JP2018509661A - 色覚に所望の様式で影響を及ぼす光学フィルタ、及び非線形最適化によるその設計方法 - Google Patents

色覚に所望の様式で影響を及ぼす光学フィルタ、及び非線形最適化によるその設計方法 Download PDF

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Abstract

その本発明は、概して、人間に対する光の色観における色度及び明度の側面に規制及び/又は強調を与える光学フィルタに関し、概してそのような光学フィルタの適用例に、そのような光学フィルタの治療への適用例に、放射線保護眼鏡類に組み込まれたときそのような光学フィルタの産業上の利用及び安全性応用に関し、そのような光学フィルタを設計する方法に、そのような光学フィルタを製造する方法に関する。【選択図】 図1

Description

[関連出願への相互参照]
[0001] 本出願は、2015年3月13日に出願され、名称が「色覚に所望の様式で影響を及ぼす光学フィルタ、及び非線形最適化によるその設計方法」である米国仮特許出願第62,133,207号の優先権を主張し、この出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
[0002] 本出願はまた、2013年8月30日に出願され、名称が「マルチバンド色覚フィルタ及びLP最適化による方法」である米国特許出願第14/014,991号、及び2012年3月5日に出願され名称が「マルチバンド色覚フィルタ及びLP最適化による方法」である国際特許出願PCT/US2012/027790号に関連し、両出願はその全体が参照によって本明細書に援用される。
[0003] 本発明は、概して、人間の色覚によって見られる光の色観の色彩及び視感の光景を調整及び/又は増強する光学フィルタ、概してそのような光学フィルタの用途、眼科用レンズにおけるこのような光学フィルタの用途、そのような光学フィルタの治療用途、例えば放射線防護眼鏡類に組み込んだときのこのような光学フィルタの工業的及び安全的用途、そのような光学フィルタの設計方法、そのような光学フィルタの製造方法、及びこのような光学フィルタを、例えば、眼鏡類、コンタクトレンズ、窓、コーティング、及び光源を含む光学系に組み込むデザイン及び方法に関する。
[0004] 光学フィルタは、光源又は受光体に作用する波長を選択して透過させる装置である。このようなフィルタは、人間の目に見える色観の光景を変換するように構成することができる。色覚の光景を改善又は変更する光学フィルタは、色覚欠失者、低視力不調者及び色覚が正常な者に、治療上の利益をもたらすことができる。光学フィルタは、紫外、可視及び/又は赤外スペクトルの高エネルギ放射線から目を保護することができる。色覚及び/又は色観に変化をもたらす光学フィルタを組み込んだ装置は、眼鏡類、コンタクトレンズ、視野組立体、カメラ、窓、コーティング及び光源組立体を含む。このような装置は、一般に光学系と呼ぶことができる。顔又は目の前に配置されたレンズ又はシールドを使用して、眼によって受け取る光を修正するために光学フィルタが作用する装置は、一般に、眼科システムと呼ばれる。
[0005] 本明細書には、例えば、人間の色知覚に対する色観を強調及び/又は調整する光学フィルタを設計する方法が開示される。記載した方法によって生産された光学フィルタのデザインは、狭帯域吸収性色素及び/又は広帯域吸収色素のような吸収性光学材料を使用して光学フィルタを組み立てる製造仕様の基礎として使用できる。このようなフィルタは、光学基体が実質的に透明であるとき、その表面上に塗布したコーティングとして製造することができ、又は光学基体の大きな塊に組み込むことができ、又はその両方である。光学基体は、例えば、眼鏡類(例えば、眼鏡、サングラス、顔シールド、単眼鏡、安全レンズ、コンタクトレンズ、又は他の適切な眼科用レンズ)に組み込むことができ、又はスコープ組立体(例えば双眼鏡)、又は光源組立体(例えば、電球、懐中電灯)に組み込むことができ、又は反射面に塗布されたコーティング(例えば、塗料又は印刷プロセスによって着色された紙又は他の基体上に塗布された透明なコーティング)に組み込むことができる。
[0006] 眼科用レンズは眼とともに使用するレンズである。眼科用レンズは、眼を光学的(合焦的)に補正することができ、又はそれは出力がゼロでそのような補正をしなくても良い。眼鏡レンズの例は、眼鏡レンズ(例えば、透明又は実質的に透明なレンズ)、色付き又は着色レンズ、サングラスレンズ、偏光レンズ、勾配レンズ、調光レンズ、多焦点(例えば、累進、二焦点及び三焦点)レンズ及びコンタクトレンズである。
[0007] 光学フィルタは、それらの透過率スペクトルに関連する測定可能な特性によって特徴付けることができる。本明細書において、「フィルタ」という用語の制限のない使用は、別段の定めがない限り、「光学フィルタ」を意味すると理解すべきである。透過率は、特定の波長でフィルタを通過する光の部分である。透過率は、例えば0.04である比として、又は例えば40%である割合として記載することができる。可視光の波長は、約390ナノメートルから約750ナノメートルの間であるが、400ナノメートルから約700ナノメートルの間、又は420ナノメートルから約670ナノメートルの間の波長のみを考慮することも妥当であり、なぜなら、人間の目は、波長が可視スペクトルの端に近い光に比較的鈍感であり、従って可視スペクトルの端に近いフィルタの特性は、色知覚にほとんど又は全く影響を及ぼさないためである。フィルタの透過率スペクトルは、本明細書中に別段の定めがない限り、可視光線のスペクトルを横切るその伝導性を指す。フィルタの透過率スペクトルは、例えば、1ナノメートルの波長刻み幅を用いて、又は他の任意の妥当な刻み幅又は他のサンプリング方法を用いて、波長毎に透過率を一覧表にすることによって、コンピュータ上でシミュレートすることができる。
[0008] フィルタの中間透過率は、波長の連続範囲にわたる平均透過率であり、例えば、500ナノメートルから599ナノメートルの間の平均透過率は、1ナノメートルの刻み幅を用いて、範囲内の各波長における透過率を合計し、合計を100で割る。
[0009] フィルタの視感透過率は、標準光源のフィルタにより重み付けされた平均透過率であり、重み付け関数は、標準観察者モデルによって定義された明順応視感効率関数である。本開示では、フィルタの視感透過率は、CIE 標準発光体D65の重み付け平均透過率として定義され、重み付け関数は、CIE 1932 2度標準観測者によって定義される明順応視感効率関数である。
[0010] フィルタの白色点は、フィルタを通して見た平均昼光の(x、y)色度座標であり、平均昼光は、CIE 標準発光体D65として定義され、(x、y)色度座標は、別段の定めがない限り、CIE 1932 2度標準観測者及びCIE Yxy色空間に従って計算される。
[0011] フィルタの相関色温度は、黒体軌跡のうちフィルタの白色点に最も近い点に対応する温度である。
[0012] 眼科システムに組み込まれたフィルタの透過率スペクトルは、例えば、眼によって一般的な様式で受け取った光にフィルタをかけるために眼科システムが使用されるとき、レンズのうち少なくとも10度の視野に対応する領域にわたる測定値を平均化することによって測定できる。例えば、スペクトル測定は、眼鏡レンズのうち、レンズの中心において直径が約5ミリメートルから約20ミリメートルの間の領域に基準光を通過させ、次いで、眼科システムによって変換された光をスペクトル分析することができる。コンタクトレンズの同様の測定では、適切に選択されかつレンズの直径に比例する、より小さな面積を使用する。光源組立体に組み込まれたフィルタの透過率スペクトルの測定は、系のうち出力ビームの一部、例えば全出力光パワーの約10%にわたるスペクトル応答を平均する工程を備えることができる。系に組み込まれたフィルタのスペクトル応答を測定するあらゆる妥当な方法を使用することができ、測定方法は、フィルタが引き起こす視覚影響(すなわち、通常の肉眼で見られる影響)を考慮するために適切に選択される。
[0013] 光学フィルタが眼科用レンズに組み込まれると、その特性は、業界標準の慣例及び定義に従って測定することができ、例えば、丁度上述した計算は、米国規格協会Z80.3−2010セクション4.6(透過率)、セクション4.6.1(視感透過率)、セクション4.6.2(平均透過率)、及びセクション4.6.3.1(平均昼光の白色点/色度座標)によって、眼鏡類に関して定義される。同様の計算が、コンタクトレンズにつきANSI Z80.20−2010に、眼内レンズにつきANSI Z80.7−2002に、及びスキー及びスノーゴーグルにつきASTM F659−12に定義される。
[0014] 1つの態様では、色覚に所望の様式で変化をもたし、2つ以上の色素成分の組合せを含む、光学フィルタを設計するためのコンピュータ実施方法が、コンピュータを使用してその成分色素濃度に関して与えられたフィルタの状態をシミュレートする工程を備え、成分色素濃度は、色素配合式を用いて以下の形態で与えられ、
F = α1 Ω1 + … α N Ω N
上記配合式中、Ωiは色素の光学濃度スペクトルを表し、αiはi番目の色素における対応する色素濃度を表す。この方法では、フィルタの透過率スペクトルτFは、Beer−Lambertの法則に従う色素成分の組合せによってシミュレートされ、
τF = 10 (-1×F)
この方法は、フィルタが所望の目標視感透過率(τν)に達するまで、色素配合式への最適の変化(本明細書では色素増分と呼ぶ)を選択する、ルーチンを繰り返し(反復して)実行する工程を備える。ルーチンの各繰返しにおいて、色素配合式への最適な変化は、候補変化の集合から選択され、各変化は、色素の色素濃度の小さな離散的上昇に対応し、最適な変化は、対応する候補フィルタの視認透過率の低下当たりの比色分析性能を最大にする変化であり、及び/又は最適な変化は、候補フィルタの視感透過率の低下当たりの目標白色点への距離の減少の比を最大にする変化である。
[0015] いくつかの実施形態では、目標白色点は、色度空間内の単一の点である。いくつかの実施形態では、目標白色点は、色度空間内の円形領域である。いくつかの実施形態では、目標白色点は、色度空間内の四辺形領域である。いくつかの実施形態では、目標白色点は、黒体放射体のうち、色温度が約2700ケルビンから約10000ケルビンの間である黒体軌跡上の対応する位置にある。
[0016]いくつかの実施形態では、目標白色点は、得られるフィルタの色が青色である(すなわち、白色光の見かけの色がフィルタを通過するときに青色に変換される)ように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタの色が紫色であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタ色が桃色であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタの色が紫色であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタの色が朱色(朱色は桃色を帯びた灰色である)であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタの色が黄色であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタの色が茶色であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタ色が赤色であるように構成される。いくつかの実施形態では、目標白色点は、フィルタ色が灰色であるように構成される。
[0017] いくつかの実施形態では、追加の制約が設けられ、フィルタの透過率は、580ナノメートルから600ナノメートルの間において少なくとも5%であること、又は視感透過率の少なくとも1/10であること、又は少なくともフィルタの視感透過率の1/5であることが保証される。
[0018] いくつかの実施形態では、この方法は、改変して所定の色素の最大濃度を制限し、その色素を所望の重合体中に含む製品を製造するために必要な溶解度限界に従うようにする。
[0019] いくつかの実施形態では、この方法は、改変して帰納的予見能力を使用し、その結果最適な変化の計算は、入力制約条件を維持するために必要とされる将来の予測変化を考慮して、色素濃度の最良の増分を考慮する。
[0020] いくつかの実施形態では、この方法は、一組の標準色素を用いて作動するように構成されており、標準色素は、そのピーク吸収波長の周囲における全幅半値幅が40ナノメートルよりも大きい色素として定義される。ピーク吸収波長は、色素の光学濃度が最大に達する可視スペクトル内の波長である。いくつかの色素の光学濃度は、可視スペクトル外の領域(例えば、紫外又は赤外スペクトル)でより高くても良いが、これらの特性は、色覚を所望の様式で変化させるためのフィルタの設計には関連しない。
[0021] いくつかの実施形態では、この方法は、一組の狭帯域色素を用いて動作するように構成されており、狭帯域色素は、ピーク吸収の周囲に最大幅40ナノメートルの全幅半値幅を有する色素とすることができる。
[0022] いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1つの狭帯域色素及び少なくとも1つの標準色素を含む色素のセットを使用して作動するように構成される。
[0023] いくつかの実施形態では、本方法は、赤色−緑色分離係数を比色分析性能測定基準として使用するように構成される。
[0024] いくつかの実施形態では、比色分析性能測定基準は、フィルタを通して見た一組の基準色(例えば、一組のMunsell色見本について)の色度領域を測定することによって計算される。
[0025] 別の態様では、色覚に変化をもたらすフィルタを特徴付けるための比色分析性能規準が、3つの隣接する非重複スペクトル領域にわたって、すなわち、約500ナノメートルから約555ナノメートルの間の緑色領域(τG)にわたって、約555ナノメートルから約600ナノメートルの間黄色領域(τY)にわたって、及び約600ナノメートルから約650ナノメートルの間の赤色領域(τR)にわたって平均透過率を計算し、次いでフィルタの視感透過率(τν)を計算し、下式を用いてフィルタ係数(ΨRG)を計算する。
ΨRG = ((τν × ((((τG + τR) / 2) / τY) - 1)) / (1 - τν) + 1)
本明細書で定義される赤色−緑色分離係数は、中間色フィルタ(波長毎の透過率が一定のフィルタ)にはゼロであり、色空間の赤色−緑色軸線に沿って組織化された色の飽和度及び/又は輝度を高めるフィルタにはゼロよりも大きい。
[0026] 別の態様では、色覚に所望の様式で変化をもたらすフィルタは、1つ以上の狭帯域色素を含み、フィルタは、視感透過率が少なくとも40%であり、赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0である。
[0027] いくつかの実施形態では、フィルタは2つ以上の狭帯域色素を含む。
[0028] いくつかの実施形態では、フィルタは3つ以上の狭帯域色素を含む。
[0029] いくつかの実施形態では、フィルタは4つ以上の狭帯域色素を含む。
[0030] いくつかの実施形態では、フィルタは5つ以上の狭帯域色素を含む。
[0031] いくつかの実施形態では、フィルタは、1つ以上の狭帯域色素及び1以上の標準色素を含む。
[0032] いくつかの実施形態において、フィルタは、2つ以上の狭帯域色素及び1つ以上の標準色素を含む。
[0033] いくつかの実施形態では、フィルタは、3つ以上の狭帯域色素及び1つ以上の標準色素を含む。
[0034] いくつかの実施形態では、フィルタは、4つ以上の狭帯域色素及び1つ以上の標準色素を含む。
[0035] いくつかの実施形態では、フィルタは、5つ以上の狭帯域色素及び1つ以上の標準色素を含む。
[0036] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が40%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が1.0よりも大きい。
[0037] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が40%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が1.25よりも大きい。
[0038] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が40%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が1.5よりも大きい。
[0039] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が40%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が2.0よりも大きい。
[0040] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が50%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が1.0よりも大きい。
[0041] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が50%よりも大きく、赤緑色分離係数が1.25よりも大きい。
[0042] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が50%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が1.5よりも大きい。
[0043] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が50%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が2.0よりも大きい。
[0044] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が60%よりも大きく、赤緑色分離係数が1.0よりも大きい。
[0045] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が60%よりも大きく、赤緑色分離係数が1.25よりも大きい。
[0046] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が60%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が1.5よりも大きい。
[0047] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が60%よりも大きく、赤色−緑色分離係数が2.0よりも大きい。
[0048] フィルタの視感透過率が少なくとも約40%であり、フィルタの赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0であるいくつかの実施形態では、フィルタの色は青色である。
[0049] フィルタの視感透過率が少なくとも約40%であり、フィルタの赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0であるいくつかの実施形態では、フィルタの色は青緑色である。
[0050] フィルタの視感透過率が少なくとも約40%であり、フィルタの赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0であるいくつかの実施形態では、フィルタの色は紫色である。
[0051] フィルタの視感透過率が少なくとも約40%であり、フィルタの赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0であるいくつかの実施形態では、フィルタの色は紫色である。
[0052] フィルタの視感透過率が少なくとも約40%であり、フィルタの赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0であるいくつかの実施形態では、フィルタの色は桃色である。
[0053] フィルタの視感透過率が少なくとも約40%であり、フィルタの赤色−緑色分離係数が少なくとも1.0であるいくつかの実施形態では、フィルタの色は朱色(朱色は桃色を帯びた灰色である)である。
[0054] いくつかの実施形態では、フィルタの白色点は、相関色温度が2700ケルビンから10000ケルビンの間であり、黒体軌跡へのフィルタ白色点の距離は、CIE (x、y)1932 2度標準観測者の色度空間内において、最大で約0.05単位であるように構成される。
[0055] いくつかの実施形態では、フィルタの白色点は、相関色温度が2700ケルビンから10000ケルビンの間であり、黒体軌跡へのフィルタ白色点の距離は、CIE(x、y)1932 2度標準観測者の色度空間内において、最大で約0.25単位であるように構成される。
[0056] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約575ナノメートルである第1の狭帯域色素と、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである第2の狭帯域色素とを含む。
[0057] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約575ナノメートルである第1の狭帯域色素と、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである第2の狭帯域色素とを含み、色素の濃度は、575ナノメートルにおけるフィルタの透過率が約10%+/-5%となるように構成される。
[0058] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約575ナノメートルである第1の狭帯域色素と、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである第2の狭帯域色素とを含み、色素の濃度は、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率が約5%+/-3%となるように構成される。
[0059] いくつかの実施形態では、このフィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである第1の狭帯域色素と、ピーク吸収波長が約475ナノメートルである第2の狭帯域色素とを含み、色素濃度は、475ナノメートルにおけるフィルタの透過率が、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率よりも少なくとも約4倍大きく、その結果フィルタの視感透過率は、少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%であるように構成される。
[0060] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約575ナノメートルである第1の狭帯域色素と、ピーク吸収波長が約475ナノメートルである第2の狭帯域色素とを含み、色素濃度は、475ナノメートルにおけるフィルタの透過率が、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率よりも少なくとも約3倍大きく、その結果フィルタの視感透過率は、少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%であるように構成される。
[0061] 別の態様では、色覚欠失を患っている患者に眼球レンズを処方する方法は、個人の色覚を検査する工程と、次いで光学フィルタを含むレンズを処方する(推奨する又は選択する)する工程とを備え、個人が緑色弱であれば、レンズは、575ナノメートルにおけるフィルタの透過率が595ナノメートルにおける透過率の少なくとも2倍であるように選択され、及び/又は個人が赤色弱であれば、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率が575ナノメートルにおける透過率よりも少なくとも2倍大きいように選択される。
[0062] 別の態様では、色覚欠失を患っている個人にコンタクトレンズを処方する方法は、個人の色覚を検査する工程と、次いで光学フィルタを含むレンズを処方する(推奨する又は選択する)する工程とを備え、個人が緑色弱であれば、レンズは、575ナノメートルニオケルフィルタの透過率が595ナノメートルにおける透過率の少なくとも2倍であるように選択され、及び/又は個人が赤色弱であれば、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率が575ナノメートルにおける透過率よりも少なくとも2倍大きく、しかもフィルタの視感透過率は約70%よりも大きいように選択される。
[0063] 別の態様では、色覚に所望の様式で変化をもたらすフィルタは、1つ以上の狭帯域色素を含み、フィルタは、少なくとも約70%の視感透過率を有し、390ナノメートルから430ナノメートルの間の平均透過率が最大でも25%であり、フィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである狭帯域色素を含み、狭帯域色素の濃度は、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率が、最大でも約75%になるように構成される。
[0064] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が約85%であり、390ナノメートルから430ナノメートルの間における平均透過率が約20%である。
[0065] いくつかの実施形態では、フィルタは、視感透過率が約75%であり、390ナノメートルから430ナノメートルの間における平均透過率が約5%である。
[0066] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである第1の狭帯域吸収性色素と、ピーク吸収波長が約405ナノメートルである第2の狭帯域色素とを有し、第2の狭帯域色素は、約510ナノメートルに、より小さい吸収率ピークも有する。
[0067] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである第1の狭帯域吸収性色素と、ピーク吸収波長が約420ナノメートルである第2の狭帯域色素とを含み、第2の狭帯域色素は、約525ナノメートルに、より小さい吸収ピークも有する。
[0068] 別の態様では、色覚に所望の様式で変化をもたらすフィルタは、1つ以上の狭帯域色素と、1つ以上の青色吸収性標準色素とを含み、フィルタは、視感透過率が最大でも40%であり、390ナノメートルから425ナノメートルの間におけるフィルタ透過率が最大でも1%である。
[0069] いくつかの実施形態では、390ナノメートルから450ナノメートルの間におけるフィルタ透過率は、最大でも1%である。
[0070] いくつかの実施形態では、フィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである狭帯域色素を含み、狭帯域色素の濃度は、595ナノメートルにおけるフィルタの透過率が最大でも約10%となるように構成される。
[0071] 別の態様では、1つ以上の狭帯域色素と、随意の1つ以上の標準色素とを含み、フィルタは、色覚に所望の様式で変化をもたらすように構成され、眼科システムに組み込まれる。
[0072] いくつかの実施形態では、眼科システムは、眼鏡レンズ及び/又は窓、例えば眼鏡レンズ、サングラスレンズ又は顔面シールドを備えるタイプの眼鏡類である。いくつかのこのような実施形態では、フィルタは、視野の部分が位置しかつ近視野観察条件が生じる場所でその視野の部分が変化を受けるように組み込むことができる。いくつかのそのような実施形態では、フィルタは、視野の部分が位置しかつ遠視野観察条件が生じる場所でその視野の部分が変化を受けるように組み込むことができる。
[0073] 眼科システムが眼鏡類タイプであるいくつかの実施形態では、フィルタは、レンズ基体の表面に塗布されるコーティングに組み込まれる。
[0074] 眼科システムが眼鏡類タイプであるいくつかの実施形態では、フィルタは、レンズ基体のバルク材中に組み込まれる。
[0075] 眼科システムが眼鏡類タイプであるいくつかの実施形態では、フィルタは、レンズ基体のバルク材と、レンズ基体の表面に塗布されるコーティングとの両方に組み込まれる。
[0076] 眼科システムが眼鏡類タイプであるいくつかの実施形態では、レンズ組立体は、第2のフィルタを含み、第2のフィルタは、光発色性色素であり又はそれを含み、或いは直線偏光子であり又はそれを含む、或いは円形偏光子であり又はそれを備える。
[0077] いくつかの実施形態では、眼科系はコンタクトレンズを備える。
[0078] いくつかの実施形態では、眼科系は眼内レンズを備える。
[0079] 別の態様では、色覚に所望の様式で変化をもたらし、1つ以上の狭帯域色素を含むフィルタが、光学系に組み込まれる。
[0080] いくつかの実施形態では、光学系は光源組立体であり、フィルタは、光源によって放出された光の一部又は全部にフィルタをかけるように組み込まれる。
[0081] いくつかの実施形態では、光源組立体は、懐中電灯、ヘッドライト又は類似する携帯光源である。
[0082] いくつかの実施形態では、光学システムは、電球、照明器具又は類似する常設の光源である。
色覚に所望の様式で影響を及ぼすフィルタのための、最適化された色素配合式を設計する反復方法を描くプロセスフロー図である。 色覚に所望の様式で影響を及ぼすフィルタのための、色素配合式への候補改善を測定する方法を描くプロセスフロー図である。 所望の改善が比色分析性能測定規準の上昇である場合、候補改善フィルタについての改善を測定する方法を描くプロセスフロー図である。 所望の改善は、目標の白色点制約への追従の回復である場合、測定方法を示すプロセスフロー図である。 一般的な人の眼球におけるS錐体、M錐体、L錐体及び桿体光色素の吸収率スペクトル図である。 標準的な色名を有する領域、及び緑色と赤色との間の中間色を含む三角形領域を示す色度図である。 波長毎に白色点とスペクトル軌跡との間の距離を表し、及び緑色と赤色との間のスペクトル色に対応する波長を表す長方形の領域のグラフである。 選択された標準色素の光学濃度スペクトル図である。 標準的な黄色吸収性色素を含む青色フィルタの透過率スペクトル図である。 標準的な黄色吸収性色素を含む桃色フィルタの透過率スペクトル図である。 酸化ネオジムを含む青色フィルタの透過率スペクトル図である。 標準的な黄色吸収性色素、及び狭帯域黄色吸収性色素の光学濃度スペクトル図である。 選択された狭帯域色素の光学密度スペクトル図である。 単一の狭帯域色素を含む青色フィルタの透過率スペクトル図である。 単一の狭帯域色素を含む桃色のフィルタの透過率スペクトル図である。 複数の狭帯域色素を含む青色フィルタの透過率スペクトル図である。 複数の狭帯域色素を含む朱色フィルタの透過率スペクトル図である。 複数の狭帯域色素を含む灰色フィルタの透過率スペクトル図である。 複数の狭帯域色素及び/又は標準色素を含む、HEV(高エネルギ可視)放射線吸収フィルタの透過率スペクトル図である。 複数の狭帯域色素及び/又は標準色素を含む色覚異常補助フィルタの透過スペクトルである。 選択されたフィルタの白色点の位置、及びフィルタの色を分類するための色度領域を示す色度図である。 選択されたフィルタ実施例における視感透過率対赤色−緑色分離係数、及び比色分析フィルタ性能を分類するための3つの領域の散布図である。 レンズ基体上に結合コーティングとして塗布された機能色素ベースフィルタを含む眼科用レンズの構成を示す概略図である。 照明出力ビームと交差する光学窓として組み込まれた機能色素ベースフィルタを含む、光源組立体の概略図である。 近距離視野条件用の色覚に所望の効果を与えるためにフィルタを適用することができる、レンズ上の領域を示す図である。 遠距離視野条件用の色覚に所望の効果を与えるためにフィルタを適用することができる、レンズ上の領域を示す図である。 プロセスフロー図の構文及び構造が、他の図に現れるように明示し及び説明するためのプロセスフロー図の実施例である。 標準色素の規格化された光学密度スペクトルの表である。 DCBシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 DCPシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 ACEシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 狭帯域色素の規格化された光学密度スペクトルの表である。 DMBシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 DMPシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 CXBシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 CXVシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 CXNシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 UVHシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 ACRシリーズの光学フィルタの透過率スペクトルの表である。 ΨRG>1及び τν>0.40であるフィルタの特性表である。 ΨRG<1であるフィルタの特性表である。
[0124] 以下の詳しい説明を、異なる各図を通して同じ参照番号が類似する要素を指す図面を参照して読んで理解されたい。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、選択的な実施形態を描いており、発明の範囲を限定することを意図しない。詳しい発明は、本発明の原理を、限定としてではなく一例として例示する。この説明は、当業者が、本発明を作成及び使用することを明らかに可能にし、現段階で本発明を実施するための最良形態であると考えられるものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、改造物、変形例、代替物及び使用を説明する。本明細書及び添付の請求項において使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって別段の定めがない限り、複数を指すこともある。
[0125] 光学フィルタは、眼鏡類に組み込まれ、色覚を補助するために、特に色覚欠失者に良好な色覚をもたらすために、様々の有用な効果をもたらすことができる。米国特許出願第14/014,991号に記載されるように、色覚に所望の様式で影響を及ぼす光学フィルタに関連する設計上の制約は、線形プログラムの形態で容易に記述することができ、費用関数が与えられた場合、独自の眼球の最適解法を用いて迅速に解くことができる。このような制約は、例えば、フィルタを介して見たときの具体的な光源の外観に必要な色度及び/又は明度の限界が含まれる。合致した(可解な)線形プログラムの制約は、nを基礎要素の数としたとき、n次元の多面体を形成する。基礎要素は、例えば、光の各波長に対する単色光源(離散的なディラック−デルタ関数)であり、又はガウス基礎関数、又は透過率対波長の任意の関数とすることができる。さらに、線形プログラムに対する解の一般的特性は、それらが必然的にn次元制約多面体の頂点に位置することである。このタイプの最適条件は、費用が高い基礎要素を活用する前に、特定の基礎要素(例えば、費用が最小要素)の利用度を最大化することが常に好ましいという記述と同等である。最小及び最大スペクトル透過率に具体的な制約がないとき、最適なフィルタは、波長ごとに2値の透過率関数を有する必要があり、各波長においてフィルタが100%透過体又は100%遮断体の何れかであることを意味する。換言すれば、波長に対する透過率関数が滑らかに変化する任意のフィルタ解は、制約多面体の内部に位置する線形プログラム解に対応し、従って、制約条件に対する費用を最小化しない(又は等価的に利益を最大化しない)ので最適ではない。制約が具体化されている場合、例えば所定の光に対して必要最小限の光度を支配すると、制約は、最小スペクトル透過率の限界が低い領域につながる可能性がある。例えば、このような低い制約を使用すると、通過帯域から隣接する阻止帯域に延びる肩部特徴が現れることがある。要約すると、色覚に所望の様式で影響を及ぼすために最適化されたフィルタは、1つ以上のストップバンド(切込み)切欠きを備えたフィルタであり、そこでは各移行帯における勾配の絶対値は可能な限り高い。フィルタの移行帯におけるこの特性は、「先鋭部」、「狭帯域幅」、「高周波」、「高減衰係数」又は同様の用語として説明することもできる。
[0126] 説明した1つ以上の鋭いストップバンドを有するフィルタを実施するための手段は、誘電体スタック(光学無限インパルス応答フィルタと同等である)、偏光位相差板スタック(光学有限インパルス応答フィルタと同等である)、吸収性色素、蛍光性色素、及び上述した手段のうちの2つ以上を備える混合アプローチを含む。誘電体スタック及び偏光位相差板スタックは、ほぼ任意の目標フィルタ仕様に適応できる点で、両方とも一般的なタイプのフィルタ設計技術とみなすことができる。このような技術は、上述した線形計画法に基づく設計方法と一緒に使用するのに適している。しかしながら、色素の組合せに基づくフィルタのデザインにおいて、色素の非線形混合特性に適応させ反復アルゴリズムを用いて適切な色素配合式を決定する上で好ましい、異なる方法の使用が好ましいことがある。色素の特性は、本質的に非線形であり(Beer−Lambertの法則に従って特徴付けられる)、従って線形プログラム解法の入力としては適さない。加えて、色素ベースのフィルタのデザインは、追加の問題を引き起こし、1)色素は、内在する化学的性質のために離散選択に限定され、配合式に利用可能な色素の光学濃度スペクトルは容易に改変されないかも知れないこと、2)色素の分光吸収率、即ち高分子担体マトリックスは、理想的には選択できず、しばしば側波帯を有し、又はさもなればスペクトルの異種領域で吸収を引き起こすこと、3)色素は、審美的な影響をもたらす(特に眼鏡類に組み込む場合)可能性があるフィルタを着色することが含まれる。理論的に最適な目標透過率スペクトル(例えば線形計画法によって計算された)を考えると、目標を正確に近似するとともに、色覚に作用する所望の効果に関する適切な実行をもたらす色素の組合せを見出すことが困難なことがある。さらに、2つ以上の色素成分の複雑な配合式を含むフィルタについて、フィルタ特性は、配合式の任意のスカラー修正のもとで変化する。例えば、色素配合式がその色素に対して等しい割合で弱められ、視感透過率がより高い新しいフィルタに到達すると仮定する。弱められたフィルタは、目標視感透過率がこれと同じになるように設計された(例えば以下で説明する方法を使用して)フィルタよりも最適度が低い。
[0127] 色素(色素配合式を用いて特定される)の組合せに基づき、色覚に所望の様式で変化をもたらすフィルタを設計及び最適化するための反復法が、以下に詳しく説明される。この方法が、コンピュータ上で実施されると、色覚に所望の様式で影響を及ぼすフィルタのための色素配合式の自動最適化が可能になる。この方法によって提供される色素配合式は、そのようなフィルタの製造仕様の基礎として使用することができる。この方法及び/又は方法の変形例を用いて設計されたフィルタの実施例、色覚に関するフィルタの所望の効果、及び他の詳細な説明が、図14〜図20の説明と一緒に与えられる。本明細書に記載した方法は、比色分析性能測定規準に関して最適化されたフィルタのための色素配合式を生み出すことが可能であるとともに、1つ以上の制約、即ち所定の特定された光源の色度及び/又は明度に対する制約も満たす。本方法のいくつかの変形例では、比色分析性能測定規準は、赤色−緑色分離係数として定義され、以下で詳細に定義されかつ説明される。いくつかの変形例では、比色分析性能測定規準は、特定された組の基準色の色度全域領域である。いくつかの変形例では、比色性能測定規準は、高エネルギ可視光(即ち短波長の青色光)の透過率の最小化である。いくつかの変形例では、比色分析制約は、例えば標準発光体D65が特定の光度とされ、その色度(フィルタを通じて見た)が色度空間内で特定の領域内に限定されることを要求することによって、特定の白色光の光度及び/色度に関連する。いくつかの変形例では、比色分析制約は、例えば、黄色のLEDをフィルタを通じて見たとき、そのような光が視えるために必要な最小明度であることの要求によって、特定の黄色光の光度に関連する。いくつかの変形例では、比色分析制約は、視感透過率の一部、例えば約3分の1よりも小さい、暗順応透過率の制限に関連する(暗順応光は、波長が約430ナノメートルから約570ナノメートルの間である桿体細胞色素によって受光される光である)。
[0128] 図1は、デザイン基準の仕様が与えられたフィルタの色素配合式を最適化する前述の反復方法(アルゴリズム)の実施形態を描いたプロセスフロー図である。示したデザイン基準は、初期色素濃度101のベクトル、配合式(成分色素)に利用可能な色素の光学濃度スペクトル102、フィルタの目標白色点103(例えば所望のCIE1932(x、y)基準光源の色度座標)、及び基準光源104のパワースペクトルを含む。基準光源は、典型的にはCIE標準発光体D65であるが、日光、又は蛍光灯、又は発光ダイオード、又は他の特定の光源のような別の光源のそれの異なる様相とすることができる。設計基準は、色素配合式の最適化アルゴリズム105への入力として与えられ、その中で反復プロセスが行われ、色素濃度の初期セットは、プロセスが終了するまで反復的に更新され、終了時の色素濃度の状態は、最適化された色素濃度112のセットである。
[0129] 反復プロセスは、初期色素濃度及び成分色素光学濃度スペクトルを用いてフィルタをシミュレートすることによって初期化される。典型的には、初期色素濃度は全てゼロであり、すなわち最初にシミュレートされたフィルタは完全に透明である。シミュレートされたフィルタは、次いで、特定の白色点制約に関してチェックされる。フィルタの白色点は、適切な色空間、例えばCIE Yxy又はCIE LUV色空間における二次元色度座標の観点から計算される。白色点制約チェックは、目標白色点103と、基準光源に対して現在シミュレートされたフィルタによって与えられる白色点との間の距離を測定する工程を含む。目標白色点が単一点であれば、距離はベクトル長である。目標白色点が二次元領域にあれば、距離は、現在与えられる白色点を領域の境界へ結ぶ最短線の長さであり、或いは領域の境界上に位置し又は領域内に位置する点についてゼロである。距離値が適切に選択されたイプシロンよりも小さい、例えばCIE(x、y)色度空間で約0.001単位であれば、フィルタ白色点チェックは、合格である(すなわち、適合している)とみなされる。いくつかの変形例では、より大きなイプシロン値(例えば、CIE(x、y)色度空間で0.05単位)を選ぶことができ、より大きなイプシロン値を使用することは、円形の、湾曲した又は丸めた目標白色点領域を定めることと同等である。フィルタの白色点チェックが合格であるとみなされれば、フィルタの比色性能の改善を考慮するサブプロセス108を実行する。チェックが合格ではない(すなわち追従でない)とみなされると、フィルタ白色点追従への改善を考慮するサブプロセス107を実行する。前述した2つのサブプロセス107、108は、現行色素配合を分析し、次いで新しいシミュレートフィルタに対応する新しい色素配合を選択する。これらのデータは、フィルタの視感透過率を測定する別のサブプロセス110に与える。視感透過率が目標明度以下であれば109、色素配合式の最適化プロセスは終了し、現行色素濃度が最終的な最適化色素配合式として出力される112。視感透過率が目標明度よりも大きければ、色素濃度ベクトルが更新され111、上述したプロセスフローは、フィルタ白色点チェック工程106に戻ることによって繰り返される。
[0130] 示したプロセスループを実行する毎に、色素の1つの濃度が上昇し、現行シミュレートフィルタに非線形変換を引き起こす。各反復で濃度が単調に上昇するにつれて、フィルタの明度は反復ごとに小さくなり、プロセスは、フィルタが所望の目標明度に達したとき最終的に終了する。各反復において、色素濃度の変化量は、小さな離散ステップに達し、それは、nを配合式のために使用可能な色素のセットから与えられる色素光学濃度スペクトル102の数とすると、n次元の空間内で時間につれて連続線に近似する。結果として生じるフィルタの最適性は、この線に沿った各工程の最適性の結果である。各々のサブプロセス106及び107で最適な工程を選択する方法は、以下でさらに詳しく説明される。
[0131] 図1のサブプロセス106及び107は、両方とも、色素配合式への可能な改善を考慮し、可能な改善をシミュレートするための共通のアルゴリズム構造を使用し、次いで改善された候補フィルタの有効性を測定し、次いで候補オプションから利用可能な最良の改善を選ぶ。この一般的なプロセスの説明を図2に描く。サブプロセス106及び107は、異なるタイプの改善を考慮したこの一般的なプロセスの2つの変形例に対応する。異なるタイプの改善に対する有効性の計算が、以下で図3及び図4の説明と一緒に説明される。
[0132] 次に図2を参照すると、一組の候補改善が与えられた色素配合式に対する最適な改善を選択する方法が、プロセスフロー図として描かれる。本明細書では、プロセスは、現行セットの色素濃度201、配合式で利用可能な一組の色素の光学濃度スペクトル202、及び色素配合式による濃度に対応する成分色素の混合物に対応する現行シミュレートフィルタ204、現行フィルタの透過率スペクトル206、及び一組の各色素に対応する色素増分から成る色素濃度増分203から初期化される。色素濃度の増分は、例えば総濃度を約0.001単位上昇させることによって、対応する色素濃度が上昇する少量である。少ない色素増分値は、経時的に考えると、各色素濃度の連続的変化に近似する。増分の大きさは、連続性が良い近似を生成するために適切に選択する必要があり、さもなければ、アルゴリズムが最適ではない解をもたらすことがある。各色素濃度増分について、対応する色素の濃度が増分に応じて上昇した、現行色素配合式に対応するフィルタがシミュレートされ205、結果として候補フィルタの透過率スペクトルが収集される207。色素増分に対応する各候補フィルタについて、候補フィルタと現行フィルタ206との間の比較を含む、色素増分に関する改善有効性が計算される209。次いで、色素増分有効性スコアが収集され210、次いで、最良の性能を有する色素増分を選ぶように選別されて211、その結果更新されかつ最適に改善されたフィルタ212と、改善フィルタ213に対応する色素濃度213と、最適値214として選ばれた色素増分に対応する有効性スコアとが得られる。次いで、新しい色素濃度は、図1と一緒に上述した囲みルーチンに戻る。さらに、有効性スコア214は、各工程で監視され、囲まれた反復設計方法を実行するときに達成された改善の量に関する洞察を得ることができる。
[0133] 比色分析性能測定規準に関して、現行フィルタ301と比較した候補改善フィルタ302の計算が図3に描かれる。計算は、現行フィルタ303及び候補フィルタ304の両方の比色分析性能を評価し、現行フィルタ305及び候補フィルタ306の視感透過率を計算することによって初期化される。次いで、両方の量の変化量が計算され、現行フィルタと候補フィルタとの間の比色分析性能の変化量307と、現行フィルタと候補フィルタとの間の明度の減少量308とが得られる。候補フィルタは、常に現行フィルタよりも視感透過率が低いが、比色分析性能は、候補フィルタの配合式でどの色素濃度が増分されたかに応じて、より大きく又はより小さくできる。2つの差異は、次いで、比309として比較されて視感透過率の変化毎に比色分析性能の変化率を与え、比色分析性能に関して対応する色素増分310の改善有効性の測定基準として理解することができる。
[0134] 上記計算において、現行色素配合式及び対応するフィルタ、並びに配合式のために利用可能な一組の色素が与えられれば、比色分析性能を改善するのに最も効果的な色素の濃度を上昇させることが望ましいが、有益には、配合式に「付加する」ことができる色素の総量は、フィルタの目標明度によって制限されると理解される。従って、比色分析性能を最大に向上させる色素は、それがフィルタ明度をどの程度低下させるかの観点で費用が高い場合には、濃度を上昇させる上で最適な色素ではない可能性がある。利用可能な明度を、色素濃度を上昇させることによって生じる、浪費する資源/負担する費用であると考えれば、向上させる最適な色素は、明度と比色分析性能との間の最良の費用対利益比を与える色素である。上述した図3の計算は、その費用対利益比の計算として理解することができる。
[0135] 色素濃度式から最適なフィルタを設計する方法の他の変形例では、各色素毎に色素増分の大きさを変えることができ、その結果各工程において、明度の変化は、全てのフィルタ候補について一定に保たれる。
[0136] 色覚に所望の様式で影響を及ぼすための適切な比色分析性能測定基準の選択が、以下で、それに応じて設計されたフィルタの実施例と一緒にさらに詳しく説明される。
[0137] 色素配合式に対する候補改善の評価に関する別の計算が図4に示され、ここで目的は、現行フィルタにおける、目標白色点制約への追従の回復に関する改善効果を決定することである。この計算では、現行フィルタの透過率スペクトルが評価されて401、目標白色点までのその距離405及びその視感透過率407が決定される。候補改善フィルタ402は、406及び408にて同じ物に従って評価される。目標白色点までの距離は、前述した色度座標、又は色度空間内の領域とすることができる目標白色点404に関して、及び同様に前述した基準光源403に関して定義される。次いで、目標白色点距離及び明度値は、それぞれ409及び410にて差分演算で比較され、411にて比率計算に入力されて、白色点制約基準に関する候補フィルタの改善の全体測定基準が決定される。
[0138] 丁度説明した計算の基礎特性は、図3のそれと同様であり、目的は、候補フィルタに対応する色素増分の費用対利益比を決定することである。しかしながら、図4に示す計算では、有効性が最大である色素は、フィルタの明度の減少が最小限でありながら、目標の白色点距離を減少させる色素である。換言すれば、フィルタを不必要に暗くすることなく、白色点への追従を回復することが望ましい。
[0139] 上記計算の別の変形例では、407及び408における明度計算は、図3の303及び304における比色分析性能測定基準で置き換える。この変形例では、最大の有効性を有するフィルタ候補は、比色分析性能の低下を最小にしながら、白色点追従を回復するフィルタ候補である。
[0140] 図1に描いた反復方法は、以下で、図2、図3及び図4によって定めたサブプロセスの詳細と一緒に、方法の詳しい説明として理解することができ、色覚に所望の様式で影響を及ぼすことを意図するフィルタは、その方法によって、一組の利用可能な色素からの色素濃度の配合式として設計することができる。
[0141] 反復方法の1つの変形例では、反復は実質的に上述したように進行し、各工程において、プロセスは、目標白色点制約追従又は所望の比色分析性能の何れかの改善を考慮する。色素の増分値を十分に小さくするには、この方法が適切かもしれないが、場合によっては、反復プロセスの高次バージョンが好ましい場合もある。このような変形例では、プロセスの反復が帰納的に計算されて、異なる色素増分選択によるいくつかの工程の後にフィルタ候補の最適性をシミュレートし、次に、このより大きなセットの候補を考慮して最適な選択に対応する色素増分を選択する。可能な帰納的計算の深さは、利用可能な計算資源(例えば、プロセッサ時間及びメモリ)によって制限される。別の変形例では、2つ以上の色素成分の変化を誘発する色素増分を考慮することができ、すなわち「工程方向」は、n次元解法空間の1つの軸のみにおける動きに限定されない。
[0142] 所定の用途に好ましいフィルタをもたらすように構成されたプロセスの追加の変形例が、以下で、追加の図と一緒に詳しく説明される。
[0143] 色覚に有用な様式で影響を及ぼすフィルタは、光学系に組み込まれると、系を通過する光のパワースペクトルを変更する分光透過率を与える。このようなフィルタは、適切な製造手段が与えられれば、眼鏡類又はコンタクトレンズに組み込んで、例えば眼によって受け取った画像を変換することができる。このようなフィルタはまた、光源組立体に組み込んで、光を作業領域を照らすために使用するように変換できる。
[0144] 人間の色覚の性質は、目の中の光受容体の分光感度に基づいており、その各々は、可視スペクトル内の特定のサブバンドの光に幅広く応答する。光受容体色素の規格化された吸収率が図5のグラフに示され、S錐体吸収率501は約440ナノメータにピーク吸収率を有し、M錐体吸収率503は約540ナノメートルにピーク吸収率を有し、L錐体吸収率504は約565ナノメートルにピーク吸収率を有し、桿体細胞吸収率502は約510ナノメートルにピーク吸収率を有する。人間における色の知覚は、隣接する三種類の、網膜の表面上の六百万〜七百万の光受容体細胞の寄せ集めで一緒に詰めた、光受容体の相対的な刺激を比較することによって形成される。
[0145] 可能な全ての可視パワースペクトルの空間は、知覚される色及び明度の三次元空間上に投影される無限次元のベクトル空間である。投影は、ヒルベルト空間の数学的概念として説明される。通常の色覚を有する人間は、約百万個の独特の色合いを区別することができる。同じ色の感覚を誘発する異なるスペクトル刺激は、異性体と呼ばれる。3つの異なる錐体クラスに基づく視覚は、三色の色覚と呼ばれる。見かけの色の三次元空間は、本質的に直交する知覚である3つのチャネル、すなわち明度又は輝度のチャネル(白から黒にまたがる)と、青色−黄色のチャネル(色知覚をそれらの青さによって黄色へ配列する)及び赤色−緑色チャンネル(色知覚を赤みによって緑色へ配列する)備える2つの色度チャネルとに分解することができる。青色−黄色チャネルは、S錐体刺激対と、組み合わせたM錐体刺激及びL錐体刺激との比較に対応する。赤色−緑色チャネルは、M錐体刺激とL錐体刺激との比較に対応する。錐体細胞刺激からの視覚は、明順応視覚と呼ばれ、桿体細胞刺激からの視覚は、暗順応視覚である。桿体細胞光受容体は、明るい光によって覆われ(脱色し)、従って単色の視覚機構である暗順応は、夜間及び/又は非常に低い光条件下でのみ活発である。夜間に車を運転するなどの活動は、車のヘッドライト及び信号機の明るさため、実際に錐体は明順応を使用して行う。
[0146] 図5の光受光体吸収率のグラフから、吸収率曲線の間、特にM錐体とL円錐との間に実質的な重複があることが分かる。さらに、人間集団には、M錐体及びL錐体のスペクトル位置を個体間で変化させる遺伝的変異がある。M錐体吸収率とL錐体吸収率との間の重複が増加した人は、赤色−緑色の色覚異常と呼ばれるが、この状態は色覚欠失(CVD)と呼ぶ方が技術的に正しい。CVDは、タイプに応じて(M錐体(緑色弱)又はL錐体(第1の色弱)の異常の何れかの)、又は程度に応じて(軽度、並み、重度又は全体であり得るに対応する)に分類される。重複が全体よりも少ないCVDの場合、三色性視覚は、かなり機能を損なっているかも知れないが、依然として機能する。軽度の損傷では、知覚可能な色の数は、10万(通常の10%)まで低下することがあるが、健康な個人では、それは1万(通常の1%)と可能な限り低くなり得る。本明細書中に開示されたフィルタは、一般に、正常な三色性視覚を含む三色性視覚の増強と、異常な三色性視覚の大部分の増強とに有用であることが分かっている。これらのフィルタが色覚をどのように修正するかの基本的なメカニズムは、それらは、光色素吸収率曲線間にかなりの重複量がある場所に対応する、波長の光を選択的に見えなくすることである。赤色−緑色色覚異常に加えて、他のタイプの異常な三色性視覚は、第3の色覚異常(S錐体機能が欠失した状態)、色感受性の一般的な喪失(色素性網膜炎及び緑内障などの低視覚合併症でしばしば経験される状態)、及び不完全な色素沈着症(錐体細胞の重大な機能不全又はほぼ完全な欠乏に関連するが、機能する桿体細胞を有する状態、「昼盲」とも呼ばれる)を含む。
[0147] 赤色−緑色色覚異常を助けるフィルタ、特に高い視感透過率も有するフィルタを設計する目的のために、本明細書では計算が容易な比色分析性能測定規準が提供される。測定規準は、本明細書では赤色−緑色分離係数と呼ばれ、本開示ではΨRGとも示される。フィルタの透過率スペクトルτ(λ)が与えられると、赤色−緑色分離係数の計算は、下式に従って与えられる。
ΨRG = ((τν × ((((τG + τR) / 2) / τY) - 1)) / (1 - τν) + 1)
上式中、τνはフィルタの視感透過率、τGは500ナノメートルから550ナノメートルの間におけるフィルタの平均分光透過率、τYは555ナノメートルから600ナノメートルの間におけるフィルタの平均分光透過率、τRは600ナノメートルから650ナノメートルの間における一組の平均フィルタの分光透過率である。フィルタの目標明度が約40%よりも大きいとき、比色分析性能測定規準としての赤色−緑色分離係数を、開示された反復フィルタ設計方法とともに使用するのが好ましいことが、本発明者によって見出された。40%よりも小さい目標明度については、(米国特許出願第14/014,991号に記載された)一組の基準色の全色度領域のような他の比色分析性能測定規準がことが好ましいしい場合がある。
[0148] 図6に示した色度図は複数の領域を含み、領域には、それらの単純化した色名に従って英数字コードを使用して名前を付ける。高い赤色−緑色分離係数を有するフィルタには、赤色(R)と緑色(G)との間にあると考えられるスペクトル色に対応する光の波長にわたって透過率の阻止帯域又は一般的阻害の特徴がある。スペクトル色は、単色光の見かけの知覚色であり、色度図のスペクトル軌跡上に位置する色度座標に対応する。単色光は、波長が約580ナノメートルでは黄色(Y)とみなされ、波長が555から580ナノメートルの間では、緑色を帯びた黄色(yG)、黄色を帯びた緑色(yG)、又は黄緑色(YG)とみなされ、波長が590から610ナノメートルの間では、黄色を帯びた橙色(yO)、橙色(O)、赤色を帯びた橙色(rO)であるとみなされる。これらの領域は、一緒にすると、ほぼ赤と緑との間の中間色に広がり、これらの波長の透過を抑制するフィルタは、人工及び自然の環境で一般的に観察される、赤色及び緑色の見かけの飽和度を増幅する傾向がある。波長が555ナノメートルである単色光の色の色度軌跡上の位置が601で示され、波長が600ナノメートルである単色光の色の色度軌跡上の位置が602に示される。標準発光体D65に対応する色度図上の点を603に示す。603と601とを結ぶ直線及び603と602とを結ぶ直線は、これらの単色性色覚の色座標から特定白色点までの距離を定める。
[0149] 図7のプロットは、波長毎に、色度軌跡から特定白色点までの距離のグラフ701を示す。このグラフでは、703及び704に2つの最小値が記録され、それぞれ黄緑色及び黄色とみなされる単色光に対応する。全ての単色光のうち、黄緑色及び黄色は白に「最も類似する」と考えられ、従って距離が色の知覚差に比例するか又はほぼ比例する任意の色空間において、白への距離が最小であることが予期される。このプロット上で、702の領域は、前述したように、約555ナノメートルから約600ナノメートルの間における光のサブバンドを示す。
[0150] 1セットの発光体D標準色素の光学濃度スペクトルが図8にプロットされる。本明細書において「標準色素」という用語は、吸収性眼科用レンズ(例えば、サングラスレンズ及び他の着色レンズ)で一般的に使用される色素化合物を指し、本開示の目的のために、半値全幅(FWHM)が約40ナノメートルよりも大きく、この特性を全て満たす図8の色素光学濃度スペクトルによって例示されるようなあらゆる色素として技術的に定義される。本開示では、光学濃度スペクトルのデータは、ピーク吸収率の波長で1.0の最大値に規格化される。規格化された光学濃度から物理的濃度の単位(例えば、ミリメートル当たりの百万分の一)への変換は、均等目盛係数にデータを乗算することよって容易に実行できる。このような変換は、単純な実験によって得られ、又は多くの場合製造業者の色素データシートから直接得られる、色素強度に依存する。
[0151] 本明細書に記載された標準的な色素は、化学顔料(アントラキノン、ペリノン、ジアゾ、モノアゾ、ローダミン及びその他を含むが、これらに限定されない)に基づく。色素は、イリノイ州シカゴのKeystone Aniline社からKeyplast(登録商標)ブランドで市販されており、キャスティング(例えばキャストアクリル)、射出成形(たとえば、ポリカーボネートを使用する)又はコーティング(例えば、スピンオン又は浸漬プロセスよって塗布されたポリウレタン又はアクリルコーティング)を含む様々な方法で、光学フィルタ及び眼科用レンズに組み込むことができる。色素顔料を眼科用レンズに組込み可能な別のプロセスは、流体及び顔料の加熱溶液槽にレンズを浸漬することを含み、色素顔料分子は、拡散によって染色可能なハードコートの多孔質表面に埋め込まれる。プロセスは、時々眼科用処理研究室で使用され、少量生産の注文染色されたレンズ製品を製造する。得られた色合いは、本明細書に記載した標準色素と実質的に同様の透過率スペクトルをもたらし、他の製造業者に加えて、カリフォルニア州、サンディエゴのPhantom Research試験所からOpti−Safe(登録商標)ブランドで市販される。標準的な色素の商業的供給業者はまた、標準的な色素の予め混合された化合物(混合物)を提供する共通の色を形成する。例えば、カラーブラックには、理想的な中間濃度フィルタに近似するために、いくつかの標準的な色素の混合が必要である。
[0152] 本開示では、標準色素は光発色性色素も含み、それらは、広範囲の色でも利用可能であり、かつ類似の広帯域スペクトル透過率特性を有することも理解される(例えば、Vivimed Labs社によって製造され、Keystone Aniline社によって流通されるReversacol(登録商標)ブランドの光発色性色素)。光発色性色素の挙動は、周囲のUV放射の量に応じて時間的に変化するが、そのような変化は、2つの状態、即ち光発色性色素が活性化されない第1の状態(即ち弱光状態)と、平均昼光(即ち露光状態)に従って光発色性色素が活性化される第2の状態とで、フィルタ特性を分析することによって合理的に近似することができ、光発色性色素を含むレンズの露光状態及び弱光状態を測定する方法は、ANSI Z80.3−2010セクション5.7によって与えられる。
[0153] 再び図8を参照すると、光学濃度スペクトル801は、本開示ではSD415Yと呼ぶ青色吸収性色素に対応する。光学濃度スペクトル802は、本開示ではSD435Yと呼ぶ青色吸収性色素に対応し、ブランド商品Keyplast(登録商標)イエローYCで市販される。光学濃度スペクトル803は、本開示ではSD510Rと呼ぶ青緑色吸収性色素に対応し、ブランド商品Keyplast(登録商標) Orange LFPとして市販される。光学濃度スペクトル804は、本開示ではSD565Pと呼ぶ黄緑色の吸収性色素に対応する。光学濃度スペクトル805は、本開示ではSD600Vと呼ぶ黄色吸収性色素のそれに対応する。光学濃度スペクトル806は、本開示ではSD675Bと呼ぶ赤吸収性色素の光学濃度スペクトルに対応する。特定の色(例えば、黄色)を吸収する色素は、光学系に加えると、白色点を反対の有彩色に向かって(例えば、青色に向かって)にシフトさせる。上述した色素の規格化された光学濃度は、400ナノメートルから700ナノメートルの間において5ナノメートルの間隔で図26に一覧表にされる。波長は、見出し「nm」の下の行に現れ、色素光学濃度スペクトルは、上方に列挙された見出しの下方に現れる(例えば、SD415Yなど)。
[0154] 赤色−緑色分離係数(ΨRG)を上昇させる標準色素の組合せに基づくフィルタの実施例が、以下で、図9及び図10と一緒に説明される。これらの実施例はまた、約40%よりも大きい目標明度(τν)と組み合わせた、ΨRGに加わる達成可能な制限を実証するために選択される。
[0155] 一連のフィルタ(まとめてDCBシリーズと呼ぶ)の透過率スペクトルが図9にプロットされる。グラフの901は、視感透過率が約40%のフィルタに対応し、本開示ではDCB40と呼ぶ。先述した標準色素のセット及び図26の表に示すそれらの光学濃度を参照すると、DCB40の色素配合式は、以下で表現できる。
DCB40=0.252×SD565P+0.599×SD600V
上式中、数字0.252及び0.599は色素濃度に対応し、SD565P及びSD600Vは、この化学式に含まれる規格化された光学濃度スペクトル(図26に一覧表にされる)に対応し、コードDCB40の単位は光学濃度であり、所定の色素混合物からなるフィルタを備える光学系の透過率は、以下で与えられる。
τDCB40=10(-1.0×DCB40)
[0156] 図9に戻って、グラフの902は、視感透過率が約55%であるフィルタに対応し、本開示ではDCB55と呼ばれ、色素配合式を以下に示す。
DCB55=0.168×SD565P+0.399×SD600V
グラフの903は、視感透過率が約70%であるフィルタに対応し、本開示ではDCB70と呼ばれ、色素配合式を以下に示す。
DCB70=0.0839×SD565P+0.2×SD600V
[0157] DCBシリーズのフィルタは、青色とされ(すなわち、フィルタを通過する白色光に青色の色合いを与える)、赤色−緑色分離係数が0.7から0.8の間である。これらのようなフィルタは、一般に、審美的目的で眼科用レンズを着色するために使用できるが、赤色及び緑色の強調に関する比色分析性能は重要ではない。DCBシリーズのフィルタの透過率スペクトルは、図27の表で5ナノメートル(nm)の段に与える。
[0158] 図10には、DCPシリーズと総称される別の一連のフィルタの透過率スペクトルがプロットされる。これらのフィルタは、桃色を帯びた白色点を有する(すなわち、フィルタを通過する白色光に桃色、赤色又は紫色を帯びた色を与える)。これらのフィルタは、赤色−緑色分離係数が0.6から0.7の間である。本明細書に描いたのと同様の透過率曲線を持つフィルタは、色覚欠失のための視覚補助具として市販することができる。このようなフィルタの桃色を帯びた色は、消失板式色覚異常スクリーニング試験(例えば、石原板試験、HRR板試験など)のデザインでは、擬似等色性要件を崩壊させる傾向があるが、実際の用途では、それらは、多くの場合、暗すぎる及び/又は十分に効果的でないことが判明した。
[0159] 再び図10を参照すると、グラフの1001は、視感透過率が約40%のフィルタの透過率スペクトルに対応し、本開示ではDCP40と呼ばれ、色素配合式を以下に示す。
DCP40=1.07×SD565P
グラフの1002は、視感透過率が約55%のフィルタの透過率スペクトルに対応し、本開示ではDCP55と呼ばれ、色素配合式を以下に示す。
DCP55=0.713×SD565P
グラフの1003は、視感透過率が約55%のフィルタの透過率スペクトルに対応し、本開示ではDCP70と呼ばれ、色素配合式を以下に示す。
DCP70=0.357×SD565P
[0160] DCPシリーズのフィルタの透過率スペクトルは、図28の表で5ナノメートル(nm)の段に一覧表になっている。
[0161] 以上で提示したDCB及びDCPシリーズフィルタの低い性能(1.0よりも小さい赤色−緑色分離係数に注目することによって定量化可能である)は、それらの成分色素の結果であり、スペクトル吸収曲線が比較的広い標準色素である。赤色−緑色分解を増強するために好ましく、ある種の形態の赤色−緑色覚異常者を潜在的に補助するフィルタは、赤色−緑色分離係数が1.0よりも大きい、より好ましくは1.25よりも大きい、より好ましくは1.5よりも大きい必要がある。標準色素の広帯域吸収率は、スペクトル選択性が悪いフィルタにつながる。フィルタに好ましい赤色−緑色分離係数を与えるためには、非標準的な光学材料を使用する必要がある。
[0162] 非標準的な吸収性光学材料の一例は、所定の希土類酸化物、特に、特性吸収帯が約570ナノメートルから約590ナノメートルの間である酸化ネオジムである。酸化ネオジムを含む市販のガラスは、ACE Blauと呼ばれ、Barberini SpAによって販売される。本明細書の赤色−緑色分離係数性能測定規準に関する特性をより良く理解するために、幅広い範囲の光路長におけるACE Blau材料の性能を分析する。次に図11を参照すると、グラフの1101は、ACE Blauガラスの1.8ミリメートルの厚さに対応する。対応するフィルタは、本明細書ではACE40と呼ぶ。ACE40では、赤色−緑色分離係数が約0.64でかつ視感透過率が約40%である。グラフの1102は、ACE Blauガラスの1.2ミリメートルの厚さに対応する。対応するフィルタは、本明細書ではACE55と呼ばれ、約55%の視感透過率及び0.75の赤色−緑色分離係数をもたらす。グラフの1103は、ACE Blauガラスの厚さ0.6ミリメートルに対応する。対応するフィルタは本明細書ではACE70と呼ばれ、約70%の視感透過率及び0.84の赤色−緑色分離係数をもたらす。ACEシリーズのフィルタは青灰色を有し、すなわち、白色点は、青色に向かう傾向があるが、上述したDCBフィルタ群よりも強く着色されない。これらのフィルタの着色は、(その飽和度が低いので)先述したDCB及びDCPシリーズの着色よりも好ましいが、ACEシリーズは、色覚欠失に対する光学補助具として販売されるほど色覚に対して十分強い効果を有するとは考えられない。ネオジム酸化物ベースのフィルタに根本的な問題は、約520ナノメートルの吸収帯の存在であり、それは特に緑色の品質を低下させる。
[0163] ACEシリーズのフィルタの透過率スペクトルは、図29の表の5ナノメートル(nm)段で提示される。
[0164] 非標準光学材料の別の実施例は狭帯域色素である。本明細書では、狭帯域色素は、最大吸収波長付近でのFWHMが40ナノメートル以下である光学濃度スペクトルを有する色素であると定義する。狭帯域色素は、専売の有機化学配合物に基づく。狭帯域色素は、オハイオ州、デイトンのエクシトン社、及びニューヨーク州ビンハンプトンのクリスタリン社を含む販売元から市販される。
[0165] 図12に示すプロットは、両方とも黄色光を吸収する2つの色素の規格化された光学濃度スペクトルを示し、その一方は標準色素であり、他方は狭帯域色素である。このプロットには、標準色素と狭帯域色素との間にかなりの差がある。グラフの1201は、先述した色素SD600Vの光学濃度に対応する。色素SD600VのFWHMは、約85ナノメートルである。グラフの1202は、本開示でNBD595と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度に対応する。色素NBD595のFWHMは、約20ナノメートルであり、標準色素のそれよりもかなり小さい。
[0166] 狭帯域色素の集合の規格化された光学濃度スペクトルが図13にプロットされる。これらの選択された色素は、商業的に入手可能な色素のほんの一部を表すに過ぎないが、これらは、色覚に所望の様式で影響を及ぼすためのフィルタの配合式に最も有用であることが判明した色素から選択される。他の候補色素(例えば、約565ナノメートルで吸収率がピークになる色素)が、起草者によって本明細書に記載の反復法を使用して試験され、有用であるとは認められず、すなわち、最適な配合式は、常に、望ましくない色素の濃度がゼロであることに帰する。グラフの1301は、本明細書でNBD405と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton ABS510の商品名で市販される。グラフの1302は、本明細書でNBD425と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton ABS527の名称で市販される。グラフの1303は、本明細書でNBD475と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton ABS473の名称で市販される。グラフの1304は、本明細書でNBD490と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton P491の名称で市販される。グラフの1305は、本明細書でNBD575と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton ABS575の名称で市販される。グラフの1306は、本明細書でNBD595と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton ABS595の名称で市販される。グラフの1307は、本明細書でNBD670と呼ぶ狭帯域色素の光学濃度スペクトルに対応し、Exciton ABS668の名称で市販される。上記市販色素のための置換色素は、Crysta−Lyn製品カタログに見出すことができ、そのような置換は、本開示によって理解される。
[0167] 上述した狭帯域色素の規格化された光学濃度スペクトルは、図30の表で5ナノメートル(nm)の段に提示される。
[0168] 高明度(すなわち、視感透過率が40%よりも大きい)と組み合わせて、高い赤色−緑色分離係数(すなわち、1.0よりも大きい)をもたらすフィルタの実施形態が、図14及び図15とともに以後に説明される。これらの実施例は、単一の狭帯域色素成分のみを含むフィルタであり、それらは、単に、所望の視感透過率が達成されるまで単一色素濃度を変更する、普通のデザインプロセスによって容易に設計される。
[0169] 図14は、色素成分NBD595のみを含む一連のフィルタ用の透過率スペクトルを示す。これらのフィルタは、本明細書ではDMBシリーズと呼ぶ。グラフの1401は、視感透過率が40%でかつ赤色−緑色分離係数が2.5である、DMB40と呼ぶフィルタに対応する。DMB40の配合式を以下に示す。
DMB40=4.31×NBD595
グラフの1402は、視感透過率が約55%でかつ赤色−緑色分離係数が1.97である、DMB55と呼ぶフィルタに対応する。DMB55の配合式を以下に示す。
DMB55=2.15×NBD595
グラフの1403は、視感透過率が約70%でかつ赤色−緑色分離係数が1.82である、DMB70と呼ぶフィルタに対応する。DMB70の配合式を以下に示す。
DMB55=1.08×NBD595
[0170] DMBシリーズのフィルタの透過率スペクトルが、図31の表で5ナノメートル(nm)の段に提示される。
[0171] DMBシリーズのフィルタは、1.8から2.5の間の赤色−緑色分離を大量に生成する。より暗い実施形態(DMB40及びDMB55)は、眼科用レンズとして一般的な屋内用途には暗すぎる可能性がある。このようなフィルタの低分光透過率はまた、眼鏡類の一般的な使用に危険をもたらす可能性があり、すなわちスペクトルの何れかの点において、透過率が視感透過率(τν)の約5%又は1/10のより小さい方を下回って低下すると、結果として得られるフィルタにより、所定の人工光源の外観が、一般的な安全性を確保するには暗過ぎることになる。たとえば、黄色のLEDライトは、交通信号などの警告表示灯としてよく使用される。眼科用レンズのフィルタ作用のせいで、そのような光を見損ねることは安全上の懸念事項である。このシリーズの最も明るい実施形態(DMB70)は、全体明度をわずかに低下させ(視感透過率が70%)、説明したような、最小分光透過率の必要性に適合する好ましい透過率スペクトルを有する。この特定の実施形態は、起草者によって眼鏡類で試験され、広範囲の一般的な屋内、微光及び夜間の用途に適切であることが見出されたが、同時に、赤色−緑色知覚にかなりの改善ももたらす。DMBシリーズの追加的な好ましい特性は、それらは暗順応透過率に最小効果しかなく又は効果がなく、換言すれば、暗視能力(桿体細胞によって仲介される)は、このようなフィルタを備えるレンズの装着によって影響されないことである。DMBシリーズのあまり好ましくない特性はそれらの色であり、色は、フィルタを通して直接見ると青色とみなされるが、レンズの後ろに置いた反射物のために光路長が2倍になると、青紫色に変化する。特に、眼鏡類に組み入れ、顔に着用すると、肌の見かけの色は、紫色又は薄紫色を帯び、それは気がかりかつ不自然に見える。眼鏡類に使用するのに適したフィルタは、顔に装着すると、青色、桃色、赤色、黄色、茶色又は灰色の色観を持つ必要がある。従って、DMB70のようなフィルタの実施形態は、コンタクトレンズ又はスポッティング望遠鏡組立体のような、外部の観察者に着色が見えない眼用システムに組み込むフィルタを考慮すると、好ましい選択であり得る。
[0172] 別の一連のフィルタの透過率スペクトルが示され、フィルタは、図15に示すように単一の狭帯域色素成分のみから成る。グラフの1501は、視感透過率が40%でかつ赤色−緑色分離係数が2.28である、DMP40と呼ぶフィルタに対応する。DMP40の配合式を以下に示す。
DMP40=3.58×NBD575
グラフの1502は、視感透過率が約55%でかつ赤色−緑色分離係数が2.15である、DMP55と呼ぶフィルタに対応する。DMP55の配合式を以下に示す。
DMP55=1.83×NBD575
グラフの1503は、視感透過率が約70%でかつ赤色−緑色分離係数が1.98である、DMB70と呼ぶフィルタに対応する。DMP70の配合式を以下に示す。
DMP70=0.875×NBD575
[0173] DMPシリーズのフィルタの透過率スペクトルが、図32の表で5ナノメートル(nm)の段に提示される。
[0174] DMPシリーズは、通常桃色と説明される色観である。顔に眼鏡類で、特に暗いDMP40及びDMP55の装着のために着用したとき、色観が異常に強くなり、審美的に満足できないことが分かる。
[0175] DMP70フィルタ及びDMB70フィルタは、コンタクトレンズで使用することが好ましいが、コンタクトレンズの使用には高い視感透過率(例えば、少なくとも70%)が必要であり、説明したような着色に伴う美的問題は無関係である。加えて、赤色弱又は緑色弱の色覚欠失を補助するためのコンタクトレンズの適用に関して、DMB70フィルタの透過率スペクトルは、緑色弱の色覚欠失の使用に好ましく、DMP70フィルタの透過率スペクトルは、赤色弱の色覚欠失の使用に好ましい。この選択は、以下の観察、すなわち1)赤色弱の個人は、長波長の可視光(即ち赤色光)に対する感受性の減少を経験し、及び2)赤色弱の個人は、低波長の固有の黄色を経験するが、緑色弱の個人は、長波長の固有の黄色、及び長波長の光に対するより高い感度を経験するという観察から得られる。色覚欠失である個人にコンタクトレンズを処方するための方法は、最初に、色覚異常検査を実施してそのタイプ及び欠失の程度を決定する工程と、次いで実質的に説明したような透過率スペクトルを有する2つのコンタクトレンズ選択肢から選択された適切なレンズを推奨する工程とを備える。丁度説明した方法の別の変形例では、眼鏡レンズは同様の手順で推奨することができ、眼鏡レンズは視感透過率をより低くする(例えば40%から60%の間)ことができるが、そのようなレンズに組み込まれたフィルタは、NBD575及びNBD595の両方(又は同等)の狭帯域色素の使用が可能である。これらの変形例では、方法は、緑色弱の個人に、CXBシリーズフィルタの1つと実質的に同様の光学フィルタ(以下に説明する)を含むレンズを勧め、及び/又は赤色弱の個人に、CXVシリーズフィルタの1つと実質的に同様の光学フィルタ(これも後述する)を含むレンズを推奨する工程を備える。CXBシリーズフィルタで共有される特性は、575ナノメートルでのフィルタの透過率が、595ナノメートルでのフィルタの透過率よりも少なくとも約2倍大きいことである。CXVシリーズフィルタで共有される特性は、595ナノメートルでのフィルタの透過率が、575ナノメートルでのフィルタの透過率よりも少なくとも約2倍大きいことである。
[0176] 少なくとも1つの狭帯域吸収性色素を含む、2つ以上の色素の組合せを備えるフィルタの実施形態が、以下で、図16、図17、図18、図19及び図20とともに詳しく説明される。このようなフィルタのデザイン上の複雑さは、検討中の各追加色素に伴なって増大する(すなわち、入力色度制約を充足可能な条件等色フィルタの数は重要ではない)ので、このようなフィルタの色素配合は、図1から図4を参照して上述した反復方法を使用して最適化することが好ましい。設計方法の好ましい構成及び変形例が、これらの対応するフィルタの実施例とともに説明される。
[0177] 一連のフィルタの透過率スペクトルを図16に示す。これらのフィルタは、本明細書ではCXBシリーズと呼ぶ。フィルタは、2つから4つの狭帯域色素成分の組合せを備える。フィルタは青緑色である(すなわち、白色点は青色に向かい、緑色にも向かう傾向がある)。しかしながら、得られる色は濃くなく、灰色と実質的に同様であるようにも見える。一連のフィルタは、視感透過率が約40%から約65%の間である実施形態を含む。グラフの1603は、視感透過率が40%でかつ赤色−緑色分離係数が1.72である、本明細書ではCXB40と呼ぶフィルタに対応する。CXB40の配合式を以下に示す。
CXB40=0.511NBD670+0.557×NBD475+
0.795×NBD575+1.29×NBD595
グラフの1602は、視感透過率が55%でかつ赤色−緑色分離係数が1.57である、本明細書ではCXB55と呼ぶフィルタに対応する。CXB55の配合式を以下に示す。
CXB55=0.251×NBD475+0.199×NBD575+
1.29×NBD595
グラフの1601は、視感透過率が65%でかつ赤色−緑色分離係数が1.55である、本明細書ではCXB65と呼ぶフィルタに対応する。CXB65の配合式を以下に示す。
CXB65=0.167×NBD475+1.21×NBD595
[0178] CXBシリーズのフィルタの透過率スペクトルが、図33の表に5ナノメートル(nm)の段で提示される。
[0179] CXBシリーズのための最適化された配合式(例えば上述した)が生み出され、対応する最適化されたフィルタが好ましい赤色−緑色分離係数(1.0よりも大きい)及び高い視感透過率(約40%よりも大きい)がもたらし、それは、例えば、比色分析性能測定規準として赤色−緑色分離係数を使用し、目標白色点として青緑色色度座標を使用する、説明済の反復設計方法を評価することによる。青緑色の色度座標は、マンセル表色系による10Bから5Bの色相及び4から6の色度に対応することが好ましい。
[0180] 別の一連のフィルタの透過率スペクトルを図17に示す。これらのフィルタは、本明細書ではCXVシリーズと呼ぶ。フィルタは、2つから4つの狭帯域色素成分の組合せを備える。このフィルタは、朱色とみなされる白色点の色に、低刺激性の桃色又は淡い紫色を与える。一連のフィルタは、視感透過率が約40%から約65%の間である実施形態を含む。グラフの1703は、視感透過率が40%でかつ赤色−緑色分離係数が1.3である、本明細書でCXV40と呼ぶフィルタに対応する。CXV40の配合式を以下に示す。
CXV40=0.39×NBD475+0.557×NBD575+
1.29×NBD595+1.39×NBD490
グラフの1702は、視感透過率が55%でかつ赤色−緑色分離係数が1.46である、本明細書でCXV55と呼ぶフィルタに対応する。CXV55の配合式を以下に示す。
CXV55=0.195×NBD475+0.755×NBD575
+0.724×NBD595+1.14×NBD490
グラフの1701は、視感透過率65%でかつ赤色−緑色分離係数が1.48である、本明細書でCXV65と呼ぶフィルタに対応する。CXV65の配合式を以下に示す。
CXV65=0.279×NBD475+0.795×NBD575
[0181] CXVシリーズのフィルタの透過率スペクトルが、図34の表に5ナノメートル(nm)の段で提示される。
[0182] CXVシリーズのための最適化された配合式(例えば上述した)が生み出され、対応する最適化されたフィルタが好ましい赤色−緑色分離係数(1.0よりも大きい)及び高い視感透過率(約40%よりも大きい)をもたらし、それは、例えば、比色分析性能測定基準として赤色−緑色分離係数を使用し、目標白色点として紫色又は桃色色度座標を使用する説明済みの反復設計方法を評価することによる。目標白色点は、マンセル表色系により、約5Pの色相及び2から4の彩度に対応することが好ましい。
[0183] 別の一連のフィルタの透過率スペクトルを図18に示す。これらのフィルタは、本明細書ではCXNシリーズと呼ぶ。フィルタは、5つの狭帯域色素成分の組合せを備える。このフィルタは、中間色とみなされる白色点色又は実質的な灰色に、みかけの着色を殆ど備えず、又は全く備えない。一連のフィルタは、視感透過率が約14%から約40%の間である実施形態を含む。グラフの1801は、視感透過率が40%でかつ赤色−緑色分離係数が0.69である、本明細書でCXN40と呼ぶフィルタに対応する。CXN40の配合式を以下に示す。
CXN40=0.431×NBD595+0.557×NBD475+
0.755×NBD575+0.868×NBD670+1.64×NBD490
グラフの1802は、視感透過率が25%でかつ赤色−緑色分離係数が0.594である、本明細書でCXN25と呼ぶフィルタに対応する。CXN25の配合式を以下に示す。
CXN25=0.862×NBD595+1.06×NBD475+
1.11×NBD575+1.38×NBD670+2.53×NBD490
グラフの1801は、視感透過率15%でかつ赤色−緑色分離係数が0.497である、本明細書でCXN15と呼ぶフィルタに対応する。CXN15の配合式を以下に示す。
CXN15=1.03×NBD595+1.59×NBD475+
1.67×NBD575+2.07×NBD670+3.79×NBD490
[0184] CXNシリーズのフィルタの透過率スペクトルは、図35の表に5ナノメートル(nm)の段で提示される。
[0185] CXNシリーズのための最適化された配合式(例えば上述した)が生み出され、対応する最適化されたフィルタが、サングラスへの組込みに適した強い色強調効果及び低い視感透過率(40%よりも小さい)をもたらし、それは、全域ベースの性能測定規準を使用して上述の反復設計方法を評価することによる。例えば、性能測定規準は、フィルタを介して見える一組の基準色に対応する色度座標の集合によって囲まれた領域として定義され、基準色は、Farnsworth D−15キャップ配置検査で使用されるマンセル色見本に対応する。全域性能測定基準は、米国特許出願第14/014,991号に記載される。目標白色点は、マンセル表色系による2よりも小さい彩度に対応することが好ましい。
[0186] 別の一連のフィルタの透過率スペクトルを図19に示す。これらのフィルタは、本明細書ではUVHシリーズと呼ぶ。フィルタは、3つの狭帯域色素成分と、随意的な1つ標準的色素成分との組合せを備える。一連のフィルタは、視感透過率が約35%から約85%の間である実施形態を含む。UVHシリーズのフィルタは、高エネルギ可視光(HEV光とも呼ばれる)の透過を抑制するように設計され、高エネルギ可視光は、光子のエネルギが最大である可視光のサブバンドである、約390ナノメートルから約450ナノメートルの間における波長に対応する。グラフの1901は、商標名Blu Techによって公知の、市販されているHEV阻止フィルタに対応する。このフィルタは、スペクトル全体にわたって透過率がほぼ単調に変化することを特徴とする。本明細書に開示されるUVHシリーズのフィルタは、波長毎の透過率が非単調である、複雑なスペクトルプロファイルを有する。グラフの1902は、視感透過率が85%である、本明細書ではUVH415と呼ぶフィルタに対応する。UVH415の配合式を以下に示す。
UVH415=0.227×NBD595+0.397×NBD425+
1.57×NBD405
グラフの1903は、視感透過率が75%である、本明細書ではUVH430と呼ぶフィルタに対応する。UVH430の配合式を以下に示す。
UVH430=0.322×BD595+1.32×BD425+
2.09×BD405
グラフの1904は、視感透過率が35%である、本明細書ではUVH450と呼ぶフィルタに対応する。UVH450の配合式を以下に示す。
UVH450=1.4×NBD595+7.15×NBD425+
9.95×NBD405+2.08×SD435Y
[0187] UVHシリーズのフィルタの透過率スペクトルは、図36の表に5ナノメートル(nm)に段で提示される。
[0188] フィルタの実施例UVH415及びUVH430は、視感透過率が高いフィルタをもたらし、屋内使用及び夜間使用を対象とした汎用の眼鏡類に適する。これらのフィルタは実質的に中間色であり、それは審美的理由から好ましい。さらに、分光透過率におけるノッチ(例えば、510ナノメートル及び590ナノメートル)の構成により、色覚の品質に小さいが顕著な向上がもたらされる。
[0189] フィルタの実施例UVH450の色は、黄色又は茶色と考えられ、相関色温度が約2700ケルビンである。フィルタは、サングラスレンズに組み込み、偏光フィルタ及び/又は光発色性色素と組み合わせ得ることが好ましい。UVH450の分光透過率は、400ナノメートルから450ナノメートルの間の全波長につき1%よりも小さく、商業広告に主張「UV450」を使用することが可能になり、それは、業界にて波長が400ナノメートル以下の光を少なくとも99%遮断するレンズを示すために定める用語「UV400」に関連する。別の変形例では、標準色素成分SD435Yの濃度は、得られるフィルタの色がその飽和度(彩度)が低下する限り好ましいとの妥協のもと、以上で与えた配合式では低下して、より低い保護等級、例えば「UV425」のフィルタを与える。フィルタの色は、マンセル表色系による2から4の彩度を有する。
[0190] 対応する最適化されたフィルタが、好ましいフィルタ色と組み合わせてHEV光保護をもたらす、UVHシリーズのための最適化された配合(例えば上述した)が生み出され、それは、HEV減衰係数、下記式で計算された比色分析性能測定基準を使用して、説明した反復設計方法を評価することによる。
ΨHEV = ((τν × ((τH / τL) - 1)) / (1 - τν) + 1)
上式中、τHは、約390ナノメートルから450ナノメートル間でのフィルタの平均透過率であり、τLは、約450ナノメートルから約650ナノメートル間でのフィルタの平均透過率であり、τνはフィルタの視感透過率である。視感透過率が高い(例えば75%よりも大きい)フィルタにつき、白色点は、マンセル表白系による2よりも小さい彩度に対応することが好ましい。視感透過率が低い(例えば、40%よりも小さい)フィルタにおいて、白色点は、CIE xy色度空間内で黒体軌跡の約0.025単位内にあることが好ましい。フィルタの実施例UVH415のHEV減衰係数は約6.1でかつ赤色−緑色分離係数は約0.47である。フィルタの実施例UVH430のHEV減衰係数は約6.2でかつ赤色−緑色分離係数は約0.35である。フィルタの実施例UVH450のHEV減衰係数は約44.2でかつ赤色−緑色分離係数は約0.25である。フィルタの実施例UVH415及びUVH430は、飽和度が低い白色点をもたらし、(x、y)座標(.31、.33)におけるD65の標準的な外観までの距離は最大約0.025単位である。フィルタの実施例UVH450は、実質的に黄色と考えられる白色点をもたらし、標準照度D65(相関色温度が6500ケルビン)を標準照度A(相関色温度が2700ケルビンである)の色に本質的に変換する。
[0191] 別の一連のフィルタの透過率スペクトルを図20に示す。これらのフィルタは、本明細書ではACRシリーズと呼ぶ。フィルタは、2つの狭帯域色素成分、1つの標準色素成分、及び随意的に中間色濃度吸収体(例えば、灰色色素混合物、光発色性色素、又は灰色偏光子)の組合せを含む。ACRシリーズのフィルタは、波長が約450ナノメートルから約550ナノメートル間での光子である、暗順応光(桿体細胞光色素によって受光された光)の透過性を抑制するように設計される。暗順応光の透過を大幅に制限するフィルタは、色素沈着症、機能している錐体細胞の部分的又は完全な欠損を特徴とする低視覚状態を患っている個人に向けて処方されることが多い。制限された暗順応透過により、着用者が、暗順応視覚(すなわち夜間視覚)を使用して、一般的な屋内照明及び屋外の昼光状態の間に見ることが可能になる。そのような必要性を満たすための1つの解決策は、適切な暗さの中間色灰色のフィルタを設けることであるが、これは、部分的な色覚を可能にする橙色又は赤色のフィルタと比較してあまり好ましくない。色素沈着症の症例は、完全な色素沈着症(即ち、錐体機能の全損失)又は不完全な色素沈着症(即ち、錐体機能の部分損失)の何れかに分類することができる。後者の症例では、選択的透過をもたらすレンズが好ましい。グラフの2001は、色素沈着症を伴って屋内で使用するために眼科医によって処方され得る、従来のフィルタに対応する。フィルタは、橙色でかつ視感透過率が約30%である。グラフの2003は、眼色覚異常を伴って屋外で使用するために眼科医によって処方され得る従来のフィルタに対応する。このフィルタは、赤色でかつ視感透過率が約8%である。このようなフィルタは、例えば、ミシガン州、南リヨンのNoIR Medical Technologies社からの橙色のフィルタ#570、及び同じくミシガン州、南リヨンのNoIR Medical Technologies社からの赤色フィルタ#95及びフィルタ#99として商業的に購入することができる。ここに示したACRシリーズのフィルタは、不完全な色素沈着症の個人に、より良好な色覚をもたらし得る色強調色素(NBD595)を組み込むことによって、これらの従来のデザインを改善する。グラフの2002は、本明細書ではACR25と呼ぶ、視感透過率が25%のフィルタに対応する。ACR25の配合式を以下に示す。
ACR25=0.167×NBD475+1.29×NBD595+
1.81×SD510R
グラフの2004は、本明細書ではACR10と呼ぶ、視感透過率が10%のフィルタに対応する。ACR10は、光の40%を透過する中間色吸収体が追加されたACR25と同じ基礎配合式を採用する。例えば、吸収体は、中間濃度色素(例えば、一般的には、灰色を形成し、波長毎にほぼ一定の透過率を有する標準色素の混合物)とすることができ、好ましくは直線偏光子であり、又は好ましくは光発色性色素であり、より好ましくは偏光性光発色性色素である。
[0192] ACRシリーズのフィルタの透過率スペクトルが、図37の表に5ナノメートル(nm)の段で提示される。
[0193] ACRシリーズフィルタのようなフィルタのデザインは、目標白色点制約が暗順応透過率制約(即ち、桿体細胞光色素の受光性によるみかけの輝度)によって置換される、反復設計方法の変形例によって可能になる。色覚に与える所望の効果の極度の必要性は、フィルタの色に対するあらゆる優先性を無効にするので、置換は適切である。目標の暗順応透過率は、好ましくは、フィルタの視感透過率の約10%よりも小さく、又は好ましくは約1/3よりも小さい。修正した制約と組み合わせて、一般的な色強調の測定基準が比色分析性能測定基準として、例えば先述した全域面積ベースの測定規準として適用されてもよく、一方、全域面積ベースの測定規準は、暗いデザイン(低い視感度透過率)のフィルタで好ましく、又は赤色−緑色分離係数は、色覚を向上させるフィルタに向けて最適解を押し進める、比色分析性能測定基準として使用することができる。
[0194] 図21は、赤色−緑色に関するCIE Yxy色空間による色度図を描く。点線2105は、温度が10000ケルビンから0ケルビンの間である理想的な黒体の色度空間における曲線である、プランク軌跡(又は黒体軌跡)に対応し、眼科システムへの統合に好ましいフィルタは、1)濃く着色されていない色合、及び2)好ましくは黒体軌跡に近い色を有するフィルタである。これらの好ましい特性を満たす領域が2111に示される。この領域は、約8000Kから約2700Kの間の黒体軌跡温度に広がる。この領域に属する白色点の色は、実質的に外観が中間色であり、又はほとんど中間色であるが、わずかな色味を帯びると考えられる。フィルタシリーズCXNの白色点は、相関色温度が6500Kである、本質的に灰色又は中間色に対応する黒丸印2107で示される。フィルタシリーズUVHの白色点は、白丸印2106及び2104で示され、印2106は実施例UVH430に対応し、印2104は実施例UVH450に対応する。フィルタUVH430は、黄色に向かってわずかな色合いを有する、実質的に中間色の外観を有する。フィルタUVH450は、より濃い黄色(又は茶色)の外観を示し、相関色温度が約2700Kである。あまり好ましくない色の領域は、相関色温度が2700Kから約2000Kの間にまたがる2103で示され、この領域のフィルタは橙色に見えることがある。フィルタの色にとってあまり好ましくない別の領域は、概ね2115で示され、濃く着色された桃色、紫色、及び赤色に対応する。フィルタシリーズACR(ACR25及びACR10)は、開いた正方形の印2109に対応する白色点を有し、赤色である。あまり好ましくない色は、暗順応透過率制約の必要な結果である。別の実施例では、フィルタシリーズDMPは、直立三角形2113によって示す対応する白色点を有し、最も飽和した印は、フィルタDMP40に対応する。これらのフィルタは桃色又は紫色が濃く、これは、審美的理由から望ましくないと考えられる。CXVシリーズのフィルタも桃色に向かう傾向がある白色点を有するが、好ましい領域2111内に完全に含まれ、ダイヤモンド印2110が、これらのフィルタの白色点に対応する。灰色に近い桃色又は紫色を帯びたフィルタは、特に眼鏡業界では「朱色」とも呼ばれる。色度空間内で同様にあまり好ましくない別の領域(特に眼鏡類にとって)が2116にて示され、この領域は、ほとんどの消費者にとって好まれないまれな外観を有する、実質的に青紫色フィルタに対応する。フィルタシリーズDMBは、逆三角形2114で示した、この領域内の対応する白色点を有する。高い赤色−緑色分離係数を視感透過率と同時に達成するためには、青色を帯びたフィルタが好ましいが、2112で示した色度領域は、青−緑色に対応する領域を定め、その中に、フィルタシリーズCXBの白色点が含まれ、実線の四角い印2108で示される。領域2101は濃い緑色に対応し、領域2102は黄緑色に対応し、それらは、ここでも、領域2111又は2112に含まれる実施形態よりも好ましくない。
[0195] 上述したフィルタの実施例につき、赤色−緑色分離係数(ΨRG)対視感透過率(τν)を明示する散布図を図22に示し、これは、図38及び図39の一覧表のデータに対応する。中間色フィルタ(全ての波長で透過率が等しい)は、視感透過率がゼロ、例えば40%(ND40)、55%(ND55)及び70%(ND70)の中間色フィルタに対応する、逆三角形2204で示す赤色−緑色分離係数をもたらす。このプロットの分析は、比色分析性能測定基準としての赤色−緑色分離係数が、赤色−緑色色覚異常の光学的補助具として利用することを意図しているフィルタ、特にカテゴリ1のレンズ(視感透過率が約40%から約80%の間である名目上のレンズである)として等級付けされたフィルタの好ましい特性をどのように定義するかをよく理解するのに有用である。カテゴリ1のレンズは、サングラスレンズに適するとは思われない。カテゴリ1のレンズは、一般的な屋内照明条件並びに夕方及び夜間の使用などの微光状況で使用できるように、十分に高い明度を有する。CXN25及びCXN15などのフィルタは、強い色強調効果を持つが、室内での使用には暗すぎることが分かる。フィルタCXN40は、カテゴリ1のレンズの下限に対応する視感透過率を有するが、自覚的なユーザーの試験を通じて、色知覚に穏やかな効果しかない、CXV40及びCXB40では強い作用があることが分かっている。我々は、目標明度が約40%よりも大きいとき、比色分析性能測定基準としての赤色−緑色分離係数は、反復設計法で使用するのに合理的な選択であると結論する。領域2201は、カテゴリ1のレンズの赤色−緑色分離係数対視感透過率の好ましい範囲を示し、そこで視感透過率が約40%から約80%の間であり、赤色−緑色分離係数が1.0よりも大きい。このようなフィルタは、赤色−緑色分離係数が約1.25よりも大きい、又は約1.5よりも大きい、又は約2.0よりも大きいことが好ましい。このようなフィルタは、視感透過率が約50%より大きい、又は約60%より大きいことが好ましい。領域2202は、カテゴリ1の範囲の視感透過率を囲むが、前述したように(例えば、ACEシリーズ、DCB、及びDCPシリーズ)赤色−緑色分離係数が1.0よりも小さく、フィルタデザインを有する。領域2203は、カテゴリ2の範囲(視感透過率が約18%から約40%の間)又はカテゴリ3の範囲(視感透過率が約8%から約18%の間)のフィルタ透過率を有するフィルタデザインを囲む。カテゴリ2のレンズは中間のサングラスレンズと考えられ、カテゴリ3のレンズは暗いサングラスレンズと考えらえる。
[0196] 眼科システムへの色素ベースフィルタの統合は、眼科用レンズ産業で公知の様々な方法で達成される。色素系フィルタを含む可能な眼科システムの実施例が図23Aに示され、眼科システムの各層が積み重ねた配置で描かれる。この実施例では、最上層(レンズのうち眼から最も遠い側面)は疎水性コーティング23A01であり、次の層は反射防止コーティング23A02(それ自体が数個の層を備える)であり、次の層は機能コーティング層であり、そこでは色素ベースフィルタが、例えばアクリレートベースのコーティング全体に色素を分散させることによって含まれる。機能コーティングは、任意の適切な取付け方法(スピンオン、モールド転写など)を用いてレンズ基体23A04に接着される。次いで、レンズ基体の裏面に、裏面反射防止コーティング23A05及び裏面疎水性コーティング23A06がさらに被覆される。上述したシステムは、処方レンズ(合焦能力を含むレンズ)の形成に好ましい。処方レンズは、レンズの表面を横切る厚さの変化を利用して屈折力を生成するが、均一な分光フィルタリングを維持するために、機能コーティングはほぼ一定の厚さを維持する必要がある。従って、レンズが屈折力も生成するように機能すれば、レンズ基体への色素成分の統合はあまり好ましくない。別の変形例では、レンズは屈折力がゼロであり、又は適度に低い屈折力(例えば+/−2ジオプタの間)とすることができ、このような変形例では、フィルタ色素は、レンズ基体23A04に直接分散され、機能コーティング層23A03は省略することができる。追加の変形例では、機能コーティングは、レンズ基体の裏面に塗布することができ、又は成分色素はレンズ基体及び機能コーティングの両方の間に分配することができる。さらなる変形例では、反射防止コーティング及び/又は疎水性コーティングは省略することができる。さらなる変形例では、色素は、レンズ基体の前面及び後面の両方に塗布されるハードコート(耐擦傷性コーティング)に分散することができる。別の種類の眼科用レンズは、コンタクトレンズであり、そこで色素成分は、コンタクトレンズを形成するポリマーに化学的に結合するように、レンズ基体に又は基体内の領域に組み込むことができる。
[0197] 光源組立体への色素ベースフィルタの組込みが図23Bに示される。本明細書では、光源組立体は、光源23B05(例えば、LED、白熱フィラメント又はガス放電管)と、狭いビームを投射できるビーム形成レンズ23B04と、広いビーム又は他の空間分布の光と、光線が通過する窓23B02とを備える。本明細書では、フィルタ成分色素は、窓を形成する基体内に分散される。効率を改善するために、窓は、前面23B01及び背面23B03上に反射防止コーティングを含むことができる。別の変形例では、窓を使用する代わりに、成分色素は、機能コーティング(前述した)を使用して、ビーム形成レンズの表面に直接塗布することができる。別の変形例では、成分色素は、ビーム形成レンズに直接分散させることができる。別の変形例では、ビーム形成レンズは、鏡(例えば、放物面鏡又は楕円面鏡)を備えることができ、成分色素は、鏡面上に機能コーティングとして塗布され、色素の濃度は、約50%減少して実効パス長の倍増の割合を占める。一部の変形例では、光ビームの一部のみにフィルタをかける。
[0198] カテゴリ1のフィルタ(視感透過率が約40%から約80%の間)を眼鏡類に組み込むことに関して、フィルタの明度の低下により、特定の照明条件で、特に低明度又は夜間の状態で、着用者の視力低下に関する問題をもたらす可能性がある。この問題は、レンズ内の領域への光学フィルタの適用を制限することによって緩和できる。図24Aは、レンズ24A01が近傍領域24A02を含む、実施例の対の眼鏡類を示す。そのような実施例では、フィルタは、近傍領域24A02の視覚にのみ影響を及ぼすように適用することができる。このような配置は、近接作業のために色覚の強化が必要とされる使用を意図した眼鏡に、ほぼ視界を妨げることなく有用であり得る。別の実施例では、図24Bは、実施例の対の眼鏡類を示し、レンズは、近視野24B02及び遠視野24A01に分割される。そのような実施例では、フィルタは、遠視野24B02の視覚にのみ影響を及ぼすように適用することができる。このような配置は、眼鏡類が有色信号光(例えば、海洋、自動車又は航空ナビゲーション)の解釈を支援するための使用を意図するとき、しかも信号光が主に水平線の上に見える場合に、好ましい。別の変形例では、近視野と遠視野との間の分割は、区別可能な線を有さず、連続的な勾配である。
[0199] 本開示に含まれる図は、オブジェクトを処理及び生成する一般化されたオブジェクト及び作動のフローを視覚的に描くプロセスフロー図にすることができる。図25は、視覚的言語の理解を支援するためのプロセスフロー図の実施例を描く。この略図では、丸めたボックス(例えば2501及び2503)は、物理的エンティティ、数値データ等の仮想エンティティ、又は成分オブジェクトの異種集合体を含有する複合オブジェクトとして理解できるオブジェクトを描く。オブジェクトの同種集合体を含有する複数オブジェクト2508及び2511は、例えば、二重線境界を有する丸めたボックスによって描かれる。複数オブジェクトから抽出された成分オブジェクトは、例えば、エンティティ2501及び2503を接続して示すように、点線矢印で描かれる。プロセス内のオブジェクトのフローは、例えば、エンティティ2501及び2502を接続して示す実線矢印によって示される。正方形のボックス(例えば2502及び2505)は作動を表す。作動は、オブジェクトを生成し、オブジェクトを変換し、又はオブジェクトを分析することができる。作動の出力は、そのボックスから遠ざかる向きの矢印によって示される。作動の出力は、そのボックスに入る全矢印をたどることによって追跡できるその入力に依存する。作動は、例えば、別のプロセス略図をカプセル化することによって、複合作動2506として形成できる。本構造により、プロセスフロー図が複数頁にわたって広がることが可能になり、1つの略図に定義される複合作動は、別の略図において参照することによって呼び出すことができる。各作動は、一緒に直列又は並列に接続することができ、具体的作動が行われる順序の詳細は、必ずしも、プロセスフロー図構文によって定義されず、付随の説明によって推測する必要がある。二重線矢印は、例えば2508及び2509を接続して示すように、複数の同種オブジェクトのフローの反復を表し、付随の明細書ではプロセスフローは、「毎に」という用語を用いて識別される。反復される作動2509は、例えば二重線の正方形の境界で示される。反復作動は、各反復オブジェクトに関するその入力を変動させるが、例えば、2507及び2509を接続するフロー矢印に沿って示すように、非反復オブジェクトに関しては、一定入力を保持することができる。本開示で使用するプロセスフロー図は、付随の詳しい説明と一緒に解釈するとき、理解を助けるために提示される。本開示で使用されるプロセスフロー図は、アルゴリズムのための正式な仕様を構成せず、付随する説明の理解を助けるために提示される例示的な装置である。
[0200] 本明細書で開示された方法は、例えば、2.3GHzのIntel Core i7プロセッサ及び8GBのRAMを有するコンピュータ上で、Wolfram Research、Inc.から販売される市販のコンピュータソフトウェアプログラムMathematica(登録商標)(その線形プログラムソルバを含む)を使用して実施することができる。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示された方法は、上記実施に限定されず、コンピュータ/システムアーキテクチャとは独立することを理解する必要がある。従って、方法は、他の計算プラットホーム上で同様に実施することができ、他のコンピュータソフトウェアを使用し(市販されているか、又はフィルタ設計方法のために具体的にコード化されているかどうかに関わらず)、同時に回路又は他の計算コンポーネントに配線接続することができる。
[0201] この開示は、例示であり、限定するものではない。この開示に照らして、さらなる変更が当業者には明らかである。例えば、上述した方法及び工程が特定の順序で生じる特定の事象を表す場合、当業者であれば、所定の工程の順序付けを変更することができ、そのような変更は本明細書に開示される発明に従うことを認識する。さらに、所定の各工程は、可能なときは並行プロセスで同時に実行し、及び上述したように順次実行することもできる。本明細書で方法又はプロセスにおける作動と呼ぶ動作は、方法又はプロセスにおける「工程」として理解することもできる。従って、本明細書に開示された発明の変形例があり、それらが本開示又は本明細書に開示された発明の均等物の精神の範囲内にある限り、本開示及びそれが支持する特許請求の範囲は、これらの変形例もまた同様に包含することを意図している。本開示で引用される全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願が本明細書に具体的かつ個別に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
101 初期色素濃度
102 色素光学濃度スペクトル
103 目標白色点
104 基準光源
105 色素配合式最適化アルゴリズム
106 フィルタ白色点への追従をチェックする
107 フィルタ白色点への追従を改善する
108 フィルタの性能を改善する
109 目標明度
110 フィルタの視感透過率をチェックする
111 新しい色素の濃度
112 最適化された色素濃度

Claims (74)

  1. 1つ以上の狭帯域色素を含む光学フィルタであって、前記フィルタの視感透過率が40%から80%の間であり、前記フィルタの赤色−緑色分離係数が1.0よりも大きく、前記光学フィルタの前記視感透過率は、CIE 1932 2度標準観測者によるCIE標準発光体D65の重み付き明順応透過率として定義される、ことを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記フィルタの前記赤色−緑色分離係数は1.25よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記フィルタの前記赤色−緑色分離係数は1.5よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  4. 前記フィルタの前記視感透過率は50%よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  5. 前記フィルタの前記視感透過率は50%よりも大きく、前記フィルタの前記赤色−緑色分離係数は1.25よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  6. 前記フィルタの前記視感透過率は50%よりも大きく、前記フィルタの前記赤色−緑色分離係数は1.5よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  7. 前記フィルタの前記視感透過率は60%よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  8. 前記フィルタの前記視感透過率は60%よりも大きく、前記フィルタの前記赤色−緑色分離係数は1.25よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  9. 前記フィルタの前記視感透過率は60%よりも大きく、前記フィルタの前記赤色−緑色分離係数は1.5よりも大きい、請求項1に記載の光学フィルタ。
  10. 前記フィルタの色が青色である、請求項1〜9の何れかに記載の光学フィルタ。
  11. 前記フィルタの色が青緑色である、請求項1〜9の何れかに記載の光学フィルタ。
  12. 前記フィルタの色が桃色である、請求項1〜9の何れかに記載の光学フィルタ。
  13. 前記フィルタの色が紫色である、請求項1〜9の何れかに記載の光学フィルタ。
  14. フィルタ色は朱色である、請求項1〜9の何れかに記載の光学フィルタ。
  15. 請求項1〜14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記光学フィルタは、2つ以上の狭帯域色素を含み、少なくとも10度の視野にフィルタをかける、ことを特徴とする眼科用眼鏡レンズ。
  16. 請求項1〜14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記光学フィルタは1つの狭帯域色素のみを含む、ことを特徴とする眼科用コンタクトレンズ。
  17. 請求項1〜14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記光学フィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである1つの狭帯域色素のみを含む、ことを特徴とする眼科用コンタクトレンズ。
  18. 請求項1〜14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記光学フィルタは、ピーク吸収波長が約575ナノメートルである1つの狭帯域色素のみを含む、ことを特徴とする眼科用コンタクトレンズ。
  19. 個人の色覚欠失を調整するためにレンズを処方する方法であって、
    前記個人が緑色弱であるかどうかを検査する工程と、
    前記個人が赤色弱であるかどうかを検査する工程と、
    前記個人が緑色弱であれば、請求項1〜14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記フィルタの575ナノメートルにおける透過率が、595ナノメートルにおける前記透過率の少なくとも2倍よりも大きい眼科用レンズを処方する工程、及び/又は
    前記個人が赤色弱であれば、請求項1〜14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記フィルタの595ナノメートルにおける前記透過率は、575ナノメートルにおける前記透過率の少なくとも2倍よりも大きい眼科用レンズを処方する工程と、を備えることを特徴とする方法。
  20. 請求項1から14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記光学フィルタは1つの狭帯域色素のみを含む、ことを特徴とする光源組立体。
  21. 請求項1から14の何れかに記載の光学フィルタを備え、前記光学フィルタは2つ以上の狭帯域色素を含む、ことを特徴とする光源組立体。
  22. 1つ以上の狭帯域色素を含む光学フィルタであって、CIE 1932 2度標準観察者によるCIE標準光源D65の重み付き明順応透過率として定義される前記フィルタの視感透過率が70%よりも大きく、前記フィルタの赤色−緑色分離係数が0.25よりも大きく、HEV減衰係数が約5.0よりも大きい、ことを特徴とする光学フィルタ。
  23. 前記フィルタの前記視感透過率が80%よりも大きい、請求項22に記載の光学フィルタ。
  24. 前記フィルタの白色点の(x、y)座標が、標準発光体D65、前記CIE1932 2度標準観察者、及びCIE Yxy色度座標系に関して(.31、.33)の0.05単位内にある、請求項22〜23の何れかに記載の光学フィルタ。
  25. 前記フィルタの前記白色点の前記(x、y)座標は、前記標準発光体D65、前記CIE1932 2度標準観察者、及び前記CIE Yxy色度座標系に関して(.31、.33)の0.025単位内にある、請求項22から23の何れかに記載の光学フィルタ。
  26. 1つ以上の狭帯域色素と、少なくとも1つの青色吸収性標準色素とを含む光学フィルタであって、CIE 1932 2度標準観察者によるCIE標準発光体D65の重み付き明順応透過率として定義される前記フィルタの視感透過率が40%よりも小さく、前記フィルタの赤色−緑色分離係数が0.25よりも大きく、HEV減衰係数が少なくとも約40である、ことを特徴とする光学フィルタ。
  27. 請求項22〜26の何れかに記載の光学フィルタを備える、ことを特徴とする眼科用眼鏡レンズ。
  28. 直線偏光子を含む、請求項27に記載の眼科用眼鏡レンズ。
  29. 光発色性色素を含む、請求項27に記載の眼科用眼鏡レンズ。
  30. 請求項22〜25の何れかに記載の光学フィルタを備える、ことを特徴とする眼科用コンタクトレンズ。
  31. 請求項22〜25の何れかに記載の光学フィルタを備える、ことを特徴とする眼科用眼球内レンズ。
  32. 1つ以上の狭帯域色素と、1つ以上の標準色素とを含む光学フィルタであって、前記標準色素の少なくとも1つは、吸収率ピークが約510ナノメートルであり、 CIE 1932 2度標準観察者によるCIE標準発光体D65の重み付き明順応透過率として定義される前記フィルタの視感透過率が50%よりも小さく、前記フィルタの前記暗順応透過率は前記視感透過率の3分の1よりも小さい、ことを特徴とする光学フィルタ。
  33. 請求項32に記載の光学フィルタ備える、ことを特徴とする眼科用レンズ。
  34. 直線偏光子を含む、請求項33に記載の眼科用レンズ。
  35. 光発色性色素を含む、請求項33に記載の眼科用レンズ。
  36. 中間濃度色素を含む、請求項33に記載の眼科用レンズ。
  37. 請求項32に記載の光学フィルタを備える、ことを特徴とする眼科用コンタクトレンズ。
  38. 光発色性色素を含む、請求項37に記載の眼科用コンタクトレンズ。
  39. 個人の色覚欠失を調整するためにコンタクトレンズを処方する方法であって、
    前記個人が緑色弱であるかどうかを検査する工程と、
    前記個人が赤色弱であるかどうかを検査する工程と、
    前記個人が緑色弱であれば、光学フィルタを備え、前記光学フィルタは、ピーク吸収波長が約595ナノメートルである狭帯域色素を含み、前記光学フィルタは、CIE 1932 2度標準観察者によるCIE標準発光体D65の重み付き明順応透過率として定義された視感透過率が少なくとも約70%であるコンタクトレンズを処方する工程と、及び/又は
    前記個人が赤色弱であれば、光学フィルタを備え、前記光学フィルタは、ピーク吸収波長が約575ナノメートルである狭帯域色素を含み、前記光学フィルタは、CIE 1932 2度標準観測者によるCIE標準発光体D65の重み付き明順応透過率として定義される視感透過率が少なくとも約70%であるコンタクトレンズを処方する工程とを備える、ことを特徴とする方法。
  40. 色覚に所望の様式で変化をもたらす光学フィルタを設計するためのコンピュータで実施する方法であって、CIE 1932 2度標準観察者によるCIE標準発光体D65の重み付き明順応透過率として定義された結果として生じる光学フィルタの視感透過率が目標視感透過率にほぼ等しくなるまで、プロセスを反復的に評価する工程を備え、前記反復プロセスは、
    現行色素配合式に基づいて現行フィルタをシミュレートする工程と、
    前記フィルタを色度制約基準に照らして検査する工程と、
    前記検査により前記制約基準に違反すると分かれば、前記色素配合式を制約違反基準に関して改善する工程と、
    前記検査により前記制約基準に違反しないと分かれば、前記色素配合式を比色分析性能測定基測定基準準に従って改善する工程と、
    前記現行色素配合式への一組の候補増分変化に基づいて一組の候補フィルタをシミュレートする工程と、
    前記改善は、前記視認透過率の変化に関する前記基準の変化の比を用いて計算し、前記変化は、前記現行フィルタの特性間の差異に関して及び各候補フィルタに関して計算され、
    前記現行フィルタを前記比を最大化する前記候補フィルタに更新する工程とを備え、
    前記反復プロセスでは、前記現行色素配合式は、初期色素配合式を用いて初期化され、前記結果として生じる光学フィルタは、前記反復が完了した後の現行フィルタであり、前記光学フィルタにおける光の透過率は下式で与えられる波長τFの関数であり、
    τF = 10 (-1×F)
    F = α1 Ω1 + … α N Ω N
    上式で、Fは、前記光学フィルタの光学濃度スペクトルであり、α1 … α Nは色素濃度であり、Ω1 … Ω Nは一組の色素の光学濃度スペクトルであり、Nは1よりも大きい、ことを特徴とする方法。
  41. 前記色素は1つ以上の狭帯域色素を含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記色素は1つ以上の標準色素を含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記比色分析性能測定基準は、ΨRGであって下式を用いて計算され、
    ΨRG = ((τν × ((((τG + τR) / 2) / τY) - 1)) / (1 - τν) + 1)
    上式中、τGは、500ナノメートルから555ナノメートル間における前記光学フィルタの平均透過率であり、τYは555ナノメートルから600ナノメートルの間における前記光学フィルタの平均透過率であり、τRは600ナノメートルから650ナノメートルの間における前記光学フィルタの平均透過率であり、τνは前記光学フィルタの視感透過率である、請求項40〜42の何れかに記載の方法。
  44. 前記目標視感透過率は少なくとも40%である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記目標視感透過率は少なくとも50%である、請求項43に記載の方法。
  46. 前記目標視感透過率は少なくとも60%である、請求項43に記載の方法。
  47. 前記制約基準は、前記光学フィルタを通して見える平均昼光の外観が青色になるように構成される、請求項40〜46の何れかに記載の方法。
  48. 前記制約基準は、前記光学フィルタを通して見える平均昼光の外観が青緑色であるように構成される、請求項40〜46の何れかに記載の方法。
  49. 前記制約基準は、前記光学フィルタを通して見える平均昼光の外観が桃色であるように構成される、請求項40〜46の何れかに記載の方法。
  50. 前記制約基準は、前記光学フィルタを通して見える平均昼光の外観が朱色であるように構成される、請求項40〜46の何れかに記載の方法。
  51. 前記制約基準は、フィルタ白色点の(x、y)座標が、標準発光体D65、CIE 1932 2度標準観察者、及びCIE Yxy色度座標系に関して(.31、.33)の0.05単位内にあるように構成される、請求項40〜46の何れかに記載の方法。
  52. 前記制約基準は、前記フィルタ白色点の前記(x、y)座標が(.31、.33)の0.025単位内にあるように構成される、請求項51に記載の方法。
  53. 前記比色分析測定基準は、下式を用いて計算され、
    ΨHEV = ((τν × ((τH / τL) - 1)) / (1 - τν) + 1)
    上式において、τHは390ナノメートルから450ナノメートルの間における前記光学フィルタの平均透過率であり、τLは450ナノメートルから650ナノメートルの間における前記光学フィルタの平均透過率であり、τνは前記光学フィルタの視感透過率である、請求項40〜42の何れかに記載の方法。
  54. 前記制約基準は、前記フィルタ白色点の前記(x、y)座標が、標準発光体D65、前記CIE1932 2度標準観察者、及び前記CIE Yxy色度座標系に対して(0.31、0.33)の0.05単位内にあるように構成される、請求項53に記載の方法。
  55. 前記制約基準は、前記フィルタ白色点の前記(x、y)座標が(.31、.33)の0.025単位内にあるように構成される、請求項54に記載の方法。
  56. 前記光学フィルタの前記目標明度は70%よりも大きい、請求項53〜55の何れかに記載の方法。
  57. 前記光学フィルタの前記目標明度は80%よりも大きい、請求項53〜55の何れかに記載の方法。
  58. 前記色素は1つ以上の標準色素を含み、前記標準色素の1つは青色吸収性色素であり、前記光学フィルタの目標明度が50%よりも小さい、請求項53〜57の何れかに記載の方法。
  59. 前記光学フィルタの前記目標明度は40%よりも小さい、請求項58に記載の方法。
  60. 前記制約基準は、前記光学フィルタを通して見える平均昼光の外観が黄色になるように構成される、請求項58〜59の何れかに記載の方法。
  61. 前記制約基準は、前記フィルタ白色点の前記(x、y)座標が前記黒体軌跡の0.025単位内にあるように構成され、前記フィルタの相関色温度は、4200ケルビンから2600ケルビンの間にあり、前記白色点の色度座標は、標準発光体D65、CIE1932 2度標準観察者、及びCIE Yxy色度座標系に関して計算される、請求項58〜59の何れかに記載の方法。
  62. 前記制約基準は、前記フィルタの前記暗順応透過率が前記フィルタの前記視感透過率の約3分の1よりも小さいように構成される、請求項40〜42の何れかに記載の方法。
  63. 570ナノメートルから600ナノメートルの間の第1のスペクトル帯にピーク吸収波長を有する第1の狭帯域色素と、470ナノメートルから530ナノメートルの間の第2のスペクトル帯にピーク吸収波長を有する第2の狭帯域色素とを含み、前記レンズの前記第1のスペクトル帯域におけるピーク光学濃度は、前記第2のスペクトル帯域におけるピーク光学濃度の少なくとも3倍であり、
    米国規格協会Z80.3−2010により規定されたレンズの前記視感透過率は40%よりも大きい、ことを特徴とする眼科用眼鏡レンズ。
  64. 前記米国規格協会Z80.3−2010により規定された前記レンズの前記視感透過率は55%よりも大きい、請求項63に記載の眼科用眼鏡レンズ。
  65. 前記米国規格協会Z80.3−2010により規定された前記レンズの前記視感透過率は65%よりも大きい、請求項63に記載の眼科用眼鏡レンズ。
  66. 570ナノメートルから600ナノメートルの間の第1のスペクトル帯にピーク吸収波長を有する狭帯域色素を含み、米国規格協会Z80.20−2010により規定された前記レンズの前記視感透過率が40%よりも大きい、ことを特徴とする眼科用コンタクトレンズ。
  67. 前記米国規格協会Z80.20−2010により規定された前記レンズの前記視感透過率は55%よりも大きい、請求項66に記載の眼科用コンタクトレンズ。
  68. 前記米国規格協会Z80.20−2010により規定された前記レンズの前記視感透過率は70%よりも大きい、請求項66に記載の眼科用コンタクトレンズ。
  69. 570ナノメートルから600ナノメートルの間の第1のスペクトル帯にピーク吸収波長を有する第1の狭帯域色素と、400ナノメートルから430ナノメートルの間の第2のスペクトル帯にピーク吸収波長を有する第2の狭帯域色素とを含む眼科用レンズであって、前記第1のスペクトル帯域における前記レンズの最小分光透過率が75%よりも小さく、420ナノメートルにおけるレンズの分光透過率が50%よりも小さく、前記レンズの前記視感透過率が90%よりも小さく吸収率波長、前記視感透過率は、前記レンズが眼鏡レンズであれば米国規格協会Z80.3−2010により規定され、前記レンズがコンタクトレンズであれば米国規格協会Z80.20−2010により規定される、ことを特徴とする眼科用レンズ。
  70. 前記レンズの前記視感透過率は80%よりも小さい、請求項69に記載の眼科用レンズ。
  71. 420ナノメートルにおける前記レンズの前記分光透過率は10%よりも小さい、請求項69に記載の眼科用レンズ。
  72. 前記レンズの前記視感透過率は70%よりも大きい、請求項69〜71の何れかに記載の眼科用レンズ。
  73. 570ナノメートルから600ナノメートルの間の第1のスペクトル帯域にピーク吸収波長を有する狭帯域色素と、青色光吸収性標準色素とを含む眼科用眼鏡レンズであって、前記第1のスペクトル帯域における前記レンズの最小分光透過率は、前記レンズの前記視感透過率の4分の1よりも小さく、前記第2のスペクトル帯域における前記レンズの前記平均透過率は、前記レンズの前記視感透過率の8分の1よりも小さく、
    米国規格協会Z80.3−2010により規定された前記レンズの前記視感透過率は40%よりも小さい、ことを特徴とする眼科用眼鏡レンズ。
  74. 1つ以上の狭帯域色素と1つ以上の標準色素とを含む眼科用眼鏡レンズであって、前記標準色素の少なくとも1つが約510ナノメートルに吸収率ピークを有し、米国規格協会Z80.3−2010により規定された前記レンズの視認透過率は40%よりも小さく、450ナノメートルから530ナノメートルの間における前記レンズの平均透過率は前記レンズの前記視感透過率の10分の1よりも小さい、ことを特徴とする眼科用眼鏡レンズ。
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