JP2020000716A5 - - Google Patents
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Description
生理用ナプキン10は、表面シート11、裏面シート12及びサイドシート14から形成された、吸収体20の第1及び第2端縁20a,20bの縦方向Yの外側において横方向Xへ延びる両端部16と、吸収体20の第1及び第2側縁20c,20dの横方向Xの外側において縦方向Yへ延びる両側縁部17とを有する。生理用ナプキン10の縦方向Yの中央部分には、横方向Xの外側へ凸となる、両側縁部17の一部によって形成されたウイング部18が位置する。また、互いに積層されたシート11,12,14は、生理用ナプキン10の外周縁に沿って位置する外周シール部19を介して互いに接合されている。
また、コアカバーシート22は、例えば、レーヨン繊維等の再生セルロース繊維、半合成セルロース繊維等の親水性繊維から構成された第1層(上層又は下層)と、脱リグニン処理がなされていない未漂白パルプ繊維42からなる第2層(下層又は上層)とからなる複層構造を有していてもよい。かかる場合には、後記のとおり、第2層が低リグニン域51と高リグニン域52とからなる海島構造を有する場合であっても、第1層において体液を十分に拡散することができるので、コアカバーシート22全体における体液の拡散のムラを抑制することができる。それによって、複数回に渡って体液を吸収した後であっても、表面シート11との接合性の低下を抑制することができるとともに、好適な吸液性を維持することができる。
高リグニン域52は、コアカバーシート22における周辺域である低リグニン域51よりもリグニン成分の含有量が高い領域を意味することから、漂白パルプ繊維41と未漂白パルプ繊維42とを混在したシートを用いなくても形成することができる。例えば、レーヨン繊維や合成繊維からなる繊維不織布シートにリグニン成分の含有液を散点的に滲入させることによって、周辺域よりもリグニン成分の含有量の高い高リグニン域52を形成することができる。
また、親水性の低リグニン域51では、経血を吸収して漂白パルプ繊維が膨潤することによって、表面シート11とコアカバーシート22とのホットメルト接着剤を介した接合界面において接合部分が剥離して接合強度が低下するおそれがある。一方、高リグニン域52は、低リグニン域51よりも親水性が低く、疎水性であることから、経血を吸収して膨潤し難く、接合部分が剥離することはなく、コアカバーシート22と表面シート11との接合界面における接合強度が、低リグニン域51に比べて高くなる。
したがって、コアカバーシート22全体が低リグニン域51から形成される場合に比べて、コアカバーシート22と表面シート11との接合強度が高くなって、着用中における表面シート11の吸収体20からの剥離や浮き上がりを抑制することができる。また、両シート11,22の接合強度を上げるために接着剤量を増やす場合には、シート剛性が高くなって柔軟性及び透液性が低下するおそれがあるが、かかる不利益を生じることがない。
加えて、吸液性コア21は、主としてSAP粒子と漂白処理したフラッフパルプを含み、オプションとしてセルロース系繊維を有することがあるが、未漂白パルプ繊維42を含むものではなく、コアカバーシート22に比してリグニン含有量が低くなっている。そのために、表面シート11を透過してコアカバーシート22に吸収、拡散された経血は、コアカバーシート22に比べて親水度合いの高い吸液性コア21に引き込まれるように速やかに移行されやすくなる。
再び、図3を参照すると、吸収体20の横方向Xの中央部分には、コアカバーシート22の両側縁部22a,22bが互いに積層されてなる重畳部分23が位置している。重畳部分23はコアカバーシート22が折り重ねられている部分であるから、吸収体20の他の部分に比べて未漂白パルプ繊維による薄茶色がより濃く視認され、外観視において縦方向Yへ延びるラインとして意匠的なアクセントとなりうる。また、かかる縦方向Yへ延びるラインを吸収体20の中央部分を示す目印として捉えて、生理用ナプキン10を下着等に貼付するときの位置決めに利用することもできる。さらに、吸液性コア21が多量の経血を吸収してその両端縁から経血が滲出する場合であっても、その両端縁の縦方向Yの外側に疎水性の高リグニン域52を比較的に多く含んだ重畳部分23が位置することによって、経血が吸収体20の両側縁部20a,20bから外側へ滲出するのを効果的に抑制することができる。
さらに、表面シート11が、複層構造を有し、肌対向面側に位置する層(上層)を主としてコットン繊維、非肌対向面側に位置する層(下層)を主として疎水性の合成樹脂繊維からそれぞれ形成することもできる。かかる場合には、表面シート11が肌側に吸水性のコットン繊維を含むにも拘わらず、表面シート11のクレム吸水度がコアカバーシート22のクレム吸水度よりも低くなる。表面シート11のクレム吸水度がコアカバーシート22のクレム吸水度よりも低くなることによって、生理用ナプキン10の表面において体液を拡散させずに、それよりも吸収体20に近いコアカバーシート22において体液を拡散させることができるとともに、吸収体20に吸収された体液が表面側へ液戻りすること(リウエットバック)を抑制することができる。
図8(b)は、第2実施形態に係る生理用ナプキン10の変形例における、図8(a)と同様の断面図である。
図8(b)を参照すると、本変形例に係る凹状部60は、吸液層13を厚さ方向Zへ貫通する開口から形成される。凹状部60の底面には、不透液性の裏面シート12が位置することから、貫通開口に溜まった体液は外部に漏れ出ることはなく、開口の周面壁から吸収体20に吸収、保持される。
<第3実施形態>
図9は、本発明に係る吸収性物品の使用例の一例を示すものであって、本使用例においては、吸収体20は、使い捨ておむつ(吸収性物品)80に使用されている。使い捨ておむつ80は、前後ウエストパネル84,85の両側縁部を接合するサイドシームを剥離して、横方向及び縦方向へ伸展した状態を示されている。
図9は、本発明に係る吸収性物品の使用例の一例を示すものであって、本使用例においては、吸収体20は、使い捨ておむつ(吸収性物品)80に使用されている。使い捨ておむつ80は、前後ウエストパネル84,85の両側縁部を接合するサイドシームを剥離して、横方向及び縦方向へ伸展した状態を示されている。
使い捨ておむつ80は、前ウエスト域81と、後ウエスト域82と、前後ウエスト域81,82間に位置するクロッチ域83とを有する。また、使い捨ておむつ80は、前ウエスト域81とクロッチ域83の一部を画成する前ウエストパネル84と、後ウエスト域82とクロッチ域83の一部を画成する後ウエストパネル85と、前後ウエストパネル84,85の肌対向面側において縦方向へ延びる吸液構造体86とを備え、前後ウエストパネル84,85の両側縁部どうしが互いに重ね合された状態において、縦方向へ間隔を空けて配置された複数のシーム部を介して互いに接合されることによって、ウエスト開口と一対のレッグ開口とが画成される。吸収体20は、吸液構造体86内においてクロッチ域83から前後ウエスト域81,82に延在している。
使い捨ておむつ80は、予め前後ウエスト域81,82の両側縁部が接合された、いわゆるパンツ型であって、生理用ナプキン10と同様に、吸収体20は、吸液性コア21とそれを被覆するコアカバーシート22とから構成されており、コアカバーシート22は、低リグニン域51からなる周辺域と、周辺域に散在する複数の高リグニン域52とを含む。吸収体20は、コアカバーシート22の薄茶色が使い捨ておむつ80の内面視及び/又は外面視において透視されることによって、天然材料を使用したナチュラル感な製品イメージを与えるとともに抗菌性に優れ、排尿や軟便等の体液をコアカバーシート22から吸液性コア21へ速やかに移行させることができる。なお、本発明に係る吸収性物品としては、パンツ型おむつだけではなく、開放型おむつであってもよい。
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