JP2019512879A - 熱電圧電発電機 - Google Patents

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Abstract

熱電コンポーネントと圧電コンポーネントとを統合させた発電機がここに記載される。いくつかの実施形態において、発電機は熱電膜を含み、当該熱電膜は、当該膜の一面にわたって複数の側方p−n接合部を有し、当該側方p−n接合部はp型領域とn型領域との界面に確立される。圧電膜が熱電膜に結合され、電極が当該圧電膜に結合される。

Description

政府の権利に関する声明
本発明は、空軍科学技術研究事務所により授与された助成金第FA9550−13−1−0085号の下での政府支援によってなされた。政府は本発明に所定の権利を有する。
関連出願のデータ
本願は、2016年3月9日に出願された米国仮特許出願第62/305,852号の、米国特許法第119条(e)による優先権を主張し、その全体が参照によりここに組み入れられる。
本発明は発電機に関し、詳しくは、可撓性の熱電コンポーネント及び圧電コンポーネントを統合して単一デバイスアーキテクチャとした発電機に関する。
熱電発電機と圧電発電機とは一般に両立しない。それぞれが、各エネルギー源に結合するのに非常に異なる方法を使用するからである。例えば、熱電発電機(TEG)が熱勾配にさらされると、ゼーベック効果により電圧が発生する。各熱電素子が最大熱勾配を維持するときに、TEGは最適な性能を達成する。その代わりに、圧電材料の機械的変形により、生成した結合表面電荷間に電位がもたらされるので、圧電発電機(PEG)は、エネルギーを収穫するべく動的なシステムに結合される必要がある。熱源と機械源との結合のこのような不整合ゆえに、TEGが剛性かつ静的となるように設計されるのが典型的な一方、PEGは可撓性かつ動的にされるので、主要標的システムが廃熱及び機械的エネルギー双方を示すにもかかわらず、互いが両立しなくなる。
異なる結合機構に加え、TEG及びPEGは、電圧信号の不整合ゆえに互いにとって破壊的となる。静的な熱勾配のもとでは、TEGはDC電圧を発生させるので、本質的に低い値の抵抗性の素子となる。その代わりに、動的応力を受ける誘電性のPEGは、AC電圧を発生させるので、本質的に容量性である。これらの素子を組み合わせると、構成によっては他方の電力生成が打ち消される。例えば、TEGとPEGとを電気的に並列に配置すると、低抵抗のTEGがPEG容量素子を放電させるので、TEGのみが電力を生成することとなる。その代わりに、TEGとPEGとを電気的に直列に配置すると、容量素子が、TEGの電力出力を劇的に低減させる開回路をもたらす。
米国特許出願公開第2012/133210(A1)号明細書
これらの技術的な課題及び非両立性に鑑み、熱電コンポーネントと圧電コンポーネントとを有効に統合して単一のデバイスアーキテクチャにする発電機がここに記載される。簡潔には、ここに記載の発電機は熱電膜を含み、当該熱電膜は、当該膜の一面にわたって複数の側方p−n接合部を含み、当該側方p−n接合部は、p型領域とn型領域との界面に確立される。圧電膜が熱電膜に結合され、電極が当該圧電膜に結合される。いくつかの実施形態において、発電機は、圧電膜が熱電膜と電極との間に位置決めされるサンドイッチ構造を採用する。また、熱電膜は、p−n接合部において折り曲げることができる。かかる実施形態において、発電機は、波形の構造又は配向を有し得る。
これらの及び他の実施形態が、以下の詳細な説明においてさらに記載される。
ここに開示のいくつかの実施形態に係る発電機の構造を例示する。 ここに記載のいくつかの実施形態に係る折り曲げられた配向又は波形の配向の発電機を例示する。 図2(a)は、ここに記載の発電機により発生する熱電電圧を、固有熱電値に基づく理論上の最大値と比較して例示する。図2(b)は、内部負荷が整合されたここに記載の発電機の2×2アレイにより発生する熱出力を、理論上の最大値と比較して例示する。 図3(a)は、いくつかの実施形態に係る高調波応力を受けている間の単一の発電機により発生する電圧を例示する。図3(b)は、いくつかの実施形態に係る測定されたピーク間電圧と入力応力との比を例示する。
ここに記載の実施形態が、以下の詳細な説明と、複数の例及びそれらの上記及び下記の説明とを参照して容易に理解することができる。しかしながら、ここに記載の素子、装置及び方法は、詳細な説明及び例に提示された特定の実施形態に限られない。これらの実施形態が、本発明の原理の単なる例示であることを認識するべきである。本発明の要旨及び範囲から逸脱することのない多数の修正例及び適合例が、当業者にとって容易に明らかとなる。
熱電コンポーネントと圧電コンポーネントとを統合した発電機がここに記載される。いくつかの実施形態において、発電機は熱電膜を含み、当該熱電膜は、当該膜の一面にわたって複数の側方p−n接合部を有し、当該側方p−n接合部はp型領域とn型領域との界面に確立される。圧電膜が熱電膜に結合され、電極が当該圧電膜に結合される。図1(a)〜(b)は、ここに記載のいくつかの実施形態に係る発電機を例示する。図1(a)に例示されるように、圧電膜又は圧電層12が、熱電膜又は熱電層11に結合される。熱電膜11は、膜11にわたって複数の側方p−n接合部を含む。電極13が圧電膜に結合される。ここで図1(b)を参照すると、熱電膜11は、p−n接合部14において折り曲げられ、発電機10が波形の配向に置かれる。熱電膜11及び関連する圧電膜12並びに電極13を折り曲げることにより、発電機10の厚さにわたって熱勾配(ΔT)を確立することができる。熱電電圧が、電極13の対向端の間で測定され、圧電電圧は、電極13と熱電膜11との間で測定される。図1(b)の実施形態において、熱電膜11は、圧電膜12の機械的変形により得られる圧電電圧を抽出するための背面電極13を備えた容量性構造体を与える電極の役目を果たす。
ここで特定のコンポーネントを参照すると、発電機は、熱電膜又は熱電層を含む。これらは、当該膜の一面にわたって複数の側方p−n接合部を有し、当該側方p−n接合部は、p型領域とn型領域との界面に確立される。p型領域及びn型領域は、本発明の目的に矛盾しない任意の材料から形成することができる。ここにさらに詳述されるように、p型領域及びn型領域は、有機材料、無機材料、又はこれらの様々な組み合わせを含み得る。
いくつかの実施形態において、p型領域は、第1担体の中に又は上に分散された伝導性粒子を含む。p型領域の導電性粒子は、p型有機ナノ粒子、p型無機ナノ粒子、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、p型ナノ粒子は、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッド、プレートレット及びシートからなる群から選択される。p型ナノ粒子は、いくつかの実施形態において1次元又は2次元の構造を有し得る。
P型有機ナノ粒子は、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、有機p型ナノ粒子の格子構造は、ホウ素のような一以上のドーパントを含む。その代わりに、p型ドーパントは、第1担体の中のナノ粒子を取り囲む環境により、外部から有機ナノ粒子に適用される。例えば、第1担体は、有機ナノ粒子の表面にpドーパントを与えることができる。同様に、有機ナノ粒子と相互作用をさせるべく一以上のpドーパント種を、第1担体の中に分散させることができる。
P型無機ナノ粒子は、周期表のIB族、IIB族及びIIIA−VIA族から選択される元素から形成された二元、三元及び四元半導体組成物を含み得る。例えば、p型無機ナノ粒子は、Cu2−xTe、Cu2−xSe、SbTe、AgSe、AgTe、CuTe、CuSe、Se又はTeから形成することができる。P型無機ナノ粒子はまた、様々な遷移金属ダイカルコゲナイドすなわちMXから選択することもできる。ここで、Mは遷移金属であり、Xはカルコゲンである。表Iは、p型無機ナノ粒子及び形態の非制限的な例を与える。
Figure 2019512879
いくつかの実施形態において、pドーパントは、第1担体、及び/又は第1担体の中に分散された一以上のpドーパント種により、外部から無機ナノ粒子に適用される。例えば、無機ナノ粒子は、ナノ粒子の電子的特性が表面挙動及び表面相互作用によって支配される程度に十分薄くすることができる。無機ナノ粒子は、任意の有意なバルク特性を示す程度の十分な厚さを有していなくてもよい。したがって、外部から無機ナノ粒子に適用されるpドーパント種は、当該ナノ粒子のp型特性をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、p型領域の無機ナノ粒子は、一以上のトポロジカル絶縁体である。
P型有機ナノ粒子及び/又は無機ナノ粒子は、本発明の目的に矛盾しない任意の量で第1担体に存在し得る。いくつかの実施形態において、p型有機及び/又は無機ナノ粒子は、0.1重量パーセントから30重量パーセントの量で第1担体の中に存在する。いくつかの代替実施形態において、p型ナノ粒子の一層が第1担体を覆うように形成される。かかる実施形態において、第1担体は、有機及び/又は無機ナノ粒子が分散されたマトリックスに対向するナノ粒子層のための支持体の役目を果たす。
第1担体は、有機材料、無機材料、又はこれらの組み合わせとしてよい。例えば、第1担体は、一以上の重合体種を含み得る。適切な重合体種が、一以上のフッ素重合体を含み得る。いくつかの実施形態において、第1担体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(PVDF−TrFE)、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(PVDF−TFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はこれらの混合物若しくは共重合体を含む。薄膜層のp型領域において使用されるPVDF、PVDF−TFE及び/又はPVDF−TrFEの半結晶性重合体は、β相の量の増加を実証し得る。例えば、p型層のPVDF、PVDF−TFE及び/又はPVDF−TrFEは、1.5から2.5のβ/α相比を示し得る。いくつかの実施形態において、β/α相比は2から2.5である。β相結晶子は、ポーリング技法により非ランダム性の配向で与えることができるので、重合体マトリックスの圧電特性及び焦電特性が高められる。
その代わりに、第1担体は、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、及びポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む一以上のエラストマー種を含み得る。第1有機担体はまた、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又はこれらの混合物若しくは共重合体も含み得る。それに加えて、第1担体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はこれらの混合物若しくは共重合体を含むがこれらに限られないポリオレフィンを含み得る。
半導体性重合体にはまた、第1担体としての用途も見出すことができる。適切な半導体性重合体は、ポリ(フェニレンビニレン)及びポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)のようなフェニレンビニレン、並びにこれらの誘導体を含み得る。いくつかの実施形態において、半導体性重合体は、ポリフルオレン、ナフタレン、及びこれらの誘導体を含む。他の実施形態において、半導体性重合体は、ポリ(2−ビニルピリジン)(P2VP)、ポリアミド、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVCZ)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PAn)、及びポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)を含む。
その代わりに、いくつかの実施形態において、第1担体は無機担体である。いくつかの実施形態において、無機担体は、多結晶セラミックス又は他の粒子性無機材料を含む。
熱電膜のN型領域は、第2担体の上に又は中に分散された伝導性粒子を含み得る。n型領域の導電性粒子は、n型有機ナノ粒子、n型無機ナノ粒子、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、n型ナノ粒子は、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッド、プレートレット及びシートからなる群から選択される。n型ナノ粒子は、いくつかの実施形態において1次元構造又は2次元構造を有し得る。
N型有機ナノ粒子は、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、有機n型ナノ粒子の格子構造は、窒素のような一以上のドーパントを含む。その代わりに、n型ドーパントは、第2担体の中のナノ粒子を取り囲む環境により、外部から有機ナノ粒子に適用される。例えば、第2担体は、有機ナノ粒子の表面にnドーパントを与えることができる。同様に、有機ナノ粒子と相互作用をさせるべく、ポリエチレンイミン(PEI)のような一以上のnドーパント種を、第2担体の中に分散させることができる。
n型無機ナノ粒子は、周期表のIB族、IIB族及びIIIA−VIA属から選択される元素から形成された二元、三元及び四元半導体組成物を含み得る。例えば、n型無機ナノ粒子は、BiSe、BiTe、BiTe3−xSe、SbTe、Sb2−xBiTe、CuドープBiSe、並びにAg表面修飾BiSe及びBiTeから形成することができる。N型無機ナノ粒子はまた、様々な遷移金属ダイカルコゲナイド、すなわちMX、から選択することもできる。いくつかの実施形態において、n型遷移金属ダイカルコゲナイドは、TiS、WS及びMoSを含む。表IIは、n型無機ナノ粒子及び形態の非制限的な例を与える。
Figure 2019512879
いくつかの実施形態において、nドーパントは、第2担体、及び/又は第1有機担体の中に分散された一以上のnドーパント種により、外部から無機ナノ粒子に適用される。
p型無機ナノ粒子と同様に、n型無機ナノ粒子は、任意の有意なバルク特性を示す程度の十分な厚さを有していなくてもよい。したがって、外部から無機ナノ粒子に適用されるnドーパント種は、当該ナノ粒子のn型特性をもたらすことができる。さらに、n型領域の無機ナノ粒子は、一以上のトポロジカル絶縁体である。
N型有機ナノ粒子及び/又は無機ナノ粒子は、本発明の目的に矛盾しない任意の量で第2担体に存在し得る。いくつかの実施形態において、n型有機及び/又は無機ナノ粒子は、0.1重量パーセントから30重量パーセントの量で第2担体の中に存在する。いくつかの代替実施形態において、n型ナノ粒子の一層が第2担体を覆うように形成される。かかる実施形態において、第2担体は、有機及び/又は無機ナノ粒子が分散されたマトリックスに対向するナノ粒子層のための支持体の役目を果たす。
第2担体は、有機材料、無機材料、又はこれらの組み合わせとしてよい。第2担体は、n型電子構造を有する薄膜構造を与えるべくn型有機ナノ粒子及び/又はn型無機ナノ粒子のホスト又は支持体として動作可能な任意の材料を含み得る。例えば、第2担体は一以上の重合体種を含み得る。適切な重合体種は一以上のフッ素重合体を含み得る。いくつかの実施形態において、第2有機担体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(PVDF−TrFE)、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(PVDF−TFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はこれらの混合物若しくは共重合体を含む。薄膜層のn型領域において使用されるPVDF、PVDF−TFE及び/又はPVDF−TrFEの半結晶性重合体は、β相の量の増加を実証し得る。例えば、p型層のPVDF、PVDF−TFE及び/又はPVDF−TrFEは、1.5から2.5のβ/α相比を示し得る。いくつかの実施形態において、β/α相比は2から2.5である。
その代わりに、第2有機担体は、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、及びポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む一以上のエラストマー種を含み得る。第2有機担体はまた、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又はこれらの混合物若しくは共重合体も含み得る。それに加えて、第2有機担体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はこれらの混合物若しくは共重合体を含むがこれらに限られないポリオレフィンを含み得る。
半導体性重合体にはまた、第2有機担体としての用途も見出すことができる。適切な半導体性重合体は、ポリ(フェニレンビニレン)及びポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)のようなフェニレンビニレン、並びにこれらの誘導体を含み得る。いくつかの実施形態において、半導体性重合体は、ポリフルオレン、ナフタレン、及びこれらの誘導体を含む。他の実施形態において、半導体性重合体は、ポリ(2−ビニルピリジン)(P2VP)、ポリアミド、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVCZ)、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PAn)、及びポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)を含む。
第2担体はまた、多結晶セラミックス又は他の粒子性無機材料を含むがこれらの限られない無機材料としてよい。
ここに記載されるように、p−n接合部は、p型領域とn型領域との界面に確立される。隣接するp型領域及びn型領域の構造に応じて、当該界面は継ぎ目を示すか又は継ぎ目なしとなり得る。例えば、第1担体及び第2担体は、同じ材料から形成することができるので、p型領域とn型領域との継ぎ目なしの界面を与え得る。その代わりに、第1担体及び第2担体が異なる材料から形成されると、界面において継ぎ目が与えられる。熱電膜は、本発明の目的に矛盾しない任意の所望厚さを有し得る。厚さは、例えば、堆積させる方法及び条件、並びに用いられる担体の量に応じて変わり得る。いくつかの実施形態において、熱電膜の厚さは、100nmから500μm、又は500nmから50μmである。
個々のp型領域及びn型領域は、いくつかの実施形態において、所望のナノ粒子を、有機担体を含む液相の中に分散させることにより作製し、成型して薄膜セグメントにすることができる。個々のp型セグメント及びn型セグメントは、単一層の薄膜の作製時に、側方に接合される。ここで、p−n接合部は、p型セグメントとn型セグメントとの界面に確立される。いくつかの実施形態において、例えば、個々のセグメントは溶剤接着される。ここで、溶剤接着は、側方フォーマットを維持するようにセグメントのエッジにおいて行われる。他の実施形態において、個々のセグメントは、溶融又は他の加熱処理技法により接合することができる。第1有機担体及び第2有機担体の溶融は、例えば、p型セグメントとn型セグメントとの界面領域に局在化することができる。さらなる実施形態において、p型セグメントとn型セグメントとを接合するべく伝導性接着剤を用いることができる。
代替的な技法において、p型セグメントが与えられ、少なくとも一つの領域に選択的にドープされてn型セグメントが形成される。いくつかの実施形態において、p型セグメントの複数領域がドープされ、n型セグメントが、p型セグメントの未ドープ領域と交互となるように与えられる。同様に、n型セグメントが与えられ、少なくとも一つの領域に選択的にドープされてp型セグメントが形成される。いくつかの実施形態において、n型セグメントの複数領域がドープされ、p型セグメントが、n型セグメントの未ドープ領域と交互となるように与えられる。
さらなる技法において、有機担体の中に無機ナノ粒子を含む薄膜が与えられる。無機ナノ粒子は、ナノ粒子の電子的特性が表面相互作用及び/又は挙動により支配される程度に十分薄い。例えば、無機ナノ粒子は、ここに記載される寸法を有するナノプレートとしてよい。pドーパントを薄膜の選択された一つ又は複数の面積範囲に堆積させることにより一以上のp型セグメントが形成される。pドーパントが無機ナノ粒子と相互作用をすることにより、ドープ領域のp型電子構造が与えられる。同様に、nドーパントを薄膜に堆積させることにより、一以上のn型領域をp型領域に隣接するように形成することができる。nドーパントは無機ナノ粒子と相互作用をすることにより、n型電子構造を得ることができる。例えば、p型ドーパント及びn型ドーパントは、ここに記載の側方p−n接合アーキテクチャを与えるように薄膜層にプリントすることができる。かかる実施形態において、ドープ前の無機ナノ粒子の有機担体は、p型領域及びn型領域に対して同じなので、継ぎ目なしのヘテロ接合構造が可能となる。
いくつかの実施形態において、ドーパントのプリンティングにより、様々なヘテロ接合アーキテクチャの形成が可能となる。例えば、pドーパントとn−ドーパントとのプリンティングを離間させることにより、p−絶縁体−n接合部を形成することができる。さらに、金属領域の電子構造を与えるのに十分なドーパントをp型領域とn型領域との間の領域に設けることにより、p−金属−n接合部を形成することができる。さらなる実施形態において、p型領域は、可変レベルのp−ドーパントを示し得るので、ドーパント勾配をもたらすことができる。Pドーパント勾配は、例えば、単一p型領域の中に、当該p型領域にわたるp/p−/p−−勾配のように存在し得る。その代わりに、pドーパント勾配は、薄膜の表面上の別個のp型領域間に確立することもできる。同様に、n型領域も、可変レベルのn−ドーパントを示し得るので、ドーパント勾配をもたらすことができる。Nドーパント勾配は単一n型領域の中に、当該n型領域にわたるn/n+/n++勾配のように存在し得る。それに加えて、nドーパント勾配は、当該膜の表面上の別個のn型領域間に確立することもできる。
ここに記載されるように、熱電膜に圧電膜を結合することができる。圧電膜は、有機材料、無機材料、又はこれらの様々な組み合わせから形成することができる。圧電膜は、いくつかの実施形態において、重合体材料を含む。重合体圧電膜は、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(PVDF−TrFE)、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(PVDF−TFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はこれらの混合物若しくは共重合体を含む半結晶性重合体を含み得る。発電機の圧電膜において使用されるPVDF、PVDF−TFE及び/又はPVDF−TrFEの半結晶性重合体は、β相の量の増加を実証し得る。例えば、絶縁層のPVDF、PVDF−TFE及び/又はPVDF−TrFEは、1.5から2.5のβ/α比を示し得る。いくつかの実施形態において、β/α比は2から2.5である。ここに説明されるように、β相結晶子には、ポーリング技法により非ランダム性の配向が与えられるので、絶縁層の圧電特性及び焦電特性を高めることができる。その代わりに、圧電重合体は、ポリアミド又はポリ尿素を含み得る。いくつかの実施形態において、圧電膜は、ナイロン−11又はポリ尿素−9を含む。
重合体圧電膜はさらに、圧電挙動を実証する粒子を含み得る。例えば、重合体圧電膜は、BaTiO粒子、BiTe粒子、他の無機圧電粒子、又はこれらの混合物の粒子を含み得る。BaTiO粒子、BiTe粒子及び/又は他の無機粒子は、本発明の目的に矛盾しない任意のサイズ及び/又は幾何学的形状を有し得る。BaTiO粒子及びBiTe粒子は、20nmから500nmの範囲にあるサイズ分布を実証し得る。さらに、圧電粒子は、本発明の目的に矛盾しない任意の積載量で圧電層の重合体の中に分散させることができる。いくつかの実施形態において、BaTiO粒子、BiTe粒子及び/又は他の無機圧電粒子はナノ粒子であり、これらは、圧電膜の中に、当該圧電膜の総重量に基づき5〜80重量パーセント又は10〜50重量パーセントの量で存在する。ここに記載されるように、圧電膜の圧電粒子には、ここに記載の熱電装置の圧電特性及び/又は焦電特性を高めるべく電気的極性を持たせることができる。
その代わりに、圧電膜は、無機材料又はセラミック材料から形成することができる。いくつかの実施形態において、圧電膜は、遷移金属酸化物粒子を含む金属酸化物粒子から形成することができる。適切な金属酸化物粒子はまた、圧電挙動を実証し得る。一つの実施形態において、例えば、圧電膜は、電気的極性を有し得るBaTiO粒子から形成される。
圧電膜は、本発明の目的に矛盾しない任意の所望厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、圧電膜は、少なくとも約50nmの厚さを有し得る。圧電膜は、いくつかの実施形態において、少なくとも約500nm又は少なくとも約1μmの厚さを有する。
圧電膜は、熱電膜の一面と同一の広がりを有する一面を有し得る。その代わりに、圧電膜の一面は、熱電膜の一面と同一の広がりを有しない。さらに、いくつかの実施形態において、圧電膜及び熱電膜は、同じ重合体を用いる。例えば、圧電膜及び熱電膜は、PVDF又はその誘導体のような同じフッ素重合体を用いてよい。かかる実施形態において、熱電膜及び圧電膜を与えるべく単一のフッ素重合体膜を使用することができる。例えば、フッ素重合体膜は、当該膜の表面に側方p−n接合部が形成されるのに十分な厚さを有し得る。側方p−n接合は、上述した技法に従って形成することができる。フッ素重合体膜の側方p−n接合部及び表面領域が熱電膜の役目を果たす一方、フッ素重合体膜のバルクは圧電膜の役目を果たす。フッ素重合体膜の厚さはまた、圧電バルクと熱電表面との間の電荷流を抑制するように制御することができる。
発電機はまた、圧電膜又は層に結合された電極を含み得る。電極は、本発明の目的に矛盾しない任意の材料から作製することができる。電極は例えば、金属、合金又は半導体組成物としてよい。図1(b)に例示されるように、電極は、折り曲げられた又は波形の配向を採用するべく可撓性とすることができる。いくつかの実施形態において、電極は、圧電層と同一の広がりを有する。その代わりに、電極は、圧電膜と同一の広がりを有するわけではなく、p−n型接合部の直上に位置決めされるが次の接合まで延びて各接合の電極をもたらすわけではない小セクションに分割することができる。
いくつかの実施形態において、発電機の様々な膜又は層間に接着層を用いることができる。例えば、一以上の接着層を、熱電膜と圧電膜との間に位置決めすることができる。同様に、一以上の接着層を、電極と圧電膜との間に位置決めすることができる。接着層は一般に、電気的絶縁材料から形成することができる。いくつかの実施形態において、接着層はポリビニルアルコール(PVA)である。
さらに、発電機は、折り曲げ構造を維持するべく様々な材料によるケースに入れ又はカプセルに封入することができる。適切な材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のようなエラストマーを含む。発電機全体をケースに入れ、又は一部のみをケースに入れることができる。いくつかの実施形態において、ケースの材料は、熱勾配を確立し又は強めて当該発電機の熱電性能を増加させるべく使用することができる。例えば、発電機の底部を熱絶縁材料のケースに入れ、頂部はケースに入れず又は熱伝導性材料のケースに入れることができる。このような配列により、発電機の厚さ方向の熱勾配を強めることができる。
これらの及び他の特徴はさらに、以下の非制限的な例に例示される。
例1−発電機(TPEG)
ここに記載のいくつかの実施形態に係る発電機が以下のように作製された。
熱電膜が、溶液滴下成形法により調製された。Cheap Tubes社が販売する酸洗浄済み単一壁/二重壁カーボンナノチューブ(CNT)が使用された。CNTを分散させるべく、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)ACS試薬99.8%(Sigma−Aldrich社)が使用された。CNTマトリックスは、分子量(M.W.)534,000の非導電性重合体PVDF(Aldrich Chemistry社)と一緒にされて15/85重量パーセントのCNT/PVDFとなるように保持された。得られたp型膜はその後、ポリエチレンイミン(PEI)ブランヂドM.W.600,99%とのブランド(Alfa Aeser社)を使用してスプレイドーピング法により選択的にn型ドープがされた。スプレイドーピング技法により、DMFの中のPEIが膜表面に堆積され、取り囲んでいるPVDFマトリックスが溶解され、小分子ドーパントが統合されて連続するp型熱電膜となり、交互となるp型セクション及びn型セクションが作られた。この合成技法により、連続する電極をTEGとして倍増することができた。得られたTEG膜は、長さ10mmの、交互となるp型セクション及びn型セクションからなる。使用された圧電膜は、社により製造された一軸配向型圧電PVDF膜(FV301251)であった。最後に、底部の18mm×110mmのTEG電極を20mm×100mmのPEGに接着するべく、水溶性プラスチックのポリ(ビニルアルコール)(PVA)(Aldrich Chemistry社)が接着剤として使用された。脱イオン水中の100mg/mLのPVAの120μLが滴下され、当該膜が一緒に加圧された。頂部の18mm×98mmのCNT/PVDF電極がその後、同じプロセスを使用して接着された。システムが60℃で120〜180分乾燥された。構造体がその後、折り曲げられ、測定を目的として金属接点が頂部電極及び底部電極に取り付けられ、構造体全体は最後に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(Dow Corning社のSylgard(登録商標)184)のケースに入れられた。
電圧がKeithley(登録商標)2000マルチメーターを使用して測定され、LabVIEW(登録商標)を使用して処理された。熱勾配が底部接触ホットブロックにより導入され、k型熱電対を使用して測定された。予荷重高調波振動ばね質量系を使用してデバイスの頂部に応力が適用された。
図2は、TPEGの熱電性能出力を示す。Vを電圧、αをゼーベック係数、ΔTを温度勾配とした場合に線形の熱電関係V=αΔTがあれば、TPEGデバイスの実効ゼーベック係数を計算することができる。それぞれがゼーベック係数30μV/K及び−27μV/Kを有するp型素子及びn型素子6つによれば、TPEGデバイスが示した実効ゼーベック係数は302±14μV/Kである。したがって、TPEGにより発生して測定された熱電電圧は、当該熱電素子に対して近似的に88%の固有値となった。熱勾配10ΔKでの2×2デバイスアレイに対して発生した電力は140nWであり、理論上の値の89%であった。理論出力に対する測定された電力の11%の減少は、測定されたΔT合計の全体に対するPDMS基板にわたって降下した分の結果である。TPEG構造体の折り曲げにより、TEGコンポーネントが、熱源に対して最小限の性能損失で最適に結合することができる。それに加えて、TPEG構造体は、電力が、一アレイのデバイスに対応したスケールとなることを許容する。
最後に、折り曲げられたメタ構造体により、圧電寄与分の出力電圧に固有の改善が得られた。圧電係数dim=dD/dσは、応力σの変化に起因する変位場Dの変化を定量化する。線形の応力入力に対しては、一つのみの圧電係数が、平坦なPEGシステムにおける変位場の変化に寄与する。しかしながら、TPEGシステムに対しては、エラストマーの頂部表面への外部からの線形の応力により、折り曲げ圧電膜に内部的に適用される応力成分の複合的な組み合わせがもたらされる。TPEGデバイスにおける折り曲げ圧電膜が圧縮ひずみ及びせん断ひずみを有し得るとすれば、電圧信号を各寄与分に分解することは非自明的である。しかしながら、同じ線形の応力が与えられたTPEGと平坦なPEGデバイスとの測定電圧差を比較することにより、TPEGデバイスの性能に対する圧電膜を折り曲げることの効果を示すことができる。図3(a)は、予荷重ばね質量系の高調波振動により発生した圧電電圧を示す。圧電信号の安定性ゆえに、ピーク間電圧は容易に計算及び再現することができる。図3(b)における黒棒は、測定されたピーク間電圧と入力応力との比を示す。図3(b)における斜線棒は、測定された電圧である。11.1μV/Paが、TPEGデバイスに対する平均電圧対応力比であったのに対し、5.49μV/Paが平坦PEGデバイスに対するものであった。これが意味するのは、圧電膜を折り曲げることにより、同じ入力応力に対して2倍もの電圧が発生するということである。2×2のTPEGアレイは、28.0μV/Paを発生させた。多数のデバイスを一緒に接続することにより、出力電圧は、平坦PEGデバイスのよりも5.3倍大きくなる。
本発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的が達成されるように記載されてきた。これらの実施形態は、本発明の原理の例示にすぎないことを認識するべきである。本発明の要旨及び範囲から逸脱することのない、その多数の修正例及び適合例が、当業者にとって容易に明らかとなる。

Claims (25)

  1. 発電機であって、
    熱電膜と、
    前記熱電膜に結合された圧電膜と、
    前記圧電膜に結合された電極と
    を含み、
    前記熱電膜は、前記膜の一面にわたって複数の側方p−n接合部を有し、
    前記側方p−n接合部はp型領域とn型領域との界面に確立される発電機。
  2. 前記p型領域は、第1担体の中に又は上に分散された導電性粒子を含み、
    前記n型領域は、第2担体の中に又は上に分散された導電性粒子を含む請求項1の発電機。
  3. 前記p型領域の導電性粒子は、p型有機ナノ粒子、p型無機ナノ粒子、又はこれらの混合物を含む請求項2の発電機。
  4. 前記p型有機ナノ粒子及びp型無機ナノ粒子は、ナノチューブ、ナノワイヤ、プレートレット及びシートからなる群から選択される請求項3の発電機。
  5. 前記第1担体又は前記第1担体におけるpドーパント種により、pドーパントが前記p型領域の導電性粒子に与えられる請求項2の発電機。
  6. 前記n型領域の導電性粒子は、n型有機ナノ粒子、n型無機ナノ粒子、又はこれらの混合物を含む請求項2の発電機。
  7. 前記n型有機ナノ粒子及びn型無機ナノ粒子は、ナノチューブ、ナノワイヤ、プレートレット及びシートからなる群から選択される請求項6の発電機。
  8. 前記第2担体又は前記第2担体におけるnドーパント種により、nドーパントが前記n型領域の導電性粒子に与えられる請求項2の発電機。
  9. 前記第1担体は一以上の重合体種を含む請求項2の発電機。
  10. 前記第1担体はフッ素重合体を含む請求項9の発電機。
  11. 前記フッ素重合体は、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン、又はこれらの混合物を含む請求項10の発電機。
  12. 前記第2担体は一以上の重合体種を含む請求項2の発電機。
  13. 前記第2担体はフッ素重合体を含む請求項12の発電機。
  14. 前記フッ素重合体は、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン、又はこれらの混合物を含む請求項13の発電機。
  15. 前記圧電膜は一以上の重合体材料を含む請求項1の発電機。
  16. 前記圧電膜はフッ素重合体を含む請求項15の発電機。
  17. 前記フッ素重合体は、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン、又はこれらの混合物を含む請求項16の発電機。
  18. 前記圧電膜はポリアミド又はポリ尿素を含む請求項15の発電機。
  19. 前記圧電膜はセラミックを含む請求項1の発電機。
  20. 前記セラミックは金属酸化物粒子を含む請求項19の発電機。
  21. 前記電極は金属、合金又は半導体性材料を含む請求項1の発電機。
  22. 前記熱電膜の一面は前記圧電膜の一面と同一の広がりを有する請求項1の発電機。
  23. 前記熱電膜と圧電膜との間に一以上の接着層をさらに含む請求項1の発電機。
  24. 前記圧電膜と電極との間に一以上の接着層をさらに含む請求項1の発電機。
  25. 前記熱電膜は、前記p−n接合部において折り曲げられる請求項1の発電機。


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