ここで、組成物及び方法のある特定の実施形態に言及する。開示される実施形態は、特許請求の範囲を制限することを企図しない。それとは反対に、特許請求の範囲は、あらゆる代替、改変及び均等物を包含することを企図する。
以下に説明する目的のために、本開示によって提供される実施形態では、明確に反対のことが示されている場合を除き、様々な代替変更形態及び工程順序を想定し得ることを理解すべきである。さらに、実施例又は別段示されている場合以外、例えば、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量を表すあらゆる数字は、あらゆる場合において「約」という用語によって修正されると理解すべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは近似であり、得られる所望の特性に応じて変わり得る。各数値パラメータは、少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の原則の適用を制限しようとするものではなく、報告された有効桁数を考慮して通常の四捨五入技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータが近似であるにもかかわらず、具体例に記載される数値は、可能な限り正確に記録されている。しかし、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定に見出される標準偏差からどうしても生じてしまうある特定の誤差を本来的に含有している。
また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、それに包含されるあらゆる部分範囲を含むことを企図すると理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲は、記載される最小値である1と、記載される最大値である10の間(両端を含む)のあらゆる部分範囲を含み、すなわち、最小値が1以上であり、最大値が10以下である範囲を企図する。また本願では、「又は」の使用は、「及び/又は」がある特定の場合において明示的に使用され得るとしても、別段特に記載されない限り「及び/又は」を意味する。
2つの文字又は記号の間にないダッシュ(「−」)は、置換基のための又は2個の原子の間の共有結合点を示すために使用される。例えば、化学基−CONH2は、炭素原子を介して、別の化学的部分に共有結合によって結合している。ある特定の場合、「−」という表現は、結合点を示すために使用される。
「アルカンアレーン」は、1つ又は複数のアリール基及び/又はアレーンジイル基、並びに1つ又は複数のアルキル基及び/又はアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、ここで、アリール、アレーンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書で定義される。各アリール基及び/又はアレーンジイル基(単数又は複数)は、C6〜12、C6〜10、フェニル又はベンゼン−ジイルであり得る。各アルキル基及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)は、C1〜6、C1〜4、C1〜3、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルであり得る。アルカンアレーン基は、C4〜18アルカンアレーン、C4〜16アルカンアレーン、C4〜12アルカンアレーン、C4〜8アルカンアレーン、C6〜12アルカンアレーン、C6〜10アルカンアレーン、又はC6〜9アルカンアレーンであり得る。アルカンアレーン基の例として、ジフェニルメタンが挙げられる。
「アルカンアレーンジイル」は、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。アルカンアレーンジイル基は、C4〜18アルカンアレーンジイル、C4〜16アルカンアレーンジイル、C4〜12アルカンアレーンジイル、C4〜8アルカンアレーンジイル、C6〜12アルカンアレーンジイル、C6〜10アルカンアレーンジイル、又はC6〜9アルカンアレーンジイルであり得る。アルカンアレーンジイル基の例として、ジフェニルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
「アルカンジイル」は、例えば、1〜18個の炭素原子(C1〜18)、1〜14個の炭素原子(C1〜14)、1〜6個の炭素原子(C1〜6)、1〜4個の炭素原子(C1〜4)、又は1〜3個の炭素原子(C1〜3)を有する、飽和、分岐又は直鎖、非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分岐アルカンジイルは、最少で3個の炭素原子を有することが理解されよう。アルカンジイルは、C2〜14アルカンジイル、C2〜10アルカンジイル、C2〜8アルカンジイル、C2〜6アルカンジイル、C2〜4アルカンジイル、又はC2〜3アルカンジイルであり得る。アルカンジイル基の例として、メタン−ジイル(−CH2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH2CH2−)、プロパン−1,3−ジイル及びイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH2CH2CH2−及び−CH(CH3)CH2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH2CH2CH2CH2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH2CH2CH2CH2CH2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、並びにデカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルが挙げられる。
「アルカンシクロアルカン」は、1つ又は複数のシクロアルキル基及び/又はシクロアルカンジイル基、並びに1つ又は複数のアルキル基及び/又はアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、ここで、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書で定義される。各シクロアルキル基及び/又はシクロアルカンジイル基(単数又は複数)は、C3〜6、C5〜6、シクロヘキシル又はシクロヘキサンジイルであり得る。各アルキル基及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)は、C1〜6、C1〜4、C1〜3、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルであり得る。アルカンシクロアルカン基は、C4〜18アルカンシクロアルカン、C4〜16アルカンシクロアルカン、C4〜12アルカンシクロアルカン、C4〜8アルカンシクロアルカン、C6〜12アルカンシクロアルカン、C6〜10アルカンシクロアルカン、又はC6〜9アルカンシクロアルカンであり得る。アルカンシクロアルカン基の例として、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン及びシクロヘキシルメタンが挙げられる。
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。アルカンシクロアルカンジイル基は、C4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、又はC6〜9アルカンシクロアルカンジイルであり得る。アルカンシクロアルカンジイル基の例として、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル及びシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
「アルケニル」は、−C(−R)=CR2構造を有する基を指し、ここで、アルケニル基は末端基であり、分子に結合している。このような実施形態では、各Rは、例えば、水素及びC1〜3アルキルから選択され得る。各Rは、水素であり得、アルケニル基は、−CH=CH2構造を有する。
「アルコキシ」は、−OR基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるアルキルである。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、及びn−ブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、C1〜8アルコキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜4アルコキシ、又はC1〜3アルコキシであり得る。
「アルキル」は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する、飽和、分岐又は直鎖、非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分岐アルキルは、最少で3個の炭素原子を有することが理解されよう。アルキル基は、C1〜6アルキル、C1〜4アルキル、又はC1〜3アルキルであり得る。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、及びテトラデシルが挙げられる。アルキル基は、C1〜6アルキル、C1〜4アルキル、又はC1〜3アルキルであり得る。分岐アルキルは、少なくとも3個の炭素原子を有することが理解されよう。
「アリール」は、親の芳香環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された、一価の芳香族炭化水素ラジカルを指す。アリールは、5員及び6員の炭素環式芳香環、例えばベンゼン、二環式環系(ここで、少なくとも1つの環は、炭素環式及び芳香族であり、例えばナフタレン、インダン及びテトラリン)、並びに三環式環系(ここで、少なくとも1つの環は、炭素環式及び芳香族であり、例えばフルオレン)を包含する。アリールは、少なくとも1つの炭素環式芳香環、シクロアルキル環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合した少なくとも1つの炭素環式芳香環を有する多環系を包含する。例えば、アリールには、N、O、及びSから選択された1つ又は複数のヘテロ原子を含有する5〜7員のヘテロシクロアルキル環に縮合した、5員及び6員の炭素環式芳香環が含まれる。環の一方だけが炭素環式芳香環である、このような縮合した二環式環系では、結合点は、炭素環式芳香環又はヘテロシクロアルキル環にあり得る。アリール基の例として、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、及びトリナフタレンから誘導された基が挙げられる。アリール基は、6〜20個の炭素原子、又は6〜12個の炭素原子を有することができる。しかしアリールは、本明細書で別個に定義されるヘテロアリールを包含せず、又はヘテロアリールと重複しない。したがって、1つ又は複数の炭素環式芳香環がヘテロシクロアルキル芳香環に縮合している多環系は、ヘテロアリールであり、本明細書で定義されるアリールではない。アリール基は、フェニルである。
「アリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1つがアリール基で置き換えられている、非環式アルキルラジカルを指す。アリールアルキル基の例として、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、及び2−ナフトフェニルエタン−1−イルが挙げられる。特定のアルキル部分が企図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニルの命名法が使用される。アリールアルキル基は、C7〜16アリールアルキルであり得、例えばアリールアルキル基のアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分は、C1〜6であり得、アリール部分は、C6〜10である。アリールアルキル基は、C7〜9アリールアルキルであり得、ここで、アルキル部分は、C1〜3アルキルであり、アリール部分は、フェニルである。アリールアルキル基は、C7〜16アリールアルキル、C7〜14アリールアルキル、C7〜12アリールアルキル、C7〜10アリールアルキル、C7〜8アリールアルキル、又はベンジルであり得る。
「硬化性組成物」は、反応して硬化した組成物を形成することができる少なくとも2つの反応物を含む組成物を指す。例えば、硬化性組成物は、反応して硬化したポリマー網目構造を形成することができるチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー及びポリエポキシドを含み得る。硬化性組成物は、硬化反応のための触媒、並びに例えばフィラー、顔料及び接着促進剤などの他の構成要素を含み得る。硬化性組成物は、室温及び湿度などの周囲条件において硬化性であり得るか、又は硬化反応を開始且つ/若しくは促進する高温、湿気若しくは他の条件に曝露する必要があり得る。硬化性組成物は、最初に、ベース構成要素及び促進剤構成要素を含む二成分組成物として提供され得る。ベース組成物は、硬化反応に関与する反応物の1つ、例えばチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含有することができ、促進剤組成物は、ポリエポキシドなどのその他の反応物を含有することができる。2つの組成物は、使用直前に混合して、硬化性組成物を提供することができる。硬化性組成物は、特定の適用方法に適した粘度を示し得る。例えば、刷毛で塗る適用に適したクラスAのシーラント組成物は、150ポワズ〜500ポワズの粘度によって特徴付けることができる。隅肉シール(fillet seal)適用に適したクラスBのシーラント組成物は、8,000ポワズ〜16,000ポワズの粘度によって特徴付けることができる。精密接合シール(fay seal)適用に適したクラスCのシーラント組成物は、1,000ポワズ〜4,000ポワズの粘度によって特徴付けることができる。2つの組成物が合わされ、混合された後、硬化反応は進行することができ、硬化性組成物の粘度は増大することができ、ある時点で、硬化性組成物はもはや機能しなくなる。2つの構成要素を混合して硬化性組成物を形成する時点と、硬化性組成物がその所期の目的のために表面にもはや適切に適用できなくなる時点との間の期間は、可使時間と呼ばれる。理解され得る通り、可使時間は、例えば、硬化化学、適用方法、及び温度を含めたいくつかの因子に応じて変わり得る。この可使時間は、ポットライフと呼ぶこともできる。硬化性組成物が表面に適用されると(及び適用中)、硬化反応が進行して、硬化した組成物を提供する。硬化した組成物は、粘着性がない表面になり、ある一定期間にわたって完全に硬化する。硬化性組成物は、表面に粘着性がなくなると硬化したとみなすことができ、又は表面のショアA硬度が20になり、ショアA30になり、若しくはショアA40になると硬化したとみなすことができる。組成物は、ある特定のショアA硬度に硬化するが、シーラントは、時間をかけて完全に硬化することができ、その時間は数日間から数週間であり得ることが理解されよう。
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカル飽和単環式又は多環式炭化水素基を指す。シクロアルカンジイル基は、C3〜12シクロアルカンジイル、C3〜8シクロアルカンジイル、C3〜6シクロアルカンジイル、又はC5〜6シクロアルカンジイルであり得る。シクロアルカンジイル基の例として、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、及びシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
「シクロアルキル」は、飽和単環式又は多環式炭化水素モノラジカル基を指す。シクロアルキル基は、C3〜12シクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル、又はC5〜6シクロアルキルであり得る。
「ヘテロアルカンジイル」は、炭素原子の1つ又は複数がN、O、S、又はPなどのヘテロ原子で置き換えられている、アルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルでは、ヘテロ原子は、N及びOから選択され得る。
「ヘテロアルカンアレーンジイル」は、炭素原子の1つ又は複数がN、O、S、又はPなどのヘテロ原子で置き換えられている、アルカンアレーンジイル基を指す。ヘテロアルカンアレーンジイルでは、ヘテロ原子は、N及びOから選択され得る。
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、炭素原子の1つ又は複数がN、O、S、又はPなどのヘテロ原子で置き換えられている、シクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルでは、ヘテロ原子は、N及びOから選択され得る。
「から誘導される」は、別の反応性官能基又は部分との反応後に生じる官能基又は部分を指す。例えば、−CH2−CH2−S−部分は、アルケニル基−CH=CH2とチオール基−SHの反応から誘導され得る。同様に、−S−部分は、−SHと、チオール基と反応性がある基との反応から誘導され得る。−R’−基は、−R基と、Rと反応性がある基との反応から誘導され得る。−R’部分は、化合物Rと反応基の反応から誘導され得る。
硫黄含有プレポリマー又は付加物のコアは、末端官能基又は末端官能基を含む部分を含まない、硫黄含有プレポリマー又は付加物を形成する部分を指す。例えば、Rf−R−Rf構造(式中、各Rfは、末端官能基を含む部分又は末端官能基を表す)を有する硫黄含有プレポリマー又は付加物のコアは、−R−である。コアは、例えば、−[R’]n−がコアを表すプレポリマーRf−[R’]n−R−Rfなどのプレポリマーの繰り返し単位を指すことができる。
ジイソシアナートのコアは、末端イソシアナート基を含まないジイソシアナートを形成する部分を指す。例えば、O=C=N−R−N=C=O構造を有するジイソシアナートのコアは、−R−によって表される。
「マイケルアクセプター」は、例えば、ケトン(=O)、ハロ、カルボニル(−CO)、ニトロ(−NO2)、ニトリル(−CN)、アルコキシカルボニル(−COOR)、ホスホナート(−PO(OR)2)、トリフルオロメチル(−CF3)、スルホニル(−SO2−)、トリフルオロメタンスルホニル(−SO2CF3)、又はp−トルエンスルホニル(−SO2−C6H4−CH3)などの電子求引基に近接している、アルケニル基などの活性化アルケンを指す。マイケルアクセプター基は、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、アルジミン、オキサゾリジン、マレイミド、及びアクリラートから選択され得る。ある特定の実施形態では、マイケルアクセプター又はマイケルアクセプター基は、アクリラート又はメタクリラートを包含しない。マイケルアクセプターの他の例は、Matherら、Prog.Polym.Sci.2006、31、487〜531に開示されており、それには、アクリラートエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、メタクリル酸アルキル、シアノアクリラートが含まれる。他のマイケルアクセプターには、ビニルケトン、α,β−不飽和アルデヒド、ビニルホスホナート、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ある特定のアゾ化合物、β−ケトアセチレン及びアセチレンエステルが含まれる。マイケルアクセプター基は、ビニルスルホンから誘導することができ、式(1)の構造を有することができる。
−S(O)2−C(−R)=CH2(1)
式中、Rは、水素、フッ素、又はC1〜3アルキルであり得る。式(1)の部分において、Rは、水素であり得る。
「マイケルアクセプター化合物」は、少なくとも1個のマイケルアクセプター基を含む化合物を指す。マイケルアクセプター化合物は、ジビニルスルホンであり得、マイケルアクセプター基は、ビニルスルホニル、例えば−S(O)2−CH=CH2である。マイケルアクセプターの他の例は、Matherら、Prog.Polym.Sci.、2006、31、487〜531に開示されており、それには、アクリラートエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、メタクリル酸アルキル、シアノアクリラートが含まれる。マイケルアクセプターとして機能するタイプの化合物には、ビニルケトン、キノン、ニトロアルケン、アクリロニトリル、アクリラート、メタクリラート、シアノアクリラート、アクリルアミド、マレイミド、ジアルキルビニルホスホナート、及びビニルスルホンが含まれる。他のマイケルアクセプターには、ビニルケトン、α,β−不飽和アルデヒド、ビニルホスホナート、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ある特定のアゾ化合物、β−ケトアセチレン及びアセチレンエステルが含まれる。マイケルアクセプター化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールであり得、マイケルアクセプター基は、1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール、すなわち、−CH2−CH2−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−CH=CH2(式中、各R10は、独立に、C1〜3アルカンジイルから選択され得る)、又は1−(エチレンスルホニル)−3−(ビニルスルホニル)プロパン−2−オール(−CH2−CH2−S(O)2−CH2−CH(−OH)−CH2−S(O)2−CH=CH2)である。ある特定の実施形態では、マイケルアクセプターは、アクリラート又はメタクリラートを含まない。
2個以上のマイケルアクセプター基を有するマイケルアクセプター化合物も周知である。例として、ジアクリラート、例えばエチレングリコールジアクリラート及びジエチレングリコールジアクリラート、ジメタクリラート、例えばエチレングリコールメタクリラート及びジエチレングリコールメタクリラート、ビスマレイミド、例えばN,N’−(1,3−フェニレン)ジマレイミド及び1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、ビニルスルホン、例えばジビニルスルホン、並びに1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールが挙げられる。マイケルアクセプター基は、式(2a)又は式(2b)の構造を有するジビニルスルホニルであり得る。
−CH2−CH2−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−CH=CH2(2a)
−CH2−CH2−S(O)2−CH2−CH(−OH)−CH2−S(O)2−CH=CH2(2b)
式中、各R10は、独立に、C1〜3アルカンジイルから選択される。
「金属配位子」は、金属原子及び場合により他の原子に結合して配位錯体を形成するイオン又は分子を指す。金属及び又は原子の間の結合では、一般に、1つ又は複数の電子対を金属に供与し、結合の性質は、共有結合性又はイオン性であり得る。本開示によって提供される金属配位子は、航空宇宙用表面、例えば酸化する場合があるアルミニウム及びチタン表面と配位錯体を形成することができる。酸化した表面の場合、金属配位子は、Al(III)などの金属及び酸素原子と配位錯体を形成し得る。配位錯体は、金属又は酸化した金属表面に対するコーティング又はシーラントの接着性を増強することができる。
金属配位子は、プレポリマーの骨格に組み込まれ得る。このような反応性金属配位子は、市販されていることがあり、又は当業者に公知の方法を使用して、適切な反応性置換基を含むように誘導体化され得る。金属配位子を組み込んだ硫黄含有プレポリマーの例は、米国特許出願第2014/0378650号及び米国特許出願第2014/0275474号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
ヒドロキシピリジノンは、それぞれ式(3a)又は式(3b)の構造を有する3−ヒドロキシ−4−ピリジノン及び3−ヒドロキシ−2−ピリジノンなどの基を含む。
式中、Rは、アルキル基などの有機基である。ヒドロキシピリジノンから誘導された金属配位子は、ヒドロキシピリジノン基、及び1つ又は複数の反応性官能基、例えば末端チオール基を含む。
「アセチルアセトナート基」は、以下の構造を有する基を指す。
アセチルアセトナートは、アセチルアセトナート配位子及び1つ又は複数の反応性官能基を含む、金属キレート剤を指す。エポキシ基、アルケニル基、マイケルアクセプター基、又は求核置換のための、例えば−Cl、−Br、−I、−OSO2CH3(メシラート)、−OSO2−C6H4−CH3(トシラート)などの脱離基を持つ飽和炭素を含む基等の1つ又は複数の反応性官能基は、チオール基と反応性を示し得る。
「キノン」は、二重結合の任意の必要な転位により、偶数の−CH=基を−C(=O)−基に変換することによって芳香族化合物から誘導された、完全に共役した環式ジオン構造を有する化合物を指す。キノンの例として、1,2−ベンゾキノン、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフタロキノン(naphthaloquinone)、及び9,10−アントラキノンが挙げられる。キノン基は、金属配位子であり得る。
「マレイミド」は、以下のマレイミド基を有する化合物を指す。
ビスマレイミドは、2個のマレイミド基を有する化合物を指し、ここで、2個のマレイミド基は、窒素原子によってリンカーを介して結合している。マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、米国特許出願第2015/0119549号に開示されており、これは参照によってその全体が組み込まれる。
末端ビスマレイミド部分は、末端マレイミド基を有する部分を指す。末端マレイミド基は、式(4a)の構造を有する化合物などのビスマレイミドから誘導することができ
(式中、R15は、二価の有機部分である)、末端基は、式(4b)の構造を有し、
本明細書では1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基と呼ばれる。末端マレイミド基は、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)とも呼ばれる式(5a)の1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドから誘導することができ、末端基は、式(5b)の構造を有する。
マレイミド基は、1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を含み得る。末端マレイミド基のそれぞれは、同じであってよく、又は末端マレイミド基の少なくとも一部は、異なっていてもよい。
2個以上のマレイミド基を有する化合物の他の例として、エチレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミドヘキサン、2,4−ジマレイミドトルエン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、1,4−ビス(マレイミド)ブタントリメチレンビスマレイミド、p,p’−ジマレイミドジフェニルメタン、ペンタメチレンビスマレイミド1H−ピロール−2,5−ジオン、1,1’−(1,8−オクタンジイル)ビス−、1H−ピロール−2,5−ジオン、1,1’−(1,7−ヘプタンジイル)ビス−、4,4’−ジチオビス(フェニルマレイミド);メチレンビス(N−カルバミルマレイミド)、1,9−ビス(マレイミド)ノナン、1,1’−デカン−1,10−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、O−フェニレンジマレイミド、ビス(N−マレイミドメチル)エーテル、1,5−ビス(マレイミド)−2−メチル−ペンタン、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、1,1’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、Kerimid 601樹脂、テトラキス(N−2−アミノエチルマレイミド)、1−(2,5−ジメチルフェニル)ピロール−2,5−ジオン、SureCN331305、SureCN349749、及び1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)が挙げられる。
「ビス(スルホニル)アルカノール」は、一般式R8−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−R8(式中、各R8は、反応性官能基を有する部分であり、各R10は、独立に、C1〜3アルカンジイルから選択される)の化合物を指す。各R8は、チオール基と反応性がある末端基、例えばアルケニル基、エポキシ基、マイケルアクセプター基、又は求核置換に適した、例えば−Cl、−Br、−I、−OSO2CH3(メシラート)、−OSO2−C6H4−CH3(トシラート)などの脱離基を持つ飽和炭素を含む基等を含み得る。ビス(スルホニル)アルカノールは、末端アルケニル基を含むビス(ビニルスルホニル)アルカノールであり得る。ビス(スルホニル)アルカノールは、ビス(ビニルスルホニル)アルカノール(R8は、末端アルケニル基を含む)、例えば式CH2=CH−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−CH=CH2を有する化合物であり得る。ビス(ビニルスルホニル)アルカノールは、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールであり得る。ビス(スルホニル)アルカノールを含有する化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールを、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールの末端アルケニル基、例えばチオール基又はエポキシ基と反応性がある反応性末端官能基及び末端基を有する化合物と反応させることによって調製され得る。このような化合物において、ビス(スルホニル)アルカノールは、R8’−CH2−CH2−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−CH2−CH2−R8’構造を有することができ、式中、各R8’は、その化合物とビス(ビニルスルホニル)アルカノールの末端アルケニル基の反応から誘導された部分である。
本明細書で使用される場合、「プレポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー、及びコポリマーを指し、それらは硬化していても硬化していなくてもよい。別段記載されない限り、分子量は、当該技術分野において認識されている方式で、例えばポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される、「Mn」と示されるポリマー材料の数平均分子量である。
「プレポリマー」は、硬化前のポリマーを指す。一般に、本開示によって提供されるプレポリマーは、室温で液体である。「付加物」は、反応性末端基で官能化されているプレポリマーを指すことができる。しかし、プレポリマーは、末端官能基を含有することもできる。したがって、プレポリマー及び付加物という用語は、交換可能に使用することができる。付加物という用語は、しばしば、特定の化学的性質のために官能化された末端基を有するプレポリマーを指すために使用される。
「ポリアルケニル」は、2個以上の末端アルケニル基を有する化合物を指す。
「ポリスルフィド」は、プレポリマー骨格及び/又はポリマー鎖上のペンダント位置に、1つ又は複数のポリスルフィド連結、すなわち−Sx−連結(式中、xは、2〜4である)を含有するプレポリマーを指す。ポリスルフィドプレポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄連結を有する。適切なポリスルフィドは、例えば、AkzoNobel及びToray Fine Chemicalsから名称Thiokol(登録商標)−LP及びThioplast(登録商標)で市販されている。Thioplast(登録商標)生成物は、例えば1,100ダルトン未満から8,000ダルトンを超える広範な分子量で利用可能であり、この分子量は、1モルあたりのグラムで表される平均分子量である。ある場合には、ポリスルフィドは、1,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を有する。これらの生成物の架橋密度は、使用される架橋剤の量に応じても変わる。これらの生成物の−SH含量、すなわちチオール又はメルカプタンの含量も変わり得る。ポリスルフィドのメルカプタン含量及び分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を及ぼすことができ、その硬化速度は、分子量と共に増大する。
「ポリチオエーテル」は、少なくとも1つのポリチオエーテル連結、すなわち−CH2−S−CH2−を含むプレポリマーを指す。ポリチオエーテルプレポリマーは、例えば、8〜200個のポリチオエーテル連結を有することができる。本発明において使用するのに適したポリチオエーテルには、例えば米国特許第6,372,849号に記載されているポリチオエーテルが含まれる。適切なポリチオエーテルは、例えば1,000ダルトン〜10,000ダルトン、例えば2,000ダルトン〜5,000ダルトン、又は3,000ダルトン〜4,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。適切なポリチオエーテルの例は、PRC−DeSoto International,Inc.から、商標Permapol(登録商標)、例えばPermapol(登録商標)P−3.1e又はPermapol(登録商標)P−3で入手可能である。
「置換されている」は、1つ又は複数の水素原子が、それぞれ独立に同じ又は異なる置換基(単数又は複数)で置き換えられている基を指す。置換基は、ハロゲン、−S(O)2OH、−S(O)2、−SH、−SR(式中、Rは、C1〜6アルキルである)、−COOH、−NO2、−NR2(式中、各Rは、独立に、水素及びC1〜3アルキルから選択される)、−CN、−C=O、C1〜6アルキル、−CF3、−OH、フェニル、C2〜6ヘテロアルキル、C5〜6ヘテロアリール、C1〜6アルコキシ、及び−COR(式中、Rは、C1〜6アルキルである)から選択され得る。置換基は、−OH、−NH2、及びC1〜3アルキルから選択される。
本開示によって提供される組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、チオール基と反応する2個以上の末端基を含む硬化剤、及びイオン液体触媒を含む。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、又は前記のいずれかの組合せであり得る。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、プレポリマー骨格に組み込まれたスルホン、ウレタン、及び/又は金属配位子を有することができる。このような硫黄含有プレポリマーの例は、例えば、米国特許出願第2014/0275474号及び米国特許出願第2014/0378650号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、異なるチオール末端硫黄含有プレポリマーの混合物を含むことができ、チオール末端硫黄含有プレポリマーは、同じ又は異なる官能度を有することができる。チオール末端硫黄含有プレポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3、又は2.05〜2.5の平均官能度を有することができる。例えば、チオール末端硫黄含有プレポリマーは、二官能性チオール末端硫黄含有プレポリマー、三官能性チオール末端硫黄含有プレポリマー、又はそれらの組合せを含み得る。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリスルフィドプレポリマーを含み得る。
ポリスルフィドは、ポリマー骨格及び/又はプレポリマー鎖上のペンダント位置に、1つ又は複数のスルフィド連結、すなわち−Sx−連結(式中、xは、2〜4である)を含有するプレポリマーを指す。ポリスルフィドプレポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄連結を有することができる。適切なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、例えば、AkzoNobel及びToray Fine Chemicalsから名称Thiokol(登録商標)−LP及びThioplast(登録商標)で市販されている。Thioplast(登録商標)生成物は、例えば1,100ダルトン未満から8,000ダルトンを超える広範な分子量で入手可能であり、この分子量は、1モルあたりのグラムで表される平均分子量である。ある場合には、ポリスルフィドプレポリマーは、1,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を有することができる。適切なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、米国特許第4,623,711号に開示されている。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み得る。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、式(6)の構造を有する骨格を含むチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含むことができ、
−R1−[−S−(CH2)2−O−[−R2−O−]m−(CH2)2−S−R1]n−(6)
式中、
各R1は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、−[(−CHR3−)p−X−]q−(CHR3)r−基(式中、各R3は、水素及びメチルから選択される)から選択され、
各R2は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、及び−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−基から選択され、
各Xは、独立に、O、S、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
mは、0〜50の範囲であり、
nは、1〜60の範囲の整数であり、
pは、2〜6の範囲の整数であり、
qは、1〜5の範囲の整数であり、
rは、2〜10の範囲の整数である。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択され得る。式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択され得る。式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、pは、2であり得、Xは、Oであり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり、mは、2であり得、nは、9であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、各R1は、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)から誘導することができ、又は各R1は、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)から誘導することができる。
式(6)のプレポリマーにおいて、各R2は、C2〜6アルカンジイル、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイル、又は1,6−ヘキサンジイルであり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、各mは、独立に、1〜3の整数であり得る。式(6)のプレポリマーにおいて、各mは、同じであってよく、1、2、又は3である。
式(6)のプレポリマーにおいて、nは、1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、又は1〜5の整数であり得る。さらに、nは、1〜60の任意の整数であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、各pは、独立に、2、3、4、5、及び6から選択され得る。式(6)のプレポリマーにおいて、各pは、同じであってよく、2、3、4、5、又は6である。
適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば米国特許第6,172,179号に開示されている。チオール末端ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International Inc.から入手可能なPermapol(登録商標)P3.1Eを含み得る。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、式(7a)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(7b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、又はそれらの組合せを含み得る。
HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−SH(7a)
{HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−V’−}zB(7b)
式中、
各R1は、独立に、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
各R2は、独立に、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、p、q、r、R3、及びXは、R1について定義される通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各Vは、チオールと反応性がある末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールの反応から誘導される。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、ここで、pは、2であり得、Xは、−O−であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり、mは、2であり得、nは、9であり得る。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、R1は、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され得る。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、Xは、−O−であり得るか、又はXは、−S−であり得る。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、pは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−S−であり得るか、又はpは、2であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、Xは、−O−であり得るか、又はpは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−O−であり得る。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、各R3は、水素であり得るか、又は少なくとも1つのR3は、メチルであり得る。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、各R1は、同じであってよく、又は少なくとも1つのR1は、異なる。
式(7a)及び式(7b)のプレポリマーにおいて、各R2は、C2〜6アルカンジイル、エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイル、又は1,6−ヘキサンジイルであり得る。
式(7a)及び式(7b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために、様々な方法を使用することができる。適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例、及びそれらを生成する方法は、例えば、米国特許第6,172,179号に記載されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。このようなチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、二官能性であってよく、すなわち2個の末端チオール基を有する直鎖プレポリマーであり得るか、又は多官能性であってよく、すなわち3個以上の末端チオール基を有する分岐プレポリマーであり得る。
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、ポリチオール及びジエン、例えばジビニルエーテルを反応させることによって調製することができ、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される反応物のそれぞれの量は、末端チオール基を得るために選択され得る。したがって、ある場合には、(n又は>n、例えばn+1)モルのポリチオール、例えばジチオール又は少なくとも2つの異なるジチオールの混合物、及び約0.05モル〜1モル、例えば0.1モル〜0.8モルの多官能化剤は、(n)モルのジエン、例えばジビニルエーテル、又は少なくとも2つの異なるジエン、例えば少なくとも2つの異なるジビニルエーテルの混合物と反応させることができる。多官能化剤は、2.05〜3、例えば2.1〜2.8の平均チオール官能度を有するチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを提供するのに十分な量で、反応混合物中に存在することができる。
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される反応は、フリーラジカル触媒によって触媒され得る。適切なフリーラジカル触媒には、アゾ化合物、例えばアゾビスニトリル化合物、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN);有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル及びtert−ブチル過酸化物;及び無機過酸化物、例えば過酸化水素が含まれる。反応は、ラジカル開始剤/光増感剤を用いるか、又はそれなしに、紫外線を照射することによっても生じ得る。無機又は有機塩基、例えばトリエチルアミンのいずれかを使用するイオン性触媒作用方法を使用することもできる。
適切なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、ジビニルエーテル又はジビニルエーテル混合物を、過剰のジチオール又はジチオール混合物と反応させることによって生成され得る。したがって、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、
(a)式(8)のジチオール
HS−R1−SH(8)
(式中、
R1は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され、ここで、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)、及び
(b)式(9)のジビニルエーテル
CH2=CH−O−[−R2−O−]m−CH=CH2(9)
(式中、
各R2は、独立に、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、p、q、r、R3、及びXは、先に定義の通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数である)
を含む反応物の反応生成物を含む。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される反応物は、(c)多官能性化合物、例えば多官能性化合物B(−V)z(式中、B、−V、及びzは、本明細書で定義される)を含むこともできる。
チオール末端ポリチオエーテルの調製において使用するのに適したジチオールには、式(8)のジチオール、本明細書に開示される他のジチオール、又は本明細書に開示されるジチオールのいずれかの組合せが含まれる。ジチオールは、式(8)の構造を有することができ、
HS−R1−SH(8)
式中、
R1は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である。
式(8)のジチオールにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得る。
式(8)のジチオールにおいて、Xは、−O−及び−S−から選択することができ、したがって式(8)の−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−は、−[(−CHR3−)p−O−]q−(CHR3)r−又は−[(−CHR3−)p−S−]q−(CHR3)r−であり得る。式(8)のジチオールにおいて、p及びrは、等しくてよく、例えば、p及びrは、共に2である。
式(8)のジチオールにおいて、R1は、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され得る。
式(8)のジチオールにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、Xは、−Oであり得るか、又はXは、−S−であり得る。
式(8)のジチオールにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、pは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−S−であり得るか、又はpは、2であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、Xは、−O−であり得るか、又はpは、2であり得、rは、2であり、qは、1であり得、Xは、−O−であり得る。
式(8)のジチオールにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、各R3は、水素であり得るか、又は少なくとも1つのR3は、メチルであり得る。
式(8)のジチオールにおいて、各R1は、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)から誘導することができ、又は各R1は、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)から誘導することができる。
式(8)のジチオールにおいて、各mは、独立に、1〜3の整数であり得る。式(8)のポリチオールにおいて、各mは、同じであってよく、1、2又は3である。
式(8)のジチオールにおいて、nは、1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、又は1〜5の整数であり得る。さらに、nは、1〜60の任意の整数であり得る。
式(8)のジチオールにおいて、各pは、独立に、2、3、4、5、及び6から選択され得る。式(8)のジチオールにおいて、各pは、同じであってよく、2、3、4、5、又は6である。
適切なジチオールの例として、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び前記のいずれかの組合せが挙げられる。ジチオールは、低級(例えば、C1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基、及び/又はヒドロキシル基から選択される1つ又は複数のペンダント基を有することができる。適切なアルキルペンダント基には、例えば、C1〜6直鎖アルキル、C3〜6分岐アルキル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。
適切なジチオールの他の例として、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(8)において、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり、ここで、pは、2であり、rは、2であり、qは、1であり、Xは、−S−である)、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(8)において、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり、ここで、pは、2であり、qは、2であり、rは、2であり、Xは、−O−である)、及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(8)において、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり、ここで、pは、2であり、rは、2であり、qは、1であり、Xは、−O−である)が挙げられる。また、炭素骨格におけるヘテロ原子とペンダントアルキル基、例えばメチル基の両方を含むジチオールを使用することが可能である。このような化合物には、例えば、メチル置換DMDS、例えばHS−CH2CH(CH3)−S−CH2CH2−SH、HS−CH(CH3)CH2−S−CH2CH2−SH、並びにジメチル置換DMDS、例えばHS−CH2CH(CH3)−S−CHCH3CH2−SH及びHS−CH(CH3)CH2−S−CH2CH(CH3)−SHが含まれる。
ポリチオエーテルプレポリマーを調製するのに適したジビニルエーテルには、例えば、式(9)のジビニルエーテルが含まれ、
CH2=CH−O−(−R2−O−)m−CH=CH2(9)
ここで、式(9)のR2は、C2〜6n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、及び−[(−CH2−)p−O−]q−(−CH2−)r−から選択され、ここで、pは、2〜6の範囲の整数であり、qは、1〜5の整数であり、rは、2〜10の整数である。式(9)のジビニルエーテルにおいて、R2は、C2〜6n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、又は−[(−CH2−)p−O−]q−(−CH2−)r−であり得る。
適切なジビニルエーテルには、例えば、少なくとも1個のオキシアルカンジイル基、例えば1〜4個のオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(9)のmが1〜4の整数である化合物が含まれる。式(9)のジビニルエーテルにおいて、mは、2〜4の整数であり得る。分子1個あたりオキシアルカンジイル単位の数の非整数の平均値によって特徴付けられる、市販のジビニルエーテル混合物を用いることが可能である。したがって、式(9)のmは、0〜10.0、例えば1.0〜10.0、1.0〜4.0、又は2.0〜4.0の有理数値をとることもできる。
適切なビニルエーテルの例として、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(9)のR2は、エタンジイルであり、mは、1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(9)のR2は、ブタンジイルであり、mは、1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(9)のR2は、ヘキサンジイルであり、mは、1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(9)のR2は、エタンジイルであり、mは、2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEG−DVE)(式(9)のR2は、エタンジイルであり、mは、3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(9)のR2は、エタンジイルであり、mは、4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル;トリビニルエーテルモノマー、例えばトリメチロールプロパントリビニルエーテル;四官能性エーテルモノマー、例えばペンタエリスリトールテトラビニルエーテル;並びに2つ以上のこのようなポリビニルエーテルモノマーの組合せが挙げられる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びアミン基から選択される1つ又は複数のペンダント基を有することができる。
式(9)のR2がC3〜6分岐アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製され得る。このタイプのジビニルエーテルの例として、式(9)のR2が、アルキル置換メタンジイル基、例えば−CH(−CH3)−である化合物、式(9)のR2が、エタンジイルであり、mが3である化合物、又はアルキル置換エタンジイルが挙げられる。
他の有用なジビニルエーテルには、式(9)のR2が、平均で約3個のモノマー単位を有するものなどのポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)又はポリオキシアルカンジイルである化合物が含まれる。
2つ以上のタイプの式(9)のポリビニルエーテルモノマーが使用され得る。したがって、式(8)の2つのジチオール及び式(9)の1つのポリビニルエーテルモノマー、式(8)の1つのジチオール及び式(9)の2つのポリビニルエーテルモノマー、式(8)の2つのジチオール及び式(9)の2つのジビニルエーテルモノマー、並びに式(8)及び式(9)の一方又は両方の2つを超える化合物を使用して、様々なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを生成することができる。
ポリビニルエーテルモノマーは、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される反応物の20モルパーセント〜50モルパーセント未満、例えば30モルパーセント〜50モルパーセント未満を構成し得る。
反応において、ジチオール及びジビニルエーテルの相対量は、末端チオール基を有するポリチオエーテルプレポリマーが得られるように選択され得る。したがって、式(8)のジチオール又は式(8)の少なくとも2つの異なるジチオールの混合物は、アルケニル基に対するチオール基のモル比が1超:1、例えば1.1〜2.0:1.0となるような相対量で、式(9)のジビニルエーテル又は式(9)の少なくとも2つの異なるジビニルエーテルの混合物と反応させることができる。
ジチオールとジビニルエーテル及び/又はポリチオールとポリビニルエーテルの間の反応は、フリーラジカル触媒によって触媒され得る。適切なフリーラジカル触媒には、例えば、アゾ化合物、例えばアゾビスニトリル、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN);有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル及びt−ブチル過酸化物;並びに無機過酸化物、例えば過酸化水素が含まれる。触媒は、フリーラジカル触媒、イオン性触媒、又は紫外線放射であり得る。ある特定の実施形態では、触媒は、酸性又は塩基性化合物を含まず、分解時に酸性又は塩基性化合物を生成しない。フリーラジカル触媒の例として、アゾ−タイプ触媒、例えばVazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)、及びV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)が挙げられる。他のフリーラジカル触媒の例として、アルキル過酸化物、例えばtert−ブチル過酸化物が挙げられる。反応は、カチオン性光開始部分を用いるか、又はそれなしに、紫外線を照射することによっても生じ得る。
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、式(8)の少なくとも1つのジチオール及び式(9)の少なくとも1つのジビニルエーテルを合わせた後、適切な触媒を添加し、30℃〜120℃、例えば70℃〜90℃の温度で2時間〜24時間、例えば2時間〜6時間反応させることによって調製され得る。
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、多官能性チオール末端ポリチオエーテルを含むことができ、すなわち2.0を超える平均官能度を有することができる。適切な多官能性チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーには、例えば式(7b)の構造を有するプレポリマーが含まれ、
{HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−V’−}zB(7b)
式中、zは、2.0超、2〜3の間の値、2〜4の間の値、3〜6の間の値の平均値を有するか、又は3〜6の整数であり得る。
このような多官能性チオール末端プレポリマーの調製において使用するのに適した多官能化剤には、三官能化剤、すなわちzが3である化合物が含まれる。適切な三官能化剤には、例えば、トリアリルシアヌラート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌラート含有トリチオール、例えば1,3,5−トリス(2−メルカプトエチル)[1,3,5]−トリアジン−2,4,6−トリオン(METT)、及びその全体が参照によって組み込まれる米国特許出願第2010/0010133号に開示されているそれらの組合せ、及び例えばその全体が参照によって組み込まれる米国特許出願第2011/0319559号に開示されているイソシアヌラートが含まれる。他の有用な多官能化剤には、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、並びにそれぞれその全体が参照によって組み込まれる米国特許第4,366,307号、第4,609,762号及び第5,225,472号に記載されているポリチオールが含まれる。多官能化剤の混合物を使用することもできる。結果として、チオール末端ポリチオエーテルは、広範な平均官能度を有することができる。例えば、三官能化剤は、2.05〜3.0、例えば2.1〜2.6、又は2.05〜2.8の平均官能度をもたらすことができる。より広範な平均官能度は、四官能性又はより高次官能性の多官能化剤を使用することによって達成され得る。官能度は、当業者によって理解される通り、化学量論量などの因子によって決定することもできる。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマーを含み得る。
航空宇宙用シーラント用途において有用なチオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国特許出願第2012/0234205号及び米国特許出願第2012/0238707号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、(a)及び(b)を含む反応物の反応生成物を含むことができ、ここで、(a)は、(i)及び(ii)を含む反応物の反応生成物を含み、(i)は、式(11)の硫黄含有ポリホルマールを含み、
HO−R1−(S)p−R1−[−O−C(R2)2−O−R1−(S)p−R1−]n−OH(11)
式中、nは、1〜50から選択される整数であり、各pは、独立に、1及び2から選択され、各R1は、独立に、C2〜6アルカンジイルから選択され、各R2は、独立に、水素、C1〜6アルキル、C7〜12フェニルアルキル、置換C7〜12フェニルアルキル、C6〜12シクロアルキルアルキル、置換C6〜12シクロアルキルアルキル、C3〜12シクロアルキル、置換C3〜12シクロアルキル、C6〜12アリール、及び置換C6〜12アリールから選択され、(ii)は、ジイソシアナート、チオ尿素、エチレン性不飽和イソシアナート、及びトシラートから選択される第1の化合物を含み、(b)末端チオール基を含む化合物である(b)は、(ii)がジイソシアナートを含む場合にはメルカプトアルカノールを含み、(b)は、(ii)がチオ尿素を含む場合には金属水硫化物を含み、(b)は、(ii)がエチレン性不飽和イソシアナートを含む場合にはジチオールを含み、(b)は、(ii)がトシラートを含む場合には金属水硫化物を含む。
チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマーを形成するための反応において、化合物は、ジチオール及びアルキル(ビス)オキシジアルカンチオールから選択される末端チオール基を含み得る。適切なジチオールの例として、式HS−R−SHの化合物が挙げられ、式中、Rは、例えばヒドロキシル基、C1〜6アルキル基、例えばメチル基又はエチル基であり得る1つ又は複数のペンダント基を有するC2〜6アルカンジイル;C1〜6アルコキシ、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−、又は−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり、ここで、少なくとも1つの−CH2−単位は、メチル基で置換されており、各pは、独立に、2〜6から選択される整数から選択され、各qは、独立に、1〜5から選択される整数から選択され、各rは、独立に、2〜10から選択される整数から選択される。ジチオールは、炭素骨格に1つ又は複数のヘテロ原子置換基を含むことができ、例えば、Xが、ヘテロ原子、例えばO、S若しくは他の二価のヘテロ原子ラジカル、第二級若しくは第三級アミン基、例えば−NR’−(式中、R’は、水素又はメチルである)、又は別の置換されている三価ヘテロ原子を含むジチオールである。Xは、O又はSであり得、p及びrは、等しくてよく、又はp及びrの両方は、2であり得る。Xは、結合であり得る。適切なジチオールの例として、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンが挙げられる。ジチオールは、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、及びヒドロキシルから選択される1つ又は複数のペンダント基を有することができる。適切なメルカプトアルカノールのさらなる例として、例えば、C2〜6メルカプトアルカノール、例えば2−メルカプトエタン−1−オール、3−メルカプトプロパン−1−オール、4−メルカプトブタン−1−オール、5−メルカプトペンタン−1−オール、及び6−メルカプトヘキサン−1−オールが挙げられる。適切なジチオールの例として、例えば、C2〜10アルカンジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオール、プロパン−1,3−ジチオール、ブタン−1,4−ジチオール、ペンタン−1,5−ジチオール、及びヘキサン−1,6−ジチオールが挙げられる。
ジチオールは、アルキル(ビス)オキシジアルカンであり得る。アルキル(ビス)オキシジアルカンチオールは、一般式HS−R−O−R’−O−R−HSを有することができ、式中、各R及びR’は、例えばC2〜6アルカンジイル、C2〜4アルカンジイル、又はC2アルカンジイルなどのアルカンジイルである。ジチオールは、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO)、及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタンから選択され得る。
金属水硫化物の一例は、水硫化ナトリウムである。トシラートの一例は、塩化スルホニル、例えば塩化p−トルエンスルホニルである。
前記の末端修飾された硫黄含有ポリホルマールプレポリマーにおいて、末端修飾された硫黄含有ポリホルマールは、200ダルトン〜6,000ダルトン、500ダルトン〜5,000ダルトン、1,000ダルトン〜5,000ダルトン、1,500ダルトン〜4,000ダルトン、又は2,000ダルトン〜3,600ダルトンの範囲内の数平均分子量によって特徴付けることができる。
本開示によって提供される、末端修飾された硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、式(12)の構造を有することができ、
R3−R1−(S)p−R1−[−O−C(R2)2−O−R1−(S)p−R1−]n−R3(12)
式中、nは、1〜50から選択される整数であり、各pは、独立に、1及び2から選択され、各R1は、独立に、C2〜6アルカンジイルから選択され、各R2は、独立に、水素、C1〜6アルキル、C7〜12フェニルアルキル、置換C7〜12フェニルアルキル、C6〜12シクロアルキルアルキル、置換C6〜12シクロアルキルアルキル、C3〜12シクロアルキル、置換C3〜12シクロアルキル、C6〜12アリール、及び置換C6〜12アリールから選択され、各R3は、−OR3’であり、R3’は、ビニル末端基、シリル末端基、アミン末端基、エポキシ末端基、及びチオール末端基から選択される。
式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各R1は、独立に、C2〜6アルカンジイル、C2〜4アルカンジイル、C2〜3アルカンジイル、又はエタン−1,2−ジイルから選択され得る。式(12)のポリホルマールにおいて、各R1は、エタン−1,2−ジイルであり得る。
式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各R2は、独立に、水素、C1〜6アルキル、C1〜4アルキル、C1〜3アルキル、又はC1〜2アルキルから選択され得る。式(12)のポリホルマールにおいて、各R2は、水素、メチル、又はエチルであり得る。
式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各R1は、同じであってよく、C2〜3アルカンジイル、例えばエタン−1,2−ジイル及びプロパン−1,3−ジイルから選択することができ、又は各R2は、同じであってよく、水素及びC1〜3アルキル、例えばメチル、エチル、及びプロピルから選択することができる。式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各R1は、エタン−1,2−ジイルであり得る。式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各R2は、水素であり得る。式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各R1は、エタン−1,2−ジイルであり得、各R2は、水素であり得る。
式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、nは、1〜50から選択される整数、2〜40から選択される整数、4〜30から選択される整数であり得るか、又はnは、7〜30から選択される整数であり得る。
式(12)の硫黄含有ポリホルマールにおいて、各pは、同じであってよく、1であり得るか、又は各pは、同じであり、2であり得る。
式(12)の硫黄含有ポリホルマールは、200ダルトン〜6,000ダルトン、500ダルトン〜5,000ダルトン、1,000ダルトン〜5,000ダルトン、1,500〜4000ダルトン、又は2,000〜3,600ダルトンの範囲の数平均分子量を有することができる。
式(12)のポリホルマールにおいて、各R3は、同じであってよい。
式(12)のポリホルマールにおいて、各R3は、チオール末端基であり得、独立に、式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、式(f)、式(g)、及び式(h)の基から選択され、
式中、各R6は、ジイソシアナートから誘導された部分及びエチレン性不飽和モノイソシアナートから誘導された部分から選択され、各R7は、C2〜14アルカンジイル及びC2〜14ヘテロアルカンジイルから選択され、各R9は、C2〜6アルカンジイル、C2〜6ヘテロアルカンジイル、C6〜12アレーンジイル、置換C6〜12アレーンジイル、C6〜12ヘテロアレーンジイル、置換C6〜12ヘテロアレーンジイル、C3〜12シクロアルカンジイル、置換C3〜12シクロアルカンジイル、C3〜12ヘテロシクロアルカンジイル、置換C3〜12ヘテロシクロアルカンジイル、C7〜18アルカンアレーンジイル、置換C7〜18ヘテロアルカンアレーンジイル、C4〜18アルカンシクロアルカンジイル、及び置換C4〜18アルカンシクロアルカンジイルから選択される。
式(a)の部分において、各R6は、ジイソシアナートから誘導された基であり得、その基は、TDI、ISONATE(商標)143L(ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアナート)、DESMODUR(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン、1,3−ビス(6−イソシアナートヘキシル)−)、DESMODUR(登録商標)I(イソホロンジイソシアナート、IPDI)、又はDESMODUR(登録商標)W(H12MDI)から誘導され得る。
式(a)の部分において、各R6は、エチレン性不飽和モノイソシアナートから誘導された基、又は2−イソシアナートエチルメタクリラートであり得る。
式(a)、式(b)、式(c)、式(e)、式(f)、式(g)、及び式(h)の部分において、各R7は、C2〜6アルカンジイルから選択され得る。式(a)、式(b)、式(c)、式(e)、式(f)、式(g)、及び式(h)の部分において、各R7は、−CH2−S−(CH2)2−O−(CH2)2−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O−(CH2)2−O−(CH2)2−、又は−(CH2)2−S−(CH2)2−O−(CH2)2−O−(CH2)2−から選択され得る。
式(f)及び式(g)の部分において、各R9は、C2〜6アルカンジイル、C6〜12アレーンジイル、置換C6〜12アレーンジイル、C3〜12シクロアルカンジイル、置換C3〜12シクロアルカンジイル、C7〜18アルカンアレーンジイル、置換C7〜18アルカンアレーンジイル、C4〜18アルカンシクロアルカンジイル、又は置換C4〜18アルカンシクロアルカンジイルから選択され得る。
本開示によって提供されるチオール末端硫黄含有ポリホルマールは、式(13a)のチオール末端硫黄含有ポリホルマール、式(13b)のチオール末端硫黄含有ポリホルマール、又はそれらの組合せを含み得る。
HS−R6−S−R1−(S)p−R1−[−O−C(R2)2−O−R1−(S)p−R1−]n−S−R6−SH(13a)
HS−R1−(S)p−R1−[−O−C(R2)2−O−R1−(S)p−R1−]n−SH(13b)
式中、nは、1〜50から選択される整数であり、各pは、独立に、1及び2から選択され、各R1は、独立に、C2〜6アルカンジイルから選択され、各R2は、独立に、水素、C1〜6アルキル、C7〜12フェニルアルキル、置換C7〜12フェニルアルキル、C6〜12シクロアルキルアルキル、置換C6〜12シクロアルキルアルキル、C3〜12シクロアルキル、置換C3〜12シクロアルキル、C6〜12アリール、及び置換C6〜12アリールから選択され、各R6は、独立に、C2〜6アルカンジイル及びC5〜12ヘテロアルカンジイルから選択される。式(13a)及び式(13b)のポリホルマールにおいて、各pは、1であり得、又は各pは、2である。式(13a)及び式(13b)のポリホルマールにおいて、各R1は、同じであってよく、又は各R1は、異なっていてもよい。式(13a)及び(13b)のポリホルマールにおいて、各R1は、C2〜5アルカンジイル、C2〜4アルカンジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、又はエタン−1,2−ジイルであり得る。式(13a)及び式(13b)のポリホルマールにおいて、各R1は、同じであってよく、エタン−1,2−ジイル又はプロパン−1,3−ジイルから選択することができ、各R2は、同じであってよく、水素、メチル、又はエチルから選択することができる。式(13a)のポリホルマールにおいて、各R6は、同じであってよく、エタン−1,2−ジイル及びプロパン−1,3−ジイルから選択される。式(13a)及び式(13b)のポリホルマールにおいて、nは、5〜40から選択される整数又は10〜40から選択される整数であり得る。
式(13a)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールは、本明細書に開示されるビニル末端硫黄含有ポリホルマール、例えば2−イソシアナートエチルメタクリラート付加物又はアリルイソシアナート付加物を、ジチオール、例えばDMDOと反応させることによって調製することができる。式(13a)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールは、式(11)の硫黄含有ポリホルマールのトシル−エステルを、水中で、MeN(Bu)3+Cl−の存在下でNaSHと反応させて、対応する式(13)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールを提供することによって調製することもできる。或いは、式(11)の硫黄含有ポリホルマールのトシル−エステルを、水中で、MeN(Bu)3+Cl−の存在下でチオ尿素と反応させて、チオ尿素付加物のトシラート塩を提供することができ、次にそれを、塩基の存在下で高温において反応させて、対応する式(13)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールを提供することができる。或いは、式(13)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールを得るために、式(11)の硫黄含有ポリホルマールを、まず、ジラウリン酸ジブチルスズの存在下でTDIなどのジイソシアナートと75℃〜80℃で反応させて、対応する式(13)のイソシアナート末端硫黄含有ポリホルマールを提供することができる。次に、式(13)のイソシアナート末端硫黄含有ポリホルマールを、メルカプトアルカノール、例えば2−メルカプトエタノール又は3−メルカプトプロパノールと反応させて、対応する式(13)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールを提供することができる。
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、金属配位子がプレポリマーの骨格に組み込まれている、金属配位子を含有するチオール末端硫黄含有プレポリマーを含み得る。金属配位子を含有する硫黄含有プレポリマーの例は、米国特許出願第2014/0275474号、第2014/0378649号、及び第2014/0378650号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
本開示によって提供される組成物は、イオン液体触媒又は主触媒及びイオン液体共触媒を含み得る。イオン液体触媒又は共触媒は、イオン液体、ポリマーイオン液体、又はそれらの組合せを含み得る。イオン液体触媒又は共触媒は、カプセル化イオン液体触媒又は共触媒であり得る。イオン液体は、触媒として使用される場合、シーラント組成物における唯一の触媒である。イオン液体は、共触媒として使用される場合、主触媒と合わせることができ、そのイオン液体は、共触媒と呼ばれる。イオン液体共触媒を使用することによって、主触媒の量は、イオン液体共触媒を伴わない類似の組成物と比較して、低減することができる。
本開示によって提供される組成物は、1つ又は複数のイオン液体触媒又は共触媒を含み得る。イオン液体触媒は、組成物中の唯一の触媒であってよく、又は主触媒と呼ぶことができる1つ又は複数の追加の共触媒と合わされた共触媒として使用され得る。イオン液体触媒は、共触媒として使用される場合、使用される主触媒の量を低減することができる。このことは、その他の共触媒が、硬化したシーラントに対して有害作用を及ぼす場合、特に有用である。
イオン液体触媒は、触媒として使用されるイオン液体を指す。したがって、「イオン液体触媒」及び「イオン液体」という表現は、同じ化合物を指し、これらの表現は交換可能に使用することができる。
イオン液体は、400℃以下の温度、例えば100℃未満の温度で液体である塩である。適切なイオン液体の例として、カチオン及び/又はアニオンの組合せが挙げられる。適切なカチオンには、例えば、一置換、二置換、及び三置換イミダゾリウム;置換ピリジニウム;置換ピロリジニウム;テトラアルキルホスホニウム;テトラアルキルアンモニウム;グアニジニウム;イソウロニウム;及びチオウロニウムが含まれ得る。適切なアニオンには、例えば、クロリド;ブロミド;ヨージド;テトラフルオロボラート;ヘキサフルオロホスファート;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファート(FAP);トリフルオロメタンスルホナート;トリフルオロアセタート;メチルスルファート;オクチルスルファート;チオシアナート;オルガノボラート;及びp−トルエンスルホナートが含まれ得る。イオン液体の例として、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([BMIM]PF6)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([HMIM]BF4)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート([BMIM]BF4)、及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンアミド([EMIM](CF3SO2)2N)が挙げられる。適切なイオン液体は、例えば、Solvent Innovation GmbH、BASF、又はMerck KGaAから市販されている。カチオン及びアニオンの変動によって、具体的な用途に適合させたイオン液体を生成することができる。
イオン液体触媒は、100℃未満の温度で液体である低融解温度の有機塩を含むことができ、低い蒸気圧及び高い熱安定性を有し、イオン液体触媒には、有機カチオンと有機又は無機カチオンの組合せによって形成されたイオン液体触媒が含まれ得る。適切な有機カチオンの例として、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム(P+(−R)4)、アンモニウム(N+(−R)4)及びスルホニウム(S−(−R)3)カチオンが挙げられる。適切な有機アニオンの例として、アルキルスルファート、トシラート、及びメタンドアネスルホナート(methand anesulfonate)アニオンが挙げられる。適切な無機アニオンの例として、C(F3)−S(O)2−N−−S(O)2−C(F3)、PF6 −、BF4 −が挙げられる。
適切なイオン液体の他の例として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、メチル−トリ−n−ブチルアンモニウムメチルスルファート、1,2,4−トリメチルピラゾリウムメチルスルファート、1−エチル−2,3−ジ−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1,2,3−トリメチル−イミダゾリウムメチルスルファート、メチルイミダゾリウムクロリド、メチルイミダゾリウム硫酸水素、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセタート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアナート、及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアナートが挙げられる。
イオン液体は、イミダゾリウムベースのイオン液体、例えば1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム 2−(2−メトキシエトキシ)−エチルスルファート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−メチル−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムクロリド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムニトラートであり得る。
適切なピリジニウムベースのイオン液体の例として、1−ブチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、及び1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
適切なピロリジニウムベースのイオン液体の例として、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピロリジニウムクロリド、及び1−ブチル−4−メチルピロリジニウムヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
適切なアンモニウムベースのイオン液体の例として、テトラブチルアンモニウムベンゾアート、テトラブチルアンモニウムメタンスルホナート、テトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホナート、テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホナート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラオクチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムチオシアナート、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムトリフルオロアセタート、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、及びテトラペンチルアンモニウムブロミドが挙げられる。
適切なホスホニウムベースのイオン液体の例として、テトラブチルホスホニウムメタンスルホナート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムp−トルエンスルホナート、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、及びトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが挙げられる。
イオン液体触媒は、ホスホニウムイオン液体、イミダゾリウムベースのイオン液体、ピリジニウムベースのイオン液体、ピロリジニウムベースのイオン液体、アンモニウムベースのイオン液体、ホスホニウムベースのイオン液体、スルホニウムベースのイオン液体、又は前記のいずれかの組合せを含み得る。イオン液体触媒は、イミダゾリウムイオン液体を含み得る。適切なイミダゾリウムベースのイオン液体の例として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセタート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムが挙げられる。イオン液体触媒は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、又はそれらの組合せを含み得る。
本開示によって提供される組成物において使用されるイオン液体触媒の量は、硬化したシーラントを許容される期間でもたらすのに十分であり得る。硬化性組成物におけるイオン液体触媒の量は、硬化化学、硬化温度、所望の硬化時間、及び追加の触媒が存在するかどうかに少なくとも部分的に応じて変わり得る。本開示によって提供される組成物は、組成物の総固体重量に対するwt%で、1wt%未満、0.1wt%未満、0.05wt%未満、0.02wt%未満、又は0.01wt%未満のイオン液体共触媒を含み得る。本開示によって提供される組成物は、組成物の総固体重量に対するwt%で、0.01wt%〜2wt%、0.01wt%〜1wt%、0.1wt%〜1wt%、0.1wt%〜0.5wt%、又は0.01wt%〜0.1wt%のイオン液体共触媒を含み得る。
本開示によって提供される硬化性組成物は、3wt%未満のイオン液体共触媒、2wt%未満、1wt%未満、0.8wt%未満、0.6wt%未満、0.4wt%未満、0.2wt%未満、又は0.1wt%未満のイオン液体共触媒を含み得る。硬化性組成物は、0.05wt%〜3wt%、0.05wt%〜2wt%、0.05wt%〜1wt%、0.1wt%〜1wt%、又は0.1wt%〜0.6wt%のイオン液体共触媒を含み得る。
イオン液体が、硬化性組成物において唯一の触媒である硬化性組成物において、硬化性組成物は、硬化性組成物の総固体重量に対するwt%で、15wt%未満、12wt%未満、8wt%未満、6wt%未満、4wt%未満又は2wt%未満のイオン液体触媒を含み得る。例えば、硬化性組成物は、硬化性組成物の総固体重量に対するwt%で、1wt%〜15wt%、1wt%〜12wt%、1wt%〜8wt%、又は1wt%〜5wt%のイオン液体触媒又はイオン液体触媒の組合せを含み得る。
イオン液体触媒又は共触媒は、制御放出性の触媒又は共触媒であり得る。制御放出性の触媒を使用することによって、オンデマンド系の硬化をもたらすことができる。
長い可使時間及び制御された硬化速度を有する組成物は、制御放出性のイオン液体触媒又は共触媒を使用することによって実現され得る。これらの系において、イオン液体は、隔離化又はカプセル化し、シーラント組成物に分散させることができる。例えば、高温などのストレスに曝露されると、触媒のイオン液体は、そのカプセル化材料(encapsulant)から放出され、硬化反応を触媒するのに利用可能となり得る。イオン液体触媒又は共触媒が放出されると、組成物は、2時間〜12時間の有用な可使時間を有することができ、24時間〜72時間以内に硬化することができる。
制御放出性のイオン液体触媒は、放出されるまで、例えば熱的、化学的又は物理的に、活性がほとんど又は全くない。制御放出性のイオン液体共触媒は、熱、超音波、及び/又は衝撃に曝露されると放出され得る。
本開示によって提供される制御放出性組成物において、組成物の可使時間は、触媒が放出されない場合、2週間を超えることができる。触媒が、化学的、熱的、光化学的又は物理的機構のいずれかによって放出されると、硬化時間は、72時間未満、60時間未満、48時間未満、36時間未満、24時間未満、又は12時間未満となり得る。
イオン液体触媒は、マトリックスカプセル化材料に組み込まれ得る。マトリックスカプセル化材料系において、イオン液体共触媒は、結晶性又は半結晶性ポリマーの側鎖の中に捕捉される。ポリマーは、高温で溶融して、イオン液体共触媒を組成物中に拡散させて硬化反応を触媒する。
マトリックスカプセル化は、液体又は固体材料の液滴又は粒子を、結晶性ポリマーの側鎖の中に捕捉するプロセスである。結晶性ポリマーは、温度が増大すると非晶質になり、液滴又は粒子を媒体に放出する。本開示によって提供されるマトリックスカプセル化材料は、イオン液体共触媒を含む液滴又は粒子を組み込む結晶性マトリックス材料を含み得る。したがって、反応速度は、結晶性ポリマーからのイオン液体共触媒の熱依存性拡散によって、ある程度制御される。結晶性ポリマーは、十分に定義された鮮明な融点を有することができ、又はある融点範囲を示すことができる。マイケル付加組成物において使用されるアミン触媒のカプセル化のためのワックス状ポリマーの使用は、米国特許出願第2007/0173602号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。
適切なマトリックスカプセル化材料の例として、Intelimer(登録商標)ポリマー(Air Products)、例えばIntelimer(登録商標)13−1及びIntelimer(登録商標)13−6が挙げられる。Intelimer(登録商標)ポリマーの特性は、2008年9月15〜16日、イリノイ州、シカゴのThermoset Resin Formulators Association Meetingで提示されたLowryら、「熱硬化性樹脂適用のための潜在性硬化剤であるIntelimer(登録商標)の硬化評価(Cure evaluation of Intelimer(登録商標)latent curing agents for thermoset resin applications)」に開示されている。
マトリックスカプセル化材料は、10分間未満、5分間未満、又は2分間未満などの短時間の高温への曝露後に、イオン液体から放出するように選択され得る。イオン液体触媒は、この短時間の高温への曝露中にマトリックスから放出され、硬化性組成物の反応性プレポリマー構成要素及び硬化剤構成要素に拡散し得る。組成物は、硬化プロセス中に加熱することができ、又は周囲温度で静置することができる。放出されたイオン液体触媒を含有する組成物は、周囲温度で静置すると、2時間未満、4時間未満、又は6時間未満で硬化し得る。
イオン液体触媒は、マトリックスカプセル化材料の溶融温度を超える温度でブレンドし、その混合物を急速に冷却し、固体を粉末に粉砕することによって、マトリックスカプセル化材料に組み込むことができる。粉末の平均粒径は、200μM未満、150μM未満、100μM未満、50μM未満、又は25μm未満であり得る。
制御放出性のイオン液体触媒は、シリカ上に吸着されたイオン液体を含むことができ、次に、カプセル化マトリックスに組み込まれる。加熱後、イオン液体がカプセル化マトリックスから放出されると、反応物の硬化を加速することができる。
本開示によって提供される組成物は、例えば、0.1wt%〜25wt%、1wt%〜15wt%、又は5wt%〜10wt%の、イオン液体共触媒を含むマトリックスカプセル化材料を含み得る。これは、硬化性組成物中、約0.01wt%〜2wt%、0.05wt%〜1.5wt%、又は0.5wt%〜1wt%のイオン液体触媒に相当し得る。
本開示によって提供される組成物において使用するのに適したマトリックスカプセル化材料は、1〜15、2〜10、又は5〜8の比(wt%/wt%)の、マトリックスポリマーwt%に対するイオン液体触媒wt%を含み得る。
本開示によって提供される硬化性組成物は、1つ又は複数のイオン液体共触媒に加えて、主触媒と呼ぶこともできる他の触媒を含み得る。1つ又は複数の主触媒の選択は、部分的に、組成物の硬化化学に応じて変わり得る。例えば、硬化化学は、チオール末端硫黄含有プレポリマーの二酸化マンガン触媒型の縮合、チオール末端硫黄含有プレポリマーのアミン触媒型のマイケル付加硬化、又はポリエポキシドとチオール末端硫黄含有プレポリマーのアミン触媒型の反応であり得る。酸化反応又はアミン触媒型の反応において、イオン液体は、それぞれ組成物中のオキシダント又はアミン触媒の量を低減するための共触媒として使用され得る。本開示によって提供されるある特定の組成物において、追加の触媒によって引き起こされるシーラント特性の障害を防止するか、又は最小限に抑えるために、硬化したシーラント中の追加のオキシダント又はアミン触媒の存在を最小限に抑えることが望ましい場合がある。
主触媒は、ジスルフィド結合を形成するために末端チオール基を酸化することができる酸化剤であり得る。適切な酸化剤の例として、二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、二クロム酸塩及びエポキシが挙げられる。
主触媒は、塩基触媒、例えばアミン触媒を含み得る。アミン触媒は、第一級アミン触媒、第二級アミン触媒、又は第三級アミン触媒であり得る。適切な第一級アミン触媒の例として、C3〜10脂肪族第一級アミン、例えばヘプタンアミン、ヘキシルアミン、及びオクタミンが挙げられる。適切な第二級アミン触媒の例として、脂環式ジアミン、例えばJefflink(登録商標)754及び脂肪族ジアミン、例えばClearlink(登録商標)1000が挙げられる。適切な第三級アミン触媒の例として、N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、N−エチルモルホリン、N’,N’−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’,N’’’−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン(PMDETA)、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N−ジメチルベンジルアミン(DMBA)、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチル−ジプロピレン−トリアミン(PMDPTA)、トリエチルアミン、及び1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾールが挙げられる。他の適切なアミン触媒には、アミジン触媒、例えばテトラメチルグアニジン(TMG)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)及びイミダゾール;並びに二環式グアニジン、例えば1,5,7,−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、及び1,5,7,−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル(MTBD)が含まれる。
アミン触媒は、DBU、DABCO、イソホロンジアミン(IPDA)、C6〜10第一級アミン、又は前記のいずれかの組合せを含み得る。
組成物は、1つ又は複数の異なるタイプの酸化剤又はアミン触媒を含み得る。
本開示によって提供される組成物は、ポリチオールの縮合によって硬化し得る。ポリチオールは、本開示によって提供されるチオール末端硫黄含有プレポリマー、例えばチオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、又は前記のいずれかの組合せを含み得る。
オキシダント触媒型のチオール縮合反応において、反応は、同じであっても異なっていてもよいチオール末端硫黄含有プレポリマー、例えばチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの間で生じ得る。このような組成物において、チオール末端硫黄含有プレポリマーの一方は、例えばPermapol(登録商標)3.1Eによって代表されるように、相対的に高分子量を有することができ、第2のチオール末端硫黄含有プレポリマーは、例えばPermapol(登録商標)3.1によって代表されるように、比較的低分子量を有することができる。
本開示によって提供される組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、任意選択の主触媒、及びイオン液体触媒に加えて、1つ又は複数の硬化剤を含有し得る。硬化剤という用語は、組成物の別の構成要素と反応して硬化したポリマー網目構造を提供するために、組成物に添加され得る材料を指す。硬化剤は、チオール末端硫黄含有プレポリマーと反応して、硬化したポリマー網目構造を形成し得る。「硬化」又は「硬化する」は、コーティング又はシーラントが、ASTM D2440に従って測定して、少なくとも20のデュロメータショアA、少なくとも30のデュロメータショアA、又は少なくとも40のデュロメータショアAの硬化硬度を達成する時点を指すことができる。
適切な硬化剤は、チオール末端硫黄含有プレポリマーの末端チオール基と反応する2個以上の末端反応性官能基を含有し得る。チオール基と反応性がある末端基には、例えば、エポキシ基、マイケルアクセプター基、及びアルケニル基が含まれる。
硬化剤は、ポリエポキシド、2個以上の末端マイケルアクセプター基を有する化合物、又はポリアルケニル化合物を含み得る。
硬化剤は、モノマー、低分子量プレポリマー、高分子量プレポリマー、又は前記のいずれかの組合せであり得る。
硬化剤は、チオール基と反応性がある末端官能基を有する、適切な末端の硫黄含有プレポリマー、例えばポリチオエーテルプレポリマー、ポリスルフィドプレポリマー、又は硫黄含有ポリホルマールプレポリマーであり得る。
硬化剤は、2〜6の官能度を有することができ、又は平均官能度が、例えば2.1〜6になるような異なる官能度を有する硬化剤の混合物を含み得る。硬化剤は、2の平均官能度、3の平均官能度、2.1〜2.7の平均官能度、又は2.1〜2.4の平均官能度を有することができる。
本開示によって提供される組成物は、ポリエポキシド硬化剤を含み得る。適切なポリエポキシドの例として、例えば、ポリエポキシド樹脂、例えばヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、ノボラックタイプのエポキシド、例えばDEN(登録商標)438又はDEN(登録商標)431(Dow Chemical)、ある特定のエポキシ化不飽和樹脂、及び前記のいずれかの組合せが挙げられる。ポリエポキシドは、2個以上の反応性エポキシ基を有する化合物を指す。
ポリエポキシド硬化剤は、エポキシ末端プレポリマーを含み得る。適切なエポキシ末端プレポリマーの例として、それぞれその全体が参照によって組み込まれる米国特許第8,541,513号に開示されているエポキシ末端ポリホルマールプレポリマー、及び米国特許第7,671,145号に開示されているエポキシ末端ポリチオエーテルプレポリマーが挙げられる。一般に、エポキシ末端プレポリマーは、硬化剤として使用される場合、2,000ダルトン未満、1,500ダルトン未満、1,000ダルトン未満、又は500ダルトン未満、例えば500ダルトン〜2,000ダルトン、500ダルトン〜1,500ダルトン、又は500ダルトン〜1,000ダルトンなどの分子量を有することができる。
ポリエポキシド硬化剤は、EPON(登録商標)828、DEN(登録商標)431、又はそれらの組合せを含み得る。EPON(登録商標)樹脂828(Momentive Performance Products)は、二官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリンから誘導された液体エポキシ樹脂として説明される。DEN(登録商標)431は、2.8の平均エポキシ官能度を有する、エピクロロヒドリンとフェノール−ホルムアルデヒドノボラックの反応生成物を含むエポキシノボラック樹脂として説明される。適切なポリエポキシド樹脂の他の例として、ビスフェノールAエポキシド樹脂、ビスフェノールFエポキシド樹脂、ビスフェノールSエポキシド樹脂、ノボラックエポキシド樹脂、グリシジルエポキシド樹脂を含めた脂肪族エポキシド樹脂が挙げられる。
このような組成物において、ポリエポキシドは、組成物の総固体重量に対するwt%で、組成物の0.5wt%〜20wt%、1wt%〜10wt%、2wt%〜約8wt%、2wt%〜6wt%、又は3wt%〜5wt%を構成し得る。
本開示によって提供される組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー及びマイケルアクセプター硬化剤を含み得る。マイケルアクセプターは、多官能性であり得、チオール末端硫黄含有プレポリマーの末端チオール基と反応性があるマイケルアクセプター基を有することができる。
多官能性マイケルアクセプターは、少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する。多官能性マイケルアクセプターは、2〜6、2〜4、2〜3、又は2.05〜2.5のマイケルアクセプター平均官能度を有することができる。多官能性マイケルアクセプターは、二官能性、例えばジビニルケトン及びジビニルスルホンであり得る。2を超える官能度を有するマイケルアクセプターは、マイケルアクセプター基を有する化合物及び本明細書に開示されるものなどの多官能化剤の末端基と反応性がある基を、適切な反応条件を使用して反応させることによって調製され得る。
マイケルアクセプターは、硬化剤として使用することができ、マイケルアクセプターの分子量は、例えば、600ダルトン未満、400ダルトン未満、又は200ダルトン未満、例えば50ダルトン〜200ダルトン、50ダルトン〜400ダルトン、又は50ダルトン〜600ダルトンであり得る。
硬化性組成物は、硬化性組成物の総乾燥固体重量に対するwt%で、約0.5wt%〜20wt%、1wt%〜10wt%、2wt%〜8wt%、2wt%〜6wt%、又は3wt%〜5wt%のマイケルアクセプター硬化剤を含み得る。
組成物が多官能性モノマーのマイケルアクセプターを含む場合、例えばジビニルスルホンなどの少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する任意の適切なモノマーのマイケルアクセプター、又は本明細書に開示されるマイケルアクセプターのいずれかを含む他のマイケルアクセプターが使用され得る。
また、マイケルアクセプター硬化剤は、その全体が参照によって組み込まれる米国特許出願第2013/0345371号に開示されるものなどの多官能性マイケルアクセプター付加物を含み得る。多官能性マイケルアクセプター付加物は、ビニルケトン又はビニルスルホン、例えばジビニルスルホンなどの2個以上の活性化アルケニル基を有する化合物などの、多官能性モノマーのマイケルアクセプターと共に使用され得る。
硫黄含有付加物は、少なくとも2個の末端マイケルアクセプター基を有するポリチオエーテルによって特徴付けられるポリチオエーテル付加物を含み得る。例えば、硫黄含有付加物は、
(a)式(14)の構造を含む骨格
−R1−[−S−(CH2)2−O−[−R2−O−]m−(CH2)2−S−R1]n−(14)
(式中、(i)各R1は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−基、及び−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−基から選択され、ここで、少なくとも1つの−CH2−単位は、メチル基で置換されており、(ii)各R2は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、及び−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−基から選択され、(iii)各Xは、独立に、O、S、及び−NR6−基から選択され、ここで、R6は、H及びメチル基から選択され、(iv)mは、0〜50の範囲であり、(v)nは、1〜60の範囲の整数であり、(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり、(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり、(viii)rは、2〜10の範囲の整数である)、及び
(b)少なくとも2個の末端マイケルアクセプター基
を含むポリチオエーテル付加物を含み得る。
式(14)の付加物において、R1は、[−(CHR2)p−X−]q−(CHR2)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択される。式(14)の付加物において、R1は、[−(CHR2)p−X−]q−(CHR2)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(14)の付加物において、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、pは、2であり得、Xは、Oであり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり得、mは、2であり得、nは、9であり得る。
マイケルアクセプター基は、当技術分野で周知である。マイケルアクセプター基は、エノン、ニトロ、ハロ、ニトリル、カルボニル、又はニトロ基などの電子求引基に近接している、アルケニル基などの活性化アルケンを含み得る。マイケルアクセプター基は、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、アルジミン、及びオキサゾリジンから選択され得る。マイケルアクセプター基のそれぞれは、同じであってよく、又はマイケルアクセプター基の少なくとも一部は、異なっていてもよい。
マイケルアクセプター基は、ビニルスルホンから誘導することができ、式(15)の構造を有し、
−CH2−C(−R4)2−S(O)2−C(−R4)=CH2(15)
式中、各R4は、独立に、水素及びC1〜3アルキルから選択される。式(15)の部分において、各R4は、水素であり得る。
硫黄含有付加物は、式(16a)のマイケルアクセプターポリチオエーテル付加物、式(16b)のマイケルアクセプターポリチオエーテル付加物、又はそれらの組合せを含み得る。
R6−S−R1−[−S−(CH2)s−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−R6(16a)
{R6−S−R1−[−S−(CH2)s−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−−V’−}zB(16b)
式中、
各R1は、独立に、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
各R2は、独立に、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、p、q、r、R3、及びXは、R1について定義される通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
sは、2〜6の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各Vは、チオール基と反応性がある末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールの反応から誘導され、
各R6は、独立に、末端マイケルアクセプター基を含む部分である。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、pは、2であり得、Xは、−O−であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり得、mは、2であり得、nは、9であり得る。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、R1は、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され得る。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、又はXは、−O−であり得るか、又はXは、−S−であり得る。
R1が、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得る式(16a)及び式(16b)の付加物において、pは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−S−であり得るか、又はpは、2であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、Xは、−O−であり得るか、又はpは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−O−であり得る。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、各R3は、水素であり得るか、又は少なくとも1つのR3は、メチルであり得る。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、各R1は、同じであってよく、又は少なくとも1つのR1は、異なっていてもよい。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、各R6は、独立に、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、マレイミド、アルジミン、及びオキサゾリジンから選択され得る。マイケルアクセプター基のそれぞれは、同じであってよく、又はマイケルアクセプター基の少なくとも一部は、異なっていてもよい。
式(16a)及び式(16b)の付加物において、各R6は、独立に、ビニルスルホンから誘導することができ、式(15)の構造を有し、
−CH2−C(R4)2−S(O)2−C(−R)=CH2(15)
式中、各R4は、独立に、水素及びC1〜3アルキルから選択される。各R6が式(15)の一部である式(16a)及び式(16b)の付加物において、各R4は、水素であり得る。
本開示によって提供されるマイケルアクセプター末端付加物は、マレイミド末端付加物を含むこともできる。適切なマレイミド末端硫黄含有付加物は、例えば、米国特許出願第2015/0119549号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。
ポリアルケニル硬化剤は、例えば、それぞれその全体が参照によって組み込まれる米国特許出願第2013/0284359号、及び米国特許出願第2012/0040104号に開示されている、例えば紫外(UV)硬化性系において使用され得る。
ポリアルケニル化合物は、ポリビニルエーテル及び/又はポリアリル(ポリアルケニル)化合物であり得る。
ポリアルケニル化合物は、式(17)の化合物を含むことができ、
CH2=CH−R10−CH=CH2(17)
式中、
R10は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され、ここで、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、及び−NR−から選択され、ここで、Rは、水素及びメチルから選択され、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である。
式(17)のポリアルケニル化合物において、R10は、C2〜6アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、又はC5〜8ヘテロシクロアルカンジイルであり得る。
式(17)のポリアルケニル化合物において、R10は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR4)r−であり得る。
式(17)のポリアルケニル化合物において、各R3は、水素であり得る。
式(17)のポリアルケニル化合物において、各Xは、−O−及び−S−から選択され得る。式(17)のポリアルケニル化合物において、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
アルケニル末端化合物は、ポリアリル化合物、例えばトリアリル化合物を含むことができ、この化合物は、3個のアリル基(CH2=CH−)を含む化合物を指し、それには、例えばトリアリルシアヌラート(TAC)及びトリアリルイソシアヌラート(TAIC)が含まれる。
ポリアルケニル化合物は、ポリビニルエーテルを含み得る。適切なポリビニルエーテルには、例えば、式(18)によって表されるポリビニルエーテルが含まれ、
CH2=CH−O−(−R5−O−)m−CH=CH2(18)
ここで、式(18)のR5は、C2〜6n−アルカンジイル基、C2〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、又は−[(−CH2−)p−O−]q−(−CH2−)r−であり得、ここで、pは、2〜6の範囲の値を有する整数であり、qは、1〜5の範囲の値を有する整数であり、rは、2〜10の範囲の値を有する整数である。
本開示によって提供される組成物は、マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー及びポリチオール硬化剤を含み得る。
マイケル付加のためのポリチオール硬化剤は、本開示によって提供されるチオール末端硫黄含有プレポリマー、及び低分子量ポリチオールプレポリマーであるモノマーポリチオールを含み得る。
例えば、適切なポリチオールプレポリマーには、本開示によって提供されるチオール末端硫黄含有プレポリマー、例えばチオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、又は前記のいずれかの組合せが含まれ得る。
適切なポリチオールは、式(8)の構造、HS−R1−SHを有するジチオール、又はジチオールの組合せを含むことができ、ここでR1は、本明細書で定義される。適切なジチオールの例として、式(8)のR1がC2〜6n−アルカンジイル基である化合物、すなわち、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、又は1,6−ヘキサンジチオールが挙げられる。
他の適切なジチオールには、式(8)のR1が、例えばメチル基又はエチル基であり得る1つ又は複数のペンダント基を有する、C3〜6分岐アルカンジイル基である化合物が含まれる。式(8)のR1が分岐アルカンジイル基である適切な化合物には、1,2−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール及び1,3−ジチオ−3−メチルブタンが含まれる。他の有用なジチオールには、R1が、C6〜8シクロアルカンジイル又はC6〜10アルキルシクロアルカンジイル基であるジチオール、例えば、ジペンテンジメルカプタン及びエチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)が含まれる。
他の適切なジチオールは、炭素骨格に1つ又は複数のヘテロ原子置換基を含み、すなわち、Xが、ヘテロ原子、例えばO、S若しくは別の二価のヘテロ原子ラジカル;第二級若しくは第三級アミン基、すなわち、−NR−(式中、Rは、水素又はメチルである);又は別の置換されている三価ヘテロ原子であるジチオールである。式(8)のジチオールにおいて、Xは、O又はSであり得、式(8)のR1は、−[(−CHR3−)p−O−]q−(−CHR3−)r−、又は−[(−CHR3−)p−S−]q−(−CHR3−)r−であり得、ここで、R3は、水素又はアルキル基、例えばメチル基であり、pは、2〜6の範囲の値を有する整数であり、qは、1〜5の範囲の値を有する整数であり、rは、2〜10の範囲の値を有する整数である。指標s及びrは、等しくてよく、ある場合には、共に2の値を有することができる。このタイプのジチオールには、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(p、rは、2であり、qは、1であり、Xは、Sであり、R3は、水素である)、ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(p、q、rは、2であり、Xは、Oであり、R3は、水素である)、及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(p、rは、2であり、qは、1であり、Xは、Oであり、R3は、水素である)が含まれる。炭素骨格にヘテロ原子置換基を含み、且つペンダントアルキル、例えばメチル基を含むジチオールを用いることも可能である。このような化合物には、メチル置換DMDS、例えばHS−CH2CH(CH3)−S−CH2CH2−SH、及びHS−CH(CH3)CH2−S−CH2CH2−SH、並びにジメチル置換DMDS、例えばHS−CH2CH(CH3)−S−CH(CH3)CH2−SH、及びHS−CH(CH3)CH2−S−CH2CH(CH3)−SHが含まれる。
マイケル付加のためのポリチオール硬化剤は、例えば2〜6の官能度を有するポリチオールを含み得る。例えば、ポリチオール硬化剤は、3〜6の官能度を有するジチオール及びチオールの組合せ、例えば3の官能度を有するポリチオールを含み得る。
本開示によって提供される組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、チオール末端硬化剤、イオン液体触媒、及び任意選択で酸化剤を含み得る。チオール末端硫黄含有プレポリマー及びチオール末端硬化剤は、共に、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、又は前記のいずれかの組合せであり得る。酸化剤は、本明細書に開示される酸化剤のいずれか、例えば二酸化マンガンであり得る。
イオン液体共触媒は、硬化性組成物における酸化剤の量を低減するために使用され得る。酸化剤との共触媒としてイオン液体を使用することには、いくつかの利点がある。まず、微粒子酸化剤、例えば二酸化マンガンの反応性は、制御困難な粒子形態に応じて変わる場合があり、したがって、微粒子酸化剤の反応性は、バッチごとに再現性を保つことができない。イオン液体は、反応の予測可能性を制御し、且つ/又は増大するために、酸化剤と併用することができる。イオン液体は、酸化剤のいくらかを置き換えるために使用することもでき、それによって、シーラントの全重量を低減することができる。
本開示によって提供される組成物において、酸化剤は排除することができ、反応を触媒するために、イオン液体触媒だけを使用することができる。
チオール末端ポリスルフィド及びチオール末端ポリチオエーテルの混合物を含有する、オキシダント触媒型のシーラント組成物は、例えば、米国特許出願第2008/0200610号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。
本開示によって提供される硬化性組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、ポリエポキシド硬化剤、イオン液体触媒、及び任意選択のアミン触媒を含み得る。
米国特許第6,123,179号に記載されているシーラントなどのシーラントにおいて、硬化した生成物を提供するために、アミン触媒が使用される。このような系は、典型的に、2時間にわたって硬化し、硬化したシーラントは、多くの用途に許容される耐燃料油性及び熱耐性を示すが、ある特定の航空宇宙用シーラント用途には、性能の改善と共に、より急速な硬化速度が望ましい。
米国特許第6,172,179号に記載されているシーラントなどのシーラントにおいて、チオール末端ポリチオエーテル及びポリエポキシド硬化剤は、硬化した航空宇宙用シーラントを提供するために、塩基の存在下で反応させることができる。塩基触媒型のチオール−エポキシ系の他の例は、米国特許出願第2014/02722287号、米国特許第8,710,159号、及び米国特許出願第2014/0110881号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。ポリエポキシド硬化剤は、チオール末端硫黄含有ポリマー、例えばポリチオエーテル及びポリスルフィドを硬化させるために使用される。このような系の例は、例えば、米国特許出願第2005/0010003号、第2006/0270796号、第2007/0287810号、第2009/0326167号、及び第2010/036063号に開示されており、例として、本明細書に記載される系のいずれかが挙げられる。これらの系は、シーラントとして有用であり、航空宇宙産業の厳しい性能要件を満たすことができる。イオン液体触媒は、これらのシーラント組成物のいずれかにおいて、アミン触媒を置き換えるか、又は組成物中のアミン触媒の量を低減するために使用され得る。
適切なアミン触媒には、第三級アミン触媒が含まれる。適切な第三級アミン触媒の例として、N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAEE)、N−エチルモルホリン、N’,N’−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン(PMDETA)、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N−ジメチルベンジルアミン(DMBA)、N,N−ジメチルセチルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチル−ジプロピレン−トリアミン(PMDPTA)、トリエチルアミン、及び1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾールが挙げられる。他の適切なアミン触媒には、アミジン触媒、例えばテトラメチルグアニジン(TMG)、ジアザビシクロノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)及びイミダゾール;並びに二環式グアニジン、例えば1,5,7,−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、及び1,5,7,−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル(MTBD)が含まれる。
アミン触媒は、DBU、DABCO、及びそれらの組合せから選択され得る。組成物は、1つ又は複数の異なるタイプのアミン触媒を含み得る。
本開示によって提供される組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、マイケルアクセプター硬化剤、イオン液体触媒及び任意選択のアミン触媒を含み得る。
チオール末端硫黄含有プレポリマーとのアミン触媒型のマイケル付加反応は、例えば、米国特許出願第2013/0345371号に開示されており、その全体が参照によって組み込まれる。米国特許出願第2013/0345371号に開示されている組成物は、1つ又は複数の塩基触媒、例えばアミン触媒を用いる。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)又は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)又はC6〜10第一級アミンなどの強塩基の存在下では、チオール−マイケル付加反応は、急速に進むことができ、その硬化時間は、典型的に2時間未満である。トリエチルアミンなどの強塩基触媒を用いない場合、例えば、チオール末端ポリチオエーテルとマイケルアクセプターとの間のマイケル付加反応は緩慢であり、例えば、温度に応じて数日から数週間の可使時間がかかる。しかし、硬化した組成物の物理的特性は、決して望ましいものではない。オンデマンド硬化系を提供するために、アミン触媒を、活性化されるとアミン触媒を放出することができる制御放出カプセル化材料又はマトリックスに組み込むことができる。それにもかかわらず、オンデマンド硬化系にアミン触媒が存在すると、これらの組成物から形成された硬化したシーラントの特性を損なうおそれがある。したがって、アミン触媒型の系では、アミン触媒を低減するか、又は排除することが望ましい。
塩基触媒、例えばアミン触媒の量は、イオン液体を共触媒として使用することによって低減され得る。例えば、硬化性組成物は、組成物の総固体重量に対するwt%で、0.5wt%未満のイオン液体、0.4wt%未満、0.2wt%未満、0.1wt%のイオン液体、0.05wt%未満のイオン液体、0.02wt%未満のイオン液体、又は0.01wt%未満のイオン液体、例えば0.01wt%〜0.5wt%、0.01wt%〜0.2wt%、又は0.01wt%〜0.1wt%のイオン液体を含み得る。
イオン液体触媒は、アミン触媒を置き換えることができ、又は硬化性組成物は、イオン液体共触媒及びアミン触媒の両方を含み得る。このような組成物において、組成物中のアミン触媒の量は、イオン液体共触媒を含まない類似の硬化性組成物において使用されるアミン触媒の量よりも少なくて済む。
したがって、イオン液体は、塩基触媒型の系、例えばアミン触媒型の系において、共触媒として、又は独立型の触媒として使用され得る。硫黄含有プレポリマーに基づくアミン触媒型のマイケル付加硬化化学は、例えば、米国特許出願第2013/0345371号、第2013/0345389号、第2014/0275461号、第2014/0378649号、第2015/0119549号、及び第2015/0252232号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
本開示によって提供される組成物は、アミン触媒などの塩基触媒を含み得る。例えば、硫黄含有ポリマーがチオール末端のものであり、化合物が二官能性マイケルアクセプターである実施形態では、反応は、アミン触媒の存在下で生じ得る。適切なアミン触媒の例として、例えば、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル、及びN’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
ポリエポキシドを含む組成物において、硬化性組成物は、本明細書に開示される触媒のいずれかなどのアミン触媒を含めた塩基触媒を含み得る。
マイケルアクセプター硬化剤は、モノマー、プレポリマー、又はそれらの組合せを含み得る。
本開示によって提供される組成物は、マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー及びチオール末端硫黄含有プレポリマーを含み得る。マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、本開示に記載されるプレポリマーを含めた、ポリチオエーテルプレポリマー、ポリスルフィドプレポリマー、又は硫黄含有ポリホルマールプレポリマーであり得る。少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する化合物は、マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー、例えばマイケルアクセプター末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み得る。マイケルアクセプター基と反応性がある基で末端された化合物及び少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する化合物の少なくとも1つは、ポリチオエーテルプレポリマーを含み得る。
硬化性組成物を提供するために、様々な方式でマイケル付加化学を用いることができる。例えば、本開示によって提供される硬化性組成物は、(a)チオール末端硫黄含有プレポリマー及びマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー、(b)チオール末端硫黄含有プレポリマー、低分子量ポリチオール、及びマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー、又は(c)チオール末端硫黄含有プレポリマー、マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー、及び少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する低分子量化合物、並びに(d)チオール末端硫黄含有プレポリマー、低分子量ポリチオール、マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー、及び少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する低分子量化合物を含み得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマー及びチオール末端硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、又は前記のいずれかの組合せから誘導され得る。
低分子量ポリチオール及び低分子量マイケルアクセプターは、例えば、400ダルトン未満、600ダルトン未満、又は1,000ダルトン未満の平均分子量を有することができる。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、マイケル付加アクセプターとして働く活性化不飽和基などの、マイケル付加のために活性化される少なくとも2個の末端不飽和基を有することができる。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端マイケルアクセプター基を含み得る。マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、二官能性であってよく、2を超える、例えば3、4、5、又は6の官能度を有することができる。マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、又は2.4〜2.6の平均官能度によって特徴付けられる異なる官能度を有するマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーの組合せを含み得る。マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端マイケルアクセプター基を有し、2、3、4、5、又は6個のマイケルアクセプター基を有することができる。マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、例えば、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、又は2.4〜2.6のマイケルアクセプター平均官能度によって特徴付けられる、異なる数の末端マイケルアクセプター基を有する付加物の組合せを含み得る。
適切なマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーには、マイケルアクセプター末端ポリチオエーテル、マイケルアクセプター末端ポリスルフィド、マイケルアクセプター末端硫黄含有ポリホルマール、及び前記のいずれかの組合せが含まれる。例えば、チオール末端硫黄含有プレポリマーとして使用するのに適したポリチオエーテル、ポリスルフィド、及び硫黄含有ポリホルマールのいずれかを、マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーのための骨格として使用することもできる。
航空宇宙用シーラント用途において使用するのに適したマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、例えば、米国特許出願第2014/0378649号及び米国特許出願第2015/0119549号に開示されており、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、マイケルアクセプター末端ポリチオエーテルを含み得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、
(a)式(6)の構造を含む骨格
−R1−[−S−(CH2)2−O−[−R2−O−]m−(CH2)2−S−R1]n−(6)
(式中、(i)各R1は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、−[(−CHR3−)p−X−]q−(CHR3)r−基から選択され、ここで、各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、(ii)各R2は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、及び−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−基から選択され、(iii)各Xは、独立に、O、S、及び−NR6−基から選択され、ここで、R6は、水素及びメチル基から選択され、(iv)mは、0〜50の範囲であり、(v)nは、1〜60の範囲の整数であり、(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり、(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり、(viii)rは、2〜10の範囲の整数である)、及び
(b)少なくとも2個の末端マイケルアクセプター基
を含むマイケルアクセプター末端ポリチオエーテルを含み得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択される。式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択される。式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、pは、2であり得、Xは、Oであり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり得、mは、2であり得、nは、9であり得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、式(19a)のマイケルアクセプター末端ポリチオエーテル、式(19b)のマイケルアクセプター末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せを含み得る。
R6−S−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−R6(19a)
{R6−S−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−−V’−}zB(19b)
式中、
各R1は、独立に、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
各R2は、独立に、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、p、q、r、R3、及びXは、R1について定義される通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各Vは、チオール基と反応性がある末端基を含む基であり、
各−V’−は、−Vとチオールの反応から誘導され、
各R6は、独立に、末端マイケルアクセプター基を含む部分である。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、pは、2であり得、Xは、−O−であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり得、mは、2であり得、nは、9であり得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、R1は、C2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−から選択され得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、Xは、−O−であり得るか、又はXは、−S−であり得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、pは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−S−であり得るか、又はpは、2であり得、qは、2であり得、rは、2であり得、Xは、−O−であり得るか、又はpは、2であり得、rは、2であり得、qは、1であり得、Xは、−O−であり得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、各R3は、水素であり得るか、又は少なくとも1つのR3は、メチルであり得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各R1は、同じであってよく、又は少なくとも1つのR1は、異なっていてもよい。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各−Vは、末端アルケニル基を含み得る。
硫黄含有プレポリマーの末端となっているマイケルアクセプター基は、任意の適切なマイケルアクセプター基であり得る。末端マイケルアクセプター基は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールから誘導され得るか、又はビスマレイミドから誘導され得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各R6は、ビスマレイミド、例えば1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)から誘導され得る。各R6は、エチレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミドヘキサン、2,4−ジマレイミドトルエン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド;1,4−ビス(マレイミド)ブタントリメチレンビスマレイミド;p,p’−ジマレイミドジフェニルメタン;ペンタメチレンビスマレイミド1H−ピロール−2,5−ジオン;1,1’−(1,8−オクタンジイル)ビス−、1H−ピロール−2,5−ジオン、1,1’−(1,7−ヘプタンジイル)ビス−、4,4’−ジチオビス(フェニルマレイミド);メチレンビス(N−カルバミルマレイミド)、1,9−ビス(マレイミド)ノナン;1,1’−デカン−1,10−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);O−フェニレンジマレイミド、ビス(N−マレイミドメチル)エーテル;1,5−ビス(マレイミド)−2−メチル−ペンタン;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド;1,1’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);Kerimid 601樹脂;テトラキス(N−2−アミノエチルマレイミド);1−(2,5−ジメチルフェニル)ピロール−2,5−ジオン;SureCN331305;SureCN349749;又は1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)から誘導され得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端マレイミド基を含み得る。
マイケルアクセプター基は、当技術分野で周知である。マイケルアクセプター基は、エノン、ニトロ、ハロ、ニトリル、カルボニル、又はニトロ基などの電子求引基に近接している、アルケニル基などの活性化アルケンを含み得る。マイケルアクセプター基は、ビニルケトン、ビニルスルホン、及びキノンから選択され得る。マイケルアクセプター基は、ビス(スルホニル)アルカノール基、例えば1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基、又は1−(エチレンスルホニル)−3−(ビニルスルホニル)プロパン−2−オール基を含み得る。マイケルアクセプター基のそれぞれは、同じであってよく、又はマイケルアクセプター基の少なくとも一部は、異なっていてもよい。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基、例えば2、3、4、5、又は6個の末端1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基を含み得る。マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、例えば、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、又は2.4〜2.6の1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール平均官能度によって特徴付けられる、異なる数の末端1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基を有する付加物の組合せを含み得る。
マイケルアクセプター基は、ビニルスルホンから誘導することができ、式(20)の構造を有し、
−CH2−C(−R16)2−S(O)2−C(−R16)=CH2(20)
式中、各R16は、独立に、水素及びC1〜3アルキルから選択される。式(20)のマイケルアクセプター基において、各R13は、水素であり得る。マイケルアクセプター末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルは、例えば、チオール末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルを、末端マイケルアクセプター基及びチオール基と反応性があるジビニルスルホンなどの基を有する化合物と、ホスフィン触媒の存在下で反応させることによって調製され得る。マイケルアクセプター/ポリチオエーテル化学及び化合物は、例えば、米国特許出願第2013/0345371号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。
マイケルアクセプター基は、ビス(スルホニル)アルカノールから誘導することができ、式(21a)又は式(21b)の構造を有し、
−CH2−CH2−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−CH=CH2(21a)
−CH2−CH2−S(O)2−CH2−CH(−OH)−CH2−S(O)2−CH=CH2(21b)
式中、各R10は、独立に、C1〜3アルカンジイルから選択される。
式(19a)及び式(19b)のマイケルアクセプター基において、各−Vは、末端アルケニル基を含み得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各R6は、独立に、ビニルケトン、ビニルスルホン、及びキノンから選択され得る。式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、マイケルアクセプター基のそれぞれは、同じであってよく、又はマイケルアクセプター基の少なくとも一部は、異なる。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各R6は、独立に、ビス(スルホニル)アルカノール基であり得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーにおいて、プレポリマーは、少なくとも2個の末端ビニルスルホニル基を含み得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個のビニルスルホニル基又は少なくとも2個の末端1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基が末端となっていてもよい。
マイケルアクセプター基及び硫黄含有プレポリマーの末端基と反応性がある基を有する化合物は、式R−CH2−CH2−S(O)2−R10−CH(−OH)−R10−S(O)2−CH=CH2を有するビス(スルホニル)アルカノールであり得、ここで、Rは、硫黄含有プレポリマーの末端基と反応性がある末端基を有する部分であり、各R10は、独立に、C1〜3アルカンジイルから選択され得る。ビス(ビニル)アルカノールは、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールであり得る。
本開示によって提供されるマレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端マレイミド基を含み得る。マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、二官能性であってよく、2を超える、例えば3、4、5、又は6の官能度を有することができる。マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、又は2.4〜2.6の平均官能度によって特徴付けられる異なる官能度を有するマレイミド末端硫黄含有プレポリマーの混合物を含み得る。マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端マレイミド基を有することができ、又は2個の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を有することができ、又は2個よりも多い末端基、例えば3、4、5、又は6個の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を有することができる。マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、例えば、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、又は2.4〜2.6の1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン平均官能度によって特徴付けられる、異なる数の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を有する付加物の組合せを含み得る。
マレイミドの二重結合は、pH6.5〜pH7.5でチオール基と反応させることができ、(メタ)アクリラートよりも反応性が高い。中性pHでは、マレイミドとチオールの反応は、マレイミドとアミンの反応よりも1,000倍急速に進行し得る。マレイミド樹脂から調製された組成物は、優れた熱機械安定性及び燃えにくさを示す。
マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、少なくとも2個の末端マレイミド基、例えば少なくとも2個の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基などを有するマレイミド末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み得る。
末端マイケルアクセプター基は、1,3−ビス(ビニルスルホニル−2−プロパノール、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、又はそれらの組合せから選択され得る。
式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各R6は、独立に、ビスマレイミドから誘導され得る。末端マレイミド部分のそれぞれは、同じであってよく、又は末端マレイミド部分の少なくとも一部は、異なる。式(19a)及び式(19b)のプレポリマーにおいて、各R6は、1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオンであり得る。
マレイミド末端硫黄含有プレポリマーは、
(a)式(6)の構造を含む骨格
−R1−[−S−(CH2)2−O−[−R2−O−]m−(CH2)2−S−R1]n−(6)
(式中、(i)各R1は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、−[(−CHR3−)p−X−]q−(CHR3)r−基から選択され、ここで、各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、(ii)各R2は、独立に、C2〜10n−アルカンジイル基、C3〜6分岐アルカンジイル基、C6〜8シクロアルカンジイル基、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環式基、及び−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−基から選択され、(iii)各Xは、独立に、O、S、及び−NR6−基から選択され、ここで、R6は、H及びメチル基から選択され、(iv)mは、0〜50の範囲であり、(v)nは、1〜60の範囲の整数であり、(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり、(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり、(viii)rは、2〜10の範囲の整数である)、及び
(b)少なくとも2個の末端マレイミド基
を含むマレイミド末端ポリチオエーテルプレポリマーを含み得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択され得る。式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CHR3)p−X−]q−(CHR3)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、各Xは、独立に、−O−及び−S−から選択され得る。式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[−(CH2)p−X−]q−(CH2)r−であり得、各Xは、−O−であり得るか、又は各Xは、−S−であり得る。
式(6)のプレポリマーにおいて、R1は、−[(−CH2−)p−X−]q−(CH2)r−であり得、式中、pは、2であり得、Xは、Oであり得、qは、2であり得、rは、2であり得、R2は、エタンジイルであり得、mは、2であり得、nは、9であり得る。
末端マレイミド基は、式(22)の構造を含む。
末端ビスマレイミド部分は、末端マレイミド基を有する部分を指す。末端マレイミド基は、式(4a)の構造を有する化合物などのビスマレイミドから誘導することができ、
式中、R10は、二価の有機部分であり、末端基は、式(4b)の構造を有し、
1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基と呼ばれる。末端マレイミド基は、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)とも呼ばれる式(5a)の1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドから誘導することができ、末端基は、式(5b)の構造を有する。
マレイミド基は、1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を含み得る。末端マレイミド基のそれぞれは、同じであってよく、又は末端マレイミド基の少なくとも一部は、異なる。
2個以上のマレイミド基を有する化合物の他の例として、エチレンビスマレイミド;1,6−ビスマレイミドヘキサン;2,4−ジマレイミドトルエン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド;1,4−ビス(マレイミド)ブタントリメチレンビスマレイミド;p,p’−ジマレイミドジフェニルメタン;ペンタメチレンビスマレイミド1H−ピロール−2,5−ジオン;1,1’−(1,8−オクタンジイル)ビス−、1H−ピロール−2,5−ジオン、1,1’−(1,7−ヘプタンジイル)ビス−、4,4’−ジチオビス(フェニルマレイミド);メチレンビス(N−カルバミルマレイミド)、1,9−ビス(マレイミド)ノナン;1,1’−デカン−1,10−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);O−フェニレンジマレイミド、ビス(N−マレイミドメチル)エーテル;1,5−ビス(マレイミド)−2−メチル−ペンタン;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド;1,1’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);Kerimid 601樹脂;テトラキス(N−2−アミノエチルマレイミド);1−(2,5−ジメチルフェニル)ピロール−2,5−ジオン;SureCN331305、SureCN349749;及び1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)が挙げられる。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーを調製するために、本明細書で開示される硫黄含有ポリマーなどの硫黄含有ポリマーは、マイケルアクセプター基及び硫黄含有プレポリマーの末端基と反応性がある基を有する化合物と反応させることができる。
マイケルアクセプター基は、ビニルケトン、ビニルスルホン、マレイミド、及びキノンから選択され得る。マイケルアクセプター基は、ビニルケトン又は例えばジビニルスルホンから誘導されたビニルスルホンであり得る。マイケルアクセプター基を有する化合物は、ジビニルスルホンから誘導することができ、硫黄含有ポリマーは、チオール末端のものであってもよく、例えばチオール末端ポリチオエーテル、チオール末端ポリスルフィド、又はそれらの組合せであり得る。
マイケルアクセプター基は、ビス(スルホニル)アルカノール、例えばビス(ビニルスルホニル)アルカノールから誘導された基であり得る。マイケルアクセプター基を有する化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールから誘導することができ、硫黄含有ポリマーは、チオール末端のものであってもよく、例えばチオール末端ポリチオエーテル、チオール末端ポリスルフィド、又はそれらの組合せであり得る。
マイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーは、マイケルアクセプターウレタン含有プレポリマーを含み得る。マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、米国特許出願第2015/0252232号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、硫黄含有プレポリマーの骨格に組み込まれたウレタンを含み得る。マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、増強された引張強度を有する硬化したシーラントを提供するのに有用となり得る。
ある特定の用途では、マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、米国特許出願第2013/0345371号及び米国特許出願第2013/0345389号に開示されているものなどの、既に開示されているマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーよりも改善されている。マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーから調製された、硬化したシーラントは、それらの出願に開示されているマイケルアクセプター末端硫黄含有プレポリマーと比較して、引張強度及び表面接着性の増強を示す。引張強度の増強は、ウレタンセグメントをポリマー骨格に組み込むことによって付与されると思われ、表面接着性の改善は、金属配位子及びマイケルアクセプターの両方として機能する基が末端となっていることにより生じると思われる。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、イソシアナート基でキャッピングされたウレタン含有及び硫黄含有骨格を含み、このイソシアナート基は、マイケルアクセプター基でさらにキャッピングされる。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーには、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、及び前記のいずれかの組合せが含まれる。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、いくつかの経路によって合成され得ると理解することができる。前駆体の官能基は、特定の反応化学に合わせて適合され、選択され得る。例えば、硫黄含有プレポリマーは、チオール末端基又はヒドロキシル末端基を含むことが好都合な場合がある。硫黄含有プレポリマーが末端ヒドロキシル基を有する実施形態において、ジイソシアナートは、硫黄含有プレポリマーと直接反応し得る。前駆体硫黄含有プレポリマーがチオール末端のものであるプレポリマーにおいて、チオール基を、ヒドロキシル官能性化合物でキャッピングして、ヒドロキシル末端硫黄含有プレポリマーを提供することができ、次に、このポリマーをジイソシアナートと反応させることができる。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、式(23a)のマイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマー、式(23b)のマイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマー、又はそれらの組合せを含み得る。
R30−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−[−R60−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−]w−R60−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−R30(23a)
B{−V’−S−R50−S−(CH2)2−O−R13−O−[−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−R60−]w−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−R30}z(23b)
式中、
wは、1〜100の整数であり、
各R13は、独立に、C2〜10アルカンジイルを含み、
各R20は、独立に、ジイソシアナートのコアを含み、
各R30は、独立に、少なくとも1個の末端マイケルアクセプター基を含み、
各R50は、独立に、硫黄含有プレポリマーのコアを含み、
各R60は、独立に、式(24)の構造を有する部分を含み、
−O−R13−O−(CH2)2−S−R50−S−(CH2)2−O−R13−O−(24)
Bは、z価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各Vは、チオール基と反応性がある末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールの反応から誘導される。
式(23a)及び式(23b)のプレポリマーにおいて、各R50は、ポリチオエーテルから誘導することができ、式(6)の構造を含み、
−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−(6)
式中、
各R1は、独立に、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、及び−N(−CH3)−から選択され、
各R2は、独立に、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、p、q、r、R3、及びXは、R1について定義される通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数である。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、チオール末端硫黄含有プレポリマー、ヒドロキシビニルエーテル、ジイソシアナート、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール(HO−CH(−CH2−S(O)2−CH=CH2)2)、及び任意選択で多官能化剤の反応から誘導され得る。したがって、マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、式(25a)の構造を有するプレポリマー、式(25b)の構造を有するプレポリマー、又はそれらの組合せを含み得る。
(CH2=CH−S(O)2−CH2−)2CH−O−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−[−R60−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−]w−R60−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−O−CH(−CH2−S(O)2−CH=CH2)2(25a)
B{−V’−S−R50−S−(CH2)2−O−R13−O−[−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−R60−]w−C(=O)−NH−R20−NH−C(=O)−O−CH(−CH2−S(O)2−CH=CH2)2}z(25b)
式中、各R13、各R20、各R50、各R60、w、z、B、及び各−V’−は、本明細書で定義される通りである。式(25a)及び式(25b)のプレポリマーにおいて、各R50は、式(6)の構造を有することができる。
式(23a)及び式(23b)のプレポリマーにおいて、各R30は、末端マレイミド基又は末端ビスマレイミド基を含み得る。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、イソシアナート末端ウレタン含有付加物を含む反応物、並びにイソシアナートと反応性がある基及び少なくとも1個のマイケルアクセプター基を含む化合物の反応生成物を含み得る。マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、イソシアナート末端ウレタン含有付加物を含む反応物、並びにイソシアナートと反応性がある基、少なくとも1個のマイケルアクセプター基、及び少なくとも1つの金属配位子を含む化合物の反応生成物を含み得る。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、イソシアナート末端ウレタン含有付加物を、少なくとも1個のマイケルアクセプター基、及び任意選択で金属配位子基、及びヒドロキシル基などのイソシアナート基と反応性がある基を有する化合物と反応させることによって調製することができる。反応は、50℃〜100℃などの適切な温度で、0.5時間〜5時間などの適切な時間にわたって、適切な触媒、例えばジラウリン酸ジブチルスズの存在下で行うことができる。
イソシアナート末端ウレタン含有付加物は、イソシアナート末端ウレタン含有ポリチオエーテル付加物、イソシアナート末端ウレタン含有ポリスルフィド付加物、又は前記のいずれかの組合せを含み得る。
本開示によって提供されるマイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、イソシアナートと反応性がある基及び少なくとも1個のマイケルアクセプター基を有する部分でキャッピングされ得る。キャッピング部分は、金属配位子をさらに含み得る。
イソシアナート基と反応性がある基には、ヒドロキシ基、アミン基、及びチオール基が含まれる。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーの各アームは、1〜4個のマイケルアクセプター基でキャッピングされ得る。例えば、マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーの各アームは、1個の末端マイケルアクセプター基を含むことができ、又はマイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーの各アームは、2個の末端マイケルアクセプター基を含むことができる。
式(23a)及び式(23b)のプレポリマーにおいて、各R30は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールから誘導することができ、式(26)の構造を有し、
−O−CH(−R10−S(O)2−CH=CH2)2(26)
式中、各R10は、C2〜4アルカンジイルである。
イソシアナートと反応性がある基及び少なくとも1個のマイケルアクセプター基を含む化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールを含む。
化合物は、ヒドロキシル基及び少なくとも1個のマイケルアクセプター基を含む。
本開示によって提供されるマイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、イソシアナートと反応性がある基、少なくとも1個のマイケルアクセプター基、及び少なくとも1つの金属配位子を有する化合物でキャッピングされ得る。
金属配位子は、航空宇宙表面に配位することができる。
化合物は、ヒドロキシル基及び2個のビニルスルホニル基を含み得る。
2個のマイケルアクセプター基、金属配位子、及びヒドロキシル基を含む、特に有用な化合物には、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールが含まれる。この末端ビニルスルホニル基は、マイケルアクセプターであり、ビス(スルホニル)基は、金属配位子として働き、ヒドロキシル基は、イソシアナート末端ウレタン含有付加物のイソシアナート基と反応させることができる。
イソシアナートと反応性がある基、少なくとも1個のマイケルアクセプター基、及び少なくとも1つの金属配位子を含む化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノール、例えば1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールを含み得る。
マイケルアクセプター末端ウレタン含有プレポリマーは、少なくとも1個のマイケルアクセプター基及び任意選択で少なくとも1つの金属配位子を含む部分において末端となることができ、ウレタン連結を介してプレポリマーのイソシアナート基に結合する。
したがって、マイケルアクセプター/金属配位子を含有する化合物は、イソシアナート末端ウレタン含有プレポリマー前駆体の末端イソシアナート基と反応することができる反応性ヒドロキシル基を含み得る。
金属配位子を硫黄含有プレポリマーの骨格に組み込むこと、及び/又は硫黄含有プレポリマーを金属配位子で末端とすることによって、金属配位子を含有するプレポリマーを使用して形成された金属表面へのコーティング及びシーラントの接着性を改善することができる。
ビス(スルホニル)アルカノールは、ポリマーの骨格に組み込まれ得るか、又は硫黄含有プレポリマーなどの末端基を形成して表面接着性を改善することができるタイプの金属配位子を表す。他の金属配位子をポリマーの骨格に組み込んで、表面接着性を増強することもできる。航空宇宙用シーラント用途では、金属配位子は、アルミニウム、酸化アルミニウム、Al(III)、陽極酸化アルミニウム、チタン、酸化チタン、及び/又はAlodine(登録商標)表面に配位することができる配位子から選択され得る。金属配位子は、表面原子に対して、二座、三座、又はより高次の多座配位錯体を形成し得る。
金属配位子、特にアルミニウム(III)金属配位子には、硬いルイス塩基、例えば−OH、−PO4、−SO4、−COOH、−C=O、及び−NH2基が含まれ、それらは、金属の空軌道に電子を供与することができる。アルミニウム(III)と共に多座配位錯体を形成するのに有効な塩基性供与基には、脂肪族モノヒドロキシ酸アニオン、カテコラート、芳香族ヒドロキシ酸アニオン、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン、ヒドロキサマート、及び3−ヒドロキシ−2−ピリジノンが含まれる。安定なアルミニウム(III)錯体は、陰性の酸素電子供与体を有する多座配位子によってもたらされる。金属配位子は、金属と共に、多座錯体、例えば二座錯体又は三座錯体を形成し得る。
金属配位子官能基は、ビス(スルホニル)アルカノール、ヒドロキシピリジノン、及びアセチルアセトナートから選択される金属キレート剤から誘導され得る。
アルミニウム、酸化アルミニウム及びAl(III)キレート剤の例として、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、5−ニトロサリチラート、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−ピリジノン、2−2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、8−ヒドロキシキノリン、オキシラート、マロナート、シトラート、イミノ酢酸、ピコリン酸、マルトール、コウジ酸、N,N’−二酢酸(EDTA)、N−(2−ヒドロキシ)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHA)、及びN,N’−ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸(HBED)、アセトアセタート、アセチルアセトナート、カテコラート、ヒドロキサマート、並びにキノンが挙げられる。他のアルミニウム及び酸化アルミニウムキレート化剤は、例えば、Yokel、配位化学総説(Coordination Chemistry Reviews)2002、228、97〜113、及びMartellら、配位化学総説(Coordination Chemistry Reviews)1996、149、311〜328に開示されている。
チタン又は酸化チタン金属配位子の例として、H2O2、アセトアセトナート(CH2(COCH3)2)、EDTA、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA,(CH2OCH2CH2N(CH2COOH)2)2)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA、HOOCH2N(CH2CH2N(CH2COOH)2)2)、ニトリル三酢酸(NTA、N(CH2COOH)3)、サリチル酸、乳酸、アセトアセトナート、トリエタノールアミン、及び前記のいずれかの組合せが挙げられる。
金属配位子は、アルミニウム(III)表面に配位することができる少なくとも2個のヘテロ原子基を含み得る。金属配位子は、−OH、−PO4、−P(O)2−、−SO4、−S(O)2−、−COOH、−C=O、−NH2、−NH−、及び前記のいずれかの組合せから選択される少なくとも2個のヘテロ原子基を含み得る。
金属配位子官能基は、式(27a)、式(27b)、式(27c)、式(27d)、式(27e)、又は前記のいずれかの組合せの部分を含むことができ、
−X−(CH2)s−CH(−OH)−(27a)
−X−(CH2)s−CH(−OH)−(CH2)n−X−(27b)
−CH(−OH)−(CH2)s−X−(CH2)s−CH(−OH)−(27c)
−CH(−OH)−R5−CH(−OH)−(27d)
−C(O)−R5−C(O)−(27e)
式中、−X−は、独立に、−C(O)−又は−S(O)2−から選択され、各sは、独立に、1、2、及び3から選択され、R5は、C1〜3アルカンジイルである。各Xは、−C(O)−であり得、各sは、1であり得るか、又は各Xは、−S(O)2−であり得、各sは、1であり得る。
金属配位子は、ビス(スルホニル)アルカノール、ヒドロキシピリジノン、キノン、アセチルアセトナート、又は前記のいずれかの組合せを含み得る。
式(23a)及び式(23b)のプレポリマーにおいて、各R50は、ポリチオエーテルから誘導され得る。例えば、各R50は、式(6)の構造を含むことができ、
−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−(6)
式中、
各R1は、独立に、C2〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、
pは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、及び−NR−から選択され、ここで、Rは、水素及びメチルから選択され、
各R2は、独立に、C1〜10アルカンジイル、C6〜8シクロアルカンジイル、C6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR3−)p−X−]q−(−CHR3−)r−から選択され、ここで、p、q、r、R3、及びXは、R1について定義される通りであり、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数である。
式(23a)及び式(23b)のプレポリマーにおいて、wは、2〜50、例えば2〜20の整数であり得る。
本開示によって提供される組成物は、1つ若しくは複数のマイケルアクセプター化合物及び/又は1つ若しくは複数のポリチオールをさらに含み得る。
組成物が、多官能性モノマーのマイケルアクセプターを含む場合、例えば、ジビニルスルホンなどの少なくとも2個のマイケルアクセプター基、又は本明細書に開示されるマイケルアクセプターのいずれかを含めた他のマイケルアクセプターを有する、適切なモノマーのマイケルアクセプターを使用することができる。
多官能性マイケルアクセプター化合物は、少なくとも2個のマイケルアクセプター基を有する。多官能性マイケルアクセプターは、2〜6、2〜4、2〜3、又は2.05〜2.5のマイケルアクセプター平均官能度を有することができる。多官能性マイケルアクセプターは、二官能性であってよく、例えば、ジビニルケトン及びジビニルスルホンであり得る。2を超える官能度を有するマイケルアクセプター化合物は、マイケルアクセプター基を有する化合物及び本明細書に開示されるものなどの多官能化剤の末端基と反応性がある基を、適切な反応条件を使用して反応させることによって調製され得る。
モノマーマイケルアクセプター化合物が使用される組成物において、マイケルアクセプターの分子量は、600ダルトン未満、400ダルトン未満、又は200ダルトン未満であり得る。
マイケルアクセプター化合物は、組成物の総乾燥固体重量に対するwt%で、組成物の0.5wt%〜20wt%、1wt%〜10wt%、2wt%〜8wt%、2wt%〜6wt%、又は3wt%〜5wt%を構成し得る。
ポリチオールは、400ダルトン未満の分子量を有する化合物などの小分子、プレポリマー、又はそれらの組合せであり得る。例えば、ポリチオールは、例えばDMDOなどの式(16)のジチオール、式(18)のポリチオール、又は前記のいずれかの組合せであり得る。
チオール末端プレポリマー及び多官能性マイケルアクセプター硬化剤を含む組成物は、アミン触媒を含み得る。適切なアミン触媒の例として、例えば、トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル、及びN’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
実際、前記の組成物は、チオール末端硫黄含有プレポリマー及びマイケルアクセプターが別個の構成要素として提供される二成分組成物として提供することができ、アミン触媒は、一方又は両方の構成要素に含まれ、二成分は、使用直前に混合される。例えば、触媒のアミンが第三級アミンである場合、アミン触媒は、一方又は両方の構成要素に含まれてよく、触媒のアミンが第一級又は第二級アミンである場合、アミン触媒は、チオール末端硫黄含有プレポリマーを含有する構成要素だけに含まれ得る。或いは、塩基触媒は、第3の構成要素として提供することができ、チオール末端硫黄含有プレポリマーを含有する構成要素、マイケルアクセプターを含有する構成要素、及び塩基触媒を含有する構成要素は、使用直前に混合され得る。しかし、構成要素が混合されたら、マイケル付加反応は進行し、温度及びアミン触媒のタイプに少なくとも部分的に応じて、可使時間は2時間未満に制限される。さらに、組成物が硬化し始めたら、反応速度を制御して、シーラントが表面に適用された後に生じる錯体化学反応を上手く活用する能力がほとんどなくなる。
本開示によって提供される組成物は、航空宇宙用シーラントにおいて使用するのに適した1つ又は複数の追加の構成要素を含むことができ、その選択及び量は、硬化したシーラントの使用条件下での所望の性能特徴に少なくとも部分的に応じて変わり得る。本開示によって提供される組成物は、シーラントとして配合することができ、又はコーティングとして配合することができる。
本開示によって提供される組成物は、1つ又は2つ以上の接着促進剤を含み得る。接着促進剤は、組成物の総乾燥重量に対して、組成物の0.1wt%〜15wt%、5wt%未満、2wt%未満、又は1wt%未満の量で存在し得る。適切な接着促進剤の例として、フェノール類、例えばMethylon(登録商標)フェノール樹脂、及び有機シラン、例えばエポキシ官能性、メルカプト官能性又はアミノ官能性シラン、例えばSilquest(登録商標)A−187及びSilquest(登録商標)A−1100が挙げられる。他の有用な接着促進剤は、当技術分野で公知である。
本開示によって提供される組成物は、1つ又は複数の異なるタイプのフィラーを含み得る。適切なフィラーには、無機フィラー、例えばカーボンブラック及び炭酸カルシウム(CaCO3)、シリカ、ポリマー粉末、並びに軽量フィラーを含めた当技術分野で一般に公知のフィラーが含まれる。適切な軽量フィラーには、例えば、米国特許第6,525,168号に記載されているフィラーが含まれる。組成物は、組成物の総乾燥重量に対して5wt%〜60wt%、10wt%〜50wt%、又は20wt%〜40wt%のフィラー又はフィラーの組合せを含み得る。本開示によって提供される組成物は、1つ又は複数の着色剤、チキソトロピーをもたらす(thixotropic)薬剤、促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶媒、マスキング剤、又は前記のいずれかの組合せをさらに含み得る。組成物中に用いられるフィラー及び添加剤は、理解され得る通り、互いに適合性があり、且つポリマー構成要素、硬化剤、及び又は触媒と適合性があるように選択され得る。
本開示によって提供される組成物は、低密度フィラー粒子を含み得る。本明細書で使用される場合、低密度とは、このような粒子に言及して使用される場合、その粒子が、0.7以下、又は0.25以下、又は0.1以下の比重を有することを意味する。適切な軽量フィラー粒子は、しばしば、ミクロスフェアと非晶質粒子の2つの分類に含まれる。ミクロスフェアの比重は、0.1〜0.7の範囲であってよく、ミクロスフェアには、例えば、ポリスチレンフォーム、ポリアクリラート及びポリオレフィンのミクロスフェア、並びに5ミクロン〜100ミクロンの範囲の粒径及び0.25の比重を有するシリカミクロスフェア(Eccospheres(登録商標))が含まれる。他の例として、5ミクロン〜300ミクロンの範囲の粒径及び0.7の比重を有するアルミナ/シリカミクロスフェア(Fillite(登録商標))、0.45〜0.7の比重を有するケイ酸アルミニウムミクロスフェア(Z−Light(登録商標))、0.13の比重を有する炭酸カルシウムでコーティングされたポリビニリデンコポリマーミクロスフェア(Dualite(登録商標)6001AE)、並びに炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルコポリマーミクロスフェア、例えば40μmの平均粒径及び0.135g/ccの密度を有するDualite(登録商標)E135(Henkel)が挙げられる。組成物の比重を低減するのに適したフィラーには、例えば、中空ミクロスフェア、例えばExpancel(登録商標)ミクロスフェア(AkzoNobelから入手可能)又はDualite(登録商標)低密度ポリマーミクロスフェア(Henkelから入手可能)が含まれる。本開示によって提供される組成物は、その全体が参照によって組み込まれる米国特許出願第2010/0041839号に記載されるものなどの、薄いコーティングでコーティングされた外面を含む軽量フィラー粒子が含まれる。
組成物は、組成物の総乾燥固体重量に対するwt%で、2wt%未満の低密度フィラー、1.5wt%未満、1.0wt%未満、0.8wt%未満、0.75wt%未満、0.7wt%未満、又は0.5wt%未満の低密度フィラーを含み得る。
非導電性のフィラーの例として、炭酸カルシウム、雲母、ポリアミド、フュームドシリカ、分子ふるい粉末、ミクロスフェア、二酸化チタン、チョーク、黒染用アルカリ(alkaline black)、セルロース、硫化亜鉛、重晶石、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物などの材料が挙げられる。フィラーには、バンドギャップの大きい材料、例えば硫化亜鉛及び無機バリウム化合物も含まれる。導電性ベース組成物は、ベース組成物の総重量に対して2wt%〜10wt%の範囲の量の非導電性のフィラーを含むことができ、又は3wt%〜7wt%の範囲であってよい。組成物は、組成物の総重量に対して6wt%未満の範囲の量の非導電性のフィラーを含むことができ、又は0.5重量%〜4重量%の範囲であってよい。
低密度フィラーは、組成物の比重を低減することができる。組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85、又は0.77〜0.83であり得る。組成物の比重は、0.9未満、0.8未満、0.75未満、0.7未満、0.65未満、0.6未満、又は0.55未満であり得る。
本開示によって提供される組成物は、導電性フィラーを含み得る。電気伝導率及びEMI/RFIシールド有効性は、導電性材料をポリマーに組み込むことによって、組成物に付与することができる。導電性要素には、例えば、金属又は金属めっきの粒子、織物、メッシュ、繊維、及びそれらの組合せが含まれ得る。金属は、例えば、繊維、粒子、薄片、又は球の形態であり得る。金属の例として、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、及び鋼が挙げられる。ポリマー組成物にEMI/RFIシールド有効性を付与するために使用され得る他の導電性材料には、炭素又はグラファイトを含む導電性粒子又は繊維が含まれる。導電性ポリマー、例えばポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、及びポリアセチレンを使用することもできる。
ポリマー組成物に電気伝導率及びEMI/RFIシールド有効性を付与するために使用されるフィラーは、当技術分野で周知である。導電性フィラーの例として、導電性貴金属ベースのフィラー、例えば純銀;貴金属めっきの貴金属、例えば銀めっきの金;貴金属めっきの非貴金属、例えば銀めっきの銅、ニッケル又はアルミニウム、例えば銀めっきのアルミニウムコア粒子又は白金めっきの銅粒子;貴金属めっきのガラス、プラスチック又はセラミック、例えば銀めっきのガラスミクロスフェア、貴金属めっきのアルミニウム又は貴金属めっきのプラスチックミクロスフェア;貴金属めっきの雲母;及びこのような他の貴金属導電性フィラーが挙げられる。非貴金属ベースの材料を使用することもでき、それらの材料には、例えば、非貴金属めっきの非貴金属、例えば銅でコーティングされた鉄粒子又はニッケルめっきの銅;非貴金属、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト;非貴金属めっきの非金属、例えばニッケルめっきのグラファイト及び非金属材料、例えばカーボンブラック及びグラファイトが含まれる。導電性フィラーの組合せは、特定の用途に適した所望の伝導率、EMI/RFIシールド有効性、硬度、及び他の特性を満たすために使用することもできる。
本開示の組成物において使用される導電性フィラーの形状及びサイズは、硬化した組成物にEMI/RFIシールド有効性を付与する任意の適切な形状及びサイズであり得る。例えば、フィラーは、球形、薄片、血小板形状、粒子、粉末、不規則形状、繊維等を含めた、導電性フィラーの製造に一般に使用される任意の形状であり得る。本開示のある特定のシーラント組成物において、ベース組成物は、Niでコーティングされたグラファイトを、粒子、粉末又は薄片として含み得る。ベース組成物におけるNiでコーティングされたグラファイトの量は、ベース組成物の総重量に対して、40wt%〜80wt%、又は50wt%〜70wt%の範囲であってよい。導電性フィラーは、Ni繊維を含み得る。Ni繊維は、10μm〜50μmの範囲の直径及び250μm〜750μmの範囲の長さを有することができる。ベース組成物は、ベース組成物の総重量に対して、例えば2wt%〜10wt%、又は4wt%〜8wt%の範囲の量のNi繊維を含み得る。
炭素繊維、特にグラファイト化炭素繊維も、本開示の組成物に電気伝導率を付与するために使用され得る。気相熱分解法によって形成され、熱処理によってグラファイト化されており、0.1ミクロン〜数ミクロンの範囲の繊維直径を有する、中空又は固体の炭素繊維は、高い電気伝導率を有する。米国特許第6,184,280号に開示されている通り、0.1μM未満〜数十ナノメートルの外径を有する炭素極細繊維、ナノチューブ又は炭素繊維は、導電性フィラーとして使用され得る。本開示の導電性組成物に適したグラファイト化炭素繊維の一例として、Panex(登録商標)3OMFが挙げられる(Zoltek Companies,Inc.、0.00055Ω−cmの電気抵抗率を有する直径0.921μmの円形繊維。
導電性フィラーの平均粒径は、ポリマーベースの組成物に電気伝導率を付与するのに有用な範囲内であり得る。例えば、1つ又は複数のフィラーの粒径は、0.25μm〜250μm、又は0.25μm〜75μm、又は0.25μm〜60μmの範囲であってよい。本開示の組成物は、ヨウ素吸収度1,000mg/g〜11,500mg/g(J0/84−5試験法)、及び細孔体積480cm3/100g〜510cm3/100g(DBP吸収、KTM81−3504)によって特徴付けられる導電性カーボンブラックであるKetjenblack(登録商標)EC−600 JD(AkzoNobel、Inc.)を含み得る。導電性カーボンブラックフィラーは、Black Pearls(登録商標)2000(Cabot Corporation.)である。
導電性ポリマーは、本開示の組成物の電気伝導率を付与するか、又はその電気伝導率を修正するために使用され得る。ポリフェニレンスルフィド、及びポリチオフェンなどのような、芳香族基に組み込まれるか、又は二重結合に隣接している硫黄原子を有するポリマーは、導電性であることが知られている。他の導電性ポリマーには、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、及びポリアセチレンが含まれる。ベース組成物を形成する硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィド及び/又はポリチオエーテルであり得る。したがって、硫黄含有プレポリマーは、本開示の組成物の電気伝導率を増強するために、共役した二重結合に隣接する芳香族硫黄基及び硫黄原子、例えばビニルシクロヘキセン−ジメルカプトジオキサオクタン基を含み得る。
本開示の組成物は、2つ以上の導電性フィラーを含むことができ、2つ以上の導電性フィラーは、同じ又は異なる材料及び/又は形状であり得る。例えば、シーラント組成物は、粉末、粒子又は薄片の形態の導電性Ni繊維、及び導電性Niでコーティングされたグラファイトを含み得る。導電性フィラーの量及びタイプは、硬化すると、0.50Ω/cm2未満のシート抵抗性(4点抵抗性)、又は0.15Ω/cm2未満のシート抵抗性を示すシーラント組成物を生成するように選択され得る。フィラーの量及びタイプは、本開示のシーラント組成物を使用してシールされた開口部に、1MHz〜18GHzの周波数範囲にわたって有効なEMI/RFIシールドを提供するように選択することもできる。
本開示の異種金属表面及び導電性組成物の電気腐食は、組成物に腐食防止剤を添加することによって、且つ/又は適切な導電性フィラーを選択することによって最小限に抑えるか、又は防止することができる。腐食防止剤には、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、及びそれらの組合せが含まれる。米国特許第5,284,888号及び米国特許第5,270,364号は、アルミニウム及び鋼の表面の腐食を阻害するための芳香族トリアゾールの使用を開示している。腐食防止剤として、Znなどの犠牲脱酸素剤が使用され得る。導電性組成物は、重量で10wt%未満、例えば2wt%〜8wt%の腐食防止剤を含み得る。また、異種金属表面間の腐食は、組成物を構成する導電性フィラーのタイプ、量、及び特性の選択によって最小限に抑えるか、又は防止することができる。
硫黄含有プレポリマー及びチオール末端プレポリマーは、組成物の総乾燥固体重量に対するwt%で、組成物の50wt%〜90wt%、60wt%〜90wt%、70wt%〜90wt%、又は80wt%〜90wt%を構成し得る。
本開示によって提供される組成物は、例えば、シーラント、コーティング、カプセル化材料、及び埋込用(potting)組成物において使用され得る。シーラントは、湿気及び温度などの操作条件に耐え、水、燃料、並びに他の液体及びガスなどの材料の透過を少なくとも部分的に遮断する能力を有するフィルム又はコーティングを生成することができる組成物を含む。コーティング組成物は、例えば、外観、接着性、水和性、耐腐食性、耐摩耗性、耐燃料油性、及び/又は耐摩耗性などの基材の特性を改善するために、基材の表面に適用される被覆を含む。埋込用組成物は、衝撃及び振動に対する抵抗性をもたらし、湿気及び腐食作用物質を排除するために、電子アセンブリにおいて有用な材料を含む。本開示によって提供されるシーラント組成物は、例えば航空宇宙用シーラント及び燃料タンクの内張りとして有用である。
シーラントなどの組成物は、複数パッケージの組成物、例えば2つのパッケージの組成物として提供することができ、ここで、一方のパッケージは、チオール末端硫黄含有プレポリマーを含む1つ又は複数の構成要素を含み、第2のパッケージは、硬化剤及び/又はイオン液体触媒を含む。添加剤及び/又は他の材料は、所望に応じて又は必要に応じて、いずれか又は両方のパッケージに添加することができる。2つのパッケージは、使用前に合わせ、混合され得る。合わされた組成物の可使時間は、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、又は72時間よりも長い。
本開示によって提供されるシーラントを含む組成物は、様々な基材のいずれかに適用され得る。組成物が適用され得る基材の例として、金属、例えばチタン、ステンレス鋼、及びアルミニウム(それらのいずれかは陽極酸化され、下塗りされ、有機コーティングされ、又はクロム酸塩でコーティングされ得る)、エポキシ、ウレタン、グラファイト、ガラス繊維複合体、Kevlar(登録商標)、アクリル、及びポリカルボナートが挙げられる。本開示によって提供される組成物は、基材上のコーティング、例えばポリウレタンコーティングに適用され得る。
本開示によって提供される組成物は、当業者に公知の任意の適切なコーティングプロセスによって、基材の表面上又は下層にわたって直接適用され得る。
さらに、本開示によって提供される組成物を利用して、開口部をシールするための方法が提供される。これらの方法は、例えば、本開示によって提供される組成物を表面に適用して、開口部をシールし、組成物を硬化させる工程を含む。開口部をシールするための方法は、(a)本開示によって提供されるシーラント組成物を、開口部を画定する1つ又は複数の表面に適用する工程と、(b)開口部を画定する表面を組み立てる工程と、(c)シーラントを硬化させて、シールされた開口部を提供する工程とを含み得る。本開示によって提供される部品をシールする方法は、イオン液体触媒を含む硬化性組成物を提供する工程と、請求項16に記載の組成物を部品の表面の少なくとも一部に適用する工程と、適用した組成物を硬化させて、その部品をシールする工程とを含む。
本開示によって提供される組成物を使用する方法は、組成物を基材に適用する工程と、組成物を硬化させて、硬化したシーラントを提供する工程とを含む。本開示によって提供される組成物を使用する方法は、組成物を基材に適用する工程と(ここで、ホスフィン触媒は、制御放出カプセル化イオン液体触媒を含む)、制御放出性のイオン液体触媒を活性化する工程と、組成物を硬化させて、硬化したシーラントを提供する工程とを含む。
本開示によって提供されるシーラントは、クラスA、クラスB、又はクラスCの航空宇宙用シーラントとして適することができる。クラスAのシーラントは、典型的に、刷毛で塗ることによって適用され、約150ポワズ〜500ポワズの粘度を有する。クラスBのシーラントは、空気式Semco(登録商標)銃を使用して押し出すなどによって、押出しによって適用することができ、約8,000ポワズ〜約16,000ポワズの高い粘度によって特徴付けられる。クラスBのシーラントは、隅肉(fillets)を形成し、低いスランプ/たわみが必要とされる垂直面上にシールするために使用され得る。クラスCのシーラントは、ローラー塗装又はくし歯型ヘラ(combed tooth spreader)を使用して適用することができ、約1,000ポワズ〜約4,000ポワズの中程度の粘度を有する。クラスCのシーラントは、精密接合表面をシールするために使用される。
組成物は、周囲条件で硬化することができ、ここで、周囲条件は、20℃〜25℃の温度及び大気湿度を指す。組成物は、0℃〜100℃の温度及び0%相対湿度〜100%相対湿度の湿度を包含する条件下で硬化することができる。組成物は、より高い温度で、例えば少なくとも30℃、少なくとも40℃、又は少なくとも50℃で硬化することができる。組成物は、室温で、例えば25℃で硬化することができる。組成物は、化学線、例えば紫外線放射に曝露されると硬化することができる。またこの方法は、理解される通り、航空機及び航空宇宙機を含めた航空宇宙機上の開口部をシールするために使用され得る。
組成物は、組成物の有用な可使時間後、1時間未満、2時間未満、4時間未満、6時間未満、又は12時間未満で、粘着性を伴わずに硬化する。
本開示の硬化性組成物を使用して実行可能なシールを形成するための時間は、当業者によって理解され、適用できる標準及び仕様書の要件によって定義される通り、いくつかの因子に応じて変わり得る。一般に、本開示の硬化性組成物は、24時間〜30時間以内に接着強度を生じ、表面に適用して2日〜3日後に、完全な接着強度の90%が生じる。一般に、本開示の硬化した組成物の完全な接着強度並びに他の特性は、混合し、硬化性組成物を表面に適用した後2〜3日以内に完全に生じる。
本開示によって提供される硬化性組成物を調製した後、反応物が反応し始めると、硬化性組成物の粘度が増大する。硬化性組成物を表面に適用できる時間は、可使時間と呼ばれる。硬化中のある時点で、組成物の粘度は、組成物を表面にもはや適用できなくなる時点まで増大する。組成物を表面に適用した後、硬化反応は、表面がもはや粘着性でなくなる(粘着性がなくなる)時点まで進行し、次に、硬度を測定できる、硬化開始と呼ばれる時点まで進行する。シーラントは、時間をかけて硬化し、硬くなり続ける。次に、数日間にわたって完全な硬化が生じ、本開示によって提供されるシーラントでは、40以上のショアA硬度に達することができる。一般に、イオン液体共触媒を増量すると、硬化開始を早めることができる。硬化開始が早まる時間は、硬化化学に応じて変わり得る。
硬化開始と硬化性組成物がショアA硬度20、30又は40を示す時間との間の時間は、硬化時間と呼ぶことができ、硬化速度によって特徴付けることができる。一般に、硬化時間は短く、硬化速度は急速であることが望ましい。イオン液体共触媒の添加は、硬化化学に応じて、硬化時間及び硬化速度を低減することができ、又は増大することができる。例えば、イオン液体共触媒を伴わないMnO2触媒型のチオール縮合反応において、硬化開始は、3時間〜5時間であり得、硬化開始からショアA硬度40に達するまでの時間は、20時間〜25時間であり得る。1wt%〜5wt%のイオン液体共触媒を添加すると、硬化開始を45分〜90分早めることができ、硬化時間は、2時間〜4時間になり得る。他のMnO2触媒型のチオール縮合反応において、硬化開始は、約6時間〜7時間から0.5時間〜1.5時間に早めることができ、硬化時間は、12時間〜18時間から1時間〜3時間に短縮することができる。
また硬化開始及び硬化時間は、イオン液体及び特定のイオン液体アニオンに応じて変わり得る。例えば、0.3wt%のイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([BMIM]+)を、クラスCのシーラントであるMnO2触媒型のポリスルフィドシーラントP/S 890 C24に添加すると、硬化開始は、アニオンに応じて約7日間から0.5〜6時間の間まで早まり、例えば、[BMIM]+CH3COO−では0.5時間になり、[BMIM]+(CH3)SO4 −では1.5時間になり、[BMIM]+MBT−では6時間になる。また硬化までの時間は、0.3wt%のイオン液体触媒なしのシーラントの48時間から、0.3wt%の[BMIM]+CH3COO−を伴う場合には1時間まで、0.3wt%の[BMIM]+(CH3)SO4 −を伴う場合には3時間まで、0.3wt%の[BMIM]+MBT−を伴う場合には15時間まで短縮された。
本開示によって提供されたシーラントは、グレードA、グレードB、又はグレードCの航空宇宙用シーラントとして適することができる。例えば、航空宇宙用シーラント用途では、シーラントは、硬化した厚さ20ミルのMil−S−22473Eの要件(シーラントグレードC)を満たし、伸び200%超、引張強度250psi超、及び優れた耐燃料油性を示し、−67°F(−55℃)〜360°F(182℃)の広範な温度範囲にわたってこれらの特性を維持することが望ましい場合がある。一般に、シーラントの視覚的外観は、重要な特質ではない。硬化前は、混合された構成要素は、有用な可使時間又は少なくとも24時間の可使時間を有し、48時間〜72時間の可使時間以内の硬化時間を有することが望ましい。有用な可使時間又はポットライフとは、触媒が放出された後、組成物が周囲温度で適用可能である期間を指す。本開示によって提供される組成物は、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、又は24時間を超える可使時間を有する。本開示によって提供される組成物は、硬化開始後、6時間未満、12時間未満、18時間未満、24時間未満、48時間未満、又は72時間未満で硬化する。
本明細書で開示される硬化した組成物、例えば硬化したシーラントは、航空宇宙用途における使用に許容される特性を示すことができる。一般に、航空機製造及び航空宇宙用途において使用されるシーラントは、以下の特性を示すことが望ましい。乾燥条件下、JRFタイプIへの7日間の浸漬後、及びAMS 3265B試験仕様書に従って3%NaCl溶液に浸漬させた後に決定される、航空宇宙材料仕様書(AMS)3265B基材上の剥離強度が20ポンド/平方インチ(pli)であること;引張強度が300ポンド毎平方インチ(psi)〜400psiの間であること;引裂き強度が50ポンド/平方インチ(pli)を超えること;伸びが250%〜300%の間であること;並びに硬度が40デュロメータAを超えること。航空宇宙用途に適したこれら及び他の硬化したシーラントの特性は、AMS 3265Bに開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。また、航空機製造及び航空機用途において使用される本開示の組成物は、硬化すると、JRFタイプIに60℃(140°F)及び周囲圧力で1週間浸漬させた後、25%以下の膨潤体積パーセンテージを示すことが望ましい。他の特性、範囲、及び/又は閾値は、他のシーラント用途に適することができる。
本開示によって提供される組成物は、耐燃料油性である。本明細書で使用される場合、「耐燃料油性」という用語は、組成物が基材に適用され、硬化すると、ASTM D792(米国材料試験協会)又はAMS 3269(米国航空宇宙材料仕様書)に記載されている方法に類似の方法に従って、Jet基準液(JRF)タイプIに140°F(60℃)及び周囲圧力で1週間浸漬させた後、40%以下、ある場合には25%以下、ある場合には20%以下、さらに他の場合には10%以下の膨潤体積パーセンテージを示す、硬化した生成物、例えばシーラントを提供し得ることを意味する。耐燃料油性の決定に用いられるJet基準液JRFタイプIは、以下の組成を有する。トルエン:28±1体積%;シクロヘキサン(工業用):34±1体積%;イソオクタン:38±1体積%;及び第三級ジブチルジスルフィド:1±0.005体積%(SAE(Society of Automotive Engineers)から利用可能な、1989年7月1日発行のAMS 2629、§3.1.1等を参照されたい)。
本明細書で提供される組成物は、AMS 3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載されている手順に従って測定して、少なくとも100%の引張伸び及び少なくとも400psiの引張強度を示す硬化した生成物、例えばシーラントを提供する。
組成物は、SAE AS5127/1の段落7.8に記載されている手順に従って測定して、200psi超、例えば少なくとも220psi、少なくとも250psi、及びある場合には、少なくとも400psiの重ねせん断強度を示す硬化した生成物、例えばシーラントを提供する。
本開示によって提供される組成物を含む硬化したシーラントは、AMS 3277に記載されている航空宇宙用シーラントの要件を満たすか、又はそれを上回る。
本開示によって提供される組成物でシールされた、航空宇宙機の開口部、留め具、表面、接合部、又は他の部品を含めた、開口部、留め具、表面、接合部、又は他の部品も開示される。
本開示によって提供される導電性シーラント組成物は、500°F(260℃)に24時間曝露した後に室温で測定すると、以下の特性を示す。MIL−C−27725に従って測定して、1オーム/スクエア未満の表面抵抗率、200psi超の引張強度、100%超の伸び、及び100%の凝集破壊。
本開示によって提供される硬化したシーラントは、室温で2日間、140°F(60℃)で1日間、及び200°F(93℃)で1日間硬化させると、以下の特性を示す。49の乾燥硬度、428psiの引張強度、及び266%の伸び、並びにJRFタイプIにおける7日間の後、36の硬度、312psiの引張強度、及び247%の伸び。
本開示によって提供される組成物は、10超、20超、30超、又は40超のショアA硬度(7日間の硬化)、10psi超、100psi超、200psi超、又は500psi超の引張強度、100%超、200%超、500%超、又は1,000%超の伸び、並びにJRFタイプIへの曝露(7日)後に20%未満の膨潤を示す。
硬化性シーラント組成物に、イオン液体触媒を単独で、又は主触媒と共に添加しても、硬化したシーラントの特性、例えば引張強度及び伸びを損なわない。硬化性シーラント組成物にイオン液体触媒を添加しても、AS5127/1Bセクション7.5に従って決定される水又はAMS2629JRFタイプIへの浸漬後の膨潤パーセンテージには大きな変化がない。
本開示によって提供される実施形態は、チオール末端硫黄含有プレポリマー、硬化剤、及びイオン液体触媒を含有するある特定の組成物の調製及び特性を説明する以下の実施例を参照することによって、さらに例示される。当業者は、材料及び方法の両方に、本開示の範囲から逸脱することなく多くの改変を加え得ることが理解されよう。
(例1)
イオン液体共触媒、二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラント
ポリスルフィドベースのシーラント組成物の硬化速度に対するイオン液体触媒の効果を評価した。様々な量のイオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファートを、PRC−DeSoto Internationalから市販されているクラスAの燃料タンクのシーラントであるPR−1440に添加した。PR−1440は、室温で硬化性である二成分のクラスAの二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラントである。組成物の総固体重量に対するwt%で、0wt%、1.0wt%、2.5wt%、5wt%、7wt%、及び10wt%のイオン液体共触媒を有する配合物を調製した。配合物を、アルミニウム基材上に広げ、室温で硬化させた。
イオン液体を含まない(0wt%)PR−1440配合物は、24時間以内にショアA硬度40に硬化した。それとは対照的に、1wt%〜10wt%のイオン液体を含有する試料は、3時間以内にショアA硬度40に硬化した。結果は、表1並びに図1及び図2に提示される。
(例2)
イオン液体共触媒、二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラント
P/S 890 B−2は、PRC−DeSoto Internationalから市販されているクラスBの燃料タンクのシーラントである。このシーラントは、室温で硬化することができる二成分の二酸化マンガン硬化型ポリスルフィド組成物である。
シーラントを、対照として働くP/S 890 B−2(ベースパック62.7g及び促進剤パッケージ7.25g)を使用して調製した。イオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルファート)(5wt%)3.625gを、P/S 890 B−2ベースパック62.7gと混合することによって、試験組成物を調製した。促進剤パッケージ(7.25g)を添加し、イオン液体を含有するベースパックと混合した。
組成物は室温で硬化し、そのショアA硬度を、いくつかの間隔で測定した。結果は、図3に示される。イオン液体を含まない組成物(対照)は、7時間後に硬化開始を示し、混合後21時間までにはショアA硬度40に硬化した。硬化開始は、測定可能な硬度になった時間と定義した。5wt%のイオン液体を含む組成物は、1.25時間以内に硬化開始を示し、3時間以内にショアA硬度40に硬化した。
(例3)
イオン液体触媒型のマイケル付加硬化型ポリチオエーテルシーラント
表2の構成要素を含むポリチオエーテル組成物を調製した。
表2のポリチオエーテル組成物(ポリチオエーテル構成要素)を、表3に示される量でジビニルスルホンだけ(シーラント1)、又はジビニルスルホン及び0.1wt%のイオン液体(1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムアセタート)(シーラント2)のいずれかと混合することによって、硬化性シーラント組成物を調製した。
0.1wt%のイオン液体を含むシーラント2は、ジビニルスルホンをポリチオエーテル組成物に添加するとすぐに、ボール状に硬化した。それとは対照的に、イオン液体を含まない組成物(シーラント1)は、65ポワズの粘度によって示される通り、72時間後(試験の終点)も硬化しなかった。混合後の経時的なシーラント1の粘度は、図4に示される。
(例4)
イオン液体共触媒、二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラント
様々な量のイオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファートを、PRC−DeSoto Internationalから入手可能なクラスCの燃料タンクのシーラントである二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラント、P/S 890 C24に添加した。
図5に示される通り、イオン液体を伴わないシーラントは、混合後約5.7日(136時間)まで硬化し始めなかった。0.1wt%〜0.3wt%のイオン液体を添加すると、硬化開始は、6.5時間まで〜10時間まで早まった。
二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラントの硬化動態を、様々な量の二酸化マンガン及びイオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファートの両方によってさらに調査した。表4は、ベース構成要素及び促進剤構成要素を合わせて硬化性シーラント配合物を提供した後、最初の測定可能なショアA硬度を読み取るまでの時間(可使時間)を示す。
表4では、添加したMnO2wt%は、P/S 890 C24組成物における通常量のMnO2と比較したMnO2の重量パーセントを指し、イオン液体wt%は、硬化性シーラント組成物の総重量に対するイオン液体の量を指す。表4に提示される結果は、硬化開始時間及び硬化速度が、異なる量の二酸化マンガン及び/又はイオン液体共触媒を使用することによって変化し得ることを示している。
同じシーラント配合物を使用して、様々なイオン液体について硬化開始時間を決定した。配合物は、MnO2触媒及び0.3wt%の異なるイオン液体共触媒の名目上の量の100%を含有していた。イオン液体のそれぞれは、同じカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート([BMIM]+)と、異なるアニオンCH3COO−、(CH3)SO4 −、又はMBT−を有していた。結果は、図6に提示される。試験したイオン液体のそれぞれは、測定可能な硬度に至るまでの時間を短縮した。硬化開始時間及び硬化速度は、アニオンに応じて変わる。
図7は、様々な量のイオン液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファートを伴う硬化したシーラントの引張強度及び伸びを示す。図7に示される結果は、0.3wt%までのイオン液体共触媒を添加しても、伸び%には劇的に影響を及ぼさなかったが、イオン液体共触媒を増量すると、二酸化マンガン硬化剤だけを含む組成物と比較して、引張強度が増大したことを実証している。
(例5)
イオン液体触媒型のポリエポキシド硬化型ポリチオエーテルシーラント
ポリエポキシド硬化型ポリチオエーテルクラスBのシーラントPR−2001(PRC−DeSoto International,Inc.から入手可能)の可使時間(硬化するまでの時間)及び硬化速度に対するイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタートの影響を評価した。
PR−2001は、アミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO)触媒型のポリエポキシド硬化型チオール末端ポリチオエーテルシーラントである。0.1wt%のDABCO(登録商標)33LVを、単独で、及び0.1wt%又は0.4wt%のイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタートと合わせて含むシーラント配合物の可使時間及び硬化速度は、図8に示される。イオン液体共触媒を増量して添加すると、可使時間が短縮された。様々な組合せの硬化速度(初期硬度測定からショアA20に硬化するまでの時間)は、約4時間(0wt%のイオン液体)、約13時間(0.1wt%のイオン液体)、及び約36時間(0.4wt%のイオン液体)であった。様々な組合せの硬化速度(初期硬度測定からショアA30に硬化するまでの時間)は、約12時間(0wt%のイオン液体)、約48時間(0.1wt%のイオン液体)、及び約70時間(0.4wt%のイオン液体)であった。
アミン触媒を含まず、0.1wt%又は0.4wt%のイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタートのいずれかを含むシーラント配合物の可使時間及び硬化速度は、図9に示される。イオン液体共触媒を増量して添加すると、可使時間が短縮した。しかし、イオン液体だけを用いた場合、硬化するまでの時間は遅延し、約24時間(0.4wt%のイオン液体)〜約100時間(0.1wt%のイオン液体)であった。
エポキシ硬化型ポリチオエーテルシーラントの硬化動態を、アミン触媒DABCO(登録商標)33LV及びイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタートの両方の量を変えることによって、さらに調査した。表5は、硬化性シーラント配合物を提供するためにベース構成要素及び促進剤構成要素を合わせた後、測定可能な最初の硬度の読取りに至るまでの時間を示す。
表5において、DABCO(登録商標)33LV%は、硬化性組成物の総重量に対する%wtを指し、イオン液体wt%は、硬化性シーラント組成物の総重量に対するイオン液体の量を指す。表5の結果は、硬化までの時間が、異なる量のアミン触媒及びイオン液体共触媒を使用することによって変化し得ることを示している。イオン液体が存在すると、アミン触媒の量をかなり少量に抑えて、類似の可使時間を達成することができる。
図10は、様々な量のイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセタートを伴う硬化したシーラントの引張強度及び伸びパーセントを示す。図10に示される結果は、0.1wt%までのイオン液体を添加しても、アミン触媒だけを含む組成物と比較して、引張強度及び伸びパーセントに影響を及ぼさなかったことを実証している。
(例6)
イオン液体共触媒、二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドシーラント−耐燃料油性
イオン液体ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルファートを、表6に特定される量でP/S 890 B−2ベース構成要素と合わせることによって、シーラントを調製した。次に、P/S 890 B−2促進剤構成要素を添加し、シーラントを、AS5127/1Bセクション7.5に従って体積の膨潤について試験した。結果は、表6に提示される。P/S 890 B−2は、PRC−DeSoto Internationalから入手可能な、クラスBの二成分の二酸化マンガン硬化型ポリスルフィドベースの航空機一体型燃料タンクのシーラントである。
最後に、本明細書に開示される実施形態を実施するには、代替法が存在することに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は、例示的であるとみなされるべきであり、制限的であるとみなされるべきではない。さらに、特許請求の範囲は、本明細書に記載される詳細に限定されず、それらの完全な範囲及びそれらの等価物の権利を付与される。