JP2019525186A - 再構成可能な表面増強ラマン分光法デバイスおよびそのための方法 - Google Patents

再構成可能な表面増強ラマン分光法デバイスおよびそのための方法 Download PDF

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    • G01N21/65Raman scattering
    • G01N21/658Raman scattering enhancement Raman, e.g. surface plasmons

Abstract

表面増強ラマン分光法(SERS)デバイスは、非導電性の基板と;微小電極の縁部に沿ってかつ/または微小電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの微小電極と;検出サイト内に配された複数の金属ナノ粒子を具備するナノ粒子構造とを具備する。前記少なくとも2つの微小電極の間の電場によって、ナノ粒子構造のアセンブリが方向付けられてもよい。本発明のSERSデバイスは、安価で、頑健で、可搬式で、かつ再使用可能である。シンプルで、迅速で、かつ安価なファブリケーション技法で、SERSデバイスを準備および使用する方法についても説明する。

Description

分野
本発明は表面増強ラマン分光法(SERS)に関する。より具体的には、本発明は、シンプルにかつ高い費用効果で作製でき、かつ再使用可能である、非常に高感度のSERSデバイスに関する。
背景
環境流体中または生物流体中の、痕跡量の生化学的分析物、特に、疾患の原因となる分析物を検出するための、より感度が高くかつ費用効果が高いデバイスに対し、世界的に顕著なニーズが存在する。加えて、がんなどの疾患のバイオマーカーを早期に低レベルで検出できれば、迅速かつガイドされた処置が可能となり、最終的に、患者アウトカムがより良好となる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)、または質量分析(MS)など、現在の検出方法で正確かつ高感度な検出を行うには、高価な試薬と、訓練を受けた人員と、専用の研究室施設とが必要である。近年、ラマン分光法、特に、表面増強ラマン分光法(SERS)によってもたらされるさらなる感度が、生体分子、化学汚染物質、違法薬物、および全細胞の高感度検出に有望であることが示されている。
SERSは、高分解能かつ化学物質特異的である豊富な振動情報を、通常のラマン分光法よりも最大14桁大きい強度で提供でき、光ファイバー、ダイオードレーザー、および可搬式ラマン分光計と組み合わせることによって、ポイントオブケア診断または遠隔検出のための有望な技法となる。SERSは、(1)ナノ構造の金属表面に限局させて入射電磁場と散乱ラマン場とをいずれも局所的に増強するよう作用する局在表面プラズモン共鳴‐電磁励起によってもたらされる、電磁増強;および、(2)金属と吸着された分析物との間の電荷移動によってもたらされる、化学的増強、という2つのメカニズムを通じて生じる。SERSは、ナノ粒子が懸濁されたコロイド溶液中で行われることが多い;しかしこの検出方法には、再現性が低く、ナノ粒子/分析物の分布が不均質であり、SERS活性サイトが過渡的であるという欠点がある。したがって、精密にファブリケーションされた良好な構造のナノ基材が、SERSによる良好な検出の鍵である。現在のナノファブリケーションの方法は、専用のクリーンルーム施設、および、集束イオンビームエッチング、電子ビームリソグラフィ、原子層堆積、またはナノスフェア上金属薄膜堆積(metal film over nanosphere deposition)などの複雑な技法を必要とし、高価で時間もかかる。残念ながら、費用と特定の要件とが、SERSの広範な使用を限定している。
要約
本明細書において以下のデバイスを説明する:非導電性の基板と;微小電極の縁部に沿ってかつ/または微小電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの微小電極と;検出サイト内に配された複数の金属ナノ粒子を具備するナノ粒子構造と、を具備する、表面増強ラマン分光法(SERS)デバイス。
前記少なくとも2つの微小電極の間の電場によって、ナノ粒子構造のアセンブリが方向付けられてもよい。電場はAC電場を含んでもよい。電場はDC成分を伴うAC電場を含んでもよい。電場はDC電場を含んでもよい。電場は静電場を含んでもよい。ナノ粒子構造は、分枝状、クラスター状、凝集状、フラクタル状、および/または樹枝状の構造であってもよい。1つの態様において、ナノ粒子構造は樹枝状構造である。
ナノ粒子は機能付与されてもよい。機能付与されたナノ粒子は表面改質を含んでいてもよい。表面改質は、少なくとも1つのナノ粒子上に配された、少なくとも1つのタンパク質、核酸、機能分子、分子断片、エピトープ、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
本明細書において以下の方法も説明する:微小電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの微小電極を有する、非導電性の基板を提供する段階;および、検出サイト内における金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件下で、検出サイト上に複数の金属ナノ粒子を配する段階を含む、SERSデバイスを準備する方法。
金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件は、前記少なくとも2つの電極の間の電場を含んでいてもよい。電場はAC電場を含んでもよい。電場はDC成分を伴うAC電場を含んでもよい。電場はDC電場を含んでもよい。電場は静電場を含んでもよい。
本明細書において以下の方法も説明する:微小電極の縁部に沿ってかつ/または微小電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの微小電極を有する、非導電性の基板を提供する段階;および、前記少なくとも2つの微小電極間の電場の存在下で、検出サイト上に複数の金属ナノ粒子を配する段階を含み;その電場の存在下において検出サイト内で金属ナノ粒子がアセンブルされてナノ粒子構造になる、SERSデバイスを準備する方法。同方法は、任意でDC成分を伴う、AC電場を用いる段階を含んでもよい。同方法は、分枝状、クラスター状、凝集状、フラクタル状、もしくは樹枝状のナノ粒子構造、またはそれらの組み合わせをアセンブルする段階を含んでもよい。
方法は、機能付与されたナノ粒子を用いる段階を含んでもよい。機能付与されたナノ粒子は、ナノ粒子の表面改質を含んでいてもよい。機能付与されたナノ粒子は、少なくとも1つのナノ粒子上の、少なくとも1つのタンパク質、核酸、機能分子、分子断片、エピトープ、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
方法は、検出サイトにおいて分析物を濃縮させるために電極およびナノ粒子構造を用いる段階を含んでもよい。
方法は、検出サイト内で樹枝状のナノ粒子構造を除去可能にアセンブルする段階を含んでもよい。
本明細書において以下の方法も説明する:微小電極の縁部に沿ってかつ/または微小電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの微小電極を有する、非導電性の基板を提供する段階;検出サイト内における金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件下で、検出サイト上に複数の金属ナノ粒子を配する段階;検出サイトに試料を適用する段階;および、検出サイト内の1つまたは複数の位置において試料をプロービングするためSERSを用いる段階を含む、SERSを用いて試料を分析する方法。
金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件は、前記少なくとも2つの電極の間の電場を含んでいてもよい。電場はAC電場、DC電場、または静電場であってもよい。電場はDC成分を伴うAC電場を含んでいてもよい。方法は、ナノ粒子構造のアセンブリ中および試料の適用中に電場が存在することを含んでいてもよい。
方法は、検出サイトにおいて試料中の分析物を濃縮させる段階を含んでもよい。
方法は、ナノ粒子構造および試料を除去する段階;ならびに、少なくとも2つの微小電極を有する非導電性の基板を再使用する段階をさらに含んでもよい。
本発明のさらなる理解のため、および本発明がどのように実現されうるかをより明確に示すため、添付の図面を参照しながら、諸態様を例示して説明する。
1つの態様に基づく、(a)SERSデバイスの微小電極上におけるナノ粒子構造の準備、(b)〜(c)分析物を検出するためのSERSデバイスの使用、および(d)微小電極が再使用可能となるようなナノ粒子構造の除去、を示した略図である。 図2A〜2Hは、さまざまな態様に基づくSERSデバイスの画像である;図2Aおよび2Cは、界面動電堆積(electrokinetic deposition)を通じて微小電極上に作製されたAgNP構造の顕微鏡写真であり、図2Bおよび2Dは、そのナノ構造の、対応するSEM画像である;図2Eは、DCオフセットを適用することにより界面動電堆積を通じて微小電極上に作製されたAgNP構造の顕微鏡写真であり、図2Fはそのナノ構造のSEM画像である;図2Gは、AuNPの界面動電堆積を伴う微小電極の顕微鏡写真であり、図2HはAuNPのSEM画像である。 異なる電場条件で形成されたSERSデバイスの性能を、R6GのSERSスペクトルにおける1360 cm-1 ピークの強度によって定量化し、AuNPおよびAgNPについて示したプロットである。 10-5 MのR6Gの検出について、AgNP樹枝状突起を界面動電堆積した1つの態様に基づくSERSデバイスと(可視化のためスペクトルが上方シフトされている)、Ocean Optics製SERS基板との比較を示したプロットである。 1つの態様に基づく、R6GによるSERSデバイスのキャリブレーションについての対数‐対数プロットである(エラーバーは、同一取得パラメーターにおける反復(n = 6)測定の標準偏差を表す)。 図5Aの態様について、濃度0.1 mM〜1 nM(上から下)における平均的なSERSスペクトルを示したプロットである;強調表示した領域はキャリブレーションに用いたピークを示している。 図6A〜6Cは、1つの態様に基づくSERSデバイスを用いた分析物の検出を示したプロットであり、図6A、6B、および6Cはそれぞれ、分析物の受動的表面吸着を用いた、メラミン、コカイン、およびチラムについての結果を示している;スペクトルはいずれも、SERSデバイス上の3つの異なる位置の平均を表す。 図7Aおよび7Bは、SERSデバイスの1態様と分析物の界面動電濃縮(electrokinetic concentration)とを用いて、BSA(図7A)および大腸菌(E. coli)K12(図7B)について得られたスペクトルのプロットである;「シリコン」は、AgNP樹枝状突起の不在下で信号が観察されないことを示す。 コーティングなしの樹枝状突起(下の記録線)、およびグラフェンコーティングした樹枝状突起(上の記録線)を用いて、ローダミン6G(R6G)で得られたSERS信号を示すスクリーンショットである。
諸態様の詳細な説明
本明細書において、安価で、頑健であり、かつ可搬式のSERSデバイスを説明する。加えて、本明細書に説明するSERSデバイスは再使用可能であってもよい。本明細書においてまた、シンプルで、迅速で、かつ安価なファブリケーション技法で、SERSデバイスを準備および使用する方法についても説明する。
本明細書において用いる「SERSデバイス(SERS device)」という用語は、固体基板と、その基板上に配された2つまたはそれ以上の微小電極と、その2つまたはそれ以上の微小電極間の電場に従って微小電極間でナノ粒子構造を形成するよう構造上に配されたナノ粒子とを具備する、ラマン分光法を用いて分析物を分析するために用い得るデバイスを指す。
本明細書において用いる「固体基板(solid substrate)」という用語は、その上に2つまたはそれ以上の微小電極が配される、SERSデバイス用の支持材料を指す。固体基板は頑健である;それは、自己支持性、曲げ抵抗性、耐洗浄性、および耐水性などの1つまたは複数の特性を有することを意味する。固体基板は曲げに抵抗するが(例えば、力が加えられていない状態で曲がらない)、可撓性であってもよい。固体基板は導電性でなく、例えばシリコン、ガラス、石英、アルミナ、ポリマー、紙などの1つまたは複数の材料を含んでもよい。
本明細書において、「電極(electrode)」および「微小電極(microelectrode)」の用語は交換可能に用いられる。概して、電極のサイズは実質的にさまざまであってもよい。本明細書に説明する態様において、電極は、所与の用途およびSERSデバイスの設計に応じて適切にサイズ決定されてもよい。例えば電極は、ミクロンスケールもしくはミリメートルスケールであってもよく、またはそれより大きくてもよい。
本明細書において用いる「検出サイト(detection site)」という用語は、そこに樹枝状突起が形成されてもよい電極縁部の近傍および/または電極縁部に沿った、そこで分析物が検出されてもよい任意のエリアを指す。検出サイトは、例えば、そこで分析物が検出されてもよい、2つまたはそれ以上の電極間のエリアを含んでいてもよい。調査対象の試料がSERSデバイス上の検出サイトに置かれてもよい。
固体基板材料の表面は、その上に、2つまたはそれ以上の微小電極を形成する導電層がコーティングまたは堆積されてもよい。導電層は、金属(単一金属もしくは合金を1つもしくは複数の層において含んでもよい)、または、1つもしくは複数の非金属材料(炭素、グラフェン、導電性ポリマー(例えばポリピロール)、もしくは導電性ポリマー複合体など)を含んでいてもよい。2つまたはそれ以上の電極は、2-Dまたは3-D(例えば非平面)の構成に配されてもよく、2つまたはそれ以上の微小電極の対向縁部間に1つまたは複数の検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係に配置される。例えば、基板上に1つまたは複数の電極が配されてもよく、かつ、デバイス(例えばプローブ)の先端上に1つまたは複数の電極が配されてもよく、3-Dの電極構成が作製されるように基板とデバイスの先端とが配置されてもよい。この構成は、先端電極を基板電極に対して動かすことを可能にしてもよい。別の実施例において、第一の基板上に1つまたは複数の電極が配されてもよく、かつ、第二の基板上に1つまたは複数の電極が配されてもよく、3-Dの電極構成が作製されるよう、第一および第二の基板が向かい合わせに(例えば、実質的に同一平面上かまたは選択された角度に)配置されてもよい。2つまたはそれ以上の微小電極は、最終的な形態で堆積されてもよく、または、(例えば機械的、化学的、レーザーの、および/もしくは微細加工的な技法を用いて)後で金属を除去することによって、形成されるか、もしくは、その形状、サイズ、および/もしくは間隔が調整されてもよい。例えば、検出サイトのサイズまたは形状を調整するかまたは適応させるために、2つまたはそれ以上の微小電極の形状、サイズ、および/または間隔が実現されてもよい。当業者には明らかであるように、固体基板への金属の付着を可能にするかまたは増強するため、金属を堆積する前に必要に応じて固体基板の表面前処理が行われてもよい。
本明細書において用いる「ナノ粒子構造(nanoparticle structure)」および「ナノ構造(nanostructure)」という用語は、金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件下において、検出サイト内の金属ナノ粒子によって取られるかまたは実現される構造を指す。その条件には、前記2つまたはそれ以上の電極をまたぐ電位差を印加することによって生成されてもよい、前記少なくとも2つの電極間の電場が含まれる。1つの態様において、電場はAC電場であってもよい。別の態様において、AC電場はDC成分またはDCオフセットを含んでいてもよい。別の態様において、電場はDC電場であってもよい。別の態様において、電場は静電場であってもよい。静電場は、電極に静電荷を提供することによって生成されてもよい。例えば、荷電分子(例えば、ポリリジン、イオン性界面活性剤、DNAなどの解離可能な分子)、または、解離基を有する粒子が、電極上に配されていてもよく、それにより、外部の電気回路または電源を伴わずに静電場が生成されてもよい。概して、ランダム運動(すなわちブラウン運動)と同程度のスケールでナノ粒子に引力/運動を引き起こす電場に反応して、ナノ粒子構造が形成されてもよい。
ナノ粒子構造は、アセンブルされて分枝状、クラスター状、凝集状、フラクタル状、および/または樹枝状の構造になったナノ粒子を含む。金属ナノ粒子は、単一の金属から、または、2つもしくはそれ以上の金属の合金から、準備されてもよい。金属ナノ粒子は、異なる金属を含むナノ粒子の混合物を含んでもよい。金属は、銀、金、銅、および白金から選択されてもよいが、それに限定されるわけではない。
本明細書に説明するSERSデバイスは、(1)検出の感度を高めるという点において、強力なSERS増強、および(2)有効な表面被覆、という、2つの設計原理を実現する。しかし、先行のアプローチにおいては、これらの目標は競合的であることが多い;最小の絶対エネルギーで専ら堆積されるナノ粒子のコンパクトな凝集体は、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)をもたらすナノ粒子の密度によって強力なSERS増強をもたらす可能性があるが、分析物の吸着とそれに続くSERS検出とに資する大きな表面積は呈さない。
本明細書に説明する諸態様は、分枝、クラスター、および/または樹枝状突起を含んでいてもよいナノ粒子構造の間に強力なLSPRカップリングを提供することによって、このトレードオフを克服する。本明細書に説明するように、これは、金属ナノ粒子の界面動電堆積、すなわち、電場によって推進されるナノ粒子構造のアセンブリを通じて、実現される。界面動電堆積は、前記2つまたはそれ以上の微小電極の間に(すなわち、検出サイトをまたいで)電場を生成するため、例えば正弦波、方形波、三角波、鋸歯状波などの交流(AC)波形をそれら電極に印加する段階を含む。いくつかの態様において、直流(DC)オフセットもまた、前記2つまたはそれ以上の微小電極に印加されてもよい。いくつかの態様において、DC電場または静電場が前記2つまたはそれ以上の微小電極に印加されてもよい。電場は、ナノ粒子に作用して、いくつかの態様において分枝、クラスター、および/または樹枝状突起の形成を含む、ナノ粒子構造の形成に、影響を及ぼすかまたはこれを誘導もしくは方向付けする。ナノ粒子構造は「活性(active)」であってもよい;これは、電極間隙をまたぐ電場を提供および任意で制御することによって、分枝、クラスター、および/または樹枝状突起の形成および範囲を含む、構造の特性が、堆積中においてもまた試料の分析中において(すなわち動的に)も、制御、チューニング、および/または最適化されてもよいことを指す。例えば、AC電流および任意でDCオフセットの、1つまたは複数のパラメーター(例えば、電圧、電流、周波数、波形の形状、デューティサイクル)を調整し、これにより電場を調整することによって、電場が制御されてもよい。結果が示すところによれば、樹枝状突起などのナノ粒子構造は、基板表面全体を良好に被覆するのみならず、微小電極の伸展部としても作用して、電場を局所的に増強しかつ検出サイトへの分析物の能動輸送も可能にする。
金属ナノ粒子はまた、(1)高アスペクト比および/または異方性(例えば、ナノロッド、ピラミッド形、半球、十面体などの非球形状または不規則形状によって提供されるような、高い表面対体積比;2つまたはそれ以上の不規則形状が用いられてもよい)、ならびに、(2)表面の不規則性(例えば、変化に富む表面トポグラフィ、または、バンプ、ポイント、ナノスター、ナノアーチン(nano-urchin)などの表面特徴)という、2つの性質を呈してもよい。
追加的または代替的に、選択された分析物に合わせて特異度および感度を最適化するため、ナノ粒子、および/または樹枝状突起などのナノ粒子構造が、例えばタンパク質(例えば酵素、抗体)、抗体断片(例えばエピトープ)、核酸(例えばRNA、DNA、アプタマー)、または機能分子(例えば、鎖の両側に1つずつある2つの官能基で終端している炭化水素尾部を備える自己組織化単分子膜(SAM))、およびそれらの組み合わせのうち、1つまたは複数によって、機能付与されてもよい。例えば、分析物とナノ粒子とのカップリングを補助するため、特定の表面官能基を突出させているナノ粒子が準備されてもよい。表面改質/機能付与は、ナノ粒子、および/または樹枝状突起などのナノ粒子構造に、グラフェンおよびグラフェン誘導体など炭素ベースの材料を適用する段階を含んでいてもよい。例えば、SERS信号を増大させるため、ナノ粒子構造および/またはナノ粒子上にグラフェンオキサイド、還元グラフェンオキサイド、または多層グラフェン粒子が堆積されてもよい。グラフェン材料は、例えば、グラフェンベースのナノプレートレットの懸濁液を、ナノ粒子構造の表面上に直接かかつ/またはナノ粒子構造の下にスプレーまたはその他適用することによって(例えば、まずコーティングを適用し、次にコーティングの上にナノ粒子構造をアセンブルすることによって)、コーティングとして堆積されてもよい。機能付与されたナノ粒子は、分析物に結合し、その後それを検出サイトにおいて濃縮させることによって、分析物のSERS検出を増強する。機能付与されたナノ粒子は、分析物を検出サイトにおいて濃縮させるため、単独で用いられてもよく、または電場とともに用いられてもよい。
図1A〜1Dに、1つの態様に基づくSERSデバイスの準備および使用の略図を示す。この態様において、4つの微小電極12a、12b、13a、13b(すなわち四極の微小電極アレイ)が基板10上に配される。検出サイトは図1Aにおいて4つの矢印で示されている。図1Aにおいて、金属ナノ粒子16を含有する液滴14が微小電極アレイ上に置かれ、同じ極性を有する微小電極の対向ペア(すなわち、12a、12b、および13a、13b)で微小電極にAC電圧を印加することによってアレイが活性化される。電場誘導効果を通じて、ナノ粒子16がアセンブルされて分枝状または樹枝状のナノ構造16aになる。次に、金属ナノ粒子を含有する液滴が空気流で除去され、デバイスが脱イオン水ですすがれる。図1Bに、試料18の液滴がSERSデバイス上に置かれ、分析物粒子18aが検出サイトに濃縮される、分析物の能動的収集を示す。図1Cにおいて、検出サイトをプロービングし、分析物を同定/定量化するため、ラマンマイクロ分光法19が用いられる。図1Dにおいて、SERSデバイスを再使用できるよう、樹枝状突起および試料を除去するため、微小電極アレイが界面活性剤溶液(例えば食器用洗剤)で洗浄される。
図1A〜1Bは2-D構成の態様を示しているが、他の態様において、電極が3-D構成に配されていてもよい。例えば、(すべて同じ電荷の)1つの電極アレイが1つの表面上に配され、(反対の電荷の)対電極アレイが、(例えば対向する2つの壁のように)先の表面に面した表面上に配されていてもよい。
AC電場下において観察される、金属NPの動きおよびアセンブリは、以下のうち1つまたは複数によって引き起こされると考えられている:(1)ナノ粒子のブラウン運動;(2)空間的に不均一な電場において分極性粒子に直接作用する決定的な力である、誘電泳動(DEP);(3)概して誘導双極子間の束縛(chaining)を引き起こすように作用する、電場により生成される引力性の粒子‐粒子相互作用である、相互DEP;(4)電場において荷電粒子に直接作用する決定的な力である、電気泳動(EP);ならびに、(5)AC電気浸透(ACEO)およびAC電熱流(AC ETF)を含む、電気流体力学的な流体フロー。一部のAC電場条件(例えば電圧、周波数)においては、これら3つの界面動電力(electrokinetic force)は競合する可能性があり、すると、複雑な構造内におけるNPの有意な編成および保持が妨げられる。概して、ACEOは100 Hz〜100 kHzの周波数範囲で作用し(ただしこの範囲は媒質の導電率によって異なる)、AC ETFは100 kHzを超えるAC周波数で優勢となる。
編成および伸展される樹枝状のナノ構造は、誘電泳動と双極性粒子束縛力(dipolar particle chaining force)とを伴う、質量移動により制御されるプロセスを通じて、形成されると考えられている。球形粒子上の誘電泳動力の時間平均 < FDEP > は次式によって与えられる:
Figure 2019525186
上式において、εm は媒質の誘電率であり、r は粒子の半径であり、E は電場の二乗平均平方根強度であり、
Figure 2019525186
は、媒質に対する粒子の分極率の尺度である、複素数値のClausius-Mossotti係数を表す。導電性ナノ粒子の場合、この値は実験周波数の広範囲(<10 GHz)にわたって正値であり、ゆえに誘電泳動は、電場勾配が大きい領域の方向に作用する(これは、正のDEP、pDEPと呼ばれる)。加えて、非対称な幾何学形状または高いアスペクト比を備えたナノ粒子の場合は、
Figure 2019525186
が1よりはるかに大きくなる可能性があり、これにより、分枝化および樹枝状突起の成長を促進する、より強力な引力性のDEP力および配向トルクが生じうる。
金属性の樹枝状ナノ構造は、主として、金属イオン含有溶液による堆積および還元を伴う電気化学的プロセスを通じて、以前に作製されている(Yu, J.ら, "Synthesis of Dendritic Silver Nanoparticles and Their Applications as SERS Substrates", Adv. Mater. Sci. Eng., 2013:1-4; He, L.L.ら, "Surface-enhanced Raman spectroscopy coupled with dendritic silver nanosubstrate for detection of restricted antibiotics", J. Raman Spectrosc, 41:739-744, 2010; Wang, Q.ら, "Ag dendritic nanostructures or rapid detection of thiram based on surface-enhanced Raman scattering", RSC Adv., 5:70553-70557, 2015; Fei Chan, Y.ら, "Ag dendritic nanostructures as ultrastable substrates for surface-enhanced Raman scattering", Appl. Phys. Lett., 102:183118, 2013)。そのような樹枝状突起は、狭い間隔の樹枝状突起分枝上へのナノ粒子のカップリングを通じてプラズモン共鳴が広がることによって、(特にAgで作製された場合に)増強性の高い基材として機能する(Kneipp, K.ら, "Surface-enhanced Raman scattering and biophysics", J. Phys. Condens. Matter, 14:R597-R624, 2002)。しかしAgは、貴金属中で増強係数が最も大きいものの、安定性が最も低い(大気条件中で酸化する);したがって、その増強能を利用できるようにするには、インサイチューで、迅速で、かつポイントオブユースである、Ag樹枝状突起のファブリケーション方法が必要である。
樹枝状突起の形成プロセスは、質量移動により制御されるプロセスであり、これは主に、閾値の局所ナノ粒子濃度および引力の大きさでの、近距離の誘電泳動力を通じて生じる。本明細書に説明する諸態様において、約2.5〜3.5 Vのピーク‐ピーク電圧によって、双極性束縛力(例えば相互DEP)が荷電ナノ粒子間の静電反発力を克服でき、これにより、伸展した樹枝状ナノ粒子構造の形成が促進される。金属ナノ粒子は導電性であるので、pDEPに媒介されるNPの蓄積が電極を効果的に伸展させ、これは電場を局所的に歪ませるとともに、ワイヤの伸展を促進する高電場領域を作り出す。pDEPに媒介される導電性ナノ粒子の編成は以前にも報告されているが、そのような編成は、単方向の連鎖またはワイヤ状の構造に限定されていた(例えば、Papadakis, S.J.ら, "Dielectrophoretic assembly of reversible and irreversible metal nanowire networks and vertically aligned arrays", Appl. Phys. Lett., 88, no.23:233118, 2006; Ranjan, N.ら, "Growing one-dimensional metallic nano wires by dielectrophoresis", Small, 2:1490-6, 2006を参照されたい)。
しかし、本明細書に説明するように、単方向の伸長ではなく分枝化および樹枝状突起形成をもたらすには、ナノ粒子が、ゆっくり動き、かつ、様々なエネルギー状態を取りうるよう充分に小さな力を受けなければならない。ゆえに、界面動電学的パラメーターに存在する、樹枝状突起形成が生じうるためのウィンドウは小さい:電圧は、ナノ粒子の緊密な関連が生じうるだけ充分に大きくなければならないが、単一の高電場領域での凝集を引き起こすほど大きくてはならない;そして周波数は、質量が制限された成長が生じうるよう、電気流体力学的な流体フローを最小化する周波数でなければならない。
本発明の諸態様は、電場によりガイドされる金属ナノ粒子のアセンブリ、プラズモン活性である樹枝状構造、ならびに、分析物を局所的に濃縮させる電極構造およびナノ粒子構造(例えば樹枝状構造)などの、特徴の組み合わせを含む。この組み合わせによる特徴は、ともに、痕跡量の分析物を検出するための超高感度のSERSデバイスを提供する。
加えて、本発明の諸態様は、頑健で、再使用可能で、かつ再構成可能である構造を提供する、固体基板を特徴とする。諸態様は、この特徴において、柔らかい基板(例えば一部の先行デバイスにおける紙など)を有する先行デバイスと非常に対照的である。固体基板であることにより、使用後に(例えば石鹸などの簡便な界面活性剤溶液で洗浄するなどによって)樹枝状突起を表面から除去し、新鮮なナノ粒子の適用によって置換することができる。さらに、固体基板は、大量生産に適合可能なファブリケーション技法を使用できるので、「オンチップSERS」デバイスを、非常に低いチップあたりの費用で生産することが可能であり、かつ、マイクロ流体デバイスにも適合可能である。準備にフォトリソグラフィ(クリーンルーム)施設が用いられる場合もあるが、このことは必ずしも必要ではない;一部の態様、特に、電極の構成が比較的大きくかつシンプルである態様は、ワークベンチ/ラボベンチ上でアセンブルされるか、または、小さな手持ち式デバイスを含み得る簡素化された機器を用いてアセンブルされてもよい。例えば、カートリッジ内に含有された懸濁液の形態でナノ粒子が供給される、手持ち式デバイスの内部で、樹枝状突起の能動的なアセンブリプロセスが生じてもよい。そのような態様では、専用の施設および機器の必要がなくなり、したがって、感度を犠牲にすることなく、費用および準備時間を大幅に低減できる。
本明細書に説明するようなSERSデバイスは、同じチップ上の複数の位置で独立にアセンブルされてもよく、これにより、複数の分析物の検出を同時に生じさせてもよい。本明細書に説明するようなSERSデバイスおよび方法は、光ファイバーおよびモジュール式ラマン顕微鏡に適合可能であり、これにより、小型化および可搬性向上が可能となる。例えば、本発明の諸態様は、現場使用および手持ち使用するよう構成および適合されてもよい。本明細書に説明するようなSERSデバイスおよび方法は、ほぼどこでも数分以内にデバイスを構築することを可能にする。例えば、検出事象の直前にSERSデバイスがインサイチューで構築されてもよく、これにより基材の劣化(例えば酸化)が回避される。
以下の非限定的な実施例によって諸態様をさらに説明する。
実施例1
SERSデバイスを、本明細書に説明するようにファブリケーションし、ローダミン、メラミン、チラム、コカイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、および大腸菌(Escherichia coli (E. coli))K12の検出に用いた。
材料
ローダミン6G(R6G、99%)、メラミン(99%)、チラム(Pestanal(登録商標)、分析用標準)、コカイン(1 mg/mL、アセトニトリルに溶解)、ウシ血清アルブミン(BSA、>98%)、およびアビジン-FITC(卵白由来)を、Sigma-Aldrich(Oakville, ON)から購入した。2 mMのクエン酸溶液中で安定化させた直径50 nmの銀ナノ粒子(AgNP)、および、0.1 mMのPBS中で安定化させた直径60 nmの球形金ナノ粒子(AuNP)を、Cytodiagnostics Inc.(Burlington, ON)から入手した。熱成長させたSiO2 層(0.5 μm)を備えた磨きシリコンウェーハ(直径4")を、University Wafer(South Boston, MA)から購入した。実験全体を通してMillipore(登録商標)水(18.2 MΩ cm)を使用した。
マイクロチップのファブリケーション
電極のマイクロファブリケーションは、Kingston Nanofabrication Facility(KNFL, Innovation Park, Kingston, ON)において、基板としてのシリコンウェーハに対するマスクレスフォトリソグラフィと、それに続く金属膜電子ビーム蒸着およびリフトオフとによって行った。ネガ型フォトレジスト(SU-8, MicroChem Corp, Westborough, MA)をIMPマスクレスフォトリソグラフィシステムとともに用いて、微小電極パターンをシリコン基板に転写した。堆積したAu層(厚さ100 nm)のシリコン基板への付着を向上させるため、5 nmのクロム層を用いた。
分析物試料の準備
R6Gをメタノールに溶解して0.1 Mのストック濃度にし、これをメタノール/水(1:1)混合液で希釈して、1 mM、0.1 mM、0.01 mM、0.001 mM、100 nM、10 nM、および1 nMの溶液を生成した。メラミンを水に溶解して1 mg/mL(1000 ppm)のストック濃度にし、これを水で希釈して、100 ppm、10 ppm、1 ppm、100 ppb、10 ppb、1 ppb、および100 pptの溶液を生成した。コカインをアセトニトリルに溶解して1000 ppmのストック濃度にし、これを水で希釈して、100 ppm、10 ppm、1 ppm、100 ppb、10 ppb、および1 ppbの溶液を生成した。大腸菌をLB寒天平板上で培養した。その菌を水に懸濁し、6000 rpmで10分間遠心分離し、この懸濁/遠心分離の段階を2回繰り返すことによって、低導電率の懸濁液(1.0±0.5 mS/m)を作り出した。Petroff-Hausser菌数計算盤を用いて懸濁液の濃度を決定した。
ナノ粒子溶液の準備
有効な表面被覆を行うには、ナノ粒子の界面動電堆積に先んじて前濃縮の段階が必要であると決定された。したがって、すべてのナノ粒子溶液を、3800gで20分間遠心分離し、続いて、粒子数2.9 x 1011 個/mLの最終濃度に達するまで上清を除去することによって、濃縮した。濃縮後に試料を超音波処理した;複数回の実験に適した時間にわたって、分散が単一の様式であり、非凝集で、かつ安定していることを確認するため、Malvern Zetasizer Nanoによる動的光散乱(DLS)およびゼータ電位測定を用いた。
ナノ粒子の界面動電堆積
すべての実験を室温で行った。細菌懸濁液は希釈直後に用いた。マイクロピペットを用いて、濃縮NP溶液の試料10 μLを微小電極アレイ上の中央に置いた(例えば図1A)。DCオフセットを0.5 Vとし、10 Hzおよび2.5 Vpp(正弦波形)で12分間、ナノ粒子の界面動電的アセンブリを行った。NP堆積後、チップを水で洗浄し、空気流で乾燥させた。
比較的小さい分析物(R6G、メラミン、コカイン、およびチラム)については、分析物の受動的収集(すなわち受動吸着)を用いた;すなわち、2 μLの分析物溶液を微小電極アレイの表面上に堆積させ、検出前に溶媒を放置蒸発させた。比較的大きい分析物(BSAまたは大腸菌)については、検出前に、界面動電的に分析物の能動的収集を行った;すなわち、10 μLの分析物溶液の液滴を微小電極アレイ上の中央に堆積させ、10 kHzおよび15 Vpp で15分間、収集を行った。
表面の特性決定
走査電子顕微鏡観察(SEM)を、Queen's Facility for Isotope Researchにおいて、MLA 650 FEG 環境制御型SEMにより電圧5.00 kVで行った。光学顕微鏡観察を、ラマン顕微分光計のOlympus BX-41 顕微鏡で行った。SEM画像の処理および表面被覆率のパーセンテージ分析にImageJを用いた。蛍光顕微鏡観察を、緑色蛍光タンパク質(GFP)フィルターを備えたOlympus 1X83倒立蛍光顕微鏡で行った。
ラマン測定およびスペクトル処理
632.8 nmのHe/Neレーザー(17 mW)と、1800 1/nmの回折格子と、Olympus BX-41 顕微鏡とを備えた、HORIBA Jobin Yvon ラマン分光計(モデル:LabRAM)を用いた。スペクトル収集は、後方散乱モードにおいて、顕微鏡対物レンズ x100、ピンホール 500 μm、およびスリット幅 500 μmの条件下で行った。すべてのラマンスペクトルについて、多項式減算によるバックグラウンド補正を行い、かつ、Savitsky-Golayフィルターでノイズを低減した。
ナノ粒子の界面動電堆積の最適化
広範な電圧および周波数条件にわたって最適化実験を行った。樹枝状突起形成が生じるためのウィンドウは、約1〜100 Hzの周波数と、約2.5〜3.5 Vのピーク‐ピーク電圧(すなわち、約1.5〜2.1 x 105 V/mの電場強度)とを含むことが見いだされた。例えば、1つの実験において、10 Hz、ピーク‐ピーク電圧2.9 V(Vpp)において、伸展した樹枝状突起が形成された。図2Aおよび2Bの光学顕微鏡画像およびSEM画像に示されているように、これらの条件において、12分間の電場活性化の間に、隣接する微小電極間において、約15 μm伸びた樹枝状突起が作製された。
図2Aにおいて、AgNP(2 mMのクエン酸溶液中で安定化させた直径50 nmの銀ナノ粒子)を、10 Hzおよび2.5 Vpp の正弦波形で用いた。光学顕微鏡観察では、微小電極検出サイトがAgNP樹枝状突起で有効に表面被覆されたことが示され、図2BのSEM画像において、これらの構造が複雑に分枝し、それによりLSPRカップリングおよび高いSERS活性が可能になっていることが示された。図2Cにおいて、100 Hzでは一部のAgNP樹枝状突起が樹枝状突起周囲の小さなエリア内で形成されており、それは図2DのSEM画像においても見られるが、微小電極検出サイトの被覆の範囲は少なくなっている。図2Eおよび2FではDCオフセットが印加されており、その結果、樹枝状突起が指向性に成長し、伸展もより良好である。
図2Gおよび2Hについては、AuNP(0.1 mMのPBS中で安定化させた直径60 nmの球形金ナノ粒子)を、AgNPの場合と同じ周波数および電圧下で用いた。これらの条件下において、図2HのSEM画像に見られるように、AuNPによって樹枝状突起は作製されず、むしろ、微小電極の縁部に沿ってナノスフェアの緻密層が作製された。これは、ナノ粒子の安定化溶液の違い(AgNPでは2 mMのクエン酸溶液、AuNPでは0.1 mMのPBS)によるものか、または、ナノ粒子の形状の違い(AuNPは高度に球形であることがSEM下で観察されたが(図2Hを参照)、一方、AgNPはランダムな異方性の幾何学形状であったこと)によるものである可能性がある。
AC電場のみ(DCオフセットなし)の場合は、図2Aに示すように、樹枝状突起が両電極から等しい速度で成長した。小さなDCオフセットを印加すると、樹枝状突起の成長がより広範になり、かつ、単一の電極から指向的な様式で選択的な成長が生じた。図2Eでは、ピーク‐ピーク電圧の大きさを一定に保ったまま、0.5 Vの正のDCオフセット(AgNPは負のゼータ電位を有する)を印加した。その結果、樹枝状突起の成長は微小電極ペアのうち1つのみで生じ、微小電極の短小化を伴わずに間隙をまたいで伸展した。DCオフセットがあると、DEPより遠距離の力であるEPがNPを樹枝状突起形成サイトに運ぶことが可能となり、これにより、質量制限された凝集プロセスが可能となって、樹枝状突起の成長が促進される可能性がある。これには、分析物の能動的濃縮を増強するため別々または同時に用いられてもよい、2つの主な利点がある:(1)分析物濃度の増幅を方向付ける;すなわち、微小電極間隙が小さくなることによって電気的な力がより強くなり、すると、より小さな分析物(例えばタンパク質、DNA)を分析物溶液のバルクから検出サイトに引き付けることができる;および、(2)微小電極間隙が小さくなることによって、強い電場に誘導された流体フローパターン(電気浸透、電熱力)の生成が可能となり、これは、分析物をバルクから樹枝状突起表面に輸送する「コンベヤベルト」として作用でき、これによって分析物の吸着率または捕捉率が高まる。注目された点として、結果として生じる微小電極間隙はきわめて小さく(例えばミクロンまたはサブミクロンのスケール)、標準的なフォトリソグラフィ技法では再現が困難である可能性がある。したがって、樹枝状突起の成長を増強するこの方法は、微小電極間隙が小さい態様を提供し、かつ一方で、専用の生産技法または機器、および関連費用の必要性を回避できる。
ローダミン6GによるSERSデバイスの特性決定
図3に、AgNPおよびAuNPを用いた態様で行った、最適化実験の結果を示す;同実験では、明瞭かつ強いラマンスペクトルを備えたラマンレポーター分子であるローダミン6G(R6G)のラマンスペクトルにおける、主要ピーク(1360 cm-1)の強度によって、SERSの性能を定量化した。R6Gスペクトルは、612、1179、1306、1360、1505、1567、1595、および1646 cm-1 におけるラマンピークを特徴とする。図3に見られるように、AuNPの態様のピーク強度は、AgNPの態様と比較して、常に大幅に低かった。AuはAgより本来的にSERS活性が低く、かつ、本実験の電場条件においてAuNPからの樹枝状突起形成は観察されなかった(図2Gおよび2H)ので、これは予測された結果であった。
界面動電的に準備したAgNP樹枝状SERSデバイスの性能を、顕微鏡用スライドガラスで支持された紙製ステッカー上に堆積されたAuNPによる市販のSERS基板(Ram-SERS-Au, Ocean Optics, Inc.)を対照として試験した。本発明の態様および市販の基板によるスペクトルは、同一の取得パラメーター(633 nmのレーザー、10秒間の取得時間、および、Ocean Optics製基板の厚さに対応するためのx10の対物レンズ)で取得し、いずれの場合も、メタノールに溶解した10-5 MのR6Gを10 μL、表面上に滴下して、放置蒸発させた。図4に示すスペクトルが示すように、用いた試験条件下において、界面動電的に準備したAgNPの態様は、市販の基板より性能が顕著に良好であった。
R6Gスペクトルにおける主要ピーク(1360 cm-1)の強度を用いて、式(2)によりSERS増強係数(EF)を計算した:
Figure 2019525186
上式において、ISERS および INR は、それぞれ、SERSデバイス/基板上およびシリコン(通常のラマン)表面上の、(バックグラウンド補正後の)1360 cm-1 ピークの強度であり、NSERS および NNR は、それぞれ、SERS表面上およびシリコン表面上に吸着された分析物分子の数である。図4に示したデータを用いると、本発明の態様について、EFは 4 x 105 となった;これに、シリコン表面上の推定表面被覆率が38%であることを考慮すると、銀ナノクラスター領域あたりのEFは 1 x 106 となる。これに対し、Ocean Optics製基板について、EFは 2 x 104 となり、これは、当分野の研究者らによって作製および/または使用されている他のSERS基板と同程度である [31]-[33]。
AgNPの態様の定量的検出能力を示すため、濃度0.1 mM〜1 nMのR6Gによるキャリブレーションを行った。1360 cm-1 ピークの強度を定量に用いた。結果を図5に示す。データが示すように、6桁のオーダーにわたって、R2 値が0.98824であり、良好な線形性が見られた。
受動的表面吸着を介した化学物質感知
流体ベースの感知に関連性がある3つの生化学的分析物、(1)メラミン、(2)コカイン、および(3)チラムについて、受動的表面吸着を介した化学物質感知を行うため、AgNPによるSERSデバイスを用いた。メラミンは、樹脂生産および肥料に用いられる窒素性の工業用化学物質であり、摂取および代謝されると腎臓内で不溶性の結晶を形成する可能性があり、これは腎不全につながる。メラミンは窒素含有率が高い(質量比66.7%)ので、見かけ上のタンパク質含有量を増やす目的で、乳製品、乳児用調合物、またはペットフードに添加されてきた。そのような使用によって、2007年に米国において数百匹のネコおよびイヌが死亡し、2008年に中国において50,000人以上の乳児が入院した。世界保健機関は、メラミンの安全な許容濃度を、ミルクでは2.5百万分率(ppm)、乳児用配合物では1 ppmと設定しており、カナダ保健省はこれをさらに下げて0.5 ppm以下としている。SERSデバイスによるメラミン検出の結果を図6Aに示す。メラミンの最も強いラマンピークは685 cm-1 にあり、これは、トリアジン環の面内変角の特性であるリングブリージングII(ring breathing II)モードとされている。本態様の強力なSERS性能により、メラミンは1 ppbという低濃度でも検出された。現在、ミルクおよび乳児用調合物など、より複雑な食品マトリクス中のメラミン検出について実験が行われている。
コカインは、緊急ケアを要する場合もある複数の健康有害作用に関連する違法薬物である。例えば、2011年に米国において、コカインは、違法薬物に関係する救急治療室受診の40.3%に関連していた。適切なケアを処方しかつ/または薬剤関連事故を防ぐため、迅速かつ低侵襲な技法によるコカイン検出方法が明らかに必要とされている。唾液は99.5%が水分であり、化学分析において生じるバックグラウンドのラマン信号が無視できる程度であるので、SERSベースの検出は唾液薬物検査に特に適合性がある。連邦政府が定めるコカインの職場検査のカットオフ濃度は120〜150 ppbであり、一方、臨床用途におけるカットオフ濃度は10〜50 ppbである。SERSデバイスの態様を用いたコカイン検出の結果を図6Bに示す。コカインの水溶液をSERSデバイス上に直接滴下し、1003 cm-1 における最も顕著なピークを分析物の存在の同定に用いた。検出限界は、職場検査の限界をはるかに下回り、かつ、臨床用途における範囲の下限である、10 ppbとなった。
チラムは、工業および農業において殺真菌剤または動物忌避剤として広く用いられる有機硫黄化合物である。チラムは、代謝されると、肝臓に対して毒性がある二硫化炭素を生じる。米国環境保護庁は、食料製品中のチラムについて残留上限を7 ppmと定めている。果物および野菜中の殺虫剤濃度をモニターする、現在の大多数の方法では、HPLCが用いられる。図6Cに示すように、チラムのアセトン溶液について10 ppbという検出限界が得られた。
局所分析物濃度の界面動電的な増幅を介したバイオセンシング
上記の実験において、SERSデバイスは、受動吸着を通じて極低濃度の化学分析物を高感度で検出できることが示された。しかし、微小電極上に電気的に取り付けられた伸展部としてナノ粒子樹枝状突起を(DCオフセットを伴って)電場誘導アセンブリすると、もし分析物の存在下において電場が維持されるのであれば、分析物濃度の能動的増幅という追加的機能を提供できる可能性がある。より具体的には、樹枝状のナノ粒子構造を備えたSERSデバイスは、微小電極間の間隙をブリッジングすることにより、強度がはるかに高い電場を生成できる(E = V/d)。これによりもたらされる強い力は、分析物をバルク試料から引き付け、検出サイト上において局所的に濃縮させる。樹枝状のナノ粒子構造を伴わず、誘電泳動のみ(r3 のスケーリング)である場合は、細菌およびウイルスなど大きな生物学的対象物を引き付けられるにすぎない。しかし、樹枝状のナノ粒子構造の存在下では、この能力が、生体分子(例えばタンパク質、DNA)などより小さな対象物にも拡張されうる。分析物濃度の能動的増幅の原理を示すため、同技法を、豊富な血漿タンパク質であるBSA、および桿状のグラム陰性菌である大腸菌K12の検出に適用した。
BSAは、周知の一次構造を備えた、球状の水溶性タンパク質である(分子量 66 267 Da)。BSAを0.5 wt%で水溶し、そのタンパク質溶液5 μLを、AgNPによるSERS活性微小電極表面上に堆積させた。BSAの検出結果を図7Aに示す(ピークは文献の報告に基づいて割り当てた)。微小電極がタンパク質分子に誘電泳動力を及ぼすように活性化させた微小電極間隙において、(1)SERS増強、および(2)分析物の界面動電濃縮という、2つのソースからの増幅によって、明瞭なSERSスペクトルが測定された。観察されたピークは、アルファヘリックスに富むBSAの構造とよく一致する。タンパク質の受動吸着が可能であった微小電極間隙においては、得られたスペクトルの明瞭度がより低かった。このスペクトルも、SERSデバイスによる増幅を受けてはいるが、分析に資する明瞭なスペクトルをもたらすほど充分にはタンパク質が吸着されていない。それでも計量化学的なスペクトル分析によって同定を行える可能性はあるが、それには複数のスペクトル測定とモデルトレーニングとが必要である。非修飾のシリコン表面上では、タンパク質による信号は観察されず、従来のラマン分光法は検出に充分でない。
大腸菌K12についても、電極活性化を介した検出において、BSAの場合と同様の結果が得られた。狭いスペクトル領域が分析され、アミノ酸類、ならびに、CH変角およびCHO伸縮によるピークが同定された。大腸菌はBSAより大きな分析物であるので(長さ約2 μm)、受ける誘電泳動力がより大きく(∝ r3)、かつ、検出領域への界面動電濃縮もより強い。したがって、図7Bにおいて「電場なし」のスペクトル強度が小さいことは、それらの領域において分析物濃度が著しく枯渇していたこと、すなわち、すべてではなくとも大半の細菌が単一の微小電極間隙に濃縮されていたことに、起因している可能性がある。この実験において、大腸菌は106 個/mLの濃度で検出された;しかし、界面動電濃縮とSERS増強との組み合わせにより、LODは菌数102 個/mLより優れるであろうと予測される。
実施例2
ナノ粒子構造のグラフェン表面処理がSERS性能に及ぼす影響を調べるために実験を行った。2つのSERSデバイスを準備した。1つのSERSデバイスは、Agナノ粒子を用いて上述のように準備し、ナノ粒子構造の表面処理は行わなかった(コーティングなしの樹枝状突起)。別のSERSデバイスは、同様に準備し、次に、グラフェンによる表面処理を樹枝状突起に施した。グラフェンコーティングは、NMP(N-メチルピロリドン)中に分散させたグラフェンの懸濁液を用いて樹枝状突起をスプレーコーティングすることによって実現した。このケースにおいて、グラフェンは、界面活性剤溶液中の超音波処理によってグラファイトを施設内で剥離する方法によって得られた、多層グラフェンであった。図8に、コーティングなしの樹枝状突起(下の記録線)、およびグラフェンコーティングした樹枝状突起(上の記録線)において、ローダミン6G(R6G)のエタノール溶液(濃度10-5 M)の滴下によって得られたSERS信号を示す。全体的に、2〜5倍のSERS信号増強が観察された。
参照による組み入れ
本明細書に引用するすべての刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
等価物
以上に、本発明をその例示的態様に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、それらの態様に様々な変更を行いうることが理解されるであろう。したがって、本明細書に説明した態様は例示的なものにすぎないと考えられるべきであり、本発明はそれらに限定されるべきでない。

Claims (35)

  1. 非導電性の基板と;
    電極の縁部に沿ってかつ/または電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で該基板上に配された、少なくとも2つの電極と;
    該検出サイト内に配された複数の金属ナノ粒子を具備する、ナノ粒子構造と
    を具備する、表面増強ラマン分光法(SERS)デバイス。
  2. 金属ナノ粒子が、銀、金、銅、および白金、または、それらのうち2つもしくはそれ以上の組み合わせから選択される金属を含む、請求項1記載のSERSデバイス。
  3. ナノ粒子構造が、前記少なくとも2つの電極の間の電場によって方向付けられる、請求項1記載のSERSデバイス。
  4. 電場が、AC電場、DC電場、DC成分を伴うAC電場、および静電場を含む、請求項3記載のSERSデバイス。
  5. ナノ粒子構造が、分枝状、クラスター状、凝集状、フラクタル状、および樹枝状の構造のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載のSERSデバイス。
  6. ナノ粒子構造が樹枝状構造である、請求項1記載のSERSデバイス。
  7. ナノ粒子が機能付与されている、請求項1記載のSERSデバイス。
  8. 機能付与されたナノ粒子が表面改質を含む、請求項7記載のSERSデバイス。
  9. 表面改質が、少なくとも1つのナノ粒子上に配された、少なくとも1つのタンパク質、核酸、機能分子、それらの断片もしくは誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項8記載のSERSデバイス。
  10. 表面改質が、グラフェンまたはその誘導体を含む、請求項8記載のSERSデバイス。
  11. ナノ粒子構造が、検出サイトにおいて分析物を濃縮させる、請求項1記載のSERSデバイス。
  12. ナノ粒子構造が、検出サイト内で除去可能にアセンブルされる、請求項1記載のSERSデバイス。
  13. 前記少なくとも2つの電極が、2D構成で基板上に配される、請求項1記載のSERSデバイス。
  14. 前記少なくとも2つの電極が、3D構成で基板上に配される、請求項1記載のSERSデバイス。
  15. 電極の縁部に沿ってかつ/または電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの電極を有する、非導電性の基板を提供する段階;および
    該検出サイト内における金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件下で、該検出サイト上に複数の金属ナノ粒子を配する段階
    を含む、SERSデバイスを準備する方法。
  16. 金属ナノ粒子が、銀、金、銅、白金、および、それらのうち2つまたはそれ以上の組み合わせから選択される、少なくとも1つの金属を含む、請求項15記載の方法。
  17. 金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件が、電場を含む、請求項15記載の方法。
  18. AC電場、DC電場、DC成分を伴うAC電場、または静電場を含む、請求項17記載の方法。
  19. ナノ粒子構造が、分枝状、クラスター状、凝集状、フラクタル状、および樹枝状の構造のうち少なくとも1つを含む、請求項15記載の方法。
  20. ナノ粒子構造が樹枝状構造である、請求項15記載の方法。
  21. 機能付与されたナノ粒子を用いる段階を含む、請求項15記載の方法。
  22. 機能付与されたナノ粒子が、ナノ粒子の表面改質を含む、請求項21記載の方法。
  23. 機能付与されたナノ粒子が、少なくとも1つのナノ粒子上の、少なくとも1つのタンパク質、核酸、機能分子、それらの断片もしくは誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22記載の方法。
  24. 表面改質が、グラフェンまたはその誘導体を含む、請求項22記載の方法。
  25. 検出サイトにおいて分析物を濃縮させるためにナノ粒子構造を用いる段階を含む、請求項15記載の方法。
  26. 検出サイトにおいて分析物を濃縮させるために、機能付与されたナノ粒子および電場のうち少なくとも1つを用いる段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
  27. 検出サイト内においてナノ粒子構造を除去可能にアセンブルする段階を含む、請求項15記載の方法。
  28. 電極の縁部に沿ってかつ/または電極の対向縁部間に検出サイトが形成されるよう、間隔をあけた関係で基板上に配された、少なくとも2つの電極を有する、非導電性の基板を提供する段階;
    該検出サイト内における金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件下で、該検出サイト上に複数の金属ナノ粒子を配する段階;
    該検出サイトに試料を適用する段階;および
    該検出サイト内の1つまたは複数の位置において該試料をプロービングするためSERSを用いる段階
    を含む、SERSを用いて試料を分析する方法。
  29. 金属ナノ粒子のナノ粒子構造へのアセンブリを誘導する、方向付けする、またはこれに影響を及ぼす条件が、電場を含む、請求項28記載の方法。
  30. 電場が、AC電場、DC電場、DC成分を伴うAC電場、および静電場から選択される、請求項29記載の方法。
  31. 電場が、ナノ粒子構造のアセンブリ中に存在する、請求項29記載の方法。
  32. 電場が、ナノ粒子構造のアセンブリ中および試料の適用中に存在する、請求項29記載の方法。
  33. ナノ粒子が、少なくとも1つのタンパク質、核酸、機能分子、もしくはそれらの断片、またはそれらの組み合わせによって機能付与される、請求項28記載の方法。
  34. 試料中の分析物が検出サイトにおいて濃縮される、請求項28、32、および33のいずれか一項記載の方法。
  35. ナノ粒子構造および試料を除去する段階;ならびに
    少なくとも2つの電極を有する非導電性の基板を再使用する段階
    を含む、請求項28記載の方法。
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