JP2019514942A - 心室リモデリングの予防及び/又は治療におけるカルパイン阻害剤 - Google Patents

心室リモデリングの予防及び/又は治療におけるカルパイン阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、有害な心室リモデリングの予防及び/又は治療に用いるためのカルパイン阻害剤に関する。特に、カルパイン阻害剤は、心筋梗塞に付随する、又は慢性高血圧症に起因する有害な心室リモデリングにおいて使用するためのものである。本発明はまた、これら阻害剤を含む特定の組成物に関する。

Description

この出願は、2016年5月6日に出願された欧州特許出願EP16168581.3の利益を主張する。
本発明は、心臓病のための医学的アプローチの分野に関する。特に、本発明は、持続性心筋ストレスが生じる心臓病の分野に関する。
心室リモデリングは、虚血、動脈性高血圧、弁疾患、心筋炎、及び拡張型心筋症等の多くの心臓病に伴う心筋ストレスに対する応答として生じる。この初期代償プロセスは、ストレスが持続すると有害な心室リモデリングに発展する。結果として、心筋細胞肥大、炎症性細胞浸潤、及び心筋の間質マトリックスにおける過剰なコラーゲン沈着があり、機能障害及び慢性心不全を引き起こす。
現在、有害な心室リモデリングのための特定の治療法はないが、いくつかの臨床試験では、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアルドステロン阻害剤が、臨床的心不全症状を伴う確立されたリモデリングにおいて心筋性能を改善することが示されている。
虚血/再灌流及び心臓麻痺モデルにおけるカルパイン媒介障害を減少させるためのカルパイン阻害剤の使用に焦点を当てた文献がある。
そのような文献の例として、Yoshikawaらの文献(非特許文献1)が挙げられる。この文献は、心停止によって誘発された心機能不全に対するSNJ−1945の投与の効果を開示している。心停止液にSNJ−1945を加え、60分間の再灌流を行った。他のデータの中でも、ミッドレンジ左心室容積(ESPmlLVV)での収縮終期圧及び収縮期圧容積面積(PVA)が詳述されている。著者らは、この阻害剤が左心室機能不全を予防すると結論付けた。しかし、有害な心室リモデリングは異なる病変であるため、有害な心室リモデリングに関する非結論的データは、実験スキーム及びそこで行われる測定で抽出することができる。
SNJ−1945(((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸5−メトキシ−3−オキサペンチルエステルとも呼ばれる)及び特定の式の他のα−ケトアミド誘発体は、特許文献1のPCT出願に開示されている。虚血性疾患、免疫疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、脳組織損傷により引き起こされる疾患、白内障、緑内障、網膜疾患、網膜脈絡膜炎、後眼球合併症又は血管新生を伴う疾患から選択されるカルパイン関連疾患に有用であると提案されている。SNJ−1945の特定の場合、この化合物は、カルパインに関連する特定の疾患としての、ラットモデルの網膜虚血障害において使用され、提案される経口投与計画は、虚血が起こる15分前及び虚血の解放後1回である。
虚血/再灌流のモデルにおけるカルパインの効果及びカルパイン阻害と関連して、Inserteらの文献(非特許文献2)が挙げられる。Inserteらは、虚血及び再灌流によって引き起こされる損傷におけるカルパインの役割について現在までに知られていることを要約している。この文献には、再灌流の開始時(発生時)に投与された場合の心臓保護効果を示すいくつかのカルパイン阻害剤(A−705253及びMDL−28170)の使用が記載されている。この文献は、異なる阻害剤が早期再灌流中に投与された場合に急性再灌流傷害を軽減することができることを示している。Inserteらによって言及された全てのアッセイは、カルパイン活性が永久に減少するトランスジェニック動物でのアッセイに関する。これが結果や実質的な効果を隠蔽できることは広く知られている。
Inserteらが言及する1つの参考文献は、非特許文献3である。Hernandoらには、カルパイン阻害剤MDL−28170を再灌流の最初の数分間に静脈内で使用すると、梗塞サイズ(危険及び壊死領域)が減少することが開示されている。しかし、これらのデータは、心室リモデリングに関して決定的なものではない。
Inserteらが言及する別の参考文献は、非特許文献4である。この場合、カルパイン阻害剤A−705253を虚血開始前及び6時間の再灌流中に静脈内投与すると、梗塞サイズが減少するのみならず、他の研究と比較して血行動態及び収縮機能が改善されることが示された。
上記のように、これらのモデルはいずれも、有害な心室リモデリングに関する決定的なデータを教示も提供もしていない。従って、心臓麻痺の場合の影響と同様に、心筋又は他の臓器における虚血プロセスに起因する多くの負の影響が研究されているが、依然として有害な心室リモデリングのための特定の治療が必要である。この有害な心室リモデリングは、一般に、持続型虚血性心筋症(心筋梗塞の場合等)において起こる。また、動脈性高血圧の場合等のストレス条件下で心筋が(長期間又は慢性的に)持続される非虚血性心臓病変において引き起こされるこの有害な心室リモデリングを回避する予防プロトコルも存在しない。
国際公開第2005/056519号公報
Cardioprotective effects of a novel calpain inhibitor SNJ−1945 for reperfusion injury after cardioplegic arrest,Am J Physiol Heart Circ Physiol−2010,vol.298,pp.643−651 Contribution of calpains to myocardial ischaemia/reperfusion injury,Cardiovascular Research−2012,vol.96,pp.23−31 Calpain translocation and activation as a pharmacological targets during myocardial ischemia/reperfusion,J Mol Cell Cardiol−2010,vol.49(2),pp.217−279 Calpain inhibition reduces infarct size and improves global hemodynamics and left ventricular contractility in a porcine myocardial ischemia/reperfusion model,Eur J Pharmacol−2005,vol.528,pp.124−131
本発明者らは、驚くべきことに、カルパイン阻害剤が、心筋梗塞(MI)等に起因して引き起こされる有害な心室リモデリング(AVR)に罹患している又は罹患するリスクのある被験体において損傷を引き起こすことなく、且つ、実質的な正の効果を伴って、長期的に(持続的又は慢性的に、とも言う)投与できることを見出した。阻害剤はまた、動脈性高血圧のような持続性心筋ストレスを引き起こす病変に罹患している場合に前記AVRを予防するのにも有効である。従って、カルパイン阻害剤の外因性投与は、AVRに罹患しているか又は罹患するリスクのある被験体にとって、この投与が一回ではなく長期間であっても、実質的な利点をもたらすと考えられる。
従って、本発明の第1の態様は、有害な心室リモデリング(AVR)の予防及び/又は治療に用いるためのカルパイン阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
上に示したように、有害な心室リモデリングは、心筋機能不全を伴う病態であり、ストレスの長期化に起因する心筋細胞肥大、炎症性細胞浸潤、及び筋細胞の間質マトリックスにおける過度のコラーゲン沈着が代償プロセスとして最初に存在することが観察される。
この態様はまた、AVRの治療又は予防のための医薬を製造するための、上記で定義されたカルパイン阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用として考案することができる。本発明はまた、薬学的有効量のカルパイン阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、薬学的に許容される賦形剤又は担体と一緒に、それを必要とするヒトを含む被験体において投与することを含む、AVRの治療又は予防方法に関する。
従って、外因性カルパイン阻害剤は、AVRの予防及び/又は治療に使用するためのものである。
本発明の別の態様は、治療的有効量のカルパイン阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、薬学的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む医薬組成物であって、前記賦形剤は、溶媒中にカルボキシメチルセルロースを含み、前記溶媒に対するカルボキシメチルセルロースの重量百分率は、0.3%(w/w)〜1.5%(w/w)である。
一過性虚血によって引き起こされる心筋梗塞後(MI後)モデル(Charles Riverから得られたSprague−Dawleyラット)後の心室リモデリングの治療におけるカルパイン阻害剤(SNJ−1945)の能力を試験するためのアッセイで行われた実験プロトコルを示す。Cは対照(非処置)を意味する。急性(Acと略記することもある)は、SNJ−1945が冠動脈閉塞の最後の数分間に腹腔内投与されたことを意味する。慢性(Chrと略記することもある)は、再灌流後1日目から開始して14日間、SNJ−1945を1日1回経口投与した(0.5%カルボキシメチルセルロース中120mg/KgのSNJ−1945を含むボーラス)ことを意味する。急性/慢性(Ac+Chrと略記することもある)は、両方のタイプの投与が行われたことを意味する。 図1に開示された異なるアッセイ群における心エコー検査から分析された様々なパラメータを示す。図2(A)において、対照は黒丸で表し、急性は白丸で表し、慢性は三角で表し、急性+慢性は四角で表している。再潅流後21日目の各試験群のデータを図2(B)に示す。LVEDD(mm)は左心室拡張末期径であり、LVESD(mm)は左心室収縮末期径であり、LVEDD及びLVESDは、心室リモデリングの評価に使用される主な心エコー検査パラメータである。EF(パーセント(%))は駆出率であり、心室機能を決定する。MI前のベースラインで得られた測定値、並びに再灌流後7日目(7d)及び21日目(21d)に得られた測定値。(p<0.05)。 図1に詳述された異なる実験群における、ピクロシリウスレッドで染色された瘢痕領域を示す横断面切断心臓スライスからの代表的な画像、及びLV面積の百分率として表されるその定量を示す。結果は平均±S.E.M(n=9)である。対照群に対してP<0.05。略語は図1に示す通りである。 非虚血性心筋における心筋細胞肥大作用を示す。A)非梗塞領域に対応するヘマトキシリン&エオシンで染色された代表的な心室断面、及び心筋細胞断面積の定量。NIH Image J 1.63ソフトウェアを用いて400倍(オリンパスデジタルカメラC−1400L)で、各心臓(n=6/群)からの少なくとも50個のランダムな細胞を測定した。B)肥大マーカーとして使用されるβ−ミオシン重鎖(β−HMC)(ABCAM)の代表的なウエスタンブロット、及びグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GADPH)(ABCAM)に対するβ−HMCタンパク質の定量。結果は平均±S.E.Mである。対照群に対してP<0.05。シャム(Sham)は、非梗塞(非手術)群の参照値に関する。略語は図1に示す通りである。 図5(A)において、200倍の倍率(オリンパスデジタルカメラC−1400L)で得られた非梗塞領域に対応するピクロシリウスレッドで染色された代表的な心室断面及び各心臓(n=6/群)からの少なくとも6枚のランダムな顕微鏡写真の間質コラーゲン沈着の定量を示す棒グラフ。図5(B)は、線維芽細胞活性化マーカーとして使用されるα−平滑筋アクチン(α−SMA、Sigma)の代表的なウエスタンブロットであり、GADPH(Abcam)に対するα−SMAタンパク質の定量を棒グラフで包含する。結果は平均±S.E.Mである。対照群に対してP<0.05。シャム(Sham)は、非梗塞(非手術)群の参照値に関する。略語は図1に示す通りである。 図6(A)は、梗塞領域及び(B)非梗塞領域(遠隔領域)における、3日間の再灌流後に得られ、単球/マクロファージ(AbD Serotec)のCD68に対して免疫染色された代表的な心室断面及びCD68+細胞の定量。結果は平均±S.E.Mである。対照群に対してP<0.05。略語は図1に示す通りである。 図7(A)は、実施例2に関し、5mg/kg/日のイソプロテレノール(ISO)を1週間腹腔内摂取したSprague−Dawleyラット、イソプロテレノールを摂取していない対照群(CONTROL)、及びSNJ−1945(経口)とイソプロテレノール(皮下)を7日間連続同時投与された群(ISO+SNJ)の心臓重量(グラム(g))を示すグラフである。図7(B)は、心エコー検査によって測定した、ISO及びISO+SNJ群における心室間壁(IVSWT)及び後壁(PWT)の値を示す。 実施例2に関し、図7におけるようなラットのアッセイ群においてPCRで測定した肥大マーカーの発現レベル(量)を示すグラフである。特に、ベータミオシン重鎖(βMI)及びアルファミオシン重鎖(αMHC)の比(LHY7/LHY6とも言う)(図8(A))並びにナトリウム利尿ペプチドA(ANP)及びB(BNP)の発現(図8(B))。Ctrolは対照である。 実施例2に関し、図7及び8におけるような3つのアッセイ群に関するものであり、線維化マーカーとしてのコラーゲン1のレベル(図9(A))及び腫瘍成長因子β(TGF)のレベル(図9(B))(全てPCRで測定)を示している。Ctrolは対照である。 DMSO(ビヒクルとしてのジメチルスルホキシド)、5、10、及び50μMの濃度のSNJ−1945、並びに選択的MMP阻害剤ONO−4817((N−[(1S,3S)−1−[(エトキシメトキシ)メチル]−4−(ヒドロキシアミノ)−3−メチル−4−オキソブチル]−4−フェノキシベンズアミド))を用いて37℃にて一晩インキュベートした21日間の再灌流後の対照ラットから得た心筋抽出物のゼラチンザイモグラム画像である。また、SNJ−1945の経口強制飼養(120g/kg)からのデータが示されている。MMP−2はマトリックスメタロプロテイナーゼ−2を意味する。
「持続性心筋ストレス」に関して、心筋は、特定の原因、特に心筋自体に必ずしも生じる病理ではなく、冠状動脈異常及び他の血管疾患に起因してその正常な機能を損なう状態にあることが理解されるべきである。いずれにしても、それは血液を継続的に駆出するために初期代償状態を持続することに由来する有害なストレスである。一例は、有害な心室リモデリングにつながるストレスであり、筋細胞のいくつかのパラメータが(分子レベル及び細胞レベルで)、虚血による他の筋細胞の喪失などの機能喪失を補うために変更され、そのパラメータが、異なる病態(有害な心室リモデリング)に進展する。
「カルパイン阻害剤の持続的又は長期的使用」という表現は、前記阻害剤が、一回だけではなく慢性的に投与されることを意味する。本発明においては、慢性投与の同義語として使用される。従って、1日を超える特定の期間、特に3〜30日、より詳細には7〜21日、更により詳細には7〜14日である。従って、特に通院医によって指示された計画にしたがった、1日を超える投与のために使用可能であり、特に対象生命の残りの間、毎日投与する計画である可能性がある。
「外因性カルパイン阻害剤」又は「カルパイン阻害剤」(同義語として使用される)は、カルパイン活性を低下させることができる任意の物質として理解されるべきであり、任意の薬学的形態において、外部要素として被験体に与えられる。阻害剤がペプチド性のものである場合、ペプチド又はタンパク質の形態で、あるいは更にはこのペプチド又はタンパク質をコードする発現ベクターの形態で外部投与される。「外因性カルパイン阻害剤」は、遺伝子非ヒト実験動物モデルにおいて生殖系列トランスジェニック改変に起因するタンパク質又はペプチドの構成的発現を含まない。
本明細書で使用される「治療的有効量」という表現は、投与された場合、対処される疾患の1以上の症状の発症を予防するか又はある程度緩和するのに十分な化合物の量を指す。本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、勿論、投与される化合物、投与経路、治療される特定の状態、及び同様の考慮事項を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定される。
「薬学的に許容される賦形剤又は担体」という表現は、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを指す。各成分は、医薬組成物の他の成分と適合性があるという意味において、薬学的に許容されなければならない。また、各成分は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は合理的な利益/リスク比に見合う他の問題又は合併症なしに、ヒト及び動物の組織又は器官との接触での使用にも適していなければならない。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸又は有機酸を含む薬学的に許容される非毒性の酸から形成される任意の塩を包含する。治療目的のために使用される場合、それらが薬学的に許容されなければならないことを除いて、塩に関して制限はない。
カルパイン阻害剤の薬学的に許容される塩の調製は、当該分野で公知の方法によって行うことができる。例えば、それらは、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法によって調製することができる。一般に、このような塩は、例えば、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、化学量論量の適切な薬学的に許容される塩基又は酸と、水若しくは有機溶媒又はそれらの混合物中で反応させることによって調製される。
本発明の化合物は、遊離の溶媒和化合物又は溶媒和物(例えば水和物)のいずれかとしての結晶形態であってもよく、両方の形態が本発明の範囲内であることが意図される。溶媒和の方法は、当技術分野において一般的に知られている。
直鎖又は分枝(C−C)−アルキルという用語は、1〜6個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分枝鎖アルキルを指す。例示的な非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、及びn−ヘキシルである。同様に、用語(C−C)−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルを含む1〜3個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分枝鎖アルキルを指す。
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、有害な心室リモデリングは、虚血性心疾患としても知られている冠動脈疾患(CAD)、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症(特に拡張型心筋症)、心不整脈、先天性心疾患、心臓弁機能不全、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される病変(即ち、心臓病)における持続性心筋ストレスによって引き起こされる。
より詳細には、AVRは、心筋梗塞、左心室動脈瘤、及び虚血性心筋症からなる群から選択されるCADによって引き起こされる。
更に別の特定実施形態において、カルパイン阻害剤は、梗塞後の有害な心室リモデリング(MI後AVR)の治療に使用するためのものである。即ち、AVRを引き起こすCADは、心筋梗塞に伴う持続性心筋ストレスである。
本発明の第1の態様の別の特定実施形態において、カルパイン阻害剤は、持続的又は長期的(一回だけではなく慢性的に投与される)使用のためのものである。即ち、カルパイン阻害剤は、持続的又は長期的使用のためのものであり、これは、有害な心室リモデリングの予防及び/又は治療において慢性的に使用するためのものであることを意味する。特に、3〜30日間、より詳細には7〜21日間、更により詳細には7〜14日間の期間である。慢性投与は、本発明によれば、1日を超えて連続的に又は断続的に投与することを含む。従って、それは1日を超える投与に、特に上記の期間、より具体的には1日1回の投与に使用され、且つ、使用可能である。
場合により上記又は下記の実施形態のいずれかと組み合わせた別の特定実施形態において、カルパイン阻害剤は、持続的又は長期的使用のためのものであり、MI後AVRに使用される。AVRがMI後に起こる場合、特定の投与計画は、心筋梗塞の日(再灌流開始前及び/又は後)に適切な用量でカルパイン阻害剤を2〜14日間毎日投与することを含む。最も具体的には、再灌流が行われた1日後から2〜14日間の投与が開始される。
虚血発作が存在する特定の心臓病において、カルパイン阻害剤は、別の特定実施形態では、前記虚血発作中に使用するためのものである。このタイプの投与は、本明細書においては急性投与(急性又は単にAc)と命名されている。より特定の実施形態では、カルパイン阻害剤は、前記虚血発作中、及び、虚血発作が終了し、再灌流が始まった後に使用するためのものである。再灌流後の投与は、特定の実施形態では、持続的に実施され、これは、1日を超えて連続的に又は間欠的にこの阻害剤が投与されることを意味する。
場合により上記又は下記実施形態のいずれかと組み合わせた本発明の第1の態様の別の特定実施形態において、カルパイン阻害剤は、AVRの予防及び/又は治療における経口使用のためのものである。
これらの阻害剤の経口使用は、特に、有効量のカルパイン阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、薬学的に許容される賦形剤又は担体と共に含む医薬組成物の形態で達成され、前記賦形剤はカルボキシメチルセルロースを含む。特定の経口組成物は、溶媒、特に水に阻害剤及びカルボキシメチルセルロースを含み、前記溶媒に対するカルボキシメチルセルロースの重量百分率は0.3%(w/w)〜1.5%(w/w)である。より詳細には、前記溶媒に対するカルボキシメチルセルロースの重量百分率は、0.5%(w/w)〜1.0%(w/w)である。より詳細には、0.5%(w/w)である。場合によっては上記又は下記の実施形態のいずれかと組み合わせた別の特定の実施形態では、口腔用組成物中のカルパイン阻害剤は、50mg/kg〜300mg/kg、より好ましくは100mg/kg〜150mg/Kg、より詳細には120mg/Kg〜150mg/Kgであり、全ての区間は極値を含む。
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態において、カルパイン阻害剤は、式(I)の化合物である:
式中、

(1)式(IIb)(式中、nは2〜5の整数である)で表される基、

(2)場合により(C−C)−アルキルを有するピリジル基で置換された直鎖若しくは分枝(C−C)−アルキル、又は
(3)テトラヒドロフラニル基若しくはテトラヒドロピラニル基であり、
は、場合によりフェニルで置換される直鎖又は分枝鎖(C1−C6)−アルキルであり、
R3は、水素、直鎖若しくは分枝(C−C)−アルキルであるか、又はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される。
より詳細には、カルパイン阻害剤は、
((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸5−メトキシ−3−オキサペンチルエステル、
((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチルエステル、
((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデカニルエステル、
((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−3−(シクロプロピルアミノ)−2,3−ジオキソ−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸2−(ピリジン−2−イル)エチルエステル、
及びそれらの混合物からなる群から選択される。
より特定の実施形態では、AVRの予防及び/又は治療に用いるカルパイン阻害剤は、((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸5−メトキシ−3−オキサペンチルエステル(SNJ−1945と略記することもある)である。それのIUPAC名は、2−(2−メトキシエトキシ)エチルN−[(2S)−1−[[(2S)−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソ−1−フェニルブタン−2−イル]アミノ]−4−メチル−1−オキソペンタン−2−イル]カルバメートである。
従って、カルパイン阻害剤は、有害な心室リモデリングの予防及び/又は治療における使用のための分子SNJ−1945が水溶性であるために、特に有利な実施態様である。
より詳細には、SNJ−1945は、冠動脈疾患(CAD)、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症(特に拡張型心筋症)、心不整脈、先天性心疾患、心内膜炎、心臓弁機能不全、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される心臓病における持続性心筋ストレスによって引き起こされるAVRの予防及び/又は治療で使用するためのものである。
より特定の実施形態では、SNJ−1945は、梗塞後の有害な心室リモデリング(MI後AVR)の治療に使用するためのものである。即ち、AVRを引き起こす冠動脈疾患は、心筋梗塞に伴う持続性心筋ストレスである。更に別の特定実施形態では、上記の使用のためのSNJ−1945は、持続的又は長期的使用のためのものであり、これは、有害な心室リモデリングの予防及び/又は治療において慢性的に使用することを意味する。特に、3〜30日、より詳細には7〜21日、更により詳細には7〜14日間、持続的又は長期的に使用するためのものである。従って、それは1日を超える投与に、特に上記の期間、より具体的には1日1回の投与に使用され、且つ、使用可能である。より詳細には、SNJ−1945は、梗塞後の有害な心室リモデリング(MI後AVR)の治療において持続的又は長期的に使用するためのものであり、心筋梗塞の日(再灌流開始前及び/又は再開後)に適切な用量で2〜14日間少なくとも1日1回持続的又は長期投与される。
虚血発作が存在する特定の心臓病において、SNJ−1945は、別の特定の実施形態において、前記虚血発作中に使用される。このタイプの投与は、本明細書では急性投与(図では急性又は単純にAc)と命名されている。より特定の実施形態では、SNJ−1945は、虚血発作中及び虚血発作が終了し、再灌流が開始した後に使用するためのものである。再灌流後の投与は、継続的に投与されることを意味する持続型方法で行われる特定の実施形態である。又は断続的に1日を超えて継続する。
水溶性であるために、SNJ−1945は、任意の原因のAVRの予防及び/又は治療における使用のために、注射されるか、又は経口投与されるように処方され得る。
明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という語及びその変形語は、他の技術的特徴、添加物、構成要素、又は工程を排除することを意図しない。更に、この「含む」という語は、「からなる(consisting of)」の場合を包含する。本発明の更なる目的、利点、及び特徴は、説明を検討することにより当業者に明らかになるか、又は本発明の実施によって習得されるであろう。以下の実施例及び図面は例示として提供され、本発明を限定するものではない。更に、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態及び好ましい実施形態の全ての可能な組み合わせを包含する。
実施例1:心筋梗塞によって引き起こされる有害な心室リモデリングの予防及び/又は治療における使用のためのSNJ−1945
インビボ心筋梗塞
Sprague−Dawleyラット(250−300g)に、アトロピン(0.05mg/kg腹腔内)を前投与し、ケタミン(75mg/kg腹腔内)及びキシラジン(10mg/kg腹腔内)で麻酔し、機械的に換気した(Inspira ASV、Harvard Apparatus)。
1〜2%イソフルランで麻酔を維持し、体温を36〜37℃に加熱パッドで制御した。心臓を、第4肋間腔を通して露出させ、左心耳から1mm遠位に6/0絹縫合糸(Ethicon Endo−surgical、米国オハイオ州)を用いて左冠動脈前下行枝(LAD)を結紮した。30分間の閉塞後、縫合糸を緩めて再灌流を開始し、ブプレノルフィン(0.05mg/kg/6時間、皮下)を48時間与えた。虚血中にSTが上昇しなかった又は再灌流時にSTが回復しなかったマウスを、更なる評価から除外した。
梗塞後リモデリング及び心臓機能に対するSNJ−1945の効果を、21日間再灌流した48匹のマウスにおいて分析した(n=12/群)。異なる実験群を図1に示す。急性群では、再灌流を開始する5分前にSNJ−1945(120mg/kg+0.5%カルボキシメチルセルロース)を腹腔内投与した。慢性群では、SNP−1945(120mg/kg+0.5%カルボキシメチルセルロース)を、24時間の再灌流後に開始して14日間にわたって経口投与した。薬物の遅延投与は、カルパイン阻害が、再灌流の急性期に起こる細胞死を減少させるだけでなく、そのプロセスの原因となる機構の直接調節によって心筋リモデリングを変化させるかどうかを決定することを可能にする。最後の群では、SNJ−1945の急性及び慢性投与を組み合わせた(Ac+Chr)。SNJ−1945の有効用量は、Trager N(Tragerら,「多発性硬化症のネズミモデルにおける免疫調節及び神経変性に対する新規経口投与カルパイン阻害剤SNJ−1945の効果(Effects of a novel orally administered calpain inhibitor SNJ−1945 on immunomodulation and neurodegeneration in a murine model of multiple sclerosis)」,J.Neurochem−2014,vol.no.130(2),pp.268−279)及び本発明者らの研究室からの用量依存性データに関する未公表の研究に基づいて予め決定しておいた。
心エコー分析
ラットは、ベースライン(手術前)並びに手術後7日目及び21日目に経胸腔式心エコー検査を受けた。心エコー検査は、(Poncelas,Inserteら,2015,「高脂肪食により誘発された肥満は、B6D2F1成体マウスの梗塞後心筋リモデリング及び機能不全を軽減する(Obesity induced by high fat diet attenuates postinfarct myocardial remodeling and dysfunction in adult B6D2F1 mice)」,Journal of Molecular and Cellular Cradiology−2015,vol.,no.84,pp.154−161)に先に記載されたように、i12L−RS 12MHzトランスデューサ(GE Healthcare)を用いたVividポータブル超音波システムを用いて行った。Mモード記録では、左心室収縮期(LVESd)及び拡張期(LVEDs)内径、心室中隔膜厚(IVS)、並びに後壁厚(LVPW)を測定した。左心室駆出率(LVEF)を標準的な処方に従って計算した。
組織学及び免疫組織化学
21日間の再灌流後、心臓を迅速に摘出し、秤量し、緩衝化4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋して組織学的評価を行った。乳頭筋レベルでの切片を4μmで切断し、ピクロシリウスレッド(Sigma−Aldrich、米国ミズーリ州)で染色して、瘢痕及び間質線維化領域を可視化した。ImagePro Software(Image Pro−Plus、Media Cybernetics、米国メリーランド州)を使用してデジタル化画像を評価し、瘢痕領域を、先に記載したように(Poncelas、Inserte et al.2015、前掲)左心室面積に対する線維化面積の百分率として表した。間質性コラーゲン沈着の分析は、各心臓(n=6/群)からの6枚のランダムな顕微鏡写真を200倍で撮影した後胸部非梗塞心筋で評価した。
平均心筋細胞の断面積を、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した切片で測定した。各心臓(n=6/群)からの少なくとも50のランダムな細胞を400倍で測定した。
非梗塞心筋におけるマクロファージ浸潤を、3日間再灌流した心臓(n=4/群)の免疫組織化学によって分析した。
心筋切片をH/メタノール、レバミゾール(DakoCytomation)、及びアビジン/ビオチンブロッキング(Vector Laboratories)に曝露して内在性ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、及びビオチンをそれぞれ中和した。
切片を、単球/マクロファージに対するCD68(AbD Serotec)でプローブし、2%正常ブロッキング血清中のビオチン化二次抗体(1:200、ABCペルオキシダーゼ標準染色キット、Thermo Scientific)を用いてインキュベートし、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB、Sigma)を用いて可視化した。各心臓(n=6/群)の梗塞領域から6枚及び非梗塞領域から6枚のランダムな顕微鏡写真を200倍で撮影した。
治療プロトコルを知らない研究者が、NIH Image J 1.63ソフトウェアを使用して上記の分析を行った。
ウエスタンブロット
心臓サンプルを、トリス塩酸:50mmol/L、NaCl:150mmol/L、EDTA:10mmol/L、DTT:1mmol/L、NaF:10mmol/L、Na3VO4:2mmol/L、1%Triton X−100、及び1%プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を含有する緩衝液(pH7.3)中で均質化し、15000gで15分間遠心分離した。上清からのサンプルを10%SDS−PAGEで分離し、5%PhosphoBlocker Blocking Reagent(Cell Biolabs,Inc.)でブロックしたニトロセルロース膜(Hybond ECL、Amersham)に移した。使用した一次抗体は、カルパイン−1(Abcam)、カルパイン−2(Abcam)、カルパスタチン(Abcam)、α−フォドリン(Enzo)、β−MHC(Abcam)、α−SMC(Sigma)、及びGAPDH(Genetex)に対するものであった。バンドを化学発光(SuperSignal West Dura Extended Duration Substrate、Pierce)によって検出し、電荷結合素子システム(Image Reader LAS−3000、Fujifilm)及び画像解析ソフトウェア(Image Gauge、Fujifilm)を用いて定量した。
統計分析
SPSS for Windowsを使用してデータ分析を実施した。群間の平均は、一方向ANOVA又は独立t検定によって比較した。有意差が認められた場合には、最小有意差二乗検定を事後検定として適用した。反復測定ANOVA及びダネットの事後検定を用いて、心エコー検査における時間差を比較した。P<0.05は統計的に有意であると考えられた。全ての場合において、正常性の仮定は、シャピロ−ウィルク検定を用いた統計的分析の前にSPSSで検査された。P>0.05であるとき、データ分布は正常であると考えられた。全ての結果は平均±S.E.Mとして表される。
結果
急性期又は慢性期におけるSNJ−1945の投与は、心臓リモデリング及び心室機能不全を軽減する
虚血及び21日間の再灌流プロトコルに供された48匹のマウスから、38匹がこの研究に含まれた。死亡率は12.5%であり、群間の生存率に差はなかった(手術中:4匹及び再灌流から12時間及び24時間:2匹)。4匹の動物は、虚血中STの明確な確認がないために除外した。
ベースライン心エコー検査では、群間の差は認められなかった。心筋梗塞は、LVEDD及びLVESDの進行性増加及びEFの減少をもたらした(図2)。これらの変化は経時的に観察され、再灌流の第1週に急速に起こり、その後徐々に変化し続けた。LVPW及びIVSの有意な変化は報告されなかった。再灌流1週目に測定すると、再灌流の急性期(急性群及びAc+Chr群)にSNJ−1945を摂取した群では、対照マウス及び再灌流21日目の慢性群と比較して、LV拡張及び機能障害が有意に軽減した。実験終了時、急性治療期と慢性治療期の間で、心エコー検査のパラメータに有意差は認められなかった。図2(B)では、各パラメータの値は、各群とも21日目が棒で示されている。
21日間の再灌流後にピクロシリウスレッドで染色されたLVの面積として定義される瘢痕サイズは、34.6±4.2%であった。再灌流時及び24時間の再灌流後に開始した経口投与時におけるSNJ−1945の腹腔内投与は、急性群において29.1%(P=0.002)、慢性群で22.7%(P=0.036)、Ac+Chr群では33.7%(P=0.003)瘢痕面積を減衰させた(図3)。図3には、ピクロシリウスレッドで染色されたLVの領域が、各群の横断面切断心臓スライスにおける黒い陰影として示されている。各群の面積百分率の平均値の他に、各個々の値がスライスの下のグラフに表示されている。
SNJ−1945の急性及び慢性投与の組み合わせは、LV拡張のより効果的な軽減、駆出率の増加、及び瘢痕面積の縮小傾向を示すものの、個々の処置に関して統計的に有意な改善をもたらさなかった。
SNJ−1945の慢性経口投与は、心筋細胞肥大を制限する
肥大を示す非虚血心筋における心筋細胞の断面積は、シャム手術群に対する対照群で増加した。SNJ−1945によるカルパインの慢性的であって急性ではない阻害は、心筋細胞肥大を有意に減少させた(慢性群ではP=0.041、Ac+Chr群ではP=0.021)(図4(A))。図4(A)では、非梗塞領域に対応するヘマトキシリン&エオシンで染色された心室断面、及び心筋細胞断面積の定量(単位:μm)が棒グラフで示されている。NIH Image J 1.63ソフトウェアを用いて400倍(オリンパスデジタルカメラC−1400L)で、各心臓(n=6/群)からの少なくとも50個のランダムな細胞を測定した。更に、β−MHCタンパク質レベルは、対照群において増加し(肥大表現型の更なる証拠となる)、SNJ−1945で慢性的に処置された群においてのみ軽減した(慢性群ではP=0.036、Ac+Chr群ではP=0.019)(図4(B))。
図4(B)には、肥大マーカーとして用いられるβ−HMCのウエスタンブロット(ABCAM)が示され、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GADPH)に対するβ−HMCタンパク質の定量(ABCAM)が棒グラフで示されている。両方の処置を併用した場合、有意な相加効果は認められなかった。
SNJ−1945の慢性経口投与は、間質性コラーゲン沈着を軽減する。
心筋梗塞は、全ての群の非梗塞領域における間質性コラーゲン沈着を増加させた。急性処置ではなくSNJ−1945による慢性経口投与は、間質性コラーゲン量を減少させた(慢性群ではP=0.029、急性群ではP=0.109)。再灌流の急性及び慢性期においてSNJ−1945を投与すると、間質線維化の更なる減少は認められなかった(P=0.016)(図5(A))。これらの結果に沿って、慢性処置を受けた心臓において、線維芽細胞活性化マーカーであるα−SMAのレベルが低下した(慢性群ではP=0.012、Ac+Chr群ではP=0.009)(図5(B))。
カルパイン阻害は炎症細胞の浸潤を軽減する。
炎症細胞浸潤を、再灌流した心臓の下位群において3日間測定した(n=4/群)。我々のグループ及び他者からの以前の結果(Christiaら,「再灌流心筋梗塞のマウスモデルにおける心筋炎症、修復、及びリモデリングの系統的特徴付け(Systematic Characterization of Myocardial Inflammation,Repair,and Remodeling in a Mouse Model of Reperfused Myocardial Infarction)」,Journal of Hvstochemistry and Cytochemistry−2013,vol.no.61(8),pp.555−570)は、この再灌流の日に、炎症誘発性M1集団に対応するマクロファージの浸潤が最大であり、21日後には無視できることを示している。図6に示す結果は、急性及び慢性カルパイン阻害の両方が、虚血領域(急性急性群ではP=0.002、慢性群ではP=0.028)及び非虚血領域(急性群ではP=0.046、慢性群ではP=0.001)での単球/マクロファージの浸潤を軽減することを実証しており、急性及び慢性治療を併用した場合に有意な相加効果は認められなかった(P<0.001)。図6(A)には、3日間の再灌流後に得られ、単球/マクロファージ(AbD Serotec)のCD68に対して免疫染色された心室断面が示されている。陰影領域(円内)は、抗体による染色(カラー画像ではオレンジグリーン)に対応する。
梗塞領域におけるCD68+細胞の定量(mmでの陽性細胞の面積として)は、各群について棒グラフで描写されている。図6(B)では、非梗塞領域(遠隔領域)について(A)と同じパラメータが示されている。結果は平均±S.E.Mである。対照群に対してP<0.05。
結論:
本研究は、梗塞後の心筋リモデリング及び機能不全を制限する戦略として、再灌流中のカルパインの薬理学的阻害を裏付ける証拠を提供する。結果は、再灌流時のカルパイン阻害の心臓保護効果に加えて、カルパイン阻害剤SNJ−1945の長期経口遅延投与は、非梗塞心筋における心筋細胞の肥大、コラーゲン沈着及び炎症細胞の浸潤を調節することによって心室リモデリング及び機能不全を軽減することを実証している。
実施例2.非虚血性起源のリモデリングに対するSNJ−1945の効果:イソプロテレノールにより誘発される心筋肥大及び線維化に対する効果
イソプロテレノールの慢性投与は、心筋リモデリングの研究における最も一般的な小動物モデルである。心筋梗塞以外の原因であるAVRにおけるカルパイン阻害の効果を研究するために、イソプロテレノールによって心筋肥大及び線維化を誘発した。
カルパイン阻害剤SNJ−1945を、5mg/kg/日のイソプロテレノール(ISO)を1週間腹腔内摂取した雄性Sprague−Dawleyラットに1日1回経口同時投与した。アッセイ群は以下の通りであった:
イソプロテレノール群(ISO):イソプロテレノールを7日間連続して1日1回の皮下注射として投与する。
SNJ−1945処置群(SNJ+ISO):SNJ−1945(経口)及びイソプロテレノール(皮下)を7日間連続で同時投与する。
心臓を取得して、カルパイン阻害剤を摂取していないビヒクル処置ラット及びISO処置ラットと比較した。
図7には、イソプロテレノールによって誘発され、心エコー検査によって測定された心臓重量(図7(A))、心室間壁(IVSWT)、及び後壁(PWT)の厚さ(図7(B))の個々の値及び平均値が示されている。
この図7(A及びB)に示すように、SNJ−1945は、イソプロテレノールによって誘発され、心エコー検査によって測定された心臓重量(A)、並びに心室間壁(IVSWT)及び後壁(PWT)の厚さ(B)の増大を低減する。心エコー検査は、(Poncelas,Inserteら,2015,「高脂肪食により誘発された肥満は、B6D2F1成体マウスの梗塞後心筋リモデリング及び機能不全を軽減する(Obesity induced by high fat diet attenuates postinfarct myocardial remodeling and dysfunction in adult B6D2F1 mice)」,Journal of Molecular and Cellular Cradiology−2015,vol.,no.84,pp.154−161)に先に記載されたように、i12L−RS 12MHzトランスデューサ(GE Healthcare)を用いたVividポータブル超音波システムを用いて行った。
図8に、PCRで測定した肥大マーカーの発現レベル(量)を示す。特に、LHY7/LHY6比(図8(A))、並びに図8(B)のナトリウム利尿ペプチドA(ANP)及びB(BNP)の発現は、3つのアッセイ群のものである。
更に、図9では、3つのアッセイ群について、線維化マーカーとしてのコラーゲン1レベル(図9(A))及び腫瘍成長因子β(TGF)(図9(B))レベル(全てPCRで測定)が示されている。
PCRのために、「TRIsure」(商標)試薬(BIOLINE、UK)を使用して、3つのアッセイ群の心臓サンプルの虚血性領域及び非虚血性領域から、製造業者のプロトコルに従って全RNAを抽出した。定量的RT−PCRは、Taqman universal PCR master mix(Applied Biosystems、米国)を用いて行った。増幅プログラムは、50℃で2分間、95℃で10分間、そして95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルから構成され、7900HT Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems、米国)において行った。ANP、BNP、コラーゲン1、Myh6、Myh7、及びTGF−β1のために使用されるプライマーは、Thermofisherから購入し、以下の遺伝子発現アッセイ(Rn00561661_m1、Rn04219558_g1、Rn01463848_m1、Rn00691721_g1、Rn01488777_g1及びRn00572010_m1、各々2017年3月1日のThermofisherカタログから検索可能なアッセイについての言及;https://www.thermofisher.com/order/genome−database/details/gene−expression/)。
ISO処置の7日目に、カルパイン−1及びカルパイン−2は過剰発現し、カルパイン活性の増加と相関した(データは示していない)。SNP−1945の経口同時投与は、カルパイン活性化を軽減し、図7(A及びB)から推論できるように、心エコー検査で測定される心臓重量、中隔及び左心室後壁の厚さ、並びに心筋細胞横断面積を減少させた。SNJ−1945の投与は、図8(A及びB)から推論できるように、β−MHC/α−MHC比並びにANP及びBNP mRNAレベルを低下させた。更に、SNJ−1945はまた、図9(A及びB)から導かれるように、心室内コラーゲン沈着及びISOによって誘発されるコラーゲン1及びTGFの発現を有意に減少させた。
これらの全てのデータから、SNJ−1945の慢性経口投与は、イソプロテレノール誘発同心性心肥大及び線維化を軽減すると結論付けることができる。薬理学的カルパイン阻害は経口療法で可能であり、非虚血性起源の有害な心室リモデリングを制限する有効な戦略となる。結果は、SNJ−1945の慢性(1日を超える)経口投与が、イソプロテレノール誘発心肥大及び線維化を予防し、非虚血性起源の有害な心室リモデリングを制限する有効な戦略としての薬理学的カルパイン阻害の使用を拡張することを実証する。
実施例3 SNJ1945の用量依存性及び阻害特異性
虚血/再灌流に付した単離ラット心臓で行った研究は、SNP−1945による灌流が、カルパイン阻害を反映するカルパイン特異的α−フォドリン分解産物の用量依存的減少を生じることを示した(データは示さず)。これらのデータ及びSNJ−1945の薬物動態パラメータによれば、ラットは30、60、又は120mg/kgの用量で経口的に(強制飼養により)薬物を摂取した。これらの実験条件において、60分間の再灌流後に測定されたα−フォドリンのタンパク質分解は、120mg/kgのSNJ−1945で処置したラットにおいて有意に減少した。SNJ−1945の作用がマトリクス金属プロテイナーゼ−2(MMP−2)に対するその阻害作用の結果である可能性を捨てるために、MMP−2のゼラチン分解活性を、異なる濃度のSNJ−1945を用いてインキュベートしたサンプルにおいてザイモグラフィーで測定した。
MMP−2の活性は、ゼラチンザイモグラフィーによって評価した。簡潔には、21日間再灌流したラットから取得した心筋調製物(対照群)を、1.5mg/mlのゼラチンと共重合した10%ポリアクリルアミドゲル上に流した。2.5%Triton X−100で洗浄した後、ゲルを細片に切断し、5、10、及び50μMの濃度のSNJ−1945、ビヒクル対照としてのDMSO、又は選択的MMP阻害剤ONO−4817(N−[(1S,3S)−1−[(エトキシメトキシ)メチル]−4−(ヒドロキシアミノ)−3−メチル−4−オキソブチル]−4−フェノキシベンズアミド)を含むザイモグラフィー緩衝液(50μM、Tocris)中で一晩別個にインキュベートした。経口強制飼養によりSNJ−1945を摂取し、21日間再灌流した動物(慢性群)から調製されたサンプル中のMMP−2活性(0μMの%として)を更に調べた。0.25%クーマシーブリリアントブルーG、40%メタノール中でゲルを染色し、脱色後にゼラチン分解活性を定量した。
得られた結果を図10に示す。この結果は、SNP−1945が試験濃度ではMMP−2活性を阻害しないことを実証しており、これはカルパイン阻害がその主要な作用機序であることが裏付けられた。図10は、DMSO(ビヒクル)、5、10、及び50μMの濃度のSNJ−1945及び選択的MMP阻害剤ONO−4817を用いて、37℃で一晩インキュベートした21日間の再灌流の対照ラットから得た心筋抽出物のゼラチンザイモグラムを示す。右のザイモグラムは、14日間にわたって経口投与されたSNJ−1945を摂取したラットからの心筋抽出物に対応した。結果は平均±S.E.Mである(n=3/群)。
SNJ−1945は、水溶性及びバイオアベイラビリティを増加させるように特定的に設計され、アミノ及びチオール基と非特異的に反応しにくい第3世代のカルパイン阻害剤であり、ロイペプチン、カルペプチン、及びSJA6017等の他のペプチジル阻害剤とは対照的である。種々の細胞経路におけるカルパイン及びMMP−2の基質及び作用が重複することが示唆され、広く使用されているいくつかのカルパイン阻害剤もまたMMP−2を阻害することが実証されているが、ここでの結果は、SNJ−1945で得られた効果が、MMP−2に対する阻害作用の結果である可能性を排除する。
本願で引用された参照文献
−Yoshikawa et al., “Cardioprotective effects of a novel calpain inhibitor SNJ-1945 for reperfusion injury after cardioplegic arrest”, Am J Physiol Heart Circ Physiol - 2010, vol 298, pp.: 643-651.
−Inserte et al., “Contribution of calpains to myocardial ischaemia/reperfusion injury”, Cardiovascular Research - 2012, vol 96, pp.: 23-31.
−Hernando et al., “Calpain translocation and activation as a pharmacological targets during myocardial ischemia/reperfusion”, J Mol Cell Cardiol - 2010, vol 49(2), pp.: 271-279.
−Khalil et al., “Calpain inhibition reduces infarct size and improves global hemodynamics and left ventricular contractility in a porcine myocardial ischemia/reperfusion model”, Eur J Pharmacol - 2005, vol 528, pp.: 124-131.
−WO2005056519.
−Trager et al., “Effects of a novel orally administered calpain inhibitor SNJ-1945 on immunomodulation and neurodegeneration in a murine model of multiple sclerosis”, J.Neurochem- 2014, vol. no. 130(2), pp.: 268-279.
−Poncelas, Inserte et al. 2015, “Obesity induced by high fat diet attenuates postinfarct myocardial remodeling and dysfunction in adult B6D2F1 mice”, Journal of Molecular and Cellular Cradiology-2015, vol. no.84, pp.: 154-161.
−Christia et al., “Systematic Characterization of Myocardial Inflammation, Repair, and Remodeling in a Mouse Model of Reperfused Myocardial Infarction”, Journal of Hystochemistry& Cytochemistry-2013, vol. no. 61(8), pp.: 555-570.

Claims (14)

  1. 有害な心室リモデリングの予防及び/又は治療に使用するためのカルパイン阻害剤又はその薬学的に許容される塩。
  2. 有害な心室リモデリングが、冠動脈疾患、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心不整脈、先天性心疾患、心臓弁機能不全、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される病変における持続性心筋ストレスによって引き起こされる、請求項1に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  3. 有害な心室リモデリングが、心筋梗塞、左心室動脈瘤、及び虚血性心筋症からなる群から選択される冠動脈疾患によって引き起こされる、請求項1又は2に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  4. 前記有害な心室リモデリングが心筋梗塞によって引き起こされる、請求項3に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  5. 前記カルパイン阻害剤が長期間使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  6. 前記カルパイン阻害剤が、3〜30日間、1日を超えて投与されるためのものである、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  7. 前記カルパイン阻害剤が、7〜21日間、1日を超えて投与されるためのものである、請求項6に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  8. 前記有害な心室リモデリングが心筋梗塞によって引き起こされ、前記カルパイン阻害剤が心筋の再灌流発生後に長期間使用されるためのものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  9. 前記カルパイン阻害剤が、3〜30日間、1日を超えて投与されるためのものである、請求項8に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  10. 前記カルパイン阻害剤が、7〜21日間、1日を超えて投与されるためのものである、請求項8又は9に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  11. カルパイン阻害剤が経口用である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  12. 前記カルパイン阻害剤が式(I)の化合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用のためのカルパイン阻害剤:

    式中、

    (1)式(IIb)(式中、nは2〜5の整数である)で表される基、

    (2)場合により(C−C)−アルキルを有するピリジル基で置換された、直鎖若しくは分枝(C−C)−アルキル、又は
    (3)テトラヒドロフラニル基若しくはテトラヒドロピラニル基であり、
    は、場合によりフェニルで置換された直鎖又は分枝(C−C)−アルキルであり、
    は、水素、直鎖若しくは分枝(C−C)−アルキルであるか、又はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される。
  13. ((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸5−メトキシ−3−オキサペンチルエステル、
    ((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチルエステル、
    ((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデカニルエステル、
    ((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−3−(シクロプロピルアミノ)−2,3−ジオキソ−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸2−(ピリジン−2−イル)エチルエステル、
    及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
  14. ((1S)−1−((((1S)−1−ベンジル−2,3−ジオキソ−3−(シクロプロピルアミノ)−プロピル)アミノ)カルボニル)−3−メチルブチル)カルバミン酸5−メトキシ−3−オキサペンチルエステルである、請求項13に記載の使用のためのカルパイン阻害剤。
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