この出願は、それぞれ2016年10月11日に出願された、米国仮出願第62/406,844号、第62/406,847号、第62/406,848号、第62/406,854号、第62/406,858号、第62/406,860号、第62/406,865号、第62/406,867号、及び第62/406,870号に基づく優先権の利益を主張する。各出願は、全体として及び全ての目的のために、参照により、本明細書に包含される。
本発明は、被験者(患者)による吸入によって、薬剤をドライパウダーとして投与するための装置に関する。装置のいくつかの実施形態は、ドライパウダー吸入器(DPI)に分類されてもよい。装置のいくつかの実施形態は、ドライパウダーネブライザー(液体ネブライザーではなく)に分類されてもよい(特に、周期的な呼吸(例えば、周期的な吸入)が、多重吸入によるドライパウダー薬剤の送達に使用される場合に)。前記装置は、本明細書中で互換的に「薬剤送達装置」又は「吸入器」と称されることがあり、そのどちらも、被験者による吸入で(好ましくは多重吸入により、最も好ましくは周期的な吸入が用いられる)、薬剤をドライパウダーとして投与するための装置を意味する。「周期的な呼吸」とは、好ましくは、安静時の通常の呼吸(力強い呼吸ではなく)の間の吸気と呼気を指す。同様に、「周期的な吸入(吸息)」は、ユーザー側の特別な努力(例えば、高い吸気流での力強い吸入、あるいはゆっくりとした、深い吸入)を要求する吸入ではなく、安静時の通常の吸入を指す。別の言い方をすれば、特別な努力を必要とする吸入には、安静時の通常の吸入と比べて、よりゆっくりの、より深い、より速い、又はより強い吸入が含まれ、他方、周期的な吸入は、特別な努力を必要としない、安静時の通常の吸入を意味する。
本明細書で使用される、治療的有効量という用語は、ある被験者に投与された際、被験者における疾患、障害、又は症状(単数又は複数)を、抑制する、軽減する、又は治癒することによって、あるいは疾患、障害、又は症状(単数又は複数)の発症を予防的に抑制する、防止する、又は遅らせることによって、治療効果を達成する量を指すことができる。治療的有効量は、被験者における疾患又は障害の1以上の症状をある程度緩和する量;及び/又は、疾患又は障害に関連するあるいは疾患又は障害の原因となる1以上の生理的又は生化学的パラメータを部分的に又は完全に正常に戻す量;及び/又は、疾患、障害、又は症状(単数又は複数)が発症する可能性を減らす量であってもよい。
薬剤、医薬品、活性薬剤、医薬品有効成分、API、薬剤、医薬、活性剤という用語は、本明細書で、薬剤組成物中の医薬的に有効な化合物(単数又は複数)を指すために互換的に使用される。薬剤組成物中の他の成分(例えばキャリア又は賦形剤など)、は実質的に又は完全に薬学的に不活性である。薬剤組成物(本明細書中で、組成物、製剤、薬剤製剤、医薬組成物、医薬製剤、又はAPI製剤とも称される)は、1又は複数のキャリア及び/又は1又は複数の賦形剤と併用して、薬剤を含んでもよい。本発明による適切な薬剤の例には、呼吸器系の疾患又は障害を治療するものが含まれる。呼吸器系の疾患及び障害の非限定的な例には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(慢性気管支炎及び/又は肺気腫を含む)、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症、突発性肺線維症、及び肺炎などの胸部感染症が含まれる。
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、規制機関(例えば、欧州又は米国の連邦又は州政府)によって許可されていること、又は、米国薬局方あるいは動物における(特にヒトにおける)使用のために一般的に認識されている他の薬局方に記載されていることを意味する。
ユーザー、被験者及び患者という用語は、本明細書で互換的に使用され、哺乳類の個体、特に人間を指してもよい。
マイクロメーター、ミクロン及びμmという用語は、互換的に使用されてもよい。マイクログラム、mcg及びμgという用語は、互換的に使用されてもよい。
本明細書で使用される、呼吸器疾患及び呼吸器障害と言う用語はそれぞれ、肺疾患及び肺障害と互換的に使用されてもよい。
本明細書で使用される各化合物は、その化学式、化学名、略称などに関して互換的に論じられてもよい。例えば、臭化グリコピロニウムは、グリコピロレートと互換的に使用されてもよい。
本発明の薬剤送達装置(本明細書中で吸入器とも称される)の実施形態は、幅広い範囲の呼吸パターン及び流量にわたって、ドライパウダー薬剤の投与量(一用量)を、一貫した粒度分布を有する一貫した量にて送達することが可能である。例えば、吸入器の実施形態は、医薬の送達をトリガー(誘発)するために、通常の呼吸パターン(例えば、周期的な呼吸あるいは周期的な吸入)を使用する患者に、一貫した用量を送達することができ、力強い吸気は必要とされない。好ましい実施形態によれば、本発明の薬剤送達装置は、幅広い範囲の流量にわたって、実質的に均一な投与量と粒度分布を送達する。また好ましくは、前記装置は、従来の吸入器及びネブライザーと比べて、より少ない用量の薬剤から、有効量の薬剤を送達する。言い換えると、前記装置のエアロゾルエンジンは、均一な投与量送達と粒度分布を、効率的及び正確に達成する。
好ましい実施形態によれば、前記吸入器は吸入(吸息)を検出し、検出した吸入に応答して薬剤を投与し、それによって、エアロゾル化された薬剤が、気流導管中に放出され、被験者の吸入空気中に取り込まれる。以下により詳細に説明するように、これは好ましくは、物質をエアロゾル化し、気流導管中に放出するための振動手段(又は振動エレメント)の使用を通じて達成され、ここで、前記振動エレメントは好ましくは、シンセティックジェット(合成ジェット)を経て、薬剤をエアロゾル化する機械的振動と音響的振動を生み出す。
ある実施形態によれば、ユーザーは、装置のマウスピースを通じて、好ましくは周期的な吸入により、吸入を行い、投与量は、複数の連続的な吸入を通じて送達される。それゆえ、図1A−1Iに図示されているある実施形態では、吸入器100は、1つのブリスター130から完全な医薬投与量をユーザーに送達するために、トランスデューサ150を2回以上作動させるように構成されている。ユーザーが、マウスピースを通じて吸引すると、空気が装置の吸気口の中に吸引され、装置の気流導管を通じて、マウスピースからユーザーの肺の中に吸引される。空気が気流導管を通じて吸引される間に、ドライパウダー薬剤が、気流通路の中に放出され、ユーザーの吸入空気中に取り込まれる。このように、気流導管は、好ましくは、吸気口から排気口(すなわち、マウスピースによって形成される開口部)への空気流路を決める。各呼吸サイクルは、吸気(吸入)と呼気を含み、各吸気の後に、呼気が続き、それゆえ連続的な吸入は、好ましくは連続的な呼吸サイクルにおける複数の吸気を指す。各吸入の後、ユーザーは、吸入器のマウスピースの中に息を吐き戻してもよく、あるいは吸入器の外側に息を吐いてもよい(例えば、彼又は彼女の口をマウスピースから離し、吸入空気をそのそばで吐き出すことによって)。好ましくは、ユーザーは吸入器の外に息を吐く。
ある実施形態によれば、本発明の吸入器は、あらかじめ計量された投与量(既定用量)の、少なくとも1つの薬剤を含むドライパウダー薬剤組成物を複数含み、ここで、前記複数の既定用量の個々の投与量は、ブリスターなどの容器内にある。本明細書で使用されるブリスターは、好ましくはドライパウダー薬剤の投与量(一用量)を含むのに適した容器である。好ましくは、複数のブリスターは、ストリップ上のポケットに配列される(すなわち、プリスターストリップ)。ブリスターストリップのポケット内に含まれる薬剤用量へのアクセスは、関連するポケットを裂く、孔を開ける、又は剥がすことを含む任意の適切なアクセス手段による。好ましい実施形態によれば、個々のブリスターは剥離可能なブリスターストリップ上に配置されており、ブリスターストリップは、ベースシートと蓋シートを含み、ベースシート中でブリスターは、個々の薬剤用量を含むために、その中でポケットを形成しており、蓋シートは、蓋シートとベースシートが剥離できるような方法で、ベースシートにシールされている;それゆえ、それぞれのベースと蓋シートは、互いから剥離により分離することができ、各ブリスターの内側に収容されている投与量を放出することができる。ブリスターは、好ましくは、間隔を空けて配置されており、より好ましくは、各投与量が独立して利用できるように、ストリップ上に進行方向に沿って配置されている(例えば、連続的に)。ブリスターストリップとその投与量進行機構は、本発明の全ての実施形態で要求されるわけではなく、ドライパウダー薬剤の1又は複数の用量は、エアロゾル化され、ユーザーに放出される前に、装置内の別のタイプの容器又は区画に含まれていてもよい。
例示的な実施形態によれば、吸入器は、吸入センサ(本明細書において、流量センサ又は呼吸センサとも称される)を含み、このセンサは、患者が装置を通じて吸引を行うのを検知する;例えば、吸入センサは、圧力センサ、空気流速センサ又は温度センサであってもよい。それゆえ、ある実施形態によれば、トランスデューサ150は、センサ1278(図1I)がユーザーによる吸入を検知するたびに作動し、ユーザーによる複数の吸入を経て投与量を送達する。ユーザーの吸入開始時のトランスデューサ150の作動時間(活性化時間)が比較的短かいこと、及び複数の吸入にわたる送達により、ユーザーは、彼らの自然で周期的な呼吸パターンを用いて、医薬投与量を受け取ることが可能になる(図33に示す最も良い例のように)。
好ましくは、呼吸センサは圧力センサである。本発明の実施形態によって使用されうる圧力センサの非限定的な例には、WO 2016/033418(参照により本明細書に包含される)に記載されているような、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)圧力センサ又はナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)圧力センサが含まれる。モータをトリガーして投与量を推進するために、吸入センサは、ユーザーがマウスピースを通じて吸入を行うのを検知できるよう、気流導管の中又はその近くに配置されてもよい。好ましい実施形態によれば、吸入器は、気流導管(それを通じてユーザーが吸入を行うことができる)に通気連結(空気的に連結)された圧力センサ;前記センサから受け取ったデータを処理し、気流導管を通じて息の吸入が進行中であること(又は呼気が発生していること)を決定するように構成されたプロセッサ;前記決定に応答して、投与開始シグナルを発するように構成されたコントローラ;及び、前記投与開始シグナルの受信に応答して、吸入の間に、ドライパウダー薬剤を気流導管内に放出するように構成されたエアロゾルエンジンを含む。エアロゾルエンジンとは、好ましくは、粉末製剤をエアロゾル化して、それが容器から移動して被験者の吸入空気流中に取り込まれるようにするアセンブリを指す。エアロゾル化は好ましくは、容器の内側の粉末の塊を、空気中に運ばれるべく十分に脱凝集(すなわち、十分に小さく且つ軽く)された粒子に変換することを含む。
ある実施形態によれば、装置は、吸入サイクルの投薬呼吸の間に(好ましくは、複数の投薬呼吸の間に)、ドライパウダー薬剤を投与するように構成される。ある実施形態では、各投薬呼吸の間、患者が装置を通じて吸入を行い、吸入センサが吸入を検出すると、エアロゾルエンジンがトリガーされ、薬剤容器(例えば、ブリスター)内の薬剤をエアロゾル化し、患者の吸入空気中に取り込ませることによって、患者にドライパウダー薬剤を送達する。好ましくは、エアロゾルエンジンは活性化により振動する振動エレメントを含む。以下により詳細に記載するように、例示的な実施形態によれば、エアロゾルエンジンは、投与チャンバと向き合うトランスデューサ(例えば、圧電トランスデューサ)等の振動手段を有する。いくつかの実施形態では、吸入センサは、活性化事象が発生した後のみ、投薬呼吸の検出を伝えるように構成されている。この活性化事象は、選ばれた呼吸数(例えば、1,2,3,4あるいは5つの予備呼吸)、定量の呼吸(例えば、空気の総容積又は質量が呼吸される)又は、選ばれた閾値に達することを含んでもよい。吸入器の稼働の実施形態は、図34に図示され、図中の「吸入事象」は投薬呼吸である。
例示的な実施形態によれば、吸入センサが投薬呼吸を検出すると、電気信号が、電気信号を機械的振動と音響エネルギーに変換する振動エレメントに供給される。振動エレメントは、好ましくはトランスデューサであり、より好ましくは圧電トランスデューサあるいは「ピエゾ(piezo)」である。トランスデューサが振動のために作動されると、振動とその結果得られた音波が、容器中のドライパウダー薬剤をエアロゾル化させ、患者の吸入空気中に取込み可能にする。ある実施形態によれば、トランスデューサが活性化すると、ドライパウダー薬剤投与量の少なくとも一部がエアロゾル化し、ブリスターから投与チャンバ内に移動する。トランスデューサの同一の活性化又はそれに続く活性化に応答して、機械的振動及び/又は音波が、投与チャンバ内の薬剤の少なくとも1部を、投与チャンバの1又は複数の開口から、気流導管内に排出させ、患者の吸息中に取り込ませる。ある実施形態によれば、トランスデューサが作動されると、ドライパウダー薬剤の少なくとも1部が、ブリスターから投与チャンバ内に移動し、トランスデューサの同一の活性化又はそれに続く活性化が、薬剤の少なくとも1部を投与チャンバから気流導管内に移行させ、患者の吸息中に取り込ませる。好ましくは、トランスデューサは、吸入サイクル中の検知された投薬呼吸それぞれによってトリガーされ、ドライパウダー薬剤投与量の少なくとも1部を投与し、それによって、投与量が複数の投薬呼吸の間に投与される。
好ましい実施形態によれば、吸入器を使用する方法は、吸入器から(例えば、吸入器のマウスピースから)、連続的な吸入よりなる吸入サイクルを完了させることを含む。本明細書において、吸入サイクルは、好ましくは、薬剤の投与量を受け取るための、吸入器を通じたユーザーの連続的な吸入を指す。連続的な吸入は、ドライパウダー薬剤の投与量が、吸入器によって投与される間の、一連の吸入を指し、被験者が一連の各吸入ごとに吸入器を通じて吸引を行う場合、あるいは被験者が一連の間に、薬剤を含まない空気を定期的に吸引する場合を含む。好ましくは被験者は、一連の間に、各吸入ごとに吸入器を通じて吸引する。連続的な吸入は、薬剤送達をトリガーしない呼吸(検証呼吸及び投与量進行呼吸など)に加えて、薬剤送達をトリガーする投薬呼吸を含んでもよい。
本発明の実施形態の吸入器は、以下に記載するように、複数の可能性のある投与スキーム(すなわち、吸入サイクルのバリエーション)に従って、薬剤の一用量(投与量)を投与することが可能である。投与スキームは、吸入サイクル中の連続的な吸入の数、吸入サイクル中の投薬呼吸の数、吸入サイクル中のトランスデューサ作動時の回数(好ましくは、吸入サイクル中の投薬呼吸の数と等しい)、吸入サイクルの間にトランスデューサが作動されたオンタイムの総量、各投薬呼吸に応答してトランスデューサが作動された時間の量、によって異なってもよい。吸入器(例えば、コントローラ)は、本明細書に記載されるように、異なる駆動スキームによりプログラムされてもよい;例えば、コントローラは、2〜20の周期的な吸入の間に、5秒以下の総オンタイムの間、トランスデューサを作動させるために構成(プログラム)されてもよく、及び/又はコントローラは、投薬呼吸の間に、約50〜1000ミリ秒(ms)の間トランスデューサを作動させるために構成(プログラム)されてもよい。
好ましくは、吸入サイクルは、2〜30の連続的な吸入、又は2〜20の連続的な吸入、又は、3〜30の連続的な吸入、又は3〜20の連続的な吸入、又は2〜15の連続的な吸入、又は3〜15の連続的な吸入、又は2〜12の連続的な吸入、又は3〜12の連続的な吸入、又は2〜10の連続的な吸入、又は3〜10の連続的な吸入、又は2〜8の連続的な吸入、又は3〜8の連続的な吸入、又は4〜30の連続的な吸入、又は4〜20の連続的な吸入、又は4〜15の連続的な吸入、又は4〜12の連続的な吸入、又は4〜10の連続的な吸入、又は4〜8の連続的な吸入、又は5〜30の連続的な吸入、又は5〜20の連続的な吸入、又は5〜10の連続的な吸入、又は30以下の連続的な吸入、又は20以下の連続的な吸入、又は15以下の連続的な吸入、又は12以下の連続的な吸入、又は10以下の連続的な吸入、又は8以下の連続的な吸入、又は6以下の連続的な吸入、又は5以下の連続的な吸入を含む。以下により詳細に記載するように、吸入サイクル中の吸入は、装置に薬剤を投与させる複数の投薬呼吸に加えて、装置に薬剤を投与させない1又は複数の活性化事象(例えば、以下により詳細に記載するように、1又は複数の検証呼吸及び/又は1又は複数の投与量進行呼吸)を含んでもよい。
吸入器の例示的な実施形態は、一用量を送達するのに非常に少ない吸入しか必要としないため、短時間の投与を提供する;特に30呼吸未満、20呼吸未満、15呼吸未満、12呼吸未満、10呼吸未満、8呼吸未満、6呼吸未満が必要とされる際;例えば、吸入器は、5分以内、又は4分以内、又は3分以内、又は2分以内、又は好ましくは90秒以内、又は60秒以内、又は45秒以内、又は30秒以内で、一用量の薬剤を送達する能力を有する。
一実施形態によれば、吸入サイクル中の第一の吸入の間に、装置は、それが現実の呼吸であり、誤トリガーではないことを検証し、吸入が正当であることを確認するために、第二の吸入を探す;例えば、センサから受け取ったデータを処理するために構成されたプロセッサは、気流導管を通じた息の吸入が進行中であることを決定する。それゆえ、一実施形態によれば、第一の呼吸は検証呼吸である。呼吸の検証は任意であり、全ての投与スキーム実施形態で要求されるわけではない。
別の実施形態によれば、吸入サイクル中の少なくとも1つの吸入により、装置は、一用量の薬剤を投与位置に進行(前進)させる(投与量進行呼吸と称される);例えば、ブリスター内に含まれる薬剤用量が、装置による投与を通じて患者に利用可能となるように、ブリスターを前進させることによって。好ましくは、吸入サイクルは投与量進行呼吸を一つだけ含む。本明細書で記載されるように、任意の適切なアクセス手段が、ブリスターポケット内の一用量にアクセスする(一用量を取り出す)ために使用されてもよく、これは、関連するポケットを裂くこと、孔を開けること、又は引き剥がすことを含む。ある実施形態によれば、吸入が吸入センサによって検知されると、ブリスターストップを前進させる(例えば、ギア列をかみ合わせることによって)モータに電圧が供給される。投与量進行機構は、使用済みの空のブリスターを受け台に載せ、ブリスターストリップをトラック回りに動かす歯車と、次の投与量を取り出すために、ストリップから蓋を外すスプール・サブアセンブリを含んでもよい。
このように、ある実施形態によれば、吸入サイクルの第一の呼吸は投与量進行呼吸である。別の実施形態によれば、吸入サイクルの第一の呼吸は検証呼吸であり、第二の呼吸は投与量進行呼吸である。さらに別の実施形態によれば、第一の呼吸ではなく、吸入サイクルの最後の呼吸が投与量進行呼吸である。またさらに別の実施形態によれば、投与量は、吸入サイクルの最後の呼吸の後に進行し、投与量進行呼吸は必要とされない。好ましくは、薬剤は、検証呼吸又は投与量進行呼吸の間には投与されない。検証呼吸及び投与量進行呼吸は、装置がすぐに薬剤を投与できる状態になる(しかし好ましくは、装置に薬剤を投与させない)ように装置を作動させることができるため、本明細書において活性化事象とも称される。さらなる実施形態によれば、投与スキームは、投与量が他の手段によって、例えば、装置のボタンを押すことによって進行するため、いかなる検証呼吸又は投与量進行呼吸も含まない。
吸入器は、好ましくは、吸入サイクルの間に、一用量のドライパウダー薬剤を投与するために、吸入サイクルのそれぞれの投薬呼吸の間に、振動エレメントをトリガーするように構成される。好ましくは、一用量のドライパウダー薬剤の一部が、それぞれの投薬呼吸の間に投与される(一用量の全てが送達された後、被験者が一以上の投薬呼吸を続けるかもしれず、その場合は、吸入サイクルの最後の投薬呼吸(単数又は複数の)間、薬剤が投与されないか、あるいは無視できる量が投与されることになる可能性はあるものの)。好ましくは、連続的な投薬呼吸とは、一用量のドライパウダー薬剤が吸入器によって投与される間の、一連の吸入を指し、これには、被験者が一連の間の被験者の各吸入ごとに吸入器を通じて吸引すること、又は被験者が一連の間に、薬剤を含まない空気を定期的に吸引することが含まれる。好ましくは、被験者は、一連の間の被験者の各投薬呼吸ごとに吸入器を通じて吸引する。
好ましくは、吸入サイクルは、2〜30の連続的な投薬呼吸、又は2〜20の連続的な投薬呼吸、又は2〜15の連続的な投薬呼吸、又は2〜12の連続的な投薬呼吸、又は2〜10の連続的な投薬呼吸、又は2〜8の連続的な投薬呼吸、又は3〜30の連続的な投薬呼吸、又は3〜20の連続的な投薬呼吸、又は3〜15の連続的な投薬呼吸を含む。より好ましくは、吸入サイクルは、3〜12の連続的な投薬呼吸、又は3〜10の連続的な投薬呼吸、又は3〜8の連続的な投薬呼吸、又は4〜12の連続的な投薬呼吸、又は4〜10の連続的な投薬呼吸、4〜8の連続的な投薬呼吸、又は4〜6の連続的な投薬呼吸、又は30以下の連続的な投薬呼吸、又は20以下の連続的な投薬呼吸、又は15以下の連続的な投薬呼吸、又は12以下の連続的な投薬呼吸、又は10以下の連続的な投薬呼吸、又は8以下の連続的な投薬呼吸、又は6以下の連続的な投薬呼吸、又は5以下の連続的な投薬呼吸、又は4以下の連続的な投薬呼吸、又は3以下の連続的な投薬呼吸を含む。上述の通り、各吸入サイクルにおける連続的な吸入は、前記投薬呼吸に加えて、1又は複数の検証呼吸及び/又は1又は複数の投与量進行呼吸(すなわち、活性化事象)を含んでもよい。
特定の実施形態によれば、1又は複数のインジケータ(例えば、吸入サイクル中に点灯する光(例えば、発光ダイオード、LED)及び/又は薬剤送達の状況を伝える装置上の画面)によって、患者にフィードバックが提供されてもよい。例えば、吸入が進行しているとき、装置上のライトが、各呼吸とともに、第一カラー(例えば、ブルー)に点灯し、一連の吸入が正しく進行したことを確認し、且つ、投与量が完了すると、第一カラーと同じか又は異なる第二カラー(例えば、グリーン)が点灯する。
好ましい実施形態によれば、吸入器は、交換可能な構成要素(本明細書において、カートリッジ又は前方部とも称される)に取り付けられる再利用可能な構成要素(本明細書中で、べース又は後方部とも称される)を含み、前記交換可能な構成要素は1又は複数の投与量の薬剤、例えば既定用量の薬剤(例えば、ブリスターストリップ)を含む。ある実施形態によれば、前記再利用可能な構成要素は、1又は複数の電源(例えば、バッテリー)、呼吸センサ、コントローラ、及びトランスデューサを含み;及び交換可能なカートリッジは、1又は複数の既定用量の薬剤、投与量進行機構、投与チャンバ、気流導管、及びマウスピースを含む。例えば、再利用可能な構成要素は、電源とコントローラを含んでもよく;及び使い捨てのカートリッジは、1又は複数の既定用量の薬剤、及び投与量進行機構を含んでもよい。別の実施形態も考えられ、その実施形態では、電源、呼吸センサ、コントローラ、トランスデューサ又はマウスピースのいずれかは、再利用可能な構成要素ではなく、交換可能な構成要素の一部を形成してもよい:及び/又は、投与量進行機構、投与チャンバ又は気流導管のいずれかは、交換可能な構成要素ではなく、再利用可能な構成要素の一部を形成してもよい。再利用可能な構成要素は、好ましくは、ユーザー・インターフェース(例えば、画面表示)を含む;しかしながら、ユーザー・インターフェースは交換可能な構成要素の一部であってもよい。また、交換可能な構成要素は、好ましくは気流導管を含む;しかしながら、気流導管は、再利用可能な構成要素の一部であってもよく、又は、気流導管の一部が交換可能な構成要素の一部で、気流導管の他の部分が再利用可能な構成要素の一部であってもよい。
吸入器を使用する好ましい方法によれば、ユーザーは、薬剤を投与するために装置を使用する前に、ベースにカートリッジを取り付ける。それゆえ、吸入器を使用する方法は、薬剤を投与するために吸入器を使用する前に、カートリッジにベースを取り付ける第一工程を含んでもよい。例えば、この方法は、カートリッジにベースを取り付ける工程、装置のスイッチを入れる工程(例えば、吸入器のボタンを押すこと又は画面に触れることによって、又は別の活性化事象によって)及び、装置を通じて吸引を行い、投与を開始する工程を含んでもよい。それぞれの投与量を投与する前に、ベースにカートリッジを取り付ける必要は必ずしもない、例えば、前記方法は、カートリッジ中の薬剤の最初の投与量を送達する前に、ベースにカートリッジを取り付けることを含んでもよく、カートリッジは、カートリッジ内の薬剤の最後の投与量が送達されるまで、ベースに取り付けられたままでもよい:あるいは、ユーザーは、投与量の間にカートリッジを取り外し(例えば、各投与量ごとに、又は、2あるいは3の投与量ごとに、等)、投与量を投与する前にベースにカートリッジを再び取り付けてもよい。ある実施形態によれば、装置は、カートリッジが投与量の間に取り外されるように構成され、その装置は、次の利用可能な投与量(例えば、ブリスターストリップ内の)が、再取付により患者に利用可能となることを確実にし、それにより投与量はスキップされず、又は無駄にされない。
好ましい実施形態によれば、本発明の吸入器は、手で持って操作できる装置である、すなわち、それは、人の手で持てるほど小さい。これは、一般的に大きく且つ嵩張り、ユーザーが、彼又は彼女の手にマウスピースのみを持つことが可能である、従来のネブライザーとは対照的である。例えば、本発明の吸入器は、好ましくは、約50mm〜約100mm、又は約50mm〜約90mm、又は約60mm〜約100mm、又は約60mm〜約90mm、又は約60mm〜約80mmの幅;及び約100mm〜140mm、又は約100mm〜130mm、又は約100mm〜約120mm、又は約110mm〜約140mm、又は約110〜約130mm、又は約120〜約130mmの高さ;及び、約50mm〜約80mm、又は約50mm〜約70mm、又は約50mm〜約60mm、又は約60mm〜約80mm、又は約60mm〜約70mmの奥行(装置の表面から延びるマウスピースを除く)を有する。例えば、吸入器は、約100〜140mm(高さ)×約55〜95mm(幅)×約45〜75mm(奥行;マウスピースを除く)の寸法を有してもよい。マウスピースは任意のサイズとすることができる;好ましくは、マウスピースは、装置の表面から、約15mm〜約70mm、又は約20mm〜約70mm、又は約30mm〜70mm、又は約15mm〜約60mm、又は約15mm〜約50mm、又は約15mm〜約40mm、又は約15mm〜約30mm延びている。
好ましい実施形態によれば、吸入器は、コントローラ、すなわち、吸入器、データ記憶、プログラミング・インターフェースを制御するための1又は複数の回路基板に組み込まれた1又は複数の構成要素及び関連回路を含む。好ましくは、吸入器は、バッテリーにより吸入器に電力が供給されるように、コントローラと連結する電源(例えば、バッテリー、太陽電池など)を含む。バッテリーは、好ましくは再充電可能であり、外部電源アダプタを経て充電され、再充電が必要となる前に複数の投与量の投与を可能にする。好ましくは、バッテリーは、電子部品、投与量進行、及び振動エレメント(例えば、圧電トランスデューサ)の励起のための電力を供給する、再充電可能なリチウムイオンバッテリーである。好ましくは、バッテリーは、以下の仕様を満たす:0.1〜450mA、及び電圧 3000〜5000mV、又は3500〜4500mV、又は3700〜4300mV
好ましい実施形態によれば、吸入器は、約30L/分(LPM)の流量で、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.060cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPMの流れ抵抗を有する。流れ抵抗は、既知の方法、例えば、実施例2の方法で測定できる。多くの市販の吸入器は、本発明のものよりも高い流れ抵抗を有する。本発明と同様の流れ抵抗を有するたいていの市販の吸入器では、それらの最適性能は通常、60L/分以上の流量時であるが、易感染性肺機能を有する多くの子供及び成人の患者は、その抵抗レベルで、60L/分の流量を生じさせることができず、このような最適値未満の流量は、ドライパウダーの不完全な分散、粒子径の増加、及び最終的により低い気道へのより低い投薬をもたらしうる。以下に記載するように、本発明の吸入器は、本明細書に記載の好ましいAPSDプロファイル(例えば、MMAD,FPFなど)を達成する一方、15リットル/分(L/分又はLPM)程度に低い、又は20LPM程度に低い、又は25LPM程度に低い,又は30LPM程度に低い流量で、治療的有効量のドライパウダー薬剤を送達する能力がある。
本明細書に記載するように、吸入器は、1又は複数の投与量のドライパウダー薬剤を含む。ある実施形態によれば、吸入器は、複数のあらかじめ計量された個別の投与量のドライパウダー薬剤を含む。個々の投与量はそれぞれ、容器(例えば、1又は複数のブリスターストリップ、好ましくは1つのブリスターストリップに沿って配列された複数のブリスターポケットを有する、ブリスター)内に収容されていてもよい。ある実施形態によれば、吸入器は、1〜70の投与量、又は1〜60の投与量、又は1〜50の投与量、又は1〜40の投与量、又は1〜30の投与量、又は10〜70の投与量、又は10〜60の投与量、又は10〜50の投与量、又は15〜50の投与量、又は20〜50の投与量、又は25〜50の投与量、又は35〜50の投与量、又は10〜50の投与量、又は15〜40の投与量、又は20〜40の投与量、好ましくは25〜40の投与量、又は35〜40の投与量、又は28〜35の投与量、又は35〜35の投与量を有し、これらは任意でブリスターストリップ中に収容された既定用量である。例えば、吸入器は、ベースに取り付け可能な単一のカートリッジから、それらの投与量のいくらかを投与するように構成されていてもよい。図面に示されている特定の実施形態によれば、ブリスターストリップはトラックの周りに配置されている(例えば、図2B参照)。ブリスターストリップが、ダブルトラックの周りに配置されており、それによって吸入器がより多くの投与量を収容できる実施形態(例えば、トラックは、第一トラックの外側あるいは内側の周りに伸びることによって、より長く形成されている)、又はブリスターがトラックの周りに配置される代わりに、吸入器の内側にコイルとして貯蔵されている実施形態も考えられる。
ある実施形態によれば、吸入器の内側の個別の投与量(例えば、ブリスター内のドライパウダー製剤の量)は、約10mg以下、より好ましくは約8mg以下、約7mg以下、約6mg以下、約5mg以下、約4mg以下、約3mg以下、約2.5mg以下、又は約2mg以下である。例えば、各ブリスター内の製剤の量は、約0.1mg〜約10mg、又は約0.1mg〜約5mg、又は約0.1mg〜約4mg、又は約0.1mg〜約3mg、又は約0.1mg〜約2.5mg、又は約0.1mg〜約2mg、又は約0.5mg〜約10mg、又は約0.5mg〜約5mg、又は約0.5mg〜約4mg、又は約0.5mg〜約3mg、又は約0.5mg〜約2.5mg、又は約0.5mg〜約2mg、約1mg〜約10mg、又は約1mg〜約5mg、又は約1mg〜約4mg、又は約1mg〜約3mg、又は約1mg〜約2.5mg、又は約1mg〜約2mgであってもよい。
装置の特定の実施形態は、従来のDPIによって投与される用量より、はるかに少ない用量のドライパウダー薬剤を投与する能力がある(特にラクトース等のキャリアを含む製剤を投与するDPIと比べて)。例えば、Advair(登録商標)Diskusは、ブリスターあたり約12.5mgの製剤(キャリアとしてラクトース一水和物を含む)を含む;Breo(登録商標)Elliptaは、ブリスターあたり約12.5mgの製剤(キャリアとしてラクトース一水和物を含む)を含む;Foradil(登録商標)Aerolizerは、約25mgの製剤(キャリアとしてラクトースを含む)を投与する。それにひきかえ、本装置の特定の実施形態は、一投与量あたり10mg以下の製剤、又は一投与量あたり8mg以下の製剤、又は一投与量あたり6mg以下の製剤、又は一投与量あたり5mg以下の製剤、又は一投与量あたり4mg以下の製剤、又は一投与量あたり3mg以下の製剤、又は一投与量あたり2.75mg以下の製剤、又は一投与量あたり2.5mg以下の製剤、又は一投与量あたり約0.5mg〜約25mgの製剤を投与する。例えば、本装置の特定の実施形態は、ブリスターあたり約10mg未満の製剤、又はブリスターあたり約8mg未満の製剤、又はブリスターあたり約6mg未満の製剤、又はブリスターあたり約5mg未満の製剤、又はブリスターあたり約4mg未満の製剤、又はブリスターあたり約3mg未満の製剤、又はブリスターあたり約2.75mg未満の製剤、又はブリスターあたり約2.5mg未満の製剤、又はブリスターあたり約0.5mg〜約25mgの製剤を投与する。さらに、前記装置は、深い又は力強い吸入ではなく、通常の周期的な呼吸を経て各投与量を送達可能である。
特定の実施形態によれば、本発明の各投与量中(例えば、各ブリスター内)のドライパウダー製剤は、少なくとも1つの薬剤、及びラクトース(例えば、ラクトース一水和物)等の少なくとも1つのキャリアを含む。例えば、各投与量(例えば、ブリスター)内のドライパウダー製剤は、少なくとも1つの薬剤を、少なくとも70重量%のキャリア(例えば、ラクトース)、又は少なくとも75重量%のキャリア、又は少なくとも80重量%のキャリア、又は少なくとも85重量%のキャリア、又は少なくとも90重量%のキャリア、又は少なくとも92重量%のキャリア、又は少なくとも95重量%のキャリア、又は少なくとも96重量%のキャリア、又は少なくとも97重量%のキャリア、又は少なくとも97.5重量%のキャリア、又は少なくとも98重量%のキャリア、又は少なくとも98.5重量%のキャリア、又は少なくとも99重量%のキャリア、又は少なくとも99.5重量%のキャリア、又は85重量%〜99.9重量%、又は90重量%〜99.9重量%、又は92重量%〜99.9重量%、又は95重量%〜99.9重量%、又は97重量%〜99.9重量%、又は97.5重量%〜99.9重量%のキャリアとの組み合わせで含んでもよい。
ある実施形態によれば、前記キャリアと薬剤(単数又は複数)は、通常の混合プロセス(高せん断混合など)によって、混和される:例えば、それらはキャリアと薬剤(単数又は複数)をともに同時噴霧乾燥することに(co-spray drying)によってはブレンドされない。ある実施形態によれば、ラクトースは、およそ以下のような粒度分布を有する:D10:10μm以下;D50:70μm以下、D90:70μm以下。ある実施形態によれば、ラクトースは、およそ以下のような粒度分布を有する:D10:2μm以上;D50:30μm以上、D90:120μm以上。ある実施形態によれば、ラクトースは、およそ以下のような粒度分布を有する:D10:2〜10μm;D50:30〜70μm、D90:120〜200μm。ある実施形態によれば、ラクトースは、およそ以下のような粒度分布を有する:D10:3〜7μm;D50:37〜61μm、D90:124〜194μm。ある実施形態によれば、製剤中で使用されるラクトース一水和物は、Respitose(登録商標)ML001である。
別の実施形態によれば、キャリア(単数又は複数)及び/又は賦形剤(単数又は複数)は、薬剤(単数又は複数)と、それらを一緒に同時噴霧することによって(例えば、噴霧乾燥によって)ブレンドされてもよい。
特定の実施形態によれば、製剤中の少なくとも1つの薬剤(例えば、1つ、2つ、又は3つの薬剤)の総量は、0.1重量%〜80重量%、又は0.1重量%〜70重量%、又は0.1重量%〜60重量%、又は0.1重量%〜50重量%、又は0.1重量%〜40重量%、又は0.1重量%〜35重量%、又は0.1重量%〜30重量%、又は0.1重量%〜25重量%、又は0.1重量%〜20重量%、又は0.1重量%〜15重量%、又は0.1重量%〜12重量%、又は0.1重量%〜10重量%、又は0.1重量%〜8重量%、又は0.1重量%〜6重量%、又は0.1重量%〜5重量%、又は0.1重量%〜4重量%、又は0.1重量%〜3重量%、又は0.1重量%〜2.5重量%、又は0.1重量%〜2重量%、又は0.1重量%〜1.5重量%、又は0.1重量%〜1重量%である。製剤は、任意で、1又は複数の賦形剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含んでもよい。製剤に含まれうるAPIの例は、以下に及び実施例中に記載される。ある実施形態によれば、各製剤は、LAMA(例えば、臭化グリコピロニウム又は臭化チオトロピウム)及び/又はLABA(例えば、ホルモテロールフマル酸塩)を含む。別の実施形態によれば、各製剤は、硫酸アルブテロールを含む。
装置がブリスターストリップを含む特定の実施形態によれば、各ブリスターは、同じ製剤を同じ量(通常の製造時の変動によって、ブリスター間にわずかな差があってもよいことが理解される)で含む。別の実施形態によれば、装置中の異なるブリスターは、別の治療計画を提供するために、別の異なる種類及び/又は異なる量の製剤を含んでもよい;例えば、ブリスターストリップ上の一連のブリスターは、2種類の異なる製剤を、交互に含んでもよく、又は、第一の一連のプリスターが第一の製剤を含み、第二の一連のプリスターが第二の製剤を含んでもよい等。
ある実施形態によれば、一用量の薬剤(薬剤の投与量、すなわち、治療的有効量の薬剤)を投与するために吸入器を使用する方法は、周期的な吸入により吸入器のマウスピースから、2〜30の連続的な吸入からなる、又は2〜20の連続的な吸入からなる、又は3〜30の連続的な吸入からなる、又は3〜20の連続的な吸入からなる、又は2〜15の連続的な吸入からなる、又は3〜15の連続的な吸入からなる、又は2〜12の連続的な吸入からなる、又は3〜12の連続的な吸入からなる、又は2〜10の連続的な吸入からなる、又は3〜10の連続的な吸入からなる、又は2〜8の連続的な吸入からなる、又は3〜8の連続的な吸入からなる、又は4〜30の連続的な吸入からなる、又は4〜20の連続的な吸入からなる、又は4〜15の連続的な吸入からなる、又は4〜12の連続的な吸入からなる、又は4〜10の連続的な吸入からなる、又は4〜8の連続的な吸入からなる、又は5〜30の連続的な吸入からなる、又は5〜20の連続的な吸入からなる、又は5〜10の連続的な吸入からなる(好ましくは、30以下の連続的な吸入、又は20以下の連続的な吸入、又は15以下の連続的な吸入、又は12以下の連続的な吸入、又は10以下の連続的な吸入、又は8以下の連続的な吸入、又は6以下の連続的な吸入、又は5以下の連続的な吸入)からなる吸入サイクルを完了させることを含み、ここで前記吸入器は、1又は複数の投与量のドライパウダー薬剤を含む。個々の投与量は、約10mg以下、約8mg以下、約7mg以下、約6mg以下、約5mg以下、約4mg以下、約3mg以下、約2.5mg以下、約2mg以下であってもよく、エアロゾルエンジンは、投与量をエアロゾル化するための振動エレメントを含んでおり、前記投与量は、吸入サイクルの間に吸入器によって投与される。
装置がブリスターストリップを含む一実施形態によれば、ブリスターから一用量の薬剤(薬剤の投与量、すなわち、治療的有効量の薬剤)を投与するために吸入器を使用する方法は、周期的な吸入により吸入器のマウスピースから、2〜30の連続的な吸入からなる、又は2〜20の連続的な吸入からなる、又は3〜30の連続的な吸入からなる、又は3〜20の連続的な吸入からなる、又は2〜15の連続的な吸入からなる、又は3〜15の連続的な吸入からなる、又は2〜12の連続的な吸入からなる、又は3〜12の連続的な吸入からなる、又は2〜10の連続的な吸入からなる、又は3〜10の連続的な吸入からなる、又は2〜8の連続的な吸入からなる、又は3〜8の連続的な吸入からなる、又は4〜30の連続的な吸入からなる、又は4〜20の連続的な吸入からなる、又は4〜15の連続的な吸入からなる、又は4〜12の連続的な吸入からなる、又は4〜10の連続的な吸入からなる、又は4〜8の連続的な吸入からなる、又は5〜30の連続的な吸入からなる、又は5〜20の連続的な吸入からなる、又は5〜10の連続的な吸入からなる(好ましくは、30以下の連続的な吸入、又は20以下の連続的な吸入、又は15以下の連続的な吸入、又は12以下の連続的な吸入、又は10以下の連続的な吸入、又は8以下の連続的な吸入、又は6以下の連続的な吸入、又は5以下の連続的な吸入)からなる吸入サイクルを完了させることを含み、ここで前記吸入器は、複数の所定の投与量のドライパウダー薬剤を含み、ここで、個々の投与量は、約10mg以下、約8mg以下、約7mg以下、約6mg以下、約5mg以下、約4mg以下、約3mg以下、約2.5mg以下、約2mg以下であり、ブリスター内に収容されており、エアロゾルエンジンは、各投与量をエアロゾル化するための振動エレメントを含んでおり、前記投与量は、吸入サイクルの間に吸入器によって投与される。
ある実施形態によれば、振動エレメントから容器(例えば、ブリスターストリップ上のブリスター)へのエネルギー伝達(例えば、機械的振動及び/又は音響エネルギーの形での)により、装置が、治療的有効量の薬剤を吸入サイクルの間に投与する。ある実施形態によれば、振動エレメントから容器(例えば、ブリスター)へのエネルギー伝達(例えば、機械的振動及び/又は音響エネルギーの形での)により、装置が、投与量(例えば、ブリスターの内側に収容されている)中の少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は少なくとも100%の製剤を、吸入サイクルの間に投与する。投与量中の残りの粉末の%は、例えば、吸入サイクル前後に容器を秤量し、%の差を決定することによって、求めることができる。好ましくは、容器の内側の全てのドライパウダーが、吸入サイクルの間に投与される(少量ではあるが一定の量の粉末が、全投与量が投与された後に、容器内になお残ってもよいことが理解される;例えば、粉末のごくわずかなフィルム、又は無視できる量が、容器の表面上に残るかもしれない)又は実質的に全ての内容物が、容器から投与される。
好ましい実施形態によれば、吸入器は、幅広い範囲のユーザー流量にわたって、例えば、15L/分(LPM)程度の低い流量で、又は約15L/分〜約90L/分、又は約15L/分〜約60L/分、又は約15L/分〜約30L/分、又は約22L/分〜約32L/分、又は約30L/分〜約60L/分、又は約30L/分〜約90L/分にわたる流量で、これらのレベルのブリスター・クリアランスを達成する能力を有する。このように、好ましい実施形態によれば、ブリスターの内側に収容された全投与量、あるいはほぼ全投与量が、装置を通じて吸引するユーザーが、周期的な吸入を経るか、又は強い吸入を経るかにかかわらず、及びユーザーが易感染性肺疾患を有するか否かにもかかわらず、吸入サイクルの間に(例えば、5〜10の連続的な吸入の間に、又は4〜8の投薬呼吸の間に、等)投与可能である。好ましくは、前記装置は、装置の内側に収容された全ての投与量について(例えば、ブリスターストリップ内に収容された全ての投与量について)、又は装置の内側に収容された投与量の少なくとも90%について、これらのレベルのブリスター・クリアランスを達成する。幅広い範囲の流量にわたって一貫した投与量を送達するこの能力は、従来のDPIとは対照的である。
好ましい実施形態によれば、本発明の吸入器は、装置内に収容されたそれぞれの投与量について、薬剤の目的送達量の65%〜135%、又は75%〜125%、又は80%〜120%を投与する、及び/又は、装置は、装置内に収容された全ての投与量について、又は装置内に収容された投与量の90%について、平均で薬剤の目的送達量の65%〜135%、又は75%〜125%、又は80%〜120%を投与する。例えば、装置は、装置内に収容された全ての投与量について、又は装置内に収容された投与量の90%について、±20%又は±25%又は±35%の送達量均一性を維持する。好ましくは、この送達量均一性は、15L/分(LPM)程度の低い流量で、又は約15L/分〜約90L/分、又は約15L/分〜約60L/分、又は約15L/分〜約30L/分、又は約22L/分〜約32L/分、又は約30L/分〜約60L/分、又は約30L/分〜約90L/分にわたる流量で、又は15L/分、及び/又は、30L/分、及び/又は、60L/分、及び/又は、90L/分の流量で達成される。本明細書で使用される、目的送達量は、好ましくは、吸入器によって送達されるべく、医師によって処方されている薬剤の名目投与量を指す。薬剤の目的送達量は、各ブリスターの内側に収容されている充填投与量の量と必ずしも同一ではない;例えば、ブリスターは、4mcgの目的送達量又は名目投与量に対して、5mcgの薬剤充填量を含んでもよい。吸入器によって投与又は送達される投与の量は、好ましくは、吸入器から出ていく量を指し、これはインビトロの試験方法によって測定することができる。被検者の肺に送達される薬剤の実際の量は、患者側のファクター(解剖学的な特性及び吸気流プロファイルなど)に依存するであろう。
好ましい実施形態によれば、吸入器は、少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は約30〜約90%、又は約30〜約80%、又は約30〜約70%、又は約30〜約60%、又は約30〜約50%、又は約40〜約90%、又は約40〜約80%、又は約40〜約70%、又は約40〜約60%の微粒子画分(FPF:fine particle fraction)を送達する。本明細書で使用される、FPFは、5マイクロメートル(μm)以下の空気動力学的直径を有する送達量のパーセンテージを指す。好ましくは、このFPFは、15L/分程度の低い流量で、又は約15L/分〜約90L/分、又は約15L/分〜約60L/分、又は約15L/分〜約30L/分、又は約22L/分〜約32L/分、又は約30L/分〜約60L/分、又は約30L/分〜約90L/分にわたる流量で、又は15L/分、及び/又は、30L/分、及び/又は、60L/分、及び/又は、90L/分の流量で達成される。好ましくは、前記装置は、単一の投与量について、又は吸入器内に収容されている投与量の全てについて、例えばブリスターストリップ上に収容されている投与量の全てについて、又は吸入器の内側に収容されている投与量の少なくとも90%について、このFPFを達成する。好ましくは、このFPFは、吸入器の内側に収容されている投与量の全てに対する平均値である。
好ましい実施形態によれば、本発明の吸入器は、肺へ送達されるのに十分に小さい粒径を有する粒子を含むドライパウダー薬剤を送達する。肺への最適な送達のために、ドライパウダーは、好ましくは、約0.1ミクロン〜約10ミクロン、好ましくは約0.5ミクロン〜約6ミクロンの空気動力学的中央粒子径の粉末サイズまで、微粒子化されるべき、又は噴霧乾燥されるべきである。しかしながら、サイズ制御された粒子を製造する他の方法、例えば、超臨界流体法、制御沈殿なども、有利に採用されうる。好ましくは、本明細書で使用される「空気動力学的中央粒子径」又は「MMAD」は、典型的には多分散集団における、複数の粒子の空気動力学的中央径を指す。「空気動力学的直径」は、好ましくは、粉末として、一般的に空気中で、同じ沈降速度を有する単位密度球の直径であり、それゆえ、その沈降挙動の観点から、エアロゾル化された粉末又は他の分散粒子又は粒子製剤を特性化するのに有用な方法である。MMADは、本明細書中で、カスケード・インパクションによって測定される。
好ましい実施形態によれば、前記吸入器は、約10μm(ミクロン)以下、又は約8ミクロン以下、又は約6ミクロン以下、又は約5ミクロン以下、又は約4ミクロン以下、又は約3.75ミクロン以下、又は約3.5ミクロン以下、又は約3.0ミクロン以下、又は約0.1μm〜約10μm、又は約0.1μm〜約8μm、又は約0.1μm〜約6μm、又は約0.1μm〜約5μm、又は約0.1μm〜約4μm、又は約1μm〜約10μm、又は約1μm〜約8μm、又は約1μm〜約6μm、又は約1μm〜約5μm、又は約1μm〜約4μmのMMADを有するドライパウダー製剤を送達する。好ましくは、このMMADは、15L/分程度の低い流量で、又は約15L/分〜約90L/分、又は約15L/分〜約60L/分、又は約15L/分〜約30L/分、又は約22L/分〜約32L/分、又は約30L/分〜約60L/分、又は約30L/分〜約90L/分にわたる流量で、又は15L/分、及び/又は、30L/分、及び/又は、60L/分、及び/又は、90L/分の流量で達成される。好ましくは、前記装置は、このMMADを、装置内に収容されている投与量の全てについて、例えばブリスターストリップ内に収容されている投与量の全てについて、又は装置の内側に収容されている投与量の少なくとも90%について、達成する。好ましくは、このMMADは、装置の内側に収容されている投与量の全てに対する平均値である。
好ましい実施形態によれば、吸入器の振動エレメントは、圧電トランスデューサであり、この実施形態は以下に、より詳細に記載される。ある実施形態によれば、振動のために作動される際の、振動エレメント(例えば、圧電トランスデューサ)に供給される電圧の量は、約180〜260Vp-p、又は約190〜250Vp-p、又は好ましくは約200〜240Vp-pである。ある実施形態によれば、圧電トランスデューサは、約36kHz〜約43kHz、又は約37kHz〜約43kHz、又は約38kHz〜約43kHz、又は約36kHz〜約42kHz、又は約36kHz〜約41kHz、又は約36kHz〜約40kHz、又は約36kHz〜約39kHz、又は約37kHz〜約42kHz、又は約37kHz〜約41kHz、又は約37kHz〜約40kHz、又は約38kHz〜約42kHz、又は約38kHz〜約41kHz、又は約38kHz〜約40kHz、又は約38kHz〜約39kHzの周波数で振動する。
ある実施形態によれば、投薬呼吸によって活性化されると、圧電トランスデューサ(ピエゾ)は、吸入毎に、約50ms〜約1000ms間振動するために作動される。投薬呼吸に応じたピエゾの各活性化(作動)は、バースト又はパルスと称されてもよい。好ましくは、この活性化又はバーストは、ユーザーの吸入の初めのほうで投与量の少なくとも一部をエアロゾル化するのに効果的であり、吸入の残りは、ユーザーの肺の中にエアロゾル化された投与量(又はその一部)を引き込む追い込み空気となる。別の実施形態によれば、圧電トランスデューサは、投薬呼吸ごとに、約50ms〜約1000ms、又は約50ms〜約900ms、又は約50ms〜約800ms、又は約50ms〜約700ms、約50ms〜約600ms、又は約50ms〜約500ms、約50ms〜約400ms、又は約50ms〜約300ms、約50ms〜約200ms、又は約50ms〜約100ms、又は約100ms〜約900ms、又は約100ms〜約800ms、又は約100ms〜約700ms、約100ms〜約600ms、又は約100ms〜約500ms、約100ms〜約400ms、又は約100ms〜約300ms、約100ms〜約200ms間振動するために作動される。
様々な投与スキーム実施形態によれば、ピエゾは、吸入サイクルの間に異なる時間作動されてもよく、あるいは吸入サイクルの間に同じ時間作動されてもよい。例えば、ピエゾは、吸入サイクルの合計8回の投薬呼吸において、最初の4回の投薬呼吸のそれぞれに対し100ms間作動され、続く4回の投薬呼吸のそれぞれに対し300ms間作動されてもよい(合計1.6秒の「オンタイム」)。別の実施例によれば、ピエゾは、吸入サイクル中の合計4回の投薬呼吸のそれぞれについて500ms間作動されてもよい(合計2秒の「オンタイム」)。ある実施形態によれば、トランスデューサ150は、一連のバースト(例えば、3バースト〜12バースト、又は3バースト〜10バースト、又は3バースト〜8バースト、又は3バースト〜6バースト)のうち最初のバーストの間に約100ミリ秒〜約500ミリ秒間作動され、一連の間に、容器(例えば、一つのブリスター130)の内容物を送達する。
「オンタイム」とは、好ましくは、吸入サイクルの間に、投与チャンバにシンセティックジェットを引き起こすのに十分な、トランスデューサがその共振周波数で作動する時間の合計を指す;すなわち、吸入サイクルの間の、トランスデューサの共振周波数で発生するバーストの数(シンセティックジェットを引き起こすのに十分な(例えば、4バースト))に、バーストあたりの時間の量(例えば、500ms)を乗じる(4×500ms=2秒のオンタイム)。例えば、吸入サイクルが4回の投薬呼吸を含むため、38〜42kHzの共振周波数を有するトランスデューサが、毎回500ms間、その周波数で合計4回作動する場合、それらの活性化のそれぞれは、トランスデューサの共振周波数で発生し(シンセティックジェットを生成するのに十分な)、吸入サイクルの合計オンタイムは2秒である(本明細書に記載されるように、オンタイムに含まれる、ホップ周波数による短時間の中断を伴う)。「オフタイム」はオンタイムの一部ではなく、好ましくは、トランスデューサが作動されない場合、又はトランスデューサが、シンセティックジェットを引き起こすのに十分なほど投与チャンバを共振させない一以上の周波数で作動される場合の、吸入サイクルの間のそれらの時間帯を含み(例えば、38〜42kHzで共振するトランスデューサは、投薬呼吸の間に10kHの周波数で作動し、吸入サイクルの間の、オフタイムは合計20〜30秒である)、活性化のそれらの「オフタイム」期間は、オンタイムの一部とは見なされない。
ある実施形態によれば、トランスデューサは、吸入サイクルの間に合計5秒以下(任意の投与スキームに従って。例えば、それぞれ500ms間・10バースト、等)の間、又は合計4秒以下の間、又は合計3秒以下の間、又は合計2秒以下の間、又は合計で約1秒〜約5秒、又は約1秒〜約4秒、又は約1秒〜約3秒、又は約1秒〜約2秒、又は約1秒〜約1.8秒、又は約1秒〜約1.6秒、又は約1秒〜約1.4秒、又は約1.2秒〜約3秒、又は約1.2秒〜約2秒の「オンタイム」の間、振動のために作動される。
ある実施形態によれば、エアロゾルエンジンは、前述したように、ピエゾが作動して吸入サイクルの間に合計5秒以下のオンタイムで振動する際、少なくとも3つの圧電バースト(その共振周波数での)を含む吸入サイクルの間に、又は少なくとも4つの圧電バーストにわたって、又は少なくとも5つの圧電バーストにわたって、又は少なくとも6つの圧電バーストにわたって、又は少なくとも7つの圧電バーストにわたって、又は少なくとも8つの圧電バーストにわたって、又は少なくとも9つの圧電バーストにわたって、又は少なくとも10の圧電バーストにわたって、治療的有効量(例えば、ブリスター130から)を送達する能力がある。例えば、吸入サイクルは、その共振周波数にて、3〜12の圧電バースト、又は3〜10の圧電バースト、又は3〜8の圧電バースト、又は4〜12の圧電バースト、又は4〜10の圧電バースト、又は4〜8の圧電バースト、又は4〜6の圧電バースト、又は30以下の圧電バースト、又は20以下の圧電バースト、又は15以下の圧電バースト、又は12以下の圧電バースト、又は10以下の圧電バースト、又は8以下の圧電バースト、又は6以下の圧電バースト、又は5以下の圧電バースト、又は4以下の圧電バースト、又は3以下の圧電バーストを含んでもよい。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、ピエゾ活性化(バースト)あたり、少なくとも0.1マイクログラム(μg)のAPI、又はバーストあたり少なくとも0.5μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも1μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも2μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも3μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも4μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも5μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも6μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも7μgのAPI、又はバーストあたり少なくとも8μgのAPIを送達する。バーストあたりに送達されるAPIの量は、投与量中のAPIの量又はwt%によって変わってもよい。薬剤送達装置は、吸入サイクルの間、バーストあたり異なる量のAPIを送達してもよい;例えば、最初のバースト、又は最初の2つのバーストによって送達されるAPIの量はそれぞれ、最後のバースト、又は最後の2つのバーストによって送達されるAPIの量より多くてもよい。ある実施形態において、バースト(例えば、最初の投薬呼吸に応じた最初のバースト)は、投与量の少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%を送達する。
異なる駆動スキームの例が、実施例4に提供される。少なくとも90重量%(wt%)のキャリア(例えば、ラクトース)、又は少なくとも92重量%のキャリア、又は少なくとも95重量%のキャリア、又は少なくとも96重量%のキャリア、又は少なくとも97重量%のキャリア、又は少なくとも97.5重量%のキャリア、又は少なくとも98重量%のキャリア、又は少なくとも98.5重量%のキャリア、又は少なくとも99重量%のキャリア、又は少なくとも99.5重量%のキャリア、又は85重量%〜99.9重量%、又は90重量%〜99.9重量%、又は92重量%〜99.9重量%、又は95重量%〜99.9重量%、又は97重量%〜99.9重量%のキャリア、又は97.5重量%〜99.9重量%のキャリアとともに、少なくとも1種のAPIを含むドライパウダー製剤の例において、一実施形態では、最初のバーストは、少なくとも0.5μgのAPI、又は少なくとも1μgのAPI、又は少なくとも1.5μgのAPI、又は少なくとも2μgのAPI、又は少なくとも3μgのAPI、又は少なくとも4μgのAPI、又は少なくとも5μgのAPI、又は少なくとも6μgのAPI、又は少なくとも7μgのAPI、又は少なくとも8μgのAPI、又は約0.5μg〜約8μg、又は約0.5μg〜約6μg、又は約0.5μg〜約4gのAPIを送達する。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、最初の投薬呼吸に応じて(すなわち、最初のバーストで)、薬剤の投与量の少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%を投与し、及び投与量の残りを、吸入サイクル中の残りの投薬呼吸の間に投与する。別の言い方をすれば、薬剤送達装置は、吸入サイクルにおける最初の投薬呼吸に応じて、ドライパウダー薬剤の投与量のうち、少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%を投与するように構成されてもよい。
少なくとも90重量%のキャリア(例えば、ラクトース)、又は少なくとも92重量%のキャリア、又は少なくとも95重量%のキャリア、又は少なくとも96重量%のキャリア、又は少なくとも97重量%のキャリア、又は少なくとも97.5重量%のキャリア、又は少なくとも98重量%のキャリア、又は少なくとも98.5重量%のキャリア、又は少なくとも99重量%のキャリア、又は少なくとも99.5重量%のキャリア、又は85重量%〜99.9重量%、又は90重量%〜99.9重量%、又は92重量%〜99.9重量%、又は95重量%〜99.9重量%、又は97重量%〜99.9重量%のキャリア、又は97.5重量%〜99.9重量%のキャリアとともに、少なくとも1種のAPIを含むドライパウダー製剤の例において、一実施形態(例えば、実施例4)では、トランスデューサは、完全な医薬投与量を送達するのに、毎回約400ミリ秒〜約600ミリ秒で、4回作動される。第一のバーストは、ブリスター130中の当初の投与量の約70%〜約80%を送達するように構成されてもよい。第二、第三、及び第四のバーストはそれぞれ、ブリスター130中の当初の投与量の約5%〜約15%を送達するように構成されてもよい。
ある実施形態(例えば、実施例4)において、第一のバーストは、薬剤の目的送達量の少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%;又は目的送達量の約40%〜約85%を送達する。別の実施形態によれば、第一のバーストは、投与量中(例えば、ブリスター130中)の薬剤の少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%を送達する。ある実施形態では、第二のバーストは、ブリスター130中の当初の薬剤量の少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約20%を送達する。ある実施形態では、第三及び第四のバーストはそれぞれ、ブリスター中の当初の薬剤量の少なくとも約1%、又は少なくとも約5%、又は少なくとも約10%を送達する。ある実施形態では、残りのバーストは、ブリスター中の当初の薬剤量の残りを送達する。
以下により詳細に記載するように、ある実施形態によれば、圧電トランスデューサの各活性化により、ドライパウダー薬剤投与量の少なくとも一部がエアロゾル化し、ブリスターから投与チャンバ内に移動し、それによって音波が、薬剤を投与チャンバの1又は複数の開口部から気流導管中に排出させ、薬剤が患者の吸引呼吸中に取り込まれる。好ましくは、本発明の吸入器は、薬剤粉末のエアロゾル化を助けるために、シンセティックジェットを使用する。シンセティックジェットは、米国特許第7,318,434号、第7,779,837号、第7,334,577号、及び第8,322,338号に記載されており、これらは参照により本明細書に包含される。前述の特許に記載されているように、チャンバがその一端で音波発生装置とつながり、その他端で小さいオリフィスを有する剛壁とつながっている場合、十分高い周波数及び振幅で、音波が発生器から発せられた場合、前記オリフィスからチャンバの外側に出ていく空気ジェットを生じさせることができる。前記ジェット、又はいわゆるシンセティックジェットは、前記オリフィスにて形成される一連の渦巻き状のエアパフ(air puffs)からなる。
特定の実施形態によれば、ピエゾは、投与チャンバと対面し、ピエゾが単一のバーストでわずか50ms、又はわずか100ms、又は単一のバーストでわずか200ms、又は単一のバーストでわずか300ms間作動すると、投与チャンバの開口部(単数又は複数)外への最大シンセティックジェットを達成することができる。好ましくは、シンセティックジェットは、少なくとも0.5V、又は少なくとも0.6V、又は少なくとも0.7V、又は少なくとも0.8V、又は少なくとも0.9V、又は少なくとも1.0V、又は少なくとも1.1V、又は少なくとも1.2V、又は少なくとも1.3V、又は少なくとも1.4V、又は少なくとも1.5V、又は少なくとも1.6V、又は少なくとも1.7V;例えば、0.5V〜1.7V、又は0.5V〜1.6V、又は0.5V〜1.5V、又は0.5V〜1.4V、又は0.5V〜1.3V、又は0.5V〜1.2V、又は0.5V〜1.0V(例えば、圧力信号を電圧に変換するオシロスコープによって定量される)を達成する。シンセティックジェットは、実施例1に記載される手順に従って観察され、定量化されてもよい。実施例1に記載されるように、エアロゾルエンジンは、投与チャンバの開口部(単数又は複数)から外へ流れ出る気体流を測定する呼吸流量増幅器(PA-1:Pneumotach Amplifier 1)に接続されている。差圧信号が測定され、流量に比例したアナログ出力を提供するために増幅される。PA-1は、信号を電圧に変換するオシロスコープに接続されている。
本明細書に記載されるインビトロ及びインビボ研究によって実証されるように、吸入器は、好ましくは呼吸器疾患又は障害、又はそれらの1又は複数の症状(例えば、COPD、喘息、嚢胞性線維症、IPF、等を含む群又はそれらからなる群より選択される)を治療するために、好ましくは被験者が周期的な吸入により吸入器を通じて吸引する際に、被験者の肺に治療的有効量のドライパウダー薬剤(1種又は複数種)を送達する能力を有する。吸入器は、幅広い範囲の流量(例えば、15〜90LPM又は15〜60LPM又は30〜90LPM又は30〜60LPM)にわたって、及び好ましくは幅広い範囲のトランスデューサ駆動スキームにわたって、治療的有効量(平均送達量の80%〜120%の範囲内)を送達する能力を有し、ここで、前記駆動スキームは、バーストの数(例えば、4〜8バースト)及びバーストあたりの「オンタイム」の量(例えば、100ms/バースト〜500ms/バースト)によって異なる(例えば、全てのバーストにわたる、約1秒〜約5秒の範囲の合計「オンタイム」)。
前記装置は、好ましくは、様々な流量にわたって、及び好ましくは様々な駆動スキームにわたって、一貫した空気力学的粒度分布(APSD)を維持し、ここで、空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、一貫して、約10μm(ミクロン)以下、又は約8ミクロン以下、又はより好ましくは約6ミクロン以下、又は約5ミクロン以下、又は約4ミクロン以下、又は約3.75ミクロン以下、又は約3.5ミクロン以下、又は約3.0ミクロン以下、又は約0.1μm〜約10μm、又は約0.1μm〜約8μm、又は約0.1μm〜約6μm、又は約0.1μm〜約5μm、又は約0.1μm〜約4μm、又は約1μm〜約10μm、又は約1μm〜約8μm、又は約1μm〜約6μm、又は約1μm〜約5μm、又は約1μm〜約4μmである。好ましくは、FPFも、様々な流量及び駆動スキームにわたって一貫しており、例えば、少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は約30%〜約90%、又は約30%〜約80%、又は約30%〜約70%、又は約30%〜約60%、又は約30%〜約50%、又は約40%〜約90%、又は約40%〜約80%、又は約40%〜約70%、又は約40%〜約60%である。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、ドライパウダー薬剤を含むように構成された内部を有する投与チャンバ、投与チャンバと向かい合うトランスデューサ(ここで、投与チャンバとトランスデューサは、投与チャンバが、トランスデューサの作動に応じて共振するように構成されており、音響的に共振性である)、トランスデューサに電気的に連結されており、装置が被験者の周期的な吸入を感知した際、トランスデューサを作動させる電気信号を送るように構成されたコントローラ、を含む(例えば、装置は、前記電気信号を生成することができるプログラムコードを含む)。薬剤送達装置は、好ましくは、1分あたり30リットル(LPM)にて、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPMの範囲の流れ抵抗を有し、2〜20の周期的な吸入に応じて治療的有効量のドライパウダー薬剤を送達することができ、前記有効量は約6ミクロン以下の空気動力学的中央粒子径(MMAD)と、少なくとも30%の微粒子画分を有している。
別の実施形態によれば、呼吸器疾患又は状態(例えば、COPD、喘息、CF、IPF、等)、又はそれらの1又は複数の症状を治療する方法(例えば、被験者のFEV1を増加する方法)は、吸入サイクルの間に2〜20の周期的な吸入を使用して、薬剤送達装置を通じて治療的有効量のドライパウダー薬剤を吸入することを含み、前記吸入サイクルは投薬呼吸を含んでおり、前記薬剤送達装置は、各投薬呼吸により作動され、投与チャンバ内でドライパウダー薬剤をエアロゾル化させ、投与チャンバの1又は複数の開口部から、気流導管へと放出させる振動エレメントを含み、ここで、投与チャンバにおける圧力振動は、1又は複数の開口部にて、シンセティックジェットにより、ドライパウダー薬剤をエアロゾル化し、放出できるほど十分に高い。前記薬剤送達装置は、好ましくは、1分あたり30リットル(LPM)にて、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPMの範囲の流れ抵抗を有し、周期的な吸入に応じて投与量のドライパウダー薬剤を送達することができ(例えば、少なくとも、約15LPM〜約30LPMの範囲内の流量に応じて)、前記薬剤送達装置によって送達される投与量のドライパウダー薬剤は、約6ミクロン以下の空気動力学的中央粒子径(MMAD)と、少なくとも30%の微粒子画分を有している。好ましくは、投与量の薬剤は、5分以内、又は4分以内、又は3分以内、又は2分以内、又は好ましくは90秒以内、又は60秒以内、又は45秒以内、又は30秒以内で送達される。好ましくは、前記薬剤送達装置は、吸入サイクルの最初の投薬呼吸に応じて、ドライパウダー薬剤投与量の、少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%を投与するにように構成されている。
別の実施形態によれば、COPD、又はその1又は複数の症状を治療する方法(例えば、慢性気管支炎及び/又は肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患した患者における、気流閉塞の長期的・維持的気管支拡張剤治療のための)は、周期的な吸入により、吸入器から、2〜20の連続的な吸入よりなる吸入サイクルを完了させることを含む。好ましくは、前記吸入器は、決まった量のドライパウダー投与量と、各投与量をエアロゾル化するための振動エレメントとを含むエアロゾルエンジンを有する。ブリスターの内側に収容されている投与量は、約5mg以下であってもよく、薬剤投与量は、吸入サイクルの間に、吸入器によって投与される。好ましくは、前記吸入器は、投与量あたり同じ量のAPIを送達するように構成された受動装置(例えば、受動装置は振動エレメントを有しておらず、投与量として、より多量のドライパウダーを送達する)と比べて、投与量あたりほぼ同じかあるいはより多い量のAPIを投与する。前記薬剤送達装置は、好ましくは、1分あたり30リットル(LPM)にて、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPMの範囲の流れ抵抗を有し、周期的な吸入に応じて投与量のドライパウダー薬剤を送達することができ(例えば、少なくとも、約15LPM〜約30LPMの範囲内の流量で)、前記薬剤送達装置によって送達される投与量のドライパウダー薬剤は、約6ミクロン以下の空気動力学的中央粒子径(MMAD)と、少なくとも30%の微粒子画分を有している。好ましくは、薬剤投与量は、5分以内、又は4分以内、又は3分以内、又は2分以内、又は好ましくは90秒以内、又は60秒以内、又は45秒以内、又は30秒以内で送達される。
好ましくは、一用量(投与量)を投与するために本発明の吸入器を使用した後、最大FEV1までの時間は、同量のAPIを含んでいる一用量を投与するために受動吸入器を使用した後の最大FEV1までの時間より短い。好ましくは、本発明の吸入器は、同量のAPIを含んでいる一用量を投与するために使用される受動吸入器で示されるCmaxと比べて、一用量を投与した後、より高いCmaxを示す。好ましくは、一用量を投与するための本発明の吸入器の使用は、tmaxによって実証されるように、同量のAPIを含んでいる一用量を投与するために使用される受動吸入器よりも、より速い血漿中APIの出現をもたらす。
本発明の実施形態は、吸入器での使用に適しているブリスターストリップに関する。特定の実施形態によれば、ブリスターストリップの寸法、ブリスターポケットの容積、及びブリスターストリップ内に分配されている薬剤ペレットの容積は、競合製品よりも小さい。より小さいペレット及びブリスターポケットは、正確なペレットサイズが分配されることを確実にするため、正確な製造方法を必要とするかもしれない。前記ストリップは、好ましくは、競合製品と比べて、コイルではなく、トラック内に貯蔵されている;しかしながら、前記ストリップが吸入器の内側にコイルとして貯蔵されている実施形態も考えられる。以下の目的が、前記ブリスターストリップの実施形態によって達成された:自動化装置で充填される際、薬剤充填量のために十分な余裕を提供しながら、ストリップ長を最小化するために空洞サイズを最小化する;吸入器あたりの投与量の数を最大化する;未使用及び使用済みブリスターの両方を貯蔵するのに十分なスペースを提供する;密封の完全性及び安定性を損なうことなく、モータ・トルク要求を低減するために、剥離力を最小化する;及び、小さい密封エリアに関連する密封完全性の問題を克服する。投与チャンバの大きい容積に対して、ブリスター空洞の容積が小さいにもかかわらず、装置は、ブリスター空洞から投与チャンバ内にドライパウダー薬剤を移し、薬剤をエアロゾル化し、投与チャンバの1又は複数の開口部から放出するために正確に構成されている。
ある実施形態によれば、吸入器は、ブリスターストリップを含み、ブリスターストリップは、(i)ベースシートであって、当該ペースシートにおいて、ブリスターはそこにポケット(窪み)を形成しており、当該ポケットはドライパウダー薬剤を含んでいる、及び(ii)ベースシートから機械的に剥離可能な蓋シートを有し、且つ、前記吸入器は、(i)本明細書に記載されるように、ブリスターから薬剤を受け取るように構成された投与チャンバ、(ii)投与チャンバと対面するトランスデューサ、当該トランスデューサは、トランスデューサが作動すると、薬剤をエアロゾル化するように構成されている、及び(iii)ベースシートの上面から蓋シートの下面(底面)を剥離するように構成されたインデックス手段(連動手段)(好ましくは、蓋シートの下面とベースシートの上面との角度が約110°〜約160°となるように剥離する)を有している。好ましくは、投与チャンバの内部体積と、ブリスターの内部体積との比は、約20:1〜約80:1である。本明細書に記載されるように、投与チャンバは、好ましくは、各ブリスターから薬剤を受け取るように構成されたトンネルを有する。本明細書に記載されるように、投与チャンバは、そこからエアロゾル化された薬剤が放出される1又は複数の開口部を有し、この1又は複数の開口部は、例えば、約0.01インチ(0.25mm)〜約0.05インチ(1.3mm)の直径を有している。
ある実施形態によれば、吸入器での使用に適したブリスターストリップは、ベースシート(当該ベースシートにおいて、ブリスターはポケットを形成しており、ポケットはドライパウダー形態の吸入可能な薬剤を含んでいる)と;ベースシートから機械的に剥離可能で、前記吸入可能な薬剤を放出できる蓋シートとを含み、ここで、各ブリスターは、約6mm3〜約15mm3、又は約6mm3〜約12mm3、又は約6mm3〜約10mm3、又は約7mm3〜約15mm3、又は約7mm3〜約12mm3、又は約7mm3〜約10mm3、約8mm3〜約14mm3、又は約8mm3〜約13mm3、又は約8mm3〜約12mm3、又は約8mm3〜約10mm3、又は約9mm3〜約14mm3、又は約9mm3〜約13mm3、又は約9mm3〜約12mm3、又は約9mm3〜約11mm3、又は9mm3〜約10mm3の空洞容積を有する。ある実施形態によれば、各ブリスターは、約9mm3〜約14mm3、又は約9mm3〜約13mm3、又は約10mm3〜約13mm3の容積を有する。これらのブリスターストリップ空洞容積は、好ましくは、吸入器のための従来技術の空洞容積よりも小さい;例えば、Advairブリスターは、約18mm3の空洞容積を有し、Forspiroブリスターは、約115mm3の空洞容積を有する。
ある実施形態によれば、ブリスター空洞の深さは、約1mm〜約3mm、より好ましくは約1mm〜約2.5mm、又は約1mm〜約2mm、又は約1mm〜約1.5mm、又は約1.25mm〜約1.75mmである。ブリスター空洞内に分注された薬剤ペレットの容積は、約1mm3〜約5mm3、又は約1.5mm3〜約4mm3、又は約1.5mm3〜約3mm3、又は約2mm3〜約4mm3、又は約2mm3〜約3mm3、又は約2.4mm3であってもよい(これとは対照的に、Advairブリスターの空洞に分注される粉末の容積は約18mm3である)。
ある実施形態によれば、ベースシート(及び、好ましくは蓋シート)は、約4mm〜約10mm、又は約4mm〜約8mm、又は約4mm〜約6mm、又は約5mm〜約10mm、又は約5mm〜約8mm、又は約5mm〜約7mm、又は約5mm〜約6mmの幅を有する。好ましくは、前記蓋シートは、ベースシートとほぼ同じ幅を有する。別の実施形態によれば、ベースシート(及び、好ましくは蓋シート)の幅は、約5mm〜約12mm、より好ましくは約5mm〜約11mm、又は約5mm〜約10mm、又は約7mm〜約12mm、又は約7mm〜約11mm、又は約7mm〜約10mm、又は約8mm〜約12mm、又は約8mm〜約11mm、又は約8mm〜約10mmである。ブリスター空洞の形状は、好ましくは円形、卵形又は楕円形であり、より好ましくは、成形圧力を減じやすい楕円形である。ブリスターストリップの実施形態は、図38A及び38Bに示されており、図38Aでは、卵形空洞が図示され、図38Bでは楕円形空洞が図示されている。
ある実施形態によれば、ブリスターストリップは、10〜50個のブリスター、又は15〜50個のブリスター、又は20〜50個のブリスター、又は25〜50個のブリスター、又は35〜50個のブリスター、又は10〜50個のブリスター、又は15〜40個のブリスター、又は20〜40個のブリスター、好ましくは25〜40個のブリスター、又は35〜40個のブリスター、又は28〜35個のブリスター、又は30〜35個のブリスターを有する。
ある実施形態によれば、ベースシートは、アルミニウム箔の層と高分子材料の層とを含む積層構造を有する;例えば、ベースシートは、少なくとも以下の連続層を有していてもよい:配向ポリアミド(OPA);それが接着接合しているアルミニウム箔;アルミニウム箔が接着結合している高分子材料(例えば、PVC)の層。ある実施形態によれば、蓋シートは、少なくとも以下の連続層を含む積層構造を有する;紙;それが接着しているプラスチックフィルム;プラスチックフィルムが接着しているアルミニウム箔。好ましくは、コーティング層が、蓋シートとベースシートとを接着する;例えば、コーティング層は、熱融着ラッカー、フィルム及び押出コーティングを含む群あるいはそれらからなる群より選択されてもよい。
ある実施形態によれば、蓋シートは、上面と下面を有し、蓋シートの下面1410は、好ましくはベースシートの上面1412に、剥離可能に接着されている(例えば、図38Cに示すように)。蓋シートが、ブリスターストリップ進行機構によって、ベースシートから剥離されているとき、蓋シート1410の下面は、好ましくは、ベースシート1412の上面に対して角度Yで剥離される;角度Yは、約110°〜約160°、又は約110°〜約150°、又は約110°〜約140°、又は約120°〜約160°、又は約120°〜約150°、又は約120°〜約140°である。
ある実施形態によれば、吸入器は、ブリスターから薬剤を受け取るように構成された投与チャンバを、当該投与チャンバと対面しているトランスデューサとともに有しており、トランスデューサと投与チャンバは、トランスデューサが作動された際、薬剤をエアロゾル化するように構成されており、投与チャンバの容積とブリスターの容積との比は、約5:1〜約50:1、又は約10:1〜約50:1、又は約20:1〜約50:1、又は約30:1〜約50:1、又は約10:1〜約40:1、又は約10:1〜約30:1、又は約20:1〜約30:1である。別の実施形態によれば、投与チャンバは、より大きな容積を有し(例えば、図43Bに示されるように、約550mm3〜約700mm3)、投与チャンバの容積とブリスターの容積の比は、約40:1〜約70:1、又は約30:1〜約80:1、又は約45:1〜約70:1、又は約50:1〜約70:1、又は約50:1〜約65:1、又は約60:1〜約60:1であってもよい。一般に、投与チャンバの容積とブリスターの容積の比は、約20:1〜約80:1、又は約20:1〜約70:1であり得る。
ブリスター進行機構のある実施形態は、以下により詳細に説明するように、ブリスターをある位置(吸入器100の構成要素が、各ブリスター130から医薬品をエアロゾル化でき、それをユーザーに送達できる位置)に動かすように構成されている。以下に記載されるブリスター進行機構の実施形態は模範的であり、各投与量を前進させるための他の機構が、本発明に従って使用されてもよい。
図面に示される構成要素は、必ずしも正確な比率ではなく、働きを図示しているだけである。ブリスターストリップの過進行を防ぐ一つの方法は、本明細書で提案され、且つUS2016/0296717(参照により本明細書に包含される)にも記載されているように、インデックスギア列(連動歯車トレーン)等の、機械的連動手段を採用することである。
このようなインデックスギア列は、例えばステッピング又はDC(直流)モータといった電動モータのような駆動手段によって駆動される。ブリスターストリップを1ブリスター分進めるために、駆動手段は、そのスイッチをオン及びオフにする電子制御下にあってもよい。この電子制御は、ユーザー入力、又は、ブリスターが、該ブリスターが空にされうる投与位置に首尾よく位置されたときを検出するように構成されたセンシング手段(機械式スイッチといったもの)に応答するものでよい。例えば、投与位置は、ブリスターに含まれる(ドライパウダー薬剤などの)薬剤が放出されなければならない投与チャンバ内への入口に一致しており、薬剤は、ユーザーの吸入に引き入れられ、ユーザーの気道へと送達されうる。例えば、ドライパウダー薬剤は、吸入の間に、圧電素子の励起による人工ジェットに含まれた状態で、吸入器から放出されてもよい。
駆動手段に対するギア列の他端部では、少なくとも1の凹部がハブに備えられており、それぞれ、ブリスターストリップの単一の(第一の)ブリスターを係合させるように構成されており、ストリップの別の(第二の)ブリスターは投与位置内へ移動されうる、そして、付随的には、付勢手段によって投与トンネルの壁に対して保持されている。したがって、(第二の)ブリスターが投与位置にありかつ空の(第一の)ブリスターがハブ内にあるように、ハブは、ブリスターストリップを所定の(適切な)場所に保持しつつ、投与位置にある(第二の)ブリスターは空にされる。したがって、この例示の構成では、ハブ及び投与チャンバ開口部は1ブリスター分の間隔を空けて配置されている。投与位置にある(第二の)ブリスターは、ブリスターカップの壁と投与チャンバとの間が密接するように配置されており、ブリスターからの薬剤は、好ましくは投与チャンバ内に出ていくことができる。これは、薬剤の損失と、薬剤による機構の目詰まりを防ぐ。投与チャンバの方へ(又は投与チャンバと接触するように)ブリスターストリップを押さえることによって、密接を向上させるために、任意の付勢手段(図1Iではスプリングフィンガー172)を組み入れることができる。
駆動列は、第二のブリスターが投与位置に達すると駆動手段がハブから一時的に係合解除されるように、配置されている。これは、電子制御システムが第二のブリスターが投与位置にあることを示す信号を受け、当該信号に応答するのにかかる時間以上に、この一時的な係合解除を持続させるように、インデックスギア列が構成されているとすれば、ブリスターストリップの過進行が回避される、ことを意味する。これは、速いモータ速度及び正確な制御の必要性を減少させる、というのも、ブリスターを進めすぎや進め足りないことがないようにモータを停止させるための大きなウィンドウがあるからである。これは、また、カートリッジが投与と投与とに間に取り外されているなら、ブリスターストリップの不慮の移動を防止する。
ハブを駆動手段から一時的に係合解除させるための機構は、1又は複数のスパーギア及び1又は複数のセクターギアを備えてもよい。スパーギアは、その周囲の全周に渡って実質的に均等に離された放射状にのびる複数の歯を備える。セクターギアは、周囲の1又は複数の部分に歯を有さないスパーギア(実質的に)である。回転するセクターギアがスパーギアを動かす場合、スパーギアは、セクターギアの歯のある部分(単数又は複数)がそれに係合している間だけ、動かされる。セクターギアの歯のない部分がスパーギアの歯と協調するとき、スパーギアは回転を停止する。セクターギアは、歯のある部分がスパーギアの歯に接触し係合するまで回転し続ける。スパーギア及びセクターギアは、その後、セクターギアの歯のない部分がスパーギアに再び接触するまで一緒に回転する。したがって、ハブの回転がスパーギアによって駆動されている場合、駆動手段がセクターギアを回転させ、該セクターギアが次にスパーギアを回転させ、該スパーギアが次にハブを回転させるなら、ハブの駆動手段からの一時的な係合解除が提供されうる。
合に提供される。
ハブは、例えば、図1Bに示されるインボリュートコグ110、又は図1Cに示されるオフセットコグ120の形態であってもよい。インボリュートコグは、ハブ中のオープンタイプのブリスター台座であって、ブリスターストリップがコグの前記台座に捩じり合わさり、それから捩じり離れるの(インボリュートギア歯が接触点で一緒になる際に係合しそれから旋回して互いに離れるような形式)を意図している。ある実施形態における、オフセットコグは、ブリスターストリップが、該ストリップの捩じれなく、ハブの周囲に巻き付き、空のブリスターがハブ上の凹部に係合しているカットアウト配置を意図しており、これは図4Aに示された構成である。いずれの形状のコグの周囲に形成された凹部も、進められるブリスターストリップの単一のブリスター130を受容する形状にされうる。好ましくは、オフセットコグのプロファイルは、ブリスターの位置合わせを誤ったり、ブリスターをつぶしたり、ブリスターストリップを座屈せしめたりするようなことを意図しない。図1Dは、一例の使用中のハブ120を示す。この例では、複数のブリスター130が一度にハブに係合されるように、ブリスターストリップが通過するトラックが、ハブの周囲の約半分の周りを通る。図1Eと1Fは、代替例のハブ110の設計を示す。
図1G及び1H(詳細を図1Gに示す)は、どのようにブリスターの投与位置が吸入器100の他の構成要素に対して設けられるのかの一例を示す。投与位置でのブリスター130が示されており、ブリスターの開放側(剥離側)は、投与位置を投与チャンバ142に通気連結させるブリスター投与トンネル141に面している。ある実施形態では、圧電振動子150は、投与チャンバ142の底面に接触しているフィルムを振動させるように設けられ、投与チャンバ142の底面は圧電振動子150のヘッドに接触しており、ブリスター130及び投与チャンバ142に含まれるドライパウダー薬剤は、投与チャンバ142から開口部(孔)143を通ってエアトンネル144内へ排出されるようになっている。このように、圧電振動子150からの振動は、フィルムに作用する。したがって、薬剤は吸気口145からの気流中に取り込まれ、エアトンネル144を通って、マウスピース160内の排気口146から外に出る。
図1Iは、図1G及び1Hの異なる図を示し、この図では、投与位置がハブ120との関連で示される。第一ブリスター129は、ハブ120に保持されている。第二ブリスター130をトンネル141のほうに付勢するスプリングフィンガー172も示される。これは、投与位置が、使用中に第二ブリスターの開口面を、下方に延びる中空部とほぼ水平に保持するという事実と併せて、薬剤がブリスターからトンネル141以外のところへこぼれるのを最小化する。
ブリスターストリップ進行機構は、ブリスターストリップの連続するブリスターを漸次的に移動させて投与位置を通過させるように構成されてもよい。すなわち、第二のブリスターが投与位置内に移動されて空にされたら、ハブが回転されて、空の第二のブリスターがハブに係合され、第3の(中身のある)ブリスターが投与位置内へ移動され、これはストリップ上の全てのブリスターが空にされるまで同様に続き、空のブリスターは、ハブの一回転が完了する前に適切な場所でハブから解放される。
第二のブリスターが空にされると、ストリップの先端部(第一の、空の、ブリスターを含む)は、吸入器の外に搬送されてもよく、そこで、例えば、はさみで切断され、又は、(例えばストリップにおけるブリスター間の引裂ノッチ、分割ライン、ミシン目を用いることで)引裂かれ、及び処分されてもよい(個々のブリスターがバッキングテープによって1つのストリップとして一緒に保持されているだけなら、切断や引裂は必要ないであろう)。代わりに、吸入器は、廃棄チャンバを備えてよく、使用済みのブリスターが廃棄チャンバ内に送られるようにしてもよい。使用済みのブリスターストリップ部分は、例えば、このようなチャンバ内でアコーディオン状に折り畳まれたり、スプール上に巻かれたりしてもよい。
別の案として、ブリスターストリップが、吸入器の幾何形状に対して十分に小さければ、単一のループトラックはその中のどこかに位置するハブを備えてもよく、ハブの歯がトラック内にのびるようにしてもよい。これは、使用済みのブリスターが吸入器内で保管され、全てブリスターが使用されたときに、吸入器とともに(又は、交換可能なブリスターカートリッジが、再使用可能な吸入器本体に対するアタッチメントとして提供されているなら、当該カートリッジとともに)廃棄されることを可能にするであろう。このような構成では、ストリップの先端部は、吸入器内の廃棄トラック内へ送られうる。このトラックは、使用前のブリスターストリップが保管され、かつストリップの後端部(1又は複数の中身のあるブリスターを含んでいる)がストリップの進行中に存在する保存トラックの延長であってもよい。この廃棄トラックは、保存トラックの内側に沿ってループを形成してもよく、デュアルトラックは、それにより、ブリスターストリップの先端部が、後端部が退いたデュアルトラックの一部分内に搬入される大きさ及び配置となるように形成されている。
変形例に係るデュアルトラックの構成が図2A〜2Cに示されている。この変形例は、単一ループの例に対して、同じ長さのブリスターストリップで必要とされるトラックの占領面積を、減少させ、したがって、潜在的には、吸入器/カートリッジのサイズを減少させ、及び/又は、そのブリスターの収容能力を増加させる。吸入器には、常に携帯されていなければならないもの(例えば、救助吸入器や頻繁に使用される吸入器)があるので、これは、吸入器の携帯性を改善するため、好都合である。図2Aに示されているのは、デュアルトラック220によって与えられる保存トラック240である。保持トラック240は、ハブ230の周囲の一部分に近接して進み、それから廃棄トラック210になる。廃物トラック210はそれから、デュアルトラック220へ戻る。
図2B及び2Cは、ブリスターストリップ・トラックの一実施形態を図示する。ブリスターストリップの初期位置が図2Bに示されており、(全てのブリスターが空にされたときの)ブリスターストリップの最終位置が図2Cに示される。
図2Bに示されるように、ブリスターストリップ全体としての係合性を向上させるために、開始位置において、ハブは、第一ブリスター229Aに加えて、ブリスタース229B及び229Cとも係合する。開始位置においてハブに係合されたブリスターはいずれも、ハブの周りに又は廃棄トラック内に薬剤がこぼれるのを回避するように適切に空にされてもよい。
デュアルトラックの構成の代わりに、ブリスターストリップがスプール(巻き芯)上に保管されてよく、スプールから漸次的に巻き出されてもよい。
ブリスターストリップは、ストリップ状のバッキングテープ(蓋材として知られていることもある)よって接続され閉じられた比較的に剛性のある(例えば、プラスチック又はアルミニウムのような)複数のドーム又はカップからなってもよい。薬剤(例えば液体状又はドライパウダーの形式である)は、カップ内に含まれてもよい。個々のブリスターは、バッキングテープ、ドーム、又はその両方に穴をあけることによって、開封されてもよい。あるいは、バッキングテープを剥離することによって、ブリスターを開封してもよい。
バッキングテープが剥がされてブリスターを開封するなら、スプールが設けられ、その周りに、剥がされたバッキングテープを巻き取るようにしてもよい。このようなスプールは、ピール/スプールギアに携えられてもよい。ブリスターストリップの先端部は、バッキングテープのへり、又は、遠位のブリスターカップの末端を越えてのびるタブを備えてもよい。このへり、又は、タブは、スプールに付されてもよい。ピール/スプールギアは、ハブが回転される間にインデックスギア列によって回転されて、ブリスターカップが投与位置内へ移動される際に、バッキングテープが各ブリスターから剥がされ、スプールに巻き取られるようにされてもよい。それにより、ブリスターカップが投与位置にあるときに開封され、薬剤を投与チャンバで利用可能にする。
剥離のタイミングが、ブリスターカップが投与位置内へ移動されるタイミングに合うのを確実にするために、ピール/スプールギアは、ハブも(直接的に又は間接的に)駆動させるギア(例えば、セクターギア)によって駆動されてもよい。
バッキングが、各ブリスターカップから該カップに残っているバッキングに対して直角に近い角度で、例えば40°から140°の間(例えば135°)で、例えば、60°から120°の間で、例えば約90°で剥がされるように、ピール/スプールギア及びハブが配置されてもよい。剥離角度が90°に近づくほど、バッキングテープとそれが剥がされるのに用いられる端との間の摩擦が低くなる。摩擦の低減は、モータの負荷を低減させ、したがって電力を節約し、そして、バッキングストリップが破断する可能性を低減させる。
テープがスプールに巻き取られると、スプールの直径が増加する。これは、ブリスターストリップ上にまだあるテープに対するスプールの表面速度を増加させ、テンションを発生させる、というのも、ブリスターストリップがハブに保持されているからである。テープの折れを回避するために、スリップ又は戻止めクラッチ300が図3に示されるようにピール/スプールギアに設けられ、定期的にテンションを解放し、構成をリセットしてもよい。クラッチのスリップは、バッキングテープの破断強さ未満であるが、テープの剥離強さ以上になるように、構成されている。スリップクラッチ300は、スプールと共に回転するZ形状部分310と、図3Bにて分解形式で示されるような歯のあるリング状部材によって形成される。Z形状部分310は、リング状部材320の内側歯に一つずつずり落ちることによって、それの中で漸次的に回転するように、リング状部材320は吸入器に対して固定されている。スリップクラッチの代わりに、柔軟な直径スプール又はテンションアームが設けられてもよい。
図4A及び4Bは、一例のインデックスギア列を全体的に示す。ウォームギア411がモータ413の出力シャフト412に取り付けられており、モータ413が駆動中に、ウォームギア411はその軸線周りに回転する。ウォームギア411は、第一のスパーギア421と噛み合っており、第一のスパーギア421は、ウォームギア411と共に回転する。(代替例では、スパーギアが、ウォームギア411の代わりに用いられてよく、例えば、傾斜された歯を有し第一のスパーギア421と噛み合うスパーベベルギア[spur bevel gear]である)。第一のセクターギア422は、第一のスパーギア421に同軸上に取り付けられており、第一のセクターギア422は、第一のスパーギア421と共に回転する。第二のスパーギア431は、第一のセクターギア422と噛み合っており、第二のスパーギア431は、第一のセクターギア422の歯のある部分が第二のスパーギア431と接触しているとき、第一のセクターギア422と共に回転する。第二のセクターギア432は、第二のスパーギア431に同軸上に取り付けられており、第二のセクターギア432は、第二のスパーギア431と共に回転する。第三のセクターギア441は、ハブ440が有するブリスター凹部(実施例では6つ)と同数の歯のある部分を有するものであり、第二のセクターギア432と噛み合っており、第三のセクターギア441は、第二及び第三のセクターギア432及び441の歯のある部分が互いに接触しているときに、第二のセクター432と共に回転する。ハブ440は、第三のセクターギア441に同軸上に取り付けられており、ハブ440は、第三のセクターギア441と共に回転する。
図4Aは、ブリスター451が投与位置にあるときのブリスターストリップ450の位置を示す。ブリスターストリップ450のブリスター451は、それからハブ440の凹部442内へ移動される。
スプール460は、ピール/スプールギア461(スパーギア)に同軸上に取り付けられており、スプール460は、ピール/スプールギア461と共に回転する。ピール/スプールギア461は、第一のセクターギア422と噛み合っており、ピール/スプールギア461は、第一のセクターギア422の歯のある部分がピール/スプールギア461と接触しているとき、第一のセクターギア422と共に回転する。ブリスターストリップ・バッキングテープ452の端によって形成されたへりは、ブリスターストリップ・トラックの外壁のスロット471を通って送られ、スプール460のスロット462内に付されている。このようなへりは、スロット471を通る際のすべりを補助するように、例えば、プラスチック層の付加によって、又は、バッキング材料の二つ折り(例えばそれ自体ヒートシールされてもよい)によって、強化されてもよい。バッキングテープ452が、スプール460の回転によって各ブリスターから剥がされる際に、それは、スロット471の剥離端の周りをスライドする。
ギア、ハブ、又はスプールが、別のギア“に取り付けられて”、“に携えられて”又は“に座って”、その2つが一緒に回転することは、その2つが(例えば1又は複数のピン、ナット、ボルト、スクリュー、接着剤、クラッチ等を用いて)取り外せないように又は可逆的に一緒に付されることによって、又は、その2つが(例えば一つの金型で形成されたプラスチック又は金属の1つのピースとして)一体的に形成されることによって達成されてもよいことに留意されたい。ギアのペアの全てが、同じ方法で連結されてもよい。代わりに、ギアのペアの1又は複数(例えば第一のスパーギアとセクターギア421/422、及び第三セクターギア441とハブ440)は、一体的に形成されてよく、一方で、他のギアのペアの1又は複数は、(例えば、第二のスパーギアとセクターギア431/432及びピール/スプールギア461とスプール460)は、別々に形成され、次いで、一緒に回転するように連結されてもよい。
図4Bに示す通り、モータ413が駆動しているとき、出力シャフト412及びしたがってウォームギア411は、ウォームギア端から見て時計回りに回転する。これは、第一のスパーギア421及びしたがって第一のセクターギア422を時計回りに回転駆動させる。これは、ピール/スプールギア461及びしたがってスプール460を反時計周りに回転駆動させる。第一のセクターギア422の時計回りの回転は、第二のスパーギア431及びしたがって第二のセクターギア432も反時計周りに回転駆動する。これは、第三のセクターギア441及びしたがってハブ440を反時計周りに回転駆動する。これは、ブリスターストリップ450をブリスターストリップ・トラックのハブ部分の周りに時計周りに進める。
図5Aは、一例の吸入器の一部の分解組立図を示す。PCB(プリント回路基板)520、第三のセクターギア541、ハブ540、スプール560、ピール/スプールギア561、ブリスターストリップ・トラックの(ハブの周りに湾曲された部分の)外壁にあるスロット571、及び、(ブリスターストリップ530を付勢して、投与位置にあるブリスターが投与チャンバの開口部に対して押されるようにするための)スプリングフィンガー572が、カバー580、ベースプレート590、及び、ギアの、及び、吸入器の様々な層を一緒に保持するための(ネジ、ナット、ボルトのような)固定手段の様々な軸線と一緒に全て示されている。
吸入器は、再使用可能な吸入器本体、及び、使い捨て可能なブリスターストリップ・カートリッジを備えてもよい。吸入器本体は、例えば、投与チャンバ、マウスピース、モータ、ウォームギア、インデックスギア列(例えば、第一及び第二のスパーギア、第一から第三のセクターギア、及び、ピール/スプールギアを含む)、ハブ、及び、スプールをさらに備えてよく、一方で、カートリッジは、トラック内に位置されたブリスターストリップを備えてもよい。この構成は、カートリッジのコストを最小化し得る。
代わりに、インデックス駆動列の1又は複数のギア、及び/又は、ハブ(又は、インデックス駆動列の1又は複数のギア、及び/又は、モータ)は、カートリッジ内に位置されてもよい。駆動手段は、カートリッジが取り外されているとき常に、ハブから係合解除されることとなる。これは、カートリッジが所定の(適切な)位置にないときに、モータによるハブの回転を防止することとなる。
別の案として、投与チャンバ(ドライパウダー薬剤をマウスピース内に押し出すための圧電振動子と一緒にある)、及び、マウスピースは、吸入器の使い捨て可能な部分に含まれてもよい。これは、衛生の理由から好都合であり、吸入器のマウスピース及び気流導管部分を掃除する必要を減少させる。それは、吸入器本体が複数の患者によって使用されることも可能にし、患者各々が、自身のカートリッジに、自身のマウスピース及び自身に処方された薬を取り付ける。
図5B及び図5Cは、一例の交換可能なカートリッジ式吸入器500を示し、使い捨て可能なカートリッジ510及び再使用可能な部分550が分離されており、一方、図5Dは、結合されたそれらを示す。図5Bから図5Dでは、マウスピース511、ディスプレイスクリーン551、カートリッジ解放ボタン552、接続クリップ513、及び、カートリッジを再使用可能な部分に結合するために接続クリップ513が嵌め入れられる接続スロット553が見られる。
図5Aに示されるのと同様のデザインのカートリッジ式吸入器では、カートリッジが取り外されると、インデックス駆動列が自由に回転できるようになる。これは、例えば複数の異なるカートリッジ(例えば異なる種類の薬剤を保持している)が吸入器本体に装着されるといった、カットリッジが空になる前に取り外される可能性がある場合には、望ましくないかもしれない。例えば、ユーザーは、一日に、2又は3種の異なるタイプの薬剤を投与する必要があるかもしれず、そうするために、複数の異なるカートリッジを交換しながら一つの吸入器本体を使用する可能性がある。問題は、これらの状況で起こりうるであろう、というのも、カートリッジが吸入器本体に装着されるとき、投与位置にある凹部が投与チャンバと整列するようにハブが位置されないかもしれないからである。図6は、この問題を解決する手段を示す。
図6は、第一のセクターギア622(図示されていない、第一スパーギアに取り付けられている)、第二のスパーギア631、第二のセクターギア632、第三のセクターギア641、及びピール/スプールギア661の上に置かされるカバー680を示す。
図示された第三のセクターギア641の上面(すなわち、ハブが覆うこととなる面)は、凹部643を備える。カバー680は、第三のセクターギア641とハブ(図示されない)との間に嵌められたものであり、戻止め681をスプリングアーム682の末端に備える。スプリングアーム682は、戻止め681を第三のセクターギア641の上面に向けて下方に付勢する。戻止め681は、ハブがその停止位置の1つに(すなわち、ブリスターが投与位置に)あるとき、凹部643の1つに入り込むように位置されている。凹部643の数は、ハブ上のブリスター凹部の数に対応する。ブリスターストリップが1ブリスター分進められるたびに、戻止め681は、スプリングアーム682によって付与される付勢ゆえに、それが留まっていた凹部643から上方に無理に出され、それから次の凹部643内に直ぐに戻される。
同様に、図示されたピール/スプールギア661の上面(スプールが覆うこととなる面)は、凹部662を備える。カバー680は、ピール/スプールギア661とスプール(図示されない)との間に嵌められたものであり、戻止め683をスプリングアーム684の末端に備える。スプリングアーム684は、戻止め683をピール/スプールギア661の上面に向けて下方に付勢する。戻止め683は、スプールがその停止位置の1つにあるとき(すなわち、ブリスターが投与位置にあるとき)、凹部662の1つに入り込むように位置されている。凹部662の数は、第三のセクターギア641及びピール/スプールギア661のサイズの比、及び、ハブのブリスター凹部の数に応じて設定される。ブリスターストリップが1ブリスター分進められるたびに、戻止め683は、スプリングアーム684によって付与される付勢ゆえに、それが留まっていた凹部662から上方に無理に出され、それから凹部662内に直ぐに戻される。
駆動手段が、戻止めにも関わらずギア列をインデックスする(連動する)十分な力を発生させることができ、一方で、戻止めが、駆動手段から接続解除されたとき駆動列を所定の(適切な)位置で保持するように、スプリングアーム682及び684によって付与される付勢の強さと、戻止め681及び683及び凹部643及び662のサイズとは構成されている。これは、正確な整合が保障されるので、吸入器本体への再接続の際における駆動列の位相を確定するために複雑な位置センシングが必要ない、ということである。モータに対して選択された電力は、吸入器の典型的な移送中及び使用中に遭遇するであろう力に対してバランスが取られるべきである。例えば、吸入器が、テーブル、ポケット、又はハンドバッグから落ちることによる不整合を防ぐために、スプリングアーム及び戻止めによって生じるロックの強さがどれだけ必要とされるのかをドロップテス
トが確立してもよい。
加えて、第三のセクターギア上の戻止め構造は、ハブがモータから係合解除されている間、(例えば吸入器が落下することによってもたらされるかもしれない)あらゆる不慮のハブの回転を防止する。同様に、ピール/スプールギア上の戻止め構造は、スプールがモータから係合解除されている(例えばバッキングのスプールからの意図しない巻き出しをもたらすかもしれない)間、あらゆる不慮のスプールの回転を防止する。これらの戻止め構造は、したがって、非カットリッジ式吸入器でも役立つ。
図7A及び7Bは、一実施形態に従って、どのようにしてブリスターストリップ進行機構が吸入器に嵌め入れられるかを示す。吸入器700が、図7Aに示されており、外側ハウジング710及びマウスピースカバー721(どちらも図7Bで図示される)は取り外されている。図7Aは、投与チャンバ742、ディスプレイスクリーン730、ハブ740、カートリッジ解放ボタン750、スプール760、ブリスターストリップ・トラック770を示す。ブリスターストリップ・トラック770の大部分は、吸入器の外側縁の近くに配置され、その長さ及びしたがって1カートリッジ/使い捨て吸入器あたりの投与量の数を最大化する。ハブ740及びスプール760が投与チャンバ742とディスプレイスクリーン730との間のスペース内に位置されている。
図7Bに示される充電ソケット780は、吸入器内で、バッテリーに、例えばディスプレイスクリーン730の下方に位置されたバッテリーに接続されてもよい。PCBも、ディスプレイスクリーン730、充電ソケット780、バッテリー、モータ、他の電子機器のいくらか又は全てを接続するために、ディスプレイスクリーン730の下方に位置されてもよい。例えば、スイッチが、ハブの近くに設けられ、ブリスターが首尾よく投与位置に位置されるとモータへの電力を断つようにしてもよい。このようなスイッチは、例えば、機械式、又は光学式でもよいし、又は、ホール効果センサを備えてもよい。ユーザーにより作動される制御手段が設けられ、投与の進行が必要とされるときにモータを再起動させてもよい。例えば、ディスプレイスクリーン730は、タッチスクリーン(タッチパネル)でもよく、ボタン又はスライダーは、吸入器の外側に設けられてもよく、又は、マウスピース及び投与チャンバを有する気流導管内のどこかにある吸入センサが、モータを始動させるために、ユーザーがマウスピースを通じて吸入しているときを検出してもよい。
図8は、ドライパウダー吸入器で用いられる後者の例を示しており、開封されたブリスターは圧電振動子の動作によって空にされる。正弦曲線810は、マウスピースを通る気流の軌跡である。段差状の方形波820は、結果として生じる気流(例えばデジタル圧力)センサロジックを示す。ライン830は、呼吸パターン周波数が測定されている期間を示す。(これは、例えば、センサロジックに応答してプロセッサによってなされてもよい)。ライン840は、投与が進められている期間を示す。ライン850は、ピエゾが振動されている期間を示す。これは、付随的に、複数(例えば4〜12回、例えば8回)の呼吸サイクルに渡って繰り返されてもよい。ポイント821は、吸入が検出されたところを示し、ポイント822は、呼気が検出されたところを示す。ポイント831で、プロセッサは、ユーザーの呼吸パターンが、所定のいくつかのパラメータとの比較に従って、投与にとって適正であるかを検証し、薬を送達するかを決定する。ポイント841では、投与の進行が始まる。ポイント842では、投与進行の完了が、例えばフォトゲートを用いて、確認される。ポイント851では、ピエゾが始動される。これは、吸入の間の特定のポイントで生じるようなタイミングとされてもよく、例えば、患者の気道の特定の部分への薬剤の送達を増大させる。
図9は、一例のブリスターストリップ進行方法900を示すフローチャートである。ステップ910では、ハブの凹部がブリスターストリップの第一の、空のストリップに係合
する。ステップ920では、ハブは、駆動手段により駆動されたインデックスギア列によって回転され、ブリスターストリップの先行する第二の、中身のあるブリスターを、それが空にされうる投与位置へ移動させる。ステップ930では、駆動手段は、ハブから一時的に係合解除される。ステップ940では、投与位置にある第二のブリスターが適切に空にされる。好ましくは、ステップ950では、ハブがさらに回転されて、ブリスターストリップを進める。この方法は、それから、ブリスターストリップの中身のある全てのブリスターが空にされるまで、1回又は複数回、適切に繰り返されてもよい。
図10は、ジェネバ機構1000を示し;これは、スパーギア及びセクターギア構造の代りに用いられてよく、駆動手段のハブからの一時的な係合解除を提供する。セクターギア1022は、ピンギア1021に取り付けられ、ピンギアは、ピン1023を携えている。ピンギア1021及びセクターギア1022は、駆動手段によって(直接的に又は間接的に)回転駆動される。ピン1023がマルタギア1031のスロット1033の1つに入ると、マルタギア1031は回転駆動される(この時点ではセクターギア1022には接触していないので、自由にそうすることができる)。ピンギア1021がさらに回転する際、ピン1023は、スロット1033内により深く移動し、それから、再びスロットの口から出るまでスロットに対して方向転換する。これが起こるころまでに、セクターギア1022は、再びマルタギアの凹部1034の1つと接触し、さらなる回転を阻止する。マルタギア1031は、したがって、インデックスされた(割り出された)回転を経験する。凹部1034がブリスターを受ける形状であれば、マルタギア1031がハブになってもよい。
薬剤を含むためのブリスターストリップ及びその投与量進行機構は、本発明の全ての実施形態で要求されるわけではない。ある実施形態の吸入器が、ブリスターストリップと投与量進行機構を含む取り外し可能なカートリッジを含む一方、ブリスターストリップの代わりに1又は複数の投与量のドライパウダー薬剤が、装置内の別のタイプの容器又は区画内に、好ましくは取り外し可能なカートリッジ内に含まれている別の実施形態も考えられる。別の言い方をすれば、吸入器は、取り外し可能なカートリッジ内に含まれる1又は複数の投与量のドライパウダー薬剤を含んでもよく、ここで、1又は複数の投与量は場合によってはブリスターストリップ内に保管されている。ある実施形態によれば、1又は複数の投与量がブリスターの空洞以外の容器内に保管される場合、一用量(投与量)中のドライパウダー薬剤の量は、より多くてもよい(例えば、約1mg〜約70mg、又は約1mg〜約60mg、又は約1mg〜約50mg、又は約1mg〜約40mg、又は約1mg〜約30mg、又は約1mg〜約20mg、又は約1mg〜約10mg、又は約1mg〜約5mg、又は約1mg〜約4mg、又は約1mg〜約3mg、又は約1mg〜約2.5mg、又は約1mg〜約2mg)。
図11には、図1Aの吸入器の断面図が示される。ある実施形態では、吸入器100は、ユーザーがマウスピース1216を通じて吸入行う際、空気が吸入器100を通って動くように構成された導管手段(例えば、気流導管1195)を含む。ある実施形態では、吸入器100は、気流導管1195を通る気流を検出するよう構成されており、気流が検出されるとコントローラに信号を送るセンサ1278(図31に最も良く表されている)を含む。ある実施形態では、コントローラは、上述した一例のように、気流がセンサ1278によって検出されると(いくつかのケースでは、最初の気流が検出される)、ブリスターストリップ進行機構を作動させるように構成されている。ブリスターストリップ進行機構は、例えば、上述したように、ブリスター130が、投与チャンバ1122と流体連通しているトンネル1152にごく接近するように(又は、ある実施形態では、隣接あるいは実質的に隣接するように)、ブリスター130を一定の距離(例えば、ブリスター1つ分の長さ)で前進させるよう構成されている。ある実施形態では、ハウジング1102は、トンネル1152を含み、このトンネルは投与チャンバ1122と流体連通している。膜は、ある実施形態では、投与チャンバ1122の開口端を覆うように構成されている。ある実施形態では、トランスデューサ150は、膜1166と対面する(図32に最も良く表されている)。いくつかの実施形態では、振動手段を膜から隔てるための分離手段(例えば、図32に示されるスペーサー1286)が、トランスデューサ150と膜1166との間に配置されている。ある実施形態では、コントローラは、活性化事象が検出された際、トランスデューサ150を作動させるように構成されている。ある実施形態では、トランスデューサ150の作動をトリガーするために、複数の吸入の検出が必要とされる。例えば、コントローラは、気流がセンサ1278によって検出されたときに(いくつかのケースでは、空気の後続流が検出されたとき、例えば、第二、第三、又はそれ以降)、トランスデューサ150を作動させるように構成されてもよい。トランスデューサ150は振動するように構成され、それによって膜1166を振動させ、ブリスター130からの薬剤をエアロゾル化して、トンネル1152を通じて投与チャンバ1122内へと移動させる。ある実施形態では、以下により詳細に説明するように、トランスデューサ150の振動はまた、エアロゾル化された薬剤を、投与チャンバ1122の開口部1148を通じて、出口通路1182を通じて、ユーザーに送達する。ある実施形態では、トランスデューサ150は、膜に音響的振動を伝えるよう構成される。いくつかの実施形態では、トランスデューサ150は、音響的振動及び/又は物理的振動を経て膜1166に振動を伝えるように構成される。以下により詳細に説明するように、ある実施形態では、1又は複数の要素(例えば、投与チャンバ、トランスデューサ、膜、出口通路)は、共通の共振周波数及び/又は音響インピーダンスマッチングを通じた効率的なエネルギー共役のために構成されている。
本発明の実施形態は、超音波シンセティックジェットのために設計された成形音響チャンバ(投与チャンバ)であってもよい。好ましい実施形態によれば、チャンバの形状は、シンセティックジェットによる粉末送達のために最適化されている。好ましくは、薄いチャンバ頂部と、1又は複数の小さな噴出孔(すなわち、開口部はチャンバ璧を貫通する)を提供するために、精密成形が使用される。
好ましい実施形態によれば、投与チャンバのデザインは、以下の目的を達成するのを手助けする:市販の圧電トランスデューサのものと一致する共振周波数を有しながら、シンセティックジェット薬剤送達を可能にするのに十分な容積;薬剤を素早く送達するのに十分な出口面積を提供しながら、音響チャンバからのシンセティックジェットを達成する;穴の断続的な目詰まりに起因する送達機能の損失を防止するのに十分な余剰性。
好ましい実施形態では、投与チャンバの形状は、投与チャンバが、圧電トランスデューサと同じ又は同様の周波数(例えば、約37kHz〜約42kHz)で共振するように構成される。チャンバの形状は、強いシンセティックジェット及び均一な投与量送達を提供するために構成されてもよい。以下により詳細に説明するように、音響共振周波数は、好ましくは、圧電トランスデューサの機械的共振周波数と一致するように調節される;すなわち、最大実電力が消費される周波数と一致するように、それゆえ所望の機械的変位が達成される。
好ましくは、速やかに開始するシンセティックジェットと、温度の影響(これは、圧電トランスデューサと音響チャンバの共振周波数を相対する方向に動かす傾向がある)に対する最大ロバスト性を提供するために、投与チャンバの形状、大きさ及び穴の配置は、投与チャンバが、圧電トランスデューサの共振周波数と一致する特定の周波数で共振することを可能にする。
好ましい実施形態によれば、容器(例えば、ブリスター)の投与チャンバに対する投与位置は、従来技術のDPIとは異なっており、すなわち、ドライパウダー薬剤は、圧電トランスデューサと直接隣接するよう配置されていなくてもよく、容器の外に浮遊して、トンネルを通じて投与チャンバ内に入ってもよい。対照的に、従来技術は、粉末が振動エレメントに直接隣接する位置にある配置を記載している。
一実施形態によれば、吸入器は、薬剤を受け取るように構成された投与チャンバ;投与チャンバに対面しており、トランスデューサが作動したときに薬剤をエアロゾル化するように構成されたトランスデューサ;及び投与チャンバとトランスデューサとの間にあり、投与チャンバに貼付されている膜を有しており、前記吸入器は、トランスデューサが作動すると、ユーザーにエアロゾル化された薬剤を送達するためのシンセティックジェットを発生させる。
一実施形態によれば、投与チャンバの形状、大きさ及び穴の配置は、トランスデューサが作動すると、吸入器が、ユーザーにエアロゾル化された薬剤を送達するシンセティックジェットを発生するように構成されており、ここで、シンセティックジェットは、100ミリ秒程度の短時間(例えば、約100ms〜約1000ms、又は約100ms〜約800ms、又は約100ms〜約500ms)のトランスデューサの活性化(すなわち、トランスデューサのバースト)に応答して、薬剤を出口通路に放出させる。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、ドライパウダー薬剤を含むように構成された内部を有する投与チャンバ(例えば、投与チャンバは、ブリスターから移動してきたドライパウダー薬剤を含んでもよい)、及び、投与チャンバと対面しているトランスデューサを有する。投与チャンバとトランスデューサは音響的に共振性であり、投与チャンバが、トランスデューサの作動に応答して共振する。投与チャンバでは、トランスデューサの作動を受けて、ドライパウダー薬剤がエアロゾル化され、シンセティックジェットにより投与チャンバから送達されるように、内部形状、内のり高さ、及び1又は複数の開口部の位置が構成されている。好ましくは、投与チャンバの内部形状は、少なくとも部分的に、肩部へと移行する下方側壁、下方側壁から離れる方向に延びて頂部へと移行する肩部、一点に収束する頂部によって決定され、投与チャンバの1又は複数の開口部は、前記頂部に配置されている。投与チャンバの内のり高さは、圧力振動(例えば、1又は複数のアンチノードでの)が、ドライパウダー薬剤をエアゾロル化し、1又は複数の開口部から送達させるのに十分な高さとなるように構成される。好ましくは、1又は複数の開口部は、投与チャンバの1又は複数のアンチノード(トランスデューサが作動される際の)に配置される。
この実施形態によれば、投与チャンバの(1)内部形状、(2)内のり高さ、及び(3)1又は複数の開口部の位置のそれぞれは、粉末の脱凝集及び/又は送達に影響を与える。例えば、シンセティックジェットの開始速度、最大シンセティックジェット、バーストあたりの送達量、合計送達量、空気力学的粒度分布の1又は複数は、投与チャンバの内部形状、内のり高さ、及び1以上の開口部の位置のうちの1又は複数の変更によって影響を受けうる。好ましくは、投与チャンバの内部形状と高さは、トランスデューサと投与チャンバの協同的音響共振が、本明細書に記載される好ましい範囲内のMMAD(例えば、約6μm以下)を有し、好ましくは、本明細書に記載の好ましい範囲内の微粒子画分(例えば、少なくとも30%)を有するドライパウダー薬剤のエアゾロル化と送達を引き起こすのに十分であるように構成されている。最大シンセティックジェットは、好ましくは、本明細書に記載の時間の範囲内(例えば、トランスデューサ作動の開始から約500ms以下)で達成される。
図40に示される実施形態において図示されるように、投与チャンバ内のあるエリア(ノードのNを付された)は、トランスデューサが作動されるときの圧力でほとんど又は全く振動を示さず、他方、他のエリア(アンチノードのAを付された)は、トランスデューサが作動されるときの圧力でより高い振動を示す。投与チャンバ内の最大量のシンセティックジェット、すなわち、投与チャンバの内容物を撹拌する内部ジェットの発生は、高い圧力振動のあるエリアで発生し、他方、振動圧力の無い又は振動圧力が極めて少ないエリアでは、シンセティックジェットは発生しない(あるいは、発生しても極めて小さい)。別の言い方をすれば、アンチノードは、ノードに比べて、圧力下でより高い振動を示す。シンセティックジェットが開口部(単数又は複数)で最大となるように、好ましくは、投与チャンバ内の開口部(単数又は複数)は、振動圧力がほとんど又は全くない(ノード)エリアではなく、高い振動圧力(アンチノード)の1又は複数のエリアに配置されている。好ましくは、投与チャンバの形状は、孔の付近で円錐形状となっており、粉末が入り込むのを防ぎ、アンチノードで適切な強度の振動圧力を達成する。好ましい実施形態によれば、投与チャンバの開口部(単数又は複数)が、アンチノードエリア(ノードと比べて圧力下でより高く振動する場所)内の円錐形状部に配置されているとき、最適なシンセティックジェットが発生する。チャンバの内側のノードとアンチノードの位置は、従来法である、チャンバの大きさと形状に基づく固有周波数分析で(例えば、Comsol(登録商標)ソフトウェアを使用して)決定することができる。
トランスデューサの周波数範囲(例えば、37〜42kHz)に対して、投与チャンバの全ての内のり高さが、適切なシンセティックジェット、投与量送達、及び空気力学的粒度分布(APSD)を提供するわけではない;これは、内のり高さが、ノードとアンチノードの位置を含めたシステムの音響共振に影響を与えるためである。いくつかのケースでは、投与チャンバの内のり高さが変わると、新しい投与チャンバの形状の新しい音響共振と整合させるために、トランスデューサの起動周波数も変更される。他のケースでは、それらの高さが、開口部(単数又は複数)における十分に高い振動圧力を提供するのであれば、トランスデューサの起動周波数は、異なる内のり高さに対して同じままでもよい。ある実施形態によれば、図42に示されるように、内のり高さXを有する投与チャンバは、トランスデューサのそれとほぼ同じ共振周波数Yを有する;約2X、又は1.7X〜2.3Xの内のり高さ(すなわち、次の近似高調波)を有する投与チャンバは、次の近似高調波にてアンチノード(高い振動圧力)が再び投与チャンバの開口部に位置するため、ほぼ同じ共振周波数Yを有する。
ある実施形態によれば、投与チャンバの内のり高さは、図43Bの破線で示すように、下方側壁1126の長さによって調節されてもよい。例えば、投与チャンバの内のり高さは、約8mm〜約12mm、又は約9mm〜約11mmであってもよい。図43Aに示すある実施形態によれば、投与チャンバが、トランスデューサとほぼ同じ共振周波数を有する場合(例えば、約37kHz〜約42kHz)、内のり高さは、約4mm〜約6mm、又は約5mm〜約6mmである。図43Bに示す別の実施形態によれば、トランスデューサが、37kHz〜42kHzの同じ周波数で作動される場合、投与チャンバの内のり高さは、図43Aに示す内のり高さの約2倍であるか、あるいは内のり高さの約1.7〜2.3倍、又は内のり高さの約1.7〜2.1倍、例えば、約8mm〜約12mm、又は約9mm〜約11mmである。例えば、開口部(1又は複数)における類似したアンチノード位置に起因して、約5.5mm(X)の内のり高さを有する投与チャンバは、約9.9mm(約1.8X)〜約10.5mm(約1.9X)の内のり高さを有する投与チャンバとほぼ同じ共振周波数を有することが見いだされた(シンセティックジェットと投与量送達における同様の性能によって証明される)。
ある実施形態によれば、トランスデューサが無制限の時間にわたって作動される場合、シンセティックジェットは最大速度を有する。いくつかの実施形態によれば、最大速度は、トランスデューサの比較的短い作動時間で達成されてもよい。ある実施形態によれば、トランスデューサが、例えば、約100ms〜約1000ms、又は約100ms〜約800ms、又は約100〜約500ミリ秒間作動されると、最大速度が達成される。
ある実施形態によれば、投与チャンバは垂直側壁を含み、この垂直側壁は、肩部へと移行し、肩部は投与チャンバ内部に対して凹面である。肩部は、好ましくは、側壁から離れて、投与チャンバの中央のほうへ延びるスロープへと移行する。別の言い方をすれば、投与チャンバ1122は、好ましくは、下方側壁1126(例えば、垂直側壁)を含む第一の部分1128、及び、中間側壁1138(例えば、肩部を含む)を含む第二の部分1130、及び上部壁1140(例えば、側壁から離れて、軸1124の周囲に放射状に位置し、点1136へと収束し、円錐部分を形成するスロープ)を含む第三の部分1132を有する。ある実施形態では、下方側壁1126は円柱形状であり、上部壁1140は円錐形状である。
ある実施形態によれば、スロープは、肩部の半径より小さい曲率半径を有する頂部へと移行する。投与チャンバは、さらに、頂部に1又は複数の開口部を有する(例えば、1〜10個の開口部、1〜8個の開口部、1〜6個の開口部、1〜4個の開口部、2〜10個の開口部、2〜8個の開口部、2〜6個の開口部、又は2〜4個の開口部)。例示的な実施形態では、投与チャンバは、4つの開口部を有する。本明細書で記載される、「頂部」という用語は、好ましくは、点1136に収束する上部壁1140によって規定される投与チャンバの円錐形部分を指し、すなわち、「頂部」は、点1136を指すだけでなく、その点へと移行する上部壁によって規定される円錐形部分も指す。頂部の点は好ましくは曲線状であるか又は尖っている。頂部に位置する1又は複数の開口部は、好ましくは、肩部よりも、前記点のより近くに配置されている。
図41Aは、頂部1136に配置された開口部を有する投与チャンバの一例を示し、これに対して、図41Bは、頂部を有さない投与チャンバと、一点に収束しないドーム状エリア内に配置された開口部とを示す。出願人は、特定の実施例に従って、投与チャンバの開口部(孔)が、一点に収束しない平坦な上部又はドーム状エリアではなく、頂部内に配置されている場合、シンセティックジェットが向上することを見い出した;例えば、最大速度は、トランスデューサが、例えば、約100ms〜約1000ms、又は約100ms〜約800ms、又は約100〜約500ミリ秒間作動するときに達成される。いかなる理論に拘束されることもないが、円錐形部分の形状は、開口部(1又は複数)の付近にある適切な振動圧力(1又は複数のアンチノード)の達成に寄与すると考えられる。好ましくは、複数の開口部のそれぞれが、円上に等距離の間隔で置かれた中心点を有し、前記円は、頂部によって定義される軸上にその中心点を有している。
前記頂部は、好ましくは、投与チャンバのその他の部分の壁厚よりも薄い頂部壁厚を有し、すなわち、開口部(1又は複数)を含む投与チャンバの円錐形部分は、垂直側壁(下方側壁とも称される)の壁厚と同じ壁厚を有するか、あるいは投与チャンバのその他の部分(例えば、下方側壁、肩部を含む中間側壁)の壁厚よりも薄い壁厚を有する。各開口部のアスペクト比、すなわち、通路の横断面又は直径に対する長さは、好ましくは少なくとも0.5であり、好ましくは約1以上であり、これは通路の前後に動く気体の塊を、個別の、形の良い空気スラグとして生じさせる。出願人は、投与チャンバの頂部以外の壁が、薄すぎず、且つ、開口部(1又は複数)が配置されている頂部部分の厚みよりも大きい厚みを有する場合、トランスデューサの機械的及び音響的エネルギーが、投与チャンバにより効率的に伝わることを見い出した(振動エネルギーをよりよく保つため)。
ある実施形態によれば、頂部壁厚は約0.002インチ(0.05mm)〜約0.03インチ(0.8mm)、より好ましくは約0.004インチ(0.1mm)〜約0.02インチ(0.5mm)、より好ましくは約0.004インチ(0.1mm)〜約0.01インチ(0.25mm)、より好ましくは約0.006インチ(0.15mm)〜約0.01インチ(0.25mm)である。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約98%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうちの最も大きい壁厚の約95%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約90%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約85%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約80%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約75%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約70%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約65%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約60%の厚みである。ある実施形態では、頂部壁厚は、投与チャンバの残りの部分のうち最も大きい壁厚の約50%の厚みである。ある実施形態では、投与チャンバの残りの部分の厚みは実質的に均一である。
ある実施形態によれば、開口部(1又は複数)は、投与チャンバを出口通路に流体連通し、トランスデューサの作動に応じて、エアロゾル化された薬剤が、投与チャンバから出口通路を通ってユーザーに送達される。ある実施形態によれば、開口部はそれぞれ、約0.005インチ(0.13mm)〜約0.05インチ(1.3mm)、又は約0.008インチ(0.2mm)〜約0.04インチ(1.0mm)、より好ましくは約0.01インチ(0.25mm)〜約0.05インチ(1.3mm)、又は約0.01インチ(0.25mm)〜約0.04インチ(1.0mm)、又は約0.01インチ(0.25mm)〜約0.03インチ(0.76mm)、例えば、約0.019インチ(0.48mm)±0.012インチ(0.30mm)、好ましくは約0.015インチ(0.38mm)±0.03インチ(0.76mm)の直径を有する。
ある実施形態によれば、吸入器は、以下の少なくとも1つを有する:a)投与チャンバの垂直側壁より上の容積に対する、投与チャンバと垂直側壁間の容積の比が、約0.9〜約1.5、b)投与チャンバの高さに対する垂直側壁の高さの比が、約0.25〜約0.5、及びc)投与チャンバの下方直径に対する投与チャンバの高さの比が、約0.5〜約0.65。
ある実施形態によれば、投与チャンバは、容器(例えば、ブリスター)から投与チャンバ内に薬剤を送達するように構成されたエントランス(好ましくは、前記スロープへと至る)を有する。好ましくは、前記エントランスは、トンネル軸の周囲に位置する長手方向に伸びる壁を有し、前記容器は開口平面を有し、前記トンネル軸は前記開口平面に対して傾斜しているか、垂直である。好ましくは、投与チャンバは、対称なチャンバ軸を有し、このチャンバ軸は、前記トンネル軸を横断する。例えば、エントランス軸とチャンバ軸間の角度は、約15°〜約25°である。「横断」という用語は、好ましくは軸を横切って伸びることを意味する。
ある実施形態によれば、前記エントランスは、投与チャンバと流体連通するトンネルを含み、このトンネルは、少なくとも以下の1つを有するように構成されている:(a)底部の長さに対する頂部の長さの比が、約4〜約7.5、(b)中央部の長さに対する頂部の長さの比が、約1.5〜約3、及び(c)底部の長さに対する中央部の長さの比が、約1.25〜約3。投与チャンバの直径に対するトンネルの直径の比は、約0.2〜約0.4であってもよい。
投与チャンバの実施形態を、図面を参照して以下により詳細に記載する。
図11の例に示されるように、いくつかの実施形態では、吸入器100は、投与チャンバ・ハウジング1102を含む。好ましくは、投与チャンバ・ハウジング1102の少なくとも1部は、投与チャンバ1122の形状を決める。ある実施形態では、投与チャンバ・ハウジング1102は、空気が、吸入器100を通って流れ、投与チャンバから出てくる薬剤をピックアップし、出口通路1182に入り、薬剤をユーザーに送達するように、気流導管1195の境界を形成する。図12〜13には、ハウジング1102の一実施形態が示される。ある実施形態では、ハウジング1102は、気流導管1195の一部を含む上部表面1104を有する(気流導管1195は、図18にもっともよく表される)。ある実施形態では、ハウジングは、上部表面1104の下に本体1103を有し、これは投与チャンバ1122を含む(図13にもっともよく表される)。気流導管1195の一部の境界は、ハウジング1102の上部表面1104から延びる側壁1106を含んでもよい。上部表面1104(図12にもっともよく表される)と側壁1106間の接合部における移行は、半径又は面取りされた面の形状であってもよい。ある実施形態では、導管手段(例えば、気流導管1195)は、吸入器100を通る空気の層流を促進するために構成される。ある実施形態では、上部表面1104と側壁1106は平滑であり、以下により詳細に説明するように、導管手段(例えば、気流導管1195)を通る層流を促進する。ある実施形態では、上部表面1104と側壁1106は、ハウジング容積1107を決定する。ある実施形態では、上部表面1104は、ハウジング容積1107の第一境界であり、側壁1106は、ハウジング容積1107の第二境界であり、ハウジング容積1107は、少なくとも一面が開口している。ある実施形態では、チャンバ上端1110部分は、投与チャンバ1122の反対側の上端1104から離れて延びる。ある実施形態では、チャンバ上端1110は、投与チャンバ1122の上部を含み、上部表面1104の少なくとも1部によって形成される平面は、チャンバ上端1110及び/又は投与チャンバ1122と交わる。ある実施形態では、チャンバ上端は、上面と同一平面上にある。ある実施形態では、チャンバ上端1110は、上部表面1104に対してくぼんでいる。上部表面1104は、チャンバ上端1110を取り囲むように構成された溝1112を含んでもよい。溝1112は、チャンバ上端1110及び上部表面1104のそれぞれに対してくぼんでいてもよい。ある実施形態では、ハウジング1102は、上部表面1104と投与チャンバ1122を含む一体型エレメントである。ある実施形態では、ハウジング1102は、投与チャンバを含む第一エレメントと、上部表面1104を含む第二エレメントを含み、第一エレメントと第二エレメントは互いに連結している。
ある実施形態では、投与チャンバ・ハウジング1102は、ハウジング1102をベースプレート590(図5A)に少なくとも部分的に圧入、溶接、留め具(例えば、ネジ、だぼ、アンカー、熱カシメ)、接着剤などにより固定するために、一般的に上部表面1104から離れて延びるアーム1114を含む。ハウジング1102は、上述したように、バッキングテープ452がブリスターストリップ450から剥離されるとき、このストリップのテープ(図4Aに最もよく表される)と接触するように構成されたへり1116を含んでもよい。へり1116とバッキングテープ452との間の接触は、ブリスターストリップ450からのバッキングテープ452の剥離を助けてもよい。ある実施形態では、へり1116は、バッキングテープの切断を防ぐため、丸みを帯びたエッジであるか、又は、比較的小さな接触表面積(バッキングテープ452とへり1116との間の摩擦を減じる)となるように、比較的小さな半径を持ってもよい。アーム1114は、バッキングテープ452がブリスターストリップ450から剥離されるとき、ハウジング1102に加わるトルク強さに対抗してもよい。ある実施形態では、アーム1114は、下縁1118と曲線部1120を有する。ある実施形態では、下縁1118と曲線部1120は、ブリスターストリップがハブ440と係合するとき、ブリスターストリップ450を導くトラックの一部をなす。ある実施形態では、ハブ440の曲線におおむね沿うような曲線部1120が選択される。これは、様々な大きさのブリスターを、吸入器で使用可能にし得る。
いくつかの実施形態では、投与チャンバ・ハウジング1102は、ブリスター130及び出口通路1182と流体連通している内部通路を含む。例えば、ブリスター130からの薬剤が、エアロゾル化され、ユーザーに送達できるようにこの通路が構成される。いくつかの実施形態では、通路は、投与チャンバ1122とトンネル1152を含む。図13は、図12の線13−13に沿った、ハウジング1102の断面図である。例えば、以下により詳細に記載するように、ある実施形態では、投与チャンバ1122は、ブリスター130(又は容器)から薬剤あるいは他の物質を受け取り、この薬剤を、出口通路1182を通じてユーザーに送達するために構成される。
ある実施形態では、投与チャンバ1122は、下方側壁1126を含む第一部分1128と、中間側壁1138を含む第二部分1130と、上部壁1140を含む第三部分1132を含む。ある実施形態では、下方側壁1126は円柱部分を形成し、上部壁1140は円錐形部分を形成する。ある実施形態では、投与チャンバ1122は、対称軸1124を含み、その周囲に、投与チャンバ1122の下方側壁1126、中間側壁1138、上部壁1140の少なくとも一部が配置されている(例えば、放射状に配置される)。投与チャンバ1122は、それゆえ、少なくとも一平面において円形の横断面を含んでもよい。下方側壁1126は、ハウジング1102の外表面1134から延びる垂直部分を有していてもよい。ある実施形態では、下方側壁1126は、外表面1134からハウジング1102の上部表面1104のほうへ延びる。第一部分1128、第二部分1130及び第三部分1132は、一体型エレメントであってもよく、あるいは、連結されて投与チャンバを形成する一以上の分離エレメントを含んでもよい:例えば、下方側壁1126又はその一部は、中間側壁1138と上部壁1140を含むエレメントに連結されて投与チャンバを形成してもよい。
ある実施形態では、ハウジング1102は、下方側壁1126の下部を形成するクラウン1135を含む。ある実施形態では、クラウン1135は、ハウジング1132の下面1137から突き出すように構成されている(図13及び16に最もよく表される)。クラウン1135は、内面1139と外面1141を有する。内面1139及び/又は外面1141は、それぞれ、内径及び外径を有するように形成されている。ある実施形態では、内面1139は、下方側壁1126の一部と接触している。下方側壁1126は、図13では、総じて直線部分として示されるが、下方側壁はカーブしていてもよく、外表面1134から離れて伸びる側壁として、内側/外側に傾いていてもよく、段差があってもよく、あるいは、十分なシンセティックジェット及び投与量送達を提供する他の任意の形状であってもよい。投与チャンバ1122は、以下により詳細に説明するように、ハウジング1102の外表面1134から、チャンバの頂部1136に至る対称軸1124に沿って測定される高さを有する。ある実施形態では、チャンバ1110の最上部(図12に最もよく表される)は、頂部1136を有し、この頂部は、投与チャンバ1122の残りの部分の壁厚よりも薄い頂部壁厚を有する。
ある実施形態では、投与チャンバ1122の高さは、第一部分1128、第二部分1130及び第三部分1132の高さの合計を含む。ある実施形態では、下方側壁1126は、チャンバ高さの10%〜75%の第一部分の高さを規定する。ある実施形態では、第一部分の高さは、チャンバ高さの20〜70%である。ある実施形態では、第一部分の高さは、チャンバ高さの30〜65%である。ある実施形態では、第一部分の高さは、チャンバ高さの40〜60%である。ある実施形態では、第一部分の高さは、チャンバ高さの50〜55%である。ある実施形態では、第一部分1128の直径に対する投与チャンバ1122の高さの比は、約0.5〜約0.65である。ある実施形態では、第一部分1128の直径に対する投与チャンバ1122の高さの比は、約0.55〜約0.60である。ある実施形態では、第一部分1128の直径に対する投与チャンバの長さの比は、約0.4〜約0.75である。ある実施形態では、第二部分1130及び第三部分1132の合計容積に対する第一部分1128の容積の比は、約0.8〜約1.3である。
図13に図示される例示的な投与チャンバ1122は、下方側壁1126と隣接する中間側壁1138によって決定される外周を有する第二部分1130を含む。ある実施形態では、中間側壁1138は、チャンバ1122の内部に対して凹面として構成され、投与チャンバ1122を図13のような横断面で見たとき観察できるように、前記凹面部は、湾曲部1133を有する弧によって規定されてもよい。ある実施形態では、中間側壁1138は、チャンバ1122の内部に対して凹面であり、中間側壁は、チャンバ内部に中心点を有する湾曲部1133を有する。ある実施形態では、中間側壁は、中間側壁1138の高さに沿って連続的な湾曲部1133を有する。ある実施形態では、中間側壁1138は、それぞれ異なる湾曲部(図示せず)を有する部分を含む。ある実施形態では、中間側壁1138は、チャンバ1122の内部に対して凸面である第一湾曲部と、チャンバの内部に対して凹面である第二湾曲部(図示せず)を含む。ある実施形態では、中間側壁1138は、階段状の部分であり、下方側壁1126から上部璧1140への移行部を含む。ある実施形態では、中間側壁1138は、上部璧1140と下方側壁1126との間に傾斜したあるいは面取りされた移行部を有する。ある実施形態では、中間側壁1138は、上部璧1140と下方側壁1126との間に斜面を有し、この斜面は、下方側壁1126に対して傾斜角にて配置されている。
図13に図示するように、第三部分1132は、軸1124の周りに放射状に配置されて円錐形部分を形成する上部璧1140によって形成される。図13に図示される、例示的な中間側壁1138は、下方側壁1126から離れて伸びて上部璧1140に移行するように構成されている。ある実施形態では、上部璧1140は、チャンバ軸1124に対して傾斜している。ある実施形態では、上部璧1140は、中間側壁1138と頂部1136との間に延びる連続的なスロープを有する。ある実施形態では、上部璧1140は、軸1124に対して第一角度をなす第一スロープ区画と、軸1124に対して第二角度(第一角度とは異なる。図示せず)をなす第二区画とを有する。ある実施形態では、上部璧1140は、第一区画1144(そこで、上部璧1140を形成するハウジング1102は、第一厚みを有する)と、第二厚みを有する第二区画1146を含み、第二厚みは第一厚みより薄い。ある実施形態では、ハウジング1102の上部表面1104における溝1112は、第一区画1144と第二区画1146との境界をなす。
図13を参照すると、上部璧1140の一部は、ハウジング1102の上部表面1104を超えて延びる。ある実施形態では、頂部1136は、上部表面1104を超えて延びる上部璧1140の部分である。言い換えれば、チャンバ上端1110(図12に最もよく表される)は、点1136へと収束する頂部を有する。図13では、チャンバ上端1110は、好ましい円錐形状を持つものとして示されるが、チャンバ上端は、所望により別の形状を有していてもよい。ある実施形態では、頂部1136を含んでいる上部璧1140部分は、頂部1136の長さに沿って均一な厚みを有する。
1又は複数の開口部1148は、上部璧1140を貫通し、投与チャンバ1122と出口通路1182との間を流体連通させるように構成される。好ましくは、少なくとも開口部(単数又は複数)を取り囲む頂部エリアは、US7,318,434に記載されるシンセティックジェットのための以下のパラメータを満たす:1)各開口部のアスペクト比、すなわち、通路の横断面又は直径に対する長さが、好ましくは少なくとも0.5、及び好ましくは約1以上である。いくつかの実施形態では、このアスペクト比は、通路の前後に動く気体の塊を、個別の十分に形成された空気スラグとして生じさせるのに役立つ;2)気体が、通路を通じて前後に動く距離が、好ましくは、通路の横断面又は直径の約2倍より大きい。これにより、生じた渦により脱凝集されたドライパウダーは、気体が通路を通って戻る前に、渦の存在を避ける機会を持つ。
ある実施形態では、上部璧1140の頂部1136を含む部分は、次第に薄くなる厚みを有する。例えば、上部璧1140は、溝1112に隣接する部分についての第一厚みと、頂部1136の先端部分についての第二厚み(第一厚みとは異なる)を有してもよい。ある実施形態では、第一厚みは、第二厚みより大きい。ある実施形態では、第一厚みは、第二厚みより小さい。ある実施形態では、上部璧1140は、第一厚みと第二厚みの間で、段階的に変化あるいは突然に変化してもよい。ある実施形態では、上部璧1140は、第一厚みと第二厚みの間を、徐々に移行する。ある実施形態では、頂部1136は、頂部の先端にて曲率半径1151を有し、これは中間側壁1138の半径よりも小さい。
1又は複数の開口部1148は、上部璧1140を貫通し、投与チャンバ1122と出口通路1182との間を流体連通させるように構成される。ある実施形態では、開口部1148はそれぞれ、チャンバ1122の軸1124上にその中心を有し且つ約0.5mm〜約1.0mmの半径を有している円(図示せず)上に、等距離間隔で配置された中心点を有する。ある実施形態では、チャンバ1122は、単一の開口部1148を有する。ある実施形態では、チャンバ1122は、4つの開口部1148を有する。ある実施形態では、開口部1148は、軸1124の周囲に非対称的に配置されている。ある実施形態では、開口部1148の一つは、軸1124上に配置されている。ある実施形態では、開口部1148は、約0.019インチ(0.48mm)±0.012インチ(0.30mm)、好ましくは約0.015インチ(0.38mm)〜0.03インチ(0.76mm)の直径を有する。ある実施形態では、開口部1148のそれぞれが、それ自身の開口部対称軸1150の周囲に配置された開口部側壁を有する。ある実施形態では、開口部1148の少なくとも1つは、投与チャンバ1122の軸1124を横断する開口部対称軸1150を有する。ある実施形態では、開口部1148の少なくとも1つの開口部軸1150は、上部璧1140に対して垂直である。ある実施形態では、投与チャンバ1122は、それぞれが軸1150を有している2以上の開口部1148を含み、軸1150は、全て互いに平行であってもよく、あるいは一つが他の軸に平行でなくてもよく、それぞれが上部璧1140の表面に垂直であってもよく、及び/又は一つが投与チャンバ軸1124に平行であってもよい。ある実施形態では、開口部1148の直径は、頂部1136の開口部の数によって変わってもよい。例えば、投与チャンバが開口部の数に関わらず、一貫した合計開口部表面積を有するように、2つの開口部1148を有するチャンバ1122は、4つの開口部を有するチャンバよりも大きな開口部直径を有してもよい。開口部1148は、エアロゾル化された薬剤がそこを通過可能である限り、任意の所望の形状(例えば、円形、楕円形、長方形など)を有するように構成される。ある実施形態では、薬剤がユーザーの肺に移動可能な大きさとなるように、開口部1148の大きさが選択される。
図13を参照すると、ハウジング1102の一実施形態は、トンネル1152を含み、これは、投与チャンバ1122と、ブリスター130(図11に最もよく表される)又はハウジング1102の外側に位置する別の物質源との間を流体連通するための通路となるように構成される。トンネル1152は、トンネル上壁1154及びトンネル下壁1156を含むように構成される。ある実施形態では、トンネル1152の横断面形状は円形である。ある実施形態では、トンネル1152の横断面形状は、正方形、楕円形、長方形、任意の多角形などである。ある実施形態では、トンネル1152は、下方側壁1126を通って延び、下方側壁1126におおむね垂直であり、トンネル上壁1154とトンネル下壁1156は、おおむね等しい長さである。
ある実施形態では、トンネル1152の軸1158は、チャンバ軸1124に対して傾斜している。ある実施形態では、トンネル1152は、チャンバ1122の上部璧1140を通って延びる。ある実施形態では、トンネル軸1158は、チャンバ軸1124に対して傾斜しており、トンネル上壁1154は上部壁1140と交わり、トンネル下壁1156は中間側壁1138又は下方側壁1126と交わり、上部表面1156とトンネル下壁1156の長さは互いに異なっており、直接隣接するチャンバ内部表面に対するトンネル上壁1154の角度1160は、隣接するチャンバ内部表面に対するトンネル下壁1156の角度1162とは異なる。ある実施形態では、トンネル上壁1154とトンネル下壁1156は、トンネル軸1158の周囲に均一に放射状に配置されている。ある実施形態では、トンネル上壁1154とトンネル下壁1156は、互いにおおむね平行である。ある実施形態では、トンネル上壁1154とトンネル下壁1156は、トンネル軸1158に向かって収束する。ある実施形態では、トンネル上壁1154とトンネル下壁1156の一方は、おおむね直線であり、ある実施形態では、トンネル上壁1154とトンネル下壁1156の他方は、直線ではない(例えば、曲線状、階段状、又は湾曲状)。ある実施形態では、トンネル軸1158は直線である。ある実施形態では、トンネル軸1158は、湾曲、曲線などを含む。
ある実施形態では、トンネル1152の平均直径に対するトンネル上壁1154の長さの比は、約4〜約7.5である。ある実施形態では、トンネル1152の長さ中央値に対するトンネル上壁1154の長さの比は、約1.5〜約3である。ある実施形態では、トンネル1152の長さ中央値に対するトンネル下壁1156の長さの比は、約1.25〜約3である。ある実施形態では、チャンバ1122の直径に対するトンネル1152の直径の比は、約0.2〜約0.4である。ある実施形態では、トンネル軸1158とチャンバ軸1124との角度1164は、約100°〜約150°である。ある実施形態では、角度1164は、約100°〜約140°である。ある実施形態では、角度1164は、約100°〜約130°である。ある実施形態では、角度1164は、約20°である。ある実施形態では、トンネル下壁1156は、側壁1126と中間側壁1138の交点に位置する。ある実施形態では、トンネル下壁1156は、中間側壁1138と上部璧1140の交点に位置する。ある実施形態では、トンネル下壁1156とハウジング1102の外表面1134との間の長さは、投与チャンバ1124へのトンネル上壁1154の入口点と、頂部1136との間の距離より大きい。ある実施形態では、トンネル軸1158は、ブリスター面1168(図1Hに最もよく表される)を含む平面に対して傾斜している。ある実施形態では、トンネル上壁1154は、トンネル上壁平面を形成し、トンネル下壁1156は、トンネル下壁平面を形成し、トンネル上壁平面とンネル下壁平面のそれぞれの延長線は、投与チャンバ1122の外側と交わる。
投与チャンバ・ハウジング1102は、気流導管の表面での薬剤の沈着を減じる又は除去する一方、投与チャンバ1122を通るエアロゾル化された薬剤の流れ、及び、気流導管1195の少なくとも1部を通る気流を促進する材質から製造される。ある実施形態では、ハウジング1102は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)から形成される。ハウジング1102は、RTP社(ミネソタ州、ウィノーナ)によって製造されるPermastatなどの帯電防止添加剤又はコーティングを含んでもよい。ある実施形態では、ハウジング1102は、PVC、マイラー、ABS、ステンレス鋼、又はブリスターストリップ内の薬剤との反応を避ける任意の他の物質から形成される。ある実施形態では、ハウジング1102は、以下により詳細に説明するように、トランスデューサ150からの振動を、ブリスターストリップ131に伝える。ハウジング1102は、単一の物質から製造されてもよく、又は異なる材料から異なる部分が作られてもよい。例えば、投与チャンバ1122の下方側壁1126、中間側壁1138、及び上部璧1140は、第一の物質を含んでもよく、ハウジング1102の上部表面1104は、第二の物質を含んでもよい。
好ましい実施形態によれば、膜が投与チャンバに付されており、前記チャンバを振動エレメントに連結する。本明細書で使用される膜は、好ましくは、トランスデューサ面と投与チャンバの内側との間に(例えば、仕切りとして)配置された物質からなるシートであり、前記物質からなるシートは、好ましくは柔軟性を有する。膜は好ましくは以下の基準を満たす:生体適合性;振動を適切なレベルの音響活性に効率的に変換する柔軟な材料;損傷に対するロバスト性;投与チャンバの材質への確実な接着;及び、適切な熱膨張係数を有する。好ましくは、膜は、吸入器の予定寿命の期間中に予測される環境条件下で、張力と接着を保持する能力があり、投与チャンバ音響共振への効率的な振動伝達を提供する一方、滑らかさと平面性を保持する。全体的に見て、膜の材質と張力は、シンセティックジェットの速やかな開始と送達量均一性が達成できるように、トランスデューサから投与チャンバへのエネルギー伝達を最適化すべきである。
ある実施形態によれば、吸入器は、薬剤を受け取るように構成された投与チャンバ;投与チャンバに対面するトランスデューサであって、作動すると薬剤をエアロゾル化するように構成されているトランスデューサ;及び、投与チャンバとトランスデューサとの間の膜であって、投与チャンバ開口にわたって引き伸ばされ、投与チャンバに貼付されている膜;を含み、この装置はトランスデューサが作動すると、ユーザーにエアロゾル化された薬剤を送達するシンセティックジェットを生じる。
別の実施形態によれば、薬剤送達装置は、ドライパウダー薬剤を含むように構成された内部を有する投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、投与チャンバとトランスデューサは音響的に共振性であり、投与チャンバはトランスデューサの作動に応じて共振するように構成されている;及び、投与チャンバとトランスデューサとの間の膜であって、投与チャンバ開口にわたって引き伸ばされ(好ましくは、投与チャンバに貼付されている)、厚みを有する物質からなる膜;を含む。この実施形態によれば、膜の材質と厚みは、粉末の脱凝集及び/又は送達に影響を与える。例えば、シンセティックジェットの開始速度、最大シンセティックジェット、バーストあたりの送達量、合計送達量、及び空気力学的粒度分布の1又は複数が、膜の材質と厚みの変更によって影響を受けうる。好ましくは、トランスデューサ、投与チャンバ、及び膜の協同的音響共振が、本明細書に記載の好ましい範囲内のMMAD(例えば、約6μm以下)、好ましくは本明細書に記載の範囲内の微粒子画分(例えば、少なくとも30%)を有するドライパウダー薬剤のエアロゾル化と送達を引き起こすのに十分であるように、膜の材質とその厚みが選択される。最大シンセティックジェットは、好ましくは、本明細書に記載の好ましい時間の範囲内(例えば、トランスデューサ作動の開始から約500ms以内)で達成される。
ある実施形態によれば、膜は、少なくとも30MPa、より好ましくは少なくとも40MPa、又は少なくとも50MPa、又は少なくとも60MPa、又は少なくとも70MPa、又は少なくとも80MPa、又は少なくとも90MPa、又は少なくとも100MPa、又は少なくとも120MPa、又は少なくとも150MPa、又は少なくとも200MPa;例えば、約30MPa〜約200MPa、又は約40MPa〜約200MPaの引張強さ(MD又は流れ方向)を有する。ある実施形態によれば、膜は、7.0GPa以下、又は6.0GPa以下、又は5.0GPa以下;例えば、約1.0GPa〜約7.0GPa、又は約1.0GPa〜約6.0GPaの引張モジュラスを有する。ある実施形態によれば、膜は、少なくとも50%、又は少なくとも75%、又は少なくとも100%の降伏点引張伸び(MD又は流れ方向);例えば、約50%〜約300%の伸び、又は約75%〜約300%の降伏点伸び、又は約100%〜約300%の降伏点伸びを有する。ある実施形態によれば、膜は、120ppm/℃未満、又は100ppm/℃未満、又は90ppm/℃未満、又は80ppm/℃未満、又は70ppm/℃未満;例えば、約10ppm/℃〜約100ppm/℃、又は約10ppm/℃〜約90ppm/℃、又は約10ppm/℃〜約80ppm/℃、又は約10ppm/℃〜約70ppm/℃の熱膨張係数(CTE)を有する。ある実施形態によれば、膜は、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも80℃、又は少なくとも90℃、又は少なくとも100℃;例えば約50℃〜約250℃、又は約60℃〜約250℃、又は約60℃〜約200℃、又は約60℃〜約175℃のTg(ガラス転移点)を有する。
ある実施形態によれば、膜は、以下の特徴の1又は複数を有する:少なくとも30MPaの引張強さ(MD)、7.0GPa以下の引張モジュラス、少なくとも50%の引張伸び(MD)、100ppm/℃未満のCTE、及び少なくとも60℃のTg。そのような物質の非限定的な例には、ポリエチレン・テレフタレート(PET)(例えば、マイラー(登録商標)813)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(例えば、APTIV(登録商標)2000-050)、ポリカーボネート(例えば、LEXAN(登録商標)SD8B14)、ポリスルホン(例えば、Udel(登録商標))、ポリエーテルイミド(例えば、ULTEM(登録商標))、ポリフッ化ビニリデン(例えば、KYNAR(登録商標))、及びポリ塩化ビニルが含まれる。
別の実施形態によれば、膜は、以下の特徴の1又は複数を有する:少なくとも40MPaの引張強さ(MD)、6.0GPa以下の引張モジュラス、少なくとも75%の引張伸び(MD)、100ppm/℃未満のCTE、及び少なくとも70℃のTg。好ましくは、前記膜は投与チャンバにヒートシール可能な物質である。ある実施形態では、膜は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)(例えば、マイラー(登録商標)813)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(例えば、APTIV(登録商標)2000-050)、ポリカーボネート(例えば、LEXAN(登録商標)SD8B14)、ポリスルホン(例えば、Udel(登録商標))、ポリエーテルイミド(例えば、ULTEM(登録商標))、ポリフッ化ビニリデン(例えば、KYNAR(登録商標))、及びポリ塩化ビニル、又は本明細書に記載の特性(例えば、引張強さ、引張モジュラス、引張伸び、CTE、Tgなど)の一つ以上を有する同様の物質の一つから製造される。
ある実施形態によれば、膜は、約0.15N/mm〜約1.0N/mm、又は0.2N/mm〜約1.0N/mm、又は約0.2N/mm〜約0.8N/mm、又は約0.2N/mm〜約6N/mm(投与チャンバに取り付けられた状態で測定した際)の張力を受ける。ある実施形態によれば、膜は、約30μm〜約150μm、又は約40μm〜約100μm、又は約40μm〜約70μm、又は約40μm〜約60μm、又は約50μm〜約80μmの厚みを有する。ある実施形態によれば、膜の材質は、PET,ポリカーボネート及びPEEKの少なくとも一つから選択される。別の実施形態によれば、膜の材質は、PET及びポリカーボネートの少なくとも一つから選択される。ある実施形態によれば、膜は、チャンバ高さの約0.38%〜約0.43%の膜厚を有する。膜の実施形態を、図を参照して以下により詳細に説明する。
ある実施形態によれば、トランスデューサ150が作動されると、膜が振動するように、膜1166は、ハウジングに連結され、投与チャンバ1122の開口を覆っている。図14〜15に、膜1166(又はフィルム)が示される。膜1166は、投与チャンバ1122の開口端1170(図16に最もよく表される)を膜1166が覆うように、ハウジング1102の外表面1134に連結するよう構成されている。膜1166は、接着剤、溶接、アンカーなどによりハウジング1102に連結されるよう構成されている。ある実施形態によれば、膜1166は、膜が開口端を完全に覆うよう、投与チャンバ1122の開口端1170と同様の形状を有する。ある実施形態では、膜1166は、図15に示すように、均一な厚みを有する。ある実施形態では、膜1166のある部分は、他の部分より厚い又は薄い。ある実施形態では、例えば、膜1166の外側領域1165は、内側領域1167より厚い。ある実施形態では、外側領域1165は、内側領域1167より薄い。ある実施形態では、膜1166は、外側領域1165と内側領域1167の厚い方から、外側領域1165と内側領域1167の薄い方にかけて次第に薄くなる。ある実施形態では、外側領域1165と内側領域1167との間の移行部は、一つの領域がもう一つの領域より厚い場合、段差を有する。
ある実施形態では、トランスデューサが振動する際、トランスデューサと膜との間の効率的なエネルギー共役を促進するために、膜1166は、膜を投与チャンバの開口にわたって延伸させる材質から製造される。ある実施形態では、膜1166は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)(例えば、マイラー(登録商標)813)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(例えば、APTIV(登録商標)2000-050)、ポリカーボネート(例えば、LEXAN(登録商標)SD8B14)、ポリスルホン(例えば、Udel(登録商標))、ポリエーテルイミド(例えば、ULTEM(登録商標))、ポリフッ化ビニリデン(例えば、KYNAR(登録商標))、及びポリ塩化ビニル、又は膜が開口端1170の少なくとも一部にわたって延伸可能となる同様の物質、の一つから製造される。ある実施形態では、膜1166は、最初に、開口端1170にわたって延伸される時、引張荷重を受ける。ある実施形態では、張力は約0.17〜約1.09N/mmである。ある実施形態では、吸入器100が使用中でない場合、張力は約0.17〜約1.09N/mmである。張力の値は、少なくとも一部は、膜1166の材質又は厚みに基づいて選択されてもよい。例えば、張力は膜の材質に基づいて選択されてもよく、選択された材質と張力とを有する膜の結果的な共振周波数は、以下により詳細に説明するように、トランスデューサ150の共振周波数と近似する。ある実施形態では、膜1166は不透明である。ある実施形態では、膜1166は透光性又は半透明である。ある実施形態では、膜1166は、同じ又は異なる材質からなる2以上の層を含む。
膜1166は、好ましくは、クラウン1135に連結されるように構成されている。選択した数の使用(膜が振動する)の後、膜1166がクラウン1135から外れないように、膜1166とクラウン1135との間の剥離強度を選択することができる。剥離強度は、空気が、膜1166とクラウン1135との間から投与チャンバ1122に流入する又は流出する可能性を減らすために選択されてもよい。ある実施形態における剥離強度は、約75g〜約250gとなるように構成される。ある実施形態では、クラウンに連結される膜部分は、エレメント間の接着を向上させるために、連結前に処理される(例えば、化学エッチング、物理的スコアリング)。ある実施形態では、膜1166の外部領域1165は、内部領域1167より厚く、外部領域1165は、クラウン1135に膜1166を連結する前に処理される(例えば、化学エッチング、物理的スコアリング)。ある実施形態では、膜1166は、クラウン1135に固定され、クラウン1135と同じ外径を膜が有するようにその場でトリミングされるシートを含む。ある実施形態では、膜1166は、エッジに巻きつけられ、クラウン1135の側面に固定される。ある実施形態では、膜1166は、膜有効面積1171を有する。図16に図示される実施形態において、膜有効面積1171は、投与チャンバ1122の開口端1170の上側にあり、クラウン1135の内面1139の内側にある膜1166の部分であり、このため、膜有効面積はクラウン1135と接触することなく動く(振動する)ことができる。ある実施形態では、膜厚は、チャンバ高さの約0.1%〜約1%、又は約0.1%〜約0.8%、又は約0.1%〜約0.6%、又は約0.2%〜約1%、又は約0.2%〜約0.8%、又は約0.2%〜約0.6%、又は約0.38%〜約0.43%である。
ある実施形態では、膜の材質は、厚み約10μm〜約40μmのPET材料;あるいは厚み約20μm〜約60μmのポリカーボネート材料であり、ここで、前記材料は、接着剤(例えば、Loctite(登録商標)4310)で投与チャンバにヒートシールされる。例えば、公称厚さ約23±10μmのPET材料(マイラー(登録商標)813)、又は公称厚さ約50±15μmのポリカーボネート材料(LEXAN(登録商標)Sabic SD8B14)が、最適なシンセティックジェット(例えば、トランスデューサの作動に応答する、少なくとも1.5Vの最大シンセティックジェット)及び投与量送達を可能にすることが見い出された(例えば、実施例9で実証されるように)。
吸入器100の前方部101は、背面カバーを含み、いくつかの実施形態において、この背面カバーは、投与チャンバ及びブリスター進行機構の歯車を、後方部102のトランスデューサ150及び対応する歯車と相互作用させる連絡通路を含む。図17に、吸入器100の前方部101の単独背面図が示される。好ましい実施形態によれば、前方部101は、吸入器の交換可能な構成要素(取り外し可能なカートリッジとも称される)である。前方部101は、投与チャンバ1122と協調する(一致する)通路1172を有する背面カバー1174を有するように構成される。通路1172は、以下により詳細に説明するように、吸入器100が組み立てられるとき、膜1166とトランスデューサ150を隣接させるか、あるいは、互いに接触させる。ある実施形態では、ハウジング1102のクラウン1135は、通路1172の中に部分的に入っている(図18に最もよく表される)。背面カバー1174は、ブリスターストリップ進行機構のセクターギア441とスプーリングギア461のための連絡通路1176を含むように構成される。ある実施形態では、組み立てられた際、クラウン1135は、背面カバー1174の裏面1178から奥まっている。ある実施形態では、膜1166は、裏面1178から約0.5〜約1.5mm奥まっている。
特定の実施形態、特に、ブリスターストリップを採用する実施形態によれば、吸入器の部品の相対的な配置 (例えば、振動エレメント、投与チャンバ、吸気口及び排気口に対するブリスター)、及び気流導管の形状及び配置は、従来のドライパウダー送達装置のものとは異なる。例えば、複数の装置において、薬剤容器(カプセル又はブリスター)は、振動エレメントの前に配置され、いくつかのケースでは、振動エネルギーが振動エレメントから薬剤容器に直接伝達されるように(それらの間に配置された構造物なしで)、薬剤容器は振動エレメントと直接接触した。例えば、米国特許第6,026,809及び6,142,146参照。従来技術の装置とは異なり、本発明の実施形態によれば、薬剤容器(例えば、ブリスター)は振動エレメントの真正面にはなく、その代わりに、吸入器は振動エレメントと容器との間に位置する投与チャンバを含む。例えば、吸入器は、ブリスター軸の周囲に配置されたブリスター;チャンバ軸の周囲に配置された投与チャンバ;及び投与チャンバと対面するトランスデューサであって、作動されると薬剤をエアロゾル化するように構成されているトランスデューサ;を含んでもよく、前記チャンバ軸は、ブリスターが投与位置にあるとき、ブリスター軸を横断する。好ましくは、これらの部品の相対位置は、被験者に煙突式の気流導管排気口を提供し、排気口に対して約90°にて空気を吸入する。これは、排気口がブリスター軸とおおよそ同じ軸上にあるか、同軸にあるか、又はブリスター軸に対してわずかな角度を有する、クロスフロー式の気流導管とは異なる。
ある実施形態では、ドライパウダー薬剤送達装置は、ブリスター軸の周囲に配置されたブリスター(1軸/1ブリスター);ブリスターからドライパウダー薬剤を受け取るように構成された投与チャンバ;チャンバ軸の周囲に配置された投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、投与チャンバとトランスデューサは音響的に共振性であり、投与チャンバはトランスデューサの作動に応じて共振するよう構成されている;投与チャンバと流体連通している出口通路であって、この出口通路は、出口通路軸の周囲に配置されている;及びトンネル中央軸の周囲に配置されたトンネルであって、トランスデューサが作動すると、ブリスターからのドライパウダー薬剤が、トンネルを通じて投与チャンバ内に移動できるように、投与チャンバとブリスターとを流体連通しているトンネル;を有しており、ここで、出口通路軸とチャンバ軸は実質的に平行であり、チャンバ軸と出口通路軸はブリスター軸を横断し、トンネル中央軸はブリスター軸に対して傾斜しており、チャンバ軸と出口通路軸を横断する。
好ましい実施形態によれば、吸入器部品の相対的な配置は、以下の目的を達成するために役立つ:幅広い範囲の周期的な呼吸パターンにわたって、容認できるエアロゾルパフォーマンスを伴う送達:患者に快適で、反復可能な流れ抵抗;呼吸センサへのアクセスの提供;気流導管表面への製剤の蓄積の最小化;及び製剤の堆積(沈着)をもたらしうる気流停滞領域の最小化。
ある実施形態によれば、本発明の薬剤送達装置(あるいは吸入器)は、ブリスター軸の周囲に配置されたブリスター;ブリスターから薬剤を受け取るように構成されている投与チャンバであって、チャンバ軸の周囲に配置されている投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、作動すると薬剤をエアロゾル化するように構成されているトランスデューサ;を含み、ここで、チャンバ軸は、ブリスターが投与位置にあるとき、ブリスター軸を横断する。好ましい実施形態によれば、複数のブリスターが、ブリスターストリップに沿って配置されており、ブリスターストリップは、トランスデューサと直接物理的に接触していない、すなわち、ブリスターストリップはトランスデューサ面に触れていない。このように物理的な接触が無いにも関わらず、粉末はブリスターからエアロゾル化されることができ;機械的振動と音響共振が、トランスデューサから投与チャンバへ、ブリスターへと効率的に伝達されるため、エアロゾル化が生じると考えられる。この配置は、ブリスターストリップが振動エレメントと物理的に接触している、多くの従来型の装置とは異なる。
ある実施形態によれば、チャンバは、チャンバ軸が対称軸となるように、チャンバ軸の周囲に配置された側壁を含む。ある実施形態によれば、ブリスターは、ブリスター軸が対称軸となるように、ブリスター軸の周囲に配置されたブリスター側壁を含む。ある実施形態によれば、ブリスターは、ブリスター開口を取り囲むリムを含み、ブリスターリムは、トランスデューサが作動される前は、トランスデューサから距離をあけて配置されている(例えば、トランスデューサから約2mm〜約5mm)。
ある実施形態によれば、装置はさらに、出口通路軸の周囲に配置された出口通路を含み、投与チャンバからのエアロゾル化された薬剤は、出口通路を通って、ユーザーに運ばれる。好ましくは、出口通路軸と投与チャンバ軸は平行である。好ましくは、トランスデューサは、トランスデューサ対称軸の周囲に配置されており、投与チャンバ軸とトランスデューサ対称軸は同軸である。
ある実施形態によれば、装置はさらに、トンネル中央軸の周囲に配置されたトンネルであって、トランスデューサが作動すると、ブリスターからの薬剤が、トンネルを通じて投与チャンバ内に移動できるように、投与チャンバとブリスターとを流体連通しているトンネルを有し、ここで、トンネル中央軸はブリスター軸に対して傾斜している。好ましくは、トンネル中央軸は、チャンバ軸を横断する。
ある実施形態によれば、トンネルは、上壁と下壁を含み、トンネルは、以下の少なくとも1つを含むように構成されている:(a)底璧の長さに対する頂璧の長さの比が、約4〜約7.5、(b)長さ中央値に対する頂璧の長さが約1.5〜約3、及び(c)底璧の長さに対する長さ中央値が約1.25〜3。好ましくは、投与チャンバ直径に対するトンネルのエントランス直径の比は、約0.2〜約0.4である。
本発明の吸入器は、好ましくは吸気口(ユーザーが装置を通じて吸引すると、そこを通って空気が気流導管に吸い込まれる開口部)から排気口(そこを通って、ドライパウダー薬剤を取り込んだ空気が、吸入器のマウスピースから出ていく開口部)へと延びる気流導管(「フローチャネル」という用語と互換的に使用される)を含む。気流導管1195、吸気口1191、及びマウスピースの一部である排気口の実施形態が、図18に図示される。気流導管の大きさ及び形状は、所望の流れ抵抗(例えば、COPDの患者にとって適切な)を達成し、吸入器内でエアロゾルエンジンの位置を調整し、投与チャンバから排気口への流路(ドライパウダーの流れを妨害しない)を提供するように設計される。気流導管によって提供される流れ抵抗は、好ましくは、吸入が困難な患者(例えば、COPD患者、嚢胞性線維症患者など)にとって快適であるように十分低く、しかし、流量センサによる検出のためには十分高い。本明細書で述べるように、吸入器は、低流量にて装置を通じた吸入を検出でき、且つエアロゾルエンジン(検出された吸入に応答してドライパウダーをエアロゾル化する)に信号を送ることができる流量センサを含むため、受動装置ではない。それゆえ、ユーザーは、投与量送達をトリガーし、粉末を脱凝集するために(例えば、乱流を生じさせることによって)、装置を通じて高い吸気流を発生させる(すなわち、力強く吸引する)、あるいは、ゆっくりとした深い吸入を使用する必要がなく、周期的な吸入、すなわち、特別な努力を行う(安静時の通常の呼吸より、遅い、深い、速い、あるいは強い吸入を含む)ことのない通常の吸入によって、吸引を行う。これは、しばしば抵抗が減少するように増加した吸気流速を要求する、あるいは、投与量送達をトリガーし、薬剤を効率よく脱凝集して最適な大きさの粒子を生じさせるために、遅く、深い吸入を要求する従来のDPIとは異なる(例えば、US 6,116,237;Roberto W Dal Negro, Multidisciplinary Respiratory Medicine, 2015, 10:13;及び Tiddens, H.A., et al., Journal of Aerosol Medicine, 19:4, 2006, pp. 456-465参照)。
例示的な実施形態によれば、気流導管は、約30L/分(LPM)の流量で、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.060cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPMの流れ抵抗を提供する。
ある実施形態によれば、気流導管は、狭窄区域1400を有し、これは、気流導管の残りの部分の断面積(単数又は複数)よりも有意に小さい断面積を有し、流れ抵抗を提供する。狭窄区域1400の実施形態を図18及び図37に図示し、そこでは、気流の一般的な流れが、矢印1403で示されており、空気は、上流(例えば、吸気口)から下流(例えば、排気口)の方向に流れる。例えば、狭窄区域1400は、少なくとも1つの岩棚部(レッジ:ledge)1194、又は、気流導管内に延びて狭い断面積を生じさせる少なくとも1つの突出部によって形成されてもよい(例えば、図37に示されるように、1つの岩棚部が存在してもよく、あるいは、気流導管内に延びて狭窄区域1400を作り出す2以上の岩棚部が存在してもよい)。好ましくは、狭窄区域1400は、気流導管の上流エリア1401、すなわち、投与チャンバの開口部(単数又は複数)からドライパウダー薬剤が放出される気流導管の場所よりも上流に位置する。好ましくは、狭窄区域1400は、流量センサの上流、又は気流導管と流量センサとの間に流体連通を提供する開口1190の上流に位置する。例えば、狭窄区域1400は、吸気口1191(例えば、図37参照)に配置されていてもよく、又は吸気口1191の近く(例えば、吸気口の下流、且つ流量センサの上流)に配置されてもよい。好ましくは、狭窄区域は、気流導管の下流エリア1402、すなわち、ドライパウダー薬剤が放出される気流導管の場所(例えば、投与チャンバと接する個所、あるいは出口通路内)には位置しない、これは、投与チャンバの圧力低下(低い断面積によって引き起こされうる)は、粉末を投与チャンバからフローチャネルに引き込むために、必要ではないからである。
狭窄区域を除く、気流導管の断面積は、一定であってもよく、又は気流導管の長さ沿いに変わってもよい;例えば、約40mm2〜約120mm2、又は約40mm2〜約100mm2、又は約50mm2〜約100mm2である。図37は、以下の断面積を有する5つの横断面1〜5の例を示す。横断面1=0.0840in2(54.2204mm2);横断面2=0.0858in2(55.3790mm2);横断面3=0.0854in2(55.0889mm2);横断面4=0.1054in2(67.9824mm2);横断面5=0.0974in2(62.8359mm2)。横断面の形状は、気流導管の長さ沿いに変わってもよい;例えば、横断面は、円形、楕円形、長方形などでもよい。ある実施形態によれば、投与チャンバと排気口との間に配置された出口通路部分は、吸気口と投与チャンバとの間に配置された気流導管(狭窄区域を除く)の平均断面積よりも大きい平均断面積を有する;例えば、出口通路は、少なくとも75mm2、又は約75mm2〜約100mm2の平均断面積を有し、他方、吸気口と投与チャンバとの間に配置された気流導管(狭窄区域を除く)の平均断面積は、少なくとも50mm2、又は約50mm2〜約70mm2であってもよい。
狭窄区域は、好ましくは、気流導管の最小断面積を有する。狭窄区域を除く気流導管の残りの部分は、好ましくは、狭窄区域(狭窄区域の最上部から狭窄区域の最下部までを含む)の平均断面積よりも大きい最小断面積を有する。ある実施形態によれば、狭窄区域を除く気流導管の最小断面積は、狭窄区域の最小断面積より、少なくとも1.75X(すなわち、1.75倍)、少なくとも約2X(すなわち、2倍)、又は少なくとも約2.5X、又は少なくとも約3X、又は少なくとも約3.5X、又は少なくとも約4X、又は少なくとも約4.5X、又は少なくとも約5X大きい。例えば、狭窄区域の最小断面積は、約18mm2〜約30mm2、又は約20mm2〜約25mm2であってもよく、狭窄区域を除く気流導管の最小断面積は、約40mm2〜約100mm2、又は約50mm2〜約90mm2であってもよい。気流導管の断面積は、その長さ沿いに変わってもよい。ある実施形態によれば、狭窄区域を除く気流導管の断面積は、その長さ沿いに、少なくとも約40mm2、又は少なくとも約45mm2、又は少なくとも約50mm2の断面積;例えば、約40mm2〜約150mm2、又は約40mm2〜約120mm2、又は約40mm2〜約100mm2、又は約50mm2〜約150mm2、又は約50mm2〜約120mm2、又は約50mm2〜約100mm2の範囲にわたる断面積であってもよい。
以下により詳細に記載するように、ある実施形態によれば、気流導管の上流エリア1401(すなわち、投与チャンバの開口部(単数又は複数)からドライパウダー薬剤が放出される気流導管の場所より上流)は、上部流路1180の少なくとも一部を含む;例えば、上部流路の第一行程1184(投与チャンバの上側に配置された第一行程軸1185を有する)を含む。上流エリア1401の上部流路1180は、好ましくは、吸気口、狭窄区域、及び流量センサ又は流量センサと流体連通している開口のどちらかを含む。本明細書でより詳細に記載するように、任意で、上部流路1180は、さらに、第二行程1186、及び第三行程1188の少なくとも一部を含んでもよい(すなわち、投与チャンバの上方に配置された第三行程1188の一部は、上部流路に配置されてもよく、他方、第三行程の下方部分は、気流導管の下流エリア内に延びてもよい)。吸入器内の投与チャンバの配置次第で(例えば、気流が、第二行程及び第三行程を経て、投与チャンバの最上部付近に向かう必要があるかどうかにより)、気流導管が、第二行程と第三行程を含むことが好ましい場合がある。気流導管の下流エリア1402(すなわち、ドライパウダー薬剤が投与チャンバから放出される気流導管の場所)は、好ましくは出口通路1182内に配置されている。
ある実施形態によれば、本発明の吸入器は、ブリスターから薬剤を受け取るように構成された投与チャンバであって、投与チャンバ軸の周囲に配置された投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、トランスデューサが作動すると薬剤をエアロゾル化するように構成されているトランスデューサ;出口通路軸の周囲に配置されており、トランスデューサの作動に応答して、エアロゾル化された薬剤が、投与チャンバから、出口通路を通じて、ユーザーに送達されるよう、投与チャンバに流体連通されている出口通路;及び出口通路と流体連通している上部流路であって、出口通路軸を横断する第一行程軸の周囲に配置された第一行程を含む上部流路;を含む。好ましくは、出口通路は、出口通路表面へのエアロゾル化薬剤の蓄積を最小化するように構成される。
別の実施形態によれば、薬剤送達装置は、ドライパウダー薬剤を含むように構成された内部を有する投与チャンバ;投与チャンバ軸の周囲に配置された投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、投与チャンバとトランスデューサは、好ましくは音響的に共振性であり、投与チャンバはトランスデューサの作動に応じて共振するよう構成されている;及び吸気口から排気口へと延びる気流導管;を含む。気流導管は、好ましくは、(i) 投与チャンバからドライパウダー薬剤が放出される気流導管の場所よりも上流に位置する上流エリア、及び(ii) 投与チャンバからドライパウダー薬剤が放出される気流導管の場所よりも下流に位置する下流エリアを含み、下流エリアは、排気口と、出口通路軸の周囲に配置された出口通路とを含んでいる。上流エリアは好ましくは、吸気口と、上部流路(出口通路と流体連通している)の第一行程とを含み、第一行程は、出口通路軸と投与チャンバ軸の両方を横断する第一行程軸の周囲に配置されている。本明細書に記載するように、気流導管は、好ましくは、約30L/分(LPM)の流量で、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPMの流れ抵抗を提供する。
ある実施形態によれば、出口通路長さに対する第一行程長さの比は、約0.6〜約0.9である。ある実施形態によれば、上部流路は、第一行程に流体連通している第二行程を含む。好ましくは、第二行程は、第二行程軸の周囲に配置され、第二行程軸は、第一行程軸を横断し、屈曲部が第一行程を第二行程につなげている。ある実施形態によれば、上部流路は、第二行程に流体連通している第三行程を含む。好ましくは、第三行程は、第三行程軸の周囲に配置され、第三行程軸は、第二行程軸を横断し、第一行程軸と平衡である。
ある実施形態によれば、気流導管は、第一行程、第二行程、第三行程、及び出口通路を含み、これらは、送達装置を通じてユーザーに空気を運ぶための経路を提供する(例えば、吸気口から排気口/マウスピースへ)。ある実施形態によれば、上部流路は、第一行程、第二行程、及び第三行程を含む。ある実施形態によれば、空気は、吸入により上部流路を通って流れる。ある実施形態によれば、上部流路を通って流れる空気は、出口通路においてエアロゾル化された薬剤と混合され、混合された空気と薬剤がユーザーに送達される。ある実施形態によれば、第一行程、第二行程、及び第三行程はそれぞれ、異なる長さを有する。
ある実施形態によれば、上部流路と出口通路は、約30L/分(LPM)の流量で、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.060cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPMの合成流れ抵抗を有するように構成される。
ある実施形態によれば、湾曲部が、出口通路を第一行程につなげる。好ましくは、湾曲部は、投与チャンバの上方に位置する。湾曲部は、好ましくはS字形状の湾曲部である。ある実施形態によれば、投与チャンバ軸によって規定される平面は、第一行程軸によって規定される平面と、第三行程軸によって規定される平面との間にある。ある実施形態によれば、ブリスターはブリスター軸の周囲に配置されており、この際、第一行程はブリスターの上方に位置し、第一行程軸はブリスター軸からオフセットされる。好ましくは、ブリスター軸と第一行程軸は平行である。
ある実施形態によれば、トランスデューサが作動されると、トランスデューサは運動軸に沿って動き、運動軸は出口通路軸に平行である。ある実施形態によれば、第一行程は、吸気口(ユーザーによる吸入によって、そこを通じて空気が装置に入る)を含む。ある実施形態によれば、出口通路軸は、投与チャンバの頂部と同軸であり、第三行程軸は、出口通路軸に対して実質的に垂直である。ある実施形態によれば、出口通路軸は、第二行程軸に平行であり、第一行程軸は第三行程軸に平行であり、第三行程軸は、出口通路軸に実質的に垂直である。吸入器の部品の相対的な配置の実施形態、及び気流導管の実施形態が、図面を参照して以下により詳細に記載される。
いくつかの実施形態において、吸入器100は、吸入器を通って流れる空気の経路を提供するように構成された気流導管1195を含む。ある実施形態によれば、気流導管1195は、エアロゾル化された薬剤が、気流導管を通って流れる空気にピックアップされ、ユーザーに送達されるように、投与チャンバ1122と流体連通している。図18は、吸入器100の前方部101の線18−18(図17に最もよく示される)断面図である。ある実施形態では、気流導管1195は、第一行程1184、第二行程1186、及び第三行程1188を含む上部流路1180を含む。第一行程1184、第二行程1186、及び第三行程1188は、それぞれ、第一行程軸1185、第二行程軸1187、及び第三行程軸1189を有していてもよい。ある実施形態によれば、気流導管1195は、吸入器100を使用している最中に製剤の沈着をもたらしうる流れ停滞領域を避けるように構成されている(例えば、設計、材質、寸法)。例えば、気流導管の設計は、滑らかな穴を含んでもよく、薬剤が吸入器を出るときに薬剤を捕捉しうる材質又は物理的特徴は回避されうる。気流導管1195は、製剤堆積の可能性を減らすため、帯電防止特性を有する材質から製造されてもよい。ある実施形態では、前方部101の背面カバー1174は、第一行程1184の一部を含む。ある実施形態では、第一行程カバー1175は、第一行程1184の裏面を含み、第一行程カバー1175は、前方部101の背面カバー1174の上部に位置する。
いくつかの実施形態では、吸入器100は、ユーザーが装置を通じて吸引を行うのを検知する流量センサ1278を含む。いくつかの実施形態において、センサ1278は、コントローラに信号を送り、ブリスターストリップを前進させる及び/又はトランスデューサを作動せて、ブリスター130からの薬剤をエアロゾル化する。ある実施形態では、センサ1278は、吸入器100を通過する気流を検出するように構成され、センサは、吸気又は呼気事象のどちらか又は両方による気流を検出するように構成される。ある実施形態では、センサは、吸気と呼気を識別するように構成される。第一行程1184は、ある例では、気流導管1195(又は上部流路1180)と流量センサ1278(流量センサは図31に最もよく表される)との間を流体連通する開口1190を含む。ある実施形態では、開口1190は、上部流路1180を通って流れる空気が、気流導管1195に薬剤が導入される位置を通過する前に、開口1190の位置を通過するように配置され、薬剤が、流量センサのオペレーションに干渉するのを防ぐ。上述したように、吸入器100の一実施形態は、岩棚部1194(図19に最もよく表される)を有する前方部101のカバー1192を含み、この岩棚部は、第一行程1184の断面積を減らし、気流導管1195にわたる流れ抵抗を増加させ、それゆえ、流量センサ1278による圧力変化の検出を可能にする。
ある実施形態では、吸入器の流れ抵抗は、約30L/分(LPM)の流量で、約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.1cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.090cmH2O0.5/LPM、又は約0.040cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.050cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPM、又は約0.060cmH2O0.5/LPM〜約0.085cmH2O0.5/LPMである。流れ抵抗は、既知の方法、例えば、実施例2に記載する方法によって測定することができる。ある実施形態では、第一行程1184は、背面カバー1174の頂部正面斜視図を示している図20に最もよく表されるように、幅1202と奥行1204を有する。第一行程1184は、吸入口(ユーザーが吸入すると、空気がそこを通って装置に入る)を提供するため、所望の横断面形状(例えば、円、矩形、楕円)を有していてもよい。ある実施形態では、第一行程1184において、上部流路の吸気口1191から第二行程軸1187への距離は、約13mm〜約18mmである。ある実施形態では、第一行程1184は、出口通路1182に対して傾斜しているか垂直であり、出口通路に流体連通している。
上部流路1180は、第二行程1186を含み、いくつかの実施形態において、この第二行程は、第一行程1184の遠位部から、第三行程1188の近位部へ気流を向け直すために構成されており、これにより、気流導管1195は、ユーザーが吸入器100を使用している間、ユーザーがインジケータ554を観察できる十分な長さを有する。図18を参照すると、第一行程1184と第二行程1186との間の移行部は、第一行程の屈曲部1196を含むように構成されており、これは、空気が第一行程と第二工程との間を動くとき、流れ抵抗を減じるか最小化し、層流を促進する。ある実施形態では、屈曲部1196は、丸み、楕円の一部、又は、第一行程1184と第二行程1186との間をスムーズに移行させる他の形状を含む。ある実施形態では、背面カバー1174は、第二行程1186の第一部分を含む。ある実施形態では、ハウジング1102は、屈曲部1108(図12と18に最もよく表される)を含み、これは前方部101の中間部材1206と共同して、第二行程1186の第二部分を含む。ある実施形態では、屈曲部1108は、丸み、楕円の一部、又は、第二行程と第三行程との間を移行させる他の形状を含む。ある実施形態では、第二行程1186は、第一行程1184に対して傾斜しているか垂直である。ある実施形態では、第二行程1186は、第一行程1184に対して垂直である。ある実施形態では、第二行程1186は、第一行程1184と類似した横断面形状(図21に最もよく表される)を有する。ある実施形態では、上部流路1180の各行程は、たとえ上部流路の1又は複数の行程(又は部分)が異なる形状を有していても、各横断面において、同一又は類似の断面積を有する。ある実施形態では、上部流路1180の各行程は、同じ平均断面積を有する。ある実施形態では、上部流路1180の各行程は、均一な横断面を有する。ある実施形態では、上部流路1180の各行程は、均一な横断面を有し、上部流路はその長さに沿って実質的に均一な横断面を有する。上部流路にわたる一貫した断面積は、上部流路を通る層状の気流を促進し得る。あるいは、上部流路の断面積は、その長さに沿って変化してもよく、しかし、最小断面積が、例えば、少なくとも約40mm2、少なくとも約50mm2、又は少なくとも約60mm2ある限り、層状気流はなお促進される。ある実施形態では、第二行程1186の平均断面積は、第一行程1184の平均断面積とは異なる。図22は、図17の線22−22に沿った、前方部101の横断面図を示し、第二行程1186の上から見た図を示す。ある実施形態では、第二行程1186は、第一行程軸1185と第三行程軸1189との間の距離として測定される、約7mm〜約12mmの長さを有する。ある実施形態では、第二行程1186の長さは、第一行程1184の長さの約50%〜約60%である。
図18に図示されている上部流路1180の第三行程1188は、第二行程1186と出口通路1182を接続し、空気と薬剤をユーザーに送達する。ある実施形態では、ハウジング1102の屈曲部1108は、第二行程1186と第三行程1188との間の移行部を含む。ある実施形態では、第二行程1186と第三行程1188は、まとめて単一の湾曲部となり、第一行程1184を出口通路1182に接続する。単一の湾曲部は、第一行程1184と出口通路1182(互いに横断する)を接続するS字状湾曲部であってもよい。中間部材1206の上方屈曲部1200は、第二行程1186と第二行程1186との間の移行部の他方を形成するように構成される。ある実施形態では、屈曲部1108の丸みは、上方屈曲部1200の丸みと等しい。ある実施形態では、屈曲部1108の丸みは、上方の第一行程の屈曲部1196の丸みと等しい。ある実施形態では、第一行程屈曲部1196、屈曲部1108、上方屈曲部1200の丸みはそれぞれ同じである。ある実施形態では、第三行程1188は、第二行程軸1187から出口通路軸1210までの距離として測定される、約10mm〜約15mmの長さを有する。ある実施形態では、第二行程1186の長さに対する第三行程1188の長さの比は、約1.0〜約1.5である。ある実施形態では、第一行程1184の長さに対する第三行程1188の長さの比は、約0.5〜約1.0である。ある実施形態では、第三行程1188は、第一行程1184又は第二行程1186のどちらかと同様の横断面形状(図17の線23−23に沿った前方部101の横断面を示す図23に最もよく表される)を有する。ある実施形態では、第三行程1188は、第一行程1184と平行である。ある実施形態では、第三行程1188は、第二行程1186に対して、傾斜しているか垂直である。ある実施形態では、第三行程1188は、出口通路1182に対して、傾斜しているか垂直である。
図18に図示される気流導管1195の出口通路1182は、投与チャンバ1122と直線状に並んでおり、気流導管1195を通って流れる空気の通路を提供し、投与チャンバからのエアロゾル化された薬剤が混合され、マウスピースを通じてユーザーに送達される。ある実施形態では、第三行程1188と出口通路1182との間の移行部は、出口通路の上方屈曲部1212と出口通路の下方屈曲部1214を含む。中間部材1206は、出口通路の上方屈曲部1212を含む。ハウジング1102の上部表面1104は、出口通路の下方屈曲部1214を含む。ある実施形態では、第三行程1188と出口通路1182との間の移行部は、比較的広い第三行程から比較的狭い出口通路への移行部として、凸面屈曲部を含む。ある実施形態では、出口通路1182は、約20mm〜約25mmの長さを有する。ある実施形態では、出口通路1182は、気流導管1195の長さの約30%〜約35%を有する。ある実施形態では、出口通路1182は、直径約8mm〜約13mmの円形横断面(図24に最もよく表される)を有する。ある実施形態では、出口通路1182の長さと、第二行程1186の長さは、吸入器100の使用中に(例えば、ユーザーの口にマウスピース1216がある間)、ユーザーがインジケータ554(図5Bに最もよく表される)を視覚的に観察することを可能にする長さである。インジケータ554は、LEDインジケータであってもよく、ユーザーに吸入に関する信号を提供してもよい。例えば、インジケータ554は、ユーザーに、吸入を続ける、吸入を止める、より強く吸入するなどを示すために、点滅してもよく、色を変えてもよく、点滅パターンを変えてもよく、強度を変えてもよく、テキストを表示するなどしてもよい。ある実施形態では、出口通路1182は、トランスデューサが作動すると、エアロゾル化された薬剤が、投与チャンバから出口通路を通って送達されるように、開口部1148を経て投与チャンバ1122に流体連通していてもよい。
いくつかの実施形態では、出口通路と投与チャンバは、投与チャンバから出てきて出口通路を通るエアロゾル化薬剤の層流を促進するために配置される。図18の気流導管1195の出口通路1182において、出口通路は、好ましくは、エアロゾル化された薬剤が、出口通路の表面と接触するのを抑制又は防止する幅と、たとえ気流導管を通る気流が小さい場合でも、投与チャンバ内で生じたシンセティックジェットが薬剤を出口通路の外へ運ぶことを可能にする長さを有する。ある実施形態では、出口通路軸1210と投与チャンバ軸1124は同軸又は平行である。ある実施形態では、出口通路軸1210と、投与チャンバ1122の開口部1148の一つは、同軸である。出口通路軸1210と投与チャンバ軸1124の配置は、吸入器100の使用中に、薬剤の沈着を減らす又は取り除くのを助けうる。ある実施形態では、出口通路軸1210と投与チャンバ軸1124は、一つの平面内で、互いからオフセットされる。ある実施形態では、出口通路軸1210と投与チャンバ軸1124は、平行であり、互いからオフセットされる。ある実施形態では、出口通路軸1210と投与チャンバ軸1124は、互いに交わる。ある実施形態では、出口通路軸1210と第一行程軸1185は、互いに垂直である。ある実施形態では、出口通路軸1210と第二行程軸1187は平行であり、出口通路の長さは、エアロゾル化された薬剤を効率的に送達するよう構成され(以下に説明するように)、他方吸入器は、吸入器100の使用中に、ユーザーがインジケータ554を視覚的に観察することを可能にするのに十分な長さの全長を有する。ある実施形態では、投与チャンバ1122は、二以上の開口部1148を含む。
ある実施形態では、カバー1192は、マウスピース1216を含む。マウスピース1216は、図24に最もよく表されるように、吸入器100の前方部101のカバー1192と一体化されていてもよい。マウスピース1216は、マウスピース1216が、出口通路1182からの気流をブロックしないように、出口通路1182の横断面形状と同様の形状の内部開口部1218を有するように構成される。ある実施形態では、マウスピース1216は、吸入器100の使用中、マウスピースがユーザーの口になじむよう、楕円形の外形1220(あるいは、正方形、円、三角形、又は他の所望の形状)を有する。ある実施形態では、内部開口部1218は、リム1222を含み(図18に最もよく表される)、これは楕円形外形1220に対してくぼんでいる。いくつかの実施形態では、マウスピース1216は、ユーザーが吸入器を使用する際、鼻を通じて呼吸できるように、鼻での使用に適している。ある実施形態では、マウスピースは、マウスピースがユーザーの鼻を覆うか、又はユーザーの鼻孔に挿入又は当接するように構成されてもよい(例えば、そのような大きさ又は形状を有する)。ある実施形態では、ユーザーは、その後、本明細書に記載の方法で吸入器を使用するために、鼻を通じて呼吸してもよい。ある実施形態では、マウスピース1216は、ユーザーが吸入器を使用するために、鼻と口の一方又は両方を通じて呼吸できるように、ユーザーの口と鼻を覆ってもよい;あるいは、ユーザーが、鼻と口の一方又は両方を通じて呼吸できるように、マウスピースの上にマスクを取り付けてもよい。
本発明の薬剤送達装置は、振動エレメント(例えば、トランスデューサ)のための実装システムを含む。吸入器のハウジングに振動エレメントを連結させ、振動エレメントに十分な圧力を与え、その機械的及び音響的エネルギーをブリスターに伝える一方、振動エネルギーを弱めるほど大きな圧力を与えない、適切な実装システムを開発する間に、複数の課題に直面した。圧電トランスデューサは、例えば、振動性出力を妨げず、大量生産に適合し、且つ、取り外し可能なカートリッジが取り付けられていない時に吸入器内で保持できる方法で、吸入器に取り付けられるべきである。本発明の実装システムは、振動の減衰を防止するために、トランスデューサのハウジングとの接触を最小化するように設計される。好ましい実施形態によれば、渦巻波バネ(spiral wave spring)は、低プロファイルと合理的な低ばね定数により力を提供し、スペースを節約し、妥当なロバスト性を可能にする;例えば、コイルバネは、通常、同量の力を提供するために、より大きな長さを必要とする。トランスデューサ実装システムは、吸入器の使用寿命にわたって、十分なプリロード(pre-load)力を維持しながら、カートリッジが取り付けられていないときに、トランスデューサをその場に保持することを可能にする。
ある実施形態によれば、吸入器は、ハウジング;薬剤を受け取るように構成された投与チャンバ;投与チャンバに対面しており、トランスデューサが作動したときに、薬剤をエアロゾル化するように構成されたトランスデューサ;トランスデューサをハウジングに固定するために構成されたホルダー;及びホルダーとハウジングとの間の付勢要素;を含む。
別の実施形態によれば、薬剤送達装置は、ハウジング;ドライパウダー薬剤を含むように構成された投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、投与チャンバとトランスデューサは、好ましくは音響的に共振性であり、投与チャンバはトランスデューサの作動に応じて共振するよう構成されている;及びトランスデューサ装着アセンブリ;を含む。トランスデューサ装着アセンブリは、好ましくは、(i)トランスデューサをハウジングに固定するために構成されたホルダー、及び(ii)ホルダーとハウジングとの間に配置された付勢要素を含む。付勢要素は、トランスデューサが作動すると、振動エネルギーをトランスデューサから投与チャンバに伝え、それによりドライパウダー薬剤がエアロゾル化され、シンセティックジェットを経て投与チャンバから送達されるのに十分な力で、トランスデューサを投与チャンバに押し付ける(例えば、投与チャンバは、シンセティックジェットと機械的振動から明らかなように、音響エネルギーと共振する)。ホルダーは、付勢要素が、トランスデューサと相互作用するためのさらなる表面積を提供する;例えば、付勢要素がバネである場合、バネは、トランスデューサを投与チャンバに十分に押し付けるほどトランスデューサと接触する十分な表面積を有さないかもしれない。好ましくは、トランスデューサの外表面積の半分未満が、ホルダーと接触している。
好ましい実施形態によれば、サブアセンブリは、トランスデューサを装置内のある場所に、厳密に固定するように構成されていない一方、トランスデューサ面と、投与チャンバの裏(例えば、投与チャンバ・ハウジング1102の外表面1134)との密接な接触を確実に維持するのに役立つ。この方法では、トランスデューサ面が投与チャンバの裏とわずかに位置ずれしている場合、トランスデューサには、付勢要素によって、適所に押し戻されるのに十分な動きの自由があり、それにより、トランスデューサ面と投与チャンバの裏(例えば、膜を有している)は、実質的に同一平面に保持される。本明細書に記載するように、投与チャンバ・ハウジング1102の裏部は、下方側壁1126の下部を形成するクラウン1135を含んでもよい。ある実施形態では、クラウン1135は、ハウジング1132の下面1137から突き出すように構成されている(図13及び16に最もよく表される)。ある実施形態によれば、サブアセンブリは、トランスデューサ面を、投与チャンバの裏に押し付け、それゆえ、トランスデューサ面の少なくとも外側部が、投与チャンバ・ハウジングのクラウン1135に押し付けられ、トランスデューサ面の内側部が、クラウン1135に連結している膜1166に押し付けられてもよい。サブアセンブリは、好ましくは、トランスデューサと投与チャンバの同心度を制約する、すなわち、トランスデューサ面と、投与チャンバの外表面は実質的に同心であり、投与チャンバ軸は、トランスデューサ対称軸と実質的に同軸となり、例えば、トランスデューサ面と投与チャンバの裏(例えば、クラウン1135)は、実質的に同心である。トランスデューサ装着アセンブリは、好ましくは、装着アセンブリ対称軸の周囲に配置されており、これは、投与チャンバ軸1124とトランスデューサ対称軸とも実質的に同軸である。
物体が別の物体に取り付けられると、構造物の全体的な質量が変わるため、その物体の音響共振が変化することは周知である。好ましくは、トランスデューサの外表面積の半分未満が、ホルダーと接触しており、より好ましくは、トランスデューサの外表面積の1/3未満が、ホルダーと接触している。例えば、トランスデューサは、図25に示すように、円柱状の形状であってもよく、その外表面積は前面(すなわち、トランスデューサ面1284)、円柱本体表面1282と、前面の反対側の裏面を含んでいる。好ましい実施形態によれば、トランスデューサの裏面のみ、又はその一部が、ホルダーと物理的に接触する。あるいは、円柱本体表面のごく一部も、ホルダーと接触してよいが、ホルダーと接触するのはなお、トランスデューサの外表面積の半分未満である。ホルダーと接触しているトランスデューサの表面積量を最小化することによって、トランスデューサの振動性出力に対する減衰効果も最小化される。好ましくは、ホルダーと付勢要素の質量は、それらがトランスデューサからの振動エネルギーの出力を弱めないほど十分に小さい。好ましくは、ホルダーと付勢要素とを含むトランスデューサ装着アセンブリは、トランスデューサが作動すると、振動する(例えば、トランスデューサ運動軸1298と平行に)。
好ましくは、トランスデューサ装着アセンブリは、トランスデューサを投与チャンバに押し付け、これは、十分な力と、振動エネルギーの出力に対する最小の減衰効果を伴い、ドライパウダー薬剤(本明細書に記載した好ましい範囲のMMAD,例えば約6μm以下、好ましくは、本明細書に記載した好ましい範囲の微粒子画分,例えば少なくとも30%を有する)のエアロゾル化と送達を引き起こす。最大シンセティックジェットは、好ましくは、本明細書に記載の時間の範囲内、例えば、トランスデューサ作動の開始から約500ms以下で達成される。
好ましくは、付勢要素は、約1.0lb/in(0.18kg/cm)〜約4.0lb/in(0.71kg/cm)のばね定数を備えるように構成される。ある実施形態によれば、投与チャンバの高さに対するホルダーの高さの比は、約2〜約3.5である。
ある実施形態によれば、ホルダーは、近位末端、遠位末端、及び近位末端から遠位末端へと延びる側壁を有し、前記側壁は、トランスデューサを受け入れるために構成される収容部を形成している。ある実施形態によれば、吸入器はさらに、トランスデューサをホルダーに連結するために構成された取付具を有する。ある実施形態によれば、ハウジングは、ホルダーをハウジングに固定するために構成されたアームを含む。好ましくは、前記ホルダーは、側壁開口部を含み、ハウジングは、ハウジングから離れて延びる第一部分、及び第一部分から離れて延びる第二部分を有するアームを含み、第二部分は主にハウジングに平行であり、第二部分は、側壁開口部内に位置している。ある実施形態によれば、吸入器はさらに、ハウジングから離れて延びる隆起部を含み、隆起部は、ホルダーの少なくとも一部を受けるように構成された受入領域を形成している。
ある実施形態によれば、吸入器は側壁から延びるへりをさらに含み、ホルダーがハウジングに固定されているとき、ヘリは隆起部に接触している。好ましくは、ヘリはヘリ厚みを有し、ホルダーはホルダー高さを有し、ホルダー高さに対するへり厚みの比は、0.07〜0.12である。
ある実施形態によれば、付勢要素は、ホルダーがハウジングに固定されているとき、受入領域内に位置する。好ましくは、付勢要素は、少なくとも、コイルバネ、板バネ、渦巻波バネ、及びベローズバネ(bellows spring)の少なくとも1つを含む。ある実施形態によれば、投与チャンバの高さに対するホルダーの高さの比は、約2〜約3.5、又は約1〜約2である。ある実施形態によれば、ヘリはヘリ厚みを有し、ホルダーはホルダー高さを有し、ホルダー高さに対するへり厚みの比は、0.07〜0.12である。
図25〜27を参照すると、吸入器100は、以下により詳細に説明するように、吸入器のエネルギー共役を増強するためにトランスデューサのわずかな動きを許容しながら、トランスデューサ150を吸入器100内に固定するためのトランスデューサ実装システム1223を含む。ある実施形態では、トランスデューサ実装システム1223は、トランスデューサ150、トランスデューサホルダー1224、付勢要素1234を含む。実装システム1223は、好ましくは、前方部101(例えば、取り外し可能なカートリッジ)と後方部102(例えば、ベース)が互いから外れたときでも、トランスデューサ150を、吸入器100の後方部102(又はハウジング)に固定するように構成されている。トランスデューサ実装システム1223は、トランスデューサ150の振動性出力の障害を減らす、最小化する、又は除去するために構成される。ある実施形態では、ホルダー1224は、側壁を有する本体1226を有し、この側壁には、側壁を貫通する固定用開口部1228と配線用開口部1230が設けられている。ある実施形態では、固定用開口部1228と配線用開口部1230は、同じ大きさ、形状、配向などを有し、及び開口部1228と1230は、ホルダー1224の周囲に等距離間隔で配置されている。ある実施形態では、固定用開口部1228は、配線用開口部1230より大きい。ある実施形態では、フランジ1232は、本体1226から離れて延び、付勢要素1234(例えば、板バネ、渦巻波バネ、ピストン、弾性材料)のための係合表面を提供し、吸入器100の使用中に、トランスデューサ150の位置を維持する。ある実施形態では、フランジ1232は、本体1226の全周にわたって広がる。ある実施形態では、フランジ1232は、本体1226の一部の周りに広がる1又は複数の部分を有する。フランジ1232は、本体1226と同じ形状(例えば、円、矩形、多角形、ランダム)を有していてもよいが、フランジ1232が本体1226の周囲に広がるよう、本体1226より大きくてもよい。
ある実施形態では、フィンガー1236が、フランジ1232から延びて、ホルダー1224を後方部102に整合させる。例えば、フィンガー1236は、ホルダーの中心軸の周囲をホルダー1224が回転することを防ぐために、ハウジングの突出部又は他の要素と接触してもよい(この回転は、配線(図示せず)を、トランスデューサ実装システム1223のホルダー1224又は他の要素と干渉させる可能性がある;例えば、配線が巻きつくことによって)。ホルダー1224は、最上部1238を有し、この最上部は1又は複数の貫通孔1240を有しており、この孔により、トランスデューサ150のリード1241が、最上部1238を通過し、トランスデューサが、最上部1238の上に乗る(図27に最もよく表される)。本体1224は、トランスデューサ150に、活性化信号を提供しうるプリント回路基板(PCB)1242を受け入れる中空部分を有する。ある実施形態では、突起1244がホルダーの最上部1238の下面から延び、PCB上の切欠き1246内に収まり、ホルダー1224に対するPCBの位置合わせを維持する。本体1226は、PCB1242を受け入れる空洞を規定する内面1246を含むように構成されている。ある実施形態では、保持部1248が、内面1246から半径方向内側に突き出て、保持部と、ホルダーの最上部1238の下面との間にPCBを固定する。ある実施形態では、保持部1248は、PCBが保持部1248を通過する際に押し込まれ、PCBが通過した後は圧迫されていない状態に戻るように構成された、押圧可能なウェッジであり、PCBが逆の方向へ移動することを防ぐ。
製造の間、トランスデューサ150は、リード1241が貫通孔1240を通って延び、PCB1242がホルダー1224の空洞内に位置し、保持部1248によって固定されるように、配置されてもよい。ある実施形態では、リード1241は、ホルダー1224を吸入器100の後方部102に固定する前又は後のいずれかに、配線用開口部1230を通して、PCB1242にはんだ付けされる。ある実施形態では、リード1241は、ホルダー1224を後方部102に取り付ける前に、PCB1242にはんだ付けされ、それゆえ、配線用開口部1230は省略されてもよい。ある実施形態では、ホルダー1224の内面1246は、吸入器100の後方部102からの突出部(図示せず)を受け入れる凹部1249を有し、ホルダー1224を適切な位置にさらに固定する。付勢要素1234は、ホルダー1224の本体1226の下部1252(フランジ1232の下にある)を受け入れる空洞1250を含む。ある実施形態では、付勢要素1234は、約1.0lb/in(0.18kg/cm)〜約4.0lb/in(0.71kg/cm)のばね定数を有する。ある実施形態では、付勢要素1234は、約0.1インチ(2.5mm)〜約0.8インチ(20.3mm)、又は約0.1インチ(2.5mm)〜約0.6インチ(15.2mm)、又は約0.1インチ(2.5mm)〜約0.4インチ(10.2mm)、又は約0.2インチ(5.2mm)〜約0.3インチ(7.6mm)の自由高さを有する。ある実施形態では、付勢要素1234は、約0.075インチ(1.9mm)〜約0.3インチ(7.6mm)、又は約0.1インチ(2.5mm)〜約0.2インチ(5.1mm)の作用高さを有する。ある実施形態では、約0.075インチ〜約0.3インチ(7.6mm)、又は約0.1インチ(2.5mm)〜約0.2インチ(5.1mm)の作用高さにて、スプリング力は、約0.25ポンド(0.11kg)〜約0.75ポンド(0.34kg)であってもよく、好ましいスプリング力は、約0.75lb/in(0.13kg/cm)〜約5.0lb/in(0.89kg/cm)であり、より好ましくは、約1.0lb/in(0.18kg/cm)〜約4.0lb/in(0.71kg/cm)である。好ましくは、付勢要素は、ベースとカートリッジが取り付けられて一つとなり、トランスデューサ面が膜に押し付けられたとき、その自由高さから、その作用高さへと圧縮される。
吸入器100の後方部102は、内部構成部品を吸入器内に固定し、適切な位置に内部構成部品を固定するための係合形状を提供するために、シェル1254(又はカバー)を含む。図28には、後方部102のシェル1254の一実施形態が示される。シェル1254は、ホルダーをシェル1254又はハウジングに固定するために、ホルダー1224の固定用開口部1228と係合するアーム1256を含むように構成されてもよい。ある実施形態では、アーム1256は、中間側壁1260(アーム1256をおおむね横断する)を伴うウェッジ形状のヘッド部1258を含む。アーム1256は、ヘッド部1258のウェッジ形状が、アームを内側にそらせ、アームがホルダー1224の内部空洞に入るように、フレキシブルに構成されている。ある実施形態では、アーム1256は、ヘッド1258が固定用開口部1228と整合すると、その変形前の状態にもどるように構成されている。ある実施形態では、中間側壁1260は、固定用開口部1228の縁に係合し、ホルダー1224が外れるのを防ぐように構成されている。ある実施形態では、2つが連結されたとき、ホルダー1224がシェルベース1262と接触せず、トランスデューサ150が振動するときに、ホルダーの縦方向の動きがいくぶん可能となるように、中間側壁1260とシェル1254との間の距離は、固定用開口部1228と本体1226の底面との間の距離よりも大きい。ある実施形態では、シェル1254は、アーム1256と隣接する突起部1264を含み、これは、ホルダーがシェル1254に連結されたとき、ホルダー1224の空洞部に少なくとも部分的に入る。ある実施形態では、突起部1264とアーム1256は、ホルダー1224の内面1246によって決まる形状と同様の、しかしわずかに小さい形状を形成し、シェルへのホルダーの位置合わせを維持する。ある実施形態では、隆起部1266は、シェルベース1262から上方へ伸びる。ある実施形態では、付勢要素1234及び/又はホルダー1224のための受入領域1268は、隆起部1266とアーム1256/突起部1264との間に空間を有する。ある実施形態では、シェル1254は、隆起部1266から延びるポスト1270を有する。ポスト1270は、ホルダー1224がポストのほうへ過度に動く場合、フランジ1232と接触するように構成されてもよい。ある実施形態では、ポスト1270は、フランジ1232と絶え間なく接触しており、ホルダー1224の動き(例えば、縦方向の動き)に摩擦抵抗を提供する。ある実施形態では、付勢要素1234は、受入領域1268の中に位置するように構成され、付勢要素1234の下部は、シェルベース1262と接触する。ある実施形態では、ホルダー1224は、アーム1256と突起部1264の周囲に位置するように構成され(図29に最もよく表される)、上述したように、ヘッド部1258は固定用開口部1228内にあり、フランジ1232は付勢要素1234と接触する。ある実施形態では、固定用開口部1228は、ヘッド部1258よりわずかに広く、これによりトランスデューサが振動すると、トランスデューサが膜1166にフラッシュし続けるように、ホルダーのわずかな回転が可能になる。ある実施形態では、ホルダー1224がアーム1256に連結されたとき、付勢要素1234は圧縮されないか、又はその無強勢時の長さを保持する。ある実施形態では、付勢要素1234は、ヘッド部1258が固定用開口部1228内にあるとき、圧縮される。ヘッド部1258は、固定用開口部1228の下方領域のほうに配置されてもよく、トランスデューサ150が作動すると、ホルダー1224がヘッド部1258に対して垂直に動くことを可能にする。さらなる突起部(図示せず)が、シェルベース1262から突出してもよく、これはフィンガー1236を受け、ホルダー1224の回転による(あるいは他の)動きを防止する。ある実施形態では、アーム1256は、ホルダー1224が、アーム1256によって形成される輪の中にあり、ホルダー1224がベース1262に連結すると、ヘッド部1258がフランジ1232と係合するように、配置されてもよい。ある実施形態では、投与チャンバの高さに対するホルダー1224の高さの比は、約2〜約3.5である。ある実施形態では、ホルダー1224の高さに対するフランジの厚みの比は、約0.07〜約0.12である。
図30に示すある実施形態では、トランスデューサ150は、吸入器100の後方部1002の表面1272から突き出ている。トランスデューサの突き出ている距離1274は、約0.1mm〜約5.0mm、又は約0.5mm〜約4.0mm、又は約1.0mm〜約4.0mm、又は約1.0mm〜約3.0mmである。ある実施形態では、距離1274は、膜1166から前方部101の裏面1178への距離の割合と等しいかあるいは小さい(図18に最もよく表される)。ある実施形態では、トランスデューサ150は組み立てたとき、後方部102の表面1272と同一平面であるか、表面1272に対してくぼんでいる。ある実施形態では、トランスデューサ150は、トランスデューサ150の一部が、前方部101の通路1172内に位置するように、後方部102から突き出ている(図18に最もよく表される)。
ある実施形態では、前方部101は、背面カバー1174から突き出ている第一行程カバー1175を含み、吸入器の前方部101と後方部102を整合させるのを助ける。図31のある実施形態では、後方部102は、第一行程カバーを受け入れる切欠き1276又は凹部を有する。ある実施形態では、切欠き1276内の第一行程カバー1175は、吸入器100が組み立てられたとき、トランスデューサ1172が膜1166に対面するよう、前方部と後方部の互いに対する位置決めを手助けする。ある実施形態では、切欠き1276は、センサ1278(例えば、圧力センサ、空気流速センサ又は温度センサの形式、好ましくは、MEMS圧力センサ又はNEMS圧力センサ)を含み、ユーザーが気流導管1195を通じて息を吸っている及び/又は息を吐いている時を検出する。ある実施形態では、センサ1278は、第一行程1184の開口1190と整合するように構成され、センサ1278が、第一行程内で空気をサンプリングするのを可能にする。ある実施形態では、ガスケット1280がセンサ1278を取り囲んで、第一行程1184を効率よくシールし、開口1190に起因する圧力低下を低減又は除去してもよい。
本明細書に記載される本発明の吸入器は、好ましくは、薬剤粉末をエアロゾル化するためにシンセティックジェットを採用する。以下のニーズが存在する:1) 患者の呼吸の発動(投薬トリガー)に応答して、シンセティックジェットを確立して、薬剤を送達するためのオンセット時間の短縮;2)エネルギーの節約;3)一貫した粒度分布を持つ送達量を確実にするための製剤の効率的な脱凝集;及び4)装置の寿命にわたって一貫した投与と粒度分布を確実にする。本発明の開発にあたって、これらの目的を達成できるように、投与チャンバに振動エレメント(トランスデューサ)のエネルギーを伝えるために、大規模な研究が行われた。トランスデューサと膜との間に広がるエアカラム(air column:ここで、エアカラムの少なくとも1部は、分離手段、例えばスペーサー1286によって決まる)を提供することによって、エアカラムが消費電力を増加させる(2つの間の接触なしで、トランスデューサ面と膜のより高い変位を可能にすることによって)ことが見い出された。好ましい実施形態では、患者の呼吸の発動に応答して、シンセティックジェットを確立し、薬剤を送達するためのオンセット時間を、エアカラムが短縮することも見い出された。このことは、周期的な呼吸の最中に装置を通じて短い吸入を行う患者にとって、特に利点があることが見い出された。ある実施形態で使用できる例示的なスペーサーは、WO2016/007356(参照により本明細書に包含される)に記載されている。
十分なシンセティックジェット、投与量送達及び空気力学的粒度分布を達成するためには、エアロゾルエンジンにスペーサーは必要ではなく、それは、エアロゾルエンジンの総合的なロバスト性を向上させうる任意の特徴である。システムの音響共振が全体として、トランスデューサから投与チャンバへの十分なエネルギー伝達を可能にする場合、例えば、吸入器のエアロゾルエンジンは、スペーサー無しでもなお、1000ms以内、500ms以内、又は100ms以内の最大シンセティックジェットを達成し得る。特定の実施形態によれば、スペーサーは、最大シンセティックジェットまでの時間を短縮し、及び/又は最大シンセティックジェットを増加する;例えば、最大シンセティックジェットまでの時間は、スペーサーが使用される場合、少なくとも10ms、又は少なくとも20ms、又は少なくとも30ms、又は少なくとも40ms、又は少なくとも50ms減少し得る。
ある実施形態によれば、本発明の吸入器は、薬剤を受け取るように構成された投与チャンバ;投与チャンバに対面しており、トランスデューサが作動したときに薬剤をエアロゾル化するように構成されたトランスデューサ;投与チャンバとトランスデューサとの間に配置され、投与チャンバに貼付されている膜;トランスデューサと膜との間に広がるエアカラムであって、エアカラムの少なくとも一部は、分離手段(例えば、スペーサー)によって規定される;を有しており、前記吸入器は、トランスデューサが作動すると、ユーザーにエアロゾル化された薬剤を送達するためのシンセティックジェットを発生させる。
別の実施形態によれば、吸入器は、ドライパウダー薬剤を含むように構成された内部を有する投与チャンバ;投与チャンバに対面しているトランスデューサであって、投与チャンバとトランスデューサは音響的に共振性であり、投与チャンバはトランスデューサの作動に応じて共振するように構成されており、トランスデューサは、トランスデューサが作動した時に変形するトランスデューサ面を有している;投与チャンバとトランスデューサとの間に配置されている膜;膜とトランスデューサとの間に配置されたスペーサーであって、スペーサーはトランスデューサ面及び膜と接触しており、トランスデューサ面と膜との間のエアカラムを規定する;を含む。本明細書により詳細に記載するように、トランスデューサが作動したとき、トランスデューサ面の第一部分は、トランスデューサ面の第二部分よりも大きく変形し、スペーサーは、トランスデューサ面の第二部分に位置しており、ここで、第一部分はトランスデューサ面の中央部であり、第二部分はトランスデューサ面の外周部である。特定の実施形態によれば、前記装置は、第二部分の代わりに、トランスデューサ面の第一部分に配置されているスペーサーを有する同じ装置よりも大きな最大シンセティックジェットを達成することが見い出された(トランスデューサの作動の開始から測定)。特定の実施形態によれば、前記装置は、スペーサーを有さない同じ装置よりも大きな最大シンセティックジェットを達成することが見い出された(トランスデューサの作動の開始から測定)。好ましくは、トランスデューサ、投与チャンバ、膜、及びエアカラムの協同的音響共振は、本明細書に記載の好ましい範囲内のMMAD(例えば、約6μm以下)と、好ましくは本明細書に記載の好ましい範囲内の微粒子画分(例えば、少なくとも30%)を有するドライパウダー薬剤のエアロゾル化と送達をもたらすのに十分である。最大シンセティックジェットは、好ましくは、本明細書に記載の時間の範囲内(例えば、トランスデューサ作動の開始から約500ms以下)で達成される。
図36A,36B及び36Cはそれぞれ、トランスデューサ面の中央部に配置されたスペーサーを有するトランスデューサ(A)、及びトランスデューサ面の外周部に配置されたスペーサーを有するトランスデューサであって、分割されたスペーサーを有するもの(B)、及び分割されていないスペーサーを有するもの(C)の一実施形態を図示する。一例では、実施形態B及びCによる装置は、実施形態Aよりも大きな最大シンセティックジェットを達成し、スペーサー無しの装置よりも大きな最大シンセティックジェットを達成した。
スペーサーは、トランスデューサ面と膜との間に広がるエアカラムを少なくとも部分的に決めてもよい。好ましい実施形態によれば、スペーサーは、トランスデューサ面に配置される(例えば、トランスデューサに印刷された絶縁インク)。別の実施形態によれば、スペーサーは、膜に、あるいは投与チャンバの一部に配置される。スペーサーは、好ましくは、トランスデューサ面と膜との間に広がるエアカラムを少なくとも部分的に規定する。例えば、スペーサーは、トランスデューサから分離し、トランスデューサ面に連結されている材料、あるいはトランスデューサから分離していない材料を含んでもよい(すなわち、それは、隆起したトランスデューサ面の一体化部分であってもよい)。
特定の実施形態によれば、トランスデューサは、例えばアルミニウムから形成された硬質のケースを含み、それは壁によって一端が閉じられ、前記壁の外表面はトランスデューサ面1284である。硬質ケースは好ましくは円柱形である。圧電素子(例えば、チタン酸バリウム又はチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材)は、好ましくは、前記壁の内面と接触している円柱内に位置する。ある実施形態によれば、トランスデューサ面は、第一部分と第二部分を含む。第一部分は、圧電素子と連結した内面を有するトランスデューサ面の部分であり、第二部分は、圧電素子に連結した内面を有していないトランスデューサ面の部分である。典型的には、トランスデューサ面は、トランスデューサが作動すると変位し(変形し)、この際、トランスデューサ面の第一部分は、トランスデューサが作動した時、トランスデューサ面の第二部分よりも大きく変形する。例えば、第一部分は、トランスデューサ面の中央部に位置し、第二部分は、トランスデューサ面の外周部分である。ある実施形態によれば、スペーサーの表面積の0〜25%が、第一部分上に位置し、スペーサーの表面積の75〜100%が、第二部分上に位置する;あるいはスペーサーの表面積の0〜10%が、第一部分上に位置し、スペーサーの表面積の90〜100%が、第二部分上に位置する。好ましい実施形態によれば、スペーサーは完全に第二部分上に位置し、第一部分上には位置しない。トランスデューサ面の第一部分上に位置するスペーサー材が多すぎると、圧電素子に対する減衰効果があると考えられる。
好ましい実施形態によれば、スペーサーは連続している(例えば、図36Cに示されるように、スペーサーの外周に沿って隙間がないことを意味する)。例えば、スペーサーは、連続的な輪形、卵形、正方形、又は長方形であってもよい。好ましくは、スペーサーは非連続的である(スペーサーの外周に沿って、1又は複数の隙間、あるいは裂け目があることを意味する)。例えば、スペーサーは、1又は複数の裂け目を有する非連続的な輪形、卵形、正方形、又は長方形であってもよい(図36Bに示すように)。好ましい実施形態によれば、スペーサーは、トランスデューサ面に配置された非連続的な輪形である。
エアカラムは、好ましくは、トランスデューサからの機械的振動を、投与チャンバの音響共振に、効率的に連動するために(例えば、トランスデューサから投与チャンバへの、及び場合によってブリスターへのエネルギー移動が最大化されるように)最適化され;及び、トランスデューサの短いバースト持続時間に応答して、薬剤送達がより速やかに生じるよう、投与チャンバへの超音波エネルギー伝達のより速い開始を可能にするために最適化される。
スペーサーを有する吸入器のある実施形態によれば、ドライパウダー薬剤は、スペーサー無しの同じ吸入器よりも短時間(作動の開始から測定して)で、トランスデューサの作動に応答して、投与チャンバの1又は複数の開口部から排出される。ある実施形態によれば、吸入器は、トランスデューサ面と投与チャンバ膜との間にスペーサーを有さない同じ吸入器の場合と比べて、トランスデューサ面と投与チャンバ膜との間にスペーサーを有する吸入器の場合に、より速く最大シンセティックジェットを達成する。例えば、吸入器は、トランスデューサ面と投与チャンバ膜との間にスペーサーを有する場合、トランスデューサ作動から200ms未満の範囲内(好ましくは、175ms以下、又は150ms以下、又は125ms以下の範囲内、又は100ms以下、又は50〜175ms、又は50〜150ms、又は50〜125ms、又は50〜100ms、又は100〜175ms、又は100〜150msの範囲内)で、最大シンセティックジェットを達成し得る。これとは対照的に、特定の実施形態によれば、同じ吸入器でスペーサを使用しなかった場合、最大シンセティックジェットは、トランスデューサが200msより長い間作動されるまで達成されないことが見い出された。これらの実施形態によれば、スペーサーの使用は、薬剤を、シンセティックジェットによって投与チャンバからより早く排出させ、それによって、薬剤が吸入時により早く、ユーザーの吸入空気中に取り込まれることを可能にする。これは、持続時間が短い吸入と、限られた量の追い込み空気によって、肺に薬剤を運ぶユーザーにとって、特に利点がある。ある実施形態によれば、スペーサーを有する吸入器は、スペーサー無しの同じ吸入器と比べて、少なくとも10%短い時間(トランスデューサの作動の開始から)、又は少なくとも20%短い時間、又は少なくとも30%短い時間、又は少なくとも40%短い時間、又は少なくとも50%短い時間の範囲内で、最大シンセティックジェットを達成する。
別の実施形態によれば、スペーサーを有する吸入器は、トランスデューサの作動に応答して最大シンセティックジェットを達成し、これはスペーサー無しの同じ吸入器によって達成される最大シンセティックジェットと比べてより大きい。例えば、特定の実施形態によれば、スペーサーを有する吸入器が、トランスデューサの作動に応答して、少なくとも0.5V(例えば、少なくとも0.5V、又は少なくとも0.6V、又は少なくとも0.7V、又は少なくとも0.8V、又は少なくとも0.9V、又は少なくとも1.0V、又は少なくとも1.1V、又は少なくとも1.2V、又は少なくとも1.3V、又は少なくとも1.4V、又は少なくとも1.5V、又は少なくとも1.6V、又は少なくとも1.7V;例えば、0.5V〜1.7V、又は0.5V〜1.6V、又は0.5V〜1.5V、又は0.5V〜1.4V、又は0.5V〜1.3V、又は0.5V〜1.2V、又は0.5V〜1.0V、又は0.6V〜1.7V、又は0.6V〜1.6V、又は0.6V〜1.5V、又は0.6V〜1.4V、又は0.6V〜1.3V、又は0.6V〜1.2V、又は0.6V〜1.0V)の最大シンセティックジェットを達成し、他方、スペーサー無しの同じ吸入器は、0.5V未満の最大シンセティックジェットを達成することが見い出された。ある実施形態によれば、スペーサー無しの吸入器によって達成される最大シンセティックジェットと、スペーサーを有する同じ吸入器によって達成される最大シンセティックジェットとの比は、約0.9:1あるいはそれ未満、又は約0.8:1あるいはそれ未満、又は約0.7:1あるいはそれ未満、又は約0.6:1あるいはそれ未満、又は約0.01:1〜約0.9:1、又は約0.01:1〜約0.8:1、又は約0.01:1〜約0.7:1、又は約0.01:1〜約0.6:1、又は約0.1:1〜約0.9:1、又は約0.1:1〜約0.8:1、又は約0.1:1〜約0.7:1、又は約0.1:1〜約0.6:1である。
スペーサーの実施形態が、図面を参照して以下により詳細に記載される。好ましくは、スペーサーは、トランスデューサ面と膜の両方に接触している。以下に記載するように、スペーサー高さ(例えば、トランスデューサ面と膜との間を測定)は、好ましくは約10μm〜約100μmである。シンセティックジェットは、既知の方法、例えば、実施例1に記載の方法に従って測定できる。
いくつかの実施形態では、吸入器100は、トランスデューサ150と膜1166との間の音響的振動と物理的振動の伝達を増強するために、トランスデューサ150と膜1166との間に、スペーサー1286を含む。いくつかの実施形態では、トランスデューサ150と膜1166との間の空気の存在は、この2つの間の振動エネルギーの移動を増強し、それゆえ、いくつかの実施形態では、吸入器100は、スペーサーを含まず、トランスデューサと膜との間に隙間が設けられる。図25のある実施形態では、トランスデューサ150は、圧電トランスデューサを含む。圧電トランスデューサは、周知であり、当業者にとって容易に入手できる。ある実施形態によれば、圧電トランスデューサは、約37〜約43kHz、又は約38〜約41kHzで共振する。ある実施形態では、トランスデューサ150は、対称軸1285を有する円柱状本体1282とトランスデューサ面1284を含む。ある実施形態では、スペーサー1286は、トランスデューサ面1284上に位置している。ある実施形態では、スペーサー1286とトランスデューサ面1284は、一体型エレメントである。ある実施形態では、スペーサー1286は絶縁インクであり(例えば、Acheson ML25240 UV Cure Dielectric Ink、電気的非導電性インク)、トランスデューサ面1284上にスクリーン印刷される。
スペーサー1286は、トランスデューサ150と膜1166の界面となるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、スペーサー1286は、膜1166に連結している。いくつかの実施形態では、スペーサー1286は、トランスデューサ150に連結している。スペーサーが、トランスデューサ又は膜のどちらかに接着している実施形態では、作動中に接着が持続するように適切な接着強度が選択される。
いくつかの実施形態では、スペーサーは、トランスデューサ150から膜1166を通じて投与チャンバ・ハウジング1102へ物理的振動が伝達するように、構成される。ある実施形態では、トランスデューサ150及び投与チャンバ・ハウジング1102の一方又は両方とスペーサーが接触しているとき変形しないように、スペーサー1286は、硬質又は剛性である。スペーサー1286は、金属製又はプラスチック製のエレメントであり、トランスデューサ面1284又は本体1282に、接着剤、溶接、留め具又は同様のものによって固定される。いくつかの実施形態では、スペーサー1286は、スペーサーが膜1166と接触すると変形し、スペーサーが膜と接触しなくなると、変形していない状態に戻るように構成されている。
いくつかの実施形態では、スペーサー1286は、トランスデューサ面1284と膜1166との接触を同時に維持しながら、膜1166をトランスデューサ面1284から分離するように構成されている。ある実施形態では、トランスデューサ面が膜有効面積1171に対面し、トランスデューサから膜への遮るもののない振動の伝達を可能にするよう、スペーサー1286は、内部開口部を有する。スペーサー1286は、割れ目1290によって分離された複数の区域1288を有する非連続的なリングを含んでもよい。ある実施形態では、割れ目1290は、スペーサー1286を完全に貫き、区域1288(複数)は互いから分離したエレメントである。ある実施形態では、割れ目1290は、スペーサー1286を完全に貫かず、薄い厚みを有するスペーサーの一部である。ある実施形態では、スペーサー区域1288と割れ目1290は、おおむね円形パターンに配置されており、割れ目1290の弧の長さに対するスペーサー区域1288の弧の長さの比は、約18〜約20である。ある実施形態では、スペーサー1286は、任意の所望の形状を有する(例えば、円形、三角形、長方形、又は不規則な形状)。トランスデューサとスペーサーは、吸入器100の前方部101と後方部102が互いから分離しているときに視認可能であってもよく、スペーサー1286は、ロゴ又は他のしるしの形状とされてもよい。トランスデューサ面1284は、トランスデューサ面表面積を有してもよく、スペーサーは、トランスデューサ面表面積の約45%〜約55%に相当するスペーサー面表面積を有してもよい。スペーサー1286は、トランスデューサ面1284から上方への延びとして測定されるスペーサー高さを有していてもよい。スペーサー高さは、約10μm〜約100μm、又は約20μm〜約100μm、又は約30μm〜約100μm、又は約20μm〜約90μm、又は約30μm〜約90μm、又は約40μm〜約100μm、又は約40μm〜約90μm、又は約50μm〜約100μm、又は約50μm〜約90μm、又は約50μm〜約80μm、又は約50μm〜約70μm、又は約50μm〜約60μm、又は約25μm〜約80μmであってもよい。ある実施形態では、スペーサー1286は、約7mm〜8mmの内径、及び約10mm〜約11mmの外径を有する。トランスデューサ面表面積は、約0.1in2(65mm2)〜約0.3in2(194mm2)であってもよい。トランスデューサ面1284は、トランスデューサが振動するとき、変形してもよい。ある実施形態では、トランスデューサ面1284のある部分は、他より大きくそれてもよい。例えば、トランスデューサ面1284の第一部分又は中央部は、第二部分又は外周部より大きくそれてもよい。ある実施形態では、スペーサー1286は、トランスデューサ面1284上のスペーサーによってもたらされるたわみ距離の減少を回避又は除去するために、トランスデューサ面1284の第二部分に位置してもよい。スペーサー1286がトランスデューサ面に結合しており、トランスデューサ150が作動される場合、スペーサー1286は、トランスデューサ面1284とともにそれてもよい。ある実施形態では、スペーサー1286は、トランスデューサ面1284の外周1292と隣接している。ある実施形態では、スペーサー1286は、オフセット1294によって、外周1292から分離されていてもよい。ある実施形態では、スペーサー1286は、スペーサー内周1296を含む。ある実施形態では、トランスデューサ面1284は、トランスデューサ有効面積1297(図27に最もよく表される)を含み、これは、スペーサー1286によって覆われていないトランスデューサ面の部分、又はスペーサー内径1296の内側にあるトランスデューサ面の領域を含む。
図11は、投与チャンバ1122とトランスデューサ150の相対位置を含む吸入器100の断面図を示す。図32は、吸入器100の拡大断面図を示す。トランスデューサ面1284は、前方部101と後方部102が互いに連結されたとき、投与チャンバ1122(又は膜1166)と対面するように構成されている。いくつかの実施形態では、トランスデューサ150の外径1292は、ハウジング1102のクラウン外面1141の大きさと等しいか、わずかに大きいか、又はわずかに小さい。いくつかの実施形態では、クラウン内面1139は、スペーサー内径1296と等しいか、わずかに大きいか、又はわずかに小さい。言い換えると、膜有効面積1171は、トランスデューサ面の有効面積1297と等しいか、わずかに大きいか、又はわずかに小さい。ある実施形態では、トランスデューサ面の有効面積1297は、約0.05in2(32mm2)〜約0.09in2(58mm2)である。好ましくは、スペーサー1286は、吸入器100が組み立てられたとき、膜1166と接触し、吸入器100の作動中に、トランスデューサ面1284を膜1166から隔てる。ある実施形態では、エアカラムは、トランスデューサ面1284と膜1166との間のスペーサー1284の内径1296の内側にある。
ある実施形態では、使用中は、前方部101と後方部102が互いに連結しており、トランスデューサ150が作動すると、トランスデューサ150は、軸1298に沿って それる(又は振動する)。ある実施形態では、トランスデューサ150は、前方部101と後方部102が互いに連結しているとき、約0.03in(0.76mm)〜約0.08in(2.03mm)それる。ある実施形態では、付勢要素1234は、付勢要素からのエネルギーが、トランスデューサ150を通じて、膜1166に伝わるように、トランスデューサ150のたわみ(それ)を押し返す。
いくつかの実施形態では、物理的振動は、トランスデューサ150から、ハウジング1102を通って、最終的にブリスター130に伝わる。いくつかの実施形態では、ブリスター130の物理的振動は、その中の薬剤がエアロゾル化するのを、少なくとも一部補助する。ある実施形態では、ブリスターストリップ131は、投与チャンバ・ハウジング1102と接触しており、ブリスター130は、吸入器100が組み立てられ、ブリスターストリップが上述したように投与位置まで進んだとき、トンネル1152と一致する。ある実施形態では、スプリングフィンガー172(図1Iに最もよく表される)は、ハウジング1102と接触するようにブリスターストリップ131を付勢する。それゆえ、吸入器100が組み立てられたとき、トランスデューサホルダー1224、トランスデューサ150、任意のスペーサー1284、膜1166、投与チャンバ・ハウジング1102、トンネル1152、及びブリスターストリップ131の間に連続的な物理リンクが確立されるように構成される。この連続的な物理リンクの音響共振は、トランスデューサからの振動エネルギーが、好ましくは、機械的振動及び音波(シンセティックジェット)によって、ドライパウダー薬剤をエアロゾル化し、ユーザーに放出する(いくつかの実施形態では、ブリスターからユーザーに)ことを可能にする。
ある実施形態では、トランスデューサ150が動いていないとき、ブリスターストリップの縁1300は、トランスデューサ面1284から、約0.1mm〜約5.0mm、又は約0.1mm〜約4.0mm、又は約0.1mm〜約3.0mm、又は約0.1mm〜約2.0mm、又は約0.5mm〜約5.0mm、又は約0.5mm〜約4.0mm、又は約0.5mm〜約3.0mm、又は約0.5mm〜約2.0mm、又は約0.5mm〜約1.5mm離れている。ある実施形態では、ブリスター130は、第一行程軸1185によって規定される平面と、第三行程軸1189によって規定される平面の間に位置している。ある実施形態では、ブリスターストリップ面1168は、第二行程軸1187及び出口通路軸1210の一方又は両方に平行である。ある実施形態では、ブリスターストリップ面1168は、トランスデューサ面対称軸1285、投与チャンバ対称軸1224、及び出口通路軸1210の1又は複数に平行である。ある実施形態では、トンネル軸1158は、ブリスターストリップ面1168に対して傾斜している。ある実施形態では、第一行程1184は、投与チャンバ対称軸1224に対して垂直である。ある実施形態では、第二行程1186は、投与チャンバ対称軸1224に対して平行である。ある実施形態では、第三行程1188は、投与チャンバ対称軸1224に対して垂直である。ある実施形態では、トランスデューサ面1284は、第一行程軸1185及び第三行程軸1189の一方又は両方に平行である。ある実施形態では、投与チャンバ1122は、第一行程軸1185によって規定される平面と、第三行程軸1189によって規定される平面との間に位置している。ある実施形態では、トランスデューサ面対称軸1285は、投与チャンバ対称軸1124に平行である。ある実施形態では、トランスデューサ面対称軸1285、投与チャンバ対称軸1124、及び出口通路軸1210はすべて、互いにおおむね平行である。ある実施形態では、ブリスター130は、投与チャンバ軸1124に垂直なブリスター軸132を含む。ある実施形態では、トランスデューサ運動軸1298は、出口通路軸1210に平行である。ある実施形態では、ブリスターが投与位置にあるとき、ブリスターストリップ131は、投与チャンバ1122及びトランスデューサ150から離れている。言い換えれば、ブリスターストリップ131は、ブリスター130が投与位置にあるとき、投与チャンバ1122及びトランスデューサ150のどちらとも接触しなくてよい。別の実施形態では、ポケットを取り囲むブリスターストリップの一部は、投与位置にあるとき、トンネルと接触するのみであり投与チャンバ又はトランスデューサと接触していない。ある実施形態では、ユーザーが吸入器100から薬剤を吸入しているとき、気流導管1195は、ブリスター130の上方に位置する。ある実施形態では、第二行程1186と第三行程1188によって規定される湾曲部は、投与チャンバ1122の上方に位置する。ある実施形態では、付勢要素1234、トランスデューサホルダー1224、トランスデューサ150、任意のスペーサー1286、膜1166、投与チャンバ1122、及び出口通路1182はスタックされ、それぞれが、他の中心軸と、同軸又は平行の中心軸を有する。ある実施形態では、付勢要素1234、トランスデューサホルダー1224、トランスデューサ150、任意のスペーサー1286、膜1166、投与チャンバ1122のそれぞれは、中心軸を有し、全ての中心軸は同軸である。ある実施形態では、付勢要素1234、トランスデューサホルダー1224、トランスデューサ150、任意のスペーサー1286、膜1166、投与チャンバ1122、及び出口通路1182は、吸入器100が組み立てられたとき、近位から遠位の順にスタックされる。
好ましい実施形態では、トランスデューサ150の振動は、前述したように、ハウジング1102の物理的振動を通じて、並びに音響的振動を通じて振動エネルギーを伝えるように構成される。吸入器100を通る振動エネルギーは、システムの様々な部品にわたって、共振周波数を一致させることによって、より効率的に伝達されてもよい。その共振周波数での構成要素の振動は、その構成要素の振動を増幅する。いくらかの振動は、構成要素が、その共振周波数以外の周波数で振動すると、相殺される。同じ(又は共通する)共振周波数を各構成要素が有するシステムは、そのシステムが、その共通共振周波数で動かされるとき、一致しない共振周波数を有する構成要素を含むシステムと比べて、より速くシンセティックジェットを達成しうる。いくつかの実施形態では、吸入器100は、共通の共振周波数を有し、そのシステムの全体を通じて振動エネルギーを効率的に伝達する構成要素(例えば、トランスデューサ、投与チャンバ、膜及びエアカラム)を含む。トランスデューサ150は、音響共振周波数(又は共振周波数)を特徴としてもよい。ある実施形態では、スペーサー1286、膜1166、及び投与チャンバ1122のそれぞれの特徴(例えば、寸法、材質、配向)は、各部品の共振周波数、及びこれらの部品からなるシステムの共振周波数が、トランスデューサ150の共振周波数と一致するか、密接に関連するように調節される。例えば、いかなる特定の理論にも拘束されることはないが、部品のいずれかに使用される材質の変更は、各部品及び/又はシステム全体の共振周波数に影響を与えうる。しかしながら、これは、単にその材質を含む構成要素が置換されただけで、そのシステムの共通共振周波数が達成できないことを意味しない。代わりに、そのシステムの共振周波数を再調整するために、システムの他の構成要素又は特徴を変更することができる。例えば、投与チャンバの高さ又は幅又は壁厚の変更も、投与チャンバ1122及びシステムの共振周波数に影響を与える。このように、投与チャンバ及びシステムの共振周波数を維持するために、投与チャンバ1122を含んでいるハウジング1102を製造するために使用される材質を変えることができ、投与チャンバの寸法も変えることができる。各構成要素の、及びシステム全体にわたる共通共振周波数を維持するために、システムの任意の構成要素が変更されてもよく、システムのその他の構成要素の1又は複数も変更されてよい。個々の構成要素、システムの区域、及び/又は全体としてのシステムが、2以上の共振周波数又は高調波(一次共振周波数の倍数であってもよい)を有するように構成されてもよい。
ある実施形態では、所望の共振周波数は、トランスデューサ150を選ぶこと、その共振周波数を測定すること、及びその後、同様の共振周波数を有するシステムを構成することによって、選択される。ある実施形態では、投与チャンバは所望の吸入器内に収まるように構成され、あるいは投与チャンバは、薬剤とのネガティブな相互作用を避けるために選ばれたある材料から製造され、及び構成要素の残りとシステムは、投与チャンバの共振周波数と調和するように構成される。ある実施形態では、システムの共振周波数は、投与チャンバ内に薬剤がないときに測定される。ある実施形態では、システムの共振周波数は、投与チャンバ内にエアロゾル化された薬剤があるときに測定される。ある実施形態では、同じ又は同様の音響共振を有するシステムは、シンセティックジェットを確立するためのオンセット時間を短縮し、吸入器を通じてユーザーに薬剤を送達するために必要とされるバッテリーパワーを減らす。
音響インピーダンスは、一般的に、システムに加えられた音圧と、その結果もたらされる、その作用点での圧力の方向における粒子速度との間の関係である。音響インピーダンスは、一般に、Z0=ρ0・c0と定義され、ここで、Z0は、Raylsの単位における音響インピーダンス(Pa・s/m)であり、ρ0は、媒体の密度(kg/m3)であり、c0はその媒体を通る音の速度(m/s)である。システムの構成要素にわたって音響インピーダンスの変動が同一又は小さいシステムは、システムが稼働している間、より効率的なエネルギー伝達(又はエネルギー共役)を生み出す。シンセティックジェットのオンセット時間は、より小さい音響インピーダンスマッチングを有するシステムと比べて、より大きな音響インピーダンスマッチングを有するシステムにおいて短縮される。音響インピーダンスは、各構成要素の「剛性(stiffness)」と考えられてもよい。音響インピーダンスが整合されるか、又は狭い範囲内にあるとき、システムの構成要素(例えば、エアカラム、膜、及びチャンバ内の空気)は、トランスデューサが振動するとき、相対的に調和して動くことができ、このようにして、トランスデューサの各振動は、より多くの振動エネルギーを、投与チャンバ内の空気に伝えうる。
ある実施形態では、トランスデューサ150は、トランスデューサ音響インピーダンスを特徴とする。ある実施形態では、トランスデューサ面1284と膜1166との間のスペーサー1286内のエアカラムは、エアカラム音響インピーダンスを特徴とする。ある実施形態では、エアカラム音響インピーダンスは、トランスデューサ音響インピーダンスより小さい。ある実施形態では、膜1166は、トランスデューサ音響インピーダンスより小さい膜音響インピーダンスを特徴とする。ある実施形態では、膜音響インピーダンスは、エアカラム音響インピーダンスよりも大きい。ある実施形態では、投与チャンバ1122内の空気は、トランスデューサ150、エアカラム、及び膜1166の1又は複数より小さい音響インピーダンスを有する。ある実施形態では、トランスデューサ音響インピーダンスは、チャンバ音響インピーダンス、膜音響インピーダンス、及びエアカラム音響インピーダンスの少なくとも1つと実質的に等しい。ある実施形態では、トランスデューサ音響インピーダンスは、吸入器の最大音響インピーダンスである。投与チャンバ音響インピーダンスは、投与チャンバ内のエアロゾル化薬剤とともに又はエアロゾル化薬剤無しで測定されてもよい。
本発明の特定の実施形態に従って、出願人は、ドライパウダーが、投与チャンバの低圧ノード(振動圧力がほとんどない又は全くない領域)で「スタックする(立ち往生する)」傾向があり、これはシンセティックジェットとその結果として生じる送達量を実質的に減少させることを発見した。出願人は、さらに、この問題に対処するよう駆動スキームを変更できることを発見した;特に、特定の実施形態によれば、トランスデューサの共振周波数は、非-共振周波数(又は"ホップ周波数")への「スイッチオフ」で周期的に中断される。共振周波数のスイッチオフは、粒子が低圧ノードに滞留しないように、粒子の浮上を妨害する。好ましい実施形態によれば、ホップ周波数の組み込みは、投与量からの粉末の重量クリアランスを有意に改善する。例えば、ホップ周波数無しの駆動スキームは、投与量(例えば、ブリスターに収納されている用量)から、少なくとも50%、又は少なくとも40%の粉末の重量クリアランスをもたしうるが、これに対して、ホップ周波数を含む駆動スキームは、投与量(例えば、ブリスターに収納されている用量)から、60%を超える、好ましくは70%を超える、又は80%を超える、又は90%を超える、又は95%を超える粉末の重量クリアランスをもたらし得る。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置において圧電トランスデューサを駆動させる方法は、所定の期間、トランスデューサに電気信号を提供することによって、トランスデューサを作動させることを含み、ここで、前記電気信号は、トランスデューサをその共振周波数で振動させる第一周波数、及び第一周波数とは異なる第二周波数(トランスデューサをその共振周波数で振動させない)を提供し、及び、前記電気信号は、前記所定の期間、第一周波数と第二周波数を行ったり来たりする。さらなる実施形態によれば、薬剤送達装置は、ドライパウダー薬剤を含むように構成された内部を有する投与チャンバ;投与チャンバと対面しているトランスデューサであって、投与チャンバとトランスデューサは音響的に共振性であり、投与チャンバは、トランスデューサの作動に応答して共振するよう構成されている;及び、トランスデューサ作動の間に、トランスデューサに、第一周波数と第二周波数を繰り返す電気信号を送るように構成されたコントローラを含み、ここで、第一周波数は、その共振周波数でトランスデューサを振動させ、第二周波数は、第一周波数とは異なっており、トランスデューサをその共振周波数で振動させない(例えば、装置は、前記電気信号を生成することができるプログラムコードを有する)。
好ましくは、前記信号は、トランスデューサ作動の間に、第一周波数と第二周波数を、複数回繰り返す。第二周波数は「ホップ周波数」と称されてもよい。ホップ周波数の使用は、好ましくは、ドライパウダー薬剤のエアロゾル化と送達を引き起こし、前記ドライパウダー薬剤は、本明細書に記載の好ましい範囲内のMMAD(例えば、約6μm以下)と、好ましくは本明細書に記載の好ましい範囲内の微粒子画分(例えば、少なくとも30%)を有する。最大シンセティックジェットは、好ましくは、本明細書に記載の時間の範囲内(例えば、トランスデューサ作動の開始から約500ms以下)で達成される。ある実施形態によれば、最大シンセティックジェット及び/又はシンセティックジェットの開始速度は、ホップ周波数を使用しない装置と比べて、ホップ周波数を使用する装置でより大きい。バーストあたりの送達量、合計送達量、及び空気力学的粒度分布も、ホップ周波数が使用される場合、向上しうる。
好ましくは、第一周波数は、圧電トランスデューサの共振周波数と、実質的に等しい;及び、第二周波数は、圧電トランスデューサの共振周波数と、実質的に等しくない。圧電トランスデューサの共振周波数と実質的に等しい周波数とは、圧電トランスデューサの共振周波数と等しい周波数、又は、圧電トランスデューサの共振周波数に十分に近く、トランスデューサに、シンセティックジェットの生成に十分な振動を生じさせる周波数を指す。
一例によれば、トランスデューサの共振周波数は、37〜42kHzである;投薬呼吸の間、トランスデューサは、第一周波数(同じく、37〜42kHz)を有する電気信号によって作動され、第一周波数はその後、37〜42kHzの範囲外の第二周波数(すなわち、37kHz未満、又は42kHzを超える周波数)によって、「中断」される。投薬呼吸の間、第一周波数は、トランスデューサの「オンタイム」の大部分のために提供され、他方、第二周波数は、第一周波数を間欠的に短時間中断し、それにより、ドライパウダー粒子は、投与チャンバ内の低ノードに滞留しない。第二周波数("ホップ周波数")による短時間の中断は、なお、オンタイムの一部と見なされる。
ある実施形態によれば、前記方法は、トランスデューサを投薬呼吸ごとに、約50ms〜約1000ms間活性化(作動)することを含む;例えば、投薬呼吸ごとに、約50ms〜約900ms、又は約50ms〜約800ms、又は約50ms〜約700ms、約50ms〜約600ms、又は約50ms〜約500ms、約50ms〜約400ms、又は約50ms〜約300ms、約50ms〜約200ms、又は約50ms〜約100ms、又は約100ms〜約900ms、又は約100ms〜約800ms、又は約100ms〜約700ms、約100ms〜約600ms、又は約100ms〜約500ms、約100ms〜約400ms、又は約100ms〜約300ms、約100ms〜約200ms。本明細書に記載される吸入サイクルは、好ましくは、複数の投薬呼吸を含む。
ある実施形態によれば、前記方法は、トランスデューサが作動される時間の少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%の間、第一周波数を提供すること、及び、トランスデューサが作動される時間の最大でも約30%、又は最大でも約25%、又は最大でも約20%、又は最大でも約15%、又は最大でも約10%の間、第二周波数を提供することを含む。例えば、前記方法は、トランスデューサが作動される時間の約90%の間、第一周波数を提供すること、及び、トランスデューサが作動される時間の約10%の間、第二周波数を提供することを含んでもよい。
ある実施形態によれば、前記方法は、トランスデューサを約500ms間作動することを含み、ここで、その時間の間、信号は、第一周波数を約90ms間、第二周波数を約10ms間提供する;例えば、信号は、約90msの第一周波数と約10ms第二周波数を5回繰り返す。別の実施形態によれば、前記方法は、トランスデューサを約100ms間作動することを含み、ここで、その時間の間、信号は、第一周波数の約90ms間の提供と、第二周波数の約10ms間の提供を交互に行う。
ある実施形態によれば、第一周波数は、約37kHz〜約42kHzであり、第二周波数は、36kHz以下であるか、又は43kHzより大きい。例えば、第二周波数は、0kHz〜約30kHz、又は約45kHz〜約75kHz、又は約50kHz〜約60kHzであってもよい。
ある実施形態によれば、呼吸器疾患又は障害(例えば、COPD、喘息、嚢胞性線維症、突発性肺線維症など)を治療する方法は、治療的有効量の1種又は複数種の薬剤を投与するために、本明細書に記載の吸入器の一実施形態を使用することを含む(例えば、吸入器を通じて連続的な吸入を行うことによって)。
本発明の吸入器は、多くの種類の薬剤の吸入による送達に適しており、様々な疾患及び障害の治療のために使用しうる。好ましい実施形態によれば、吸入器は、呼吸器疾患(例えば、COPD、喘息、嚢胞性線維症、突発性肺線維症など)を治療するために使用される。吸入器は、非呼吸器疾患を治療するために使用されてもよい。
特定の実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のドライパウダー組成物の呼吸性送達による治療に適した、呼吸器疾患又は障害を治療するための方法を含む。例えば、本明細書に記載の組成物、方法及びシステムは、炎症性又は閉塞性肺疾患あるいはその状態を治療するために使用できる。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物、方法及びシステムは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、他の薬剤治療の結果として生じた気道過敏性の増悪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、妨害性呼吸、呼吸窮迫症候群、肺高血圧、肺血管収縮、及び他の呼吸器疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型であって、例えば、LAMA、LABA、コルチコステロイド、又は本明細書に記載の他の活性剤の投与(単独又は他の治療との併用にかかわらず)に応答しうるものから選択される疾患又は障害に苦しむ患者を治療するために使用できる。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物、方法及びシステムは、嚢胞性線維症に関連する肺の炎症及び閉塞を治療するために使用できる。本明細書に記載の「COPD」及び「慢性閉塞性肺疾患」という用語は、慢性閉塞性肺疾患(COLD)、慢性閉塞性気道疾患(COAD)、慢性気流制限(CAL)、及び慢性閉塞性呼吸器疾患(CORD)を包含し、慢性気管支炎、気管支拡張症、及び肺気腫を含む。本明細書に記載の「喘息」という用語は、いかなるタイプ又は起源の喘息であってもよく、内因性(非アレルギー性)喘息及び外因性(アレルギー性)喘息、軽症喘息、中等度喘息、重症喘息、気管支炎喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、及び、細菌感染後に誘発される喘息を含む。喘息は、ぜーぜーする乳幼児(wheezy-infant)症候群を包含すると理解されてもよい。
好ましい実施形態によれば、吸入器は、COPDを治療するため、特に、慢性気管支炎及び/又は肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患した患者における気流閉塞の長期にわたる維持的な気管支拡張剤治療のために、1種又は複数種の薬剤を送達する。
様々な種類の薬剤が、呼吸器疾患を治療するために開発されており、各種類は、異なる標的及び効果を有する。
気管支拡張剤は、気管支及び細気管支を拡張し、気道の抵抗を減少し、それによって、肺への気流を増加させるために使用される。気管支拡張剤は、短時間作用型であっても、長期間作用型であってもよい。一般的に、短時間作用型気管支拡張剤は、急性気管支収縮の急速な緩和を提供し、他方、長時間作用型気管支拡張剤は、長期的な症状をコントロール及び予防するのに役立つ。
異なる種類の気管支拡張剤は、気道において異なるレセプターを標的にする。2つのよく使用される種類は、抗コリン作用薬とβ2-作用薬である。
抗コリン作用薬(又は“抗ムスカリン薬”)は、神経細胞中のその受容体を選択的に遮断することによって、神経伝達物質アセチルコリンをブロックする。局所投与では、抗コリン作用薬は、気道内にあるM3ムスカリン受容体に主に作用し、平滑筋を弛緩させ、それにより気管支拡張効果を生じる。長時間作用型ムスカリン受容体遮断薬(LAMA)の非限定的な例には、チオトロピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化チオトロピウム)、オキシトロピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化オキシトロピウム)、アクリジニウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化アクリジニウム)、イプラトロピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化イプラトロピウム)、グリコピロニウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化グリコピロニウム;グリコピロレートとも呼ばれる)、オキシブチニン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、オキシブチニン塩酸塩、又はオキシブチニン臭化水素酸塩)、トルテロジン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、トルテロジン酒石酸塩)、トロスピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、塩化トロスピウム)、ソリフェナシン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ソリフェナシンコハク酸塩)、フェソテロジン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、フェソテロジンフマル酸塩)、ダリフェナシン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ダリフェナシン臭化水素酸塩)、及びウメクリジニウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化ウメクリジニウム)が含まれる。
β2-アドレナリン受容体刺激薬(又は"β2-作動薬")は、平滑筋の弛緩を誘発するβ2-アドレナリン受容体に作用し、気管支道の拡張をもたらす。長時間作用型β2-受容体刺激薬(LABA)の非限定的な例には、ホルモテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ホルモテロールフマル酸塩)、サルメテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、サルメテロールキシナホ酸塩)、インダカテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、インダカテロールマレイン酸塩)、バンブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、バンブテロール塩酸塩)、クレンブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、クレンブテロール塩酸塩)、オロダテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、オロダテロール塩酸塩)、カルモテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、カルモテロール塩酸塩)、ツロブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ツロブテロール塩酸塩)、及びビランテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ビランテロールトリフェニル酢酸塩)が含まれる。短時間作用型β2-作用薬(SABA)の非限定的な例には、アルブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、アルブテロール硫酸塩) 、及びレブアルブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、レブアルブテロール酒石酸塩)が含まれる。ある実施形態によれば、製剤はアルブテロール(硫酸塩)を含む。
呼吸器疾患の治療に用いられる別の種類の薬剤は、吸入コルチコステロイド(ICS)である。ICSは、呼吸器疾患の長期間コントロールに用いられるステロイドホルモンである。それらは、気道の炎症を減じることによって機能する。吸入コルチコステロイドの非限定的な例には、ブデソニド及び薬学的に許容できるその塩, ベクロメタゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ベクロメタゾンジプロピオネート)、フルチカゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、フルチカゾンプロピオネート)、モメタゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、モメタゾンフロエート)、シクレソニド及び薬学的に許容できるその塩、及びデキサメタゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、デキサメタゾンナトリウム)が含まれる。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、チオトロピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化チオトロピウム)、オキシトロピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化オキシトロピウム)、アクリジニウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化アクリジニウム)、イプラトロピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化イプラトロピウム)、グリコピロニウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化グリコピロニウム;グリコピロレートとも呼ばれる)、オキシブチニン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、オキシブチニン塩酸塩、又は、オキシブチニン臭化水素酸塩)、トルテロジン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、トルテロジン酒石酸塩)、トロスピウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、塩化トロスピウム)、ソリフェナシン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ソリフェナシンコハク酸塩)、フェソテロジン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、フェソテロジンフマル酸塩)、ダリフェナシン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ダリフェナシン臭化水素酸塩)、ウメクリジニウム及び薬学的に許容できるその塩(例えば、臭化ウメクリジニウム)、ホルモテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ホルモテロールフマル酸塩)、サルメテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、サルメテロールキシナホ酸塩)、インダカテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、インダカテロールマレイン酸塩)、バンブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、バンブテロール塩酸塩)、クレンブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、クレンブテロール塩酸塩)、オロダテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、オロダテロール塩酸塩)、カルモテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、カルモテロール塩酸塩)、ツロブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ツロブテロール塩酸塩)、ビランテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ビランテロールトリフェニル酢酸塩)、アルブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、アルブテロール硫酸塩)、レブアルブテロール及び薬学的に許容できるその塩(例えば、レブアルブテロール酒石酸塩)、ベクロメタゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、ベクロメタゾンジプロピオネート)、フルチカゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、フルチカゾンプロピオネート)、モメタゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、モメタゾンフロエート)、シクレソニド及び薬学的に許容できるその塩、及びデキサメタゾン及び薬学的に許容できるその塩(例えば、デキサメタゾンナトリウム)及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1種又は複数種の薬剤を送達する。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、デオキシリボヌクレアーゼ(DNAの切断を触媒する酵素)、好ましくは、デオキシリボヌクレアーゼI又はその変異体、最も好ましくは、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI又はその変異体を含む製剤を送達する。デオキシリボヌクレアーゼは、組換えDNA技術の既知の方法によって製造されてもよい。デオキシリボヌクレアーゼは、呼吸器疾患又は障害、例えば嚢胞性線維症(CF)又は肺炎の治療のために投与されてもよい。好ましくは、薬剤送達装置は、CF又は肺炎などの疾患において、肺分泌物(粘液)の粘弾性を減らすのに有効であるデオキシリボヌクレアーゼを所定の量で投与し、それにより、呼吸気道をクリアにするのに役立つ。本明細書で使用される「ヒトデオキシリボヌクレアーゼI」という用語は、未変性のヒトデオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す(例えば、US6,348,343の配列番号1参照)。未変性のヒトデオキシリボヌクレアーゼIの「変異体」は、未変性のヒトデオキシリボヌクレアーゼIとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり、例えば、未変性のヒトデオキシリボヌクレアーゼIと、少なくとも80%の配列相同性(ホモロジー)、好ましくは少なくとも90%の配列相同性、より好ましくは少なくとも95%の配列相同性、及び最も好ましくは少なくとも98%の配列相同性を有する。ヒトデオキシリボヌクレアーゼI又はその変異体は、DNA加水分解活性を示す。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、一又は複数の抗生物質を含む製剤を送達する。抗生物質(単数又は複数)は、嚢胞性線維症などの呼吸器疾患又は障害を治療するために投与されてもよい。前記薬剤送達装置によって送達されうる抗生物質の種類の非限定的な例には、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、チゲサイクリン)、フルオロキノリン(例えば、シプロフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シタフロキサシン)、カルバペネム(例えば、メロペネム、イミペネム)、ポリミキシン(例えば、コリスチン、ポリミキシンB)及びそれらの組み合わせが含まれる。例えば、製剤は、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、チゲサイクリン、シプロフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シタフロキサシン、メロペネム、イミペネム、コリスチン、ポリミキシンB、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される抗生物質を含んでもよい。製剤は、さらに、1又は複数の抗生物質との併用で、1又は複数のアジュバント(抗生物質活性の増強剤)を含んでもよい。ある実施形態によれば、製剤は、同じ種類又は異なる種類の抗生物質から、2以上の抗生物質を組み合わせて含む。製剤は、前述した薬剤のいずれかの1又は複数のプロドラッグを含んでもよい。
ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、嚢胞性線維症の治療のために、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(コリスチンの一形態)を含む製剤、又は嚢胞性線維症の治療のために、ドキシサイクリン一水和物を含む製剤、又はコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムとドキシサイクリン一水和物の両方を含む製剤を送達する。別の実施形態によれば、薬剤送達装置は、突発性肺線維症(IPF)又はその症状を治療するために、ピルフェニドンを含む製剤を送達する。
特定の実施形態によれば、吸入器は、同じ又は異なる種類に属する少なくとも2つ(2,3,4など)の異なる薬剤の組み合わせを送達する。ある実施形態によれば、薬剤送達装置は、3つの異なる薬剤の「三剤コンビネーション」を送達する。前記3つの薬剤は、3つの異なる薬剤クラス(例えば、LAMA、LABA、ICS)に属していてもよく;あるいは2つ又は3つの薬剤は、同じクラスに属してもよい。
好ましい実施形態によれば、吸入器は、長時間作用型ムスカリン受容体遮断薬(LAMA)、長時間作用型β2-アドレナリン受容体刺激薬(LABA)、及びそれらの組み合わせを含む群又はそれらからなる群より選択される1種又は複数種の薬剤を送達する。このように、薬剤送達装置は、1又は複数のLAMAと1又は複数のLABAを組み合わせて含む製剤を送達してもよい。特に適切な組み合わせは、臭化グリコピロニウム(すなわち、グリコピロレート) 及びホルモテロールフマル酸塩を含む。別の適切な組み合わせは、臭化チオトロピウム及びホルモテロールフマル酸塩を含む。そのような組み合わせは、COPDの治療のために、特に、慢性気管支炎及び/又は肺気腫を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者における気流閉塞の、長期的・維持的気管支拡張剤治療のために、使用されてもよい。ある実施形態によれば、グリコピロレートとホルモテロールフマル酸塩、又は臭化チオトロピウムとホルモテロールフマル酸塩の組み合わせが、経口による周期的な吸入を経て、1日2回投与される。好ましくは、前記組み合わせは、トラフ値を通るピークにて(例えば、>100ml)、プラセボに対して、臨床的に有意な気管支拡張を達成する、及び/又はトラフ値を通るピークにて、LABA(例えば、ホルモテロールフマル酸塩)又はLAMA(例えば、グリコピロレート又は臭化チオトロピウム)の単独療法と比べて、有意に優れた気管支拡張(FEV1)、及び/又は、最初の投与量から5分の時点で、プラセボと比較して、有意に優れた気管支拡張の開始を達成する。
さらなる実施形態によれば、吸入器は、長時間作用型ムスカリン受容体遮断薬(LAMA)、長時間作用型β2-アドレナリン受容体刺激薬(LABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)、及びそれらの組み合わせを含む群又はそれらからなる群より選択される1種又は複数種の薬剤を送達する。このように、薬剤送達装置は、1又は複数のLAMA、1又は複数のLABA、及び1又は複数のICSを含む製剤を送達してもよい。すなわち、装置は、LAMAとLABA、LAMAとICS、又はLABAとICSからなる2種の組み合わせ、又はLAMA,LABA,及びICSの3種の組み合わせを送達してもよい。
通常、本明細書に記載するように、気管支又は肺の肺胞領域に送達するのに適切な粉末薬剤粒子は、10μm未満、好ましくは6μm未満の空気動力学的直径を有する。気道の他の部分(鼻腔、口、咽頭など)への送達が望まれる場合、他のサイズの粒子が使用されてもよい。薬剤は、純粋な薬剤として送達されてもよく、又は、吸入に適した1又は複数のキャリア及び/又は1又は複数の賦形剤とともに、送達されてもよい。
好ましい実施形態によれば、粉末製剤(又は、本明細書において「薬剤組成物」「組成物」「製剤」「医薬組成物」「薬剤製剤」又は「API製剤」とも呼ばれる)は、薬剤を、1又は複数のキャリア及び/又は1又は複数の賦形剤とともに含む。例えば、一用量の薬剤は、少なくとも1つの薬剤、少なくとも1つのキャリア(例えば、ラクトース)及び任意で少なくとも1つの賦形剤を含む製剤の形で送達されてもよい。特定の実施形態によれば、ブリスターストリップ上の各ブリスターは、粉末形態の一用量(投与量)の製剤を含み、一用量の製剤はそれぞれ、少なくとも1つの薬剤(例えば、単一の薬剤、又はLAMAとLABAなどの2つの薬剤の組み合わせ)、少なくとも1つのキャリア(例えば、ラクトース)及び任意で少なくとも1つの賦形剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含む。一例によれば、各用量は、賦形剤無しで、少なくとも1つの薬剤(例えば、単一の薬剤、又はLAMAとLABAなどの2つの薬剤の組み合わせ)、及びキャリア(例えば、ラクトース)を含むか、本質的にそれらからなるか、それらのみからなる。
ドライパウダー製剤のための、薬学的に許容できるキャリア及び賦形剤は、当該分野で既知である。ラクトースは好ましいキャリアであり、ステアリン酸マグネシウムは好ましい賦形剤である。製剤の粒子は、界面活性剤、壁形成物質(wall forming material)、又は当業者によって望ましいと考えられる他の成分を含んでもよい。粉末薬剤及び/又は粉末製剤の粒子は、従来技術、例えば、微粒子化、粉砕、篩又は噴霧乾燥によって製造することができる。さらに、薬剤粉末及び/又は製剤粉末は、特定の密度、粒径範囲、又は特性を有するように設計されてもよい。
本発明の製剤は、好ましくは噴霧剤を含まない(例えば、ヒドロフルオロアルカン(HFA)噴霧剤などの、吸入器で一般に使用される噴霧剤を含まない)。
本発明の実施形態は以下の実施例を参照して、さらに理解することができる。
他に指定のない限り、以下の実施例で使用される薬剤送達装置(例えば「周期的な吸入器」)は、本明細書に記載の、手で持って操作できる装置の一実施形態であり、それは、図5A〜Dに図示される装置と同様、ベースと、ブリスターストリップを含む取り外し可能なカートリッジとを有し、再充電可能なバッテリーによって電力を供給される。圧電トランスデューサは、その面に、図25と同様、トランスデューサ面の外周に位置する又はその近くに位置する非連続的な輪のパターンにてスクリーン印刷された絶縁インク(例えば、Acheson ML25240 UV Cure Dielectric Ink、電気的非導電性インク)からなるスペーサを有する。ピエゾ面の、スペーサーの名目上塗布厚みは、約53μm±25μmである。ピエゾは、図25〜27と同様に、ホルダーとバネとを含む実装システムによって、投与チャンバ膜に押し付けられている。アルミニウム製ピエゾは、38〜42kHzの共振周波数(約54kHzのホップ周波数を伴う)、及び200〜240Vp-pの電圧で作動される。膜は、ヒートシール可能な非晶質PETを、その片面に有するポリエチレン・テレフタレート(PET:DuPont マイラー(登録商標)813)からなる共押出品であり、約23μm±10μmの公称厚さを有する。装置の投与チャンバと気流導管は、図12,13,16及び18に図示するものと同様である。投与チャンバは、頂部に、直径0.019インチ(0.48mm)±0.012インチ(0.30mm)の4つの開口部を有する。流れ抵抗は、30LPMの流量で、約0.050〜0.09cmH2O0.5/LPMである。他に指定のない限り、以下に記載するインビトロ試験のために、30LPMの流量が使用された。
全ての空気力学的粒度分布(APSD)は、ネクストジェネレーションインパクタ(Next Generation Impactor:NGI)を使用して測定した。サンプルは、UV検出を備えた(220nm)HPLCシステムで、単一点較正を使用して分析した。
実施例1:シンセティックジェット試験手順
参照:Service and Instruction Manual, Rudolph Pneumotachometers (PNT)、及びHeater Controllers ISO 9001 / ISO 13485
材料及び設備:
Linear Pneumotachometer 3500 Series 0-35 L/min (Hans Rudolph社)(又は同等のもの)
Pneumotach Amplifier 1 Series 1110 (Hans Rudolph社)(又は同等のもの)
デジタル記憶オシロスコープ(又は同等のもの)
ジェット設備を有するエアロゾルエンジンを備えた吸入器サブアセンブリ(又は同等のもの
Breakout Board and Flat Flex Jumper Assembly S0363(又は同等のもの)
遠隔性始動スイッチ(又は同等のもの)
BNC同軸ケーブル(又は同等のもの)
Ribbon Insertion Tool S0627(又は同等のもの)
Connector Latch Tool P2767(又は同等のもの)
装置の配置の一例を、図35に図示する。フラットフレキシブル・ケーブル(FFC)は、ジェット信号が、オシロスコープに作用する圧電トランスデューサと連携できるように、制御信号とフィードバック信号を提供する。呼吸速度計は、好ましくは、マウスピース・ポートからの正味のジェット流が、オシロスコープに正の信号を発生させるように、設置される。PNTは、マスクポートを使用して投与チャンバの孔(開口部)の上に配置され、投与チャンバの全ての孔を出ていく正味の流れを捕える。正味の流れは、ピエゾ駆動周波数(例えば、約37〜42kHz)で発生する個々のジェットのそれぞれの外向き運動量の累積的作用である。
装置設定例:
1.吸入器に、フラットフレキシブル・ケーブル(FFC)ジャンパー・ロック用レバーを接続する。FFCを吸入器内に案内するために、リボン挿入ツールを使用してもよい。ケーブルの端部の青色の絶縁体は、吸入器と面しているべきである。ロック用レバーは、適所にて、FFCをロックするために使用されてもよい。エアロゾルエンジン/ジェット設備は、適所にて、しっかりと固定されるべきである。
2.吸入器に、呼吸速度計(PNT)を取り付ける。PNTのポート#2側は、装置から見て外方向を向くべきである。
3.呼吸流量増幅器に呼吸速度計を接続するためのPNTチューブを取り付ける。白いラベルを有するチューブは、「1」と表示されたPNTインプットと、呼吸流量増幅器の「P+」インプットに取り付けられるべきである。黒いラベルを有するチューブは、「2」と表示されたPNTインプットと、増幅器の「P-」インプットに取り付けられるべきである。
4.増幅器の「フローアウト」を、オシロスコープの「CH1」に接続するために、BNC同軸ケーブルを使用する。
5.以下の設定で、オシロスコープを作動させる
a.Time Mode:Roll
6.ベースライン電圧がゼロであることを確認する。もし違えば、スクリュードライバーを使用して、ゼロ電圧測定値が表示されるまで呼吸流量増幅器の「ゼロ」設定を調節する。
7.ブレークアウトボードTP1とGNDピンに取り付けられた同軸ケーブルを、オシロスコープの「CH2」に接続する。
8.オシロスコープの設定を以下のように調節する:
a.CH1:50 mV/div (150 mV オフセット)
b.CH2:200 mV/div (600 mV オフセット)
c.Time Mode:nomal (100 ms ホールドオフ)
d.TRIG:CH2 立ち上がりエッジ (850 mV レベル)
e.HORZ:5 ms/div (10 ms左側位置遅延)
9.オシロスコープの「Quick Measure」ボタンを押し、Source 1 Pk-Pk電圧を測定するために選択を行う
10.遠隔スタートスイッチを、ブレークアウトボードSW1とGNDピンに接続する。
11.遠隔スタートスイッチを押し、装置をオンにする。装置のオーバーレイ上の点灯シーケンス表示を観察することによって、装置に電力が供給されていることを確認する
12.装置がトリガーされるまで、少なくとも5秒間、遠隔スタートスイッチを押し続ける。これにより、追跡がオシロスコープに現れる。
13.ピークPNT信号として、Pk-Pk(1)電圧を記録する。
14.必要に応じて、工程11〜13を繰り返す。
実施例2:気流導管の流れ抵抗を測定するための試験手順
参照:参照のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に本願される
1.United States Pharmacopia General Chapters <601> Aerosols, Nasal Sprays, Meter-Dose Inhalers, and Dry Powder Inhalers;
2."Testing Inhalers" David Harris, Pharmaceutical Technology Europe, Sept 2007, pg 29-35;
3.A.R. Clarke and A.M. Hollingworth, J. Aerosol Med., 6 99-110 (1993).
材料及び設備:
1.吸入器気流導管、及び試験装置ボリュームのためのマウスピース・アダプター(又は同等のもの);
2.サブアセンブリ S0417Aの一部として、圧力ポートP1 part #1987Aを有する、気流導管アダプター・チャンバ(又は同等のもの)
3.Differential Pressure Meter-Digitron Model #2020P or 2000P for 0-10" W.C. range、及び Model #2022P for >10" W.C. (又は同等のもの)
4.Flow Meter-Cole Parmer Model# 32908-75 (又は同等のもの)
5.Flow Control Valve with a Cv ≧ 1.0 - Parker Hannifin type 8F-V12LN-SS (又は同等のもの)
6.Vacuum Pump - Gast Type 1023, 1423, or 2565 (又は同等のもの)
7.Tubing - Tygon B-44-4X 10 mm ID 及び Tygon 4 mm (5/32') ID (又は同等のもの)
図39に示す図表にて、システムをセットアップする
1.電力を、流量計と圧力センサの両方に供給し、10分間ウォームアップする。10分間ウォームアップ後、圧力センサと流量計の両方をゼロに設定する
2.全ての接続部で、タイトな気密性を確保する。気流導管アダプター・チャンバの開口部を親指で押さえたとき、流量計はゼロを示すべきである。
3.吸入器の流れ抵抗を測定するために、空のブリスターを、吸入器に挿入し、吸入器を気流導管アダプター・チャンバに挿入する。真空ポンプをオンにし、流量計が、要求される試験流量を表示するまで、流量制御バルブFを調節する。差圧メーターから、圧力差(PI)をインチW.C.で記録し、cmW.C.に換算する。
4.以下の等式を使用して、吸入器の流れ抵抗を計算する
流れ抵抗=平方根 (圧力[cmW.C.])/流量[L/分]
=平方根 (P1×2.54*)/流量
=cmH2O1/2・(L/分)-1
*インチからセンチメートルへの換算;1インチ=2.54cm
実施例3:臭化グリコピロニウムとホルモテロールフマル酸塩の製剤
臭化グリコピロニウム製剤:微粒子化臭化グリコピロニウム(GB)を、吸入グレードのラクトース(RESPITOSE(登録商標)ML001、DFE Pharma)と、原薬とをブレンドすることによって、吸入用のドライパウダーとして製剤化した。強度の範囲は、約5mcg[低](0.25% w/wのGB)〜約30mcg[高](1.5% w/wのGB)である。
ホルモテロールフマル酸塩(FF)製剤:微粒子化FF二水和物を、吸入グレードのラクトース(RESPITOSE(登録商標)ML001、DFE Pharma)と、原薬とをブレンドすることによって、吸入用のドライパウダーとして製剤化した。強度の範囲は、約5mcg[低](0.26% w/wのFF二水和物)、約10mcg[中](0.52% w/wのFF二水和物)、及び約12mcg[高](0.62% w/wのFF二水和物)である。
臭化グリコピロニウム-ホルモテロールフマル酸塩の組み合わせ:微粒子化GBとFF二水和物を、吸入グレードのラクトース(RESPITOSE(登録商標)ML001、DFE Pharma)と、原薬とをブレンドすることによって、吸入用のドライパウダーとして製剤化した。強度は、単独療法の製剤のために上に示した値と同様である。
活性剤のブレンドを、アルミニウム-ポリマーのラミネートからなるブリスターストリップに、目的とする投与量範囲(表1に表す)となるように充填した。目的送達量とは、吸入器のマウスピースから出ていくGBとFF二水和物の量(マイクログラム)を指す。ブリスターストリップは、32個の充填されたブリスターポケットを含む。
実施例4:ピエゾ駆動スキーム
ホルモテロールフマル酸塩(FF)製剤:微粒子化FF二水和物を、吸入グレードのラクトース(RESPITOSE(登録商標)ML001、DFE Pharma)と、原薬とをブレンドすることによって、吸入用のドライパウダーとして製剤化した。駆動スキーム研究のために使用された製剤は、約12mcgFF(0.62% w/wのFF二水和物)を含み、残りはラクトースであった。目的送達量は約10mcgであった。
図44のグラフは、吸入器の様々なピエゾ駆動スキームを示す。100/300/500ms、100/400/500ms、及び500/500/500msの駆動スキームについて、その3つの数値は、3回のバーストについての、バーストあたりのミリ秒(ms)の数値を表す。それらの最初の3回のバースト後のバーストは、それぞれ、500msであった(すなわち、それらの例の4〜8回目のバーストは、それぞれ500msである)。図44のグラフにおける「現在の駆動スキーム」とは、100msの4回のバーストと、それに続く300msの4回のバーストを含む駆動スキームを指す。
全ての投与スキームについて、全体の投与量は、8回のバースト後には送達され、少なくとも4mcgの薬剤が、最初のバーストで送達された。図44に示すように、いくつかの例では、全体の投与量は、4バースト、5バースト、6バースト、又は7バースト後に送達された。100/300/500ms、100/400/500ms、及び500/500/500msの駆動スキームの場合、全体の投与量又はほぼ全体の投与量は、4又は5回のバースト後に送達された。500/500/500msの駆動スキームの場合、少なくとも8mcgの薬剤が、最初のバーストで送達され、全体の投与量は、4バースト後に送達された。
実施例5:グリコピロレート及びホルモテロールを使用する、周期的な吸入器のための駆動スキーム
駆動スキームが、グリコピロレート及びホルモテロールの送達のために使用された。「対照」投与スキームによれば、ユーザーへの粉末送達を達成するために、ピエゾは、8回のバーストの間作動される(100msの4回のバーストと、それに続く300msの4回のバースト)。単一の使用セッションを完了するために、呼吸確認のために必要とされる最初の2回の呼吸と投与量推進とを併せて、10回の呼吸が必要とされる。容認できるエアロゾルパフォーマンスを維持しながら、呼吸の数を減らすことができるかどうかを判定するために、修正駆動スキームをプログラムしたベースユニット(4回のバーストのために500msのピエゾパルス長を有し、呼吸確認のために必要とされる最初の2回の呼吸と投与量推進とを併せると、呼吸は合計6回)が、最初の投与のソフトウェア(合計10呼吸)をプログラムした対照ベースユニットと平行して、試験された。
NGIによるAPSDのための報告要件:
1.±0.001μgでの、沈着量の報告
2.周期的な吸入器/投与量のために、派生送達量(DDD:derived delivered dose)を有効数字3桁まで計算する
3.エアロゾル粒度分布(FPFを計算するために、投与量あたりのDDD値を使用する)
a.FPD≦5.0μm:±0.01μまで
b.%FPF≦5.0μm:±1%まで
c.MMADとGSDを、±0.1μmまで報告
d.全体的なNGIプロファイルを報告(咽頭〜MOC、平均及びSD)
2つの強度の臭化グリコピロニウム(GPB)(すなわち5mcgと30mcg)を含むカートリッジを、各ベースユニットを使用して、送達量均一性(DDU、n=10)、及び空気力学的粒度分布(APSD)(n=3)のために試験した(ネクストジェネレーションインパクター:NGIを使用)。以下の表2及び3に示されるように、対照及び500ms(4バースト)の駆動スキームを有する5mcgのGPBカートリッジから得られた送達量及びAPSDの結果は類似しており、これは、500ms駆動スキームが完全な投与量を送達するために使用でき、APSDは駆動スキームの変更によって影響を受けないことを示した。
送達のロバスト性は、幅広い範囲の駆動スキームにわたって、75%〜125%又は80%〜120%の平均送達量の範囲内の投与量送達を可能にし、ここで、駆動スキームは、バーストの数(例えば、4〜8バースト)、バーストあたりの活性化時間(例えば、100ms〜500ms)によって変わる。装置は、駆動スキームにわたって、実質的に一貫したAPSDも維持し、ここで、MMADは一貫して、6μm(ミクロン)以下、又は5μm以下、又は4μm以下、又は3.75μm以下、又は3.5μm以下、又は3.0μm以下である。
以下の表4及び5に示されるように、500ms(4バースト)の駆動スキームを有する30mcgのGPBカートリッジから得られた送達量及びAPSDの結果は、対照と比較して、エアロゾルパフォーマンスの増加を示した。これらのデータは、500msの駆動スキームが、同等のAPSDにて、完全な投与量を送達するために使用できることを示す。
2つの強度のホルモテロールフマル酸塩二水和物(FED)(すなわち、5mcgと12mcg)を含むカートリッジを、各ベースユニットを使用して、送達量均一性(DDU、n=10)、及び空気力学的粒度分布(APSD)(n=3)のために試験した(ネクストジェネレーションインパクター:NGIを使用)。以下の表6及び7に示されるように、送達量均一性データは、対照及び500msの駆動スキームを有する5mcgのFFDカートリッジにおいて、類似していた。APSDデータは、対照データと比較して、500msの駆動スキームによる派生送達量、FPD、及びFPFでわずかな増加を示した。2つの駆動スキーム間で、MMADに差は無かった。
以下の表8及び9に示すように、送達量均一性及びAPSDは、対照と500msの駆動スキームを有する12mcgのFFDカートリッジで類似していた。
実施例6:流量分析
周期的な吸入器のエアロゾルパフォーマンスを以下の呼気流量:15L/分(LPM)、30L/分、60L/分及び90L/分で試験した。5マイクログラム(mcg)のエアロゾルパフォーマンスは、ホルモテロールフマル酸塩二水和物(FF)を使用して、送達量均一性(DDU)と空気力学的粒度分布(APSD)によって測定した。微粒子化FF二水和物を、吸入グレードのラクトース(RESPITOSE(登録商標)ML001、DFE Pharma)と、原薬(0.26%w/wのFF二水和物)とをブレンドすることによって、吸入用のドライパウダーとして製剤化した。駆動スキームは、合計8回のピエゾ活性化(バースト):100msの4回のバーストと、それに続く300msの4回のバーストを含んだ。結果を、図45A〜Cと、以下の表10及び11に示す。送達量の増加が、上記30L/分の流量で観察された;しかしながら、装置は、4つの流量にわたって、±20%の平均送達量均一性(すなわち、目的送達量4mcgの80%〜120%以内)を維持した。MMADは4
ミクロン未満であり、FPFは4つの全ての流量にわたって、30%を超えた。
実施例7:ホルモテロールフマル酸塩を用いた周期的な吸入器についての目的送達量
5μgのホルモテロールフマル酸塩二水和物(FFD)(0.26%(w/w))を用いた周期的な吸入器カートリッジの投与含量均一性(DCU:dose content uniformity)を、189のカートリッジについて、3つのプライミング用量の後、最初の用量を捕集することによって、評価した。以下の表12に示すように、平均送達量は3.99μgであり、RSDは4.0%であった。平均DCUは、目的送達量(4.00μg)の100%であり、その範囲は、目的送達量の86%〜110%である(n=189)。
10μgのホルモテロールフマル酸塩二水和物(FFD)(0.52%(w/w))を有する周期的な吸入器カートリッジの投与含量均一性(DCU)を、32のカートリッジについて評価した。以下の表13に示すように、平均送達量は8.57μgで、RSDは4.0%であった。平均DCUは、目的送達量(8.60μg)の100%であり、その範囲は、目的送達量の91%〜108%であった(n=32)。これらの32のカートリッジのうち、3つのカートリッジについて、その寿命を通じて、送達量均一性(DDU)と空気力学的粒度分布を、ネクストジェネレーションインパクター(NGI)によって試験した。以下の表14及び15に示すように、研究デザインによって規定される全ての許容基準が満たされた。許容基準は、以下を含んだ:投与中にエラー状態(再利用可能なベースアセンブリのLCDに「薬剤交換」と表示される) は存在しない;及び個々の送達量の値は、全体的な平均の±25%以内である。
12μgのホルモテロールフマル酸塩二水和物(FFD)(0.62%(w/w))を有する周期的な吸入器カートリッジの投与含量均一性(DCU)を、197のカートリッジについて、3つのプライミング用量の後、最初の用量を捕集することによって、評価した。以下の表16に示すように、平均送達量は9.32μgであり、RSDは4.5%であった。平均DCUは、目的送達量(9.30μg)の100%であり、その範囲は、目的送達量の87%〜110%である(n=197)。
実施例8:臭化グリコピロニウムを含む周期的な吸入器についての送達量
18μgの臭化グリコピロニウム(0.94%w/w)からなる投与量を含む、周期的な吸入装置を、ネクストジェネレーションインパクター(NGI)を用いて、送達量均一性(DDU)及び空気力学的粒度分布のために試験した。以下の表17に結果を示す。
実施例9:膜物質の比較
表18に示すように、複数の膜物質を、吸入器での使用のために試験した。
膜物質の好ましい仕様は、以下を含んだ:
1.引張強さ=二軸延伸;
2.引張モジュラス <5Gpa (大きい変形);
3.伸び >100%;
4.CTE<100ppm/C;
5.Tg>100℃ (より高いTgは、寸法安定性に対する懸念を減らす)
実施例1に記載したシンセティックジェット試験に従って、複数の厚みのポリカーボネート(PC)膜を、吸入器に組み込んだ際のシンセティックジェット性能について試験した。30,50,75,100及び150μmの厚みを有するサンプルを、ポリカーボネート(PC)膜(LEXAN(登録商標)Sabic SD8B14)で試験した。結果を図46Aに示す(50ミクロン厚で、ピークジェットが発生したことを示す)。
送達量パフォーマンスについても、50μm厚のPC膜及び23μm厚のマイラー(登録商標)813膜を取り付けた投与チャンバで試験した。両方の膜は、投与量送達について類似する結果を有した。結果を図46Bに示す(図中、C305,CM64及びCM65はそれぞれ、異なる膜サンプルを表す)。約50ミクロンの厚みを有するポリカーボネート膜(LEXAN(登録商標)SD8B14)、及び、約23ミクロンの厚みを有するPET膜(マイラー(登録商標)813)が、シンセティックジェットと送達量に関し、最適性能を有した。
実施例10:フェーズIb ホルモテロールフマル酸塩の臨床研究
臨床研究は、単回投与、二重盲検、無作為化、プラセボ及び実対照、5の治療交差、投与量決定試験から有効性評価、薬剤動態、及び安全性(慢性閉塞性肺疾患を有する患者における、周期的な吸入器を使用して投与された吸引ホルモテロールフマル酸塩及びFORADIL(登録商標)AEROLIZER(登録商標)についての)であった。
周期的な吸入器内のドライパウダー製剤の各投与量が、8回の投薬呼吸によって送達された。各投薬呼吸を検出すると、圧電トランスデューサが作動して、合計8回の投薬呼吸の間に、最初の4回の投薬呼吸について100ms間振動し、続く4回の投薬呼吸について300ms間振動した(合計1.6秒)。8回の投薬呼吸に先立って、最初の2回の呼吸が、装置を作動させるための検証呼吸を構成し、その後、ブリスターを投与位置に前進させるための投与量進行呼吸が続いた。
臨床研究の被検者は、マウスピースを口に入れ、あたかも通常の呼吸を行うように周期的な吸入器から吸引を行い(すなわち、速やかで深い呼吸ではなく、周期的な吸入を経る)、その後口からマウスピースを外し、周期的な吸入器の外へ息を吐くよう指示された。被検者は、普通に吸入を行い、周期的な吸入器の外に息を吐くことを、10〜12吸入にわたって繰り返すよう指示された。装置上のインジケータの光は、各吸入が検出されている間は、青に点滅し、投与が完了したとき、緑に点滅した。
FORADIL(登録商標)AEROLIZER(登録商標)は、経口吸入により、ホルモテロールフマル酸塩のドライパウダー製剤を送達する。吸入粉末は、透明の硬ゼラチンカプセルに入っており、各カプセルは、12μgのホルモテロールフマル酸塩と、25mgのラクトース(キャリア)とのドライパウダー混合物を含む。肺に送達される薬剤量は、吸気流速及び吸気時間などのファクターによって決まる。2秒間の、定流量60/分での標準化インビトロ試験において、AEROLIZER吸入器は、マウスピースから10mcgのホルモテロールフマル酸塩を送達する。この送達システムを使用するために、FORADILカプセルを、AEROLIZER吸入器のウェルに入れ、装置側面のボタンを押して離すことによってカプセルに穴を開ける。ホルモテロールフマル酸塩製剤は、患者がマウスピースを通じて急速に且つ深く吸引すると、気流中に分散する。
研究は、10のシークエンス、5の治療、5の期間交差研究であった。期間、治療及び一次キャリーオーバーのバランスをとるために、Williamsデザインを使用した。本明細書に記載の「FFTI」は、周期的な吸入器中のホルモテロールフマル酸塩を指し、「PTI」は、周期的な吸入器中のプラセボを指す。治療は以下を含んだ:治療A:FFTI(5μg); 治療B:FFTI(10μg); 治療C:FFTI(12μg); 治療D:非盲検のFORADIL(登録商標)AEROLIZER(登録商標)(12μg)(1カプセル吸引); 治療E:PTI;
治療期間の間、患者は、投与後24時間までの特定の時点で、連続的な肺活量測定を行った。
患者集団は、40才〜75才までの慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する男性又は女性であった。無作為化:全体で50の完了患者を提供するために、55の患者に、無作為化を計画した(薬剤動態サブセットの15人の患者を含む)。10の治療シークエンスのそれぞれに、5人の患者の無作為抽出を計画した。治療期間は、単回投与であった。
この研究の第一の目的は、FORADIL(登録商標)AEROLIZER(登録商標)に匹敵する有効性を提供するFFTIの投与量を決定することであった。この研究の第二の目的は、FFTI及びFORADIL(登録商標)AEROLIZER(登録商標)による治療後の、安全性と薬剤動態を評価することであった。
有効性の基準は、以下を含んだ:標準ベースライン−調整1秒間強制呼気容量(12時間にわたる曲線下面積:FEV1 AUC0-12);標準ベースライン−調整1秒間強制呼気容量(24時間にわたる曲線下面積:FEV1 AUC0-24);ベースライン−調整トラフ12時間の1秒間強制呼気容量(FEV1);ベースライン−調整トラフ24時間のFEV1;投与前から投与後6時間にわたるFEV1の最大変化;ベースライン−調整12及び24時間の強制呼気流量(強制肺活量(FVC)の25%〜75%の間(FEF25-75));投与前から投与後6時間にわたるFEF25-75の最大変化;ベースライン−調整12及び24時間FVC;及び最大応答までの時間(FEV1、FVC、及びFEF25-75)。
薬剤動態評価項目は、以下を含んだ:薬剤投与研究後、0時点〜0.5時間の血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-0.5);薬剤投与研究後、0時点〜12時間の血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-12);薬剤投与研究後、0時点〜24時間の血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-24);0時点から最後に定量化できた薬物濃度の時点までの血漿中濃度−時間曲線下の最大観察血漿中薬物濃度(Cmax)面積(AUC0-t);0時点〜無限大の血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-∞);最大観察血漿中薬物濃度までの時間(tmax);外挿に起因するAUC0-∞のパーセンテージ(%AUCextrap);及び、見かけの血漿最終排出速度定数(λz)及び関連する見かけの排出半減期(t1/2)。
臨床研究結果:
以下の表19は、FEV1評価項目結果を提供し、表20は、非FEV1評価項目結果を提供する。図47は、治療によるベースラインからのFEV1(mL)の平均変化を示す(投与後12時間の時点まで)。
以下の表21は、薬剤動態評価項目の結果を示す。図47及び48は、24時間にわたる(図48)及び最初の4時間(図49)の治療による、算術平均ホルモテロール血漿中濃度-対-時間プロファイルを示す。
肺機能パラメータ全般に関して、周期的な吸入器を使用して投与されたホルモテロールフマル酸塩10及び12μgは、FORADIL AEROLIZER12μgと同様の有効性を示した。周期的な吸入器を使用して投与された3つの投与量のホルモテロールフマル酸塩の全てに関し、最大FEV1までの時間、最大FVCまでの時間、最大FEF25-75までの時間は、FORADIL AEROLIZER12μgと比べて、数値的により短かった(約1〜2時間短い)。周期的な吸入器を使用して投与されたホルモテロールフマル酸塩12μgについての、最大FEV1までの時間はより短く、FORADIL AEROLIZER12μgと比べて、その差は統計的に有意であった。
周期的な吸入器を使用したホルモテロールフマル酸塩の投与後、各投与量についての、ホルモテロール平均血漿中濃度-対-時間プロファイルは、急速な吸収期とそれに続く双指数関数的な排出期を特徴とした。平均血漿ホルモテロール濃度は、周期的な吸入器を使用すると、用量の増加に伴って増加した。中央値tmaxは、周期的な吸入器を使用して投与された5〜12μgの用量にわたって0.167時間であり、FORADIL AEROLIZER12μgを使用した中央値tmax (0.983時間)より早く生じた。
ホルモテロールの平均t1/2は、周期的な吸入器を使用した投与量範囲にわたって類似しており(範囲:7.6〜8.8時間)、FORADIL AEROLIZERを使用したホルモテロールt1/2 (7.7時間)に匹敵した。ホルモテロールのCL/F及びVz/Fの両方が、周期的な吸入器を使用した全ての投与量レベルにわたっておおむね同等であり、且つ周期的な吸入器とFORADIL AEROLIZER治療群との間でおおむね同等であった。
12μg投与量レベルにて、血漿ホルモテロール暴露(すなわち、AUC0-12、AUC0-t、AUC0-24、及びAUC0-inf)についての幾何LS平均は、FORADIL AEROLIZER治療群と比較して、周期的な吸入器治療群で、約1.4〜1.5倍高かった。しかしながら、周期的な吸入器を使用して投与された10μg投与量は、幾何LS平均の比が1.1〜1.2であり、FORADIL AEROLIZER12μgと同等のホルモテロールAUC暴露を生じた。ホルモテロールAUC0-0.5の幾何LS平均は、FORADIL AEROLIZER12μgと比較して、10及び12μgの周期的な吸入器治療群で、それぞれ2.0倍及び2.6倍高く、FORADIL AEROLIZERを使用した場合のホルモテロールの遅い吸収を反映した。ピークのホルモテロール暴露(Cmax)の幾何LS平均は、FORADIL AEROLIZER12μgと比較して、10及び12μgの周期的な吸入器治療群で、それぞれ1.6倍及び2.3倍高かった。
臨床研究の結論:
承認済みの活性比較基準であるFORADIL AEROLIZERを含む全ての積極的な治療は、肺機能有効性反応においてプラセボとは解離しており、それゆえ、この研究の分析感度を実証した。周期的な吸入器を使用して投与されたホルモテロールフマル酸塩の10μg投与量は、FORADIL AEROLIZER12μgと非常に近似した有効性を示し、これらの2つの治療の間では、どの有効性パラメータについても、統計的有意差は存在しなかった。周期的な吸入器を使用して投与されたホルモテロールフマル酸塩の12μg投与量は、FORADIL AEROLIZER12μgに対して、統計的有意差を示さない同等の有効性応答を示したが、最大FEV1までの時間は例外であり、これは周期的な吸入器を使用して投与されたホルモテロールフマル酸塩12μgのほうが、有意に早かった。
ホルモテロールフマル酸塩を含む周期的な吸入器(10μg)は、FORADIL AEROLIZER12μgに匹敵する、ホルモテロールAUC暴露(すなわち、AUC0-12、AUC0-24、AUC0-t、及びAUC0-inf)を生じ、その幾何LS平均の比は1.1〜1.2であった。ホルモテロールフマル酸塩を含む周期的な吸入器(10、及び12μg)は、FORADIL AEROLIZER12μgと比べて、統計的に有意に高いCmaxを示した。周期的な吸入器は、tmaxで実証されるように、FORADIL AEROLIZERと比べて、血漿中のホルモテロールのより早い出現をもたらした。
周期的な吸入器を使用したホルモテロールフマル酸塩の5,10及び12μg、及び、FORADIL AEROLIZERを使用したホルモテロールフマル酸塩12μgの単回投与は、今回の研究のCOPD患者において、おおむね安全であり、良好な耐容性を示し、その安全性プロファイルは、吸引ホルモテロールフマル酸塩の従前の研究と一致した。
当業者は、広い発明の概念を逸脱することなく、上に示され、記載されてきた例示的な実施形態への変更が可能であることを理解し得るであろう。それゆえ、本発明は、上に示され、記載されてきた例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定された本発明の精神及び範囲内における修正を含むことを意図していることが理解される。例えば、例示的な実施形態の特定の特徴は、クレームされた発明の一部であるかもしれず、あるいはそうでないかもしれず、開示された様々な特徴が組み合わされてもよい。明らかに逆のことが述べられていないかぎり、任意の例示的な実施形態の選ばれた特徴が、別の実施形態に組み込まれてもよい。「右」「左」「下」及び「上」という語は、参照される図面の方向を指定する。「内側に」及び「外側に」という語は、それぞれ、吸入器の幾何学的中心に向かう方向及び離れる方向を指す。本明細書で特に明記しない限り、「a」「an」及び「the」という用語は、一つの(構成)要素への限定を示すものではなく、「少なくとも1つ」を意味するものとして理解されるべきである。図に示された構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、単にオペレーションを図示するにすぎない。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「有する」及び「含む」という用語は、包括的又は制約がなく、記載されていない更なる構成要素、組成物の成分、又は方法の工程を排除しない。したがって、「有する」及び「含む」という用語は、「本質的に〜のみからなる」及び「のみからなる」といった制限的な用語も包含する。別段の特定がない限り、本明細書に記載の全ての数値は、記載されたエンドポイントに至るまでとエンドポイントとを含み、組成物の構成要素又は成分の値は、組成物中の各成分の重量パーセントで表される。
本発明の図面及び明細書の少なくともいくらかは、本発明の明確な理解に関連する構成要素にフォーカスするために単純化されており、他方、当業者が発明の一部を構成しうると認識するであろう他の構成要素は、明確化の目的のために、削除されていることが、理解されるべきである。しかしながら、そのような構成要素は当分野で周知であり、且つ、それらは必ずしも発明のよりよい理解を促進しないので、そのような構成要素の記載は、本明細書では提供されない。
さらに、本発明の方法が、本明細書に述べられた特定の工程順序に依存するものでない限り、その特定の工程順序は、特許請求の範囲への限定と解釈されるべきではない。本発明の方法に係る請求項は、書かれた順序でその工程を行うことに限定されるべきではなく、当業者は、この工程が変更されても、本発明の精神及び範囲内になお留まることを容易に認識することができる。