JP2020001003A - エンボス加飾プリンタ及びエンボス加飾方法 - Google Patents

エンボス加飾プリンタ及びエンボス加飾方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被加工物に対し、エンボス加工のための発泡性インクをオンデマンドで手軽に印刷することができるエンボス加飾プリンタを提供する。【解決手段】エンボス加飾プリンタ10は、被加工物5が載置される載置台20と、発泡性粒子を含有し非ニュートン流動性を示すインクを収容するディスペンサ32と、ディスペンサ32を載置台20に対して相対的に移動させる移動装置と、ディスペンサ32および移動装置の駆動を制御する制御装置100と、を備える。制御装置100は、出力データに基いて移動装置によってディスペンサ32を載置台20に対して相対的に移動させるとともに、出力データに基づく所定の位置においてディスペンサ32からインクを被加工物5に吐出するように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、エンボス加飾プリンタとこれを用いたエンボス加飾方法に関する。
従来から、壁紙、装飾シート、衣料用布帛等の装飾性、意匠性が求められる被加工物に対しては、消費者の多様な嗜好を満足させる目的で、凹凸を付与するエンボス加工を施すことがある。エンボス加工法としては、専用の凹凸版を作製して被加工物に強圧し、文字や絵柄などを浮き彫りする手法が知られている。
近年では、被加工物の裏面を凹ませずに、表面に凸部を形成するエンボス加工法が提案されている。このような凸部を形成する手法としては、例えば、被加工物の表面に発泡微粒子を含んだ発泡性インクを付着させて加熱することでインク部分に対応する凸部を形成する手法や、エネルギー硬化性の塗料を被加工物に厚盛りして硬化させることで凸部を形成する手法、さらには、所望の凸部意匠を黒色インクで印刷した透明フィルムを専用の発泡シートに重ねたのち近赤外線を照射することで、黒色の印刷部分に当接した発泡シートを発泡させて凸部を形成する手法等が知られている。
実公平7−21254公報
しかしながら、このようなエンボス加工品を要求(Demand)に応じた必要数だけ作製したい場合に、従来の手法によると、目的の凹凸模様に対応した専用の凹凸版を作製する必要があり、時間とコストを要するという課題があった。また、発泡性インクを用いる手法は、当該インクを使用できる印刷機が限定されてしまい、例えば手書きで対応するか、スタンプを作製して使用するか、あるいは、グラビア印刷機やスクリーン印刷機等の有版印刷機(オフセット印刷機)を使用しなければならないという課題がある。エネルギー硬化性の塗料(典型的には紫外線硬化性インク)を厚盛りする手法では、厚盛によって重合開始剤等のインク成分のマイグレーションが生じて硬化不良が発生したり、健康を損ない得る成分を含んでいたりするために用途が制限されるという不都合があった。さらに、汎用の黒色インクによる印刷を利用する手法では、同一のエンボス加工を所要数だけ実現できるものの、専用の発泡シートが必要であり、また、被加工物が限定されるという欠点があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、オンデマンドで手軽に任意のエンボス加工を含む加飾を施すことができるエンボス加飾プリンタを提供することである。また他の目的は、このエンボス加飾プリンタを用いた加飾方法を提供することである。
ここに開示されるエンボス加飾プリンタは、被加工物が載置される載置台と、発泡性粒子を含有し非ニュートン流動性を示すインク(以下、単に「発泡性インク」という場合がある)を収容するディスペンサと、上記ディスペンサを上記載置台に対して相対的に移動させる移動装置と、上記ディスペンサおよび上記移動装置の駆動を制御する制御装置と、を備えている。そして上記制御装置は、出力データに基いて上記移動装置によって上記ディスペンサを上記載置台に対して相対的に移動させるとともに、上記出力データに基づく所定の位置において上記ディスペンサから前記被加工物に上記インクを吐出するように構成されている。
ここに開示されるエンボス加飾プリンタによれば、被加工物に対して発泡性インクを用いたエンボス加飾のための印刷を行うことができる。発泡性インクの印刷については、従来の有版印刷機によると、たとえ1つの被加工物に印刷するのみであっても、目的のエンボス意匠に応じた版(例えば、スクリーン製版)を作製する必要があった。しかしながら、このエンボス加飾プリンタによると、加飾意匠に対応した出力データを用意することで、版を用意する必要なく出力データに基づいた印刷を実施することができる。なお、版を必要としないデジタル印刷の代表であるインクジェットプリンタでは、発泡性粒子を含む発泡性インクを印刷することは不可能である。これに対し、このエンボス加飾プリンタではディスペンサを用いることで、発泡性インクの印刷を可能としている。加えて、インクジェットプリンタでは、実質的にニュートン流動性を示すインクしか吐出させることができず、厚盛印刷する場合は逐一乾燥または硬化させる必要があった。しかしながら、このエンボス加飾プリンタではディスペンサを用いることで、非ニュートン流動性を有する発泡性インクの高精度な供給が可能となる。これにより、高品質なオンデマンド印刷を可能とするエンボス加飾プリンタが提供される。
ここに開示されるエンボス加飾方法は、載置台と、発泡性粒子を含有し非ニュートン流動性を示すインクを収容するディスペンサと、上記ディスペンサを上記載置台に対して相対的に移動させる移動装置と、上記ディスペンサおよび上記移動装置の駆動を制御する制御装置と、を備えるエンボス加飾プリンタを用いる加飾方法である。このエンボス加飾方法は、上記載置台に被加工物を載置すること、出力データに基いて上記移動装置によって上記ディスペンサを上記載置台に対して相対的に移動させるとともに、上記出力データに基づく所定の位置において上記ディスペンサから上記被加工物に対して上記インクを吐出すること、上記インクが吐出された上記被加工物を加熱して上記発泡性粒子を発泡させること、を含む。
ここに開示されるエンボス加飾方法によれば、上記のエンボス加飾プリンタを用いて、被加工物に対して、発泡性インクを用いた高品質なオンデマンド印刷を実施することができる。そのため、発泡性インクによる印刷が行われた被加工物を加熱して発泡性粒子を発泡させることで、被加工物に所望の意匠に対応した凸部を簡便かつ高品質に形成することができる。これにより、被加工物に対し、高品質なエンボス加飾をオンデマンドで施すことが可能となる。
本発明によれば、被加工物に対し、エンボス加工のための発泡性インクをオンデマンドで手軽に印刷することができるエンボス加飾プリンタが提供される。またこのエンボス加飾プリンタを用いることで、被加工物に対し、エンボス加飾をオンデマンドで高品質かつ手軽に実現することができるエンボス加飾方法が提供される。
一実施形態に係るエンボス加飾プリンタの斜視図である。 一実施形態に係るエンボス加飾プリンタの平面図である。 一実施形態に係るエンボス加飾プリンタの正面図である。 一実施形態に係るエンボス加飾プリンタの要部斜視図である。 一実施形態に係るディスペンサユニットの側面図である。 テーブルに載置された被加工物に、画像およびクロップマークが印刷された様子を示す平面図である。 一実施形態に係るディスペンサユニットおよび印刷ヘッドユニットが連結された状態を示す正面図である。 一実施形態に係るディスペンサユニットおよび印刷ヘッドユニットが分離された状態を示す正面図である。 一実施形態に係る制御装置の接続関係を説明する図である。 一実施形態に係る制御装置のブロック図である。 一実施形態に係るエンボス加飾方法のフローチャートである。 (a)発泡性インクによる印刷膜と、(b)発泡後の印刷膜との様子を説明する側面図である。 他の実施形態に係るエンボス加飾方法のフローチャートである。 (a)発泡性インクによる印刷膜と、(b)発泡後の印刷膜との他の様子を説明する側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るエンボス加飾プリンタについて説明する。本実施形態に係るエンボス加飾プリンタは、加飾対象である被加工物に、発泡性インクによる印刷と、付加的にインクジェット印刷と、を実施することができるプリンタである。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。なお、明細書中の数値範囲を示す「A〜B」との表記は、「A以上B以下」を意味する。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るエンボス加飾プリンタ10を示す斜視図である。図1に示すように、エンボス加飾プリンタ10は、被加工物5に印刷を行う。図面中の符号U、D、F、Rr、L、Rは、それぞれ垂直方向の上、下、水平方向における前、後、左、右を示している。ただし、左、右とは、エンボス加飾プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右をそれぞれ意味し、また、前、後とは、エンボス加飾プリンタ10から作業者に向かう方向を前、遠ざかる方向を後とする。図面中の符号Yは主走査方向を表す。本実施形態において、主走査方向Yは、左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を表す。副走査方向Xは主走査方向Yと交差する方向であり、本実施形態では水平面において主走査方向Yと直角に交わる方向である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。図面中の符号Zは高さ方向を表す。高さ方向は主走査方向Yおよび副走査方向Xと交差する方向であり、本実施形態で高さ方向Zは上下方向である。すなわち、本実施形態では方向X,Y,Zは互いに直交する空間座標系となり得る。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
本実施形態の被加工物5は、例えば、綿や絹等の天然繊維や、ポリエステル、レーヨン等の合成繊維等からなる布帛である。しかしながら、被加工物5の素材や形態は特に限定されず、少なくとも発泡性インクの発泡温度に対する耐熱性を備える媒体であればよい。被加工物5を構成する素材は、アクリル樹脂等の合成樹脂、アルミや鉄等の金属、ガラス、木材、紙およびパルプ等の天然材料等であってよい。被加工物5の形態は、薄い湾曲性を備えるシートであってもよいし、剛性を備える板状体であってもよい。
図1に示すように、エンボス加飾プリンタ10は、箱状に形成されている。エンボス加飾プリンタ10は、ケース12と、操作パネル19とを備えている。ケース12は、ベース部12Bと、フロントカバー12Fと、背面カバー12Rrと、左サイドカバー12Lと、右サイドカバー12Rと、上カバー12Uとを備えている。ベース部12Bは、エンボス加飾プリンタ10の全体を支持する。フロントカバー12Fは、ベース部12Bの前端の右部に接続され、上方に向かって延びている。背面カバー12Rrは、ベース部12Bの後端に接続され、上方に向かって延びている。左サイドカバー12Lは、ベース部12Bの左端に接続され、上方に向かって延びている。左サイドカバー12Lの後端は、背面カバー12Rrの左端に接続されている。右サイドカバー12Rは、ベース部12Bの右端に接続され、上方に向かって延びている。右サイドカバー12Rの前端は、フロントカバー12Fの右端に接続され、右サイドカバー12Rの後端は、背面カバー12Rrの右端に接続されている。上カバー12Uは、フロントカバー12Fの上端、背面カバー12Rrの上端、および、右サイドカバー12Rの上端にそれぞれ接続されている。そしてケース12のフロントカバー12Fおよび上カバー12Uと、左サイドカバー12Lとの間であって、ベース部12Bの上方に、開口13が形成されている。この開口13内の空間が、加飾空間13Aとなる。加飾空間13Aには、テーブル20が備えられている。このテーブル20において、被加工物5に対するエンボス加飾と、付加的な印刷とが行われる。
図2は、エンボス加飾プリンタ10の平面図である。図3は、エンボス加飾プリンタ10の正面図である。図4は、エンボス加飾プリンタ10の要部斜視図である。図2および図3では、フロントカバー12F、背面カバー12Rr、左サイドカバー12L、右サイドカバー12Rおよび上カバー12Uの図示は便宜上省略している。加飾空間13Aの左端部には、左サイドフレーム15Lが配置されている。加飾空間13Aの右端部には、右サイドフレーム15Rが配置されている。ベース部12Bと上カバー12Uとの間には、主走査方向Yに延びる支持壁14が設けられている。支持壁14は、左サイドフレーム15Lと右サイドフレーム15Rとに連結されている。支持壁14は、後述の第1移動装置を設置するために、高さ方向に幅のある板状である。支持壁14には、テーブル20を上方から撮像することができる撮像装置76が備えられている。撮像装置76は、テーブル20の平面視を撮像することができる。撮像装置76は、例えばCCDカメラである。撮像装置76は、電気的に後述する制御装置100に接続されて、その駆動が制御される。
図1に示すように、ガイドレール16は、支持壁14に設けられている。ガイドレール16は、後述するテーブル20の上方に配置されている。ガイドレール16は、テーブル20と平行に配置されている。ガイドレール16は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール16には、ディスペンサユニット30のキャリッジ31と、印刷ヘッドユニット40のキャリッジ41とが係合している。
図2に示すように、ベルト17は、支持壁14の壁面に平行して配置されている。ベルト17は、主走査方向Yに延びている。ベルト17は、無端状のベルトである。ベルト17の右端および左端にはそれぞれ、プーリ(図示せず)が設置されている。ベルト17は、これら一対のプーリの周囲に巻き掛けられている。ベルト17には、ディスペンサユニット30のキャリッジ31が固定されている。そして一方のプーリには、当該プーリを回転駆動するキャリッジモータ18(図8参照)に接続されている。キャリッジモータ18は、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。キャリッジモータ18が駆動すると上記プーリが回転し、ベルト17が主走査方向Yに走行する。後述するが、ガイドレール16、ベルト17、プーリおよびキャリッジモータ18は、ディスペンサユニット30および印刷ヘッドユニット40を主走査方向Yに移動させる第一移動装置の一例である。
図3に示すように、エンボス加飾プリンタ10は、テーブル20を備えている。テーブル20は、ガイドレール16より下方に配置されている。テーブル20は、ディスペンサユニット30および印刷ヘッドユニット40より下方に配置されている。テーブル20は、ベース部12Bより上方に配置されている。図4に示すようにテーブル20上には、被加工物5が配置される。テーブル20は、載置台の一例である。テーブル20に配置された被加工物5には、ディスペンサユニット30によって発泡性インクが供給される。テーブル20は、後述するテーブル移動装置50によって副走査方向Xおよび上下方向Zに移動可能に設けられている。
図2に示すように、本実施形態のテーブル20は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも短い矩形である。テーブル20は、内部に空間を有している。テーブル20の上面には、複数の吸引孔22が形成されている。吸引孔22は、空間と連通している。複数の吸引孔22は、例えば主走査方向Yおよび副走査方向Xに配列されている。テーブル20の下面には、排気孔24が形成されている。排気孔24は、テーブル20内部の空間と連通している。排気孔24は、テーブル20の主走査方向Yの中心20Xより左方に位置する。排気孔24の直径は、吸引孔22の直径より大きい。排気孔24は、減圧室26を介して排出口28に接続されている。減圧室26は、図示しない減圧ポンプを備えている。減圧ポンプは、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。減圧ポンプが駆動することで、減圧室26は、テーブル20の空間内の空気を排気孔24から吸引する。減圧室26に吸引された空気は排出口28から外部に排出される。テーブル20の空間には負圧が発生する。これにより、テーブル20の上面に被加工物5を配置したとき、被加工物5は吸引孔22に吸いつけられて、テーブル20上の位置が固定される。
図3に示すように、エンボス加飾プリンタ10は、テーブル移動装置50を備えている。テーブル移動装置50は、テーブル20の下方に配置されている。テーブル移動装置50は、第二移動装置52と、第三移動装置62とを備えている。第二移動装置52は、テーブル20の下方に配置され、テーブル20を支持している。第二移動装置52は、テーブル20を上下方向に移動させる。第三移動装置62は、第二移動装置52の下方に配置され、第二移動装置52を支持している。第三移動装置62は、ベース部12Bに配置されている。第三移動装置62は、テーブル20を副走査方向Xに移動させる。第二移動装置52は、第三移動装置62の上に設けられている。
図3および図4に示すように、第二移動装置52は、昇降部53と、無端状の駆動ベルト54と、上下方向に延びる複数のボールねじ55とを備えている。昇降部53は、下面が開口された箱状である。昇降部53上には、テーブル20が固定されている。昇降部53は、正面視で、主走査方向Yに延びる板状の本体部53Aと、本体部53Aの左端から下方に延びる左脚部53Bと、本体部53Aの右端から下方に延びる右脚部53Cと、を備えるコの字状である。昇降部53の左下端と右下端とには、昇降部53よりも左方と右方とにそれぞれ延出するフランジ(図3参照)が設けられている。昇降部53は、後述する支持台64の開口64X内を上下方向に出没可能に移動する。複数のボールねじ55は、支持台64の内部に立設されている。ボールねじ55は、上下方向に延びる軸部55Aと、軸部55Aの上端に固定されたプーリー(図示せず)と、軸部55Aに螺合され、上下方向に移動可能なねじ部55Bと、を有している。駆動ベルト54は、複数のボールねじ55のプーリーに巻き掛けられている。また、駆動ベルト54は、図示しない第二モータの回転軸にも巻き掛けられている。第二モータは、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。ボルトねじ部55Bは、昇降部53のフランジに固定されている。フランジには、ボルトねじ部55Bのネジ穴と連続するネジ穴が形成されている。ボールねじ55の軸部55Aは、支持台64に固定されている。第二モータが駆動することで、駆動ベルト54は複数のボールねじ55の周りを回転走行するとともに、軸部55Aを回転させる。軸部55Aが回転することによって、ねじ部55Bが軸部55A上を上下方向に移動する。このとき、第二モータが駆動して駆動ベルト54が一の方向に移動すると、ボールねじ55のねじ部55Bが回転し、昇降部53は上方に移動する。一方で、第二モータが駆動して駆動ベルト54が一の方向と逆方向に移動すると、ボールねじ55のねじ部55Bが逆回転し、昇降部53は下方に移動する。このように、第二モータを駆動することによって、昇降部53は支持台64に対して上下方向に移動する。その結果、テーブル20も上下方向に移動する。
図4に示すように、第三移動装置62は、ベース部12Bに設けられている。第三移動装置62は、ベース部12Bに形成された開口12X内に設けられている。第三移動装置62は、移動ベース63と、支持台64と、第1シャフト65と、第2シャフト66と、固定ベース67とを備えている。
図4に示すように、第1シャフト65および第2シャフト66は、副走査方向Xに延びている。第1シャフト65は、第2シャフト66の左方に配置されている。第1シャフト65と第2シャフト66とは平行に配置されている。第1シャフト65および第2シャフト66は、ベース部12Bに支持されている。
図4に示すように、移動ベース63は、第1シャフト65から第2シャフト66まで延びている。移動ベース63は、第1シャフト65および第2シャフト66に摺動自在に係合している。移動ベース63は、副走査方向Xに延びる第1筒状部63Aと第2筒状部63Bとを備えている。第1シャフト65は、第1筒状部63Aに挿入されている。第2シャフト66は、第2筒状部63Bに挿入されている。移動ベース63は、第1シャフト65および第2シャフト66に沿って副走査方向Xにスライド移動可能に構成されている。
図4に示すように、支持台64は、移動ベース63上に設けられている。複数のボールねじ55の軸部55Aは、移動ベース63に支持されている。支持台64の上には第二移動装置52が配置されている。支持台64は、主走査方向Yに延びる板状の本体部64Aと、本体部64Aの左端から下方に延びる左脚部64Bと、本体部64Aの右端から下方に延びる右脚部64Cとを備えている。図3に示すように、支持台64は、正面視において、下向きに開放されたコ字状(U字状)に形成されている。図4に示すように、本体部64Aには、上下方向に開口する矩形状の開口64Xが貫通形成されている。昇降部53は、前述のように、開口64Xから出没可能に構成されている。左脚部64Bおよび右脚部64Cは、移動ベース63に固定されている。左脚部64Bは、第1シャフト65より右方に配置されている。右脚部64Cは、第2シャフト66より左方に配置されている。支持台64には、左脚部64Bおよび右脚部64Cの下端から内側に向けて突出する板状のフランジ(図示せず)が形成されており、該フランジと本体部64Aとにボールねじ55の軸部55Aの下端が固定されている。
図4に示すように、固定ベース67は、副走査方向Xに延びている。固定ベース67は、第1シャフト65より右方かつ第2シャフト66より左方に配置されている。固定ベース67は、ベース部12Bに支持されている。固定ベース67は、移動ベース63より上方に配置されている。固定ベース67は、支持台64の本体部64Aより下方に配置されている。固定ベース67は、左脚部64Bより右方かつ右脚部64Cより左方に配置されている。固定ベース67には、前部に第1プーリ67Aが、後部に第2プーリ(図示せず)が設けられている。第1プーリ67Aおよび第2プーリには、無端状のベルト67Bが巻き掛けられている。ベルト67Bには、移動ベース63が固定されている。第1プーリ67Aは、第1プーリ67Aを駆動する第三モータ(図示せず)に接続されている。第三モータは、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。第三モータを駆動することによって、ベルト67Bが回転駆動する。これにより、支持台64および移動ベース63は、第1シャフト65および第2シャフト66に沿って副走査方向Xにスライド移動する。即ち、第三モータを駆動することによって、テーブル20は、副走査方向Xに移動する。
図5に示すように、ディスペンサユニット30は、キャリッジ31と、ディスペンサ32とを備えている。ディスペンサ32は、キャリッジ31に着脱可能に固定されている。キャリッジ31は、ガイドレール16に係合している。キャリッジ31は、ベルト17に固定されている。ベルト17が走行すると、キャリッジ31は、ガイドレール16に沿って主走査方向Yに移動する。キャリッジ31が左方Lに移動するときのプーリの回転を正回転とする。キャリッジ31が右方Rに移動するときのプーリの回転を逆回転とする。
ディスペンサ32は、テーブル20より上方に配置されている。ディスペンサ32は、非接触の流体供給装置である。本実施形態のディスペンサ32は、シリンジ33、ディスペンサバルブ34、ニードル35、エア圧送部36およびディスペンサ制御装置37を備えている。ディスペンサ32は、ニードル35の下端がテーブル20に載置される被加工物5に接触しないように、その上下方向の位置を調整可能に構成されていてもよい。ディスペンサ32は、テーブル20に向けて発泡性インクを吐出することで、テーブル20に載置された被加工物5に凸部を形成するための発泡性インクを印刷する。凸部は、例えば図6に示すように、所望の画像80に対応する形状であってよい。なお、「画像」とは、被加工物5上に形成される像のことであり、その内容は特に限定されない。画像には、文字、記号、図形、グラフ、絵柄等が含まれる。また、図6の上、下、左、右は、それぞれテーブル20の後部、前部、左部、右部の方向を表している。
シリンジ33は、発泡性インクを収容する円筒型の容器である。シリンジ33は、上端が開口されるとともに、下端がディスペンサバルブ34を介してニードル35に接続されている。ニードル35は、シリンジ33に供給された発泡性インクを排出する排出部である。ニードル35に設けられた針穴の直径は、例えば、50〜600μm程度である。ディスペンサバルブ34は、シリンジ33とニードル35との間の流路を提供するとともに、この流路を連通したり遮断したりすることができる。ディスペンサバルブ34が開状態となることで、シリンジ33とニードル35とが連通される。ディスペンサバルブ34が閉状態となることで、シリンジ33とニードル35とが遮断される。
エア圧送部36は、シリンジ33およびディスペンサバルブ34に接続されている。エア圧送部36は、シリンジ33の上端の開口を密閉する。エア圧送部36は、シリンジ33内に高圧のエアを圧送する。エア圧送部36は、例えばシリンジ33内に、例えば25℃で、0.25MPa以上、好ましくは0.3MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上程度のエアを送ることができる。エア圧送部36の送るエア圧量の上限は特に制限されず、一例として、0.75MPa以下程度をすることができる。これにより、シリンジ内に収容された発泡性インクを一定の圧力で圧送することができる。また、エア圧送部36は、ディスペンサバルブ34にエアを送する。こディスペンサバルブ34は、エア圧送部36から高圧のエアが圧送されることで、流路の開状態と閉状態とを切り替える。このことにより、ディスペンサ32は、例えば、1パルスあたり25〜250nlの流量の流体を、100〜1000Hzのレートで吐出することができるように構成されている。エア圧送部36は、ディスペンサ制御装置37によってその作動が制御される。換言すると、ディスペンサ制御装置37は、ディスペンサ32からの発泡性インクの吐出条件およびディスペンサバルブ34の作動を制御する。ディスペンサ制御装置37は、制御装置100に電気的に接続されて、その駆動が制御される。
なお、発泡性インクは、発泡性粒子を含む。発泡性インクは、典型的には、発泡性粒子が分散媒に分散されて構成されている。本実施形態における発泡性インクは、発泡性粒子と、バインダと、水とを含む。この発泡性インクは、非ニュートン流動性を示すようにその配合が調整されている。換言すれば、発泡性インクは非ニュートン流体である。
ここで、非ニュートン流体とは、ニュートン流体に当てはまらない流体の総称をいい、流れの剪断応力(接線応力)と流れの速度勾配(ずり速度、剪断速度)との関係が線形ではない粘性を有する流体を意味する。
発泡性粒子は、加熱によって体積膨張する各種の発泡性樹脂を特に制限なく用いることができる。発泡性粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂からなる樹脂カプセルと、この樹脂カプセル内に充填され加熱により膨張する発泡剤(例えば液化ガスや揮発性有機溶剤)とを含むものが好適例として挙げられる。この発泡性粒子は、例えば、短時間の加熱によって樹脂カプセルが軟化するとともに、発泡剤の体積が著しく増加して、中空球状粒子に変体する。このことにより、発泡性粒子の体積は、例えば、50〜200倍程度に膨張する。発泡性粒子のかさ密度は、例えば0.03〜0.07g/cm程度となる。発泡性粒子が発泡するための加熱温度は、樹脂カプセルを構成する樹脂の軟化点や強度、発泡剤の性状等にもよるために一概には言えないが、典型的には80℃以上、例えば80〜200℃程度の温度に設定することができる。このような発泡性粒子の粒径は特に制限されないが、平均粒子径が凡そ10〜50μm程度のものが一般に入手しやすいものとして挙げられる。なお、本明細書で言う平均粒子径は、レーザ回折散乱法によって得られる体積基準の粒度分布における累積50%粒子径(D50)である。
バインダは、発泡性粒子を被加工物5に結着させるとともに、発泡性粒子同士を結合して嵩高く堆積させるための結着材である。またバインダは、発泡性インクに適度な粘性を付与する機能をも有する。バインダは、水に溶解する水溶性バインダであってもよいし、水に分散する水分散性バインダであってもよい。水分散性バインダは、エマルションタイプのバインダを包含する。このようなバインダとしては、塩化ビニル樹脂バインダ、アクリル樹脂バインダ、ビニル・アクリル樹脂バインダ、ウレタン樹脂バインダ、フェノール樹脂バインダ、エポキシ樹脂バインダ、セルロース系バインダ、シリコーン樹脂バインダ、フッ素樹脂バインダ、不飽和ポリエステル樹脂バインダ、スチレンブタジエンゴム系バインダ、アミノ・アルキド樹脂バインダ等が挙げられる。発泡性インクのバインダとしては、例えば、被加工物5と同種の樹脂からなるバインダや、被加工物5と結合性のよい樹脂からなるバインダを好ましく採用することができる。
発泡性インクに占める発泡性粒子の割合は、例えば、5〜50質量%程度とすることができ、10〜40質量%程度が好ましく、例えば15〜35質量%程度であってよい。また、発泡性インクに占めるバインダの割合は、例えば、0.1〜10質量%程度とすることができ、0.5〜8質量%程度が適切であり、例えば1〜5質量%程度であってよい。発泡性インクは、発泡性粒子、バインダおよび分散媒のほかに、必要に応じて添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、分散剤、増粘剤、レオロジー調整剤、防カビ剤等のうちの1種または2種以上が挙げられる。これらの添加剤は、合計の添加量が発泡性インクの10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
発泡性インクの粘度はこれに限定されるものではないが、より高く突出した凸部を容易に形成できるとの観点から、例えば20℃における粘度(以下同じ。)が、1Pa・s以上が好ましく、5Pa・s以上がより好ましく、10Pa・s以上が特に好ましく、例えば50Pa・s以上であってよい。しかしながら、発泡性インクの粘度が高すぎると高精細な印刷が困難となるために好ましくない。かかる観点から、発泡性インクの粘度は400Pa・s以下程度が適切であり、300Pa・s以下程度であってよく、例えば200Pa・s以下程度や、100Pa・s以下程度等であってよい。
図1に示すように、印刷ヘッドユニット40は、ディスペンサユニット30の右方Rに配置されている。なお、印刷ヘッドユニット40は、ディスペンサユニット30の左方Lに配置されていてもよい。印刷ヘッドユニット40は、キャリッジ41と、キャリッジ41に搭載されたインクヘッド42と、を備えている。インクヘッド42は、印刷ヘッドの一例である。インクヘッド42は、テーブル20より上方に配置されている。インクヘッド42は、カラーインクを吐出するノズル43を備えている。インクヘッド42は、カラーインクを液滴状に吐出するインクジェット方式の印刷ヘッドである。ただし、印刷ヘッドユニット40の構成はこれに限定されない。カラーインクは、上記の発泡性インクとは異なり、色彩を付与するためのインクである。カラーインクは、第二インクの一例である。インクヘッド42は、テーブル20に向けてカラーインクを吐出することで、テーブル20に載置された被加工物5に、図6に示すような画像80やクロップマーク82A〜82Dを印刷する。クロップマークは、印刷の位置ズレを防ぐための見当合わせのために使用する印であり、例えば被加工物5を仕上がりサイズに裁断するための位置を示す役割をも示す。図5においてマーク82A〜82Dは「+」印であるが、マーク82A〜82Dの形状はこれに限定されない。マーク82A〜82Dは、例えば、円形や多角形などの幾何学模様や、各種意匠、任意の不定形模様等であってもよい。
ここでは、5つのインクヘッド42がキャリッジ41に搭載されている。インクヘッド42は、主走査方向Yに並んでいる。インクヘッド42は、キャリッジ41を介してガイドレール16に沿って主走査方向Yに移動可能である。インクヘッド42は、被加工物5に印刷をしていないときには、ガイドレール16の右端側に位置するホームポジションHPに待機するように構成されている。ホームポジションHPは、テーブル20よりも右方に位置する。5つのインクヘッド42は、互いに異なる5つの色のインク、例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ホワイトインクを吐出する。ただし、インクヘッド42の数は5個に限定されない。また、インクヘッド42が吐出するカラーインクの色も何ら限定されない。ただし、インクヘッド42により吐出される上記カラーインクは、ニュートン流動性を示すものである。例えば、インクジェット方式のインクヘッド42から所望のサイズおよび量のインクを適切な速度で好適に吐出できる程度のニュートン流動性を示すインクである。ニュートン流動性とは、流れのせん断応力(接線応力)と流れの速度勾配(ずり速度、せん断速度)とが比例した粘性の性質をいう。なお、一般的なインクジェット用の水系インクの粘度は、30mPa・s以下、例えば2〜20mPa・s程度に調整されている。このようなインクは、例えば、ソルベント系インク(溶剤系インク)や水性インクであってもよいし、あるいは、紫外線(UV)等のエネルギーを受けて硬化するエネルギー硬化型インク(典型的には、UV硬化性インク)等であってもよい。ソルベント系インクは、揮発性有機溶剤を含む。水性インクは、色材(着色剤)と樹脂粒子(バインダ樹脂)と溶媒としての水とを少なくとも含み、溶媒として水溶性溶剤をさらに含みうる。水性インクのうち、色材として染料を含むものが水性染料インクであり、色材として顔料を含むものが水性顔料インクである。インクヘッド42は、例えば、水性染料インクを吐出する。水性染料インクを使用することで、例えば、被加工物5が吸水性を備える布帛である場合に、被加工物5を染色することができる。例えば、オンデマンドで捺染印刷を実施することができる。
図1に示すように、エンボス加飾プリンタ10は、複数のインクカートリッジ44を備えている。複数のインクカートリッジ44には、それぞれ異なる色のインクが収容されている。インクカートリッジ44は、インクチューブ(図示せず)を介してインクヘッド42に接続している。インクカートリッジ44は、インクカートリッジ収容部45に収容されている。インクカートリッジ収容部45は、ケース12の内部かつベース部12Bの左後部に設けられている。
図7Aに示すように、印刷ヘッドユニット40のキャリッジ41の左側部分には、連結部材90が設けられている。この連結部材90は、ディスペンサユニット30のキャリッジ31に設けられた連結部材91に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、連結部材90、91は磁石によって構成されており、連結に際して磁力を利用する。ただし、連結部材90、91は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。印刷ヘッドユニット40のキャリッジ41の右側部分には、L字状に形成された受け金具92が設けられている。
ここで、図7Aに示すように、右サイドフレーム15Rには、印刷ヘッドユニット40を待機位置にロックするためのロック装置93が設けられている。ロック装置93は、受け金具92に引っ掛けられる受け金具94と、受け金具94をロック位置(図7B参照)と非ロック位置(図7A参照)との間で移動させるロック用ソレノイド95(図8参照)とを備えている。ロック用ソレノイド95は、後述する制御装置100(図8参照)によって制御される。
図7Aに示すように、印刷ヘッドユニット40による印刷を行う際には、受け金具94が非ロック位置に設定される。ディスペンサユニット30のキャリッジ31が右方に移動し、連結部材90と連結部材91とが接触すると、キャリッジ41とキャリッジ31とが連結される。その結果、印刷ヘッドユニット40は、ディスペンサユニット30と共に主走査方向Yに移動可能となる。一方、ディスペンサユニット30による印刷の際には、図7Bに示すように、印刷ヘッドユニット40が待機位置に位置付けられ、ロック装置93の受け金具94がロック位置に設定される。これにより、印刷ヘッドユニット40の移動が阻止される。キャリッジ31が左方へ移動すると、連結部材90と連結部材91とが離反し、キャリッジ31とキャリッジ41との連結が解除される。その結果、印刷ヘッドユニット40が待機位置に待機した状態で、ディスペンサユニット30が主走査方向Yに移動可能となる。
図7Aおよび図7Bに示すように、エンボス加飾プリンタ10は、センサ39を備えている。センサ39は、検出装置の一例である。センサ39は、被加工物5に設けられたマーク82A〜82D(図6参照)を検出する。センサ39は、例えばキャリッジ31に設けられている。センサ39は、ディスペンサユニット30のうちテーブル20と対向する位置に配置されている。センサ39は、キャリッジ31の左側下端に設置されている。センサ39は、図示しない本体部と、発光素子と、受光素子とを備えている。発光素子および受光素子は、本体部に設けられている。発光素子は、例えば、LED(つまり発光ダイオード)等で構成されている。発光素子は、被加工物5に設けられたマーク82A〜82Dとその周辺領域83に向けて光を照射する。受光素子は、例えばフォトダイオード等で構成されている。受光素子は、発光素子の高さ位置と同じ高さ位置に設けられている。受光素子は、マーク82A〜82Dとその周辺領域83において反射された反射光を受光する。センサ39は、マーク82A〜82Dにおいて反射された反射光の第1受光量と、周辺領域83において反射された反射光の第2受光量との差である光量差が所定の値以上の場合に、被加工物5に設けられたマーク82A〜82Dを検出するように構成されている。なお、センサ39の種類は特に限定されず、光学式センサ等の従来から用いられている各種のセンサを好適に利用することができる。
図1に示すように、右サイドカバー12Rの前部には、操作パネル19が設けられている。操作パネル19には、印刷状態等を表示する表示部と、ユーザーによって操作される入力キー等が設けられている。操作パネル19は、エンボス加飾プリンタ10の各種の動作を制御する制御装置100に接続されている。ユーザーは、操作パネル19から制御装置100に指示・命令を入力することで、エンボス加飾プリンタ10を所望のとおり動作させることができる。
図1に示すように、制御装置100は、エンボス加飾プリンタ10の内部に設けられている。制御装置100は、被加工物5への発泡性インクによる印刷や、被加工物5へのカラーインクによる印刷を制御する装置である。制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されず、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データ等の各種情報を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。また、制御装置100は、例えばFPGA(field-programmable gate array)等の書き換え可能なプログラマブルロジックデバイスによって構成されていてもよい。FPGAは、例えば、集積回路によって構成されるCPUコアや、乗算器、RAM、および関連する周辺回路等を含むことができる。
記憶装置は、印刷データを記憶する。印刷データは、出力データの一例である。印刷データは、被加工物5の表面に印刷すべき画像80に対応するデータを含む。印刷データは、例えば画像80についての色情報、位置情報、加飾情報等を含む。印刷データは、さらに、位置合わせのためのマーク82A〜82Dに対応する情報を含むことができる。この場合、画像80についての位置情報は、マーク82A〜82Dのいずれか1以上に対する相対的な位置として表されていてもよい。印刷データは、例えば、画像80のうち凸部(加飾部)を形成するために発泡性インクで印刷するべき第1部分に関する情報を含む第1印刷データと、画像80のうちカラーインクで印刷するべき第2部分に関する第2印刷データと、を含む。第1印刷データは、例えば、ビットマップ形式であってもよいし、ラスタ形式のデータであってもよい。第2印刷データは、例えばビットマップ形式のデータである。第1印刷データは、例えば第2印刷データを基にして、加飾部に対応する情報を抽出したり、変換したりして作製されてもよい。第1印刷データと第2印刷データとは、共通して、マーク82A〜82Dに対応する情報を含む。これらのデータは、例えば、全部または一部が外部のコンピュータ70から送信されたものであってよいし、または外部のコンピュータ70から受信したものであってよい。あるいは、これらのデータは、全部または一部が外部のコンピュータ70から受け取ったデータに基づいて制御装置100が加工および/または変換して用意したものであってよい。
図8に示すように、制御装置100は、インターフェースを介して、外部のコンピュータ70に有線または無線による通信が可能に接続されている。コンピュータ70には、印刷およびカッティングのための印刷データが保存されている。制御装置100は、コンピュータ70から印刷データを受けとり、この印刷データに基いて、キャリッジモータ18、第二モータ、第三モータ、ディスペンサ制御装置37、インクヘッド42、およびロック用ソレノイド95を制御する。コンピュータ70には、液晶ディスプレイ等からなる表示装置72と、キーボードやマウス、タッチパネル等からなる入力装置74と、が接続されている。表示装置72は、例えば、撮像装置76によって撮像したテーブル20の平面視像を表示することができる。入力装置74は、例えば、操作パネル19に代わって、制御装置100に指示・命令を入力することができる。
図9に示すように、制御装置100は、第一印刷制御部101と、第二印刷制御部102と、マーク検出部103と、を備えている。上述した制御装置100の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えば記憶装置に記憶することができる。プログラムは、CDやDVDなどの記録媒体から読み込むことができ、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置100の各部は、プロセッサおよび/または回路などによって物理的に実現されていてもよい。
第一印刷制御部101は、ディスペンサユニット30の挙動制御を実行する。第一印刷制御部101は、ディスペンサユニット30に、被加工物5の表面に凸部を形成するための発泡性インクの印刷を実行させる。本実施形態では、第一印刷制御部101は、第1印刷データに基いて、キャリッジモータ18を駆動することによりキャリッジ31を介してディスペンサ32を主走査方向Yの左方Lに移動させつつ、ディスペンサ制御装置37を駆動させることにより所定の位置においてディスペンサ32のノズル穴から発泡性インクを吐出させる。これにより、一走査ラインの印刷が行われる。ディスペンサ32の主走査方向Yの移動が完了すると、第三モータを駆動することにより、次の走査ラインの位置まで被加工物5を副走査方向Xの前方Fに移動する。被加工物5の副走査方向Xの移動が済むと、再びキャリッジモータ18を駆動すると共にディスペンサ32を駆動し、第1印刷データに基いて、次の走査ラインの印刷を行う。このとき、発泡性インクの吐出は、ディスペンサ32を主走査方向Yの右方Rに移動させつつ行ってもよいし(双方向印刷)、ディスペンサ32を主走査方向Yの右方Rに移動させた後に再び左方Lに移動させる際に行ってもよい(片方向印刷)。以下、印刷の終了まで同様の動作を繰り返す。またあるいは、第一印刷制御部101は、第1印刷データに基いて、キャリッジモータ18および第三モータの両方を駆動することにより、ディスペンサ32を主走査方向Yと副走査方向XとによるXY平面を所定の軌跡(印刷ライン)に沿って二次元的に相対移動させつつ、ディスペンサ制御装置37を駆動させることにより所定の位置においてディスペンサ32のノズル穴から発泡性インクを吐出させてもよい。このようにして、エンボス加飾プリンタ10は、発泡性インクを用いた印刷を実行することができる。なお、第一印刷制御部101は、形成したい凸部の高さ等の情報を基に、発泡性インクの供給位置のみならず、供給量をも適切に制御することができる。発泡性インクの供給量は、例えば、エア圧力、ディスペンサ32の走査速度、ディスペンサ32からのインク吐出量等を制御することで調整することができる。
第二印刷制御部102は、印刷ヘッドユニット40の挙動制御を実行する。第二印刷制御部102は、印刷ヘッドユニット40に、被加工物5の表面に所望の画像を印刷するためのカラーインクによる印刷を実行させる。本実施形態では、第二印刷制御部102は、まずキャリッジモータ18を駆動することにより、キャリッジ31とキャリッジ41を連結させ、ロック装置93を解除する。次いで、第二印刷制御部102は、第2印刷データに基いて、インクヘッド42を主走査方向Yの左方Lに移動させつつ、インクヘッド42を制御することで各ノズル43からカラーインクを吐出させる。これにより、一走査ラインの印刷が行われる。インクヘッド42の主走査方向Yの左方Lへの移動が完了すると、第三モータを駆動することにより、次の走査ラインの位置まで被加工物5を副走査方向Xの前方Fに移動する。被加工物5の副走査方向Xの前方Fへの移動が済むと、再びキャリッジモータ18を駆動すると共にインクヘッド42を駆動し、第2印刷データに基いて、次の走査ラインの印刷を行う。このとき、カラーインクの吐出は、インクヘッド42を主走査方向Yの右方Rに移動させつつ行ってもよいし(双方向印刷)、インクヘッド42を主走査方向Yの右方Rに移動させた後に再び左方Lに移動させる際に行ってもよい(片方向印刷)。以下、印刷の終了まで同様の動作を繰り返す。このようにして、エンボス加飾プリンタ10は、カラーインクを用いた印刷を実行することができる。
マーク検出部103は、被加工物5に設けられたマーク82A〜82Dを検出する。マーク検出部103は、キャリッジモータ18を駆動すると共に第三モータを駆動することにより、被加工物5に対しセンサ39を二次元的に相対移動させる。マーク検出部103は、例えば、被加工物5の外接矩形領域の四隅周辺を検出するように、センサ39の移動を制御する。マーク82A〜82Dの検出は、例えば、右下のマーク82D、左下のマーク82C、左上のマーク82B、右上のマーク82Aの順で行われる。マーク検出部103は、センサ39の発光素子から所定の発光量の光を被加工物5に照射させる。このとき、被加工物5の周辺領域83やマーク82A〜82Dにおいて反射された反射光はセンサ39の受光素子に受光される。マーク検出部103は、センサ39の受光素子において受光された第1受光量と第2受光量との差である光量差が所定の値以上であるか否かを判定する。マーク検出部103は、例えば、第1受光量に対応して検出する第1電圧値と、第2受光量に対応して検出する第2電圧値との差である電圧差が所定の値以上であるか否かを判定する。所定の値は、予め設定されており、記憶装置に記憶されている。所定の値以上の場合には、マーク82A〜82Dの位置が検出される。一方、所定の値未満の場合には、マーク82A〜82Dの位置が検出されない。マーク検出部103は、マーク82A〜82Dを検出するまで、被加工物5に対しセンサ39を二次元的に走査する。
マーク検出部103によってマーク82A〜82Dの位置が検出されると、このマーク82A〜82Dを位置基準にして、第一印刷制御部101は、第1印刷データに基いて印刷を実施する。また、このマーク82A〜82Dを位置基準にして、第二印刷制御部102は、第2印刷データに基いて印刷を実施する。ここで、第一印刷制御部101および/または第二印刷制御部102は、印刷に先立って、ディスペンサ32および/またはインクヘッド42の位置決めを行う。位置決めとは、例えば、印刷開始位置の決定や、印刷基準位置の決定であり得る。例えば、ディスペンサ32の位置決めは、4つのマーク82A〜82Dのうちの3つ以上を利用して行われる。すなわち、第一印刷制御部101は、4つのマーク82A〜82Dのうちの3つ以上の位置に基づいて、ディスペンサ32の位置決めを行う。なお、センサ39を利用してマーク682A〜82Dの位置を検出し、検出されたマーク82A〜82Dを利用してディスペンサ32の位置決めを行う方法は周知であるため、ここではその具体的な説明は省略する。第一印刷制御部101は、ディスペンサ32の位置が決定された後、発泡性インクの印刷を開始する。第二印刷制御部102についても、同様である。
次に、エンボス加飾方法と、このエンボス加飾方法におけるエンボス加飾プリンタ10の動作例について説明する。図10は、第一実施形態に係るエンボス加飾方法のフローチャートである。図10は、制御装置100によるエンボス加飾プリンタ10の各部の制御例を含む。
ステップS10において、作業者は、被加工物5をテーブル20上に載置する。被加工物5が、例えばTシャツである場合、被加工物5を構成する布帛の厚みによって被加工物5の印刷面の高さが異なり得る。また、被加工物5の素材によっては被加工物5がテーブル20上で滑りやすい可能性がある。そこで、作業者は、被加工物5をテーブル20の所定の位置に配置したのち、減圧ポンプを作動させて減圧室26によりテーブル20内の空間を負圧とする。被加工物5はテーブル20の所定の位置に吸引固定される。これにより、加飾工程においてテーブル20が副走査方向Xや高さ方向Zに移動した場合であっても、被加工物5の位置ずれを抑制することができる。また作業者は、被加工物5の上面がディスペンサユニット30の下端および印刷ヘッドユニット40の下端と適切な距離となるよう、第二モータを駆動して、テーブル20の高さ方向の位置を調整することができる。そして作業者は、例えば、外部のコンピュータ70を操作して被加工物5に対し、凸部に対応する画像80の発泡性インクによる印刷を決定する。これにより、コンピュータ70から制御装置100に第1印刷データを含む印刷データが送信される。送信された各データは、記憶装置に記憶される。
ステップS20において、制御装置100は、第一印刷制御部101に発泡性インクを用いた印刷を実行させる。第一印刷制御部101は、記憶装置に記憶された第1印刷データを参照し、ディスペンサユニット30を使用して、被加工物5の表面の凸部を形成すべき位置に、発泡性インクを供給する。このとき、発泡性インクは非ニュートン流体であることから、たとえ被加工物5が布帛のように吸水性の高い多孔材料であっても、発泡性インクは被加工物5に浸透することなく表面にとどまる。また、発泡性インクは発泡性粒子の他にバインダを含み、適度な粘性を有することから、発泡性粒子を被加工物5の表面に嵩高く供給することが可能となる。発泡性インクに含まれる分散媒が揮発すると、発泡性粒子がバインダによって被加工物5に結着されるとともに、発泡性粒子同士がバインダによって互いに結合される。これにより、図11(a)に示されるように、被加工物5の表面に、発泡性インクによる印刷膜が形成される。
ステップS30において、作業者は、発泡性インクが印刷された被加工物5を加熱する。作業者は、例えば、テーブル20上に載置された印刷後の被加工物5を加熱装置に収容し、使用した発泡性インクに対応する発泡温度に被加工物5を加熱する。例えば、被加工物5を80℃にて15分間程度加熱する。これにより、図11(b)に示されるように、印刷膜に含まれる発泡性粒子が体積膨張(発泡)し、印刷膜が凸部へと変化する。また、発泡性インクはバインダを含むことから、発泡性粒子は発泡時および発泡後も、堆積された粒子が崩れたりすることなく互いの位置関係は概ね維持される。凸部の高さは、単位面積あたりに供給する発泡性粒子の量、換言すればインク塗布量によって調整することができる。このことにより、被加工物5の表面の所望の位置に、所望の高さを備える凸部を形成することができる。
以上のように、ここに開示される技術によると、発泡微粒子を含み、かつ、非ニュートン流動性を示すインクを使用して、パソコンで作成した出力データを基に被加工物に印刷することができる。この技術によると、凹凸製版および簡易製版等を用意する必要なく、オンデマンドで(必要なときに必要な数だけ)、被加工物にエンボス加工を施すことができる。その結果、例えば、余分な在庫を抱えることなく、また、コスト割れすることなく、少数の被加工物5にエンボス加飾することが可能となる。
本実施形態のエンボス加飾プリンタ10のディスペンサ32は、インクを吐出する吐出口を備え、吐出口の口径は、50μm以上600μm以下である。一般に、ディスペンサ32から吐出する流体は、口径の1/10以下程度の粒子径のものであると、流動性よく吐出管理できるために好ましい。したがって、エンボス加飾プリンタ10は、例えば、60μm以下という大粒径の発泡性粒子を含む発泡性インクであっても、好適に吐出することができる。
本実施形態のエンボス加飾プリンタ10において、ディスペンサ32が収容するインクは、発泡性粒子と、バインダと、分散媒としての水と、を含む。そして、例えば、エネルギー硬化を目的としたエネルギー硬化性樹脂は含まない。例えば、紫外線硬化性樹脂は含まない。そのため、インクは、添加剤として、異臭等の人体に悪影響を及ぼし得る重合開始剤等の添加剤を含まない。また、インクは、人体に健康被害をもたらし得る揮発性有機溶剤を含まない。ここに開示されるエンボス加飾プリンタ10は、このようなインクを印刷可能に構成されていることから、例えば、Tシャツなどの衣類を被加工物5とした場合であっても、健康面で安全に、かつ、排気装置等の特殊な装置を必要とせずにエンボス加工を施すことができて好ましい。
なお、上記第一実施形態で、作業者は、被加工物5の上面がディスペンサユニット30の下端および印刷ヘッドユニット40の下端と適切な距離となるよう、第二モータを駆動して、テーブル20の高さ方向の位置を調整していた。しかしながら、テーブル20の高さ方向の位置を調整は、制御装置100が自動的に実施するように構成されていてもよい。すなわち、センサ39は、発光素子が被加工物5に対して照射したレーザ光の反射光を、受光素子で受光する。そしてこのとき、制御装置100は、発光素子がレーザ光を出射してから、受光素子が反射光を受光するまでので時間に基づいて、ディスペンサユニット30の下端と被加工物5の表面との距離を測定できるように構成されていてもよい。そして制御装置100は、測定されたディスペンサユニット30の下端と被加工物5の表面との距離が加飾に適した距離となるように、第二モータを作動して、テーブル20の高さ位置を調整してもよい。これにより、様々な素材からなる被加工物5に対して、簡便かつ高精度な加飾を施すことができる。
<第二実施形態>
次に、他のエンボス加飾方法と、このエンボス加飾方法におけるエンボス加飾プリンタ10の他の動作例について説明する。図12は、第二実施形態に係るエンボス加飾方法の他のフローチャートである。図12は、制御装置100によるエンボス加飾プリンタ10の各部の他の制御例を含む。なお、上記第一実施形態では、エンボス加工に際し、ディスペンサユニット30のみを用いて印刷した。そのため、エンボス加飾プリンタ10は、印刷ヘッドユニット40、ロック装置93、ディスペンサユニット30の連結部材91、第二印刷制御部102等を付加的に備えていたものの、これらは必須の構成ではなく、これらを備えていない構成であってもよかった。そこで、第二実施形態では、ディスペンサユニット30に加えて、印刷ヘッドユニット40を使用して印刷を行う方法について説明する。
作業者は、上記第一実施形態と同様に、ステップS10およびステップS20を実行する。すなわち、作業者は、ステップS10において、被加工物5をテーブル20上に載置する。また、作業者は、例えば、外部のコンピュータ70を操作して被加工物5に対し、発泡性インクによる印刷と、カラーインクによる印刷とを決定する。これにより、コンピュータ70から制御装置100に、第1印刷データと第2印刷データとを含む印刷データが送信される。送信された各データは、記憶装置に記憶される。そして、エンボス加飾プリンタ10は、ステップS20において、第1印刷データに基づいて、ディスペンサユニット30を制御して発泡性インクを使用した印刷を行う。ここで、第1印刷データは、凸部に対応する情報と、マーク82A〜82Dに対応する情報を含む。ディスペンサユニット30は、被加工物5に、凸部に対応する画像80と、マーク82A〜82Dとを印刷する。これにより、被加工物5の表面に、凸部画像80と、マーク82A〜82Dとに対応する形状の、発泡性インクによる印刷膜が形成される(図13(a)参照)。
ステップS30において、マーク検出部103は、被加工物5の画像の印刷領域の四隅周辺を検出するように、センサ39の移動を制御する。このとき、センサ39の発光素子からは所定の発光量の光が照射され、受光素子はマーク82A〜82Dおよび周辺領域83において反射された反射光を受光する。マーク検出部103は、センサ39の受光素子において受光された第1受光量と第2受光量との差である光量差が所定の値以上であるか否かを判定する。光量差が所定の値未満である場合には、センサ39を被加工物5に対してさらに二次元的に走査させる。マーク検出部103は、第1受光量と第2受光量との差である光量差が所定の値以上である場合に、マーク検出部103を印刷基準位置として、ステップS40に進む。
ステップS40において、制御装置100は、第二印刷制御部102にカラーインクを用いた印刷を実行させる。第二印刷制御部102は、キャリッジ31とキャリッジ41を連結させ、ロック装置93を解除する。これにより、印刷ヘッドユニット40を用いた印刷を実行する。具体的には、第二印刷制御部102は、記憶装置に記憶された第2印刷データを参照し、印刷ヘッドユニット40を使用して、被加工物5の表面の画像を印刷すべき位置に、カラーインクを供給する。このとき、カラーインクはニュートン流体であることから、例えば被加工物5が布帛のように吸水性の高い多孔材料であると、水性カラーインクは被加工物5に浸透する。水性カラーインクが色材として顔料を含む場合、水性カラーインクは顔料とバインダとを被加工物5の表面に付着させて、画像を記録する。水性カラーインクが色材として染料を含む場合、水性カラーインクは被加工物5に浸透して、被加工物5を染色する。また、カラーインクが発泡性インクによる印刷膜の上に供給された場合、印刷膜の表面はカラーインクによって着色される。これにより、図13(a)に示されるように、被加工物5の表面に、着色された発泡性インクの印刷膜が形成される。
ステップS50において、作業者は、発泡性インクおよびカラーインクが印刷された被加工物5を加熱する。作業者は、例えば、テーブル20上に載置された印刷後の被加工物5を加熱装置に収容し、第一実施形態と同様に、使用した発泡性インクに対応する発泡温度に被加工物5を加熱する。これにより、図13(b)に示されるように、発泡性粒子が発泡して、着色された凸部が形成される。このことにより、被加工物5の表面の所望の位置に、所望の高さおよび色彩を備える凸部を形成することができる。
以上のように、本実施形態のエンボス加飾プリンタ10は、ニュートン流動性を示す第二インクを吐出可能な吐出ヘッド(印刷ヘッドユニット40)をさらに備えている。制御装置100は、第二印刷データに基いて移動装置によって吐出ヘッドを載置台に対して相対的に移動させるとともに、前記出力データに基づく所定の位置において前記吐出ヘッドから前記第二インクを吐出するように構成されている。これにより、エンボス加飾プリンタ10は、印刷ヘッドユニット40を移動させる移動装置を新たに備える必要なく、一台の装置で、ディスペンサユニット30と印刷ヘッドユニット40とによる印刷を実施することができる。これにより、少ない設置面積で、カラー印刷とエンボス加工とを実施できるエンボス加飾プリンタ10が実現される。
また、ここに開示される技術において、出力データは、被加工物5を加工するための位置基準となるクロップマークに関する情報を含む。そしてエンボス加飾プリンタ10は、クロップマークを検出する検出装置をさらに備えている。そして、制御装置100は、載置台に載置された被加工物5に備えられたクロップマークを検出装置によって検出するとともに、クロップマークを位置基準として、ディスペンサ32および吐出ヘッドの少なくとも一方を前記載置台に対して相対的に移動させるように構成されている。これにより、エンボス加飾プリンタ10は、ディスペンサユニット30と印刷ヘッドユニット40とによる印刷を、印刷ズレを生じることなく実施することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
例えば、上記第二実施形態で、作業者は、ステップS10にてテーブル20上に被加工物5を載置したのち、ステップS20にて発泡性インクによる印刷を実行していた。ここで、被加工物5の所望の位置に、発泡性インクによる印刷を適切に実行するために、被加工物5は予めクロップマーク82A〜82Dを備えていてもよい。そして、ステップS10の後、ステップS20の前に、ステップS15として、クロップマーク82A〜82Dを検出する工程を実施してもよい。ステップS15は、上記ステップS30と同様であるために、重ねての説明は省略する。これにより、エンボス加飾プリンタ10は、検出したクロップマーク82A〜82Dを位置基準として、ステップS20による発泡性インクを用いた印刷を実施することができる。
また、上述のステップS15においては、マーク検出部103が、マーク82A〜82Dを検出できない事態が起こり得る。例えば、クロップマーク82A〜82Dを備えた被加工物5が、エンボス加飾プリンタ10の印刷可能領域に適切に載置されていない場合が生じ得る。例えば、クロップマーク82A〜82Dが、センサ39の走査可能領域よりも大きく外れた位置に配置されることがあり得る。このような場合、エンボス加飾プリンタ10は、被加工物5に対して適切な印刷を行うことができない。
そこで、エンボス加飾プリンタ10は、被加工物5がテーブル20上の適切な位置に配置されていないことを、作業者に知らせるよう作動することができる。例えば、エンボス加飾プリンタ10は、表示装置72に被加工物5の際置状態が適切でないことを示す載置エラー警告を表示してもよい。すなわち、エンボス加飾プリンタ10の載置台には、ディスペンサおよび吐出ヘッドの少なくとも一方による印刷可能領域Pyが設定されている。また、エンボス加飾プリンタ10には、載置台の平面視を表示可能な表示装置72をさらに備えている。そして制御装置100は、載置台に載置された被加工物5に備えられたクロップマーク82A〜82Dを、検出装置によって検出することにより、クロップマーク82A〜82Dを位置基準とした出力データの出力位置が、印刷可能領域Pyに納まるか否かを判断するように構成されている。制御装置100は、判断結果を表示装置72に表示してもよい。これにより、作業者に、被加工物5をテーブル20上のより適切な位置に載置し直すよう指示することができる。また、制御装置100は、表示装置72に、撮像装置76によって撮像された載置台に対する被加工物5の配置状態と、印刷可能領域Pyとを表示することで、作業者が被加工物5の配置をどのように修正して良いかを視認できるようにしてもよい。このことは、被加工物5が、反物としての布帛でなく、Tシャツなどの製品あるいは製品に近い形態加工品である場合に特に有用となる。これにより、被加工物5のより適切な位置への印刷が可能なエンボス加飾プリンタ10が提供される。
また、上述した各実施形態では、印刷後の被加工物5の加熱は、加熱装置に入れて、作業者が加熱温度と加熱時間とを設定するようにしていた。しかしながら、ここに開示される技術において、加熱装置(図示せず)は制御装置100に有線または無線で接続されており、制御装置100が加熱装置による加熱温度と加熱時間とを設定するように構成されていてもよい。制御装置100は、ディスペンサ32に収容される発泡性インクの性状を記憶するとともに、第一印刷制御部101によるディスペンサユニット30からの発泡性インクの供給量等を把握している。したがって、例えば、単位体積当たりの発泡性インクの供給量とを勘案して最適な加熱温度と加熱時間とを含む加熱条件を設定し、当該加熱条件で加熱を実施するように加熱装置を制御することができる。
上述した第一実施形態では、エンボス加飾プリンタ10は、印刷ヘッドユニット40を備えていたが、これに限定されない。エンボス加飾プリンタ10は、ディスペンサユニット30のみを備えており、印刷ヘッドユニット40を備えていなくてもよい。この場合、エンボス加飾プリンタ10のセンサ39は、被加工物5に予め設けられたマーク82A〜82Dを検出するとよい。
上述した各実施形態では、マーク82A〜82Dは、予め被加工物5に設けられているか、ディスペンサユニット30により印刷されていた。しかしながら、マーク82A〜82Dの形成はこれに限定されない。マーク82A〜82Dは、エンボス加飾プリンタ10の印刷ヘッドユニット40によって印刷することによって形成してもよい。あるいは、マーク82A〜82Dは、被加工物5への直接印刷によって形成するのではなく、例えば、シール等を被加工物5に張り付けることによって設けてもよい。
10 エンボス加飾プリンタ
20 プラテン(載置台)
30 ディスペンサユニット
40 印刷ヘッドユニット
80 画像
100 制御装置
101 第一印刷制御部
102 第二印刷制御部

Claims (7)

  1. 被加工物が載置される載置台と、
    発泡性粒子を含有し非ニュートン流動性を示すインクを収容するディスペンサと、
    前記ディスペンサを前記載置台に対して相対的に移動させる移動装置と、
    前記ディスペンサおよび前記移動装置の駆動を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、出力データに基いて前記移動装置によって前記ディスペンサを前記載置台に対して相対的に移動させるとともに、前記出力データに基づく所定の位置において前記ディスペンサから前記インクを前記被加工物に吐出するように構成されている、エンボス加飾プリンタ。
  2. 前記ディスペンサは、前記インクを吐出する吐出口を備え、
    前記吐出口の口径は、50μm以上600μm以下である、請求項1に記載のエンボス加飾プリンタ。
  3. 前記ディスペンサが収容する前記インクは、
    前記発泡性粒子と、
    バインダと、
    分散媒としての水と、を含む、請求項1または2に記載のエンボス加飾プリンタ。
  4. ニュートン流動性を示す第二インクを吐出可能な吐出ヘッドをさらに備え、
    前記制御装置は、前記出力データに基いて前記移動装置によって前記吐出ヘッドを前記載置台に対して相対的に移動させるとともに、前記出力データに基づく所定の位置において前記吐出ヘッドから前記第二インクを吐出するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンボス加飾プリンタ。
  5. 前記出力データは、前記被加工物を加工するための位置基準となるクロップマークに関する情報を含み、
    前記クロップマークを検出する検出装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記載置台に載置された前記被加工物に備えられた前記クロップマークを前記検出装置によって検出するとともに、前記クロップマークを位置基準として、前記ディスペンサおよび前記吐出ヘッドの少なくとも一方を前記載置台に対して相対的に移動させるように構成されている、請求項3に記載のエンボス加飾プリンタ。
  6. 前記載置台には、前記ディスペンサおよび前記吐出ヘッドの少なくとも一方による印刷可能領域が設定されており、
    前記載置台の平面視を表示可能な表示装置をさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記載置台に載置された前記被加工物に備えられた前記クロップマークを前記検出装置によって検出することにより、前記表示装置に、前記載置台に対する前記被加工物の配置を表示するとともに、
    前記クロップマークを位置基準とした前記出力データの出力位置が、前記印刷可能領域に納まるか否かを判断するように構成されている、請求項5に記載のエンボス加飾プリンタ。
  7. 載置台と、発泡性粒子を含有し非ニュートン流動性を示すインクを収容するディスペンサと、前記ディスペンサを前記載置台に対して相対的に移動させる移動装置と、前記ディスペンサおよび前記移動装置の駆動を制御する制御装置と、を備えるエンボス加飾プリンタを用いるエンボス加飾方法であって、
    前記載置台に被加工物を載置すること、
    出力データに基いて前記移動装置によって前記ディスペンサを前記載置台に対して相対的に移動させるとともに、前記出力データに基づく所定の位置において前記ディスペンサから前記被加工物に対して前記インクを吐出すること、
    前記インクが吐出された前記被加工物を加熱して前記発泡性粒子を発泡させること、
    を含む、エンボス加飾方法。
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