JP2019531435A - ガスタービン用圧縮機のロータのバランスを取る技術 - Google Patents

ガスタービン用圧縮機のロータのバランスを取る技術 Download PDF

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Abstract

少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータを低速でバランス取りする方法を説明する。アセンブリは、周方向に配置された一列の複数のブレードを有しかつ周方向クリアランスを含む。2つ以上のブレードが、それぞれアセンブリ内である角度位置を有する定置のブレードとして識別され、これらの定置のブレードを前記角度位置に保持する。定置のブレードは、アセンブリ内に複数の区分を画成する。各区分は、可動ブレードと、区分毎の周方向クリアランスとを含み、すなわち周方向クリアランスは、複数の区分に細分される。アセンブリが回転されるときに、前記区分の区分毎の周方向クリアランスが、回転方向に関して、可動ブレードに対して周方向下流側に移動するように、可動ブレードが、区分毎に周方向に調節される。各区分内の区分毎の周方向クリアランスと可動ブレードとの相対位置が、インサートの導入によって保持される。最後に、低速でバランスを取る条件において、ロータ用のアンバランスの測定が行われる。低速でバランスを取った後にインサートが除去され、クリアランスは、ブレードの根元の熱膨張を収容するように維持される。

Description

本技術は、一般にロータのバランス取りに関し、より詳細には、圧縮機段ブレードアセンブリを備えたガスタービン圧縮機ロータの低速でのバランス取りに関する。
限界速度以下で運転するロータについて、このようなロータはロータに配列変化を生じさせる速度では運転しないため、通常、ロータの取付けまたは運転前にロータのバランスを取るには、低速でバランスをとれば十分である。
特に、いくつかの圧縮機ブレード、すなわち圧縮機ブレードの列が、2つの隣接するディスクの向かい合う面の間に、またはディスクのリムに形成された周縁通路の向かい合う壁の中に周方向にクランプされて、圧縮機ブレードの列を適所に保持して圧縮機ブレードアセンブリの段を形成する、1つまたは複数の圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータについては、通常、圧縮機ブレードの熱膨張を許容するために、特に圧縮機ブレードの基部、すなわち根元および/またはプラットホームの熱膨張を許容するように、周方向の小さなクリアランスが、列内の各ブレード間に含まれている。2つの隣接するディスクの向かい合う面の間に周方向にクランプされた圧縮機ブレードを有するこのような圧縮機段ブレードアセンブリは、通常、ガスタービン圧縮機ロータ内の前方の第2段から見られる。
周方向クリアランスの結果として、圧縮機ブレード(以下、ブレードとも言う)は、段内で周方向に移動することができる。ブレードの移動の可能性を有するこのような圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータのバランスを取ることは困難である。なぜならば、ブレードの移動により、低速でバランスを取る運転毎に、アンバランスな変動が生じるからである。圧縮機段ブレードアセンブリ内のブレードの移動のために、低速でのバランス取りでは、運転速度に対してロータのバランスを正確に取ることはできない。なぜならば、低速でバランスを取る間、圧縮機段ブレードアセンブリは、例えば800rpmの速度で回転されるからである。これは、例えば8000rpm〜14000rpm以上であり得る運転速度よりも大幅に低い。運転速度に起因して生じるブレードの移動による、実際の運転時の位置と比較して、低速でバランスを取る場合には、ブレードは、圧縮機段ブレードアセンブリ内で異なる位置に留まる。「低速」という用語は、ここではエンジンの最高回転速度の最大20%、好適には最高回転速度の最大10%、より好適には最大約5%とみなすことができる。「低速」という用語は、好適には最高回転速度の少なくとも1%でバランスがとられた場合に、ブレードアセンブリが回転していることを意味するように意図されている。
つまり、アセンブリ内でブレードが動く可能性のある圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータのバランスを運転速度に対して取るためには、従来知られている低速でバランスを取る方法では不十分である。本開示では、「低速」という用語は、通常低速でバランスを取る回転速度を意味すると共に、圧縮機段ブレードアセンブリの限界速度以下での回転、および/または、圧縮機段ブレードアセンブリを有するガスタービンロータアセンブリがガスタービンエンジン内に配置されておりかつガスタービンエンジンが運転されているときに、圧縮機段ブレードアセンブリが通常運転する速度よりも低い、例えば50パーセント低い速度での回転を含む。本開示では、「運転速度」という用語は、圧縮機段ブレードアセンブリを有するガスタービンロータアセンブリがガスタービンエンジン内に配置されており、かつガスタービンエンジンが限界速度以下で規定の動力を出力するように運転されるときに、圧縮機段ブレードアセンブリが通常運転する速度を意味する。一般的に言えば、運転速度は、圧縮機段ブレードアセンブリが回転されるときの速度と理解されてよく、ブレードは、圧縮機段ブレードアセンブリ内で、圧縮機段ブレードアセンブリの回転方向とは逆の方向で、周方向クリアランスによって可能な限り遠い位置に配置されている。
米国特許第3584971号明細書は、周方向溝を有するロータディスクと、ディスクによって支持され、半径方向流入型の根元部を有しているブレードの環状アレイと、を備えるタービンロータを開示している。根元部は溝に係合しており、ブレードは、グループ毎に通常は同数のブレードを有する円弧状のグループ内に配置されている。ブレードにはほぞが設けられており、等間隔の開口を有する円弧状のシュラウドセグメントが、各グループのブレードと結合するためにほぞに係合するように適合されており、これにより、各グループ内の結合されたブレードの根元部は、端部同士で隣接して配置されることになる。各グループ内のブレードの数は、通常、シュラウドセグメントの等間隔の開口と係合可能でありかつ端部同士は隣接したままのブレードの数と等しくなる。ほぞは、結合されるシュラウドセグメントに固く結合され、グループの厚さを所定の厚さに調節するために、隣接するブレード群の根元部の間に薄いライナ部材が間挿される。しかしながら、薄いライナ部材はブレードおよびロータアセンブリの恒久的な部品であり、通常のエンジン運転時に使用される。
さらに、本開示では、「アンバランス」および「バランス」という用語が従来通りに用いられており、ここで用いられるように程度を表す用語である。バランスの程度は、慣例に従って理想的にはアンバランスが全く生じない状態、または比較的小さなアンバランスが生じる状態が達成されるように選択される。
上述したブレードの移動の可能性を有する少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリ(以下、圧縮機段ブレードアセンブリまたは単にアセンブリと呼ぶ)を有するロータのバランスを取る、という問題を解決する1つの方法は、圧縮機段ブレードアセンブリが運転速度で回転している間に、圧縮機段ブレードアセンブリのバランスを取ることである。しかしながら、運転速度で回転させる場合には、このような圧縮機段ブレードアセンブリを備えたロータのバランスを取る際に克服しなければならない実行可能性およびコストの重要な問題がある。したがって、バランスを取る過程において実際に圧縮機段ブレードアセンブリを運転速度または高速で運転させること無しに、運転速度でバランスを取ることまたは高速でバランスを取ることの有益な効果を達成する必要がある。
よって、本開示の目的は、バランスを取る過程において実際に圧縮機段ブレードアセンブリを運転速度または高速で運転させること無しに、運転速度でバランスを取ることまたは高速でバランスを取ることの有益な効果を達成する技術を提供すること、または換言すると、低速でのバランス取りを実行する間に、圧縮機段ブレードアセンブリの運転速度でのバランスを達成することにある。
上記の目的は、本技術の請求項1記載の、少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータを低速でバランス取りする方法によって達成される。本技術の有利な実施形態は、各従属請求項に記載されている。
本技術では、少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータを低速でバランス取りする方法が提示される。圧縮機段ブレードアセンブリ(以下、アセンブリとも呼ばれる)は、隣接するロータディスクの2つの向かい合う面の間、または1つのディスクのリムに形成された周縁通路の2つの向かい合う面の間に周方向でクランプされ、ガスタービン圧縮機ロータの段を形成している、一列の複数の圧縮機ブレードを備える。アセンブリは、圧縮機ブレードの列内の、すなわち周方向でクランプされた圧縮機ブレード(以下、ブレードとも呼ばれる)の間の周方向クリアランスを有している。本方法では、アセンブリの2つ以上のブレードが、定置のブレードとして識別される。アセンブリ内の定置のブレードはそれぞれ、アセンブリの回転軸に対してある角度位置を有している。定置のブレードは、アセンブリが低速でのバランス取りのために回転されたときに、定置のブレードがそれぞれの角度位置から周方向に変位しないように、アセンブリ内でそれぞれの角度位置に保たれている。
低速でバランスを取るこの技術には、圧縮機段ブレードアセンブリのバランスを取る運転ステップが含まれる。このステップ自体は従来通りであってよく、バランス取りは、ロータ/ブレードアセンブリからの材料の除去、ロータ/ブレードアセンブリに対する材料の追加、アセンブリ内でのブレード位置の変更、ロータ/ブレードアセンブリのブレードの交換、ロータ/ブレードアセンブリに配置された質量体の位置調節、および当業者に既知の他の技術のうちの任意の1つまたは複数によって達成することができる。
低速でバランスを取るこの技術には、低速でバランスを取るステップが完了した後に1つまたは複数のインサートを除去する運転ステップが含まれる。これらのインサートは、通常のエンジン運転中には使用されない。
定置のブレードの結果として、アセンブリは複数の区分に分割されており、これらの区分の数は、定置のブレードの数に等しい。各区分には1つまたは複数の可動ブレードが含まれており、可動ブレードの数は、可能な限り他の区分と等しくなっており、通常、一方の定置のブレードの吸込側と他方の定置のブレードの吐出側との間に制限されている。さらに、定置のブレードがそれぞれの角度位置に保持される結果として、周方向クリアランスは、各区分に配置された複数の区分毎の周方向クリアランス、すなわち周方向クリアランスから形成された複数のより小さなクリアランスまたは部分に細分される。
本方法では、圧縮機段ブレードアセンブリが回転されるとき、圧縮機段ブレードアセンブリの回転方向に対して上流側に可動ブレードを移動させることによって、区分に対応する区分毎の周方向クリアランスが、可動ブレードに対して周方向下流側に移動されるように、可動ブレードが区分毎に周方向に調節される。1つまたは複数のインサートを区分毎の周方向クリアランスのそれぞれに導入して、各区分内の区分毎の周方向クリアランスと可動ブレードとの相対位置を保持する。最後に、本方法では、低速でのバランス取り条件において、少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリを備えたロータに対するアンバランスの測定を行う。低速でバランスをとった後にインサートを除去し、クリアランスは、ブレードの根元の熱膨張を収容するように維持される。低速でバランスを取ることに関して、インサートは、一時的なインサートと呼ぶことができる。つまり、低速でバランスを取る間、可動ブレードは回転軸に対してアセンブリ内で異なる周方向位置にあるのではなく、運転速度に起因して生じるブレードの移動によりガスタービンロータの実際の運転中に可動ブレードが位置するであろう位置にある。その結果、低速でバランスを取る運転過程において、アセンブリを実際に運転速度または高速で運転すること無しに、運転速度でバランスを取ることまたは高速でバランスを取ることの有益な効果が達成される。
本方法の一実施形態では、アセンブリ内の定置のブレードの角度位置は、定置のブレードがそれぞれの角度位置に保たれた場合にアセンブリが複数の均等な区分に分割されるようになっている。均等なまたはほぼ均等な複数の区分に分割することで、アセンブリの回転軸周りの、定置のブレードの周方向での配置が軸対称またはほぼ軸対称になり、したがってより良好なバランスが達成される。
本方法の別の実施形態では、定置のブレードの識別時に、6つの定置のブレードが識別される。つまり、6つの区分が生じており、これらが均等または少なくとも実質的に均等である場合には、アセンブリの回転軸周りに、6つの定置のブレードの周方向での配置は軸対称であり、したがってより良好なバランスが達成される。
本方法の別の実施形態では、定置のブレードをそれぞれの角度位置に保持することは、定置のブレードをそれぞれ、その角度位置に固定することを含む。したがって、本技術は、定置のブレードとして識別されるブレードがそれぞれの角度位置に事前に固定されていないアセンブリにも適用される。定置のブレードの固定は、定置のブレードをそれぞれの角度位置に保持することを容易にする。本方法の関連実施形態では、定置のブレードの基部、例えば根元部分に形成された溝の内部に、隣接するロータディスクのうちの一方から、または周縁通路の面の1つから始まるダボを挿入して延在させることにより、各定置のブレードがそれぞれの角度位置に固定される。本方法の別の関連実施形態では、定置のブレードの基部に形成された溝内に延在するダボは、溝を貫通して、隣接するロータディスクの他方の中に、または周縁通路の他方の面の中に延在している。これは、定置のブレードを、アセンブリ内のそれぞれの角度位置に固定する方法を提供する。本方法のさらに別の関連実施形態では、定置のブレードの基部に形成された溝は、圧縮機段ブレードアセンブリの周方向クリアランスからは不連続である。したがって、基部に形成された溝は、トンネルまたは通路として形成されており、基部の端部における切欠きとして形成されているわけではない。このことは、単一のダボを挿入して定置のブレードをその角度位置に固定することを容易にする。この方法により固定された定置のブレードは、定置のブレードが固定されてはいるが、固定により規定される制限された距離内でまだ僅かに可動である状況とは対照的に、その角度位置に不動に保持される。
本方法の別の実施形態では、インサートはシムである。いくつかのインサートに関して、インサート毎に1つまたは複数のシムが存在していてよい。シムは、区分毎の周方向クリアランス内にインサートとして導入しやすく、バランス取りの後には除去することができる。関連実施形態では、シムはプラスチック製である。プラスチックシムは安価、軽量であり、要求とおりに堅くまたは柔軟であることができ、使いやすく、かつ容易に入手可能である。
本方法の別の実施形態では、インサートは定置のブレードの吸込側に導入される。アセンブリは通常、アセンブリ内の任意の所与のブレードに関して、所定の回転方向において吸込側から吐出側へ回転されるため、これは、アセンブリのアンバランスの測定を行うステップの前に、インサートひいては区分毎の周方向クリアランスと可動ブレードとの相対位置があるべき場所を確定する、簡単な方法を提供する。インサートは、低速でのバランス取りの後に除去される。よって、通常のエンジン運転では、すなわち低速でのバランス取りの後には、インサートは存在していない。インサートの除去は、周方向クリアランスが通常運転中に維持されると共に、ブレードの根元および/またはディスクの溝の熱膨張および/または遠心力や空気力などの回転動作により生じる移動を周方向クリアランスが収容することを意味する。
インサートは、プラスチックシムの形態であってよく、低速でのバランス取りの後に除去される一時的なものである。低速でのバランス取りの間、インサートは定置のブレードと協働して、ブレード区分を、これらのブレード区分が通常(全速)運転中に占める位置へと押し退ける。これは、低速でのバランス取りの間のブレードの移動を止め、通常のエンジン運転速度で使用されるときにロータの正確なバランス取りを可能にする。ロータの低速でのバランス取りの後では、ブレードの根元間の周方向クリアランスが熱膨張を収容するようにそこになければならないので、インサートが除去される。
本発明は、ロータブレードアセンブリの低速でのバランス取りの正確さを大幅に改善する。なぜなら、さもなければロータアセンブリの残留アンバランスに影響を与える、ブレードの移動が大幅に減少されるかまたは完全に防止されるからである。さらに、本発明なしでは、低速でのバランス取りの間に、あるエンジン運転から別のエンジン運転まででアンバランスの測定が顕著に異なっていることが分かり、これはすなわち、あるエンジン運転から別の運転まででブレードが自由に異なる位置を占めるようになっているためである。さらに、通常のエンジン運転条件、例えば高速では、ブレードはある一貫した反復可能な位置に移動する傾向がある。したがって、アンバランス状態は、あるエンジン運転と運転との間で比較的一貫性がある。
本技術の上記の特性、別の特徴および利点並びにこれらを達成する方法は、添付の図面と併せて本技術の複数の実施形態の以下の説明を参照することにより一層明確になると共に、本技術自体もより良好に理解される。
本技術によりバランスを取る圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータの例示的な実施形態が組み込まれているガスタービンエンジンの一部を示す断面図である。 図1に示した圧縮機段ブレードアセンブリの一部を概略的に示す断面図である。 圧縮機の1つの段を形成しかつ圧縮機段ブレードアセンブリ内の周方向クリアランスを含む、圧縮機段ブレードアセンブリの例示的な実施形態を概略的に示す図である。 図3に示した少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリを有するロータを低速でバランス取りするために用いられる、本技術の方法の例示的な実施形態を示すフローチャートである。 圧縮機段ブレードアセンブリ内のそれぞれの角度位置と併せて、定置のブレードと可動ブレードを描くとともに、圧縮機段ブレードアセンブリ内の周方向クリアランスを描いた、圧縮機段ブレードアセンブリの一区分を概略的に示す図である。 圧縮機段ブレードアセンブリ内の定置のブレードの配置形式および結果として生じる区分および各区分の周方向クリアランスを概略的に示す図である。 図5および図6に示した定置のブレードのうちの1つの固定部を概略的に示す断面図である。 図7に示した定置のブレードを概略的に示す斜視図である。 図8の図面と比較して異なる角度で見た場合の、図7に示した定置のブレードを概略的に示す断面図である。 周方向に調節した後の、圧縮機段ブレードアセンブリの区分内の可動ブレードおよび区分毎の周方向クリアランスの、図6の配置形式と比較した場合の配置形式を概略的に示す図である。 本技術の態様に従って、周方向に調節された可動ブレードと当該区分の区分毎の周方向クリアランスに導入されたインサートとを備えた、圧縮機段ブレードアセンブリの区分のうちの1つを概略的に示した図である。
以下に、本技術の上述した特徴およびその他の特徴を詳細に説明する。図面を参照して様々な実施形態を説明するが、同様の部材を指すために全体を通して同じ参照番号が用いられる。以下の記述では、説明を目的として、1つまたは複数の実施形態の完全な理解が得られるように、多数の具体的な詳細事項を述べる。図示の実施形態は説明を目的としたものであり、本発明を限定するものではないことに注意されたい。このような実施形態がこれらの具体的な詳細事項無しでも実施することができることは明らかである。
図1には、ガスタービンエンジン10の一例が断面図で示されている。ガスタービンエンジン10は、流れの順序で、入口12と、圧縮機または圧縮機区分14と、燃焼器区分16と、タービン区分18とを備え、これらは流れの順序でかつ通常は回転軸20の周りに回転軸20の方向に配置されている。ガスタービンエンジン10はさらに、回転軸20の周りに回転可能であるシャフト22を備え、シャフト22は、ガスタービンエンジン10を長手方向に貫通して延在している。シャフト22は、タービン区分18を圧縮機区分14に駆動結合している。
ガスタービンエンジン10の運転時には、空気入口12を通して取り入れられた空気24が圧縮機区分14により圧縮されて、燃焼区分または燃焼器区分16へ送られる。燃焼器区分16は、燃焼器プレナム26と、長手方向軸35に沿って延在する1つまたは複数の燃焼室28と、各燃焼室28に取り付けられた少なくとも1つの燃焼器30とを備える。燃焼室28と燃焼器30とは、燃焼器プレナム26の内部に配置されている。圧縮機14を通過して圧縮された空気はディフューザ32に流入し、ディフューザ32から燃焼器プレナム26内へ放出され、そこから空気の一部が燃焼器30に流入して、気体燃料または液体燃料と混合される。次いで、空気/燃料混合物が燃焼され、燃焼による燃焼ガス34または作業ガスが燃焼室28を通り、移行ダクト17を介してタービン区分18へと導かれる。
この典型的なガスタービンエンジン10は、缶形燃焼器区分配置16を有している。缶形燃焼器区分配置16は、それぞれが燃焼器30と燃焼室28とを有している、複数の燃焼器缶19の環状配列により構成されている。移行ダクト17は、燃焼室28に接続する略円形の入口と、環状セグメントの形態の出口とを有している。移行ダクト出口の環状配列は、燃焼ガスをタービン18へ導くための1つの環を形成している。
タービン区分18は、シャフト22に取り付けられたいくつかのブレード支持ディスク36を備える。この例では、2つのディスク36がそれぞれ、タービンブレード38の環状配列を支持している。ただし、ブレード支持ディスクの数は異なっていてもよい。すなわち、ディスクは1つだけまたは3つ以上であってもよい。さらに、ガスタービンエンジン10のステータ42に取り付けられたガイドベーン40が、タービンブレード38の環状配列の各段の間に配置されている。燃焼室28の出口と、導入タービンブレード38との間には、入口ガイドベーン44が設けられており、作業ガスの流れをタービンブレード38の方に向ける。
燃焼ガス34は、燃焼室28からタービン区分18へ流入してタービンブレード38を駆動し、続いてタービンブレード38がロータを回転させる。ガイドベーン40,44は、タービンブレード38に対する燃焼ガスまたは作業ガス34の角度を最適化する働きをする。
タービン区分18は、圧縮機区分14を駆動する。圧縮機区分14は、軸方向に連続するベーン段46とロータブレード段48とを備える。ロータブレード段48はロータディスクを備え、ロータディスクは、ディスクのリムに形成された周方向通路内でブレードの環状配列を支持しているか、または、ロータブレード段48は、隣接するロータディスク60,63(図2に示す)の2つの向かい合う面62,64(図2に示す)の間に周方向に配置された圧縮機ブレードを備えていてもよい。通常、ブレードの環状配列は、ブレードまたは圧縮機ブレード8(図3に示す)の列5(図3に示す)とも呼ばれる。圧縮機区分14は、圧縮機14とも呼ばれ、ロータ段を包囲しかつベーン段46を支持するケーシング50をも備える。ガイドベーン段は、ケーシング50に取り付けられた半径方向に延びるベーンの環状配列を有している。ベーンは、所定のエンジン動作点においてガス流をブレード8に対して最適な角度に向けるように設けられている。ガイドベーン段のいくつかは、可変ベーンを有しており、可変ベーンの角度は、様々なエンジン運転状態において生じ得る空気流特性に応じて、可変ベーン自体の長手方向軸の周りに角度調節することができる。
ケーシング50は、圧縮機14の通路56の半径方向外面52を画成している。通路56の半径方向内面54は少なくとも部分的に、ロータのロータドラム53により画成されており、ロータは部分的に、ロータブレード段48の環状配列により画成されている。
本技術を、単一の多段圧縮機と単一の単段または多段タービンを接続する単一のシャフトまたはスプールを有する上記の典型的なタービンエンジンを参照して説明する。しかしながら、本技術は2軸または3軸エンジンにも等しく適用することができ、工業用途、航空用途または船舶用途に用いることができることを認識されたい。さらに、缶形燃焼器区分配置16は典型的な用途にも用いられ、本技術は、環状型燃焼室と缶型燃焼室とに等しく適用可能であるということを認識されたい。
軸方向、半径方向および周方向という用語は、別途記載がない限り、エンジンの回転軸20に関連して用いられる。図1に記載した参照符号「A」は、図3に示す圧縮機段ブレードアセンブリ1の一部または区分を示すものである。圧縮機段ブレードアセンブリ1は、圧縮機14のロータの1つの段48を構成している。区分Aの詳細は、図2に示されている。
図2は、隣接するロータディスク60,63の2つの向かい合う面62,64の間に配置または支持されていて、圧縮機14の1つの段48を形成している、圧縮機ブレード8を概略的に示している。本開示では、ガスタービン圧縮機ロータの1つの段を形成するように、1つのディスクのリムに形成された周方向通路の2つの向かい合う面の間に周方向に配置され支持された1列の圧縮機ブレードの実施形態は図示されていないが、このような実施形態は十分に本技術の範囲内であることが当業者には理解される。隣接するディスク60,63の別の面61,65はそれぞれ、別個に、または他方の隣接する各ディスク(図示せず)の向かい合う面と組み合わされて、圧縮機ブレードの別の列(図示せず)を支持し、圧縮機14の前段および後段を形成してよい。圧縮機ブレード8またはブレード8は、翼部86と基部87とを有しており、通常は根元およびプラットホームを有している。複数のブレード8の基部87は、半径方向外側に向かって延びる翼部86と共に、向かい合う面62,64の間に嵌合または配置されている。
図3は、隣接するディスク60,63(図3で見るとディスク60の面61だけが示されているように見える)の間で周方向に配置され、複数のブレード8の列5を有する圧縮機段ブレードアセンブリ1を形成している、多数の、特に7つのブレード8を概略的に示している。アセンブリ1がガスタービンエンジン10の内側にあり、圧縮機が運転中の場合、アセンブリは上述したように回転軸20の周りに回転するが、アセンブリ1がアセンブリ1を備えるロータと共に回転すると、ガスタービンエンジンの外側でバランスを取る目的のために、アセンブリ1は、アセンブリ1の中心の周りに回転するまたは回転されることを要求されるので、回転の軸66は、アセンブリ1の中心を通ることになる。各ブレード8の間、またはより詳細には(図2に示したような)各ブレード8の基部87の間には、1つまたは複数の基部87が膨張した場合、例えば基部87がいくらか熱膨張した場合に各ブレード8が適応することを可能にするために、クリアランスが許容または配置されている。列5におけるクリアランス、すなわち各ブレード8間のギャップまたは空間は、各ブレード8のうちの少なくともいくつかが周方向に移動またはずれることを可能にする。一例では、クリアランスは、隣接する任意の2つのブレードの間に集約または集積されるか、または列5の全体にわたり周方向に分散されてよく、周方向クリアランス9と呼ばれる。図3には、2つの周方向位置に分散された周方向クリアランス9が示されている。
アセンブリ1の一実施形態では、ブレード8のうちのいくつかがディスク60,63に対して位置固定されていてもよいし、または周方向移動が厳密に制限されていてもよい。このような場合、アセンブリ1は2つ以上の区分、場合によっては6つか8つの区分に分割されており、周方向クリアランス9は、複数の区分に分散または配分されているか、または散在している。
図4には、少なくとも1つのアセンブリ1を有するロータを低速度でバランス取りする方法100の、1つの例示的な実施形態を示すフローチャートが示されており、方法100の様々なステップまたは配置形式を概略的に示す図5〜図11を参照して以下で説明する。方法100では、ステップ110において、アセンブリ1の複数の圧縮機ブレード8またはブレード8を、定置のブレード82と識別する。アセンブリ1が有するブレード8のいくつかがディスク60,63に対して適所に固定されているか、または周方向移動が厳密に制限されている場合には、これらのブレード8を定置のブレード82であると識別する。代わりに、ディスク60,63に対して固定されたブレード8、または周方向移動が厳密に制限されたブレード8がない場合には、少なくとも2つ以上のブレード8が、定置のブレード82として識別されるように選択される。
定置のブレード82として識別されるべきブレード8は、軸対称または(ブレード数を区分数で割れない場合は)ほぼ軸対称に選択される。すなわち、定置のブレード82として識別されるべきブレード8は、アセンブリ1内で軸対称を形成するように選択され、例えば図5に示すように、その位置が図5中で参照符号83を付された矢印、すなわち軸66に対するブレード8の角度位置83で表された第1のブレード8が選択され、その5つ後のブレード8において第2のブレード8が選択され、第2のブレード8の位置も、図5中で参照符号83を付された矢印によって表されている。図5中で参照符号83を付された矢印によって表されたこれら2つのブレード8が、定置のブレード82として識別される。これらの2つのブレード8が既に固定されていた場合にも、2つのブレード8は定置のブレード82として識別される。周方向クリアランス9の少なくともいくつかのまたは部分または一部が、定置のブレード82の間に存在しているのに加え、その他のブレード82は、2つの定置のブレード82の間に存在する周方向クリアランス9の部分または一部のおかげで、2つの定置のブレード82の間で周方向に自由に可動である。図5に示す例の、2つの定置のブレード間のブレード8は、可動ブレード84と呼ばれ、可動ブレード84の可変の各位置が、図5に参照符号85を付された点によって示されている。
方法100では、次のステップ120において、定置のブレード82を、それぞれの角度位置83に保持する。固定されているという特性のために、それらのブレード8が、ディスク60,63に対して既に位置固定されている定置のブレード82として識別される、アセンブリ1の実施形態では、定置のブレード82がその角度位置83に保持される。代わりに、それらのブレード8が、ディスク60,63に対してまだ位置固定されていない定置のブレード82として識別される、アセンブリ1の実施形態では、定置のブレード82は、方法100のステップ125において定置のブレード82を固定することにより、それぞれの角度位置83に保持される(120)。
図7、図8および図9は、定置のブレード82をその角度位置に固定する方法125を概略的に示す。固定125は、定置のブレード82の識別後に実行されてもよいし、または好適にはアセンブリ1の製造中に、後で定置のブレード82として識別されるアセンブリ1のいくつかのブレード82において行われてもよく、これも定置のブレード82の固定と呼ばれることに注意されたい。図7に示すように、定置のブレード82はそれぞれ、定置のブレード82の基部87に形成された溝7の中に、隣接するロータディスク60,63のうちの一方(図7のディスク63)から始まるダボ4を挿入して延在させることによって、それぞれの角度位置83に固定される(125)。溝7は、例えば円形、円の断片、U字形、三角形、矩形およびあらゆる開いた形状等々の、あらゆる断面形状を有する通路として形成されている。ダボ4は、構造体のような細長い棒であり、あらゆる断面形状、好適には、溝7の形状に対して相補的な形状を有していてよい。別の実施形態では、対応するダボ4が内部に延在し得る、多数の溝7が存在していてよい。図8および図9に示すように、溝7は、基部87の中央領域に形成されてよく、その結果、溝7は、周方向クリアランス9から不連続的になっており、この場合、定置のブレード82をその角度位置に固定するためには単一のダボ4で十分である。図7に示すような一実施形態では、溝7と、溝7の内部へのダボ4の延在部とは、互いに中央でまたは部分的に基部87の内部へ延在していてよい。別の実施形態(図示せず)では、溝7は基部87を貫通しており、この場合、ダボ4は一方の面64から溝7の内部へ延びると共に溝7を貫通して、隣接するロータディスク63,60それぞれの他方の面62の内部へ延びている。
再び図4を参照すると、上述したような定置のブレード82の固定125を選択的に含む、定置のブレード82をそれぞれの角度位置83に保持するステップ120の結果として、アセンブリ1は、図6に示すように複数の区分2に細分される。図6は、軸対称であると識別された6つの定置のブレード82の角度位置83を示しており、これらの6つの定置のブレード82が、それぞれの角度位置83に保持されるとき(120)、アセンブリ1が6つの区分2に分割または区分けまたは区別されるか、またはアセンブリ1に6つの区分2が生じる。アセンブリ1内の、各角度位置83によって表される定置のブレード82の配置形式および結果的に生じる区分2が、図6に示されている。定置のブレード82は、0度、60度、120度、180度、240度および300度の角度位置83に位置している(または、ブレード数が6で割れない場合には、これらの角度位置の近傍に位置している。例えば、段全体が59のブレードから構成されている場合には、5つの区分がそれぞれ10枚のブレードを有するが、1つの区分は9枚のブレードを有していてよい)。
さらに、周方向クリアランス9が、区分2内で、区分毎の周方向クリアランス99として配分されてもいる。好適にはアセンブリ1の製造中に、後で定置のブレード82として識別されるいくつかのブレード8がアセンブリ1に固定または前固定されているアセンブリ1の実施形態では、周方向クリアランス9は既に、区分毎の周方向クリアランス99と呼ばれる、複数のより小さな独立したギャップまたは遊びに分割されている。
図6に示したように、区分毎の周方向クリアランス99は、複数の区分2または各区分2に存在しているが、図6には3つの区分毎の周方向クリアランス99だけが示されている。したがって、ステップ120の結果として、各区分2は、各区分2内に配分された、または各区分2と共に1つまたは複数の角度位置に集積された、区分毎の周方向クリアランス99を有しており、かつ複数の可動ブレード84を有している。ステップ120の後で、区分毎の周方向クリアランス99および可動ブレード84の配置に特定の順序はない。各区分2における可動ブレード84の数は、好適には同じであるが、正確に同じではなくほぼ同様であってもよい。例えば図6では、区分2のうちの1つは、3つの可動ブレード84を有しているのに対し、他の2つの区分2は、4つの可動ブレード84を有していることに注意されたい。図6中の他の3つの区分2について、可動ブレード84の角度位置85および区分毎の周方向クリアランス99は、図6では簡単のために図示していない。異なる区分2における可動ブレード84の数は、単に例示目的のために示されたものであり、限定を意味するものではないことにも注意されたい。
再び図4を参照すると、ステップ120の後のステップ130は、各区分2の可動ブレード84の周方向調節である。いくつかの区分2の可動ブレード84と区分毎の周方向クリアランス99の配置形式が、より良く理解するために図6と比較可能な図10に概略的に示されている。ステップ130では、区分毎の周方向クリアランス99が、区分内の可動ブレード84に対して、周方向下流側68に移動されるように、可動ブレードが各区分2内で周方向に調節、移動、シフトまたは滑動される。ここで可動ブレード84および区分毎の周方向クリアランス99の角度位置を定義、決定または説明するために用いられる下流側および上流側という用語は、バランスを取る間にアセンブリ1が回転されるかまたはアセンブリ1を回転させようとするときの、アセンブリ1の回転方向67に関するものであり、この回転方向67は、ロータが圧縮機内でガスタービン10の運転中に回転しようとする方向と同じであってよい。したがって、各区分2に関して、下流側は、区分2の回転を先導する定置のブレード82に向かう位置であり、上流側は、区分2の回転に追従する他方の定置のブレード82に向かう位置である。換言すると、時計回り方向に回転しようとする場合に、所与の区分の先頭に来る定置のブレード82は、所与の区分2の、後から来る他方の定置のブレード82に比べると、反時計回り方向の場合には下流側になる。したがって、図10に示す例では、アセンブリ1が方向67に回転しようとする場合に、対応する各区分2に対して参照符号68を付した矢印は、対応する各区分2に対して参照符号69を付した矢印に比べて下流側にある。上流位置69と下流位置68とは相対的であり、所与の区分2内に限定されており、回転方向67に関するものであることに注意されたい。
つまり簡単に言うと、図10に示すように、所定の区分2内の区分毎の周方向クリアランス99は下流側に配置または移動されており、この区分2内の可動ブレード84は相対的に上流側に配置されている。区分毎の周方向クリアランス99は、方法100のステップ130の結果として各区分2内に分散または配分されるのではなく、単一のギャップ、空間または遊びとして集積されることに注意されたい。
図11と合わせて図4を参照すると、方法100では、ステップ140において、1つまたは複数のインサート97が、区分毎の周方向クリアランス99のそれぞれに導入または挿入される。区分毎の周方向クリアランス99のそれぞれにインサート97が導入または挿入された結果、各区分2内の区分毎の周方向クリアランス99と可動ブレード84との相対位置が固定またはロックされることになる。方法100の一実施形態では、インサート97はプラスチックから製造可能なシムである。プラスチックシムは、0.012mm〜0.075mmの異なる厚さを有している。
各区分2内で、可動ブレード84および区分毎の周方向クリアランス99は、図11に示すように、一方の定置のブレード82の吸込側89と、他方の定置のブレード82の吐出側とによって限定されていることに注意されたい。方法100において、方向67は、可動ブレード84と区分毎の周方向クリアランス99とを限定する吸込側89を有する定置のブレード82が、吐出側88が所与の区分2に対して可動ブレード84と周方向クリアランス99とを限定する他方の定置のブレード82よりも先に移動するかまたは回転するような方向である。したがって、方法100では、インサート97は、各区分2に関して他方の定置のブレード82の下流側に存在するかまたは存在するように意図される定置のブレード82の吸込側89に導入される。
図4に示したような方法100の一実施形態では、ステップ130とステップ140とは連続して、すなわち最初にステップ130が行われてからステップ140が行われるのに対し、方法100の一実施形態(図示せず)では、ステップ130とステップ140とが同時に行われる。すなわち、区分2内で、この区分2の他方の定置のブレードに比べて下流側に配置された定置のブレード82の隣にインサート97を導入する(140)ことによって、可動ブレードが調節され(130)、インサート97を押し込み、挿入しまたは導入した結果、区分2の可動ブレード84が、下流側に集積される区分毎の周方向クリアランス99の上流側に押されるかまたは移動されることに注意されたい。
図4を参照すると、方法100では、少なくとも1つのアセンブリ1を備えたロータのアンバランスの測定を行うステップ150が続く。ステップ150において、アセンブリ1を備えるロータは、ステップ140で導入されたようなインサート97と共に、バランス取り装置を使用しかつバランス取り装置により監視されながらアセンブリ1を回転させることにより、低速でのバランス取りを受ける。回転は、方向67で行われる。バランス装置、つまりアセンブリ1を有するロータを回転させるための装置と、低速でバランスを取る原理および技術とは、ロータのバランス取りの分野において周知であるので、簡単のためにここで詳説はしない。
1つの圧縮機段ブレードアセンブリ1を有するロータに関して本技術の方法100を上述してきたが、本方法100は、複数の圧縮機段ブレードアセンブリ1、例えば10個の圧縮機段ブレードアセンブリ1を有するロータにも適用可能であることが、当業者によって認められるであろう。このような場合、方法100のステップ110、ステップ120、選択的にステップ125、ステップ130およびステップ140は、低速でのバランス取りを受けるロータに含まれる全ての圧縮機段ブレードアセンブリ1に対して実行される。
本技術を特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、本技術はそれらの正確な実施形態に限定されるものではないことが認められるべきである。「第1」、「第2」等の用語の使用は、如何なる重要性の順序も意味せず、むしろ「第1」、「第2」等の用語は、1つの要素を他の要素から区別するために用いられることに注意されたい。むしろ、本発明を実施するための例示的な方法を説明する本開示を考慮して、本発明の範囲および精神から逸脱すること無しに、当業者に対して多くの変更および変化が提示される。それゆえ、本発明の範囲は、上記の説明によってではなく、以下の請求項によって示されている。請求項と均等の意味および範囲内にある全ての改変、変更および変化は、請求項の範囲内であるとみなされる。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの圧縮機段ブレードアセンブリ(1)を有するロータを低速でバランス取りする方法(100)であって、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)は、ガスタービンエンジン(10)の圧縮機区分(14)の1つの段(48)を形成するために、1つまたは複数のロータディスク(60,63)によって周方向にクランプかつ支持された一列(5)の圧縮機ブレード(8)を有しており、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)は、周方向クリアランス(9)を有している、方法において、
    前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)内の複数の圧縮機ブレード(8)を、定置のブレード(82)として識別する(110)ことを含み、各定置のブレード(82)は、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)の回転軸(66)に対してある角度位置(83)を有しており、
    前記定置のブレード(82)が、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)を複数の区分(2)に分割するように、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)内のそれぞれの角度位置に前記定置のブレード(82)を保持する(120)ことを含み、各区分(2)は、一つまたは複数の可動ブレード(84)を含み、前記周方向クリアランス(9)は、複数の区分毎の周方向クリアランス(99)に細分され、
    前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)が回転されるときに、前記区分(2)内の前記区分毎の周方向クリアランス(99)が、前記可動ブレード(84)に対して、および前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)の回転方向(67)に関して、周方向下流側に移動されるように、前記可動ブレード(84)を区分ごとに周方向に調節し(130)、
    各前記区分毎の周方向クリアランス(99)に1つまたは複数のインサート(97)を導入して(140)、各区分(2)内で前記区分毎の周方向クリアランス(99)と前記可動ブレード(84)との相対位置を保持し、
    低速でバランスを取る条件において、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)を備えた前記ロータについてアンバランスの測定を行い(150)、
    前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)のバランスを取り、
    低速でのバランス取りが完了した後に前記1つまたは複数のインサートを除去する
    ことを含む方法(100)。
  2. 前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)内の前記定置のブレード(82)の前記角度位置(83)は、前記定置のブレード(82)がそれぞれの角度位置(83)に保持される場合に前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)が複数の均等な区分(2)に分割されるようにする、請求項1記載の方法(100)。
  3. 前記定置のブレード(82)の識別(110)時に、6つの定置のブレード(82)が識別される、請求項1または2記載の方法(100)。
  4. 前記定置のブレード(82)をそれぞれの角度位置(83)に保持する(120)ことは、前記定置のブレード(82)をそれぞれ、その角度位置(83)に固定する(125)ことを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
  5. 前記圧縮機ブレードの列(5)を支持する前記ロータディスク(60,63)のうちの少なくとも一方から始まるダボ(4)を、前記定置のブレード(82)の基部(87)に形成された溝(7)の内部に挿入して延在させることにより、各前記定置のブレード(82)をそれぞれの角度位置(83)に固定する(125)、請求項4記載の方法(100)。
  6. 前記定置のブレード(82)の前記基部(87)に形成された前記溝(7)内に延在する前記ダボ(4)は、前記溝(7)を貫通して、前記1つまたは複数のロータディスク(60,63)のうちの他方の内部に延在している、請求項5記載の方法(100)。
  7. 前記定置のブレード(82)の前記基部(87)に形成された前記溝(7)は、前記圧縮機段ブレードアセンブリ(1)の前記周方向クリアランス(9)からは不連続である、請求項5または6記載の方法(100)。
  8. 前記インサート(97)はシムである、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法(100)。
  9. 前記シムはプラスチック製である、請求項8記載の方法(100)。
  10. 前記インサート(97)は、前記定置のブレード(82)の吸込側(89)に導入される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法(100)。
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