JP2019528270A - チロシンキナーゼ活性を阻害するための縮合二環式化合物 - Google Patents

チロシンキナーゼ活性を阻害するための縮合二環式化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、チロシンキナーゼ活性に対する阻害作用を有する縮合二環式化合物、およびそれらの調製と使用に関する。具体的に、本発明は、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体、およびそれらを含む医薬組成物を開示した。本発明の化合物は、選択性を有するブルトン型チロシンキナーゼの不可逆的阻害剤として、例えば、炎症、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ)、異種免疫疾患および癌を予防または治療するために使用することができる。【化1】

Description

本発明は医薬分野に属し、具体的に、プロテインチロシンキナーゼの活性に対する阻害作用を有する縮合二環式化合物、それらを含む医薬組成物、およびそれらの調製方法と使用に関する。
ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton’s tyrosine kinase,BTK)は、Tecチロシンキナーゼファミリーに属する。BTKは、主に多くの造血細胞(例えば、B細胞、肥満細胞、マクロファージ)に発現し、骨髄、脾臓およびリンパ節組織に存在する。BTKはB細胞の増殖および分化に関与するB細胞受容体(BCR)およびFcRシグナル経路において重要な役割を果たす。BTKは上流のSrcファミリーキナーゼによって活性化される。BTKは活性化されると、逆にPLCγをリン酸化させ、さらにB細胞の機能および生存に影響を与える(非特許文献1)。これらの信号経路は正確に調節する必要がある。BTKをコードする遺伝子における突然変異は、X連鎖無ガンマグロブリン血症(X−linked agammaglobulinemia,XLA)と呼ばれるヒトの遺伝性B細胞特異的免疫不全症を引き起こす。BCRが介在するシグナルの異常は、B細胞活性化の調節異常を引き起こし、多くの自己免疫疾患および炎症性疾患を引き起こす可能性がある。前臨床試験では、BTK欠損マウスはコラーゲン誘導関節炎の発症に耐性を有することが示された。さらに、成熟B細胞を減少させるためのRituxan(CD20抗体)の臨床研究では、B細胞が多くの炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症)に対して重要な役割を果たすことを示した。
さらに、BTKの異常な活性化はB細胞リンパ腫の発症機序において重要な役割を果たし、それは、血液悪性腫瘍の治療においてBTKの阻害が有用であることを意味する(非特許文献2)。予備的な臨床試験の結果から、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤であるPCI−32765は、数種類のB細胞リンパ腫の治療に有効であることが分かった。BTKは複数のシグナル伝達経路において媒介体として肝要な役割を果たしているため、BTK阻害剤は抗炎症薬および/または抗癌薬として注目されている。
イブルチニブ(Ibrutinib,PCI−32765)は世界で初の市販のBTK阻害剤である。2013年11月13日、アメリカ食品医薬品局(FDA)はイブルチニブがマントル細胞リンパ腫の治療に用いることを承認した。2014年2月に、適応症として慢性リンパ性白血病が追加された。
しかしながら、薬物動態学的特性の最適化、薬物耐性サイクルの延長および毒性副作用の低減のために、新しいBTK阻害剤をさらに開発することが必要である。
Humphriesら、J.Biol.Chem.279:37651,2004 Davis et al、Nature 463:88−92、2010
本発明は、BTKキナーゼの阻害活性および/またはより優れた薬力学/薬物動態学的特性(特により優れた代謝安定性)を有し、BTKキナーゼが介在する疾患の治療、予防及び軽減に用いることができる、新しい縮合二環式化合物およびそれを含む組成物、ならびにそれらの使用を提供する。
これに対して、本発明の要旨は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、式(I)で表される縮合二環式化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体を提供する。
Figure 2019528270
但し、
環Aは芳香環であり、
環Bは芳香環または非芳香環であり、
〜Xは、独立してC原子またはN原子から選択され、ここで、X、X、XおよびXがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;また、XがC原子である場合、その酸化形態である−C(=O)−であってもよく、
ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基、−OR1a、−N(R1a、−SR1a、−Si(R1a、−C(=O)R1a、−C(=O)OR1a、−C(=O)N(R1a、−NR1aC(=O)R1a、−NR1aC(=O)OR1a、−NR1aC(=O)N(R1a、−OC(=O)R1a、−OC(=O)OR1a、もしくは−OC(=O)N(R1a(各R1aは、独立してH、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;或いは、2つのR1a基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成する)からなる群から選択され;
Arは、以下の式で表される環Cであり、
Figure 2019528270
ここで、Y〜Yは、独立してC原子またはN原子から選択され、Y〜YがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;
ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基、−OR2a、−N(R2a、−SR2a、−Si(R1a、−C(=O)R2a、−C(=O)OR2a、−C(=O)N(R2a、−NR2aC(=O)R2a、−NR2aC(=O)OR2a、−NR2aC(=O)N(R2a、−OC(=O)R2a、−OC(=O)OR2a、もしくは−OC(=O)N(R2a(各R2aは、独立してH、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;或いは、2つのR2a基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成する)からなる群から選択され;
或いは、Y、Yおよびそれらの置換基Rはともに、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し;
ここで、*はXと連結する結合を表し、#はLと連結する結合を表し;
は、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、P(=O)OR(各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;或いは、2つのR基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し、mは、1または2である)からなる群から選択され;
Arは、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;
Lは、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;
Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、P(=O)OR(ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;或いは、2つのR基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し、nは、1または2である)からなる群から選択され;
Rは、CN、或いは0、1、2または3個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基(Rは、H、OH、ハロゲン、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択される)である。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。具体的な実施形態では、本発明の化合物は、前記医薬組成物中に有効な量で提供される。具体的な実施形態では、本発明の化合物は、治療に有効な量で提供される。具体的な実施形態では、本発明の化合物は、予防に有効な量で提供される。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物と、薬学的に許容される賦形剤と、さらに他の治療薬とを含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体誘導体、他の治療薬、および薬学的に許容される担体、アジュバント、または媒体を含むキットを提供する。
別の態様では、本発明は、被験者に有効量の本発明の化合物を投与することを含む、それを必要とする被験者においてBTK介在疾患を治療する方法を提供する。具体的な実施形態では、前記のBTK介在疾患は、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、または癌からなる群から選択される。
具体的な実施形態では、前記のBTK介在疾患は慢性リンパ球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病を含むB細胞増殖性疾患であるが、これらに限定されない。
具体的な実施形態では、経口、皮下、静脈内、または筋肉内で前記化合物を投与する。具体的な実施形態では、長期に前記化合物を投与する。
具体的な実施形態、実施例および特許請求の範囲から、本発明の他の目的と利点は、当業者にとって明らかである。
定義
化学定義
以下、具体的な官能基と化学用語の定義についてより詳細に説明する。
数値の範囲が挙げられる場合、その範囲内の各値および部分範囲を含む。例えば、「C−Cアルキル基」は、C、C、C、C、C、C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、およびC−Cのアルキル基を含む。
本明細書において、以下に定義される部分のいずれかは、種々の置換基で置換され得ること、およびそれぞれの定義は、以下に記載されるようなそれらの範囲内の置換された部分を含むことが、理解されるべきである。他に記載されない限り、用語「置換」は、以下に記載されるように定義される。
「C−Cアルキル基」(Cアルキル基とも呼ばれる)とは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素基のことを指し、本明細書中では「低級アルキル基」とも称される。一部の実施形態において、C−Cアルキル基は特に好ましい。前記のアルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、n−ペンチル(C)、3−ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3−メチル−2−ブタニル(C)、第3級アミル(C)およびn−ヘキシル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されない限り、各アルキル基は、独立して、置換されてもよく、すなわち、置換されない(「非置換アルキル基」)か、または、例えば1〜5個の置換基、1〜3個の置換基もしくは1個の置換基のような1個以上の置換基で置換されている(「置換アルキル基」)。一部の実施形態において、アルキル基は、非置換C−Cアルキル(例えば、−CH)である。一部の実施形態において、アルキル基は、置換C−Cアルキル基である。
「C−Cアルケニル基」とは、2〜6個の炭素原子と1個以上の炭素−炭素二重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素−炭素二重結合)を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基のことを指す。1個以上の炭素−炭素二重結合は、内部に存在し得る(例えば、2−ブテニル)かまたは末端に存在し得る(例えば、1−ブテニル)。一部の実施形態において、C−Cアルケニル基は特に好ましい。前記のアルケニル基の例として、エテニル(C)、1−プロペニル(C)、2−プロペニル(C)、1−ブテニル(C)、2−ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されない限り、各アルケニル基は、独立して、置換されてもよく、すなわち、置換されない(「非置換アルケニル基」)か、または、例えば1〜5個の置換基、1〜3個の置換基もしくは1個の置換基のような1個以上の置換基で置換されている(「置換アルケニル基」)。一部の実施形態において、アルケニル基は、非置換C−Cアルケニル基である。一部の実施形態において、アルケニル基は、置換C−Cアルケニル基である。
「C−Cアルキニル基」とは、2〜6個の炭素原子、1個以上の炭素−炭素三重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素−炭素三重結合)、および必要に応じて、1個以上の炭素−炭素二重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素−炭素二重結合)を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基のことを指す。一部の実施形態において、C2−アルキニル基は特に好ましい。一部の実施形態において、アルキニル基は、二重結合を全く含まない。1個以上の炭素−炭素三重結合は、内部に存在し得る(例えば、2−ブチニル)か、または末端に存在し得る(例えば、1−ブチニル)。前記のアルキニル基の例として、エチニル(C)、1−プロピニル(C)、2−プロピニル(C)、1−ブチニル(C)、2−ブチニル(C)、ペンチニル(C)、3−メチルブト−1−イニル(C)、ヘキシニル(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されない限り、各アルキニル基は、独立して、置換されてもよく、すなわち、置換されない(「非置換アルキニル基」)か、または、例えば1〜5個の置換基、1〜3個の置換基もしくは1個の置換基のような1個以上の置換基で置換されている(「置換アルキニル基」)。一部の実施形態において、アルキニル基は、非置換C2−アルキニル基である。一部の実施形態において、アルキニル基は、置換C2−アルキニル基である。
「C−Cヘテロアルキル基」とは、本明細書中で使用される場合、1個または1個より多く(例えば、1個、2個、3個、または4個)のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、リン)をその親鎖中にさらに含み、この1個または1個より多くのヘテロ原子は、その親炭素鎖内の隣接する炭素原子間に挿入されており、および/あるいは1個または1個より多くのヘテロ原子は、炭素原子とその親分子との間(すなわち、結合点の間)に挿入されている、本明細書中で定義されるようなアルキル基のことを指す。別段特定されない限り、各ヘテロアルキル基は独立して置換されてもよく、即ち、置換されていない(「非置換ヘテロアルキル基」)か、または1個もしくは1個より多くの置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル基」)。一部の実施形態において、ヘテロアルキル基は、非置換C〜Cヘテロアルキル基である。一部の実施形態において、ヘテロアルキル基は、置換C〜Cヘテロアルキル基である。具体例としては、C−Cヘテロアルキル基として、C−Cアルコキシ基、C−Cアルキルチオ基、C−Cアルキルアミノ基などが挙げられ、その詳細な定義は以下の通りである。
「C−Cアルコキシ基」とは、−OR基のことを指し、ここで、Rは、置換もしくは非置換C−Cアルキル基である。一部の実施形態において、C−Cアルコキシ基は特に好ましい。具体的に、前記のアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、および1,2−ジメチルブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
「C−Cアルキルチオ基」とは、−SR基のことを指し、ここで、Rは、置換されていてもよいC−Cアルキル基である。一部の実施形態において、C−Cアルキルチオ基は特に好ましい。具体的に、前記のC−Cアルキルチオ基として、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、および1,2−ジメチルブチルチオが挙げられるが、これらに限定されない。
「C−Cアルキルアミノ基」とは、−NHRまたは−NR基のことを指し、ここで、Rは、置換されていてもよいC−Cアルキル基である。一部の実施形態において、C−Cアルキルアミノ基は特に好ましい。具体的に、前記のC−Cアルキルアミノ基として、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、およびジエチルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
「C−Cアシル基」とは、−(=O)R基のことを指し、ここで、Rは、置換されていてもよいC−Cアルキル基である。一部の実施形態において、C−Cアシル基は特に好ましい。例示的な前記のC−Cアルカノイル基として、−(=O)CH、−(=O)CHCH、−(=O)CHCHCH、および−(=O)CH(CHが挙げられるが、これらに限定されない。
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のことを指す。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、F、−ClまたはBrである。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、FまたはClである。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、Fである。
したがって、「C−Cハロアルキル基」と「C−Cハロアルコキシ基」とは、1個以上のハロゲン基に置換された前記の「C−Cアルキル基」と「C−Cアルコキシ基」のことを指す。一部の実施形態において、C−Cハロアルキル基は特に好ましく、C−Cハロアルキル基はより好ましい。一部の実施形態において、C−Cハロアルコキシ基は特に好ましく、C−Cハロアルコキシ基はより好ましい。例示的な前記のハロアルキル基として、−CF、−CHF、−CHF、−CHFCHF、−CHCHF、−CFCF、−CCl、−CHCl、−CHCl、2,2,2−トリフルオロ−1,1−エチル−エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な前記のハロアルコキシ基として、−OCHF、−OCHF、−OCF等が挙げられるが、これらに限定されない。
「C−C炭素環基」とは、3〜7個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基のことを指す。一部の実施形態において、5〜6個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基であるC−C炭素環基は好ましい。一部の実施形態において、4個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基であるC炭素環基は好ましい。一部の実施形態において、5個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基であるC炭素環基は好ましい。一部の実施形態において、6個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基であるC炭素環基は好ましい。炭素環基は、上記の炭素環基が1つ以上の炭素環基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基とともに縮合環系、架橋環系もしくはスピロ環系となった環系も含み、ここで、結合点は、炭素環基の環上に存在し、そのような場合、炭素の数は、引き続き炭素環系内の炭素の数を示す。例示的な前記の炭素環基として、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロペンタジエニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)、ならびにシクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。別段特定されない限り、各炭素環基は、独立して、置換されてもよく、すなわち、置換されない(「非置換炭素環基」)か、または1つ以上の置換基で置換されている(「置換炭素環基」)。一部の実施形態において、炭素環基は非置換C−C炭素環基である。一部の実施形態において、炭素環基は置換C−C炭素環基である。
「C−C複素環基」とは、環炭素原子および1〜3個の環ヘテロ原子を有する3〜7員の非芳香環系のことを指し、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンおよびケイ素から選択される。その中には、炭素、窒素、硫黄およびリン原子もそれらの酸化状態で存在してもよく、例えばC(O)、S(O)、S(O)、P(O)などである。1個以上の窒素原子を含む複素環基において、結合価が許容される限り、結合点は、炭素または窒素原子であり得る。一部の実施形態において、環炭素原子と1〜3個の環ヘテロ原子を有する4〜7員非芳香環系であるC−C複複素環基は好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1〜3個の環ヘテロ原子を有する4〜6員非芳香環系であるC−C複素環基は好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1〜3個の環ヘテロ原子を有する5〜6員非芳香環系であるC−C複素環基は好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子和1〜3個の環ヘテロ原子を有する5員非芳香環系であるC複素環基はより好ましい。一部の実施形態において、上述複素環基は、窒素、酸素および硫黄(好ましくは窒素または酸素)から選択される環ヘテロ原子を1〜3個(より好ましくは1個または2個)含む。別段特定されない限り、各複素環基は、独立して、置換されていてもよい、すなわち、置換されない(「非置換複素環基」)か、または1個以上の置換基で置換されている(「置換複素環基」)。一部の実施形態において、複素環基は、非置換C−C複素環基である。一部の実施形態において、複素環基は、置換C−C複素環基である。複素環基には、結合点が複素環基の環上に存在する、上記の複素環基が1つ以上の炭素環基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基とともに縮合環系、架橋環系もしくはスピロ環系となった環系も含み、このような場合、環員数は、引き続き複素環系内の環の員数を示す。1個のヘテロ原子を含む例示的な3員複素環基として、アジリジニル、オキシラニル、チオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な4員複素環基として、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な5員複素環基として、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル−2,5−ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員複素環基として、ジオキソラニル、オキサスルフラニル(oxasulfuranyl)、オキサチオラニル(oxathiolanyl)(1,2−オキサチオラニル、1,3−オキサチオラニル)、ジスルフラニル(disulfuranyl)、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、およびオキサゾリジン−2−オンが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員複素環基として、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員複素環基として、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、およびチアニル(thianyl)が挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員複素環基として、ジヒドロピラジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な6員複素環基として、トリアジナニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個または2個のヘテロ原子を含む例示的な7員複素環基として、アゼパニル、ジアゼパニル、オキセパニル、およびチエパニルが挙げられるが、これらに限定されない。6員のアリール環に縮合された例示的な5員複素環基(本明細書中で5,6−二環式複素環基とも称される)として、インドリニル、イソインドリニル、インドリニルジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。6員のアリール環に縮合された例示的な6員複素環基(本明細書中で6,6−二環式複素環基とも称される)として、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「C−C10アリール基」とは、6〜10個の環炭素原子および0個のヘテロ原子が芳香環系に提供されている単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6または10個のπ電子を有する)の基のことを指す。一部の実施形態において、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール基」;例えば、フェニル)。一部の実施形態において、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール基」;例えば、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどのナフチル)。「C−C10アリール基」は、上記のアリール環が1つ以上の炭素環基、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基と縮合した環系も含み、ここで、原子団または結合点は、上記のアリール環上に存在し、このような場合、炭素原子の数は、引き続き上記のアリール環系内の炭素原子の数を示す。典型的なアリール基として、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン(acephenanthrylene)、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレンおよびトリナフタレンから得られる基が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的に、アリール基は、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチルを含む。別段特定されない限り、各アリール基は、独立して、置換されてもよく、すなわち、置換されない(「非置換アリール基」)か、または1つ以上の置換基で置換されている(「置換アリール基」)。一部の実施形態において、アリール基は非置換C6−10アリール基である。一部の実施形態において、アリール基は置換C6−10アリール基である。
「C−C10ヘテロアリール基」とは、環炭素原子および1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜10員の単環式または二環式の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6または10個のπ電子を有する)の基のことを指し、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。一部の実施形態において、環炭素原子および1〜4个環ヘテロ原子を有する5員の単環式の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6個のπ電子を有する)の基であるCヘテロアリール基は好ましく、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。一部の実施形態において、環炭素原子および1〜4个環ヘテロ原子を有する6員の単環式の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6個のπ電子を有する)の基であるCヘテロアリール基は好ましく、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。1個以上の窒素原子を含むヘテロアリール基において、結合価が許容される限り、結合点は、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール二環式環系は、一方または両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含み得る。ヘテロアリール基は、上記のヘテロアリール環が1つ以上の炭素環基、複素環基、アリール基またはヘテロアリール基と縮合している環系を含み、ここで、結合点は、上記のヘテロアリール環上に存在し、このような場合、環員数は、引き続きヘテロアリール環系内の環の員数を示す。別段特定されない限り、各ヘテロアリール基は、独立して、置換されてもよく、すなわち、置換されない(「非置換ヘテロアリール基」)か、または1つ以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール基」)。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は非置換C−C10ヘテロアリール基である。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は置換C−C10ヘテロアリール基である。1個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。4個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、テトラゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、ピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。3または4個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、それぞれトリアジニルおよびテトラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロアリール基として、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な5,6−二環式ヘテロアリール基として、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な6,6−二環式ヘテロアリール基として、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で定義されるような、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基、およびヘテロアリール基などは、置換されていてもよい。一般に、用語「置換される」は、用語「されていてもよい」があるかまたはないかに関係なく、ある基(例えば、炭素または窒素原子)に存在する少なくとも1つの水素が、許容される置換基、例えば、置換されたときに、安定した化合物、例えば、自発的に変換(例えば、転位、環化、脱離または他の反応によるもの)を起こさない化合物を生じる置換基で置き換えられることを意味する。別段示されない限り、「置換された」基は、その基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所定の構造内の2つ以上の位置が置換されるとき、置換基は、各位置において同じであるかまたは異なる。用語「置換される」は、有機化合物の許容され得るすべての置換基(安定した化合物を形成する本明細書中に記載される任意の置換基)による置換を含む。本発明では、窒素などのヘテロ原子は、そのヘテロ原子の結合価を満たし、且つ安定した部分を形成する、本明細書中に記載される水素置換基および/または任意の好適な置換基を有し得る。
例示的な炭素原子置換基としては、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−ON(Rbb、−N(Rbb、−N(Rbb 、−N(ORcc)Rbb、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−C(ORcc、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−OC(=NRbb)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa、−OSi(Raa、−C(=S)N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、−P(Rcc、−P(Rcc、−OP(Rcc、−OP(Rcc、−B(Raa、−B(ORcc、−BRaa(ORcc)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換される;
または、炭素原子上の2つのジェミナル水素は、=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbbもしくは=NORcc基で置換される;
各Raaは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRaa基が連結して、複素環基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換される;
各Rbbは、独立して、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRbb基が連結して、複素環基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換される;
各Rccは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRcc基が連結して、複素環基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換される;
各Rddは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORee、−ON(Rff、−N(Rff、−N(Rff 、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−COH、−COee、−OC(=O)Ree、−OCOee、−C(=O)N(Rff、−OC(=O)N(Rff、−NRffC(=O)Ree、−NRffCOee、−NRffC(=O)N(Rff、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff、−OC(=NRff)N(Rff、−NRffC(=NRff)N(Rff、−NRffSOee、−SON(Rff、−SOee、−SOORee、−OSOee、−S(=O)Ree、−Si(Ree、−OSi(Ree、−C(=S)N(Rff、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、−P(=O)ee、−P(=O)(Ree、−OP(=O)(Ree、−OP(=O)(ORee、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、ヘテロアリールから選択され、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換されるか、または2つのジェミナルRdd置換基が連結して、=Oもしくは=Sを形成し得る;
各Reeは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、アリール、複素環基、およびヘテロアリールから選択され、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換される;
各Rffは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRff基が連結して、複素環基或ヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換される;
各Rggは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−OC1−6アルキル基、−ON(C1−6アルキル基)、−N(C1−6アルキル基)、−N(C1−6アルキル基) 、−NH(C1−6アルキル基) 、−NH(C1−6アルキル基)、−NH 、−N(OC1−6アルキル基)(C1−6アルキル基)、−N(OH)(C1−6アルキル基)、−NH(OH)、−SH、−SC1−6アルキル基、−SS(C1−6アルキル基)、−C(=O)(C1−6アルキル基)、−COH、−CO(C1−6アルキル基)、−OC(=O)(C1−6アルキル基)、−OCO(C1−6アルキル基)、−C(=O)NH、−C(=O)N(C1−6アルキル基)、−OC(=O)NH(C1−6アルキル基)、−NHC(=O)(C1−6アルキル基)、−N(C1−6アルキル基)C(=O)(C1−6アルキル基)、−NHCO(C1−6アルキル基)、−NHC(=O)N(C1−6アルキル基)、−NHC(=O)NH(C1−6アルキル基)、−NHC(=O)NH、−C(=NH)O(C1−6アルキル基)、−OC(=NH)(C1−6アルキル基)、−OC(=NH)OC1−6アルキル基、−C(=NH)N(C1−6アルキル基)、−C(=NH)NH(C1−6アルキル基)、−C(=NH)NH、−OC(=NH)N(C1−6アルキル基)、−OC(NH)NH(C1−6アルキル基)、−OC(NH)NH、−NHC(NH)N(C1−6アルキル基)、−NHC(=NH)NH、−NHSO(C1−6アルキル基)、−SON(C1−6アルキル基)、−SONH(C1−6アルキル基)、−SONH、−SO1−6アルキル基、−SOOC1−6アルキル基、−OSO1−6アルキル基、−SOC1−6アルキル基、−Si(C1−6アルキル基)、−OSi(C1−6アルキル基)、−C(=S)N(C1−6アルキル基)、C(=S)NH(C1−6アルキル基)、C(=S)NH、−C(=O)S(C1−6アルキル基)、−C(=S)SC1−6アルキル基、−SC(=S)SC1−6アルキル基、−P(=O)(C1−6アルキル基)、−P(=O)(C1−6アルキル基)、−OP(=O)(C1−6アルキル基)、−OP(=O)(OC1−6アルキル基)、C1−6アルキル基、C1−6ハロアルキル基、C2−アルケニル基、C2−アルキニル基、C3−炭素環基、C6−10アリール基、C3−複素環基、C5−10ヘテロアリール基であるか;または2つのジェミナルRgg置換基が連結して、=Oもしくは=Sを形成してもよく;ここで、Xは、対イオンである。
例示的な窒素原子上の置換基としては、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されないか、または窒素原子に結合した2つのRcc基は、連結して、複素環基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され、ここで、Raa、Rbb、RccおよびRddは、上記の通りである。
他の定義
用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩のことを指す。薬学的に許容される塩は、当該分野において周知である。例えば、Bergeらは、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、適切な無機酸と有機酸および無機塩基と有機塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成された塩であるか、あるいはイオン交換などの当該分野における慣用の方法で形成された塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムなどが挙げられる。他の薬学的に許容される塩は、適切である場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、およびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンと形成された、無毒のアンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、およびアミン陽イオンを含む。
投与される「被験者」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群、例えば、小児被験者(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験者(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人)の男性または女性)および/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌ)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、被験者は、ヒトである。一部の実施形態において、被験者は、非ヒト動物である。用語「ヒト」、「患者」および「被験者」は、本明細書中で交換可能に使用される。
「疾患」、「障害」および「病状」は、本明細書中で交換可能に使用される。
他に特定されない限り、本明細書中で使用される用語「治療」は、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患している間に行われ、その疾患、障害または病状の重篤度を低下させるか、あるいは疾患、障害または病状の進行を遅延させるかまたは遅くする行為(「治療性治療」)を想定し、そしてまた、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患し始める前に行われる行為(「予防性治療」)を想定する。
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を惹起するために充分な量のことを指す。当業者によって理解されるように、本発明の化合物の有効量は、所望の生物学的目標、化合物の薬物動態学、治療される疾患、投与様式、ならびに被験者の年齢、健康状態、および病状などの要因に依存して、変わり得る。有効量とは、治療有効量および予防有効量を含む。
他に特定されない限り、本明細書中で使用される化合物の「治療有効量」とは、疾患、障害または病状の治療において治療上の利点を提供するか、あるいはその疾患、障害または病状に関連する1つまたは1つより多くの症状を遅延させるかまたは最小にするために充分な量である。化合物の治療有効量とは、その疾患、障害または病状の治療において治療上の利点を提供する、単独でまたは他の治療法と組み合わせる時の治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、治療全体を改善させる量、疾患または病状の症状または原因を減少させるかまたは回避する量、あるいは別の治療剤の治療効果を増強する量を含む。
他に特定されない限り、本明細書中で使用される化合物の「予防有効量」とは、疾患、障害もしくは病状、またはその疾患、障害もしくは病状に関連する1つもしくは1つより多くの症状を予防するため、あるいはその再発を予防するために充分な量である。化合物の予防有効量とは、その疾患、障害または病状の予防において予防上の利点を提供する、単独でかまたは他の薬剤と組み合わせる時の治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、予防全体を改善させる量、または別の予防剤の予防効果を増強する量を含む。
「組み合わせ」及び関連用語は、本発明の化合物と他の治療剤とを同時に又は順次投与することを意味する。例えば、本発明の化合物は、別々の単位製剤で他の治療剤と同時に又は順次に投与したり、単一の単位製剤で他の治療剤と同時に投与したりすることができる。
本発明の化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)が介在する疾患の治療または予防に用いることができる。本発明において、BTK介在疾患とは、B細胞、肥満細胞、骨髄細胞あるいは破骨細胞が主な役割を果たす任意の病状またはその他の有害な状態を指す。これらの疾患には、免疫疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患、アレルギー症、感染症、骨吸収障害、ならびに増殖性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の化合物によって治療または予防できる免疫疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患には、リウマチ性疾患(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、感染性関節炎、慢性進行性関節炎、変形性関節症、骨関節炎、外傷性関節炎、痛風性関節炎、ライター症候群(Reiter’s syndrome)、多発性軟骨炎、急性滑膜炎および脊椎炎)、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群の有無にかかわらず)、自己免疫血液系障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少症および好中球減少症)、自己免疫性胃炎および自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性甲状腺炎、グレーブス病、強皮症、糖尿病(I型およびII型)、活動性肝炎(急性および慢性)、膵炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、日焼け、脈管炎(例えば、ベーチェット病)、慢性腎不全、スティーブンス・ジョンソン症候群、炎症性疼痛、特発性脂肪便症、悪液質、サルコイドーシス、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎、結膜炎、角結膜炎、中耳炎、歯周病、肺間質線維症、喘息、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎、塵肺、肺不全症候群、肺気腫、肺線維症、珪肺症、慢性炎症性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患など)、およびその他の気道の炎症性疾患または閉塞性疾患が含まれる。
治療または予防できるアレルギー症には、例えば、食品、食品添加物、昆虫毒素、ダニ、花粉、動物材料および接触性アレルゲンに対するアレルギー、I型過敏症アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が含まれる。
治療または予防できる感染症には、例えば、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌による敗血症、細菌性赤痢、髄膜炎、脳マラリア、肺炎、肺結核、ウイルス性心筋炎、ウイルス性肝炎(A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎)、HIV感染、サイトメガロウイルスによる網膜炎、インフルエンザ、ヘルペス、重度の火傷に関する感染症の治療、感染による筋肉痛、感染による悪液質、ならびに、レンチウイルス、山羊関節炎ウイルス、マエディ・ビスナウイルス(Maedi−Visna virus)、猫免疫不全ウイルス、牛免疫不全ウイルスまたは犬免疫不全ウイルスの感染のような動物ウイルスの感染が含まれる。
治療または予防できる骨吸収障害には、例えば、骨粗鬆症、骨関節炎、外傷性関節炎、痛風性関節炎、および多発性骨髄腫に関連する骨障害が含まれる。
治療または予防できる増殖性疾患には、例えば、非ホジキンリンパ腫(特にサブタイプのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫(MCL))、B細胞性慢性リンパ球性白血病、および成熟B細胞を有する急性リンパ芽球性白血病が含まれる。
化合物
本明細書において、「本発明の化合物」とは、以下の式(I)で表れる化合物、その薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体を指す。
1つの実施形態では、本発明は、式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体に関する。
Figure 2019528270
但し、
環Aは芳香環であり、
環Bは芳香環または非芳香環であり、
〜Xは、独立してC原子またはN原子から選択され、ここで、X、X、XおよびXがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;また、XがC原子である場合、その酸化形態である−C(=O)−であってもよく、
ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基、−OR1a、−N(R1a、−SR1a、−Si(R1a、−C(=O)R1a、−C(=O)OR1a、−C(=O)N(R1a、−NR1aC(=O)R1a、−NR1aC(=O)OR1a、−NR1aC(=O)N(R1a、−OC(=O)R1a、−OC(=O)OR1a、もしくは−OC(=O)N(R1a(各R1aは、独立してH、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;或いは、2つのR1a基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成する)からなる群から選択され;
Arは、以下の式で表される環Cであり、
Figure 2019528270
ここで、Y〜Yは、独立してC原子またはN原子から選択され、Y〜YがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;
ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基、−OR2a、−N(R2a、−SR2a、−Si(R1a、−C(=O)R2a、−C(=O)OR2a、−C(=O)N(R2a、−NR2aC(=O)R2a、−NR2aC(=O)OR2a、−NR2aC(=O)N(R2a、−OC(=O)R2a、−OC(=O)OR2a、もしくは−OC(=O)N(R2a(各R2aは、独立してH、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;或いは、2つのR2a基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成する)からなる群から選択され;
或いは、Y、Yおよびそれらの置換基Rはともに、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し;
ここで、*はXと連結する結合を表し、#はLと連結する結合を表し;
は、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、P(=O)OR(各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;或いは、2つのR基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し、mは、1または2である)からなる群から選択され;
Arは、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;
Lは、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;
Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、P(=O)OR(ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基或置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;或いは、2つのR基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し、nは、1または2である)からなる群から選択され;
Rは、CN、或いは0、1、2または3個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基(Rは、H、OH、ハロゲン、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択される)である。
前記の実施形態において、好ましくは、前記の化合物が式(II)で表される化合物であり、その中、X、X、R、Ar、L、Ar、L、VおよびRが上記のように定義される。
Figure 2019528270
前記の実施形態において、好ましくは、前記の化合物が以下のいずれかの式で表される化合物であり、その中、Ar、L、Ar、L、VおよびRが上記のように定義される。
Figure 2019528270
前記の実施形態において、好ましくは、Y〜Yの1つがN原子で、その他がC原子であり;或いは、前記の実施形態において、好ましくは、Y〜YがいずれもC原子であり、また、Y〜YがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;
好ましくは、Arは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され、ここで、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、もしくは置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、またはCNからなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、またはハロゲンからなる群から選択され;好ましくは、RはHである。
前記の実施形態において、好ましくは、Lは、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、またはNRS(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、Lは、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、またはNRC(=O)Oからなる群から選択され;好ましくは、Lは、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、またはNRC(=O)からなる群から選択され;好ましくは、Lは、O、S、NR、C(R、またはC(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、Lは、OまたはC(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、LはOであり;
ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、もしくは置換または非置換のC−Cアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、またはNOからなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、F、Cl、またはBrからなる群から選択され;好ましくは、RはHまたはFであり;
mは、1または2である。
前記の実施形態において、好ましくは、Arは、非置換のC−C10アリール基、もしくは非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;好ましくは、Arは、フェニル基またはピリジル基である。
前記の実施形態において、好ましくは、Lは、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;
好ましくは、Lは、C−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、もしくは置換または非置換のC−C複素環基からなる群から選択され;
好ましくは、Lは、置換または非置換のC−C複素環基からなる群から選択され;
好ましくは、Lは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され;
好ましくは、Lは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され;
ここで、波線は、母核上のXまたはVと連結する部位を表す。
前記の実施形態において、好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、またはP(=O)ORからなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、またはNRS(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、またはNRC(=O)Oからなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、またはNRC(=O)からなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、またはC(=O)からなる群から選択され;好ましくは、VはC(=O)であり;
ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、もしくは置換または非置換のC−Cアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、もしくは置換または非置換のC−Cアルキル基からなる群から選択され;
nは、1または2である。
前記の実施形態において、好ましくは、Rは、CN、或いは0個または1個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基であり;好ましくは、Rは、0個または1個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基であり;好ましくは、Rは、0個または1個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基であり;好ましくは、Rは非置換のビニル基であり;
は、H、OH、ハロゲン、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、もしくは置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、H、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、もしくは置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基からなる群から選択され;
前記の実施形態において、好ましくは、Rは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され、ここで、各R、R、R、R、R、RおよびRは、前記のRから選択され;
好ましくは、Rは、
Figure 2019528270
からなる群から選択される。
前記の実施形態において、好ましくは、前記の化合物は、式(III)で表される化合物であり、
Figure 2019528270
ただし、
−L−V−Rは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され;
好ましくは、−L−V−Rは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され;
−Ar−L−Arは、
Figure 2019528270
からなる群から選択され;
はCHまたはNである。
前記の実施形態において、好ましくは、式(I)で表される化合物は、
Figure 2019528270
からなる群から選択される。
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得るので、様々な立体異性体、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーとして存在し得る。例えば、本発明の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)の形態であり得るか、または立体異性体の混合物(ラセミ混合物、および1つ以上の立体異性体に富んだ混合物を含む)の形態であり得る。異性体は、当業者に公知の方法(キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む)によって混合物から単離され得るか;または好ましい異性体が、不斉合成によって調製され得る。
本発明には、本発明の化合物のすべての適切な同位体異性体も含む。本発明化合物の同位体異性体は、少なくとも一つの原子が、同じ原子番号を有するが原子質量において天然に典型的に見られる原子質量と異なる原子によって置換されていると定義される。本発明の化合物に導入できる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、リン、硫黄および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、17O、18O、18F、31P、32P、35Sおよび36Clが挙げる。例えばHまたは14Cなどの放射性同位体を導入したものなどの本発明の化合物の一部の同位体異性体は、薬物および/または基質の組織分布に関する研究に用いることができる。トリチウム化(即ち、H)と炭素−14(即ち、14C)の同位体は、その製造と検出が容易であるため特に好ましい。また、同位体(例えば、重水素、すなわちH)で置換されることは、体内の半減期の増加または投与量の減少など、代謝の安定性が高くなることにより得られる治療上の利点を提供することができるため、好ましい場合がある。本発明の化合物の同位体異性体は、通常、例えば、例示した方法や、以下の実施例で説明するような、同位体を含む適切な試薬を用いる方法により製造することができる。
本発明者らが検討した結果、重水素化していない本発明の縮合二環式化合物に比べて、重水素化した前記化合物及びその薬学的に許容される塩は、同等又はより優れた薬物動態学および/または薬力学的特性を有するため、BTKキナーゼを抑制する化合物として好適であり、さらに癌及びBTKキナーゼ関連疾患を治療する薬物の製造に適していることを意外にも見出した。
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、非晶質または結晶質のいずれでもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数の結晶形として存在してもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物のすべての非晶質または結晶形をその範囲に含む。
当業者は、多くの有機化合物が、溶媒中で反応するか、または溶媒から沈殿あるいは結晶化して、当該溶媒と複合体を形成し得ることを理解できる。これらの複合体を「溶媒和物」と呼ばれる。溶媒が水である場合、複合体は「水和物」と呼ばれる。本発明は、本発明の化合物のすべての溶媒和物を含む。
さらに、プロドラッグも本発明の明細書に含まれる。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで、例えば血液中での加水分解によって医学的な効果を有する活性形態に変換される化合物を指す。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. HiguchiとV. Stella、Prodrugs as Novel Delivery Systems,A.C.S. Symposium Series,Vol. 14,Edward B. Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987、およびD. Fleisher、S. RamonとH. Barbra、“Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs”、Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115−130に記載されたが、それらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
プロドラッグは、患者に投与されると、インビボで本発明の化合物を放出する任意の共有結合の担体である。プロドラッグは、典型的には、官能基の修飾によって調製され、この修飾により、プロドラッグがインビボで切断させて母体化合物を生じることができる。プロドラッグには、例えば、水酸基、アミンまたはメルカプト基が任意の基に結合している本発明化合物が含まれ、それらを患者に投与すると、切断されて、水酸基、アミノ基またはメルカプト基を形成することができる。したがって、プロドラッグの代表例としては、本発明の化合物がその水酸基、アミノ基またはメルカプト基と酢酸、ギ酸または安息香酸とによって形成された共有結合誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。また、カルボン酸(−COOH)の場合は、メチルエステル、エチルエステル等のエステルを用いることができる。エステル自体は活性を有してもよく、および/またはヒトの体内の条件下で加水分解してもよい。適切な薬学的に許容されるインビボで加水分解可能なエステルには、人体中で容易に分解して母体酸またはその塩を放出するものが含まれる。
医薬組成物、製剤およびキット
他の様態では、本発明は、本発明の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、治療有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、予防有効量の活性成分を含む。
本発明の薬学的に許容される賦形剤とは、配合される化合物の薬理学的活性を無効にしない非毒性担体、アジュバントまたは媒体を指す。本発明の組成物で使用できる薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体には、これらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
本発明は、キット(例えば、医薬パック)も含む。提供されるキットは、本発明の化合物、ほかの治療剤、ならびに本発明の化合物、他の治療剤を含有する第1および第2の容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/または分散パッケージ、あるいは他の適切な容器)を含む。一部の実施形態において、提供されるキットは、また、本発明の化合物および/または他の治療薬を希釈または懸濁するための薬学的に許容される賦形剤を含む第3の容器も有しても良い。一部の実施形態において、第1の容器および第2の容器内の本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて単位製剤を形成して提供する。
以下の製剤の実例は、本発明に従って調製され得る代表的な医薬組成物を例証している。しかしながら、本発明は、以下の医薬組成物に限定されない。
例示的な製剤1−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で0.3〜30mgの錠剤(錠剤1つあたり0.1〜10mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤2−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で30〜90mgの錠剤(10〜30mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤3−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で90〜150mgの錠剤(錠剤1つあたり30〜50mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤4−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で150〜240mgの錠剤(錠剤1つあたり50〜80mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤5−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で240〜270mgの錠剤(錠剤1つあたり80〜90mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤6−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で270〜450mgの錠剤(錠剤1つあたり90〜150mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤7−錠剤:本発明の化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とおおよそ1:2重量比で混合し得る。微量のステアリン酸マグネシウムを滑剤として加える。その混合物を、打錠機で450〜900mgの錠剤(錠剤1つあたり150〜300mgの活性な化合物)に形成する。
例示的な製剤8−カプセル:本発明の化合物を、乾燥粉末としてデンプン希釈剤とおおよそ1:1重量比で混合し得る。その混合物を250mgのカプセル(カプセル1つあたり125mgの活性な化合物)に充填する。
例示的な製剤9−液体:本発明の化合物(125mg)を、スクロース(1.75g)およびキサンタンガム(4mg)と混合し、得られた混合物を混ぜて、No.10メッシュU.S.シーブに通し、次いで、微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89,50mg)の事前に調製された水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)、香料および着色料を水で希釈し、撹拌しながら加える。次いで、充分な水を加えることにより、総体積を5mLにする。
例示的な製剤10−注射剤:本発明の化合物を、滅菌された緩衝食塩水の注射可能な水性媒質に、おおよそ5mg/mLの濃度に溶解または懸濁する。
投与
本発明によって提供される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、直腸内投与、鼻腔投与、口腔投与、膣内投与、インプラントによる投与または他の投与方法などの様々な方式によって投与することができるが、これらに限定されない。例えば、本発明で用いた非経口投与には、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑膜腔内投与、胸骨内投与、脳脊髄膜内投与、病巣内投与、頭蓋内の注射や輸液技術がある。
通常、有効量で本発明によって提供する化合物を投与する。治療される病状、選択される投与方式、実際に投与される化合物、患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度などを含む状況に応じて、実際に投与される化合物の量は医師によって決定される。
本明細書に記載した病状を予防するために使用される場合、本発明によって提供される化合物は、前記の病状を発症するリスクのある被験者に投与され、典型的には、医師の推奨に基づいて上記の用量レベルで投与される。特定の病状を発症するリスクのある被験者には、典型的には、前記の病状の家族歴史を有する被験者、または遺伝子検査もしくはスクリーニングによって前記の病状を発症しやすい被験者が含まれる。
本発明によって提供される医薬組成物(「長期投与」)は長期的に投与することもできる。長期投与とは、例えば3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などの長期間にわたって化合物またはその医薬組成物を投与できるか、または、例えば被験者の余生において無期限に連続的に投与できることを指す。たとえば、一部の実施形態において、長期投与は、例えば治療ウィンドウ内で、長期間にわたって血液中に一定レベルの前記の化合物を提供することを意図している。
本発明の医薬組成物は、様々な投与方式を用いてさらに送達することができる。例えば、一部の実施形態において、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度を迅速に有効レベルまで増加させるために、ボーラス注射によって投与することができる。ボーラス用量の配置は、活性成分の望まれる全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下のボーラス用量は、活性成分のゆっくりとした放出を可能にし、一方で、静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV滴注による)は、より速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルまで迅速に上昇させる。他の実施形態において、この薬学的組成物は、連続注入として、例えば、IV滴注によって投与されて、被験者の身体内での、活性成分の定常状態濃度の維持を提供し得る。
経口投与用の組成物は、バルクの液体の溶液もしくは懸濁液またはバルクの粉末の形態をとり得る。しかしながら、一般的に、組成物を、精確な投薬量で投与できるために、単位投与量で提供される。用語「単位製剤」とは、ヒト被験者および他の哺乳動物に対する単位投与量として好適な物理的に不連続の単位のことを指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤とともに所望の治療効果をもたらすと計算される所定量の活性な材料を含む。典型的な単位製剤としては、液体組成物の予め測定され予め充填されたアンプルもしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物では、化合物は、通常、少量の成分(約0.1〜約50重量%または好ましくは約1〜約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ様々な担体または賦形剤および加工助剤である。
経口投与の場合、1日あたり1〜5回、特に2〜4回、典型的には3回の経口投与量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを使用するとき、各用量は、約0.01〜約20mg/kgの本発明の化合物を提供し、好ましい用量は、それぞれ約0.1〜約10mg/kg、特に、約1〜約5mg/kgを提供する。
経皮用量は一般に、注射用量を使用して達成されるレベルと類似であるかまたはより低い血液中レベルを提供するように選択され、一般に、約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%〜約15重量%の範囲の量である。
注射剤の用量レベルは、約0.1mg/kg/時間〜少なくとも10mg/kg/時間の範囲であり、すべて約1〜約120時間、特に、24〜96時間にわたる。約0.1mg/kg〜約10mg/kgまたはそれ以上の前負荷ボーラス(preloading bolus)も、適切な定常状態レベルを達成するために投与されてもよい。最大総用量は、40〜80kgのヒト患者にとって約2g/日を越えない。
経口投与に適した液体の形態は、緩衝剤、懸濁剤および予製剤(dispensing agents)、着色剤、香料などを含む好適な水性または非水性のビヒクルを含み得る。固体の形態は、例えば、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプン);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー)。
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌された食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水または当該分野で公知の他の注射可能な賦形剤に基づくものである。従来どおり、そのような組成物における活性な化合物は、典型的には、しばしば約0.05〜10重量%である微量の成分であり、残りは、注射可能な賦形剤などである。
経皮の組成物は、典型的には、活性成分(単数または複数)を含む局所用軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化されるとき、活性成分は、典型的には、パラフィン軟膏基剤または水混合性軟膏基剤と混合される。あるいは、活性成分は、例えば、水中油型クリーム基剤を含む、クリームとして製剤化され得る。そのような経皮的製剤は、当該分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の皮膚浸透力または安定性を高めるさらなる成分を含む。そのような公知の経皮の製剤および成分のすべてが、本発明に提供される範囲内に含まれる。
本発明の化合物は、経皮的デバイスによっても投与され得る。従って、経皮的投与は、レザバー(reservoir)タイプもしくは多孔質膜タイプまたは固体マトリックス種類のパッチを用いて達成され得る。
経口的に投与可能な、注射可能な、または局所的に投与可能な組成物について上に記載された構成要素は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,1985,Mack Publishing Company,Easton,PennsylvaniaのPart8(参照により本明細書中に援用される)に示されている。
本発明の化合物はまた、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される製剤にも関する。1つの実施形態において、その製剤は、水を含む。別の実施形態において、その製剤は、シクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、連結される糖部分上に必要に応じて1つ以上の置換基(それらとしては、メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化およびスルホアルキルエーテル置換が挙げられるが、これらに限定されない)を含む、それぞれ6、7および8個のα−1,4−結合グルコース単位からなるα−、β−およびγ−シクロデキストリンである。ある特定の実施形態において、シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ−シクロデキストリン、例えば、Captisolとしても知られるスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンである。例えば、米国特許第5,376,645号明細書を参照のこと。一部の実施形態において、上記製剤は、ヘキサプロピル−β−シクロデキストリン(例えば、水において10〜50%)を含む。
治療
本発明の化合物およびその医薬組成物は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)が介在する各種の疾患を治療または予防することができる。そのような病状および疾患には、(1)関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬性関節炎および骨関節炎などの関節炎;(2)慢性喘息、遅発型喘息、気道過敏性、気管支炎、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、成人呼吸窮迫症候群、再発性気道閉塞および肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患などの喘息および他の閉塞性気道疾患;(3)単一臓器型もしくは単一細胞型自己免疫障害と称されるもの、例えば橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血の自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性精巣炎、グッドパスチャー症候群(Goodpasture’s disease)、特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫性血小板減少症、交感性眼炎、重症筋無力症、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、慢性劇症肝炎、潰瘍性大腸炎および膜様糸球体腎炎;全身自己免疫障害が関与すると称されるもの、例えば全身性エリテマトーデス、免疫性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome)、ライター症候群、多発性筋炎−皮膚筋炎、全身性硬化症、結節性多発性動脈炎、多発性硬化症および水疱性類天疱瘡;ならびにB細胞(体液性)系またはT細胞系であることができる別の自己免疫疾患、例えばコーガン症候群(Cogan’s syndrome)、強直性脊椎炎、ヴェグナー肉芽腫、自己免疫性脱毛症、I型もしくは若年発症糖尿病および甲状腺炎のような自己免疫疾患または障害;(4)消化管/胃腸管癌、結腸癌、肝臓癌、肥満細胞腫瘍および扁平細胞癌を含む皮膚癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、リンパ腫および白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、外套細胞リンパ腫、NHLB細胞リンパ腫(例:前駆B−ALL、辺縁帯B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)、ホジキンリンパ腫、NKおよびT細胞リンパ腫など(これらに限定されるものではない));TEL−SykおよびITK−Syk融合促進腫瘍、多発性骨髄腫などの骨髄腫、骨髄増殖性腎臓癌、肺癌、筋肉腫、骨肉腫、膀胱癌、脳腫瘍、口腔および転移性黒色腫などの黒色腫、カポジ肉腫、増殖性糖尿病性網膜症ならびに固形腫瘍および膵臓癌などの血管新生関連障害などの癌または腫瘍;(5)I型糖尿病などの糖尿病および糖尿病からの合併症;(6)眼球の自己免疫疾患、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病関連のブドウ膜炎およびレンズ誘発ブドウ膜炎などのブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐体角膜炎、角膜上皮変性症、角膜白斑、眼球天疱瘡(premphigus)、モーレン角膜潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群(Vogt−Koyanagi−Harada syndrome)、乾性角結膜炎(ドライアイ)、フリクテン、虹彩毛様体炎、サルコイドーシス、内分泌性眼障害、交感性眼炎、アレルギー性結膜炎および眼球新血管新生などの眼球の疾患、障害または状態;(7)クローン病および/または潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎および肥満細胞症などの腸の炎症、アレルギーまたは状態;(8)運動ニューロン疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳虚血、または外傷性損傷、卒中、グルタミン酸神経毒性もしくは低酸素症によって生じる神経変性疾患などの神経変性疾患;卒中、心筋梗塞、腎臓虚血、心臓発作、心肥大、アテローム性動脈硬化症および動脈硬化症、臓器低酸素症での虚血性/再潅流損傷;(9)動脈硬化症、血栓症、内膜過形成および血管損傷後の再狭窄などの血小板活性化に関連するかそれによって引き起こされる血小板凝集および疾患;(10)再狭窄、急性冠症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、難治性狭心症、血栓溶解療法後または冠動脈再建術後に生じる冠動脈内血栓性閉塞、血栓介在脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性卒中、一過性脳虚血発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、凝固障害、播種性血管内血液凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発血小板減少症関連の血栓性疾患、体外循環関連の血栓性合併症、心臓その他の血管内カテーテル処置、大動脈内バルーンポンプ、冠動脈ステントもしくは心臓弁などの器具使用に関連する血栓性合併症、補綴具などの装着を必要とする状態などの心血管疾患関連の状態;(11)アトピー性皮膚炎、浮腫、乾癬、強皮症、掻痒症および他の掻痒状態などの皮膚の疾患、状態もしくは障害;(12)アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性蕁麻疹、血管性浮腫、アレルギー性喘息、または虫刺され、食品、薬物もしくは花粉に対するアレルギー反応などのアレルギー反応;(13)膵島移植拒絶反応、骨髄移植拒絶反応、移植片対宿主病、骨髄、軟骨、角膜、心臓、椎間板、島、腎臓、四肢、肝臓、肺、筋肉、筋芽細胞、神経、膵臓、皮膚、小腸もしくは気管および異物移植などの臓器および細胞移植拒絶反応のような移植拒絶反応;(14)強皮症、線維症亢進、ケロイド、手術後瘢痕、肺線維症、血管痙攣、片頭痛、再潅流損傷および心筋梗塞後などの軽度瘢痕(post−myocardial infarction)があるが、これらに限定されるものではない。
従って本発明は、治療において、特には不適切なBTK活性が介在する疾患および病状の治療において使用する式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体を提供する。
本明細書で言及される不適切なBTK活性は、特定の哺乳動物対象者で予想される正常なBTK活性から逸脱したBTK活性である。不適切なBTK活性は、例えば、活性の異常亢進、またはBTK活性のタイミングおよび/または制御における異常の形態を取り得る。そして、そのような不適切な活性は、例えば、タンパク質キナーゼの過剰発現もしくは突然変異による不適切もしくは制御されない活性化から生じ得るものである。
さらに別の実施形態において本発明は、制御されないか不適切なBTK活性に関連する障害の予防および/または治療のためにBTKを制御、調節もしくは阻害する方法に関するものである。
さらに別の実施形態において、前記のBTK活性が介在する疾患は喘息である。さらに別の実施形態において、前記の疾患は関節リウマチである。さらに別の実施形態において、前記の疾患は癌である。さらに別の実施形態において、前記の疾患は眼球の結膜炎である。
さらに別の実施形態において、本発明は、BTK活性が介在する疾患の治療に使用される医薬を製造するための式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体の使用を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、BTK介在疾患の治療に使用される医薬を製造するための式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体の使用を提供する。
さらに別の実施形態において本発明は、T細胞が主な役割を果たす慢性B細胞障害の治療に使用される医薬を製造するための式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体の使用を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、BTK介在疾患の治療に使用される医薬を製造するための式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体の使用を提供する。前記のBTK介在疾患には、慢性活性B細胞受容体シグナル伝達によるB細胞リンパ腫の治療が挙げられるが、それに限定されない。
従って、本発明の化合物は、例えばブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)が介在する疾患の治療または予防に使用することができる。本明細書で使用されるBTK介在疾患とは、B細胞、肥満細胞、骨髄細胞または破骨細胞が主要な役割を果たす疾患やその他の有害状態を指す。これらの疾患には、免疫疾患、自己免疫疾患および炎症疾患、アレルギー症、感染症、骨吸収障害および増殖性疾患が挙げられるが、それに限定されない。
本発明の化合物によって治療または予防できる免疫疾患、自己免疫疾患および炎症疾患には、リウマチ疾患(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、感染性関節炎、進行性慢性関節炎、変形性関節炎、骨関節炎、外傷性関節炎、痛風性関節炎、ライター症候群、多発性軟骨炎、急性滑膜炎および脊椎炎)、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴うものまたは伴わないもの)、グッドパスチャー症候群、(ならびに関連する糸球体腎炎および肺出血)、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少症、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)および好中球減少症)、自己免疫性胃炎および自己免疫性炎症性腸疾患(例:潰瘍性大腸炎およびクローン病)、過敏性大腸症候群、移植片対宿主病、同種移植片拒絶、慢性甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン病、強皮症、糖尿病(I型およびII型)、活動性肝炎(急性および慢性)、膵炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、乾癬、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、接触性皮膚炎、皮膚炎、日焼け、脈管炎(例:ベーチェット病)、ANCA関連および他の血管炎、慢性腎不全、スティーブンス・ジョンソン症候群、炎症性疼痛、特発性スプルー、悪液質、サルコイドーシス、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎、結膜炎、角結膜炎、中耳炎、歯周病、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血症ショック、重症筋無力症、肺間質線維症、喘息、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎、塵肺症、肺不全症候群、肺気腫、肺線維症、珪肺症、慢性炎症性肺疾患(例:慢性閉塞性肺疾患)および他の気道での炎症性もしくは閉塞性疾患などがある。
治療または予防できるアレルギー症には、例えば、食物、食品添加物、昆虫毒、イエダニ、花粉、動物材料および接触アレルゲンに対するアレルギー、I型過敏症アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などがある。
治療または予防することができる感染症には特には、敗血症、敗血症ショック、内毒素性ショック、グラム陰性細菌による敗血症、細菌性赤痢、髄膜炎、脳マラリア、肺炎、肺結核、ウイルス性心筋炎、ウイルス性肝炎(A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎)、HIV感染、サイトメガロウイルスによって生じる網膜炎、インフルエンザ、ヘルペス、重度火傷関連の感染の治療、感染によって生じる筋痛、感染に続発する悪液質およびレンチウイルス、山羊関節炎ウイルス、ヴィスナ・マエディウイルス、猫免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルスまたはイヌ免疫不全ウイルスなどの動物ウイルス感染などがある。
治療または予防できる骨吸収障害には、骨粗鬆症、骨関節炎、外傷性関節炎、痛風性関節炎および多発性骨髄腫関連の骨障害などがある。
治療または予防できる増殖性疾患には、非ホジキンリンパ腫(特に、サブタイプであるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)および外套細胞リンパ腫(MCL))、B細胞慢性リンパ性白血病および成熟B細胞を有する急性リンパ芽球性白血病(ALL)などがあり、特にALLである。
特に、式Iの化合物または医薬として許容される塩は、慢性活性B細胞受容体シグナル伝達から生じるB細胞リンパ腫の治療に用いることができる。
本発明には、少なくとも1種類の式Iの化合物またはそれの医薬として許容される塩を、少なくとも1種類の他の活性薬剤と組み合わせて投与する、治療方法および/または医薬組成物が含まれる。前記他の活性薬剤は、抗炎症薬、免疫抑制薬または化学療法薬である。抗炎症薬には、NSAID類、非特異的およびCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害薬、金化合物、コルチコステロイド類、メトトレキセート、腫瘍壊死因子受容体(TNF)受容体拮抗薬、免疫抑制薬およびメトトレキセートなどがあるが、これらに限定されるものではない。
NSAID類の例には、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセンおよびナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの組み合わせ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェン、ナトリウムナブメトン、スルファサラジン、トルメチンナトリウムおよびヒドロキシクロロキンなどがあるが、これらに限定されるものではない。NSAID類の例にはさらに、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブおよび/またはエトリコキシブなどのCOX−2特異的阻害薬などもある。
一部の実施形態において、抗炎症薬はサリチル酸化合物である。サリチル酸化合物には、アセチルサリチル酸すなわちアスピリン、サリチル酸ナトリウムおよびコリンおよびサリチル酸マグネシウムなどがあるが、これらに限定されるものではない。
抗炎症薬は、コルチコステロイドであることもできる。例えば、コルチコステロイドは、コルチゾン、デクサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾロンリン酸ナトリウムまたはプレドニゾンであることができる。
別の実施形態では、抗炎症薬は、金チオリンゴ酸ナトリウムまたはオーラノフィンなどの金化合物である。
本発明はさらに、抗炎症薬が、メトトレキセートなどのジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤またはレフルノミドなどのジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤等の代謝阻害薬である実施形態を含む。
本発明の他の実施形態は、少なくとも1種類の抗炎症薬が抗C5モノクローナル抗体(エクリズマブ(eculizumab)またはパキセリズマブ(pexelizumab))、エタネルセプトまたはインフリキシマブ(これは、抗TNFαモノクローナル抗体である。)などのTNF拮抗薬である組み合わせに関するものである。
本発明のさらに他の実施形態は、少なくとも1種類の活性薬剤が、メトトレキセート、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリンおよびミコフェノール酸モフェチルから選択される免疫抑制剤化合物などの免疫抑制剤である組み合わせに関する。
本発明のBTK阻害薬が化学増感剤として有用であることから、他の化学療法薬、特にはアポトーシスを誘発する薬剤との組み合わせで有用であることも発見されている。化学増感性BTK阻害薬と併用可能な他の化学療法薬の例には、トポイソメラーゼI阻害薬(カンプトテシンまたはトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害薬(例:ダウノマイシンおよびエトポシド)、アルキル化剤(例:シクロホスファミド、メルファランおよびBCNU)、チューブリン指向性薬剤(例:タキソールおよびビンブラスチン)および生物剤(例:抗CD20抗体、IDEC8、免疫毒素およびサイトカイン類などの抗体)などがある。
別の実施形態において、本発明は、哺乳動物に、有効量の式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的機能性誘導体を与えることを含む、BTK活性介在疾患を罹患する哺乳動物の治療方法を提供する。
本発明の化合物の有効量は、通常、1日あたり0.01mg〜50mg化合物/kg患者の体重、好ましいは0.1mg〜25mgの化合物/kg患者の体重で、1回または複数回投与する。通常、本発明の化合物は、この治療を必要とする患者に、患者1人当たり約1mg〜約3500mgの範囲の1日投与量で、好ましいは10mg〜1000mgの範囲の1日投与量で投与することができる。例えば、患者あたりの1日投与量は10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900または1000mgであってもよい。毎日、毎週(または数日間隔)、または間欠スケジュールで、1回または複数回投与することができる。例えば、毎週(例えば毎週の月曜日)のペースのうえ、1日に1回または複数回、不定期または数週間で、例えば、4〜10循環で、前記の化合物を投与することができる。或いは、毎週で、例えば、毎週、週次ベースで与えられてもよい。数日間(例えば、2〜10日間)毎日投与した後に、数日間(例えば、1〜30日間)化合物を投与せず、そして、このサイクルを任意に繰り返すか、または所定の回数、例えば4〜10回で繰り返す。例えば、本発明の化合物は、5日間毎日連続的に投与し、次いで9日間中断し、さらに5日間毎日連続的に投与し、次いで9日間中断するようなサイクルを任意に繰り返すか、または計4〜10回で繰り返すことができる。
併用療法
本発明の化合物、およびその塩および溶媒和物、およびその生理学的に機能的な誘導体は、不適当なBtk活性に関連するBtk介在疾患および状態の治療のために、単独で、あるいは他の治療剤と組み合わせて使用することができる。従って、本発明による併用療法は、少なくとも1種類の式(I)の化合物またはその医薬として許容される塩もしくは溶媒和物、またはその生理学に機能性の誘導体の投与、および少なくとも1種類の他の医薬活性剤の使用を含む。式(I)の化合物、および他の医薬活性剤は、一緒にまたは別々に投与することができ、別々に投与する場合、投与は同時に、または任意の順番で順次に行うことができる。式(I)の化合物および他の医薬活性剤の量、および投与の相対的なタイミングは、所望の併用療法効果を達成するように選択される。
炎症疾患、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、COPD、喘息およびアレルギー性鼻炎の治療においては、式(I)の化合物は:(1)インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))、およびゴリムマブ(Simponi(登録商標))のようなTMF−α阻害剤;(2)(ピロキシカム、ジクロフェナック、ナプロキセンのようなプロピオン酸、フルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、メフェナム酸のようなフェナメート、インドメタシン、スリンダック、エトドラック、アザプロパゾン、フェニルブタゾンのようなピラゾロン、アスピリンのようなサリシレート)非選択的COX−I/COX−2阻害剤;(3)(メロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブおよびエトリコキシブのような)COX−2阻害剤;(4)メトトレキセート、レフロノミド、スルファサラジン、アザチオプリン、サイクロスポリン、タクロリムス、ペニシラミン、ブシラミド、アクタリット、ミゾリビン、ロベンザリット、シクレソニド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、アウロチオマレート、アウラノフィンまたは非経口または経口金、シクロホスファミド、ルンフォスタット−B、BAFF/APRIL阻害剤およびCTLA−4−Igまたはそのミメティックを含めた、慢性関節リウマチ治療用の他の剤;(5)ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤、またはジロイトンのような5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質(FLAP);(6)ザフィルルカスト、モンテルカストおよびプランルカストのようなLTD4受容体拮抗薬;(7)ロフルミラスト、シロミラスト、AWD−12−281(Elbion)、およびPD−168787(Pfizer)のようなPDE4阻害剤;(8)セチリジン、レボセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェクソフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパチジン、メタピリレンおよびクロルフェニラミンのような抗ヒスタミンH1受容体拮抗薬;(9)プロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩、キシロメタゾリン塩酸塩、およびエチルノルエピネフリン塩酸塩のようなα1−およびα2−アドレノセプタ作動薬血管収縮交感神経様作用剤;(10)臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化アクリンジニウム、グリコピロレート、(R,R)−グリコピロレート、ピレンゼピン、およびテレンゼピンのような抗コリン作動性剤;(11)メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、フォルムテロール(特に、フマル酸塩)、サルメテロール(特に、キシナフォエート塩)、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、フェノテロール、およびピルブテロール、またはテオフィリンおよびアミノフィリンを含めたメチルキサンタニン、クロモグリク酸ナトリウムのようなβ−アドレノセプター作動薬;(12)インスリン様成長因子I型(IGF−1)ミメティック;(13)プレドニゾン、プレドニゾロン、フルニゾリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドおよびモメタゾンフロエートのようなグルココルチコイド、特に、低下した全身副作用を持つ吸収グルココルチコステロイド;(14)Janusキナーゼ(JAK1および/またはJAK2および/またはJAK3および/またはTYK2)、P38MAPKおよびIKK2の阻害剤のようなキナーゼ阻害剤;(15)リツキシマブ(Rituxan(登録商標))のようなB細胞標的化バイオロジック;(16)アバタセプト(Orencia)のような選択的副刺激モジュレーター;(17)IL−1阻害剤アナキンラ(Kineret)およびIL−6阻害剤トシリズマブ(Actemra)のようなインターロイキン阻害剤などの1種以上の他の活性剤を組み合わせることができる。
本発明は、β−2−アドレナリン受容体作動薬および抗炎症コルチコステロイドと一緒に、式(I)の化合物またはその医薬として許容される塩を含む、「三重併用」療法も提供する。好ましくは、この併用は、喘息、COPDまたはアレルギー性鼻炎の治療および/または予防のためのものである。
癌の治療については、式Iの化合物を抗癌剤の1以上と組み合わせることができる。そのような薬剤の例は、V.T.DevitaおよびS.Hellman(編集者)によるCancer Principles and Practice of Oncology,第6版(2001年2月15日),Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出すことができる。当業者であれば、薬剤のいずれの組合せが薬物の特定の特性および関与する癌に基づいて有用であるかを認識することができよう。そのような抗癌剤には、(1)ジエチルスチルベストロール(diethyltibestral)、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルオキシメステロ、およびSH646のようなエストロゲン受容体調節剤;(2)アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、テトラゾールアナストロゾール、レトロゾールおよびエキセメスタン)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログ、ケトコナゾール、ゴセレリン酢酸、ロイプロリド、メゲストロール酢酸、およびミフェプリストンを含めた他のホルモン剤;(3)フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよびアビラテロン酢酸のようなアンドロゲン受容体調節剤;(4)ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドのようなレチノイド受容体調節剤;(5)アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチドのような抗増殖剤、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001、および、抗代謝産物、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフロリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスフェート、フォステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン、トロキサシタビン、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、フロキスリジン、メトトレキセート、ロイコバリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、フルダラビンリン酸、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、アラノシン、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン;(6)ファルネシル−プロテイントランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−プロテイントランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、およびゲラニルゲラニル−プロテイントランスフェラーゼII型(Rab GGPTアーゼとも称されるGGPTアーゼ−II)を含むプレニル−プロテイントランスフェラーゼ阻害剤;(7)ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンおよびロスバスタチンのようなHMG−CoAレダクターゼ阻害剤;(8)チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)およびFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、表皮由来、線維芽細胞由来、または血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、エリスロポエチン(エポイエチン−α)、顆粒球−CSF(フィルグラスチン)、顆粒球、マクロファージ−CSF(サルグラムスチム)、ペント酸ポリスルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ステロイド性抗炎症剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンジオスタチン、トロポニン−1、アンジオテンシンII拮抗薬、ヘパリン、カルボキシペプチダーゼU阻害剤、およびVEGFに対する抗体、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸、および3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)のような血管形成阻害剤;(9)PPAR−γ作動薬、PPAR−δ作動薬、(DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾンのような)チアゾリジンジオン、フェノフィブレート、ゲンフィブロジル、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(米国特許出願第09/782,856号明細書に開示)、および(2R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(米国特許出願第60/235,708号明細書および同第60/244,697号明細書に開示);(9)LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853およびPSC833(バルスポダール(valspodar))のようなp−糖蛋白質(P−gp)の阻害剤を含む固有の多薬物抵抗性の阻害剤;(10)EGFRの阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イコチニブおよびオシメルチニブ(AZD9291))、ERB−2の阻害剤(例えば、トラスツズマブ)、MK−0646(ダロツヅマブ)のようなIGF1Rの阻害剤、CD20の阻害剤(リツキシマブ)、サイトカイン受容体の阻害剤、METの阻害剤、PI3Kファミリーキナーゼの阻害剤(例えば、LY294002)、(限定されるものではないが、(国際公開第03/086404号、同第03/086403号、同第03/086394号、同第03/086279号、同第02/083675号、同第02/083139号、同第02/083140号および同第02/083138号)に記載されたようなAktの阻害剤を含めた)セリン/スレオニンキナーゼ、Rafキナーゼの阻害剤(例えば、BAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040およびPD−098059)およびmTORの阻害剤(例えば、WyethCCI−779およびAriadAP23573)のような細胞増殖および生存シグナリングの阻害剤;(11)エチドロネート、パミドロネート、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート、イバンドロネート、インカドロネートまたはシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネートおよびチルドロネートのようなビホスホネート;(12)γ−セクレターゼ阻害剤、(13)c−Kit、Eph、PDGF、Flt3およびc−Metの阻害剤を含む受容体チロシンキナーゼ(RTK)に干渉する薬剤;(14)ATR、ATM、Chk1およびChk2キナーゼの阻害剤、ならびにcdkおよびcdcキナーゼ阻害剤を含む細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、特に7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(Cyclacel)およびBMS−387032によって例示される剤;(15)PCI32765、AVL−292およびAVL−101のようなBTK阻害剤;(16)イニパリブ、オラパリブ、AGO14699、ABT888およびMK4827を含むPARP阻害剤;(16)ERK阻害剤;(17)シロリムス、リダフォロリムス、テムシロリムス、エベロリムスのようなmTOR阻害剤;(18)細胞毒性/細胞増殖抑制剤などがあるが、これらに限定されるものではない。
「細胞毒性/細胞増殖阻害剤」とは、細胞の機能に直接的に干渉することによって、細胞の死滅を引き起こし、または細胞の増殖を阻害し、あるいは細胞の有糸分裂を阻害し、またはそれに干渉する化合物をいい、例えば、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、挿入剤、低酸素活性化性化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシン阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、有糸分裂進行に関与するキナーゼ阻害剤、抗代謝産物;生物学的応答修飾剤;ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤を含む。
細胞毒性剤の例には、セルテネフ、カシェクチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、ダカルバジン、プロカルバジン、プレドニムスチン、ジブロモドゥルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロマイド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、イムプロスルファントシレート、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]四塩化物、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、ビスアントレン、マイトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
プロテアソーム阻害剤の例として、ラクタシスチンおよびボルテゾミブなどがあるが、これらに限定されるものではない。
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、ビノレルビン、ビンデシン硫酸、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド(VP−16)およびテニポシド(VM−26))、パクリタキセル、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオン酸、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号明細書および第6,288,237号明細書参照)およびBMS188797を含む。
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例には、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−チャルトリューシン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドリン酸、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2−(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、およびジメスナがある。
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の例には、ボリノスタット、トリコスタチンA、オキサムフラチン、PXD101、MG98、バルプロ酸およびスクリプタイドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
「有糸分裂進行に関与するキナーゼの阻害剤」には、オーロラキナーゼの阻害剤、Polo様キナーゼの阻害剤(PLK;特に、PLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤およびbub−R1の阻害剤などがあるが、これらに限定されるものではない。「オーロラキナーゼ阻害剤」の例はVX−680である。
「抗増殖剤」は、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、およびINX3001のようなアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、ならびにエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビン、オクフォスフェート、フォステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2,4−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン、トロキサシタビン、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、フロキスリジン、メトトレキセート、ロイコバリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、フルダラビンリン酸、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、アラノシン、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンのような抗代謝産物を含む。
式(I)の化合物と組み合わせることができる癌療法で用いられる好適な薬剤の非限定的例には、アバレリクス;アルデスロイキン;アレムツズマブ;アリトレチノイン;アロプリノール;アルトレタミン;アミフォスチン;アナストロゾール;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ;アザシチジン;ベンザムスチン;ベカクジマブ;ベキサロテン;ブレオマイシン;ボルテゾミブ;ブスルファン;カルステロン;カペシタビン;カルボプラチン;カルムスチン;セツキシマブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン、アクチノマイシンD;ダルテパリン;ダルベポエチンアルファ;ダサチニブ;ダウノルビシン;デガレリクス;デニロイキンジフチトクス;デクスラゾキサン;ドセタキセル;ドキソルビシン;プロピオン酸ドロモスタノロン;エクリズマブ;エリオットB溶液;エルトロンパグ;エピルビシン;エポエチンアルファ;エルロチニブ;エストラムスチン;エトポシドリン酸;エトポシド;エベロリムス;エキセメスタン;フィルグラスチム;フロキスリジン;フルダラビン;フルオロウラシル;フルベストラント;イレッサ;タルセバ;オシメルチニブ;ゲムシタビン;ゲムツズマブオゾガミシン;ゴセレリン酢酸;ヒソトレリン酢酸;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブチウキセタン;イダルビシン;イフォスファミド;イマチニブメシレート;インターフェロンアルファ2a;インターフェロンアルファ−2b;イリノテカン;イキサベピロン;ラパチニブ;レナリドマイド;レトロゾール;ロイコボリン;ロイプロリド酢酸;レバミゾール;ロムスチン;メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード;メゲストロール酢酸;メルファラン、L−PAM;メルカプトプリン;メスナ;メトトレキセート;メトキサレン;マイトマイシンC;マイトタン;マイトキサントロン;ナンドロロンフェンプロピオン酸;ネララビン;ニロチニブ;ノフェツモマブ;オファツムマブ;オプレルベキン;オキサリプラチン;パクリタキセル;パリフェルミン;パミドロナト;パニツムマブ;パゾパニブ;ペガデマーゼ;ペガスパルガーゼ;ペグフィルグラスチム(Pegfilgrastim);ペメトレキセド二ナトリウム;ペントスタチン;ピポブロマン;プレリキサフォール;プリカマイシン、ミタラマイシン);ポルフィメールナトリウム;プララトレキセート;プロカルバジン;キナクリン;ラスブリカーゼ;ラロキシフェン塩酸;リツキシマブ;ロミデプシン;ロミプロスチン;サルグラモスチン;サルグラモスチン;サトラプラチン;ソラフェニブ;ストレプトゾシン;スニチニブマレイン酸;タモキシフェン;テモゾロマイド;テムシロリムス;テニポシド;テストラクトン;チオグアニン;チオテパ;トポテカン;トレミフェン;トシツモマブ;トラスツズマブ;トレチノイン;ウラシルマスタード;バルルビシン;ビンブラスチン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ボリノスタット;およびゾレドロネートなどがあるが、これらに限定されるものではない。
適当な場合には、前記の1種以上の他の治療成分を塩(例えば、アルカリ金属塩またはアミン塩または酸付加塩)として、またはプロドラッグとして、あるいはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、あるいは溶媒和物(例えば、水和物)として用いて、治療成分の活性および/または安定性および/または物理特性(例えば、溶解度)を最適化することができるのは当業者に明らかであろう。また、適当な場合には、前記の治療成分は光学純度の形態で用いることができるのも明らかであろう。
前記の組合せは、医薬組成物の形態で適宜に用いられ、かくして、薬学的に許容される希釈剤または担体とともに前記の組合せを含む医薬組成物は、本発明のさらなる態様を表す。これらの組合せは、呼吸器疾患に特に有用であり、吸入または鼻腔内送達に適している。
このような組合せの各化合物は、別々としてまたは組み合わされた医薬組成物として順次にまたは同時に投与することができる。好ましくは、各化合物は組み合わされた医薬組成物として同時に投与される。公知の治療剤の好適な用量は、当業者であれば容易に了解するものである。
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することではなく、本発明を例示することを目的として本発明の方法を実施するならびに本発明の化合物の製造、評価する完全な開示および説明を当業者に提供するためのものである。
合成方法
本発明の化合物は、本分野における通常の方法で、適宜な試薬、原料を用いて、当業者に既知された精製方法により調製された。
以下、本発明の化合物の調製方法をより具体的に説明するが、これらの具体的な方法は、本発明を何ら限定するものではない。本発明の化合物は、本明細書に記載する合成方法、または当業者に知られている各種の合成方法を任意に組み合わせて容易に製造することもできる。このような組み合わせは、当業者が容易に行うことができる。
通常、調製において、各反応は一般的に不活性溶媒中に室温〜還流温度(例えば0℃〜100℃、好ましくは0℃〜80℃)で行う。通常、反応時間は0.1〜60時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。
実施例1 1−(3−(4−アミノ−5−(4−フェノキシフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物14)の調製
Figure 2019528270
具体的な合成工程は以下の通りである。
Figure 2019528270
工程1. (E)−3−(シアノメチレン)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物3)の合成
窒素ガス保護下、水素化ナトリウム(NaH,0.19g,7.8mmol)を10mLのテトラヒドロフランに加え、氷浴で0℃に冷却し、シアノメチルホスホン酸ジエチル(化合物2,1.38g,7.8mmol)を滴下した後、10分間攪拌し、その後、N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ピペリドン(化合物1,1.7g,8.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液10mLを滴下した後、氷浴を取り外し、室温で一晩反応させた。反応液に30mLの水と30mLの酢酸エチルを加え、5分間撹拌し、相を分離させ、有機相を飽和食塩水10mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率74%で淡黄色油状物1.4gを得た。LC−MS(APCI):m/z=223(M+1)
工程2. 3−(シアノメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物4)の合成
(E)−3−(シアノメチレン)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.4g,6.3mmol)を20mLの無水エタノールに溶解させ、10%のパラジウム/炭素150mgを加え、水素ガスで3回置換し、1気圧の水素ガス雰囲気下、50℃で一晩攪拌させた。反応終了後、パラジウム/炭素を濾別し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラムで分離して、収率85%で淡黄色油状物1.2gを得た。LC−MS(APCI):m/z=225(M+1)
工程3. 3−(1−シアノ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物5)の合成
3−(シアノメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.2g,5.4mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させ、−78℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(LDA,0.3mg,2.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2M,2.7mL)をゆっくり滴下した後、10分間攪拌し、予冷したギ酸エチル(0.42g,5.6mmol)のテトラヒドロフラン溶液10mLを滴下した後、−78℃で0.5時間反応を続け、氷浴を取り外し、室温まで自然に昇温して一晩反応させた。反応液を1Nの塩酸でpH=3に調整した後、酢酸エチルで抽出し、有機相を15mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率66.6%で淡黄色油状物0.9gを得た。LC−MS(APCI):m/z=253(M+1)
工程4. 2−((4−フェノキシフェニル)アミノ)アセトニトリル(化合物8)の合成
4−フェノキシアニリン(化合物6,1.85g,10mmol)、ブロモアセトニトリル(化合物7,1.56g,13mmol)、およびトリエチルアミン(TEA,3mL,22mmol)を50mLのテトラヒドロフランに溶解させ、80℃で一晩反応させた。反応が完了した後、混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固させ、20mLの飽和塩化アンモニウム溶液および30mLの酢酸エチルを添加し、攪拌して相を分離させ、有機相を飽和食塩水10mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率85%で淡黄色固体1.9gを得た。LC−MS(APCI):m/z=225(M+1)H NMR(500MHz,DMSO−d)δ10.36(s,1H),8.36(ddd,J=4.9,2.0,0.9Hz,1H),8.17(dt,J=8.4,1.1Hz,1H),7.95(d,J=8.8Hz,2H),7.80(ddd,J=8.7,7.4,2.0Hz,1H),7.12(ddd,J=7.3,4.8,1.1Hz,1H),6.87(t,J=6.6Hz,1H),6.78(d,J=8.8Hz,2H),4.37(d,J=6.6Hz,2H)。
工程5. (Z)−3−(1−シアノ−2−((シアノメチル)(4−フェノキシフェニル)アミノ)ビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物9)の合成
2−((4−フェノキシフェニル)アミノ)アセトニトリル(化合物8,0.67g,3mmol)、3−(1−シアノ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物5,0.9g,3.6mmol)、およびp−トルエンスルホン酸(57mg,0.3mmol)を20mLのトルエンに溶解させ、水分離器を設置し、一晩還流して反応させた。反応が完了した後、混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固させ、10mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加し、5分間攪拌し、酢酸エチルで抽出し、有機相を15mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率70%で淡黄色固体0.96gを得た。LC−MS(APCI):m/z=459(M+1)
工程6. 3−(4−アミノ−5−シアノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピロール−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物10)の合成
(Z)−3−(1−シアノ−2−((シアノメチル)(4−フェノキシフェニル)アミノ)ビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物9,0.96g,2.1mmol)を10mLのtert−ブタノールに溶解させ、攪拌しながらカリウムtert−ブトキシド(t−BuOK,0.55g,4.9mmol)を少しずつ添加した後、80℃で2時間反応した。反応液を室温に冷却し、10%の塩酸20mLに注ぎ、5分間攪拌し、酢酸エチルで抽出し、有機相を15mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率63%で赤褐色固体0.63gを得た。LC−MS(APCI):m/z=459(M+1)
工程7. 3−(4−アミノ−5−(4−フェノキシフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物11)の合成
3−(4−アミノ−5−シアノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピロール−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.31g,0.7mmol)を10mLのメタノールに溶解させ、ホルムアミジン酢酸塩(0.55g,5.5mmol)を添加し、一晩還流して反応させた。反応液降至室温,減圧下で濃縮乾固させ、20mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、5分間攪拌し、酢酸エチルで抽出し、有機相を15mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率80%で淡黄色固体0.26gを得た。LC−MS(APCI):m/z=486(M+1)
工程8. 5−(4−フェノキシフェニル)−7−(ピペリジン−3−イル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン(化合物12)の合成
3−(4−アミノ−5−(4−フェノキシフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.26g,0.57mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、4mLのトリフルオロ酢酸を添加し、室温で1時間攪拌した。減圧下で濃縮乾固させ、20mLのジクロロメタンおよび15mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、5分間攪拌し、相を分離させ、有機相を5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率90%で白色固体186mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=386(M+1)
工程9. 1−(3−(4−アミノ−5−(4−フェノキシフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物14)の合成
5−(4−フェノキシフェニル)−7−(ピペリジン−3−イル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン(180mg,0.47mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、−15℃に冷却し、アクリロイルクロリド(化合物13,42mg,0.47mmol)をゆっくり滴下した後、10分間攪拌し、氷浴を取り外し、1時間反応を続けた。反応液に10mLの水および10mLのジクロロメタンを加え、攪拌して相を分離させ、有機相を5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率70%で白色固体140mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=440(M+1)H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.22(d,J=6.9Hz,1H),7.52(s,1H),7.48-7.39(m,4H),7.21(d,J=7.4Hz,1H),7.18-7.10(m,4H),6.92-6.76(m,1H),6.10(dd,J=16.7,2.4Hz,1H),5.88(s,2H),5.66(d,J=10.5Hz,1H),4.43−4.31(m,1H),3.11(t,J=12.3Hz,0.5H),2.95(t,J=11.2Hz,1H),2.76(t,J=12.3Hz,0.5H),2.17−2.07(m,1H),2.04-1.94(m,2H),1.78(d,J=13.5Hz,1H),1.56-1.41(m,2H)。
実施例2 1−(3−(7−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物23)の調製
Figure 2019528270
具体的な合成工程は以下の通りである。
Figure 2019528270
工程1. (Z)−3−(1−シアノ−2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物16)の合成
N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ピペリドン(1.99g,10mmol)、シアノ酢酸エチル(0.99g,1mmol)、および酢酸アンモニウム(100mg,1.3mmol)を10mLのトルエンに加え、0.2mLの酢酸を滴下し、水分離器を設置し、一晩還流して反応させた。反応が完了した後、混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固させ、20mLの水および20mLの酢酸エチルを添加し、攪拌して相を分離させ、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率80%で淡黄色油状物2.2gを得た。LC−MS(APCI):m/z=281(M+1)
工程2. 3−(1−シアノ−2−メトキシ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物17)の合成
(Z)−3−(1−シアノ−2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.2g,7.8mmol)を20mLの無水エタノールに溶解させ、10%のパラジウム/炭素200mgを加え、水素ガスで3回置換し、1気圧の水素ガス雰囲気下、50℃で一晩攪拌させた。反応終了後、パラジウム/炭素を濾別し、濾液を濃縮してシリカゲルカラムで分離し、収率61%で淡黄色油状物1.34gを得た。LC−MS(APCI):m/z=283(M+1)
工程3. (E)−3−(1−シアノ−2−メトキシ−2−オキソ−1−((4−フェノキシフェニル)アゾ)エチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物18)の合成
4−メトキシアニリン(1.57g,8.5mmol)を1Nの塩酸20mLに溶解させ、室温下で1Mの亜硝酸ナトリウム(0.58g,8.5mmol)水溶液を滴下した後、室温で反応液を1時間攪拌した。冰浴下で、3−(1−シアノ−2−メトキシ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.2g,4.2mmol)のエタノール(6mL)−水(80mL)溶液に、前記の反応液をゆっくり加え、酢酸ナトリウムでpH=7に調整し、該反応混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に昇温し、一晩攪拌させた。反応液に30mLの飽和塩化アンモニウム溶液および50mLの酢酸エチルを加え、攪拌して相を分離させ、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率50%で淡黄色油状物1.02gを得た。LC−MS(APCI):m/z=479(M+1)
工程4. (Z)−3−(シアノ(2−(4−フェノキシフェニル)ヒドラゾノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物19)の合成
(E)−3−(1−シアノ−2−メトキシ−2−オキソ−1−((4−フェノキシフェニル)アゾ)エチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.0g,2.1mmol)を20mLのテトラヒドロフランに溶解させ、氷浴で0℃に冷却し、10Nの水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を添加し、室温で1時間攪拌した。30mLの飽和塩化アンモニウム溶液および50mLの酢酸エチルを加え、攪拌して相を分離させ、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率75%で淡黄色油状物0.66gを得た。LC−MS(APCI):m/z=421(M+1)
工程5. 3−(4−アミノ−5−シアノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物20)の合成
(Z)−3−(シアノ(2−(4−フェノキシフェニル)ヒドラゾノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.66g,1.6mmol)、およびブロモアセトニトリル(0.13mL,3.4mmol)を10mLのtert−ブタノールに溶解させ、室温下でカリウムtert−ブトキシド(0.54g,4.8mmol)を少しずつ添加し、室温で2時間攪拌した。20mLの水および40mLの酢酸エチルを加え、攪拌して相を分離させ、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率70%で淡黄色油状物0.5gを得た。LC−MS(APCI):m/z=460(M+1)
工程6. 3−(7−アミノ−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物21)の合成
3−(4−アミノ−5−シアノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.25g,0.55mmol)を10mLのメタノールに溶解させ、ホルムアミジン酢酸塩(0.45g,4.4mmol)を加え、一晩還流して反応させた。反応液を室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固させ、20mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、5分間攪拌し、酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率80%で淡黄色固体210mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=487(M+1)
工程7. 1−(4−フェノキシフェニル)−3−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−アミン(化合物22)の合成
3−(7−アミノ−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(200mg,0.41mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、4mLのトリフルオロ酢酸を添加し、室温で1時間攪拌した。減圧下で濃縮乾固させ、20mLのジクロロメタンおよび15mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、5分間攪拌し、相を分離させ、有機相を5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率90%で白色固体140mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=387(M+1)
工程8. 1−(3−(7−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物23)の合成
1−(4−フェノキシフェニル)−3−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−アミン(0.14g,0.36mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、−15℃に冷却し、アクリロイルクロリド(32mg,0.36mmol)をゆっくり滴下した後、10分間攪拌し、氷浴を取り外し、1時間反応を続けた。反応液に10mLの水および10mLのジクロロメタンを加え、攪拌して相を分離させ、有機相を5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率73%で白色固体116mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=441(M+1)H NMR(400MHz,CDCl)δ8.44(d,J=11.8Hz,1H),7.65-7.32(m,4H),7.24-6.97(m,5H),6.65(dd,J=16.7,10.3Hz,1H),6.39-6.18(m,1H),5.65(dd,J=25.0,10.8Hz,1H),5.30(s,2H),4.42-4.21(m,1H),3.40(d,J=10.8Hz,1H),3.24(dt,J=22.3,12.2Hz,1H),3.05-2.76(m,1H),2.33(d,J=13.7Hz,1H),2.22-1.98(m,2H),1.98-1.87(m,1H),1.70(d,J=13.2Hz,1H)。
実施例3 (S)−1−(3−(4−アミノ−5−(4−フェノキシフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物24)の調製
Figure 2019528270
化合物24は、実施例1に記載の方法に従って調製し、キラルカラムで単離した。
実施例4 (R)−1−(3−(4−アミノ−5−(4−フェノキシフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物25)の調製
Figure 2019528270
化合物25は、実施例1に記載の方法に従って調製し、キラルカラムで単離した。
実施例5 (R)−1−(3−(7−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物26)の調製
Figure 2019528270
化合物26は、実施例2に記載の方法に従って調製し、キラルカラムで単離した。
実施例6 (S)−1−(3−(7−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物27)
Figure 2019528270
化合物27は、実施例2に記載の方法に従って調製し、キラルカラムで単離した。
実施例7 (S)−1−(3−(8−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物38)
Figure 2019528270
Figure 2019528270
工程1. (3−クロロピラジン−2−イル)メチルアミン(化合物29)の合成
2−シアノ−3−クロロピラジン(0.8g,5.8mmol)、およびラネーニッケル(Raney−Ni,0.3g)を10mLの氷酢酸に加え、水素ガスで3回置換し、3気圧の水素ガス雰囲気下、50℃で一晩攪拌した。反応が完了した後、濾液を濃縮して残留物を酢酸エチルに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、シリカゲルカラムで分離し、収率60%で淡黄色油状物0.5gを得た。LC−MS(APCI):m/z=144(M+1)
工程2. ベンジル(R)−3−(((3−クロロピラジン−2−イル)メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物31)の合成
(3−クロロピラジン−2−イル)メチルアミン(0.3g,2.1mmol)、(R)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−ベンジルエステル(化合物30,0.55g,2.1mmol)、およびトリエチルアミン(0.42g,4.2mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、冰浴下で2−(7−アザベンゾトリアゾール)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU,0.84g,2.2mmol)を加え、0℃で1時間反応させ、室温まで自然に昇温して一晩反応させた。反応が完了した後、反応液を、それぞれ0.1Nの塩酸、5%のNaHCO溶液、および飽和食塩水を加えて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、シリカゲルカラムで分離し、収率62%で淡黄色油状物0.5gを得た。LC−MS(APCI):m/z=389(M+1)
工程3. ベンジル(R)−3−(8−クロロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物32)の合成
(R)−3−(((3−クロロピラジン−2−イル)メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.49g,1.3mmol)を10mLの無水アセトニトリルに溶解させ、オキシ塩化リン(0.8g,5.2mmol)を加え、60℃に昇温し、一晩反応させた。反応が完了した後、溶媒を蒸発させ、残留物をゆっくり氷水に加え、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、シリカゲルカラムで分離し、収率80%で淡黄色固体0.37gを得た。LC−MS(APCI):m/z=371(M+1)
工程4. ベンジル(R)−3−(1−ブロモ−8−クロロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物33)の合成
ベンジル(R)−3−(8−クロロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.37g,1.0mmol)を10mLのDMFに溶解させ、冰浴下でN−ブロモスクシンイミド(NBS,0.21g,1.2mmol)を少しずつ加え、室温まで自然に昇温して一晩反応させた。反応が完了した後、反応液に20mLの水を加え、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、シリカゲルカラムで分離し、収率70%で淡黄色固体0.31gを得た。LC−MS(APCI):m/z=449(M+1)
工程5. ベンジル(R)−3−(8−アミノ−1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物34)の合成
50mLの封管に、ベンジル(R)−3−(1−ブロモ−8−クロロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.31g,0.7mmol)、および10mLの濃アンモニア水を加え、油浴で120℃に昇温して一晩反応させた。反応が完了した後、室温まで冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させ、収率84%で白色粉末状固体0.25gを得た。LC−MS(APCI):m/z=430(M+1)
工程6. ベンジル(R)−3−(8−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物36)の合成
(R)−3−(8−アミノ−1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(250mg,0.58mmol)、(4−フェノキシフェニル)ボロン酸(化合物35,137mg,0.64mmol)、PdCl(dppf)(110mg,0.15mmol)、および炭酸カリウム(160mg,1.16mmol)を8mLのジオキサンおよび2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応が完了した後、室温まで冷却し、10mLの水を加え、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を飽和食塩水10mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、シリカゲルカラムで分離し、収率66%で淡黄色固体200mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=520(M+1)
工程7. (R)−1−(4−フェノキシフェニル)−3−(ピペリジン−3−イル)イミダゾ[1,5−a]ピラジン−8−アミン(化合物37)の合成
ベンジル(R)−3−(8−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(200mg,0.38mmol)、および10%のPd(OH)/C(40mg)を10mLの無水エタノールに加え、水素ガスで3回置換し、3気圧の水素ガス雰囲気下、50℃で一晩攪拌した。反応が完了した後、濾過し、濾液を濃縮してシリカゲルカラムで分離し、収率85%で淡黄色油状物125mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=386(M+1)
工程8. (R)−1−(3−(8−アミノ−1−(4−フェノキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(化合物38)の合成
(R)−1−(4−フェノキシフェニル)−3−(ピペリジン−3−イル)イミダゾ[1,5−a]ピラジン−8−アミン(125mg,0.32mmol)、およびトリエチルアミン(50mg,0.48mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させ、−15℃に冷却し、アクリロイルクロリド(29mg,0.32mmol)をゆっくり滴下した後、10分間攪拌し、氷浴を取り外し、1時間反応を続けた。反応液に10mLの水および10mLのジクロロメタンを加え、攪拌して相を分離させ、有機相を5mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより収率70%で白色固体100mgを得た。LC−MS(APCI):m/z=440(M+1)
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.41(d,J=2.0Hz,1H),8.26(d,J=2.1Hz,1H),7.66(d,J=7.9Hz,2H),7.50−7.38(m,2H),7.26−7.07(m,5H),6.79(m,1H),6.10(t,J=17.7Hz,1H),5.65(dd,J=36.5,10.9Hz,1H),4.65−4.40(m,1H),4.25−3.65(m,2H),3.08−2.91(m,2H),2.25(m,1H),2.11(d,J=14.3Hz,1H),1.93(d,J=13.6Hz,1H),1.60(m,1H).
生物活性試験
(1)キナーゼ阻害試験
試薬および消耗品:
BTK(Invitrogen,カタログ番号:PR5442A)、HTRF−TK kit(Cisbio,カタログ番号:62TK0PEC)、MgCl(SIGMA,カタログ番号:63020−1L)、ATP(Sigma,カタログ番号:A7699−1G)、DMSO(Sigma,カタログ番号:D2650)、BSA(Sigma,カタログ番号:V900933)、384ウェルプレート(化合物希釈プレート)(Greiner,カタログ番号:781280)、384ウェルプレート(試験プレート)(Perkin Elmer,カタログ番号:6007299);XL−665(CIS Bio International,カタログ番号:610SAXL)。
実験方法:
1)化合物の希釈:試験化合物をDMSOに溶解して10mMの母液を調製した。使用前に化合物をDMSOで1mMに希釈し、384ウェルプレートで合計11個の濃度になるように3倍に連続希釈し、最終濃度は10μM〜0.17nMである。
2)キナーゼアッセイ:384ウェルプレート中の10μL反応系(緩衝液である50mMのHepes(pH7.5)、5mMのMgCl、0.01mMのNaVO、1%のBSAを含む)で、1nMのBTK、1μMのbiotin−TKペプチド(HTRF−TK kit由来)、および20μMのATPを、23℃で90分間インキュベートした。20mMのEDTA、1.67nMのTK抗体、62.5nMのXL−665を含有する停止溶液10μLを添加し、23℃で60分間インキュベートし、Envisionで値を読み取った。
3)IC50値の計算:機器によって読み取られたデータから化合物の阻害率を計算し、次いでIDBSのXLFIT5におけるmode205を用いてIC50値を計算した。
実験結果:
実施例におけるキナーゼ阻害の結果を以下の表1にまとめた。実験の結果から、本発明の化合物はBTKキナーゼ活性に対する強力な阻害剤であることが明らかになった。
Figure 2019528270
(2)代謝安定性評価
ミクロソーム実験:
試薬および消耗品:
ヒト肝臓ミクロソーム(0.5mg/mL,Xenotech,カタログ番号:H0610);ラット肝臓ミクロソーム(0.5mg/mL,Xenotech,カタログ番号:R1000);補酵素(NADPH/NADH)(1mM,Sigma Life Science);D−グルコース−6−リン酸ナトリウム塩(G−6−P,Aladdin,カタログ番号:G111871−5g);グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G−6−P D,Sigma Life Science,カタログ番号:G6378−250UM);塩化マグネシウム(5mM),塩酸プロプラノロール(Sigma,カタログ番号:P0884−1G);トルブタミド(Sigma Life Science,カタログ番号:T0891);100mMリン酸塩緩衝剤(pH7.4);96ウェルプレートミキサー(IKA,型号:MTS 2/4 digital);96ウェルディープウェルプレート(Doublehelix Biology Science and Technology Co.,Ltd,2.2mL);96ウェルインキュベータープレート(Doublehelix Biology Science and Technology Co.,Ltd,2.2mL)。
実験方法:
1)ストック液の調製:一定量の実施例3〜7における化合物およびイブルチニブの粉末を正確に秤量し、それぞれDMSOで5mMの濃度に溶解した。
2)リン酸塩緩衝液(100mM,pH7.4)の調製:予め調製した0.5Mのリン酸二水素カリウム150mLと0.5Mのリン酸水素二カリウム溶液700mLとを混合し,さらに0.5Mのリン酸水素二カリウム溶液で混合液のpH値を7.4に調整した。使用前に超純水で5倍に希釈し、塩化マグネシウムを加えて、100mMのリン酸カリウム、3.3mMの塩化マグネシウムを含む、pHが7.4であるリン酸塩緩衝液(100mM)を得た。
3)NADPHの調製:再生系溶液(6.5mMのNADPH、16.5mMのG−6−P、3U/mLのG−6−P D、3.3mMの塩化マグネシウムを含有する)を調製し、使用前に湿った氷上に置いた。
4)停止液の調製:停止液は、50ng/mLの塩酸プロプラノロールと200ng/mLのトルブタミド(内部標準)を含有するアセトニトリル溶液である。
5)肝臓ミクロソーム希釈液の調製:25057.5μLのリン酸塩緩衝液(pH7.4)を50mLの遠心管に入れ、812.5μLのヒト肝臓ミクロソームをそれぞれ添加し、均一に混合して、タンパク質濃度が0.625mg/mLである肝臓ミクロソーム希釈液を得た。25057.5μLのリン酸塩緩衝液(pH7.4)を50mL遠心管に入れ、812.5μLのSDラット肝臓ミクロソームをそれぞれ添加し、均一に混合して、タンパク質濃度が0.625mg/mLの肝臓ミクロソーム希釈液を得た。
6)サンプルのインキュベーション:対応する化合物のストック溶液を、70%アセトニトリルを含む水溶液でそれぞれ0.25mMに希釈し、作業溶液として使用した。398μLのヒト肝臓ミクロソーム或いはラット肝臓ミクロソームの希釈液を96ウェルインキュベーションプレート(N=2)にそれぞれ加え、0.25mMの作業溶液2μLにそれぞれ添加して均一に混合した。
7)代謝安定性アッセイ:予め冷却した停止液300μLを96ウェルディープウェルプレートの各ウェルに添加し、氷上に置いて停止プレートとした。96ウェルインキュベーションプレートおよびNADPH再生系を37℃の水浴に置いて、100rpmで振とうし、5分間プレインキュベートした。インキュベーションプレートの各ウェルから80μLのインキュベーション溶液を取出し、停止プレートに加え、均一に混合し、NADPH再生系溶液20μLを補充して0分間サンプルとした。インキュベーションプレートの各ウェルに80μLのNADPH再生系溶液を更に添加し、反応を開始し、時間を計り始めた。対応する化合物の反応濃度は1μMで、タンパク濃度は0.5mg/mLである。反応の10分間、30分間、90分間に、それぞれ100μLの反応液を採取し、停止プレートに加え、3分間ボルテックス操作を行い、反応を停止させた。5000×g、4℃の条件下で停止プレートを10分間遠心分離した。予め100μLの蒸留水を入れた96ウェルプレートに、100μLの上清を加え、均一に混合し、LC−MS/MSを用いてサンプルを分析した。
8)データ分析:LC−MS/MSシステムによって対応する化合物および内部標準のピーク面積を検出し、化合物と内部標準のピーク面積の比を計算した。時間に対する化合物残存量の百分率の自然対数をプロットすることによって、傾きを測定して、以下の式に従ってt1/2及びCLintを計算した。ここで、V/Mは1/タンパク濃度に等しい。
Figure 2019528270
実験結果
実験結果を以下の表2に示す。イブルチニブと比較して、本発明の化合物は、ヒト肝臓ミクロソームおよびラット肝臓ミクロソームの両方の実験において代謝安定性が向上され、薬物の代謝安定性が改善された。
Figure 2019528270
(3)ラットにおける薬物動態実験
8匹のSprague−Dawleyラット(オス、7−8週齢、体重約210g)を2グループに分け、各グループ4匹ずつ、それぞれ静脈注射にて0.5mg/kgの投与量、経口で10mg/kgの単回投与量の(a)対照グループ:参照化合物、(b)試験グループ:実施例化合物を投与し、その薬物動態学の差異を比較した。
標準飼料でラットを飼育し、水を与えた。試験開始の16時間前から絶食させた。薬剤をPEG400およびジメチルスルホキシドで溶解した。投与した後の0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点で眼窩採血を行った。
ラットにエーテルを吸入させて一時麻酔を行い、眼窩から300μLの血液サンプルを採取して試験管に入れた。試験管中には1%のヘパリン塩溶液30μLがある。使用前に、試験管を60℃で一晩乾燥させた。最後の時点の血液サンプルの採取が完了した後、エーテルで麻酔した後にラットを殺処分した。
血液サンプルを採取した直後に、穏やかに試験管を少なくとも5回転倒させ、十分に混合し、氷上に置いた。血液サンプルを4℃、5000rpmで5分間遠心分離して、赤血球と血漿を分離した。100μLの血漿をピペットで清潔なプラスチック遠心管に入れ、化合物の名称と時点を表記した。分析まで血漿を−80℃で保存した。血漿中の本発明の化合物濃度をLC−MS/MSにより測定した。薬物動態パラメーターは、異なる時点における各動物の血中濃度に基づいて計算した。
上記のラットの薬物動態実験で本発明の化合物を測定したところ、イブルチニブに比べて、本発明の化合物はより優れた薬物動態特性を有することが見出された。代表的な実施例7および対照化合物であるイブルチニブのラットにおける薬物動態実験の結果を以下の表3にまとめた。
Figure 2019528270
これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。実施例における具体的な条件を記載しない実験方法は、通常、慣用の条件または製造業者の推奨条件に従う。特に説明のない限り、部および百分率は重量部および重量百分率である。
上記の内容は、特定の好ましい実施形態を参照して本発明に対するさらなる詳細な説明であるが、本発明の実施形態がこれらの記載に限定されない。当業者にとって明らかであるように、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、すべてが本発明の保護範囲内にあるとみなされるべきである。

Claims (18)

  1. 式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体。
    Figure 2019528270
    但し、
    環Aは芳香環であり、
    環Bは芳香環または非芳香環であり;
    〜Xは、独立してC原子またはN原子から選択され、ここで、X、X、XおよびXがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;また、XがC原子である場合、その酸化形態である−C(=O)−であってもよく;
    ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基、−OR1a、−N(R1a、−SR1a、−Si(R1a、−C(=O)R1a、−C(=O)OR1a、−C(=O)N(R1a、−NR1aC(=O)R1a、−NR1aC(=O)OR1a、−NR1aC(=O)N(R1a、−OC(=O)R1a、−OC(=O)OR1a、もしくは−OC(=O)N(R1a(各R1aは、独立してH、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;或いは、2つのR1a基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成する)からなる群から選択され;
    Arは、以下の式で表される環Cであり、
    Figure 2019528270
    ここで、Y〜Yは、独立してC原子またはN原子から選択され、Y〜YがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;
    ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基、−OR2a、−N(R2a、−SR2a、−Si(R1a、−C(=O)R2a、−C(=O)OR2a、−C(=O)N(R2a、−NR2aC(=O)R2a、−NR2aC(=O)OR2a、−NR2aC(=O)N(R2a、−OC(=O)R2a、−OC(=O)OR2a、もしくは−OC(=O)N(R2a(各R2aは、独立してH、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;或いは、2つのR2a基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成する)からなる群から選択され;
    或いは、Y、Yおよびそれらの置換基Rはともに、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し;
    ここで、*はXと連結する結合を表し、#はLと連結する結合を表し;
    は、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、P(=O)OR(各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;或いは、2つのR基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し、mは、1または2である)からなる群から選択され;
    Arは、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;
    Lは、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;
    Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、P(=O)OR(ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;或いは、2つのR基はともに、置換または非置換のC−C複素環基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基を形成し、nは、1または2である)からなる群から選択され;
    Rは、CN、或いは0、1、2または3個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基(Rは、H、OH、ハロゲン、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択される)である。
  2. 前記の化合物は、式(II)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
    Figure 2019528270
    但し、
    、X、R、Ar、L、Ar、L、VおよびRは、請求項1のように定義される。
  3. 前記の化合物は、以下のいずれかの式で表される化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
    Figure 2019528270
    但し、
    Ar、L、Ar、L、VおよびRは、請求項1のように定義される。
  4. 〜Yの1つがN原子で、その他がC原子であり;或いは、Y〜YがいずれもC原子であり;また、Y〜YがC原子である場合、それぞれRで置換されていてもよく;
    は、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−Cアルケニル基、置換または非置換のC−Cアルキニル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアルキル基、もしくは置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、またはCNからなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、またはハロゲンからなる群から選択され;好ましくは、RはHである
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. は、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、またはNRS(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、Lは、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、またはNRC(=O)Oからなる群から選択され;好ましくは、Lは、結合、O、S、NR、C(R、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、またはNRC(=O)からなる群から選択され;好ましくは、Lは、O、S、NR、C(R、またはC(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、Lは、OまたはC(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、LはOであり;
    ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、もしくは置換または非置換のC−Cアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、またはNOからなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、OH、F、Cl、またはBrからなる群から選択され;好ましくは、RはHまたはFであり;
    mは、1または2である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. Arは、非置換のC−C10アリール基、もしくは非置換のC−C10ヘテロアリール基であり;好ましくは、Arは、フェニル基またはピリジル基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. Lは、置換または非置換のC−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、置換または非置換のC−C複素環基、置換または非置換のC−C10アリール基、もしくは置換または非置換のC−C10ヘテロアリール基からなる群から選択され;
    好ましくは、Lは、C−Cアルキル基、置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基、置換または非置換のC−C炭素環基、もしくは置換または非置換のC−C複素環基からなる群から選択され;
    好ましくは、Lは、置換または非置換のC−C複素環基からなる群から選択され;
    好ましくは、Lは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択され、
    好ましくは、Lは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択され、
    ここで、波線は、母核上のXまたはVと連結する部位を表す
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、NRS(=O)NR、OP(=O)、またはP(=O)ORからなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、NRC(=O)O、S(=O)、S(=O)NR、NRS(=O)、またはNRS(=O)NRからなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、NRC(=O)、NRC(=O)NR、OC(=O)NR、またはNRC(=O)Oからなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NR、またはNRC(=O)からなる群から選択され;好ましくは、Vは、結合、またはC(=O)からなる群から選択され;好ましくは、VはC(=O)であり;
    ここで、各Rは、独立してH、OH、ハロゲン、CN、NO、置換または非置換のC−Cアシル基、もしくは置換または非置換のC−Cアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、独立してH、もしくは置換または非置換のC−Cアルキル基からなる群から選択され;
    nは、1または2である
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. Rは、CN、或いは0個または1個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基であり;好ましくは、Rは、0個または1個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基またはC−Cアルキニル基であり;好ましくは、Rは、0個または1個のR置換基で置換されていてもよいC−Cアルケニル基であり;好ましくは、Rは非置換のビニル基であり;
    は、H、OH、ハロゲン、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、もしくは置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基からなる群から選択され;好ましくは、Rは、H、CN、置換または非置換のC−Cアルキル基、もしくは置換または非置換のC−Cヘテロアルキル基からなる群から選択され;
    好ましくは、Rは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択され、ここで、各R、R、R、R、R、RおよびRは、前記のRから選択され;
    好ましくは、Rは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択される
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 前記の化合物は、式(III)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2019528270
    但し、
    −L−V−Rは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択され;
    好ましくは、−L−V−Rは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択され;
    −Ar−L−Arは、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択され;
    はCHまたはNである。
  11. 前記の化合物は、
    Figure 2019528270
    からなる群から選択される
    ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位素異性体、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
  13. 他の治療剤をさらに含む、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体を含む第一の容器;
    必要に応じて、他の治療剤を含む第二の容器;および
    必要に応じて、前記の化合物および/または他の治療剤を希釈または懸濁するための薬学的に許容される賦形剤を含む第三の容器
    を含む、キット。
  15. BTK介在疾患の治療のための薬物を調製することへの、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体の使用。
  16. 被験者に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶多形、プロドラッグ或いは同位体異性体、もしくは請求項12または13に記載の医薬組成物を投与することを特徴とする、被験者におけるBTK介在疾患を治療する方法。
  17. 前記のBTK介在疾患は、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、または癌からなる群から選択される、請求項15に記載の使用または請求項16に記載の方法。
  18. 前記のBTK介在疾患は、慢性リンパ球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または慢性リンパ球性白血病からなる群から選択されるB細胞増殖性疾患である、請求項15に記載の使用または請求項16に記載の方法。
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