いくつかの態様について、例証のために実例適用を参照しつつ後述する。本明細書に記載されている特色の十分な理解が得られるように、多数の具体的詳細、関係性および方法を示していることを理解されたい。しかし、関連技術分野における当業者であれば、このような具体的詳細のうち1種もしくは複数を用いずに、または他の方法を用いて、本明細書に記載されている特色を実施することができることを直ちに認識するであろう。一部の行為は、異なる順序でおよび/または他の行為もしくは事象と同時発生的に行われ得るため、本明細書に記載されている特色は、行為または事象の例証されている順序付けによって限定されない。さらに、例証されている行為または事象の全てが、本明細書に記載されている特色に従って方法論を実行することを要求されているとは限らない。
本開示は、抗VEGF剤をコードする核酸配列(例えば、cDNA)を含む、霊長類(例えば、サルまたはヒト)の眼への硝子体内または網膜下注射によって遺伝子療法、ベクターまたは構築物を投与するステップを含む、眼疾患または状態の処置または予防の薬学的組成物および方法に関する。抗VEGF剤または導入遺伝子をコードする核酸配列を含む遺伝子療法、ベクターまたは構築物の硝子体内または網膜下注射の際に、抗VEGF遺伝子が、標的細胞または組織、例えば、網膜細胞においてin vivoで発現されて、抗VEGFタンパク質または遺伝子産物を生成して、治療効果を生じる。
一部の実施形態では、抗VEGF剤を含む遺伝子療法、ベクターまたは構築物を使用して、霊長類またはヒト被験体における、新生血管(滲出型)加齢性黄斑変性(AMD)、網膜静脈閉塞(RVO)、RVO後の黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫(DME)および/またはDME患者における糖尿病性網膜症(DR)、または新血管形成に関与する他のいずれかの関連する眼疾患もしくは状態(例えば、脈絡膜新血管形成(CNV))が挙げられるがこれらに限定されない、1種または複数の眼疾患または状態を処置または予防する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して、標準治療の治療法または現存する処置、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ注射に対して応答性である眼疾患または状態を処置する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して、AMD、RVO、DME、DRまたはDME患者におけるDRのための少なくとも1種の現在の標準治療、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ注射に対して応答性である眼疾患または状態を処置する。
本開示は、抗VEGF剤、治療用導入遺伝子をコードする核酸、またはsVEGFR−1、ラニビズマブ、ベバシズマブもしくは他のいずれか公知の抗(ant-)VEGF剤またはそれらのいずれかの機能的断片、変異体またはバリアントに対して少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)等の薬学的に有効量のベクター、例えば、ウイルスベクターを含む、遺伝子療法に適応された薬学的組成物を網膜下または硝子体内のいずれかで投与することによる、被験体(例えば、非ヒト霊長類またはヒト)における眼性新血管形成の予防または処置のための組成物および方法に関する。斯かる相同性は、核酸配列(例えば、cDNA)、アミノ酸配列、空間的コンフォメーションまたはタンパク質構造(例えば、二次、三次または四次構造)に基づくことができる。
一部の態様では、本明細書に開示されているベクターは、カプシドタンパク質の溶媒曝露GHループまたはループIVにおける部位に5〜11アミノ酸の挿入等の変異を含む、いずれかの血清型のアデノ随伴ウイルス(AAV)である。一部の実施形態では、7−merアミノ酸配列が、AAVカプシドタンパク質のGHループまたはループIVに挿入される。AAVカプシドのGHループ/ループIVについては、例えば、van Vlietら(2006年)Mol. Ther.14巻:809頁;Padronら(2005年)J. Virol.79巻:5047頁;およびShenら(2007年)Mol. Ther.15巻:1955頁を参照されたい。一部の実施形態では、次の:LGETTRP、NETITRP、KAGQANN、KDPKTTN、KDTDTR、RAGGSVG、AVDTTKFおよびSTGKVPNのうちいずれか1種を含むアミノ酸配列を、AAVカプシドタンパク質(例えば、VP1カプシドタンパク質)のGHループ/ループIVに挿入し、これにより、バリアントカプシドタンパク質をそれぞれ有するAAVバリアントを作製する。一部の実施形態では、アミノ酸挿入は、各AAV血清型において次の位置で行われる:AAV2の587および588の間、AAV1のアミノ酸590および591の間、AAV5のアミノ酸575および576の間、AAV6のアミノ酸590および591の間、AAV7のアミノ酸589および590の間、AAV8のアミノ酸590および591の間、AAV9のアミノ酸588および589の間またはAAV10のアミノ酸589および590の間。
一部の実施形態では、アミノ酸は、AAV2のVP1のアミノ酸570および611の間の位置または別のAAV血清型のカプシドタンパク質における対応する位置における2個の隣接するアミノ酸の間に挿入することができる。一部の実施形態では、AAV2のVP1のアミノ酸587および588の間にLGETTRPアミノ酸挿入を含むAAV2ベクターが、本明細書に開示されている遺伝子療法に使用される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている処置方法は、抗VEGF剤(例えば、sVEGFR−1、ラニビズマブまたはベバシズマブ)をコードする核酸配列を含む、いずれかの血清型のAAVを含む薬学的組成物または製剤を網膜下または硝子体内投与するステップを含む。一部の態様では、本明細書に開示されている薬学的組成物の網膜下または硝子体内注射は、被験体の眼における標的細胞、例えば、網膜細胞における抗VEGF剤の発現をもたらし、これは、in vivoでの新血管形成もしくはVEGF発現の低下および/またはVEGF発現もしくは活性の阻害、またはin vivoでのVEGF−VEGFR相互作用の破壊をもたらす。一部の実例では、抗VEGF剤の発現は、in vivoで内在性VEGFを隔離して、in vivoで内在性VEGF受容体とのVEGF結合または相互作用を防止する。
タンパク質注射を上回る遺伝子療法の利点の1つは、遺伝子療法が、治療剤(例えば、抗VEGF剤)の延長したまたは継続した放出をもたらし、反復した注射を要求しないことである。治療剤のこのような延長したまたは持続した放出は、in vivoで発現されて治療効果をもたらす、導入遺伝子をコードする核酸配列の送達に起因する。
一部の実施形態では、rAAVは、眼における標的細胞または組織(例えば、網膜細胞)へのその感染力を増加させるカプシドバリアントタンパク質を含むことができ、標的細胞または組織への治療用導入遺伝子をコードする核酸配列のより効率的な送達を可能にし、該標的細胞または組織において、治療用導入遺伝子は、ある期間、例えば、少なくとも1、1.5、2、3、4、5、10年間またはそれよりも長い期間にわたって発現され得る。本明細書に開示されている遺伝子療法は、目的の特異的組織または細胞型、例えば、光受容体細胞を標的とすることができ、これは、オフターゲット効果の最小化に役立つ、またはin vivoで治療用導入遺伝子のより標的化された送達をもたらすことができる。
遺伝子療法によるin vivoにおける抗VEGF剤の延長したまたは持続した送達により、単一用量または一度限りの用量で、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む薬学的組成物を投与することができるであろう。一部の実施形態では、被験体に投与される遺伝子療法の用量の総数は、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間または少なくとも10年間に1回以下である。一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む遺伝子療法の投与は、患者の生涯でただ一度限りまたは1回である。一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む遺伝子療法の一度限りの投与は、1年間を超えるまたは2、3、4、5、6、7、8、9、10年間を超えるまたはそれよりも長い期間持続する、患者における治療効果を生じることができる。一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む遺伝子療法は、少なくとも2年間もしくはそれよりも長い、少なくとも3年間もしくはそれよりも長い、少なくとも4年間もしくはそれよりも長い、少なくとも5年間もしくはそれよりも長い、少なくとも6年間もしくはそれよりも長い、少なくとも7年間もしくはそれよりも長い、少なくとも8年間もしくはそれよりも長い、少なくとも9年間もしくはそれよりも長いまたは少なくとも10年間もしくはそれよりも長い期間で1回以下患者に投与される。一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む遺伝子療法は、少なくとも1種の現在の標準治療または少なくとも1種の現存する治療法、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブに対して応答性である患者に投与される。一部の実施形態では、遺伝子療法は、遺伝子療法を受ける前にラニビズマブまたはベバシズマブによる前処置を受けた患者に投与される。
一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む遺伝子療法の一度限りの投与は、1年間を超えて、1.5年間を超えてまたは2、3、4、5、6、7、8、9、10年間を超えて、患者が、ラニビズマブ、ベバシズマブ、または眼における新血管形成のための他のいずれかのタンパク質に基づく治療薬もしくは標準治療処置を受ける必要をなくす。一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む遺伝子療法の注射を受ける患者は、患者の余生において、ラニビズマブ、ベバシズマブ、または眼における新血管形成のための他のいずれかのタンパク質に基づく治療薬もしくは標準治療処置のいかなる追加的な注射も必要としない。他の実施形態では、抗VEGF遺伝子療法の一度限りの注射を受ける患者は、遺伝子療法を受けてから少なくとも1.5、2、5、10年間またはそれよりも長い期間が経過した後に、必要に応じてラニビズマブ、ベバシズマブおよび/または他のいずれかの承認された治療薬による治療法を開始することができる。
本開示の用語法は、単に特定の事例の記載を目的としており、本開示の組成物、方法および組成物の限定を意図するものではない。
本明細書に記載されている本開示の組成物および方法は、他に断りがなければ、当業者の技能範囲内で分子生物学(組換え技法を含む)、細胞生物学、生化学、免疫化学および眼科技法の従来技法および記載を用いることができる。斯かる従来技法は、被験体における網膜または視覚の観察および解析、組換えウイルスのクローニングおよび繁殖、薬学的組成物の製剤化、ならびに生化学的精製および免疫化学のための方法を含む。適した技法の具体的例証は、本明細書における実施例の参照により得ることができる。しかし、当然ながら等価な従来手順を使用することもできる。斯かる従来技法および記載は、Greenら編、Genome Analysis: A Laboratory Manual Series(I〜IV巻)(1999年);Weinerら編、Genetic Variation: A Laboratory Manual(2007年);Dieffenbach, Dveksler編、PCR Primer: A Laboratory Manual(2003年);BowtellおよびSambrook、DNA Microarrays: A Molecular Cloning Manual(2003年);Mount、Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis(2004年);SambrookおよびRussell、Condensed Protocols from Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2006年);ならびにSambrookおよびRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2002年)(全てCold Spring Harbor Laboratory Pressより);Stryer, L.、Biochemistry(第4版)W.H. Freeman, N.Y.(1995年);Gait「Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach」IRL Press, London(1984年);NelsonおよびCox、Lehninger, Principles of Biochemistry、第3版、W.H. Freeman Pub., New York(2000年);ならびにBergら、Biochemistry、第5版、W.H. Freeman Pub., New York(2002年)等の標準研究室マニュアルに見出すことができ、これらの全ては、あらゆる目的のためにこれらの全体を参照により本明細書に組み込む。
一部の実施形態では、(a)(i)バリアントAAV2カプシドタンパク質が、位置587および588の間にLGETTRP挿入を含み、バリアントカプシドタンパク質が、対応する非バリアントAAV2カプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比べて網膜細胞への感染力の増加を付与する、バリアントAAV2カプシドタンパク質;ならびに(ii)抗VEGF剤をコードする異種核酸配列を含む、遺伝子療法に適応された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV2)ビリオン;ならびに(b)薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的製剤が、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、コードされる遺伝子産物は、ラニビズマブ、ベバシズマブまたは他のいずれか公知の抗VEGF剤に対して少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同性を有するポリペプチドである。
抗VEGF遺伝子産物(例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ)が処置に対し必要が示されるまたは処置に承認される眼状態または疾患を処置する方法であって、網膜下または硝子体内注射によって被験体の眼に、遺伝子療法に適応された薬学的組成物を投与するステップ、すなわち、本明細書に記載されている通りに、in vivoで抗VEGF遺伝子産物をコードする核酸配列を送達するステップを含む方法も、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、遺伝子療法は、硝子体内注射によって投与される。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、ラニビズマブ、ベバシズマブ、sVEGFR−1またはこれらのいずれかのバリアントもしくは機能的断片である。
公知の抗VEGFタンパク質または融合タンパク質(例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ)に対して少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同性を有する融合タンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子療法またはベクターを含む薬学的組成物であって、凍結乾燥され得るまたは凍結乾燥形態で供給され得る薬学的組成物も、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、凍結乾燥形態の薬学的組成物が、投与前に薬学的組成物を再構成するための溶液または緩衝液と共に、キットに提供される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている薬学的組成物は、溶液、均質な溶液、懸濁物または冷蔵された懸濁物として供給される。
(a)対応する非バリアントまたは無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比べて網膜細胞への感染力の増加を付与するバリアントAAVカプシドタンパク質;(b)抗VEGF活性を有するポリペプチドまたは治療用導入遺伝子をコードする異種核酸配列を含む、脈絡膜新血管形成を低下させるための遺伝子療法に適応された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンも、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、遺伝子療法に使用されるrAAVは、rAAV2である。
眼状態または疾患を処置する方法であって、ヒト被験体の眼に、本明細書に記載されている抗VEGF剤または抗VEGF活性を有するタンパク質を発現するための核酸配列の遺伝子療法およびin vivo送達に適応されたrAAVビリオンを投与するステップを含み、ヒト被験体が、新血管形成に関連する眼状態と以前に診断された、方法も、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、遺伝子療法は、承認された抗VEGF治療法、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブのうち少なくとも1種に対して応答性である患者に投与される。一部の実施形態では、遺伝子療法は、承認された治療法、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブのうち少なくとも1種で前処置された患者に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている遺伝子療法は、承認された治療法、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ注射のうち少なくとも1種で前処置され、改善を示すことができなかった患者に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている遺伝子療法を受ける患者は、眼への複数の反復した注射を要求する治療法による患者の処置に不利となる1種または複数のリスク因子、例えば、炎症、感染、眼内圧上昇および/または他の有害作用の増加したリスクを有する。
一部の実施形態では、(a)(i)AAV2におけるカプシドタンパク質VP1のアミノ酸570〜611に対応する位置にLGETTRP、NETITRP、KAGQANN、KDPKTTN、KDTDTTR、RAGGSVG、AVDTTKFおよびSTGKVPNから選択されたアミノ酸挿入を含むバリアントAAVカプシドタンパク質であって、対応する非バリアントAAV2カプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比べて網膜細胞への感染力の増加を付与するバリアントAAVカプシドタンパク質;ならびに(ii)抗VEGF剤をコードする異種核酸配列を含む、遺伝子療法に適応された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン;ならびに(b)薬学的に許容される賦形剤を含む方法および薬学的製剤が、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、コードされる遺伝子産物は、融合タンパク質、抗体または抗体断片である。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、本明細書に開示されている薬学的組成物における凝集を防止する界面活性物質を含む。
他に定められていなければ、本明細書で使用されているあらゆる技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意義を有する。
本明細書で使用されている用語法は、単に特定の事例の記載を目的としており、限定を意図するものではない。本明細書において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそれ以外を明らかに示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、用語「含むこと(including)」、「含む(includes)」、「有していること(having)」、「有する(has)」、「備える(with)」またはこれらの異形が、詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される程度まで、斯かる用語は、用語「含むこと(comprising)」と同様の様式で包括的であることが意図される。用語「含むこと(comprising)」は、本明細書において、「含むこと(including)」または「含有すること(containing)」と同義であり、包括的またはオープンエンドである。
本明細書における「または」のいずれかの参照は、特に明記しない限り「および/または」を包含することが意図される。本明細書において、用語「約」がつく数は、この数プラス・マイナス10%の数を指す。用語「約」がつく範囲は、その最小値のマイナス10%およびその最大値のプラス10%の範囲を指す。
用語「被験体」、「患者」または「個体」は、非ヒト霊長類、例えば、アフリカミドリザルおよびアカゲザルならびにヒトを含む霊長類を指す。好まれる実施形態では、被験体は、ヒトまたはヒト患者である。
用語「処置する」、「処置すること」、「処置」、「好転させる(ameliorate)」または「好転させること」および他の文法的等価物は、本明細書において、疾患もしくは状態症状を軽減すること、緩解することもしくは好転させること、追加的な症状を予防すること、症状の根底にある代謝的原因を好転させるもしくは予防すること、疾患もしくは状態を阻害すること、例えば、疾患もしくは状態の発症を止めること、疾患もしくは状態を緩和すること、疾患もしくは状態の退縮を引き起こすこと、疾患もしくは状態に起因する状態を緩和すること、または疾患もしくは状態の症状を停止することを含み、予防法を含むことが意図される。この用語は、治療利益および/または予防利益を達成することをさらに含む。治療利益とは、処置されている根底にある疾患の根絶または好転を意味する。また、治療利益は、一部の実施形態では、患者が依然として根底にある疾患を患っているにもかかわらず、患者に改善が観察されるように、根底にある疾患に関連する生理的症状のうち1種または複数の根絶または好転により達成される。予防利益のため、疾患の診断が為されていなかったとしても、薬学的組成物が、特定の疾患の発症リスクがある患者または疾患の生理的症状のうち1種もしくは複数を報告する患者に投与される。
用語「投与する」、「投与すること」、「投与」その他は、本明細書において、生物学的作用の所望の部位への治療薬または薬学的組成物の送達を可能にするために使用される方法を指すことができる。このような方法は、眼への硝子体内または網膜下注射を含む。
用語「有効量」、「治療有効量」または「薬学的に有効な量」は、本明細書において、処置されている疾患または状態の症状のうち1種または複数をある程度まで緩和するであろう、投与されている少なくとも1種の薬学的組成物または化合物の十分な量を指すことができる。
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において、本明細書に開示されている化合物の生物学的活性または特性を抑止しない、比較的無毒性の担体または希釈剤等の材料を指すことができる(すなわち、材料が個体に投与されたときに、望ましくない生物学的効果も引き起こさず、これが含有されている組成物の構成成分のいずれとも有害な様式で相互作用しない)。
用語「薬学的組成物」または単純に「組成物」は、本明細書において、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、賦形剤その他等が挙げられるがこれらに限定されない、少なくとも1種の薬学的に許容される化学的構成成分と任意選択で混合された、生物学的に活性な化合物を指すことができる。
「AAVベクター」または「rAAVベクター」は、本明細書において、典型的には、細胞の遺伝的形質転換の目的の配列である、AAV起源のものではないポリヌクレオチド配列(すなわち、治療用導入遺伝子、例えば、ラニビズマブをコードする核酸配列等、AAVにとって異種のポリヌクレオチド)を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたは組換えAAV(rAAV)ベクターを指す。一般に、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1個、一般に、2個のAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する。rAAVベクターという用語は、rAAVベクター粒子およびrAAVベクタープラスミドの両方を包含する。rAAVベクターは、一本鎖(ssAAV)または自己相補的(scAAV)のいずれかであり得る。
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」または「rAAVベクター粒子」は、少なくとも1種のAAVカプシドタンパク質(典型的には、野生型AAVのカプシドタンパク質の全てによる)およびポリヌクレオチドrAAVベクターで構成されたウイルス粒子を指す。粒子は、異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子等の野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、典型的に、「rAAVベクター粒子」または単純に「rAAVベクター」と称される。よって、rAAV粒子の産生は、rAAVベクターの産生を必然的に含むが、これは、斯かるベクターが、rAAV粒子内に含有されるからである。
用語「パッケージング」は、本明細書において、rAAV粒子のアセンブリおよびカプシド形成をもたらし得る一連の細胞内事象を指すことができる。
AAV「rep」および「cap」遺伝子は、アデノ随伴ウイルスの複製およびカプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV repおよびcapは、本明細書において、AAV「パッケージング遺伝子」と称される。
用語「ポリペプチド」は、天然に存在するタンパク質および天然に存在しないタンパク質(例えば、融合タンパク質)の両方、これらのペプチド、断片、変異体、誘導体およびアナログを包含することができる。ポリペプチドは、単量体、二量体、三量体またはポリマーであり得る。さらに、ポリペプチドは、それぞれ1種または複数の別個の活性を有する、多数の異なるドメインを含むことができる。疑わしさをなくすため、「ポリペプチド」は、2アミノ酸を超えるいずれかの長さであり得る。
本明細書において、「ポリペプチドバリアント」または単純に「バリアント」は、その配列がアミノ酸修飾を含有するポリペプチドを指す。一部の実例では、修飾は、ネイティブまたは野生型タンパク質等、参照タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と比較した、1個または複数のアミノ酸の挿入、重複、欠失、再配列または置換であり得る。バリアントは、参照タンパク質の配列における、ある位置における単一のアミノ酸が別のアミノ酸に変化された、1個または複数のアミノ酸点置換、1個または複数のアミノ酸がそれぞれ挿入または欠失された、1個または複数の挿入および/または欠失、および/またはアミノまたはカルボキシ末端のいずれか一方または両方におけるアミノ酸配列のトランケーションを有することができる。バリアントは、参照タンパク質または無修飾タンパク質と比較して、同じまたは異なる生物学的活性を有することができる。
一部の実施形態では、バリアントは、例えば、その対応物参照タンパク質に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の全体的配列相同性を有することができ、参照タンパク質は、天然に存在するもしくは天然に存在しない、または天然に存在するタンパク質の誘導体もしくはバリアントであり得る。一部の実施形態では、バリアントは、野生型タンパク質に対して少なくとも約90%の全体的配列相同性を有することができる。一部の実施形態では、バリアントは、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または少なくとも約99.9%の全体的配列同一性を示す。
本明細書において、「組換え」は、(1)その天然に存在する環境から除去された、(2)天然では当該遺伝子が見出されるポリヌクレオチドの全体もしくは部分と会合していない、(3)天然ではそれが連結されていないポリヌクレオチドに操作可能に連結されている、または(4)天然では発生しない、生体分子、例えば、遺伝子またはタンパク質を指すことができる。用語「組換え」は、クローニングされたDNA単離物、化学合成されたポリヌクレオチドアナログ、または異種系によって生物学的に合成されたポリヌクレオチドアナログ、ならびに斯かる核酸によってコードされるタンパク質および/またはmRNAを参照して使用することができる。よって、例えば、微生物によって合成されるタンパク質は、例えば、細胞に存在する組換え遺伝子から合成されたmRNAから合成される場合、組換えである。
「操作可能に連結された」または「作動可能に連結された」または「カップリングされた」は、遺伝的エレメントの近位を指すことができ、これらのエレメントは、予想される様式での操作を可能にする関係性にある。例えば、プロモーターが、コード配列の転写開始に役立つ場合、プロモーターは、コード領域に操作可能に連結され得る。この機能的関係性が維持される限りにおいて、プロモーターおよびコード領域の間に介在残基が存在していてもよい。
用語「発現ベクター」または「発現構築物」または「カセット」または「プラスミド」または単純に「ベクター」は、配列をコードする核酸の一部または全体が転写され得、遺伝子療法に適応される、遺伝子産物をコードする核酸またはポリヌクレオチドを含有するAAVまたはrAAVベクターを含む、いずれかの種類の遺伝的構築物を含むことができる。転写物は、タンパク質へと翻訳され得る。一部の事例では、転写物は、部分的に翻訳され得るまたは翻訳されない。ある特定の態様では、発現は、遺伝子の転写と、mRNAから遺伝子産物への翻訳の両方を含む。他の態様では、発現は、目的の遺伝子をコードする核酸の転写のみを含む。発現ベクターは、標的細胞におけるタンパク質の発現を容易にするために、コード領域に操作可能に連結された制御エレメントを含むこともできる。制御エレメント、および発現のために制御エレメントが作動可能に連結される遺伝子(単数または複数)の組み合わせは、時に「発現カセット」と称されることがあり、発現カセットの多数が、本技術分野で公知であり利用できる、または本技術分野で利用できる構成成分から直ちに構築することができる。
用語「異種」は、それが比較されている実体の残りとは遺伝子型として別個の実体を指すことができる。例えば、異なる種に由来するプラスミドまたはベクターに遺伝子操作技法によって導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドであり得る。そのネイティブコード配列から除去され、それと連結した状態で天然に見出されないコード配列に操作可能に連結されたプロモーターは、異種プロモーターであり得る。
本明細書において、「7m8」は、7−merアミノ酸配列LGETTRPを指す。
「7m8バリアント」は、カプシドタンパク質の溶媒曝露GHループにアミノ酸配列LGETTRPが挿入された、いずれかの血清型のものであり得るrAAVを指す。
7m8がrAAV2に挿入される場合(AAV2.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV2カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV2カプシドタンパク質の位置587および588の間に挿入される。7m8がrAAV1に挿入される場合(AAV1.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV1カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV1カプシドタンパク質のアミノ酸590および591の間に挿入される。7m8がrAAV5に挿入される場合(AAV5.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV5カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV5カプシドタンパク質のアミノ酸575および576の間に挿入される。7m8がrAAV6に挿入される場合(AAV6.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV6カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV6カプシドタンパク質のアミノ酸590および591の間に挿入される。7m8がrAAV7に挿入される場合(AAV7.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV7カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV7カプシドタンパク質のアミノ酸589および590の間に挿入される。7m8がrAAV8に挿入される場合(AAV8.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV8カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸590および591の間に挿入される。7m8がrAAV9に挿入される場合(AAV9.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV9カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV9カプシドタンパク質のアミノ酸588および589の間に挿入される。7m8がrAAV10に挿入される場合(AAV10.7m8とも称される)、7−merアミノ酸配列LGETTRPは、AAV10カプシドタンパク質のGHループ、例えば、AAV10カプシドタンパク質のアミノ酸589および590の間に挿入される。
一部の実施形態では、(a)カプシドタンパク質の溶媒曝露領域にアミノ酸修飾を含み、対応する非バリアントAAVカプシドタンパク質と比べて網膜細胞への増加した感染力を示すバリアントAAVカプシドタンパク質;および(b)遺伝子産物または治療用導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、新血管形成を低下させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンが、本明細書に開示されており、霊長類またはヒト被験体の眼における硝子体内または網膜下注射による有効量のrAAVの投与は、眼における新血管形成の低下をもたらす。
(a)バリアントAAVカプシドタンパク質が、AAVカプシドタンパク質の溶媒曝露領域にアミノ酸修飾を含み、バリアントカプシドタンパク質が、眼における内境界膜(ILM)を横切る増加した能力を付与する、バリアントAAVカプシドタンパク質;および(b)遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む、新血管形成を低下させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンも、本明細書に開示されており、霊長類またはヒト被験体の眼における硝子体内または網膜下注射による有効量のrAAVの投与は、眼における新血管形成の低下をもたらす。
(a)バリアントAAVカプシドタンパク質が、AAV2における587に対応するアミノ酸位置の後にLGETTRPのペプチド挿入を含み、バリアントカプシドタンパク質が、霊長類における眼の内境界膜(ILM)を越えて遺伝子産物を送達する増加した能力を付与する、バリアントAAVカプシドタンパク質;および(b)遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンも、本明細書に開示されている。
(a)(i)カプシドタンパク質の溶媒曝露領域にアミノ酸修飾を含み、対応する非バリアントAAVカプシドタンパク質と比べて網膜細胞への増加した感染力を示すバリアントAAVカプシドタンパク質;および(ii)形質導入されると霊長類またはヒト被験体の眼における新血管形成を低下させる遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン;ならびに(b)薬学的に許容される賦形剤を含む、眼性状態または疾患を処置するための単位用量形態における遺伝子療法組成物も、本明細書に開示されており、rAAVビリオンは、単位用量として霊長類の眼における硝子体内または網膜下注射によって投与されると、新血管形成を少なくとも部分的に低下させるのに十分な量にある。
本明細書に記載されている単位用量のrAAV遺伝子療法を被験体、例えば、ヒト被験体に投与するステップを含む、眼性状態または疾患を処置する方法も、本明細書に開示されている。
用語「抗VEGF剤」は、内在性VEGFおよび/または内在性VEGF受容体(VEGFR)の活性もしくは機能、またはin vivoでのVEGF−VEGFR相互作用もしくは経路を低下、妨害、破壊、遮断および/または阻害することができる、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、多量体タンパク質、遺伝子産物、抗体、ヒトモノクローナル抗体、抗体断片、アプタマー、小分子、キナーゼ阻害剤、受容体もしくは受容体断片または核酸分子を含むいずれかの治療剤を含む。抗VEGF剤は、in vivoで細胞、組織または被験体に送達されると、新たな血管成長もしくは形成および/または浮腫または腫脹を低下させることができる、公知の治療剤のうちいずれか1種、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブであり得る。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、天然に存在する、天然に存在しないまたは合成であり得る。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、天然に存在する分子に由来し得、これはその後に、抗VEGF活性を付与するように修飾または変異されている。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、融合またはキメラタンパク質である。斯かるタンパク質において、機能的ドメインまたはポリペプチドは、部分またはポリペプチドに人工的に融合されて、in vivoでVEGFを隔離するまたはVEGFRデコイとして機能することができる融合またはキメラタンパク質が生じる。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、そのリガンドとの相互作用から内在性VEGFRを遮断する融合またはキメラタンパク質である。
本明細書において、「VEGF」は、他のことが要求されない限り、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−F、またはこれらのいずれかの組み合わせまたはいずれかの機能的断片もしくはバリアントが挙げられるがこれらに限定されない、VEGFのいずれかのアイソフォームを指すことができる。他のことが要求されない限り、「VEGF」は、メンバー:VEGF−A、胎盤増殖因子(PGF)、VEGF−B、VEGF−CおよびVEGF−D、またはこれらのいずれかの組み合わせ、機能的断片もしくはバリアントを含む、VEGFファミリーのいずれかのメンバーを指すことができる。
本明細書において、「VEGF受容体」または「VEGFR」または「VEGF−R」は、VEGFR−1(またはFlt−1)、VEGFR−2(またはFlk−1/KDR)およびVEGFR−3(またはFlt−4)が挙げられるがこれらに限定されない、VEGFの受容体のうちいずれか1種を指すように使用することができる。VEGFRは、膜結合型もしくは可溶型の受容体または受容体の機能的断片もしくはトランケーションであり得る。
抗VEGF剤の例として、ラニビズマブ、ベバシズマブまたはこれらのいずれかの組み合わせ、バリアントもしくは機能的断片が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書で使用されているセクション見出しは、単に秩序立てることを目的としており、記載されている主題の限定として解釈するべきではない。
ベクター
アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスおよびレンチウイルスを含む、様々なウイルスベクターを遺伝子療法において使用することができる。
一部の実施形態では、本開示の薬学的組成物および方法は、それを必要とするヒト被験体または患者(例えば、AMD、RVO、DMEと診断された患者)における網膜細胞への、抗VEGF剤、その機能的断片またはバリアントをコードする核酸配列(例えば、cDNA配列)の送達をもたらす。rAAVまたはウイルスベクター等の送達系を使用した患者への治療用導入遺伝子の核酸の送達は、遺伝子療法とも称される。
一部の実施形態では、抗VEGF剤核酸配列の送達は、いずれか適した「ベクター」(「遺伝子送達」または「遺伝子移入ビヒクル」とも称される)を使用して行うことができる。ベクター(例えば、rAAV)、送達ビヒクル、遺伝子送達ビヒクルまたは遺伝子移入ビヒクルは、標的細胞、例えば、光受容体、網膜神経節細胞、ミュラー細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞または網膜色素上皮細胞を含む網膜細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む、いずれか適した高分子または分子の複合体を包含することができる。一部の事例では、標的細胞は、核酸分子または遺伝子が送達されるいずれかの細胞であり得る。送達されるポリヌクレオチドは、ラニビズマブをコードする配列等、治療用導入遺伝子のコード配列を含むことができる。
本開示の組成物および方法は、非ヒト霊長類またはヒト被験体の眼または網膜細胞への抗VEGF(例えば、ラニビズマブ)核酸配列の送達のためのいずれか適した方法を提供する。一部の事例では、核酸分子、ポリヌクレオチドまたは遺伝子療法の送達は、非ヒト霊長類またはヒト被験体の眼への硝子体内注射のために製剤化または適応される。
一部の実施形態では、適したベクターとして、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)およびレトロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス等のウイルスベクター、リポソーム、脂質含有複合体、ナノ粒子、および網膜細胞にポリヌクレオチドを送達することができる他の高分子複合体が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結した強力な真核生物プロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたは構成的プロモーターを含む。
一部の実施形態では、ベクターは、1種または複数の核酸分子を組み込んだ組換えウイルスベクターを含む。本明細書に記載されている通り、核酸は、ポリヌクレオチドを指す。核酸およびポリヌクレオチドは、互換的に使用することができる。一部の実施形態では、核酸は、DNAまたはRNAを含む。一部の事例では、核酸は、抗VEGF剤または治療用導入遺伝子の発現のためのDNA(例えば、cDNA)またはRNAを含む。一部の実施形態では、RNAは、目的の遺伝子(例えば、ラニビズマブ)、イントロン、非翻訳領域(UTR)、終結配列その他の転写物を含むことができる。他の実施形態では、DNAとして、プロモーター配列、目的の遺伝子(例えば、ラニビズマブ)、UTR、終結配列その他等の配列を挙げることができるがこれらに限定されない。一部の事例では、DNAおよびRNAの組み合わせを使用することができる。
一部の実施形態では、本開示は、被験体におけるラニビズマブ、ベバシズマブ、sFLT−1またはこれらのいずれかの機能的断片もしくはバリアントの送達および発現のためのベクターとしての、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)等の組換えウイルスを提供する。
一部の実施形態では、いずれか適したウイルスベクターは、本開示の組成物および方法による使用のために操作または最適化することができる。例えば、ヒトまたは霊長類被験体において複製欠損となるように、アデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する組換えウイルスベクターを変更することができる。一部の実施形態では、ハイブリッドウイルスベクター系は、当業者に公知の方法を使用して得て、網膜細胞への抗VEGF剤をコードする核酸の送達に使用することができる。一部の実施形態では、ウイルス送達系または遺伝子療法は、標的細胞ゲノム(例えば、網膜細胞のゲノム)に抗VEGF遺伝子を含む核酸配列を組み込み、時間をわたり遺伝子の安定した遺伝子発現をもたらすことができる。一部の実施形態では、抗VEGF遺伝子は、標的細胞ゲノムに組み込まれず、標的細胞に導入されたプラスミドまたはベクターから発現される。
一部の実施形態では、網膜細胞への抗VEGFの核酸配列の送達に適したウイルスベクターは、小型の無エンベロープ一本鎖DNAウイルスであるAAVまたはrAAVである。rAAVは、非病原性ヒトパルボウイルスであり、複製のためにアデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスおよびCMVを含むヘルパーウイルスに依存性となるように作製することができる。野生型(wt)AAVへの曝露は、いかなるヒト病理も伴わないまたはこれを引き起こすことが公知ではなく、一般的な集団においてありふれており、これにより、AAVまたはrAAVは遺伝子療法に適した送達系となる。治療用導入遺伝子、例えば、ラニビズマブの送達のための遺伝子療法に使用されるAAVおよびrAAVは、いずれかの血清型のものであり得る。一部の実施形態では、本開示の薬学的組成物および方法は、AAV1、AAV2、AAV2.5、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、rh10、AAV−DJおよびこれらのいずれかのハイブリッドまたはキメラAAVを含む、いずれか適したAAV血清型の使用を提供する。一部の実施形態では、使用される血清型は、ウイルスの親和性または目的の標的細胞への感染力に基づく。一部の実施形態では、AAV2またはrAAV2が、硝子体内または網膜下注射による被験体の眼または網膜細胞へのラニビズマブをコードする核酸配列の送達に使用される。一部の実施形態では、rAAV2.7m8が、被験体の網膜細胞へのラニビズマブの核酸配列の送達に使用される。
一部の実施形態では、標的細胞、例えば、網膜細胞への増加した感染力を有するバリアントカプシドタンパク質を含むAAVまたはrAAVウイルス、粒子またはビリオンを使用して、網膜細胞の形質導入を増加させる、または被験体における網膜細胞への遺伝子送達の標的化を増加させる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、AAVカプシドタンパク質のカプシドタンパク質GHループ/ループIVにアミノ酸修飾を含む。一部の事例では、修飾の部位は、AAVカプシドタンパク質のGHループ/ループIVの溶媒到達可能部分である。7m8バリアントを含む、いくつかのAAVカプシドバリアントが公知である。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親AAVカプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質のGHループに5アミノ酸〜11アミノ酸、例えば、7アミノ酸配列の挿入を含むバリアントAAVカプシドタンパク質を含み、バリアントカプシドタンパク質は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞への感染力と比較して、網膜細胞への増加した感染力を付与する。一部の実施形態では、次のアミノ酸配列のうちいずれか1種の挿入は、カプシドタンパク質のGHループに挿入することができる:LGETTRP(7m8)、NETITRP、KAGQANN、KDPKTTN、KDTDTTR、RAGGSVG、AVDTTKFおよびSTGKVPN。一部の実施形態では、ラニビズマブを含むrAAV.7m8が遺伝子療法に使用される。
一部の実施形態では、次のアミノ酸配列:NETITRP、KAGQANN、KDPKTTN、KDTDTTR、RAGGSVG、AVDTTKFおよびSTGKVPNのうちいずれか1種を、次の位置に挿入して、遺伝子療法における使用のためのrAAVバリアントを生成することができる:AAV2カプシドタンパク質の位置587および588の間;AAV1カプシドタンパク質のアミノ酸590および591の間;AAV5カプシドタンパク質のアミノ酸575および576の間;AAV6カプシドタンパク質のアミノ酸590および591の間;AAV7カプシドタンパク質のアミノ酸589および590の間;AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸590および591の間;AAV9カプシドタンパク質のアミノ酸588および589の間;またはAAV10カプシドタンパク質のアミノ酸589および590の間。
一部の実施形態では、ラニビズマブ等の遺伝子産物をコードする核酸は、遺伝子の転写を開始するプロモーターによる転写制御下に置くことができる。一部の実施形態では、プロモーターは、「強力な」または構成的に活性なプロモーター、例えば、CMVプロモーターである。一部の実施形態では、コネキシン36プロモーターを使用して、治療用導入遺伝子、例えば、ラニビズマブの発現を駆動する。一部の実施形態では、組織特異的プロモーターを使用して、網膜細胞等の特異的組織または細胞における転写をもたらして、非標的化細胞に対する潜在的な毒性または望ましくない効果を低下させることができる。一部の実施形態では、rAAVウイルスの生成に使用される組換えウイルスおよび/またはプラスミドは、ポリA(ポリアデニル化)配列、非翻訳領域(UTR)、3’UTRまたは終結配列等、他の転写または調節エレメントを含むことができる。一部の実施形態では、2種またはそれよりも多いタンパク質の同時発現を可能にするまたは多重遺伝子もしくはポリシストロニックmRNAをもたらす配列内リボソーム進入部位(IRES)または同様のエレメントを使用して、ベクターまたはプラスミドから2種以上の遺伝子を発現させることができる。
一部の実施形態では、rAAVウイルスの生成に使用されるrAAVおよび/またはプラスミドは、次の核酸エレメントを含む:第1のITR配列;プロモーター配列;イントロン配列;第1のUTR配列;抗VEGF導入遺伝子をコードする配列;第2のUTR配列;ポリA配列;および第2のITR配列。一部の実施形態では、これらの核酸エレメントのそれぞれの間にリンカー配列が使用される。一部の実施形態では、抗VEGF導入遺伝子をコードする配列は、抗VEGF導入遺伝子融合タンパク質またはその機能的断片をコードする配列を含む。
一部の実施形態では、本開示のウイルスベクターは、ベクターゲノムとして測定される。一部の事例では、本開示の組換えウイルスの単位用量は、1×1010〜2×1010の間、2×1010〜3×1010の間、3×1010〜4×1010の間、4×1010〜5×1010の間、5×1010〜6×1010の間、6×1010〜7×1010の間、7×1010〜8×1010の間、8×1010〜9×1010の間、9×1010〜10×1010の間、1×1011〜2×1011の間、2×1011〜3×1011の間、3×1011〜4×1011の間、4×1011〜5×1011の間、5×1011〜6×1011の間、6×1011〜7×1011の間、7×1011〜8×1011の間、8×1011〜9×1011の間、9×1011〜10×1011の間、1×1012〜2×1012の間、2×1012〜3×1012の間、3×1012〜4×1012の間、4×1012〜5×1012の間、5×1012〜6×1012の間、6×1012〜7×1012の間、7×1012〜8×1012の間、8×1012〜9×1012の間、9×1012〜10×1012の間、1×1013〜2×1013の間、2×1013〜3×1013の間、3×1013〜4×1013の間、4×1013〜5×1013の間、5×1013〜6×1013の間、6×1013〜7×1013の間、7×1013〜8×1013の間、8×1013〜9×1013の間または9×1013〜10×1013の間のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、本開示のrAAVは、約2.1×1012のベクターゲノムである。一部の実施形態では、本開示のrAAVは、1010〜1013の間、1010〜1011の間、1011〜1012の間、1012〜1013の間、1013〜1014の間、2×1011〜4×1011の間、3×1011〜5×1011の間、4×1011〜6×1011の間、5×1011〜7×1011の間、6×1011〜8×1011の間、7×1011〜9×1011の間、8×1011〜10×1011の間、1×1012〜3×1012の間、2×1012〜4×1012の間、3×1012〜5×1012の間、4×1012〜6×1012の間、5×1012〜7×1012の間、6×1012〜8×1012の間、7×1012〜9×1012の間、8×1012〜10×1012の間、1×1013〜5×1013の間、5×1013〜10×1013の間、1012〜5×1012の間または5×1012〜1×1013の間のベクターゲノムである。
一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、約1E10、約1.5E10、約2E10、約2.5E10、約3E10、約3.5E10、約4E10、約4.5E10、約5E10、約5.5E10、約6E10、約6.5E10、約7E10、約7.5E10、約8E10、約8.5E10、約9E10、約9.5E10、約10E10、約1E11、約1.5E11、約2E11、約2.5E11、約3E11、約3.5E11、約4E11、約4.5E11、約5E11、約5.5E11、約6E11、約6.5E11、約7E11、約7.5E11、約8E11、約8.5E11、約9E11、約9.5E11、約10E11、約1E12、約1.3E12、約1.5E12、約2E12、約2.1E12、約2.3E12、約2.5E12、約2.7E12、約2.9E12、約3E12、約3.1E12、約3.3E12、約3.5E12、約3.7E12、約3.9E12、約4E12、約4.1E12、約4.3E12、約4.5E12、約4.7E12、約4.9E12、約5E12、約5.1E12、約5.3E12、約5.5E12、約5.7E12、約5.9E12、約6E12、約6.1E12、約6.3E12、約6.5E12、約6.7E12、約6.9E12、約7E12、約7.1E12、約7.3E12、約7.5E12、約7.7E12、約7.9E12、約8E12、約8.1E12、約8.3E12、約8.5E12、約8.7E12、約8.9E12、約9E12、約9.1E12、約9.3E12、約9.5E12、約9.7E12、約9.9E12、約10E12、約10.1E12、約10.3E12、約10.5E12、約10.7E12、約10.9E12、約11E12、約11.5E12、約12E12、約12.5E12、約13E12、約13.5E12、約14E12、約14.5E12、約15E12、約15.5E12、約16E12、約16.5E12、約17E12、約17.5E12、約18E12、約18.5E12、約19E12、約19.5E12、約20E12、約20.5E12、約30E12、約30.5E12、約40E12、約40.5E12、約50E12、約50.5E12、約60E12、約60.5E12、約70E12、約70.5E12、約80E12、約80.5E12、約90E12、約95E12または約100E12個であり、Eは、累乗法の底10の略称であり、xEyは、xに、底10のy乗(power/exponent)を掛けた数を指す。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている薬学的組成物は、少なくとも5E11、少なくとも5.5E11、少なくとも6E11、少なくとも6.5E11、少なくとも7E11、少なくとも7.5E11、少なくとも8E11、少なくとも8.5E11、少なくとも9E11、少なくとも9.5E11、少なくとも10E11、少なくとも1E12、少なくとも1.3E12、少なくとも1.5E12、少なくとも2E12、少なくとも2.1E12、少なくとも2.3E12、少なくとも2.5E12、少なくとも2.7E12、少なくとも2.9E12、少なくとも3E12、少なくとも3.1E12、少なくとも3.3E12、少なくとも3.5E12、少なくとも3.7E12、少なくとも3.9E12、少なくとも4E12、少なくとも4.1E12、少なくとも4.3E12、少なくとも4.5E12、少なくとも4.7E12、少なくとも4.9E12、少なくとも5E12、少なくとも5.1E12、少なくとも5.3E12、少なくとも5.5E12、少なくとも5.7E12、少なくとも5.9E12、少なくとも6E12、少なくとも6.1E12、少なくとも6.3E12、少なくとも6.5E12、少なくとも6.7E12、少なくとも6.9E12、少なくとも7E12、少なくとも7.1E12、少なくとも7.3E12、少なくとも7.5E12、少なくとも7.7E12、少なくとも7.9E12、少なくとも8E12、少なくとも8.1E12、少なくとも8.3E12、少なくとも8.5E12、少なくとも8.7E12、少なくとも8.9E12、少なくとも9E12、少なくとも9.1E12、少なくとも9.3E12、少なくとも9.5E12、少なくとも9.7E12、少なくとも9.9E12、少なくとも10E12、少なくとも10.1E12、少なくとも10.3E12、少なくとも10.5E12、少なくとも10.7E12、少なくとも10.9E12、少なくとも11E12、少なくとも11.5E12、少なくとも12E12、少なくとも12.5E12、少なくとも13E12、少なくとも13.5E12、少なくとも14E12、少なくとも14.5E12、少なくとも15E12、少なくとも15.5E12、少なくとも16E12、少なくとも16.5E12、少なくとも17E12、少なくとも17.5E12、少なくとも18E12、少なくとも18.5E12、少なくとも19E12、少なくとも19.5E12、少なくとも20E12、少なくとも20.5E12、少なくとも30E12、少なくとも30.5E12、少なくとも40E12、少なくとも40.5E12、少なくとも50E12、少なくとも50.5E12、少なくとも60E12、少なくとも60.5E12、少なくとも70E12、少なくとも70.5E12、少なくとも80E12、少なくとも80.5E12、少なくとも90E12、少なくとも95E12または少なくとも100E12のベクターゲノムの組換えウイルスを含み、Eは、累乗法の底10の略称であり、xEyは、xに、底10のy乗(power/exponent)を掛けた数を指す。
一部の実施形態では、本開示のウイルスベクターは、感染多重度(MOI)を使用して測定される。一部の事例では、MOIは、ベクターまたはウイルスゲノムの、核酸が送達され得る細胞に対する比または倍数を指す。一部の事例では、MOIは、1×106である。一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、少なくとも1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018MOIであり得る。一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、1×108〜1×1015MOIであり得る。一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、多くても1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018MOIであり得る。
一部の実施形態では、核酸は、ウイルスを使用せずに(すなわち、非ウイルスベクターを用いて)送達することができ、核酸の量として測定することができる。一般に、いずれか適した量の核酸を、本開示の薬学的組成物および方法により使用することができる。一部の事例では、核酸は、少なくとも1pg、10pg、100pg、1pg、10pg、100pg、200pg、300pg、400pg、500pg、600pg、700pg、800pg、900pg、1μg、10μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1ng、10ng、100ng、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、1mg、10mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、2g、3g、4gまたは5gである。一部の事例では、核酸は、多くても約1pg、10pg、100pg、1pg、10pg、100pg、200pg、300pg、400pg、500pg、600pg、700pg、800pg、900pg、1μg、10μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1ng、10ng、100ng、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、1mg、10mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、2g、3g、4gまたは5gであり得る。
一部の実施形態では、自己相補的ベクター(sc)を使用することができる。参照により本明細書に組み込むWu、Hum Gene Ther.2007年、18巻(2号):171〜82頁によって示される通り、自己相補的AAVベクターの使用は、ウイルス第2鎖DNA合成の必要を迂回することができ、導入遺伝子タンパク質のより優れた発現率をもたらすことができる。
一部の態様では、いくつかのAAVベクターを生成して、抗VEGF導入遺伝子による使用のための最適な血清型およびプロモーターの選択を可能にすることができる。
一部の事例では、ベクターは、網膜細胞もしくは光受容体、網膜神経節細胞、ミュラー細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞または網膜色素上皮細胞等、特異的細胞へのより高い感染力を示す、標的化ベクター、特に、標的化rAAV(例えば、AAV2.7m8)であり得る。本開示における使用のためのウイルスベクターは、被験体における低い毒性および/または低い免疫原性を示し、被験体、例えば、ヒト患者において治療有効量の抗VEGF導入遺伝子を発現するウイルスベクターを含むことができる。
7m8バリアントカプシドタンパク質を含むrAAV、またはrAAV2.7m8、ならびに非ヒト霊長類またはヒト被験体における抗VEGF導入遺伝子をコードする核酸配列を使用して、被験体の標的網膜細胞に抗VEGF剤をコードする核酸を送達するための薬学的組成物および方法が、本明細書に開示されている。一部の実例では、遺伝子療法による抗VEGF剤の送達を使用して、本明細書に開示されている眼性疾患または状態を少なくとも部分的に好転させるまたは予防することができる。
一部の実施形態では、rAAVバリアント(例えば、7m8バリアント)の網膜細胞感染力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%である。一部の実施形態では、網膜細胞への感染力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、5%〜100%の間、5%〜95%の間、5%〜90%の間、5%〜85%の間、5%〜80%の間、5%〜75%の間、5%〜70%の間、5%〜65%の間、5%〜60%の間、5%〜55%の間、5%〜50%の間、5%〜45%の間、5%〜40%の間、5%〜35%の間、5%〜30%の間、5%〜25%の間、5%〜20%の間、5%〜15%の間、5%〜10%の間の増加である。
一部の実施形態では、rAAVバリアントの網膜細胞感染力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも1倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍または少なくとも2倍である。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍または少なくとも10倍である。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍または少なくとも100倍である。
一部の実施形態では、網膜細胞感染力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、10倍〜100倍の間、10倍〜95倍の間、10倍〜90倍の間、10倍〜85倍の間、10倍〜80倍の間、10倍〜75倍の間、10倍〜70倍の間、10倍〜65倍の間、10倍〜60倍の間、10倍〜55倍の間、10倍〜50倍の間、10倍〜45倍の間、10倍〜40倍の間、10倍〜35倍の間、10倍〜30倍の間、10倍〜25倍の間、10倍〜20倍の間または10倍〜15倍の間である。
一部の実施形態では、網膜細胞感染力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、2倍〜20倍の間、2倍〜19倍の間、2倍〜18倍の間、2倍〜17倍の間、2倍〜16倍の間、2倍〜15倍の間、2倍〜14倍の間、2倍〜13倍の間、2倍〜12倍の間、2倍〜11倍の間、2倍〜10倍の間、2倍〜9倍の間、2倍〜8倍の間、2倍〜7倍の間、2倍〜6倍の間、2倍〜5倍の間、2倍〜4倍の間または2倍〜3倍の間である。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているカプシドタンパク質のアミノ酸修飾は、被験体の眼における内境界膜(ILM)を横切る対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンの能力と比較して、霊長類またはヒト被験体の眼におけるILMを横切る能力の増加を付与することができる。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%の増加である。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、親または無修飾AAVカプシドタンパク質と比較して、5%〜100%の間、5%〜95%の間、5%〜90%の間、5%〜85%の間、5%〜80%の間、5%〜75%の間、5%〜70%の間、5%〜65%の間、5%〜60%の間、5%〜55%の間、5%〜50%の間、5%〜45%の間、5%〜40%の間、5%〜35%の間、5%〜30%の間、5%〜25%の間、5%〜20%の間、5%〜15%の間または5%〜10%の間の増加である。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも1倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍または少なくとも2倍である。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍または少なくとも10倍である。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍または少なくとも100倍である。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、10倍〜100倍の間、10倍〜95倍の間、10倍〜90倍の間、10倍〜85倍の間、10倍〜80倍の間、10倍〜75倍の間、10倍〜70倍の間、10倍〜65倍の間、10倍〜60倍の間、10倍〜55倍の間、10倍〜50倍の間、10倍〜45倍の間、10倍〜40倍の間、10倍〜35倍の間、10倍〜30倍の間、10倍〜25倍の間、10倍〜20倍の間または10倍〜15倍の間である。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、2倍〜20倍の間、2倍〜19倍の間、2倍〜18倍の間、2倍〜17倍の間、2倍〜16倍の間、2倍〜15倍の間、2倍〜14倍の間、2倍〜13倍の間、2倍〜12倍の間、2倍〜11倍の間、2倍〜10倍の間、2倍〜9倍の間、2倍〜8倍の間、2倍〜7倍の間、2倍〜6倍の間、2倍〜5倍の間、2倍〜4倍の間または2倍〜3倍の間である。
一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターは、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVに基づくウイルスを含むことができる。一部の実施形態では、HIVに基づくウイルスベクターを使用することができ、HIVに基づくウイルスベクターは、少なくとも2種のベクターを含み、gagおよびpol遺伝子は、HIVゲノムに由来し、env遺伝子は、別のウイルスに由来する。一部の実施形態では、DNAウイルスベクターを使用することができる。このようなベクターは、オルソポックスまたはトリポックス(avipox)ベクター等のポックスベクター、単純ヘルペスIウイルス(HSV)ベクター[Geller, A. I.ら、J. Neurochem、64巻:487頁(1995年);Lim, F.ら、DNA Cloning: Mammalian Systems、D. Glover編(Oxford Univ. Press、Oxford England)(1995年)内;Geller, A. I.ら、Proc Natl. Acad. Sci.: U.S.A.:90巻、7603頁(1993年);Geller, A. I.ら、Proc Natl. Acad. Sci. USA:87巻:1149頁(1990年)]等のヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター[LeGal LaSalleら、Science、259巻:988頁(1993年);Davidsonら、Nat. Genet.3巻:219頁(1993年);Yangら、J. Virol.69巻:2004頁(1995年)]およびアデノ随伴ウイルスベクター[Kaplitt, M. G.ら、Nat. Genet.8巻:148頁(1994年)]を含むことができ、これら文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
一部の実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクターであり得る。本開示における使用のためのレンチウイルスベクターは、ヒトおよび非ヒト(SIVを含む)レンチウイルスに由来し得る。レンチウイルスベクターの例として、ベクター繁殖に要求される核酸配列と共に、抗VEGFタンパク質遺伝子に作動可能に連結した組織特異的プロモーターを挙げることができる。核酸配列は、ウイルスLTR、プライマー結合部位、ポリプリントラクト、att部位およびカプシド形成部位を含むことができる。
一部の実施形態では、ベクターは、アルファウイルスベクターであり得る。セムリキ森林ウイルス(SFV)およびシンドビスウイルス(SIN)から作製されたベクター等、アルファウイルスに基づくベクターを本開示において使用することもできる。アルファウイルスの使用は、Lundstrom, K.、Intervirology 43巻:247〜257頁、2000年およびPerriら、Journal of Virology 74巻:9802〜9807頁、2000年に記載されており、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。
一部の実施形態では、ベクターは、ポックスウイルスベクターであり得る。ポックスウイルスベクターは、細胞の細胞質に遺伝子を導入することができる。トリポックスウイルスベクターは、遺伝子または核酸の短期発現のみをもたらすことができる。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターおよび単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターを、本開示の組成物および方法により使用することができる。アデノウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスよりも短期の発現(例えば、約1カ月間未満)をもたらすことができ、一部の態様では、はるかにより長い発現を示すことができる。選択される特定のベクターは、標的細胞および処置されている状態に依存することができる。
目的の遺伝子産物をコードする核酸を被験体の標的細胞に送達するための組成物および方法が、本明細書に開示されている。一部の実例では、目的の遺伝子産物は、遺伝子産物を含むベクターの投与後に被験体に送達される。一部の実例では、遺伝子産物の送達を使用して、本明細書に開示されている疾患または状態を少なくとも部分的に好転させるまたは処置することができる。一部の実例では、組成物は、遺伝子療法として使用することができる、または遺伝子療法もしくはin vivoでの抗VEGFの送達に適応される。
一部の実例では、ベクター、送達ビヒクル、遺伝子送達ビヒクルまたは遺伝子移入ビヒクルは、標的細胞、組織または被験体に送達されるべきポリヌクレオチドを含む、いずれか適した高分子または分子の複合体を指す。一部の事例では、標的細胞は、核酸または遺伝子が送達されるいずれかの細胞であり得る。
一部の実施形態では、ベクター、例えば、裸のDNAまたはプラスミドは、ミセル;マイクロエマルション;リポソーム;ナノスフェア;ナノ粒子;ナノカプセル;固体脂質ナノ粒子;デンドリマー;ポリエチレンイミン誘導体および単層カーボンナノチューブ;ならびに標的細胞へのポリヌクレオチドの送達を媒介することができる他の高分子複合体を使用して、細胞、組織または被験体に送達することができる。一部の事例では、ベクターは、有機または無機分子であり得る。一部の事例では、ベクターは、小分子(すなわち、<5kD)または高分子(すなわち、>5kD)である。
一部の実施形態では、ベクターは、1種または複数の核酸を組み込んだ組換えウイルスベクター(例えば、rAAVベクター)を含む。本明細書に記載されている通り、核酸は、ポリヌクレオチドを含むことができる。一部の実例では、核酸は、DNAまたはRNAを含む。一部の事例では、核酸は、遺伝子産物またはアプタマーの発現のためのDNAまたはRNAを含む。一部の事例では、RNA分子は、目的の遺伝子、イントロン、非翻訳領域、終結配列その他の転写物を含むことができる。他の事例では、DNA分子は、ハイブリッドプロモーター遺伝子配列、強力な構成的プロモーター配列、目的の遺伝子、非翻訳領域、終結配列その他等の配列を含むことができる。一部の事例では、DNAおよびRNAのいずれかの組み合わせを使用することができる。
一部の実施形態では、本開示は、遺伝子産物の発現を媒介するためのベクター、またはin vivoで標的細胞もしくは被験体、例えば、眼または眼の硝子体に遺伝子産物を送達するための遺伝子療法として組換えウイルスを提供する。いずれか適した組換えウイルスベクターを、本開示の組成物および方法による使用に最適化されるように操作することができる。例えば、アデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する組換えウイルスベクターを使用することができる。
ヒトおよび非ヒトウイルスベクターの両方を使用することができ、ヒトまたは被験体において複製欠損となるように、組換えウイルスベクターを変更することができる。一部の実施形態では、ベクターは、抗VEGF剤等の遺伝子産物または治療剤をコードする治療用導入遺伝子に作動可能に連結したプロモーターを有するポリヌクレオチドを含む、複製欠損アデノウイルスまたはrAAVであり得る。
一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターは、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVに基づくウイルスを含むことができる。一部の実施形態では、HIVに基づくウイルスベクターを使用することができ、HIVに基づくウイルスベクターは、少なくとも2種のベクターを含み、gagおよびpol遺伝子は、HIVゲノムに由来し、env遺伝子は、別のウイルスに由来する。一部の実施形態では、DNAウイルスベクターを使用することができる。このようなベクターは、オルソポックスまたはトリポックスベクター等のポックスベクター、単純ヘルペスIウイルス(HSV)ベクター[Geller, A. I.ら、J. Neurochem、64巻:487頁(1995年);Lim, F.ら、DNA Cloning: Mammalian Systems、D. Glover編(Oxford Univ. Press、Oxford England)(1995年)内;Geller, A. I.ら、Proc Natl. Acad. Sci.: U.S.A.:90巻、7603頁(1993年);Geller, A. I.ら、Proc Natl. Acad. Sci. USA:87巻:1149頁(1990年)]等のヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター[LeGal LaSalleら、Science、259巻:988頁(1993年);Davidsonら、Nat. Genet.3巻:219頁(1993年);Yangら、J. Virol.69巻:2004頁(1995年)]およびアデノ随伴ウイルスベクター[Kaplitt, M. G.ら、Nat. Genet.8巻:148頁(1994年)]を含むことができ、これら文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
一部の実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクターであり得る。本開示における使用のためのレンチウイルスベクターは、ヒトおよび非ヒト(SIVを含む)レンチウイルスに由来し得る。レンチウイルスベクターの例として、ベクター繁殖に要求される核酸配列と共に、抗VEGFタンパク質遺伝子に作動可能に連結した組織特異的プロモーターを挙げることができる。核酸配列は、ウイルスLTR、プライマー結合部位、ポリプリントラクト、att部位およびカプシド形成部位を含むことができる。
一部の実施形態では、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターおよび単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターは、本開示の組成物および方法により使用することができる。使用される特定のベクター(例えば、レンチウイルス、アデノウイルスまたはAAV)は、標的細胞、ベクターから発現されるべき治療用導入遺伝子もしくは薬剤のサイズ、および/または処置されている状態に依存することができる。
一部の実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、またはAAVに由来する。AAVは、小型の無エンベロープ一本鎖DNAウイルスである。AAVは、非病原性ヒトパルボウイルスであり、複製のために、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスおよびCMVを含むヘルパーウイルスに依存することができる。野生型AAVへの曝露は、いかなるヒト病理も関連しない場合があるまたはそれを引き起こすことが公知ではない場合があり、一般的な集団においてありふれており、アデノウイルス感染に関連して生後10年以内に通常発生する。
一部の実例では、rAAVは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはDJのネイティブまたは野生型AAVであり得る。一部の実例では、rAAVは、少なくとも2種の血清型由来のカプシドタンパク質を含むキメラAAVであり得る。一部の実施形態では、rAAVウイルスまたはビリオンは、バリアントAAVカプシドタンパク質を含むことができる。一部の事例では、バリアントAAVカプシドタンパク質は、対応する親AAVカプシドタンパク質と比べて、置換、挿入、欠失およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択されるアミノ酸修飾を含むことができる。
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親AAVカプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質における少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19または少なくとも20アミノ酸の欠失を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95または少なくとも100アミノ酸の欠失を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における多くても約100アミノ酸、多くても約200、多くても約300または多くても約400アミノ酸の欠失を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における約1〜約100、約1〜約90、約1〜約80、約1〜約70、約1〜約60、約1〜約50、約1〜約40、約1〜約30、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10または約1〜約5アミノ酸の欠失を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における約5アミノ酸〜約20アミノ酸、約5アミノ酸〜約19アミノ酸、約5アミノ酸〜約18アミノ酸、約5アミノ酸〜約17アミノ酸、約5アミノ酸〜約16アミノ酸、約5アミノ酸〜約15アミノ酸、約5アミノ酸〜約14アミノ酸、約5アミノ酸〜約13アミノ酸、約5アミノ酸〜約12アミノ酸、約5アミノ酸〜約11アミノ酸、約5アミノ酸〜約10アミノ酸、約5アミノ酸〜約9アミノ酸、約5アミノ酸〜約8アミノ酸、約5アミノ酸〜約7アミノ酸または約5アミノ酸〜約6アミノ酸の欠失を含むことができる。
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親AAVカプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質における少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19または少なくとも20アミノ酸の挿入を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95または少なくとも100アミノ酸の挿入を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における多くても約100アミノ酸、多くても約200、多くても約300または多くても約400アミノ酸の挿入を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における約1〜約100、約1〜約90、約1〜約80、約1〜約70、約1〜約60、約1〜約50、約1〜約40、約1〜約30、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10または約1〜約5アミノ酸の挿入を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における約5アミノ酸〜約20アミノ酸、約5アミノ酸〜約19アミノ酸、約5アミノ酸〜約18アミノ酸、約5アミノ酸〜約17アミノ酸、約5アミノ酸〜約16アミノ酸、約5アミノ酸〜約15アミノ酸、約5アミノ酸〜約14アミノ酸、約5アミノ酸〜約13アミノ酸、約5アミノ酸〜約12アミノ酸、約5アミノ酸〜約11アミノ酸、約5アミノ酸〜約10アミノ酸、約5アミノ酸〜約9アミノ酸、約5アミノ酸〜約8アミノ酸、約5アミノ酸〜約7アミノ酸または約5アミノ酸〜約6アミノ酸の挿入を含むことができる。
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親AAVカプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質における少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19または少なくとも20アミノ酸の置換を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、カプシドタンパク質における約1アミノ酸〜約20アミノ酸、約1アミノ酸〜約19アミノ酸、約1アミノ酸〜約18アミノ酸、約1アミノ酸〜約17アミノ酸、約1アミノ酸〜約16アミノ酸、約1アミノ酸〜約15アミノ酸、約1アミノ酸〜約14アミノ酸、約1アミノ酸〜約13アミノ酸、約1アミノ酸〜約12アミノ酸、約1アミノ酸〜約11アミノ酸、約1アミノ酸〜約10アミノ酸、約1アミノ酸〜約9アミノ酸、約1アミノ酸〜約8アミノ酸、約1アミノ酸〜約7アミノ酸、約1アミノ酸〜約6アミノ酸、約1〜約5アミノ酸、約1〜約4アミノ酸、約1〜約3アミノ酸または約1〜約2アミノ酸の置換を含むことができる。
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親、無修飾カプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質における少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19または少なくとも約20個の総アミノ酸挿入、欠失または置換を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親、無修飾カプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質における少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95または少なくとも約100個の総アミノ酸挿入、欠失または置換を含むことができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、対応する親、無修飾カプシドタンパク質と比べて、カプシドタンパク質における少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300または少なくとも約400個の総アミノ酸挿入、欠失または置換を含むことができる。
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、親、無修飾AAVカプシドタンパク質のカプシドタンパク質に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%相同であるアミノ酸配列を有するバリアントカプシドタンパク質を含む。
一部の事例では、修飾は、AAV2のアミノ酸587または別のAAV血清型のカプシドサブユニットの対応する残基の後であり得る。残基587が、AAV2カプシドタンパク質に基づくことに留意されたい。修飾は、AAV2以外のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9等)における対応する部位に組み込むことができる。当業者であれば、様々なAAV血清型のカプシドタンパク質のアミノ酸配列の比較に基づき、いずれか所与のAAV血清型のカプシドタンパク質における、AAV2のアミノ酸587に対応する修飾部位の場所が分かるであろう。例えば、AAV1についてはGenBank受託番号NP_049542;AAV5についてはGenBank受託番号AAD13756;AAV6についてはGenBank受託番号AAB95459;AAV7についてはGenBank受託番号YP_077178;AAV8についてはGenBank受託番号YP_077180;AAV9についてはGenBank受託番号AAS99264およびAAV10についてはGenBank受託番号AAT46337を参照されたい。
一部の実施形態では、アミノ酸修飾は、タンパク質GHループまたはループIVにおける約5アミノ酸〜約11アミノ酸の挿入である。一部の実施形態では、アミノ酸修飾は、カプシドタンパク質の溶媒曝露領域を破壊して、GHループを含む1個または複数のアミノ酸を含む挿入である。一部の特異的な実施形態では、修飾は、AAV2のVP1における残基587および588の間にアミノ酸配列LGETTRPの挿入を含む。一部の実施形態では、他の挿入またはAAV2バリアントは、被験体に抗VEGF剤、例えば、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブを送達するためのベクターまたは遺伝子療法として使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているカプシドタンパク質のアミノ酸修飾は、対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞への感染力と比較して、眼性細胞への感染力の増加を付与することができる。一部の事例では、眼性細胞は、光受容体細胞(例えば、桿体;錐体)であり得る。一部の事例では、眼性細胞は、網膜神経節細胞(RGC)であり得る。一部の事例では、網膜細胞は、網膜色素上皮(RPE)細胞であり得る。一部の事例では、眼性細胞は、ミュラー細胞であり得る。一部の事例では、眼性細胞は、アストロサイトであり得る。一部の事例では、網膜細胞は、アマクリン細胞、双極細胞または水平細胞を含むことができる。
一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%の増加である。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、約5%〜約100%の間、約5%〜約95%の間、約5%〜約90%の間、約5%〜約85%の間、約5%〜約80%の間、約5%〜約75%の間、約5%〜約70%の間、約5%〜約65%の間、約5%〜約60%の間、約5%〜約55%の間、約5%〜約50%の間、約5%〜約45%の間、約5%〜約40%の間、約5%〜約35%の間、約5%〜約30%の間、約5%〜約25%の間、約5%〜約20%の間、約5%〜約15%の間または約5%〜約10%の間の増加である。
一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍または少なくとも約2倍である。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍または少なくとも約10倍である。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍または少なくとも約100倍である。
一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、約10倍〜約100倍の間、約10倍〜約95倍の間、約10倍〜約90倍の間、約10倍〜約85倍の間、約10倍〜約80倍の間、約10倍〜約75倍の間、約10倍〜約70倍の間、約10倍〜約65倍の間、約10倍〜約60倍の間、約10倍〜約55倍の間、約10倍〜約50倍の間、約10倍〜約45倍の間、約10倍〜約40倍の間、約10倍〜約35倍の間、約10倍〜約30倍の間、約10倍〜約25倍の間、約10倍〜約20倍の間または約10倍〜約15倍の間である。
一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、約2倍〜約20倍の間、約2倍〜約19倍の間、約2倍〜約18倍の間、約2倍〜約17倍の間、約2倍〜約16倍の間、約2倍〜約15倍の間、約2倍〜約14倍の間、約2倍〜約13倍の間、約2倍〜約12倍の間、約2倍〜約11倍の間、約2倍〜約10倍の間、約2倍〜約9倍の間、約2倍〜約8倍の間、約2倍〜約7倍の間、約2倍〜約6倍の間、約2倍〜約5倍の間、約2倍〜約4倍の間または約2倍〜約3倍の間である。
一部の実施形態では、本明細書に記載されているカプシドタンパク質のアミノ酸修飾は、被験体の眼における内境界膜(ILM)を横切る対応する親または無修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンの能力と比較して、被験体の眼におけるILMを横切る能力の増加を付与することができる。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%の増加である。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、約5%〜約100%の間、約5%〜約95%の間、約5%〜約90%の間、約5%〜約85%の間、約5%〜約80%の間、約5%〜約75%の間、約5%〜約70%の間、約5%〜約65%の間、約5%〜約60%の間、約5%〜約55%の間、約5%〜約50%の間、約5%〜約45%の間、約5%〜約40%の間、約5%〜約35%の間、約5%〜約30%の間、約5%〜約25%の間、約5%〜約20%の間、約5%〜約15%の間または約5%〜約10%の間の増加である。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍または少なくとも約2倍である。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍または少なくとも約10倍である。一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍または少なくとも約100倍である。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、約10倍〜約100倍の間、約10倍〜約95倍の間、約10倍〜約90倍の間、約10倍〜約85倍の間、約10倍〜約80倍の間、約10倍〜約75倍の間、約10倍〜約70倍の間、約10倍〜約65倍の間、約10倍〜約60倍の間、約10倍〜約55倍の間、約10倍〜約50倍の間、約10倍〜約45倍の間、約10倍〜約40倍の間、約10倍〜約35倍の間、約10倍〜約30倍の間、約10倍〜約25倍の間、約10倍〜約20倍の間または約10倍〜約15倍の間である。
一部の実施形態では、ILMを横切る能力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンと比較して、約2倍〜約20倍の間、約2倍〜約19倍の間、約2倍〜約18倍の間、約2倍〜約17倍の間、約2倍〜約16倍の間、約2倍〜約15倍の間、約2倍〜約14倍の間、約2倍〜約13倍の間、約2倍〜約12倍の間、約2倍〜約11倍の間、約2倍〜約10倍の間、約2倍〜約9倍の間、約2倍〜約8倍の間、約2倍〜約7倍の間、約2倍〜約6倍の間、約2倍〜約5倍の間、約2倍〜約4倍の間または約2倍〜約3倍の間である。
遺伝子療法の利点の1つは、タンパク質を投与する従来方法と比較して、本明細書に開示されている抗VEGF剤等、治療剤のより低頻度の投与を要求すること、また、治療剤の延長したまたは継続した放出をもたらすことである。目的の特異的組織または細胞型を標的とするベクター、例えば、AAV2.7m8を利用する遺伝子療法は、オフターゲット効果を最小化する、または抗VEGF剤等の治療剤のより標的化された送達をもたらすこともできる。遺伝子療法によるin vivoでの抗VEGF剤の延長したまたは持続した送達により、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10年間またはそれよりも長い期間に1回以下、薬学的組成物を投与することができるであろう。
治療剤
一部の実施形態では、遺伝子療法は、非ヒト霊長類またはヒト被験体の眼または眼の硝子体への投与に適したまたは適応された抗VEGF活性を有する治療用導入遺伝子の送達に使用される。一部の実施形態では、本明細書に記載されているカプシドバリアント(例えば、AAV2.7m8)を含むrAAVは、抗VEGF剤をコードする異種核酸配列を含み、被験体への硝子体内または網膜下注射の際に、網膜細胞への抗VEGF遺伝子の配列の送達に使用される。一部の実施形態では、抗VEGF遺伝子を含むrAAVは、遺伝子療法および硝子体内注射のために製剤化される。一部の実施形態では、抗VEGF遺伝子は、その機能的断片またはバリアントを指す。一部の実施形態では、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブ等の抗VEGF剤の核酸配列は、直ちに利用できるそのアミノ酸配列に由来する。一部の実施形態では、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブ等の抗VEGF剤の核酸配列を、さらにコドン最適化して、被験体におけるその発現を改善する。一部の実施形態では、抗VEGF剤の核酸配列および/またはアミノ酸配列は、in vivoでのその活性、発現、安定性および/または溶解度を増強するように修飾される。
コドン最適化は、本技術分野で公知のいずれかの方法により達成することができる。コドン最適化は、ネイティブアミノ酸配列を維持しつつ、ネイティブ配列の少なくとも1個のコドン(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、100個もしくはそれを超える、またはそれよりも多いコドン)を、宿主細胞においてより高頻度で使用されるまたは最も高頻度で使用されるコドンで置き換えることにより、目的の標的または宿主細胞、例えば、ヒト網膜細胞における遺伝子の発現増強のために核酸配列を修飾するプロセスを指す。例えば、GenScript Codon Usage Frequence Table Tool、http://www.genscript.com/tools/codon-frequency-table;Codon Usage Database、http://www.kazusa.or.jp/codon/;およびNakamura, Y.ら「Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000」Nucl. Acids Res.28巻:292頁(2000年)を含む、コドン使用表を直ちに利用できる。
一部の実施形態では、遺伝子療法においてコードされる抗VEGF剤のアミノ酸配列は、次の抗VEGF剤:sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのうちいずれか1種のアミノ酸配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%相同である。一部の実施形態では、本明細書に開示されている遺伝子療法またはrAAVにおいて使用される核酸配列は、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのうちいずれか1種のアミノ酸配列の対応するcDNA配列と比較され、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのうちいずれか1種の核酸配列の間で少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%配列相同性を示す。一部の事例では、遺伝子療法から発現される抗VEGFは、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのうちいずれか1種に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%空間的に相同である(例えば、その二次、三次および四次構造またはコンフォメーションの観点から)。一部の事例では、本明細書に開示されている薬学的組成物および方法の抗VEGF剤は、標準治療において使用されるsFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのうちいずれか1種に対して、多くても80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%空間的に相同である(例えば、二次、三次および四次構造またはコンフォメーション)。
一部の実例では、本明細書に開示されているカプシドバリアント(例えば、7m8バリアント)を含むrAAVに基づく遺伝子療法に含まれる抗VEGF剤は、抗VEGF剤(例えば、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブ)の対応するcDNA配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%相同性を有するタンパク質、融合タンパク質またはポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、sFLT−1、ラニビズマブもしくはベバシズマブ、またはこれらの機能的断片もしくはバリアントもしくは変異体を含む。一部の実施形態では、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのいずれかの核酸配列は、in vivoでのその活性、発現および/または溶解度を増強するように修飾またはコドン最適化される。
一部の実施形態では、AAV2.7m8は、sFLT−1、ラニビズマブまたはベバシズマブのうちいずれか1種の遺伝子療法または送達系として使用される。AAV2.7m8−sVEGFR−1は、AAV2のカプシドタンパク質VP1の位置587および588の間に7m8挿入を含むrAAV2、ならびにsVEGFR−1をコードする核酸配列を指す。AAV2.7m8−ラニビズマブは、AAV2のカプシドタンパク質VP1の位置587および588の間に7m8挿入を含むrAAV2、ならびにラニビズマブをコードする核酸配列を指す。
本開示は、1種または複数の治療剤を含む本明細書に開示されている方法および薬学的組成物を考慮する。一部の実施形態では、治療剤は、抗VEGF剤である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、rAAVベクターもしくは遺伝子療法から発現される、またはin vivoで標的細胞、組織もしくは被験体に送達される。遺伝子療法は、延長した期間in vivoで治療剤、例えば、抗VEGF剤を提供する利点を有し、これにより、タンパク質に基づく治療法の投与と比較して、反復注射の必要が減少される。遺伝子療法の斯かる利点は、in vivoでの治療剤のより持続した送達をもたらすことができ、これにより、現在の標準治療を上回る改善がもたらされる。その上、遺伝子療法は、in vivoで、例えば標的細胞への、治療剤のより標的化された送達をもたらし、オフターゲット効果を最小化することもできる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている遺伝子産物は、発現されると、被験体の眼における新血管形成の低下をもたらすことができるポリペプチドであり得る。一部の事例では、発現されるポリペプチドは、抗血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質もしくはペプチドまたは血管新生阻害剤であり得る。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている遺伝子産物は、VEGFを標的とするまたは少なくとも部分的に阻害することができる抗VEGF抗体またはその断片であり得る。一部の実例では、抗体は、可変領域およびFc領域の両方を含む全長抗体であり得る。一部の実例では、抗体は、単鎖fv断片であり得る。一部の実例では、抗体は、VEGFエピトープに対する定義される結合親和性を有することができる。一部の実例では、抗体は、少なくとも約1mM、少なくとも約100μM、少なくとも約10μM、少なくとも約1μM、少なくとも約100nM、少なくとも約10nM、少なくとも約1nM、少なくとも約100pM、少なくとも約10pMまたは少なくとも約1pMのKdを有することができる。一部の実例では、抗VEGF剤は、対応する内在性VEGFRまたはVEGFよりも強く、内在性VEGFまたはVEGFRに結合する。抗VEGF剤のより強い結合は、抗VEGF剤が、内在性VEGFを隔離すること、または内在性VEGFRとの相互作用から内在性タンパク質を遮断することを可能にする。
一部の実施形態では、抗VEGF抗体は、ヒト化モノクローナル抗体であり得る。一部の実例では、ヒト化モノクローナル抗体は、rhuMabであり得る。一部の実施形態では、抗VEGF抗体は、ラニビズマブ、モノクローナル抗体断片、またはそれらのバリアントもしくは断片であり得る。一部の実施形態では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ、組換えヒト化モノクローナル抗体、またはそれらのバリアントもしくは断片であり得る。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、PAN−90806またはそのバリアントもしくは断片である。一部の実施形態では、治療剤は、本明細書に開示されている抗VEGF剤、例えば、抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、融合タンパク質、アプタマー等を含む1種または複数のポリペプチドをコードする核酸配列である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、VEGFに結合する可溶性受容体デコイである、またはin vivoでVEGFを隔離し得る1種または複数のVEGF受容体の可溶型である。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている治療剤は、アプタマー、干渉RNA、mRNAその他等、核酸であり得る。一部の事例では、アプタマーは、ペガプタニブであり得る。一部の実施形態では、治療剤は、ステロイドまたは小分子であり得る。一部の実例では、ステロイドは、コルチコステロイドであり得る。コルチコステロイドの例として、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニド、コルチゾン、プレドニゾロン、フルオロメトロン(flumetholone)およびこれらの誘導体を挙げることができる。一部の実例では、ステロイドは、抗炎症性ステロイドであり得る。
本開示の組換えウイルス、遺伝子療法、薬学的組成物および方法は、米国特許第5,712,380号、同第5,861,484号および同第7,071,159号に開示されており、米国特許出願公開第2014/0371438号にも記載されている、VEGF結合タンパク質またはその機能的断片が挙げられるがこれらに限定されない、抗VEGFタンパク質をコードする配列を含むことができる。一部の実施形態では、抗VEGFタンパク質は、本明細書に記載されているsFLT−1タンパク質、ラニビズマブまたはベバシズマブを含む。
一部の実施形態では、本開示の遺伝子療法、薬学的組成物および方法は、抗VEGFタンパク質、例えば、sFlt−1をコードする配列を含むことができる。一部の実施形態では、抗VEGF剤として、sFlt−1ドメイン2または配列の配列を含むsFlt−1の機能的断片が挙げられるがこれに限定されない。抗VEGF剤は、当業者に理解される遺伝暗号、標準技法を使用した、配列または斯かる配列をコードするDNAから発現されるポリペプチドを含むことができる。
本明細書において、sFlt−1タンパク質またはポリペプチドが、in vivoでVEGFおよび/またはVEGF受容体に結合するように、「sFlt−1タンパク質」または「sFlt」または「sVEGFR−1」は、ヒトsFLT−1配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%相同性を有するポリペプチド配列またはその機能的断片もしくはバリアントを指すように互換的に使用されている。図2は、sFlt−1の核酸配列を例証する。相同性は、2配列間のアラインメントの残基の%保存を指す(例えば、天然に存在するヒトsFLT−1タンパク質は、機能的断片、挿入、欠失、置換を含む配列、偽断片(pseudofragment)、偽遺伝子、スプライスバリアントまたは人工的に最適化された配列が挙げられるがこれらに限定されない、sFLT−1のいずれか適したバリアントを含むことができる)。一部の事例では、「sFLT−1タンパク質」は、天然に存在するヒトsFLT−1タンパク質配列に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である。一部の実施形態では、「sFLT−1タンパク質」は、天然に存在するヒトsFLT−1タンパク質配列に対して、多くても約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である。一部の事例では、「sFLT−1タンパク質」は、天然に存在するヒトsFLT−1タンパク質コンフォメーションに対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%空間的に相同である。一部の事例では、「sFLT−1タンパク質」は、天然に存在するヒトsFLT−1タンパク質コンフォメーションに対して、多くても約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%空間的に相同である。
一部の事例では、可溶性トランケート型のVEGF受容体FLT−1であるsFLT−1は、VEGFの唯一の公知の内在性阻害剤である。sFLT−1は、選択的RNAスプライシングによって生成することができ、膜近位免疫グロブリン様ドメイン、膜貫通領域および細胞内チロシンキナーゼドメインを欠く。
一部の事例では、sFLT−1を含む本明細書に開示されている遺伝子療法または薬学的組成物の投与は、内在性VEGFを結合もしくは隔離することによって、またはVEGF受容体FLTt−1およびFLK−1/KDRの膜貫通アイソフォームと不活性ヘテロ二量体を形成することによって、in vivoでVEGFまたはその活性を阻害または低下させることができる。sFLT−1のこれらの特性は、その全体を参照により本明細書に組み込む、KendallおよびThomas、1993年;Proc Natl Acad. Sci.90巻:10705〜10709頁に記載されている。一部の実施形態では、全長タンパク質の代わりに、sFLT−1の機能的断片を使用することができる。一部の実施形態では、VEGF結合ドメイン(ドメイン2)、またはKDRもしくは別のファミリーメンバーを使用して、VEGFを結合および不活性化することができる。
一部の実施形態では、本開示の方法および薬学的組成物は、ベバシズマブもしくはラニビズマブ、それらの機能的断片もしくはバリアントである抗VEGF剤を含む。Catt Research, Group;Martin, DF;Maguire, MG;Ying, GS;Grunwald, JE;Fine, SL;Jaffe, GJ(2011年)「Ranibizumab and Bevacizumab for Neovascular Age-Related Macular Degeneration.」New England Journal of Medicine.364巻(20号):1897〜1908頁。
ラニビズマブ軽鎖および重鎖アミノ酸配列は、DrugBankデータベース、受託番号DB01270に公開されている:
ベバシズマブ軽鎖および重鎖アミノ酸配列は、DrugBankデータベース、受託番号DB00112(BTD00087、BIOD00087)に公開されている:
ベバシズマブは、全VEGF−Aアイソフォームに結合し、VEGF−Aを阻害することにより血管新生を遮断する、組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。Los, M.;Roodhart, J. M. L.;Voest, E. E.(2007年)「Target Practice: Lessons from Phase III Trials with Bevacizumab and Vatalanib in the Treatment of Advanced Colorectal Cancer」The Oncologist.12巻(4号):443〜50頁;Shih, T;Lindley, C(2006年11月)「Bevacizumab: an angiogenesis inhibitor for the treatment of solid malignancies.」Clinical therapeutics.28巻(11号):1779〜802頁。
ラニビズマブは、組換えヒト化IgG1カッパーアイソタイプモノクローナル抗体断片であり、ベバシズマブよりも高い親和性で全VEGF−Aアイソフォームに結合する。ラニビズマブは、Fc領域を欠く。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、ベバシズマブもしくはラニビズマブまたはそれらの機能的断片もしくはバリアントである。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、アミノ酸および/または核酸(例えば、cDNA)配列において、ベバシズマブまたはラニビズマブに対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%相同である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、当該分野で公知のアミノ酸および/または核酸(例えば、cDNA)配列において、ベバシズマブまたはラニビズマブに対して多くても約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%相同である。一部の事例では、抗VEGF剤は、二次、三次または四次構造を含むベバシズマブまたはラニビズマブタンパク質コンフォメーションに対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%または100%空間的に相同である。
アミノ酸配列を考慮すれば、対応するcDNAまたは核酸配列を直ちに生成して、本明細書に開示されている遺伝子療法において使用することができる。アミノ酸配列を逆翻訳するための方法は、http://www.ebi.ac.uk/Tools/st/で利用できるEMBOSS Protein Sequence Back−translation toolを含む。一部の実施形態では、抗VEGF剤の核酸配列は、本技術分野で公知の技法のいずれか、例えば、GenScript Codon Usage Frequence Table Tool、http://www.genscript.com/tools/codon-frequency-table;Codon Usage Database、http://www.kazusa.or.jp/codon/;およびNakamura, Y.ら「Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000」Nucl. Acids Res.28巻:292頁(2000年)を使用してコドン最適化される。
薬学的組成物
一部の実施形態では、薬学的組成物は、1種または複数の活性成分、例えば、抗VEGF剤またはその断片もしくはバリアントをコードする核酸配列を含むAAV2.7m8と共に、所望の治療または予防的効果を達成するための硝子体内または網膜下注射によるヒト患者への投与に適した1種または複数の賦形剤、担体、安定剤または増量剤を含有する製剤である。
一部の実施形態では、rAAVまたはAAV2.7m8および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む薬学的組成物は、再構成された溶液または懸濁物として供給される。他の実施形態では、rAAVまたはAAV2.7m8および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む薬学的組成物は、凍結乾燥形態で供給され、患者への投与前に再構成される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている眼疾患または状態の処置または予防方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む凍結乾燥された薬学的組成物を緩衝液に先ず再構成、溶解または可溶化するステップを含む。一部の実施形態では、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および本明細書に開示されている抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む斯かる凍結乾燥された薬学的組成物は、凍結保護物質、界面活性物質、塩、安定剤またはこれらのいずれかの組み合わせをさらに含むことができる。
一部の実施形態では、rAAVまたはAAV2.7m8および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む薬学的組成物は、懸濁物として供給される。一部の実施形態では、懸濁物は冷蔵される。一部の実施形態では、懸濁物は溶液である。一部の実施形態では、薬学的組成物を含有する均質な溶液が、予め充填されたシリンジとして供給される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている薬学的組成物は、懸濁物として供給される。一部の実施形態では、懸濁物は冷蔵される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている眼疾患または状態の処置または予防方法は、患者への投与または硝子体内注射前に均一な分布を確実にするために、冷蔵された懸濁物を室温に温めるステップ、および/または懸濁物を撹拌するステップを含む。一部の実施形態では、懸濁物は、患者への投与前に希釈される。一部の実施形態では、斯かる薬学的組成物は、界面活性物質、塩、安定剤またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。一部の実施形態では、薬学的組成物を含有する懸濁物は、予め充填されたシリンジとして供給される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子療法または薬学的組成物は、懸濁物または冷蔵された懸濁物として提供される。一部の実施形態では、懸濁物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、界面活性物質、グリセロール、非イオン性界面活性物質、緩衝液、グリコール、塩およびこれらのいずれかの組み合わせを含む。一部の実施形態では、塩酸および水酸化ナトリウムを使用して、溶液のpHを調整する。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物は、中性pH、または6.5〜7.5の間のpHである。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物のpHは、やや塩基性(例えば、pH約7.5、8、8.2、8.4、8.5または9)である。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物または溶液のpHは、やや酸性(例えば、pH約6.5、6.3、6.1、6、5.5または5)である。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物は、溶液である。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物は、ミセルを含む。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物は、投与前に撹拌される。
一部の実施形態では、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および本明細書に開示されている抗VEGF剤を含む遺伝子療法は、本明細書に開示されている凍結乾燥またはフリーズドライされた薬学的組成物と、凍結乾燥された薬学的組成物を溶解、希釈または再構成するための緩衝溶液とを含むキットとして供給される。一部の実施形態では、キットは、rAAV(例えば、AAV2.7m8)を含むフリーズドライまたは凍結乾燥された薬学的組成物と、所望の濃度または容量に薬学的組成物を再構成するための溶液とを含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書に開示されている薬学的組成物の再構成の際の凝集防止に役立つ緩衝液を含む。一部の実施形態では、抗VEGF剤を含む遺伝子療法は、懸濁物として提供される。一部の実施形態では、薬学的組成物は、予め充填されたシリンジ内に提供される。一部の実施形態では、キットは、デュアルチャンバーシリンジを含み、チャンバーの一方は、薬学的組成物を溶解または希釈するための緩衝液を含有する。
一部の実施形態では、キットは、注射のためのシリンジを含む。一部の実施形態では、再構成された溶液は、投与前に濾過される。一部の実施形態では、キットは、患者への投与前にキットにおける薬学的組成物を濾過するためのフィルターまたはフィルターシリンジを含む。
一部の実施形態では、貯蔵安定性および取扱いの利便性のため、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および本明細書に開示されている抗VEGF剤をコードする核酸配列を含む薬学的組成物は、被験体への投与に先立ち食塩水、緩衝液または水で再構成され得る、凍結乾燥(すなわち、フリーズドライ)または真空乾燥された粉末として製剤化することができる。代わりに、薬学的組成物は、水性溶液または懸濁物として製剤化することができる。薬学的組成物は、本明細書に開示されている抗VEGF剤をコードする核酸配列を含むrAAVビリオンまたは粒子を含有することができる。一部の実施形態では、異なるウイルスまたは送達系、例えば、ナノ粒子または脂質に基づく複合体を使用して、本明細書に開示されている抗VEGF剤をコードする核酸配列を送達することができる。リン酸塩、PBSもしくはTris緩衝液、グリコール、グリセロール、食塩水、界面活性物質(例えば、プルロニックまたはポリソルベート)またはこれらのいずれかの組み合わせ等、様々な賦形剤を使用して、薬学的組成物を安定化することができる。その上、アルコール、DMSO、グリセロールおよびPEG等の凍結保護物質は、凍結乾燥の凍結もしくは乾燥条件下における安定剤として使用することができる、または冷蔵された懸濁物を作製するための安定剤として使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている抗VEGF遺伝子療法を含む凍結乾燥された薬学的組成物または薬学的組成物の懸濁物は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000μLの容量(または再構成された容量)を有する。一部の実施形態では、本明細書に開示されている抗VEGF遺伝子療法を含む凍結乾燥または懸濁物形態の薬学的組成物は、0.1〜0.5mLの間、0.1〜0.2mLの間、0.3〜0.5mLの間、0.5〜1.0mLの間、0.5〜0.7mLの間、0.6〜0.8mLの間、0.8〜1mLの間、0.9〜1.1mLの間、1.0〜1.2の間または1.0〜1.5mLの間の容量を有する。他の実施形態では、再構成された容量は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4または1.5mL以下である。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている薬学的組成物は、硝子体内または網膜下注射による霊長類(例えば、非ヒト霊長類およびヒト被験体)への投与のために設計、操作または適応される。一部の実施形態では、抗VEGF剤をコードする核酸配列を含むrAAVビリオンを含む薬学的組成物は、被験体の眼への硝子体内注射のために製剤化される。一部の実施形態では、薬学的組成物は、約2、2.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200μL以下の容量の硝子体内注射を可能にする濃度へと製剤化される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている処置方法は、本明細書に開示されている抗VEGF剤をコードする核酸配列を含むrAAV(例えば、AAV2.7m8)を含む溶液または懸濁物の約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150μLの容量の硝子体内注射を含む。
一部の実例では、本明細書に記載されている抗VEGF導入遺伝子の核酸配列を含むAAV2.7m8ビリオンは、遺伝子療法薬学的組成物の構成成分であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている7m8バリアントカプシドタンパク質を含むいずれかの血清型のrAAVビリオンを使用して、凍結乾燥された薬学的組成物または薬学的組成物の懸濁物を作製することができる。一部の実施形態では、rAAVビリオンは、rAAV2である。一部の実施形態では、凍結乾燥形態または懸濁物形態の薬学的組成物は、7m8バリアントカプシドタンパク質および本明細書に開示されている抗VEGF剤をコードするDNA配列を有するrAAV2を含む。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている薬学的組成物は、ヒト患者または非ヒト霊長類における治療剤としての抗VEGF剤の遺伝子療法または硝子体内送達に適応される。一部の実施形態では、薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜1×1013の間のウイルスゲノム(vg)を含む。一部の実施形態では、単位用量は、約2.1×1011、約2.1×1012または約2.1×1013のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜3×1012のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×109〜3×1013のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜1×1011のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×108〜3×1014のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、少なくとも1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017または1×1018のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜5×1013のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、多くても約1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018のベクターゲノムである。
一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、pfu(プラーク形成単位)として測定することができる。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量のpfuは、約1×108〜約1×1012pfuであり得る。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量のpfuは、少なくとも約1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011または1×1012pfuであり得る。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量のpfuは、多くても約1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011または1×1012pfuであり得る。
一部の事例では、本開示のウイルスベクターは、ベクターゲノム(vg)として測定することができる。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜1×1013のベクターゲノムであり得る。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×109〜1×1014のベクターゲノムであり得る。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜1×1011のベクターゲノムであり得る。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×108〜1×1015のベクターゲノムであり得る。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、少なくとも1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×108〜1×1015のベクターゲノムである。一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、多くても約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018のベクターゲノムである。一部の実施形態では、単位用量は、1010〜1011の間、1011〜1012の間、1010〜1012の間、1012〜1013の間、1011〜1013の間、1012〜1013の間、1012〜1014の間、1011〜1014の間、1011〜1015の間、1012〜1015の間、1013〜1014の間、1014〜1015の間、1015〜1016の間、1016〜1017の間、1017〜1018の間、1018〜1019の間または1019〜1020の間のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜2×1010の間、2×1010〜3×1010の間、3×1010〜4×1010の間、4×1010〜5×1010の間、5×1010〜6×1010の間、6×1010〜7×1010の間、7×1010〜8×1010の間、8×1010〜9×1010の間、9×1010〜10×1010の間、1×1011〜2×1011の間、2×1011〜3×1011の間、2×1011〜2.5×1011の間、2.5×1011〜3×1011の間、3×1011〜4×1011の間、4×1011〜5×1011の間、5×1011〜6×1011の間、6×1011〜7×1011の間、7×1011〜8×1011の間、8×1011〜9×1011の間、9×1011〜10×1011の間、1×1012〜2×1012の間、2×1012〜3×1012の間、2.5×1012〜3×1012の間、3×1012〜4×1012の間、4×1012〜5×1012の間、5×1012〜6×1012の間、6×1012〜7×1012の間、7×1012〜8×1012の間、8×1012〜9×1012の間、9×1012〜10×1012の間、1×1013〜2×1013の間、2×1013〜3×1013の間、3×1013〜4×1013の間、4×1013〜5×1013の間、5×1013〜6×1013の間、6×1013〜7×1013の間、7×1013〜8×1013の間、8×1013〜9×1013の間または9×1013〜10×1013の間のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、本開示のrAAVの単位用量は、2×1011〜8×1011の間または2×1012〜8×1012の間のベクターゲノムである。一部の実施形態では、本開示のrAAVの単位用量は、1010〜1013の間、1010〜1011の間、1011〜1012の間、1012〜1013の間または1013〜1014の間のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、本開示のrAAVの単位用量は、1×1010〜2×1010の間、2×1010〜4×1010の間、3×1010〜5×1010の間、4×1010〜6×1010の間、5×1010〜7×1010の間、6×1010〜8×1010の間、7×1010〜9×1010の間、8×1010〜1011の間、1×1011〜2×1011の間、2×1011〜4×1011の間、3×1011〜5×1011の間、4×1011〜6×1011の間、5×1011〜7×1011の間、6×1011〜8×1011の間、7×1011〜9×1011の間、8×1011〜10×1011の間、1×1012〜3×1012の間、2×1012〜4×1012の間、3×1012〜5×1012の間、4×1012〜6×1012の間、5×1012〜7×1012の間、6×1012〜8×1012の間、7×1012〜9×1012の間、8×1012〜10×1012の間、1×1013〜5×1013の間、5×1013〜10×1013の間、1012〜5×1012の間、5×1012〜1×1013の間、7×1012〜1×1013の間、8×1012〜2×1013の間、9×1012〜2×1013の間、9×1012〜2×1013の間、9×1012〜4×1013の間、1×1013〜3×1013の間、1×1013〜2×1013の間、2×1013〜3×1013の間、3×1013〜4×1013の間、4×1013〜5×1013の間、5×1013〜6×1013の間、6×1013〜7×1013の間、7×1013〜8×1013の間、8×1013〜9×1013の間または8×1013〜1×1014の間のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、凝集を回避するために、より低い量または範囲のベクターゲノムが単位用量に選択される。一部の実施形態では、より少ない容量を注射に使用することができるように、より高い量または範囲のベクターゲノムが単位用量に選択される。より少ない容量(例えば、50、40、30、20、10または5μL未満)の注射は、眼圧の変化および硝子体内注射に伴う他の有害作用の低下に役立つことができる。一部の実施形態では、より高濃度のrAAVは、標的細胞への治療用導入遺伝子の効率的送達を確実にするためにも役立つ。
一部の実施形態では、単位用量は、2E12〜6E12の間のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、約1E12、1.5E12、2E12、2.5E12、3E12、3.5E12、4E12、4.5E12、5E12、5.5E12、6E12、6.5E12、7E12、7.5E12、8E12、8.5E12、9E12または9.5E12のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、1E12〜1.5E12の間、1.5E12〜2E12の間、2E12〜2.5E12の間、2.5E12〜3.0E12の間、3.0E12〜3.5E12の間、3.5E12〜4.0E12の間、4.0E12〜4.5E12の間、4.5E12〜5.0E12の間、5.0E12〜5.5E12の間、5.5E12〜6.0E12の間、6.0E12〜6.5E12の間、6.5E12〜7.0E12の間、7.0E12〜7.5E12の間、7.5E12〜8.0E12の間、8.0E12〜8.5E12の間、8.5E12〜9.0E12の間、9.0E12〜9.5E12の間または9.5E12〜10E12の間のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、少なくとも1E12、1.5E12、2E12、2.5E12、3E12、3.5E12、4E12、4.5E12、5E12、5.5E12、6E12、6.5E12、7E12、7.5E12、8E12、8.5E12、9E12または9.5E12のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、1E12、1.5E12、2E12、2.5E12、3E12、3.5E12、4E12、4.5E12、5E12、5.5E12、6E12、6.5E12、7E12、7.5E12、8E12、8.5E12、9E12または9.5E12以下のベクターゲノムを含む。
一部の事例では、本開示の薬学的組成物の単位用量は、感染多重度(MOI)を使用して測定することができる。一部の事例では、MOIは、核酸(nucleic)が送達され得る細胞に対するベクターまたはウイルスゲノムの比または倍数を指すことができる。一部の事例では、MOIは、1×106であり得る。一部の事例では、MOIは、約1×105〜約1×107の間であり得る。一部の事例では、MOIは、1×104〜1×108であり得る。一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、少なくとも約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018MOIであり得る。一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、約1×108〜約1×1015MOIであり得る。一部の事例では、本開示の組換えウイルスは、多くても約1×101、1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017および1×1018MOIであり得る。一部の実施形態では、MOIは、1×1010〜2×1010の間、2×1010〜4×1010の間、3×1010〜5×1010の間、4×1010〜6×1010の間、5×1010〜7×1010の間、6×1010〜8×1010の間、7×1010〜9×1010の間、8×1010〜1011の間、1×1011〜2×1011の間、2×1011〜4×1011の間、3×1011〜5×1011の間、4×1011〜6×1011の間、5×1011〜7×1011の間、6×1011〜8×1011の間、7×1011〜9×1011の間、8×1011〜10×1011の間、1×1012〜3×1012の間、2×1012〜4×1012の間、3×1012〜5×1012の間、4×1012〜6×1012の間、5×1012〜7×1012の間、6×1012〜8×1012の間、7×1012〜9×1012の間、8×1012〜10×1012の間、1×1013〜5×1013の間、5×1013〜10×1013の間、1012〜5×1012の間、5×1012〜1×1013の間、7×1012〜1×1013の間、8×1012〜2×1013の間、9×1012〜2×1013の間、9×1012〜2×1013の間、9×1012〜4×1013の間、1×1013〜3×1013の間、1×1013〜2×1013の間、2×1013〜3×1013の間、3×1013〜4×1013の間、4×1013〜5×1013の間、5×1013〜6×1013の間、6×1013〜7×1013の間、7×1013〜8×1013の間、8×1013〜9×1013の間または8×1013〜1×1014の間である。
眼での使用に適した薬学的組成物は、無菌注射用溶液、懸濁物または分散物の即時調製のための無菌水性溶液または分散物および無菌粉末を含む。硝子体内投与のため、適した担体は、生理食塩水、静菌水、リン酸緩衝食塩水(PBS)および/または等張剤(isotonic agent)、例えば、グリセロールを含む。全事例では、薬学的組成物は、無菌でなければならず、容易にシリンジ使用可能(syringability)または注射可能(injectability)である程度まで流動性であるべきである。薬学的組成物は、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌等の微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。一部の実施形態では、薬学的組成物は、塩またはグリセロール等、等張剤を含むことができる。一部の実施形態では、界面活性物質または安定剤を薬学的組成物に添加して、凝集を防止する。
一部の実例では、賦形剤は、担体であり得る。担体は、例えば、水、食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールその他)およびこれらのいずれかの組み合わせを含有する溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散物の場合は要求される粒子サイズの維持により、ならびにポリソルベート(例えば、Tween(商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシ化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール(Triton X100(商標))、N,N−ジメチルドデシルアミン−N−オキシド、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HTAB)、ポリオキシル10ラウリルエーテル、Brij 721(商標)、胆汁酸塩(デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、プルロニック酸(F−68、F−127)、ポリオキシルヒマシ油(Cremophor(商標))ノニルフェノールエトキシレート(Tergitol(商標))、シクロデキストリンおよび塩化エチルベンゼトニウム(Hyamine(商標))等の界面活性物質の使用により、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、クレゾール、アスコルビン酸、チメロサールその他によって達成することができる。多くの場合、組成物に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい可能性がある。内部組成物の延長した吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによってもたらされ得る。一部の実施形態では、薬学的担体は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベートおよびスクロースを含む。一部の実施形態では、薬学的組成物は、ポリソルベート、ポロクサマーまたはプルロニック等、界面活性物質、例えば、非イオン性界面活性物質を含む。一部の実施形態では、非イオン性界面活性物質の添加は、懸濁物または溶液における凝集を低下させる。
一部の実施形態では、本開示に有用な薬学的組成物は、キット中に包装して、本開示の適用を容易にすることができる。一部の態様では、本方法は、本開示の組換え核酸(例えば、抗VEGF剤の核酸配列を含むrAAV)を含むキットを提供する。一部の態様では、本方法は、本開示の凍結乾燥形態の組換えウイルスおよび患者への投与前にウイルスを再構成するための溶液を含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、本開示の懸濁物形態の組換えウイルスおよび懸濁物を希釈するための溶液を含む。一部の実施形態では、懸濁物は、予め充填されたシリンジとして供給される。一部の実施形態では、懸濁物またはそのキットは、冷蔵されている。一部の実施形態では、懸濁物は、投与前に室温に温められる。一部の実施形態では、懸濁物は、投与前に均一な分布を確実にするために撹拌される。
一部の実施形態では、キットは、本明細書に提供される組換えウイルスと、組換えウイルスの治療有効量で被験体の眼または網膜細胞に投与するための指示とを含む。一部の態様では、キットは、組換えウイルスを投与するための薬学的に許容される塩または溶液を含む。任意選択で、キットは、ラベルまたは別個の挿入物の形態の、適した操作上のパラメータのための指示をさらに含むことができる。例えば、キットは、溶液もしくは懸濁物から単位用量の組換えウイルスを調製するおよび/または凍結乾燥された組成物をどのように再構成するかを医師または研究室の技術者に知らせる標準的な指示を有することができる。一部の実施形態では、任意選択で、キットは、シリンジ、フィルターニードル、延長チューブ、カニューレまたは網膜下注射器等、投与のためのデバイスをさらに含む。
一部の実施形態では、薬学的組成物は、冷蔵された懸濁物として提供される。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物は、シリンジおよび/または希釈用緩衝液を含み得るキット中に提供される。一部の実施形態では、冷蔵された懸濁物は、予め充填されたシリンジとして提供される。
一部の実施形態では、いずれか適した方法を、本明細書に記載されている薬学的組成物における使用のための組換えウイルス(例えば、rAAV)の生化学的精製において使用することができる。組換えAAVウイルスは、直接的に細胞からまたは細胞を含む培養培地から収集することができる。ウイルスは、rAAVウイルスの懸濁物を凍結乾燥または作製する前に、ゲル濾過、濾過、クロマトグラフィー、親和性精製、勾配超遠心分離またはサイズ排除方法等、様々な生化学的手段を使用して精製することができる。
適応症
一部の事例では、本明細書に記載されているバリアントカプシドタンパク質および治療用導入遺伝子を含むいずれかの血清型のrAAVビリオン、またはその薬学的組成物は、眼の新血管形成またはCNVに関連する眼状態または疾患を少なくとも部分的に好転させることができる。一部の実施形態では、カプシドバリアントタンパク質を含むrAAVビリオンは、ヒト被験体の眼への抗VEGF導入遺伝子の送達に使用される。
本明細書に記載されている遺伝子療法または薬学的組成物の適応症は、新生血管(滲出型)加齢性黄斑変性(AMD)、網膜静脈閉塞(RVO)後の黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞およびDME患者における糖尿病性網膜症(DR)を含む。一部の事例では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物を使用して、抗VEGF導入遺伝子が承認されたまたは適応となる眼状態または疾患を予防または処置することができる。一部の実施形態では、遺伝子療法(例えば、AAV2.7m8に基づく遺伝子療法)を使用して、CNV、滲出型AMD、乾性AMD、RVO後の黄斑浮腫、DME、およびDME患者における糖尿病性網膜症が挙げられるがこれらに限定されない、眼状態/疾患のための少なくとも1種の現在の標準治療に対して応答性である眼状態または疾患を処置または予防する。一部の実施形態では、rAAV遺伝子療法を使用して、新血管形成またはCNVによって特徴付けられるいずれかの眼状態または障害を処置または予防する。別の態様では、本開示は、例えば:AMD、DME、RVO、血管新生関連疾患、がん、自己免疫性疾患、感染性疾患生物その他等の疾患の処置のための本明細書に提供される薬学的組成物を提供する。
一部の実施形態では、眼状態は、糖尿病性黄斑浮腫であり得る。糖尿病性黄斑浮腫(DME)は、黄斑内の血管からの流体の漏出による、真性糖尿病における網膜の腫脹である。黄斑は、網膜の中心部分であり、これは、色を検出する特殊化された神経終末である錐体が豊富な小区域であり、昼間視力は錐体に依存する。黄斑浮腫が発達するにつれて、中心視野の中央またはすぐ横でぼやけが起こる。糖尿病性黄斑浮腫による失明は、数カ月間の期間にわたり進行し、明瞭に焦点を合わせることを不可能にし得る。DMEの一般的症状は、霧視、飛蚊症、複視であり、処置せずにおくと最終的に盲目となる。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、DMEの処置に使用される。
一部の実施形態では、眼状態は、網膜静脈閉塞であり得る。網膜静脈閉塞は、網膜から血液を運び出す小さい静脈の遮断である。網膜は、光の像を神経シグナルに変換し、これを脳に送る、眼の内側の背部にある組織の層である。網膜静脈閉塞は、ほとんどの場合、動脈の硬化(アテローム性動脈硬化)および血餅の形成に起因する。網膜におけるより小さい静脈(分枝状静脈またはBRVO)の遮断は、多くの場合、アテローム性動脈硬化によって肥厚または硬化した網膜動脈が交差し、網膜静脈に圧力をかける場所で起こる。網膜静脈閉塞の症状は、片眼の全体または一部における突発性のぼやけまたは視力喪失を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、網膜静脈閉塞の処置に使用される。
一部の実施形態では、眼状態は、滲出型AMDとしても公知の、脈絡膜新血管形成(CNV)であり得る。脈絡膜新血管形成は、ブルッフ膜における破損を通した、網膜色素上皮下(sub−RPE)または網膜下腔への、脈絡膜に起源をもつ新たな血管の成長を伴う場合があり、これは、失明の主原因となり得る。CNVは、数週間以内に認められる、中心視の突発性の増悪を生じることができる。起こり得る他の症状は、色覚障害および変形視症(直線が波形に見える歪み)を含む。新たな血管の出血は、CNVの症状の発病を加速することができる。CNVは、眼の奥の圧迫感を含むこともできる。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、新血管形成に関連するCNVまたは眼状態の処置に使用される。
進行型の「滲出型」形態(新生血管または滲出性)のAMDは、より一般的でないが、患者における中心視の急速で多くの場合実質的な喪失を高頻度で引き起こすことがある。滲出型形態のAMDにおいて、脈絡膜新血管形成は、網膜色素上皮の下およびそれを通って成長し得る血管のネットワークを形成および発達させる。これは、網膜下腔への血漿の漏出および/または出血を伴うため、黄斑において起こる場合、中心視の重篤な突発性の喪失が存在し得る。用語「AMD」は、他に明記されていなければ、乾性AMDまたは滲出型AMDのいずれかであり得る。本開示は、AMD、滲出型AMDおよび/または乾性AMDの処置または予防を考慮する。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、AMDの処置に使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、ラニビズマブまたはベバシズマブ等の現在の標準治療または承認された治療法のうち少なくとも1種に対して応答性である眼疾患または状態の予防または処置に使用される。一部の実施形態では、患者は、抗VEGF遺伝子療法の投与を受けるまたはそれに適格となる前に、ラニビズマブ、ベバシズマブ、および眼疾患もしくは状態のための他のいずれかの承認された治療薬のうちいずれか1種またはこれらの任意の組み合わせで前処置されている。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物、すなわち、抗VEGF剤を含むAAV遺伝子療法は、カラー眼底写真撮影によるCNV形成後のグレードIV病変のパーセンテージによって測定された場合に、ビヒクルまたは緩衝液対照と比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%の、新血管形成またはCNVの低下をもたらす。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物、すなわち、抗VEGF剤を含むAAV遺伝子療法は、カラー眼底写真撮影によるCNV形成後のグレードIV病変のパーセンテージによって測定された場合に、承認された治療法に匹敵する、新血管形成またはCNVの低下をもたらす。一部の実施形態では、CNVの低下または治療効果は、遺伝子療法に基づかない注射またはタンパク質注射と比較して、抗VEGF剤を含む遺伝子療法の投与により、より長く持続する。
一部の事例では、rAAVビリオンまたはその薬学的組成物は、眼状態、疾患またはこれらの組み合わせを少なくとも部分的に好転させることができる。一部の実例では、眼状態または疾患は、眼の新血管形成に関連することができる。一部の事例では、眼状態または疾患は、本開示の抗VEGF剤に対して応答性であるかまたはそれによって処置可能である、いずれかの状態または疾患である。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子療法は、例えば、異常VEGFおよび/またはVEGFR活性または発現、AMD、糖尿病性網膜症および子癇前症の結果としての異常新血管形成が関与する、いずれかの眼疾患または状態の処置に使用される。一部の実施形態では、遺伝子療法における抗VEGF剤は、VEGF−A、B、C、Dおよび胎盤増殖因子(PIGF)、またはこれらのいずれかの組み合わせもしくはバリアントを含む、哺乳動物におけるVEGFファミリーのメンバーを阻害するまたはこれに干渉する薬剤である。一部の実施形態では、遺伝子療法における抗VEGF剤は、in vivoにおける血管新生に関する追加的な適応症に対する治療特性を有することもできる、VEGF関連タンパク質のうちいずれか1種、例えば、一部のウイルスによって発現されるVEGF−Eおよび一部のヘビの毒液に見出されるVEGF−Fを阻害するまたはこれに干渉する薬剤である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、in vivoで胎盤増殖因子(PIGF)に干渉する、これに結合する、またはこれを阻害することもできる。
使用方法
一部の実施形態では、本開示は、病理学的血管新生関連眼疾患を処置するための方法であって、斯かる処置を必要とするヒト被験体に薬学的に有効な量の本明細書に提供される薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、疾患は、加齢性黄斑変性(AMD)、滲出型AMD、乾性AMD、網膜新血管形成、脈絡膜新血管形成糖尿病性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、網膜中心静脈閉塞、網膜静脈分枝閉塞、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜虚血、虚血性網膜症および糖尿病性網膜浮腫ならびにこれらのいずれかの組み合わせを含む眼性新生血管疾患の群から選択される。
一部の実施形態では、バリアントカプシドタンパク質(例えば、rAAV.7m8)および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含むrAAVを含む薬学的組成物は、乾性AMDおよび滲出型AMDを含むAMDの処置または予防に使用される。一部の実施形態では、バリアントカプシドタンパク質(例えば、rAAV.7m8)および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含むrAAVを含む薬学的組成物は、CNVの処置もしくは予防またはグレードIV CNV病変の低下に使用される。一部の実施形態では、バリアントカプシドタンパク質(例えば、rAAV.7m8)および抗VEGF剤をコードする核酸配列を含むrAAVを含む薬学的組成物は、AMD、滲出型AMD、乾性AMD、網膜新血管形成、脈絡膜新血管形成糖尿病性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞、網膜中心静脈閉塞、網膜静脈分枝閉塞、RVO、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜虚血、虚血性網膜症および糖尿病性網膜浮腫、DME患者におけるDRならびにこれらのいずれかの組み合わせのうちいずれか1種の処置または予防に使用される。
一部の実施形態では、AMD、DME、RVOまたはDRを処置する方法は、抗VEGF剤、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブの核酸配列を含む遺伝子療法を患者に投与する前に、承認された治療法、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ注射で同患者を前処置するステップを含む。一部の実施形態では、患者は、本明細書に開示されている抗VEGF遺伝子療法の一度限りの用量を受ける前に、承認された治療法で前処置される。一部の実施形態では、患者は、本明細書に開示されている抗VEGF遺伝子療法の一度限りの用量を受ける前に、ラニビズマブまたはベバシズマブ注射のうちいずれか1種に対して応答性である。一部の実施形態では、ラニビズマブもしくはベバシズマブのいずれか1種に対して応答性である患者、またはラニビズマブもしくはベバシズマブのうち1種で前処置された患者は、本明細書に開示されているラニビズマブまたはベバシズマブ遺伝子療法で処置され、患者がAMDのためのこれらの処置のいずれも受けない少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間もしくはそれよりも長いまたは1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間を超えるもしくはそれよりも長い期間が続く。一部の事例では、患者が、ラニビズマブまたはベバシズマブ遺伝子療法の硝子体内注射を受けた後に、患者は、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間またはそれよりも長い期間が経過するまで、ラニビズマブもしくはベバシズマブタンパク質注射または別の承認された治療法を受けることを開始しない。
一部の実施形態では、本明細書に開示されているラニビズマブもしくはベバシズマブ遺伝子療法または他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法は、一度限りの投与である。一部の実施形態では、患者が、本明細書に開示されているラニビズマブまたはベバシズマブ遺伝子療法の単位用量を受けた後に、患者は、他のいずれかの承認されたタンパク質に基づく治療薬の使用を必要としない。
一部の事例では、CNVまたはAMDのための承認された治療法の反復した注射に伴う有害作用、例えば、炎症または細菌感染を経験する患者は、本明細書に開示されている抗VEGF遺伝子療法またはラニビズマブもしくはベバシズマブ遺伝子療法による処置の候補であり得る。一部の事例では、遺伝子療法は、患者の生涯で1回のみの注射を要求するため、または少なくとも2、5、10、20、30、40もしくは50年間で1回以下与えられるため、斯かるリスクは、遺伝子療法においてより低い。一部の事例では、遺伝子療法の治療効果は、より長く持続し、一度限りの遺伝子療法注射の費用は、タンパク質の複数の反復した注射の合わせた費用よりも低くなり得るため、本明細書に開示されている抗VEGF遺伝子療法またはラニビズマブもしくはベバシズマブ遺伝子療法による処置は、タンパク質に基づく注射よりも対費用効果が高くなることができる。
また、服薬非遵守(例えば、患者が、1回または複数の予定された注射を忘れるまたは見逃す場合)は、視力喪失および眼疾患または状態の増悪をもたらし得るため、反復した注射を要求しないことにより、遺伝子療法は、反復した注射を要求する治療法に伴う患者服薬遵守およびアドヒアランスの課題に取り組む。投与のために診療所への反復したまたは高頻度の来診を要求する処置レジメンに対する服薬非遵守およびノンアドヒアランスの比率は、AMDによって最も影響を受ける高齢患者の間でより高い。したがって、例えば、一度限りの硝子体内注射としての遺伝子療法による患者の眼への抗VEGF剤の送達は、患者により便利な処置選択肢をもたらし、服薬非遵守およびノンアドヒアランスの問題に取り組むことにより患者転帰を改善することができる。
一部の実施形態では、使用方法は、現在の標準治療と考慮される承認された薬物、例えば、ラニビズマブ注射またはベバシズマブ注射でヒト患者または被験体を前処置するステップと、ラニビズマブまたはベバシズマブに対する患者の応答性を決定するステップと、承認された治療法に対して応答性である患者に本明細書に記載されている抗VEGF遺伝子療法を投与するステップとを含む。承認された治療法または現在の標準治療に対する患者の応答性の決定として、血液検査、イムノアッセイ、ex vivo実験、または患者へのラニビズマブもしくはベバシズマブタンパク質注射の投与、およびラニビズマブもしくはベバシズマブに対する患者の応答性のアッセイを挙げることができるがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗VEGF遺伝子療法の使用方法は、薬物のラベルに従って、本明細書に記載されている凍結乾燥形態の薬学的組成物(すなわち、抗VEGF核酸配列を含むrAAV2.7m8)を再構成するステップと、被験体またはヒト患者に前記再構成された抗VEGF遺伝子療法を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗VEGF遺伝子療法の使用方法は、薬物のラベルに従って本明細書に記載されている薬学的組成物の懸濁物を投与するステップと、被験体またはヒト患者に抗VEGF遺伝子療法の前記懸濁物を投与するステップとを含む。一部の実施形態では、懸濁物を投与するための追加的なステップは、使用前に懸濁物を撹拌するステップおよび/または懸濁物を室温に温めるステップを含む。
一部の実施形態では、斯かるヒト患者は、承認されたタンパク質注射または現在の標準治療、例えば、ラニビズマブ注射またはベバシズマブ注射で前処置された。一部の実施形態では、斯かる患者は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10年間もしくはそれよりも長い期間に、rAAV2.7m8−ラニビズマブ遺伝子療法の1回以下の注射もしくは投与を受ける;または2、3、4、5、6、7、8、9、10年間を超えるもしくはそれよりも長い期間内に、rAAV2.7m8−ラニビズマブ遺伝子療法の1回以下の注射もしくは投与を受ける。
一部の実施形態では、眼状態または疾患を予防または処置する方法であって、それを必要とする個体、例えば、承認された薬物に対して応答性の眼状態または疾患を有する個体に、本明細書に記載されている抗VEGF剤、例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブをコードする核酸配列を含む有効量のrAAVビリオンまたはその薬学的組成物を投与するステップを含む方法も、本明細書に開示されている。一部の実施形態では、rAAV2.7m8−ラニビズマブビリオンは、眼内注射、硝子体内注射、網膜下注射または個体の眼への他のいずれかの便利な投与様式もしくは経路により投与することができる。他の便利な投与様式または経路は、例えば、静脈内、外用、点眼等を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法および薬学的組成物は、硝子体内注射による投与を伴う。
本明細書に記載されている「治療有効量」は、臨床治験により決定することができる、比較的広範囲であり得る。眼への直接的な注射または硝子体内注射のため、治療有効用量は、およそ1011〜1012または1012〜1013のベクターゲノムの7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法であり得る。一部の実施形態では、7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法の単位用量または治療有効量は、1010〜1011の間、1011〜1012の間、1010〜1012の間、1012〜1013の間、1011〜1013の間、1012〜1013の間、1012〜1014の間、1011〜1014の間、1011〜1015の間、1012〜1015の間、1013〜1014の間、1014〜1015の間、1015〜1016の間、1016〜1017の間、1017〜1018の間、1018〜1019の間または1019〜1020の間のベクターゲノムである。一部の実施形態では、本開示の7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法を含む薬学的組成物の単位用量は、1×1010〜2×1010の間、2×1010〜3×1010の間、3×1010〜4×1010の間、4×1010〜5×1010の間、5×1010〜6×1010の間、6×1010〜7×1010の間、7×1010〜8×1010の間、8×1010〜9×1010の間、9×1010〜10×1010の間、1×1011〜2×1011の間、2×1011〜3×1011の間、2×1011〜2.5×1011の間、2.5×1011〜3×1011の間、3×1011〜4×1011の間、4×1011〜5×1011の間、5×1011〜6×1011の間、6×1011〜7×1011の間、7×1011〜8×1011の間、8×1011〜9×1011の間、9×1011〜10×1011の間、1×1012〜2×1012の間、2×1012〜3×1012の間、2.5×1012〜3×1012の間、3×1012〜4×1012の間、4×1012〜5×1012の間、5×1012〜6×1012の間、6×1012〜7×1012の間、7×1012〜8×1012の間、8×1012〜9×1012の間、9×1012〜10×1012の間、1×1013〜2×1013の間、2×1013〜3×1013の間、3×1013〜4×1013の間、4×1013〜5×1013の間、5×1013〜6×1013の間、6×1013〜7×1013の間、7×1013〜8×1013の間、8×1013〜9×1013の間または9×1013〜10×1013の間のベクターゲノムである。一部の実施形態では、本開示の7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法の単位用量は、2.1×1011〜2.1×1012の間のベクターゲノムである。一部の実施形態では、本開示のrAAVの単位用量は、1010〜1013の間、1010〜1011の間、1011〜1012の間、1012〜1013の間または1013〜1014の間のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、本開示の7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法の単位用量は、1×1010〜2×1010の間、2×1010〜4×1010の間、3×1010〜5×1010の間、4×1010〜6×1010の間、5×1010〜7×1010の間、6×1010〜8×1010の間、7×1010〜9×1010の間、8×1010〜1011の間、1×1011〜2×1011の間、2×1011〜4×1011の間、3×1011〜5×1011の間、4×1011〜6×1011の間、5×1011〜7×1011の間、6×1011〜8×1011の間、7×1011〜9×1011の間、8×1011〜10×1011の間、1×1012〜3×1012の間、2×1012〜4×1012の間、3×1012〜5×1012の間、4×1012〜6×1012の間、5×1012〜7×1012の間、6×1012〜8×1012の間、7×1012〜9×1012の間、8×1012〜10×1012の間、1×1013〜5×1013の間、5×1013〜10×1013の間、1012〜5×1012の間、5×1012〜1×1013の間、7×1012〜1×1013の間、8×1012〜2×1013の間、9×1012〜2×1013の間、9×1012〜2×1013の間、9×1012〜4×1013の間、1×1013〜3×1013の間、1×1013〜2×1013の間、2×1013〜3×1013の間、3×1013〜4×1013の間、4×1013〜5×1013の間、5×1013〜6×1013の間、6×1013〜7×1013の間、7×1013〜8×1013の間、8×1013〜9×1013の間または8×1013〜1×1014の間のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、5〜10年間の期間内にヒト患者または被験体に注射される7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法の総量は、1010〜1013、1010〜1011、1011〜1012、1012〜1013もしくは1013〜1014以下のベクターゲノム、または1×1010〜2×1010、2×1010〜4×1010、3×1010〜5×1010、4×1010〜6×1010、5×1010〜7×1010、6×1010〜8×1010、7×1010〜9×1010、8×1010〜1011、1×1011〜2×1011、2×1011〜4×1011、3×1011〜5×1011、4×1011〜6×1011、5×1011〜7×1011、6×1011〜8×1011、7×1011〜9×1011、8×1011〜10×1011、1×1012〜3×1012、2×1012〜4×1012、3×1012〜5×1012、4×1012〜6×1012、5×1012〜7×1012、6×1012〜8×1012、7×1012〜9×1012、8×1012〜10×1012、1×1013〜5×1013、5×1013〜10×1013、1012〜5×1012、5×1012〜1×1013、7×1012〜1×1013、8×1012〜2×1013、9×1012〜2×1013、9×1012〜2×1013、9×1012〜4×1013、1×1013〜3×1013、1×1013〜2×1013、2×1013〜3×1013、3×1013〜4×1013、4×1013〜5×1013、5×1013〜6×1013、6×1013〜7×1013、7×1013〜8×1013、8×1013〜9×1013または8×1013〜1×1014以下のベクターゲノムである。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている薬学的組成物の治療有効量は、2E12〜6E12の間のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、約1E12、1.5E12、2E12、2.5E12、3E12、3.5E12、4E12、4.5E12、5E12、5.5E12、6E12、6.5E12、7E12、7.5E12、8E12、8.5E12、9E12または9.5E12のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、1E12〜1.5E12の間、1.5E12〜2E12の間、2E12〜2.5E12の間、2.5E12〜3.0E12の間、3.0E12〜3.5E12の間、3.5E12〜4.0E12の間、4.0E12〜4.5E12の間、4.5E12〜5.0E12の間、5.0E12〜5.5E12の間、5.5E12〜6.0E12の間、6.0E12〜6.5E12の間、6.5E12〜7.0E12の間、7.0E12〜7.5E12の間、7.5E12〜8.0E12の間、8.0E12〜8.5E12の間、8.5E12〜9.0E12の間、9.0E12〜9.5E12の間または9.5E12〜10E12の間のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、少なくとも1E12、1.5E12、2E12、2.5E12、3E12、3.5E12、4E12、4.5E12、5E12、5.5E12、6E12、6.5E12、7E12、7.5E12、8E12、8.5E12、9E12または9.5E12のベクターゲノムを含む。一部の実施形態では、単位用量は、1E12、1.5E12、2E12、2.5E12、3E12、3.5E12、4E12、4.5E12、5E12、5.5E12、6E12、6.5E12、7E12、7.5E12、8E12、8.5E12、9E12、9.5E12または10E12以下のベクターゲノムを含む。
一部の実施形態では、単位用量のためにより低い濃度(例えば、ベクターゲノム)を使用して、より高い濃度で起こり得る凝集を防止する。一部の実施形態では、単位用量のためにより高い濃度、例えば、より多いベクターゲノムを選択して、遺伝子療法の有効性を増加させる、または遺伝子療法の1回の注射もしくは一度限りの投与における抗VEGF導入遺伝子の送達を最大化する。一部の実施形態では、より高い濃度の本明細書に開示されている薬学的組成物は、より少ない容量の注射を可能にし、これにより、硝子体内注射に伴う有害作用、例えば、上昇した眼内圧、炎症、刺激または疼痛を低下させることができる。
一部の実施形態では、7m8−ラニビズマブもしくは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法またはその薬学的組成物は、単一用量または一度限りの用量として投与することができる。一部の実施形態では、2回以上の投与を用いて、様々な間隔の持続した期間にわたる所望のレベルの遺伝子発現を達成することができる、例えば、少なくとも2年間または少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10年間もしくはそれよりも長い期間で1回以下。一部の実施形態では、7m8−ラニビズマブまたは他のいずれかの抗VEGF遺伝子療法の硝子体内注射は、少なくとも1年間または2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30年間もしくはそれよりも長い期間、患者が承認されたタンパク質注射を受ける必要をなくす。
(実施例1:サルにおける7m8−sVEGFR−1の効能評価)
目的:アフリカミドリザルにおけるレーザー光凝固によって誘導される脈絡膜新血管形成(CNV)の発達を阻害するための、2×1012vgでの硝子体内(IVT)投与の後の7m8−sFLT−1の効能を評価すること。さらなる目的は、眼の組織における限局性sFLT−1発現を評価することであってもよい。
サルにおけるCNV病変モデルは、滲出型AMDなどの新血管形成に関連する眼疾患を処置するための療法の潜在的効能を評価するための標準の霊長類モデルとして一般的に容認され、広く使われている。
被験体の補充:眼圧測定、細隙灯生体顕微鏡検査法、眼底検査、カラー眼底写真撮影(CFP)、蛍光血管造影(FA)および光干渉断層撮影(OCT)によって眼および全般的な健康状態を評価するために、サルはベースラインスクリーニングを受けた。正常な所見を有する39頭の動物を研究に登録し、ベースライン体重および性別によって4つの処置群に無作為化した(表1)。ベースライン検査の後、アトロピン1%眼軟膏を塗布した。
処置スケジュールに従って研究の0日目に群1〜2のサルはIVT AAV2.7m8−sFLT−1またはビヒクルOUを受けた(表1)。IVT投薬の前に、局所的局部麻酔を投与し(0.5%プロパラカイン)、眼を5%Betadineで消毒し、無菌のノーマルセーラインですすいだ。硝子体中心を標的として、下の耳側四半部(temporal quadrant)の縁から2mm後方に置かれた31ゲージ0.5インチの針を使用してIVT注射を投与することができる。
全てのIVT注射の後に、0.3%シプロフロキサシンまたは同等の抗生物質眼科用液剤、および1%硫酸アトロピン軟膏の局所投与を行うことができる。
56日目に、レーザー熱傷により耳側血管アーケードの間でCNVを誘導した。Iridex Oculight TX 532nmレーザーを100msのレーザー持続期間、スポットサイズ50μm、出力750mWで用いて、眼科医が9つのレーザースポットを各眼に対称的に置いた。レーザースポットは、0.9×接触レーザーレンズを使用して適用した。レーザースポット配置の間の参照のためにレーザー処置の前(および、ブレブ配置の後)に得られたカラー眼底画像の上に、レーザースポットの標的位置を訓練された眼科医がマッピングした。レーザー病変を記録するために、レーザー処置の直後にカラー眼底写真撮影を実行した。レーザー直後に重度の網膜/網膜下出血を示すいかなるスポットも、分析から排除した。図1は、レーザー照射によるCNV病変の誘導の後の、非ヒト霊長類の眼の例示的な眼底写真を図示する。
網膜の両側のカラー眼底画像は、Topcon TRC−50EX網膜カメラをCanon 6Dデジタル画像化ハードウェアおよびNew Vision Fundus Image Analysis Systemソフトウェアと一緒に使用して、窩を中心にした50度の視野で捕捉した。10%フルオレセインナトリウムの0.1mL/kgの静脈内投与で、FAを実行した。CNV病変の血管撮影図におけるフルオレセイン漏出は、画像強度の均一な調整の後に生成されるコンポジットを評価するマスキングされた眼科医によってグレード分けされた(I〜IV;表2)。病変のグレード分け評価は、2名の他の訓練された眼科医によって眼底の画像で確認された。ImageJソフトウェアを使用して、後期の未加工血管撮影図の画像蛍光デンシトメトリー分析を実行することもできる。
全般的な健康について、被験体を1日に2回評価した。1週間に1回、詳細な観察を実行した。ベースラインスクリーニング時および生存中の研究の間の2週ごとに体重を得た。
85日目に、または画像の検査を保留する場合は85日目より少し後に、眼底画像化の質を確認してから、全ての動物をペントバルビタールで安楽死させた。次いで動物をペントバルビタールで安楽死させ、眼球を摘出した。過剰な眼窩組織は切り取り、ODおよびOS眼球の両方を液体窒素で瞬間凍結させ、次いで、室温で凍結組織平面に沿って切開し、脈絡膜部分組織(choroidal sub-tissue)と一緒に硝子体および網膜を単離した。硝子体の収集の後、RPE/脈絡膜と一緒の神経網膜の5mmのパンチを黄斑ならびに上部、下部、耳側および鼻側の領域から採取した。余地があるときは、さらなる周辺のパンチを行った。各パンチからの、根底にあるRPE/脈絡膜組織を伴う網膜を、事前に風袋を計測したラベル付きの低温チューブに移し、秤量し、液体窒素で瞬間凍結させた。パンチ生検の収集の前後に、パンチが収集された領域を記録するために、平らにマウントした網膜の写真を配向の表示と一緒に撮影した。
統計的方法:異なる病変グレードの発生数を評価するために、フィッシャー直接検定を使用した。OCT CNV複合エリアおよび血管撮影図画像デンシトメトリーデータを分析するために、反復測定による二元ANOVAおよび続くチューキー−クレイマー検定またはコントラスト法(contrast procedure)を使用した。データが正規分布せず、不均一な分散を有する場合、ノンパラメトリック検定を適用した。0.05またはそれ未満のP値は、統計的に有意とみなした。
図3は、AAV2.7m8−sVEGFR−1または製剤緩衝液だけを含むビヒクル対照のいずれかを硝子体内注射した第3群および第4群の動物の、14および28日目のグレードIV病変のパーセンテージのプロットを図示する。試験被験体の各群において注射の直後にレーザー照射によってCNV病変を誘導し、各病変をI〜IVのスケールでグレード分けするためにカラー眼底写真撮影を使用した。硝子体内投与したときの14日目に収集された眼底画像について、AAV2.7m8−sVEGFR−1で処置したサルは、ビヒクル単独の投与と比較してグレードIV病変の量のわずかな減少を示した。28日目には、硝子体内のAAV2.7m8−sFLT−1で処置したサルは、ビヒクル単独の投与と比較してグレードIV病変の量の顕著な減少を示さなかった。
(実施例2:サルにおける7m8−ラニビズマブの効能評価)
同じプロトコールならびにAAV2のカプシドタンパク質VP1の位置587および588の間に挿入された7m8配列およびラニビズマブをコードする核酸配列を含むrAAV2であるAAV2.7m8−ラニビズマブを使用して、実施例1に記載のものと類似のin vivo研究をサルにおいて実行した。
図4に図示する通り、硝子体内投与されたAAV2.7m8−ラニビズマブは、レーザーによって誘導されるグレードIV CNV病変の発生を阻止した。AAV2.7m8−ラニビズマブ、ラニビズマブ単独(陽性対照)または製剤緩衝液を含むビヒクル対照を、2×1012vgの用量で硝子体内注射により非ヒト霊長類の眼に投与した。次いで全ての群においてレーザー照射によってCNV病変を誘導し、各病変をI〜IVのスケールでグレード分けするためにカラー眼底写真撮影を使用した。次いでグレードIV病変のパーセンテージの測定値を平均して、プロットした。14日目(薄灰色バー)および28日目(暗灰色バー)には、AAV2.7m8−ラニビズマブは、in vivoにおいてCNV病変をラニビズマブ単独と同等のレベルに大幅に低減した。
サルにおけるこれらのin vivo研究は、AAV2.7m8−ラニビズマブがヒトのための実行可能な遺伝子療法選択肢であり得ることを示唆した。