JP2019528484A - 人の色覚を改善する光学素子 - Google Patents

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Abstract

人間の色覚を改善する、システム、光学素子の製作方法、および素子が開示される。このシステム、光学素子の製作方法、および素子は、基板と、基板上に設けられた複数の薄膜層と、複数の薄膜層に塗布された複数の着色剤と、を備えて、複数の薄膜層は、各々がそれぞれ固有の屈折率を有する複数の選択した材料に基づいて薄膜固有反射スペクトルを形生する材料を含み、複数の着色剤層は少なくとも一つの着色剤を含んで、着色剤は選択した濃度によって定義される着色剤固有の吸収スペクトルに基づいて作成される。【選択図】図1

Description

本出願は、各々が発明者としてキーナン・ヴァレンタインを挙げている、2016年8月30日に発明の名称「人の色覚を改善する光学素子、その設計方法、透過スペクトルおよび明度評価の方法」として提出された中国特許出願第201610758199.3号、2016年8月30日に発明の名称「人の色覚を最適化する光学素子の透過スペクトルのモデル」として提出された中国特許出願第201620978769.5号、2016年8月30日に発明の名称「着色剤をベースとする光学素子のモデルと、人工知能を用いたその設計方法」として提出された中国特許出願第201610756979.4号、2016年8月30日に発明の名称「着色剤をベースとする光学素子のモデルと、人工知能を用いたその設計方法」として提出された中国特許出願第201610756979.4号、2016年8月30日に発明の名称「着色剤を活性成分として用いる光学素子のモデル」として提出された中国特許出願第201620980335.9号、2016年8月30日に発明の名称「色覚を高めて色覚異常を矯正する人工知能光学素子およびその設計方法」として提出された中国特許出願第201610761687.X号、および2016年8月30日に発明の名称「青・黄の色覚異常を矯正する光学素子のモデルおよびその設計方法」として提出された中国特許出願第201610761686.5号からの優先権の利益を主張するものであって、各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、人の色覚を改善するための光学素子に関し、より具体的には、人の色覚を改善する、システム、光学素子の製作方法、および素子を提供する。
遺伝性および後天性の色覚異常(CVD)は、現在は眼科業界が一般的にうまく解決できていない人の色覚の欠陥である。単純な赤みを帯びた、または同様に色付けされたレンズが製造され販売されてきた。そのような解決策は、色相を歪ませることによって、知覚される色のコントラストを作り出すが、それらの色相はCVDの個々人が区別することのできる色相と混同するので、その人を混乱させる可能性がある。この種の製品は、CVDの人が元の色を知覚する助けにならないので、一般的に満足のいくものではない。
他の種類のレンズは、CVDの人がこれらの色をよりよく区別できるようにしようとして、混同しやすい色の彩色度を上げることによって効果を発揮する。これらのレンズの有効性は上記の解決策ほど高くはない。
レンズによるこの種の解決策に使用されてきた伝統的な設計方法および製造方法の故に、性能特性は制限されたものである。さらに、レンズによるこれらの解決策は、異なる種類の照明および色覚条件下でも実質的に不変のまたは抑制可能に変化する性能特性を有するようには設計されていない。
また、黄色に着色された人の天然水晶体または黄色の眼内レンズ(IOL)による黄色色覚(YCV)は、色知覚の歪みを引き起こす。しかし、現在の眼の解決策は、YCV用の色補正レンズの使用に対処していない。
したがって、これらの、および他の視覚問題に対するより質の高い解決策が必要とされている。
人の色覚を改善する、システム、光学素子の製作方法、および素子が開示される。このシステム、光学素子の製作方法、および素子は、基板と、前記基板上に設けられた複数の薄膜層と、前記複数の薄膜層に塗布された複数の着色剤層と、を備えて、前記複数の薄膜層は、各々がそれぞれ固有の屈折率を有する複数の選択した材料に基づいて薄膜固有反射スペクトルを生成する材料を含み、前記複数の着色剤層は少なくとも一つの着色剤を含んで、前記着色剤は選択した濃度によって決まる着色剤固有の吸収スペクトルに基づいて作成される。
前記光学素子の製作方法は、複数の着色剤を選択することによって着色剤固有の吸収スペクトルを作製することと、選択した前記複数の着色剤の濃度を作って前記着色剤を含む一つ以上の層を作成することと、各々がそれぞれ固有の屈折率を有する複数の材料を選択することによって薄膜固有反射スペクトルを生成することと、前記薄膜中の層の数を選択することと、各薄膜層を形成することと、前記着色剤および形成された前記薄膜層を含む一つ以上の形成された層を備える光学素子を構成することと、を含む。
添付の図面を使用し例として述べる以下の説明から、より詳細な理解が得られよう。図面の内容を次に示す。
人の視覚を改善するための光学素子の断面図である。 着色剤および/または薄膜を使用することによって所望の透過スペクトルを達成するように図1の光学素子を製作する方法を示す図である。 最小透過制約を満たしCPI目標を達成する、図1の光学素子の透過スペクトルの設計方法を示す図である。 正午の昼光照明条件でCIE D65光源を用いた三つの色域をプロットした図である。 図4で使用した光学素子についてCIE F2光源を用いた三つの色域をプロットした図である。 赤緑CVD矯正用の追加の透過スペクトル例を示す図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図7の透過率プロットによって示される素子の製造工程を示す図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図9の透過率プロットによって示される素子の製造工程を示す図である。 本発明の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図11の透過率プロットによって示される素子の製造工程を示す図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図13の透過率プロットによって示された素子の製造工程を示す図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図15の透過率プロットによって示される素子の製造工程を示す図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図17の透過率プロットによって示された素子の製造工程を示す図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図1の素子の構成について透過スペクトル対波長をプロットした図である。 図21の透過率プロットによって示された素子の製造工程を示す図である。 最小透過制約を満たすと同時に、黄色色覚(YCV)の矯正を適用するために割り当てられた検索繰り返し回数または所定の時間内にCPI目標を達成するかまたは最良のCPIを達成する光学素子の透過スペクトルを見つける方法を示す図である。 天然の黄変水晶体レンズまたは同様に黄変した眼内レンズ(IOL)の透過スペクトルを、YCVを矯正するために使用される光学素子の透過スペクトルと共に示した図である。 存在する色覚域を示す図である。 本発明の構成について透過率対波長をプロットした図である。 眼に対する眼鏡レンズの幾何学的形状を示す図である。 RVFの断面図を示す図である。 RVFの層iの光学的または物理的な厚さyを、視中心からの径方向距離xの関数として、公式化するための断面図を示す図であって、yoは光学素子の視中心におけるRVFの層iの光学的または物理的な厚さである。 本明細書で説明される光学素子について、RVFの一つ以上の層の光学的または物理的な厚さ形状の複数の例を視中心からの径方向距離の関数として示す図である。 E=1.2(光学素子から眼までの距離)、およびds1=ds2=0の構成について、光学素子上の視中心からの径方向距離xとAOIとの間の直接関係が厳密に相関して増加するものであることを示す図である。 RVFとしての7層構造の透過スペクトルを様々なAOIで示す図である。 RVFの構成について達成された色域を示す図である。
以下の説明では、本実施形態を完全に理解できるように、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理工程、および技法など、多数の具体的な項目を詳細に説明する。しかし、当業者であれば、各実施形態はこれらの具体的な詳細がなくても実施できる場合があることが理解できるであろう。他の例では、各実施形態が不明瞭になることを避けるために、周知の構造または処理工程については詳細に説明していない。層、領域、または基板などの要素が別の要素の「上」または「上方」にあると言うとき、当該要素は他の要素の真上に存在するか、または介在する要素も同様に存在してもよいことが理解できるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の「直上に」または「直接上方に」あると言うとき、介在する要素は存在しない。また、ある要素が別の要素の「真下に」、「下方に」、または「下に」あると言うとき、当該要素は他の要素の真下または下に存在するか、または介在する要素が存在してもよいことが理解できるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の「すぐ下に」または「真下に」にあると言うとき、介在する要素は存在しない。
以下の詳細な説明において実施形態が提示する内容を曖昧にしないために、当技術分野で知られるいくつかの構造、構成要素、材料、寸法、処理工程、および技法を提示したり例示したりする目的で組み合わせる場合があるし、場合によっては詳細に説明しないかもしれない。他の例では、当技術分野で知られるいくつかの構造、構成要素、材料、寸法、処理工程、および技法は、まったく説明しない場合がある。以下の説明は、むしろ、本明細書で説明する様々な実施形態の独特の特徴または要素に焦点を当てていることを理解されたい。
本明細書に説明されているのは、人の色覚を高め、色覚異常(CVD)および黄色色覚(YCV)を矯正する吸収性着色剤および/または反射性薄膜を使用した光学素子の様々な設計および構成である。これらの光学素子によって、メタメリズム、すなわち色ずれを抑制しながら上記の効果を達成する透過スペクトルが提供される。メタメリズムは、素子の性能と、朝、昼、および午後の昼光、蛍光灯、および発光ダイオード(LED)照明のような様々な照明による外観的善し悪しと、に影響を与える。また、各光学素子によって、黄変天然水晶体レンズまたは黄色眼内レンズ(IOL)などに起因するYCVを矯正および/または低減する適切な透過スペクトルが提供される。さらに、上記の影響を結び付けて、光源の可変入射角(AOI)による素子性能の変動を低減する径方向可変フィルタ(RVF)も説明する。光学素子の設計および構成の提供方法も説明する。
本発明は、正常な人の色覚を高め、赤・緑および青・黄の色覚異常(CVD)を矯正し、黄色色覚(YCV)を矯正する所望の透過スペクトルを有する光学素子および光学素子の構成方法を提供するものである。このような光学素子の目標透過スペクトルは、赤・緑の色覚分離と、青・黄の色覚分離と、メタメリズム抑制と、を含む一組の比色性能指標(CPI)を繰り返して作製することによって完成する。メタメリズム抑制には、各光学素子の外観的要素である白色点(WP)の色相と、光学素子の中性点からのWPシフト(WPS)と、異なる照明条件下で異なる視覚を有する観察者によって評価された各素子の明度変化と、を制限することが含まれる。
本発明は、(1)赤・緑の色覚障害(CVD)を矯正するために赤・緑の色分離を増大させるのに適するように作製された透過スペクトルを有する光学素子、(2)青・黄CVDを矯正するために青・黄の色分離を増大させるのに適するように作製された透過スペクトルを有する別の光学素子、(3)人の黄変した色覚を中間色またはほぼ中間色の白色点(WP)に矯正するのに適するように作製された透過スペクトルを有する別の光学素子、の設計および製造について説明するものである。中間色とは、白とモノクロ階調を体現している。本明細書で説明する光学素子はまた、所望の明度レベル、無着色を含む外観上の着色、を有し、他のスペクトル・比色性能特性の間のメタメリズムを抑制できるように設計および製作されてもよい。光学素子は、レンズ、眼鏡(glasses)、サングラス、眼鏡(spectacles)、コンタクトレンズ、光学フィルタ、ディスプレイ、フロントガラス、眼内レンズ、窓および透過に適した他の任意の光学または眼科材料、および/または光を変える他の形態であってもよい。光学素子は、任意の光学倍率、曲率または光学素子用に設計された他の特性を有してもよい。
透過スペクトルが目標の透過スペクトルに最も近く一致するように光学素子を製作することには、(1)対応するモル吸光スペクトルを有する着色剤を選択することによって着色剤固有の吸収スペクトルを作製し、選択した着色剤の各々ごとに濃度を作り、色素の各濃度を含む厚さを有する一つ以上の層または基板全体を作成すること、および/または、(2)材料およびそれらの屈折率を選択することによって薄膜固有の反射率スペクトルを作製し、薄膜の層数を選択し、交互積層順序などの材料積層順序を選択し 、各薄膜層の光学的または物理的厚さを開発することと、(3)吸収性着色剤および反射性薄膜層からの透過スペクトルを組み合わせることによって光学素子の全体透過スペクトルを作製することと、(4)作製透過スペクトルが目標透過スペクトルに到達した場合、または最大許容繰り返し回数に達するか事前定義されたある繰り返し回数後に(作製透過スペクトルと目標透過スペクトルとの間で)スペクトルの不一致に変化がない場合、または一つ以上の他の停止基準に達した場合に繰り返しを終了して結果を格納することと、が含まれる。結果として得られる光学素子の製作内容は、目標透過スペクトルに最も近く一致する、光学素子の作製透過スペクトルと、着色剤の選択と、着色剤層または基板全体の厚さと、着色剤濃度と、それらの屈折率を有する薄膜材料と、薄膜層の光学的または物理的な厚さと、薄膜層の総数と、層の積層順序と、によって構成され、(4)の停止基準に達していない場合は、光学素子の目標透過スペクトルを達成するために着色剤および/または薄膜作成を繰り返し続ける。
光学素子の目標透過スペクトルを作製するための具体的な処理は、一つ以上の光源を作成することと、カラーマッチング関数を作成することと、色強調のためのカラースペクトルを作製することと、CVD矯正および/または黄変色覚矯正を評価することと、色空間を作成することと、最小透過要件を満たす光学素子のための透過スペクトルを作製することと、赤・緑の色分離および/または青・黄の色分離のCPIと、光学素子の明度と、光源の白色点シフトと、メタメリズム量と、色のスペクトルの彩度値と、を評価することと、CPI目標が達成されるか、新しい透過スペクトルの最大繰り返し回数に達するか、何回か繰り返してもCPIに変化がないか、他の停止基準に達するか、した場合、繰り返しを終了し、380nmから780nmまでの光学素子の最良出力透過スペクトルを保存することと、から構成される。しかし、停止基準のいずれにも達していない場合には、光学素子の別の透過スペクトルについて繰り返し処理を続ける。一連の人工知能による方法を用いて、380nmから780nmの間の波長におけるナノメートルごとに、色強調、CVD矯正、および/または黄変色覚矯正用途のための光学素子の透過スペクトルを見つける繰り返し処理を行う。
最後に、特定の種類の薄膜層作成物としての径方向可変フィルタ(RVF)の設計と作成について開示する。本発明の用途では光学素子の透過スペクトルは異なる入射角(AOI)の下でできるだけ不変であるべきなので、RVFは、可変AOLから生じる波長シフトを含む、薄膜層(FC)の透過スペクトルの変化を減少または排除する解決策である。
光源は、光の透過を可能にするために主に使用される透明または半透明の光学体とは見なされない任意の発光源または発光媒体である。光源には、太陽または人工照明などの一次光源、および/または反射面などの二次光源、および/または蛍光着色剤などのさらに別の光源が含まれる。本明細書で説明する光学素子は、そのような媒体そのものの、人工的な、合成した、シミュレートした、混合した組合わせを含む表面や本体などの、反射媒体からの反射スペクトルを使用してもよい。また、この光学素子は、そのような媒体そのものの、人工的な、合成した、シミュレートした、混合した組合せを含む表面や本体などの、蛍光媒体、例えば、蛍光染料でコーティングされた服からの蛍光スペクトルを使用してもよい。この光学素子は、様々な光源のスペクトルパワー分布(SPD)、例えば、CIE(国際照明委員会)標準光源D55, D65, D75,F2,F7,F11および発光ダイオード(LED)用のLシリーズを利用してもよい。混合光源は、複数の光源を用いる環境に適している場合がある。本発明は、複数の光源を混合光源(BI)に組み合わせる複数の手法について説明する。一例を式1に示す。
[数式1]
Figure 2019528484
BIを形成する別の例を式2に提供する。
[数式2]
Figure 2019528484
光学素子は、CIE1931色空間、CIE1964色空間、およびCIE1976色空間のような色空間を、色覚を定量化する基礎として使用してもよい。色知覚は、人の色知覚錐体視細胞上への透過光の異なる波長に対する対象観察者の色応答によって測定される。人の三色色覚の反応は、カラーマッチング関数(CMF)を用いて定量化され、CIE1931 2°の光で標準観察者(通常の色覚を有する)の場合、L−錐体でのCMFのピーク感度は599nmで発生し、 M−錐体では555nmで発生し、S−錐体では446nmで発生する。1型色覚の観察者の場合は、M−錐体でのCMFのピーク感度が標準観測者の場合よりも長い波長で、例えば、556nmで発生する。また、1型色覚の観察者の場合のM−錐体のピーク感度の値は、標準観察者の場合の100%以下である。2型色覚の観測者の場合、L−錐体でのCMFのピーク感度は、標準観測者の場合よりも短い波長、例えば598nmで発生する。また、2型色覚の観測者の場合のL−錐体のピーク感度の値は、標準観察者の場合の100%以下である。3型色覚の観測者の場合、S−錐体でのCMFのピーク感度は、標準観測者の場合とは異なる波長、例えば447nmまたは445nmで発生する。また、3型色覚の観測者の場合のS−錐体のピーク感度の値は、標準観測者の場合の100%以下である。
Figure 2019528484
Figure 2019528484
赤色と緑色、および、青色と黄色の代表的な反射率スペクトルを用いて、赤・緑の色分離と、青・黄の色分離と、(色相、彩度および明度の知覚からなる)通常の色知覚と、を測定してもよい。例えば、石原式の赤色および緑色の反射率スペクトルは、石原式等色プレート検査における反射率スペクトルを走査することによって得られるし、石原式の青色および黄色の反射率スペクトルについても同様である。赤色と緑色、および、青色と黄色の別の代表的な反射率スペクトルは、マンセル表色系から得られる。赤色の代表的な反射スペクトルは、次のマンセル色の一つ以上から得られる:2.5YR 5/4,7.5R 5/4、2.5R 5/4,5RP 5/4,10P 5/4,10YR 5/4,10R 5/4、10RP 5/4。緑色の代表的な反射率スペクトルは、次のマンセル色の一つ以上から得られる:5BG 5/4、10G 5/4,5G 5/4,10GY 5/4,5GY 5/4,10BG 5/4。青色についての代表的な反射スペクトルは、次のマンセル色の一つ以上から得られる:5B 5/4、10BG 5/4,5BG 5/4,5P 5/4,10B 5/4,10P 5/4,10PB 5/4。黄色の代表的な反射率スペクトルは、次のマンセル色の一つ以上から得られる:10GY 5/4,5GY 5/4,5Y 5/4,10YR 5/4,2.5YR 5/4,10Y 5/4,10YR 5/4。赤色,緑色,青色,および黄色の別の反射率スペクトルは、葉、花、および木などの自然色の反射率走査から得られる。
選択した色および白色点(WP)の色空間座標を評価目的で決定する処理においては、三刺激値を使用してもよい。色空間座標を用いて、色分離などの比色性能指標(CPI)を評価してもよい。三刺激値は、式3〜式6を使用して決定してもよい。
[数式3]
Figure 2019528484
[数式4]
Figure 2019528484
[数式5]
Figure 2019528484
[数式6]
Figure 2019528484
光源は、CIE D65標準光源、CIE D55標準光源、CIE D75標準光源、CIE F2標準光源、CIE F7標準光源、CIE F11標準光源、CIE LシリーズLED標準光源、CIE D65標準光源のSPDの20%をCIE F7のSPDの80%に加えることによって得られる混合光源であって昼光と蛍光灯で照らされた室内空間の代用光源、CIE F11のSPDの20%をCIE D55標準光源のSPDの80%に加えることによって得られる混合光源であって昼光と蛍光灯で照らされた室内空間の二番目の代用光源、CIE D75標準光源のSPDの50%をCIE F11標準光源のSPDの50%に加えることによって得られる混合光源であって昼光と蛍光灯で照らされた室内空間の代用光源、CIE D75標準光源のSPDの50%をCIE LシリーズLEDのSPDの50%に加えることによって得られる混合光源であって昼光とLEDで照らされた室内空間の代用光源、CIE D65標準光源のSPDの50%をCIE D55標準光源のSPDの50%に加えることによって得られる混合光源であって標準昼光源の代用光源、であってもよい。
色空間は、色を配置し、色分離、白色点(WP)、明度、および様々な実用的なケースでのメタメリズムなどの重要な比色性能指標(CPI)を評価するために作成された有名なツールである。色配置に影響を与えるパラメータには、光源、評価色の反射スペクトル、CMF、光学素子の透過スペクトル、および特定の種類の色空間自体が含まれる。サンプル光源、CMF、評価色の反射率スペクトルは、上記の通りである。CIEの典型的な色空間は、xyY、XYZ、LUV、LAB、Hunterなどで他にも多くある。しかし、最も有用な色空間は知覚的均等性を有する。
Figure 2019528484
[数式7]
Figure 2019528484
[数式8]
Figure 2019528484
赤緑の色分離は、本明細書で説明する光学素子が達成するための目標比色性能指標(CPI)である。実際、赤・緑の色分離が大きいほど、赤と緑の間の彩度、色相、および/または明度の差が大きくなるため、赤・緑CVDの人は、赤色、緑色、およびそれらの派生色をより正確に区別することができる。赤色iと緑色jとの間の色分離は、式9のように定式化できる。
[数式9]
Figure 2019528484
赤色と緑色は、マンセルの赤色と緑色でもよい。
M(λ)は任意の選択した色のスペクトルアドミタンスなので、色<u、v>の色空間座標はスペクトルアドミタンスに依存し、したがって、光源または混合光源、および光学素子の透過スペクトルによって変化する。したがって、赤・緑の色分離は、光学素子の作製透過率によって変化する。透過スペクトルが異なれば、赤緑の色分離が異なって生成されてもよい。
赤色および緑色を評価する場合には常に赤・緑の色分離を評価するので、光学素子の透過スペクトルの設計・作製例と、赤・緑の色分離の達成に対応する作製例と、について説明する。赤・緑の色分離率は式10で表される。
[数式10]
Figure 2019528484
ここで、<u*, v*>および<u+, v+>は、それぞれ光学素子の使用有無の場合の色空間座標を表す。
色分離率は重要なCPIであり、少なくても10%としてもよい。CIE LAB色空間を用い、「u」を置換する「a」と、「v」を置換する「b」と、を使用する公式で、赤・緑の色分離率を決定してもよい。また、CIE xyY色空間を用い、「u」を置換する「x」と、「v」を置換する「y」を使用する公式で、赤・緑の色分離率を決定してもよい。
青・黄の色分離は、本明細書で説明する光学素子にとって別の目標CPIである。青・黄の色分離が大きいほど、青と黄の間の彩度、色相、および/または明度の差が大きくなるため、青・黄CVDの人は、青色と黄色をより正確に区別することができる。青色iと黄色jの間の色分離は式11のように定式化される。
[数式11]
Figure 2019528484
青色と黄色は、マンセルの青色と黄色でもよい。
赤・緑の色分離の場合のように、青・黄色の色分離は、光学素子の設計された透過率によって変わる。光学素子を利用する際に、透過スペクトルが異なれば、異なる青・黄の色分離を生じさせる可能性がある。
青色および黄色を評価する場合には常に青・黄の色分離を評価するので、光学素子の透過スペクトルの設計・作製例と、青・黄の色分離の達成に対応する作製例と、について説明する。
青・黄の色分離率は、式12のように定式化される。
[数式12]
Figure 2019528484
ここで、<u*, v*>および<u+, v+>は、それぞれ光学素子の使用有無の場合の色空間座標を表す。
色分離%は重要なCPIであり、少なくても1%であってもよい。CIE LAB色空間を用い、「u」を置換する「a」と、「v」を置換する「b」と、を使用する公式で、青・黄の色分離%を決定してもよい。また、CIE xyY色空間を用い、「u」を置換する「x」と、「v」を置換する「y」と、を使用する公式で、青・黄の色分離%を決定してもよい。
Figure 2019528484
[数式13]
Figure 2019528484
光学素子の外観的要素であるWPSは、式14で評価される。
[数式14]
Figure 2019528484
CIE LAB色空間を使用し、「u」を置換する「a」と、「v」を置換する「b」と、を使用する公式でWPSを決定してもよい。CIE xyY色空間を使用し、「u」を置換する「x」と、「v」を置換する「y」と、を使用する公式でWPSを決定してもよい。
メタメリズムは、素子の外観上の要素と、正常な人、2型色覚の人、1型色覚の人、および3型色覚の人を含む観察者の色覚と、の両方を対象とし、様々な照明条件下で観察される、光学素子または光学システムの透過スペクトルに対応する、一組の明度、WP色相、およびWPS値である。メタメリズムを抑制するには、明度、WP色相、および制限すべきWPS値の設定を行う必要がある。光学素子のメタメリズム(色ずれ)を評価するために、光学素子のWPSは、単一のCIE標準光源D55、D65、D75、F2、F7、F11、Lシリーズ、および/またはこれらの標準光源の任意の組合せによる混合光源を用いて、個別に評価される。WPの色相と明度を記録してもよい。メタメリズムは、評価済みの単一光源または混合光源の下での光学素子のWPS集合と、それらに付随するWP色相と、に関する任意の統計値として定義することができる。このような統計値には、平均、中間値、最頻値、最大値、最小値、および範囲を含めることができる。
彩度は特定の色相の彩色度であり、光学素子の有無にかかわらず、WPと対照させた色を評価するために使用される。赤、緑、青、および黄色からなる原色目標と、紫、青緑色、褐色、オレンジおよびピンクを含む派生色目標と、は式15を用いて評価され、それらの彩度の値が決まる。
[数式15]
Figure 2019528484
彩度変化率は、式16を使用して評価される。

[数式16]
Figure 2019528484
ここで、<u*, v*>および<u+, v+>は、それぞれ光学素子の使用有無の場合の色空間座標を表す。彩度変化率は重要なCPIであり、少なくとも1%である。CIE LAB色空間を使用し、「u」を置換する「a」と、「v」を置換する「b」と、を使用する公式で、光学素子の彩度変化率を決定してもよい。CIE xyY色空間を使用し、「u」を置き換える「x」と、「v」を置き換えるために「y」と、を使用する公式で、光学素子の彩度変化率を決定してもよい。
光学素子の明るさが重要なCPIであってもよい。明度は、式17〜19によって定義してもよい。
[数式17]
Figure 2019528484
[数式18]
Figure 2019528484
[数式19]
Figure 2019528484
Figure 2019528484
図1は、人の視覚を改善するための光学素子100の断面図を示している。この光学素子は、基板110と、基板110上に設けられた複数の薄膜層130と、複数の薄膜層130に塗布された複数の着色剤層120と、を含む。複数の薄膜層130は、本明細書で説明するように各々が固有の屈折率を有する、選択した複数の材料に基づいて薄膜固有の反射率スペクトルを作製する材料を含む。複数の着色剤層120は少なくとも一つの着色剤を含み、着色剤は選択した濃度によって決まる着色剤固有の吸収スペクトルに基づいて作られる。
染料および顔料のような着色剤を使用して所望の波長の入射光を吸収し、それによって光学素子の透過スペクトルに所望の阻止帯域および通過帯域を作製してもよい。着色剤は、ポリカーボネート、PMMA、CR ? 39、Trivexまたは他の材料などの光学基材と一つの層に混合して注入してもよい。また、着色剤は、ポリカーボネート、PMMA、CR ? 39、Trivexまたは他の材料などの光学基材と二つ以上の層に混合して注入してもよい。着色剤は、浸漬、噴霧、紡糸、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、任意の他のコーティング方法、またはこれらの組合せによって光学基材上にコーティングしてもよい。このようなコーティング方法を素子に適用する際は、屈折力が発生する用途の場合のように、厚さの変動を伴っても伴わなくてもよい。着色剤の部分集合を様々な層で光学基材と混合して注入してもよく、それらを組み合わせて単一の光学系または単一の光学基材を作れば、当該光学系の有効透過スペクトルで所望の阻止帯域および通過帯域を生じさせることができる。このような構成は、光学系の各層に染料を有してもよいし、いくつかの層には染料を有するが他の層は染料を有さなくてもよい。着色剤を光学素子の中または上に組み込んで、混合、基材への注入、基材へのコーティング、および基材への積層の任意の組合わせによって所望の透過スペクトルを作製してもよい。着色剤は、光学素子の表面、または当該素子内の一つ以上の光学層の表面にコーティングしてもよい。これら着色剤コーティングの各々の物理的厚さは、これらの染料の濃度を変えることによって光学素子の所望の全体透過スペクトルが生じるような任意の距離測定値、例えば20mm未満とすることができる。
干渉フィルムのような薄膜を光学基板の表面上にコーティングすることによって、所望の波長の入射光を反射し、それによって光学素子の透過スペクトルに所望の阻止帯域および通過帯域を生じさせてもよい。この薄膜を、光学素子の表面上にコーティングされた高屈折率および低屈折率の交互の層で形成して、所望の波長を反射してもよい。所望の透過スペクトルは、着色剤と薄膜とを組み合わせた、透過スペクトルに対するこれらの効果が望ましくなるように、これらの組合せによって作製してもよい。一つ以上の干渉薄膜を光学素子の表面にコーティングすることによって、所望の可視透過スペクトルを作製してもよい。薄膜の光透過スペクトルは、フィルム材料の屈折率、層の物理的厚さ、層の数、および層の積層順によって決まる。これらのパラメータを変えることによって、所望の入射角(AOI)の範囲内で光学素子の所望の全体透過スペクトルを作製してもよい。
着色剤はピーク吸光度および半値全幅(FWHM)によって記述することができる吸収スペクトルを有するので、透過スペクトルに対するそれらの吸収の影響はよく知られており、ランベルト・ベールの法則によって記述される。吸収スペクトルは、波長ごとの着色剤のモル吸光度、光学媒体中の濃度、および着色剤を担持する光学媒体の物理的厚さに依存する。既知のモル吸光度の吸収染料を光学レンズのような0.5mmを超える物理的厚さを有する基材内で使用して、これらの染料の濃度を変えると光学素子の所望の透過スペクトルが生じるようにしてもよい。既知のモル吸光度の吸収染料を、各々が、例えば光学レンズの層における20mm未満などの、任意の距離測定値の物理的厚さを有する一つ以上の基材層内で使用して、これらの染料の濃度を変えると光学素子内の一つ以上の光学層の所望の透過スペクトルが生じるようにしてもよい。複数の層を組み合わせて使用すれば、光学素子全体の所望の有効透過スペクトルを生じさせることができる。このように複数の光学層を組み合わせて使用することには、所望の透過スペクトルを生じさせる目的で、例えば積層工程を使い複数の層を物理的に混合して一つの固体光学素子に入れるか、または物理的には分離した状態で複数の光学層を使用することが含まれる。
以下の図3において説明する設計工程から得られる目標透過スペクトルの出力は、一つ以上の着色剤および/または薄膜を使用した光学素子が作製する透過スペクトルと実質的に一致させてもよい。目標透過スペクトルと作製透過スペクトルとの間に不一致があれば、その不一致は繰り返して低減または最小化される。着色剤を予め選択し光学媒体(例えば、基板や被膜層)の厚さを予め決定しておくことによって、380nmから780nmの間の波長に亘って合計した、光学素子の目標透過スペクトルと作製透過スペクトルとの間の差が最小化されるように、染料の濃度を繰り返し変化させて記録してもよい。光学素子は、予め選択した複数の染料を、それらの最終濃度で、予め決められた物理的厚さを有する光学基材上の一つの層として、または当該光学基材の中に混合した状態で、含んでもよい。
着色剤を(予め決定するのではなく)繰り返し選択し、物理的担体(例えば、基板または被膜層)の厚さを予め決定して、繰り返し選択した染料の濃度もまた繰り返し変化させて記録することによって、380nmから780nmの間の波長に亘って合計した、光学素子の目標透過スペクトルと発生透過スペクトルとの間の差を最小化するか減少させてもよい。光学素子は、最終選択所定の各染料を、それらの最終濃度で、予め決められた物理的厚さを有する光学基材上の層状に、または当該光学基材の中に混合した状態で、含んでもよい。
光学素子の物理的な厚さは、380nmから780nmの間の波長に亘って合計した、光学素子の目標透過スペクトルと発生透過スペクトルとの間の差が最小化するか減少するように、繰り返し変えてもよい。
薄膜材料、材料の積層順序および屈折率は予め決定しておいてもよいし、各薄膜層の厚さが100nmと1200nmとの間になり層の総数が121層未満となるように繰り返し変化させて、380nmから780nmの間の波長に亘って合計した、光学素子の目標透過スペクトルと発生透過スペクトルとの間の差を、最小化するか減少させてもよい。
各着色剤と各薄膜の組合わせを使用して、380nmから780nmの間の波長に亘って合計した、光学素子の目標透過スペクトルと発生透過スペクトルとの間の差が最小化するか減少するように、使用染料、それらの濃度、および各薄膜層の物理的厚さを選択的に変えることによって、光学素子の有効透過スペクトルを発生させてもよい。
380nm〜780nmの間の波長ごとに可変重みを適用し、光学素子の目標透過スペクトルと発生透過スペクトルとの間の合計差が、より高い重み付けが適用された波長のほうに重み付けされるようにしてもよい。この重み付けは、最小透過要件を厳守する目的で500nmから650nmの間の波長など、特定の波長に特に注意を払うために適用してもよい。
図2は、図1の光学素子を製作する方法200であって、着色剤および/または薄膜を使用することによって所望の透過スペクトルを達成する。方法200は、光学素子の所望の出力透過スペクトルを作製するように設計される。方法200は、ステップ210で着色剤固有の吸収スペクトルを作製すること、および/またはステップ250で薄膜固有の反射スペクトルを作製することを含む。色特異的な吸収スペクトルは、ステップ215で、各着色剤をそれらのモル吸光スペクトルで選択し、ステップ225で、選択した着色剤ごとに複数の濃度を作り、ステップ235で、各染料濃度を含む厚さを有する一つ以上の層または基板全体を作ることによって、作製することができる。薄膜固有の反射スペクトルは、ステップ255で、材料およびそれらの屈折率を選択し、ステップ265で、薄膜の層数を選択し、ステップ275で、交互積層順序などの材料積層順序を選択し、ステップ285で、各薄膜層の光学的または物理的厚さを作成することによって、作製することができる。
方法200は、ステップ290で、光学素子の全透過スペクトルを作製することを含む。作製された透過スペクトル(CTS)は、式20の全吸収スペクトル(TAS)および全反射スペクトル(TRS)を用いて定義される。
[数式20]
Figure 2019528484
方法200は、作製された透過スペクトルが目標透過スペクトルまたは他の終了条件に到達した状態で完了する。他の終了条件には、最大許容繰り返し回数に達したか、または予め定義された回数だけ繰り返した後でも、作製された透過スペクトルと目標透過スペクトルとの間に、スペクトル不一致の変化がないこと、が含まれる。
方法200の各結果によって、光学素子の最適に作製された透過スペクトル、着色剤の選択、着色剤層または基板全体の厚さ、着色剤濃度、固有の屈折率を有する薄膜材料、各薄膜の光学的または物理的な厚さ、薄膜層の総数、および積層順序が提供されるが、停止基準に達していない場合は、光学素子の目標透過スペクトルを作製するために、着色剤および薄膜の形成をさらに繰り返してもよい。
データベース内には、図1の光学素子を製作する際に選択する、820を超える着色剤(染料、顔料および他の着色剤)がある。着色剤には、シアニン、トリアリールメタン、クマリン、ローダミン、キサンテン、オキサジン、プリレン、フルオレセイン、金属ベースの着色剤およびペリレンなどの多種多様な化学形態および誘導体が包含される。データベース中の追加の着色剤としては、金属酸化物に富む無機顔料、つまり、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、ハンパープル、プルシアンブルー、コバルトアルミニウムブルー、エジプトブルー、ハンブルー、アズライト、インジウムブルー、チタン酸ニッケルアンチモンチタン、クロムアンチモンチタンバフ、クロムイエロー、針鉄鉱、赤鉄鉱、鱗鉄鉱、黄色酸化鉄、オーレオリン・コバルト黄色、ニッケルアンチモンチタン黄色、が含まれる。他の着色剤としては、金属硫化物に富む無機顔料、つまり、オーピメント、カドミウムイエロー、およびモザイクゴールド、が含まれる。さらに他の着色剤としては、合成有機物、つまり、(以下、PYはピグメントイエローの略)モノアリーリドイエローとしてPY1(ハンザG)、PY3(ハンザ10G)、PY65、PY73、PY74、PY75、PY97、PY98、PY116、ジアリリドイエローとしてAAAイエロー、MXイエロー、OTイエロー、イエローNCG、OAイエロー、PTイエロー、イエローH10G、イエローHR、イエローGGR、イエローH19GL、イエローG3R、イエローDGR、イエローGRL、イエローYR、ベンズイミダゾロンイエローとしてイエローH2G、イエローH4G、イエローH3G、イエローHLR、イエローH6G、複素環黄色およびアゾ縮合黄色としてテトラクロロイソインドリノン黄色、テトラクロロイソインドリノン黄色、アゾメチン黄色、キノフタロン黄色、ニッケルダイオキシン黄色、アゾ縮合黄色、イソインドロン黄色、トリアジニル黄色、および銅フタロシアニンブルーとしてフタロシアニンブルーBN、が含まれる。このデータベースには、380nmから780nmまでのほぼすべての可視波長にピーク吸収を有し、10nm未満から200nmを超えるまでのFWHMを有する、広域スペクトルでかつノッチ吸収可能な複数の着色剤が含まれる。
光学素子中の着色剤層の数は1〜60層まで含まれ、各層の厚さは0.01mmから40mmの間であり、各着色剤の濃度は0.001から1000マイクロモルの間である。
光学素子の前処理および/または後処理は、スペクトル活性着色剤の最初の層および/または薄膜層が形成される前か、最後の層が形成された後か、または任意の数の層が形成される間に施される。このような処理には、反射防止(AR)、傷防止(AS)、疎水性などが含まれる。これらの処理の透過スペクトルは、式21に従って当該スペクトルをスペクトルアドミタンスに適用することによって光学素子の製作に組み込まれる。
[数式21]
Figure 2019528484
光学素子の透過スペクトルを異なる複数の波長で変える着色剤および/または薄膜層は、赤・緑の色覚分離および/または青・黄色の色覚分離を増加させるために、連携して機能する。また、これらの着色剤および/または薄膜層は、光学素子の外観的側面および観察者の色覚の両面で、正常者、2型色覚者、1型色覚者、3型色覚者など異なる色覚を有する観察者のために、明度を維持し、白色点を抑制し、異なる照明条件下でメタメリズムを抑制する。緑・黄、黄、および黄 ・赤のスペクトル領域(550nm〜610nm)を吸収する様々な着色剤および薄膜の形成を活用して、人間の赤・緑および/または青・黄の色覚分離を改善することができる。しかし、これらの染料は光学素子のメタメリズム(明度、WP色相およびWPS)および観察者の色覚にも大きな影響を与えるので、染料の選択およびそれらの濃度は、CPIを満たすように慎重に設計および実施される。青、シアン、緑、および赤、すなわち黄色(570nm〜585nm)以外の残りのスペクトル領域を吸収する様々な着色剤および薄膜形成を利用して、様々な照明環境下で素子の外観的側面および異なる観察者の色覚のメタメリズムを抑制することができる。
図3は、最小透過制約を満たしCPI目標を達成する、図1の光学素子の透過スペクトルを設計するための方法300を示す。方法300は、ステップ310で、一つ以上の光源および/または混合光源を作成および/または選択することを含む。方法300は、ステップ320で、CMFを作成および/または選択することを含む。方法300は、ステップ330で、色強調、CVD矯正および/または黄変色覚矯正の評価用の色スペクトルを作製および/または選択することを含む。方法300は、ステップ340で、色空間を選択または作成することを含む。方法300は、ステップ350で、最小透過要件を満たす光学素子用透過スペクトルを作製することを含む。方法300は、ステップ360で、赤・緑の色分離および/または青・黄の色分離のCPI、光学素子の明度、光源の白色点シフト、ならびに色スペクトルのメタメリズムの量および彩度値を評価することを含む。
方法300は,CPI目標が達成されるか別の終了条件に達した場合、処理を終了し、380nmから780nmまでの光学素子の出力透過スペクトルを保存してもよい。他の終了条件には、到達した新しい透過スペクトルで最大繰り返し回数に達したか、一定回数繰り返した後にもCPIが変化しなかったか、その他の停止基準に達したか、などが含まれる。
人工知脳による方法を使用して、380nm〜780nmの間の波長のナノメートルごとに、色強調、CVD矯正および/または黄変色覚矯正用の光学素子の透過スペクトルを見つけることを繰り返してもよい。また、1nmよりも粗いナノメートル分離能を使用してもよい。人工知能による方法には、例えば、線形計画法、非線形計画法、混合整数計画法、二次計画法、勾配降下法、およびランダム探索法が含まれる。
光学素子の透過スペクトルは、CIE LUV色空間を評価空間として使用しながら、赤・緑の色差を最大化し、光学素子の光を70%以上に維持し、CIE D65によって照明される光学素子のWPSを0.02以内に保つと同時にCIE F11によって照明される光学素子のWPSを0.018以内に保つことによってメタメリズムの抑制を維持して、設計してもよい。光学素子の透過スペクトルは、CIE LUV色空間を評価空間として使用しながら、青・黄の色差を最大化し、光学素子の光を75%以上に維持し、CIE D55によって照明される光学素子のWPSを0.025以内に保つと同時にCIE F2によって照明される光学素子のWPSを0.022以内に保つことによってメタメリズムの抑制を維持して、設計してもよい。光学素子の透過スペクトルは、CIE LUV色空間を評価空間として使用しながら、光学素子の明度を最大化し、赤・緑の色分離率を10%超に維持し、波長ごとに0.5%の最小透過要件を満たし、CIE D11によって照明される光学素子のWPSを0.02以内に保つと同時に、混合光源を含めて、説明された光源についての(色覚および光学素子の)WPSメタメリズムが0.009以内に納まる範囲に保つことによってメタメリズムの抑制を維持して、設計してもよい。
例として、図4は、正午の昼光照明条件としてCIE D65光源を使用した三つの色域のプロット400を示す。プロット400は、その外側に示したように、赤、緑、青、黄、シアン、紫、および他の派生色からなる一組のマンセル色を使用して生成される。 色域410は、標準または正常な色覚を有する人が知覚するマンセル色を示す。正常な色覚の白色点(WP)415も示してある。色域420は、矯正されていない2型色覚異常(CVD)を有する典型的な人が知覚するのと同じマンセル色を示す。未矯正者の色覚のWP425も示してある。色域430は、本明細書で説明する、CVDの矯正を行う光学素子を使用した、色域420の場合と同じ人が知覚する同じマンセル色を示す。矯正された色覚のWP435も示してある。
プロット400は、矯正された(改善された、とも称される)色覚が、未矯正の色覚よりも正常な色覚に一致していることを示す。矯正に使用される光学素子は、赤・緑の色分離のCPIを高めることができる。また、紫、シアン、オレンジを含む派生色も矯正されている。白色点シフトのCPIは、よく抑制されており、正常な色覚のWPに近い。さらに、矯正に使用される光学素子は、例えば青色のような、どの色群の彩色度(彩度)も著しく減少させることのないように設計されている。
図5は、図4で使用した光学素子についてCIE F2光源を使用した三つの色域のプロット500を示す。プロット500は、その外側に示したように、赤、緑、青、黄、シアン、紫、および他の派生色からなる一組のマンセル色を使用して生成される。図5で検査した光学素子は、図4で検査したものと同じであるが、図5のCPIは、一般的な蛍光照明条件を表す別の光源としてCIE F2を用いて決定したものである。色域510は、標準または正常な色覚を有する人が知覚するマンセル色を示す。また、正常な色覚の白色点(WP)515も示してある。色域520は、未矯正の2型色覚異常(CVD)を有する典型的な人が知覚するのと同じマンセル色を示す。未矯正者の色覚のWP525も示してある。色域530は、本明細書で説明する、CVDの矯正を行う光学素子を使用した、色域520の場合と同じ人が知覚する同じマンセル色を示す。矯正された色覚のWP535も示してある。
プロット500は、プロット400の場合と同様に、矯正された(改善された、とも称される)色覚が、未矯正の色覚よりも正常な色覚に一致していることを示す。矯正に使用される光学素子は、赤・緑の色分離のCPIを高めることができる。また、紫、シアン、オレンジを含む派生色も矯正されている。白色点シフトのCPIは、よく抑制されており、正常な色覚のWPに近い。さらに、矯正に使用される光学素子は、例えば青色のような、どの色群の彩色度(彩度)も著しく減少させることのないように設計されている。
図6は、赤・緑CVDの矯正用の目標透過スペクトルの追加例であるプロット600を示す。これらのスペクトル610、620、630は、図3の光学素子設計工程の三つの代表的な結果であって、この設計工程で、CPI目標を達成する、光学素子の透過スペクトルが作製される。スペクトル610のCPI目標には、すべてCIE D65、D55、D75、F2、およびF7光源の下で、赤・緑の色分離が20%〜35%の間、WPSが0.02未満、光学素子の明度が70超(光源のメイドで正規化したもの)の達成が含まれ、その結果、光学素子の(またはそれを使用中の)外観上の善し悪し、比色性能、および/または人間の色覚のメタメリズムを抑制することができる。
スペクトル620のCPI目標には、すべてCIE D65、D55、D75、F2、およびF7光源による照明条件の下で、赤・緑の色分離が25%〜40%の間、WPSが0.02未満、光学素子の明度が65超(光源の明度で正規化したもの)の達成が含まれ、その結果、メタメリズムを抑制することができる。
スペクトル630のCPI目標には、すべてCIE D65、D55、D75、F2、およびF7光源の照明条件の下で、赤・緑の色分離が30%〜60%の間、WPSが0.03未満、光学素子の明度が60超(光源の明度で正規化したもの)の達成と、当該CPIが、下記の表1〜9にあるような、2型色覚および/または1型色覚に固有のカラーマッチング機能(CMF)を有することと、が含まれる。
図7は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット700を示す。図7に示す構成では、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を図1の光学素子の基板として使用してもよい。PMMAはメチルメタクリレートの重合から製造された合成樹脂であり、一般的には透明で硬質のプラスチックである。PMMAは、厚さ3mmで直径65mmの光学素子基板として作ってもよい。この構成によって、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりできる。プロット700は、380nm〜780nmの間で少なくとも三つの通過帯域710、720、730を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。通過帯域740も同様に通過帯域であってもよい。しかし、通過帯域740は、一般に人間の視覚範囲を超えた近赤外線に近接しているので、比色性能にほとんど影響を与えない可能性が高い。阻止帯域790は、他の赤白色点(WP)を低減する目的を有する。
プロット700は、540nmから610nmの間では1%の最小透過率制約を示す曲線であると言っても差し支えない。390nm(760)および590nm(750)の両方でピーク吸収がある双ピーク吸収染料を、465nm(770)および490nm(780)でピーク吸収がある二つの染料、570nm(750)で同様になる別の染料、および665nm(790)で同様になる最後の染料と、いっしょに使用する。これらの染料の濃度は、3マイクロモルから70マイクロモルまでの範囲にある。これらのスペクトル吸収750、760、770、780、790は、下記の表1に示される比色性能を生成するために、特定の通過帯域および阻止帯域と、均一な100%透過率からの他のスペクトル差と、が生成されるように選択してもよい。例えば、光学素子の明度を制限し、光学素子のWP色相およびWPシフトを抑制し、かつメタメリズム(異なる光源の下での性能差)を抑制しながら、赤・緑の分離を増すために上記選択をしてもよい。曖昧な、経験則的な、または概括的なやり方によれば、阻止帯域750によって赤・緑の分離度が高まり、通過帯域710、720、730によって青/緑/赤の色のコントラストが増し透けて見えるようになる。通過帯域および阻止帯域の実際の透過量およびそれらのスペクトル配置は、表1に示す比色性能を生成するために実際の染料を用いて決定してもよい。現実の染料は、それぞれの目標ノッチ(尖鋭的な)吸収に加えて「ノイズ吸収」を有するので(つまり、550nmを吸収する染料は、通常は吸収程度が低いが他の波長も吸収する場合がある)、比色性能のための複数染料およびそれらの濃度の最良の組合わせを決定するために一つの染料を選択することによって、この染料の「ノイズ吸収」が生じる場合がある。
図7に示された透過特性を有する図1の素子について、表1にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。図8に示す製造工程800は、ステップ810で、適切な濃度を達成するために押出機を使用して必要な複数の染料を混合してPMMA樹脂に入れることから始まる。 ステップ820で、染料を注入した樹脂を、射出成形によって230℃未満の作業温度で製品形状に成形する。
表1は、図7の透過特性を有する図1の素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表1:図1の光学素子の比色性能を図7に示した透過特性と一体化した表
波長の赤方シフトおよび青方シフトは、それぞれ、より長い波長およびより短い波長への比色シフトおよび/またはスペクトルシフトに対応する。こうすることによって、色覚タイプと光源の様々な条件下で、一貫して20%を超える、赤・緑の色分離の改善をもたらす。図7に示す透過特性を有する図1の光学素子は、明度変動を10未満に、WP色相が黄と黄・赤の間に維持されるように、WPS範囲を0.005未満に、することによって、メタメリズムをうまく抑制することができる。図7の透過特性を有する図1の素子の黄色および黄・赤色のWP(色合い)によって、CVD検査で使用されるCVD混同色、例えば、石原式検査カラーおよび/またはファーンズワース D15検査カラーと、CPIを評価する際に使用する色と、を移動させて、2型色覚と1型色覚にとっての色混同線から離れるようにする。この色合いは、CVDの人にとって混乱しやすい色を見分ける能力をさらに改善させる。
図7に示される透過特性を有する図1の光学素子は、天然および人工の青色および非青色の色同士の色距離およびコントラストを増す効果をもたらす。彩度が低い青色、シアン色、紫色、および白色は、この光学素子の黄および/または黄・赤のWPによって、より容易に黄色および他のより暖色にシフトされる。追加の色強調によって、結果として生じる、より暖色と青色がさらに分離する。この光学素子の透過スペクトルによる暖色系の色付けおよび色強調の効果を組み合わせた光学素子を作ることによって、青色と非青色との優れたコントラストが生み出される。この種の光学素子の特殊な用途として、運転や釣りが含まれてもよく、これらの活動では、様々な青と他の色との間の色のコントラストが増せば、コントラストおよび奥行きの知覚にとって有益である。
図9は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット900を示す。図9に示す構成では、トライベックスを図1の光学素子の基板として使用してもよい。トライベックスは、優れた耐衝撃性のために使用されるウレタンベースのプレポリマーである。トライベックス基板の例としては、厚さ1.5mmで直径75mmとして作られる場合が多く、この構成の素子を、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりする目的で使用してもよい。プロット900は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域910、920、930を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。プロット900は、555nmと610nmとの間で1%の最小透過率制約を示す曲線を描く。395nm(950)と570nm(960)の両方でピーク吸収がある双ピーク吸収染料を、470nm(970)でピーク吸収がある一つの染料、595nm(980)で同様になる別の染料、および660nm(990)で同様になる最後の染料といっしょに使用する。これらの染料の濃度は、20マイクロモルから110マイクロモルまでの範囲にある。繰り返しになるが、図7に関して上述したように、これらの吸収によって、光学素子の明度を制限し、光学素子のWP色相およびWPシフトを抑制し、かつメタメリズム(異なる光源の下での性能差)を抑制しながら、赤・緑の分離を増すことができる。光源および/またはCMFが変われば、同等か、より優れた比色性能指標(CPI)を達成するために、使用する染料を変えてもよい。
図9に示された透過特性を有する図1の素子について、表2にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。図10に示す製造工程1000は、ステップ1010で、各染料を機械的に混合してトライベックスの少なくとも一つの未重合部分、例えば、モノマーに入れることから始まる。プロセス1000は、ステップ1020で、重合のためにトライベックスの二つ以上の部分を一緒に混合して所望の形状にすることを含む。このような幾何学的形状は、その後、最終的な所望の仕様に切断および/または研磨されてもよい。
表2は、図9の透過特性を有する図1の素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表2:図1の光学素子の比色性能を図9に示した透過特性と一体化した表
この構成の光学素子は、一貫して40%を超える、赤・緑の色分離の改善をもたらす。図9に示す透過特性を有する図1の光学素子は、明度変動を20未満に、WP色相が暖色系内に維持されるように、WPS範囲を0.025未満に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。図9の透過特性を有する図1の光学素子の一貫した暖色系WP(色合い)によって、CVD検査で使用されるCVD混同色と、CPIを評価する際に使用する色と、を移動させて、2型色覚と1型色覚にとっての色混同線から離れるようにする。これらの色合いは、CVDの人が混乱しやすい色を見分ける能力をさらに改善させる。
図11は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット1100を示す。 図11に示す構成では、ポリカーボネート(PC)を図1の光学素子の基板として使用してもよい。PCは、化学構造中にカーボネート基を含有する一群の熱可塑性ポリマーを表す。PC基板の例としては、厚さ2mmで直径72mmとして作られる場合が多く、この構成の素子を、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりする目的で使用してもよい。プロット1100は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域1110、1120、1130を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。プロット1100は、565nmと610nmとの間で0.5%の最小透過率制約を示す曲線を描く。400nm(1150)と595nm(1160)の両方でピーク吸収がある双ピーク吸収染料を、498nm(1170)でピーク吸収がある一つの染料、570nm(1180)および640nm(1190)で同様になる二つの他の染料、および665nm(1195)で同様になる最後の染料といっしょに使用する。これらの染料の濃度は28マイクロモルから150マイクロモルまでの範囲にある。
図11に示された透過特性を有する図1の素子について、表3にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。図12に示す製造プロセス1200は、ステップ1210で、必要な複数の染料を混合してPC樹脂に入れ、押出機を使用して適切な濃度を達成することから始まる。ステップ1220で、染料を注入した樹脂を、230℃を超える作業温度で、射出成形によって製品形状に成形する。
表3は、図11に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表3:図1の光学素子の比色性能を図11に示した透過特性と一体化した表
この構成の光学素子は、一貫して12%を超える、赤・緑の色分離の改善をもたらす。この光学素子は、明度変動を5未満に、WP色相が黄と黄・赤との間に維持されるように、WPS範囲を0.01未満に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。
図13は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット1300を示す。図13に示す構成では、PCを図1の光学素子の基板として使用してもよい。PCは、厚さ2mmで直径68mmの光学素子基板として作られてもよい。この構成によって、正常な色覚を改善したり、赤・緑および青・黄のCVDを矯正したりできる。プロット1300は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域1310、1320、1330を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。プロット1300は、550nmと625nmとの間で1%の最小透過率制約を示し、吸収半値全幅(FWHM)が40nmを超える阻止帯域が560nm(1350)と610nm(1360)との間に中心を有する曲線を描く。560nm(1350)と660nmで二つのピーク吸収がある染料を、470nm(1370)と500nm(1375)でピーク吸収がある二つの染料、575nm(1380)と595nm(1385)で同様になる二つの他の染料、550nm(1390)と610nmで同様になる二つの追加染料、および620nmで同様になる最後の染料といっしょに使用する。550nmと620nmとの間の各吸収によって、WPおよび色域を冷色にシフトさせ、赤・緑の色分離/コントラストが増し、青・黄の色分離/コントラストが増す。450nmと500nmとの間の各吸収によって、青への色シフトの抑制が確実になる。(双ピーク吸収がある染料による)660nmでの吸収によって、青方シフトが、「青と赤の混色」として知覚される紫色にはならないことが確実になる。
図13に示された透過特性を有する図1の素子について、表4にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。図14に示す製造プロセス1400は、ステップ1410で、染料を溶媒に溶解することから始まる。ステップ1420で、染料を含む溶媒を、浸漬、高速回転、および/または噴霧によってPC光学基板上に転写する。染料注入層の厚さは、20ミクロンから50ミクロンの間であり、3ミクロンから70ミクロンまでの範囲にあってもよい。これらの染料の濃度は、薄い染料層であるが故に、20マイクロモルから20,000マイクロモルまでの範囲にあってもよい。
表4は、図13に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表4:図1の光学素子の比色性能を図13に示した透過特性と一体化した表
図13に示す透過特性を有する図1の光学素子は、一貫して14%を超える、赤・緑の色分離の改善と、一貫して8%を超える青・黄の色分離の改善と、をもたらす。この光学素子は、明度変動を10未満に、WP色相が青色に維持されるように、WPSを0.043と0.069との間に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。この光学素子の一貫した青WP(色合い)によって、CVD検査で使用されるCVD混同色と、CPIを評価する際に使用される色と、を移動させて、2型色覚と1型色覚と3型色覚にとっての色混同線から離れるようにするために特別に作ってもよい。この色合いは、CVDの人が混乱しやすい色を見分ける能力を改善させる。この光学素子は、天然および人工の暖色系および寒色系の色同士の色距離およびコントラストを増してもよい。彩度が低い黄色、オレンジ色、赤色、および白色は、この光学素子の青または寒色系の色のWPによって、より容易に青および他の寒色系の色にシフトされる。追加の色強調によって、結果として生じる、より寒色系の色と残りの暖色がさらに分離される。この光学素子の透過スペクトルによる寒色系色付けおよび色強調の効果を組み合わせた光学素子を製作することによって、暖色と寒色との優れたコントラストが生み出される。また、この光学素子の青または他の寒色系色合いは、暖色系の色をより中間色にカラーバランスさせるのに役立つ。この種の光学素子の特殊な用途としては、日の出および/または日没での運転が含まれてもよく、この場合、光源が暖色系なので、色コントラストおよび/または奥行き知覚および/またはもっと中間色のWPによる色覚が強調された方が望ましい。
図15は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット1500を示す。図15に示す構成では、CR39を図1の光学素子の基板として使用してもよい。CR39は、光学レンズの製造に使用される一般的なプラスチックである。CR39は、厚さ2.5mmで直径72mmの光学素子基板として作られる。この構成によって、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりできる。プロット1500は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域1510、1520、1530を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。プロット1500は、550nmと630nmとの間で1%の最小透過制約を示し、吸収FWHMが40nmを超える阻止帯域が560nm(1540)と615nm(1550)との間に中心を有する曲線を描く。558nm(1555)でピーク吸収がある染料を、470nm(1560)および500nm(1565)でピーク吸収がある二つの染料、575nmと595nmで同様になる二つの他の染料、550nmと610nmで同様になる二つの追加染料、および620nmで同様になる最後の染料といっしょに使用してもよい。
図15に示した透過特性を有する図1の素子について、表5にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。図16に示す製造工程1600は、ステップ1610で、染料を溶媒に溶解することから始まる。ステップ1620で、溶解した染料を、浸漬、高速回転、および/または噴霧によってCR39光学基板上に転写する。染料注入層の厚さは、20ミクロンから50ミクロンの間であり、3ミクロンから70ミクロンまでの範囲にあってもよい。これらの染料の濃度は、薄い染料層であるが故に、20マイクロモルから20,000マイクロモルまでの範囲にしてよい。
表5は、図15に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表5:図1の光学素子の比色性能を図15に示した透過特性と一体化した表
図15に示した透過特性を有する図1の光学素子は、一貫して30%を超える赤・緑の色分離の改善をもたらす。この光学素子は、明度変動を10未満に、WP色相がマゼンタとピンクの間に維持されるように、WPSを0.01と0.034との間に、制限した状態でメタメリズムを抑制する。この光学素子の一貫したマゼンタまたはピンク色のWP(色合い)は、CVD検査で使用されるCVD混同色と、CPIを評価する際に使用する色と、を移動させて、2型色覚と1型色覚にとっての色混同線から離れるようにするために構成してもよい。この色合いは、CVDの人が混乱しやすい色を見分ける能力を改善させる。この光学素子は、天然および人工の緑色、黄緑色、黄色、および白色の色同士の色距離およびコントラストを増やしてもよい。彩度が低い緑色、黄緑色、黄色および白色は、この光学素子のマゼンタおよび/またはピンク色のWPによって、より容易に暖色にシフトされる。追加の色強調によって、結果として生じる、暖色と緑色がさらに分離される。この素子の透過スペクトルによる暖色系色付けおよび赤・緑の色強調の効果を組み合わせた光学素子を作ることによって、緑色と黄緑色と黄色と白色との優れたコントラストが生み出される。この種の光学素子の特殊な用途としては、ゴルフ、野球、テニスが含まれてもよく、これらのケースでは、様々な緑色と他の色との色同士の色コントラストが強調された方が有益である。
図17は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット1700を示す。図17に示す構成では、トライベックス(Trivex)が図1の光学素子の基板であってもよい。トライベックスは、優れた耐衝撃性を提供することができ、厚さ2mmで直径75mmの光学素子基板として作ってもよい。この構成によって、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりできる。プロット1700は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域1710、1720、1730を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。475nm(1740)でピーク吸収がある吸収染料を、590nm(1750)でピーク吸収がある別の染料、および658nm(1760)で同様になる最後の染料といっしょに使用し、光学基板内に完全に混合してもよい。これらの染料の濃度は5マイクロモルから95マイクロモルまでの範囲にある。
図17に示した透過特性を有する図1の素子について、表6にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。図18に示す製造工程1800は、ステップ1810で、複数の染料を機械的に混合して、例えばモノマーのような、トライベックスの少なくとも一つの未重合部分に入れることから始まる。ステップ1820で、トライベックスの二つ以上の部分を重合のために混合して所望の形状にし、ステップ1830で、切断および/または研磨する。
表6は、図17に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表6:図1の光学素子の比色性能を図17に示した透過特性と一体化した表
図17に示した透過特性を有する図1の光学素子は、一貫して50%を超える赤・緑の色分離の改善をもたらす。この光学素子は、明度変動を5未満に、WP色相が中間色に維持されるように、最大WPSを0.005(ほとんど知覚できない彩度)に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。 この光学素子によって、メタメリズム、すなわち、色覚および光源が妥当ではあっても異なる場合の、WP色相、WPS、および明度の変動を排除または最小化しつつ、非常に顕著な赤・緑の色分離性能を有する構造が提供される。この光学素子は、正常な色覚およびCVD色覚を有する人々にとって、メタメリズムがほとんどまたは全くない、中間色的な色合いを達成するように製作してもよい。
図19は、本発明の構成について透過スペクトルの透過率対波長のプロット1900を示す。図19に示す構成では、光学ガラスまたはプラスチックを図1の光学素子の基板として使用してもよい。光学ガラスまたはプラスチックは、厚さ2mmで直径68mmの光学素子基板として作ってもよい。この構成によって、正常な色覚を改善させたり、赤 ・緑および/または青・黄CVDを矯正したりできる。プロット1900は、薄膜層によって形成され、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域1910、1920、1930を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。プロット1900は、全可視スペクトル範囲で少なくとも1%の最小透過制約を示し、少なくとも25nmのFWHM反射率を有する阻止帯域1940が560nmと620nmとの間の中心にあり、少なくとも35nmのFWHM反射率を有する別の阻止帯域1950が450nmと555nmとの間の中心にある曲線を示す。
薄膜層を基材に形成してもよい。薄膜層は、交互に積層する順番で高屈折率材料と低屈折率材料とで構成し、例えば合計21層のように、合計で多数の層を成してもよい。高屈折率材料は、ZnSおよび/またはTiOであってもよい。低屈折率材料はSiOおよび/またはクリオライトであってもよい。薄膜層材料の任意の層の物理的厚さは、100nmと1500nmの間、例えば、低屈折率材料については280nm、高屈折率材料については440nmである。薄膜層は、物理気相成長法(PVD)を用いて光学基材上に堆積させることができる。クリオライトを使う場合は、湿気を避けるために二つ以上のシーラント層を使ってもよい。
図19に示した透過特性を有する図1の素子について、表7にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。
表7は、図19に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表7:図1の光学素子の比色性能を図19に示した透過特性と一体化した表
図19に示した透過特性を有する図1の光学素子は、一貫して5%を超える青・黄の色分離の改善をもたらす。この光学素子は、明度変動を7未満に、WP色相が青またはシアンに維持されるように、WPSを0.007と0.012との間に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。この光学素子の一貫した青/シアンのWP(色合い)は、CVD検査で使用されるCVD混同色と、CPIを評価する際に使用する色と、を移動させて、3型色覚にとっての色混同線から離れるようにするために構成してもよい。この色合いは、3型色覚の人が混乱しやすい色を見分ける能力をさらに改善させる。
図20は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット2000を示す。図20に示す構成では、光学ガラスまたはプラスチックを図1の光学素子の基板として使用してもよい。光学ガラスまたはプラスチックは、厚さ3mmで直径75mmの光学素子基板として作ってもよい。この構成によって、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりできる。プロット2000は、薄膜層によって形成され、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域2010、2020、2030を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。プロット2000は、全可視スペクトル範囲で少なくとも0.5%の最小透過制約を示し、少なくとも10nmのFWHM反射率を有する阻止帯域2040が560nmと590nmとの間の中心にあり、少なくとも8nmのFWHM反射率を有する別の阻止帯域2050が465nmと500nmとの間の中心にある曲線を示す。
薄膜層を基材に形成してもよい。薄膜層は、交互に積層する順番で高屈折率材料と低屈折率材料とで構成し、例えば合計11層のように、合計で多数の層を成してもよい。高屈折率材料は、ZnSであってもよい。低屈折率材料はクリオライトであってもよい。薄膜層材料の任意の層の物理的厚さは、150nmから1000nmの間、例えば、低屈折率材料については290nm、高屈折率材料については445nmである。薄膜層は、物理蒸着(PVD)を用いて基板上に被膜させてもよい。クリオライトを使う場合は、湿気を避けるために二つ以上のシーラント層を使う。
図20に示した透過特性を有する図1の素子に対して、表8にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。
表8は、図20に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表8:図1の光学素子の比色性能を図20に示した透過特性と一体化した表
図20に示した透過特性を有する図1の光学素子は、一貫して30%を超える赤・緑の色分離の改善をもたらす。この光学素子は、明度変動を10未満に、WP色相がCIE昼光光源の下で中間色に、またはCIE F7光源の下でパステルブルー/シアン色にほぼ維持されるように、WPSを0.003と0.007との間に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。この光学素子の一貫した中間色または淡青色/シアン色のWP(色合い)によって、この光学素子の概ね中間色の外観的美観または心地よい寒色系美観を維持するように製作してもよい。このように製作することによって、明度が68以上の光学素子が製作され、これは室内と室外での両用に適している。明度が65未満の光学素子が製作される他の作製物は、一般的に、屋外や明るい照明下の屋内のような、明るい環境において使用される。
図21は、本発明の構成について、透過スペクトルの透過率対波長のプロット2100を示す。図21に示す構成では、PMMAを図1の光学素子の基板として使用してもよい。PMMAは、厚さ2mmで直径70mmの光学素子基板として作ってもよい。この構成によって、正常な色覚を改善させたり、赤・緑CVDを矯正したりできる。プロット2100は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域2110、2120、2130を有する、この光学素子の透過スペクトルを描いたものである。478nm(2140)でピーク吸収がある吸収染料および588nm(2150)でピーク吸収がある染料を使用してもよい。これらの染料の濃度は、0.5マイクロモルから35マイクロモルまでの範囲にある。
図21に示した透過特性を有する図1の素子について、表9にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。
上述の基板の製造方法2200を図22に示す。ステップ2210で、複数の染料を混合して樹脂に入れる。ステップ2220で、混合した染料を含む樹脂を、染料が光学基板に完全に注入されるように、所望の形状に成形する。ステップ2230で、耐摩耗性、反射防止性、およびUVコーティングを含む任意の後処理を実行してもよい。
表9は、図21に示した透過特性を有する図1の光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表9:図1の光学素子の比色性能を図21に示した透過特性と一体化した表
図21に示した透過特性を有する図1の光学素子は、一貫して7%を超える赤・緑の色分離の改善をもたらす。この光学素子は、最小明度が76で明度変動を6未満に、WP色相が中間色またはパステルブルーに維持されるように、白色点シフト(WPS)を0.007の範囲に、制限した状態で、メタメリズムを抑制する。この光学素子は、色覚および昼光・蛍光の光源が異なる場合に起因するメタメリズムを抑制および/または最小化しながら、非常に高い明度および良好な赤・緑の色分離性能を有するように製作することができる。
黄化・黄変ヒト水晶体および黄色代替IOLは、人の色覚のWPを黄色の色相にシフトさせる。要するに、これは黄色色覚(YCV)と呼ばれる。YCVによって、他の原色と派生色の知覚が正常な知覚からシフトされる。矯正光学素子がある場合とない場合の、YCVで見た任意の色iについてのスペクトルアドミタンスは式22によって定義される。
[数式22]
Figure 2019528484
YCVスペクトルアドミタンスにおいて使用する色は、赤(2.5YR 5/4、7.5R 5/4、2.5R 5/4、5RP 5/4、10P 5/4、10YR 5/4、 10R 5/4、10RP 5/4、緑(5BG 5/4、10G 5/4、5G 5/4、10GY 5/4、5GY 5/4、10BG 5/4)、青(5B 5/4、10BG 5/4、5BG 5/4、5P 5/4、10B 5/4、10P 5/4、10PB 5/4)、および黄(10GY 5/4、5GY 5/4、5Y 5/4、 10YR 5/4、2.5YR 5/4、10Y 5/4、10YR 5/4)の代表的なマンセル色を含む。YCVスペクトルアドミタンスに使用する色には、代表的な石原CVD検査色を含んでもよい。YCVスペクトルアドミタンスに使用する色は、例えば、葉、花、木など天然の代表的な色を含んでもよい。
Figure 2019528484
光学素子の最小透過値が少なくとも0.5%になるように作って、安全性または他の理由で、可視波長での最小透過率を保証してもよい。また、光学素子の最小透過率値が少なくとも0.5%になるように作って、安全性または他の理由で、500nmから650nm以内の波長の任意の部分からの最小透過率を保証してもよい。また、光学素子の最小透過率値が少なくとも0.5%になるように作って、安全性または他の理由で400nmから500nm以内の波長の任意の部分からの最小透過率を保証してもよい。
光学素子にとっての重要なCPIは、光学素子の着用後に観察者の色覚の白色点シフト(WPS)を減少させることによって、観察者のYCVを矯正するか、矯正しようとすることであってもよい。光学素子にとって別の重要なCPIは、光学素子の着用後にYCVを有する観察者から見た代表色と、正常な色覚を有する別の観察者が見た代表色との間の不一致を減少させることによって、観察者のYCVを矯正するか、矯正しようすることであってもよい。不一致の測定には、代表的な色について、二人の観察者の色知覚の間の色距離を合計することを含んでもよい。
様々な光源または混合光源の下で、(矯正前はYCVを有していた)観察者の矯正された色覚におけるメタメリズムは、この光学素子の作製された透過スペクトルを使用して抑制および/または最小化する重要なCPIであってもよい。また、様々な光源または混合光源の下で、光学素子の外観的善し悪しのメタメリズムは、作製されたそれ自体の透過スペクトルを使用して抑制および/または最小化する重要なCPIであってもよい。また、様々な光源または混合光源の下で、観察者の矯正された色覚の明度は、この光学素子の目標透過スペクトルおよび作製透過スペクトルを使用して抑制および/または最大化する重要なCPIであってもよい。また、様々な光源または混合光源の下で、この光学素子の明度は、それ自体の目標透過スペクトルおよび作製透過スペクトルを使用して抑制および/または最大化する重要なCPIであってもよい。
図23は、最小透過制約を満たし、黄色色覚(YCV)矯正という応用例について、CPI目標を達成するか、または割り当てられた探索繰り返し回数または所定の時間内に最良のCPIを達成する、光学素子の透過スペクトルを見つける方法2300を示す。方法2300は、本明細書で上述した方法300と同様である。
方法2300は、ステップ2310で、一つ以上の光源および/または混合光源を作成および/または選択することを含む。方法2300は、ステップ2320で、例えば黄色の水晶体および黄色のIOLの透過スペクトルなどの、YCVスペクトルを作製および/または選択することを含む。方法2300は、ステップ2330で、YCV矯正判定のための評価カラースペクトルを作製および/または選択することを含む。方法2300は、ステップ2340で、色空間を選択または作成することを含む。方法2300は、ステップ2350で、最小透過要件を満たす、光学素子の透過スペクトルを作製することを含む。方法2300は、ステップ2360で、矯正された色覚の白色点シフト(WPS)の各CPI、補正された色覚によって知覚される評価色と正常な色覚を有する他の人によって知覚される同じ色との間の色距離、矯正された色覚のメタメリズム、光学素子のメタメリズム、矯正された色覚の明度、および光学素子の明度、を評価することを含む。
方法2300は、CPI目標が達成された場合、または新しい透過スペクトルを繰り返し作製する回数が最大回数に達した場合、または何回かの繰り返し回数後にCPIの変化がない場合、または他の停止基準に達した場合、に終了する。完了すると、380nmから780nmまでの、光学素子の最良の出力透過スペクトルを保存してもよい。
YCV矯正と同時に、色強調、赤・緑CVDおよび青・黄CVDの矯正も行うことが、単一の光学素子または光学系のCPIであってもよい。このような透過率を有する光学素子の設計は、二ステップからなる。第一ステップは、YCVが完全にまたは部分的に矯正されるような透過スペクトルを有する光学素子を設計することである。このステップは、図23の方法2300を使用して実行することができる。第二ステップは、第一ステップによる透過スペクトルを有効光源入力として使用し、例えば赤・緑の色分離を最大化する、色強調および/またはCVD矯正をCPIとして目標にするような異なる透過スペクトルを有する別の光学素子を設計することである。この第二ステップは、図3の方法300を用いて行うことができる。二つのステップによる二つの透過スペクトルを掛け合わせたスペクトルは、YCVを完全にまたは部分的に矯正すると同時に色強調を行うかおよび/またはCVDを完全にまたは部分的に矯正する単一の光学素子または光学系の有効目標透過スペクトルである。これらのステップは、順番を逆にしてもよい。すなわち、色強調および/またはCVD矯正をまず行い次にYCV矯正を行うという逆の順序も同様に許容できる。
図2の方法200を用いて、二つの方法、すなわち着色剤を使用するスペクトル吸収方法と薄膜を使用するスペクトル反射方法との組合せによって生じる目標透過スペクトルを有する光学素子を製作してもよい。例えば、複数の着色剤を混合して光学基板内に入れた、および/または光学基板の上に塗布した、および/または薄膜を光学基板の上に塗布したものを使用して、YCVを矯正する、および/または色強調を行う、および/または完全にもしくは部分的にCVDを矯正する目標透過スペクトルを有する光学素子を製作してもよい。
天然の黄変水晶体または同様の黄変眼内レンズ(IOL)の透過スペクトルを、YCVを矯正するために使用される光学素子の透過スペクトルと共にグラフ2400として図24に示す。曲線2410は、天然の黄変水晶体または同様の黄変IOLの透過スペクトルである。実線で示される曲線2420は、YCVを矯正する光学素子の透過スペクトルである。
図25は、プロット2500に存在する色覚域を描いたものである。色覚域は、色空間内でまたは光学素子によって正確に表すことができる複数の色の部分集合のような、一式の色部分集合である。プロット2500は、CIE D65光源を用いたCIE LUV色空間において、選択したマンセル色の赤、緑、青、黄および派生色によって囲まれた色覚範囲を示す。YCVに対応する黄色WP2515を含む、黄変水晶体または黄変IOLに起因するYCV2510が、示してある。正常な色覚2520が、この色覚の対応する中間色WP2525と共に示してある。光学素子が図24の対応する透過スペクトル2420と合致することによって矯正された色覚2530が、矯正された色覚に対応する中間色WP2535と共に示してある。光学素子の外観的要素である青色WP2540も示してある。
図24も参照すると、この光学素子の透過スペクトル2420は、380nmと780nmとの間に少なくとも三つの通過帯域2430、2440、2450を有する。プロット2420は、560nmから610nmの間で1%の最小透過率制約を示し、380nmと510nmとの間または650nmと780nmとの間でピーク透過率値を有する。500nm(2460)および520nm(2470)の両方でピーク吸収がある双ピーク吸収染料を、590nm(2480)でピーク吸収がある一つの染料、および663nm(2490)で同様になる最後の染料といっしょに使用する。この光学素子の青色または寒色のWP(色合い)は、透過スペクトルの一連の通過帯域および阻止帯域とあわせて、両者がYCVのWPを矯正し、および/または、この光学素子を着用後にYCVの観察者が見た、図25に示す各色および/または色域と、正常な色覚の別の観察者が見た各色と、の間の不一致を解消または低減する。矯正光学素子の作成は、眼鏡、サングラス、およびコンタクトレンズを含む、眼に着用する任意の形態であってもよい。
光学ガラスまたはプラスチックは、厚さ2mmで直径が68mmの、眼鏡またはサングラス作成用の基板であってもよい。これらの染料の濃度は、染料を注入した光学基板の場合、1マイクロモルから90マイクロモルまでの範囲にある。
図24に示した透過特性スペクトル2420を有するこの素子について、表10にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価される。これらの染料は、浸漬、高速回転、噴霧、または蒸着などの周知の配合/成形または被覆処理を用いて、光学基材に注入するか、または基板表面に被覆してもよい。この光学素子の透過スペクトルは、スペクトル2420と実質的に一致する薄膜コーティングを用いて作製され、光学基板上にコーティング/被膜させてもよい。YCVおよび様々な光源を用いて、正常な観察者についてYCVの矯正を達成してもよい。この光学素子は、明度変動を6未満に、WP色相が中間色に維持されるように、WPS範囲を0.002(認識不可能な彩度)未満に、制限した状態で、矯正された色覚のメタメリズムを抑制する。この光学機器は、暗い明度で、青のWP/色合いのサングラス、または光学素子である。この素子は、明度変動を5未満に、WP色相が青色に維持されるように、WPS範囲を0.015未満(平均WPSの13.6%に相当する)に、制限した状態でメタメリズムを抑制する。
表10は、図24に示した透過特性を有する光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表10:光学素子の比色性能を図24に示す透過特性と一体化した表
図26は、本発明の構成について、透過率対波長のプロット2600を示す。この構成では、天然の黄変水晶体または同様に黄変したIOLの透過スペクトル2610は、少なくとも部分的にYCVを矯正できる光学素子の透過スペクトル2620で矯正できる。プロット2600は、380nmと780nmとの間に少なくとも二つの通過帯域を有するように作製された、光学素子の透過スペクトル2620を示す。曲線2620は、560nmと610nmとの間で1%の最小透過率制約を示し、380nmと510nm(2630)との間または620nmと780nm(2640)との間でピーク透過率値を有する。639nm(2650)および664nm(2660)でピーク吸収を有する双ピーク吸収染料を、582nm(2670)でピーク吸収を有する一つの染料と共に使用する。この光学素子の青色または寒色のWP(色合い)は、透過スペクトルの一連の通過帯域および阻止帯域とあわせて、両者がYCVのWPを部分的に矯正し、および/または、この光学素子を着用後にYCVの観察者が見た各色と、正常な色覚の別の観察者が見た各色との間の不一致を低減する。矯正光学素子の作成は、眼鏡、サングラス、およびコンタクトレンズを含む、眼に着用する任意の形態であってもよい。
光学ガラスまたはプラスチックを、眼鏡またはサングラスを作成する光学基板として使用してもよい。基板の厚さは2mmで直径は68mmとしてもよい。これらの染料の濃度は、樹脂を成形し配合するために染料を注入した光学基板の場合、0.1マイクロモルから70マイクロモルまでの範囲にある。
図26の透過率曲線(2620)を示す光学素子について、表11にまとめたCPIはCIE LUV色空間を用いて評価してもよい。これらの染料は、浸漬、高速回転、噴霧、または蒸着などの周知の被膜処理を用いて、基板表面上に被膜してもよい。この光学素子の透過スペクトルは、曲線2620の透過スペクトルを提供するために薄膜層を使用して作製してもよい。YCVおよび様々な光源を用いて、屋内および屋外の両方で使用するために視界および光学素子自体の高い明度を維持しながら、見えるものの黄色度を減少させることによって、YCVの部分的な矯正を達成する。この光学素子は、明度変動を5未満に、WP色相が淡い黄色に維持されるように、WPS範囲を0.022未満に、制限した状態で、部分的に矯正された色覚のメタメリズムを抑制する。CIE F2光源が評価から除外される場合、WPS範囲は0.009未満である。なぜなら、WPS自体が、部分的に矯正される解決策については0.008に過ぎないからである。この光学素子は、青いWP/色合いを有してもよい。この光学素子は、明度変動を5未満に、WP色相が青色に維持されるように、WPS範囲を0.016未満(平均WPSの26%に相当する)に、制限した状態でメタメリズムを抑制してもよい。
表11は、図26に示した透過特性を有する光学素子についての比色性能を表す。
Figure 2019528484
表11:光学素子の比色性能を図26に示す透過特性と一体化した表
干渉ベースの層状薄膜層を用いて、本明細書で説明する透過スペクトルを作製してもよい。干渉ベースの層状層は、薄膜層および多層被膜層と称される場合が多い。本明細書では、「薄膜層」を使用して、これらの干渉ベースの層状薄膜層と、干渉ベースの層状薄膜層を指す他の手法と、を指す。このような薄膜層には、反射防止層、二色性フィルタ、および通過帯域フィルタを含めてもよい。
薄膜コーティングは、高屈折率材料と低屈折率材料との交互層からなるものや、層ごとに可変の光学的および/または物理的厚さを有するものや、一つの層内に薄膜上の位置の距離関数として配置されるものなどの、広範な可能性を網羅する様々な幾何学的設計が考えられる。例えば、線形可変フィルタ(LVF)は、線形距離寸法の関数として、薄膜層の一つ以上の層において直線的に変化する光学的厚さを有する。薄膜層を基にしたRVFは、色強調、CVD矯正、およびYCV矯正を行うために、一つ以上の層の光学的または物理的厚さが少なくとも一つの中心からの径方向距離寸法の関数である光学素子を定義してもよい。
薄膜層の既存の設計では、0°からの入射角(AOI)が増加しても安定しているわけではない。具体的には、AOIが増加するにつれて、透過スペクトル特性はより短い波長にシフトする。この現象は青方シフトとして知られている。例えば、0°AOIで600nmを中心とする通過帯域を有する帯域通過フィルタは、より高いAOIでは通過帯域中心が600nm未満へシフトするのを経験するかもしれない。
複数の薄膜層を眼鏡類に適用する際、光学素子は着用者の目の前に固定されると考えられる。着用時のレンズ・目の配置に起因して、AOIは光学素子の曲率に大きく依存する。 例えば、図27に示すように、眼2730に対するレンズ(光学素子1 2710および光学素子2 2720)の配置が描かれている。図27には、眼鏡類などの光学素子に対して実質的に固定位置の光学受信機としての眼2730(または別の受信機)が描かれ、光学素子1 2710および光学素子2 2720は別々に素子形状の例としての役割を果たす。光学素子1 2710の場合、AOIは、平坦または比較的平坦な素子形状に沿って移動するので、0°から60°超までの範囲にある。光学素子2 2720の場合、AOIは、はるかに湾曲した素子形状に沿って移動するので、0°または実質的に0°にずっと近いままである。湾曲した素子形状にしてAOIを減少させるのは、可変AOIによる比色およびスペクトル性能シフトを抑制する一つの方法である。
青方シフトをゼロまたはゼロに近い値に維持するには、光学素子2710、2720上の位置でAOIを0°に近い値にする。この結果を達成するために、光学素子2710、2720の曲率半径(ROC)は、眼2730から眼鏡類の観察位置までの実際の半径方向距離とする。光学素子2710、2720のROCが処方から逸脱すると、ゼロでないAOIが結果として得られる。このゼロでないAOIによって青方シフトが発生する。AOIの0°からの差分は、中心が眼2730である光学素子2710、2720のROCを増減させることによって小さくできる。しかしながら、青方シフトが例えば15nm未満のように比較的小さければ、装着者は、光学素子2710、2720のCPIのわずかに逸脱した性能にほとんど気付かないか、気付いたとしても許容できる場合が多い。
多くの場合、外観的、形状的、および/または性能上の理由で、球面湾曲レンズのROCが小さいのは望ましくない。RVFを使用して、光学素子の着用者の観点から、広範囲のAOIに亘って光学素子のCPIの同様の性能を実質的に維持してもよい。
RVFを、光学素子の視中心からの径方向距離の関数として各薄膜層の光学的または物理的厚さを変えることによって作成し、AOI変動に起因するCPIの性能偏差を実質的に補償してもよい。図28は、RVF2800を有する光学素子の上から見た断面図を示す。眼2810(または別の受信機)は、眼鏡類などの、RVF2800を有する光学素子に対して実質的に固定位置の光学受信機である。RVF2820全体を基板2830上にコーティングしてもよい。RVF2820は、薄膜層としての使用に適した一つ以上の材料層(例えば、層1 2824から層n 2828まで)を含んでもよい。薄膜層の一例である層i 2850は、径方向可変の厚さを示すためにy寸法が誇張されている。xは、薄膜層2870の視中心からの径方向距離2860であり、yは、層i2850のx 2860における光学的または物理的厚さ2880である。一例として、例えば、x 2860がミリメートル単位でy 2880が数百ナノメートル単位であるなど、x 2860はy 2880よりはるかに大きくてもよい。こうすれば、事実上、dy/dx?0、すなわち、x 2860に対するy 2880の傾きは非常に小さい。その結果、RVFの任意の層上のAOIは、基板2830上のAOIとほぼ等しい。 図示していないが、基板2830は平坦な形状を含む任意の曲面形状としてもよい。
図29は、視中心からの径方向距離x 2920の関数としての、RVFの層iの光学的または物理的厚さであるy 2910を示すために分解図示した光学素子2900を上から見た断面図であって、yo 2930は、光学素子2900の視中心における、RVFの層iの光学的または物理的厚さである。y 2910およびyo 2930は、RVF上の各点での厚さ(図29では誇張されている)であり、RVF全体、つまり、単一の層だけでなく複数のRVF層を組み合わせたものの厚さであってもよい。視中心は、眼2940または他の固定位置光受信機の位置に合わせてもよい。RVFは、最上層2950と最下層2960と(両方とも陰影を付けてある)の間に配置してもよい。これら二つの層2950、2960は、例えば、傷防止層と基板など、任意の目的のための任意の材料であってもよい。また、これら二つの層2950、2960は、任意の種類の先行層および後続層であってもよい。追加の距離変数としては、概念的な非屈折入射光線と眼2940との間の仮想距離を表すD 2970、光学素子2900と眼2940との間の距離を表すE 2980、先行層2950の平均の厚さを表すds1 2990、および後続層2960の平均の厚さを表すds22995が含まれる。屈折率(RI)は、ni(外部環境)、nsi(先行層2950)、nS2(後続層2960)、およびn(RVF層または層間の平均または全RVFの平均)である。光学角は、θ1(AOI)、θ2(先行層の屈折光線角)、およびθ3(後続層の屈折光線角)である。
図29の光学系の構成では、寸法パラメータおよび光学パラメータは複数のRVF層の合計に相当する。少なくとも一つの薄膜層の厚さyは、式23で定義される。
[数式23]
Figure 2019528484
ここで、xはθ1(AOI)の関数であり、したがってyおよびxはAOIのパラメトリック関数である。はるかに大きなレベルの距離寸法が存在する場合、yは、式的に都合が良ければ、精度を犠牲にすることなく無視できる。式23は式24に帰着する。
[数式24]
Figure 2019528484
である。
yは、xの増加につれて単調に減少させずに、眼鏡類のような光学素子にとって増加するAOIに起因する、CPIの性能ずれを減少させるか影響をなくすようにしてもよい。また、yは、xの特定の値を除いて、xの増加につれて一般的に減少させずに、光学素子にとって増加するAOIに起因する、CPIの性能ずれを減少させるか影響をなくすようにしてもよい。
コンピュータシステムを用いて、一つ以上のRVF薄膜層の光学的または物理的な厚さyが、xの特定の値を除いて、xの増加につれて単調に減少しないかまたは概ね減少しないかどうかを決定するために使用する薄膜の透過スペクトルを計算することによって、光学素子にとって増加するAOIに起因する、CPIの性能ずれを減少させるか影響をなくすようにしてもよい。
図30は、本明細書で説明する光学素子について、視中心からの径方向距離の関数としての、RVFの一つ以上の層の光学的または物理的な厚さプロファイル3000の一例を示している。RVF層には、ZnSとクリオライトの交互層を含めてもよい。一例では、合計7つの層を利用してもよい。解析的設計では、ZnS3030およびクリオライト3020の両方について、径方向距離が増加するにつれて層の厚さも単調に増加し、増加するAOIに起因するCPI性能ずれを減少させるか影響をなくすようにすることが必要になる。ZnS 3040の方がより高い屈折率(RI)を有するので、その厚さは、より低いRIを有するクリオライト 3010の厚さよりも概して遅い速度で増加してもよい。ZnSおよびクリオライトの両方について、径方向距離が増加するにつれて、層厚が減少しないが必ずしも単調には増加しないことも含めて、増加するAOIに起因するCPI性能ずれを減少させるか影響をなくすようにするという設計があってもよい。繰り返すが、ZnSの方がより高い屈折率(RI)を有するので、その厚さもまた、より低いRIを有するクリオライトの厚さよりも概ね遅い速度で増加してもよい。一例では、光学素子基板の幾何学的表面曲率は、眼科用レンズへ適用する際にベースカーブとして8を有する曲率以下である。
図31は、AOIに対する径方向距離のプロット3100を示す。プロット3100は、図29でのE=1.2cm、dsi=dS2=0の例を示しており、光学素子上の視中心からの径方向距離xとAOIとの間の直接関係は、厳密に相関性のある増加となる。すなわち、径方向距離が増すにつれて、AOIも単調に増加する。光学素子上の視中心からの径方向距離xとAOIとの間の関係は、概ね相関関係のある増加となる。すなわち、径方向距離が増すにつれて、AOIも、径方向距離測定値の特定の値を除いて、概ね増加する。
図30はRVFの物理的または光学的な厚さ比のAOIに対する関係の四つの例を示し、図31はAOIと視中心からの径方向距離との関係の一つの例を示すので、これら二つの図に含まれる関係を用いて、物理的または光学的な厚さ比と、RVFまたはその任意の単一層または複数層の組合せについての視中心からの径方向距離と、の間の各関係を直接に決定できる。
RVFは、少なくとも二つの異なる薄膜材料からなる二つ以上の層で作られてもよい。RVFは、少なくとも二つの異なる薄膜材料からなる二つ以上の交互層で作られてもよい。図32は、様々なAOIでの、7層構造のRVFの透過スペクトル3200を描いたものである。0°AOI(3210)、20°AOI(3220)、40°AOI(3230)、および60°AOI(3240)での透過スペクトル3200が示されている。例えば ZnSおよびTiOなどの高RI材料と、例えばSiOおよびクリオライトなどの低RI材料との交互層を使用して、各層の物理的厚さが80nm〜1400nmの間である光学素子を製作する。AOIの増加による透過スペクトルの青方シフトは、光学的または物理的な厚さデータが図30に提示されたものと実質的に同一であるRVFをこのように作成することによって実質的に減少または排除することができる。
図33は、RVFの作成に対して達成された色域3300を示す。色域3300は、赤、緑、青、黄色および派生色にとっての代表的なマンセル色によって囲まれた実質的に不変の色域であり、複数のAOIに亘って実質的に不変の白色点である。内側の色域はパステルカラーで構成され、外側の色域は飽和色で構成されている。例示したRVFは、合計15層のTiO 2とSiO 2の交互層から成る。すべてのTiO 2層は、物理的厚さが150nmと1450nmとの間であり、すべてのSiO 2層は、厚さが100nmと1340nmとの間である。光学的または物理的な厚さデータは、特定の径方向距離測定値に対応する層厚が実質的に一定となる、40°超の特定AOIを除き、一般に、光学素子の視中心から径方向距離が増すにつれて増加する。平均して、SiO2の光学的または物理的な厚さデータは、AOIが10°増すごとに1%〜30%の割合で大きくなる。TiO2の厚さデータは、AOIが10°増すごとに0.2%〜20%の割合で大きくなる。
色覚障害に関しては、2.5yr 5/4、7.5r 5/4、2.5r 5/4、5rp 5/4、10p 5/4、10yr 5/4、10r 5/4、10rp 5/4のマンセル色の一つ以上を含む赤色セットと、5bg 5/4、10g 5/4、5g 5/4、10gy 5/4、5gy 5/4、10bg 54のマンセル色の一つ以上を含む緑色のセットと、5b 54、10bg 5/4、5bg 5/4、5p 5/4、10b 5/4、10p 5/4、10pb 5/4のマンセル色の一つ以上を含む青色セットと、10gy 5/4、5gy 5/4、5y 5/4、10yr 5/4、2.5yr 5/4、10y 5/4、10yr 5/4のマンセル色の一つ以上を含む黄色セットと、が記されている。 赤・緑の色分離は、赤色セット内の任意の一つ以上の色と、緑色セット内の任意の一つ以上の色と、を使用して評価してもよい。青・黄の色分離は、青色セット内の任意の一つ以上の色と、黄色セット内の任意の一つ以上の色と、を使用して評価してもよい。
1976 CIE LUV色空間および本文中に記された式を使用し、CIE D55、D65、またはD75光源のいずれか二つの単体光源もしくはこれらの任意の混合光源について、(CIED65の光源だけで照らした場合の)65を下回る明度を有する光学素子の場合、矯正されるか色強調された色覚の赤・緑の色分離は、正常者、2型色覚者および/または1型色覚者にとって、10%であるか、または矯正なしか色強調なしの色覚の色分離を上回り、矯正されるか色強調された色覚の青・黄の色分離は、正常者、2型色覚者および/または1型色覚者にとって、2%であるか、または矯正なしか色強調なしの色覚の色分離を上回り、光学素子の白色点シフトは、正常者、2型色覚者および/または1型色覚者にとって、中間色の0.35以内である。
1976 CIE LUV色空間および本文中に記された式を使用し、CIE D55、D65、D75,F2,F7,F11、またはLシリーズLED光源のいずれか二つの単体光源もしくはこれらの任意の混合光源について、(CIED65の光源だけで照らした場合の)65またはそれ以上の明度を有する光学素子の場合、矯正されるか色強調された色覚の赤・緑の色分離は、正常者、2型色覚者および/または1型色覚者にとって、4%であるか、または矯正なしか色強調なしの色覚の色分離を上回り、矯正されるか色強調された色覚の青・黄の色分離は、正常者、2型色覚者および/または1型色覚者にとって、2%であるか、または矯正なしか色強調なしの色覚の色分離を上回り、光学素子の白色点シフトは、正常者、2型色覚者および/または1型色覚者について、中間色の0.30以内である。
1976 CIE LUV色空間および本文中に記された式を使用し、CIE D55、D65、D75,F2,F7,F11、またはLシリーズLED光源のいずれかの単体光源もしくはこれらの任意の混合光源について、光学素子を使用した観察者の黄色の色覚の白色点シフトは、光学素子を使用しない場合よりも小さくなる。
例えば眼科用レンズ、サングラス、およびコンタクトなどのウェアラブル光学素子について、光学素子の白色点は、、青、シアン、緑、または紫の色相である場合が多く、白色点シフトは、素子の着用者の視点から見ると少なくとも0.001である。
光学素子は、500nmと650nmとの間の光を吸収し、反射し、および/または散乱させる。このようなスペクトル特性は、眼内レンズ(IOL)や他の眼内移植物体の中または上に、その物体の黄色度を低下させる比色効果として、設計・作製してもよい。
径方向可変フィルタは、干渉薄膜層の少なくとも一つの材料層の光学的厚さが、材料層上の少なくとも一つの中心から始まって、径方向に変化する光学素子を含むものとして説明してある。この光学素子内の少なくとも一つの材料層について、入射角(AOI)が20°と85°との間にある少なくとも一つの位置の光学的または物理的な厚さは、AOIが0°と19.99°との間にある少なくとも一つの位置の光学的または物理的な厚さよりも大きい。この光学素子の明度は、CIE D55、D65、D75、F2、F7、F11、またはLシリーズLED、またはこれらの光源の任意の混合物を用いて評価した場合、5と95との間である。
一般に、本明細書で説明する光学素子は、575nmから585nmまでの間で0.5%の最小透過率と、380nmと780nmとの間に実質的に中心がある一つ以上の阻止帯域を提供し、この阻止帯域は、550nmと605nmとの間に実質的に中心がある少なく一つの阻止帯域、450nmと505nmとの間に実質的に中心がある少なくとも一つの追加の阻止帯域、および/または400nmと449nmとの間に実質的に中心がある少なくとも一つの追加の阻止帯域である。2型色覚異常については、(CMF xによってモデル化されたと同じ)CIE 1931 2°標準観測者の場合よりも少なくとも1nmだけ長い波長へのM錐体感受性のピークシフトを用いて評価してもよい。1型色覚異常については、(CMF yによってモデル化されたと同じ)CIE 1931 2°標準観測者の場合よりも少なくとも1nmだけ短い波長へのL錐体感受性のピークシフトを用いて評価してもよい。
CIE D 55、D 65、D 75、F 2、F7、F11、またはLシリーズのLED光源のいずれか二つの単体光源、もしくはこれらの任意の混合光源の下で、光学素子を使用する前後で、赤色セットの少なくとも一色は、黄、オレンジ、赤、ピンク、または紫の暖色系色相を維持してもよいし、緑色セットの少なくとも一色は、緑、シアン、青、または紫色の寒色系色相を維持してもよい。
所望の透過スペクトルを有する光学素子の製作方法には、着色剤を基板に注入すること、または着色剤を基板上に積層すること、および/または着色剤を基板上にコーティングすること、が含まれる。この基板は、総厚で0.1mmと10cmとの間の厚さを有してもよい。
所望の透過スペクトルを有する光学素子の製作方法には、二つのフィルム材料からなり少なくとも一つの層が1500nm未満の光学的または物理的な厚さを有する、少なくとも三つの薄膜層を有する薄膜を被膜することが含まれる。
眼および眼内移植物体の外側にあるものを含む光学素子のメタメリズム抑制は、列挙された光源のうち任意の二つを用いて評価した場合、白色点シフトの差が0.1未満であり、明度の差が30未満であるという点に制約される。
以上、複数の特徴および複数の要素を特定の組合わせで説明してきたが、当業者は、各特徴または各要素が単独でまたは他の特徴および要素の有無にかかわらず任意の組合わせで使用できることを理解するであろう。また、本明細書で説明する方法は、コンピュータまたはプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアとして実施してもよい。コンピュータ可読媒体の例としては、(有線または無線の接続を介して送信される)電子信号およびコンピュータ可読記憶媒体が含まれる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、これらに限らないが、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、およびCD ? ROMディスクならびにデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学媒体が含まれる。

Claims (20)

  1. 人間の色覚を改善する光学素子であって、
    基板と、
    前記基板上に設けられた複数の薄膜層と、
    前記複数の薄膜層に塗布された複数の着色剤層と、を備え、
    前記複数の薄膜層は、各々がそれぞれ固有の屈折率を有する複数の選択した材料に基づいて薄膜固有反射スペクトルを生成する材料を含み、
    前記複数の着色剤層は少なくとも一つの着色剤を含んで、前記着色剤は選択した濃度によって決まる着色剤固有の吸収スペクトルに基づいて作成される
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 少なくとも二つの単体光源の下で、赤色セットは、黄、オレンジ、赤、ピンク、または紫の暖色系色相を維持し、緑色セットの少なくとも一色は、緑、シアン、青、または紫色の寒色系色相を維持する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  3. CIE D 55、D 65、D 75、F 2、F7、F11、またはLシリーズのLED光源から選択した二つの光源で照射された場合、白色点シフトの差が0.1未満であり、明度の差が30未満となるメタメリズム抑制を行う
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  4. 赤・緑の色分離は、マンセル色2.5YR 5/4,7.5R 5/4、2.5R 5/4,5RP 5/4,10P 5/4,10YR 5/4,10R 5/4、10RP 5/4の一つ以上を含む赤色セット内の任意の一つ以上の色と、マンセル色5BG 5/4、10G 5/4,5G 5/4,10GY 5/4,5GY 5/4,10BG 5/4の一つ以上を含む緑色セット内の任意の一つ以上の色と、を用いて評価し、マンセル色5B 5/4、10BG 5/4,5BG 5/4,5P 5/4,10B 5/4,10P 5/4,10PB 5/4の一つ以上を含む青色セット内の任意の一つ以上の色と、マンセル色10GY 5/4,5GY 5/4,5Y 5/4,10YR 5/4,2.5YR 5/4,10Y 5/4,10YR 5/4の一つ以上を含む黄色セット内の任意の一つ以上の色と、を用いて評価する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  5. 最小透過率は、575nmから585nmまでの間で0.5%である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  6. 550nmと605nmとの間に実質的に中心がある少なく一つの阻止帯域がある
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  7. 450nmと505nmとの間に実質的に中心がある阻止帯域を含む
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  8. 400nmと449nmとの間に実質的に中心がある阻止帯域を含む
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  9. 65を下回る明度で、赤・緑の色分離を、矯正しない色覚の色分離よりも少なくとも10%以上改善することができる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  10. 65を下回る明度で、白色点シフトを、中間色の0.35以内にできる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  11. 65を上回る明度で、赤・緑の色分離を、矯正しない色覚の色分離よりも少なくとも4%以上高めることができる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  12. 65を上回る明度で、白色点シフトを、中間色の0.3以内にできる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  13. 青・黄の色分離を、矯正しない色覚の色分離よりも少なくとも2%以上高めることができる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  14. 黄色の色覚の白色点シフトを、中間色の場合よりも小さくできる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  15. 前記基板上に設けられた前記複数の薄膜層は、径方向可変フィルタを含む
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  16. 前記薄膜層の少なくとも一つの層の光学的厚さは、径方向に変化する
    ことを特徴とする、請求項15に記載の光学素子。
  17. 比色性能指標は、2型色覚異常については、CIE 1931 2°標準観測者の場合よりも少なくとも1nmだけ長い波長へのM錐体感受性のピークシフトを用いて評価し、1型色覚異常については、CIE 1931 2°標準観測者の場合よりも少なくとも1nmだけ短い波長へのL錐体感受性のピークシフトを用いて評価する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  18. 黄度を減らすために、500nmと650nmとの間の光を、吸収するか、反射するか、分散させるか、の少なくとも一つを行うスペクトル特性を有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
  19. 人の色覚を改善する光学素子を製作する方法であって、前記方法は、
    複数の着色剤を選択することによって着色剤固有の吸収スペクトルを作製し、選択した着色剤の各々ごとに複数の濃度を作り、前記着色剤を含む一つ以上の層を作成することと、
    各々が固有の屈折率を有する複数の材料を選択することによって薄膜に固有の反射率スペクトルを作製し、薄膜の層数を選択して、各薄膜層を作成することと、
    それぞれ作成された、前記着色剤を含む一つ以上の層と、前記薄膜層と、を備える光学素子を製作することと、を含む
    ことを特徴とする光学素子製作方法。
  20. 選択した前記複数の着色剤を、前記光学素子の基板に注入すること、前記基板上に積層すること、前記基板上にコーティングすること、のうち一つを、さらに含む
    ことを特徴とする、請求項19に記載の光学素子製作方法。
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