JP2019526256A - 組織因子を標的とする抗体、その調製方法及びその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
配列番号1に記載の配列を有するCDR1、
配列番号2に記載の配列を有するCDR2、及び
配列番号3に記載の配列を有するCDR3;
ここで前記アミノ酸配列中の任意のアミノ酸配列がさらに、少なくとも1つのアミノ酸の任意の付加、欠失、修飾及び/又は置換から生じ、そしてTF−結合親和性を保持する誘導体配列を含む、抗体の重鎖可変領域を提供する。
配列番号4に記載の配列を有するCDR1′
配列番号5に記載の配列を有するCDR2′
配列番号6に記載の配列を有するCDR3′
から成る群から選択される相補性決定領域(CDR)を含み、
前記アミノ酸配列中の任意のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、修飾及び/又は置換から生じ、そしてTF−結合親和性を有する誘導体配列を含む、抗体の軽鎖可変領域を提供する。
(1)第1の側面の重鎖可変領域;及び/又は
(2)第3の側面の軽鎖可変領域、
を有する抗体を提供し、又は
前記抗体は第2の側面の重鎖;及び/又は第4の側面の軽鎖を有する。
(ii)任意には、発現及び/又は精製を補助するタグ配列を有する組換えタンパク質を提供する。
(2)第7の側面の組換えタンパク質、
から選択されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
(a第1の側面の重鎖可変領域、第2の側面の重鎖、第3の側面の軽鎖可変領域、第4の側面の軽鎖、又は第5の側面の抗体、又はそれらの組合せから選択された抗体部分;及び
(b)前記抗体部分に接合された接合部分、ここで前記接合部分は、検出可能マーカー、トキシン、サイトカイン、放射性核種、酵素、又はそれらの組合せから選択される、を含む抗体−薬物接合体を提供する。
(i)第1の側面の重鎖可変領域、第2の側面の重鎖、第3の側面の軽鎖可変領域、第4の側面の軽鎖、第5の側面の抗体、第7の側面の組換えタンパク質、第11の側面の抗体−薬物接合体、第12の側面の免疫細胞、又はそれらの組合せから選択された活性成分;及び
(ii)医薬的に許容できる担体、を含む医薬組成物を提供する。
(1)サンプル中のTFタンパク質を検出し;そして/又は
(2)腫瘍細胞中の内因性TFタンパク質を検出し;そして/又は
(3)TFタンパク質を発現する腫瘍細胞を検出するために使用され;そして
前記医薬は、疾患、例えばTFタンパク質発現腫瘍、血栓性疾患、肥満及び糖尿病を治療するか又は予防するために使用される。
(a)インビトロで本発明の抗体と、サンプルとを接触し;そして
(b)抗原−抗体複合体が形成されるかどうかを決定することを含み、ここで前記複合体の形成がサンプル中のTFタンパク質の存在を示す、インビトロでサンプル中のTFタンパク質を決定するための(診断的に又は非−診断的に決定することを含む)方法を提供する。
(1)本発明の抗体を含む第1容器;及び/又は
(2)本発明の抗体に対する第2抗体を含む第2容器を含むキットを提供し、又は
第16の側面の試験パネルを含むキットを提供する。
(a)発現のために適切な条件下で第10の側面の宿主細胞を培養し;そして
(b)培養物から組換えポリペプチドを分離し、前記組換えポリペプチドが第5の側面の抗体又は第7の側面の組換えタンパク質である、組換えポリペプチドの調製方法を提供する。
(a)腫瘍細胞の移動又は転移の阻害;及び
(b)腫瘍増殖の阻害、から成る群から選択される1又は2以上の特徴を有する。
本発明のネズミ抗体可変領域のヌクレオチド配列を、ヒト抗体不変領域を含む発現ベクター中にクローニングした後、動物細胞をトランスフェクトすることにより、ヒト−マウスキメラ抗体を発現する工程;
本発明のヒトFR領域を含む抗体可変領域のヌクレオチド配列を、ヒト抗体不変領域を含む発現ベクター中にクローニングした後、動物細胞をトランスフェクトすることにより、ヒト化抗体を発現する工程を含む、ヒト化又はキメラ抗体の調製方法を提供する。
本明細書において使用される場合、用語「抗体(antibody)」又は「免疫グロブリン(immunoglobulin)」とは、2つの同一の軽鎖(L)及び2つの同一の重鎖(H)から成る、同じ構造特性を有する約150,000Daのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各軽鎖は、共有ジスルフィド結合を介して重鎖に結合され、そして異なる免疫グロブリンイソタイプは、重鎖間に異なる数のジスルフィド結合を有する。各重鎖及び各軽鎖に規則的等間隔の鎖内ジスルフィド結合も存在する。各重鎖は、一端で可変領域(VH)、続いて多くの不変領域を有する。各軽鎖は、一端で可変領域(VL)及び他端で不変領域;重鎖の第1不変領域に対応する軽鎖の不変領域、及び重鎖の不変領域に対応する軽鎖の可変領域を有する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域との間に界面を形成する。
本発明は、重鎖及び軽鎖を含む、TFに対して高い特異性及び高い親和性を有する抗体を提供し、ここで重鎖は、重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を含む。
a1) 配列番号1;
a2) 配列番号2;
a3) 配列番号3;
a4) 配列番号4;
a5) 配列番号5;
a6) 配列番号6;
a7) 前記アミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、修飾及び/又は置換から生じ、TF−結合親和性を有する配列。
本発明の抗体又はそのフラグメントに対するDNA分子の配列は、従来の技法、例えばPCR増幅又はゲノムライブラリースクリーニングのような方法により得られる。さらに、軽鎖及び重鎖をコードする配列は、一緒に融合され、単鎖抗体が形成される。
本発明はまた、本発明の抗体に基く抗体−薬物接合体(ADC)も提供する。
LUはリンカーであり、
Dは薬物であり;そして
下付文字pは、1〜8から選択された値である]を有する。
本発明の抗体又はそのADCは、例えば診断情報を提供するためにサンプルの検出に使用するための検出用途に使用され得る。
本発明はさらに、診断剤の製造、又はTF関連疾患を予防し、そして/又は治療するための医薬の製造のための本発明の抗体の使用を提供する。TF関連疾患は、腫瘍形成、腫瘍増殖及び/又は転移、血栓症関連疾患、炎症、代謝関連疾患などを包含する。
(i)腫瘍形成、腫瘍増殖及び/又は転移、特に高TF発現を有する腫瘍の診断、予防及び/又は治療、ここで腫瘍は以下を含む(但し、それらだけには限定されない):乳癌(例、トリプルネガティブ乳がん)、膵臓癌、肺癌、悪性神経膠腫、胃癌、肝臓癌、食道癌、腎臓癌、大腸癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮頸癌、白血病、骨髄癌、血管肉腫など;特に、トリプルネガティブ乳癌、膵臓癌、悪性神経膠腫及び肺癌;より好ましくは、トリプルネガティブ乳癌及び/又は膵臓癌;
(ii)血栓症関連疾患の診断、予防及び/又は治療、ここで血栓症関連疾患は、以下を含む(但し、それらだけには限定されない):アテローム性動脈硬化症、急性冠症候群、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧、深部静脈血栓症、肺塞栓症、腎塞栓症及び動脈手術、冠状動脈バイパス術による血栓症など;
(iii)炎症の診断、予防及び/又は治療、ここで炎症は、以下を含む(但し、それらだけには限定されない):リウマチ性関節炎、変形性関節症、強直性脊椎炎、痛風、リトル症候群、乾癬性関節炎、感染性関節炎、結核性関節炎、ウイルス性関節炎、真菌性関節炎、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患、及び特発性肺線維症;
(iv)代謝関連疾患の診断、予防及び/又は治療、ここで代謝関連疾患は、以下を含む(但し、それらだけには限定されない):糖尿病、食事性肥満、脂肪炎症など。
本発明はさらに、組成物を提供する。好ましい例によれば、組成物は、抗体、又はその活性フラグメント、融合タンパク質又はADC、又は対応するCAR−T細胞、及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物である。一般的に、それらの物質は、非毒性、不活性及び医薬的に許容できる水性担体媒体において配合され得、ここでpHは一般的に約5〜8であり、好ましくは、pHは約6〜8であり、但しそのpH値は、配合される物質の性質及び治療される状態に依存して変えられ得る。配合される医薬組成物は、従来の経路、例えば腫瘍内、腹腔内、静脈内、又は局所投与(但し、それらだけには限定されない)により投与され得る。
a)本発明の抗体は、卓越した生物活性及び特性を有し、そして高い親和性を有し(EC50は、ELISAにより決定される場合、0.01〜003nMである);さらに、細胞表面TFに対して良好な結合親和性を有し、そしてTF−標的抗体として使用され得;
(b)本発明のヒト化抗体は、免疫抗体の活性に匹敵する活性を有するのみならず、また、低い免疫原性も有し;
(c)本発明の抗体及びADCの両者は、有意な抗腫瘍活性を有し、そし的哺乳類動物自体に対して明らかな毒性副作用を有さず、そして
(d)本発明の抗体及びADCは、腫瘍モデルにおいて有意な治療効果を有するのみならず、また、他の高TF発現関連疾患、例えば血栓性疾患及び代謝性疾患にも適用できる。
工程1:ハイブリドーマ細胞の調製:
最初に、生後8週の雌のBalb/cマウスを、ヒトTFタンパク質の細胞外ドメイン(UniProtKB/Swiss-Prot: P13726.1、位置34〜251からのアミノ酸)により免疫化し、ここでTFの細胞外ドメインは、免疫化された脾細胞を調製するために100μg/マウスの量で使用され;マウス骨髄腫細胞(SP2/0)及びフィーダー細胞を、融合の目的で適時に調製した。
工程1でスクリーニングされたハイブリドーマ細胞を、増幅培養にゆだねた。適応性の上昇の後、プリスタン(0.5ml/マウス)を、マウスの腹腔内に注射し、ハイブリドーマ細胞の増殖のために好ましい環境を提供した。7〜10日後、10×106個のハイブリドーマ細胞を、各マウスの腹腔内に注射した。マウスを、7日目以降、腹水及び精神状態の産生を毎日観察し、そして腹水を採取し、遠心分離し、細胞を除去し、そして後での精製のために−80℃で凍結保存した。
工程2で凍結保存された腹水を、氷上で融解し、そして0.45μmのフィルターを通して濾過した後、4℃で一晩、PBSにより透析した。最終的に、抗体を、FPLC技法により精製し、限外濾過し、所望する濃度に濃縮し、再包装し、そしてさらなる使用のために−80℃で凍結保存した。
予備スクリーニングの後、約30個のハイブリドーマを、二次限界希釈クローニングのために選択し、そして次に6個の抗体を、大規模発現及び精製のために選択した。各抗体を、フローサイトメトリーにより、ヒト乳癌細胞MDA−MB−231、ヒト膵臓癌細胞BxPC−3及びネズミ黒色腫細胞B16−F10に対するその親和性について10μg/mlの濃度で決定した。
重鎖可変領域のCDRのアミノ酸配列は、以下の通りであった:
配列番号1: SYWMN;
配列番号2: MIYPADSETRLNQKFKD;
配列番号3: EDYGSSDY。
QVQLQQPGAELVRPGASVKLSCKASGYSFISYWMNWVKQRPGQGLEWIGMIYPADSETRLNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMQLSSPTSEDSAVYYCAREDYGSSDYWGQGTTLTVSS (配列番号7)。
配列番号4: SASSSVSYMN;
配列番号5: GISNLAS;
配列番号6: QQKSSFPWT。
EILLTQSPAIIAASPGEKVTITCSASSSVSYMNWYLQKPGSSPKIWIYGISNLASGVPARFSGSGSGTSFSFTINSMETEDVATYYCQQKSSFPWTFGGGTKLEIK(配列番号8)。
ヒト−マウス抗体を、得られた高い活性の及び特異的ネズミTF−mAb−SC1に基いて構成した。
配列番号18:MIYPXDSETRLNXKFKD(Xは、A、D、E、Q及びYから成る群から選択された任意の1つである)
配列番号19:GYSFXSYWMN(Xは、A、I、Y、Q及びWから成る群から選択された任意の1つである)
配列番号20:AREDYGXSDY(Xは、S、P、G、D、M及びNから成る群から選択された任意の1つである)。
配列番号21:QQXSSFXWT(Xは、S、P、K、G、及びHから成る群から選択された任意の1つである)
配列番号22:SASSXVSYMN(Xは、A、P、D、及びSから成る群から選択された任意の1つである)
配列番号23:GXSNLAS(Xは、P、D、I、及びSから成る群から選択された任意の1つである)。
この実験においては、細胞表面上にTFを高く発現している、トリプルネガティブ乳癌細胞MDA−MB−231、膵臓癌細胞BxPC−3、悪性神経膠腫細胞U87MG及び非小細胞肺癌細胞H1975を、標的細胞として使用し;そして333.33nM〜0.15nMまで、3倍連続希釈により希釈された、100μlのTF−mAb−SC1を一次抗体として使用し、それぞれ、100μlのRPMI−1640無血清培地に懸濁された3×105個のMDA−MB−231又はBxPC−3と共に均質に混合するか;又は66.67nM〜0.03nMまで、3倍連続希釈により希釈された100μlのTF−mAb−SC1を、一次抗体として使用し、そして100μlのMEM無血清培地に懸濁された3×105個のU87MGと共に均質に混合するか;又は一次抗体としての100μlの33.3nM及び3.33nMのTF−mAb−SC1を、100μlのRPMI−1640無血清培地の懸濁された3×105個のH1975と共に混合し、そして次に4℃で1時間インキュベートした。細胞をPBSにより2度、洗浄し、末結合一次抗体を除去し、そして標的細胞を、200μlのPE標識された二次抗体(2μg/ml)と共に4℃で30分間インキュベートした。細胞を、PBSにより2度、洗浄し、末結合二次抗体を除去し、そして最終的に細胞を、400μlのPBSに再懸濁した。TF−mAb−SC1を、その対応する細胞表面TFに対する結合親和性についてフローサイトメトリーにより決定した。
3×105個の膵臓癌細胞(BxPC−3)を、12ウェルプレートにプレートした。12時間後、細胞を減菌PBSにより、洗浄し、次に、無血清培地の添加の後、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で4時間、飢餓状態にした。次に、TF−mAb−SC1を、3倍の連続希釈により100nM〜1.2nMに希釈し、そしてインキュベーターにおいてBxPC−3細胞と共にインキュベートし、続いてBxPC−3細胞における25nMのFVIIaによりPAR2細胞内シグナル経路を活性化した。37℃での15分間の相互作用の後、細胞を予備冷却されたPBSにより1度、洗浄し、そして細胞タンパク質を氷上に集めた。下流MAPK/ERKのリン酸化レベルに対するTF−mAb−SC1の効果を、ウェスターンブロットにより同定し、ここでTF−mAb−SC1処理なしでのFVIIa刺激のみが対照として使用された。
100nMのTF−mAb−SC1を、1.5625nM(50μlの最終体積)に連続希釈し、そして5mMのCaCl2を含む、50μlのハンクス平衡塩溶液(HBSS)に懸濁された3×104個のMDA−MB−231及びBxPC−3細胞と共に、室温で15分間インキュベートした。次に、50μlのクエン酸ヒト血漿を添加し、そして得られる混合物を急速に均質に混合した。405nMでの吸光度を、次の2時間以内に15秒毎に測定し、細胞表面上のTFにより開始された凝固に対する抗凝固効果を計算した。
100nMのTF−mAb−SC1を、1.5625nM(50μlの最終体積)に連続希釈し、そして50μlのHBSS(3nMのFVIIaを含む)に懸濁された1.5×104個のMDA−MB−231及びBxPC−3細胞と共に、室温で振盪下で、別々にインキュベートした。次に、50μlのFX(50nMの最終濃度で)を添加し、反応を開始し、そして5分後、1MのEDTA(25μl)を添加し、反応を停止した。その後、3mMのS2765(25μl)を添加し、そして得られる混合物を急速に均質に混合した。速度論的反応曲線を、次の60分間、15秒毎に測定し、FXa産生を阻害する活性を測定した。
ヌードマウスを、2つのグループにランダムに分け、各グループは10匹であった。最初に腫瘍細胞(1×107個のBxPC−3、又は5×106個のU87MG、又は2.5×106個のHCC1806)を、100μgのTF−mAb−SC1と共に室温で混合した。室温での30分間インキュベーションの後、生後6週の免疫不全雌マウス(Ball/cヌードマウス)の背中又は乳房脂肪パッドに、得られる混合物を接種し、BxPC−3の皮下腫瘍増殖に対する阻害効果を観察した。正常マウスIgG(図においてはIgGとして示される)により接種された他のマウスグループを、対照として使用した。ヌードマウスをそれらの体重及び腫瘍サイズについて定期的に測定し、腫瘍増殖曲線をブロットし、そして活性を評価した。
実施7からのBxPC−3腫瘍を収集し、そして4%中性ホルムアルデヒド中で固定し、続いて、パラフィン包埋し、そして断片化し、日常的に水にワックス除去し、そしてMasson染色した。各染色されたサンプルについて、5〜10のフィールドを、100倍の倍率(説明文においては100μm)で撮影し、そして統計学的に分析した。
実施7からのBxPC−3腫瘍を収集し、そして4%中性ホルムアルデヒド中で固定し、続いて、パラフィン包埋し、そして断片化し、日常的に水にワックス除去し、そしてCD31免疫組織学的染色した。各免疫組織学的に染色されたサンプルについて、5〜10のフィールドを、200倍の倍率(説明文においては50μm)で撮影し、そして統計学的に分析した。
腫瘍細胞移動レベルに対するTF−mAbの効率を、トランスウェルチャンバーシステムを用いて、インビトロで評価した:1×105個のMDA−MB―231又は8×104個のBxPc−3細胞を、200μlの無血清培地中、特定濃度のTF−mAb−SC1(100nM、33.3nM又は11.1nM)又はマウスIgG(図においてはIgGとして示される)と共に別々に混合し;得られる混合物を、上部チャンバーに添加し、そして10%FBSを含む、600μlの完全培地を下部チャンバーに添加し;細胞を5%CO2インキュベーター中で37℃でインキュベートし;8時間後、チャンバー膜の上面上の細胞を、湿った綿棒により拭き取った。膜の下面上の細胞を、95%エタノールにより30分間、固定し、そして次に、0.2%クリスタルバイオレットにより30分間、染色し、そして蒸留水により洗浄し、過剰のクリスタルバイオレットを除去した。室温での乾燥の後、5つの代表的フィールドを、顕微鏡下でランダムに選択し、そしてチャンバー膜の下面に移動する細胞の数を計数し、そして分析した。この実験においては、TFノックアウト細胞(sh−TF)及び対応するベクター対照細胞(sh−NT)の両者を用いて、腫瘍細胞の移動を阻害するためのTF−mAb−SC1の活性を確かめた。
腫瘍細胞の移動レベルに対するTF−mAb−SC1の効果を、血行性転移の実験モデルを用いて、インビボで評価した:2×106個のルシファラーゼ標識されたMDA−MB−213細胞(MDA−MB−231−luc)を、200μlのPBS中、100μgのTF−mAb−SC1又はマウスIgGと共に混合し、氷上で20分間インキュベートし、そして次に、生後6週のBalb/c雌ヌードマウスの尾静脈中にゆっくり注射し;4時間後、ヌードマウスに麻酔し、そしてPBS中、D−ルシフェリンカリウム塩の溶液を、150mg/kgの容量でヌードマウスに腹腔内注射し;6分後、マウスを、小動物インビボイメージングシステム(IVIS SPECTRUM)に1分間暴露し、そして蛍光強度を測定し;そして統計学的分析を、各グループ当たり5匹のヌードマウスを用いて行った。
50%の密度のMDA−MB−231細胞を、レーザー共焦点顕微鏡への使用のために特異的な培養皿にプレートした。約16時間後、10μg/mlのTF−mAb−SC1を添加し、そして細胞を38℃又は4℃で1時間インキュベートし、そして次に、室温で30分間、4%パラホルムアルデヒドにより固定した。PBSにより3度、洗浄した後、細胞を、37℃で1時間、Lamp−2(ウサギ抗−ヒト)抗体と共にインキュベートし、リソソームの位置を標識し、未結合抗体を、PBSによる洗浄により除去した。Alexa Flour 594−標識されたロバ抗−マウス二次抗体及びAlexa Fluor 488−標識されたロバ抗−ウサギ二次抗体と共に37℃での30分間のインキュベーションの後、末結合抗体を、洗浄により除去し、核の位置を、DAPI染色により標識し、そして次に、抗体の内在化をレーザー共焦点顕微鏡下で観察した。
この実験法はまた、実施例1の工程4を参照する。
この実験方法は、実施例3を参照する。
この実験方法は、実施例4を参照する。
この実験方法は、実施例12を参照する。
抗体TF−mAb−SC1の重鎖可変領域(配列番号7)及び軽鎖可変領域(配列番号8)の配列を参照することにより、非CDR領域と最も良く一致したヒト化鋳型を、Germlineデータベースで選択した。次に、ネズミ抗体TF−mAb−SC1のCDR領域を、選択されたヒト化鋳型に移植し、ヒト化鋳型のCDR領域を置換し、続いてIgG1/κ不変領域と組換えた。一方、ネズミ抗体の三次元構造に基いて、CDR領域と直接的に相互作用された残基、及びVL及びVHの立体配座に対する重要な効果を有した残基に対して復帰突然変異を行い、それにより、5つのヒト化重鎖可変領域(配列番号9、10、11、12及び13)及び4つのヒト化軽鎖可変領域(配列番号14、15、16及び17)を得た。
最初に、全細胞タンパク質を、異なる組織に由来する種々の腫瘍細胞について調製した。正確な定量化の後、TFタンパク質の発現レベルを、ウェスターンブロットにより決定した。
最初に、全細胞タンパク質を、異なる組織に由来する種々の腫瘍細胞系について調製した。正確な定量化の後、TFタンパク質の発現レベルを、ウェスターンブロットにより決定した。結果は、TFタンパク質の非常に異常な活性化及び発現が高侵襲性及び高転移性膵臓癌(図30に示されるような)細胞系に存在することを示した。
Claims (25)
- 抗体の重鎖可変領域であって、前記重鎖可変領域が以下の3種の相補性決定領域(CDR)を含み:
配列番号1に記載の配列を有するCDR1、
配列番号2に記載の配列を有するCDR2、及び
配列番号3に記載の配列を有するCDR3;
ここで前記アミノ酸配列中の任意のアミノ酸配列がさらに、少なくとも1つのアミノ酸の任意の付加、欠失、修飾及び/又は置換から生じ、そしてTF−結合親和性を保持する誘導体配列を含むことを特徴とする、抗体の重鎖可変領域。 - 前記重鎖が、請求項1に記載の重鎖可変領域を有することを特徴とする、抗体の重鎖。
- 抗体の軽鎖可変領域であって、前記軽鎖可変領域が、下記:
配列番号4に記載の配列を有するCDR1′
配列番号5に記載の配列を有するCDR2′及び
配列番号6に記載の配列を有するCDR3′
から成る群から選択される相補性決定領域(CDR)を含み、
前記アミノ酸配列中の任意のアミノ酸配列が、少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、修飾及び/又は置換から生じ、そしてTF−結合親和性を有する誘導体配列を含むことを特徴とする、抗体の軽鎖可変領域。 - 前記軽鎖が、請求項3に記載の軽鎖可変領域を有することを特徴とする、抗体の軽鎖。
- 抗体であって、前記抗体が、以下:
(1)請求項1に記載の重鎖可変領域;及び/又は
(2)請求項3に記載の軽鎖可変領域、
を有し、又は
前記抗体が請求項2に記載の重鎖;及び/又は請求項4に記載の軽鎖を有することを特徴とする、抗体。 - 動物由来の抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の抗体。
- 前記抗体の重鎖可変領域配列が、配列番号7、9、10、11、12又は13から成る群から選択され;そして/又は
前記抗体の軽鎖可変領域配列が、配列番号8、14、15、16又は17から成る群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の抗体。 - 付加された、欠失された、修飾された、及び/又は置換されたアミノ酸の数が1〜7であることを特徴とする、請求項5に記載の抗体。
- 少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、修飾及び/又は置換から生じる配列が、少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項5に記載の抗体。
- (a)診断剤の製造;及び/又は(b)TF−関連疾患の予防及び/又は治療のための医薬の製造のために使用されることを特徴とする、請求項5に記載の抗体の使用。
- 前記TF−関連疾患が、下記:
腫瘍の発生、増殖及び/又は転移;
血栓症関連疾患;
炎症;及び
代謝関連疾患
から成る群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の使用。 - 前記腫瘍が、高TF−発現を有する腫瘍であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
- (i)請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、又は請求項5に記載の抗体;及び
(ii)任意には、発現及び/又は精製を補助するタグ配列、
を有することにより特徴づけられる組換えタンパク質。 - (1)請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、又は請求項5に記載の抗体;又は
(2)請求項13に記載の組換えタンパク質、
から成る群から選択されたポリペプチドをコードすることにより特徴づけられるポリヌクレオチド。 - 本発明の請求項14に記載のポリヌクレオチドを含むことにより特徴づけられるベクター。
- 請求項15に記載のベクターを含むか、又はゲノムに組込まれた請求項14に記載のポリヌクレオチドを有することにより特徴づけられる、遺伝子操作された宿主細胞。
- (a)請求項1に記載重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、請求項5に記載の抗体、又はそれらの組合せから選択された抗体部分;及び
(b)前記抗体部分に接合された接合部分、ここで前記接合部分は、検出可能マーカー、トキシン、サイトカイン、放射性核種、酵素、又はそれらの組合せから選択される、を含むことにより特徴づけられる、抗体−薬物接合体。 - 請求項5に記載の抗体を発現するか、又は細胞膜外に露出される請求項5に記載の抗体を発現する免疫細胞。
- (i)請求項1に記載の重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、請求項5に記載の抗体、請求項13に記載の組換えタンパク質、請求項17に記載の抗体−薬物接合体、請求項18に記載の免疫細胞、又はそれらの組合せから選択された活性成分;及び
(ii)医薬的に許容できる担体、
を含むことにより特徴づけられる、医薬組成物。 - 請求項1に記載重鎖可変領域、請求項2に記載の重鎖、請求項3に記載の軽鎖可変領域、請求項4に記載の軽鎖、請求項5に記載の抗体、請求項13に記載の組換えタンパク質、請求項17に記載の抗体−薬物接合体、請求項18に記載の免疫細胞、又はそれらの組合せから選択されることを特徴とする、医薬、剤、試験パネル又はキットの製造のための活性成分の使用。
- インビトロでサンプル中のTFタンパク質を決定するための方法であって、以下の工程:
(a)インビトロで請求項5に記載の抗体と、サンプルとを接触し;そして
(b)抗原−抗体複合体が形成されるかどうかを決定することを含み、ここで前記複合体の形成がサンプル中のTFタンパク質の存在を示す、方法。 - 基板(支持プレート)及び試験片を含み、前記試験片が請求項5に記載の抗体又は請求項17に記載の免疫接合体を含むことを特徴とする、試験パネル。
- 組換えポリペプチドの調製方法であって、
(a)発現のために適切な条件下で請求項16に記載の宿主細胞を培養し;そして
(b)培養物から組換えポリペプチドを分離し、前記組換えポリペプチドが請求項5に記載の抗体又は請求項13に記載の組換えタンパク質である、方法。 - 請求項5に記載の抗体、前記抗体の抗体−薬物接合体、又は前記抗体を発現するCAR−T細胞を用いることを含む、腫瘍、血栓性疾患、炎症性疾患及び/又は代謝性疾患の治療方法。
- ヒトTFタンパク質に対する親和性について0.01〜0.03nMのED50を有することを特徴とする、抗体−TF抗体。
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