造方法により得られる樹脂フィルムは、ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む。樹脂フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。厚さが前記の範囲にあると樹脂フィルムを表示装置に組み込んだときの内部の保護の観点で有利であり、また、耐折性、コスト、透明性などの観点で有利である。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
加熱工程を経た樹脂フィルムは、TG−DTA測定によって求められる120℃から250℃にかけての重量減少率Mが、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1.5%以下、とりわけ好ましくは1%以下である。また、重量減少率Mの下限値は、特に限定されないが、例えば0.1%とすることができる。
樹脂フィルムの重量減少率Mが前記範囲であると、フレキシブル表示装置の前面板に求められる十分な硬度及び屈曲性の両方を具備するフィルムが得られ、また、フィルム表面が柔らかすぎずキズが生じにくいため、後工程においてフィルムの取り扱いが容易になることがある。
樹脂フィルムのヘーズは、視認性の観点から、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。樹脂フィルムのヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠して測定することができる。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。樹脂フィルムのヘーズが前記範囲内であると、フレキシブル表示装置の前面板に好適に用いることができる。
に優れる。
樹脂フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上、さらに好ましくは89%以上である。樹脂フィルムの全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定することができる。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。樹脂フィルムの全光線透過率が前記数値範囲であると、画像表示装置に組み込んだ際に、十分なフィルム外観を確保することができる。
樹脂フィルムの黄色度は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.5以下である。樹脂フィルムの黄色度は、JIS K 7373:2006に準拠して測定することができる。測定方法は、実施例にて詳細に説明する。この範囲であると視認性に優れ、前面板等のディスプレイ部材として好適に使用できる。
樹脂フィルムの面内位相差は、波長590nmで測定した面内位相差値の比Re(P1/P2)及び比Re(P1/P3)が、それぞれ0.75以上であることが好ましい。Re(P1/P2)及び比Re(P1/P3)は、次の方法により算出される。まず、樹脂フィルムをフィルム幅方向に5等分し、フィルム幅方向の中心点をP1とし、P1の両隣の点をそれぞれP2及びP3とする。次に、それぞれの点の面内位相差値を測定し、P2又はP3の面内位相差値に対するP1の面内位相差値の比を、それぞれRe(P1/P2)及びRe(P1/P3)として算出することができる。比Re(P1/P2)及び比Re(P1/P3)は、それぞれ0.80以上であることが好ましい。これらの比が前記範囲であると、樹脂フィルムの位相差値のばらつきがより低減され、フィルムの位相差値がより均一となる傾向にある。
樹脂フィルムの面内位相差は、市販の装置で測定することができる。市販の装置の例としては、大塚電子(株)製の位相差フィルム・光学材料検査装置(商品名“RETS100“)が挙げられる。
本発明の製造方法により製造される樹脂フィルムは、樹脂フィルムの単層で使用してもよいし、他の層が積層された積層体で使用してもよい。この樹脂フィルム又はこれを含む積層体は、優れた面品質を有するため、画像表示装置等における光学フィルム、特にフレキシブルディスプレイの前面板(ウィンドウフィルム)としてとして有用である。
樹脂フィルムに積層できる他の層としては、ハードコート層、紫外線吸収層、粘着層、屈折率調整層、プライマー層等の種々の機能を有する層(機能層)が挙げられる。樹脂フィルムは、単数又は複数の機能層を備えていてもよい。また、1つの機能層が複数の機能を有してもよい。
また、機能層以外の他の層としては、偏光膜、偏光板、タッチセンサ、単層又は複数層の形態を有する枠を取り囲んで印刷された有色の遮光パターンなど、表示装置が備える光学部材が挙げられる。
ハードコート層は、フィルムの視認側表面に配置されることが好ましい。ハードコート層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。ハードコート層は、光又は熱エネルギーを照射して架橋構造を形成する反応性材料を含むハードコート用組成物の硬化により形成することができる。
反応性材料としては、光又は熱硬化性樹脂が挙げられる。その例としては、(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマー等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ベンジルクロライド系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂又はこれらの混合樹脂等の紫外線硬化型、電子線硬化型、又は熱硬化型の樹脂が挙げられる。表面硬度等の機械物性及び工業上な観点から、ハードコート用組成物はアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
ハードコート用組成物は、前記樹脂の他、必要に応じて溶剤、光重合開始剤を含むことができる。また、ハードコート用組成物には、発明の効果を損なわない範囲において、無機フィラー、レベリング剤材、安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などの添加剤を含んでもよい。
ハードコート層は、ハードコート用組成物を、本発明により得られる樹脂フィルムの少なくとも一面に塗布し硬化させることにより形成することができる。ハードコート層の厚さは、特に限定されず、例えば5〜100μmであってもよい。ハードコート層の厚さが前記の範囲にあると、十分な表面硬度を確保することが可能であり、また、耐屈曲性が良好であり、硬化収縮によるカール発生の問題が発生しがたい傾向がある。
紫外線吸収層は、紫外線吸収の機能を有する層であり、例えば、紫外線硬化型の透明樹脂、電子線硬化型の透明樹脂、及び熱硬化型の透明樹脂から選ばれる主材と、この主材に分散した紫外線吸収剤とから構成される。機能層として紫外線吸収層を設けることにより、光照射による黄色度の変化を容易に抑制することができる。
粘着層は、粘着性の機能を有する層であり、本発明のフィルムを他の部材に接着させる機能を有する。粘着層の形成材料としては、通常知られたものを用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
粘着層は、重合性官能基を有する成分を含む樹脂組成物から構成されていてもよい。この場合、フィルムを他の部材に密着させた後に粘着層を構成する樹脂組成物をさらに重合させることにより、強固な接着を実現することができる。本発明のフィルムと粘着層との接着強度は、0.1N/cm以上、又は0.5N/cm以上であってもよい。
粘着層は、熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を材料として含んでいてもよい。この場合、事後的にエネルギーを供給することで樹脂組成物を高分子化し硬化させることができる。
粘着層は、感圧型接着剤(Pressure Sensitive Adhesive、PSA)と呼ばれる、押圧により対象物に貼着される接着剤から構成される層であってもよい。感圧型接着剤は、「常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着材に接着する物質」(JIS K 6800)である粘着剤であってもよく、「特定成分を保護被膜(マイクロカプセル)に内容し、適当な手段(圧力、熱等)によって被膜を破壊するまでは安定性を保持できる接着剤」(JIS K 6800)であるカプセル型接着剤であってもよい。
色相調整層は、色相調整の機能を有する層であり、本発明のフィルムを目的の色相に調整することができる層である。色相調整層は、例えば、樹脂及び着色剤を含有する層である。この着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、弁柄、チタニウムオキサイド系焼成顔料、群青、アルミン酸コバルト、及びカーボンブラック等の無機顔料;アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、アンスラキノン系化合物、ペリレン系化合物、イソインドリノン系化合物、フタロシアニン系化合物、キノフタロン系化合物、スレン系化合物、及びジケトピロロピロール系化合物等の有機顔料;硫酸バリウム及び炭酸カルシウム等の体質顔料;ならびに塩基性染料、酸性染料、及び媒染染料等の染料を挙げることができる。
屈折率調整層は、屈折率調整の機能を有する層であり、本発明のフィルムにおけるポリアミドイミド樹脂Aを含む層とは異なる屈折率を有し、本発明のフィルムに所定の屈折率を付与することができる層である。屈折率調整層は、例えば、適宜選択された樹脂、及び場合によりさらに顔料を含有する樹脂層であってもよいし、金属の薄膜であってもよい。
屈折率を調整する顔料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化タンタルが挙げられる。顔料の平均一次粒子径は、0.1μm以下であってもよい。顔料の平均一次粒子径を0.1μm以下とすることにより、屈折率調整層を透過する光の乱反射を防止し、透明度の低下を防止することができる。
屈折率調整層に用いられる金属としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸窒化チタン、窒化チタン、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。
樹脂フィルムに積層される光学部材は、粘着層又は接着層を介して樹脂フィルムに積層してもよいし、粘着層又は接着層を介さずに積層してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部を意味する。実施例中、各項目の測定方法及び評価方法は、以下の方法で行った。
(樹脂フィルムの厚さ)
マイクロメーター((株)ミツトヨ製「ID−C112XBS」)を用いて、10点以上の樹脂フィルムの厚さを測定し、その平均値を算出した。
(熱重量−示差熱(TG−DTA)測定)
TG−DTAの測定装置として、(株)日立ハイテクサイエンス製TG/DTA6300を用いた。作製された透明樹脂フィルム(ポリイミドフィルム)から約20mgの試料を取得した。試料を、室温から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、120℃で5分間保持した後、400℃まで10℃/分の昇温速度で昇温する条件で加熱しながら、試料の重量変化を測定した。図1は、後述の実施例1で作製されたポリイミドフィルムのTG−DTA測定結果を示す。
TG−DTA測定結果から、120℃から250℃にかけての重量減少率M(%)を下記式によって算出した。
M(%)=100−(W1/W0)×100
ここで、W0は120℃で5分間保持した後の試料の重量を示し、W1は250℃における試料の重量を示す。
(樹脂フィルムの面内位相差値の測定)
樹脂フィルムの面内位相差は、大塚電子(株)製の位相差フィルム・光学材料検査装置(商品名“RETS100“)を用いて、波長590nmの面内位相差値Reを測定した。測定は、樹脂フィルムの幅方向中央を中心に幅700mmの範囲をとり、その20mm間隔で分割し、合計36点について行い、それらの値の平均値として算出した。
表2中の、面内位相差値の比は、次のように算出した値である。まず、樹脂フィルムのフィルム幅の中心点をP1として、P1からフィルム両端に向かって120mm離れた点をそれぞれP2及びP3とした。次に、それぞれの点の面内位相差値を測定し、P2又はP3の面内位相差値に対するP1の面内位相差値の比を、それぞれRe(P1/P2)及びRe(P1/P3)として求めた。
(ワニスの粘度)
ワニスの粘度(cps)は、JIS K 8803:2011に従い、E型粘度計を用いて、25℃で測定した。また、ワニスの樹脂濃度は、ワニスに含有される樹脂の濃度(質量%)を表し、ワニスの全質量に基づくワニスに含有される樹脂の質量から算出した。
(シリカ粒子の粒子径)
シリカ粒子の粒子径は、JIS Z 8830に準じ、BET吸着法による比表面積測定値から算出した。シリカゾルを300℃で乾燥させた粉末の比表面積を比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製「モノソーブ(登録商標)MS−16」)を用いて測定した。
(重量平均分子量)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
試料をγ−ブチロラクトン(GBL)に溶解させて20質量%溶液とした後、DMF溶離液にて100倍に希釈し、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM−H×2+SuperAW2500×1(6.0mm I.D.×150mm×3本)
溶離液:DMF(10mmol/Lの臭化リチウム添加)
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量標準:標準ポリスチレン
(樹脂フィルムの搬送性の評価方法)
テンター式乾燥炉入り口から乾燥炉出口において、目視でフィルムのばたつき(縦方向の振れ)の有無を確認した。
(樹脂フィルム外観不良)
得られたフィルムのクリップ部に割れが生じていないこと、フィルムにLEDライトを照射して乾燥炉前後でのキズの増加の有無を確認した。
<製造例1:ポリイミド系樹脂1の製造>
セパラブルフラスコにシリカゲル管、攪拌装置及び温度計を取り付けたフラスコと、オイルバスとを準備した。このフラスコ内に、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA) 75.6gと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB) 54.5gとを投入した。これを400rpmで攪拌しながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc) 530gを加え、フラスコの内容物が均一な溶液になるまで攪拌を続けた。続いて、オイルバスを用いて容器内温度が20〜30℃の範囲になるように調整しながらさらに20時間攪拌を続け、反応させてポリアミック酸を生成させた。30分後、撹拌速度を100rpmに変更した。20時間攪拌後、反応系温度を室温に戻し、DMAc 650gを加えてポリマー濃度が10質量%となるように調整した。さらに、ピリジン 32.3g、無水酢酸 41.7gを加え、室温で10.5時間攪拌してイミド化を行った。反応容器からポリイミドワニスを取り出した。得られたポリイミドワニスをメタノール中に滴下して再沈殿を行い、得られた粉体を加熱乾燥して溶媒を除去し、固形分としてポリイミド系樹脂1を得た。得られたポリイミド系樹脂1について、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量は365,000であった。また、ポリイミドのイミド化率は99.0%であった。
<製造例2:ポリイミド系樹脂2の製造)
窒素ガス雰囲気下、撹拌翼を備えた1Lセパラブルフラスコに、TFMB 45g(140.52mmol)及びDMAc 768.55gを加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAcに溶解させた。次に、フラスコに6FDA 18.92g(42.58mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。その後、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC) 4.19g(14.19mmol)、次いでテレフタロイルクロリド(TPC) 17.29g(85.16mmol)をフラスコに加え、室温で1時間撹拌した。次いで、フラスコに4−メチルピリジン 4.63g(49.68mmol)と無水酢酸 13.04g(127.75mmol)とを加え、室温で30分間撹拌後、オイルバスを用いて70℃に昇温し、さらに3.5時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノールで6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、100℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリイミド系樹脂2を得た。ポリイミド系樹脂2の重量平均分子量は、455,000であった。ポリイミドのイミド化率は、98.9%であった。
<製造例3:分散液1の製造>
メタノール分散有機化処理シリカ(BET法で測定した粒子径:27nm)をγ−ブチロラクトン(GBL)に置換し、GBL分散有機化処理シリカ(固形分30.3質量%)を得た。この分散液を分散液1とする。
<製造例4:ワニス(1)の製造>
ワニス(1)は、表1に示す組成にて、溶媒にポリマーを溶解し、仕込み量から算出される固形分が15.5質量%であり、25℃における粘度が36,500cpsであるワニス(1)を得た。
<製造例5:ワニス(2)の製造>
ワニス(2)は、室温にてGBL溶媒にポリマーとフィラーの組成比が60:40となるように混合し、そこにSumisorb 340(UVA)、Sumiplast Violet B(BA)をポリマーとシリカの合計質量に対して5.7phr又は35ppmとなるように添加し、均一になるまで攪拌した。仕込み量から算出される固形分10.3質量%、25℃における粘度38,500cpsであるワニス(2)を得た。
Figure 2020001383
<製造例6:原料フィルム1の製膜>
ワニス(1)を、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム(東洋紡(株)製「コスモシャイン(登録商標) A4100」、厚さ188μm、厚さ分布±2μm)上において流涎成形により塗膜を成形した。この時、線速は0.4m/分であり、70℃で8分加熱した後、100℃で10分加熱し、次いで90℃で8分加熱し、最後に80℃で8分加熱するという条件で塗膜を乾燥した。その後、PETフィルムから塗膜を剥離し、幅700mm、厚さ86μmの原料フィルム1を得た。原料フィルム1の重量減少率Mは9.6%であった。
<製造例7:原料フィルム2の製膜>
ワニス(2)を、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム(東洋紡(株)製「コスモシャイン(登録商標) A4100」、厚さ188μm、厚さ分布±2μm)上において流涎成形により塗膜を成形した。この時、線速は0.3m/分であった。また、80℃で10分加熱した後、100℃で10分加熱し、次いで90℃で10分加熱し、最後に80℃で10分加熱するという条件で塗膜を乾燥した。その後、PETフィルムから塗膜を剥離し、幅700mm、厚さ58μmの原料フィルム2を得た。原料フィルム2の重量減少率Mは9.2%だった。
<実施例1:樹脂フィルム1の作製>
製造例6で得た原料フィルム1を把持装置としてクリップを用いた図1に示すテンター式乾燥炉(内部が全6室に分けられた構成)を用い、原料フィルムを加熱し、炉内の全6室において、それぞれのジェットノズルを用いた。テンター式乾燥炉の開口部面積は、0.0055mである。溶媒を除去して厚さ79μmの樹脂フィルム1を得た。この時、乾燥炉内の条件は、乾燥炉内の温度が200℃、クリップの把持幅が25mm、フィルムの搬送速度が1.1m/分、乾燥炉入り口のフィルム幅(クリップ間距離)と乾燥炉出口のフィルム幅との比が1.0、及び表2に示す風速であった。その後、クリップ部をスリット(切断)し、そのフィルムにPET系表面保護フィルムを貼合し、ABS製6インチの巻芯に巻きとり、ロールフィルムを得た。その際の搬送性、テンター式乾燥炉後のフィルムの外観及び得られた樹脂フィルム1の重量減少率Mを表2に示す。
<実施例2:樹脂フィルム2の作製>
製造例7で得た原料フィルム2を用いたこと、フィルム搬送速度を0.9m/分に、乾燥炉入口のフィルム幅(クリップ間距離)と乾燥炉出口のフィルム幅との比を0.98倍に、及び風速を表2に示す条件にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の条件で加工を行い、厚さ49.5μmの樹脂フィルム2を得た。その際の搬送性、テンター式乾燥炉後のフィルムの外観及び得られた樹脂フィルム2の重量減少率Mを表2に示す。
<比較例1:樹脂フィルム3の作製>
風速を表2に示す条件に変更した以外は実施例2と同様の方法で、原料フィルム2から厚さ49μmの樹脂フィルム3を得た。その際の搬送性、テンター式乾燥炉後のフィルムの外観及び得られた樹脂フィルム3の重量減少率Mを表2に示す。傷や割れがあったので、面内位相差の測定を行わなかった。
Figure 2020001383
18…把持装置、20…原料フィルム、30…上側ノズル(ノズル)、32…下側ノズル(ノズル)、34…ジェットノズル、36,38…パンチングノズル、36a,38a…面、40…スリット、42,44…開口、100…オーブン、100a…上面、100b…下面、A…フィルムの搬送方向。

Claims (6)

  1. ポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂のいずれかを少なくとも含む樹脂フィルムの製造方法であって、
    原料フィルムを熱風で加熱する加熱工程を有し、
    前記加熱工程は、互いに対向する一対のノズルの吹き出し口からの熱風により行い、
    前記ノズルは、吹き出し口における吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒以下であり、ノズル一本当たりの吹き出し口からの吹き出し風量が、前記原料フィルムの幅方向に沿ったノズルの長さ1m当たり0.1〜3m/秒である、樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記吹き出し口における吹き出し風速が2m/秒以上25m/秒未満である、請求項1に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  3. 前記ノズルは、前記原料フィルムの幅方向に伸びるスリット状の吹き出し口を有するノズル、又は開口を前記原料フィルムの搬送方向及び前記原料フィルムの幅方向にそれぞれ複数配置した吹き出し口を有するノズルである請求項1又は2に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  4. 前記加熱工程で、前記原料フィルムに熱風を吹き付けるそれぞれの前記ノズルの吹き出し口における熱風の前記フィルムの幅方向における最大吹き出し風速と最小吹き出し風速との差が、4m/秒以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記加熱工程が、クリーンルーム内で行われる請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記加熱工程は、清浄度クラス1000以下のクリーン度のオーブン中で行われる請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
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