JP2019523234A - 眼疾患の処置 - Google Patents

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Abstract

ポリペプチドFKBP−Lおよびそのペプチドフラグメントを使用する眼疾患、より具体的に角膜の障害の処置が提供される。

Description

発明の分野
本発明は、ポリペプチドFKBP−Lおよびそのペプチドフラグメントを使用する眼疾患の処置、より具体的に角膜の障害の処置に関する。
発明の背景
健康な角膜は、視覚に必須である。WHOによると、世界的に、角膜性失明は、白内障、緑内障および加齢黄斑変性症に続く、4番目の失明原因である。世界中で、年間で700万を超える人々が、角膜瘢痕および眼の血管異常増殖(血管新生)により失明している。角膜損傷が生ずる臨床的状況において、瘢痕形成を最小化し、従って失明を最小にすることが不可避である。血管新生誘発角膜混濁損傷の現在の処置は、角膜移植であるが、しかしながら、血管新生の存在それ自体、この高リスク群における移植後の予後悪化に寄与する。角膜移植が、無血管性受容床に成されたら(低リスク角膜移植)、2年移植片生存率は、局所ステロイドカバー下、90%に近づく(Kuechle et al., 2002)。血管付き、受容床において(高リスク角膜移植)、2年間の移植片生存は、50%未満まで有意に減少する(Cursiefen et al., 2002)。縫合は、常に顕著な新生血管応答を誘発し、これはまた角膜拒絶反応のリスクの増加と関係する。それ故に、角膜移植片が適所に固定される手段それ自体さえ、移植片拒絶反応のリスクを増加させる。本明細書に提供されるような新規選択肢が、コルチコステロイドなどのこのタイプの眼疾患の処置に現在利用可能な処置の効果が限定的であり、副作用のリスクがあるため、是が非でも必要である。
ドライアイ症候群は、人口の30%までに影響する極めて一般的な問題であり(Clegg et al., 2006)、重篤な場合、顕著な炎症と関係する眼表面への損傷を起こし得る。ドライアイ症候群における炎症は、炎症性細胞の浸潤および免疫マーカーの発現上方制御と関係する。この状態は、主にコルチコステロイドおよび/またはT細胞阻害剤シクロスポリンで管理されている(Pflugfelder, 2003)。長期コルチコステロイドの既知の付随合併症は、別の有効な処置の探索を高い優先度とする。刺痛および不快感によるシクロスポリンに対する耐容性の欠如および相当数の患者における有効性の欠如は、他の有効な処置に対する探求が極めて重要であることを意味する。
小児眼酒さは、別名眼瞼角結膜炎とも称され、慢性後部および前部眼瞼炎により特徴付けられる、珍しい状態である。一部症例では、付随する眼炎症が顕著であり、角膜浸潤、潰瘍化および角膜血管新生に至る(Doan et al., 2007)。根底にある病理は、原発のマイボーム腺炎、続く細菌過増殖およびT細胞介在炎症によると考えられる。処置の大黒柱は、経口または局所抗生物質、局所ステロイドおよび/またはステロイド低減剤としてのシクロスポリンの組み合わせである。この状況でしばしば生じ得る角膜血管新生は、急速かつ攻撃的に生じ、進行を押さえるまたは止めるために、高用量局所ステロイドを必要とする。この状態は、有効であり、小児の眼への局所ステロイドの長期使用の現在の必要性を低減する、より良い管理戦略を必要とする。
角膜内の血管退行を誘発するための大部分の処置戦略は、抗VEGF処置を利用しており、このタイプの処置は該状態の初期ならばしばしば充分成功するが、血管が十分に確立されたならば、抗VEGF処置に非応答性となる。あらゆる現在の抗VEGF手法での困難性は、特に該状態がしばしば一進一退し、さらなる炎症を生じ、さらなる血管新生を促進するため、しばしば長期に亘る反復注射を必要とすることである。現在、角膜内で十分に確立された血管を除去するのに利用可能な医学的処置はない。これらの状況での唯一の処置は、レーザー処置または焼灼の使用であり、この何れも、満足とはほど遠く、しばしば、外科的反復介入を必要とする(Gupta & Illingworth, 2011)。
角膜血管新生を低減または予防できるおよび/または炎症性眼疾患を低減または予防できる、新規治療の提供に対する臨床的必要性がある。このような治療は、単独処置としてまたは他の治療剤と組み合わせて使用するために重要であり得る。
本発明の要約
FKBP−Lポリペプチドおよびそのペプチドフラグメントは、癌、特に固形腫瘍の処置において臨床的可能性を有する抗血管形成剤として、先に報告されている。
FKBP−Lのペプチドフラグメントは、現在、眼疾患の動物モデル、例えばラット角膜縫合モデルおよびマウス実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)モデルで試験されている。驚くべきことに、FKBP−Lペプチドフラグメントの角膜への局所投与が、血管形成の顕著な減少をもたらすことが観察された。さらに、FKBP−Lペプチドはまた、眼に注射したときおよび非経腸(腹腔内)投与したときの何れでも、眼の抗炎症剤として作用する。これらの実験的知見は、血管新生および/または炎症により特徴付けられる/関連する多くの眼疾患の処置における、FKBP−Lおよびその生物学的に活性なペプチドフラグメントの臨床的有用性を支持する。
それ故に、本発明の第一の態様により、角膜血管新生の処置または予防に使用するための、FKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントが提供される。
ある実施態様において、角膜移植手術後の角膜血管新生の予防または処置に使用するための、FKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントが提供される。
さらなる実施態様において、眼の炎症性障害の処置または予防に使用するための、FKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントが提供される。
ある実施態様において、眼の炎症性障害はぶどう膜炎、ドライアイ症候群または眼瞼角結膜炎である。
本発明は、さらに、処置を必要とする対象に治療有効量のFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントを投与することを含む、哺乳動物対象における角膜血管新生を処置または予防する方法を提供する。
ある実施態様は、角膜移植手術を受けている対象における角膜血管新生を処置または予防する方法に関する。
本発明は、なおさらに、処置を必要とする対象に治療有効量のFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントを投与することを含む、哺乳動物対象における眼の炎症性障害を処置または予防する方法を提供する。
ある実施態様において、眼の炎症性障害はぶどう膜炎、ドライアイ症候群または眼瞼角結膜炎である。
ある実施態様において、FKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントは、目に局所的に投与される。
ある実施態様において、FKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントは、結膜下注射、基質内注射または眼内注射により投与される。
本発明の上記態様の各々の好ましい実施態様において、該処置/予防に使用されるFKBP−Lの生物学的に活性なペプチドフラグメントは、アミノ酸配列IRQQPRDPPTETLELEVSPDPAS(配列番号3)またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む。
さらなる実施態様において、該処置/予防に使用されるFKBP−Lポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む。
さらなる実施態様において、該処置/予防に使用されるFKBP−Lの生物学的に活性なペプチドフラグメントは、配列番号4〜23の何れかに示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む。
好ましい実施態様において、処置される対象はヒトである。
本発明の特徴を以下にさらに詳述する。本発明は、その適用を特許請求の範囲、明細書および図面に詳細に記載したものに限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施態様および種々の方法での実施または実行が可能である。
図面の簡単な説明
本発明は、次の図面を参照してさらに理解される。
ラットにおける縫合誘発血管新生。黒矢印は縫合の位置を示し、白矢印は血管新生を示す。
結膜下注射 − (A)トリアムシノロン処置ラット(左パネル)、PBS対照ラット(中央パネル)およびALM201処置ラット(右パネル)における、縫合により誘発された血管新生。(B)対照と比較したトリアムシノロンまたはALM201の結膜下注射の効果。
局所処置 − (A)PBS対照ラット(左パネル)およびALM201処置ラット(右パネル)における縫合により誘発された血管新生。(B)局所対照と比較した局所ALM201の効果。
デキサメサゾン(左パネル)、ALM201(右パネル)またはPBS対照(中央パネル)の結膜下注射で処置したHooded Listerラットにおける縫合誘発血管新生。
処置経過中の実験マウスの体重。体重を、10日処置期間中、1日1回測定した。矢印は、ALM201+デキサメサゾン処置群(E)における2匹のマウスの3〜5日目の体重減少を示す。
EAUマウスにおける網膜炎症および臨床スコア。(A)炎症マウス網膜からの眼底像の例。(B−F)マウスを、IRBPペプチド1−20で免疫化した。免疫化後14日目からマウスをPBS(B)またはALM201 0.3mg/kg(C)またはAML201 3mg/kg(D)、デキサメサゾン0.5mg/kg(E)またはALM201 0.3mg/kg+デキサメサゾン0.5mg/kg(F)で1日1回処置した。眼底像(B−E)免疫化後24日目に撮り、臨床スコア(G)を、標準的評点方式を使用して得た(Xu et al. 2008a)。
ALM201処置したEAUモデルにおいて経時的変化を示す、種々の群のマウスにおけるEAUの臨床スコア。眼底像を、TEFI系を使用して免疫化後14日目および免疫化後24日目に実験マウスから撮った。臨床的疾患を、先に記載した標準的評点方式を使用して段階分けした(Xu et al. 2008a)。**、P<0.01、対応のあるスチューデントのt検定。
種々の群のマウスにおけるEAUの組織学および組織学的スコア。10日治療後、マウスを屠殺し、眼を標準的H&E染色のために採取した。各眼の種々の層からの少なくとも3切片を組織学的スコア分析のために使用した。(A)PBS処置EAUマウスからの画像。(B)ALM201 0.3mg/kg処置EAUマウスからの画像。(C−D)ALM201 3mg/kg処置マウスからの画像。(E)デキサメサゾン処置マウスからの画像。(F、G)デキサメサゾン+ALM201 3mg/kg処置マウスからの画像。(H)マウスの各処置群についての組織学的スコアを集め、散布図としてプロットした。L、水晶体;Vi、硝子体腔;GL、神経節層;INL、内顆粒層;ONL、外顆粒層;Ch、脈絡膜;POS、視細胞外節。*、P<0.05;**、P<0.01;***、PBS処置群と比較してP<0.001、マン・ホイットニーのU検定。
(A)m/z 2576.303±0.005DaでのペプチドのFTICRマススペクトル。標準(STD)100nM斑形成オフ組織、a2)STD 100nMオン組織、a3)ペプチドの理論的モノアイソトピック分布。a4)100μMおよびa5)100nMペプチドで局所的に処置した角膜組織。観察されたペプチドモノアイソトピック質量は理論的分布と一致した(質量精度は、350K質量分解能で<5ppmであった);(B)m/z 2576.303±0.005DaでのALM201のMALDI−FTICR−MSIヒートマップ分布;(C)内在性代謝物のm/z 1028.135±0.025Da(大部分角膜に分布)、1444.584±0.025Da(大部分水晶体に分布)、782.5799±0.025Da(大部分房水およびガラス体液に分布)、780.5451±0.025Da(筋肉(青色)に分布)、835.5891±0.025Daおよびペプチド(眼全体に分布)2576.303±0.025Daでのヒートマップ。シグナル強度を示すスケール上に記載する。スケールバーは1000μmである。データをRMSで正規化した。空間分解能は40〜50μmである。
H&E染色ラット眼切片および2576.3±0.1DaでのMALDI−MSI画像の重ね合わせ。正常眼を、100μMのALM201で3日、連日処置し、次いで、最後の処置15分後眼球除去した。画像は、ペプチドの大部分がガラス体液およびおそらく水晶体と共存することを示す。ペプチドはまた角膜、強膜、脈絡膜および網膜に共存する(空間分解能は約20μmである)。
縫合および処置後6日目、処置サンプル(ALM201、1μMまたは100μM)と比較して対照サンプル(PBSまたはデキサメサゾン)で細胞浸潤増加を示す、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色による組織学的分析。(A)実験群の各々のヘマトキシリンおよびエオシン染色切片。白矢印は縫合部位を示し、黒矢印は血管を示す(スケールバー=500μm)。下部パネルは、各処置群からの切片におけるCD68+細胞の分布を示す。各実験群の(B)総浸潤細胞数および(C)CD68+浸潤細胞数を定量し、ペプチド処置群と比較して多い浸潤細胞数が対照群に存在する。
実施例4に記載するALM201濃度タイトレーション実験の模式図。
(A)PBS(媒体対照)、デキサメサゾン(陽性対照)および数種の異なる濃度のALM201(0.01μM、0.1μM、1μM、10μMおよび100μM)で処置6日後のラット眼の臨床的写真;(B−D)各濃度のALM201と対照PBSおよびデキサメサゾンを併せた縫合部位までの血管の距離(B)、血管密度(C)および炎症(D)を示す臨床スコアリンググラフ。
縫合糸挿入後、次いでALM201ペプチドで処置後の角膜上皮および支持実質組織の組織における変化を示すH&E画像。この染色を使用して、浸潤細胞を計数し、縫合部位を発見した。黒矢印=縫合部位。
隣接スライドを、示す処置群におけるCD44発現の差異を示すための免疫組織化学染色に使用した。
隣接スライドを、示す処置群におけるFKBPL発現の差異を示すための免疫組織化学染色に使用した。
示す処置群における抗NFκB p65抗体およびDAPIを使用する免疫組織化学染色。
示す処置群における抗p−IκBα p65抗体およびDAPIを使用する免疫組織化学染色。
発明の詳細な記載
定義
他に定義しない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、当分野の当業者が共通して理解するのと同じ意味を有する。実施者は、特に本分野の定義および用語について、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel)を指示される。アミノ酸残基の略語は、20の一般的L−アミノ酸の1つを指称するために使用される標準的3文字および/または1文字コードである。
“ここに包含する”とされるあらゆる文献は、その全体を包含すると理解される。
本明細書で使用する限り、単数表現は、明示しない限りおよび明解に1つをいうと限定されない限り、複数の対象を含む。用語“または”は、文脈から他の解釈が明らかに必要でない限り用語“および/または”を含む。
また、用語“部分”および“フラグメント”は相互交換可能に使用され、ポリペプチド、核酸または他の分子構築物の一部をいう。
ここで使用する用語“生物学的に活性なFKBP−Lペプチド”(例えば、フラグメントおよび/または修飾ポリペプチド)は、完全長FKBP−Lポリペプチドと同一または類似する量およびタイプの活性を示すペプチドまたはポリペプチドをいうために使用する。ここでFKBP−Lポリペプチド、フラグメントまたは誘導体の“生物学的活性”は、抗血管形成活性、血管形成および/または血管成長の阻害および抗炎症性活性の何れか1つを含む。FKBP−Lフラグメントまたは誘導体の生物学的活性を、例えばラット角膜縫合モデルまたはEAUモデルなどの付随する実施例に記載するインビトロまたはインビボアッセイの何れかを使用して、完全長FKBP−Lと比較して試験し得る。
ここで使用する“対象”は動物であり得る。例えば、対象は哺乳動物であり得る。また、対象はヒトであり得る。別の実施態様において、対象は雄性でも雌性でもよい。ある実施態様において、対象は患者であってよく、ここで、患者は障害または疾患の医学的治療下にあるおよび/または医学的治療を積極的に求めている個体である。
“ポリペプチド”および“タンパク質”は、部分的または完全長タンパク質を含み得るタンパク質分子をいうために、相互交換可能にここで使用される。用語“ペプチド”は、文脈から他のことが示されない限り、完全長未満のタンパク質または極めて短いタンパク質をいう。
当分野で知られるとおり、“タンパク質”、“ペプチド”、“ポリペプチド”および“オリゴペプチド”は、アミノ酸(一般にL−アミノ酸)の鎖であり、それらのアルファ炭素が、あるアミノ酸のアルファ炭素のカルボキシル基と他のアミノ酸のアルファ炭素のアミノ基の縮合反応により形成されたペプチド結合により連結している。一般に、タンパク質を構成するアミノ酸は、タンパク質のアミノ末端残基から始まり、カルボキシ末端残基に向かって増える順番で番号付けされる。
用語“同一性”または“%同一”は、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列間の配列同一性をいう。%同一性は、2配列をアラインすることにより決定でき、比較配列と共有する位置での同一残基(すなわち、アミノ酸またはヌクレオチド)の数をいう。配列アラインメントおよび比較を、当分野で標準的なアルゴリズム(例えばSmith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math. 2:482; Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443; Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85:2444)またはBLASTおよびFASTAとして公的に利用可能なそれらのアルゴリズムのコンピューターバージョン(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WI)を使用して実施し得る。また、National Institutes of Health, Bethesda MDにより入手可能なENTREZを配列比較のために使用し得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを使用するとき、各プログラム(例えば、BLASTN;National Center for Biotechnology Informationのインターネットサイトから入手可能)のデフォルトパラメータを使用し得る。ある実施態様において、2配列の%同一性を、各アミノ酸ギャップが、2配列間に単一アミノ酸ミスマッチがあるかのように荷重されるように、ギャップ荷重1を用いて、GCGを使用して決定され得る。またはGCG(Accelrys, San Diego, CA)配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0)を使用し得る。
ここで使用する用語“保存残基”は、同じ構造および/または機能を有する複数のタンパク質の間で同じである、アミノ酸をいう。保存残基の領域は、タンパク質構造または機能に重要であり得る。それ故に、三次元タンパク質において同定される連続保存残基はタンパク質構造または機能に重要であり得る。3−D構造の保存残基または保存領域を発見するために、異なる種からの同一または類似タンパク質または同じ種の個体の配列の比較を行い得る。
ここで使用する用語“類似”または“相同体”は、アミノ酸またはヌクレオチド配列をいうとき、野生型アミノ酸配列とある程度の相同性または同一性を有するポリペプチドを意味する。相同性比較は目視でまたはより一般には、容易に利用可能な配列比較プログラムの助けを借りて、実施し得る。これらの市販コンピュータープログラムは、2以上の配列間の%相同性を計算できる(例えばWilbur, W. J. and Lipman, D. J., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:726-730)。例えば、相同配列を、別の実施態様において、互いに少なくとも70%同一、75%同一、80%同一、85%同一、90%同一、95%同一、96%同一、97%同一または98%同一であるアミノ酸配列を含むように取ることができる。
ここで使用する用語“それと少なくとも90%同一”は、示す配列と90〜99.99%同一性(その間の全範囲を含む)の範囲の配列を含む。それ故に、用語それと少なくとも90%同一は、示す配列と91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%同一である配列を含む。同様に用語“少なくとも70%同一”は、70〜99.99%同一(その間の全範囲を含む)の範囲の配列を含む。%同一性の決定は、ここに記載するアルゴリズムを使用して、決定する。
ここで使用する用語“連結”は、2つの異なる基(例えば、核酸配列、ポリペプチド、ポリペプチドドメイン)の共有結合を特定し、連結される2つの基の間に介在原子または原子を有し得る。ここで使用する、“直接的に連結”は、連結される2つの基の間に何ら介入原子がない、2つの異なる基(例えば、核酸配列、ポリペプチド、ポリペプチドドメイン)の間の共有結合を定義する。
用語“ペプチド模倣体”は、分子間の相互作用においてペプチドの代替として働く構造体をいう(Morgan et al., 1989, Ann. Reports Med. Chem., 24:243-252)。ペプチド模倣体は、アミノ酸および/またはペプチド結合を含んでも含まなくてもよいが、ペプチドまたはアゴニストまたはアンタゴニストの構造的および機能的特性を保持する合成構造体をいう。ペプチド模倣体はまたペプトイド、オリゴペプトイド(Simon et al., 1972, Proc. Natl. Acad, Sci., USA, 89:9367);および本発明のペプチドに対応するアミノ酸の全ての可能な配列を表す計画された長さのペプチドを含むペプチドライブラリーも含む。
ここで使用する、“有効量”は、対象において所望の効果を生じるのに有効である薬剤の量を意味する。用語“治療有効量”は、動物またはヒトにおいて必要としている治療応答を誘発する薬物または薬剤の量を意味する。有効量を含む実際の用量は、投与経路、対象の体格および健康状態、処置される障害などに依存し得る。
用語“医薬組成物”は、ここでは、哺乳動物宿主に慣用の非毒性担体、希釈剤、アジュバント、媒体などを含む単位投与量製剤で、例えば局所に、全身にまたは眼内に、投与し得る組成物をいう。
ここで使用する用語“薬学的に許容される担体”は、例えば、目的の障害または疾患の処置のために投与される治療組成物として、ヒトまたは動物対象における使用に適する、化合物および組成物をいう。
“安定な”製剤は、その中のポリペプチドまたはタンパク質が保存により本質的にその物理的および化学的安定性および生物学的活性を維持するものをいう。タンパク質安定性を測定するための種々の分析技術が同分野で利用可能であり、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Pubs. (1991)およびJones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)にレビューされている。安定性は、選択した温度で選択した期間測定し得る。迅速なスクリーニングのために、目的の製剤を40℃で1週間〜1か月維持し、その間に安定性が測定され得る。凍結乾燥および保存後の凝集の程度をペプチドおよび/またはタンパク質安定性の指標として使用し得る。例えば、“安定な”製剤は、約10%未満、好ましくは約5%未満のポリペプチドまたはタンパク質が製剤に凝集物として存在するものである。凍結乾燥および凍結乾燥製剤の保存後の凝集物形成増加が決定され得る。例えば、“安定な”凍結乾燥製剤は、凍結乾燥製剤を40℃で少なくとも1週間インキュベートしたとき、凍結乾燥製剤における凝集物増加が約5%未満または約3%未満であるものである。融合タンパク質製剤の安定性を、ここに記載する結合アッセイなどの生物学的活性アッセイを使用して測定し得る。
眼疾患処置用FKBP−Lポリペプチド
本発明は、FKBP−Lおよび特にFKBP−Lのペプチドフラグメントが、眼に投与されたとき、角膜血管の形成を減少させ、かつ抗炎症性活性を示し得るとの観察に基づく。これらの知見は、一定範囲の眼障害および特に角膜血管新生に関連するまたは介在する眼障害および炎症に関連するまたは介在する眼障害の処置におけるFKBP−Lおよびそのペプチドフラグメントの有用性を支持する。
用語“FKBP−L”は、FK506結合タンパク質様タンパク質をいう(McKeen et al. Endocrinology, 2008, Vol 149(11), 5724-34; Gene ID:63943)。FKBP−Lおよびそのペプチドフラグメントは、強力な抗血管形成活性を有することが先に示されている(WO2007/141533)。FKBP−Lペプチドフラグメントの抗血管形成活性は、完全長タンパク質のN末端領域における34位と57位のアミノ酸の間に位置するアミノ酸配列に依存すると考えられる。この抗血管形成活性は、癌、特に固形腫瘍の処置における本ペプチドの臨床的有用性を示唆した。本発明は、角膜血管新生および眼の炎症性障害などの眼疾患の処置におけるFKBP−Lおよびそのペプチドフラグメントの特定の臨床的有用性を示すことにより、WO2007/141533による知見を凌ぐものである。
本発明の実施態様は、眼疾患の処置における治療剤としての、完全長FKBP−Lポリペプチドおよび生物学的活性を示すそのペプチドフラグメント、ならびに完全長タンパク質または生物学的に活性なペプチドフラグメントの修飾形態および誘導体の使用を包含する。
“FKBP−Lポリペプチド”という表現は、本明細書においてその最も広い意味で使用される。それは、配列番号1に示す天然に存在する完全長タンパク質を、生物学的活性を保持する該ポリペプチドの多型による相同体、他のバリアント、変異体および部分と共に意味する。例えば、ある実施態様において、FKBP−Lポリペプチドは、配列番号1(GENBank Accession No. NP_071393; NM_022110; [gi:34304364])または野生型配列の181位にスレオニンおよび186位にグリシンを有する配列番号2を含む。他のFKBP−Lポリペプチドの構築物(例えば、フラグメントおよび他の修飾体)およびFKBP−Lポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物の例はWO2007/141533に記載され、その内容を、明示的にこの目的のために、全体として引用により本明細書に包含させる。
配列番号2において、FKBP−L挿入体(元々Cambridge BioscienceによりPUC18にクローン化され、現在pcDNA3.1にクローン化されている)は、PUBMEDデータベースに寄託された配列(配列番号1)と比較して、2つの挿入された点変異を有する。540bp(開始コドンから)にTCTからACTの点変異があり、これは、それ故に、セリン(S)をスレオニン(T)に変える(アミノ酸:181)。また555bp(開始コドンから)にAGGからGGGの点変異があり、これは、それ故に、アルギニン(R)をグリシン(G)(アミノ酸:186)に変える。両FKBP−Lポリペプチド(配列番号1および配列番号2)は生物学的活性を示す。
本発明により使用するためのFKBP−Lポリペプチドまたはペプチドは、天然および/または化学合成または人工FKBP−Lペプチド、ペプチド模倣体、修飾ペプチド(例えば、ホスホペプチド、環状ペプチド、D−アミノ酸および非天然アミノ酸含有ペプチド、ステープル化ペプチド、放射標識含有ペプチド)または抗体、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、糖脂質、ヘテロ環式化合物、ヌクレオシドまたはヌクレオチドまたはその一部に連結されたペプチドおよび/または小有機または無機分子(例えば、PEGまたは他の安定化基で修飾されたペプチド)を含み得る。それ故に、本発明のFKBP−L(ポリ)ペプチドはまた化学的に修飾されたペプチドまたは異性体およびラセミ体も含む。
本発明の実施態様は、ここに記載する眼疾患の処置用医薬として使用するための、単離されたFKBP−LポリペプチドまたはFKBP−Lポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントまたはこのようなFKBP−Lポリペプチドまたはフラグメントの生物学的に活性な誘導体を含む。
好ましいが、非限定的な、本発明の実施態様は、FKBP−Lペプチドまたはここに記載するFKBP−Lペプチドをコードするヌクレオチドの使用を含み、ここで、FKBP−Lポリペプチドは、配列番号3に示すアミノ酸配列(IRQQPRDPPTETLELEVSPDPAS)または配列番号3に示すアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
本発明により使用する方法および医薬組成物は完全長FKBP−Lポリペプチドまたは該ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントを使用し得る。それ故に、ある本発明の実施態様は、天然に存在するFKBP−LのN末端アミノ酸配列の生物学的に活性な部分を含むまたはそれからなるFKBP−L誘導体を含む。この配列は、FKBP−Lポリペプチドの活性N末端部分を含む、それから本質的になるまたはそれからなることが可能である。別の実施態様において、本ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜57(すなわち、配列番号8)または配列番号2のアミノ酸34〜57(すなわち、配列番号4)または配列番号2のアミノ酸35〜57(すなわち配列番号3)を含む、それから本質的になるまたはそれからなるものであり得る。または本ペプチドは、配列番号4の少なくとも18連続アミノ酸を含む配列(例えば、配列番号10、12または19)を含む、それから本質的になるまたはそれからなるものであり得る。別の実施態様において、本発明の方法および組成物において使用するポリペプチドは、配列番号1〜23の何れかに示すアミノ酸配列の1つを含む、それから本質的になるまたはそれからなるものであり得る。ある実施態様において、本発明はFKBP−Lの生物学的に活性なフラグメントを含み、ここで、該ポリペプチドは配列番号1または配列番号2に示すアミノ酸配列の200を超えない連続アミノ酸を含むが、ただし、該ポリペプチドは配列番号3として示すアミノ酸配列を含む。
ここに記載するペプチドは修飾されていてよい(例えば、PEGおよび/またはHisタグまたは他の修飾を含むため)。または本発明は、特に配列番号3に示すアミノ酸配列と少なくとも70%または75%または80%または85%または90%または95%または96%または97%または98%または99%同一である配列を含む、配列番号1〜23の何れかに示すアミノ酸配列と少なくとも70%または75%または80%または85%または90%または95%または96%または97%または98%または99%同一である配列を有する単離ポリペプチドを含み得る。この点に関し、ペプチドに、残基の極性、荷電、溶解度、疎水性または親水性の類似性に基づき、該ペプチドの特定の生物学的活性(すなわち機能)が保持される限り、意図的アミノ酸置換をなし得る。
FKBP−Lペプチドは、生物学的活性を保持し、上記本発明の種々の態様により使用可能である限り、種々の長さであり得る。
FKBP−Lのフラグメント
本発明の実施態様はFKBP−Lタンパク質のN末端のある領域が生物学的活性を示し得ることを認識し、それ故に、本発明は、生物学的に活性なFKBP−Lのフラグメント、特に23量体ペプチド(配列番号3)と実質的に同等な生物学的活性を示すあらゆるフラグメントを包含する。ある実施態様において、FKBP−L 23量体ペプチド(配列番号3;ここではALM201とも称する)の生物学的活性は、ラット角膜縫合モデルにおける血管形成低減として示される(図2〜4)。さらなる実施態様において、FKBP−L 23量体ペプチド(配列番号3;ここではALM201とも称する)の生物学的活性は、EAUマウスにおける網膜炎症低減として示される(図6)。
FKBP−Lポリペプチドの“フラグメント”は、FKBP−Lの少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも10アミノ酸または少なくとも15アミノ酸または少なくとも20アミノ酸または少なくとも23アミノ酸の連続配列を含む単離ペプチドをいう。“フラグメント”は、FKBP−Lの好ましくは50を超えないまたは45を超えないまたは40を超えないまたは35を超えないまたは30を超えないまたは25を超えないまたは23を超えない連続アミノ酸を含む。本発明により使用するための好ましいフラグメントは、配列番号4〜23の何れかに示すアミノ酸配列またはその微細な配列バリアントである(例えば1以上の保存的アミノ酸置換を含むバリアント)。
誘導体
本発明において使用するためのFKBP−L誘導体は、FKBP−Lのアミノ酸配列、例えば配列番号1、配列番号2または配列番号29の変更により修飾されているポリペプチドまたはそのフラグメントまたはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチドまたは官能基(例えば、PEG)の付加により修飾されているようなペプチドを含む。このようなペプチドの産生は、該ポリペプチドをコードする核酸の操作またはタンパク質自体の改変により実施し得る。
FKBP−L誘導体は、天然FKBP−Lアミノ酸配列のアナログを含み、1以上のアミノ酸の挿入、付加、欠失および/または置換を含んでよいが、同時に同等な生物学的効果を発揮することができるポリペプチドを提供する。本発明のFKBP−L誘導体にまた含まれるのは、配列番号1〜23に由来するポリペプチドである。
それ故に、本発明の方法および組成物において使用するFKBP−L誘導体はまた天然に存在するFKBP−Lのフラグメント、部分または変異体を含む。ある実施態様において、このような誘導体は、5以下のアミノ酸、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下、最も好ましくは1または2アミノ酸のみの挿入、付加、欠失および/または置換を含む。
FKBP−L誘導体はまた配列番号1〜23のFKBP−Lポリペプチドを含む多量体ペプチドおよびこのような配列を含むプロドラッグも含む。例えば、ある実施態様において、FKBP−LまたはFKBP−Lのフラグメントは、単量体間のジスルフィド結合の形成により多量体を形成し得る。
FKBP−Lポリペプチドの誘導体は、カップリングパートナー、例えば、エフェクター分子、標識、薬物、毒素および/または担体または運搬分子に連結したポリペプチドを含み得る。本発明のポリペプチドをペプチジルおよび非ペプチジル両方のカップリングパートナーにカップリングする技法は、当分野で周知である。
FKBP−L誘導体はまた融合ペプチドも含む。例えば、誘導体は、例えば、該ペプチドを罹患組織、例えば、角膜または網膜に標的化させる抗体に連結させた本発明のポリペプチドペプチドを含み得る。
FKBP−Lポリペプチドまたはそのアナログは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはその部分(CH1、CH2、CH3またはそれらの任意の組み合わせ)と融合してよく、キメラポリペプチドをもたらす。これらの融合ポリペプチドまたはタンパク質は精製を促進でき、インビボ半減期の延長を示し得る。このような融合タンパク質は、単量体ポリペプチドまたはそのフラグメント単独より他の分子との結合および中和により効率的であり得る。例えば、Fountoulakis et al., J. Biochem., 270:3958-3964 (1995)参照。
本発明の融合タンパク質はまたアルブミン、例えば組み換えヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントまたはバリアントと融合したFKBP−Lポリペプチドも含む(例えば、米国特許5876969、欧州特許0413622および米国特許5766883参照)。
ここに記載するこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの使用も本発明に包含される。細胞毒性剤に融合したポリヌクレオチドの使用も本発明に包含される。この例において、FKBP−Lポリペプチドは受容体と結合でき、細胞毒性薬物は内部移行する。
例えば、別の実施態様において、誘導体は、半減期を延長するためのペプチドの部位特異的ペグ化(など);またはタンパク質分解に対して安定化するための非天然アミノ酸取り込みおよび主鎖修飾;または環状誘導体(タンパク質分解抵抗性を与えるため);またはエキソペプチダーゼおよび/またはプロテイナーゼ活性を阻止または低減するためのNおよびC末端遮断;または細胞表面CD44との‘結合活性’を増加するためのリンカー鎖を経る連続鎖またはデンドリマータイプの手法での複数コピーのペプチドの併合を含み得る。例えば、24量体の三量体共有結合的連結誘導体をFKBP−Lの誘導体として使用し得る。またはFKBP−L 24量体を、非共有結合三量体を形成するためにホモ三量体化するドメインに結合し得る。またはストレプトアビジンと四量体複合体を形成するペプチドのビオチン誘導体をFKBP−Lの誘導体として使用し得る。またはFKBP−LまたはFKBP−Lのフラグメントは、単量体間のジスルフィド結合の形成により多量体を形成し得る。さらに、FKBP−Lは、おそらく、タンパク質配列内の予測テトラトリコペプチド反復ドメインと、非共有結合による、オリゴマーを形成し得る。
逆ペプチドアナログ
本発明において使用するためのアナログは、天然FKBP−Lタンパク質、その部分またはその合成誘導体の逆またはレトロアナログをさらに含む。例えば、EP0497366、米国5,519,115およびMerrifield et al., 1995, PNAS, 92:3449-53(これらの開示は、引用により本明細書に包含させる)参照。EP0497366に記載のとおり、逆ペプチドは、天然に存在するまたは合成ペプチドのアミノ酸配列の逆転により産生される。このような逆ペプチドは、内部プロテアーゼ感受性部位周囲の立体構造およびNおよびC末端の特徴以外、親ペプチドと同じ一般的三次元構造(例えば、アルファ螺旋)を保持し得る。逆ペプチドは、非逆“正常型”ペプチドの生物学的活性の保持だけでなく、生物学的活性増加を含む増強された性質を有し得るとされている(Iwahori et al., 1997, Biol. Pharm. Bull. 20: 267-70参照)。本発明において使用するための誘導体は、それ故に、天然および合成FKBP−Lタンパク質の逆ペプチドを含み得る。
本発明において使用するためのペプチド(何れかの逆ペプチドおよびフラグメントを含む)は、完全にまたは一部化学的合成または核酸からの発現により産生され得る。本発明において使用するためのペプチドは、当分野で知られる、十分に確立された、標準液相または、好ましくは、固相ペプチド合成方法により容易に製造できる(例えば、J. M. Stewart and J. D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd edition, Pierce Chemical Company, Rockford, Illinois (1984), in M. Bodanzsky and A. Bodanzsky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer Verlag, New York (1984)参照)。
多量体ペプチド
上記のとおり、該ペプチドは多量体の形であり得る。それ故に2、3またはそれ以上の個々のFKBP−Lポリペプチド単量体単位の多量体または2以上のFKBP−Lのフラグメントは、本発明の範囲内である。
ある実施態様において、単量体単位および切断可能部位(すなわち、酵素切断可能部位)を含む多量体ペプチドを製造し、次いで、この多量体を切断して所望の単量体を産生することにより、多量体を使用して単量体を生産し得る。
ある実施態様において、多量体の使用は、受容体に対する結合親和性を増加させ得る。
多量体はホモマーまたはヘテロマーであり得る。ここで使用する用語ホモマーは、特定のアミノ酸配列(例えば、配列番号1、配列番号2または配列番号3)またはバリアント、スプライスバリアント、融合タンパク質またはここに記載する他のFKBP−L アナログまたは誘導体に対応するポリペプチドのみを含む多量体をいう。これらのホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するFKBP−Lペプチドを含み得る。例えば、多量体は、同一アミノ酸配列を有するFKBP−Lペプチドのみ含んでよくまたは異なるアミノ酸配列を含み得る。多量体はホモ二量体(例えば、FKBP−Lペプチドのみを含み、これらは、次いで同一または異なるアミノ酸配列を含み得る)、ホモ三量体またはホモ四量体であり得る。
ここで使用する用語ヘテロマーは、ここに記載するFKBP−L(ポリ)ペプチドに加えて、1以上の異種ポリペプチド(すなわち、非FKBP−Lペプチドまたはポリペプチド)を含む多量体をいう。
多量体は、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合の結果であり得るし、また、例えば、リポソーム形成により間接的に連結され得る。それ故に、ある実施態様において、多量体は、ここに記載するFKBP−Lペプチドが溶液中で互いに接触したとき形成される。他の実施態様において、ヘテロ多量体は、FKBP−Lおよび非FKBP−L(ポリ)ペプチドが、ここに記載する(ポリ)ペプチドに対する抗体(ここに記載する融合タンパク質における異種(ポリ)ペプチド配列に対する抗体を含む)と溶液中で接触したとき形成される。他の実施態様において、ここに記載する多量体は、ここに記載するFKBP−Lペプチド(および所望により非FKBP−Lペプチド)との、またはそれらの間の、共有結合により形成され得る。
このような共有結合は、FKBP−L配列(例えば、配列番号1〜23に示すもの)に含まれる1以上のアミノ酸残基が関与する。ある実施態様において、共有結合は、化学的または組み換え操作の結果である。あるいは、このような共有結合は、FKBP−L融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に含まれる1以上のアミノ酸残基が関与し得る。一例において、共有結合は、ここに記載する融合タンパク質に含まれる異種配列間である(例えば、米国特許5478925参照)。他の具体例において、ここに記載する融合タンパク質の共有結合は、共有結合的に結合した多量体、例えば、オステオプロテゲリンを形成できる、他のタンパク質からの異種ポリペプチド配列を使用する(例えば、国際公開WO98/49305参照)。他の実施態様において、ここに記載する2以上のポリペプチドは、ペプチドリンカーにより結合される。例は、米国特許5073627に記載のペプチドリンカーを含む。ペプチドリンカーにより離された複数FKBP−Lペプチドを含むタンパク質を、慣用の組み換えDNAテクノロジーを使用して産生できる。
多量体はまたFKBP−L(ポリ)ペプチドをロイシンジッパーまたはイソロイシンジッパーポリペプチド配列と融合することにより製造し得る。特に知られるロイシンジッパーは、二量体化または三量体化する天然に存在するペプチドおよびその誘導体である。ここに記載する可溶性多量体タンパク質の製造に適するロイシンジッパードメインの例は、PCT出願WO94/10308に記載される。溶液中で二量体化または三量体化するポリペプチド配列と融合させたここに記載するポリペプチドを含む組み換え融合タンパク質を、当分野で知られる技法を使用して、適当な宿主細胞で発現させ、得られた可溶性多量体融合タンパク質を培養上清から回収できる。
多量体はまた当分野で知られる化学的技法を使用しても産生し得る。例えば、ここに記載する多量体に含まれるべきポリペプチドを、当分野で知られるリンカー分子およびリンカー分子長最適化技法を使用して、化学的に架橋させ得る(例えば、米国特許5478925参照)。さらに、多量体を当分野で知られる技法を使用して製造して、多量体に含まれることが望まれるポリペプチドの配列内に位置するシステイン残基間の1以上の分子間架橋を形成させ得る(例えば、米国特許5478925参照)。さらに、ここに記載するポリペプチドを、ポリペプチドのC末端またはN末端へのシステインまたはビオチンの付加により日常的な修飾をして良く、当分野で知られる技法をこれらの修飾ポリペプチドを1以上含む多量体の形成に適用し得る(例えば、米国特許5478925参照)。さらに、当分野で知られる技法を使用して、多量体に含まれることが望まれる2以上のC−12−Cペプチドを含むリポソームを製造し得る(例えば、米国特許5478925参照)。
あるいは、天然に存在するアミノ酸のみを含む多量体を、当分野で知られる遺伝子操作技法を使用して形成し得る。あるいは、翻訳後または他の修飾を含むものを、組み換え技法および化学的修飾の組み合わせにより製造し得る。ある実施態様において、FKBP−Lペプチドは、ここに記載するまたはそうでなければ当分野で知られる融合タンパク質テクノロジーを使用して組み換えにより産生される(例えば、米国特許5478925参照(これは、その全体を引用により本明細書に包含させる))。例えば、ここに記載するホモ二量体をコードするポリヌクレオチドを、ここに記載するFKBP−Lペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカーポリペプチドをコードする配列とライゲートさせ、次いで、さらに元のC末端からN末端の逆配向でポリペプチドの翻訳産物をコードする合成ポリヌクレオチド(リーダー配列を各)とライゲートさせることにより産生し得る(例えば、米国特許5478925参照)。ここに記載するまたはそうでなければ当分野で知られる組み換え技法を、膜貫通ドメイン(または疎水性またはシグナルペプチド)を含み、膜再構成技法によりリポソームに取り込まれ得る、組み換えFKBP−L(ポリ)ペプチドの産生に適用できる(例えば、米国特許5478925参照)。
プロドラッグ
ここに記載するポリペプチドは、少なくともある実施態様において、眼障害、例えば角膜血管新生または眼の炎症性疾患の処置または予防のためにヒトまたは他の哺乳動物に投与することが企図される。下記のとおり、ペプチドは、一般に眼に局所的に、結膜下注射、基質内注射または任意の他の眼内注射経路を使用してまたは全身投与、例えば経口投与または腹腔内投与などの非経腸経路により投与される。
ペプチドまたはポリペプチドは、ペプチド薬物の生理化学的性質を修飾するため、例えば、酸性および酵素分解に対する抵抗性増加および粘膜を通過するこのような薬物の浸透の増強のため、重合部分などの種々の部分とコンジュゲートされ得る。例えば、Abuchowski and Davisは、水可溶性、非免疫原性、インビボ安定化産物を提供するための酵素誘導体化の種々の方法を記載する("Soluble polymers-Enzyme adducts," Enzymes as Drugs, Eds. Holcenberg and Roberts, J. Wiley and Sons, New York, N.Y. (1981))。
それ故に、ある実施態様において、FKBP−Lペプチドは、デキストラン、ポリビニルピロリドン、糖ペプチド、ポリエチレングリコールおよびポリアミノ酸などのポリマーとコンジュゲートさせ得る。得られたコンジュゲートポリペプチドは、生物学的活性および非経腸適用のための水への溶解度を保持する。ある実施態様において、FKBP−Lペプチドを、500〜20,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールまたはポリプロプロピレングリコールと結合させて、生理学的に活性な非免疫原性水可溶性ポリペプチド組成物を提供し得る(例えば、米国特許4,179,337およびGarman, A.J., and Kalindjian, S.B., FEBS Lett., 1987, 223, 361-365参照)。ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールは、ポリペプチドを活性喪失から保護でき、組成物を哺乳動物循環系に実質的に免疫原性応答なく注射し得る。他の実施態様において、FKBP−Lを、親油性および親水性部分を含むオリゴマーと結合させる(例えば、米国特許5681811、5438040および5359030参照)。
プロドラッグを、例えば、まず、マレイン無水物反応材を多分散MPEG5000から調製し、次いで、この反応材をここに記載するポリペプチドとコンジュゲートすることにより製造し得る。アミノ酸とマレイン無水物の反応は周知である。アミン含有薬物再形成のためのマレイル−アミド結合の加水分解は、近隣の遊離カルボキシル基および二重結合により形成される攻撃配置によって促進される。ペプチドは、生理学的条件下遊離され得る(プロドラッグの加水分解による)。
ポリペプチドはまた分解可能結合、例えば、Roberts, M.J., et al., Adv. Drug Delivery Rev., 2002, 54, 459-476に示される(ペグ化インターフェロンに関して)分解可能結合により、多分散PEGなどのポリマーにも結合され得る。
ポリペプチドはまた1,6または1,4ベンジル脱離(BE)反応(例えば、Lee, S., et al., Bioconjugate Chem., (2001), 12, 163-169; Greenwald, R.B., et al., 米国特許6,180,095、2001; Greenwald, R.B., et al., J. Med. Chem., 1999, 42, 3657-3667参照);トリメチルロックラクトン化(TML)(Greenwald, R.B., et al., J. Med. Chem., 2000, 43, 475-487);PEGカルボン酸のヒドロキシ末端カルボン酸リンカーへのカップリング(Roberts, M.J., J. Pharm. Sci., 1998, 87(11), 1440-1445)および、カルバメートとPEGアミドまたはエーテルのメタ関係が関与するプロドラッグ構造(Bently, et al.の米国特許6413507)を含む、アリールカルバメートによりアミン含有薬物に連結されたMPEGフェニルエーテルおよびMPEGベンズアミドのファミリーを含むPEGプロドラッグ(Roberts, M.J., et al., Adv. Drug Delivery Rev., 2002, 54, 459-476);および加水分解機構と逆の反応機構が関与するプロドラッグ(Zalipsky, S., et al., Bioconjugate Chem., 1999, 10(5), 703-707)を使用してPEGなどのポリマーと連結させ得る。
本発明のFKBP−Lポリペプチドは、遊離アミノ、アミド、ヒドロキシおよび/またはカルボン酸基を有し、これらの官能基を使用して、該ペプチドをプロドラッグに変換し得る。プロドラッグは、1アミノ酸残基またはペプチド結合により結合した2以上の(例えば、2、3または4)アミノ酸残基のポリペプチド鎖が、種々のポリマー、例えば、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールの遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基を介して結合している化合物を含む。本発明のポリペプチドを含むプロドラッグまたは本発明のペプチド(アナログおよびフラグメントを含む)が放出されるまたは放出可能であるプロドラッグは、本発明のアナログと考えられる。
プロドラッグはまた、PEG、カーボネート、カルバメート、アミドおよびアルキルエステルが、上記ペプチドにC末端カルボン酸を介して共有結合している化合物も含む。それ故に、本発明の実施態様は、部位特異的PEG付加を含む。
角膜血管新生の処置/予防
本発明の実施例は、角膜表面へのFKBP−Lペプチド(特に配列番号3のペプチド)の局所投与が血管形成を劇的に減少させ得ることを決定的に示した。さらに、FKBP−Lペプチド(特に配列番号3のペプチド)はまた抗炎症剤としても作用し、ラット角膜縫合モデルにおいて既存の薬物処置より優れた有効性を示した。この結果は、角膜血管新生の処置/予防におけるFKBP−Lポリペプチドおよびそのペプチドフラグメントの有用性を明らかに支持する。
角膜血管新生と関連するおよび/またはそれが介在する種々の眼障害は、ここに記載するFKBP−Lペプチド化合物、組成物および方法を使用して処置され得る。角膜新生血管疾患は、角膜組織への新生血管の侵襲により特徴付けられ、失明の主原因である。角膜血管新生と関連する他の疾患は、伝染性角結膜炎、ビタミンA欠乏性、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片、乾性角膜炎、類天疱瘡、放射状角膜切開術および角膜移植片拒絶反応を含むが、これらに限定されない。
血管新生誘発角膜混濁損傷の現在の処置は角膜移植である。しかしながら、血管新生の存在それ自体、この高リスク群における移植後の予後悪化に寄与する。角膜移植が、無血管性受容床に成されたら(低リスク角膜移植)、2年移植片生着率は、局所ステロイド使用下、90%に近づく(Kuechle et al., 2002)。血管形成受容床では、2年間の移植片生着は、50%未満まで有意に低下する(Cursiefen et al., 2002)。縫合は、常に顕著な血管新生応答を誘発し、これはまた角膜拒絶反応のリスクの増加と関係する。それ故に、角膜移植片を適所に固定する手段それ自体さえも、移植片拒絶反応のリスクを増加させる。本発明が提供するような新選択肢が、コルチコステロイドなどのこのタイプの眼疾患の処置に現在利用可能な処置の効果が限定的であり、副作用のリスクを伴うため、絶対的に必要である。それ故に、本発明の特に重要な態様は、角膜移植手術を受けている患者の角膜血管新生の予防および/または処置に関する。FKBP−Lペプチドでの処置を、移植片拒絶反応のリスクを低減するために、角膜移植手術前および/または術後に投与し得ることが企図される。
角膜血管新生はまたヘルペスウイルスの角膜実質感染後にしばしば起こり、通常、該ウイルスの三叉神経節内の潜伏位置からの再活性化による二次的(最初の一次感染後)感染である(Liu et al., 2006)。多くの因子が血管新生過程の誘発に関与しており、これはまた疾患病因の発展の経過の間に変わることもあり得るが(Suryawanshi et al., 2011)、直近の研究はVEGF−Aに焦点を絞っている。この増殖因子は、直接的に感染細胞により、そしてまた、Il−6を含む多様な傍分泌因子によりそれを産生するために誘発されたバイスタンダー細胞および浸潤性炎症性細胞の両方によって産生される(Kanangat et al., 1996)。このHSV−1感染により、炎症および血管形成が互いに引き金を引き、周皮細胞を欠くため、内皮細胞が炎症性細胞およびサイトカインを角膜実質に放出する漏出性血管が新しく形成され、これは、より多くの血管の内増殖の誘発に影響し、問題を複雑化する(Azar、2006)。
角膜内の血管退行を誘発する大部分の処置は、抗VEGF処置を利用している。このタイプの処置は、該状態の初期においてはしばしば成功するが、血管が十分に確立されたならば、抗VEGF処置に非応答性となる。あらゆる現在の抗VEGF手法での困難性は、特に該状態がしばしば盛衰し、さらなる炎症を生じ、さらなる血管新生を促進するため、しばしば長期に亘る高頻度の注射を必要とすることである。現在、角膜内で十分に確立された血管を除去するのに利用可能な医学的処置はない。これらの状況での唯一の処置は、レーザー処置または焼灼の使用を要し、この何れも、満足とはほど遠く、しばしば、頻回の外科的介入を必要とする(Gupta & Illingworth, 2011)。
角膜血管新生の処置/予防におけるFKBP−Lペプチド(例えば配列番号3のペプチド)の特定の(驚くべき)利点は、血管形成の低減が抗炎症効果とも組み合わさっていることである。このような効果が該ペプチドの局所投与によって見られるのも極めて有利であるが、該ペプチドを結膜下注射または眼内注射の他の方式などの他の経路で投与し得ることも予期される。
角膜血管新生処置/予防と同様に、FKBP−Lペプチド(例えば配列番号3のペプチド)の局所投与は、該ペプチドの眼の全区画への浸透のため、眼のどこかの血管新生と関連する適応症の処置/予防に有効である。FKBP−Lペプチド(例えば配列番号3のペプチド)の投与(例えば局所投与)により処置/予防し得る眼血管新生と関連する疾患は、例えば、未熟児網膜症(ROP)、糖尿病性網膜症、新生血管加齢黄斑変性症、鎌状赤血球網膜症および/または網膜静脈閉塞を含む。
眼の炎症の処置/予防
本発明の実施例はまた、FKBP−Lペプチド(特に配列番号3のペプチド)の投与が、用量依存的態様で実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)のマウスモデルにおける網膜炎症を抑制したことも決定的に示した。さらに、上記のとおり、FKBP−Lペプチドの局所投与はまたラット角膜縫合モデルにおいて抗炎症効果も生じる。例えば、FKBP−Lペプチド(配列番号3)の局所投与は、このようなモデルにおける総細胞および炎症性細胞浸潤(例えば、CD68+またはCD44+細胞を使用して測定)の両方を減少させる。併せて、これらの結果は、眼の炎症性疾患、特に網膜の炎症および/または角膜の炎症と関連する/介在する疾患の処置/予防におけるFKBP−Lポリペプチドおよびそのペプチドフラグメントの有用性を明らかに支持する。さらに、FKBP−Lペプチド(配列番号3)の局所投与は、眼の全層への該ペプチドの浸透をもたらす。FKBPLペプチドは、それ故に眼の他の部分の炎症、例えば脈絡膜、強膜および/または眼筋肉の炎症と関連する/介在する眼の炎症性疾患の処置の可能性を有する。
FKBP−Lポリペプチドおよびそのペプチドフラグメント、特に配列番号3のペプチドの投与により処置/予防し得る炎症性眼疾患の例は、ぶどう膜炎、ドライアイ症候群、眼瞼角結膜炎および種々の形態の角膜炎を含む(しかしこれらに限定されない)。
製剤/投与経路
ここで使用する、“処置”または“治療”は、ヒトまたは非ヒト動物に利益をもたらし得るあらゆるレジメを含む。処置は、現在の状態に関するものであり、または予防(防御的処置)であり得る。処置は、治癒、軽減または予防効果を含み得る。
角膜血管新生は、そのような処置を必要とする患者への、有効量のFKBP−Lポリペプチドまたはペプチドそのフラグメントの投与により軽減され得る。
投与されるFKBP−Lポリペプチドの用量は、処置される障害の厳密な性質により変わり得る。別の実施態様において、インビボで達成すべき投与量は、10−12Mまたは10−11Mまたは10−10Mまたは10−9Mまたは10−8Mまたは10−7Mまたは10−6Mまたは10−5Mを超えるインビトロレベルと等価であり得る。それ故に、インビボで達成すべき投与量は、10−12M〜10−5Mまたは10−11M〜10−6Mまたは10−10M〜10−7Mまたは10−9M〜10−7Mまたはその間のインビトロレベルと等価であり得る。別の実施態様において、投与量は、約1〜10000ng/mlまたは約10〜5000ng/mlまたは約100〜1000ng/mlのインビトロレベルと等価であり得る。またはある実施態様において、投与量は、約0.00001〜500mg/kg/日または約0.0001〜300mg/kg/日または約0.003〜100mg/kg/日または約0.03〜30mg/kg/日または約0.1mg/kg/日〜10mg/kg/日または約0.3mg/kg/日〜3mg/kg/日を含み得る。さらに別の実施態様において、使用するヒトインビボ投与量は、10−9M〜10−8Mのラットインビボ投与量と等価であり得る。さらに別の実施態様において、使用するヒトインビボ投与量は、10−10〜10−5または10−9〜10−6Mであり得る。ある実施態様において、ヒトインビボ投与量は10−9M〜10−8Mであり得る。
投与経路はまた処置される障害の正確な性質により変わり得る。適当な投与経路は、眼への局所適用、例えば角膜表面または眼の他の外部表面への局所投与、眼内注射、結膜下注射、硝子体内注射、腹腔内投与、経口投与を含み得るが、これらに限定されない。
ヒト対象への投与のために、FKBP−Lポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントは、選択した送達経路による投与に適する医薬組成物/投与量形態に製剤化され得る。
FKBP−Lポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントを単独処置としてまたは組み合わせ処置の成分として使用することが考えられる。
本発明の実施態様は、眼の炎症性疾患(例えばぶどう膜炎、ドライアイ症候群または眼瞼角結膜炎)の処置のための、FKBP−Lポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントおよび特に配列番号3のペプチドとデキサメサゾン(またはその任意の誘導体またはアナログ)の組み合わせを含む、組み合わせ処置に関する。
実施例1 − 眼表面の血管新生に対するALM201の効果
ALM201(配列番号3)の眼表面に対する作用を評価するために、血管成長を停止させる能力を試験した。血管成長を、広く受け入れられているモデル(Shi et al., 2011)を介して刺激し、それにより、縫合糸をラット眼の角膜中央部に位置させた(図1)。我々は、ラットの眼が解剖学上ヒトの眼に類似することを示している(Moore JE, McMullen CB, Mahon G and Adamis AP. The corneal epithelial stem cell. DNA Cell Biol. 2002;21(5-6):443-51;引用によりここに包含する)。
実験群
実験群は:
ペプチドの結膜下注射(5ラット)、対照群(5ラット)および陽性対照群(5ラット)
ペプチドの基質内注射(5ラット)、対照群(5ラット)および陽性対照群(5ラット)
ペプチドの局所適用(5ラット)、対照群(5ラット)および陽性対照群(5ラット)
方法
各動物の一方の目の角膜中央部で縫合を行い、一方対照眼は無処置とした。注射群について、ペプチドを、0日目、3日目および6日目にラットの眼に注射した。局所適用群について、ペプチドおよび陽性対照を毎日点眼した。縫合の翌日から毎日、ラットを血管成長についてモニターし、Hawk Eye Portable Digital Slit Lamp(Dioptrix, France)および倒立顕微鏡(Nikon's E600FN; Surrey, UK)を使用して写真撮影した。無処置およびペプチド処置動物間で差異が見られた時点で(例えば6日目)、内皮特異的フルオレセインコンジュゲートレクチン(Lycopersicon esculentum; Vector Laboratories, Burlingame, CA)8μg/gを尾静脈に注射した。30分後、眼を摘出し、10%中性緩衝化ホルマリンに24時間固定した。角膜を分離し、スライドガラスにフラットマウントした。灌流血管における蛍光をLeica SP5多光子顕微鏡(Milton Keynes, UK)を使用して捕捉した。tagged information file format(.tiff)ファイル内の血管形成を、Image Jでの可視化により試験した(Rasband, 1997-2014)。
6日目全ラットを、処置に対して盲検下で眼科医がグレーディングした。グレーディングのスケールは次のとおりであった。
縫合糸からの血管距離:0=距離無し;1=短い距離;2=中程度の距離;3=距離の3/4;4=縫合糸に到達;
血管密度段階分け:0=密度無し;1=軽度;2=中程度;3=高
炎症段階分け:0=無し;1=最小;2=中程度;3=重度;
結果
結膜下注射
統計解析のために、トリアムシノロンおよび100nM ALM201処置両方をPBS対照処置と比較した。縫合により誘発された血管新生を図3における対照画像で黒矢印により示す。これらの血管は縫合糸に向かって直線的に成長し、トリアムシノロンおよびALM201処置で見られる正常脈管構造と異なる(図2(a))。p<0.01の有意差が、PBS対照と比較したとき、100nM ALM201の縫合糸からの血管距離で見られた(図2(b))。
局所処置
対照画像における黒矢印は、血管新生を示し、一方ALM201画像はラット眼内の正常脈管構造を示す(図3(a))。縫合糸からの血管距離、血管密度および炎症は、PBS対照処置と比較して、ALM201処置で全て有意に異なった(図3(b))。
Hooded Listerラットを使用する結膜下注射
動物の非着色眼の脈管構造の画像は、見ることが困難であり得る。局所ALM201での実験をHooded Listerラットで繰り返し、抗血管作用のより明確な画像を提供した。
図4において、縫合により誘発された血管新生を対照画像における黒矢印(中央パネル)およびデキサメサゾン処置ラット(左パネル)で示す。これらの血管は、縫合糸に向かって直線的に成長する。デキサメサゾン処置ラットにおいて、血管新生は対照画像で見られるほど顕著ではない。100nM ALM201処置画像内で血管新生はない(右パネル)。
結論
ALM201(配列番号3)は、縫合モデルの角膜損傷で結膜下注射または局所適用後、新血管成長を予防する。本ペプチドはまた注射したとき抗炎症性活性も有した。炎症は、局所適用後評価しなかった。これらの初期実験は、角膜損傷後の血管新生減少におけるALM201の明らかに良好な効果を示し、ALM201が多くの眼状態処置に有効であることを示す。
実施例2 − 自己免疫性ぶどう膜炎に対するALM201の効果
自己免疫性ぶどう膜炎に対するALM201の効果を、実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)のマウスモデルで試験した。
方法
動物
60匹のC57BL/6Jマウス(38雌性、22雄性、9〜12週齢)を、Queen's University BelfastのBiological Resource Unit (BRU)から購入した。全マウスを通常の実験室で飼育し、12時間毎の明暗サイクルに曝した。本試験における動物の使用に関する全ての手順は、Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO) Statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchに従い、United Kingdom Animal (Scientific Procedure) 1986の規則に準じた。
EAUの誘発
マウスをヒト光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)ペプチド1−20(GPTHLFQPSLVLDMAKVLLD、GL Biochem, Shanghai, China)で、先に報告されたプロトコール(Chen M., Copland D.A., Zhao J., Liu J., Forrester J.V., Dick A.D., Xu H., 2012. Persistent inflammation subverts thrombospondin-1-induced regulation of retinal angiogenesis and is driven by CCR2 ligation. Am. J. Pathol. 180, 235-245; Xu H., Manivannan A., Crane I., Dawson R., Liversidge J., 2008. Critical but divergent roles for CD62L and CD44 in directing blood monocyte trafficking in vivo during inflammation. Blood 112, 1166-1174、各々引用によりここに包含する)により、免疫化した。すなわち、2.5mg/mlマイコバクテリウム・ツベルクローシスH37Ra(DIFCO Laboratories)を添加した完全フロインドアジュバント(DIFCO Laboratories, Detroit, USA)に1:1で乳化した500mg(100μl)のIRBPペプチド1−20を、各マウスに皮下注射した。さらに1mg百日咳菌毒素(Tocris Bioscience, Bristol, UK)を、ペプチド注射直後に腹腔内投与した。
局所内視鏡眼底造影(TEFI)
マウス瞳孔を1%硫酸アトロピンおよび2.5%塩酸フェニレフリンで散瞳させた(Chauvin, Essex, UK)。動物をイソフルランで麻酔した。先に報告されている(Paques M., Guyomard J.L., Simonutti M., Roux M.J., Picaud S., Legargasson J.F., Sahel J.A., 2007. Panretinal, high-resolution color photography of the mouse fundus. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 48, 2769-2774., Xu H., Koch P., Chen M., Lau A., Reid D.M., Forrester J.V., 2008. A clinical grading system for retinal inflammation in the chronic model of experimental autoimmune uveoretinitis using digital fundus images. Exp. Eye Res. 87, 319-326、各々引用によりここに包含する)TEFI系を使用して、免疫化後(p.i.)12日目、14日目および24日目に眼底像を得た。画像をNikon D90カメラを使用して取得し、TFPI形式で保存した。網膜炎症の臨床スコアを、先に我々が報告した基準を使用して評価した(Xu et al. 2008a)。
群割り付け
網膜炎の臨床スコアに基づき、異なる群間で平均臨床スコアが同等となることを確実とするように、5群に割り当てた。10匹のマウスを各群に割り当てた。表1は、個々の群における免疫化後14日目(処置を開始した日)の平均臨床的EAUスコアを示す。
*One-wayANOVA、続くテューキーの多重比較検定。NS、他群間との有意差なし
処置
全動物を、免疫化後14〜24日目の10日間処置した。以下は処置詳細である。
群1:100ml PBS、i.p.注射、1日1回。
群2:ALM201 0.3mg/kgを100ml、i.p.注射、1日1回。
群3:ALM201 3mg/kgを100ml、i.p.注射、1日1回。
群4:デキサメサゾン0.5mg/kgを100ml、p.o.(強制経口投与)、1日1回。
群5:ALM201 0.3mg/kgを100ml、i.p.注射+デキサメサゾン0.5mg/kgを100ml、p.o.(強制経口投与)、1日1回。
サンプル採取および病理組織試験
免疫化後24日目、眼底像を、TEFI形式を使用して全実験マウスから取得した。次いで、マウスをCO吸入により屠殺し、眼を注意深く摘出した。全ての眼を、2日、室温で2.5%(w/v)グルタルアルデヒド(Agar Scientific Ltd, Cambridge, UK)で固定した。標準H&E染色のために眼をパラフィンに包埋した。網膜炎症の組織スコアを先に報告された(Dick A.D., Cheng Y.F., Liversidge J., Forrester J.V., 1994. Immunomodulation of experimental autoimmune uveoretinitis: a model of tolerance induction with retinal antigens. Eye 8 ( Pt 1), 52-59、引用によりここに包含する)標準スコアリング・システムを使用してグレーディングした。各眼の少なくとも3つの異なる層からの網膜切片を組織病理分析に使用した。3層からの平均スコアを眼の最終病理スコアとして使用した。
統計解析
データ(臨床スコアおよび組織スコア)を平均±SDとして表した。One-wayANOVA、続くテューキーの多重比較検定を全処置群間の差異の検出に使用した。さらに、マン・ホイットニーのU検定(両側)を使用して、ALM201またはデキサメサゾン処置群とPBS対照群の間の差異を検出した。対応のあるスチューデントのt検定を、処置前後の臨床スコアの比較に使用した。
結果
体重
各マウスの体重(BW)を、処置の経過中、連日モニターした。結果は、PBS対照、ALM201 0.3mg/kg、ALM 3mg/kgおよびデキサメサゾン0.5mg/kg群からの全マウスが、10日処置期間中安定なBWを有したことを示した(図5A〜5D)。ALM201+デキサメサゾン処置群からの2匹のマウスは、3日目、4日目および5日目にBWが減少したが、6日目にBWは再び増加し、実験の最後には安定していた(図5E)。
EAUにおける効果
臨床上の炎症:
正常非免疫化マウスにおいて、視神経乳頭(OD)および網膜血管は眼底検査で明確に可視化できる(図6A)。OD周囲の浸潤、血管周囲の複数の大きな浸潤(図6Bにおける矢印)、複数小浸潤(星印、図6B)および網膜血管周囲の浸潤を含む重度炎症が、免疫化後24日目にPBS処置EAUマウスで観察された(図6B)。網膜炎症はまた0.3mg/kg ALM201処置を受けたマウスでも観察されたが、浸潤の数はPBS処置EAUマウスより少なかった(図6C)。血管周囲の小さな類白色シート(脈管炎)が3mg/kg ALM201(図6D)、デキサメサゾン(0.5mg/kg)(図6E)およびALM201 0.3mg/kg+デキサメサゾン(0.5mg/kg)処置を受けたEAUマウスで観察された。網膜血管周囲の大きな浸潤はこれらの群からのマウスでほとんど観察されなかった(図6D〜6F)。臨床スコア分析は、ALM201はEAUにおける炎症を用量依存的に抑制することを示した(図6G)。デキサメサゾン(0.5mg/kg)は網膜炎症を強く抑制した(図6G)。3mg/kg ALM201および0.5mg/kg デキサメサゾンで処置したマウスの臨床スコアについて統計的有意差はなかったが、後者は臨床スコアが低いことが明らかであった。0.5mg/kg デキサメサゾンとALM201 0.3mg/kgの組み合わせは、デキサメサゾン単独と比較して、臨床スコアをさらに減少させなかった(図6G)。
同じマウスの処置前(免疫化後14日目)および処置後(免疫化後24日目)の臨床スコアを比較したとき、PBS処置群における全マウスのスコアは増加しており(臨床スコアの平均1.82の増加、図7Aおよび表2)、免疫化後14〜24日目の炎症のさらなる進展を示唆する。
0.3mg/kg ALM201処置マウスにおいて、1匹のマウスは臨床スコアが低下し、1匹は変わらず、他の8匹のマウスは、免疫化後14日目から24日目の臨床スコアのわずかな増加を経験した(平均増加スコア0.68、図7B)。しかしながら、全体的臨床スコアはこの群のマウスで免疫化後14〜24日目で有意に変化しなかった(図7B、表2)。ALM201 3mg/kg処置は、3匹のマウスでEAU臨床スコアを減少させ(臨床スコアの平均減少:0.33)、3匹のマウスで臨床スコアのさらなる増加を阻止し(図7C、表2)、この処置がEAUにおける網膜炎の進行を低減または予防できることを示す。4匹のマウスは臨床スコアが増加しており、平均増加は0.82点であった(表2、図7C)。デキサメサゾン処置は、処置後3匹のマウスでEAUスコアを減少させ(平均減少0.69)、4匹のマウスでEAUスコアを維持し(図7D、表2)、3匹のマウスはEAUスコアが増加した(平均増加0.80)。ALM201とデキサメサゾンの組み合わせ処置は、6匹のマウスでEAUスコアを減少させ(平均減少0.69)、2匹のマウスでEAUスコアを維持した(図7E、表2)。2匹のマウスのみが網膜炎症の進行を経験した。結果は、デキサメサゾンとALM201の組み合わせが、このEAUモデルでデキサメサゾンまたはALM201単独より強い免疫抑制効果を有することを示唆する。
病理組織試験:
PBS処置:顕著な細胞浸潤がPBS処置対照EAUマウスの硝子体腔および神経網膜で観察された(図8A)。網膜襞がしばしば観察された(白矢印、図4A)。視細胞外節(POS)はなかった(図8A)。正常網膜構造は高度に破壊された(図8A)。
ALM201(0.3mg/kg)処置:0.3mg/kg ALM201処置マウスでわずかな浸潤性細胞が観察された(図8B)。肉芽腫様損傷(緑矢印、図8B)が時に検出されたが、網膜構造は、PBS処置マウス(図8A)と比較して良好に保存された(図4B)。
ALM201(3mg/kg)処置:処置前に重度炎症があった眼において、わずかな浸潤性細胞と網膜瘢痕が観察された(矢じり、図8C)。処置前に軽度炎症があった眼において、わずかな浸潤性細胞しか観察されず、POSを含む網膜構造は大部分保存された(図8D)。
デキサメサゾン(0.5mg/kg、図8E)およびデキサメサゾン(0.5mg/kg)+ALM201 0.3mg/kg(図8F、8G)処置:ALM201 3mg/kg処置マウスに類似して、治療前に重度炎症を有した眼において、瘢痕損傷が観察された(矢じり、図8E、8F)。わずかな浸潤性細胞がデキサメサゾン処置マウスで観察された(図8E)。POSを含む網膜層が保存された(瘢痕を有する領域から離れた)。治療前に軽度炎症を有した眼において、浸潤性細胞はほとんど検出されず、顕著な構造的損傷は観察されなかった(図8G)。免疫細胞浸潤および網膜構造的損傷の数/面積を考慮に入れる網膜炎症が標準組織学的スコアリング・システムを使用してグレーディングされたとき、ALM201は網膜炎症を用量依存的に抑制した(図8H)。
結論
このパイロット試験での主な知見は次のものを含む。
− ALM201 0.3mg/kg処置は、網膜炎症を臨床的および組織的にわずかに減少させた。
− ALM201 3mg/kg処置は、網膜炎症を臨床的および組織的に有意に減少させた。
− デキサメサゾン0.5mg/kg単独またはデキサメサゾン+ALM201処置は網膜炎症を有意に減少させた。
− 低用量のALM201(0.3mg/kg)処置は、20%のマウスで進行阻止または炎症低減ができ、80%のマウスでEAU進行のレベルを減少させた。
− 高用量のALM201(3mg/kg)処置は、30%のマウスで炎症進行を阻止でき、30%マウスで既存の炎症を低減できた。
− デキサメサゾン(0.5mg/kg)処置は30%のマウスで既存の網膜炎症を低減でき、40%のマウスでEAU進行を阻止できた。
− デキサメサゾン(0.5mg/kg)およびALM201(0.3mg/kg)処置の組み合わせ治療は、60%のマウスで既存の網膜炎症を低減でき、20%のマウスでEAU進行を阻止した。

上記の結果は、ALM201がEAUのマウスモデルで網膜炎を用量依存的に抑制することを示唆した。デキサメサゾンとALM201の組み合わせは、デキサメサゾンまたはALM201単独より強い免疫抑制効果を有するように見えた。ALM201の可能性のある機構は、(1)循環から炎症網膜への白血球の輸送阻止/減少;(2)免疫細胞機能および活性化の調節である。
実施例3 − 局所投与後の眼におけるALM201の分布および炎症に対する効果
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)マススペクトロメトリー造影(MSI)を使用して、眼におけるALM201の分布をマッピングした。
方法
0日目、縫合をラットの角膜で行い、角膜血管新生および炎症を誘発させた。眼を、16μlのALM201(100nMおよび100μM)またはPBS(媒体対照)で3日または6日処置した。
眼を、3日目または6日目処置1時間後に眼球を摘出し、ゼラチン内に凍結させた。横断面(10μm)を、MSIのために眼の中心で取り、隣接切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。
全MALDI−MS造影実験をMALDI−TOF/TOF(Ultraflextreme, Bruker DaltonicsまたはMALDI−FT−ICR(Solarix XR 12T, Bruker Daltonics)マススペクトロメーターで陽イオンモードで、Smartbeam II 2 kHzレーザーを使用して行った。レーザースポットサイズは、低および高空間分解能分析のための焦点の中等度および鋭いレベル(約40μmおよび10μmレーザースポット直径)を生じるように選択した。MS造影データをFlexImaging(Bruker Daltonics), version 4.1を使用して可視化した。CHCA(0.2%TFA含有50%ACNに溶解した5mg/ml)をMALDIマトリックスとして使用し、自動噴霧器(TM-Sprayer, HTX Technologies)を使用して適用した。
結果
MALDI−MS造影結果を図9に示す。
図9Aは、m/z 2576.303±0.005DaでのALM201ペプチドのFTICRマススペクトルを示す。結果は、100μM(最後から2番目のトレース)および100nMペプチド(下部トレース)で局所的に処置した角膜組織からである。観察されたペプチドモノアイソトピック質量は、理論的分布と一致した(質量精度は350K質量分解能で<5ppmであった)。
図9Bは、m/z 2576.303±0.005DaでのALM201のMALDI−FTICR−MSIヒートマップ分布を示し、図9Cは、内在性代謝物のm/z 1028.135±0.025Da(大部分角膜に分布)、1444.584±0.025Da(大部分水晶体に分布)、782.5799±0.025Da(大部分房水およびガラス体液に分布)、780.5451±0.025Da(筋肉(青色)に分布)、835.5891±0.025Daおよびペプチド(眼全体に分布)2576.303±0.025Daでのヒートマップを示す。これらのデータは、ALM201は局所処置後眼の全層に浸透したことを示す。
図10は、H&E染色ラット眼切片および2576.3±0.1DaでのMALDI−MSI画像の重ね合わせを示す。正常眼を、100μMのALM201で3日、連日処置し、次いで、最後の処置15分後眼球を摘出した。ヒートマップにより示されるとおり、画像はペプチドの大部分がガラス体液およびおそらく水晶体と共存することを示す。ペプチドはまた角膜、強膜、脈絡膜および網膜にも共存する。
図11は、組織分析の結果を示す。ALM201処置ラットからの眼は、対照と比較して血管新生が減少した(図11A、白矢印は縫合糸を示し、黒矢印は血管を示す)。
さらに、ALM201処置動物は、PBS処置対照およびまたデキサメサゾン処置動物の両方と比較して、総細胞浸潤(図11B)およびCD68+細胞浸潤(図11C)の減少を示した。CD68+はマクロファージおよび単球のマーカーであり、CD68+細胞浸潤減少は、これらのサンプルにおける炎症の減少を示す。
結論
これらのデータは、角膜に局所的に投与されたALM201が眼の全層に急速に浸透し、かつ分布することを示す。それ故に、ALM201は、前部眼疾患および後部眼疾患の有効な処置を提供し得る。H&EおよびCD68+染色は、局所投与ALM201が血管新生、総細胞浸潤および炎症性細胞浸潤を阻止することを示す。
実施例4 − 損傷角膜における血管新生および炎症の予防におけるALM201の使用
ALM201濃度決定
方法
各ラットを麻酔し、2つの10−0縫合糸を左眼の側頭角膜内の基質内に、角膜縁から1.5mm離して設置した。縫合糸を実験全体をとおしてそのまま維持した。右眼を、対照として縫合を設置せず、左眼と同じ処置をした。処置は、縫合糸設置約24時間後に開始し、6日間1日1回実施した。ラットを、図12に示す処置スキームに従い、処置した。
最後の処置約24時間後、眼を造影し、臨床スコア化した。縫合糸有りの眼を血管密度、縫合糸までの血管距離および炎症に基づき、スコア化した。血管密度は、0=密度無し、1=軽度、2=中程度、3=高の3つからスコア化した。縫合糸までの血管距離は0=到達せず、1=短い距離、2=中程度の距離、3=距離の3/4、4=縫合糸に到達の4つからスコア化し、炎症は0=無し、1=最小、2=中程度、3=重度の3つからスコア化した。臨床スコアリング後、眼球を摘出し、組織処理し、蝋包埋し、縫合糸領域を見つける注意をしながら5μm切片に細断した。切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色して、各眼の縫合糸位置を確認し、次いで隣接スライドをCD44+細胞およびFKBPL発現ならびにNFκBおよびp−IκBαの同定のための免疫組織化学のために使用した。
結果
縫合後7日目、画像を各ラットから撮り(図13A)、角膜損傷を臨床スコア化した。臨床スコアリングの結果は、縫合糸までの血管の距離がPBS媒体対照と比較したとき、1μM ALM201およびデキサメサゾン処置群で有意に異なったことを示す(図13B)。
血管密度の臨床スコアリングはまたPBS対照群と比較したとき、ALM201 1μM、10μM、100μM処置群およびデキサメサゾンにおける血管密度の有意な減少も示した(図13C)。
炎症スコアリングは、PBS処置群と比較して、デキサメサゾン、ALM201 10μMおよび100μMで有意差があることを示す。炎症および血管密度スコアリングの両方で、100μM ALM201およびデキサメサゾンのスコアにも有意差がある。
これらの結果により、1μMおよび10μMが、血管形成および炎症の阻止にALM201の最も有効な濃度であった。
免疫組織化学およびH&E
切片(5μm)をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色して、各眼で縫合糸位置を確認した。次いで隣接スライドをCD44+細胞およびFKBPL発現の確認のための免疫組織試験のために使用した。
H&E染色(図14)は、細胞浸潤、角膜腫脹および血管が、ALM201濃度が0.01μMから10μMに上がるに連れて減少することを示した。しかしながら、100μM ALM201で、より大きな角膜腫脹が観察された。
CD44のための免疫組織化学染色(図15)は、CD44が縫合がない角膜で角膜上皮、実質角膜実質細胞および角膜内皮に内因に発現されることを示した。PBS処置、縫合有りの角膜において、CD44発現が増加し、これは、実質におけるCD44+炎症性細胞による可能性が最も高い。1μM ALM201処置縫合有りの角膜は、縫合糸有りのPBS対照と比較して、CD44発現の減少を示した。それ故に、1μM ALM201は、CD44+炎症性細胞が角膜に入ることを阻止するように見える。
ALM201は、天然に存在するFKBPLタンパク質の誘導体である。FKBPLの免疫組織化学(図16)は、FKBPLが正常角膜の角膜上皮および内皮で内因性に発現されることを示す。縫合糸有りPBS処置角膜において、FKBPLはまた実質で発現される。興味深いことに、縫合糸有り1μM ALM201処置角膜において、角膜上皮および実質におけるFKBPL発現は、PBS処置縫合糸有り角膜および正常角膜と比較して増加する(図16)。
NFκB経路
NFκBおよびリン酸化−IκBα抗体も、ALM201がNFκB経路に影響するか否かを見るためにこの実験に使用した。B細胞の核因子カッパ−軽鎖−エンハンサーまたはNFκBは、炎症、B細胞増殖、アポトーシス、免疫制御および細胞増殖を含む数過程に関与する転写因子である。NFκBファミリーに5つの異なるNFκBヘテロ二量体があり、そのヘテロ二量体が活性化されるかによって、上記過程の転写を活性化または抑制できる。NFκB経路は極めて複雑な経路であり、TNFα、増殖因子およびIL−1bなどの多数の種々のリガンドにより活性化され、CD44を含む多数の種々の遺伝子に作用する。抗NFκBおよびリン酸化−IκBα(p−IκBα)を、作用機序のさらなる洞察を得るために、ALM201がこの経路に作用するかどうかを見るために使用した。
非刺激細胞において、IκBαは細胞質におけるNFκBに結合し、NFκB核局在化を阻害する。NFκB経路が活性化されたら、IκBαはリン酸化され、NFκBを放出させ、その核局在化シグナルのマスキングをはずさせる。次いで、NFκBが遊離して核内に入り、そこでそれは転写因子として機能する。遊離NFκB発現の免疫組織化学分析(図17)は、縫合がない角膜において、NFκBは角膜上皮、内皮および実質角膜実質細胞に内因性に発現されることを示す。PBSまたは1μM ALM201での処置は、縫合糸がない角膜のNFκB発現のこのパターンに影響しない。しかしながら、PBSで処置した縫合有りの角膜において、NFκB発現は縫合がない対照と比較して増加する。対照的に、1μM ALM201処置した縫合有りの角膜は、PBS対照縫合有り角膜と比較して、実質におけるNFκB発現の減少を示す。
遊離NFκB発現の観察を確認するために、角膜におけるp−IκBα発現をまた免疫組織化学的に決定した。PBSおよび1μM ALM201処置両方の縫合無し角膜でp−IκBα発現はなかった。PBS処置縫合有りの角膜においてp−IκBα発現が増加し、これは1μM ALM201処置で減少した(図18)。
これらの結果から、ALM201は、NFκB経路に直接的に作用し得るかまたはALM201処置角膜と比較したPBS処置および縫合有り角膜における炎症性細胞の存在の増加により、発現に差異があり得る。

Claims (23)

  1. 角膜血管新生の処置または予防に使用するためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  2. 角膜移植手術後の角膜血管新生の予防または処置のための、請求項1に記載の使用のためのKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント
  3. 眼の炎症性障害の処置または予防に使用するためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  4. 該眼の炎症性障害がぶどう膜炎である、請求項3に記載の使用のためのKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント
  5. 該眼の炎症性障害がドライアイ症候群である、請求項3に記載の使用のためのKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント
  6. 該眼の炎症性障害が眼瞼角結膜炎である、請求項3に記載の使用のためのKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント
  7. 該FKBP−Lポリペプチドまたは生物学的に活性なペプチドそのフラグメントが目に局所的に投与される、請求項1〜6の何れかに記載の使用のためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  8. 該FKBP−Lポリペプチドまたは生物学的に活性なペプチドそのフラグメントが結膜下注射、基質内注射または眼内注射により投与される、請求項1〜6の何れかに記載の使用のためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  9. 該生物学的に活性なペプチドフラグメントは、アミノ酸配列IRQQPRDPPTETLELEVSPDPAS(配列番号3)またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1〜8の何れかに記載の使用のためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  10. 該FKBP−Lポリペプチドが配列番号1または配列番号2に示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1〜8の何れかに記載の使用のためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  11. 該生物学的に活性なペプチドフラグメントが配列番号4〜23の何れかに示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1〜8の何れかに記載の使用のためのFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメント。
  12. 処置を必要とする対象に治療有効量のFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントを投与することを含む、哺乳動物対象における角膜血管新生を処置または予防する方法。
  13. 処置すべき対象が角膜移植手術を受けている、請求項12に記載の方法。
  14. 処置を必要とする対象に治療有効量のFKBP−Lポリペプチドまたはその生物学的に活性なペプチドフラグメントを投与することを含む、哺乳動物対象における眼の炎症性障害を処置または予防する方法。
  15. 眼の炎症性障害がぶどう膜炎である、請求項14に記載の方法。
  16. 眼の炎症性障害がドライアイ症候群である、請求項14に記載の方法。
  17. 眼の炎症性障害が眼瞼角結膜炎である、請求項14に記載の方法。
  18. 該FKBP−Lポリペプチドまたは生物学的に活性なペプチドそのフラグメントが眼に局所的に投与される、請求項12〜17の何れかに記載の方法。
  19. 該FKBP−Lポリペプチドまたは生物学的に活性なペプチドそのフラグメントが結膜下注射、基質内注射または眼内注射により投与される、請求項12〜17の何れかに記載の方法。
  20. 該生物学的に活性なペプチドフラグメントがアミノ酸配列IRQQPRDPPTETLELEVSPDPAS(配列番号3)またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項12〜19の何れかに記載の方法。
  21. 該FKBP−Lポリペプチドが配列番号1または配列番号2に示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項12〜19の何れかに記載の方法。
  22. 該生物学的に活性なペプチドフラグメントが配列番号4〜23の何れかに示すアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項12〜19の何れかに記載の方法。
  23. 処置される対象がヒトである、請求項12〜22の何れかに記載の方法。
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