JP2019524821A - リソソーム蓄積障害に関する医薬組成物及び使用 - Google Patents

リソソーム蓄積障害に関する医薬組成物及び使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、リソソーム蓄積障害(LSDs)を治療することを提供する。

Description

本出願は、2016年8月11日に出願されたUK1613828.1、2017年2月16日に出願されたUK1702552.9、2017年4月10日に出願されたUK1705762.1、及び2017年4月28日に出願されたUK1706854.5の優先権を主張する。これら全てのものは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
リソソーム蓄積障害(Lysosomal storage disorders)(LSDs)は、リソソーム恒常性(lysosomal homeostasis)における欠陥によって引き起こされる遺伝性の代謝性疾患である。今日まで、1:5000の出生の総合臨床頻度(collective clinical frequency)で、LSDsは、70を超える疾患を網羅する。これらの疾患は、2つの主なグループに分類することができる。1つは、分解経路における直接的欠乏に起因する一次蓄積障害(典型的には、リソソーム酵素欠乏障害)であり、及び、もう1つは、リソソームに影響を与えるプロセス又は機能不全の下流のリソソームタンパク質によって引き起こされる二次蓄積障害(例えば、トラフィッキング経路における欠陥)である。
LSD(LSDs)の病理学は、身体のシステムの多くに影響を与えるが、最も一般的には神経系に影響を与える。身体的障害及び精神的な悪化という結果となる進行性の神経変性は、一般的な症状である。そのような障害は一般にひどく進行性で且つ絶え間のないものである。彼らは、人生の最初の数年間に現れる傾向があり、重度の進行は頻繁な入院という結果になる。未処置(未治療)(untreated)のままにしておくと、患者はしばしば10代半ばで死亡する。成人発症患者もまた記述されている。
LSD(LSDs)に対する現在の処置(治療)アプローチは限られている。あるとしても、治療処置はほとんどなく、治療法の選択肢の多くは単に生活の質を向上させるだけである。例えば、幾つかのLSD(LSDs)は、骨髄移植又は酵素補充療法に対応してきた。加えて、スフィンゴ糖脂質(GSL)生合成阻害剤:イミノ糖薬であるミグラスタットを使用する基質合成抑制療法(substrate reduction therapy)(SRT)の臨床試験において幾らかの利益が報告されてきた(パターソン(Patterson)、2006)。しかしながら、現在のところ、すべてのLSD(LSDs)に利益をもたらす一般的な非特異的な治療法はない。従って、LSD(LSDs)の改善された治療法を開発する必要がある。
本開示は、この必要性に言及し、その必要性のある対象においてLSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)するためのアセチル−ロイシン(acetyl−leucine)を記述する。
1つの実施例において、LSDがニーマンピック病C型(Niemann−Pick Type C)でないところ、その必要性のある対象においてLSD又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)する方法において、使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩が開示される。
本開示の1つの実施例において、対象が無症候性であるところ、その必要性のある対象において、LSDを処理する方法における使用のために、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩が開示されている。
もう1つの実施例において、そうでなければ、典型的な病気の進行に従って現れると予測されるLSDの徴候又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を遅延させる方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩が開示される。
更なる実施例において、本開示は、LSD又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)する方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含むが、ここで、その方法は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間にわたって、その必要性のある対象に治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む。
1つの実施例において、本開示は、典型的な病気の進行と比較して、LSD又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状の進行を遅延させる方法において使用するための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を記述するが、その方法は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間、その必要性のある対象に、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む。
更なる実施例において、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩は、LSD又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状の進行を経時的に逆行させる方法において使用するために開示されているが、ここで、その方法は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間、その必要性のある対象に、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む。
もう1つの実施例において、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩は、その必要性のある対象においてLSDの生化学的マーカーを経時的に改善する方法における使用のために開示されるが、ここで、その方法は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間、その必要性のある対象に治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む。
もう1つの実施例において、本開示は、LSDがニーマンピック病C型でないところ、その必要性のある対象において、LSDの重症度を軽減する、又は、LSD関連する1つ又はそれ以上の存在する症状の重症度の軽減若しくは解消する方法において使用するための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含む。
更なる実施例において、本開示は、LSDを有する、有することが疑われる、又は有する恐れがある対象において、神経防護作用を提供する方法において使用するための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含むが、ここで、その方法は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間の間、対象に治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む。
本開示の更なる実施例は、対象におけるリソソーム蓄積障害(LSD)の進行を遅延させる方法において使用するための、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩を含む。LSDを有する対象において神経防護作用を提供する方法において使用するための、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩。アセチル−ロイシンは、L型光学異性体(エナンチオマー(enantiomer))の鏡像体過剰率(enantiomeric excess)において、ラセミ化合物の形態である。該方法は、アセチル−ロイシンを1日当たり1.5g及び10gの間の用量で投与することを更に含む。更に、該方法は、2週間又はそれ以上の処置(治療)期間にわたってアセチル−ロイシンを投与することを含む。その方法はまた、LSDの症状の発症前に、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み得る。その方法は、LSDを予防又は処置(治療)することを目的としたもう1つの療法又は薬剤を投与することを更に含み得る。本開示の更なる実施例は、対象におけるLSDの進行を遅延させるためのキットであり、そのキットは、LSDを診断又は予知するための手段、及びアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含む。そのキットは、LSDを診断又は予知するための手段及びアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含む。本開示のなお更なるもう1つの実施例は、LSDを有する対象において、神経保護薬としての、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩の使用である。上述の方法、キット、又は使用の更なる実施例において、LSDは、ニーマンピック病C型(NPC1及び/又はNPC2欠損)、スミス・レムリ・オピッツ症候群(Smith−Lemli−Opitz Syndrome)(SLOS)、コレステロール合成の先天異常、タンジール病(Tangier disease)、ペリツェウス・メルツバッハー病(Pelizaeus−Merzbacher disease)、神経セロイドリポフスチン症(neuronal ceroid lipofuscinosis)、原発性スフィンゴ糖脂質症(primary glycosphingolipidosis)、ファーバー病(Farber disease)又は多発性スルファターゼ欠損症(multiple sulphatase deficiency)である。加えて、その方法、キット、又は使用のもう1つの実施例において、原発性スフィンゴ糖脂質症は、ゴーシェ病(Gaucher disease)、ファブリー病(Fabry disease)、GM1ガングリオシド症(GM1 gangliosidosis)、GM2ガングリオシド症(GM2 gangliosidosis)、クラッベ病(Krabbe disease)又は異染性白質ジストロフィー(metachromatic leukodystrophy)(MLD)である。その方法、キット、又は使用の更なる実施例、LSDは、NPC、テイ・サックス病(Tay−Sachs disease)、サンドホフ病(Sandhoff disease)、GM1ガングリオシド症(GM1 gangliosidosis)、ファブリー病(Fabry disease)、神経変性ムコ多糖症(neurodegenerative mucopolysaccharidosis)、MPS I、MPS IH、MPS IS、MPS II、MPS III、MPS IIIA、MPS IIIB、MPS IIIC、MPS HID、MPS、MPS IV A、MPS IV B、MPS VI、MPS VII、MPS IX、二次的リソソームの関与ある疾患、SLOS、又はタンジール病(Tangier disease)である。その方法、キット、又は使用のもう1つの実施例、LSDは、ニーマンピック病(Niemann Pick disease)、ニーマンピック病C型(Niemann Pick type C)、ニーマンピック病A型(Niemann Pick type A)、サンドホフ病(Sandhoff’s disease)、テイサックス病(Tay−Sachs disease)又はムコリピドーシスII型(mucolipidosis type II)である。
本開示のこれら及び他の実施例及び特徴は、以下の説明及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
図面の簡単な説明
図1は、9週齢の処置(治療)(treated)したマウス(図1A)及び未処置(未治療)(untreated)のマウス(図1B)Npc1−/− マウスの写真を示す。
図2A及び図2Bは、離乳から、アセチル−DL−ロイシン(acetyl−DL−leucine)処置(治療)を伴う及び伴わない、野生型(Npc1+/+)マウスと比較したNpc1−/− マウスに対する体重データを示す。
図3A〜図3Gは、離乳から、アセチル−DL−ロイシン処置を伴う及び伴わない、野生型(Npc1+/+)マウスと比較したNpc1−/−マウスに対する歩行解析データ(gait analysis data)を示す。例えば、ダイアゴナル・サポート(diagonal support)、歩調(cadence)及びステップ・シーケンス・データ(step sequence data)は、それぞれ図3A〜図3Cに示されている。図3D及び3Eは、前肢(front paw)(FP)データ(パネルDにおけるスタンド平均(スタンド・ミーン)(stand mean)及びステップ・サイクル(step cycle);パネルEにおけるデューティ・サイクル(duty cycle))を示す。図3F及び3Gは、後肢(hind paw)(HP)データ(パネルFにおけるスタンド・ミーン(stand mean)及びステップ・サイクル(step cycle);パネルGにおけるデューティ・サイクル(duty cycle))を示す。
図4A〜図4Hは、離乳から、アセチル−DL−ロイシン処置を伴う及び伴わない、野生型(Npc1+/+)マウスと比較したNpc1−/− マウスの運動機能解析データを示す。図4A〜図4Dには、それぞれ、中心立ち上がり(センター・リアリング(Centre rearing))、活動(アクティビティ(activity))、立ち上がり(リアリング(rearing))及び前から後ろ(front to back)(FR)カウントが示されている。図4E〜図4Hには、それぞれ、活動時間(アクティブ・タイム)(active time)、モバイル・タイム(mobile time)、リアリング・タイム(rearing time)及び全マニュアル・リアリング・カウント(total manual rearing count)が示される。
図5は、アセチル−DL−ロイシン(3週齢から0.1g/kg)による処置が、Npc1−/− マウスにおける寿命における、小さいが統計的に有意な増加と関連していることを示す。
図6A及び6Bは、アセチル−DL−ロイシンでの処置に続く、非ニューロンNPCセルにおけるリソソーム量の減少を示す。図6C〜図6Hは、それぞれ、NPA、MLII、MPS IIIB、アスパルチルグルコサミン尿症(Aspartylglucosaminuria)、MLIIIA、及びMPS VII患者の線維芽細胞における、リソソーム量に及ぼすアセチル−DL−ロイシンによる処置の効果を示す。
図7Aは、未処置又はアセチル−ロイシン処置済み野生型及びサンドホフ病のマウス(サンドホフ・マウス)(Sandhoff mice)における死亡率を表す生存率曲線(survival curve)を示す。図7Bは、未処置及びアセチル−ロイシン処置のサンドホフ病モデル・マウス(サンドホフ・モデル・マウス)(Sandhoff model mice)に対するついてのバー・クロッシング・スコア(bar crossing scores)を示す。図7Cは、12週齢で評価した未処置及びアセチル−ロイシン処置サンドホフ・マウスに対するステップ・サイクル・タイム(step cycle time)を示す。
図8A〜図8Cは、GM2ガングリオシドーシス患者(GM2 gangliosidoses patient)の線維芽細胞(fibroblasts)におけるスフィンゴ糖脂質(GSL)レベルに及ぼすアセチル−DL−ロイシンによる処置(治療)の効果を示す(それぞれ、テイ・サックス病(Tay−Sachs disease)、サンドホフ病(Sandhoff disease)、及びテイ・サックス病のAB型(AB variant of Tay−Sachs disease))。
図9A及び図9Bは、それぞれ、10人のNPC患者の全体的な臨床的重症度スコア(overall clinical severity score)(CSS)及び全体的な年間重症度増分スコア(overall annual severity increment score)(ASIS)に及ぼす、アセチル−DL−ロイシンによる処置の経時的な効果を示す。
図10A〜図10Jは、10人のNPC患者の各々に対するCSSサブスコアに及ぼすアセチル−DL−ロイシンによる処置の経時的な効果を示す。
[記述]
ラセミ化合物の形態にあるアセチル−ロイシン(アセチル−DL−ロイシン)及びその塩は、様々な起源からのめまい、特にメニエール病のめまい及び炎症性(前庭神経炎)又は毒性起源のめまいの処置において有効である。例えば、アセチル−ロイシンは、タンガニル(Tanganil)(登録商標)という商品名下において、めまい防止薬剤としてラセミ化合物の形態においてピエール・ファーブル・メディカメント(Pierre Fabre Medicament)によって市販される。様々な著者によって報告されているタンガニル(Tanganil)(登録商標)の臨床結果は、めまい発作の消失を含む、95%以上の症例において、めまい症状における改善を示している。
アセチル−DL−ロイシンは、1957年からフランスにおいて急性めまいを処置(治療)するために使用されてきており、優れた安全性プロファイルを有しているが、慢性使用における安全性は、決定されていない。膜電位の安定化を含む多数の仮説にもかかわらず、その作用の薬学的及び電気生理学的モードは不明のままである。(ビバートら(Vibert et al)(2001)Eur J Neurosci;13(4):735−48; ファーバー−ビアートら(Ferber−Viart et al)(2009)Audiol Neurootol;14(1):17−25)。急性片側迷路切除術のラット・モデルにおけるFDG−μPET研究(ズヴェルガルら(Zwergal et al)(2016)Brain Struct Funct;221(1):159−70)は、後外側の視床の不活性化及び前庭小脳の活性化によって姿勢補償に及ぼす、L−エナンチオマー、N−アセチル−L−ロイシンの有意な効果を示した(ガンターら(Gunther et al)(2015)PLoS One;10(3):e0120891)。アセチル−DL−ロイシンを用いた小脳性運動失調症の症状の改善は、小脳患者を伴う症例シリーズにおいて示された(ストラップら(Strupp et al)(2013)J Neurol; 260(10):2556−61)。もう1つの症例シリーズは、有益性を見いださなかった(ペルツら(Pelz et al)(2015)J Neurol;262(5):1373−5)。定量的な歩行解析(歩容解析(gait analysis))は、アセチル−DL−ロイシンが、小脳性運動失調症を有する患者における一時的な歩行変動性を改善することを示した(シュニップら(Schniepp et al)(2015)Cerebellum; 3:8)。ニーマンピック病C型(NPC)を有する患者12人を含む1か月間の研究において、運動失調の症状の改善が示された(ブレノバら(Bremova et al)(2015)Neurology;85(16):1368−75)。更に、アセチル−DL−ロイシンを与えられた運動失調症を有する患者におけるPET研究は、応答者における中脳及び下位脳幹における代謝の増加を示した(ベッカー−ベンスら(Becker−Bense et al)(2015)Abstract EAN)。
しかしながら、アセチル−ロイシンは、一般に、数年から数十年にわたって進行するLSD(LSDs)を処置(治療)するとは知られていない。本開示は、驚くべきことに、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩が、例えば、典型的な疾患の進行と比較して、長期間にわたるような、LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の進行を遅らせるか又は逆行させることによって、及び/又は、そうしなければ典型的な疾患の進行により発現することが予期されるであろうLSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の徴候を遅延させることにより、それを必要とする対象において、LSDを処置(治療)する方法において使用され得る。本開示によるこれらの例示的な使用法、及びここにおいて記述される別様のことは、全く予期されなかったので、そのような利益は観測されなかったし、そして、先行技術の教示から推定もできなかった。LSD(LSDs)は、細胞機能不全(例えば、健康な対象と比較して増加したリソソーム量)及び臨床的異常という結果となる未消化又は部分消化の巨大分子の蓄積によってしばしば特徴付けられる、種々の遺伝性疾患からなる群の1つである。如何なる特定の理論にも拘束されることを望まないが、実験例によって証明されるように、本発明者らは、とりわけ、LSDに罹患した対象において、アセチル−ロイシンが、細胞機能障害を(例えば、対照値(コントロール値(control values))に向かってリソソーム量を減少させることによって)及び臨床的異常を改善できることを発見した。
従って、本開示は、その必要性のある対象においてLSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置する方法において使用のためのアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を提供する。
ここにおいて、使用される「LSD」は、後期エンドソーム/リソソーム・システムにおける機能不全又は崩壊、及び未消化又は部分消化の巨大高分子の蓄積、を含む如何なる障害にも言及する。LSDは、脂質又は非脂質の増大する貯蔵を含むかもしれない。
本明細書で使用される「対象」は、脊椎動物、哺乳動物又は家畜であってもよい。従って、本開示による組成物は、如何なる哺乳動物、例えば家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ又はブタ)、ペット(例えば、ネコ、イヌ、ウサギ又はモルモット)、実験動物(例えば、マウス又はラット)を処置(治療)するために使用されるかもしれず、或いは、他の獣医学の応用に使用されるかもしれない。例えば、対象はヒトである。
ここにおいて使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、複数の参照を含む。
「おおよそ」及び「約」という用語は、測定の性質又は精度を考慮すると、測定された量に対して許容可能な程度の誤差を含む、参照された数又は値とほぼ同じであることを意味する。ここにおいて使用されるように、「おおよそ」及び「約」という用語は、一般に、特定された量、頻度又は値の±20%を包含すると理解されるべきである。ここにおいて示される数量は、別様に述べられていない限り、概算であり、明示的に述べられていないときは、「約」又は「おおよそ」という用語が推測され得ることを意味する。
ここにおいて使用される「投与する」、「投与」、又は「投与すること」という用語は、(1)本開示による組成物を、開業医又は彼の委任代理人によって或いは彼の指導の下で、供給し、与え、投与し、及び/又は処方することを意味し、そして、(2)本開示による組成物を、患者又は自分自身によって摂取、服用又は消費することを意味する。
明示的に述べられていなくても、全体を通して「アセチル−ロイシン」への言及は、その薬学的に許容される塩を含む。
アセチル−ロイシンはラセミ化合物の形態であってもよいが、このことは、その化合物がほぼ同じ量のエナンチオマーを含むことを意味する。或いは、L−エナンチオマー又はD−エナンチオマーの何れかのエナンチオマー過剰でその化合物は存在していてもよい。アセチル−ロイシンは、L−エナンチオマー又はD−エナンチオマーのいずれかの単一のエナンチオマーの形態(型)であるかもしれない。1つの実施例において、単一のエナンチオマー形態(型)はL−エナンチオマーである。ラセミ化合物の形態(型)及びエナンチオマーの形態(型)は、本分野で知られている手順に従って得られるかもしれない。
ここにおいて言及される「薬学的に許容される塩」は、薬学的応用における使用に適した如何なる塩の調製物である。限定されることなく、薬学的に許容される塩は、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン(N,N’−dibenzylethylenediamine)、クロロプロカイン(chloroprocaine)、コリン(choline)、アンモニア、ジエタノールアミン及び他のヒドロキシアルキルアミン(hydroxyalkylamines)のようなアミン塩、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン(N−methylglucamine)、プロカイン(procaine)、N−ベンジルフェネチルアミン(N−benzylphenethylamine)、1−パラ−クロロ−ベンジル−2−ピロリジン−1’−イルメチルベンズイミダゾール(1−para−chloro−benzyl−2−pyrrolidin−1’−ylmethylbenzimidazole)、ジエチルアミン、及び他のアルキルアミン、ピペラジン(piperazine)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(tris(hydroxymethyl)aminomethane)など;リチウム、カリウム、ナトリウムなどのようなアルカリ金属塩;バリウム、カルシウム、マグネシウムなどのようなアルカリ土類金属塩;亜鉛、アルミニウムなどの遷移金属塩;リン酸水素ナトリウム、リン酸二ナトリウムなどのような他の金属塩;塩酸塩、硫酸塩などのような鉱酸;酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、フマル酸塩などのような有機酸の塩、を含む。
アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、当技術分野で知られる教示に従って製剤化されて対象に投与されるかもしれない。例えば、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、医薬組成物として製剤化されるかもしれない。医薬組成物は、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含むかもしれない。医薬組成物への言及は、単独で又は医薬組成物の形態における、活性薬剤を包含する。
医薬組成物は、特に、それが使用されることになっている様式により、多数の異なる形態の如何なるものをも取ってもよい。従って、例えば、それは、粉末、錠剤、カプセル、液体、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、エアロゾル、スプレー、ミセル溶液、経皮貼布、リポソーム懸濁液、又は治療の必要性のあるヒト又は動物に投与されるのに妥当な別の形態であるかもしれない。
ここにおいて言及される「薬学的に許容される担体」は、医薬組成物を製剤化する際に有用であることが当業者に知られている如何なる既知の化合物又は既知の化合物の組み合わせである。医薬組成物の担体は、それが与えられる対象によって耐えられるものであるべきであることが理解されるであろう。
1つの実施例において、薬学的に許容される担体は、固体であるかもしれず、そして、その組成物は、粉末又は錠剤の形態であるかもしれない。固体の薬学的に許容される担体は、限定されることなく、香味剤、緩衝剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、懸濁剤、湿潤剤、乳化剤、染料、増量剤、流動促進剤、圧縮補助剤、不活性結合剤、甘味剤、保存剤、染料、コーティング剤、又は錠剤崩壊剤としても機能するかもしれない1又はそれ以上の物質を含むかもしれない。担体はまた、封入材料でもあるかもしれない。粉末において、担体は、本発明による微粉化された活性薬剤と混合されている微粉化された固体であるかもしれない。錠剤において、活性薬剤は、必要な圧縮特性を有する担体と適切な割合で混合され、そして、所望の形状及び大きさに圧縮されるかもしれない。粉末剤及び錠剤は、例えば、99%までの活性薬剤を含むかもしれない。適切な固体担体は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックス及びイオン交換樹脂を含む。もう1つの実施例において、薬学的に許容される担体は、ゲルであってもよく、そして、その組成物はクリーム等の形態であってもよい。
担体は、限られることなく、1つ又はそれ以上の賦形剤又は希釈剤を含むかもしれない。そのような賦形剤の例は、ゼラチン、アラビアガム、乳糖、微結晶セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、コロイド状二酸化ケイ素などである。
もう1つの実施例において、薬学的に許容される担体は、液体であるかもしれない。1つの実施例において、医薬組成物は、溶液の形態である。液体担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤及び加圧組成物を調製する際に使用される。アセチル−ロイシンは、水、有機溶媒、両方の混合物、又は薬学的に許容される油脂のような薬学的に許容される液体担体に溶解又は懸濁されるかもしれない。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、香味剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘度調整剤、安定剤又は浸透圧調整剤のような他の適切な医薬品添加物を含有するかもしれない。経口及び非経口投与のための液体担体の適切な例は、水(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液のようなセルロース誘導体のような添加剤を部分的に含有する)、アルコール(例えばグリコールのような多価アルコール及び一価アルコールを含む)及びそれらの誘導体並びに油(例えば、分画したヤシ油及びラッカセイ油)を含む。非経口投与に対して、担体は、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルのような油性エステルでもあるかもしれない。滅菌液担体は、非経口投与用の滅菌液の形態の組成物において有用である。加圧組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素又は他の薬学的に許容される噴射剤であるかもしれない。
滅菌溶液又は懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、髄腔内、硬膜外、腹腔内、静脈内及び特に皮下注射によって利用されるかもしれない。活性薬剤は、滅菌水、食塩水、又は他の適切な滅菌注射可能な媒体を使用して、投与時に溶解又は懸濁されるかもしれない滅菌固体組成物として調製されるかもしれない。
その組成物は、他の溶質又は懸濁剤(例えば、溶液を等浸透圧にするのに十分な生理食塩水又はグルコース)、胆汁酸塩、アカシア(acacia)、ゼラチン、モノオレイン酸ソルビタン(sorbitan monoleate)、ポリソルベート80(ソルビトールのオレイン酸エステル及びエチレンオキシドで共重合されたその無水物)などを含有する滅菌溶液又は懸濁液の形態で経口投与されるかもしれない。その組成物はまた、液体又は固体組成物の形態のいずれかで経口投与されるかもしれない。経口投与に適した組成物は、丸薬、カプセル剤、顆粒剤、錠剤、及び粉末剤のような固体形態、並びに、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁液剤のような液体形態を含む。非経口投与に有用な形態は、無菌液剤、乳剤、及び懸濁液剤を含む。
アセチル−ロイシン及びそれを含む組成物は、その代わりに、吸入によって(例えば鼻腔内に)投与されるかもしれない。組成物はまた、局所的使用のために製剤化されるかもしれない。例えば、クリーム又は軟膏は、皮膚に適用されるかもしれない。
アセチル−ロイシンは、徐放出装置又は遅延放出装置内に組み込まれるかもしれない。このような装置は、例えば、皮膚の上又は下に挿入されるかもしれず、薬剤は、数週間又は数ヶ月に渡って放出されるかもしれない。このような装置は、本開示に従って使用されるアセチル−ロイシンによる長期治療が必要なときに、そして、(例えば、少なくとも連日投与の)頻繁な投与を通常必要とする場合に、有利かもしれない。
1つの実施例において、医薬組成物は錠剤の形態である。錠剤において、活性薬剤は、必要な圧縮特性を有する、薬学的に許容される担体のようなビヒクルと適切な割合で混合され、そして、所望の形状及び大きさに圧縮されるかもしれない。錠剤は、99重量%まで、活性剤を含有してもよい。
例えば、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、経口投与に適した固形の剤形において、特に錠剤の形態で提供されるかもしれない。
錠剤のような固体の経口剤形における医薬組成物は、薬学の分野で知られている如何なる方法によって調製されてもよい。医薬組成物は通常、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を従来の薬学的に許容される担体と混合することによって調製される。
錠剤は、当技術分野において知られるように製剤化されてもよい。タンガニル(Tanganil)(登録商標)は、例えば、賦形剤として、小麦のデンプン、アルファ化トウモロコシ(トウモロコシ)デンプン、炭酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウムを含む。例えば、同じ又は類似の賦形剤は、本開示と共に使用されるかもしれない。
各700mgのタンガニル(Tanganil)(登録商標)錠剤の組成は以下の通りである。500mgのアセチル−DL−ロイシン、88mgの小麦デンプン、88mgのアルファ化トウモロコシ(トウモロコシ)デンプン、13mgの炭酸カルシウム及び11mgのステアリン酸マグネシウム。例えば、同じ錠剤が本開示と共に使用されてもよい。
本開示は、その必要性のある対象において、LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)するための、その組成物及び方法を含むアセチル−ロイシンを記述する。その必要性のある対象は、LSDの遺伝的、生化学的、又は他の同様な同定可能なマーカーを有するかもしれない。例えば、LSDのマーカーは、細胞マーカーであるかもしれない。その必要性のある対象は、LSDを有すると診断されたかもしれない。例えば、その対象は、遺伝的、生化学的、又は他の同様な同定可能なマーカーに従ってLSDを有すると診断されたかもしれない。その必要性がある対象は、LSDを有することが疑われるか、又は有する恐れがあると疑われるかもしれない。例えば、対象は、LSDに対する遺伝的素因を有するかもしれない(例えば、対象は、1つ又はそれ以上のLSDを有する家族構成員を有するかもしれない)。その必要性のある対象は、症状を示すかもしれない(即ち、LSDに関連する1つ又はそれ以上の症状を有する)。その必要性のある対象は、無症状であるかもしれない。用語「症状を示す」及び「無症状である」は、LSDの症状に関して使用されることが理解されるべきである。遺伝的、生化学的、又は他の類似の同定可能なマーカーに基づいてLSDと診断されたが、それ以上の疾患の症状がない対象のような、LSDの遺伝的、生化学的、又は他の類似の同定可能なマーカーを有する対象は、本開示の目的のために「無症状である」の範囲内に含まれる。
ここにおいて使用されるように、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を治療すること」などは、そうでなければ典型的な病気の進行に従って発現すると予期されるであろうLSDの発症又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を遅らせること、経時的にLSDの重症度を低減すること又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の既存の症状の重篤度の低減又は排除すること、典型的な病気の進行と比較して、経時的にLSDの進行又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の進行を遅らせること、及び/又は、経時的にLSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の進行を反転させること、を意味する。「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)すること」はまた、LSDの生化学的マーカーを改善することを意味してもよい。
ここにおいて使用されるように、「典型的な病気の進行」、「典型的に予期される病気の進行」などは、LSDの典型的な又は予期される進行、LSDに関連する1つ又はそれ以上の症状、又は、もし対象が処置(治療)されないのであれば、LSDの生化学的マーカーを意味する。典型的な又は予期される病気の進行は、例えば、LSD、LSDに関連する1つ又はそれ以上の症状、或いは、LSDの生化学的マーカーの進行を評価するための既知の尺度、指数、評価、又はスコア、或いは、他の適切なテストに基づいていてもよい。その尺度、指数、評価、スコア、又は他の適切な試験は、LSD全体の進行又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状の進行に対応してもよい。例えば、典型的な又は予期される病気の進行は、LSDの典型的な又は予期される発症もしくは重症度、又はLSDに関連する症状若しくは症状の集合に基づいてもよい。典型的な又は予期される病気の進行は、対象毎に決定されてもよく、或いは、典型的に、対象の個体群又は下位個体群のようなLSDに罹患している対象の集団によって経験される又はその集団に対して観察されるものに基づいてもよい。その下位個体群は、例えば、同じ性別の、同じ又は類似の年齢の、1つ又はそれ以上の症状の発症のための同じ又は類似のタイミングの下位個体群などを含むかもしれない。
1つの実施例において、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の処置(治療)」は、そうでなければ、典型的な病気の進行に従って発現すると予期されるであろうLSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の発症を遅らせることを意味する。ここにおいて使用されるように、「LSDの発症又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を遅らせること」などは、LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の発症までの時間を延ばす、又は、その発症を防止することを意味する。例えば、LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の発現までの時間が、典型的な病気の進行に従って観察されるよりも少なくとも5%長くなるとき、発症を遅らせたと言うことができる。更に、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%の時間における増加が観察される。1つの実施例において、対象は無症候性(無症状)である。アセチル−ロイシンの投与は、そうでなければ、典型的な病気の進行に従って、発現すると予期されるであろうLSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の発症を遅らせるため、対象が無症候性(無症状)である時点で開始されてもよい。もう1つの実施例において、対象は症候性(症状を示す状態)である。アセチル−ロイシンの投与は、そうでなければ、典型的な病気の進行に従って発現すると予期されるであろうLSDの1つ又はそれ以上の追加の症状の発症を遅らせるために、対象が幾つかの症状を有する時点で開始されてもよい。その必要性がある対象は、ここにおいて記述される期間によって、アセチル−ロイシンによる処置(治療)を受け続けてもよい。1つの実施例において、処置(治療)は、そうでなければ、典型的な病気の進行に従って発現すると予期されるであろうLSDの1つ又はそれ以上の症状の発症を防止する。
1つの実施例において、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)すること」は、LSDの重症度を軽減すること、又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の既存の症状の重症度を軽減すること又は排除することを意味する。LSDの重症度又は既存の症状の重症度は、ここにおいて、例として記述されるもののような、既知の尺度、指数、評点、又はスコア、或いは重症度を評価するためのもう1つの適切なテストを使用して評価してもよい。例えば、尺度、指数、評価、スコア、又は他の適切なテストは、LSD全体の重症度又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状の重症度に対応するかもしれない。1つの実施例において、処置(治療)は、症状のある(症候性の)患者に特徴的な値又は度合いから、症状のない(無症候性の)患者に特徴的な値又は度合いまでのような評価を改善する。
1つの実施例において、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)すること」は、典型的な病気の進行と比較して、LSD又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状の進行を経時的に遅延させること、或いは、LSD又はLSDに関連する1つ又はそれ以上の症状の進行を経時的に逆行させること、を意味する。処置(治療)が進行を遅らせている或いは逆行させている時間は、ここにおいて記述されるような処置(治療)の期間と一致してもよい。その処置(治療)は、例えば、約7日以上、約2週間以上、約3週間以上、約1ヶ月以上、約6週間以上、約7週間以上、又は約2ヶ月以上の期間にわたって進行を遅延又は逆行させるかもしれない。例えば、その処置(治療)は、約3ヶ月以上、約4ヶ月以上、約5ヶ月以上、又は約6ヶ月以上の期間にわたって進行を遅らせるか又は逆行させる。更に、例えば、それは約1年以上、約2年以上、約3年以上、約4年以上、約5年以上、又は約10年以上の期間にわたって進行を遅らせるか又は逆行させる。その処置(治療)は、患者の生涯にわたって、LSD又はLSDに関連する1つ以上の症状の進行を遅延又は逆行させるかもしれない。
1つの実施例において、「LSD又はLSDの1つ以上の症状の処置(治療)」とは、典型的な病気の進行と比較して、LSDの又はLSDの1つ以上の症状の進行を経時的に遅らせることを意味する。ここにおいて使用されるように、「LSDの又はLSDに関連する1つ以上の症状の進行を経時的に遅らせること」などは、LSDの又はLSDの1つ以上の症状の進行をゆるやかにする及び/又は停止する(例えば、LSDの又はLSDの1つ以上の症状の悪化又は重症度の増大をゆるやかにする及び/又は停止する)ことを意味する。病気の進行は、例えば、ここにおいて例として記述されているもののような、既知の尺度、指数、評価、又はスコア、或いは、進行を評価するための他の適切なテストを使用して決定されてもよい。例えば、尺度、指数、評価、スコア、又は他の適切なテストは、LSD全体の進行又はLSDに関連する1つ以上の症状の進行に対応してもよい。1つの実施例において、「LSD又はLSDに関連する1つ以上の症状の進行を遅らせること」は、既知の尺度、指数、評価など、又は、重症度を評価するためのもう1つの適切なテストによって決定される対象の病気の重症度の値(例えば、全体の重症度又は1つ以上の症状の重症度)が、有意に増加しない(例えば、少なくとも実質的に一定のままである)ことを意味する。1つの実施例において、「LSDの進行又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の進行を遅らせること」は、典型的な病気の進行に対応する値と比較して進行を評価するための、既知の尺度、指数、評価、スコアなど、又は、典型的な病気の進行に対応する値と比較した進行を評価するための、他の適切なテストに従って、対象が重症度の値に到達する時間を増大させ(例えば、重症度を増大させる変化の速度を減少させ)、或いは、対象がその値に到達することを妨げることを意味する。例えば、重症度の値に達するまでの時間が、典型的な病気の進行によって観察される時間より、少なくとも5%長くかかるとき、その進行は遅延させられたと言われることができる。更に、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%の時間における増大が観察される。処置(治療)が、LSDの進行又はLSDの1つ以上の症状の進行を遅らせている時間は、ここにおいて記述されるような処置(治療)の期間と一致してもよい。1つの実施例において、処置(治療)は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、又は少なくとも約6ヶ月の間、進行を遅らせる。もう1つの実施例において、処置(治療)は、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、又は少なくとも約10年間の間、進行を遅らせる。処置(治療)は、患者の寿命に渡って、進行を遅らせるかもしれない。
1つの実施例において、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の処置(治療)をすること」は、LSDの進行又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を経時的に逆行させることを意味する。ここにおいて使用されるように、「経時的なLSDの進行又はLSDの1つ以上の症状の進行を逆行させること」などは、LSDの重症度又はLSDの1つ以上の症状の重症度を軽減すること或いはLSDの進行又はLSDの1つ以上の症状の進行を停止させることを意味する。病気の進行及び重症度は、例えば、ここにおいて例として記述されるもののような既知の尺度、指数、評価、又はスコア、或いは、進行及び重症度を評価するためのもう1つの適切なテストを使用して、決定されてもよい。例えば、尺度、指数、評価、又はスコア、又は他の適切なテストは、LSD全体の進行及び重症度に、又は、LSDに関連する1つ以上の症状の進行及び重症度に対応してもよい。1つの実施例において、「経時的にLSD又はLSDの1つ以上の症状の進行を逆行させること」は、既知の尺度、指数、評価、スコアなど、又は、重症度を評価するためのもう1つの適切なテストによって、決定される病気の重症度の値(例えば、全体の重症度又は1つ以上の症状の重症度)が、経時的に改善する(即ち、経時的に重症度における減少を示す)ことを意味する。処置(治療)がLSDの進行又はLSDの1つ以上の症状を逆行させる時間は、ここにおいて記述されるような処置(治療)の期間と一致してもよい。1つの実施例において、処置(治療)は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、又は少なくとも約6ヶ月の間、進行を逆行させる。もう1つの実施例において、処置(治療)は、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、又は少なくとも約10年間の間、進行を逆行させる。処置(治療)は、患者の寿命にわたって進行を逆行させてもよい。
1つの実施例において、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を処置(治療)すること」は、対象におけるLSDの生化学的マーカーを改善すること(例えば、一次的蓄積に起因する二次的生化学的変化又は蓄積代謝物の増大するレベル)を意味する。生化学的マーカーは、病気の活動性のシグナルであり、そして、経時的な病気の重症度及び進行の進行中の指標を提供してもよい。1つの実施例において、生化学的マーカーは、対照値の観点から、改良されている。1つの実施例において、生化学的マーカーは、増大したリソソーム量及び増大したスフィンゴ糖脂質(GSL)レベルから選択される。1つの実施例において、生化学的マーカーは、増加したリソソーム量であり、そして、処置(治療)は、対象におけるリソソーム量を減少させる。1つの実施例において、生化学的マーカーは、増大したスフィンゴ糖脂質(GSL)レベルであり、処置(治療)は、対象におけるGSLレベルを低下させる。1つの実施例において、処置(治療)は、経時的に生化学的マーカーを改善する。例えば、1つの実施例において、経時的に生化学的マーカーを改善することは、処置(治療)が、典型的な病気の進行と比較して、対照値に向かって経時的に生化学的マーカーを改善すること、経時的に生化学的マーカーの進行を防ぐこと、及び/又は、経時的に生化学的マーカーの進行を遅らせることを意味する。処置(治療)が生化学的マーカーを改善する時間は、ここにおいて記述されるような処置(治療)の期間と一致してもよい。1つの実施例において、処置(治療)は、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、又は少なくとも約6ヶ月の間、生化学的マーカーを改善する。更なる実施例において、処置(治療)は、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、又は少なくとも約10年間、生化学的マーカーを改善する。処置(治療)は、患者の寿命にわたって生化学的マーカーを改善してもよい。
LSDの「症状」は、LSDに関連する如何なる臨床的又は実験室的症状を含み、そして、対象が感じことができる又は観察することができるものに限定されない。ここにおいて記述されるような症状は、限られることなく、神経症状及び精神科的症状を含む。神経症状の例は、運動失調、運動低下・硬直・振戦(震え)又はジストニアのような他の運動障害、垂直及び水平の核上サッカード/注視麻痺のような中枢眼球運動障害、及び、認知症のような神経心理学的障害を含む。精神科的症状の例は、鬱病、行動障害又は精神病を含む。症状の発現は、出生から成人まで及ぶかもしれない。
例えば、2つ以上の時点での1つ以上の既知のテストを使用してその結果を比較することにより、経時的又は処置(治療)によるLSD又はLSDの1つ以上の症状の進行をモニターすることができる。例えば、運動失調のアセスメント及び評価のための尺度(スケール・フォー・ザ・アセスメント・アンド・レイティング・オブ・アトラクシア)(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)(SARA)、脊髄小脳性運動失調症の機能指数(Spinocerebellar Ataxia Functional Index)(SCAFI)、国際協力失調症評価尺度(the International Cooperative Ataxia Rating Scale)(ICARS)、簡単な運動失調症評価尺度(the brief ataxia rating scale)(BARS)、修正障害評価尺度(the modified Disability Rating Scale)(mDRS)、EuroQol 5Q−5D−5L(EQ−5D−5L)、視覚的アナログスケール(the visual analogue scale)(VAS)、ウェクスラー成人知能検査−改訂版(Wechsler Adult Intelligence Scale−Revised)(WAIS−R)、児童向けウェクスラー式知能検査−IV(Wechsler Intelligence Scale for Children−IV)(WISC−IV)、モントリオール認知評価(Montreal Cognitive Assessment)(MoCA)、又は他の適切なテストを使用して、病気の進行及び/又は重症度を評価できる。NPCのようなあるLSDsに対して、例えば、臨床重症度スコア(clinical severity score)(CSS)及び年間重症度増加分スコア(annual severity increment score)(ASIS)のような特定のスコアが、この数十年の間に開発され、そして、認証されてきた。例えば、NPC患者の重症度は、病気の種々のパラメータ(歩行、発作、眼球運動など)を評価し、そして、各パラメータに5段階のスコアを与えるような、CSSの割り当によって、定量化され得る。スコアが高いほど、重症度が高くなる。ASISは、CSSを患者の年齢で割ることによって計算された、CSSの年間の変化率を定量化する。これに関して、これらのテストにおけるあるスコアは、症候性LSD患者に特徴的であり、そして、病気の進行及び/又は重症度を証明する。
このようにして、例えば、「LSD又はLSDの1つ以上の症状を処置(治療)すること」は、SARA、SCAFI、ICARS、BARS、mDRS、EQ−5D−5L、VAS、WAIS−R、WISC−IV、CSS及び/又はMoCAスコア、のような改善された評価を、或いは、LSD対象を特徴付けるのに適した他のテストの結果を達成することと、同等であるかもしれない。例えば、1つの実施例において、「LSDの重症度を軽減すること、又は、LSDの1つ又はそれ以上の既存の症状の重症度を軽減すること若しくは解消すること」は、SARA、SCAFI、ICARS、BARS、mDRS、EQ−5D−5L、VAS、WAIS−R、WISC−IV、CSS及び/又はMoCAスコア、或いは、症候性の対象の特徴的な重症度の値から無症候性の対象の特徴的な値までのスコア若しくは結果を改善するような、重症度を評価するもう1つの適切なテストの結果、を改善することを意味する。もう1つの実施例において、「LSDの進行又はLSDの1つ又はそれ以上の症状を遅らせること」は、対象のSARA、SCAFI、ICARS、BARS、mDRS、EQ−5D−5L、VAS、WAIS−R、WISC−IV、CSS、及び/又は、MoCAスコア、或いは、進行を評価するためのもう1つの適切なテストの結果が、有意に増加しないことを意味する(例えば、少なくとも実質的に一定のままである)。更なる実施例において、「LSD又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の進行を遅らせること」は、対象のSARA、SCAFI、ICARS、BARS、mDRS、EQ−5D−5L、VAS、WAIS−R、WISC−IV、CSS及び/又はMoCAスコア、或いは、進行を評価するためのもう1つの適切なテストの結果を、典型的な病気の進行の値と比較した値に到達することを防止すること、又は、到達するのにかかる時間を増大させることを意味する。もう1つの実施例において、「経時的にLSDの進行又はLSDの1つ又はそれ以上の症状の進行を逆行させること」は、対象のSARA、SCAFI、ICARS、BARS、mDRS、EQ−5D−5L、VAS、WAIS−R、WISC−IV、CSS及び/又はMoCAスコア、或いは、進行を評価するためのもう1つの適切なテストの結果が、経時的に改善すること(即ち、経時的に重症度の低下を示すこと)を意味する。
例えば、全体的な神経学的状態を評価するために、mDRS、4つのドメイン・スケール(four−domain scale)(歩行(ambulation)、操作(manipulation)、言語(language)及び嚥下(swallowing))が適用され得る。小脳機能は、SARA、8項目臨床評価尺度(eight−item clinical rating scale)(歩行、立脚、座位、言語、微細運動機能及び走性(taxis);0〜40の範囲、0は最良の神経学的状態で40は最悪である)、及び、8mウォーキング時間(8−m−Walking−Time)(8MW;患者に、ターンを除いて1つのラインから別のラインに2倍速く歩行することによって実施される)、9ホール・ペッグ・テスト(9−Hole−Peg−Test)(9HPT)及び10秒にわたる「PATA」の繰り返し回数を含む、SCAFIを使用して、評価されてもよい。主観的障害及び生活の質は、EQ−5D−5Lのアンケート及びVASを用いて評価されてもよい。眼球運動機能を評価するために、3次元ビデオ眼球運動記録法(videooculography)(EyeSeeCam)は、サッカードのピーク速度、円滑追跡の獲得、注視誘発眼振のピーク低速位相速度(視線保持機能)、視運動性眼振のピーク低速位相速度、及び水平前庭動眼反射の獲得を測定するために使用されるかもしれない。認識状態、WAIS−R又はWISC−IV、及びMoCAを評価するために、注意と集中、実行機能、記憶、言語、視覚構築スキル、概念的思考、計算、及びオリエンテーションを含む異なる認識ドメインを、最大30点で、26のカットオフ・スコアを備えて、評価することは、使用されるかもしれない。当業者は、これら及び他のそのようなテストをどのように実施するかを知っているであろう。
アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、例えば、1日当たり約1.5gから約10gの範囲のような、1日あたり約500mgから約15gの範囲の又は1日あたり約500mgから約10gの範囲の用量で、投与されるかもしれず、オプションとして、固体経口又は液体経口経路によるかもしれない。アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、例えば、1日あたり1.5gから2gの用量で、朝と夕方の2回分の服用で3−4錠で、成人に処方されているタンガニル(Tanganil)(登録商標)の用量に従う投与量で投与されるかもしれない。
1つのエナンチオマーが投与されるならば、その用量は、それに応じて減少するかもしれない。例えば、アセチル−L−ロイシン(acetyl−L−leucine)のみを、又はアセチル−D−ロイシン(acetyl−D−leucine)のみを投与するならば、投与量は1日当たり約250mgから約15gの範囲、1日当たり約250mgから約10gの範囲、又は1日当たり約250mgから約5gの範囲、例えば、1日当たり約0.75gから約5gであるかもしれない。
1つの実施例において、投与量は、1日あたり約1gから約15g、1日あたり約1gから約10g、又は1日あたり約1.5gから約7gの範囲である。それは、1日あたり約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14gから約15gであるかもしれない。それは1日当たり約2、3、4、5、6、7、8又は9gから約10gであるかもしれない。それは1日あたり約1.5gを超えるが、1日あたり約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6又は5g未満であるかもしれない。1つの実施例において、投与量は1日あたり約4gから約6gの範囲である。もう1つの実施例において、投与量は1日あたり約4gから約5gの範囲である。1つの実施例において、投与量は1日あたり約4.5gである。1つの実施例において、投与量は1日あたり約5gである。1つの実施例において、これらの用量は、固形の経口剤形、特に錠剤で投与される。もう1つの実施例において、これらの投与量は、そのラセミ形態である場合に、アセチル−ロイシンに対するものである。エナンチオマー過剰が存在する場合、アセチル−ロイシンに対する投与量は、ここに列挙されたものよりも低く、例えば、約50%より低いかもしれない。このように、半減されたときの上述の投与量の範囲はまた、本開示によって明示的に包含される。
1日の総投与量は、複数回投与に分散させることができ、即ち、投与は1日の総投与量を達成するために1日に2回以上行われてもよい。一例として、アセチル−ロイシンの1日の総投与量を提供するのに必要な錠剤の数は、2回の投与(例えば、朝及び晩)、又は3回の投与(例えば、朝、昼、及び晩)に分けられてもよい。各用量は、食物と共に又は食物なしで適切に投与されるかもしれない。例えば、アセチル−ロイシンは、食事の約1又は約2時間前、例えば食事の少なくとも約20分前、少なくとも約30分前、少なくとも約40分前、又は食事の少なくとも約1時間前などに投与されるかもしれず、或いは、食事後約1時間、約2時間、又は約3時間、例えば、食事後、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約1時間、少なくとも約1.5時間、少なくとも約2時間、又は少なくとも約2.5時間待つように投与されるかもしれない。例えば、4.5gのアセチル−DL−ロイシンの総一日量を、朝食前、朝食中、又は朝食後に、3つのタンガニル(Tanganil)(登録商標)(又は同等のもの)錠剤として、更に、昼食前、昼食中、又は昼食後に、3錠として、そして、夕食前、夕食後、又は夕食後に、更に、3錠として、投与されるかもしれない。
本開示によるアセチル−ロイシンの投与は、対象がLSDの遺伝的、生化学的、又は他の類似の識別可能なマーカーを有することが見出される前又は後に開始されるかもしれないが、前者の場合は、対象がLSDを持っている疑いがある又はLSDを持つリスクがあるときである。対象がLSDの遺伝的、生化学的、又は他の類似の同定可能なマーカーを有することが見出された時点又はその前後で投与が開始されるかもしれない。同様に、対象が、遺伝的、生化学的、又は他の類似の同定可能なマーカーを有することが見出される前、見出されたとき又はその前後、又は見出された後のように、LSDを有すると対象が診断される前、診断されたとき又はその前後、又は診断された後に、投与は、開始されるかもしれない。アセチル−ロイシンの投与は、対象が症候性又は無症候性であるときに開始されるかもしれない。特に、本開示によるアセチル−ロイシンによる処置(治療)の利点の1つは、対象がLSDの症状を示す前(遺伝的及び/又は生化学的マーカー以外、即ち、対象は無症候性である)又は対象が病気の顕著な特徴と考慮される1又はそれ以上の症状を示す前であるが、対象が遺伝的及び/又は生化学的マーカーを有することが判明した後の早い時期にアセチル−ロイシンの投与を開始することがされるかもしれないことである。ここにおいて記述されるように、処置(治療)は、LSD又はLSDに関連する1つ以上の症状の発症を遅らせるかもしれない。処置(治療)はまた、ここにおいて記述されるような期間継続されるかもしれない。
ここにおいて記述されるように、本開示によるアセチル−ロイシンによる処置(治療)の利点は、例えば、典型的な病気の進行と比較して対象においてLSD又は1以上のLSDの症状の進行を遅延する又は逆行させることさえするために、アセチル−ロイシンを長期間にわたって投与してもよいことである。処置(治療)期間は、例えば、約7日以上、約2週間以上、約3週間以上、約1ヶ月以上、約6週間以上、約7週間以上、又は約2ヶ月以上であるかもしれない。1つの実施例において、それは、約3ヶ月以上、約4ヶ月以上、約5ヶ月以上、又は約6ヶ月以上である。処置(治療)期間は、約1年以上、約2年以上、約4年以上、約5年以上、又は約10年以上であるかもしれない。処置(治療)期間は患者の寿命であり得る。
剤形、投与量、投与スケジュール及び処置(治療)期間のありとあらゆる組み合わせが想定され、本発明に含まれる。1つの実施例において、用量は、約2ヶ月以上の処置(治療)期間で、1日に1回、2回、又は3回の投与にわたって摂取される、1日あたり約4gから約10gである。もう1つの実施例において、用量は、約6ヶ月以上の処置(治療)期間にわたって、1日に1回、2回、又は3回の投与にわたって摂取される、1日当たり4gを超え5g以下である。剤形は、固形の経口剤形、特に錠剤であるかもしれない。
医薬組成物は、対象においてLSDを処置(治療)するための単剤療法(例えば、活性剤単独の使用)として使用されるかもしれない。或いは、医薬組成物は、例えば対象のLSDを処置(治療)するための、他の既知の療法の補助として、又はそれと組み合わせて使用することができる。
様々な方法で分類することができるすべてのLSDは、本開示の範囲内にある。1つの実施例において、LSDは、グリコーゲン蓄積症(glycogen storage disease)、ムコ多糖症(mucopolysaccaridoses)、ムコリピドース(mucolipidoses)、オリゴサッカリドース(oligosaccharidoses)、リピドース(lipidoses)、スフィンゴ脂質症(sphingolipidoses)、及びリソソーム輸送疾患(lysosomal transport diseases)のいずれかから選択される。
スフィンゴ脂質症(sphingolipidoses)は、ニーマンピック病A/B型(Niemann−Pick disease type A/B)、ゴーシェ病I型、II型、及びIII型(Gaucher disease types I, II, and III)、クラッベ病(Krabbe disease)、ファブリー病(Fabry disease)、シンドラー病(Schindler Disease)、GM1ガングリオシド症(GM1 gangliosidosis)、モルキオB病(Morquio B disease)、GM2ガングリオシド症(GM2 gangliosidoses)、異染性白質ジストロフィー(metachromatic leukodystrophy)、ファーバー病(Farber disease)、多発性スルファターゼ欠乏症(multiple sulfatase deficiency)、リソソーム酸性リパーゼ欠乏症(lysosomal acid lipase deficiency)及びガラクトシアリドーシス(alactosialidosis)のいずれかから選択されるかもしれない。1つの実施例において、スフィンゴ脂質症は、ニーマンピック病A型、GM1ガングリオシド蓄積症、テイ・サックス病(Tay−Sachs disease)、テイ・サックス病のAB変異体(AB variant)、及びサンドホフ病(Sandhoff disease)から選択される。
ムコリピドーシスは、ムコリピドーシスI、ムコリピドーシスII、ムコリピドーシスIII、及びムコリピドーシスIVのいずれかから選択され得る。1つの実施例において、ムコリピドーシス(mucolipidosis)は、ムコリピドーシスII又はムコリピドーシスIIIである。
ムコ多糖症は、MPS IH、MPS I H−S、MPS IS、MPS IIA、MPS IIB、MPS IIIA−D、MPS IVA、MPS VI、MPS VII 及び MPS IXいずれかから選択され得る。1つの実施例において、ムコ多糖症は、MPS III又はMPS VIIである。1つの実施例において、ムコ多糖症はMPS IIIBである。
オリゴサッカリドーシスは、ベータ−マンノシドーシス、アルファ−フコシドーシス、及びアスパルチルグルコサミン尿症のいずれかから選択され得る。1つの実施例において、オリゴ糖症はアスパルチルグルコサミン尿症である。
リピドーシスは、ニーマン−ピック病C型、ニーマン−ピック病D型、神経セロイドリポフスチン症(I型〜X型を含む)、及びウォルマン病のいずれかから選択され得る。1つの実施例において、リピドーシスはニーマンピック病C型である。
グリコーゲン蓄積症は、小児期発症型ポンペ病(Infantile−onset Pompe disease)、遅発型ポンペ病(Late−onset Pompe disease)及びダノン病から選択され得る。
リソソーム輸送疾患は、シスチン症、濃化異骨症(pycnodysostosis)、シアル酸蓄積症(sialic acid storage disease)及び小児遊離シアル酸蓄積症(infantile free sialic acid storage disease)から選択され得る。
LSDは、一次リソソーム加水分解酵素欠陥(primary lysosomal hydrolase defect)、リソソーム酵素の翻訳後プロセシング欠損症(post−translational processing defect of lysosomal enzymes)、リソソーム酵素の輸送欠損症(trafficking defect for lysosomal enzymes)、リソソーム酵素保護の欠損症(defect in lysosomal enzyme protection)、可溶性非酵素リソソームタンパク質の欠損症(defect in soluble non−enzymatic lysosomal proteins)、膜貫通(非酵素)タンパク質欠損症(transmembrane (non−enzyme) protein defect)又は未分類の欠損症(unclassified defect)であるかもしれない。
1つの実施例において、LSDは、一次リソソーム加水分解酵素欠損症(primary lysosomal hydrolase defect)から選択される。一次リソソーム加水分解酵素欠損症は、限られることなく、テイ・サックス病(βヘキソサミニダーゼA欠損症(β−hexosaminidase A defect))、サンドホフ病(βヘキソサミニダーゼA+B欠損症(β−hexosaminidase A+B defect))、ファブリー病(αガラクトシダーゼA欠損症(α−galactosidase A defect))、クラッベ病(βガラクトシルセラミダーゼ欠損症(β−galactosyl ceramidase defect))、ニーマン・ピック病A型及びB型(スフィンゴミエリナーゼ欠損症(sphingomyelinase defect))、異染性白質ジストロフィー(アリルスルファターゼA欠損症(arylsulphatase A defect))、MPS IH(フルラー症候群(Hurler syndrome);αイズロニダーゼ欠損症(α−iduronidase defect))、MPS IS(シャイエ症候群(Scheie syndrome);αイズロニダーゼ欠損症(α−iduronidase defect))、MPS IH−S(ハーラー・シャイエ症候群(Hurler−Scheie syndrome);αイズロニダーゼ欠損症(α−iduronidase defect))、MPS II(ハンター症候群(Hunter syndrome);イズロン酸スルファターゼ欠損症(iduronate sulphatase defect))、MPS IIIA(サンフィリポA症候群(Sanfilippo A syndrome);ヘパラン・スルファミダーゼ欠損症(heparan sulphamidase defect))、MPS IIIB(サンフィリッポB症候群(Sanfilippo B syndrome);アセチルα−グルコサミニダーゼ欠損症(acetyl α−glucosaminidase defect))、MPS IIIC(サンフィリッポC症候群(Sanfilippo C syndrome);アセチル補酵素A(acetyl CoA):α−グルコサミニドN−アセチルトランスフェラーゼ欠損症(α−glucosaminide N−acetyltransferase defect))、MPS IIID(サンフィリッポD症候群(Sanfilippo D syndrome);N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ欠損症(N−acetyl glucosamine−6−sulphatase defect))、MPS IV A(モルキオA病(Morquio A disease);アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ欠損症(acetyl galactosamine−6−sulphatase defect))、MPS IVB(モルキオB病(Morquio B disease);βガラクトシダーゼ欠損症(β−galactosidase defect))、MPS V(再指定MPS IS(redesignated MPS IS))、MPS VI(マロトー・ラミー症候群(Maroteaux Lamy Syndrome);アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ(アリルスルファターゼB)欠損症(acetyl galactosamine−4−sulphatase (arylsulphatase B) defect))、MPS VII(スライ症候群(Sly Syndrome);βグルクロニダーゼ欠損症(β−glucuronidase defect))、MPS IX(ヒアルロニダーゼ欠損症(hyaluronidase defect))、ウォルマン/コレステロールエステル蓄積症(Wolman/cholesteryl ester storage disease)(WD;酸性リパーゼ欠損症(acid lipase defect))、ポンぺ病(Pompe disease)(II型(Type II);α1,4−グルコシダーゼ欠損症(α 1,4−glucosidase defect))、アスパルチルグルコサミン尿症(aspartylglucosaminuria)(グリコシルアスパラギナーゼ欠損症(glycosylasparaginase defect))、フコシドーシス(fucosidosis)(α−フコシダーゼ欠損症(α−fucosidase defect))、アルファ−マンノシドーシス(α−mannosidosis)(α−マンノシダーゼ欠損症(α−mannosidase defect))、ベータ−マンノシドーシス(β−mannosidosis)(β−マンノシダーゼ欠損症(β−mannosidase defect))、シンドラー病(Schindler disease)(N−アセチルガラクトサミニダーゼ欠損症(N−acetylgalactosaminidase defect))、シアリドーシス/ML I(sialidosis/ML I)(α−ノイラミニダーゼ欠損症(α−neuraminidase defect))、小児性神経セロイドリポフスチン沈着症(infantile neuronal ceroid lipofuscinosis)(CLN1;(パルミトイル・プロテイン・チオエステラーゼ欠損症(palmitoyl protein thioesterase defect))、遅発型小児性神経セロイドリポフスチン沈着症(late infantile neuronal ceroid lipofuscinosis)(CLN2;カルボキシペプチダーゼ欠損症(carboxypeptidase defect))、早期乳児型GM1ガングリオシドーシス(early infantile GM1 gangliosidosis)、後期乳児型GM1ガングリオシドーシス(late infantile GM1 gangliosidosis)、成人乳児型GM1ガングリオシドーシス(adult infantile GM1 gangliosidosis)、ゴーシェ病1型(Gaucher Disease Type 1)(非神経障害性(Non−Neuronopathic))、ゴーシェ病2/3型(Gaucher Disease Type 2/3)(神経障害性(Neuronopathic))、神経セロイドリポフスチン症4型(Neuronal Ceroid Lipofuscinosis Type 4)(CLN4;クッフス病(Kufs disease);成人NCL(Adult NCL); パルミトイル・プロテイン・チオエステラーゼ−1欠損症(A型)(palmotoyl−protein thioesterase−1 deficiency (Type A));カテプシンF欠損症(B型)(Cathepsin F deficiency (Type B)))、神経セロイドリポフスチン症10型(Neuronal Ceroid Lipofuscinosis Type 10)(CLN10;先天性カテプシンD欠損症(Congenital Cathepsin D Deficiency))、濃化異骨症(Pycnodysostosis)(カテプシンK欠損症(Cathepsin K defect))、幼児発症ポンペ病(Infantile−Onset Pompe Disease)、遅発性ポンペ病(Late−Onset Pompe Disease)、ファーバー病(Farber Disease)(ファーバー脂肪肉芽腫症(Farber’s lipogranulomatosis);セラミダーゼ欠損症(ceramidase deficiency);線維芽細胞ムコ多糖異常症(Fibrocytic dysmucopolysaccharidosis);皮下脂肪肉芽腫症(Lipogranulomatosis))及びガラクトシアリドーシス(Galactosialidosis)(防御タンパク質カテプシンA欠損症(protective protein cathepsin A defect)、PPCA欠損症(PPCA defect))を含む。1つの実施例において、一次リソソーム加水分解酵素欠損症は、テイ・サックス病、サンドホフ病、ニーマンピック病A型、ニーマンピック病B型、神経セロイドリポフスチン症、ゴーシェ病、ファブリー病、クラッベ病、GM1ガングリオシドーシス、GM2ガングリオシドーシス、異染性白質ジストロフィー、及びファーバー病から選択される。1つの実施例において、一次リソソーム加水分解酵素欠損症は、テイ・サックス病、サンドホフ病、ニーマンピック病A型、ニーマンピック病B型、及びGM1ガングリオシドーシスから選択される。
1つの実施例において、LSDは、リソソーム酵素の翻訳後プロセシング欠陥から選択される。リソソーム酵素の翻訳後プロセシングの欠陥には、限られることなく、粘液桿菌症(mucosulphatidosis)(MSD;多発性スルファターゼ欠損症(multiple sulphatase defect))、MLII(アイセル病(I−cell disease);N−アセチルグルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠損症(N−acetyl glucosamine phosphoryl transferase defect))及びMLIII(偽ハーラー・ポリジストロフィー(pseudo−Hurler polydystrophy);N−アセチルグルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠損症(N−acetyl glucosamine phosphoryl transferase defect))を含む。
1つの実施例において、LSDは、リソソーム酵素の輸送欠損症から選択される。リソソーム酵素の輸送欠陥には、限られることなく、ムコリピドーシスII型(アイセル病(I−cell disease);N−アセチルグルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠損症(N−acetyl glucosamine phosphoryl transferase defect))、ムコリピドーシスIDA型(偽ハーラー・ポリジストロフィー(pseudo−Hurler polydystrophy):N−アセチルグルコサミンホスホリルトランスフェラーゼ欠損症(N−acetyl glucosamine phosphoryl transferase defect)及びムコリピドーシスIIIC型を含む。
1つの実施例において、LSDは、リソソーム酵素保護における欠陥症である。リソソーム酵素保護における欠陥症には、限られることなく、ガラクトシアリドーシス(保護タンパク質カテプシンA(PPCA)欠陥症)が含まれる。
1つの実施例において、LSDは、可溶性の非酵素的リソソームタンパク質における欠陥症である。可溶性の非酵素的リソソームタンパク質の欠陥症には、限られることなく、GM2アクチベータータンパク質欠乏症(変異体AB)(GM2 activator protein deficiency (variant AB))、ニーマンピック病C2型(NPC2)、スフィンゴ脂質アクチベータータンパク質(SAP)欠乏症(sphingolipid activator protein (SAP) deficiency)が含まれる。
1つの実施例において、LSDは膜貫通(非酵素)タンパク質欠損症である。膜貫通(非酵素)タンパク質欠損症は、限られることなく、ダノン病(リソソーム関連膜タンパク質2(LAMP2)欠損症)、NPC(NPC1欠損症)、シスチン症(シスチノシン欠損症)、乳児遊離シアル酸蓄積症(ISSD;シアリン欠乏症(sialin defect))、サルラ病(遊離シアル酸蓄積症;シアリン欠乏症)、若年性神経セロイドリポフスチン症(juvenile neuronal ceroid lipofuscinosis)(CLN3、バッテン病(Batten disease))、成人神経セロイドリポフスチン症(adult neuronal ceroid lipofuscinosis)(クッフス病(Kufs disease);成人NCL(Adult NCL)、パモトイルタンパク質チオエステラーゼ−1欠乏症(A型)(palmotoyl−protein thioesterase−1 deficiency (Type A)));カテプシンF欠乏症(B型)(Cathepsin F deficiency (Type B))、神経セロイドリポフスチン症(NCL)(neuronal ceroid lipofuscinoses (NCL))(CLN6、CLN7、及びCLN8)及びムコリピドーシスIV型(ムコリピン欠損)(mucolipidosis type IV(mucolipin defect))を含む。1つの実施例において、LSDは、ニーマンピック病C1型又はニーマンピック病C2型である。
1つの実施例において、LSDは未分類の欠損症である。未分類の欠損症は、限られることなく、神経セロイドリポフスチン症(NCL)(CLN5及びCLN9)を含む。
本発明の組成物及び方法によって処置(治療)されるLSDは、神経セロイドリポフスチン症、一次スフィンゴ糖脂質症(即ち、ゴーシェ、ファブリー、GM1、GM2ガングリオシドーシス、クラッベ及び異染性白質ジストロフィー(MLD))、ファーバー病及び多発性スルファターゼ欠損症のいずれかであるかっもしれない。1つの実施例において、LSDは重大な中枢神経系(CNS)の関与を有する。例えば、LSDは、NPC、テイ・サックス病、サンドホフ病、GM1ングリオシドーシス又はまたはファブリー病から選択されるかもしれない。
1つの実施例において、LSDはニーマンピック病A型である。もう1つの実施例において、LSDはニーマンピック病B型である。もう1つの実施例において、LSDは、ニーマン−ピック病C型(C1又はC2)である。ピック病は、常染色体劣性LSD(autosomal recessive LSDs)の異種群である。共通するセルの特徴は、肝脾腫大((hepato)splenomegaly)だけでなく、単核食細胞及び実質組織における異常なスフィンゴミエリン(SM)蓄積を含む。3つの主要サブグループ(AC)のうち、NPC(以前はNPC及びNPDとして分類され、現在は単一の病気(疾患)であると認識されている)は、後期エンドソーム/リソソーム区画における、非エステル化コレステロールの異常な細胞内コレステロール輸送誘導性蓄積によって引き起こされる致命的な内臓神経LSDとして分類される。CNSの外側では、NPCの細胞特性は、後期エンドソーム/リソソーム区画内の非エステル化コレステロール及び他の脂質(例えばGSL)の異常な蓄積を含む。逆に、CNSではコレステロールの正味の上昇はないが(但し、変化した分布はある)、非常に上昇したGSLのレベルがある。進行性神経変性は、小脳におけるGABA作動性プルキンエニューロン(GABAergic Purkinje neurons)の連続的な変性によって特に特徴付けられるが、これは小脳性運動失調症の発症及び進行、並びにNPCの経過中に見られる神経機能障害の他の側面と平行する。遺伝学的研究は、NPC疾患がNpc1又はNpc2遺伝子のいずれかにおける突然変異によって引き起こされることを示した。これら2つの遺伝子間の正確な機構的関連性は未知のままであり、そして、これらのタンパク質の機能的役割は謎のままである。NPC1は、後期エンドソーム/リソソームの限界膜の多膜貫通タンパク質をコード化するのに対して、NPC2はリソソームの可溶性コレステロール結合タンパク質である。NPC1が不活性化されると、スフィンゴシンは蓄積される最初の脂質であり、NPC1がリソソームからのスフィンゴシンの輸送において役割を果たすことを示唆するが、ここで、それは通常、スフィンゴ脂質異化の一部として生成される。上昇したスフィンゴシンは、次に酸性蓄積庫へのカルシウム流入における欠陥を引き起こし、この区画からのカルシウム放出が大幅に減少するという結果となる。これは、その後カルシウム依存性プロセスである、後期エンドソーム−リソソーム融合を防ぎ、そして、後期エンドサイトーシス経路を通過する積荷である脂質(コレステロール、スフィンゴミエリン及びスフィンゴ糖脂質)の二次蓄積を引き起こす。NPC1機能を阻害することの他の二次的な結果には、不完全なエンドサイトーシス及び自食作用胞を除去できないことが含まれる。NPC1/NPC2細胞経路は、後期エンドソームにおけるそれらの生存を促進するために病原性ミコバクテリアによって標的とされることが示されてきた。
テイ・サックス病は、β−ヘキソサミニダーゼのAアイソザイムの欠乏のために、特にCNS組織において特徴付けられる、脂質代謝の致命的な遺伝性疾患である。β−ヘキソサミニダーゼのαサブユニットをコード化するHEXA遺伝子における突然変異は、Aアイソザイム欠乏症を引き起こす。テイ・サックス病は、欠陥のあるGM2ガングリオシド分解によって特徴付けられる、GM2ガングリオシドーシスのような障害の一群のプロトタイプである。GM2ガングリオシド(モノシアリル化ガングリオシド2(monosialylated ganglioside 2))は、胎児期にすでに始まっているニューロンに蓄積する。
サンドホフ病は、β−ヘキソサミニダーゼのA及びB(塩基性)アイソザイムの両方の欠乏から生じる。β−ヘキソサミニダーゼのβサブユニットをコード化するHEXB遺伝子における突然変異は、Bアイソザイム欠乏症を引き起こす。
GM1ガングリオシドーシスは、β−ガラクトシダーゼの欠乏により引き起こされ、それは、GM1ガングリオシド(モノシアル化ガングリオシド1(monosialylated ganglioside 1))のリソソーム蓄積という結果となる。
ファブリー病は、α−ガラクトシダーゼの欠乏により引き起こされ、それは、セラミドトリヘキソシドのリソソーム内蓄積という結果となる。
1つの実施例において、LSDは、テイ・サックス病、テイ・サックス病のAB変異体、サンドホフ病、ニーマンピック病A型、ムコリピドーシスII、ムコリピドーシスIII、MPS III、MPS VII、GM1ガングリオシドーシス、及びアスパルチルグルコサミン尿症から選択される。1つの実施例において、LSDはサンドホフ病である。1つの実施例において、LSDはテイ・サックス病である。1つの実施例において、LSDはテイ・サックス病のAB変異体である。1つの実施例において、LSDはムコリピドーシスII型である。1つの実施例において、LSDはムコリピドーシスIII型である。1つの実施例において、LSDはGM1ガングリオシドーシスである。1つの実施例において、LSDはMPS IIIである。1つの実施例において、LSDはMPS VIIである。1つの実施例において、LSDはニーマンピック病A型である。1つの実施例において、LSDはアスパルチルグルコサミン尿症である。
1つの実施例において、LSDはニーマンピック病ではない。1つの実施例において、LSDはニーマン−ピック病C型ではない。
1つの実施例において、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、ニーマンピック病(例えば、ニーマン−ピック・タイプC又はタイプA)又はムコリピドーシスII型に関連する、体重減少、歩行悪化、及び/又は運動機能低下を処置(治療)する。例えば、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、ニーマン−ピック病(例えば、ニーマン−ピック・タイプC又はタイプA)又はムコリピドーシスII型に関連する、体重減少、歩行悪化、及び/又は運動機能低下の進行を、遅延又は逆行するかもしれず、除去するかもしれず、その重症度を低下させるかもしれず、又は、その発症を遅らせるかもしれない。1つの実施例において、体重減少、歩行悪化、及び/又は運動機能低下は、ニーマン−ピック・タイプA又はムコリピドーシスII型に関連する。
1つの実施例において、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、サンドホフ病に関連する、歩行悪化、運動機能低下、及び/又は低下した運動性を処置(治療)する。例えば、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、サンドホフ病に関連する、歩行悪化、運動機能低下、及び/又は低下した運動性の進行を遅らせる又は逆行さっせる、それを除去又はその重症度を低下させる、又は、その発症を遅らせるかもしれない。
1つの実施例において、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、テイ・サックス病に関連する、低下協調性、震え、低下運動性、認識機能障害、及び/又は歩行悪化を処置(治療)する。例えば、アセチル−ロイシン、又はその薬学的に許容される塩は、テイ・サックス病に関連する、低下協調性、震え、低下運動性、認識機能障害、及び/又は歩行悪化の進行を遅らせる又は逆行させる、その重症度を低下させる若しくは除去する、又はその発症を遅らせるかもしれない。
それを必要とする対象において、LSD又はLSDの1つ以上の症状を処置(治療)する方法であって、治療有効量のアセチル−ロイシン又はその製薬上許容される塩を、その対象に投与することを含む方法も提供される。
薬剤の「治療有効量」は、対象に投与したときに、所望の効果を生じるのに必要な薬剤の量であり、本開示に対して、治療的及び/又は予防的であり得る。用量は、使用されるアセチル−ロイシンの特定の形態;処置(治療)される患者の年齢、体重及び状態;病気の種類;投与経路;及び、必要な養生法のような様々なパラメータに従って決定されてもよい。医師は、如何なる特定の患者に対して、必要な投与経路及び投与量を決定することができるであろう。例えば、1日の用量は、体重1kgあたり約10から約225mg、体重1kgあたり約10から約150mg、又は体重1kgあたり約10から約100mgであってもよい。
それを必要とする対象(例えば、LSDを有する、有することが疑われる、又は有する危険がある対象)において、LSDを処置(治療)するためのキットも開示されるが、それは、LSDを診断又は予知するための手段、及びアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含む。
LSDを診断又は予知するための手段は、特異的結合剤、プローブ、プライマー、プライマーの対又はそれらの組み合わせ、抗体フラグメントを含む酵素又は抗体を含んでもよいが、それは、ここにおいて規定されるように、LSDの検出又は検出を補助することができる。キットは、蛍光マーカーであり、インビトロジェン(Invitrogen)及びロンザ(Lonza)の両方から市販されているライソトラッカー(LysoTracker)(登録商標)を含んでもよい。ライソトラッカー(LysoTracker)(登録商標)は、青、青白、黄色、緑、又は赤であるかもしれない。
キットはまた、ここにおいて定義されるように、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含む。そのキットは、緩衝液又は水溶液を更に含んでもよい。そのキットは、本発明の方法において、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を使用するための説明書を更に含んでもよい。
更なる実施例において、LSDを有する、有することが疑われる、又は有する危険性がある対象において、神経防護作用を提供する方法において使用するためのアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩が開示される。
ここにおいて使用される「神経防護作用」及びその同語源語は、限定されることなく、神経細胞構造の進行性喪失、神経細胞機能の進行性喪失、及び/又は進行性の神経細胞の死を含む、神経変性の、防止、遅行、及び/又は逆行された進行を意味する。神経防護作用を提供することは、そうでなければ典型的な病気の進行に従って現れると予期されるLSDの発症又はLSDの1つ以上の症状を遅らせること、LSDの重症度を低下させる又はLSDに関連する1つ以上の既存症状の重症度を低下させる又は排除すること、典型的な病気の進行と比較して経時的にLSDの進行又はLSDの1つ以上の症状の進行を遅延させること、及び/又はLSDの進行又はLSDの1つ以上の症状を経時的に逆行させること、という結果になるかもしれない。神経防護作用が提供される期間は、ここにおいて記述されるように処置(治療)期間と一致してもよい。処置(治療)は、例えば、約7日以上、約2週間以上、約3週間以上、約1ヶ月以上、約6週間以上、約7週間以上、又は約2ヶ月以上の期間にわたって神経防護作用を提供してもよい。更に例えば、処置(治療)は、約3ヶ月以上、約4ヶ月以上、約5ヶ月以上、又は約6ヶ月以上の期間にわたって神経防護作用を提供する。もう1つの実施例において、それは、約1年以上、約2年以上、約3年以上、約4年以上、約5年以上、又は約10年以上の期間にわたって神経防護作用を提供する。処置(治療)は、患者の生涯にわたって神経防護作用を提供してもよい。
実験例によって証明されるように、本発明者らは、アセチル−ロイシンが神経保護剤として作用し、そして、そうでなければ現れると予期され得る神経変性を阻害すると信じている。
1つの実施例において、治療有効量のアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む方法であって、LSDを有する、有することが疑われる、又は有する危険性がある対象において、神経防護作用を提供する方法がある。
LSDを診断又は予知するための手段、及びアセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩を含むキットであって、LSDを有する、有することが疑われる、又は有する危険性がある対象において、神経防護作用を提供するためのキットも開示される。
本開示は更に、LSDを有する、有すると疑われる、又は有する危険性がある対象における神経保護剤として、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩の使用を含む。
ここにおいて記述されるすべての特徴(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)、及び/又はそのように開示される如何なる方法のすべてのステップは、少なくとも幾つかのそのような特徴及び/又はステップが相互に排他的であるところの組合せを除いて、如何なる組合せにおける上記側面の如何なるものと組み合わせるかもしれない。
実験例
本発明は、以下の実験例において更に詳細に説明されるが、これは対象におけるLSDの処置(治療)及び該対象における神経防護作用の提供における、アセチル−ロイシンの有用性を実証する。
実験例1
インビボのマウス研究−方法
マウス・モデル
この研究は、NPCの真正のマウス・モデル、Npc1−/−(BALB/cNctr−Npc1m1N/J)マウスを利用したが、これは、NPC1タンパク質に対しては無効であり、そして、臨床疾患の全ての特徴を示す(Loftus、1997)。
この変異株は、自然発生的に発生し、10〜14週間の範囲の寿命を持ち、それゆえ、大多数の患者よりもより急性の病気(疾患)の経過を有する。この変異マウスは、病気の個体発生及びその根底にある発症メカニズムを決定するためだけでなく、実験的処置(治療)法を評価するためにも、成功裏に利用されてきた。これらのマウスを用いた解析は、動物全体、細胞レベル、及び分子レベルで行われてきた(Baudry、2003年;Smith、2009年;Cologna、2014年;Cologna、2012年)。それは、NPCの最も集中的に研究された動物モデルである。
約4〜5週齢の前は、Npc1−/−マウスは、野生型の同腹仔から区別する、識別可能な病気の行動的兆候を有していない。震え及び失調性歩行のような行動の欠陥の最初の兆候は、5〜6週までに現れ、7〜8週までに運動協調の障害がより明白になり、9〜10週までに運動失調が進行し、摂食及び摂水が困難になるにつれて体重における増大する損失及び体調不良(poor coat condition)を伴う(人道的な評価項目(humane end point)が適用される)(Smith、2009)。
野生型(Npc1+/+)同腹仔をコントロール(control)として使用した。
処置(治療)プロトコル
一群のNpc1−/−マウス及び一群のNpc1+/+マウスを、離乳(3週齢)から、マウス固形飼料に混合して提供される0.1g/kgのアセチル−DL−ロイシンで処置(治療)した。
コントロールとして、分離群のNpc1−/−及びNpc1+/+マウスは、未処置(治療)のままにした。
コート・コンディション(Coat Condition)
アセチル−DL−ロイシン処理あり及びなしのNpc1−/−マウスのコート・コンディションは、9週齢のマウスの簡単な観察によって比較された。
重量データ
動物の体重を週に2回測定した。各群において全てのマウスに渡って体重が平均化された(平均)、そして、それらは比較された。
歩行解析
キャットウォーク(CatWalk)(登録商標)15.0システムを製造元の説明書(Noldus、Nottingham、UK)に従って使用して、8週齢でマウスの歩行解析を実施した。動物1匹につき5回の実験が記録された。
測定されたキャットウォーク(CatWalk)(登録商標)パラメータ(parameters)は以下の通りであった。
1.スタンド・ミーン(Stand Mean):ガラス板と接触している肢(paw)の平均持続時間(duration)(s);
2.ステップ・サイクル:同じ肢(paw)の2つの連続した接触の間の持続時間(duration)(s);
3.デューティ・サイクル:ステップ・サイクルを完了するための時間と比較した、プレートと接触している肢(paws)の時間のパーセンテージ;
4.ステップ・シーケンス(AB):LF−RH−RF−LH交互パターンにおける歩行に費やした時間の割合(LF:左前;RH:右後;RF:右前;LH左後);
5.歩調(Cadence):トライアルにおける1秒あたりのステップ;
6.対角支持(Diagonal Support):対角の肢(diagonal paws)がガラス板と同時に接触する時間の割合(RF&LH又はRH&LF)。
運動機能解析
運動機能解析は、製造元の説明書(Linton Instruments、Amlogger Software)に従って、オープンフィールド活動モニター(Open Field Activity Monitor)を使用して、8週齢及び9週齢のマウスで実施された。各マウスは、寝床付きのプラスチック製ケージに入れられ、そして、5分間解析された。後部(Rears)は手動で数えられた。
測定された運動機能パラメータ(motor function parameters)は以下の通りであった。
1.センター・リアリング(Centre Rearing):支持なしで、後足(hind legs)でのマウスのリアリング;
2.リアリング(Rearing):ケージ壁の支持の有及び無で、後足(hind legs)でのマウスのリアリング;
3.活動(Activity):歩き(walks)を含む動物の通常な動き(regular movement);
4.前から後ろ(FR)のカウント(Front to Back (FR) count):ケージの前から後ろへの動物の動き(movement);
5.活動時間(Active Time):動き(movement)に関係なく活動度(activeness)の持続時間(duration)(s/min);
6.モバイル・タイム(Mobile Time):モビリティ(mobility)の持続時間(秒/分);
7.リアリング・タイム(Rearing Time):如何なるリアリング(Rearing)の持続時間。
結果
コート・コンディション
図1Bは、未処置(治療)のNpc1−/−年齢が一致した同腹仔を示す。Npc1−/−マウスは、摂食及び摂水が困難になったので、9週齢でコート・コンディションが不良であると観察された(図1B参照)。
明確に対照的に、図1Aは、離乳からのアセチル−DL−ロイシンで処置したNpc1−/−マウスを示す。アセチル−DL−ロイシンで処置(治療)したNpc1−/−マウスは、野生型(Npc1+/+)同腹仔を思わせる、滑らかな毛艶(smooth and glossy coat)を有していた(図1A参照)。
体重データ
図2Aにおいて見られるように、野生型(Npc1+/+)マウスは、研究の期間の間(即ち、3週齢から10週齢)に着実に体重が増えた。更に、図2Aは、時間における各ポイントで(Npc1−/−未処置(未治療)、n=1;Npc1−/−アセチル−DL−ロイシンの0.1g/kg、n=3;Npc1+/+未処置(未治療)、n=3;Npc1+/+アセチル−DL−ロイシンの0.1g/kg、n=2)、マウスの群あたりの平均体重を示す。
アセチル−DL−ロイシンによる処置(治療)は、この体重増加に有意な影響を及ぼさなかった。
Npc1−/−マウスは、最初はNpc1+/+コントロールとほぼ同様に体重が増加した。しかしながら、Npc1−/−マウスは6週齢から体重が減少し始めた。実験終了時(10週齢)で、マウスの体重はわずか4週齢のときと同程度に少なくなった。
アセチル−DL−ロイシンによる処置(治療)は、未処置(未治療)群と比較してこれらの体重減少の症状を2週間遅らせた。
アセチル−DL−ロイシン処置(治療)の有及び無での、Npc1−/−マウスの体重変化の比較が図2Bに示される。特に、図2Bは、Npc1−/−マウスのみに対して、各時点におけるマウスの群あたりの体重の変化(%)を示す。体重減少を遅らせることにおけるアセチル−DL−ロイシン処置(治療)の有益な効果は、この図から明白である。
歩行解析
歩行解析の結果は、図3に示される。対角支持(Diagonal support)、歩調(cadence)、及びステップ・シーケンス(step sequence)データは、それぞれ図3A〜3Cに示される。図3D及び3Eは、前肢(front paw)(FP)データを示す(図3Dにおいてスタンド・ミーン(stand mean)及びステップ・サイクル(step cycle);図3Eにおいてデューティ・サイクル(duty cycle))。図3F及び図3Gは、後肢(hind paw)((HP)データを示す(図3Fにおいてスタンド・ミーン(stand mean)及びステップ・サイクル(step cycle);図3Gにおいてデューティ・サイクル(duty cycle))。データは平均±SEMとして表される。未処置(未治療)(untreated)のNpc1+/+に対してn=3、Npc1+/+処置(治療)(treated)対してn=2、Npc1−/−未処置(未治療)(untreated)に対してn=1(従って統計解析を行わない)、Npc1−/−処置(治療)(treated)に対してn=3である。
各グラフの第1の棒は、野生型(Npc1+/+)マウスの歩行特性を示す。
各グラフの2番目の棒は、アセチル−DL−ロイシンで処置(治療)した野生型(Npc1+/+)マウスの歩行特性を示す。これらのマウスとそれらの未処置(未治療)の同腹仔との間で歩行特性に有意差はなかった。
各グラフの3番目の棒は、Npc1−/−マウスの歩行特性を示す。概して、このマウスは、Npc1+/+マウスと比較して歩行不良を示した。マウスは、あったとしても、対角支持(diagonal support)(図3A)又はステップ・シーケンス(step sequence)(図3C)に非常に短い時間しか費やさず、そして、スタンド・ミーン(stand mean)におけるその後肢(hind paw)機能(図3F)及びデューティ・サイクル(duty cycle)(図3G)はまた、劇的に妨げられた。
各グラフの4番目の棒は、アセチル−DL−ロイシンで処置(治療)したNpc1−/−マウスの歩行特性を示す。これらのマウスは、それらの未処置(未治療)の同腹仔と比較して、有意に改善された歩行を示した。事実、それらはNpc1+/+マウスと同様の歩行特性を示した。
運動機能解析
8週齢での解析は、Npc1−/−マウスと野生型(Npc1+/+)マウスとの間で運動機能特性に差がないことを明らかにした(データは示さず)。
しかしながら、9週齢までに、運動協調における欠陥が明らかになった。
9週齢の運動機能解析の結果が図4に示される。センター・リアリング(Centre rearing)、活動(activity)、リアリング(rearing)及び前から後ろへ(front to back)(FR)カウント(count)が、それぞれ、図4A〜図4Dに示される。活動時間(Active time)、モバイル・タイム(mobile time)、リアリング・タイム(rearing time)及び総手動のリアリング・カウント(rearing count)は、それぞれ図4E〜図4Hに示される。データは、平均±SEMとして表される。Npc1+/+未処置(未治療)に対してn=3、Npc1+/+処置(治療)に対してn=2、Npc1−/−未処置(未治療)に対してn=1(従って統計解析を行わない)、Npc1−/−処置(治療)に対してn=3。
各グラフの最初の棒は、野生型(Npc1+/+)マウスの運動機能特性を示す。
各グラフの第2の棒は、アセチル−DL−ロイシンで処置(治療)した野生型(Npc1+/+)マウスの運動機能特性を示す。これらのマウスとそれらの未処置(未治療)の同腹仔との間に運動機能特性に有意差はなかった。
各グラフの3番目の棒は、Npc1−/−マウスの運動機能特性を示す。概して、このマウスは、Npc1+/+マウスと比較して、乏しい運動機能を示した。マウスは、あったとしても、特に後肢足(hind legs)の無支持(パネルA)にリアリング(rearing)(panel H)にごくわずかな時間しか費やさなかった。
各グラフの4番目の棒は、アセチル−DL−ロイシンで処置(治療)したNpc1−/−マウスの運動機能特性を示す。これらのマウスは、それらの未処置(未治療)の同腹仔と比較して有意に改善された運動機能を示した。事実、それらはNpc1+/+マウスと同様の運動機能特性を示した。
寿命
Npc1−/−マウスのアセチル−DL−ロイシン(3週齢から0.1g/kg)による処置(治療)は、寿命における統計的に有意な増加と関連することもまた観察された(図5)。このデータは更に、病気(疾患)の発症を遅らせることにおけるアセチル−ロイシンの効果を示している。
結論
Npc1−/−マウスが、5〜6週齢の野生型の同腹仔から区別する病気(疾患)の識別可能な兆候を有したところ、離乳からアセチル−DL−ロイシンで処置されたNpc1−/−同腹仔は、2以上の週の後になるまでそのような兆候を示さなかった。アセチル−DL−ロイシンによるNpc1−/−マウスの処置(治療)は、NPC症状の発症及び進行を遅らせ、そして、神経防護作用の証拠を示した。
実験例2
方法
NPC患者由来の線維芽細胞株は、N−アセチル−DL−ロイシン(1mM)で3日間処置(治療)され、そして、相対的リソソーム量は、酸性オルガネラにおいて蓄積する蛍光染料であるLysoTrackerを介して定量された。増加したLysoTracker蛍光は、リソソームのサイズ及び/又は数における増加を示し、そして、それはNPC細胞の顕著な特徴である。
更に、ニーマンピックA(NPA)、ムコリピドーシスII型(MLII)、ムコ多糖症IIIB型(MPS IIIB)、アスパルチルグルコサミン尿症、ムコリピドーシスIIIA型(MLIIIA)、及びムコ多糖症VII型(MPS VII)の患者由来の線維芽細胞は、6日間アセチル−DL−ロイシン(1mM)で処置(治療)されたが、リソソーム量は、LysoTrackerによって定量された。
結果
1mMのN−アセチル−DL−ロイシンによる軽度の臨床的重症度のNPC患者由来の線維芽細胞の処置(治療)は、LysoTracker蛍光における有意な減少と関連していたが、これは経時的な減少したリソソーム量を示している(図6A)。これらの発見は、72時間1mMのN−アセチル−DL−ロイシンで処置(治療)された変わり易い臨床的重症度の追加のNPC患者から得られた線維芽細胞において再現された(図6B)。
NPA、MLII、MPS IIIB、アスパルチルグルコサミン尿症、MLIIIA、及びMPS VII患者に由来する線維芽細胞は、年齢を一致させた野生型コントロールに対して、上昇したLysoTracker蛍光レベルを有することが観察された(図6C〜6H)。これは、健康な個体からの線維芽細胞と比較して、脂質蓄積の結果として生じる拡大されたリソソームを示している。アセチル−ロイシンでの処理は、未処置(未治療)のNPA、MLII、及びMPS IIIB線維芽細胞と相対して、NPA、MLII、及びMPS IIIB線維芽細胞におけるコントロール・レベルに向かうLysoTracker蛍光における統計的に有意な減少と関連していたが(図6C〜6E)、それは、未処置(未治療)のアスパルチルグルコサミン尿症、MLIIIA、及びMPS VII線維芽細胞と比較して、それぞれアスパルチルグルコサミン尿症、MLIIIA、及びMPS VII線維芽細胞において、コントロール・レベルに向かってLysoTracker蛍光を減少させる傾向と関連していた(図6F〜6H)。LysoTrackerの蛍光の減少は、リソソーム量の減少を示していた(図6C〜6H)。図6A〜6Dに提示されたデータは、未処置(未治療)の野生型の線維芽細胞に相対する倍率変化として表されたリソソーム量で、各細胞株に対する処置(治療)の結果を示す。アスタリスク(*/****)は、未処置(未治療)の疾患線維芽細胞に対するp値(<0.05/0.001)を示す。
結論
N−アセチル−DL−ロイシン処置(治療)は、リソソーム量を減少させることによる乱されたリソソーム蓄積の調整と関連していたが、このようにして、これらのリソソーム蓄積症の表現型を直接修正した。これらの病気(疾患)は、異なるクラスのLSD(LSDs)を表しており、そして、これらの結果は、広範囲のリソソーム蓄積症(Lysosomal storage disorders)に対するアセチル−ロイシンの効果の有用性を更にサポートしている。
実験例3
サンドホフ病は、βヘキソサミニダーゼのβサブユニットをコード化する、HEXB遺伝子における突然変異の常染色体潜性遺伝(autosomal recessive inheritance)から生じるかもしれない疾患である。この結果として、GM2ガングリオシドは、分解されることができず、末梢及び中枢神経系(CNS)の細胞内のリソソーム内に蓄積する。
この研究は、Jeyakumarらに記述されているように、サンドホフ病のマウス・モデル、Hexb−/−マウスを利用した(Jeyakumar,Mら(1999年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:6388−6393)。
野生型(Hexb+/+)マウスは、コントロールとして使用された。
寿命
アセチル−DL−ロイシンによる処置(治療)は、サンドホフ病のマウスの寿命における統計的に有意な増加と関連していた(図7A)。図7Aにおいて、アセチル−ロイシン処置(治療)マウスは、3週齢から0.1g/kgのアセチル−ロイシンで処置(治療)された。アスタリスク(*)は、未処置(未治療)のサンドホフ病のマウスに対して<0.05のp値を示す。データは、群あたりn=6のマウスの平均である。処置(治療)なしでは、サンドホフ病のマウスの生存期間中央値は112日であった。アセチル−ロイシン(3週齢以降の体重1kg当たり0.1g)での処置(治療)は、メジアン寿命を120日に増加させた。
運動機能
アセチル−ロイシンでのサンドホフ病のマウスの処置(治療)は、バー・クロッシング研究及びステップ・サイクル研究によって示されるように運動機能において改善が生じた。
バー・クロッシング・テスト
バー・クロッシング・テストは、その前肢によって水平なバーの中心からぶら下がって置かれる、マウスにおける運動機能を評価するための方法である。正常な運動機能を有する野生型マウスは、その後肢と係合することができ、それによって、バーのいずれかの端部にあるプラットフォームのうちの1つに移動することができ、そして、そのようにしてテストを完了する。
未処置(未治療)のサンドホフ病のマウスは、およそ11週齢まで、テストを完了することができる。この時点以降、運動機能及び後肢の運動性/係合性は、マウスがテストを完了することができなくなる点まで悪化し、そして、バーから下のパッド付表面の上に落ちるであろう。
サンドホフ病のマウス・モデルのアセチル−DL−ロイシン(3週齢から0.1g/kg体重)での処置(治療)は、バー・クロッシング・テストで評価したように、改善された運動機能及び後肢運動性/係合性と関連していた(図7B)。図7Bにおいて、3週齢から0.1g/kg体重のアセチル−ロイシン処置(治療)が提供された。アセチル−ロイシン処置(治療)されたサンドホフ病のマウスは、13週齢まで(端を含む)テストを完了する能力を保持していた。示されたデータは、群あたり6匹のマウスの平均である。処置したサンドホフ病のマウスは、13週齢まで(端を含む)テストを完了する能力を保持していた。
ステップ・サイクル
ステップ・サイクルは、それが地面を離れてから次の機会に地面を離れるまでの、肢による移動の間にかかる時間の長さである。
未処置(未治療)及びアセチル−ロイシン処置(治療)のサンドホフ病のモデルマウスにおいて、ステップ・サイクル・タイム(step cycle time)は、12週齢で評価された。アセチル−ロイシンの処置(治療)は、3週齢から0.1g/kg体重のアセチル−ロイシンを構成した。
サンドホフ病のマウスモデルのアセチル−ロイシンでの処置(治療)は、有意に速い前ステップ・サイクル・タイム(front step cycle times)(p<0.05 対 未処置(未治療)SHマウス)、有意に速い後ろステップ・サイクル・タイム(p<0.01 対 未処置(未治療)SHマウス)及び有意に速い平均ステップ・サイクル・タイム(average step cycle times)(p<0.001 対 未処理(未治療)SHマウス)と関連した(図7C)。図7Cにおいて、0.1g/kg体重のアセチル−ロイシン処置(治療)が3週齢から提供された。前ステップ・サイクルは、マウスの前肢を指し、後ステップ・サイクルは、マウスの後肢を指し、平均ステップ・サイクルは、マウスのすべての肢を考慮に入れる。アスタリスク(*/**/***)は、未処置(未治療)のサンドホフ病のマウスに対して、<0.05/0.01/0.001のp値を示す。示されたデータは、平均値±標準偏差である。
このように、アセチル−ロイシン処置(治療)は、サンドホフ病のマウスモデルにおける、より速いステップ・サイクルと関連していたが、これは運動機能における改善を示すかもしれない。
結論
これらの研究は、サンドホフ病のマウスモデルのアセチル−ロイシン処置(治療)が、有意に増加した寿命だけでなく、2つの独立した実験によって評価されるように運動機能における改善を生じさせるかもしれないことを実証する。
実施例4
GM2ガングリオシドーシスは、β−ヘキソサミニダーゼ活性における欠陥から生じる一群のリソソーム内蓄積症(Lysosomal storage disorders)である。この群は、テイ・サックス病、サンドホフ病、及びテイ・サックス病のAB変異体を包含する。
GM2患者(テイ・サックス病、サンドホフ病、及びテイ・サックス病のAB変異体)由来の線維芽細胞及び健康なコントロールは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるスフィンゴ糖脂質(GSL)レベルの抽出及び定量化の前に、アセチル−DL−ロイシン(6日間に1mM)で処置(治療)された。
処置(治療)がない場合、GM2ガングリオシドーシスの全3種類に由来する線維芽細胞は、未処置(未治療)の野生型コントロールと比較すると、GSLレベルの上昇を示した。全ての3つのケースにおいて、アセチル−DL−ロイシン(6日間で1mM)による処置(治療)は、GSL蓄積における減少と関連していた。テイ・サックス病の場合において、この減少は、統計学的に有意であった(p<0.05)。サンドホフ病及びテイ・サックス病のAB変異体の場合において、処置(治療)に関連した低下GSLレベルに向かう傾向があった。図8A〜8Cに提示されたデータは、未処置(未治療)の野生型の線維芽細胞におけるレベルに相対する倍率変化として表され、及び、タンパク質含有量に対して調整された、GSLレベルで、それぞれ、各細胞株に対する治療の結果を示す。
実験例5
患者1
この症例研究の患者は28歳の男性で、テイ・サックス病と遺伝的に診断され、構音発声障害、震え、立脚(stance)及び歩行の運動失調、不全対まひ及び筋萎縮を示した。特に、患者は立ち上がることも歩くこともできず、強いサポートを得て一歩踏み出すことができ、明確な姿勢不安定性(distinct postural instability)、眼球運動障害(ocular movement disorder)、嚥下障害(dysphagia)及び構音障害(dysarthria)、並びに軽度の認知機能障害(mild cognitive function disorder)を有していた。最初の症状は16歳で観察された。
処置(治療)が開始される前に、患者の検査は、15.5/40の運動失調症の評価及び評価の尺度(Scale for Assessment and Rating of Ataxia)(SARA)スコアを示した。更に、患者の脊髄小脳性運動失調症機能指数(Spinocerebellar Ataxia Functional Index)(SCAFI)解析の結果は次のとおりであった。
平均8メートル歩行テスト(8MW):21.6秒
MW 9ホールペグボードテストドミナント(9HPTD)(右):48.3秒
(9−Hole Pegboard Test Dominant)
MW 9ホールペグボードテストノンドミナント(9HPTND):44.9秒
(9−Hole Pegboard Test Non−Dominant)
MW PATAワードテスト(Word Test):20
モントリオール認知評価(MoCA):18/30
(Montreal Cognitive Assessment)
後の比較のために、患者のビデオもまた記録された。
この検査の翌日、患者は、最初の週に1日3gの用量で、その後2週目以降に1日5gの用量で、アセチル−ロイシンによる処置(治療)が開始された。
それぞれ1ヵ月後及び4ヵ月後、患者は、処置(治療)を継続しながら、再検査された。1ヵ月後、患者は、例えば、食事中又は飲酒中に、改善された微細運動能力(fine motor skills)及び減少した手の震え(hand tremor)を有した。歩行(walking)は、それほど変わらなかった。4ヵ月後、患者は、わずかに改善された認知機能(cognitive function)を伴う安定状態にあったが、立脚(stance)、歩行(gait)及び微細運動機能(fine motor function)の悪化を示した。患者のSARAスコア及び患者のSCAFI解析の結果は、ベースラインと比較して以下に示される。
全体として、患者はアセチル−ロイシン処置(治療)後に症状の改善を示した。
患者2
この症例研究の患者は、テイ・サックス病と遺伝的に診断され、立脚(stance)及び歩行(gait)の運動失調(ataxia)、微細運動障害(fine motor impairment)、下肢の麻痺(paraparesis of lower extremities)、及び筋萎縮(muscle atrophies)を示した32歳の女性であった。特に、サポートなしでは歩行(walking)は不可能であり、患者は嚥下障害(dysphagia)及び言語障害(speech disorder)、眼球運動障害(ocular movement disorder)、並びに軽度認知機能障害(mild cognitive function disorder)を患っていた。最初の症状は7歳で観察された。
処置(治療)が開始される前に、患者の検査は10.5/40の失調の評価及び評価のための尺度(Scale for Assessment and Rating of Ataxia)(SARA)スコアを示した。更に、患者の脊髄小脳性運動失調症機能指数(Spinocerebellar Ataxia Functional Index)(SCAFI)解析の結果は次のとおりであった。
平均 8メートル歩行テスト(8MW):12.5秒
(8−meters Walking Test)
MW 9ホールペグボードテストドミナント(9HPTD)(右):21.5秒
(9−Hole Pegboard Test Dominant)
MW 9ホールペグボードテストノンドミナント(9HPTND):35.5秒
(9−Hole Pegboard Test Non−Dominant)
MW PATAワードテスト:18
モントリオール認知評価(MoCA):21/30
(Montreal Cognitive Assessment)
後の比較のために患者のビデオも記録した。
検査の日に、患者は、最初の週の間、1日当たり3gの用量のアセチル−ロイシンによる処置(治療)を始め、続いて2週目以降の間、1日当たり5gの用量を受けた。
1ヵ月後、患者は、処置(治療)を継続しながら再検査され、増加した発声(increased enunciation)、改善された姿勢安定性(postural stability)、及び増強された認知機能(cognitive function)を示した。立脚(stance)及び歩行(gait)は、サポートなしで可能であった。患者のSARAスコアと患者のSCAFI解析の結果は、ベースラインと比較して以下に示される。
患者3
このケーススタディの患者は、テイ・サックス病と遺伝的に診断され、寝付く前に殆ど毎日てんかん性けいれん(epileptic cramps)(強直間代性、約10秒、自己制限的)、眼球運動障害(ocular movement disorder)、構音障害(anarthria)、認知機能(cognitive function)及び集中(concentration)におけるはっきりと異なる問題(神経学的検査は可能ではなかった)を有していた8歳の男性であったが、日々の活動において非常に制限されていた(自分自身で食べたり、洗ったり、又は服を着たりすることが可能でなかった)。最初の症状は、9ヶ月の歳で観察された。
処置(治療)を開始する前に、患者の検査は、36/40の失調の評価及び評価の尺度(Scale for Assessment and Rating of Ataxia)(SARA)スコア、18/24のmRDSスコア、50のEQ−5D−5L視覚スケール、及び18.1の8MWT(強力なサポートがある場合のみ)を示した。
患者は、最初の週の間、1日あたり1.5gの用量のアセチル−ロイシンで処置(治療)を開始し、その後2週目以降の間、1日あたり3gの用量を受けた。
1ヵ月後、患者は、処置(治療)を継続しながら再検査され、増加した微細運動能力(fine motor skills)(小さなものをつかむことができた)、増加したモチベーション(increased motivation)(自分だけで歩こうとより頻繁に試みられた)、改善された姿勢の安定性(postural stability)、歩行(gait)及び立脚(stance)を示し、そして、一言を発することができた。患者のSARA、mRDS、EQ−5D−5Lの視覚的スケール、及び8MWTのスコアが、ベースラインと比較して以下に示される。
実施例6
この症例研究の患者は、GM1ガングリオシドーシスと遺伝的に診断され、一人で立ったり歩いたりすることができず、日常の活動が非常に限られていた13歳の男性であったが、ここで、眼球運動障害(ocular movement disorder)、構音障害(anarthria)、及び認知機能(cognitive function)と集中力(concentration)に明らかな問題があった(神経学的検査は可能ではなかった)。最初の症状は2歳の時に観察された。
処置(治療)を開始する前に、患者の検査は、35/40の失調の評価及び評価の尺度(Scale for Assessment and Rating of Ataxia)(SARA)スコア、15のmRDSスコア、及び50のEQ−5D−5L視覚スケールを示した。
患者は、最初の週の間、1日あたり1.5gの用量のアセチル−ロイシンで処置(治療)を開始し、その後2週目以降の間、1日あたり3gの用量を受けた。
1ヵ月後、患者は、処置(治療)を継続しながら再検査され、安定した全身状態、増加した歩行(より緩やかな)、そして、自然な位置で安定した立脚(stance)を示した。患者のSARA、mRDS、及びEQ−5D−5Lの視覚スケールのスコアは、ベースラインと比較されて、以下に示される。
実施例7
NPC患者の重症度は、病気(疾患)の種々のパラメータを評価し、各パラメータに5からのスコア(より高いスコア=より高い重症度)を与える、臨床重症度スコア(CSS)を割り当てることによって定量化されるかもしれない。Yanjaninら、「ニーマン−ピック病C型における、発症の歳から独立した、線形臨床進行」、Am J Med Genet Part B 153B:132−140を参照。未処置(未治療)の患者において、病気(疾患)の進行が直線的であるように見えるので、個々においてCSSが経時的にどのように変化するかを典型的に予測することができる。例えば、患者Aが0の月及び12の月の間に、8のCSSから12のCSSに移動した場合、36月までに、患者は、20のCSSを有するであろうと予測できる。年間の重症度増分スコア(annual severity increment score)(ASIS)は、患者のCSSを患者の年齢で割ることによって計算された、CSSにおける変化の年間の率を数量化したものである。たとえば、未処置(未治療)の患者Bが、2歳で8のCSSを有するならば、患者のASISは4になるであろう。毎年、患者は4だけCSSポイントが進歩すると予想され、4歳になると患者のCSSは16になるであろう。治療的介入が疾患の進行を遅らせるか又は阻止したならば、患者は、ベースライン時よりも、そのような治療後に、より小さいASISスコアを有すると予期されるであろう。
10人のNPC患者は、長期間にわたって4.5g/日でアセチル−ロイシンを投与された。CSSは、眼球運動(eye movement)、歩行(ambulation)、発話(speech)、嚥下(swallow)、微細運動能力(fine motor skills)、認知(cognition)、記憶力(memory)、及び発作(seizures)に対して、種々の時点において、及びベースラインで決定された。各パラメータ(parameter)(眼球運動(eye movement)、歩行(ambulation)など)に対する個々のCSS値を加算することによって、ベースライン及びそのような各時点で、総CSSは、計算された。表5に示すように、CSSが評価された処置(治療)開始後の日数は、各患者で異なっていた。
以下の表6〜14は、それぞれ、全体的(overall)、眼球運動(eye movement)、歩行(ambulation)、発話(speech)、嚥下(swallow)、微細運動能力(fine motor skills)、認知(cognition)、記憶(memory)、及び発作(seizures)に対する各CSSを示す。
ベースライン及び各時点でのASISは、各患者のCSS及び評価時の年齢を使用して計算された。各時点での各患者に対する全体的なASISが表15に示される。
表6及び図9Aに示されるように、10人の患者の誰も、実験の過程にわたってCSSにおける全体的な増加を示さなかった。患者6は、ベースライン及び時点2の間で増加したCSSを示したが、時点3までにベースラインに戻り、及び、時点4でそこに留まった。10人の患者のうち4人(患者2、5、6、及び7)は、実験の過程に渡って一定のCSSを有したが、これらの個体において、病気(疾患)が進行しなかったことを示している。10人の患者のうち6人(患者1、3、4、8、9、及び10)は、実験の過程でCSSの減少を示したが、これは、病気(疾患)が進行せず、実際には、それほど重症ではなくなったことを示している。改善は、異なるサブスコアにおいて見られた。患者1:歩行(ambulation)、患者3:微細運動能力(fine motor skills)、患者4:歩行(ambulation)及び発話(speech)、患者8:眼球運動(eye movement)及び微細運動能力(fine motor skills)、患者9:記憶力(memory)、患者10:認知(cognition)、である。図10A〜図10Jに提示されたデータは、それぞれ、棒グラフの形態で、各患者に対するCSSサブスコアを示す。
表15及び図9Bに示されるように、10人の患者全員が、ベースラインでのASISと相対的に処置(治療)の間に、ASISにおける減少を示した。患者2、5、6、及び7において、年齢が増加するところ、CSSは同じままであり、ASISにおけるわずかな減少という結果となった。患者1、3、4、8、9、及び10において、年齢が増加する一方で、CSSの減少により、ASISにおける減少がより大きかった。

Claims (28)

  1. 必要性のある対象におけるリソソーム蓄積疾患(LSD)、又は、LSDがニーマンピック病C型ではないところ、LSDに関連する1以上の症状を治療する方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  2. LSDが、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ムコリピドース、オリゴ糖症、リピドーシス、スフィンゴ脂質症、及びリソソーム輸送病から選択されることを特徴とする、請求項1の方法において使用されるための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  3. LSDが、一次リソソーム加水分解酵素欠損症、リソソーム酵素の翻訳後プロセシング欠損症、リソソーム酵素の輸送欠損症、リソソーム酵素保護の欠損症、可溶性非酵素リソソームタンパク質の欠損症、膜貫通(非酵素)タンパク質欠損症、及び未分類の欠損症から選択されることを特徴とする、請求項1の方法において使用されるための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  4. LSDが、テイ・サックス病、テイ・サックス病のAB変異体、サンドホフ病、ニーマンピック病A型、ニーマンピック病B型、ファブリー病、神経性セロイドリポフスチン症、クラッベ病、ファーバー病、ゴーシェ病、異染性白質ジストロフィー、多発性スルファターゼ欠損症、ムコリピドーシスII、ムコリピドーシスIII、MPS III、MPS VII、GM1ガングリオシドーシス、及びアスパルチルグルコサミン尿症から選択されることを特徴とする、請求項1の方法において使用されるための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  5. LSDが、テイ・サックス病、テイ・サックス病のAB変異体、サンドホフ病、ニーマンピック病A型、ムコリピドーシスII、ムコリピドーシスIII、MPS III、MPS VII、GM1ガングリオシドーシス、及びアスパルチルグルコサミン尿症から選択されることを特徴とする、請求項1の方法において使用されるための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  6. 対象が無症候性であることを特徴とする、必要性のある対象におけるLSDを治療する方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  7. 対象が、LSDの遺伝的及び/又は生化学的マーカーを有することが見出されたことを特徴とする、請求項6の方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  8. 典型的な病気の進行により別様に発現すると予期されるであろうLSD又はLSDの1以上の症状の発症を遅らせる方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  9. 必要性のある対象におけるLSD又はLSDに関連する1以上の症状を治療する方法であって、少なくとも約3ケ月、少なくとも約6ケ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間においてその必要性のある対象に治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む、方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  10. 典型的な病気の進行に比べて、経時的にLSD又はLSDに関連する1以上の症状の進行を遅らせる方法であって、少なくとも約3ケ月、少なくとも約6ケ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間に対して必要性のある対象に、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む、方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  11. 経時的にLSD又はLSDに関連する1以上の症状の進行を逆行させる方法であって、少なくとも約3ケ月、少なくとも約6ケ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間に対して必要性のある対象に、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む、方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  12. 必要性のある対象における経時的にLSDの生化学的マーカーを改善する方法であって、少なくとも約3ケ月、少なくとも約6ケ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間に対して必要性のある対象に、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む、方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  13. 生化学的マーカーが増加したリソソーム量である、請求項12の方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  14. 必要性のある対象に、その対象が無症候性であるとき、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンの投与を開始することを含む、請求項1から13のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  15. 対象がLSDの遺伝的及び/又は生化学的マーカーを有することが見出された後に最初の投与が生じたことを特徴とする、請求項14の方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  16. 少なくとも約3ケ月、少なくとも約6ケ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間に対して必要性のある対象に、治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与することを含む、請求項1から8のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  17. アセチル−ロイシンが、アセチル−DL−ロイシンである、請求項1から16のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  18. アセチル−ロイシンが、L−エナンチオマー又はD−エナンチオマーのエナンチオマー過剰を有する、請求項1から16のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  19. アセチル−ロイシンが、L−エナンチオマー又はD−エナンチオマーのいずれかの単一のエナンチオマー型である、請求項1から16のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  20. 単一のエナンチオマー型が、L−エナンチオマーである、請求項19の方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  21. 1日当たり約1gから約15g、1日当たり約1gから約10g、1日当たり約1.5gから約7g、1日当たり約4gから約6g、又は1日当たり約4gから約5g、の治療的に有効な量で、必要性のある対象に、アセチル−ロイシンを投与することを含む、請求項1から8のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  22. 治療的に有効な量のアセチル−ロイシンは、1日当たり約1gから約15g、1日当たり約1gから約10g、1日当たり約1.5gから約7g、1日当たり約4gから約6g、又は1日当たり約4gから約5g、である、請求項9から16のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  23. LSDが、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ムコリピドーシス、オリゴサッカリドース、リピドーシス、スフィンゴ脂質症、及びリソソーム輸送疾患から選択される、請求項6から13のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  24. LSDが、一次リソソーム加水分解酵素欠損症、リソソーム酵素の翻訳後プロセシング欠損症、リソソーム酵素の輸送欠損症、リソソーム酵素保護の欠損症、可溶性非酵素リソソームタンパク質の欠損症、膜貫通(非酵素)タンパク質欠損症、及び未分類の欠損症から選択される、請求項6から13のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  25. LSDが、ニーマン−ピック病C型、テイ・サックス病、テイ・サックス病のAB変異体、サンドホフ病、ニーマン−ピック病A型、ニーマン−ピック病B型、ファブリー病、神経性セロイドリポフスチン症、神経性セロイドリポフスチン症、ファーバー病、ゴーシェ病、異染性白質ジストロフィー、多発性スルファターゼ欠損症、ムコリピドーシス II、ムコリピドーシス III、MPS III、MPS VII、GM1ガングリオシドーシス、及びアスパルチルグルコサミン尿症から選択される、請求項6から13のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  26. LSDが、ニーマン−ピック病C型、テイ・サックス病、テイ・サックス病のAB変異体、サンドホフ病、ニーマン−ピック病A型、ムコリピドーシス II、ムコリピドーシス III、MPS III、MPS VII、GM1ガングリオシドーシス、及びアスパルチルグルコサミン尿症から選択される、請求項6から13のいずれかの方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  27. LSDが、ニーマン−ピック病C型でなく、必要性のある対象におけるLSDに関連する1以上の症状の重症度を低下させる又はその症状を除去する或いはLSDの重症度を低下させる方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
  28. LSDを有する、有すると疑われる、又は有する危険性がある対象において神経防護作用を提供する方法であって、少なくとも約3ケ月、少なくとも約6ケ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、及び少なくとも約5年から選択される期間に対してその対象に治療的に有効な量のアセチル−ロイシンを投与すること含む方法における使用のための、アセチル−ロイシン又はその薬学的に許容される塩。
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