JP2019528318A - 血液脳関門通過能を有する置換キナゾリン化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、血液脳関門通過能を有する置換キナゾリン化合物を提供する。該化合物の構造式は、式(I)で表される。【化1】本発明的キナゾリン化合物、誘導体及びその薬学的に許容されるその塩は、予想外の血液脳関門通過能、及びプロテインキナーゼ阻害剤としての薬物特性を有し、特に、上皮成長因子受容体の特定の活性化変異に媒介される病状への対応に適用され、異常なプロテインキナーゼ活性関連障害、例えば、がん、がんの脳転移、がんの髄膜転移、及び中枢神経系疾患等の治療又は予防に適用され得る。【選択図】なし

Description

本発明は、新規キナゾリン誘導体、その塩、水和物及びその結晶多形体に関し、具体的には、血液脳関門通過能を有する置換キナゾリン化合物に関する。
生物学的シグナル伝達とは、刺激シグナル又は阻害シグナルが細胞内に伝達され、一連のシグナル伝送を経て、細胞内で生物学的応答が発生することをいう。多くのシグナル伝達経路及びその生物学的反応について多くの研究が行われてきた。シグナル伝達経路に発生した様々な欠陥は、様々な形態のがん、代謝障害、炎症性疾患、血管疾患及びニューロン疾患などの多くの疾患の原因であることが発見された。これらの欠陥は、通常、DNA挿入、欠失又は転座のような遺伝子レベルで起こり、いくつかのがんにおいて、制御されない細胞増殖を引き起こすことがある。
シグナル伝達は、キナーゼと呼ばれる特定のタンパク質によって媒介されることが多い。キナーゼは、通常プロテインキナーゼ、脂質キナーゼ及び二重特異性を示す特定のキナーゼに分けられる。プロテインキナーゼは、他のタンパク質のリン酸化及び/又は自己リン酸化を触媒する酵素であり−イル質に対する効果に基づいて分類することができる。例えば、チロシンキナーゼは、主にチロシン残基(例えばKit、EGFR、HER2、VEGFR、PDGFR、SRC及びABLなど)をリン酸化し、セリン/トレオニンキナーゼは、主にセリン及び/又はトレオニン残基(例えばmTORC1、mTORC2、ATM、ATR、Aktなど)をリン酸化し、二重特異性キナーゼは−イル質であるチロシン、セリン及び/又はトレオニン残基をリン酸化する。
上皮成長因子受容体(EGFR)は、ErbB受容体ファミリーの膜貫通型タンパク質であるチロシンキナーゼに属し、上皮成長因子受容体EGFR/ERBB1、HER2/ERBB2/NEU、HER3/ERBB3、及びHER4/ERBB4を含む。上皮成長因子(EGF)リガンドへの結合により誘導されたEGFR受容体は、他のEGFR受容体又は他のファミリーメンバー、例えば、HER2/ERBB2/NEU、HER3/ERBB3又はHER4/ERBB4とホモポリマー又はヘテロ二量体を形成することにより、EGFRチロシンキナーゼは活性化される。活性化されたEGFRは、さらにその基質をリン酸化することにより、細胞内のPl3K−AKT−mTOR経路(細胞生存の活性化に関与する)及びRAS−RAF−MEK−ERK経路(細胞増殖に関与する)を含む複数の下流経路が活性化される。ErbB受体シグナル伝達及びその腫瘍への関与については、例えば、Chong et al. Nature Med.2013;19(11):1389−1400);N Engl J Med.(2008) Vol.358,1160−74 and Biochemical and Biophysical Research Communications(2004) Vol.319,1−11を参照されたい。
米国の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の約10%及び東アジアの非小細胞肺がん(NSCLC)患者の約35%は、腫瘍関連EGFR変異が発生した。そのうち、約90%の変異は、エクソン19(Exon 19 del)欠失又はエクソン21 L858R(Exon 21 L858R)変異である。これらの変異により、EGFRのキナーゼ活性が増加され、下流の生存促進シグナル伝達経路が過剰に活性化される。エクソン19欠失による変異は約45%を占め、エクソン21 L858R変異は約40−45%を占め、残りの10%の変異はエクソン18、20が関与するものである。例えば、Lynch et al. N Engl J Med. 2004; 350(21):2129−39;Pao et. al.,Nat Rev Cancer 2010;10:760−774を参照されたい。
ErbBファミリーのシグナル伝達の阻害解除(disinhibition)は、増殖、浸潤、転移、血管新生及び腫瘍細胞の生存を促進する。これは、肺、頭頸及び乳房を含む多くのヒトのがんで述べられている。そこで、ErbBファミリーは、抗がん剤の発展中の合理的な標的を代表している。ゲフィチニブ(Iressa(イレッサ)TM)、エルロチニブ(タルセバTM)、アファチニブ及びラパチニブ(TYKERBTM、TYVERBTM)を含むEGFR又はErbB2を標的とする低分子薬物は、臨床的に承認されている。しかし、血液脳関門(BBB)の存在により、これらの承認された薬物は、頭蓋内で肺がんの中枢神経系転移、例えば、脳転移、髄膜転移を治療及び/又は防止するための有効量に達することができない。約40−50%の肺がん患者には中枢神経系転移が発生する。症候性脳転移の場合、放射線療法及び手術は、依然として主な治療手段であるが、治療効果は限られている。例えば、Baik et al., J Thorac Oncol. 2015;10:1268−1278を参照されたい。
既存のEGFR活性化変異(エクソン21 L858R活性化変異及びエクソン19 del 19欠失変異)の治療法に対する上記中枢神経系転移の抵抗に鑑みて、血液脳関門通過能を有するEGFR活性化変異阻害剤が頭蓋内で有効量に達することは、がんの治療又は予防には特に有用である。本発明の目的は、予想外の血液脳関門通過能を有し、プロテインキナーゼ阻害剤としての薬物特性を有する置換キナゾリン化合物(置換6−[(3,3−ジフルオロピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(2−フルオロフェニル)キノリン−4−アミン化合物)及びその使用を提供することである。
本発明は、有利な物理化学的性質(例えば、より高い水溶性、高透過性及び低排出率)、及び/又は有利な毒性特性(例えば、hERGの減少)、及び/又は他の知られているEGFR変異阻害剤よりも有利な代謝曲線を有する複数の化合物を開示する。このような化合物は、血液脳関門通過能を有し、頭蓋内で有効量に達することができ、中枢神経系転移が発生したEGFR活性化変異、例えば、がんの治療には特に有用である。
本発明の目的は、以下の態様により実現される。
本発明は、式(I)で表される構造を含む化合物に関する。上記化合物は、
である。
式中で、Rは独立してC1−10アルキル基、C3−12シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基、複素環基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基、C2−C5エポキシ基又は重水素化アルキル基からなる群より選択される。
は独立してC1−10アルキル基、C3−12シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基又は重水素化アルキル基からなる群より選択される。
は独立してハロゲン原子、C1−10アルキル基、C1−10アルコキシ基又はC2−10アルキニル基からなる群より選択される。
は独立して水素原子又はハロゲン原子からなる群より選択される。
好ましくは、上記C1−10アルキル基はC1−4低級アルキル基である。
好ましくは、式(I)の構造式中で、
は独立してメチル基又はオキセタンからなる群より選択され、
は独立してメチル基又は重水素化メチル基からなる群より選択され、
は独立して塩素原子又はエチニル基からなる群より選択され、
は独立して水素原子又はフッ素原子からなる群より選択される。
本発明は、医薬組成物をさらに提供する。上記組成物は、上記化合物、その塩、そのプロドラッグ、そのプロドラッグの塩、その溶媒和物、その水和物又はその結晶多形体、及び薬学的に許容される補助材料又は補助成分を含む。
本発明は、上皮成長因子受容体EGFR活性化変異阻害剤をさらに提供する。上記阻害剤は、上記化合物を活性成分とし、血液脳関門を通過することができる。
本発明は、上皮成長因子受容体EGFRタンパク質が媒介する疾患を治療又は予防するための薬物の製造における上記化合物の使用をさらに提供する。
好ましくは、上記タンパク質は、上皮成長因子受容体EGFR活性化変異キナーゼである。
好ましくは、上記活性化変異は、上皮成長因子受容体EGFRエクソン19欠失活性化変異又はエクソン21 L858R活性化変異を含む。
好ましくは、上記疾患は、がん、増殖性疾患、中枢神経系疾患又はがんの中枢神経転移性疾患である。
好ましくは、上記がんの中枢神経転移は、がんの脳転移、がんの髄膜転移を含む。
好ましくは、上記疾患は、肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、膜腺がん、脳腫瘍、腎臓がん、リンパ腫、卵巣がん、胃がん、皮膚がん、骨がん、神経膠腫、神経芽細胞腫、肝細胞がん、乳頭状腎細胞がん又は頭頸部扁平上皮がんである。
好ましくは、上記疾患は、非小細胞肺がん(NSCLC)である。
好ましくは、上記疾患は、脳転移を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)である。
本発明は、上皮成長因子受容体EGFRタンパク質が媒介する疾患を治療又は予防するための薬物の製造における上記医薬組成物の使用をさらに提供する。
好ましくは、上記タンパク質は、上皮成長因子受容体EGFR活性化変異キナーゼである。
好ましくは、上記活性化変異は、上皮成長因子受容体EGFRエクソン19欠失活性化変異又はエクソン21 L858R活性化変異を含む。
好ましくは、上記疾患は、がん、増殖性疾患、中枢神経系疾患又はがんの中枢神経転移性疾患である。
好ましくは、上記がんの中枢神経転移は、がんの脳転移、がんの髄膜転移を含む。
好ましくは、上記疾患は、肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、膜腺がん、脳腫瘍、腎臓がん、リンパ腫、卵巣がん、胃がん、皮膚がん、骨がん、神経膠腫、神経芽細胞腫、肝細胞がん、乳頭状腎細胞がん又は頭頸部扁平上皮がんである。
好ましくは、上記疾患は、非小細胞肺がん(NSCLC)である。
好ましくは、上記疾患は、脳転移を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)である。
本発明は、上皮成長因子受容体EGFRタンパク質が媒介する疾患を治療又は予防するための薬物の製造における上記阻害剤の使用をさらに提供する。
好ましくは、上記タンパク質は、上皮成長因子受容体EGFR活性化変異キナーゼである。
好ましくは、上記活性化変異は、上皮成長因子受容体EGFRエクソン19欠失活性化変異又はエクソン21 L858R活性化変異を含む。
好ましくは、上記疾患は、がん、増殖性疾患、中枢神経系疾患又はがんの中枢神経転移性疾患である。
好ましくは、上記がんの中枢神経転移は、がんの脳転移、がんの髄膜転移を含む。
好ましくは、上記疾患是肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、膜腺がん、脳腫瘍、腎臓がん、リンパ腫、卵巣がん、胃がん、皮膚がん、骨がん、神経膠腫、神経芽細胞腫、肝細胞がん、乳頭状腎細胞がん又は頭頸部扁平上皮がんである。
好ましくは、上記疾患は、非小細胞肺がん(NSCLC)である。
好ましくは、上記疾患は、脳転移を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)である。
本発明の他の態様は、必要とする被験体に疾患又は疾患症状を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に有効量な本発明の一般式で表されるいずれかの化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物(又はその組成物)を投与することを含む。上記疾患又は疾患症状は、プロテインキナーゼ(例えば、EGFR活性化変異、エクソン19 exon 19 del欠失又はエクソン21 exon 21 L858R活性化変異)に媒介される疾患のいずれか1種であっても良い。これらの疾患又は疾患症状は、例えば、がん、増殖性疾患又は障害(例えば、本明細書に記載される疾患を含む)であってもよい。
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
1)本発明のキナゾリン誘導体及びその薬学的に許容されるその塩は、予想外の血液脳関門通過能、及びプロテインキナーゼ阻害剤としての薬物特性を有し、特に、上皮成長因子受容体の特定の活性化変異(例えば、上皮成長因子受容体EGFRエクソン21 L858R活性化変異体及びエクソン19 Exon 19 del欠失活性化変異体)に媒介される病状への対応に適用され、異常なプロテインキナーゼ活性関連障害、例えば、がん、がんの脳転移、がんの髄膜転移、及び中枢神経系疾患等の治療又は予防に適用され得る。
2)本発明のキナゾリン誘導体及びその薬学的に許容される塩は、低排出率を有し、且つP−糖タンパク質の基質ではないため、P−糖タンパク質による薬剤耐性を低下させることができる。
3)本発明のキナゾリン誘導体及びその薬学的に許容される塩は、良好な薬物動態学的特性及び高生物活性を有し、服薬による患者に対する負担を減軽し、患者の服薬コンプライアンスを向上させることができる。
<本明細書で用いられる用語の説明>
用語「改善」及び「治療」は、互換的に使用でき、両方とも疾患の発生又は発展(例えば、本明細書に記載の疾患又は障害)を低減、減軽、抑制、減少、阻止又は安定化することを意味し、有益又は期待できる結果を得るために使用される方法を指すが、治療上の有益性及び/又は予防上の有益性に限られない。
「疾患」とは、細胞、器官又は組織の正常機能を損害又は干渉する如何なる病状又は障害を指す。
「マーカー」とは、疾患又は障害に関連する如何なる変化を指す。例えば、疾患又は障害により表現レベル又は活性が変化する如何なるタンパク質又はポリヌクレオチドである。
本明細書において、「包含する」、「含有する」、「有する」といった用語は、特許法で与えられた意義を有する。「基本的に・・・からなる」又は「基本的に・・・を含む」のような表現は、同様に特許法で与えられた意義を有し、開放式の表現であり、列挙されたものの基礎又は新たな特徴が列挙されたもの以外のものの存在により変化しなければ、列挙されたもの以外のものの存在が許可されることを意味するが、従来技術の実施形態を除く。
本明細書で用いられる用語「拮抗剤」及び「阻害剤」は互換的に使用でき、化合物又は薬剤が具有抑制標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を阻害する能力、例えば、タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を阻害する能力。を有することを意味する。本明細書におけるいくつかの拮抗剤が具体的な標的タンパク質又はポリペプチドに作用(例えば、結合EGFR)するが、化合物と他の標的タンパク質又はポリペプチドのシグナル伝達経路の他のメンバーとの相互作用により標的タンパク質又はポリペプチドの生物活性を阻害することも当該定義に明確に含まれる。腫瘍の発達、成長若しくは拡散、又は自己免疫疾患に発生する望ましくない免疫応答に関連する生物活性に対する阻害も含まれる。
本明細書で用いられる用語「抗がん剤」、「抗腫瘍剤」又は「化学療法剤」とは、腫瘍疾患の治療に有用である如何なる薬剤を指す。抗がん剤には、化学療法剤が含まれる。「化学療法」とは、1種又は複数種の化学療法薬及び/又は他の薬剤を、包括静脈内投与、経口投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、膀胱内投与、経皮投与、口腔内投与、又は吸入投与などの方法によりがん患者に使用する方法をいう。
本明細書で用いられる用語「細胞増殖」とは、細胞数が細胞分裂の結果として増加する現象をいい、増殖シグナルと一致する細胞形態変化による細胞成長(例えば、サイズの増大)も含む。
本明細書で用いられる用語「併用」とは、同時に2種又は複数種の薬物を単独して投与すること、2種又は複数種の薬剤が混在する組成物を投与すること、異なる時点に単独投与又は2種若しくは複数種の薬物及び/又はその代謝物を投与することをいう。
本明細書で用いられる用語「有効量」又は「治療有効量」とは、所望の使用効果(疾患の治療効果に限らない)を達するのに十分な上述した化合物又は医薬組成物の量をいう。いくつかの実施形態において、上記量は、がん細胞を有効に殺滅すること、或いは、がん細胞増殖又は拡散、腫瘍のサイズ又は数、がんの重篤レベル、段階及び発展を有効に阻害することが確認された量である。治療有効量は、体外若しくは体内、疾患の状況及び重篤レベル、被験体の年齢、体重、又は投与方式等の所定の使用状況によって変化することができる。当該用語は、標的細胞を誘導し、例えば、特定の応答によって細胞遊走を減少させる投与量にも適用できる。具体的な投与量は、例えば、選択された特定の化合物;被験体の種、それらの年齢/健康状況又は健康状况のリスク;投与経路;疾患の重篤程度;他の薬剤との併用;投与時間;投与される組織;投与装置等に依存する。
本明細書で用いられる用語「治療効果」とは、治療上の有益性及び/又は予防上の有益性をいう。予防効果は、疾患又は症状の出現を遅延又は解消すること、疾患又は症状の発症を遅延又は解消すること、疾患又は症状を緩和、停止又は逆転すること、或いはそれらの組み合わせを含む。
本明細書で用いられる用語「シグナル伝達」とは、刺激又は阻害シグナルが細胞内に送達されて細胞内応答を誘発する過程をいう。シグナル伝達経路の「調節剤」とは、特定のシグナル伝達経路を介して1種又は複数種の細胞タンパク質の活性を調節する化合物をいう。「調節剤」は、シグナル伝達分子の活性を向上(アゴニスト)又は阻害(拮抗剤)することができる。
本明細書で用いられる用語「選択的阻害」とは、直接的な相互作用又は間接的な相互作用等により標的外シグナルに比べて標的シグナル伝達の活性を選択的に低減させることができるような化合物の能力をいう。例えば、特定の化合物による変異EGFRに対する活性の選択的な阻害は、野生型EGFRに対する活性阻害の約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍又はそれ以上である。
本明細書で用いられる用語「放射線治療」とは、被験体を放射線エミッタにさらす治療方法をいう。放射線エミッタは、例えば、α−粒子放出放射性核元素(例えば、アクチニウム及びトリウム放射性核元素)、低線形エネルギー移動(LET)放射線エミッタ(即ち、βエミッタ)、変換電子エミッタ(例えば、ストロンチウム−89及びサマリウム153− EDTMP)、又は高エネルギー放射線(例えば、X線、γ線及び中子線など)であるが、これらに限らない。
本明細書で用いられる用語「被験体」は、ヒト(即ち、如何なる年齢群、例えば、小児科被験体(男性又は女性、例えば、幼児、子供、青年)又は成人被験体(例えば、若い成人、中年成人又は高齢者))、及び/又は他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);哺乳動物(商業関連哺乳動物を含む)、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ネコ及び/又はイヌ;及び/又は鳥類(商業関連鳥類を含む)、例えば、ニワトリ、ガチョウ、ウズラ、カモ及び/又はシチメンチョウを含むが、これらに限らない。
本明細書で用いられる用語「インビボ」とは、被験体の生体内で起こる動作をいう。インビボは、ラット、マウス、モルモットなどのげっ歯類の体内で起こる動作も含む。
本明細書で用いられる用語「インビトロ」とは、生体外で起こる動作をいう。例えば、インビトロ試験は、生体外で行われる如何なる試験を含む。インビトロ測定は、生細胞又は死細胞による細胞測定、及び不完全細胞内で用いられる無細胞測定定方法を含む。
本明細書で用いられる用語「化合物」は、本明細書に記載の一般式で表される化合物の塩、プロドラッグ及びプロドラッグの塩を含むことが意図されている。当該用語は、上述したいずれかの溶媒和物、水和物及び結晶多形体も含む。用語「化合物」のみが記載され、「プロドラッグ」、「プロドラッグの塩」、「溶媒和物」、「水和物」又は「結晶多形体」などの他の形態が用いられない本発明の態様において、これらの他の形態の意図的な排除として理解されるべきではない。
本発明の化合物の塩は、酸と化合物の塩基性基、例えば、アミノ官能基とで形成されたものである。別の好適な実施形態において、この化合物は、薬学的に許容される酸付加塩である。
本発明の化合物の塩は、塩基と化合物の酸性基、例えば、カルボキシル官能基とで形成されたものである。別の好適な実施形態において、この化合物は、薬学的に許容される塩基付加塩である。
特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語「プロドラッグ」とは、化合物の誘導体をいう。プロドラッグは、生物学的条件(インビトロ又はインビボ)下で加水分解、酸化又は他の反応により本発明の化合物を形成することができる。プロドラッグは、生物学的条件下で上記の反応によって初めて活性を有してもよいか、又は反応が生じていない状態で活性を有してもよい。本発明のプロドラッグの例には、本開示のいずれかの一般式で表される化合物の類似体又は誘導体、生加水分解性部分、例えば、アミド及びエステル類似体が含まれるが、これらに限らない。
プロドラッグの塩は、酸とプロドラッグの塩基性基、例えば、アミノ官能基とで形成された化合物、又は塩基とプロドラッグの酸性基、例えば、カルボキシル官能基で形成された化合物である。一実施形態において、プロドラッグの塩は、薬学的に許容される塩である。
特に好ましいプロドラッグ及びプロドラッグの塩は、哺乳動物又はヒトに用いられる場合に、本発明の化合物のバイオアベイラビリティ(例えば、経口投与される化合物の吸収をより容易にする)を向上させるもの、又は親種に比べて、生物学的チャンバー(例えば、脳又は中枢神経系)への化合物の伝達を促進できるもをである。好ましいプロドラッグは、水溶性又は腸管膜を通過する能動輸送を促進する基を本明細書に記載の上記構造に結合した誘導体を含む。例えば、Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard,(Elsevier, 1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309−396, edited by K. Widder, et al.(Academic Press, 1985);A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard− Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 ”Design and Application of Prodrugs”,by H. Bundgaard p. 113−191(1991); H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1−38(1992) ;H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285(1988); and N. Kakeya, et al., Chem Pharm Bull, 32, 692(1984)を参照されたい。
本明細書で用いられる用語「薬学的に許容される」とは、合理的な医学の範囲内で、ヒト及び他の哺乳動物の組織との接触に適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、利益/リスク比が合理的な成分をいう。「薬学的に許容される塩」とは、如何なる毒性のない塩であって、被験体に使用された後、本発明の化合物又は化合物のプロドラッグを直接又は間接的に提供することができるものをいう。
通常、薬学的に許容される塩を形成するための酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ヨウ化水素酸、リン酸、ホウ酸、炭酸などの無機酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、ピクリン酸、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、酪酸、ギベリン酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、ピバリン酸、ギ酸、ヘプタン酸、フマル酸、ヨウ化水素酸、安息香酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、フマル酸、ステアリン酸ラクトビオン酸、プロピオン酸ラウリン酸、オレイン酸ニコチン酸、乳酸ケイ皮酸、コハク酸、マンデル酸、リンゴ酸、酒石酸、二酒石酸、乳酸、ピルビン酸、ペクチン酸、メタンスルホン酸、パモ酸、ベンゼンスルホン酸、過硫酸、パルミチン酸、マロングリセロリン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、アスコルビン酸、3−フェニルプロピオン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、エタン、p−ブロモベンゼンスルホン酸などの有機酸、及び他の関連する無機酸及び有機酸が含まれる。通常、薬学的に許容される塩を形成するための塩基には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、N(C1−4アルキル)4塩及び他の無機塩基及び有機塩基が含まれる。代表的なアルカリ金属、アルカリ土類金属は、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛、アルミニウム等である。有機塩基は、例えば、一級、二級及び三級アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂、及び類似体、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びエタノールアミンを含む。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩から選択されてもよい。例えば、Berge et al. J. Pharmaceutical Sciences(1977)66:1−19を参照されたい。
本明細書で用いられる用語「水和物」とは、非共有結合分子間力により化学量論又は非化学量論的な水が結合された化合物をいう。本明細書で用いられる用語「溶媒和物」とは、非共有結合分子間力により化学量論又は非化学量論的な溶媒が結合された化合物をいう。上記溶媒は、例えば、水、ジクロロメタン、2−プロパノール、アセトン、メタノール、エタノール又はその類似体である。薬学的に許容される溶媒和物及び水和物は、複合物であり、例えば、1〜約100、1〜約10、1〜約4、3又は2の溶媒又は水分子を含んでもよい。理解できるように、本明細書で用いられる用語「化合物」は、上記化合物及び化合物の溶媒和物、水和物、それらの混合物を含む。
本明細書で用いられる用語「結晶多形体」とは、化合物又はその複合物の固体結晶形をいう。同一の化合物の異なる結晶多形体は、異なる物理、化学及び/又はスペクトル特性を示すことができる。異なる物理的特定は、安定性(例えば、熱、光又は水分に対する安定性)、密度、吸湿性、可溶性、圧縮性及び溶解速度を含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる用語「異性体」とは、同一の分子式を有する異なる化合物をいう。「立体異性体」とは、原子の空間配置のみが異なる異性体をいう。本明細書で用いられる用語「異性体」は、全ての幾何異性体及び立体異性体を含む。「異性体」は、例えば、幾何二重結合のシス/トランス異性体(E/Z異性体とも呼ばれる)R/Sエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、そのラセミ混合物、及びそれらの他の混合物を含む。
炭素−炭素二重結合に結合した置換基によって、「Z」配座及び「E」配座に分けられてもよい。ここで、用語「Z」及び「E」は、IUPAC規格に従うものである。特に明記しない限り、二重結合を有する構造は、「E」及び「Z」異性体の両方を含む。
炭素−炭素二重結合に結合した置換基によって、「トランス型」又は「シス型」に分けられてもよい。ここで、「トランス型」とは、置換基が二重結合の同じ側(同じ炭素ではない)にあるものを指す。「シス型」とは、置換基が二重結合の反対側にあるものを指す。炭素環の構造は、同様に置換基によってトランス型」又は「シス型」に分けられてもよい。「トランス型」とは、置換基が環面の同じ側にあるものを指す。「シス型」とは、置換基が環面の反対側にあるものを指す。置換基が2つの環面の同じ側及び反対側にある化合物の混合物は、「トランス/シス」として示される。
本明細書で用いられる用語「エナンチオマー」とは、互いに重なり合うことができない1対の鏡像立体異性体である。1対のエナンチオマーの任意の割合の混合物は、「ラセミ」混合物と呼ばれてもよい。用語「(±)」は、必要に応じてラセミ混合物を特定するために使用される。「ジアステレオマー」は、少なくとも2個の不斉原子を有するがその立体異性体が互いにではない鏡像を指す。絶対立体化学は、Cahn−lngold−Prelog R−Sシステムに従って特定される。化合物がエナンチオマーであるとき、各キラル炭素の立体化学はR又はSによって特定することができる。化合物の絶対配座は未知であるが、ナトリウムD線の波長における偏光の回転方向(右又は左)に応じて(+)又は(−)を指定できる。本明細書に記載の材料のいくつかは、1つ又は複数の不斉中心を含み、これにより、エナンチオマー、ジアステレオマーを調製することができ、他の立体異性体を定義することができる。各不斉原子(R)−又は(S)−の絶対立体配座において、医薬組成物及び方法はラセミ混合物、光学的に純粋な形態及び中間体混合物を含むこれらの可能な異性体の全てを含む。光学活性(R)−及び(S)−は、キラル合成法又はキラル試薬を使用して、あるいは従来の技術によって調製することもできる。
本明細書で用いられる用語「エナンチオマー過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」は、以下に示す式を使用して計算することができる。以下に示す例において、組成物は、90%のエナンチオマー、例えば、Sエナンチオマー、及び10%の別のエナンチオマー、例えば、Rエナンチオマーを含む。
ee値=(90−10)/100=80%。
したがって、90%の一方のエナンチオマー及び10%の他方のエナンチオマーを含有する組成物は、80%のエナンチオマー過剰率を有すると言われる。本明細書に記載の組成物のいくつかは、少なくとも約50%(約75%、約90%、約95%又は約99%)のエナンチオマー過剰率でSエナンチオマーを含む。言い換えれば、組成物は、Rエナンチオマー中にエナンチオマー過剰のSエナンチオマーを含む。別の実施形態において、上記組成物のいくかは、少なくとも約50%(約75%,約90%,約95%又は約99%)のエナンチオマー過剰率のRエナンチオマーを含む。言い換えれば、組成物は、Sエナンチオマー中にエナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。例えば、異性体/エナンチオマーは、いくつかの実施形態において、対応するエナンチオマーのee値を提供することができ、「光学的濃縮」、「エナンチオマー的濃縮」、「エナンチオマー的純粋」及び「非ラセミ体」と呼ばれ、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、一方のエナンチオマーの重量百分率が、一方のエナンチオマー中のラセミ組成物よりも組成物の対照混合物の量より多いことを意味する(例えば、重量で1:1を超える)。例えば、Sエナンチオマーのエナンチオマーは、Rエナンチオマーに対するSエナンチオマーの重量、例えば、約50重量%を超える化合物の少なくとも約75重量%(又は80重量%)が濃縮されている。いくつかの実施形態では、約80重量%を超える濃縮は、「実質的に鏡像異性的に濃縮」、「実質的に鏡像異性的に純粋」又は「実質的に非ラセミ」の調製物を提供する。これは、エナンチオマーの重量が、組成物の少なくとも85重量%、例えば製剤の少なくとも約90重量%、さらに例えば他のエナンチオマーの1つに対して少なくとも約95重量%であることを意味する。特定の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、少なくとも1つのエナンチオマーの約90重量%からの量で存在し得る。他の実施形態では、化合物は、鏡像異性体の少なくとも約95重量%、約98重量%、又は約100重量%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、化合物は(S)−及び(R)−ラセミ混合物である。他の実施形態では、混合物の個々の化合物(S)が主に化合物の混合物であるか、又は(R)−が主に存在する化合物の混合物である方法が提供される。例えば、該化合物の混合物に含まれる(S)−エナンチオマー過剰率は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%又はそれ以上である。別の実施形態では、化合物の混合物に含まれる(S)−エナンチオマー過剰率は、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、約99%〜約99.5 %又はそれ以上である。別の実施形態において、化合物の混合物に含まれる(R)−エナンチオマーの純度は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%又はそれ以上である。いくつかの実施形態において、化合物の混合物に含まれる(R)−エナンチオマー過剰率は、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、約99%〜約99.5%又はそれ以上である。
別の実施形態において、該化合物の混合物には、それらの立体化学的配向に加えて、(S)−又は(R)−同じ化学的実体を含む。化合物中に−CH(R)−単位があり、Rが水素ではない場合、−CH(R)−は(S)−又は(R)−立体化学配向と同じ化学物質である。いくつかの実施形態において、同じ化学的実体の混合物における(S)−異性体は、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、約99 %〜約99.5%又はそれ以上の(S)−エナンチオマー過剰で存在する。
別の実施形態において、(R)−異性体は、(S)−異性体に対して同じ化学的実体の混合物(その立体化学的配向を除く)において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%又はそれ以上である。いくつかの実施形態において、同じ化学物質(その立体化学的配向を除く)の混合物中の(R)−エナンチオマー過剰率は、約55%〜約99.5%、約60%〜約99.5%、約65%〜約99.5%、約70%〜約99.5%、約75%〜約99.5%、約80%〜約99.5%、約85%〜約99.5%、約90%〜約99.5%、約95%〜約99.5%、約96%〜約99.5%、約97%〜約99.5%、約98%〜約99.5%、99%〜約99.5%又ははそれ以上である。
エナンチオマーは、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、キラル塩形成及び結晶化、又は不斉合成を含む、当業者に公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離することができる。例えば、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Jacques, Ed., Wiley lnterscience, New York, 1981); Wilen et al., Tetrahedron 33:2725(1977); Stereochemistry of Carbon Compounds(E. L. Eliel, Ed., McGraw−Hill, NY, 1962); and Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268(E. L. EIM, Et al.,Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, Ind. 1972)を参照されたい。
光学異性体は、常法により光学活性な酸又は塩基を用いてラセミ混合物を分割して、例えば、ジアステレオマー塩を形成することにより調製されてもよい。適切な酸の例は、酒石酸、ジアセチル、ジベンゾイル、ジベンゾイル酒石酸及びカンファースルホン酸を含むが、これらに限定されない。これらの塩の光学活性塩基の混合物からの異性体の分離は、ジアステレオマー結晶化によって達成することができる。あるいは、本開示の化合物と活性型の光学的に純粋な酸又は光学的に純粋なイソシアネートとの反応により、共有結合ジアステレオマー分子を合成してもよい。エナンチオマーは、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化又は昇華などを経て、加水分解することでエナンチオマーが濃縮された化合物を単離することにより合成することができる。光学活性化合物は活性原料を用いても得ることができる。いくつかの実施形態において、これらの異性体は、遊離酸、遊離塩基、エステル又は塩の形態であり得る。
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される形態は互変異性体である。本明細書で用いられる用語「互変異性」は、水素原子及び共有結合に由来する2つ以上の相互変換化合物の少なくとも1つの形態の移動及び変化を含む異性体の一種である(例えば、単結合から二重結合、三重結合から単結合、又はその逆)。「互変異性」はプロトン−又はプロトン移動互変異性を含み、酸−塩基化学のサブセットと考えられる。「プロトン移動互変異性」は、結合変化を伴うプロトン移動を含む。互変異性体の割合は、温度、溶媒及びpHなどの要因によって異なる。ここで、互変異性が可能であり(例えば、溶液中)、そして互変異性体の化学平衡に達することができる。互変異性(すなわち、互変異性体対を提供するための反応)は、酸又は塩基によって触媒され得るが、外部物質の作用もしくは存在がなくても発生することができる。互変異性化は、例えば、ケトンからエノール、アミドからイミド、ラクタムからラクタム、エナミンからイミン、及びある形態のエナミンから別の形態のエナミンを含むが、これらに限定されない。ケトンからエノールの互変異性化の具体例は、ペンタン−2,4−ジオン及び4−ヒドロキシ−3−エン−2−オンの互変異性体である。互変異性の他の例は、フェノール及びケトンの互変異性である。フェノール及びケトン互変異性体の具体例は、ピリジン4−フェノール及びピリジン−4−(1H)−オン互変異性体である。
特記しない限り、本明細書に記載の構造には、1つ以上の同位体濃縮原子のみが存在する化合物を含む。例えば、化合物は、1つの水素が重水素又は三重水素で置換された構造、あるいは本開示の範囲内の炭素13又は炭素14が濃縮された構造を有する。
本開示は、「同位体標識誘導体」も含む。該「同位体標識誘導体」は、本明細書で挙げられる化合物の薬学的に許容される形態を有するが、1つ又は複数の原子が天然に見られるものと異なる原子量又は質量数を有する原子に置換されている。本発明の化合物に適用できる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素の同位体、例えば、H,H,13C,14C,15N,18O,17O,18F,和36Clを含む。特定の同位体で標識された本発明の化合物(例えば、H及び14Cが標識されたもの)は、化合物及び/又は基質の組織分布の測定に適用できる。三重水素(即ちH)及び炭素14(即ち14C)同位体は、容易に調製及び検出され得る。また、比較的重い同位体、例えば、重水素(即ちH又はD)で置換されることにより、より高い代謝安定性(例えば、インビボでの半減期の増加又は用量の減少)からもたらされる特定の治療上の利益をもたらすことができる。同位体標識された本開示の化合物は、一般に同位体標識された試薬を非同位体標識された試薬と交換することによって調製することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるものは、このような化合物を形成するための1つ以上の非天然原子同位体を含み得る。本明細書で使用される本開示の化合物の全ての同位体変種は、放射性にも関わらず、本開示の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、放射性標識化合物は、代謝経路、又は速度もしくは他の生物学的機能を変えるために化合物の代謝及び組織分布を研究するために使用されてもよい。
本明細書で用いられる用語「立体異性体」とは、エナンチオマー及びジアステレオマーをいう。
本明細書で用いられる用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素をいう。
本明細書で用いられる用語「アルキル基」とは、炭素原子及び水素原子からなる直鎖又は分岐鎖をいい、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖基である。「低級アルキル基」とは、1−4個の炭素原子のアルキル基(1及び4この炭素原子を含む)である。
本明細書で用いられる用語「エポキシ基」とは、炭素原子及び酸素原子からなる環状炭化水素基をいい、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子及び1個の酸素原子基を有する飽和環状基である。
用語「アリールアルキル基」は、アルキル水素原子がアリール基で置換された部分を指す。
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する、2〜10個、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルケニル基が窒素原子に結合しているとき、二重結合を有する炭素を介してこのような基を直接結合しないことが好ましい。
用語「アルコキシ基」とは、直鎖状、分岐状、飽和環状構造の1〜10個の炭素原子及びそれらの組み合わせを含む−O−アルキル基をいい、酸素を介して親分子構造に結合する。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロオキシ基、イソオキシ基、ペトオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などを含む。「低級アルコキシ基」とは、1〜6個の炭素原子を含むアルコキシ基をいう。
用語「アルキニル基」とは、少なくとも1つの三重結合、2〜10個の炭素原子(すなわち、C2〜10アルキニル)、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖を指す。アルキニル基が窒素原子に結合している場合、三重結合を有する炭素を介してこのような基を直接結合しないことが好ましい。
用語「アルキレン基」とは、単結合によって結合された1〜5個の炭素原子の二価直鎖架橋(例えば、−(CH−、xは1−5)を指し、1〜3個の低級アルキル置換によって置換されていてもよい。
用語「アルキニレン基」は、三重結合、単結合によって結合された2〜5個の炭素原子の直鎖であり、1〜3個の低級アルキル基で置換されていてもよい。例示的なアルキニレン基は、−C≡C−、−CH−C≡C−、−CH(CH)C≡C−及び−C≡C−CH(C)CH−である。
本明細書で用いられる用語「シクロアルキル基」及び「シクロアルケニル基」は、それぞれ飽和及び部分的飽和の3−12個の炭素原子、好ましくは3−8個の炭素原子、より好ましくは3−6個の炭素原子を有する環状炭化水素基である。
用語「Ar」又は「アリール基」とは、6−14個の炭素原子を含む芳香環基(例えば、6員単環式、10員二環式)をいう。例示的なアリール基は、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基を含む。
用語「複素環」、「複素環の」又は「複素環基」は、完全に飽和又は部分的に不飽和の環式基を意味し、例えば、3−7員単環、7−12員二環、又は10−15三環であり、そのうちの少なくとも1つの環に少なくとも1つのヘテロ原子を有し、且つ、各環における0、1、2又は3個の原子が置換基に置換されていてもよい。ヘテロ原子を含む複素環基の各環に1、2、3又は4個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子から選択されるヘテロ原子を有していてもよく、窒素原子及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素原子は任意に四級化されていてもよい。複素環基は、環又は環系の任意のヘテロ原子又は炭素原子に結合していてもよい。
用語「置換基」とは、本明細書に記載の官能基のいずれかにおいて「置換されている」基をいう。例えば、該基における任意の原子上のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基、又はヘテロアリール基である。適切な置換基は、ハロゲン、CN、NO、OR、SR、S(O)OR、NRR’、C1−C2ペルフルオロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基、1,2−メチレンジオキシ、C(O)OR、C(O)NRR’、OC(0)NRR’、NRC(O)NRR’、C(NR)NRR’、NRC(NR)NRR”、S(0)NRR’、R”、C(O)R”、NRC(0)R”、S(O)R”、S(0)R”、R’、オキソ、C(0)R’、C(O)(CHOH,(CHOR,(CHC(O)NRR’、NRS(O)R’(ここで、nが独立して0−6であり、0及び6を含む)を含むが、これらに限定されない。各Rは、独立して水素、C1−C4アルキル基又はC3−C6シクロアルキル基である。各R’は、独立して水素、アルケニル基、アルキニル基、C3−C6シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ヘテロアリール基、C1−C4アルキル基、又はC3−C5シクロアルキル基、アリール基、複素環基若しくはヘテロアリール基で置換されたC−C4アルキル基である。各R”は特立してC3−C6シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ヘテロアリール基、C1−C4アルキル基、又はC3−C6シクロアルキル基、アリール基、複素環基若しくはヘテロアリール基で置換されたC1−C4アルキル基である。R、R’及びR”におけるC3−C5シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ヘテロアリール基及びC1−C4アルキル基は、ハロゲン、CN、C1−C4アルキル基、OH、C1−C4アルコキシ基、NH、C1−C4アルキルアミノ基、C1−C4二アルキルアミノ基、C1−C2ペルフルオロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基又は1,2−メチレンジオキシに置換されてもよい。
用語「オキソ」とは、酸素原子をいい、炭素に結合するときにカルボキシル基を形成し、窒素に結合するときにN−オキシドを形成し、硫黄に結合するときにスルホキシド又はスルホンを形成する。
用語「アシル基」とは、アルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基又はヘテロアリールカルボニル置換基をいい、それらのいずれも置換基で更に置換されていてもよい。
用語「CDCl」とは、重水素化クロロホルムという。
用語「DMSO−d6」とは、重水素化ジメチルスルホキシドをいう。
用語「LC−MS:(ESI)」とは、エレクトロスプレーイオン化液体クロマトグラフィー質量分析をいう。
本明細書で用いられる用語「変化」は、相対的な生理学的状態の変化として定義される。例示的な変化としては、突然変異、欠失、他のタンパク質との融合、過剰発現又は低発現が挙げられる。
本明細書中の変量の任意の定義における化学基の列挙の説明は、任意の単一の基又は列挙された基の組み合わせとして変数を定義することを含む。本明細書における変量の実施形態の説明は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態もしくはその一部と組み合わせて、この実施形態を含む。本発明の実施形態の説明は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態もしくはその一部と組み合わせてこの実施形態を含む。
本発明の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を含み得、これによりラセメート及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、単独したジアステレオマー及びジアステレオマー混合物として現れる。これらの化合物の全てのこのような異性体形態は、すべて本発明に明確に含まれる。本発明の化合物は、様々な互変異性型でも存在し得る。この場合に、本発明には、上記化合物のすべての互変異性が明確に含まれる。このような化合物のこのような異性体形態はすべて本発明に含まれる。本明細書に記載の化合物の全ての結晶形は、本発明に明確に含まれる。
本発明の化合物
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその塩、そのプロドラッグ、そのプロドラッグの塩、その水和物、溶媒和物若しくは結晶多形体を提供する。
式中、
は独立してアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基、複素環基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基、エポキシ基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
は独立してアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
は独立してハロゲン、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基又はアルキニル基からなる群より選択され、
は独立して水素原子又はハロゲンからなる群より選択される。
別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物又はその塩、そのプロドラッグ、そのプロドラッグの塩、その水和物、溶媒和物若しくは結晶多形体を提供する。
式中、
は独立してアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基、複素環基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基、エポキシ基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
は独立してアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
は独立してハロゲン、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基又はアルキニル基からなる群より選択され、
は独立して水素原子又はハロゲンからなる群より選択される。
別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物又はその塩、そのプロドラッグ、そのプロドラッグの塩、その水和物、溶媒和物若しくは結晶多形体を提供する。
式中、
は独立してアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基、複素環基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基、エポキシ基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
は独立してアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
は独立してハロゲン、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基又はアルキニル基からなる群より選択され、
は独立して水素原子又はハロゲンからなる群より選択される。
本発明の代表的な化合物は、以下の化合物1−30である。これらの実施例において、特に明記しない限り、不斉炭素原子での立体配座は、独立してR/S、R又はSである。本明細書に記載の構造は、以下の化合物1−30の構造を含み、NH、NH(アミノ基)及びOH(ヒドロキシ基)などの基を有してもよく、対応する水素原子は明確には示されていない。ただし、場合によって、NH、NH又はOHと呼ぶことがある。いくつかの構造において、描いた横棒の一重結合は、メチル基を示す。
本発明の代表的な化合物名を以下に列挙する。
(R/S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン
(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン
本明細書中の一般式の化合物の合成、例えば本明細書中に開示されている関連方法及び中間体は、通常の合成化学技術者によって容易に実施することができる。本明細書で言及される各特許、特許出願及び刊行物は、伝統的な雑誌に載ってあるもの又はインターネットのみにより得られるものにも関わらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書中の一般式の化合物を合成する他の方法は、本明細書中に引用される参考文献を変更することで容易に得られるものである。これらの手順の変更及び最適化は、当業者の能力の範囲内にある。
上記に示した特定の様式及び化合物は限定的であることを意図しない。本明細書における化学構造にはいくつかの変量がある。ここで、これらの変量は、同じ変量名(例えば、R1、R2、R、R’、R”、Xなど)で表されるにも関わらず、本明細書中の一般式の化合物における対応する位置での化学基(部分、原子等)によって定義される。特定の化合物構造中の化学基が他の化合物構造の合成に適するか否かは、当業者が判断できるものである。本開示に明確に示されていないものを含む、本明細書中の一般式の化合物及びそれらの合成前駆体の他の合成方法は、当業者の範囲内に含まれる。競合副生成物を減少させるために、反応条件を最適化する方法は当技術分野において公知である。本明細書に記載の方法は、具体的に説明した工程の前後にさらに工程を追加することにより、適切な保護基を導入又は除去し、最終的に本発明の化合物を合成することができる。また、所望の化合物を得るために、各合成ステップの順序を変更してもよい。使用可能な化合物の合成に用いられる合成化学変換及び保護基方法論(保護及び脱保護)は、当技術分野において公知のものであ理、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T. W. Greene 和 P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1999);L. Fieser和M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);L. Paquette,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995);及びその後の版に記載の方法を含む。
本明細書に記載の方法は、ある一般式の化合物を別の一般式の化合物に変換することを意図している。変換プロセスは、インサイチュで行うことができるか、又は中間化合物を分離して行うことができる1つ又は複数の化学変換作用を指す。変換は、当分野で公知の技術及び方法(本明細書で引用される文献に記載のものを含む)により出発化合物又は中間体を別の薬剤と反応させることを含み得る。中間体は、精製(例えば、濾過、蒸留、昇華、結晶化、研磨、固形物抽出及びクロマトグラフィー)してから使用してもよいか、又は精製せずに使用されてもよい。
本発明の置換基及び変量の組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすものだけである。
本発明は、有効量の本明細書におけるいずれかの一般式の化合物、必要に応じてその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、結晶多形体又はプロドラッグ、及び許容される担体を含む組成物をさらに提供する。好ましくは、本発明の組成物は、医薬使用のために調製される「医薬組成物」であり、上記担体は、薬学的に許容される担体である。製剤の他の成分との相溶性の観点から、薬学的に許容される担体の場合には、上記担体は「許容できる」ものであって、そして薬物に用いられる典型的な量でそのアクセプターを損なわないものでなければならない。
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、如何なる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤及び類似体を含む。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、開示されている化合物の薬理学的活性を害することはなく、送達するのに十分な量の化合物の用量で投与した場合には無毒である。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野において周知である。従来の媒体又は薬剤が活性成分と不適合でない限り、本明細書に開示されている治療用組成物における使用は期待されるものである。薬学的に許容される担体及び賦形剤の例には、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖、馬鈴薯澱粉とコーンスターチなどの澱粉、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース及びエチルセルロースなどのセルロース及びその誘導体、ゼラチン、トラガカント粉、タルク、麦芽、カカオバター、座薬用ワックス。落花生油、ベニバナ油、綿実油、オリーブオイル、ゴマ油、コーン油、大豆油などの油、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、リンゲル液、等張食塩水、エタノール、リン酸緩衝液、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの無毒の互換性のある潤滑剤、着色剤、コーティング剤、放出剤、甘味剤、香味剤及び香料、酸化防止剤、防腐剤、イオン交換体、アルミナ、レシチン、ステアリン酸アルミニウム、ビタミンE、ポリエチレングリコール1000、コハク酸などの自己乳化薬物送達システム(SEDDS)、Tweens又は他の類似する高分子送達マトリックスなどの医薬剤形用の界面活性剤、例えば、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸と部分グリセリドの混合物、水、塩、硫酸プロタミン、リン酸水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム及び亜鉛塩などの電解質、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、alpha、beta及びgamma−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、2−及び3−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学修飾された誘導体、及び化合物の送達を改善するための他の可溶化誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、固体又は液体形態で投与することができる。投与方法は、灌注剤(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤(例えば、経口、舌下及び全身吸収)、ハード又はソフトカプセル、丸剤、シロップ、粉剤、顆粒剤、舌に貼るペースト剤、十二指腸経路などを含む経口投与;静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、眼内、肺、血管内、腹腔内、輸液(例えば、無菌溶液又は懸濁液)又は徐放性製剤を含む非経口投与;クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、水性又は油性溶液、懸濁液、皮膚に適した放出制御パッチ剤又はスプレーを含む局所投与;膣座薬、クリーム剤、ステント若しくはフォームを介する膣内投与又は直腸内投与;舌下投与;カテーテル又はステントを介する局所投与;吹き込み(例えば、微粉末)又は吸入(例えば、微粉末又は液体エアロゾル)を介する髄腔内投与又は鼻腔内投与を含む。
医薬組成物に適した水性又は非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、それらの混合物、オリーブオイルなどの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。例えばレシチンなどのコーティング材料を使用すること、分散液の所望の粒径を維持すること、及び界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持する。これらの組成物には、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、潤滑剤及び/又は酸化防止剤などのアジュバントをさらに含んでもよい。本明細書に記載の化合物の微生物予防作用は、異なる抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、フェノールソルビン酸及び類似体)を含めることによって確保されることができる。組成物には、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含んてもよい。さらに、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収遅延剤を含むことによって注射用剤形の遅延吸収を達成することができる。
これらの製剤又は組成物の調製方法は、本明細書に記載の化合物及び/又は化学治療担体及び任意の1種又は複数種の補助成分に関連する手順を含む。一般的には、製剤は、本明細書に開示されている化合物と液体担体若しくは微細な固体担体又は両方と均一で緊密に結合し、必要に応じて、製品を成形することにより形成される。そのような医薬組成物の調製は当技術分野において周知である。例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw−Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 2003; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001; Rem的g的n’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition,Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty−Second Edition(The Pharmaceutical Press, London, 1999)を参照されたい。これらの参考文献は、その全体が参考として本明細書に援用される。任意の従来の賦形剤媒体が本明細書に提供される化合物と不適合(例えば、薬学的に許容される組成物におけるの他の任意の成分と相互作用して、望ましくない生物学的効果又は有害な効果を生じさせる)でない限り、賦形剤の使用も本開示の範囲内にある。
いくつかの実施形態において、医薬組成物における開示された化合物の濃度は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%0.0003%0.0002%又は約0.0001%の重量/重量比、重量/体積比、又は体積/体積比未満であり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物のうちの1種又は複数種の濃度は、約90%以上、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19.75%、約19.50%、約19.25%約19%、約18.75%、約18.50%、約18.25%、約18%、約17.75%、約17.50%、約17.25%、約17%、約16.75%、約16.50%、約16.25%、約16%、約15.75%、約15.50%、約15.25%、約15%、約14.75%、約14.50%、約14.25%、約14%、約13.75%、約13.50%、約13.25%、約13%、約12.75%、約12.50%、約12.25%、約12%、約11.75%、約11.50%、約11.25%、約11%、約10.75%、約10.50%、約10.25%、約10%、約9.75%、約9.50%、約9.25%、約9%、約8.75%、約8.50%、約8.25%、約8%、約7.75%、約7.50%、約7.25%、約7%、約6.75%、約6.50%、約6.25%、約6%、約5.75%、約5.50%、約5.25%、約5%、約4.75%、約4.50%、約4.25%、約4%、約3.75%、約3.50%、約3.25%、約3%、約2.75%、約2.50%、約2.25%、約2%、約1.75%、約1.50%、約1.25%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%若しくは約0.0001%の重量/重量比、重量/体積比、又は体積/体積比を超えてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物のうちの1種又は複数種の濃度の範囲は、約0.0001%〜約50%、約0.001%〜約40%、約0.01%〜約30%、約0.02%〜約29%、約0.03%〜約28%、約0.04%〜約27%、約0.05%〜約26%、約0.06%〜約25%、約0.07%〜約24%、約0.08%〜約23%、約0.09%〜約22%、約0.1%〜約21%、約0.2%〜約20%、約0.3%〜約19%、約0.4%〜約18%、約0.5%〜約17%、約0.6%〜約16%、約0.7%〜約15%、約0.8%〜約14%、約0.9%〜約12%、約1%〜約10%の重量/重量比、重量/体積比又は体積/体積比であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物のうちの1種又は複数種の濃度の範囲は、約0.001%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.02%〜約4.5%、約0.03%〜約4%、約0.04%〜約3.5%、約0.05%〜約3%、約0.06%〜約2.5%、約0.07%〜約2%、約0.08%〜約1.5%、約0.09%〜約1%、約0.1%〜約0.9%重量/重量比、重量/体積比又は体積/体積比であってもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物のうちの1種又は複数種の量は、約10g,約9.5g、約9.0g、約8.5g、約8.0g、約7.5g、約7.0g、約6.5g、約6.0g、約5.5g、5.0g、約4.5g、約4.0g、3.5g、約3.0g、約2.5g、約2.0g、約1.5g、約1.0g、約0.95g、約0.9g、約0.85g、約0.8g、約0.75g、約0.7g、約0.65g、約0.6g、約0.55g、約0.5g,約0.45g、約0.4g、約0.35g、約0.3g、約0.25g、約0.2g、約0.15g、約0.1g、約0.09g、約0.08g、約0.07g、約0.06g、約0.05g、約0.04g、約0.03g、約0.02g、約0.01g、0.009g、約0.008g、約0.007g、約0.006g、約0.005g、約0.004g、約0.003g、約0.002g,約0.001g、約0.0009g、0.0008g,約0.0007g、約0.0006g、約0.0005g、約0.0004g、0.0003g、0.0002g、又は約0.0001g以下であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物のうちの1種又は複数種の量は、約0.0001g、約0.0002g、0.0003g、約0.0004g、約0.0005g,約0.0006g、約0.0007g、約0.0008g,約0.0009g、約0.001g、0.0015g、約0.002g、0.0025g、約0.003g、約0.0035克。約0.004g、約0.0045g、約0.005g、約0.0055g、約0.006g、約0.0065g、約0.007g、約0.0075g、約0.008g、約0.0085g、0.009g,約0.0095g、約0.01g、約0.015g、約0.02g、約0.025g、約0.03g、約0.035g、約0.04g、約0.045g、約0.05g、約0.055g、約0.06g、約0.065g、約0.07g、約0.075g、約0.08g、約0.085g、約0.09g、約0.095g、約0.1g,約0.15g、約0.2g、約0.25g、約0.3g、約0.35g、約0.4g、約0.45g、約0.5g,約0.55g、約0.6g、約0.6g、約0.7g、約0.75g、約0.8g、約0.85g、約0.9g、約0.95g、約1g、約1.5g、約2g、約2.5,約3g、約3.5,約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g又は約10gを超えてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物のうちの1種又は複数種の量の範囲は、約0.0001g〜約10g、約0.0005g〜約9g、約0.001g〜約0.5g、約0.001g〜約2g、約0.001g〜約8g、約0.005g〜約2g、約0.005g〜約7g、約0.01g〜約6g、約0.05g〜約5g、約0.1g〜約4g、約0.5g〜約4g、又は約1g〜約3g。
いくつかの好適な実施形態において、本明細書に開示された化合物、経口投与に適した医薬用賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明が提供する経口投与に適した医薬組成物は、(1)任意の有効量の開示された化合物と、(2)有効量の1種又は複数種の第2薬剤と、(3)経口投与に適した1種又は複数種の医薬用賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、(4)有効量の第3薬剤をさらに含む。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与に適した液体医薬組成物であってもよい。経口投与に適した医薬組成物は、粉末又は顆粒状の活性成分を所定量含むカプセル、カシェ剤、錠剤、液体、溶液、エアロゾルスプレー又は懸濁液、水又は非水性液体、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンなどの個別の剤形として使用することができる。このような剤形は、任意の薬学方法により調製することができるが、全ての方法には、活性成分と液体担体、リポソーム又は細かく分散した固体担体とを均一で緊密に結合することで組成物を調製するステップを含む。一般的には、医薬組成物は、活性成分と液体担体又は微細な固体担体又は両方とを均一で緊密に混合し、必要に応じて生成物を所望の形式に成形することにより形成される。例えば、錠剤は、任意の1種又は複数種の成分を圧縮又は成形することにより調製されてもよい。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒のような自由に流動する活性成分を任意の賦形剤、例えば、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤及び/又は界面活性剤又は分散剤と混合し、適切な機器で圧縮することにより調製してもよい。成形錠剤は、適切な機器で、不活性液体希釈剤と湿った粉末化合物の混合物を成形することにより調製してもよい。錠剤は、コーティングされていなくても、コーティングされていても、又はニックが入っていてもよく、その中の活性成分の徐放又は放出制御が可能となるように製剤化されていてもよく、それによって長期間にわたって効果が持続することができる。使用可能な遅延材料は、例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートである。経口投与に用いられる製剤は、ハードゼラチンカプセル(活性成分と不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンとを混合したもの)であってもよいか、又はソフトゼラチンカプセル(活性成分と水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン又はオリーブオイルとを混合したもの)であってもよい。
活性成分は、従来の薬物混合技術によって薬学的に許容される担体に緊密に結合することができる。上記担体は、所望の製剤の投与経路によって様々な形態を取り得る。経口剤形の医薬組成物の調製において、任意の通常の医薬媒体、例えば、水、グリコール、油、エタノール、香味剤、防腐剤、着色剤及び経口液剤(例えば、懸濁液、溶液、エリクサー)又はエーロゾル剤を担体として使用することができる。或いは、澱粉、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などの担体は、経口固形製剤に使用することができる。なお、いくつかの実施例では乳糖を使用しない。いくつかの実施形態において、化合物は、乳糖、ショ糖、澱粉の粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及び/又はポリビニルアルコールと混合されてもよい。例えば、経口固形製剤の調製に適した担体は、粉末、カプセル及び錠剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、錠剤は、錠剤は標準的な水性又は非水性技術によりコーティングすることができる。
医薬組成物及び剤形に適したコーティング剤は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉又は他の澱粉、ゼラチン、天然バインダー、アラビアガムなどの合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファー化澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
本明細書に開示された医薬組成物及び剤形に適したフィラーの例は、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、グルコースバインダー、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、澱粉、アルファー化澱粉、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
本明細書の医薬組成物に崩壊剤を使用することにより、水環境にさらされるときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤が多すぎると、錠剤はボトル内で崩壊する可能性がある一方、少なすぎると崩壊するのに十分ではないため、剤形の活性成分の放出速度と程度は変わることがある。したがって、崩壊剤の量を十分にする必要があるが、活性成分の放出を害するほど少なすぎても多すぎてもならない。崩壊剤の量は、配合処方及び投与方式に依存し、当業者によって容易に決定されることができる。医薬組成物には、約0.5〜約15重量%又は約1〜約5重量%の崩壊剤を用いてもよい。医薬組成物及び剤形の形成に適用される崩壊剤は、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カリウム、デンプングリコール酸カリウム、馬鈴薯又はキャッサバ澱粉、他の澱粉、プレゼラチン化澱粉、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム又はその混合物を含むが、これらに限定されない。
医薬組成物及び剤形の成形に適用される潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水添植物油(例えば、落花生油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブオイル、コーンオイル、大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。潤滑剤は、例えば、シリカゲル、凝固エアロゾル、又はその混合物をさらに含む。医薬組成物には、潤滑剤が約1重量%未満で含まれてもよい。
水性懸濁液及び/又はエリクサーが経口投与に用いられる場合に、活性成分は、種々の甘味剤又は香味料、着色剤又は染料、及び乳化剤及び/又は懸濁剤、希釈剤(例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びそれらの組み合わせ)と結合することができる。
医薬組成物及び剤形の形成に適用できる界面活性剤は、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適切な親水性界面活性剤は、通常少なくとも約10のHLB値を有するが、適切な親油性界面活性剤は、通常約10未満なHLB値を有する。相対的親水性及び疎水性を特徴付けるために使用される経験的パラメータは、親水性親油性バランス値HLB(「HLB」値)である。HLB値が低い界面活性剤は、より親油性又は疎水性であり、油中でより高い溶解度を有する一方、HLB値が高い活性剤は、より親水性であり、水溶液中でより高い溶解度を有する。親水性界面活性剤は、一般に、約10より大きいHLB値を有するものであると考えられているが、アニオン、カチオン又は双性イオン化合物のHLB値は一般にそれほどではない。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有するものである。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬用及び化粧品用エマルションにおける一般的使用のための大まかな指針にすぎない。
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性であり得る。適切なイオン性界面活性剤は、アルキルアンモニウム塩、フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;ミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンと水添レシチン;リゾホスファチジルコリンと水添リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾレシチン及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシル乳酸塩;モノ/ジアセチル化モノ/ジグリセリドの酒石酸エステル;サクシニル化モノ/ジグリセリド;モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。イオン性界面活性剤は、例えば、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質及びその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、アルキル硫酸塩、脂肪酸塩、ドキュセートナトリウム、アシル乳酸塩、モノ/ジグリセリドのジアセチル化酒石酸塩、サクシニル化モノ/ジグリセリド;モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。親水性非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシド、アルキルマルトース、アルキルチオグリコシド、ラウロイルポリエチレングリコールグリセリド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル)、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール(例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール)、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル)、ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールソルビトール脂肪酸エステル);グリセリド、植物油、水添植物油、脂肪酸とステロールのうちの少なくとの1種のポリオールとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体及びその類似体;ポリオキシエチレン改質ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体及びそれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルとトリグリセリド、植物油及び水添植物油のうちの少なくとの1種のポリオールとの親水性エステル交換生成物を含むが、これらに限定されない。該ポリオールは、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール又は糖類であってもよい。他の親水性非イオン性界面活性剤は、PEG−10ラウレート、PEG−12ラウレート、PEG−20ラウレート、PEG−32ラウレート、PEG−32ジラウレート、PEG−12オレート、PEG−15オレート、PEG−20オレート、PEG−20ジオレート、PEG−32オレート、PEG−200オレート、PEG−400オレート、PEG−15ステアレート、PEG−32ジステアレート、PEG−40ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−20ジラウレート、PEG−25グリセロールトリオレート、PEG−32ジオレート、PEG−20グリセリルラウレート、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−20グリセレート、PEG−20オレイン酸グリセリド、PEG−30オレイン酸グリセリド、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−40グリセリルラウレート、PEG−40パーム核油、PEG−50水添ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油、PEG−60コーン油、PEG−6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG−8カプリレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセル−10ラウレート、PEG−30コレステロール、PEG−25植物ステロール、PEG−30大豆ステロール、PEG−20トリオレート、PEG−40ソルビトールオレート、PEG−80ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ドデシルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、PEG−100トコフェロールサクシネート、PEG−24コレステロール、Tween 40、Tween 60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG 10−100ノニルフェノール系、PEG 15−100オクチルフェノール系及びポロキサマーを含むが、これらに限定されない。適切な親油性界面活性剤は、例えば、脂肪アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、 アセチル化グリセリン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、 ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ステロール及びステロール誘導体、ポリオキシエチレンステロール及びステロール誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、シュガーエステル、シュガーエーテル、モノ/ジグリセリドの乳酸誘導体を含むが、これらに限定されない。
化合物の良好な可溶化性及び/又は溶解度を確保するとともに、化合物の沈殿をできるだけ減少するために、医薬組成物に可溶化剤を含んでもよい。可溶化剤は、非経口投与、例えば、注射投与用の医薬組成物にとって特に重要である。可溶化剤を添加することにより、親水性薬物及び/又は他の成分、例えば界面活性剤の溶解度を向上すること、又は安定的又は均一な溶液又は分散体として医薬組成物を維持することができる。適切な可溶化剤の例は、例えば、アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びその異性体、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体、ポリエチレングリコールエーテル(分子量:約200〜約6000)、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(テトラヒドロフランポリグリコールエーテル)又はメトキシPEG、アミド及び他の窒素化合物、例えば、2−ピロリドン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリジン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド及びポリビニルピロリドン、エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、オクタン酸エチル、酪酸エチル、グリセロールトリアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクトン及びそれらの異性体、デルタ−バレロラクトン及びその異性体、ブチロラクトンとその異性体、他の既知の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、水、及び可溶化剤の混合物を含むが、これらに限定されない。
可溶化剤の量は、生物学的に許容される量に限定されてもよく、当業者によって決定され得る。可溶化剤は、薬物及び他の賦形剤の総重量に対して、約10重量%、約25重量%、約50重量%、約100重量%、又は最大約200重量%の重量比であり得る。必要に応じて、可溶化剤の量は、少量、例えば、約5%、2%、1%又はそれ以下であってもよい。典型的には、可溶化剤は、約1%〜約100%、通常約5%〜約25%(重量)であってもよい。
上記医薬組成物には、1種又は複数種の薬学的に許容される添加剤及び賦形剤を含んでもよい。このような添加剤及び賦形剤は、例えば、ブロッキング防止剤、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、香味料、着色料、エッセンシャルオイル、スパイス、遮光剤、懸濁剤、バインダー、充填剤、可塑剤、潤滑剤及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。防腐剤は、例えば、酸化防止剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤、及び他の防腐剤を含むが、これらに限定されない。酸化防止剤は、α−トコフェロール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、ピロ亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、クエン酸、トリエチレンジアミン四酢酸を含むが、これらに限定されない。抗菌防腐剤は、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロロキシレノール、クレゾール、エタノール、グリセリン、ヘクトリン、イミダゾリジン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコールを含むが、これらに限定されない。抗真菌剤は、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸を含むが、これらに限定されない。防腐剤は、例えば、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、フェニルエチルアルコールを含むが、これらに限定されない。酸性防腐剤は、例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β−カロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸を含むが、これらに限定されない。他の防腐剤は、例えば、トコフェロールアセテート、セトリミド、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシルトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、メチルパラベンを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、防腐剤は酸化防止剤であってもよい。他の実施形態において、防腐剤はキレート剤であってもよい。
いくつかの実施形態において、非経口投与に用いられる医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、(1)有効量の本開示の化合物と、必要に応じて(2)有効量の1種又は複数種の第2薬剤と、(3)非経口投与に適した1種又は複数種の薬物賦形剤と、(4)有効量の第3薬剤を含む。
上記医薬組成物は、注射により投与され得る。上記医薬組成物には、水性又は油性懸濁液、又はエマルジョン、ゴマ油、コーン油、綿実油若しくは落花生油、及びエリクサー、マンニトール、ブドウ糖、又は滅菌水溶液、及び類似する薬物担体を含む。生理食塩水溶液も通常注射に用いられる。エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、ベンジルアルコールなど(及び適切なそれらの混合物)、シクロデキストリン誘導体、塩化ナトリウム、トラガカント、緩衝液及び植物油も使用されてもよい。適切な流動性は、コーティング剤、例えば、レシチンを使用すること、又は分散体の状態で界面活性剤を使用することにより必要な顆粒の大きさを保持することにより保持することができる。微生物の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チオメルサールなどにより図られる。医薬組成物は、適切な担体(塩水、グルコース若しくは水、又はシクロデキストリン、共溶媒(例えば、プロピレングリコール)又はミセル可溶化剤(例えば、Tween 80))を介して注射されてもよい。
無菌注射溶液は、必要な量の本発明に開示された化合物、上記種々の他の成分、及び適切な溶媒を用いて、濾過滅菌により調製することができる。通常、分散体は、種々の滅菌された活性成分を基本分散媒を含む無菌担体及び上述した適切な他の成分に加えることにより調製することができる。無菌粉末を用いる無菌注射液の調製において、真空乾燥及び凍結乾燥技術により活性成分及び別の上述した無菌濾過された成分を得る方法を使用する。無菌注射剤は、無毒性の非経口投与に許容される希釈剤又は溶媒の懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオールにおける溶液又は無菌注射溶液により調製されてもよい。適用可能な許容される担体及び溶媒は、例えば、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液を含むが、これらに限定されない。また、無菌の非揮発性油は、通常溶媒又は懸濁媒体として使用され、例えば、合成のモノ又はジグリセリドを含むが、これらに限定されない。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸も注射剤の調製に適用される。注射剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターにより濾過すること、又は無菌水又は他の無菌注射媒体に溶解又は分散可能な無菌固体組成物を含有する滅菌剤を添加することにより滅菌されてもよい。注射組成物は、本発明の化合物に対して約0.1〜約5%の重量比で含まれてもよい。
いくつかの実施形態において、局所投与(例えば、経皮投与)に適した1種又は複数種の薬物賦形剤及び本開示の化合物を含む医薬組成物を含む。いくつかの実施形態において、本開示の局所投与に適した薬物含有組成物は、(1)有効量の本開示の化合物と、必要に応じて(2)有効量の1種又は複数種の第2薬剤と、(3)局所投与に適した1種又は複数種の薬物賦形剤と、(4)有効量の第3薬剤を含む。
本発明の医薬組成物は、局部投与に適した固体、半固体又は液体に調製されてもよい。例えば、ゲル化剤、水溶性ゲル化剤、塗り薬、クリーム剤、洗剤、懸濁剤、泡沫剤、粉剤、膏剤、軟膏剤、溶液、オイル、ペースト剤、坐剤、スプレー剤、乳剤、塩水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)系溶液である。一般に、より高い密度を有する担体は、活性成分への長期曝露を有する領域を提供することができる。一方、溶液製剤は、活性成分によって選択された領域のより直接的な接触を提供し得る。例えば、軟膏製剤はパラフィン又は水混和性を有してもよい。或いは、活性成分は、水中油のクリームマトリックスとともにクリームに調製されてもよい。クリームマトリックスの水相は、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びそれらの混合物)を少なくとも約30重量%含み得る。上記的医薬組成物は、適切な固体又はゲル相担体又は賦形剤を含んでもよい。これにより、浸透を増大させること、又は化合物が角質層の皮膚障壁層を通過することを補助することができる。このような担体及び賦形剤の例は、例えば、湿潤剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル及び硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン及びポリエチレングリコールのようなポリマーを含むが、これらに限定されない。
開示された方法で使用される他の例示的な製剤は経皮投与(「貼付剤」)を使用する。このような経皮貼付剤は、制御量の医薬組成物を連続的又は不連続的に提供するために使用することができる。活性剤が皮膚を介して吸収される場合、制御量及び所定流量の活性剤は、被験体に投与され得る。マイクロカプセルの場合、封入剤はフィルムとしても使用することができる。経皮貼付剤の使用は当技術分野において周知である。例えば、米国特許5,023,252、4,992,445及び5,001,139を参照されたい。
本発明の医薬組成物は直腸投与用の坐剤の形態で投与することができる。これらの組成物は、本発明の化合物を適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。上記賦形剤は、室温では固体であるが、直腸温度では液体であるため、直腸内で融解して活性成分を放出する。このような材料は、例えば、ポリエチレングリコール、ミツロウ、ココアバターを含むが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、鼻腔用エアロゾル又は吸入剤によって投与することができる。このような組成物は、製薬業界で知られている技術に従って調製することができるが、塩水の溶液として調製してもよい。該組成物にベンジルアルコール又は他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティを向上させる吸収促進剤、フルオロカーボン化合物、及び当分野で既知の他の可溶化剤又は分散剤を使用してもよい。
特に有利な誘導体及びプロドラッグは、このような化合物を哺乳動物に投与すると、本発明の化合物のバイオアベイラビリティを向上できるもの(例えば、化合物の経口投与をより容易に吸収することを可能にするもの)、又は母体種に対して母体の生物学的チャンバー(例えば、脳又は中枢神経系)への化合物の送達を促進できるものである。好ましいプロドラッグは、水溶性又は腸管膜通過能動輸送を増強する基が本明細書に記載の一般構造に結合している誘導体を含む。例えば、Alexander et al.,Journal of Medicinal Chemistry l988,31,318−322;Bundgaard et al., Design of Prodrugs,Elsevier:Amsterdam, 1985,1−92;Bundgaard et al., Journal of Medicinal Chemistry l987, 30, 451−454; Bundgaard et al., Textbook of Drug Design and Development,Harwood Academic Publ.:Switzerland,1991,113−191;Digenis et al. Handbook of Experimental Pharmacology,1975,28,86−112を参照されたい。
本治療薬の適用は、標的部位に投与されるように局所化されてもよい。標的部位に本体組成物を提供するために様々な技術(例えば、注射;カテーテル、ゲル、ステント、トロカール、推進薬、薬物放出ポリマー又は内部通路を提供するための他の装置の使用)を使用することができる。
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物又は本発明の化合物を含有する組成物を含む植込み型医療機器を提供する。これにより、上記化合物は治療活性を有する。
別の実施形態によれば、本発明は、植込み型薬物送達装置を植え込む方法を提供する。該方法は、上記薬物送達装置を本発明の化合物又は組成物に接触するステップを含む。植込み型薬物送達装置は、生分解性高分子カプセル又は丸剤、非分解性、分散性ポリマーカプセル及び生分解性ポリマーフレークを含むが、これらに限定されない。
別の実施形態において、本発明の組成物は、第2治療剤をさらに含む。第2治療剤は、単独で又は本発明の一般式の化合物のいずれかと組み合わせて投与される場合に有益な性質を有することが知られているか又は証明されている任意の化合物又は治療剤を含む。これらの化合物と組み合わせ可能な薬物は、他のキナーゼ阻害剤、及び/又は上述した疾患及び障害を治療するための他の化学治療剤を含む。このような薬剤は当該分野において詳細に記載されている。好ましくは、第2治療剤は、がんから選ばれる疾患又は症状の治療又は予防に適用できる薬剤である。
別の実施形態において、本発明は、互いに関連する本発明の化合物及び第2治療剤の独立した剤形を提供する。本明細書で用いられる用語「互いに関連する」とは、上記独立した剤形が一緒に販売されるか又は投与(24時間以内、連続又は同時)されることが期待されるように、一緒に包装されるか、又は互いに組み合わせることを意味する。
本発明の医薬組成物には、本発明の化合物は有効量で存在する。本明細書で用いられる用語「有効量」とは、適切な投与計画で使用するときに、治療される障害の重篤度、持続時間又は発展を低減又は改善し、障害の進行を防止し、治療される障害を中止し、或いは、他の治療法の予防的又は治療的効果を増強又は改善するのに十分な量をいう。
Freireich et al.,(1966) Cancer Chemother Rep 50:219には、投与量と動物及びヒトとの間の関係(体表面積1平方メートル当たりのミリグラムに基づく)が記載されている。体表面積は、患者の身長と体重に応じておおまかに決定することができる。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals,Ardley,N.Y.,1970, 537を参照されたい。本発明の化合物の有効量は、約0.001−lmg/kgから約500mg/kg、約0.01mg/kgから約50mg/kg、約0.lmg/kgから約2.5mg/kgであってもよい。当業者には理解されるように、有効な投与量は、治療される疾患、疾患の重篤度、投与経路、患者の年齢、性別、健康状況、賦形剤の使用法、他の治療法と併用する可能性(例えば、他の薬剤の使用)、及び医師の判断などによって変動することがある。
第2治療剤を含む医薬組成物では、第2治療剤の有効量は、該薬剤のみを用いる単剤治療計画での通常用量の約20%〜100%である。好ましくは、有効量は、単剤治療での通常投与量の約70%〜100%である。これらの第2治療剤の単剤治療での通常投与量は、当技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,Pharmacotherapy Handbook,Appleton and Lange, Stamford, Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Tarascon Publishing,Loma Linda, Calif.(2000)を参照されたい。これらの参考文献は、全て参照として本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の第2治療薬のいくつかは、本発明の化合物と相乗的に作用すると予想される。そうすると、第2治療剤及び/又は本発明の化合物の有効量は、単剤治療に必要な用量よりも少なくなることになる。これにより、第2治療薬又は本発明の化合物の副作用が最小限に抑えられ、有効性が改善され、投与又は使用が容易になり、及び/又は化合物の調製又は製剤の総費用が減少するという利点をもたらす。
治療方法は、以下の通りである。
別の実施形態によれば、本発明は、疾患もしくは障害又はそれらの症状(例えば、本明細書に記載のもの)に罹患しているか又は罹患しやすい被験体を治療する方法を提供する。該方法は、上記被験体に、有効量の本発明の化合物又は組成物を投与するステップを含む。これらの疾患は当技術分野において周知であり、本明細書にも開示されている。
治療は、EGFRなどのプロテインキナーゼによって媒介される障害の治療を含む。
別の態様において、本発明は、本明細書の一般式で表される化合物のいずれかを含む組成物を被験体に投与することを含む、被験体の疾患を治療する方法を提供する。
特定の実施形態において、疾患はEGFRキナーゼによって媒介される。
別の実施形態において、疾患は、がん又は増殖性疾患である。
別の実施形態において、EGFR Exon 21 L858R変異体及びExon19欠失活性化変異体に対する阻害剤として、式(I)の化合物及び薬学的に許容される塩は、EGFR変異体の活性単独又は部分的に媒介される例えばあんの疾患又は医学的症状の治療に有用であることが予想される。式(I)の化合物又は薬学的に許容される塩によって治療可能ながんは、卵巣がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、乳がん、膵臓がん、神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、胃がん、肺がん、肝がん、骨がん、消化管間質腫瘍(GIST)、甲状腺がん、胆管がん、子宮内膜がん、腎臓がん、未分化大細胞型リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、中皮腫、脳腫瘍、膜腺がん、皮膚がん又は頭頸部扁平上皮がんを含むが、これらに限定されない。
別の実施形態において、疾患は、ゲフィチニブ,エルロチニブによる治療に耐性のある非小細胞肺がん(NSCLC)である。
別の実施形態において、疾患は、脳転移を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)である。
別の実施形態において、疾患は、中枢神経系疾患である。
一実施形態において、本発明の方法は、疾患又は症状に罹患しているか又は罹患しやすい被験体の治療に適用される。これらの疾患、障害又はその症状は、例えば、プロテインキナーゼ(例えば、EGFRプロテインキナーゼ)によって調節されるものである。疾患又は疾患の症状は、例えば、がん、増殖性疾患又は障害であり得る。上記疾患又は疾患の症状は、卵巣がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、乳がん、膵臓がん、神経膠腫、神経膠芽腫、黒色腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、胃がん、肺がん、肝がん、骨がん、消化管間質腫瘍(GIST)、甲状腺がん、胆管がん、子宮内膜がん、腎臓がん、未分化大細胞型リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、黒色腫、中皮腫、脳腫瘍、膜腺がん、皮膚がん又は頭頸部扁平上皮がんであり得る。本発明の方法は、具体的に説明した治療を必要とすると判断された被験体に適用される。被験体がこのような治療を必要とするか否かについては、被験体又は医療専門家によって判断され得る。この判断は、主観的(例えば、意見)又は客観的(例えば、試験又は診断方法により測定可能なもの)であり得る。
別の実施形態において、本発明の一般式の化合物(及びその組成物)は、疾患又は障害に罹患しており、且つ他の治療剤(例えば、抗がん剤、神経疾患治療剤、精神疾患治療剤、心血管疾患治療剤、抗肥満薬又は抗糖尿病薬)で治療して耐性が形成された被験体に対する治療に適用できる。一方、本発明の方法は、治療に耐性のある(又はゲフィチニブ、エルロチニブによる治療に対する耐性が形成されたと判断された)被験体に本発明の一般式の化合物(又はその組成物)に投与する方法を含む。他の態様では、被験体は治療に応答することで、本発明の化合物による治療前に比べて、障害は調節又は改善される。
別の実施形態において、本発明は、細胞と1種又は複数種の本発明の一般式の化合物とを接触することを含む、細胞内のプロテインキナーゼ(例えば、プロテアーゼキナーゼ、本明細書に挙げられるキナーゼ)の活性を調節する方法を提供する。
上記の抗がん治療は、本発明の化合物を単剤療法として、又は従来の化合物とともに放射線療法、化学療法又は免疫療法に使用することができる。このような化学療法では、抗腫瘍剤を本発明の化合物と同時に、逐次的に又は別々に投与することができる。上記抗腫瘍剤は、以下の薬剤のうちの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。即ち、例えば、抗増殖/抗腫瘍薬、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロミド及びニトロソ尿素)、代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビン、葉酸拮抗薬、5−フルオロウラシル、テガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シタラビン、ヒドロキシ尿素)、抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、グァンフマイシンなどのアントラサイクリン系薬)、抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンなどのビンカアルカロイド、タキソール及びタキソテールなどのタキサン系化合物、ポロキナーゼ阻害剤)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシンのエトポシド、テニポシド、アンピシリン、トポテカン、カンプトテシン)、抗エストロゲン(作用)薬などの細胞増殖阻害剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イオポキシフェン)、抗アンドロゲン(作用)薬(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドアセテート、シクロプロピルアセテート)、LHRH拮抗剤又はLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン)、プロゲステロン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、フルコナゾール、エキセメスタン)、フィナステリドなどの5αレダクターゼの阻害剤、抗侵襲剤(例えば、セカチニブ、ダサチニブ、ポスチニブなどのc−Srcキナーゼファミリー阻害剤)、メタロプロテイナーゼ阻害剤(例えば、ママスタ)、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターの受容体機能の阻害剤又は抗体系ヘパラナーゼである。成長因子機能の阻害剤は、例えば、成長因子抗体及び成長因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[ハーセプチンTM]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗ErbB抗体セツキシマブ(エルビト、C225)及びStem et al. Critical reviews in oncology/haematology, 2005, Vol. 54, l1−29に開示された如何なる成長因子又は成長因子受容体抗体)を含む。このような阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、表皮成長因子ファミリー阻害剤(例えば、ゲフィチニブ,エルロチニブ、ケメナ、タグリスなどのEGFRファミリーチロシン阻害剤、ラパチニブ、リナチニブなどのerbB2のチロシンキナーゼ阻害剤)、肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤、インスリン成長因子ファミリーの阻害剤、血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤(例えば、イマチニブ及び/又はニロチニブ)、セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、RAS/RAFシグナル阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、tipifamib、lonafamib)、MEK及び/又はAKTキナーゼ細胞シグナル阻害剤、c−kit阻害剤、abl融合キナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、PLT3キナーゼ阻害剤、CSF−1Rキナーゼ阻害剤、IGF受体(インスリン様成長因子)キナーゼ阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、CDK2及び/又はCDK4阻害剤)、抗血管新生剤、例えば、血管内皮細胞増殖因子の影響を阻害する薬剤である抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(アバスチンTM)、例えば、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、バンデタニブ、バタラニブ、スニチニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、セジラニブ)、他のメカニズムで働く化合物(例えば、トリカルボキシアミノキノリン、インテグリンαV3の機能阻害剤、血管新生阻害剤)、アンチセンス(核酸)療法遺伝子療法、例えば、上記の標的、例えば、ISIS 2503、抗ras遺伝子アンチセンス(核酸)療法遺伝子療法(例えば、異常遺伝子、例えば、異常p53、異常BRCA1又はBRCA2(例えば、オラパニ、Niraparib、Rucaparib、Talazoparib)の置き換えを含む)、GDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ療法)の方法(例えば、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ又は細菌ニトロレダクターゼなどの酵素)、多剤耐性遺伝子治療免疫療法などの化学療法又は放射線療法に対する患者の耐性を向上させる方法、例えば、患者の腫瘍細胞の免疫原性を高め、例えば、インターロイキン2、4又は顆粒球−マクロファージ刺激因子のようなサイトカインによってトランスフェクションされた免疫原性を用いて、T細胞の非応答性を低下させる方法、サイトカインによってトランスフェクションされた樹状細胞のようなトランスフェクションされた免疫細胞を用いる方法、サイトカインによってトランスフェクションされた腫瘍細胞系を用いる方法、抗イディオタイプ抗体を用いる方法により、免疫抑制細胞(例えば、制御性T細胞、骨髄抑制細胞、IDO、TDO)の機能を阻害する方法、腫瘍関連抗原、例えば、NY−ES0−1、MAGE−3、WTI又はHER2/neuから誘導されたタンパク質、又はペプチド由来のがんワクチン、癌治療計画において基剤又はアジュバントとして一般的に使用される他の任意の薬剤(例えば、制吐剤、抗貧血剤など)を含む。
本明細書で用いられる用語「併用」とは、第2治療剤を本発明の化合物と共同で単剤(例えば、本発明の化合物及び上記第2治療剤を含む本発明の組成物)の一部、又は独立した複数剤形として使用することができることをいう。或いは、本発明の化合物の使用前、使用中、又は使用後に、別の薬剤を使用することができる。このような併用療法において、本発明の化合物及び第2治療剤は、通常の方法により使用される。本発明の化合物及び第2治療剤を含む本発明の組成物を被験体に投与するが、同じ治療剤、他の第2治療剤又は本発明の任意の化合物を治療過程における他の時点で上記被験体に独立して投与することが排除されない。連続的な投与、別々の投与、又は遅延投与の場合、併用による効果は失うことがない。
第2治療剤の有効量は、当業者にはよく知られている。例えば、Wells et al.,Pharmacotherapy Handbook,Appleton and Lange, Stamford, Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Tarascon Publishing, Loma Linda,Calif.(2000)及び他の医学教科書中を参照されたい。なお、上記第2治療剤の最適有効量を決定することは、当業者の能力の範囲内である。
本発明の一実施形態において、第2治療剤を被験体に使用する場合、本発明の化合物の有効量は、第2治療剤を使用していない場合の有効量よりも少ない。別の実施形態において、第2治療剤の有効量は、本発明の化合物を使用していない場合の有効量よりも少ない。このように、いずれかの薬剤の高用量に関連する望まれない副作用を最小限に抑えることができる。当業者にとって、潜在的な利点(例えば、投薬計画の改善及び/又は薬物費用の削減を含むが、これらに限定されない)は明らかである。
別の態様において、本発明は、製薬における本発明の一般式の任意の化合物の単独、又は本発明に記載の第2治療剤のうちの1種又は複数種との組み合わせの使用を提供する。上記の薬物は、単一の組成物又は独立した剤形として被験体における本明細書に記載の疾患、障害又は症状を治療又は予防するために用いられる。本発明の別の態様は、本発明の一般式の化合物により被験体における本明細書に記載の疾患、障害又は症状を治療又は予防することである。
別の態様において、本発明の方法は、治療薬に対する被験体の反応を監視することを含む。このような監視は、治療計画のマーカー又は指標として、被験体組織、体液、脳脊髄液、サンプル、細胞、タンパク質、化学的マーカー、遺伝物質などを定期的にサンプリングすることを含み得る。他の方法において、このような治療に対する関連マーカー又は指標の適応性を評価することによって、被験体がこの治療を必要とするか否かを事前に選別又は同定することができる。
一実施形態において、本発明は、治療の進行を監視する方法を提供する。上記方法は、本明細書に記載の障害又はその症状に罹患しているか、又は罹患しやすい被験体における診断マーカー(マーカー)(例えば、本発明の化合物によって調節される本明細書に記載の任意の標的又は細胞のタイプ)又は診断測定値(例えば、選別、測定)のレベルを測定するステップを含む。ここで、上記被験体に上記疾患又はその症状の治療に十分な治療量の本発明の化合物が投与されている。上記方法で測定したマーカーのレベルを、健康な正常対照又は他の患者におけるマーカーの既知のレベルと比較することで、被験体の疾患状況を確定することができる。好適な実施形態において、第1レベル測定時点よりも遅い時点で被験体におけるマーカーの第2レベルを測定し、2つのレベルを比較することで疾患の進行又は治療効果を監視する。特定の好適な実施形態において、治療前の被験体におけるマーカーのレベルは、本発明の治療を行う前に測定される。この治療前のマーカーのレベルと治療開始後の被験体におけるマーカーのレベルとを比較することにより、治療効果を確定することができる。
いくつかの実施形態において、被験体におけるマーカー又はマーカー活性のレベルは、少なくとも1回測定される。マーカーのレベルは、例えば、同じ患者、別の患者又は正常被験体から前後得られたマーカーのレベルの別の測定値と比較されることにより、本発明の治療法は、所望の効果を有するか否かを確定することができるとともに、必要に応じて投与量のレベルを調整することができる。マーカーのレベルの測定は、当分野で既知又は本明細書に記載の任意のサンプリング/発現測定方法により行うことができる。好ましくは、まず被験体から組織又は液体サンプルを取り外す。適切なサンプルの例は、血液、尿液、脳脊髄液、組織、口又は頬細胞、及び根を有する毛のサンプルを含む。他の適切なサンプルは当業者に知られている。サンプルにおけるタンパク質のレベル、ctDNA、cfDNA及び/又はmRNAのレベル(例えば、マーカーのレベル)の測定は、当分野で知られている任意の適切な技術(酵素免疫測定法、ELISA、放射性標識測定技術、インプリンティング/化学発光法、リアルタイムPCR、電気化学シグナルなど)により行うことができる。
本発明は、本明細書に記載の疾患、障害又はその症状を治療するためのキットをさらに提供する。このキットは、1)容器に収容される、本発明の一般式の任意の化合物又はその塩、そのプロドラッグ、プロドラッグの塩、その水和物、溶媒和物又は結晶多形体を含む医薬組成物と、2)上記医薬組成物を用いて本明細書に記載の疾患、障害又はその症状を治療する方法を説明する説明書とを含む。上記容器は、上記医薬組成物を収容できる如何なる容器又は他の密封されるか若しくは密封可能な装置であり得る。容器の例は、ボトル、区画された又は複数室のある貯蔵ボルト(各区画又は室に単一用量の上記組成物がある)、区画された箔包装(各分画に単一用量の上記組成物がある)、又は分配器(単一用量の上記組成物を分配するもの)を含む。上記容器は、当技術分野において公知の任意の通常形状又は形態であってもよく、薬学的に許容される材料(例えば、紙又は板紙箱、ガラスボトル、プラスチックボトル、缶、再封可能なバッグ(例えば、錠剤を収容する「詰め替え」は、別の容器に入れるために使われる)、又は治療計画に従って内容物をパッケージから押し出すことができる、単回用量を有するブリスターパック)で作製される。用いられる容器は、収容される剤形に依存する。例えば、通常の板紙箱は、一般に液体懸濁液を収容するために用いられない。単一の剤形を販売するために、単一のパッケージ内で複数の容器を一緒に使用することが可能である。例えば、錠剤をボルトに入れ、さらにボルトを箱に入れる。好ましくは、容器は、ブリスターパックである。
キットには、医師、薬剤師又は被験体の情報及び/又は説明書を含んでもよい。これらのも記憶補助物には、薬剤を収容する各室又は分画に印刷されてある数字(所定の錠剤又はカプセルの服薬計画の日数に対応する)、各室又は分画に印刷されてある毎週の日数、又は同じタイプの情報を含むカードが含まれる。
本発明の化合物の生物学的活性は、例えば本明細書に記載の方法を含む当分野で知られている方法により評価することができる。本明細書の化合物のいくつかは、驚くほど優れた特性(例えば、代謝安定性、高選択性、低排出率、高透過性、非P糖タンパク質排出基質等)を示したので、優れた潜在的な治療薬候補である。
電子的、印刷、コンピュータで読み取り可能、又は他の形式の本明細書に引用されたすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。上記参考文献は、要約、文章、ジャーナル、出版物、教科書、論文、技術データシート、インターネットサイト、データベース、特許、特許出願及び特許公報を含むが、これらに限定されない。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。以下の実施例は、本発明をさらに理解する上で当業者を助けるものであり、本発明を限定するものではない。本発明の精神から逸脱しない限り、当業者によって多くの修正及び改良がなされ得ることに留意されたい。これらは、すべて本発明の範囲内に含まれる。
〔実施例1〕
中間体である5−フルオロ−4−メトキシ−2−ニトロベンゾニトリルA6及び1−ブロモ−5−フルオロ−4−(重水素化メトキシ)−2−ニトロベンゼンC1の合成
合成経路は、以下の通りである。
(ステップ1)
0℃でA1(2.0g、10.5mmol)とトリエチルアミン(1.3g、12.6mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液にクロロギ酸エチル(1.4g、12.6mmol)のジクロロメタン(3ml)の溶液を1滴ずつ滴下した。0℃で反応混合物を1時間撹拌しながら室温に昇温させた。次いで、反応混合物を水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空蒸発させることで、無色油状物として生成物A2(2.7g、収量100%)を得た。
(ステップ2)
10℃でA2(2.7g、10.3mmol)の濃硫酸(4.6mL)溶液に発煙硝酸(0.73ml、15.5mmol)を1滴ずつ滴下した。1時間後、反応混合物を氷/水に入れ、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を水、重炭酸ナトリウム及び塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させることで残留物を得た。残留物をシリカゲルカラム(n−ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精製して黄色油状物として生成物A3(3.0g、収量94.6%)を得た。
(ステップ3)
A3(3.0g、9.8mmol)のメタノール(17ml)溶液に重炭酸ナトリウム(1.6g、19.6mmol)を加えた。反応混合物を60℃で3時間撹拌した後、メタノールを真空蒸発させた。水(15ml)を残留物に加え、水層に5molの塩化水素溶液を加えてpH=5に調整した。酢酸エチルで水層を2回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空蒸発させることで、黄色固体として生成物A4(2.3g、収量100%)を得た。
(ステップ4)
A4(2.31g、9.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(18.5ml)溶液に炭酸カリウム(2.7g、19.6mmol)及びヨウ化メチル(1.22ml,19.6mmol)を加えた。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。得られた混合物を水と酢酸エチルとの間で分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させることで、黄色固体として生成物A5(2.35g、収量97%)を得た。
(ステップ4’)
A4(1.5g、6.36mmol)のテトラヒドロフラン(19.5ml)及びトルエン(34.5ml)の溶液に、アゾジホルミルジピペリジン(4.81g、19.08mmol)、重水素化メタノール(688mg、19.08mmol)及びトリブチルホスフィン(3.86g、19.08mmol)を加えた。混合物を65℃3時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却した。酢酸エチル(20ml)を加え、混合物を濾過し、有機相を濃縮し、シリカゲルカラム(n−ヘキサン/酢酸エチル=20:1)で精製することで、淡黄色固体として生成物C1(1.50g、収量93.6%)を得た。
(ステップ5)
A5(5.17g、20.7mmol)とシアン化亜鉛(1.46g、12.4mmol)の混合物のN,N−ジメチルアセトアミド(104ml)溶液を撹拌した後、窒素で空気を置換し、その後、パラジウム触媒Pd(dba)3(1.90g、2.07mmol)及び配位子である2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミン)−ビフェニル(815mg、2.07mmol)を加え、反応混合物を110℃で5時間撹拌した。その後、室温に冷却し、酢酸エチルに希釈し、珪藻土で濾過した。有機溶液を塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した後、シリカゲルカラム(酢酸エチル/n−ヘキサン:1:50〜1:10)で精製することで、淡黄色固体として生成物A6(3.47g、収量85.7%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:8.28(d, J = 10.7 Hz, 1H), 8.13(d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.08(s, 1H). LC−MS:(ESI) m/z=197(M+H)
中間体であるt−ブチル3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシピペリジン−1−ギ酸t−ブチルB8及び3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−アルコールC2の合成
合成経路は以下の通りである。
(ステップ1)
ベンゾトリアゾール(47g、394.5mmol)のメタノール(300ml)溶液に、B1(81.7g、394.5mmol)及び37%ホルムアルデヒド(37.9ml、512.9mmol)を加え、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。真空下、混合物を除去し、残留物を水(500ml)に入れ、酢酸エチルで抽出(500ml×3)した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し濃縮することで、黄色油状物として生成物B2(132g、収量98.8%)を得た。
(ステップ2)
室温下、亜鉛粉(56g、862mmol)のテトラヒドロフラン(500ml)溶液にトリメチルクロロシラン(49g、452mmol)を加えた。得られた懸濁液を室温下で15分間撹拌した後、ジフルオロブロモ酢酸エチル(96g、474mmol)を1滴ずつ滴下し、混合物を15分間撹拌した。次いで、室温下でB2(146g、431mmol)のテトラヒドロフラン(500ml)溶液を加え、一夜撹拌した。得られた混合物を重炭酸ナトリウム(2.5升)の飽和水溶液に入れ、酢酸エチル(500ml)で抽出し、珪藻土で濾過して分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することで残留物を得た。残留物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/50〜1/20)で精製することで、黄色油状物として生成物B3(90g、収量60.8%)を得た。
(ステップ3)
−70℃で、ジイソプロピルアミン(63.0g、629mmol)のテトラヒドロフラン(500ml)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン、231.5ml、576mmol)溶液を滴下し、得られた混合物を−10℃に昇温させて30分間反応させた。反応系を−70℃に冷却した後、B3(90g、262mmol)のテトラヒドロフラン溶液(500L)を1滴ずつ滴下した。30分間撹拌しながら室温に徐々に昇温させ、さらに1時間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(500ml)に入れ、酢酸エチル(500L×3)で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮することで、黄色油状物として生成物B4(90.7g)を得た。粗製物を精製せずにそのまま次のステップに用いた。
(ステップ4)
B4(90g、302mmol)を6mol塩酸(900ml)の水溶液に加え、混合物を3時間加熱環流した。室温に冷却した後、混合物を8mol水酸化ナトリウム(1升)にゆっくりと入れ、酢酸エチル(1L)で3回抽出し、有機相を4−5Lに濃縮した後、n−ヘキサン(600ml)を加え、混合物を1時間撹拌し、濾過することで、白色固体として生成物B5(34g、収量46.5%(2つのステップ))を得た。
(ステップ5)
B5(34g、139mmol)のメタノール(730ml)溶液に0−5℃で水素化ホウ素ナトリウム(7.9g、209mmol)を少しずつ加えた。混合物を0−5℃でさらに15分間撹拌した後、重炭酸ナトリウム水溶液(0.1mol、54ml)を加え、混合物を5分間撹拌し、混合物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラム(酢酸エチル /n−ヘキサン= 1/2〜1/10)で精製することで、無色油状物として生成物B6( 30g、収量97.1%)を得た。
(ステップ6)
B6(30g、134 mmol)のエタノール(600ml)溶液に触媒である水酸化パラジウム/活性炭(10%、3.0g)を加え、混合物を水素バルーン下で4時間撹拌した。混合物を濾過して濃縮し、白色固体として生成物B7(15.8g、収量85.8%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:5.43(d, J = 5.1Hz, 1 H), 3.71(m, 1 H,), 2.98(m, 1 H), 2.84 − 2.57(m, 2 H), 2.23(s, 1 H), 1.85 − 1.64(m, 1 H), 1.60 − 1.34(m, 1 H)。LC−MS:(ESI) m/z=138.0(M+H)
(ステップ7)
B7(250mg、1.8mmol)のジクロロメタンD(20ml)溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート(392mg、1.8mmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、反応混合物を12時間撹拌しながら反応1させた。水を該溶液に加えた。ジクロロメタン(20ml)で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した後、n−ヘキサンで洗浄することで、白色固体として生成物B8(350mg、収量82.1%)を得た。HNMR(400 MHz, DMSO−d6) δ 5.76(d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.02 − 3.66(m, 2H), 3.68 − 3.44(m, 2H), 3.29(s, 1H), 1.75(ddd, J = 11.3, 7.6, 3.8 Hz, 1H), 1.70 − 1.50(m, 1H), 1.40(s, 8H)。
(ステップ7’)
室温下で、B7(500mg、3.6mmol)の88%ギ酸溶液(941mg、18.0mmol)に37〜40%のホルムアルデヒド(584mg、7.2mmol)溶液を加えた。溶液を78℃で30分間撹拌した。該混合物を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄してpHを9〜10に調整した。酢酸エチル(30ml×3)で混合物を抽出した後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮することで、白色固体として生成物C2(340mg、収量62.5%)を得た。H NMR(400 MHz, DMSO−d6) δ 5.48(d, J = 5.4 Hz, 1H), 3.79 − 3.48(m, 1H), 2.74(dd, J = 22.1, 12.2 Hz, 1H), 2.46 − 2.34(m, 1H), 2.20(s, 4H), 1.90 − 1.69(m, 1H), 1.69 − 1.47(m, 1H)。LC−MS:(ESI) m/z=152[M+H]
中間体であるt−ブチル(Z)−4−{5−シアノ−4−[(ジメチルアミノ)メチレン] アミノ−2−メトキシフェノキシ}−3,3−ジフルオロ−ピペリジン−1−ギ酸t−ブチルA9の合成
合成経路は、以下の通りである。
(ステップ1)
水素化ナトリウム(529mg、13.2mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(10ml)溶液に、50℃、窒素ガスの保護下で、A6(1.29g、6.6mmol)及びB8(1.40g、5.9mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(13ml)溶液を滴下した。50℃で1時間撹拌した。混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液に入れ、酢酸エチルで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮し、シリカゲルカラム(酢酸エチル /n−ヘキサン=1:10〜1:2)で精製することで、黄色固体として生成物A7(2.39g、収量88.0%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:7.99(s, 1H), 7.94(s, 1H), 5.37 − 5.21(m, 1H), 4.01(s, 3H), 3.99−3.96(m, 1H), 3.70(m, 1H), 3.61(m, 1H), 3.30(m, 1H), 2.09(m, 1H), 1.80(m, 1H), 1.43(s, 9H). LC−MS:(ESI) m/z=414(M+H)
(ステップ2)
A7(130mg、0.31mmol)の酢酸エチル(4ml)溶液にパラジウム炭素触媒(13mg)を加えた。水素バルーン下、20℃で混合物を2時間撹拌した。珪藻土でこの混合物を濾過し、濾液を真空濃縮することで、黄色油状物として生成物A8(105mg、収量88.0%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:7.11(s, 1H), 6.43(s, 1H), 5.82(s, 2H), 4.54 − 4.34(m, 1H), 3.92 − 3.78(m, 1H), 3.77(s, 3H), 3.66(m, 1H), 3.61 − 3.51(m, 1H), 3.30(m, 1H), 1.94 − 1.82(m, 1H), 1.76(m, 1H), 1.43(s, 9H). LC−MS:(ESI) m/z=384(M+H)
(ステップ3)
A8(100mg、0.26mmol)とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(155mg、1.3mmol)のトルエン(2ml)溶液における混合物を、100℃、窒素ガスの保護下で20時間撹拌した。混合物を真空濃縮することで、残留物を得た。残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール=50:1)で精製することで、黄色油状物として生成物A9(90mg、78.9%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO) δ ppm:7.95(s, 1H), 7.32(s, 1H), 6.78(s, 1H), 4.73 − 4.61(m, 1H), 3.96 − 3.88(m, 1H), 3.86(s, 3H), 3.66 − 3.53(m, 2H), 3.30(m, 1H), 3.08(s, 3H), 2.98(s, 3H), 1.95(m, 1H), 1.77(m, 1H), 1.42(s, 9H). LC−MS:(ESI) m/z=439(M+H)
〔実施例2〕
<化合物7、23、25の合成>
(R/S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(7)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(23)と(S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(25)への分割
合成経路は、以下の通りである。
(ステップ1)
A9(90mg、0.21mmol)と3−クロロ−2−,4−ジフルオロアニリン(38mg、0.23mmol)の醋酸(2mL)溶液における混合物を120℃窒素ガスの保護下で3時間撹拌した。冷却した後、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で処理してpH=8に調整し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮することで、残留物を得た。残留物を塩酸/酢酸エチル(2ml、2N)中で15時間撹拌した。重炭酸ナトリウム飽和溶液でpH=8に処理し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮することで残留物を得た。残留物を分取TLC(ジクロロメタン/メタノール=13:1)精製し、白色固体として生成物A10(20mg、収量21.5%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:9.60(s, 1H), 8.40(s, 1H), 7.99(s, 1H), 7.59(td, J = 8.7, 5.8 Hz, 1H), 7.41(td, J = 8.9, 1.5 Hz, 1H), 7.27(s, 1H), 4.91 − 4.80(m, 1H), 3.98(s, 3H), 3.18(m, 1H), 2.96 − 2.84(m, 2H), 2.72 − 2.63(m, 1H), 2.13 − 2.03(m, 1H), 1.99(m, 1H),1.92−1.78(m, 1H). LC−MS:(ESI) m/z=457(M+H)
(ステップ2)
A10(20mg、0.044mmol)とオキセタン−3−オン(11mg、0.15mmol)のメタノール(1ml)溶液に、25℃、窒素ガスの保護下で塩化亜鉛のエチルエーテル溶液(0.15ml、0.15mmol)を加えた。混合物を25℃で15分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(9.4mg、0.15mmol)を1回限りで加えた。該混合物を50℃で2時間撹拌しながら加熱した。冷却した後、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮して残留物を得、残留物を分取TLC(ジクロロメタン / メタノール=20:1)で精製することで、白色固体としてラセミ混合物である生成物7(14mg、収量62.2%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:9.70(s, 1H), 8.40(s, 1H), 8.06(s, 1H), 7.59(td, J = 8.7, 6.0 Hz, 1H), 7.41(td, J = 8.9, 1.5 Hz, 1H), 7.28(s, 1H), 4.91 − 4.79(m, 1H), 4.58(td, J = 6.6, 3.2 Hz, 2H), 4.47(td, J = 6.2, 2.3 Hz, 2H), 3.98(s, 3H), 3.70 − 3.57(m, 1H), 2.98 − 2.84(m, 1H), 2.76 − 2.63(m, 1H), 2.61 − 2.54(m, 1H), 2.45 − 2.35(m, 1H), 2.20 − 2.07(m, 1H), 1.99(m, 1H). LC−MS:(ESI) m/z=513(M+H)
(ステップ3)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物7のラセミ混合物(240mg)をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物23(83mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=513(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物25(72mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=513(M+H))を得た。
〔実施例3〕
<化合物2、12及び14の合成>
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン 2の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(12)と(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(14)への分割
合成経路は、以下の通りである。
(ステップ1)
A9(210mg、0.48mmol)及び2−フルオロ− 3−((トリメチルシリルアルキル)エチニル)アニリン(199mg、0.96mmol)の醋酸(4.2ml)における混合物を、80℃、窒素ガスの保護下で16時間撹拌した。冷却した後、重炭酸ナトリウム飽和溶液でpH=8に処理し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮することで残留物を得、シリカゲルカラム(n−ヘキサン/酢酸エチル=10:1〜2:1)で精製することで、黄色油状物として生成物A11(145mg、収量50%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δppm:9.54(s, 1H), 8.41(s, 1H), 8.04(s, 1H), 7.69 − 7.57(m, 1H), 7.34 − 7.23(m, 2H), 4.95 − 4.89(m, 1H), 3.98(s, 3H), 3.92 − 3.75(m, 2H), 3.63 − 3.56(m, 1H), 3.53 − 3.45(m, 1H), 2.11 − 2.02(m, 1H), 1.98 − 1.87(m, 1H), 1.44(s, 9H), 0.27(s, 9H)。LC−MS:(ESI) m/z=601(M+H)
(ステップ2)
A11(145mg、0.24mmol)の酢酸エチル(5ml)溶液に4mol酢酸エチル/塩酸(2.5ml)を加え、室温下で1時間撹拌した。水(2×5ml)で該混合物を抽出し、水相用を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH=8に処理し、ジクロロメタン(2×10ml)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮することで、黄色油状物として生成物A12(110mg、収量91.0%)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:9.50(s, 1H), 8.40(s, 1H), 7.99(s, 1H), 7.61(t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.44(t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.30 − 7.18(m, 2H), 4.91 − 4.83(m, 1H), 3.98(s, 3H), 3.26 − 3.12(m, 1H), 3.00 − 2.83(m, 2H), 2.74 − 2.63(m, 1H), 2.12 − 2.03(m, 1H), 1.91 − 1.80(m, 1H), 0.26(s, 9H)。 LC−MS:(ESI) m/z=501(M+H)
(ステップ3)
A12(110mg、0.22mmol)及びオキセタン−3−オン(55mg、0.77mmol)のメタノール(5.5ml)溶液に、塩化亜鉛のエチルエーテル溶液(0.77ml、0.77mmol)を加え、25℃、窒素ガスの保護下で、混合物を25℃で15分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(48.0mg、0.77mmol)を1回限りで加えた。該混合物を50℃で2時間反応させた。冷却した後、水(10ml)を溶液に加え、ジクロロメタン(10ml)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮することで、粗製のA13を得た。該粗製物を精製せずにそのまま次のステップに用いた。
(ステップ4)
A13のテトラヒドロフラン(3.7ml)溶液にフッ化テトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン溶液(0.24ml)を1mol加えた。室温で1時間反応させた後、ジクロロメタン(10ml)及び水(10ml)を加え、次に有機相を分離して真空濃縮することで残留物を得、分取HPLCカラムで精製することで、淡黄色固体としてラセミ混合物である生成物2(60mg、収量56.6%、2段階反応)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δppm:9.54(s, 1H), 8.40(s, 1H), 8.02(s, 1H), 7.62(t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.47(t, J = 7.0 Hz, 1H), 7.37 − 7.22(m, 2H), 4.87 − 4.80(m, 1H), 4.61 − 4.56(m, 2H), 4.56(s, 1H), 4.47(td, J = 6.2, 2.0 Hz, 2H), 3.98(s, 3H), 3.71 − 3.58(m, 1H), 2.95 − 2.87(m, 1H), 2.74 − 2.66(m, 1H), 2.60 − 2.55(m, 1H), 2.42 − 2.33(m, 1H), 2.18 − 2.09(m, 1H), 2.04 − 1.95(m, 1H)。LC−MS:(ESI) m/z=485(M+H)
(ステップ5)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物2のラセミ混合物(174mg)をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物12(54mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=485(M+H)+)及び鏡像異性的に純粋な化合物14(50mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=485(M+H))を得た。
〔実施例4〕
化合物1、11及び13の合成:(R/S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(1)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(11)と(S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(13)への分割
合成は、化合物7と同様にして、ラセミ混合物である化合物1(920mg)を得た。H NMR(400 MHz, DMSO−d6) δ 9.55(s, 1H), 8.40(s, 1H), 8.01(s, 1H), 7.64(td,J = 8.7, 6.0 Hz,1H), 7.32−7.29(m, 2H), 7.21 − 7.13(m, 2H), 4.88 − 4.81(m, 2H), 4.59(td, J = 6.6, 3.2 Hz, 2H), 4.48(td, J = 6.2, 2.3 Hz, 2H), 3.98(s, 3H), 3.70 − 3.57(m, 1H), 2.98 − 2.84(m, 1H), 2.76 − 2.63(m, 1H), 2.61 − 2.54(m, 1H), 2.45 − 2.35(m, 1H), 2.20 − 2.07(m, 1H), 1.99(m, 1H)。LC−MS:(ESI) m/z=495(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物1(190mg)のラセミ混合物を、メタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製して、鏡像異性的に純粋な化合物11(54mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=495(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物13(65mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=495(M+H))を得た。
〔実施例5〕
<化合物9、27及び29の合成>
(R/S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(9)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(27)と(S)−N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(29)への分割
中間体C1を用いて化合物7と同様にしてラセミ混合物である化合物9(380mg)を得た。H NMR(400 MHz, DMSO−d6) δ ppm:10.06(s, 1H), 8.44(s, 1H), 8.21(s, 1H), 7.58(dd, J = 14.4, 8.5 Hz, 1H), 7.42(t, J = 8.8 Hz, 1H), 5.08 − 4.88(m, 1H), 4.58(td, J = 6.6, 3.4 Hz, 2H), 4.46(td, J = 6.1, 3.3 Hz, 2H), 3.64(dt, J = 13.0, 6.5 Hz, 1H), 3.02 − 2.82(m, 1H), 2.69−2.64(m, 1H), 2.63 − 2.55(m, 1H), 2.45−2.40(m, 1H), 2.20−2.10(m, 1H), 2.05−1.92(m, 2H)。LC−MS:(ESI) m/z=516[M+H]
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物9(200mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物27(64mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=516(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物29(75mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=516(M+H))を得た。
〔実施例6〕
<化合物8、24及び26の合成>
(R/S)−6−[3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(8)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(24)と(S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(26)への分割
合成は、化合物2と同様にしてラセミ混合物である化合物8(240mg)を得た。HNMR:(400 MHz, DMSO−d6) δppm:9.55(s, 1H), 8.40(s, 1H), 8.01(s, 1H), 7.65(dd, J = 14.8, 8.7 Hz, 1H), 7.35 − 7.20(m, 2H), 4.87(s, 1H), 4.86 − 4.79(m, 1H), 4.58(td, J = 6.6, 3.2 Hz, 2H), 4.47(td, J = 6.2, 2.0 Hz, 2H), 3.98(s, 3H), 3.69 − 3.57(m, 1H), 2.98 − 2.82(m, 1H), 2.76 − 2.65(m, 1H), 2.60 − 2.55(m, 1H), 2.42 − 2.35(m, 1H), 2.17 − 2.12(m, 1H), 2.01 − 1.96(m, 1H)。 LC−MS:(ESI) m/z=503(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物8(240mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物24(83mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=503(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物26(72mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=503(M+H))を得た。
〔実施例7〕
<化合物6、20及び22の合成>
(R/S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(6)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(20)と(S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(22)への分割
中間体C2を用いて化合物2と同様に合成してラセミ混合物である化合物6(80mg)を得た。HNMR:(400 MHz, CDCl3) δppm:8.74(s, 1H), 8.61(m, 1H), 7.43(s, 1H), 7.40(m, 1H), 7.35(s, 1H), 7.27(m, 1H), 7.21(m, 1H), 4.59 − 4.43(m, 1H), 4.05(s, 3H), 3.38(s, 1H), 3.06 − 2.90(m, 1H), 2.84 − 2.77(m, 1H), 2.75 − 2.64(m, 1H), 2.59 − 2.49(m, 1H), 2.52(s, 3H), 2.30 − 2.11(m, 2H)。LC−MS:(ESI) m/z=443(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物6(80mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物20(20mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=443(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物22(22mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=443(M+H))を得た。
〔実施例8〕
<化合物3、15及び17の合成>
(R/S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(3)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(15)と(S)−N−(3−クロロ−2−フルオロフェニル)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(17)への分割
中間体C1を用いて化合物7と同様に合成してラセミ混合物である化合物3(110mg)を得た。H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 8.71(s, 1H), 8.47(td, J = 6.9, 3.4 Hz, 1H), 7.39(s, 1H), 7.34(s, 1H), 7.31(s, 1H), 7.21 − 7.13(m, 2H), 4.78 − 4.61(m, 4H), 4.52(dd, J = 9.1, 4.5 Hz, 1H), 3.74(p, J = 6.5 Hz, 1H), 2.90(ddd, J = 21.7, 12.0, 4.4 Hz, 1H), 2.72(dd, J = 19.1, 11.4 Hz, 1H), 2.63(t, J = 8.4 Hz, 1H), 2.47(d, J = 11.7 Hz, 1H), 2.33 − 2.10(m, 3H)。LC−MS:(ESI) m/z=499(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物3(100mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで鏡像異性的に純粋な化合物15(35mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=499(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物17(32mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=499(M+H))を得た。
〔実施例9〕
<化合物4、16及び18の合成>
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(4)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(16)と(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2−フルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(18)への分割
中間体C1を用いて化合物2と同様に合成してラセミ混合物である化合物4(210mg)を得た。H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 8.74(s, 1H), 8.60(td, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.43(s, 2H), 7.33(s, 1H), 7.28 − 7.25(m, 1H), 7.21(t, J = 8.0 Hz, 1H), 4.80 − 4.66(m, 4H), 4.55(dd, J = 9.3, 4.6 Hz, 1H), 3.76(dd, J = 13.0, 6.5 Hz, 1H), 3.38(s, 1H), 2.93(ddd, J = 21.7, 11.9, 4.3 Hz, 1H), 2.75(dd, J = 19.5, 11.5 Hz, 1H), 2.70 − 2.60(m, 2H), 2.50(d, J = 11.9 Hz, 1H), 2.35 − 2.13(m, 2H)。LC−MS:(ESI) m/z=488.2(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物4(200mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物12(71mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=488.2(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物14(63mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=488.2(M+H)+)を得た。
〔実施例10〕
<化合物5、19及び21の合成>
(R/S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(5)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(19)と(S)−6−[(3,3−ジフルオロ−1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ]−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−メトキシキナゾリン−4−アミン(21)への分割
中間体C2を用いて化合物2と同様に合成してラセミ混合物である化合物5(305mg)を得た。H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 8.69(s, 1H), 8.46(td, J = 9.1, 5.9 Hz, 1H), 7.43(s, 1H), 7.34(s, 1H), 7.26(s, 1H), 7.08 − 6.99(m, 1H), 4.50(td, J = 10.2, 5.3 Hz, 1H), 4.05(s, 4H), 3.77(t, J = 6.5 Hz, 1H), 3.59(s, 1H), 3.06 − 2.92(m, 1H), 2.83 − 2.66(m, 2H), 2.58 − 2.49(m, 1H),2.44(s, 3H), 2.29 ‐ 2.11(m, 2H). LC−MS:(ESI) m/z=461.1(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物5(285mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物19(92mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=461.1(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物21(88mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=461.1(M+H))を得た。
〔実施例11〕
<化合物10、28及び30の合成>
(R/S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(10)の合成、及びHPLCキラル分離用カラムによる、鏡像異性的に純粋な(R)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(28)と(S)−6−{[3,3−ジフルオロ−1−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−イル]オキシ}−N−(3−エチニル−2,4−ジフルオロフェニル)−7−重水素化メトキシキナゾリン−4−アミン(30)への分割
中間体C1を用いて化合物2と同様に合成してラセミ混合物である化合物10(110mg)を得た。H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 8.69(s, 1H), 8.44(td, J = 9.1, 5.9 Hz, 1H), 7.43(s, 1H), 7.34(s, 1H), 7.19 − 6.94(m, 1H), 4.84 − 4.61(m, 4H), 4.55(dd, J = 9.2, 4.7 Hz, 1H), 3.90 − 3.69(m, 1H), 3.59(s, 1H), 2.92(ddd, J = 16.6, 11.9, 4.3 Hz, 1H), 2.81 − 2.71(m, 1H), 2.67(dd, J = 18.1, 9.9 Hz, 1H), 2.58 − 2.43(m, 1H), 2.32 − 2.13(m, 2H)。LC−MS:(ESI) m/z=506.1(M+H)
HPLCキラル分離用カラムOJ−H(4.6*100*5um)を用いて、化合物10(82mg)のラセミ混合物をメタノール(0.2%メタノールアンモニア)により精製することで、鏡像異性的に純粋な化合物28(25mg、ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=506.1(M+H))及び鏡像異性的に純粋な化合物30(22mg、 ee%>99%, LC−MS:(ESI) m/z=506.1(M+H))を得た。
〔実施例12〕
<生物学的データ>
CellTiter−Glo(CTG)assayにより、EGFR活性化変異(エクソン19欠失Exon 19 Del)タンパク質を有する腫瘍細胞の細胞生存率測定を行った。約5000個の細胞を各ブランクの96ウェルプレートに接種し、16時間後、割合で希釈した化合物を加え、薬物添加の72時間後、室温で30分間平衡化した。各ウェルに100μlのCellTiter−Glo薬剤を加え、オービタルシェーカーを用いて2分間かけて均一に混合することで細胞溶解を誘導した。プレートを室温で10分間インキュベートして発光シグナルを安定させた。TECAN Infinite M1000 Pro機器に発光シグナルを記録した。
細胞生存率測定では、本発明の化合物のいくつか(例えば、化合物1,3,7及び9)は、PC−9腫瘍細胞の増殖阻害において、Iressa(イレッサ)よりも有効であるため、イレッサ耐性を克服する潜在力を有することを示している(表1)。
<血液脳関門透過性>
化合物が血液脳関門(BBB)を通過できるか否かを確認するために、試験化合物をラットに投与した。投与した4時間後、ラットを安楽死させ、血液及び脳組織を収集し、化合物の濃度を分析して測定した。血液脳関門透過性は、化合物の脳組織中濃度と血漿中濃度との比として定義される。P−糖タンパク質は、血液脳関門排出タンパク質であるため、P−糖タンパク質の基質を頭蓋内から排出する。
血液脳関門透過性の測定では、本発明の化合物(化合物1−30)は、脳組織中濃度と血漿中濃度との比は、Iressa(イレッサ)よりも高く、且つP−糖タンパク質の基質ではなく、血液脳関門を通過することができるため、頭蓋内で有効血中濃度に達する潜在力を有し、がんの脳転移、髄膜転移及び他の中枢神経系障害の治療及び予防に適用できる。
本発明では多くの実施形態を説明したが、本発明の化合物及び方法を利用する他の実施形態を提供するために、本発明の基礎となる実施形態を変更することができる。したがって、本発明の範囲は、例として示された特定の実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
本出願において引用された全ての参考資料(要約、文章、ジャーナル、出版物、教科書、論文、技術データシート、インターネットサイト、データベース、特許、特許出願及び特許公報)は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。

Claims (10)

  1. 式(I)で表される構造を含むことを特徴とする化合物。
    (式(I)中で、R1は独立してC1−10アルキル基、C3−12シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基、複素環基、C1−C2ペルフルオロアルコキシ基、C2−C5エポキシ基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
    R2は独立してC1−10アルキル基、C3−12シクロアルキル基、C1−C2ペルフルオロアルキル基又は重水素化アルキル基からなる群より選択され、
    R3は独立してハロゲン原子、C1−10アルキル基、C1−10アルコキシ基又はC2−10アルキニル基からなる群より選択され、
    R4は独立して水素原子又はハロゲン原子からなる群より選択される。)
  2. は独立してメチル基又はオキセタンからなる群より選択され、
    は独立してメチル基又は重水素化メチル基からなる群より選択され、
    は独立して塩素原子又はエチニル基からなる群より選択され、
    は独立して水素原子又はフッ素原子からなる群より選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物、その塩、そのプロドラッグ、そのプロドラッグの塩、その溶媒和物、その水和物又はその結晶多形体、及び薬学的に許容される補助材料又は補助成分を含むことを特徴とする医薬組成物。
  4. 請求項1又は2に記載の化合物を活性成分とし、血液脳関門を通過することができることを特徴とする上皮成長因子受容体EGFR活性化変異阻害剤。
  5. 上皮成長因子受容体EGFRタンパク質が媒介する疾患を治療又は予防する薬物の製造における請求項1又は2に記載の化合物、請求項3に記載の医薬組成物、或いは請求項4に記載の阻害剤の使用。
  6. 前記タンパク質は、上皮成長因子受容体EGFR活性化変異キナーゼであることを特徴とする請求項5に記載の使用。
  7. 前記活性化変異は、上皮成長因子受容体EGFRのエクソン19欠失活性化変異又はエクソン21 L858R活性化変異を含むことを特徴とする請求項6に記載の使用。
  8. 前記疾患は、がん、増殖性疾患、中枢神経系疾患又はがんの中枢神経転移性疾患であることを特徴とする請求項5に記載の使用。
  9. 前記疾患は、非小細胞肺がんであることを特徴とする請求項8に記載の使用。
  10. 前記疾患は、脳転移を伴う非小細胞肺がんであることを特徴とする請求項9に記載の使用。
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