JP2019507754A - 少なくとも2つの非必須アミノ酸を欠くダイエタリー製品 - Google Patents

少なくとも2つの非必須アミノ酸を欠くダイエタリー製品 Download PDF

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Abstract

本発明は、全必須アミノ酸を含み、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く、複数のアミノ酸を含むダイエタリー製品;がんの処置におけるその方法と使用;斯かる用途のための層別化方法およびバイオマーカーに関する。

Description

本発明は、概して、がんを処置する食餌療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、がんを処置し、既存のがん療法を改善するように、食餌におけるアミノ酸レベルを変更することに関する。本発明は、また、がんを処置する食餌療法から恩恵を受けるであろう患者を特定するためのバイオマーカーと、該バイオマーカーを使用する方法およびキットにも関する。
がんは、細胞が無制御に増殖し、細胞増殖の通常の限界を超えて増殖および分裂する疾患である。これらの細胞は、周りの組織に浸潤し、破壊する可能性がある。さらに、がん細胞は転移する可能性があり、その場合、がん細胞は血液またはリンパ系を介して身体の他領域に広がり得る。
がんの処置には、組織を除去する手術、腫瘍サイズを減少させる放射線療法、または薬物もしくは他の医薬品を使用してがんを処置する薬物療法/化学療法が含まれ得る。がんでの生存率は、がんの種類によって異なるが、転移したがんの場合、その率は特に低い。これは主に、薬物療法的/化学療法的処置はしばしば失敗し、がんを完全に根絶することがまれであるからである。正常な非がん細胞は、ある投与量の薬物療法薬/化学療法薬にしか耐性がなく、過度な副作用を予防するために、がんの処置には最適以下の投与量を利用することになる。この問題を複雑にしているのは、がん細胞では正常細胞よりも薬剤の選択性が限られ、がん細胞は、処置期間中に、薬物療法薬/化学療法薬に対し耐性を持つようになる可能性があることである。生存がん細胞は、典型的には、なお、無制御に増殖することが可能であり、がんは残り続ける。これは、研究者らががんを処置する新規の方法を探ることにつながった。
近年では、がん代謝、特に、がん細胞が正常細胞とどのように異なって、典型的に疾患と関連する急速な無制御細胞増殖を呈するかに注意が向けられている。増殖し、新しい細胞を生成し、代謝ストレスに適応することができるように、がんがその代謝を再プログラムすることは明らかである。がんを処置する際、特異的な代謝経路酵素を標的化するか、あるいは、該経路で利用される化学物質および/または代謝物を標的化することが可能である。タンパク質は細胞の重要な成分であり、タンパク質合成経路はがん細胞の増殖にとって鍵である。
タンパク質はアミノ酸から合成され得、哺乳類では、既知の生物学的に活性なアミノ酸が20個ある。これらは体内で合成されるが(非必須アミノ酸)、合成され得ないものは食餌の必須要素である(必須アミノ酸)。がん細胞は、増殖を支えるのに非必須アミノ酸の利用に大きく依存している。いくつかのがんは、増殖を支えるこれらの非必須アミノ酸をde novoで合成することが可能であるが、他のがんは、外来性アミノ酸の取り込みに依存する(Jason W. Locasale, Nature Reviews Cancer, 2013, 13, 572-583; R. Possemato et al, Nature, 2011 476, 346-350; O. Maddocks et al, Nature, 2013, 493, 542-546; C. Labuschagne et al, Cell Rep. 2014, 22, 7(4), 1248-58)。非必須アミノ酸は、タンパク質合成の他、がん細胞増殖に必要な多くの他のタンパク同化プロセスにも使用される。
がんの外来性アミノ酸への依存には、食餌中のアミノ酸レベルを制限することを通じてがんが入手可能な外来性アミノ酸の量を調節することにより、がんを処置するのに利用できる可能性がある。この、がん細胞の増殖および生存に必要な必須成分の欠乏は、がん増殖を防ぎ、がん細胞死を誘発する効果を有し得る。これは、療法として単独で、または、放射線療法および薬物療法/化学療法などの他のストラテジーと組み合わせて使用することが可能である。
このようなストラテジーは、このような療法から恩恵を受け得る患者および患者集団を特定するため、がんの種類を分類する改善された方法を必要とするだろう。
したがって、代謝標的療法から恩恵を受けるであろう患者および患者集団を特定する改善された方法に対するニーズが残されている。
本発明に従って、全必須アミノ酸を含み、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く、複数のアミノ酸を含むダイエタリー製品を提供する。適切には、このダイエタリー製品は少なくとも9個のアミノ酸を含み得る。
実質的に欠如する非必須アミノ酸の少なくとも1つは、グリシン、セリン、システイン、チロシン、およびアルギニンからなる群から選択され得る。
前記少なくとも2つの実質的に欠如する非必須アミノ酸には、以下のアミノ酸:グリシン、セリン、システイン、チロシン、およびアルギニンのうち2つ以上を含み得る。適切には、本ダイエタリー製品は、実質的に、
a.グリシン、セリン、およびシステイン;
b.グリシン、セリン、およびアルギニン;
c.グリシン、セリン、およびチロシン;
d.グリシン、セリン、アルギニン、およびシステイン;
e.グリシン、セリン、チロシン、およびシステイン;
f.システインおよびアルギニン;
g.システインおよびチロシン;
h.システインおよびグリシン;
i.システイン、チロシン、およびアルギニン;または
j.グリシン、セリン、アルギニン、チロシン、およびシステインを欠き得る。
適切には、本ダイエタリー製品は、さらに、1つもしくは複数の主要栄養素および/または1つもしくは複数の微量栄養素を含み得る。
本ダイエタリー製品は、さらに、25mg/対象の体重kg/日未満または20mg/kg/日未満または18mg/kg/日未満または16mg/kg/日未満のレベルのメチオニンを含み得る。
本発明のダイエタリー製品は、一日平均総タンパク質消費量に基づき、必須アミノ酸(任意選択的にメチオニンを除く)の一日推奨摂取量を少なくとも提供するように配合することができる。
本発明のダイエタリー製品は、固体または飲料の形態をとり得る。
本発明は、さらに、成分を水に溶解または分散させ、噴霧乾燥させる、本発明のダイエタリー製品の調製プロセスを提供する。
別の態様では、本発明は、本発明のダイエタリー製品または本発明にしたがって生成したダイエタリー製品と、医薬的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤とを含む、医薬組成物を提供する。
適切には、本発明の医薬組成物は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される治療薬を含み得る。治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させ得る。
さらなる態様では、本発明は、がんの処置で使用するための、本発明のもしくは本発明のプロセスに従って生成したダイエタリー製品か、または本発明の医薬組成物を提供する。
がんは、腸がん、大腸がん、肝がん、肺がん、骨肉腫、リンパ腫、白血病、および乳がんからなる群から選択することができる。
がんは、野生型KRASについて陽性であり得る。
がんは、cMyc発現の制御が解除されている場合がある。
本ダイエタリー製品は、実質的に、セリンおよび/またはグリシンを欠く場合がある。
がんは、MTAP発現の下方制御と関連し得、任意選択的に、ダイエタリー製品のシステインレベルは減少しているか、またはシステインを実質的に欠く場合がある。
適切には、がんの処置で使用する本ダイエタリー製品は、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、化学療法薬、アミノ酸代謝/ターンオーバー/相互変換の阻害剤、非必須アミノ酸生合成阻害剤、アミノ酸輸送阻害剤、アミノ酸分解を促進する酵素もしくは薬物、または、アミノ酸を隔離する物質から選択される治療薬と組み合わせて使用することができる。
治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させ得る。
別の態様において、本発明は、本発明のダイエタリー製品もしくは本発明に従って生成したダイエタリー製品、または、本発明の医薬組成物を、がんの処置で使用する薬物の製造において使用することを提供する。
適切には、がんは、大腸がん、リンパ腫、肝がん、肺がん、骨肉腫、および乳がんからなる群から選択することができる。
がんは、野生型KRASについて陽性であり得、ならびに/または、がんは、cMyc発現の制御が解除されているおよび/もしくはMTAPの発現が下方制御されている場合がある。
適切には、本発明のダイエタリー製品は、セリン、グリシン、またはセリンおよびグリシンを実質的に欠く場合がある。
適切には、本発明のダイエタリー製品は、システインレベルが減少しているか、またはシステインを実質的に欠く場合がある。
適切には、本ダイエタリー製品は、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される1つまたは複数の治療薬と組み合わせて使用することができる。
治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させ得る。
別の態様では、本発明は、治療的に有効な量の本発明のダイエタリー製品または本発明に従って生成したダイエタリー製品または本発明の医薬組成物を投与するステップを含む、対象のがんを処置する方法に関する。
適切には、がんは、大腸がん、肝がん、骨肉腫、肺がん、リンパ腫、および乳がんからなる群から選択することができる。
がんは、野生型KRASについて陽性であり得、および/または、cMyc発現の制御が解除されている場合がある。
本ダイエタリー製品は、セリンおよび/またはグリシンを実質的に欠き得る。
本ダイエタリー製品は、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される1つまたは複数の治療薬と組み合わせて使用することができる。
治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させ得る。
適切には、本発明の全態様において、本ダイエタリー製品を、対象の唯一の栄養供給源とすることができる。
処置は、少なくとも24時間という期間にわたって、または、治療エンドポイントが観察されるまで与える。
本ダイエタリー製品は、1日に1〜6回投与してよい。
適切には、少なくとも必須アミノ酸の一日の推奨量を、各日の投与レジメンにより満たすことができる。
本発明は、さらに、セリンおよび/またはグリシンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である患者または患者集団を特定するために、KRASおよび/またはMTAPをバイオマーカーとして使用することを提供する。
適切には、がん処置は、セリンおよびグリシンを実質的に欠く食餌を含み得る。
適切には、がん処置は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および/または化学療法薬から選択される治療薬の投与を含み得る。
別の態様では、本発明は、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である可能性が低い対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してまたは前記所定の参照レベルと比較して高い、前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する非応答性または非感受性を表す、方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である可能性が高い対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受け得る対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記患者が前記がん処置から恩恵を受け得ることを示す、方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、i)セリンを実質的に欠くおよび/またはii)および/またはii)システインのレベルが制限された食餌を含むがん処置に対し、応答性または感受性である可能性が高い対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてMTAPの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはMTAPの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、i)セリンを実質的に欠くおよび/またはii)システインレベルが制限された食餌を含むがん処置から恩恵を受け得る対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてMTAPの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはMTAPの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記患者が前記がん処置から恩恵を受け得ることを示す、方法を提供する。適切には、全態様において、生物学的サンプルはがん細胞またはがん組織とすることができる。同様に、全態様において、対照サンプルは正常な細胞または組織のサンプルとすることができる。正常な細胞または組織のサンプルは、がん細胞またはがん組織と同じ細胞タイプまたは組織タイプとすることができる。
さらなる態様において、本発明は、がんのある対象を処置する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルが、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルが、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す場合に、前記対象に前記がん処置を与えるステップとを含む、方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、がんのある対象を処置する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルが、i)セリンを実質的に欠くおよび/またはii)システインが制限された食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップと;
b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルが、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す場合に、前記対象に前記がん処置を与えるステップとを含む、方法を提供する。
適切には、前記がん処置は、セリンおよびグリシンを実質的に欠く食餌を含み得る。
適切には、前記がん処置は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および/または化学療法薬から選択される治療薬の投与を含み得る。
対象から単離した生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルが、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップは:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み得、
対照サンプルと比較してまたは所定の参照レベルと比較して高い、前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の非応答性または非感受性を表し、対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の応答性または感受性を表す。
対象から単離した生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルが、i)セリンを実質的に欠く食餌および/またはii)システインが制限された食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップは:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてMTAPの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み得、
対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の高い応答性または感受性を表す。
別の態様では、本発明は、セリンおよび/またはグリシンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定する際に使用するキットであって:
a.Krasの発現または活性を求める薬剤と;
b.アッセイ用の試薬とを含むキットを提供する。
適切には、キットは、さらに、MTAPの発現または活性を求める薬剤を含み得る。
キットは、さらに、対照サンプルと比較してまたは所定の参照レベルと比較して高い、生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、対象ががん処置に対する非応答性または非感受性を表し、対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する対象の応答性または感受性を表すという指示書を含み得る。
別の態様では、本発明は、i)セリンおよび/もしくはグリシンを実質的に欠く;ならびに/またはii)システインが制限された食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定する際に使用するキットであって:
a.MTAPの発現または活性を求める薬剤と;
b.アッセイ用試薬とを含む、キットを提供する。
キットは、さらに、対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する対象の応答性または感受性を表すという指示書を含み得る。
本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、以下にさらに記載する。
図1a。PDAC Kras G12D/+ p53+/−:〜60日齢のマウスに食餌をとらせ、臨床エンドポイントまで(PDAC関連生存期間)利用した。生存期間は、食餌の変更(誕生ではなく)より計算。P値は、mantel−coxテストを使用して計算。図1b。PDAC Kras G12D/+ p53R172H/+:〜60日齢のマウスに食餌をとらせ、臨床エンドポイントまで(PDAC関連生存期間)利用した。生存期間は、食餌の変更(誕生ではなく)より計算。P値は、mantel−coxテストを使用して計算。図1c。マウスの尾静脈に、100μLの100μM 13 15セリンを注射し、2時間放置した。殺処分組織を凍結させた後、代謝物抽出緩衝液で均質化し、LCMSにより定量化した。P値は、対応のあるT検定を使用して計算。図1d。Kras誘導性細胞株(iKRAS1、iKRAS3、およびAK196)を、ドキシサイクリンあり(KRAS−オン)で、またはドキシサイクリンなし(KRAS−オフ)で、完全培地において増殖させた。セリン合成経路酵素のmRNA発現をqRT−PCRにより解析した。エラーバー=SEM。図1e。3つのKras誘導性細胞株(iKRAS1、iKRAS3、およびAK196)を3日間増殖させ、タンパク質発現をウェスタンブロットにより解析した。iKRAS1、iKRAS3、およびAK196細胞で平均した、SSPおよびPhospho−ERK1タンパク質の発現におけるKras−オン/Kras−オフの相対的変動(LiCor赤外線定量化により測定)を示す図であり;定量化バンドはウェスタンブロットで示されたものである。エラーバー=STDEV。図1f。Kras誘導性細胞株をセリンおよびグリシンを含有するまたは欠く(+SG/−SG)培地において増殖させ、48時間後および96時間後にカウントした。エラーバー=SEM。 図2a。APCmin/APCmin KRASオルガノイドを、セリンおよびグリシンありまたはなしで、24−48時間増殖させた。図2b。APCmin/APCmin KRASオルガノイドをセリンおよびグリシンなしで5日間増殖させ、次に、セリンおよびグリシンを含有する培地に播種し、さらに24−72時間増殖させた。図2c。セリンおよびグリシンありまたはなしで増殖させたAPCmin/APCmin KRASオルガノイドから抽出したmRNAのqRT−PCRを示す図である。図2d。13−グルコースの存在下でAPCmin/APCmin KRASオルガノイドを5時間成長させ、代謝物を抽出し、LCMSにより解析した図である。P値は、独立T検定を使用して計算。エラーバー=STDEV。 血清サンプルの質量分析により測定した、2匹の膵臓がんマウスモデルにおける、血清アミノ酸レベルに対するセリン/グリシンフリー食の影響を示す図である。統計的比較は図で詳述する。Pdx1cre;KRasG12D/+;p53+/−マウスに60日齢まで通常の固形飼料を与え、次に、臨床エンドポイントまでセリンおよびグリシンを含有する対照食(Ctr)か、またはセリンおよびグリシンを欠くマッチング食(−SG)に移行させた。末端出血から単離した血清を、LCMSにより解析した。代謝物の相対量を示す(x軸=ピーク面積)。エラーバー=STDEV。P値は、各アミノ酸についてT検定(独立、両側)により計算した。0.05未満のP値を示す。 血清サンプルの質量分析により測定した、2匹の膵臓がんマウスモデルにおける、血清アミノ酸レベルに対するセリン/グリシンを有さない食餌の影響を示す図である。統計的比較は図で詳述する。60日齢のPdx1cre;KRasG12D/+;p53R172H/+マウスに、臨床エンドポイントまで対照食またはSGフリー食(−SG)を与えた。末端出血から単離した血清を、LCMSにより解析した。代謝物の相対量を示す(x軸=ピーク面積)。エラーバー=STDEV。P値は、各アミノ酸についてT検定(独立、両側)により計算した。0.05未満のP値を示す。 図4a。HCT116細胞(ヒト大腸がん、p53wtまたはヌル)から形成された腫瘍の増殖率を示す図である。対照食を与えたマウスでは腫瘍は急速に増殖したが、セリンおよびグリシンフリー食(−SG)では腫瘍増殖は著しく減弱した。図4b。図4aで示す実験のマウスの生存率を示す図である。セリンフリー食は、マウスの生存期間を著しく改善した。 HCT116、DLD1およびSW480細胞株を用いた、抗がん剤の増殖阻害効果に対するセリン欠乏の効果を示す図である。かなりの割合の化学療法が、セリンおよびグリシン欠乏と同時に与えた場合に、抗増殖効果の増大を示す。 マウスの血清サンプル中のアミノ酸レベルに対する、セリンおよびグリシン制限食の効果を示す図である。C57Bl6マウスには、20個のアミノ酸を全て含有する対照食か、または、セリンとグリシンは欠くが、他の18個のアミノ酸は全て含有する食餌を与えた。血清サンプルをLCMSにより解析し、全非必須アミノ酸の相対量を示す。食餌ありで、セリン、グリシン、およびシステインのレベルの低下が見られる。 多数の細胞株(A549、HCT116、SW480、RKO、MCF7、MDA MB231、およびMDA MB468)における、細胞培地からのシステイン取り込みを示す図である。がん細胞株は、外来性システインを貪欲に消費することが示される。 多数の細胞株(HCT116、HepG2、MDA MB231、RKO、およびU2OS)におけるシステイン欠乏の効果を示す図である。基本培地=セリン、グリシン、システインを除く全アミノ酸を添加。S=セリン0.8mM、G=グリシン0.4mM、C=システイン0.4mM。培地は24時間ごとに交換する。 3つの細胞株(HCT116、SW480、およびDLD1)の細胞数に対する、システインと、セリンおよびグリシンとを組み合わせて欠乏させたおよび別々に欠乏させた効果を示す図である。細胞を、異なる濃度のセリン、グリシン、およびシステインを有する(ただし、他のアミノ酸は全て豊富な)培地に播種し、48時間後にカウントした。 セリンおよびシステインの相互依存機序を示す図である。ホモシステインの排出は、2つの方法;1.セリン由来の一炭素が再メチル化に使用されず、セリン由来の一炭素プールが、代わりに、ヌクレオチド(DNA、RNA)合成に使用されるようにする、2.セリンがシステインを作る必要をなくすことで、セリンプールの枯渇を防ぐ。しかしながら、ホモシステイン排出は、システインがde novoではもはや合成されず、そのため、システインはがん細胞の外側から来なければならないことを意味する。ヌクレオチドおよびグルタチオン(GSH)合成のためのタンパク同化の高い需要を満たすため、がん細胞は、外来性のセリンおよびシステインを取り込む必要がある。 全身代謝および腫瘍代謝の概要を示す図である。 HCT116およびRKO細胞の増殖に対し、セリンおよびグリシンの他に非必須アミノ酸を取り除くことの効果を示す図である。他のアミノ酸を調節することによる、セリンおよびグリシンフリー食の抗がん作用の改善を示す。a.セリンおよびグリシン欠乏のみが、増殖率を低減させる。セリンおよびグリシンの除去に加え、ある他の非必須アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン酸、およびアスパラギン)を取り除くことは、2日目で、細胞増殖に対し軽微だがさらなる追加効果を有する。b.セリンおよびグリシンの欠乏のみが、増殖率を低減させる。さらに、チロシン、アルギニン、またはシステインを個別に除去することは、より大きな抗増殖効果を有する。 4日間での、HCT116細胞の細胞増殖および細胞死(細胞数の%変化により示す)に対する、セリン、グリシン、システイン、アルギニン、およびチロシン欠乏の異なる組み合わせの効果を示す図である。完全培地(対照)における細胞増殖は+1400%だった。チロシンのみの欠乏;チロシン、セリン、およびグリシンの欠乏;アルギニンのみの欠乏;ならびにアルギニン、セリン、およびグリシンの欠乏は、全て、増殖阻害をもたらした。システインのみの欠乏;システイン、セリン、およびグリシンの欠乏;セリン、グリシン、システイン、およびアルギンの欠乏は、増殖阻害と細胞死をもたらした。 セリン合成経路酵素の発現が、セリン欠乏に対する感受性の決定要因であることを示す図である。セリン合成経路酵素(PHGDH、PSAT1、PSPH)の発現が増加したまたは活性が高まった腫瘍は、セリン欠乏に対する感受性がより低い。セリン合成経路の活性は、遺伝子コピー数の増幅、転写活性化(例えば、発がん性Krasによる)を含むがんにおける多数の機序により、もしくは後成的手段により高められ得、または、他の機序、例えばアロステリック活性化により、高められる可能性もある。 完全培地において48時間培養した4つの細胞株(SW480、DLD1、HCT116、およびRKO)における、システイン前駆体/ホモシステイン二量体流出の測定値を示す図である。ホモシステインは、システインのde novo合成の前駆体であるが、ホモシステインはがん細胞から流出し、ホモ二量体、つまりホモシスチンを検出した。 セリン欠乏ならびにセリンおよびグリシン欠乏の条件下での、2つの細胞株(HCT116およびRKO)における、システイン前駆体/ホモシステイン二量体流出の測定値を示す図である。homoC−cys=ホモシステイン+システイン二量体。ホモシスチン=ホモシステイン+ホモシステイン二量体。 セリン欠乏ならびにセリンおよびグリシン欠乏の条件下での、2つの細胞株(A549およびMDA MB231)におけるシステイン前駆体/ホモシステイン二量体流出の測定値を示す図である。homoC−cys=ホモシステイン+システイン二量体。ホモシスチン=ホモシステイン+ホモシステイン二量体。 セリンおよびグリシンフリー食が、GEMMのリンパ腫および腸がんに対し、有効な治療介入であることを示す図である。a.Eμ−Mycマウスに〜60日齢まで通常の固形飼料を与え、次に、臨床エンドポイントまで(リンパ腫関連生存期間)、対照食(セリンおよびグリシン含有)またはセリンおよびグリシンを欠くマッチング食(Serなし、Glyなし)に移行させた。生存期間は、食餌の変更(誕生ではなく)より計算した。P値は、Mantel−Coxテストを使用して計算。b.APCMin/+マウスに、〜80日齢まで通常の固形飼料を与え、次に、臨床エンドポイントまで(腸腫瘍関連生存期間)、対照食(セリンおよびグリシン含有)またはセリンおよびグリシンを欠くマッチング食(Serなし、Glyなし)に移行させた。生存期間は、食餌の変更(誕生ではなく)より計算した。P値は、Mantel−Coxテストにより計算。c.Eμ−Mycからの血清およびd.APCMin/+コホートからの血清をLCMSにより解析し、(代謝物ピーク面積による)相対的存在量を示す。エラーバー=STDEV、P値はT検定により計算した(独立、両側、*=P<0.0005)。全アミノ酸の相対定量化については図21を参照されたい。e.APCMin/+コホートにおけるセリンおよびグリシンの血清濃度を、血清において希釈された13C15N−セリンおよびグリシンを用いて、6点検量線を使用して求めた。エラーバー=STDEV。f.7−10週齢のLgr5−creER APCfl/flマウスを導入し、第1タモキシフェン処置の7週間後に食餌を変更し、臨床エンドポイントまで(腸腫瘍関連生存期間)継続した。生存期間は、第1タモキシフェン処置より計算する。P値は、Mantel−Coxテストを使用して計算。 抗酸化応答の操作が、食餌誘発性抗がん作用を高めることを示す図である。a.〜60日齢のEμ−Mycマウスに、100mg/kg/日のフェンホルミン(Phen.)と共に、対照食かまたはセリンおよびグリシンフリー食(Serなし、Glyなし)を強制経口投与により与え、臨床エンドポイントまで世話をした。リンパ腫関連生存期間を誕生ではなく食餌の変更より計算した。b.〜80日齢のAPCMin/+マウスを、対照食またはセリンおよびグリシンフリー食(Serなし、Glyなし)に移行させ、その4日後に水を飲む際に200mg/kg/日のメトホルミン(Metf.)を与えた。腸腫瘍関連生存期間は、誕生ではなく食餌の変更より計算。P値は、Mantel−Coxテストを使用して計算。生存曲線の完全比較については図22aを参照されたい。c.食餌のみでの腫瘍量データとメトホルミン+食餌での腫瘍量の比較。死後の腫瘍数カウントを、APCMin/+マウスの小腸(SI)において行った。P値は、T検定(独立、両側)により計算。腫瘍面積データについては図22cを参照されたい。食餌のみのデータを上記の(a)および(b)において複製した。d.VillincreER;APfl/flマウス由来の腸腫瘍オルガノイドは、2日間で、+/−SG、既定濃度の+/−メトホルミンで増殖させた。オルガノイド直径の相対変化を(’−薬物’に対し)プロットする。データは、4つの独立した実験の平均であり、エラーバー=SEMである。P値はT検定(独立、両側、多重比較の補正あり)により計算。e.APfl/flオルガノイドを、2日間で+/−SG+/−メトホルミンで増殖させ、次に固定し、脂質過酸化反応生成物マロンジアルデヒド(MDA)を免疫染色した。データは、3つの独立した実験の平均であり、エラーバー=SEMである。P値はT検定(独立、両側、多重比較の補正あり)により計算。f.Eμ−Mycマウスを、Tigar−/−マウスと交配させ、〜60日齢のコホートに食餌をとらせ、臨床エンドポイントまで(リンパ腫関連生存期間)利用した。生存期間は、食餌の変更(誕生ではなく)より計算した。P値は、Mantel−Coxテストを使用して計算。 APCmin/+マウスの腫瘍量に対するセリンおよびグリシンフリー食の効果を示す図である。APCmin/+マウスに、80日齢までは通常の固形飼料を与え、次に、臨床エンドポイントまで(腸腫瘍関連生存期間)、対照食(セリンおよびグリシン含有)またはセリンおよびグリシンを欠くマッチング食(Serなし、Glyなし;−SG)に移行させた。死後腫瘍測定を、食餌変更時(80日目)または臨床エンドポイントで腸腫瘍において行った。P値はT検定(独立、両側、多重比較の補正あり)により計算。 血清アミノ酸に対するセリンおよびグリシンフリー食の効果を示す図である。a.Eμ−mycおよびb.APCmin/+マウスに、それぞれ〜60日齢および〜80日齢まで通常の固形飼料を与え、次に、臨床エンドポイントまで、セリンおよびグリシンを含有する対照食(Ctr)か、または、セリンおよびグリシンを欠くマッチング食(−SG)に移行させた。末端出血から単離した血清を、LCMSにより解析した。代謝物の相対量を示す(x軸=ピーク面積)。エラーバー=STDEV。P値はT検定(独立)により計算した。 メトホルミン処置が、APCmin/+マウスにおいて、セリンおよびグリシンフリー食の抗がん作用を高めなかったことを示す図である。〜80日齢のマウスを、セリンおよびグリシンフリー食(Serなし、Glyなし)(a)または対照食(b)に移行させ、その4日後に水を飲む際に200mg/kg/日のメトホルミン(Metf.)を与えた。腸腫瘍関連生存期間は、誕生ではなく食餌の変更より計算。P値は、Mantel−Coxにより計算。c.食餌のみでの腫瘍量データとメトホルミン+食餌での腫瘍量の比較。死後の腫瘍面積測定を、APCmin/+マウスの小腸(SI)において行った。P値はT検定(独立、両側)により計算した。「食餌のみ」のデータは、図20より複製している。 in vivoでのメトホルミンレベルが全身代謝にほとんど影響せず、該メトホルミンレベルが低すぎてセリンおよびグリシンフリー食の抗がん作用を増強することができなかったことを示す図である。a.APCmin/+マウスを、対照食またはセリンおよびグリシンフリー食(−SG)に移行させ、次に、水を飲む際にメトホルミン200mg/kg/日を与えた。末端出血から単離した血清を、LCMSにより解析した。エラーバー=STDEV。b.メトホルミン処置マウスからの組織サンプルをLCMSにより解析した。NC=正常大腸、NSI=正常小腸、TC=腫瘍大腸、TSI=腫瘍小腸。エラーバー=STDEV。c.血清と腫瘍(SIまたは大腸)組織サンプルのマッチングが利用可能なマウスについて(Ctr食 n=7、−SG食 n=6)、血清対腫瘍でのメトホルミン濃度をプロットする。メトホルミン濃度は、6点検量線を使用し、適切な生物学的マトリックス(組織/血清)を使用して、全サンプルにおいて求めた。d.メトホルミンで処置したAPCmin/+マウスからの血清を、Agilent2100Bioanalyserを使用して、グルコースと乳酸のレベルについて解析した。e.ヒト大腸がん細胞DLD1およびSW480は切断型APCを発現しているが、該細胞を、セリンおよびグリシンなしで(Serなし、Glyなし)または低セリンおよびグリシン(10μM)で、メトホルミン濃度を変えながら3日間増殖させ、その後、細胞数をカウントした。データは3重ウェルの平均であり、エラーバー=STDEVである。 Eμ−myc腫瘍組織(腫瘍担持脾臓)についての、不偏メタボローム解析(OPLS−DA;直交部分的最小二乗判別分析)のS−プロットを示す図である(Ctr n=20、−SG n=13)。食餌を理由に最大の減少を示す検出代謝物は、セリンおよびグリシンである。カルニチン関連代謝物およびコリン関連代謝物のレベルの低下も観察された。ホスファチジルコリン(PC)代謝物およびアラニンおよびスレオニンのレベルの上昇も見られた。SG欠乏は、解糖系およびOXPHOS(カルニチンおよびアラニンのレベル変化を説明する可能性がある)、ならびに一炭素代謝(コリン関連代謝物の変化を説明する可能性がある)に影響を与えることが知られている。 Eu−myc腫瘍細胞に対する−SG食の効果を示す図である。a.リンパ腫細胞をEμ−mycマウスから単離し、培養液中で増殖させた。細胞をヌードマウスに皮下注射し(5x10^5/側腹部)、腫瘍を形成させた。いったん腫瘍(Ctr n=4、−SG n=4)が可視化し、測定可能になったら、マウスを対照(Ctr)またはセリンおよびグリシンフリー食(−SG)に移行させた。マウスを殺処分し、腫瘍を単一経時的エンドポイント(食餌制限の6日目)で切除した。平均腫瘍体積(開始時の腫瘍体積のパーセンテージとして示す、エラーバー=STDEV。b、皮下Eμ−myc腫瘍毎に細胞数を評価するため、腫瘍毎に2つの別の細胞カウント(H&E染色横断面を使用)を実行し、平均化し、平均の平均を示す。エラーバー=SEM。P値はT検定(独立、片側)によって計算。c、全皮下Eμ−myc腫瘍組織切片(Ctr n=3、−SG n=4)を、切断カスパーゼ3(CC3)およびBrdUについて免疫染色した。全腫瘍の非壊死性領域の画像解析により、腫瘍毎の切断カスパーゼ3陽性細胞%と、腫瘍毎のBrdU陽性細胞%の定量的評価が可能だった。データは平均であり、エラーバー=STDEVである。d.Eμ−myc腫瘍(上記のa−cで記載するような)の横断面をH&E染色した。各画像のスケールバーは4mmであり、例証的な壊死性領域は矢印でマークする。(*でマークした)追加の腫瘍組織切片を、食餌変更後に発症した腫瘍との比較のために含める(これらの3つの腫瘍は、食餌変更2日後に測定可能であり、エンドポイント前の食餌を与えた4日間の間存在した)。e.壊死を、(d)に示す切片をH&E染色した壊死性および非壊死性表面積の画像解析により定量化した。エラーバー=STDEV、P値はT検定(独立、片側、Ctr,N=5;−SG,n=6)により計算した。f、80日齢のAPCmin/+マウスに対照食(Ctr,n=3)またはセリンおよびグリシンフリー食(−SG,n=3)をとらせた。単一経時的エンドポイント(食餌の14日目)にマウスを殺処分し、小腸を組織学的解析のために取り出した。組織切片を、切断カスパーゼ3およびBrdUについて免疫染色した。全小腸の画像解析により、腺腫毎の細胞数、腺腫毎のCC3陽性細胞%、およびBrdU陽性細胞%の定量的評価が可能だった。データは、各小腸切片で特定された全腺腫の平均であり、エラーバー=SEMであり、P値はT検定(独立、片側)により計算した。全解析(a−f)で、0.1未満のP値を示す。 PDACおよびEμ−mycモデルからの腫瘍組織における、SSP酵素の発現を示す図である。対照食またはSGフリー食を与えられたEμーMycマウスからのPDAC腫瘍および腫瘍担持脾臓のタンパク質溶解物を、ウェスタンブロットによりSSP酵素発現について解析し、Li−Corスキャナを使用して定量化した。SSP酵素の(対照食に対する)相対発現を示す。エラーバー=STDEV。各組織サンプルは異なるマウスから取り、マウス/腫瘍の数をバーの上に示す。 −SG食がセリンおよびグリシンレベルの低下を招き、Eu−myc腫瘍においてGSH/GSSG比を低下させたが、PDAC腫瘍ではグリシンおよびGSH/GSSG比を低下させなかったことを示す図である。Pdx1cre;KRasG12D/+;p53+/−マウスの膵臓腫瘍およびEμ−mycマウスの腫瘍担持脾臓を、LCMSにより、セリン、グリシン、GSH(還元型グルタチオン)およびGSSG(酸化型グルタチオン)について解析した。P値は、T検定、独立、両側により計算。エラーバー=STDEV。 Krasを発現している腫瘍オルガノイドは、セリンおよびグリシンの欠乏に対しより抵抗性があったことを示す図である。VillincreER;APfl/fl、およびVillincreER;APfl/fl;KRasG12D/+腸腫瘍オルガノイド(遺伝子型毎にn=3マウスに由来する)を、セリンおよびグリシンなしで5日間増殖させ、次に溶解し、完全増殖培地に播種した。オルガノイドの直径を毎日完全(回復)培地において測定した。データは、単一実験で得た、3匹のマウスからのオルガノイドの平均である。エラーバー=SEM。 グリシンおよびセリンを欠く食餌が、in vivoですでに形成されていた異種移植腫瘍の増殖を減少させ、腫瘍内のセリンおよびグリシンレベルを低下させることと、そのようなレベルは、in vitroでのがん細胞増殖を遅くすることにつながることを示す図である。a.HCT116細胞を、左右対称に注射し(各側腹部に3x10^6)、腫瘍を形成させた。いったん腫瘍が可視化し、カリパスにより測定可能になったら、マウスを対照食(Ctr)またはセリンおよびグリシンフリー食(−SG)に移行させた。腫瘍を週に3回測定し、週平均腫瘍体積をプロットする。エラーバー=SEM。P値はT検定(独立、片側)により計算した、b.HCT116腫瘍(臨床エンドポイントで採取)を、LCMSにより、セリンおよびグリシンの絶対濃度について解析した(各腫瘍の1〜3小片を解析した)。データは平均であり、バーはSTDEVである。P値はT検定(独立、片側)により計算した。c.HCT116細胞を、「b」で表示するセリンおよびグリシン腫瘍内濃度で、in vitroで増殖させた(24ウェルプレート)。培地は24時間ごとに取り換え、細胞カウントを規定の日に実行した。データは、独立した実験からの、各条件につき12複製ウェルの平均であり、エラーバー=STDEVである。d.HCT116細胞を、「b」で表示するセリンおよびグリシン腫瘍内濃度で、in vitroで増殖させた(24ウェルプレート、各条件につき12複製ウェル)。培地は24時間ごとに取り換え、細胞カウントを4日後に実行した。データは、3つの独立した実験の平均であり、エラーバー=SEMである。P値は、T検定(独立、片側)により計算した。 Kras発現細胞は、微飲作用の増大ではなく、de novoでのセリンおよびグリシンの合成により、セリンおよびグリシンを得ることを示す図である。iKRas細胞におけるマクロピノサイトーシスを、TMR標識デキストラン取り込みアッセイを使用して評価した。細胞をはじめに+/−ドキシサイクリンで48時間増殖させ、次に+/−ドキシサイクリン、+/−SGで40時間播種し(最後の16時間はFBSなし)、次に、マッチング培地において30分間TMRデキストラン/FBSを与えた。エラーバーおよびラインは、平均およびSTDEVを示す。 図31a。ダウノルビシンが、セリンおよびグリシンの欠乏を補完することを示す図である。VillincreER;APfl/flマウスを、2日間、既定濃度の+/−セリンおよびグリシン、+/−ダウノルビシンで成長させた。オルガノイド直径の相対変化(’−薬物’に対する)をプロットする。データは3つの独立した実験の平均であり、エラーバー=SEMである。b.VillincreER;APCfl/flオルガノイドを2日間、+/−セリンおよびグリシン、+/−ダウノルビシンで増殖させ、次に固定し、マロンジアルデヒド(MDA)を染色した。データは3つの独立した実験の平均であり、エラーバー=SEMである。P値はT検定(独立、両側、多重比較の補正あり)により計算。 ヒトにおけるde novoでのシステイン合成およびポリアミン合成を示す、簡略化した概略図である。代謝物は通常のテキストで示し、酵素は枠内に示す。 (MTAP欠損/不活性化の指標である)MTA排出が、システイン欠乏に対する感受性の増大と相関することを示す図である。a.膵臓がん細胞株を、24ウェルプレートにおいて、システインを欠くが他の19個の必須アミノ酸の全ておよび非必須アミノ酸を含有する配合培地(RPMI培地を基とする)において増殖させた。細胞数を、CASY TT細胞カウンターを使用してカウントした。3日後に、細胞培養培地中のメチルチオアデノシン(MTA)レベルを、培地のサンプルを液体クロマトグラフィー−質量分析により解析することにより測定した。b.大腸がんおよび乳がんの細胞株を、24ウェルプレートにおいて、システインを欠くが他の19個の必須アミノ酸の全ておよび非必須アミノ酸を含有する配合培地(RPMIを基とする)において3日間増殖させた。細胞数を、CASY TT細胞カウンターを使用してカウントした。24時間後に、細胞培養培地中のメチルチオアデノシン(MTA)レベルを、培地のサンプルを液体クロマトグラフィー−質量分析により解析することにより測定した。R=MSエクセルによりコンピュータ処理した相関係数(Log傾向線を使用)。 MDA−MB−231細胞のMTAおよびスペルミジンの合成率はより高く、多量のメチオニンが、これらの細胞においてポリアミン経路に転用されることを示す図である。対照的に、HCT116およびSW480細胞では、ポリアミン経路に転用されるメチオニンは少なく、より多くのメチオニンが、システインに変換され得るホモシステイン/シスタチオニンに達する。これは、システイン欠乏時に、HCT116およびSW480細胞の生存率がより良好であることを説明するのに役立つ。SW480およびMDA−MB−231(M231)細胞を、配合培地(炭素12−メチオニンを欠き、炭素13で標識したメチオニンを補充し、他の19個の必須アミノ酸および非必須アミノ酸は全て含有し、RPMIを基にする)において2日間増殖させた。細胞溶解物を、液体クロマトグラフィー−質量分析により解析した。最も豊富な同位体異性体を示す。MTA=メチルチオアデノシン、Met=メチオニン、Hc=ホモシステイン、SAM=S−アデノシルメチオニン。M+x=質量プラスxユニット HCT116およびSW480細胞は、MTAをメチオニンに再生することが可能であるが、(MTAを排出する)MDA−MB−231細胞は、MTAをメチオニンに再生することはできないことを示す図である。炭素13で標識したメチオニンを用いた代謝物追跡は、SW480およびHCT116細胞は、MDA−MB−231細胞とは異なり、ポリアミン経路で使用されたメチオニンを(MTAを介して)再生することが可能であることを示し、これは、「m+1」メチオニンと表示する。HCT116、SW480、およびMDA−MB−231(M231)細胞を、配合培地(炭素12メチオニンを欠き、炭素13で標識したメチオニンを補充し、他の19個の必須アミノ酸の全ておよび非必須アミノ酸を含有し、RPMI培地を基にする)において2日間増殖させた。細胞溶解物を、液体クロマトグラフィー−質量分析により解析した。主要なメチオニン同位体異性体を示す。 MDA−MB−231(M231)細胞が、HCT116およびSW480細胞と比較し、MTAの排出が著しく、システイン欠乏時でもMTAを排出し続けることを示す図である。HCT116、SW480、およびMDA−MB−231(M231)細胞を、システインありまたはなしで、炭素12メチオニンを欠き、炭素13で標識したメチオニンを補充し、他の19個の必須アミノ酸の全ておよび非必須アミノ酸を含有する配合培地(RPMI培地を基にする)において、2日間増殖させた。代謝物抽出物を、培地サンプルから調製し(特定の時点で採取)、液体クロマトグラフィー−質量分析により解析した。MTA=メチルチオアデノシン。M+x=質量プラスxユニットシステイン。システイン欠乏での48時間目のMDA−MB−231細胞についてのデータは、その時点まで生細胞が残っていなかったことから、ない。 MTAP遺伝子発現をノックアウトすることがMTA排出の誘発を招くことを示す図である。HCT116細胞を、CRISPR/Cas9とMTAP用のターゲティング配列(Seq1および2)で、または、非ターゲティング対照配列(NTC)でトランスフェクトした。いくつかのクローンを各配列より単離し、完全培地において4日間増殖させた。タンパク質溶解物をウェスタンブロットによりMTAP発現について解析した。培地のサンプルを、液体−クロマトグラフィー質量分析によりMTA含有量について解析した。 HCT116はホモシステイン(システインの上流前駆体)を排出するが、システイン欠乏時には、ホモシステインを再取込可能であることを示す図である。HCT116細胞は、システイン欠乏に対しなお感受性であるが、MDA−MB−231(M231)細胞ほどではない。HCT116、SW480、およびMDA−MB−231(M231)細胞を、システインありまたはなしで、炭素12メチオニンを欠き、炭素13で標識したメチオニンを補充し、他の19個の必須アミノ酸の全ておよび非必須アミノ酸を含有する配合培地(RPMI培地を基にする)において、2日間増殖させた。代謝物抽出物を培地サンプルから調製し(特定の時点で採取)、液体クロマトグラフィー−質量分析により解析した。HC=ホモシステイン。M+x=質量プラスxユニットシステイン。システイン欠乏での48時間目のMDA−MB−231細胞についてのデータは、その時点まで生細胞が残っていなかったことから、ない。 細胞は、ホモシステインの補充によりシステイン欠乏から救済され得ることを示す図である。これは、酵素CTHおよびCBSが発現し、活性であり、前駆体の供給が十分である場合に、de novoでのシステイン合成を実行可能であることを実証する。このデータは、(不完全な/不十分なCTHおよびCBS酵素発現よりも、またはそれに加えて、)前駆体の不足がシステイン欠乏に対する感受性の一因となるという考えを支持する。大腸がんおよび乳がんの細胞株を、24ウェルプレートにおいて増殖させた。システインを欠くが、他の19個の必須アミノ酸の全ておよび非必須アミノ酸を含有する基本培地を(RPMI培地を基に)配合した。この基本培地に、既定の成分:システイン0.4mM(+Cys)、ホモシステイン0.2mMおよび0.8mM(HC)を補充し、3日間増殖させた。データは3つのセルの平均である。エラーバー=STDEV。 AMD1(メチオニン由来SAMをポリアミン合成経路に転用させる酵素)の阻害が、細胞を、システイン欠乏に対する鋭い感受性(つまり、細胞死)から守ることを示す図である。MDA−MB−231細胞を、最初に、24ウェルプレート中の完全(DMEM)培地に播種した。24時間後、細胞をAMD1阻害剤サルドモジド(20μM)で16時間処理するか、または未処理のままにした(Ctr)。次に、細胞をPBSで洗浄し、システインは欠くが、他の19個のアミノ酸は全て含有する培地を与えた。画像(a)は、光学顕微鏡を使用して取り込み、細胞カウント(b)は、CASY TT細胞カウンターを使用して実行した。データは3つのウェルの平均である。エラーバー=STDEV。
発明者らは、驚くべきことに、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く食餌は、がんまたは増殖性障害の処置に有用であり得ることを発見した。理論に縛られることは望まないが、腫瘍細胞の増殖および成長に必要なアミノ酸を実質的に除去することにより、アミノ酸を実質的に欠く供給源を提供するという代謝のリモデリングは、資源を転用し、急速な増殖に利用可能なアミノ酸量を減少させることが可能であり、それにより、がん細胞の増殖を遅くさせるか、抑制すらするか、またはがん細胞死を引き起こす。
適切には、本発明は、がんに罹患した対象の通常の食餌を、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く処方食に部分的にまたは完全に置き換えることを伴い得る。このような食餌は、本明細書に記載のダイエタリー製品の供給か、または、同時にもしくは連続的に投与可能な2つ以上の栄養補助食品により、達成される可能性がある。潜在的に、このような食餌は、2つ以上の非必須アミノ酸を実質的に欠いたままであるように、現在利用可能な成分を使用して、適切な食物を選択することにより、さらに補充することができる。
ダイエタリー製品
本発明の第1態様では、全必須アミノ酸を含み、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く、複数のアミノ酸を含むダイエタリー製品を提供する。
「必須アミノ酸」により、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、リシン、スレオニン、ヒスチジン、およびトリプトファンが意味される。
「ダイエタリー製品」は、1つまたは複数の必須アミノ酸またはその塩もしくはエステルを含む組成物であって、食品中で使用され、または食品と組み合わせて使用もしくは消費されて、サプリメントを消費する対象に、所望のレベルのアミノ酸またはその塩もしくはエステルを提供する、組成物を指す。これらの製品中の栄養成分としては:ビタミン、ミネラル、ハーブまたは他の植物性薬品、アミノ酸、ならびに、酵素、臓器組織、腺、および代謝物などの物質が挙げられ得る。一部の実施形態では、本ダイエタリー製品は、食餌の一部として対象が消費する、外来性アミノ酸の唯一の供給源である。適切には、一部の態様において、本ダイエタリー製品は、対象の食餌を実質的にまたは単に置き換えることを目的とし得る。つまり、一部の態様では、本ダイエタリー製品は、対象にとって完全な置き換え食とすることができる。
有利なことに、タンパク質などの通常のアミノ酸供給源の消費を本発明のダイエタリー製品に置き換えると、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く食餌が得られるだろう。これは、がん対象にとって治療的に利益を提供し得る。
本明細書で使用する場合、本発明の全態様に従い、用語「対象」は、好適には、ヒト、家畜または畜類、飼育動物またはペット、ならびに、非ヒト霊長類、イヌ、およびマウスを含む、臨床研究のために通常使用される動物を含む哺乳動物を指す。具体的には、本発明の対象はヒトとすることができる。
適切には、本ダイエタリー製品は、少なくとも9個のアミノ酸を含み得る。適切には、本ダイエタリー製品は、少なくとも10個、または少なくとも11個、または少なくとも12個、または少なくとも13個、または少なくとも14個、または少なくとも15個、または少なくとも16個、または少なくとも17個、または少なくとも18個のアミノ酸を含み得る。適切には、本ダイエタリー製品は、例えば、9〜18個のアミノ酸、または12−18個のアミノ酸、または12−17個のアミノ酸、または13−17個のアミノ酸、または14−17個のアミノ酸を含み得る。
適切には、少なくとも2つの実質的に欠如するアミノ酸には、以下のアミノ酸:グリシン、セリン、システイン、チロシン、プロリン、およびアルギニンのうち2つ以上が含まれる(または、本質的にそのアミノ酸からなる、またはそのアミノ酸からなる)。あるいは、本ダイエタリー製品は、以下のアミノ酸:グリシン、セリン、システイン、チロシン、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、およびアスパラギンの、少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個を欠き得る。適切には、本ダイエタリー製品は、7個のアミノ酸を欠き得、この場合、該第ダイエタリー製品は、セリンと、グリシンと、以下のアミノ酸:システイン、チロシン、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、およびアスパラギンのうち5個を欠く。適切には、本ダイエタリー製品は、システインを実質的に欠くか、または制限レベルのシステインを含み得る。
本文脈では、「本質的にそれから成る」により、本ダイエタリー製品が、本発明のダイエタリー製品に重大な影響を与えるアミノ酸をさらに欠くことはできないことを意味する。「重大な影響」は、以下の:a)健常な細胞とは対照的な、がん特異性への有意な影響;b)細胞増殖の抑制に対する有意な影響;c)がん細胞の毒性に対する有意な影響;またはd)a)−c)の任意の組み合わせの1つとして測定することが可能な、有意な治療効果が意味される。一部の態様では、これは、特定のアミノ酸を有するダイエタリー製品と、特定のアミノ酸を有さないダイエタリー製品を比べ、アミノ酸の欠如が重大な影響を有するか否かを判断することにより測定することができる。
1.in vitroでの細胞増殖に対するアミノ酸欠乏の影響を測定する方法:
細胞を、多数複製24ウェル細胞培養プレートの完全培地に、1ウェルにつき1x10^4〜1x10^5の密度で播種し、一晩付着させた。一晩後、付着細胞は5−20%コンフルエントであるはずである。細胞をPBSで一度洗浄し、全アミノ酸を含有する対照培地を含む、特定のアミノ酸/アミノ酸(複数)を含有するまたは欠くように特異的に配合した種々の細胞培養培地を与える。培地は、24時間ごとに新鮮なマッチング培地と交換する。最初の培地交換後、多数の時点で(例えば、1日目、2日目、3日目、4日目、および5日目に)、プレートを細胞カウントのために使用する。各条件につき少なくとも3つのウェル(つまり、三重)を使用し、平均を計算すべきである。細胞は、Casy TT細胞カウンターを使用して、または、細胞を固定し、DAPIで染色し、Operettaスキャナでカウントすることにより、カウントする。異なるアミノ酸条件下および異なる時点での細胞数を比較する。培地のアミノ酸組成物の変化を原因とする有意な影響とは、対照培地と比較して、細胞数が5%超変化することであると考える。これは、少なくとも3つの独立実験を適切なT検定により比較した場合に、統計的に優位である(P<0.05が有意な影響に該当する)。
2.マウスの異種移植/同種移植/同所性モデルを使用した、がん細胞の増殖/in vivoでの腫瘍増殖および生存期間に対する、食餌のアミノ酸組成の影響を測定する方法
ヌードマウスの側腹部の皮下に移植した場合に腫瘍を形成する適切ながん細胞株を選択すべきである(例えば、HCT116)、腫瘍を形成する適切な細胞数(例えば、3x10^6)を、マウス側腹部に皮下注射する。両側腹部または単一側腹部に注射したマウスを、一群につき少なくとも10匹使用すべきである。マウスに注射したのと同日に、マウスを、通常の固形飼料から、特定のアミノ酸/アミノ酸(複数)を欠くように特異的に配合された実験食に移行させるべきである。全アミノ酸を含有する食餌を与える対照群も含めるべきである。腫瘍の長さおよび幅を、死亡まで少なくとも1週間に2回測定し、これを使用して腫瘍体積を計算する。(現地倫理に許可された)所定の最大腫瘍体積に達する臨床エンドポイントまでマウスを生存させてから、間引くべきである。最初のマウスが死亡する前に/最初のマウスを間引く前に、各測定時点での平均腫瘍体積を比較すべきである。腫瘍体積に対する有意な影響を、適切なT検定により評価する。P<0.05が有意な影響に該当する。生存期間の有意な変化を、Mantel−Cox(ログランク)統計テストを使用して計算する。P<0.05が有意な影響に該当する。
あるいは、マウスに移植細胞を注入後、通常の固形飼料を続け、いったん測定可能な腫瘍が検出されたらはじめて実験食を割り当てる場合でも、上記アッセイを実行することが可能である。この場合、腫瘍体積は、絶対体積か、または、食餌変更時の開始腫瘍体積のパーセンテージとして比較することが可能である。
あるいは、同種移植片モデルまたは同所性モデルを、上記と同じように使用することが可能である。
3.遺伝子改変マウスモデル(GEMM)を使用して、がん細胞増殖/in vivoでの腫瘍増殖および生存期間に対する食餌のアミノ酸組成の影響を測定する方法
適切なGEMMを選択すべきであり(例えば、APCmin/+またはEμ−myc);マウスには食餌変更まで通常の固形飼料を与えるべきである。食餌変更時の年齢は高齢期(発がんイニシエーションが起きたら直ちに)、ただし、臨床エンドポイントを原因とする死(腫瘍関連生存期間)が起きる前とすべきである。例えば、APCmin/+マウスでは80日齢、Eμ−mycマウスでは60日齢である。特定の日齢のマウスを、通常の固形飼料から、特定のアミノ酸/アミノ酸(複数)を欠くように特異的に配合した実験食に移行させるべきである。全アミノ酸を含有する食餌を与える対照群も含めるべきである。可能であれば、腫瘍増殖を測定し(例えば、腫瘍測定により、または、例えば、腫瘍内の蛍光タンパク質マーカーからの蛍光シグナルなどのバイオマーカー解析により)、マウスを臨床エンドポイントに到達させるべきである(腫瘍関連生存期間)。この時点での腫瘍量も評価すべきである(例えば、カウント/秤量/腫瘍測定により)。最初のマウスが死亡する/間引く前の各測定時点での平均腫瘍体積を比較すべきである。腫瘍体積に対する有意な影響を適切なT検定により評価する。P<0.05が有意な影響に該当する。生存期間の有意な変化を、Mantel−Cox(ログ・ランク)統計テストを使用して計算する。P<0.05が有意な影響に該当する。エンドポイント腫瘍量について、腫瘍量に対する有意な影響を適切なT検定により評価する。P<0.05が有意な影響に該当する。
あるいは、食餌を若齢期、例えば、10日齢/20日齢/40日齢に変更することも可能であり、上記(3)に記載したのと同じ結果を測定し、比較する。
適切には、本ダイエタリー製品は、実質的に、セリンを欠き得る。がん細胞は、多量の外来性セリンを即時に利用して、急速な増殖を支えることができる。セリンが枯渇した場合、がん細胞は、セリン合成経路を通じて解糖中間体を振り向けることを余儀なくされる。有利なことに、これは増殖の低減および/または細胞生存期間の減少をもたらし得る。
適切には、本ダイエタリー製品は、実質的に、グリシンを欠き得る。これは、セリンがグリシンの合成に利用されることから、グリシンとセリンの両方の血中レベルを低下させ得る。有利なことに、本発明は、セリンとグリシンの両方を実質的に欠く食餌が、特に有効であり得ることを示した。
適切には、本ダイエタリー製品は、実質的に、システインを欠き得る。本発明は、驚くべきことに、多数のがん細胞株(例えば、肺、大腸、および乳房)が外来性システインを貪欲に消費することを示した。驚くべきことに、システインを実質的に欠く食餌は、細胞増殖を抑制し、例えば大腸細胞株において示されるように、がん細胞死を引き起こし得る。適切には、システインを実質的に欠くか、または、システインレベルを制限したダイエタリー製品が、特に、MTAPの発現が下方制御されている対象にとって有効であり得る。
適切には、本ダイエタリー製品は、実質的に、チロシンを欠き得る。本発明は、驚くべきことに、チロシンの制限は、単独で、または他の非必須アミノ酸と組み合わせて、がん細胞増殖を低下し得ることを発見した。
適切には、本ダイエタリー製品は、実質的に:
a.グリシン、セリン、およびシステイン;
b.グリシン、セリン、およびアルギニン;
c.グリシン、セリン、およびチロシン;
d.グリシン、セリン、アルギニン、およびシステイン;
e.グリシン、セリン、チロシン、およびシステイン;
f.システインおよびアルギニン;
g.システインおよびチロシン;
h.システインおよびグリシン;
i.システイン、チロシン、およびアルギニン;または
j.グリシン、セリン、アルギニン、チロシン、およびシステインを欠く。
有利なことに、本発明は、驚くべきことに、このような組み合わせが、細胞増殖の抑制および/またはがん細胞死の誘発に特に有効であることを示した。
一態様では、本ダイエタリー製品は、実質的に、グリシン、セリン、およびシステインを欠く。本発明は、この組み合わせが、驚くべきことに、例えば、大腸がん(例えば、HCT116およびRKOなどにおいて)、肝がん(HepG2)、骨肉腫(U2OS)、および乳がん(MDA MB231)を含む多数のがん細胞株において、がん細胞増殖の抑制およびがん細胞死の増加に有効であることが示した。
一態様では、本ダイエタリー製品は、実質的に、グリシン、セリン、およびアルギニンを欠く。本発明は、この組み合わせが、驚くべきことに、大腸細胞株(例えば、RKOおよびHCT116など)において、がん細胞増殖の抑制および/またはがん細胞死の増加に有効であることを示した。
一態様では、本ダイエタリー製品は、実質的に、グリシン、セリン、およびチロシンを欠く。本発明は、この組み合わせが、驚くべきことに、大腸細胞株(例えば、RKOおよびHCT116など)において、がん細胞増殖の抑制および/またはがん細胞死の増加に有効であることを示した。
一態様では、本ダイエタリー製品は、実質的に、グリシン、セリン、アルギニン、およびシステインを欠く。驚くべきことに、この組み合わせが、大腸細胞株において細胞死を誘発するのに特に有効であることが示された。
一態様では、本ダイエタリー組成物は、実質的に、グリシン、セリン、アルギニン、チロシン、およびシステインを欠き得る。
適切には、全態様において、本ダイエタリー製品は、メチオニン、グルタミン、およびロイシンの任意の1つまたは任意の組み合わせを含み得る。有利なことには、ロイシンとグルタミンである。
本ダイエタリー製品は、さらに、25mg/対象の体重kg/日未満または20mg/kg/日未満または18mg/kg/日未満または16mg/kg/日未満のレベルでのメチオニンを含み得る。
本発明のダイエタリー製品は、本明細書で特に明記しない限り、一日平均総タンパク質消費量に基づき、必須アミノ酸の一日推奨摂取量を少なくとも提供するように配合することができる。
医学研究所による必須アミノ酸の一日推奨摂取量は、一日平均総タンパク質消費量に基づき、ヒスチジン18mg/タンパク質消費量g;イソロイシン25mg/タンパク質g;ロイシン55mg/タンパク質g、リシン51mg/タンパク質g、メチオニンとシステインを組み合わせて25mg/タンパク質g;フェニルアラニンとチロシンを組み合わせて47mg/タンパク質g、スレオニン27mg/タンパク質g、トリプトファン7mg/タンパク質g、およびバリン32mg/タンパク質gである。チロシンおよびシステインは、非必須アミノ酸である。本発明のダイエタリー製品が、実質的に、チロシンおよび/またはシステインを欠く場合、あるレベルのフェニルアラニンおよびメチオニンを提供するように配合されるダイエタリー製品は、一日平均タンパク質消費量に基づき、少なくとも25mg/タンパク質gの量のメチオニンおよび少なくとも47mg/タンパク質gの量のフェニルアラニンを提供するように配合されるように調節されよう。
適切には、システインを「制限し」たダイエタリー製品は、一日平均タンパク質消費量に基づきシステインの一日推奨摂取量未満を提供するように配合された、より少量を提供するものである。例えば、システインを制限したダイエタリー製品は、20mg/タンパク質g未満または15mg/タンパク質g未満または10mg/タンパク質g未満を提供するものであり得る。
適切には、本ダイエタリー製品は、タンパク質摂取量1グラム当たりの総非必須アミノ酸レベルを制限するように配合することができる。例えば、非必須アミノ酸の組み合わせ一日摂取量は、消費タンパク質1グラム当たりの総非必須アミノ酸の一日推奨摂取量と比較し、少なくとも1つまたは少なくとも2つまたは少なくとも3つまたは少なくとも4つまたは少なくとも5つまたは少なくとも6つまたは少なくとも7つの非必須アミノ酸を実質的に欠く食餌と同等とすることができる。
医学研究所は、タンパク質は、例えば、1日につき、成人の体重1キログラム当たり0.8グラムの割合で消費することを推奨している。本ダイエタリー製品は、製品の一日推奨消費量で、体重1kg当たり少なくとも0.8グラムのタンパク質を提供するように配合することができる。
適切には、本発明のダイエタリー製品は、上記の推奨レベルを提供するように配合することができる。例えば、1つまたは複数のアミノ酸を、一日平均総タンパク質消費量に基づき、一日平均摂取量の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、または6倍を提供するように、本ダイエタリー製品に配合することができる。
適切には、本発明のダイエタリー製品中に存在するアミノ酸は、遊離型、プロドラッグ型、塩、またはアミノ酸エステルのアミノ酸とすることができる。1つまたは複数のN末端修飾またはC末端修飾を有するアミノ酸、ならびに、ホモポリマー型、ホモダイマー型、ヘテロポリマー型、およびヘテロダイマー型も考えることができる。
適切には、ダイエタリー製品は、1日に1〜8回投与するように配合することができる。好適には、1日1〜4回である。したがって、本ダイエタリー製品は、適切な単位剤形に配合することができる。
本発明のダイエタリー製品は、さらに、1つまたは複数の主要栄養素および/または微量栄養素を含み得る。
主要栄養素についてのガイダンスおよび提案される一日推奨量は、Dietary Reference Intakes for Energy, Carbohydrate, Fiber, Fat, Fatty Acids, cholesterol, protein and amino acids released by the Institute of Medicine September 2002に見つけることができる。
ダイエタリー製品の追加成分とすることができる主要栄養素の非包括的リストには、炭水化物、繊維、および脂質(例えば、n−6多価不飽和脂肪酸、n−3多価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、およびコレステロールなど)が含まれる。
微量栄養素の非包括的リストには、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、コリン、カルシウム、クロミウム、銅、フッ化物、ヨウ素、鉄、マグネシウム、モリブデン、リン、セレニウム、亜鉛、カリウム、ナトリウム、および塩化物が含まれる。適切には、本ダイエタリー製品は、刊行物"Dietary Reference Intakes: RDA and AI for Vitamins and Elements", NAS. IOM. Food and Nutrition Boardに詳述されているように、これらを許容可能なまたは一日推奨摂取量で提供するように配合することができる。
食餌は、概して2つ以上の非必須アミノ酸を欠いた形態の不均衡なアミノ酸を含有し、オプションとして、過剰な1つまたは複数の他のアミノ酸が補足される。例えば、実質的なアミノ酸の欠乏は、他のアミノ酸の平均存在量の少なくとも10分の1、15分の1、20分の1、30分の1、45分の1、50分の1、100分の1、または1000分の1とすることができる。タンパク質は少ないが他の栄養素は豊富な食物、例えば、果物、野菜、およびある種のナッツは、栄養士の勧めに従って、食餌のアミノ酸摂取比が意図した比率を保つことを確認しながら、消費することが可能である。この食餌は、単独でまたは抗がん作用を有するような薬物療法と組み合わせて消費することを意図する。
一部の実施形態では、本発明のダイエタリー製品を、合わさって本発明のダイエタリー製品を提供する、2つ以上の栄養補助食品にわたり配合する。これらの栄養補助食品は、該栄養補助食品により提供される組み合わせ平均食が本発明のダイエタリー製品を提供するように、前記対象に同時にまたは連続して投与することができる。これは、対象の食餌に多様性を加えるのに有利であり得る。
ダイエタリー製品は、粉末、ゲル、溶液、懸濁液、ペースト、固体、液体、原液、再構成可能な粉末、シェイク、濃縮物、ピル、バー、タブレット、カプセル、またはすぐに使用できる製品の形態で提供することができる。ダイエタリー製品は、また、サプリメントが、タブレット、ピル、カプセル、液体、エアロゾル、注射可能液、または他の医薬的に許容される製剤の形態である場合、医薬組成物とすることが可能であると考えられる。適切には、本ダイエタリー製品は、飲料とすることができる。適切には、本飲料は、1日に2〜6回投与することができる。
適切には、本ダイエタリー製品は、自然発生の食物とすることはできない。
適切には、本ダイエタリー製品は、特定のアミノ酸に対し追加の化合物を含み得る。適切には、そのような追加化合物は、実質的に欠如するアミノ酸の、de novo合成を助けることはできない。
本発明で使用する場合、アミノ酸に関連した「実質的に欠く」は、そのアミノ酸を完全に含まないまたは極めて少ない(例えば、微量)ことを意味する。
任意選択的に、投与は静脈内経路によるだろう。任意選択的に、非経口的投与が、急速投与でまたは注入により提供され得る。
適切には、本ダイエタリー製品は:
a)チューブ供給経腸栄養製品(例えば、NGチューブを介して投与され得る経鼻胃栄養製品;NJチューブを介して投与され得る経鼻空腸栄養製品;または、PEG(胃瘻)チューブ栄養製品など);
b)(中心動脈投与により、例えば、静脈カテーテルの専用管腔を介して投与され得る)非経口的栄養製品;
c)IV注入製品とすることができる。
好適には、投与は、チューブ供給経腸栄養法によるとすることができる。
ある実施形態では、本発明の食餌またはダイエタリー製品を、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、または治療的エンドポイントが観察されるまで、例えば、腫瘍収縮が観察されるまでの期間にわたり投与する。
本発明は、さらに、アミノ酸を水に溶解または分散させ、噴霧乾燥させる、本発明のダイエタリー製品の調製プロセスを提供する。
適切には、アミノ酸は主要栄養素および微量栄養素などの追加成分と混合することができる。ヒトまたは動物の消費に適切な結合剤、乳化剤、または他の成分を、所望により加えることができる。
医薬組成物
別の態様では、本発明は、本発明のダイエタリー製品または本発明に従って生成されたダイエタリー製品と、医薬的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤とを含む、医薬組成物を提供する。
適切な医薬製剤の選択および調製についての従来手順は、例えば、"Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs", M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
本発明の組成物は、(例えば、タブレット、トローチ剤、硬カプセル、軟カプセル、水性もしくは油性の懸濁液、乳剤、分散性の散剤もしくは顆粒剤、シロップ剤、またはエリキシル剤として)経口使用に適した形態であり得る。
本発明の組成物は、当技術分野で周知である従来の医薬賦形剤を使用して、従来の手順により得ることができる。したがって、経口使用を意図した組成物は、例えば、1つまたは複数の着色剤、甘味料、着香料、および/または防腐剤を含有し得る。
適切には、医薬組成物は、治療的に有効な量の本発明のダイエタリー製品を提供するように配合される。
病気の治療に使用するための有効量とは、恒温動物、とくにヒトの病気の症状を対症的に和らげるか、または、病気の進行を遅くするのに十分な量である。
用語「治療的に有効な量」は、投与された場合に、処置する病気、障害、または疾患の1つまたは複数の症状の発症を防ぐか、または、ある程度軽減するのに十分な、化合物または組成物の量を包含する。用語「治療的に有効な量」は、また、研究者、医師、または臨床医により求められている、細胞、組織、臓器、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発するのに十分な、化合物または組成物の量も包含する。任意の個々のケースにおける適切な「有効」量は、慣例となっている実験を使用して、当業者が決定することができる。任意の特定の患者に対する具体的な投与量レベルおよび投与頻度は変化し得、それは、利用する具体的化合物の活性;バイオアベイラビリティ;代謝安定性、該化合物の排出速度および作用の長さ;化合物の投与方法および投与時間;患者の年齢、体重、健康状態、性別および食餌;ならびに処置する特定の病気の重症度を含む、種々の因子に左右されるだろうことが理解されよう。
用語「処置する」、「処置すること」、および「処置」は、病気、障害、もしくは疾患、または、その病気、障害、もしくは疾患に関連する1つまたは複数の症状を緩和するかまたは抑止することを包含し、その病気、障害、または疾患自体の原因を緩和するまたは根絶することも包含する。ある実施形態では、用語「処置する」、「処置すること」、および「処置」は、病気、障害、もしくは疾患、またはそれに関連する症状、またはその原因を緩和し、抑止し、または防ぐことを目的に、対象に、化合物、医薬組成物または医薬的剤形を投与することを指す。
適切には、本発明の医薬組成物は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、化学療法薬、アミノ酸代謝/ターンオーバー/相互変換の阻害剤、非必須アミノ酸生合成阻害剤、アミノ酸輸送阻害剤、アミノ酸分解を促進する酵素もしくは薬物、または、アミノ酸を隔離する物質から選択される治療薬を含み得る。治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または抗酸化防御を低下させ得る。
がんおよび増殖性障害
一態様では、本発明は、薬物で使用するための、本発明のもしくは本発明のプロセスに従って生成したダイエタリー製品か、または、本発明の医薬組成物を提供する。
例えば、本発明は、がんの処置で使用するための、本発明のもしくは本発明のプロセスに従って生成したダイエタリー製品か、または、本発明の医薬組成物を提供する。
別の態様において、本発明は、がんの処置で使用する薬物の製造において、本発明もしくは本発明に従って生成したダイエタリー製品か、または、本発明の医薬組成物を使用することを提供する。
さらなる態様において、本発明は、治療的に有効な量のダイエタリー製品を対象に投与するステップを含む、対象のがんを処置する方法を提供する。
全態様で、例示的ながんとしては、限定するわけではないが、副腎皮質がん、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、肛門直腸がん、肛門管がん、虫垂がん、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫、基底細胞がん、皮膚がん(非黒色腫)、胆道がん、肝外胆管がん、肝内胆管がん、膀胱がん、膀胱がん、骨と関節のがん、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳がん、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、神経膠腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚伝導路および視床下部神経膠腫、乳がん、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、消化器系、神経系のがん、神経系リンパ腫、中枢神経系がん、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、小児がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、大腸がん、皮膚T−細胞リンパ腫、リンパ様新生物、菌状息肉腫、セザリー症候群、子宮内膜がん、食道がん、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢膀胱がん、胃がん、消化器系カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍神経膠腫、頭部および頸部がん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、眼球がん、島細胞腫瘍(膵臓内分泌部)、カポジ肉腫、腎がん、腎がん、腎がん、喉頭部がん、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、毛様細胞白血病、唇および口腔がん、肝がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、髄芽腫、黒色腫、眼球内(眼)黒色腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平上皮性頸部がん、口がん、舌がん、多発性内分泌腺腹、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性障害、鼻咽頭がん、ニューロブラストーマ、口内がん、口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣低悪性腫瘍、膵臓がん、島細胞膵臓がん、副鼻腔および鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、前立腺がん、直腸がん、腎盂および尿管、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟組織腫瘍、子宮がん、子宮肉腫、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、メルケル細胞皮膚がん、小腸がん、軟組織腫瘍、扁平上皮細胞がん、胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、睾丸がん、咽喉がん、胸腺腫、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、腎盂および尿管および他の泌尿器の移行上皮がん細胞がん、妊娠性絨毛性腫瘍、尿道がん、子宮内膜子宮がん、子宮肉腫、子宮体がん、膣がん、外陰部がん、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。一部の実施形態では、がんは、大腸がん、肝がん、骨肉腫、リンパ腫、および乳がん、およびリンパ腫からなる群から選択される。
がんは、野生型KRASについてポジティブであり得る。
がんは、cMycの発現の調節が解除されている場合がある。
がんは、MTAPの発現の調節を解除した腫瘍であり得る。腫瘍は、固形腫瘍または血液系悪性腫瘍であり得る。
例示的な固形腫瘍としては、限定するわけではないが、悪性中皮腫、肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、腺癌、扁平上皮がん、神経膠腫、膵臓腫瘍、膵臓がん、乳頭部がん、胆道がん、胆管がん、軟組織肉腫、食道がん、子宮内膜がん、軟骨肉腫、骨肉腫、消化管間質腫瘍および脊索腫、原発性悪性黒色腫、転移性黒色腫、ならびに原発性乳がんが挙げられる。
例示的な血液系悪性腫瘍としては、限定するわけではないが、びまん性大細胞型リンパ腫、低悪性度リンパ腫、B系列急性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、T細胞急性白血病、成人T細胞性白血病、T細胞由来リンパ腫が挙げられる。リンパ腫は、任意選択的にがん化する場合がある。
適切には、本発明のダイエタリー製品は、異常なまたはそうでなければ不所望の細胞増殖が衰弱性障害を引き起こし得る疾患または障害を処置するのに有用であり得る。
本ダイエタリー製品は、実質的にシステインを欠き得る。適切には、システインを実質的に欠く食餌は、肺がん、大腸がん、および乳がんなどの外来性システインを貪欲に消費するがんにおいて、有用であり得る。適切には、システインを実質的に欠く食餌は、MTAPの発現が下方制御されたがんにおいて有用であり得る。
本ダイエタリー製品は、実質的に、セリンおよび/またはグリシンを欠き得る。適切には、セリンおよび;/またはグリシンを実質的に欠く食餌は、肺がん、大腸がん、乳がん、リンパ腫、大腸がん、肝がん、骨肉腫、および乳がんなどの、外来性セリンおよび/またはグリシンを貪欲に消費するがんにおいて、有用であり得る。
本ダイエタリー製品は、実質的に、アルギニンおよび/またはチロシンを欠き得る。適切には、アルギニンを実質的に欠く食餌は、大腸がんなどのがんにおいて有用であり得る。
組み合わせ療法
本発明のダイエタリー製品または医薬組成物は、単独で使用して治療効果を提供することができる。適切には、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物は、また、1つまたは複数の追加の化学療法薬および/もしくは放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
このような化学療法は、以下のカテゴリーの抗がん剤を1つまたは複数含み得る:
(i)アルキル化剤などの抗増殖/抗腫瘍薬およびそれらの組み合わせ(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、クロルメチン、ブスルファン、テモゾロミド、ニトロソウレア、イホスファミド、メルファラン、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ロムスチン、ストロプトゾシンおよびダカルバジン);代謝拮抗薬(例えば、ゲムシタビンおよび抗葉酸剤、例えば、5−フルオロウラシルやテガフールなどのフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、ペメトレキセド、シトシンアラビノシド、フロクスリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビン、およびヒドロキシウレア);抗生物質(例えば、アドリアマイシンなどのアントラサイクリン系薬剤、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン(登録商標)、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、および、ミスラマイシン);抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンやビノレルビンのようなビンカアルカロイドおよびタキソールやタキソテールのようなタキソイドおよびポロキナーゼ阻害剤);プロテアソーム阻害剤、例えば、カルフィルゾミブおよびボルテゾミブ;インターフェロン療法;およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドやテニポシドなどのエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン、および、カンプトテシン);ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ara−C、パクリタキセル(タキソール(商標))、nabpaclitaxel、ドセタキセル、ミスラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN−α)、エトポシド、テニポシド、DNA脱メチル化剤(例えば、アザシチジンまたはデシタビン);ならびにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例えば、ボリノスタット、MS−275、パノビノスタット、ロミデプシン、バルプロ酸、モセチノスタット(MGCD0103)およびプラシノスタットSB939);
(ii)抗エストロゲン剤などの細胞分裂阻害剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、および、酢酸シプロテロン)、LHRH拮抗剤またはLHRH作用薬(例えば、ゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、黄体ホルモン剤(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタンとして)、および、フィナステリドなどの5*−レダクターゼ阻害剤;ならびにナベルベン、CPT−II、アナストロゾール、レトロゾール、カペシタビン、レロキサファム、シクロホスファミド、イホスファミド、および、ドロロキサフィン;
(iii)抗浸潤剤、例えば、ダサチニブおよびボスチニブ(SKI−606)、ならびに、メタロプロテアーゼ阻害剤、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤、または、ヘパラナーゼ抗体;
(iv)成長因子機能阻害剤:例えば、このような阻害剤として、増殖因子抗体および増殖因子受容体抗体、例えば、抗erbB2抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン(商標))、抗EGFR抗体であるパニツムマブ、抗erbB1抗体であるセツキシマブ、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮増殖因子ファミリー阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)−キナゾリン−4−アミン(CI1033)、アファチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブ、およびロシレチニブなどのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤)ラパチニブのなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤)、およびCTLA−4、4−IBBおよびPD−1などの共刺激分子に対する抗体、または、サイトカイン(IL−10、TGF−β)に対する抗体;肝細胞増殖因子ファミリー阻害剤;インスリン増殖因子ファミリー阻害剤;細胞アポトーシスタンパク質レギュレーターのモジュレーター(例えば、Bcl−2阻害剤);イマチニブおよび/またはニロチニブ(AMN107)などの血小板由来増殖因子ファミリー阻害剤;セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤(例えば、ファルネシル転移酵素阻害剤などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤、ソラフェニブ、ティピファニブおよびロナファーニブ)、MEKおよび/またはAKTキナーゼによる細胞シグナル伝達の阻害剤、c−kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、Plt3キナーゼ阻害剤、CSF−1Rキナーゼ阻害剤、IGF受容体、キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤、および、CDK2および/またはCDK4阻害剤などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤;CCR2、CCR4またはCCR6アンタゴニスト;ならびに、国際公開第2006043090号、同第2009077766号、同第2011092469、または同第2015075483号に記載されているようなRAFキナーゼ阻害剤。
(v)血管内皮増殖因子の機能を阻害する薬剤などの血管新生抑制剤[例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(アバスチン(商標))];サリドマイド;レナリドマイド;ならびに、例えば、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バンデタニブ、バタラニブ、スニチニブ、アキシチニブ、および、パゾパニブ;
(vi)例えば、異常p53または異常BRCA1またはBRCA2などの異常遺伝子を交換するアプローチを含む、遺伝子療法;
(vii)例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン(登録商標))およびオファツムマブなどの抗体療法を含む免疫療法;インターフェロンαなどのインターフェロン、IL−2(アルデスロイキン)などのインターロイキン;インターロイキン阻害剤、例えばIRAK4阻害剤;HPVワクチン、例えば、ガーダシル、サーバリックス、オンコファージおよびシプロイセルT(プロベンジ(登録商標))などの予防ワクチンおよび治療ワクチンを含む癌ワクチン;gp100;樹状細胞ベースのワクチン(例えば、Ad.p53DCなど);toll様受容体モジュレーター、例えばTLR−7またはTLR−9アゴニスト;PD−1、PD−L1、PD−L2およびCTL4−Aモジュレーター(例えば、ニボルマブ)、抗体、およびワクチン;他のIDO阻害剤(例えば、インドキシモドなど);抗PD−1モノクローナル抗体(例えば、MK−3475およびニボルマブなど);抗PDL1モノクローナル抗体(例えば、MEDI−4736およびRG−7446など);抗PDL2モノクローナル抗体;ならびに抗CTLA−4抗体(例えば、イピリムマブなど);そして
(viii)細胞障害性剤、例えば、フルダラビン(フルダラ)、クラドリビン、ペントスタチン(ニペント(商標));
(ix)標的療法、例えば、PI3K阻害剤、例えばイデラリシブおよびペリホシン;アポトーシス阻害因子(IAP)アンタゴニスト(IAPアンタゴニスト)としても知られるSMAC(第2ミトコンドリア由来カスパーゼアクチベーター)類似体。これらの薬剤は、IAP、例えば、XIAP、cIAP1、およびcIAP2を抑制することにより細胞アポトーシス経路を再構築するように作用する。特定のSMAC類似体には、Birinapant(TLR32711、TetraLogic Pharmaceuticals)、LCL161(Novartis)、AEG40730(Aegera Therapeutics)、SM−164(ミシガン大学)、LBW242(Novartis)、ML101(Sanford-Burnham Medical Research Institute)、AT−406(Ascenta Therapeutics/ミシガン大学)、GDC−0917(Genentech)、AEG35156(Aegera Therapeutic)、およびHGS1029(HUMAN Genome Sciences);ならびに、ユビキチンプロテアソーム系(UPS)を標的にする薬剤、例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、マリゾミブ(NPI−0052)、およびMLN9708が含まれる;そして
(xii)キメラ抗原受容体、抗がんワクチン、およびアルギナーゼ阻害剤。
適切には、本発明の組成物は、アミノ酸を欠乏させる1つまたは複数の治療用酵素と組み合わせて使用することができる。このような治療用酵素は、本発明の組成物と相関し得る。例えば、アルギニンを実質的に欠く組成物に対しては、アルギナーゼなどの治療用酵素を使用することができる。
さらに、またはあるいは、本発明の組成物は、アミノ酸のde novo合成の阻害に関与する1つまたは複数の化合物と組み合わせて使用することができる。このような化合物は、本発明の組成物と相関し得る。例えば、セリンを実質的に欠く組成物では、セリンのde novo合成を阻害する化合物、例えばPHGDH阻害剤、PSAT1阻害剤、およびPSPH阻害剤などを使用することができる。
本方法で使用する治療薬は、単剤または薬剤の組み合わせとすることが可能である。好適な組み合わせには、異なる作用機序を有する薬剤が含まれるだろう。
つまり、用語「組み合わせ」を使用する場合、これは、同時の、別個の、または連続の投与を指すことを理解されたい。本発明の一態様では、「組み合わせ」は、同時投与を指す。本発明の別の態様では、「組み合わせ」は、別個の投与を指す。本発明のさらなる態様では、「組み合わせ」は、連続投与を指す。投与が連続または別個である場合、第2成分を投与する際の遅れは、その組み合わせの薬効を失うものであってはならない。
用語「〜と組み合わせて投与される」および文法上の同等物等は、本明細書で使用する場合、単一患者に選択した治療薬の投与を包含することを意味し、薬剤を同じもしくは異なる投与経路により、または、同じもしくは異なる時刻に投与する処置レジメンを含むことを意図する。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、他の薬剤と共投与されよう。これらの用語は、2つ以上の薬剤を動物に投与し、その結果、両薬剤および/またはその代謝物が、同時にその動物内に存在することを包含する。これらの用語には、別個の組成物での同時投与、別個の組成物での異なる時間での投与、および/または、両薬剤が存在する組成物での投与が含まれる。
本明細書に開示する薬剤は、皮内、皮下、経口、動脈内、または静脈内を含む、任意の経路により投与することができる。
組み合わせ処置を使用する一部の実施形態では、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物の量と、他の医薬的に活性な薬剤の量は、組み合わせた場合、患者の標的障害を処置するのに治療的に有効である。この文脈では、組み合わせ量は、該量が、組み合わせた場合に、障害の症状もしくは他の有害な影響を減少させるもしくは完全に緩和する;障害を治癒させる;障害の進行を反転させる、完全に停止させる、もしくは遅くする;または、障害が悪化するリスクを低減させるのに十分である場合、「治療的に有効な量」である。典型的には、このような量は当業者により、例えば、本発明の化合物について本明細書で記載した投薬量範囲と、他の医薬的に活性な化合物の承認されたまたはそうでなければ掲載された投薬量範囲で開始して、求めることができる。
本発明のさらなる態様に従い、がんの共同処置で使用するための、上記で定義した本発明のダイエタリー製品または医薬組成物および上記で定義した追加の抗がん剤を提供する。
本発明のさらなる態様に従い、治療的に有効な量の本発明のダイエタリー製品または医薬組成物を、上記で定義した追加の抗がん剤と同時に、連続して、または別個に対象に投与するステップを含む、がんに罹患したヒトまたは動物対象の処置方法を提供する。
本発明のさらなる態様に従い、がんの処置において、上記で定義した追加の抗がん剤と同時に、連続して、または別個に使用する、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物を提供する。
本発明のダイエタリー製品または医薬組成物は、また、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。適切な放射線療法処置としては、例えば、X線療法、陽子線療法、または電子ビーム療法が挙げられる。放射線療法には、また、放射性核種剤、例えば131I、32P、90Y、89Sr、153Sm、または223Raの使用が包含され得る。このような放射性核種療法は周知であり、商業的に利用可能である。
本発明のさらなる態様に従い、放射線療法と共同でがん処置に使用するための、本発明のダイエタリー製品もしくは医薬組成物、または上記で定義したその医薬的に許容される塩を提供する。
本発明のさらなる態様に従い、放射線療法と同時に、連続して、または別個に、治療的に有効な量の本発明のダイエタリー製品もしくは医薬組成物、または、その医薬的に許容される塩を対象に投与するステップを含む、がんに罹患したヒトまたは動物対象の処置法を提供する。
適切には、本発明は、驚くべきことに、少なくとも1つの化学療法薬または放射線療法と組み合わせた、少なくとも1つのアミノ酸を実質的に欠く食餌の組み合わせは、単なる相加を超え得ることを発見した。
適切には、一部の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの化学療法薬または放射線療法と組み合わせた、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物の相乗的組み合わせを提供し得る。
一実施形態では、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物を、HDAC阻害剤、MTOR阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、およびプロテアソーム阻害剤からなる群から選択される1つまたは複数の種類の化学療法薬と組み合わせることができる。
HDAC阻害剤
適切には、化学療法薬は、1つまたは複数のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤とすることができる。HDACの阻害剤は転写を調節し、細胞増殖の抑止、分化、およびアポトーシスを誘発する。HDAC阻害剤(HDACI)は、また、放射性薬および化学療法薬を含む、がんの処置で使用される治療薬の細胞毒性効果を高める。
用語「HDAC」は、タンパク質からアセチル基を、例えば、ヒストンのN末端のリシン残基のε−アミノ基を除去する酵素ファミリーを指す。HDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、およびHDAC11を含むヒトHDACとすることが可能である。HDACは、また、原生動物供給源または真菌供給源にも由来し得る。
HDAC阻害剤(HDACI)は、典型的には、アセチルリシンの構造に類似した3つの構造エレメントを含有する。これら3つの構造エレメントは、活性部位において亜鉛のキレート化を担う亜鉛結合基(M)と、活性部位を外側の酵素表面に結合させる疎水性チャネルに結合するリンカー領域(L)と、外側の酵素表面で残基と相互作用するキャッピング基(Cap)である。
HDAC阻害剤の例としては:SAHA、ロミデプシン、バルプロ酸、PCI−24781、ITF−2357、MS275、パノビノスタット、ベリノスタット、ボリノスタット、MGCD0103、およびEVP−0334が挙げられる。
本発明は、驚くべきことに、ロミデプシンおよびボリノスタットなどのHDAC阻害剤が、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物と相乗して機能し得ることを発見した。
適切には、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物は、HDAC阻害剤が処置に有用である任意の適応症に対し、HDAC阻害剤と組み合わせて使用することができる。HDAC阻害剤は承認されているか、または、臨床治験が少なくとも以下の:例えば、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、腎がん、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病、黒色腫、非小細胞肺がん、固形腫瘍、前立腺がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および中皮腫において進行中である。好適には、HDAC阻害剤はロミデプシンおよび/またはボリノスタットである。
mTOR阻害剤
適切には、化学療法薬は、1つまたは複数の哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤とすることができる。句「mTOR阻害剤」には、本明細書で使用する場合、限定するわけではないが、mTORキナーゼファミリーのメンバーの活性を標的にする/阻害する化合物、タンパク質、または抗体が含まれる。mTOR活性の阻害剤としては、例えば、以下の式のラパマイシン:
および、例えば、
40−O−置換ラパマイシン誘導体、例えば
40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、例えば40−O−ヒドロキシアルキル−ラパマイシン誘導体など、例えば、40−O−(2−ヒドロキシ)−エチル−ラパマイシン(エベロリムス)など、
32−デオキソ−ラパマイシン誘導体および32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、例えば、32−デオキソラパマイシンなど、
16−O−置換ラパマイシン誘導体、例えば16−pent−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−pent−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−pent−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンなど、
位置40において酸素基がアシル化されたラパマイシン誘導体、例えば、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(CCl779としても知られる)、位置40においてヘテロシクリルで置換されたラパマイシン誘導体、例えば、40−epi−(テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT578としても知られる)、
例えば、国際公開第9802441号または第0114387号に開示されるようないわゆるラパログ、例えば、40−O−ホスホ含有ラパマイシン誘導体など、例えば、AP23573を含む40−O−ジメチルホスフィニル−ラパマイシン、ならびに、
40−O−アルコキシ−アルキル−ラパマイシン誘導体、例えば、40−O−(2−エトキシ)−エチル−ラパマイシン(エベロリムス)を含む、バイオリムス(biolimus A9)の名で開示される化合物、およびTAFA−93、AP23464、AP23675、またはAP23841の名で開示される化合物などが挙げられる。
本発明は、驚くべきことに、テムシロリムスおよびエベロリムスなどのmTOR阻害剤が、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物と相乗して機能し得ることを発見した。
適切には、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物は、mTOR阻害剤が処置に有用である任意の適応症に対し、mTOR阻害剤と組み合わせて使用することができる。mTOR阻害剤は承認されているか、または、臨床治験が、少なくとも以下の:例えば、リンパ性白血病、大腸がんおよび乳がん、悪性黒色腫および上衣芽腫;米国皮膚がん、中枢神経系腫瘍;腎細胞がん、マントル細胞リンパ腫、乳房および膵内分泌において進行中である。好適には、mTOR阻害剤は、テムシロリムスおよび/またはエベロリムスである。
チロシンキナーゼ阻害剤
適切には、化学療法薬は、1つまたは複数のチロシンキナーゼ阻害剤とすることができる。チロシンキナーゼは、細胞シグナル伝達において機能する。細胞の増殖、分化、移入、代謝、およびプログラム死は、チロシンキナーゼが介在する細胞応答の例である。種々のチロシンキナーゼ阻害剤は、がんの処置に有用であることが知られており、一実施形態では、任意の既知のチロシンキナーゼ阻害剤を使用することができる。このような阻害剤には、商業的に利用可能な阻害剤および開発中の阻害剤が含まれ得る。
小分子阻害剤、例えば、クルクミン、二フッ素化クルクミン(DCF)、[3−{5−[4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル]−2−[(3−ヒドロキシ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)メトキシ]フェニル}プロピオン酸](T5224,Roche)、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、ジヒドログアイヤレチン酸(DHGA)、[(E,E,Z,E)−3−メチル−7−(4−メチルフェニル)−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸(SR1 1302,Tocris Biosciences)、(EJ−2−ベンジリデン−3−(シクロヘキシルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン(BCI)、TPI−2、TPI−3、トリプトリド、ラパチニブ、エルロチニブ、スニチニブ、およびベムラフェニブ(PLX4032)が包含される。一実施形態では、組成物で使用するc−Fos阻害剤は、クルクミン、二フッ素化クルクミン(DFC)、[3−{5−[4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル]−2−[(3−ヒドロキシ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)メトキシ]フェニル}プロピオン酸](T5224,Roche)、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、ジヒドログアイヤレチン酸(DHGA)、および[(E,E,Z,E)−3−メチル−7−(4−メチルフェニル)−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸(SR1 1302,Tocris Biosciences)である。一実施形態では、Dusp−1阻害剤は、NSC 1501 17としても知られる(EJ−2−ベンジリデン−3−(シクロヘキシルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン(BCI)、TPI−2、TPI−3、およびトリプトリドである。一実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、ラパチニブ、エルロチニブ、スニチニブ、およびベムラフェニブである。
本発明に従って化学療法薬として使用することができるチロシンキナーゼ阻害剤のさらなる例としては:アファチニブ(Giotrif(登録商標))、アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、ボスチニブ(Bosulif(登録商標))、クリゾチニブ(Xalkori(登録商標))、ダサチニブ(Sprycel(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、イマチイブ(Glivec(登録商標))、ラパチニブ(Tyverb(登録商標))、ニロチニブ(Tasigna(登録商標))、パゾパニブ(Votrient(登録商標))、レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標))、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、およびスニチニブ(Sutent(登録商標))が挙げられる。
本発明は、驚くべきことに、ダサチニブおよびレゴラフェニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤が、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物と相乗して機能し得ることを発見した。
適切には、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物は、チロシンキナーゼ阻害剤が処置に有用である任意の適応症に対し、チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができる。チロシン阻害剤は承認されているか、または、臨床治験が少なくとも以下の:例えば、非小細胞肺がん、腎がん、軟組織肉腫、甲状腺がん、慢性骨髄性白血病(CML)、肺がん、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、消化管間質腫瘍(GIST)、肉腫、慢性好酸球性白血病、腸がん、肝がん、および膵臓がんにおいて進行中である。好適には、チロシンキナーゼ阻害剤は、ダサチニブおよび/またはレゴラフェニブである。
適切には、ダサチニブおよび/またはレゴラフェニブを使用した場合に処置されるがんは、大腸がん、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、腸がん、またはGISTである。
プロテアソーム阻害剤
適切には、化学療法薬は、1つまたは複数のプロテアソーム阻害剤とすることができる。プロテアソーム阻害剤は、ユビキチンプロテアソームシステム(UPS)の阻害剤を指す。UPSは、非リソソームタンパク質分解経路である。ユビキチンのタンパク質表面に対する結合は、ユビキチンが、E1結合酵素によって活性化されるマルチステッププロセスであり、ユビキチンコンジュガーゼ(E2)およびE3ユビキチンリガーゼにより仲介されて伝達される。このような阻害剤には、商業的に利用可能な阻害剤および開発中の阻害剤が含まれる。
例としては:ボルテゾミブ(Velcade(登録商標)およびその類似体(例えば、ボロン酸誘導体、ベンジルマロン系誘導体、アミノ酸系誘導体、およびボロン酸エステル)、サリノスポラミドA(NPI−0052)、PR−171、E1−結合酵素阻害剤、POSH阻害剤、MDM2−p53阻害剤、および脱ユビキチン化酵素阻害剤が挙げられる。
本発明は、驚くべきことに、カルフィルゾミブなどのプロテアソーム阻害剤が、本発明のダイエタリー製品または医薬組成と相乗して機能し得ることを発見した。
適切には、本発明のダイエタリー製品または医薬組成は、プロテアソーム阻害剤が処置に有用である任意の適応症に対し、プロテアソーム阻害剤と組み合わせて使用することができる。開示のプロテアソーム阻害剤で処置することが可能な固形腫瘍の非限定的例としては、膵臓がん;膀胱がん;大腸がん;転移性乳がんを含む乳がん;アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性の前立腺がんを含む前立腺がん;例えば転移性腎細胞がんを含む腎がん;肝細胞がん;例えば非小細胞肺がん(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌(BAC)、および肺腺がんを含む肺がん;例えば、上皮性進行がんまたは原発性腹膜がんを含む卵巣がん;子宮頸がん;胃がん;食道がん;例えば、頭頸部の扁平上皮がんを含む頭頸部がん;黒色腫;転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌がん;例えば、神経膠腫、退形成乏突起膠腫、成人多形膠芽腫、および成人退形成性星細胞腫を含む脳腫瘍;骨がん:ならびに軟組織肉腫が挙げられる。
開示のプロテアソーム阻害剤で処置可能な血液系腫瘍の非限定的例としては、急性骨髄性白血病(AML);移行期CMLおよびCMLの急性転化期(CML−BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML);急性リンパ芽球性白血病(ALL);慢性リンパ球性白血病(CLL);ホジキン病(HD);濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、(芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)および移行期のRAEB(RAEB−T)を包含する骨髄異形成症候群(MDS);ならびに骨髄増殖性症候群が挙げられる。
好適には、プロテアソーム阻害剤は、カルフィルゾミブである。
適切には、カルフィルゾミブを使用した場合に処置されるがんは、多発性骨髄腫またはT細胞リンパ腫である。
EGFR阻害剤
適切には、化学療法薬は、1つまたは複数の上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤とすることができる。EGFR(ErbB−1またはHER−1としても知られる)阻害剤は、細胞外タンパク質リガンドのEGFファミリーのメンバーの細胞表面受容体阻害剤を指す。EGFRは、正常細胞の増殖、アポトーシス、および他の細胞機能の制御において重要な役割を果たす。EGFRの変異は、受容体の連続的なまたは異常な活性化を招き、未制御の細胞分裂を引き起こし得、これはいくつかの種類のがんの原因となり得る。
一態様では、用語「EGFR」は、HER2/c−neu(ErbB−2)、HER3(ErbB−3)、およびHER4(ErbB−4)、ならびにEGFR(ErbB−1)を指す。
本発明は、驚くべきことに、セツキシマブなどのEGFR阻害剤が、本発明のダイエタリー製品または医薬組成と相乗して機能し得ることを発見した。
適切には、本発明のダイエタリー製品または医薬組成は、EGFR阻害剤が処置に有用である任意の適応症に対して、EGFR阻害剤と組み合わせて使用することができる。開示のEGFR阻害剤で処置することが可能な固形腫瘍の非限定的例としては、非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、結腸がん、および上皮成長因子受容体の上方制御により引き起こされるいくつかの他のがんが挙げられる。
EGFR阻害剤の例としては:セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、パニツムマブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、およびオシメルチニブが挙げられる。
好適には、プロテアソーム阻害剤はセツキシマブである。
対象の他の化学療法薬
一態様では、本発明のダイエタリー製品または医薬組成を、タモキシフェンクエン酸塩、メトホルミン、エルロチニブ塩酸塩、ダサチニブ、エストラムスチンリン酸ナトリウム、ダウノルビシン塩酸塩、ボリノスタット、カボザンチニブ、イデラリシブ、ビノレルビン酒石酸塩、テムシロリムス、ヒドロキシウレア、メルファラン塩酸塩、バルルビシン、エベロリムス、アミフォスチン、トレチノイン、フルダラビンリン酸エステル、ダカルバジン、ベムラフェニブ、セリチニブ、酸酸化ヒ素、テモゾロミド、デクスラゾキサン、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、エキセメスタン、ロミデプシン、ボスチニブ、カペシタビン、レナリドマイド、アロプリノール、ストレプトゾシン、アルトレタミン、シスプラチン、ドキソルビシン塩酸塩、ニロチニブ、イミキモド、カルフィルゾミブ、バンデタニブ、ビスモデギブ、フルオロウラシル、オラパリブ、ミトタン、アナストロゾール、エピルビシン塩酸塩、ラロキシフェン、ラパチニブ、パゾパニブ塩酸塩、フルベストラント、ウラシルマスタード、アファチニブ、イホスファミド、エトポシド、トリエチレンメラミン、ポナチニブ、およびその類似体からなる群から選択される1つまたは複数の化学療法薬と組み合わせることができる。
有利なことに、本発明は、これらの化学療法薬が、セリンおよびグリシンが制限された食餌と組み合わせた場合、相加を超え得ること(つまり、相乗効果)を示した。
従って、一態様において、本発明は、がんの処置で使用するための、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物と1つまたは複数の化学療法薬の相乗的組み合わせを提供する。相乗的組み合わせをもたらす任意の投与量の化学療法薬を使用することができる。
適切には、化学療法薬は、ダウノルビシンとすることができる。本発明のダイエタリー製品または医薬組成物とダウノルビシンの組み合わせを、例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、およびカポジ肉腫の処置に使用することができる。
一態様では、各化学療法薬の投与量(または化学療法薬の総組み合わせ投与量)は、一日当たり少なくとも0.1g/患者の体重Kg、好適には一日当たり少なくとも0.2g/Kg、または一日当たり0.3g/Kg、または一日当たり0.4g/Kg、または一日当たり0.5g/Kgと同等とすることができる。適切には、化学療法薬(または、組み合わせた化学療法薬の組み合わせ)の投与量は、一日当たり少なくとも1g/Kg、好適には一日当たり少なくとも2g/Kgと同等とすることができる。
例えば、対象がヒトである場合、メトホルミンでは、その投与量は、一日当たり少なくとも1g、好適には一日当たり2gと同等、または非ヒトの場合と同等の投与量とすることができる。
さらに、別の態様では、本発明は、a)本発明のダイエタリー製品とb)化学療法薬の相乗効果的な組み合わせを投与するステップを含む、対象のがんを処置する方法を提供する。適切には、相乗的組み合わせの構成要素は、同時にまたは連続して投与することができる。
適切には、本発明の全態様に従い、化学療法薬は、a)OXPHOSを阻害し;b)活性酸素種(ROS)を増加させ;c)抗酸化防御を低下させ;d)a)−c)の任意の組み合わせを提供し得る。
適切には、化学療法薬はOXPHOSを阻害し得る。例えば、化学療法薬は、ビグアナイドとすることができる。理論に縛られることは望まないが、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物(特に、少なくともセリンを実質的に欠いたダイエタリー製品または医薬組成物)は、ビグアナイドの抗腫瘍作用を改善すると考えられる。
適切には、化学療法薬はROSレベルを高め得る。理論に縛られることは望まないが、本発明のダイエタリー製品または医薬組成物(特に、少なくともセリンを実質的に欠いたダイエタリー製品または医薬組成物)は、ROSレベルを高める化合物と組み合わせて使用する場合、効果が高まると考えられる。がん細胞は、ROSレベルの上昇に対処するため、多量の外来性セリンを利用して急速な増殖を支える。理論に縛られることは望まないが、外来性セリンが枯渇した場合、がん細胞は、セリン合成経路を通じて解糖中間体を振り向けることを余儀なくされ、代謝のリモデリングが増殖の低減および細胞生存期間の縮小をもたらし得ると考えられる。
KRAS
本発明者らは、驚くべきことに、がん細胞/組織におけるKrasの発現または活性のレベルが、セリン(および/またはグリシン)を実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する患者の応答性または感受性の可能性を表すことを特定した。Krasの発現または活性のレベルを使用して、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性であろう対象のがん細胞、例えば腫瘍を特定することが可能である。また、バイオマーカーを使用して、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性の可能性が高い、またはその可能性が低い対象を特定することも可能である。また、バイオマーカーを使用して、患者のがんのための処置の選択を助けることも可能である。これに関し、本発明は、バイオマーカーおよびその使用を、バイオマーカーの使用を含む方法およびキットと併せて提供する。
一態様において、本発明は、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である患者集団を特定するために、KRASをバイオマーカーとして使用することを提供する。用語「バイオマーカー」または「マーカー」は、ある表現型状況の対象から採取したサンプルに、別の表現型状況と比較し特異的に存在する、有機生体分子を指す。バイオマーカーは、異なる群のバイオマーカーの発現レベルの平均値または中央値における差が統計的に有意であると計算される場合、異なる表現型状況間で特異的に存在する。バイオマーカーは、単独でまたは組み合わせて、対象が一表現型状況または別の表現型状況に属する相対的リスクの尺度を提供する。本発明では、バイオマーカーは、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性の可能性を予測するためのマーカーである。一部の実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に開示の遺伝子(例えば、核酸)である。他の一部の実施形態では、バイオマーカーは遺伝子産物(例えば、タンパク質)である。
本明細書で使用する場合、用語「KRAS」は、カーステンラット肉腫ウイルスより単離された形質転換遺伝子のヒト細胞相同体を指す。KRAS遺伝子は、がん遺伝子として知られる遺伝子クラスに属する。変異した場合、がん遺伝子には、正常細胞をがん性にさせる潜在能力がある。KRAS遺伝子は、がん遺伝子のRasファミリー中にあり、Rasファミリーには他の2つの遺伝子:HRASおよびNRASが含まれる。これらの3つの遺伝子から生成されるタンパク質がGTPアーゼである。これらのタンパク質は、細胞分裂、細胞分化、および細胞の自己破壊(アポトーシス)において重要な役割を果たす。
KRASは、分子量約21kDaおよびGTP加水分解活性を有するタンパク質のRASファミリーに属する。KRASは細胞膜の内側に見つけられ、上皮成長因子(EGF)などの細胞外成長因子の受容体への結合に応答して、シグナルを細胞に送る役割を持つ。活性化変異がKRASに見つけることができ、該変異は、ヒトのがんの約20%に見られる。
本明細書で使用する場合、用語「KRAS」は、ポリペプチドと核酸分子の両方を指すために使用する。
好適には、KRASはヒトKRASのポリペプチドまたは核酸分子である。
本明細書で使用する場合、用語「核酸分子」には、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)および例えばヌクレオチド類似体の使用により生成されたDNAまたはRNAの類似体が含まれる。核酸分子は、一本鎖とすることも二本鎖とすることも可能であるが、好適には二本鎖DNAである。
ヒトKRASの核酸配列情報は、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703下で見つけることが可能である。特異的な一実施形態では、本発明のKRAS遺伝子は、KEAS核酸(例えば、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703)もしくはその連続断片、または、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703の核酸配列もしくはその連続断片と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは少なくとも99%同一の配列を含む。
本明細書で使用する場合、用語「野生型」KRASは、変異を含まない、例えば、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703下で見つけられるKRAS核酸またはKRASポリペプチドと比較し変異を含まないKRASポリペプチドまたはKRAS核酸を指す。本明細書で提供するヒトKRAS配列以外の、哺乳類または非哺乳類種のKRASの核酸配列は、当技術分野で既知の方法を使用して、例えば、核酸シーケンシングにより、またはハイブリダイゼーションアッセイを使用して、または手動のもしくは用語「ハイブリダイゼーション」の定義と関連して本明細書の下記で言及するようなコンピュータプログラムを使用することによるアライメントおよび相同性の程度を使用することにより、当業者によって特定され得る。
既知の核酸配列/プロモータのオルソログの特徴についてのハイブリダイゼーションアッセイが当技術分野で周知であり;例えば、Sambrook, Russell “Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (2001):Ausubel, “Current Protocols in Molecular Biology”, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)を参照されたい。用語「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」は、本明細書で使用する場合、ストリンジェントなまたは非ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションを指し得る。さらに特定しない場合、その条件は、好適には非ストリンジェントである。前記ハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook (2001) loc. cit.; Ausubel (1989) loc. cit., or Higgins and Hames (Eds.) “Nucleic acid hybridization, a practical approach” IRL Press Oxford, Washington D.C., (1985)に記載されている従来のプロトコルに従って定めることができる。条件設定は当業者内で周知であり、当技術分野で記載されているプロトコルに従って決定することが可能である。したがって、特異的にハイブリダイズした配列のみの検出には、通常、ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件、例えば、0.1×SSC、65℃で0.1%SDS、または2×SSC、60℃、0.1%SDSという高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件などが必要だろう。相同性のまたは必ずしも相補的ではない配列の検出のための低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば、6×SSC、65℃で1%SDSに設定され得る。周知のように、プローブの長さおよび決定する核酸の組成が、ハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメータを構成する。
本明細書で使用する場合、用語「相同性」および「同一性」は、区別なく使用する。配列間の配列相同性または配列同一性の計算は、以下のように実行する。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一率を求めるために、配列を最適比較のために整列させる(例えば、第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方に、最適アライメントのためにギャップを導入し、非相同性配列は比較のために無視することが可能である)。好適な実施形態では、比較のために整列させる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好適には少なくとも40%、より好適には少なくとも50%、さらにより好適には少なくとも60%、さらにより好適には少なくとも70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1配列における位置が、第2配列の対応位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められる場合、その位置における分子は同一である(本明細書で使用する場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同等である)。2つの配列間の同一率は、2つの配列の最適整列のために導入する必要があるギャップ数および各ギャップの長さを考慮した、配列が共有する同一な位置の数の関数である。
2つの配列間の配列比較および同一率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することが可能である。好適な実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一率は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www. gcg. comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman et al. (1970) J. Mol. Biol. 48:444-453)アルゴリズムを使用し、BLOSUM62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかと、16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重み付けと、1、2、3、4、5、または6の長さ重み付けを使用して決定する。さらなる別の好適な実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一率は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www. gcg. comで入手可能)のGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリックスと、40、50、60、70、または80のギャップ重み付けと、1、2、3、4、5、または6の長さ重み付けを使用して決定する。特に好適なパラメータセット(および専門家が、分子が本発明の配列同一性または相同性の限界内にあるか否かを決定するために、どのパラメータを適用すべきかについて確信がない場合に使用されるべきもの)は、ギャップペナルティが12、ギャップ伸長ペナルティが4、フレームシフトギャップペナルティが5のBLOSUM62スコアリングマトリックスである。
あるいは、2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一率は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyers et al. (1989) CABIOS 4:11-17)のアルゴリズムを使用し、PAM120重み付け残基表、ギャップ長さペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用して、決定することが可能である。
本明細書で使用する場合、用語「連続断片」は、参照する配列と同じ順で生じている、核酸またはアミノ酸の非中断配列を指す。特に想定されるのは、参照配列の長さの少なくとも25%、50%、70%、75%、80%、または90%の長さの連続断片、および、典型的に少なくとも25核酸または少なくとも8アミノ酸を有する連続断片である。
一実施形態では、核酸断片は、KRASのドメイン、領域、または機能部位に相当する配列を含むか、または該配列からなる。あるいは、KRASの核酸断片は、KRASポリペプチドのエピトープ担持領域をコードする。
代わりの実施形態では、KRASは、限定するわけではないが、ヒトKRAS(NP_004976.2、NP_203524.1など)、マウスKRAS(NP_067259.4等)、ゼブラフィッシュKRAS(NP_001003744.1等)、カエルKRAS(NP_001095209.1)、ウシKRAS(NP_001103471.1)ニワトリKRAS(NP_001243091.1)、サルKRAS(NP_001248441.1)、NP_001028153.1、NP_113703.1、およびNP_001008034.1、またはそのバリアントもしくは変異体からなる群から選択され得る。
ヒトKRASのポリペプチド配列情報は、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703下で見つけることが可能である。特定の一実施形態では、本発明のKRASポリペプチドは、KRAS(例えば、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703)もしくはその連続断片、または、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703もしくはその連続断片のポリペプチド配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは少なくとも99%同一の配列を含む。
KRASポリペプチドは、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703のKRASポリペプチド配列の対立遺伝子バリアントであり得る。KRASポリペプチドは、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703のKRASポリペプチド配列のKRASポリペプチドのエピトープ担持領域であり得る。KRASポリペプチドは、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703のKRASポリペプチド配列の断片、例えば、生物学的に活性な断片であり得る。
本明細書で使用する場合、KRASポリペプチドの「生物学的に活性な断片」には、KRASポリペプチドのアミノ酸配列、例えば、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703のポリペプチド配列と十分に相同的なまたは該アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれ、該ペプチドに含まれるアミノ酸は、全長KRASポリペプチドよりも少なく、KRASポリペプチドの活性を少なくとも1つ呈する。例えば、KRASポリペプチドの生物学的に活性な断片は、Ensemblアクセッション番号ENSG00000133703のKRASポリペプチド配列のKRASポリペプチドの、10、25、50、100、200、またはそれ以上の連続アミノ酸を含む、または該アミノ酸からなるポリペプチドであり得る。
KRASの活性決定の文脈では、本明細書で使用する用語「活性」には、例えば、タンパク質レベルでの酵素活性を求めることおよび/または発現レベル(例えば、mRNAまたはタンパク質)を求めることが含まれる。本明細書で定義する活性を求める方法は、当技術分野で周知であり、本明細書でも以下に記載する。
一実施形態において、KRASは変異KRAS、例えば、活性化KRAS変異体である。本明細書で使用する用語「活性化変異体」は、遺伝子、特にKRAS遺伝子における変異を指し、これは、野生型と比較し、対応する遺伝子産物、つまりタンパク質、特に、KRASタンパク質の活性を高める。タンパク質、特にKRASタンパク質の(高められた)活性を測定する方法は、当技術分野で周知であり、本明細書でも以下に記載する。KRAS遺伝子の変異は、当技術分野で既知の方法により検出することが可能である。このような方法は、例えば、(Papadopoulos et al., 2006; Shendure et al., 2004)に記載されている。
本発明は、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である可能性が低い対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してまたは前記所定の参照レベルと比較して高い、前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する非応答性または非感受性を表す、方法を提供する。
本発明は、また、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である可能性が高い対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す、方法を提供する。
本発明は、また、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に恩恵を受け得る対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルにおけるKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記患者が前記がん処置から恩恵を受け得ることを示す、方法を提供する。
MTAP
本発明者らは、驚くべきことに、がん細胞/組織におけるメチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)の発現または活性のレベルが、i)システインおよび/またはii)セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する患者の応答性または感受性の可能性を表すことを特定した。MTAPの発現または活性のレベルを使用して、システインおよび/またはシステインを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性であろう対象のがん細胞、例えば腫瘍を特定することが可能である。また、バイオマーカーを使用して、患者のがんのための処置の選択を助けることも可能である。これに関し、本発明は、バイオマーカーおよびその使用を、バイオマーカーの使用を含む方法およびキットと併せて提供する。
さらなる態様において、本発明は、システインおよび/またはセリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である患者集団を特定するために、MTAPをバイオマーカーとして使用することを提供する。
本発明は、また、システインを実質的に欠く食餌を含むがん処置に恩恵を受け得る対象を特定する方法であって:
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてMTAPの発現または活性のレベルを求めるステップと;
b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはMTAPの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記患者が前記がん処置から恩恵を受け得ることを示す、方法を提供する。
本明細書で使用する場合、用語「MTAP」は、S−メチル−5’−チオアドノシン(MTA)のアデニンおよび5−メチルチオリボース−1−ホスフェートへの可逆性リン酸化を触媒する、S−メチルー5’チオアデノシンホスホリラーゼを指す。この酵素は、ポリアミン代謝において主要な役割を果たし、アデノシンおよびメチオニンの両方の再生にとって重要である。MTAPは、多くのがんにおいて欠乏していることが知られているが、これは、しばしば、MTAP遺伝子と腫瘍抑制遺伝子p16の共欠損を原因とする。
本明細書で使用する場合、用語「MTAP」は、ポリペプチドおよび核酸分子の両方を指すために使用する。
好適には、MTAPはヒトのMTAPポリペプチドまたは核酸分子である。
ヒトMTAP遺伝子の核酸配列情報は、Ensemblアクセッション番号ENSG00000099810下で見つけることが可能である。特異的な一実施形態では、本発明のMTAP遺伝子は、MTAP核酸(Ensemblアクセッション番号ENSG00000099810)もしくはその連続断片、または、Ensemblアクセッション番号ENSG00000099810の核酸配列もしくはその連続断片と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは少なくとも99%同一な配列を含む。
本明細書で提供するヒトMTAP配列以外の哺乳類または非哺乳類種のMTAPの核酸配列は、当技術分野で既知の方法を使用し、例えば、核酸シーケンシングにより、またはハイブリダイゼーションアッセイを使用して、または手動のもしくは用語「ハイブリダイゼーション」の定義と関連して本明細書の下記で言及するようなコンピュータプログラムを使用することによるアライメントと相同性の程度を使用することにより、当業者によって特定され得る。
一実施形態において、核酸断片は、MTAPのドメイン、領域、または機能部位に相当する配列を含むか、または該配列からなる。あるいは、MTAPの核酸断片は、MTAPポリペプチドのエピトープ担持領域をコードする。
代わりの実施形態では、MTAPは、ヒトMTAPポリペプチドをコードするヌクレオチド配列か、またはそのバリアントもしくは変異体とすることができる。
ヒトMTAPのポリペプチド配列情報は、UniProtKB−Q13126下で見つけることが可能である。特定の一実施形態では、本発明のMTAPポリペプチドは、ヒトMTAPもしくはその連続断片か、または、UniProtKB−Q13126(例えば、Q13126−1)のポリペプチド配列もしくはその連続断片と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは少なくとも99%同一の配列を含む。
MTAPポリペプチドは、UniProtKB−Q13126のMTAPポリペプチド配列の対立遺伝子バリアントであり得る。MTAPポリペプチドは、UniProtKB−Q13126のMTAPポリペプチド配列のエピトープ担持領域であり得る。MTAPポリペプチドは、UniProtKB−Q13126のMTAPポリペプチド配列の断片、例えば、生物学的に活性な断片であり得る。
本明細書で使用する場合、MTAPポリペプチドの「生物学的に活性な断片」には、MTAPポリペプチドのアミノ酸配列、例えば、UniProtKB−Q13126のポリペプチド配列と十分に相同的なまたは該アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれ、該ペプチドに含まれるアミノ酸は、全長MTAPポリペプチドよりも少なく、MTAPポリペプチドの活性を少なくとも1つ呈する。例えば、MTAPポリペプチドの生物学的に活性な断片は、UniProtKBアクセッション番号Q13126(例えば、Q13126−1)のMTAPポリペプチド配列のMTAPポリペプチドの、10、25、50、100、200、またはそれ以上の連続アミノ酸を含む、または該アミノ酸からなるポリペプチドであり得る。
MTAPの活性を決定する文脈では、本明細書で使用する用語「活性」には、例えば、タンパク質レベルでの酵素活性を求めることおよび/または発現レベル(例えば、mRNAまたはタンパク質)を求めることが含まれる。本明細書で定義する活性を求める方法は、当技術分野で周知であり、本明細書でも以下に記載する。
本明細書で使用する場合、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置が、該処置の後でまたは該処置に続き、がんもしくは腫瘍の増殖を緩やかにする、がんもしくは腫瘍の増殖を防ぐ、または、がんもしくは腫瘍の1つもしくは複数の症状、例えば、腫瘍負荷を減少させる場合、対象は、該処置に対し「応答性」または「感受性」である。そのため、好適な実施形態では、処置により腫瘍負荷が処置中または処置後に減少した場合に、対象は応答性である。一部の実施形態では、腫瘍またはがんが、寛解に入るかまたは根絶された場合に、対象は処置に対し応答性である。
本明細書で使用する場合、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置が、該処置の後でまたは該処置に続き、がんもしくは腫瘍の増殖を緩やかにしない、がんもしくは腫瘍の増殖を防がない、または、がんもしくは腫瘍の1つもしくは複数の症状、例えば、腫瘍負荷を減少させない場合、対象は、該処置に対し「非応答性」または「非感受性」である。そのため、好適な実施形態では、処置中または処置後に腫瘍負荷が増加した場合に、対象は非応答性である。一部の実施形態では、腫瘍もしくはがんが拡張する、広がる、もしくは転移する場合、または、1つもしくは複数のがんの症状が処置中もしくは処置後に悪化する場合、対象は処置に対し非応答性である。
本発明の開示方法は、典型的には、対象から得た生物学的サンプルにおいてKRASまたはMTAPの発現レベルを検出するステップを含む。本明細書で使用する場合、用語「生物学的サンプル」および「対象から単離したサンプル」は、区別なく使用して、対象から単離した組織、細胞、および生物学的流体、ならびに、対象内に存在する組織、細胞、および流体を指す。
好適な実施形態では、対象は、がんのある対象であり、より好適には、サンプルは、がん細胞またはがん組織のサンプルである。生物学的サンプルは、単一がん細胞を含み得るが、好適には、多数のがん細胞を含む。
一部の実施形態では、生物学的サンプルは、腫瘍から得たがん細胞を含む。一部の実施形態では、生物学的サンプルは、腫瘍から得てはいないがん細胞を含む。例えば、一部の実施形態では、がん細胞は循環がん細胞である。生物学的サンプルは、他の成分またはがん細胞ではない細胞を含み得る。例えば、サンプルは、非がん性細胞、組織等を含み得る。好適な実施形態では、生物学的サンプルは、正常な組織から単離したまたは分離したがん細胞を含む。他の実施形態では、生物学的サンプルは、がん組織またはがん臓器から得る。
生物学的サンプルは、当技術分野で既知である種々の方法を使用して対象から得ることが可能である。一部の実施形態では、サンプルは組織バイオプシー、例えばパンチバイオプシーである。サンプルは、利用する検出方法に従って、取り扱うべきである。一部の実施形態では、組織起源または細胞起源の生物学的サンプルを、カオトロピック剤、界面活性剤、還元剤、緩衝液、および塩の1つまたは複数を任意選択的に含有する溶解緩衝液に溶解することが可能である。mRNAレベルについて解析する生物学的サンプルを取り扱う条件は、タンパク質レベルについて解析する生物学的サンプルを取り扱う条件とは異なり得、そのような条件は当技術分野で既知である。サンプルが、凝固因子を含む血液サンプル(例えば、全血サンプル)である場合、調製物には、抗凝固剤が含まれ得る。
サンプルは、サンプルを解析する前に濃縮するかまたは適切な希釈剤で希釈することが可能である。サンプルを凍結する、加工しないでおく、固定(例えばホルマリン固定)する、遠心分離する、および/または包埋(例えばパラフィン包埋)すること等が可能である。サンプル中のマーカー量を評価する前に、細胞サンプルに、周知である種々の収集後調製保存技術(例えば、核酸および/またはタンパク質の抽出、固定、保存、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離等)を施すことが可能である。同様に、バイオプシーにも、収集後調製保存技術、例えば固定を施してよい。
本発明の方法でアッセイし処理することが可能ながんの種類としては、限定するわけではないが、以下の:大腸がん、肝がん、骨肉腫、リンパ腫、および乳がんが挙げられる。
本発明の文脈では、KRAS/MTAPの発現は、任意の適切な方法により測定される、KRAS/MTAP遺伝子またはタンパク質の、遺伝子またはタンパク質の発現レベルを意味する。
典型的には、特定の遺伝子の発現レベルは、細胞もしくは組織においてKRAS/MTAP遺伝子より転写されたmRNAのレベルを測定することにより転写レベルに反映されるか、または、細胞もしくは組織におけるタンパク質レベルを測定することにより、翻訳レベルに反映される。本方法は、細胞に基づくアッセイまたは無細胞アッセイとすることが可能である。
本発明に従って、サンプル中のKRASまたはMTAPの発現レベルを検出する方法を提供する。KRASまたはMTAPの発現レベルは、サンプル中のKRASまたはMTAPのmRNAまたはタンパク質レベルを測定することにより求めることができる。サンプル中のmRNAを測定する方法としては、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、逆転写リアルタイムPCR(RT−qPCR)、次世代シーケンシングを使用したトランスクリプトーム解析、アレイハイブリダイゼーション解析、デジタルPCR、ノーザン解析、ドットブロット、in situハイブリダイゼーション、およびRNaseプロテクションアッセイが挙げられる。
定量的リアルタイムPCRが、細胞または組織のサンプルの特定のmRNAレベルを求めるのに特に適切であり、この場合、mRNAはまずcDNAに逆転写され、次に、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドPCRプライマーを使用するPCRにより増幅される。このqRT−PCR法は、当技術分野で周知である。次世代シーケンシングまたはマイクロアレイも、mRNAレベルの検出に使用することができる。さらに、in situハイブリダイゼーションを使用して、細胞または組織のサンプル、例えば、FFPE組織サンプル中のKRASのmRNAレベルをin situで検出することもできる。
一部の実施形態では、KRASおよび/またはMTAPの発現を、PCR(例えば、qPCR、RT−PCR、RT−qPCRなど)使用して求めることができる。このようなPCRアッセイは、当技術分野で周知である。例えば、一部の実施形態では、生物学的サンプルにおいて、KRAS/MTAP由来のmRNAを検出する方法は、少なくとも1つのプライマーを使用して逆転写によりサンプルからcDNAを生成するステップと;そのように生成したcDNAを増幅するステップと;前記増幅cDNAの存在を検出するステップとを含む。さらに、このような方法は、生物学的サンプル中のmRNAレベルを決定することを可能にする(例えば、アクチンファミリーメンバーなどの「ハウスキーピング」遺伝子の比較対照mRNA配列のレベルを同時に調べることにより)、1つまたは複数のステップを含むことが可能である。任意選択的に、増幅したcDNAの配列を決定することが可能である。ノーザンブロット解析は、当技術分野で周知の従来技術であり、例えば、Sambrook, et al., Molecular Cloning, a Laboratory Manual, third edition, Cold Spring Harbor Press, NY (2000) 11803-2500に記載されている。
一部の実施形態では、KRAS/MTAP遺伝子は、例えば、プローブまたはプライマーにより検出することが可能である。用語「プローブ」は、本明細書で使用する場合、精製制限酵素消化物中て天然に生じたものであれ、合成的に生成されたものであれ、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、または核酸、つまりRNAもしくはDNAを指し、これは、該プローブに相補的な配列を有する核酸にアニールするまたは特異的にハイブリダイズすることが可能である。プローブは、一本鎖または二本鎖であり得る。プローブの正確な長さは、温度、プローブの供給源、方法の用途を含む多くの因子に左右されよう。例えば、診断的用途では、標的配列の複雑さに応じて、オリゴヌクレオチドプローブは、典型的には、15−25、またはそれ以上のヌクレオチドを含有する。ただし、より少ないヌクレオチドを含有する場合もある。
一部の実施形態では、生物学的サンプルは、少量の細胞を含有するか、または単細胞である。少量細胞(例えば、1000〜10細胞)および単細胞において、cDNAを増幅し、mRNA発現を解析する方法は、当技術分野において周知である。このような方法としては、例えば、セミランダムプライムPCRおよびphi29に基づくcDNA増幅ステップが挙げられる。
(特異的な)mRNAを結合させるこれらのおよび他の適切な方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrook and Russell (2001, loc. cit.)に記載されている。当業者は、検出シグナルの強度と決定すべき遺伝子産物の量の間の相関関係、好適には直線的相関を利用することにより、成分、特に前記遺伝子産物の量を求めることが可能である。
細胞または組織のサンプルにおけるKRAS/MTAPタンパク質発現を検出するために、細胞または組織のサンプルにおけるタンパク質レベルを測定する任意の既知の方法を、本発明で使用することができる。
サンプル中のKRAS/MTAPタンパク質発現を測定する方法としては、例えば、イムノアッセイ、リガンド結合アッセイ、質量分析法、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が挙げられる。いくつかの方法には、KRAS/MTAPタンパク質と特異的に免疫応答性である抗体を、サンプル中のKRAS/MTAPタンパク質と免疫反応させる条件下で、細胞または組織のサンプルを接触させ、結合抗体量を測定する、イムノアッセイが含まれる。例示的なイムノアッセイとしては、限定するわけではないが、ラジオイムノアッセイ、ELISA、免疫沈降アッセイ、ウェスタンブロット、蛍光イムノアッセイ、および免疫組織化学、フローサイトメトリー、タンパク質アッセイ、マルチプレックスビーズアレイ、磁気捕捉、in vivoイメージング、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ならびに光褪色後蛍光回復/位置測定(FRAP/FLAP)が挙げられる。他の好適な実施形態では、細胞または組織のサンプルにおけるKRASの有無は、IHCにより決定する。
いくつかのイムノアッセイ、例えばELISAは、2つの異なるバイオマーカー特異的な抗体またはリガンド(例えば、捕捉リガンドまたは抗体と検出リガンドまたは抗体)を必要とし得ることが理解されよう。ある実施形態では、KRASを表面においてリガンドまたは抗体で捕捉し、タンパク質バイオマーカーを酵素で標識する。一例では、検出抗体をビオチンまたはストレプトアビジンに結合させて、ビオチンまたはストレプトアビジンを含有する、ビオチン−ストレプトアビジンと酵素との結合を生成する。酵素基質を着色分子に変換することによりシグナルを生成し、光センサで吸光度を測定することにより溶液の色の強さを定量化する。考えられるアッセイは、タンパク質バイオマーカーの存在を示す観察可能な色変化を生成する発色性のレポーターおよび基質を利用し得る。蛍光発生性で、電気化学発光性の、リアルタイムPCRリポーターも、定量化可能なシグナルを作成すると考えられる。
いくつかのアッセイは、抗体をサンプルと接触させる前に、1つまたは複数の抗体を固体支持体に固定して、複合体の洗浄および後続の単離を容易にすることを任意選択的に含む。固体支持体の例としては、マイクロタイタープレート、スティック、ビーズ、またはマイクロビーズなどの形をしたガラスまたはプラスチックが挙げられる。抗体も、プローブ、基質、またはProteinChip(登録商標)アレイに付着させることが可能である。
フローサイトメトリーは、粒子を流体の流れに懸濁させ、それらを電子検出装置のそばを通過させることにより、タンパク質バイオマーカーをカウントし、選別し、検出する際に利用することができる、レーザーに基づく技法である。フローサイトメーターには、色を基準に異なる粒子を識別する機能がある。異なる色素を有する粒子の別個の着色、2つ以上の異なる波長での放射は、粒子を識別することを可能にする。マルチプレックス解析、例えばFLOWMETRIX(商標)は、Fulton, et al., Clinical Chemistry, 43(9):1749-1756 (1997)で論じられており、これは、同じサンプルを有する単一チューブにおいて、同時に多数の別個のアッセイを実行することを可能にする。
別の好適な実施形態では、本発明のKRASおよび/またはMTAPの発現を、質量分析法により検出する。多次元的HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を、質量分析法と組み合わせて、KRASを分離することが可能である。また、患者のがんのKRASおよび/またはMTAPの遺伝子またはポリペプチドの有無または発現レベルは、in vivoでまたはin vitroで検出することも可能である。一部の実施形態では、発現を、患者から単離した遺伝物質を含有する生物学的サンプルにおいて、in vitroで検出する。一部の他の実施形態では、マーカー遺伝子の発現を、例えば、「量子ドット」標識またはCTスキャンなどの技法を使用して、in vivoで行うことが可能である。
KRASの活性は、発現のレベルを測定することによって求めることができるだけでなく、例えば、KRASのGTPアーゼ活性を測定することにより、または、例えばKRASの場合はphospho−Aktまたはphospho−Erkのレベルを求めることによって下流のシグナリング経路メンバーの活性を測定することによっても、求めることができる。前記タンパク質の活性を求める手段および方法は当技術分野で周知であり、例えば、Lottspeichより推定することができる(Spektrum Akademischer Verlag, 1998)。細胞Ras−GTPを検出するKRAS活性化アッセイキットは、例えば、Jena BioscienceのRas活性化キットおよびCell Biolabs社のK−Ras活性化アッセイキットなど、当技術分野で周知である。
MTAPの活性は、発現レベルを測定することによって求めることができるだけでなく、例えば、メチルチオアデノシン(MTA)の細胞流出を測定することによっても求めることができる。
適切には、MTAは、本発明に従って、バイオマーカーとして使用することができる。一実施形態では、MTAPに関する方法および用途は、MTAで代替することができ、本実施形態では、MTAと、i)セリンを実質的に欠くおよび/またはii)システインが制限された食餌を用いた処置に対する「応答性」または「感受性」の間の相関性が、逆転する。MTA流出の亢進は、そのような処置に対する応答性または感受性を表す。
用語「活性」は、本明細書で使用する場合、タンパク質(例えば、KRAS)の活性を指し、一方、用語発現レベルは、タンパク質レベル(例えば、ウェスタンブロット等により求められる)または転写レベル(例えば、ノーザンブロット、リアルタイムPCR等により求めることができる、スプライスされた、スプライスされていない、または部分的にスプライスされたmRNA)での発現を指す。
本明細書で使用する場合、用語「上昇」は、本明細書で記載する方法によって検出されるバイオマーカーレベル(例えば、発現または活性)が、対照から得られる同じバイオマーカーのレベルまたは参照レベルと比較して、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上上昇することを指し得る。ある実施形態では、用語上昇はバイオマーカーレベルの上昇を指し、その上昇レベルは、対照でのバイオマーカーレベルまたは参照レベルと比較し、0.1倍、0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上である。
本明細書で使用する場合、用語「低下」は、本明細書に記載の方法によって検出されるバイオマーカーレベル(例えば、発現または活性)が、対照から得られる同じバイオマーカーのレベルまたは参照レベルと比較して、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上低下することを指し得る。ある実施形態では、用語低下はバイオマーカーレベルの低下を指し、その低下レベルは、対照でのバイオマーカーレベルまたは参照レベルと比較し、0.1倍、0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上である。
本明細書で使用する場合、句または「実質的に同じ」は、当業者が、2つの値の差が、前記値によって測定される生物学的特徴の文脈内では、ほとんどまたは全く、生物学的および/または統計的に重要ではないと考えるような、2つの数値(例えば、テスト生物学的サンプルにおけるKRASの発現または活性に関するある数値と、対照サンプルにおけるKRASの発現または活性に関するもう一方の数値)の間で類似度が十分に高いことを示す。前記2つの値の差は、参照/比較値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、および/または約10%未満である。
本明細書に開示する方法は、対象から単離したサンプルにおいて検出されるバイオマーカー(例えば、KRASおよび/またはMTAP)のレベルを、対照レベルまたは所与の参照レベルと比較するステップを含む。
本明細書で使用する場合、「対照」は、正常なレベルのバイオマーカー発現を有するサンプル、例えば、がんのないもしくはがんの疑いがない健康な対象からのサンプルか、または、KRASの場合、KRAS変異のないもしくはKRAS変異の疑いがないサンプルを指す。好適には、対照サンプルは、正常な(例えば、非疾患の)細胞または組織のサンプルである。好適には、バイオマーカーがKRASにおいて測定される場合、対照サンプルは野生型KRASについてポジティブである。対照サンプルは、対象から単離したサンプルと同じ組織または細胞タイプとすることができる。
本明細書で使用する場合、用語「参照レベル」は、本明細書で記載する方法によって検出される、同じバイオマーカーの対照サンプルで得られるレベルと同じであるバイオマーカーレベル(つまり、KRASレベル)を指す。あるいは、参照レベルには、参照データベースに由来するバイオマーカー(例えば、KRAS)の発現レベルが含まれ得、該参照レベルを使用して、所定のカットオフ値、つまり、症状もしくは疾患またはその欠如を統計的に予測する診断スコアを生成することもできるし、該参照レベルを、標準集団サンプルに基づいた所定の参照レベルとすることも、あるいは、対象の発現レベルの基準線に基づく、つまり、臓器移植前の所定の参照レベルとすることもできる。好適には、対象から単離した生物学的サンプルは、参照値を得るために使用したのと同じテストプラットフォーム(例えば、RT−PCTによるmRNA解析、イムノアッセイによるタンパク質解析等)を使用して、アッセイする。
あるいは、予測は、バイオマーカー(例えば、KRAS)の正規化発現レベルに基づくものとすることができる。サンプル中のバイオマーカー(例えば、KRAS)の絶対発現レベルを、その発現と、マーカーではない参照核酸、例えば、恒常的に発現しているmRNAなどのmRNAの発現とを比較することによって修正することにより、発現レベルは正規化される。この正規化は、あるサンプルと別のサンプルにおける、または、異なる供給源からのサンプル間での発現レベルの比較を可能にする。この正規化発現は、次に、任意選択的に、参照レベルまたは対照と比較することが可能である。
一態様において、本発明は、がんのある対象を処置する方法であって、
a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおけるKrasの発現または活性のレベルが、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップと;
b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルが、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す場合に、前記対象に前記がん処置を与えるステップとを含む、方法を提供する。
ある実施形態において、セリンを実質的に欠く食餌は、ダイエタリー製品を含むか、またはダイエタリー製品から成る。本明細書で使用する場合、用語「ダイエタリー製品」は、1つまたは複数の必須アミノ酸またはその塩もしくはエステルを含む組成物であって、食品中で使用されるか、または食品と組み合わせて使用もしくは消費されて、サプリメントを消費する対象に、所望のレベルのアミノ酸またはその塩もしくはエステルを提供する、組成物を指す。これらの製品中の栄養成分としては:ビタミン、ミネラル、ハーブまたは他の植物性薬品、アミノ酸、ならびに、酵素、臓器組織、腺、および代謝物などの物質が挙げられる。
ダイエタリー製品は、粉末、ゲル、溶液、懸濁液、ペースト、固体、液体、原液、再構成可能な粉末、シェイク、濃縮物、ピル、バー、タブレット、カプセル、またはすぐに使用できる製品の形態で提供することができる。ダイエタリー製品は、また、サプリメントが、タブレット、ピル、カプセル、液体、エアロゾル、注射可能液、または他の医薬的に許容される製剤の形態である場合、医薬組成物とすることが可能であると考えられる。
本明細書で使用する場合、「実質的に欠く」は、セリンを完全に含まないまたは極めて少ないことを意味する。種々の実施形態では、食餌またはダイエタリー製品は、実質的にセリンを欠く。
一実施形態では、前記がん処置は、セリンおよびグリシンを実質的に欠く食餌を含む。
一部の実施形態では、前記がん処置は、化学療法レジメンまたは放射線療法レジメン中に、がん患者に投与する、セリンを実質的に欠く食餌を含む。好適には、前記がん処置は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される治療薬の投与を含む。
本明細書で使用する場合、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬、ならびに/または放射線療法。
このような、化学療法は、以下のカテゴリーの抗がん剤の1つまたは複数を含み得る:
(i)アルキル化剤などの抗増殖/抗腫瘍薬およびそれらの組み合わせ(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、クロルメチン、ブスルファン、テモゾロミド、ニトロソウレア、イホスファミド、メルファラン、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ロムスチン、ストロプトゾシンおよびダカルバジン);代謝拮抗薬(例えば、ゲムシタビンおよび抗葉酸剤、例えば、5−フルオロウラシルやテガフールなどのフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、ペメトレキセド、シトシンアラビノシド、フロクスリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビン、およびヒドロキシウレア);抗生物質(例えば、アドリアマイシンなどのアントラサイクリン系薬剤、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン(登録商標)、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、および、ミスラマイシン);抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンやビノレルビンのようなビンカアルカロイドおよびタキソールやタキソテールのようなタキソイドおよびポロキナーゼ阻害剤);プロテアソーム阻害剤、例えば、カルフィルゾミブおよびボルテゾミブ;インターフェロン療法;およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドやテニポシドなどのエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン、および、カンプトテシン);ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ara−C、パクリタキセル(タキソール(商標))、nabpaclitaxel、ドセタキセル、ミスラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN−α)、エトポシド、テニポシド、DNA脱メチル化剤(例えば、アザシチジンまたはデシタビン);ならびにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例えば、ボリノスタット、MS−275、パノビノスタット、ロミデプシン、バルプロ酸、モセチノスタット(MGCD0103)およびプラシノスタットSB939);
(ii)抗エストロゲン剤などの細胞分裂阻害剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、および、酢酸シプロテロン)、LHRH拮抗剤またはLHRH作用薬(例えば、ゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、黄体ホルモン剤(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタンとして)、および、フィナステリドなどの5*−レダクターゼ阻害剤;ならびにナベルベン、CPT−II、アナストロゾール、レトロゾール、カペシタビン、レロキサファム、シクロホスファミド、イホスファミド、および、ドロロキサフィン;
(iii)抗浸潤剤、例えば、ダサチニブおよびボスチニブ(SKI−606)、ならびに、メタロプロテアーゼ阻害剤、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤、または、ヘパラナーゼ抗体;
(iv)成長因子機能阻害剤:例えば、このような阻害剤として、増殖因子抗体および増殖因子受容体抗体、例えば、抗erbB2抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン(商標))、抗EGFR抗体であるパニツムマブ、抗erbB1抗体であるセツキシマブ、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮増殖因子ファミリー阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)−キナゾリン−4−アミン(CI1033)、アファチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブ、およびロシレチニブなどのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤)ラパチニブのなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤)、およびCTLA−4、4−IBBおよびPD−1などの共刺激分子に対する抗体、または、サイトカイン(IL−10、TGF−β)に対する抗体;肝細胞増殖因子ファミリー阻害剤;インスリン増殖因子ファミリー阻害剤;細胞アポトーシスタンパク質レギュレーターのモジュレーター(例えば、Bcl−2阻害剤);イマチニブおよび/またはニロチニブ(AMN107)などの血小板由来増殖因子ファミリー阻害剤;セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤(例えば、ファルネシル転移酵素阻害剤などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤、ソラフェニブ、ティピファニブおよびロナファーニブなど)、MEKおよび/またはAKTキナーゼによる細胞シグナル伝達の阻害剤、c−kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、Plt3キナーゼ阻害剤、CSF−1Rキナーゼ阻害剤、IGF受容体、キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤、および、CDK2および/またはCDK4阻害剤などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤;CCR2、CCR4またはCCR6アンタゴニスト;ならびに、国際公開第2006043090号、同第2009077766号、同第2011092469、または同第2015075483号に記載されているようなRAFキナーゼ阻害剤。
(v)血管内皮増殖因子の機能を阻害する薬剤などの血管新生抑制剤[例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(アバスチン(商標))];サリドマイド;レナリドマイド;ならびに、例えば、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バンデタニブ、バタラニブ、スニチニブ、アキシチニブ、および、パゾパニブ;
(vi)例えば、異常p53または異常BRCA1またはBRCA2などの異常遺伝子を交換するアプローチを含む、遺伝子療法;
(vii)例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン(登録商標))およびオファツムマブなどの抗体療法を含む免疫療法;インターフェロンαなどのインターフェロン、IL−2(アルデスロイキン)などのインターロイキン;インターロイキン阻害剤、例えばIRAK4阻害剤;HPVワクチン、例えば、ガーダシル、サーバリックス、オンコファージおよびシプロイセルT(プロベンジ(登録商標))などの予防ワクチンおよび治療ワクチンを含む癌ワクチン;gp100;樹状細胞ベースのワクチン(例えば、Ad.p53DCなど);toll様受容体モジュレーター、例えばTLR−7またはTLR−9アゴニスト;PD−1、PD−L1、PD−L2およびCTL4−Aモジュレーター(例えば、ニボルマブ)、抗体、およびワクチン;他のIDO阻害剤(例えば、インドキシモドなど);抗PD−1モノクローナル抗体(例えば、MK−3475およびニボルマブなど);抗PDL1モノクローナル抗体(例えば、MEDI−4736およびRG−7446など);抗PDL2モノクローナル抗体;ならびに抗CTLA−4抗体(例えば、イピリムマブなど);そして
(viii)細胞障害性剤、例えば、フルダラビン(フルダラ)、クラドリビン、ペントスタチン(ニペント(商標));
(ix)標的療法、例えば、PI3K阻害剤、例えばイデラリシブおよびペリホシン;アポトーシス阻害因子(IAP)アンタゴニスト(IAPアンタゴニスト)としても知られるSMAC(第2ミトコンドリア由来カスパーゼアクチベーター)類似体。これらの薬剤は、IAP、例えば、XIAP、cIAP1、およびcIAP2を抑制することにより細胞アポトーシス経路を再構築するように作用する。特定のSMAC類似体には、Birinapant(TLR32711、TetraLogic Pharmaceuticals)、LCL161(Novartis)、AEG40730(Aegera Therapeutics)、SM−164(ミシガン大学)、LBW242(Novartis)、ML101(Sanford-Burnham Medical Research Institute)、AT−406(Ascenta Therapeutics/ミシガン大学)、GDC−0917(Genentech)、AEG35156(Aegera Therapeutic)、およびHGS1029(HUMAN Genome Sciences);ならびに、ユビキチンプロテアソーム系(UPS)を標的にする薬剤、例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、マリゾミブ(NPI−0052)、およびMLN9708が含まれる;そして
(xii)キメラ抗原受容体、抗がんワクチン、およびアルギナーゼ阻害剤。
本方法で使用する治療薬は、単剤または薬剤の組み合わせとすることが可能である。好適な組み合わせには、異なる作用機序を有する薬剤が含まれるだろう。
用語「〜と組み合わせて投与される」および文法上の同等物等は、本明細書で使用する場合、単一患者に選択した治療薬を投与することを包含することを意味し、薬剤を同じもしくは異なる投与経路により、または、同じもしくは異なる時刻に投与する処置レジメンを含むことを意図する。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、他の薬剤と共投与されよう。これらの用語は、2つ以上の薬剤を動物に投与し、その結果、両薬剤および/またはそれらの代謝物が、同時にその動物内に存在することを包含する。これらの用語には、別個の組成物での同時投与、別個の組成物での異なる時刻での投与、および/または、両薬剤が存在する組成物での投与が含まれる。したがって、一部の実施形態では、本発明の化合物と他の薬剤を、単一組成物において投与する。
本明細書に開示する薬剤は、皮内、皮下、経口、動脈内、または静脈内を含む、任意の経路により投与することができる。好適には、投与は静脈内経路によるだろう。好適には、非経口的投与が、急速投与でまたは注入により提供され得る。
本発明に従って投与する治療薬の濃度は、投与する化合物の投与量、利用する化合物の薬物動態学的特徴、および投与経路を含むいくつかの要因に応じて変動しよう。薬剤は、単回投与か複数回投与で投与することができる。処置は、患者の健康全般、ならびに選択した化合物の配合および投与経路を含むいくつかの因子に応じて、毎日またはより頻繁に投与することができる。
好適には、前記がん処置は、さらに、治療的に有効な量の前記治療薬を投与することを含む。用語「治療的に有効な量」は、本明細書で使用する場合、特定の疾患または病気を処置または予防するのに十分な、投与する少なくとも1つの薬剤または化合物の量を指す。結果は、疾患の兆候、症状、もしくは原因の減少および/もしくは軽減、または、生物システムの任意の他の所望の変化であり得る。例えば、治療用途での「有効量」とは、疾患の臨床的に著しい低減を提供するのに必要な、本明細書で開示する化合物を含む組成物の量である。任意の個々のケースにおける適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技法を使用して決定することが可能である。
ある実施形態では、食餌を、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、または治療的エンドポイントが観察されるまで、例えば、腫瘍収縮が観察されるまでの期間にわたり投与する。
セリンを実質的に欠く食餌がダイエタリー製品を含むか、またはダイエタリー製品から成る場合、ダイエタリー製品を毎日1〜10回投与する。
本発明は、また、サンプルにおけるKRASおよび/またはMTAPの存在を検出するためのキットを含む。本発明のキットは、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定するのに特に使用される。例えば、キットは、生物学的サンプルにおいてKRASポリペプチドまたは核酸の発現または活性を検出することが可能な化合物または薬剤を含み得る。キットは、生物学的サンプルにおいてMTAPポリペプチドまたは核酸の発現または活性を検出することが可能な化合物または薬剤を含み得る。化合物または薬剤は、適切な容器にパッケージ化することが可能である。キットは、さらに、KRASおよび/またはMTAPのタンパク質または核酸分子を検出するキットを使用するための指示書を含み得る。
一態様では、本発明は、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定する際に使用するキットであって:
a.Krasの発現または活性を求める薬剤と;
b.アッセイ用試薬とを含む、キットを提供する。
キットは、さらに、MTAPの発現または活性を求める薬剤を含み得る。
別の態様では、本発明は、i)セリンを実質的に欠く;および/またはii)システインが制限された食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定する際に使用するキットであって:
a.MTAPの発現または活性を求める薬剤と;
b.アッセイ用試薬とを含む、キットを提供する。
本発明のキットでは、薬剤は、抗体または核酸分子とすることができる。
抗体に基づくキットでは、キットは:(1)本発明のポリペプチドマーカー(例えば、KRASまたはMTAP)に特異的に結合する(例えば、固体支持体に付着した)第1抗体と;任意選択的に、(2)ポリペプチドマーカーまたは第1抗体の何れかに結合し、検出可能薬剤に結合する、第2の異なる抗体とを含み得る。
オリゴヌクレオチドに基づくキットでは、キットは:(1)バイオマーカー(例えば、KRASもしくはMTAP)核酸分子にハイブリダイズする、ヌクレオチドプローブ、例えば、検出可能に標識したプライマーか、または(2)バイオマーカー核酸分子を増幅するプライマー対を含み得る。
キットは、また、検出可能薬剤(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な要素を含み得る。キットは、また、アッセイし、含有されるテストサンプルと比較することが可能な、対照サンプルまたは一連の対照サンプルを含有し得る。
キットは、また、使用指示書を含み得る。
一実施形態において、キットがKRASの発現または活性を求める場合、キットは、対照サンプルと比較してまたは所定の参照レベルと比較して高い、生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する対象の非応答性または非感受性を表し、対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する対象の応答性または感受性を表すという指示書を含む。
一実施形態では、キットがMTAPの発現または活性を求める場合、キットは、対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する対象の応答性または感受性を表すという指示書を含む。
実施例1(図1、2、3、4、18、19、20、21、22、および23
方法
細胞株および細胞培養
DLD1およびSW480細胞を、ATCCより得て、Promega GenePrint10を使用して認証した。iKRAS細胞(iKRAS1、iKRAS3、AK196)が、親切なことにRon DePinho (Ying et al., Cell, 2012),(The University of Texas MD Anderson Cancer Center)より供給された。細胞培養培地を、GIBCOより購入した。製品番号を括弧内に示す。SW480およびiKRAS(DMEM−21969)とDLD1(RPMI−1640−31870)を、最終濃度が2mMのL−グルタミンと共に、10%FBS(10270)、ペニシリン−ストレプトマイシンおよびアムホテリシンを補充した規定の培地において維持した。保存iKRAS細胞を、ドキシサイクリン2ug/ml(KRAS−オン)の存在下と、ドキシサイクリンを有する/有さない(KRAS−オン/オフ)培地中で、実験用に増殖させた。細胞を、37℃で、5%CO加湿インキュベーターに維持した。培養細胞を、Mycoalert検出キット(Lonza)を使用して、マイコプラズマについて慣例的にテストした。
増殖アッセイ
iKRas細胞を、24ウェルプレートの完全DMEM培地+ドキシサイクリン2ug/mlに播種し、一晩付着させた。次に、細胞をPBSで洗浄し、セリンおよびグリシンを有するまたは有さない、ドキシサイクリン2ug/mlを有するまたは有さないアッセイ培地を与えた。3重ウェルを、「時刻=0」プレートを使用して、48時間目と96時間目に(Casy TT細胞カウンター,Innovatis,Roche Applied Scienceを使用して)カウントして、培地変更時からの相対的細胞数を計算した。示すデータは、3つの独立した実験によるものである。
メトホルミンin vitroアッセイ
DLD1およびSW480細胞を24ウェルプレートに播種し、一晩付着させた。細胞をPBSで洗浄し、セリンおよびグリシンを有するまたは有さない、既定投与量のドキシサイクリンを有するまたは有さないアッセイ培地を与え、3日間増殖させた。代表的なウェルを、光学顕微鏡を使用して撮影し、Casy TT細胞カウンターを使用してカウントした(図19d)。投与量−応答実験(図23e)では、細胞を、セリンおよびグリシンを有さないアッセイ培地か、または低セリンおよびグリシン(10uM)を有するアッセイ培地の何れかに同じように播種し、3重ウェルを3日後にカウントした。
オルガノイド培養
ADF=2mMのグルタミン、1%のぺニシリン/ストレプトマイシン溶液、0.1%のAlbuMAX I BSA、10mMのHEPES(全てGibco/Life Technologies)を有する、Advanced DMEM F/12。腺腫をマウスの小腸から取り出し、切って小片にし、氷冷PBSで5回洗浄した。小片を5mMのEDTAにおいて、10分間4℃で、ローラ上でインキュベートした。陰窩を氷冷PBS2回洗浄してEDTAを除去し、10xトリプシン中で37℃で30分間インキュベートした。陰窩を多く含む上清を収集し、メカニカルピペッティングにより、5mLのADFで5回、ざっと洗浄した。陰窩を、5分間の1200rpmの遠心分離によりペレット化した。陰窩を成長因子低減マトリゲル(BD Biosciences)に再懸濁し、12ウェルプレートの各ウェルに20μLを蒔いた。マトリゲルを37℃のインキュベーターにおいて30分間凝固させてから、0.05μg/mlのEGFおよび0.1μg/mlのノギン(1ウェルにつき全体積1ml)を補充した適切なADFを加えた。陰窩を、氷冷PBS中に収集することにより分割し、3分間600rpmで沈降させた。上清を吸引し、ペレットを、メカニカルピペッティングを使用して、100μLの氷冷PBSで分離させた。5mLのPBSをチューブに加え、3分間600rpmで沈降させ、上清からデブリがなくなるまで繰り返した。最終陰窩ペレットを増殖因子低減マトリゲルで再懸濁し、前と同じように蒔いた。セリン/グリシン欠乏では、無アミノ酸のAdvanced DMEM F/12(Gibco/Life Technologies)を使用して、セリンおよびグリシンを有しまたは有さず、他のアミノ酸は全て含有する、オルガノイド用アッセイ培地を構築した。
食餌
離乳後、マウスに「通常の固形飼料」(Rat and Mouse Breeder and Grower, 801730, Special Diet Services, SDS, UK)と水を自由に与えた。通常の固形飼料では、食餌のアミノ酸は、原材料(小麦、小麦食、大麦、外皮を除去し取り出しきつね色に焼いた大豆、とうもろこし、および魚粉)に含有される全タンパク質と、補足として加えた少量の精製リシンに由来する。Baker Purified Amino Acid Diet(Hirakawa et al., Nutr. Res. 1984)に基づき、TestDiet(登録商標)(Richmond,IN)の実験食を2セット使用した:「食餌1−対照」は、全必須アミノ酸に加え、セリン、グリシン、グルタミン、アルギニン、シスチン、およびチロシンを含有し、「食餌1−セリンなし、グリシンなし」は、食餌1−対照と同じだが、ただし、セリンとグリシンを含まず、同じ総アミノ酸含有量を達成するために他のアミノ酸レベルを比例して増やした。これらの「食餌1」製剤は、これまでにも使用された(Maddocks et al, Nature, 2013、および以下の「異種移植」より下を参照されたい)。「食餌2−対照」は、全必須アミノ酸に加え、セリン、グリシン、グルタミン、アルギニン、シスチン、チロシン、アラニン、プロリン、グルタミン酸、およびアスパラギンを含有し;「食餌2−Serなし、Glyなし/食餌2−SGフリー」は、食餌2−対照と同じだが、ただし、セリンとグリシンを含まず、同じ総アミノ酸含有量を達成するために他のアミノ酸レベルを比例して増やした。「食餌2」製剤を、Eμ−Myc−Tigar−/−コホートに使用した(図19f)。他の全てのコホートには、すでに発表した「食餌1」製剤を与えた。
マウス
全ての動物研究を、Animals (Scientific Procedures) Act 1986とEU Directive 2010に準拠して実行し、該動物研究は、施設内倫理審査プロセス(University of Glasgow)により承認された。ハツカネズミコホートを、環境エンリッチメントを積極的に行った柵付きの設備に収容した。Eμ−Myc11、ApcMin/+、Lgr5creER;Apcfl/flおよびPdx1cre;KrasG12D;Trp53fl/+またはTrp53R172H/+マウス/モデルについては、これまでに説明されている。オスとメスの混合集団を、各遺伝子型として使用した。マウスの数(または、個々のマウスからのサンプル数)を、各図/図の凡例に示す。Eμ−Myc、およびApcMin/+マウスは、少なくとも20世代のC57BL/6Jだった。Eμ−Myc;Tigarfl/flマウスは、少なくとも50%C57BL/6Jだった。マウスに以下の時刻で適切な食餌をとらせた:純血Eμ−Mycは生後60日目、Eμ−Myc;Tigarfl/flは生後55日目、ApcMin/+は生後80日目、Lgr5creER;Apcfl/flは注入後7日目、Pdx1cre;KrasG12D;Trp53fl/+またはTrp53R172H/+は、生後60日目。Lgr5creERによる組換えを、注射の間の休息日を用いて、120mg/kgのタモキシフェンを2回腹腔内注射することで誘発した。フェンホルミン実験では、Eμ−Mycマウスに100mg/マウス体重kgを強制経口投与し、これを食餌変更と同日に開始した。メトホルミン実験では、ApcMin/+マウスに飲料水中で200mg/kg/日を与え、これを食餌変更の4日後に開始した。全てのマウスを臨床エンドポイントまで世話をした。腫瘍数と腫瘍領域(幅×長さ)のスコア付けを容易にするため、ApcMin/+マウスの腸をメタカン(メタノール、クロロホルム、酢酸の比率が4:2:1)に固定した。
マウス研究でのサンプルサイズは、生存期間における潜在的差をMantel−Cox(ログ・ランク)解析によりテストした、これらのモデルを用いた以前の実験より推定した。最初の実験群(例えば、食餌のみを与えたEμ−MycおよびAPCMin/+)からのデータを集めた後、後続の群のサイズを小さくして、使用する動物数を最小化した(例えば、フェンホルミンおよびメトホルミン処置群。全ての実験において、研究への登録時点で明白な表現型を持つマウスのみ除外した(つまり、登録しなかった):例えば、Eμ−Mycコホートでのリンパ節腫大または胸腺の肥大の兆候、APCMin/+コホートでの貧血症状。腫瘍に無関係の疾病により死んだ動物は、打ち切り例として含めた。マウスを乱塊法に従って実験群に割り振った:マウスは繁殖により入手可能になることから、マウスを性別に基づき塊に分け、次に処置にランダムに割り当てた。潜在的な変動原因である性別を取り除くため、オス/メス比率を似た程度に維持するように注意した。研究者の実験群へのマウスの割り当ておよびエンドポイントデータの収集は、盲検化しなかった。
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)
サンプルを、メタノール、アセトニトリル、およびH2O(50:30:20)からなる冷却した(−20℃)溶解溶媒(LS)において調製した。10μLの血清サンプルを490μLのLSに加え、ボルテックスし、沈殿タンパク質を遠心分離により除去した。ウェルをPBSで洗浄し、次に各ウェルに250μLのLSを加え、40℃で10分間振とうすることによりオルガノイド抽出物を調製し、LSをウェルから除去し、次にタンパク質を遠心分離により除去した。組織サンプルを急速凍結し、−80℃で保存した。溶解前に、凍結サンプルを秤量し、次に、Precellys(登録商標)ホモジナイザー(Bertin Technologies)を使用して1mLの冷LSに均質化した。遠心分離により溶解物からタンパク質を除去し、溶解物濃度を、均質化後に、重量に基づき、LSを用いて標準化した。抽出物をAccela600LCシステムおよびExactive質量分析計(Thermo Scientific)からなるLCMSプラットフォームにおいて解析した。SeQuant ZIC−pHILICカラム(2.1mm×150mm、5μm)(Merck)を使用して、代謝物を、A=炭酸アンモニウム20mM(pH9.4に調節)およびB=アセトニトリルを混ぜた移動相で分離した。20%のAで開始し、2分後に直線的に増加させ、17分で80%にする勾配プログラムを使用し、その後、洗浄と平衡化ステップを続けた。本方法の全実行時間は25分だった。LCストリームを脱溶媒し、HESIプローブにおいてイオン化した。Exactive質量分析計を、極性を切り替えながら、50000の分解能で、75−1000m/zの質量範囲において、フルスキャンモードで操作した。代謝物の特定および定量化のために、生データをLCquan(Thermo Scientific)およびMZMine2.10により解析した。
ウェスタンブロット
細胞に対しウェスタンブロットを前述のように実行し(Maddocks et al, Nature, 2013; Labuschagne et al., Cell. Rep., 2014; Maddocks et al, Mol. Cell, 2016)、手短に、全細胞タンパク質溶解物を、完全プロテアーゼ阻害剤(Roche)、オルトバナジン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム(両方ともSigma)を補充したRIPA緩衝液において調製した。組織サンプルを、TissueLyser II(Qiagen)を使用して、プロテアーゼとホスファターゼの阻害剤カクテル(Pierce/Thermo Scientific)を補充したRIPA緩衝液に溶解した。溶解物を遠心分離により除去し、プレキャストした4−12%の‘NuPAGE’または‘Bolt’ゲル(Invitrogen,Life Technologies)を使用して分離し、ニトロセルロース膜に移した。Li−Cor Odyssey(登録商標)赤外線スキャナおよびソフトウェア(Li-Cor Biosciences)を使用して、タンパク質を検出し、定量化した。関連する種に対する第2抗体は、結合したIRDye680およびIRDye800(Li-Cor Biosciences)だった。使用した一次抗体は:PHGDH(Sigma Life Science,HPA021241)、PSAT1(Novus Biologicals,NBP1-32920)、PSPH(Santa Cruz,sc-98683)、アクチンI−19−R(Santa-Cruz,sc-1616-R)、pERK[Phospho-p44/p42 MAPK (Erk1/2)(Thr202/Tyr204)](Cell Signalling Technology9101)、AMPKa1(R&D Systems,AF3197)、およびホスホ−AMPKT172(Cell Signalling Technology2535)だった。
qRT−PCR
RNeasyキットを、DNAを除去するDNase(両方ともQiagen)と共に使用して、RNAを抽出した。Applied Biosystems7500 Fast Real−Time PCRシステムをSYBR Green master mix(Applied Biosystems)と共に使用して、qRT−PCRを前述のように実行した(Maddocks et al, Nature, 2013)。プライマー(5´−3´):TGGCCTCGGCAGAATTGGAAGに対しマウスPHGDH;マウスPHGDH Rev TGTCATTCAGCAAGCCTGTGGT;GATGAACATCCCATTTCGCATTGGに対しマウスPSAT1;マウスPSAT1 Rev GCGTTATACAGAGAGGCACGAATG;GAGATGGAGCTACGGACATGGAAGに対しマウスPSPH;マウスPSPH Rev CTCCTCCAGTTCTCCCAGCAGCTC。マウスActinBはPrimer Design(HK-SY-mo-900 ACTB)より購入。配列はEurofins MWG Operonにより合成し、精製。
統計
生存期間データについての統計的比較を、Mantel−Cox(ログ・ランク)検定を使用し、Graphpad Prism(v6)ソフトウェアを用いて計算した。T検定を、Microsoft excel(v14.6.1)またはGraphpad Prism(v7)の何れかを使用して実行した。type1/対応あり(サンプルを同じ動物から採取)およびtype−2/独立(サンプルを異なる動物から採取)のT検定を使用した。潜在的差異の方向が予測されない場合は、両側/2両側T検定を使用した(例えば、血清サンプル中の全アミノ酸レベルで、図21)。既存のデータにより、サンプル間の差の方向における予測が支持される場合、片側/片側T検定を使用した(例えば、de novoセリン合成、図2d)。提示するデータが個々のデータ点の平均であり、エラーバーがSTDEVである場合もあるし、データが平均の平均であり、エラーバーがSEMである場合もある。各例において、T検定またはエラーバーの該当する種類を、図の凡例において特定する。T検定を多重比較と共に行った場合、Graphpad Prism(v7)ソフトウェアを使用するHolm−Sidak法を使用して、P値を修正した。
異種移植
3x106のHCT116細胞の左右対称な皮下注射を、8週CD−1−Foxn1nuメスマウス(Charles River)において行った;右側腹部にp53+/+、左にp53−/−(1ex)。注射の直後に、マウスに、以下のような配合の、対照食(n=10)(アミノ酸混合物の一部としてセリンおよびグリシンを含有する)か、またはセリンおよびグリシンが欠乏した食餌(n=10)(Test Diet、International Product Supplies)をとらせた:
対照食の成分:スクロース(25.9%)、コーンスターチ(41.8%)、コーン油(5.0%)、Bakerアミノ酸ビタミン混合物(0.2%)、Bakerアミノ酸ミネラル混合物(10.0%)、重炭酸ナトリウム(1.0%)、DL−αトコフェリル酢酸(0.004%)、エトキシキン(防腐剤、0.019%)、塩化コリン(0.1%)、アミノ酸プレミックス(16.0%)。アミノ酸プレミックス:L−アルギニン−HCL(1.60%)、L−シスチン(0.64%)、L−グルタミン(1.60%)、グリシン(1.33%)、L−ヒスチジン−HCL(0.96%)、L−イソロイシン(1.07%)、L−ロイシン(1.60%)、L−リシン−HCL(1.87%)、L−メチオニン(0.80%)、L−フェニルアラニン(1.07%)、L−セリン(1.33%)、L−トレオニン(1.07%)、L−トリプトファン(0.27%)、L−チロシン(0.53%)、L−バリン(1.07%)。セリンおよびグリシンフリー食は、対照食と基本的な配合は同じであるが、アミノ酸混合物はセリンとグリシンを欠く。セリンおよびグリシンフリー食の成分:スクロース(25.9%)、コーンスターチ(41.8%)、コーン油(5.0%)、Bakerアミノ酸ビタミン混合物(0.2%)、Bakerアミノ酸ミネラル混合物(10.0%)、重炭酸ナトリウム(1.0%)、DL−αトコフェリル酢酸(0.004%)、エトキシキン(防腐剤、0.019%)、塩化コリン(0.1%)、アミノ酸プレミックス(16.0%)。アミノ酸プレミックス:L−アルギニン−HCL(1.60%)、L−シスチン(0.64%)、L−グルタミン(1.60%)、L−ヒスチジン−HCL(0.80%)、L−イソロイシン(1.28%)、L−ロイシン(1.92%)、L−リシン−HCL(2.24%)、L−メチオニン(0.96%)、L−フェニルアラニン(1.28%)、L−トレオニン(1.28%)、L−トリプトファン(0.32%)、L−チロシン(0.64%)、L−バリン(1.28%)。
食餌のカロリー値は等しく、総アミノ酸含有量も等しい。動物を無菌IVCケージに収容し、週に3回監視し、腫瘍が所定のサイズ(体積=(長さx幅2)/2)または潰瘍化という臨床エンドポイントに到達した際に、人道的に殺処分した。全ての動物実験は、倫理審査プロセス(University of Glasgow)により承認され、1986年のUK Animals (Scientific Procedures) Act (PPL60/4181)とEU Directive2010に準拠して実行した。
結果
KRasの活性化およびp53の損失(KrasG12Dp53+/−)または変異(KrasG12Dp53R172H)により生じた膵臓がんの2匹のマウスモデルをテストした。驚くべきことに、何れのモデルにおいても、セリン/グリシンフリー食に応答した生存期間の著しい変化は観察されなかったが(図1aおよびb)、ただし、血清のセリンおよびグリシンレベルは明白に減少した(図3aおよびb)。13C−15N−標識セリンの静脈注射は、セリンの取り込みが、膵臓の正常組織および腫瘍組織において同等である一方、APCminモデルの腸腫瘍は、正常組織に比べ、(セリンおよびセリンに由来するグリシンの標識により測定されるように)著しく多くのセリンを取り込む(図1c)ことを明らかにした。これらの結果は、APCmin腫瘍が外来性セリンを多く必要とすること、ひいてはAPCmin腫瘍の食餌性セリン制限に対する感受性と一致する。しかしながら、膵臓腫瘍は、外来性セリンに対する依存性が低いようで、これは、食餌に対する膵臓腫瘍の抵抗性を説明する。
リンパ腫/腸腫瘍モデルと、膵臓モデルの間の明白な違いは、後者において、活性化Krasが存在することである。活性化Rasは、マクロピノサイトーシス、つまり、細胞の遊離循環セリンレベルへの依存度を低くすることが可能な機序を通して、細胞外タンパク質へアクセスする細胞の機能を高めることが示されている。しかしながら、SSP経路酵素の過剰発現も細胞外セリンへの依存を取り除き得るから、本研究者らは、de novoセリン合成を行うこれらの細胞の機能に対するKRasG12D発現の影響も調べることにした。本研究者らは、ドキシサイクリン誘導性KrasG12Dを有する膵臓細胞を使用して、KRasG12Dの下方制御後に、RNAとタンパク質レベルの両方で、SSP酵素発現が一貫して減少することを発見した(図1dおよびe)。KrasG12Dを発現している細胞は、セリンおよびグリシンの欠乏に対し完全に抵抗性があった。KrasG12Dの不活性化は、完全培地において、これらの細胞の増殖速度を遅くし、重要なことに、KrasG12Dを有さない細胞は、セリン欠乏に対する感受性を取り戻し、セリンおよびグリシンフリー培地において、増殖のさらなる低下を示した(図1f)。
本研究者らは、また、オルガノイド培養モデルを使用し、KrasG12D発現が、セリン感受性腸腫瘍細胞に抵抗性を与え得るか否かをテストした。APCmin腸オルガノイドをin vitroで球として成長させたが、当社のin vivo研究と一致して、これらのオルガノイドの成長はセリンおよびグリシン除去により妨げられた(図2a)。対照的に、APCmin/KrasG12Dオルガノイドがセリン欠乏により受ける影響はずっと少なかった(図2a)。さらに、セリンおよびグリシンフリー条件での5日間の成長により、APCminオルガノイドが完全培地に再播種後に回復する機能はひどく損なわれた一方、KrasG12D発現オルガノイドは急速に回復した(図2bおよび図28)。これらの表現型の変化は、KrasG12D発現腸細胞におけるSSP酵素のより高い基礎発現によりもたらされたものである(図2c)。SSPは、解糖中間体を利用してセリンを作成するため、これらの細胞におけるSSP活性をテストするため、当研究者らは、13C−標識グルコースを含有する培地においてオルガノイドを成長させ、標識したグルコースとセリン(グルコースから合成される)のレベルを測定した(図2d)。標識グルコースレベルは、APCminとAPCmin KrasG12D細胞で同等で、これらの細胞においてグルコースを取り込む機能が等しいことが示された一方、標識セリンのレベルはKrasG12D発現細胞で著しく高く、KrasG12D発現細胞においてセリン合成速度が速いことが支持された(図2d)。
PDAC用GEMモデルにおける血清アミノ酸の解析により、食餌が、両モデルにおいてセリンおよびグリシンの全身レベルを著しく減少させることが示されたが(図3aおよびb)、他のアミノ酸レベルは変わらなかったか、または軽微な/一貫性のない変化を示した。このセリンおよびグリシンの全身的な減少にも関わらず、PDAC腫瘍は、上記のde novoセリン合成を上方制御するその機能により、セリン/グリシン欠乏に対し抵抗性があった(図1および2)。対照的に、異種移植したヒト大腸がん細胞株(HCT116)から形成されたヌードマウスの腫瘍は、食餌性セリン/グリシン欠乏に対し、感受性であった。異種移植モデルにおいて、セリン/グリシンフリー食は、腫瘍体積の著しい減少を引き起こし(図4a)、マウスの生存期間を著しく延ばした(図4b)。
異種移植モデルでなされた観察が自発性腫瘍にもいえるか否かを評価するため、リンパ腫(Eμ−Myc発現に基づいて)および腸腫瘍(不完全なAPC発現に基づいて)用に作られたモデルを使用した。マウスを、生後60−80日後に、通常の固形飼料食から実験食に移行させ、その後、前癌性病変が発症し(生後数日後のAPCMin/+マウスに腺腫イニシエーションが起き、Eμ−Mycマウスは、生後28−42日内に新生物発生前病変を発症する)、(予防ではなく)治療介入を再現した。両遺伝子型において、セリンおよびグリシンフリー食は著しく生存期間を延ばした(図18aおよびb)。APCMin/+マウスの腫瘍領域は、臨床エンドポイント時のセリン/グリシンフリー食マウスの腫瘍サイズに、小さいが有意な腫瘍サイズの縮小傾向が見られるが、臨床エンドポイント時のセリン/グリシンフリー食マウスの腫瘍数には有意な差はないことを示した(図20)。
血清サンプルの液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)解析は、食餌が、セリンおよびグリシンレベルの著しい低下を再現性よく引き起こすが、他のアミノ酸への影響は最小限であるかまたは一貫性がないことを示した(図18cおよびd、図21aおよびb)。これらの変化は、対照食での約150μMからセリンおよびグリシンフリー食での65μMという、血清のセリンおよびグリシンの減少につながった(図18e)。さらに、誘発性腸腫瘍モデル(Lgr5−creER APCfl/fl)を使用して、食餌の生存効果をさらに検証した;この場合、腫瘍誘発が開始された1週間後にマウスを食餌に移行させた。またも食餌は、対照食(精製アミノ酸を含有する)または通常の固形飼料(アミノ酸供給源として総タンパク質を含有する)と比較し、生存期間の著しい延長をもたらした(図18f)。
セリン欠乏は、de novoセリン合成を活性化し、解糖中間体をエネルギー生成から転用する。細胞はOXPHOSを増加させることにより応答してATPレベルを維持し、OXPHOSを抑制することは、セリン欠乏の抗増殖効果を高め得る。これらの知見が自発性腫瘍モデルにもいえるか否かをテストするため、Eμ−Mycマウスにおいて、セリンおよびグリシン欠乏を、ビグアナイドフェンホルミン(複合体I阻害剤)と組み合わせた。最大投与量のフェンホルミン(100mg/kg/日)は、通常食のマウスには耐えられたが、セリンおよびグリシン欠乏食を与えたマウスでは著しい毒性(排便障害に似た症状)を誘発した。これは、本研究者らに本研究への補充を減らすことを強いたが、すでに補充し、毒性に屈しなかったマウス(7/14)に、さらなる有害作用はなかった。これらのマウスを、フェンホルミンを有する食餌で維持し、該マウスは、セリンおよびグリシンフリー食のみの動物と比較し、生存期間の改善傾向を示した。しかしながら、初期の毒性のために、残存したマウスが少なすぎて、この効果を統計的に有意にすることはなかった(図19a)。これらの結果はこれまでの研究と整合性があり、腫瘍同種移植系におけるセリン欠乏とビグアナイド処置の共同作用を示す。
ビグアナイド処置とセリン欠乏の潜在的相乗効果をさらに調査するため、本研究者らは、より毒性が低く、抗糖尿病薬として診療所で広く使用され、抗がん剤として治験されているメトホルミンに目を向けた。経口メトホルミンの全身アベイラビリティは概して貧弱であるが、一部の組織(腸を含む)は、メトホルミンの取り込みを促進するOCT1トランスポーターを発現し、APCMin/+マウスを生存可能モデルにする。以前の研究に導かれて、ヒト一日投与量の1g/日と同等である(体表面積計算による)、マウスにおけるメトホルミン投与量(200mg/kg/日)を選択した。0.5−1g/日の投与量が大腸がんにおける多数のメトホルミン臨床治験に使用されており、つまり、当研究者らは、臨床的に適切な投与量を選んだが、フェンホルミンで見られた毒性を避けるために、準最大投与量を選んだ。しかしながら、セリン欠乏の有益な効果は持続するものの、APCMin/+マウスの生存期間に対するメトホルミンの有意な影響を検出することができなかった(図19bならびに図22およびb)。興味深いことに、メトホルミンは、実際に、両食餌群に存在する腫瘍数を増加させ(セリンおよびグリシンフリー食群では統計的に有意)(図19c)、平均腫瘍領域に実質的な変化はなかった(図22c)。この結果は、VillincreER;APCfl/flマウスに由来する腸腫瘍オルガノイドにおける、セリン欠乏と共同するメトホルミン(1000uM)の能力を考えると驚くべきであるが(図19d)、腫瘍−オルガノイドデータも、低投与量メトホルミンがセリンおよびグリシン欠乏に拮抗し、腫瘍細胞を欠乏から守ることを示した(図19d)。メトホルミンのこれらの投与量依存的効果(セリンおよびグリシン欠乏の影響から保護するまたは該影響を増強することの何れかに対する)は、活性酸素種(ROS)レベルに対するメトホルミンの影響に関連している可能性が高く、ROSレベルは低投与量メトホルミンでは低下し、高投与量メトホルミンでは増大する(図19e)。
なぜメトホルミン処置がセリン/グリシン欠乏マウスで有効でないように見えたかを調べるため、血清および組織を質量分析計により解析した。メトホルミン処置マウスからの血清および組織の解析(図23a、23b、および23c)により、メトホルミンレベルが比較的低く、その範囲では、セリンおよびグリシン欠乏の抗増殖効果を(増強するのではなく)弱めると予測されることが示された。血清グルコースおよび乳酸の解析により、これらの低レベルのメトホルミンは、全身代謝への影響が最小限であることが示された(図23d)。これらの濃度では、メトホルミンは、セリン/グリシン欠乏APC欠損オルガノイドとの相乗効果がなく(上で検討したように、図19d)、APC切断型大腸細胞株では、20μMで細胞数の増加傾向を示した(図23e)。メトホルミンには、チオレドキシンの上方制御を含む古くから知られた抗酸化特性があり、本研究者らは、抗酸化物質が、セリンおよびグリシン欠乏時にROSから守ることにより、細胞の生存期間を改善することを示した。したがって、本研究は、臨床的に適切な投与量および組織透過性にもかかわらず、メトホルミンレベルが腫瘍増殖を阻害するには低すぎたことを示唆する。これは、高投与量とはいえ、メトホルミンで、APCMin/+マウスの腫瘍領域の中程度の減少を示す(腫瘍数の変化はない)これまでの研究とは対照的である。
これまで、セリンの枯渇が培養細胞をROSに対しより感受性にすることを示した。そのため、ROSレベルをin vivoで上昇させることがセリン枯渇食の抗腫瘍効果を高めるか否かを直接的にテストするため、Tigar欠失マウスを使用した。TIGARタンパク質は、ROSを制限することにより腫瘍形成を支えることが示されている。この混合株バックグラウンドにおいて、Eμ−Mycの発現は、純Bl6 Eμ−Mycよりも速く、マウスをリンパ腫で死に至らせたが(図18aに示す)、予想通り、Tigar欠失後は生存期間が延びることを発見した(図19f)。重要なことに、Tigar欠失とセリンおよびグリシンフリー食の組み合わせには効果の改善が見られ、生存期間の著しい全体的な延長をもたらした(図19f)。これらのデータは、腫瘍ROSレベルを上昇させることが、セリンおよびグリシンフリー食と組み合わせた場合に生存期間の改善をもたらすだろうという概念を支持する。多くの化学療法薬および放射線療法がROSを誘発するため、この食餌を標準的な抗がん処置と組み合わせる優れた可能性が存在する。
実施例2(図5および表1)
方法
HCT116(1ウェルにつき6000細胞)、DLD1(1ウェルにつき6000細胞)、およびSE480(1ウェルにつき10000細胞)の細胞を、96ウェルプレートにおいて、セリンおよびグリシンを含有するまたは欠く(ただし、他のアミノ酸は全て含有する)培地の何れかに播種した。6時間後、既定の薬物を規定の投与量(0.1−10uMの範囲)でプレートに加え、細胞をさらに48時間インキュベートした。この時間後、細胞をホルマリン(4%)溶液に固定し、DAPI核染料で染色した。細胞カウントをOperettaシステムを使用して行った。結果を図5に示す。
ヒト細胞株HCT116、DLD1、およびSW480を、96ウェルプレートに、セリン、グリシン、およびシステインを100uMで含有し、他のアミノ酸が全て存在する完全培地か、または、他のアミノ酸が全て存在する、低セリン、グリシン、システイン(17−23uM)培地の何れかに播種した。6時間後、既定の化学療法薬をウェルに加え(0.01、0.1および1uMの投与量で)、細胞をさらに48時間インキュベートした。この時間の後、細胞をホルマリン固定し、自動化(Operetta)プレートリーダーでの細胞カウントのために、蛍光核染料で染色した。細胞数データを使用して、相乗スコアを導きだして、どの薬物が、低セリン/グリシン/システインと組み合わせて与えた場合に相乗的であるか(つまり、相加効果より大きいか)を計算した(以下参照)。結果を表1に示す。
図5に示すデータは、(多数の薬物クラスからの)多数の抗がん化学療法薬が、セリンおよびグリシン欠乏と組み合わさった場合、ヒトがん細胞において抗増殖活性を高めたことを実証する。そのため、このデータは、がん患者においてセリンおよびグリシンフリー食と従来の化学療法を組み合わせることにより、化学療法の抗腫瘍活性が高められるおよび/または化学療法をより低い投与量で使用することが可能になることを示唆する。
表1は、特定の薬物と培地中のセリン、グリシン、およびシステインの減少との組み合わせの、3つの大腸細胞株での平均相乗スコアを示す。
表1に示すデータは、(セリンおよびグリシンフリー食またはセリン、グリシン、およびシステインフリー食をとった場合にin vivoで起きるような)低濃度のセリン、グリシン、およびシステインにさらされたヒトがん細胞が、多数の化学療法薬の抗増殖作用に対し、より感受性であることを示す。表1に上げた化学療法薬では、低セリン、グリシン、およびシステインと組み合わせた場合に抗増殖活性に対し相乗効果がある;つまり、アミノ酸制限と組み合わせた各薬剤の抗増殖作用は、単独で与えた薬剤の抗増殖作用とアミノ酸制限のみの効果の和よりも大きい。そのため、このデータは、がん患者においてセリンおよびグリシン/セリン、グリシン、およびシステインフリー食と従来の化学療法を組み合わせることが、化学療法の抗腫瘍活性を高めるおよび/または化学療法をより低い投与量で使用することを可能にすることを示唆する。
実施例3(図6、7、10、および11)
方法
C57Bl6マウス(1食餌群につきn=3)に、対照食(上記の「食餌2−対照」を参照)か、セリンおよびグリシンを欠く食餌(上記の「食餌2−Serなし、Glyなし」)を6週間与えた。末端血清サンプルを上記のようにLCMSにより解析した。全非必須アミノ酸の相対量を示す。*P<0.05独立t検定。結果を図6に示す。
細胞培養:HCT116およびRKO細胞は、Bert Vogelstein教授の寄贈品だった。SW480、A549、MDA−MB−231、MDA−MB−468、およびMCF7細胞は、ATCCより得た。細胞培養生成物は、特に明記しない限りGibcoより得た;カタログ番号は括弧内に示す。細胞を、37℃の空気中で、5%COの加湿雰囲気において増殖させた。保存細胞は10%のウシ胎児血清(FBS;10270)およびペニシリン−ストレプトマイシンを補充したマッコイ5A培地(26600)か、または、10%FBS(G10270)、2mMのL−グルタミン、およびペニシリンーストレプトマイシンを補充したDMEM(21969)に維持した。欠乏実験のため、セリンおよびグリシンを欠く「アッセイ培地」を、透析したFBS(HyClone, Thermo Scientific)、2mMのL−グルタミン、D−グルコース(Sigma-Aldrich;最終濃度17mM)、MEMビタミン(11120)、およびペニシリン−ストレプトマイシンを補充したMEM(21090)を用いて配合した。
取り込み/流出アッセイ:規定の細胞を、6ウェルプレートの完全培地に(アッセイの終わりまでに〜90%コンフルエントとなる適切な播種濃度で)播種し、48時間増殖させた(培地は24時間後に新しくした)。アッセイの開始時に、細胞をPBSで洗浄し、セリンおよびグリシンの両方(0.4mM)を補充したアッセイ培地を1ウェルにつき1.5mL与えた。規定の時点で、10μLの培地を除去し、490μLの氷冷メタノール/アセトニトリル/HO(50:30:20)に加えた。これらのサンプルを以下に記載するように、LC−MS用に調製した。
液体クロマトグラフィー−質量分析:サンプルを4℃で10分間振とうし、次に15分間16000×gで遠心分離し、上清を収集し、LC−MSにより解析した。解析物を、SeQuant ZIC−pHILICカラム(2.1×150mm,5μm)(Merck)を有する親水性相互作用液体クロマトグラフィーを使用して分離し、Orbitrap ExactiveをAccela autosamplerとAccela 600pump(Thermo Scientific)と併せて使用する高分解能精密質量質量分析で検出した。溶出緩衝液は、緩衝液Aではアセトニトリルで、緩衝液Bでは、HO中の20mM(NHCOおよび0.1%NHOHだった。直線勾配を、100μL/分の流速で、80%緩衝液Aから開始し、20分後に20%緩衝液Aで終わり、その後、洗浄(20%緩衝液A)および再平衡化(80%緩衝液A)ステップが続くようにプログラムした。質量分析計にエレクトロスプレー−イオン化プローブを装着し、フルスキャンおよび4.5kVの正の電圧と3.5kVの負の電圧の極性スイッチモードで操作した。セリンおよびグリシンのレベルを、細胞溶解物および培地に打った5点検定曲線を使用して定量化した。代謝物特定およびデータ解析を、LCQUANソフトウェア(Thermo Scientific)を使用して実行した。結果を図7に示す。
結果
図7に示すデータは、セリンおよびグリシンを食餌から除去することは、また、食餌性システイン/シスチンが存在する場合でも、in vivoでシステイン/シスチンレベルの枯渇をもたらし得ることを実証する。この効果は、セリンがde novoシステイン合成に使用されることにより生じる可能性が高い(図10および11参照)。このデータは、また、メチオニン(in vivoのシステインの前駆体でもある必須アミノ酸)の食餌性制限が、さらに、in vivoでの全身のシステインレベルをさらに枯渇させ得ることを示唆する。図7に示すデータは、多数の形態のがんのがん細胞株が、貪欲に外来性システイン/シスチンを消費することを示し、これは、がん細胞が増殖するために外来性システインを必要とし、de novoシステイン合成に欠陥があり得ることを示す(図10および11参照)。
実施例4(図8、9、12、および13)
方法
規定の細胞を24ウェルプレートに、1ウェルにつき2x10^4〜1x10^5で播種し、一晩付着させた。次に細胞をPBSで1回洗浄し、実験増殖培地を加えた。培地は、セリン、グリシン、システイン、および他のアミノ酸を全て含有し、完全(+SGC)であるか、または、セリンおよびグリシンのみを欠くか(−SG)、または、システインのみを欠いた(−C)。別の「時刻0」カウントプレートを使用して、開始細胞数を記録した。培地を24時間ごとに変え、プレートを2日後および4日後にカウントした。相対的細胞数を、「時刻0」時の細胞数との比較により計算した。カウントでは、細胞をトリプシン処理し、PBS−EDTAに再懸濁し、CASY Model TT Cellカウンター(Innovatis,Roche Applied Science)を用いてカウントした。データは3重ウェルの平均であり、エラーバーは標準偏差である。結果を図8に示す。
規定の細胞を24ウェルプレートの、既定の濃度(500uM〜0.16uMの範囲)のセリン、グリシン、およびシステインを有する(ただし、他のアミノ酸は全て豊富である)培地に(1ウェルにつき2x10^4〜1x10^5で)播種し、48時間後にカウントした。カウントでは、細胞をトリプシン処理し、PBS−EDTAに再懸濁し、CASY Model TT Cellカウンター(Innovatis,Roche Applied Science)を用いてカウントした。結果を図9に示す。
規定の細胞を24ウェルプレートに、1ウェルにつき2x10^4〜1x10^5で播種し、一晩付着させた。次に細胞をPBSで1回洗浄し、実験増殖培地を加えた。培地は、全アミノ酸を有し完全であるか(+全AA)、セリンおよびグリシンのみを欠くか、(−Ser Gly)、セリン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、プロリン、およびグルタミン酸を欠くか(−Ser Gly Asn Asp Pro Glu)、またはセリン、グリシン、およびチロシンを欠くか(−Ser Gly Tyr)、またはセリン、グリシン、およびシステインを欠くか(−Ser Gly Cys)、またはセリン、グリシン、およびアルギニンを欠いた(−Ser Gly Arg)。別の「時刻0」カウントプレートを使用して、開始細胞数を記録した。培地を24時間ごとに変え、プレートを2日後および3日後にカウントした。相対的細胞数を、「時刻0」時の細胞数との比較により計算した。カウントでは、細胞をトリプシン処理し、PBS−EDTAに再懸濁し、CASY Model TT Cellカウンター(Innovatis,Roche Applied Science)を用いてカウントした。データは3重ウェルの平均であり、エラーバーは標準偏差である。結果を図12に示す。
HCT116細胞を、24ウェルプレートに1ウェルにつき4x10^4で播種し、一晩付着させた。次に細胞をPBSで1回洗浄し、実験増殖培地を加えた。培地は、20個のアミノ酸を全て有し完全であるか、既定の個々のアミノ酸(チロシン/アルギニン/システイン)を欠くか、または、既定のアミノ酸の組み合わせ(チロシン/アルギニン/システイン/セリン/グリシン)を欠いた。別の「時刻0」カウントプレートを使用して、開始細胞数を記録した。培地を24時間ごとに変え、プレートを4日後にカウントした。細胞数の変化を、「時刻0」時の細胞数との比較により計算し、パーセンテージとして計算した(時刻0=100%)。例えば、完全培地の細胞では、4日後の細胞数は、時刻0に対し1400%だった。時刻0からの負の%変化をした細胞は、細胞死を経験したもので、x軸を下回って現れる。カウントでは、細胞をトリプシン処理し、PBS−EDTAに再懸濁し、CASY Model TT Cellカウンター(Innovatis,Roche Applied Science)を用いてカウントした。データは3重ウェルの平均であり、エラーバーは標準偏差である。結果を図13に示す。
結果
図8および9のデータは、外来性システインの除去が多タイプのがんからのがん細胞の増殖を阻害し、in vitroでのシステイン枯渇は、がん細胞の増殖を阻害するのに非常に効果的で、セリンおよびグリシン欠乏のみよりも、高い増殖阻害を達成することを示す。図12は、除去した(つまり、細胞に欠乏している)外来性非必須アミノ酸の特定の組み合わせが、がん細胞において増殖が阻害される程度を決定することを示す。セリンおよびグリシンのみを除去することの抗増殖効果は、アスパラギン酸、アスパラギン、プロリン、およびグルタミン酸を除去することにより最小限に高められる。一方、セリンおよびグリシンと組み合わせて、チロシン、アルギニン、システインを個別にさらに除去すると、増殖に対しより劇的な影響を及ぼす。図13は、さらに、システインまたは非必須アミノ酸の特異的組み合わせががん細胞から除去された場合に、細胞毒性効果(つまり、単なる抗増殖活性を上回る)が達成され得、細胞毒性効果は、多数の非必須アミノ酸が除去された場合に最大になることを示す。
実施例5(図14)
方法
セリン合成経路酵素(PHGDH、PSAT1、およびPSPH)の発現を、セリンおよびグリシンありまたはなしで48時間増殖させた規定のがん細胞株(左上パネル)において、(上記のように)ウェスタンブロットにより求めた。規定の細胞を、24ウェルプレートに1ウェルにつき4x10^4〜1x10^5で播種し、一晩付着させた。次に細胞をPBSで1回洗浄し、セリンおよびグリシンを含有するかまたは欠く増殖培地を加えた(両培地とも全必須アミノ酸と、システイン、アルギニン、グルタミン、およびチロシンは含有した)。別の「時刻0」カウントプレートを使用して、開始細胞数を記録した。培地を24時間ごとに変え、プレートを2日後および4日後にカウントした。相対的細胞数を、「時刻0」時の細胞数との比較により計算した。カウントでは、細胞をトリプシン処理し、PBS−EDTAに再懸濁し、CASY Model TT Cellカウンター(Innovatis,Roche Applied Science)を用いてカウントした。データは3重ウェルの平均であり、エラーバーは平均の標準誤差である。結果を図14に示す。
結果
図14のデータは、がん細胞の、de novoセリン合成を請け負う酵素の発現レベルは様々で、これらのタンパク質の発現は、セリンおよびグリシン欠乏に対する細胞の感受性に影響を与えることを示す。つまり、高レベルのセリン合成酵素を発現している細胞は、セリンおよびグリシン欠乏の抗増殖効果に対し抵抗性があるが、低発現の細胞は感受性である。
実施例6(図15、16、17)
方法
規定の細胞を、6ウェルプレートの完全培地に(アッセイの終わりまでに〜90%コンフルエントとなる適切な播種濃度で)播種し、48時間増殖させた(培地は24時間後に新しくした)。アッセイの開始時に、細胞をPBSで洗浄し、セリンおよびグリシンの両方(0.4mM)またはセリンのみ(0.4mM)を補充したアッセイ培地(全必須アミノ酸、グルタミン、アルギニン、チロシン、およびシステインを含有する)を1ウェルにつき1.5mL与えた。規定の時点で、10μLの培地を除去し、490μLの氷冷メタノール/アセトニトリル/HO(50:30:20)に加えた。これらのサンプルを以下に記載するように、LC−MS用に調製し、LC−MSにより解析した。結果を図16および17に示す。
結果
図15、16、および17のデータは、がん細胞が、システインのde novo合成の前駆体の総流出(つまり放出)を示すことを示す。ホモシステインは、メチオニンに由来し、哺乳類細胞でのシステインのde novo合成に必須である(図10および11も参照されたい)。ホモシステインは、種々の形態でこれらのがん細胞から失われ−システインを作れないこと、そのため、システイン欠乏に対し感受性であることに潜在的に寄与する−、ホモシステインは、不変分子(ホモシステイン)としてまたはホモ二量体(ホモシスチン)および(システインを有する)ヘテロ二量体として質量分析法により検出することが可能である。
実施例7(図24、25、26、27、28、29、30、31)
細胞株および細胞培養
HCT116細胞をATCCより得て、Promega GenePrint10を使用して認証した。iKRAS細胞(iKRAS1、iKRAS3、AK196)が、親切なことにRonald DePinho教授より供給された(Ying et al., Cell, 2012),(The University of Texas MD Anderson Cancer Center)。細胞培養培地はGIBCOから購入した。製品番号を括弧内に示す。iKRAS(DMEM-21969)およびHCT116細胞(RPMI-1640-31870)を、最終濃度が2mMのL−グルタミンと共に、10%FBS(10270)、ペニシリン−ストレプトマイシン、およびアンホテリシンを補充した規定の培地において維持した。保存iKRAS細胞を、ドキシサイクリン2μg/ml(KRAS−オン)の存在下と、ドキシサイクリンを有する/有さない(KRAS−オン/オフ)培地中で、実験用に増殖させた。細胞を、37℃で、5%CO加湿インキュベーターに維持した。培養細胞を、Mycoalert検出キット(Lonza)を使用して、マイコプラズマについて慣例的にテストした。
増殖アッセイ
HCT116細胞(1ウェルにつき2.5x10^4)を、24ウェルプレートの完全RPMI培地に播種し、一晩付着させた。次に、細胞をPBSで洗浄し、種々の濃度のセリンおよびグリシンを補充した修正MEM培地を与えた。培地は24時間ごとに新しい培地と交換した。ウェルを、「時刻=0」プレートを使用して、既定の時点で(Casy TT細胞カウンター,Innovatis,Roche Applied Scienceを使用して)カウントして、培地変更時刻からの相対的細胞数を計算した。
腫瘍オルガノイド培養
ADF=2mMのグルタミン、1%のぺニシン/ストレプトマイシン溶液、0.1%のAlbuMAX I BSA、10mMのHEPES(全てGibco/Life Technologies)を有するAdvanced DMEM/F−12。腺腫様小腸組織を切除し、切って小片にし、氷冷PBSで5回洗浄した。小片を5mMのEDTAにおいて、10分間4℃で、ローラ上でインキュベートした。陰窩を氷冷PBSで2回洗浄してEDTAを除去し、10xトリプシン中で37℃で30分間インキュベートした。陰窩を多く含む上清を収集し、メカニカルピペッティングにより、5mLのADFで5回、ざっと洗浄した。陰窩を、5分間の1200rpmの遠心分離によりペレット化した。陰窩を成長因子低減マトリゲル(BD Biosciences)に再懸濁し、12ウェルプレートの各ウェルに20μLを蒔いた。マトリゲルを37℃のインキュベーターにおいて30分間凝固させてから、0.05μg/mlのEGFおよび0.1μg/mlのノギン(1ウェルにつき全体積1ml)を補充した適切なADFを加えた。陰窩を、氷冷PBS中に収集することにより分割し、3分間600rpmで沈降させた。上清を吸引し、ペレットを、メカニカルピペッティングを使用して、100μLの氷冷PBSで分離させた。5mLのPBSをチューブに加え、3分間600rpmで沈降させ、上清からデブリがなくなるまで繰り返した。最終陰窩ペレットを増殖因子低減マトリゲルで再懸濁し、前と同じように蒔いた。SG欠乏向けに、無アミノ酸のAdvanced DMEM F/12(Gibco/Life Technologies)を使用して、セリンおよびグリシン(0.2mM)を有しまたは有さず、他のアミノ酸は全て含有する、オルガノイド用アッセイ培地を構築した。LCMS解析用に、オルガノイドを12ウェルプレートの完全培地において3日間成長させた。培地を吸引し、オルガノイドをPBSで洗浄した。培地を、15mM 13−グルコース(cK-Gas/Cambridge同位体)を補充したグルコースフリーAdvanced DMEM/F−12(Gibco/Life Technologies)と交換した。5時間後、培地を吸引し、オルガノイドを手短にPBSで洗浄し、代謝物を以下に記載するように抽出した。
オルガノイドの画像化
オルガノイドを、メトホルミン/ダウノルビシン(両方ともSigmaより)を有するまたは有さない規定の培地に播種し、2日間成長させた。サイズ定量化(ImageJソフトウェアを使用して実行)用の画像を、光学顕微鏡を使用して撮り、次にオルガノイドを4%パラホルムアルデヒドに固定した。ROS損傷を、オルガノイドを、抗マロンジアルデヒド(MDA)(Abcam,ab6463)を用いて免疫染色し、Alexa Fluor594第2抗体(Thermo Fisher Scientific)を用いて評価した。画像をOlympus FV1000反転共焦点レーザー走査型顕微鏡に取り込み、MDA染色をImageJソフトウェアを使用して定量化した。
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)
サンプルをメタノール、アセトニトリル、およびHO(50:30:20)からなる冷却した(−20℃)溶解溶媒(LS)において調製した。10μLの血清サンプル(末端血液から単離し、−80℃で保存)を490μLのLSに加え、ボルテックスし、沈殿タンパク質を遠心分離(40℃で10分間15000rpm)により除去した。手短にウェルを過剰なPBSで洗浄し、次に、1ウェルにつき250μLのLSを加え、ロッキングシェーカー上に4℃で10分間置き、LSをウェルから(オルガノイド/マトリゲルの機械的破砕なしに)除去し、次にボルテックスし、遠心分離により除去することにより、オルガノイド抽出物を調製した。組織サンプルを急速凍結し、−80℃で保存した。溶解前に、凍結サンプルを秤量した。次に、組織をPrecellys(登録商標)ホモジナイザー(Bertin Technologies)またはTissueLyserII(Quiagen)を使用して1mLの冷LSに均質化した。遠心分離により溶解物からタンパク質を除去し、溶解物濃度を、均質化後に、元の組織重量に基づき、LSを用いて10mg/mLに標準化した。
抽出物をAccela600LCシステムおよびExactive質量分析計(Thermo Scientific)からなるLCMSプラットフォームにおいて解析した。MS検出の前に2つのLC方法を代謝物分離に適用した。方法1は、SeQuant ZIC−pHILICカラム(2.1mm×150mm、5μm)(Merck)を、A=炭酸アンモニウム20mM(pH9.4に調節)およびB=アセトニトリルを混ぜた移動相と共に利用した。20%のAで開始し、2分後に直線的に増加させ、17分で80%にする勾配プログラムを使用し、その後、洗浄と平衡化ステップを続けた。方法1の総実行時間は25分だった。方法2は、ZIC−HILICカラム(4.6mm×150mm、3.5μm)(Merck)を、A=0.1%ギ酸(v/v)を有する水およびB=0.1%ギ酸を有するアセトニトリルを混ぜた移動相と共に利用した。20%のAで開始し、直線的に増加させ、30分で80%にする勾配プログラムを使用し、その後、洗浄と再平衡化ステップを続けた。方法2の全実行時間は46分だった。LCストリームを脱溶媒し、HESIプローブにおいてイオン化した。Exactive質量分析計を、極性を切り替えながら、50000の分解能で、75−1000m/zの質量範囲において、フルスキャンモードで操作した。セリンおよびグリシンのLCMS定量化を、解析サンプルに合う適切なマトリックスに希釈した13C−15N−標識アミノ酸(Sigma)を使用する6点標準曲線を用いて達成した。代謝物の特定および定量化のために、生データをLCquan(Thermo Scientific)およびMZMine2.10により解析した。
無作為メタボロミクス
LCMSの生データを、ProteoWizardを使用してmzMLファイルに変換し、ピーク抽出およびサンプルアライメントのためにMZMine2.10にインポートした。生成した.CSVファイルを、代謝物特定およびバックグラウンドシグナルの除去のために、社内マクロ(Microsoft Excel 2010)にインポートした。詳細な手順および設定パラメータは、これまでに説明されている(Zhang et al., PLoS One, 2013)。多変量解析にはSIMCA14(Umetrics)を使用した。最も影響力のある代謝物を標的するために、S−プロットをOPLS−DA(直交部分的最小二乗判別分析)モデルで生成した。
食餌
離乳後、マウスに「通常の固形飼料」(Rat and Mouse Breeder and Grower,801730,Special Diet Services,SDS,UK)と水を自由に与えた。通常の固形飼料では、食餌のアミノ酸は、原材料(小麦、小麦食、大麦、外皮を除去し取り出しきつね色に焼いた大豆、とうもろこし、および魚粉)に含有される全タンパク質と、補足として加えた少量の精製リシンに由来する。Baker Purified Amino Acid Diet(Hirakawa et al., Nutr. Res. 1984)に基づき、TestDiet(Richmond,IN)の実験食を2セット使用した:「食餌1−対照」は、全必須アミノ酸に加え、セリン、グリシン、グルタミン、アルギニン、シスチン、およびチロシンを含有し、「食餌1−SGフリー」は、食餌1−対照と同じだが、ただし、セリンとグリシンを含まず、同じ総アミノ酸含有量を達成するために他のアミノ酸レベルを比例して増やした。これらの「食餌1」製剤は、これまでにも使用された(Maddocks et al., Nature, 2013)。「食餌2−対照」は、全必須アミノ酸に加え、セリン、グリシン、グルタミン、アルギニン、シスチン、およびチロシンを含有し;「食餌2−Serなし、Glyなし/食餌2−SGフリー」は、食餌2−対照と同じだが、ただし、セリンとグリシンを含まず、同じ総アミノ酸含有量を達成するために他のアミノ酸レベルを比例して増やした。「食餌2」製剤を、Eμ−Myc;Tigar−/−コホートに使用した(図2f)。他の全てのコホートには、すでに発表した「食餌1」製剤を与えた。
マウス−GEMモデル
全ての動物研究を、Animals (Scientific Procedures) Act 1986とEU Directive 2010(PPLs 60/4181, PPL70/8645 & 70/8646)に準拠して実行し、該動物研究は、施設内倫理審査プロセス(University of Glasgow)により承認された。ハツカネズミコホートを、環境エンリッチメントを積極的に行った柵付きの設備に収容した。Eμ−Myc(Adams et al., Nature 1985)、ApcMin/+(Moser et al., Science, 1990; Su et al., Science, 1992)、Lgr5creER;Apcfl/fl(Barker et al., Nature, 1990)、およびPdx1cre;KrasG12D/+;Trp53fl/+、またはPdx1cre;KrasG12D/+;Trp53R172H/+(Hingorani et al., Cancer Cell, 2005; Morten et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2010)マウス/モデルについては、これまでに説明されている。オスとメスの混合集団を、各遺伝子型として使用した。マウスの数(または、個々のマウスからのサンプル数)を、各図/図の凡例に示す。Eμ−Myc、およびApcMin/+マウスは、少なくとも20世代のC57BL/6J(B16)だった。Eμ−Myc;Tigar−/−マウスは混合株だが、少なくとも50%のC57BL/6Jだった。膵臓(PDAC)コホートは混合株バックグランド上にあったが、全コホートは同腹対照を含んだ。マウスに、以下の時点で適切な食餌をとらせた。Eμ−Myc(Bl6)は生後60日目、Eμ−Myc;Tigar−/−は生後55日目、ApcMin/+生後80日目、Lgr5creER;Apcfl/flは注入後7日目、Pdx1cre;KrasG12D;Trp53fl/+またはPdx1cre;KrasG12D;Trp53R172H/+は生後60日目。Lgr5creERによる組換えを、注射の間の休息日を用いて、120mg/kgタモキシフェンの2回の腹腔内注射で誘発した。フェンホルミン実験では、Eμ−Mycマウスに100mg/マウス体重kgを強制経口投与し、これを食餌変更と同日に開始した。メトホルミン実験では、ApcMin/+マウスに飲料水中で200mg/kg/日を与え、これを食餌変更の4日後に開始した。6−8週齢のVillincreER;APCfl/+;KrasG12D/+マウス[C57Bl/6J N10]に実験食をとらせ、2週間食餌を続け、次に、タモキシフェン(80mg/kg)の単一IP注入で誘発した。腫瘍数と腫瘍領域(幅×長さ)のスコア付けを容易にするため、腸をメタカン(メタノール、クロロホルム、酢酸の比率が4:2:1)に固定した。BrdUおよびカスパーゼの染色に使用したn=6のAPCMin/+マウスは別にして、他の全てのGEMマウスを人道的な臨床ポイントまで世話をした。
マウス研究でのサンプルサイズは、生存期間における潜在的差をMantel−Cox(ログ・ランク)解析によりテストした、これらのモデルを用いた以前の実験より推定した。最初の実験群(例えば、食餌のみを与えたEμ−MycおよびAPCMin/+、図18aおよび18b)からのデータを集めた後、後続の群のサイズを小さくして、使用する動物数を最小化した(例えば、フェンホルミンおよびメトホルミン処置群。図19aおよび19b)。全ての実験において、研究への登録時点で明白な表現型を持つマウスは除外した(つまり、登録しなかった):例えば、Eμ−Mycコホートでのリンパ節腫大または胸腺の肥大の兆候、APCMin/+コホートでの貧血症状。腫瘍に無関係の疾病により死んだ動物は、打ち切り例として含めた。マウスを乱塊法に従って実験群に割り振った:マウスは繁殖により入手可能になることから、マウスを性別に基づき塊に分け、次に処置アームにランダムに割り当てた。潜在的な変動原因である性別を取り除くため、オス/メス比率を似た程度に維持するように注意した。研究者の実験群へのマウスの割り当ておよびエンドポイントデータの収集は、盲検化しなかった。
マウス−異種移植/同種移植
HCT116細胞を両側皮下注射(1側腹部につき3×10^6細胞)によりCD1−Foxn1nu(CD1−ヌード)メスマウス(Charles River, UK)に移植した。マウスを通常の固形飼料で維持し、目に見える測定可能な腫瘍が形成されるまで、毎日監視した。腫瘍担持マウスに対照(n=8マウス)またはSGフリー食(n=8マウス)をとらせ、腫瘍をカリパーで週に3回測定し、食餌変化後に発症した反対側の側腹部の腫瘍は、解析から除外した。食餌の最初の5週間の間の平均腫瘍体積をプロットした。腫瘍体積は式;体積=(長さ×幅)/2を使用して計算した。
Eμ−Mycリンパ腫細胞を、混合バックグランドEμ−Mycマウスの腫瘍担持リンパ節からFACSにより単離した。これらの細胞を、最初に、照射したマウスの胚線維芽細胞(MEF)を有する細胞培養において増やし、該細胞が独立して増殖できるようになるまで継代培養した。培養培地は10%FBS、50μMのβ−メルカプトエタノール、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、およびアンホテリシンを補充したDMEM/F−12(Gibco/Life Technologies)だった。細胞を両側皮下注射(1側腹部につき5×10^5細胞)によりCD1−Foxn1nuメスマウス(Charles River, UK)に移植した。マウスを通常の固形飼料で維持し、目に見える測定可能な腫瘍が形成されるまで、毎日監視した。腫瘍担持マウスに対照またはSGフリー食をとらせ、腫瘍をカリパーで2/3日毎に測定した。コホートの最初のマウスが臨床エンドポイント(許容される最大腫瘍体積)に到達したら、コホートの全マウスを殺し、腫瘍を取り出した(これは、摂食6日後に起きた)。腫瘍をホルマリンに固定し、パラフィン包埋し、組織学のために切片を切り取った。
BrdUおよびカスパーゼ染色ならびに壊死定量化
殺処分の2時間前に、マウスにBrdU(RPN201, Amersham/GE Heathcare)を含有する250μLの細胞増殖標識試薬を注射した。使用抗体:切断カスパーゼ3 ASP−175(Cell Signaling Technology, 9661)、抗BrdU(BD Biosciences, 347580)、およびEnVision抗ウサギ(Dako, K4003)。組織切片は、ヘマトキシリンZ(CellPath)で対比染色した。染色スライドをLeica SCN400Fスキャナを使用してスキャンし、HALO画像解析ソフトウェア(Indica Labs)を使用して解析した。Eμ−Myc腫瘍では、細胞数およびBrdUとカスパーゼの染色を、除外する壊死領域を有する全腫瘍で定量化した。APCMin/+マウスでは、全小腸の単一横断面を解析し、腺腫を手動で特定し、各腺腫における細胞数、カスパーゼおよびBrdUの染色を定量化し、マウスごとに平均化した。壊死をH&E染色した全腫瘍横断面を使用して定量化し、壊死領域をHALOソフトウェアを使用して手動で区別し、非壊死表面積に対する全壊死表面積を計算した。
グルコースおよび乳酸の定量化
マウスコホートの(末端血液サンプルからの)血清を、Agilent2100 Bioanalyser(Agilent Technologies)を製造業者の指示に従って使用して、グルコースと乳酸のレベルについて解析した。
マクロピノサイトーシスアッセイ
マクロピノサイトーシス解析は、これまでに記載されたプロトコルに基づいた(Commisso et al., Nature, 2013)。最初に、iKRAS細胞をドキシサイクリンあり(KRas−オン)またはなし(KRas−オフ)で48時間増殖させた。次に、細胞を培地+/−ドキシサイクリンおよび+/−SG中のガラス製のカバーガラスに播種した。24時間後、培地をFBSを欠いたマッチング培地と交換し、さらに16時間放置した。最後に、培地を、10%FBSおよびテトラメチルローダミン標識デキストラン(TMR-dextran, Thermo Fisher Scientific)粒子(0.5mg/ml)を含有するマッチング培地と交換した。デキストランを用いた30分後、細胞をPBSで洗浄し、4%ホルムアルデヒドに固定した。細胞をDAPIおよびgreen Whole Cell Stain (Thermo Scientific)で対比染色し、Vectasheild Hardset(Vector Laboratories)に乗せた。画像をOlympus FV1000反転共焦点レーザー走査型顕微鏡に取り込み、デキストラン取り込みをImageJ/Fiji画像解析ソフトウェアを使用して定量化した。
ウェスタンブロット
細胞に対しウェスタンブロットを前述のように実行し(Maddocks et al, Nature, 2013; Labuschagne et al., Cell. Rep., 2014; Maddocks et al, Mol. Cell, 2016)、簡潔に言えば、全細胞タンパク質溶解物を、完全プロテアーゼ阻害剤(Roche)、オルトバナジン酸ナトリウム、およびフッ化ナトリウム(両方ともSigma)を補充したRIPA緩衝液において調製した。組織サンプルを、TissueLyser II(Qiagen)を使用して、プロテアーゼとホスファターゼの阻害剤カクテル(Pierce/Thermo Scientific)を補充したRIPA緩衝液に溶解した。溶解物を遠心分離により除去し、プレキャストした4−12%の‘NuPAGE’または‘Bolt’ゲル(Invitrogen, Life Technologies)を使用して分離し、ニトロセルロース膜に移した。Li−Cor Odyssey(登録商標)赤外線スキャナおよびソフトウェア(Li-Cor Biosciences)を使用して、タンパク質を検出し、定量化した。関連する種に対する第2抗体は、結合したIRDye680およびIRDye800(Li-Cor Biosciences)とした。使用した一次抗体は:PHGDH(Sigma Life Science,HPA021241)、PSAT1(Novus Biologicals,NBP1-32,920)、PSPH(Santa Cruz,sc-98683)、アクチンI−19−R(Santa-Cruz,sc-1616-R)、pERK[Phospho-p44/p42 MAPK (Erk1/2)(Thr202/Tyr204)](Cell Signalling Technology9101)、AMPKa1(R&D Systems,AF3197)、およびホスホ−AMPKT172(Cell Signalling Technology2535)だった。
統計
生存期間データについての統計的比較を、Mantel−Cox(ログ・ランク)検定を使用し、Graphpad Prism(v6)ソフトウェアを用いて計算した。T検定を、Microsoft excel(v14.6.1)またはGraphpad Prism(v7)の何れかを使用して実行した。type1/対応あり(サンプルを同じ動物から採取)およびtype−2/独立(サンプルを異なる動物から採取)のT検定を使用した。潜在的差異の方向が予測されない場合は、両側/2両側T検定を使用した(例えば、血清サンプル中の全アミノ酸レベルで、図1C/拡張データ図2a)。既存のデータにより、サンプル間の差の方向における予測が支持される場合、片側/片側T検定を使用した(例えば、de novoセリン合成、図4c)。提示するデータが個々のデータ点の平均であり、エラーバーがSTDEVである場合もあるし、データが平均の平均であり、エラーバーがSEMである場合もある。各例において、T検定またはエラーバーの該当する種類を、図の凡例において特定する。T検定を多重比較と共に行った場合、Graphpad Prism(v7)ソフトウェアを使用するHolm−Sidak法を使用して、P値を修正した。
結果
無作為メタボロミクスは、−SG食をとらせたEμ−Myc腫瘍組織(腫瘍担持脾臓)において最も減少した代謝物は、セリンおよびグリシンであることを示し、これにより、食餌が特異的にセリンおよびグリシンの腫瘍レベルを下げたことが実証された(図24)。
in−vivoでのEμ−myc腫瘍細胞に対する−SG食の効果は、一部の腫瘍ではアポトーシスが増加し(切断カスパーゼ3(CC3)の増加により示される)、他の腫瘍では壊死が増加し、両効果とも、腫瘍増殖の阻害または遅延を引き起こすことを示した(図25)。
対照および−SG食で成長させた場合の、PDACおよびEu−mycモデルからの腫瘍組織におけるSSP酵素の発現も解析した。これらの結果は、KrasがSSPをin vivoで制御することを示唆する(図26)。さらに、Krasを発現する組織−オルガノイド(3D細胞培養)は、セリンおよびグリシンの欠乏に最も抵抗性があることが観測され、これもKrasがSSPを制御することを示す(図28)。
さらに、−SG食は、Eμ−myc腫瘍(−SG食に対し感受性である)において、セリンおよびグリシンレベルの低下と、GSH/GSSH比の低下を引き起こした。しかし、PDAC腫瘍(Kras変異を抱え、食餌に対し抵抗性がある)では、−SG食は、グリシンレベルもGSH/GSSG比も低下させなかった(図27)。
−SG食は、in vivoですでに形成されていた異種移植HCT116腫瘍の増殖を低減させ(図29a)、腫瘍内のセリンおよびグリシンのレベルを低下させた(図29b)。より低いセリンおよびグリシンの腫瘍レベルは、in vitroでのがん細胞増殖を遅くすることにつながった(図29cおよび29d)。
図30のデータは、(iKRAS1 iKRAS3およびAK196細胞株における)Krasの、セリンおよびグリシンを得る機能は、微飲作用(栄養スカベンジングの一形態)の高まりによって説明することはできないことを示し、該データは、さらに、Kras発現細胞は、de novoセリンおよびグリシン合成により、追加のセリンおよびグリシンを得たという考えを支持する。マクロピノサイトーシスは、細胞が、細胞外分子(例えば、タンパク質など。これはアミノ酸に分解され得る)を貪食することにより細胞外栄養を捕え、使用することを可能にする。培養細胞において、マクロピノサイトーシスの上方制御は、標識デキストランの取り込みの増加およびデキストラン染色された%(細胞)領域の増加に相当する。3つのKras誘導性細胞株の全てにおいて、標識デキストランの取り込みがセリンおよびグリシンの欠乏時に増加したわけではなく、これは、セリンおよびグリシン欠乏がマクロピノサイトーシスの増大をもたらさなかったことを示す。
図31aおよび31bに示すデータは、ダウノルビシン(従来の抗がん剤)が、セリンおよびグリシン欠乏と共に機能して、腫瘍オルガノイドにおける活性酸素種を増加させ、腫瘍オルガノイド増殖を低減させたことを示す。
実施例7(図32、33、34、35、36、37、38、39、40)
方法
細胞株および細胞培養
HCT116、SW480、MDA−MB−231、Panc10.05、CFPAC−1、SW1990、BxPC−3、AsPC−1、PANC−1、MIA PaCa−2細胞は、元来ATCCから得たもので、その後、Promega GenePrint10を使用して認証した。乳がん細胞および大腸がん細胞を、最終濃度が2mMのL−グルタミンと共に、10%FBS(10270)、ペニシリン−ストレプトマイシン、およびアンホテリシンを補充したDMEM(Gibco-21969)において増殖させた。膵臓がん細胞株を、最終濃度が2mMのL−グルタミンおよびインスリン−トランスフェリンセレニウム溶液(Gibco)1:500と共に、10%FBS(10270)、ペニシリン−ストレプトマイシン、およびアンホテリシンを補充したRPMI−1640(Gibco-31870)培地において、増殖させた。細胞を、37℃、5%COの加湿インキュベーターに維持した。培養細胞を、Mycoalert検出キット(Lonza)を使用して、マイコプラズマについて慣例的にテストした。
MTAPおよび非標的対照を除去するために使用するガイドRNA
gRNA配列を、足場RNAと共に使用して、Ran et al (2013)に従ってsgRNAを作成した。
増殖アッセイ
細胞(4x10^4−1x10^5)を、24ウェルプレートの完全RPMIまたはDMEM培地に播種し、一晩付着させた。次に、細胞をPBSで洗浄し、既定のアミノ酸/代謝物/薬物を補充したアッセイ培地を与えた。アッセイ培地は、RPMI−1640培地を基に配合したがアミノ酸は欠いており、アミノ酸はアッセイに応じて個別に加えた。アッセイ培地には、追加のビタミンB6(20uM)、システイン合成のための補因子も補充した。細胞を、「時刻=0」プレートを使用して、既定の時点で(Casy TT細胞カウンター,Innovatis,Roche Applied Scienceを使用して)カウントして、培地変更時刻からの相対的細胞数を計算した。
顕微鏡
画像を、Zeiss Zenソフトウェアを備えるZeiss Axiocamデジタルカメラに連結したZeiss光学顕微鏡を20x拡大率で使用して取り込んだ。
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)
細胞を、既定のアミノ酸/代謝物を補充したアッセイ培地において増殖させた。均一標識炭素−13メチオニンを、Cambridge Isotopes/CKGasより購入した。細胞抽出物および培地サンプルを、メタノール、アセトニトリル、およびHO(50:30:20)からなる冷却した(−20℃)溶解溶媒(LS)において調製した。溶解物を、溶解前に複製ウェルをカウントすることにより、細胞数に基づいて等化した。LSを細胞/培地サンプルに加えた後、タンパク質を沈殿させ、遠心分離により除去した。抽出物をAccela600LCシステムおよびExactive質量分析計(Thermo Scientific)からなるLCMSプラットフォームにおいて解析した。クロマトグラフィーは、ZIC−HILICカラム(4.6mm×150mm、3.5μm)(Merck)を、A=0.1%ギ酸(v/v)を有する水およびB=0.1%ギ酸を有するアセトニトリルを混ぜた移動相と共に利用した。20%のAで開始し、直線的に増加させ、30分で80%にする勾配プログラムを使用し、その後、洗浄と再平衡化ステップを続けた。方法2の全実行時間は46分だった。LCストリームを脱溶媒し、HESIプローブにおいてイオン化した。Exactive質量分析計を、極性を切り替えながら、50000の分解能で、75−1000m/zの質量範囲において、フルスキャンモードで操作した。代謝物の特定および定量化のために、生データをLCquan(Thermo Scientific)およびMZMine2.10により解析した。
ウェスタンブロット
全細胞タンパク質溶解物を、プロテアーゼとホスフェートの阻害剤カクテル(Pierce/Thermo Scientific)を補充したRIPA緩衝液において調製した。溶解物を遠心分離により除去し、プレキャストした4−12%の‘Bolt’ゲル(Invitrogen, Life Technologies)を使用して分離し、ニトロセルロース膜に移した。Li−Cor Odyssey(登録商標)赤外線スキャナおよびソフトウェア(Li-Cor Biosciences)を使用して、タンパク質を検出し、定量化した。関連する種に対する第2抗体は、結合したIRDye680およびIRDye800(Li-Cor Biosciences)とした。使用した一次抗体は:ウサギ抗MTAP(Abcam)だった。
データ提示
データを、標準偏差を示すエラーバーと共に、平均としてプロットする。
システイン合成の概要(図32)
システイン合成は、必須アミノ酸メチオニンで始まり、メチオニンは、多数の酵素ステップによりシステインに変換される。ポリアミンは細胞成長および増殖に重要な分子であり、ポリアミン合成は、がんにおいて上方制御されることが分かっている。ポリアミン合成は、メチオニンに由来する代謝物のdcSAMを必要とし、dcSAMは、ポリアミン(スペルミンおよびスペルミジン)合成時にMTAに変換される。MTAは、酵素メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)を伴う多ステップの酵素経路によりメチオニンに再生され得る。MTAPが存在する場合、ポリアミン合成において生成されたMTAの再生は、効率的なメチオニン利用をもたらす。しかしながら、MTAPが除去されると(がんでは頻繁に起きる)、MTAはメチオニンに再生されなくなり、細胞から流出する。これは、一定のメチオニン供給がMTAに変換され、細胞から排出されることを意味する。このポリアミン合成へのメチオニンの一定の転換は、メチオニンを、システイン合成などの他の目的に利用することを妨げ得る。
結果
本研究者らは、テストした全てのがん細胞株が、システイン欠乏に対し、ある程度感受性であることを発見した。注目すべきことに、MDA−MB−231などのある細胞株が、システイン欠乏に対し極度に感受性であり、システイン欠乏は劇的な細胞死を引き起こすことを発見した(図33、40)。しばしば、栄養欠乏(アミノ酸欠乏などの)は、増殖を遅くするが、急性細胞死を必ずしも誘発するわけではなく、本研究者らは、なぜある細胞株が非常に感受性であるかを調べた。
システイン欠乏ががん細胞にとって有害であり得、この感受性は、システイン合成のための遺伝子の不活性化(例えば、CBSのための遺伝子のメチル化)による可能性があることがこれまでに報告されているが、本研究者らの結果は、驚くべきことに、CBSの上流の代謝前駆体(ホモシステイン)を有する補充細胞が、システイン欠乏からの著しい脱出を達成することを示す(図39)。これは、システイン合成のための酵素が存在し、活性であるものの、システイン合成のための上流の前駆体(ホモシステインなど)の供給に問題があることを示唆する。
de novoシステイン合成のための酵素、特にCBSおよびCTHの発現が、システイン欠乏に対する感受性を決定し得ることが示唆されてきたが、本研究者らは、驚くべきことに、システイン欠乏に対し最も敏感に感受性である細胞は、メチオニン由来代謝物のMTAを排出するものであることを発見した(図33、34、36、32)。MTA排出は、システイン欠乏に対する鋭い感受性と密接に相関している(図33、39、36)。MTA排出は、酵素MTAPをコードする遺伝子の不活性化または欠失により引き起こされる(図37)。MTAPは、MTAをメチオニンに再生するように機能し、それにより、効率的なメチオニン代謝を提供する(図34、35)。MTAの非存在下では、多量のメチオニンがポリアミン経路に転用され、システイン合成経路には転用されない(図34)。AMD1(メチオニン由来SAMをポリアミン合成経路に転用する酵素)の阻害が、細胞をシステイン欠乏に対する鋭い感受性(つまり、細胞死)から守ることができるということは、この発見と整合性がある(図40)。
食餌を使用してがんを処置する文脈では;本研究者らのin vitro研究に基づくと、大部分のがん細胞株はシステイン欠乏に対し感受性であるが、サブセットは特に感受性である(図33)。本研究者らの研究は、MTAP発現の減少が、システイン欠乏に対する鋭い感受性と強く相関していることを示す(図33)。MTAPが減少した細胞は、システイン合成の上流で代謝前駆体の転用を示す(図34)。MTAPは、一般に、がん/腫瘍細胞において除去/不活性化される(Bertino et al. 2011)。本研究者らの研究は、MTAP発現を欠く腫瘍が、特に、システイン欠乏に対し感受性であることを示唆する。
本明細書の説明および請求項全体で、単語「含む」および「含有する」およびそれらの変形物は、「限定するわけではないが〜を含む」ことを意味し、他の分子、添加物、成分、整数、またはステップを除外することを意図しない(かつ、除外しない)。本明細書の説明および請求項全体で、単数形の語は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形を包含する。特に、不確定の物を使用する場合、本明細書は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単一性と同様に複数性を意図していると理解されたい。
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関連して記載する特徴、整数、特徴、化合物、化学的部分、または基は、矛盾する場合を除き、本明細書に記載する任意の他の態様、実施形態、または例にも適用可能であることを理解されたい。本明細書(任意の添付の請求項、要約、および図面を含む)に開示する特徴の全て、ならびに/または、そのように開示する任意の方法もしくはプロセスのステップの全ては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが、互いに排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本発明は、任意の前記実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の請求項、要約、および図面を含む)に開示する特徴の任意の新規な一つもしくは任意の新規な組み合わせへも拡張されるか、または、同じく開示した任意の方法もしくはプロセスのステップの、任意の新規な一つもしくは任意の新規な組み合わせへも拡張される。
読者の注意は、本明細書と連携して本明細書と同時に又は本明細書の前に出願された、そして本明細書と共に公的な検閲に解放された全ての文献及び文書に向けられるものであり、そのような論文および文書の内容は全て引用によりここに組み入れられるものとする。
参考文献
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Claims (65)

  1. 全必須アミノ酸を含み、少なくとも2つの非必須アミノ酸を実質的に欠く、複数のアミノ酸を含むダイエタリー製品。
  2. 少なくとも12個のアミノ酸を含む、請求項1に記載のダイエタリー製品。
  3. 前記実質的に欠如する非必須アミノ酸の少なくとも1つは、グリシン、セリン、システイン、チロシン、およびアルギニンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のダイエタリー製品。
  4. 前記少なくとも2つの実質的に欠如する非必須アミノ酸は、以下のアミノ酸:グリシン、セリン、システイン、チロシン、およびアルギニンのうち2つ以上を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のダイエタリー製品。
  5. 実質的に:
    a.グリシン、セリン、およびシステイン;
    b.グリシン、セリン、およびアルギニン;
    c.グリシン、セリン、およびチロシン;
    d.グリシン、セリン、アルギニン、およびシステイン;
    e.グリシン、セリン、チロシン、およびシステイン;
    f.システインおよびアルギニン;
    g.システインおよびチロシン;
    h.システインおよびグリシン;
    i.システイン、チロシン、およびアルギニン;または
    j.グリシン、セリン、アルギニン、チロシン、およびシステインを欠く、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のダイエタリー製品。
  6. 1つもしくは複数の主要栄養素および/または1つもしくは複数の微量栄養素をさらに含む、請求項1〜5の何れか一項に記載のダイエタリー製品。
  7. 25mg/kg/日未満のレベルのメチオニンをさらに含む、請求項1〜6の何れか一項に記載のダイエタリー製品。
  8. 一日平均総タンパク質消費量に基づき、必須アミノ酸の一日推奨摂取量を少なくとも提供するように配合される、請求項1〜7の何れか一項に記載のダイエタリー製品。
  9. 固体または飲料の形態をとる、請求項1〜8の何れか一項に記載のダイエタリー製品。
  10. 前記成分を水に溶解または分散させ、噴霧乾燥させる、請求項1〜9の何れか一項に記載のダイエタリー製品を調製するプロセス。
  11. 請求項1〜9の何れか一項に記載のダイエタリー製品または請求項10に従って生成されたダイエタリー製品と、医薬的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤とを含む、医薬組成物。
  12. がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される治療薬をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させる、請求項11または12に記載の医薬組成物。
  14. 治療で使用するための、請求項1〜9の何れか一項に記載のもしくは請求項10に従って生成されたダイエタリー製品、または請求項11〜13の何れか一項に記載の組成物。
  15. がんの処置で使用するための、請求項1〜9の何れか一項に記載のもしくは請求項10に従って生成されたダイエタリー製品、または請求項11〜13の何れか一項に記載の組成物。
  16. 前記がんは、大腸がん、肝がん、骨肉腫、肺がん、リンパ腫、および乳がんからなる群から選択される、請求項15に記載する使用するためのダイエタリー製品。
  17. 前記がんは野生型KRASについて陽性である、請求項15または16に記載の使用するためのダイエタリー製品。
  18. 前記がんはcMyc発現の制御が解除されている、請求項15〜17の何れか一項に記載の使用するためのダイエタリー製品。
  19. 前記がんはMTAP発現の下方制御されている、請求項15〜18の何れか一項に記載の使用するためのダイエタリー製品。
  20. セリンおよび/またはグリシンを実質的に欠く、請求項15〜19の何れか一項に記載の使用するためのダイエタリー製品。
  21. がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される治療薬と組み合わせて使用される、請求項15〜20の何れか一項に記載の使用するためのダイエタリー製品。
  22. 前記治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させる、請求項21に記載の使用するためのダイエタリー製品。
  23. がんの処置で使用する薬物の製造における、請求項1〜9の何れか一項に記載のもしくは請求項10に従って生成されたダイエタリー製品、または、請求項11〜13の何れか一項に記載の組成物の使用。
  24. 前記がんは、大腸がん、肝がん、肺がん、リンパ腫、骨肉腫、および乳がんからなる群から選択される、請求項23に記載の使用。
  25. 前記がんは野生型KRASについて陽性である、請求項22または23に記載の使用。
  26. 前記がんはcMyc発現の制御が解除されている、請求項22〜24の何れか一項に記載の使用。
  27. 前記ダイエタリー製品は、セリンおよび/またはグリシンを実質的に欠く、請求項22〜26の何れか一項に記載の使用。
  28. 前記ダイエタリー製品は、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される治療薬と組み合わせて使用される、請求項22〜27の何れか一項に記載の使用。
  29. 前記治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させ、および/または、抗酸化防御を低下させる、請求項28に記載の使用。
  30. 請求項1〜9の何れか一項に記載のもしくは請求項10に従って生成されたダイエタリー製品、または、請求項11〜13の何れか一項の組成物を、治療的に有効な量で投与するステップを含む、対象のがんを処置する方法。
  31. 前記がんは、大腸がん、肝がん、肺がん、骨肉腫、リンパ腫、および乳がんからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記がんは野生型KRASについて陽性である、請求項30に記載の方法。
  33. 前記がんはcMyc発現の制御が解除されている、請求項30に記載の方法。
  34. 前記がんはMTAPの発現が下方制御されている、請求項30に記載の方法。
  35. 前記ダイエタリー製品はセリンおよび/またはグリシンを実質的に欠く、請求項30に記載の方法。
  36. 前記ダイエタリー製品は、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および化学療法薬から選択される治療薬と組み合わせて使用される、請求項30に記載の使用。
  37. 前記治療薬は、OXPHOSを阻害し、および/または、活性酸素種を増加させる、請求項36に記載の方法。
  38. 前記ダイエタリー製品は、前記対象の唯一の栄養供給源である、請求項30に記載の方法。
  39. 前記処置は、少なくとも24時間という期間にわたって、または、治療エンドポイントが観察されるまで与えられる、請求項30に記載の方法。
  40. 前記ダイエタリー製品は1日に1〜6回投与される、請求項30に記載の方法。
  41. 少なくとも必須アミノ酸の一日の推奨量が、各日の投与レジメンにより満たされる、請求項40に記載の方法。
  42. セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である患者または患者集団を特定するための、KRASまたはMTAPのバイオマーカーとして使用。
  43. 前記がん処置は、セリンおよびグリシンを実質的に欠く食餌を含む、請求項42に記載の使用。
  44. 前記がん処置は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および/または化学療法薬から選択される治療薬の投与を含む、請求項42または43に記載の使用。
  45. セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である可能性が低い対象を特定する方法であって:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
    前記対照サンプルと比較してまたは前記所定の参照レベルと比較して高い、前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する非応答性または非感受性を表す、方法。
  46. セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対し応答性または感受性である可能性が高い対象を特定する方法であって:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
    前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す、方法。
  47. セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受け得る対象を特定する方法であって:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
    前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記患者が前記がん処置から恩恵を受け得ることを示す、方法。
  48. i)セリンを実質的に欠くおよび/またはii)システインのレベルが制限された食餌を含むがん処置に対し、応答性または感受性である可能性が高い対象を特定する方法であって:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてMTAPの発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはMTAPの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
    前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す、方法。
  49. i)セリンを実質的に欠くおよび/またはii)システインレベルが制限された食餌を含むがん処置から恩恵を受け得る対象を特定する方法であって:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいて発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはMTAPの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み、
    前記対照サンプルと比較してもしくは前記所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記患者が前記がん処置から恩恵を受け得ることを示す、方法。
  50. 前記生物学的サンプルはがん細胞またはがん組織である、請求項45〜49の何れか一項に記載の方法。
  51. 前記対照サンプルは、正常な細胞または組織のサンプルである、請求項50に記載の方法。
  52. 前記正常な細胞または組織のサンプルは、前記がん細胞またはがん組織と同じ細胞タイプまたは組織タイプである、請求項51に記載の方法。
  53. がんのある対象を処置する方法であって:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルのKrasおよび/またはMTAPの発現または活性のレベルが、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップと;
    b)前記生物学的サンプルのKrasおよび/またはMTAPの発現または活性のレベルが、前記がん処置に対する応答性または感受性を表す場合に、前記対象に前記がん処置を与えるステップとを含む、方法。
  54. 前記がん処置は、セリンおよびグリシンを実質的に欠く食餌を含む、請求項49に記載の方法。
  55. 前記がん処置は、さらに、がん細胞増殖阻害剤、放射線療法薬、および/または化学療法薬から選択される治療薬の投与を含む、請求項53または54に記載の方法。
  56. 前記対象から単離した生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルが、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップは:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてKrasの発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはKrasの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み得、
    対照サンプルと比較してまたは所定の参照レベルと比較して高い、前記生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する対象の非応答性または非感受性を表し、対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の応答性または感受性を表す、請求項53〜55の何れか一項に記載の方法。
  57. 前記対象から単離した生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルが、セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置に対する応答性または感受性を表すか否かを決定するステップは:
    a)前記対象から単離した生物学的サンプルにおいてMTAPの発現または活性のレベルを求めるステップと;
    b)前記生物学的サンプルのMTAPの発現または活性のレベルを、対照サンプルか、またはMTAPの発現もしくは活性の所定の参照レベルと比較するステップとを含み得、
    対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのMTAPの発現もしくは活性のレベル、または、対照サンプルもしくは所定の参照レベルと実質的に同じであるMTAPの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の応答性または感受性を表す、請求項53〜56の何れか一項に記載の方法。
  58. セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定する際に使用するキットであって:
    a.Krasの発現または活性を求める薬剤と;
    b.アッセイ用の試薬とを含むキット。
  59. 対照サンプルと比較してまたは所定の参照レベルと比較して高い、生物学的サンプルのKrasの発現または活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の非応答性または非感受性を表し、前記対照サンプルと比較してもしくは所定の参照レベルと比較して低い、前記生物学的サンプルのKrasの発現もしくは活性のレベル、または、前記対照サンプルもしくは前記所定の参照レベルと実質的に同じであるKrasの発現もしくは活性のレベルは、前記がん処置に対する前記対象の応答性または感受性を表すという指示書をさらに含む、請求項53に記載のキット。
  60. MTAPの発現または活性を求める薬剤を含む、請求項58または59に記載のキット。
  61. セリンを実質的に欠く食餌を含むがん処置から恩恵を受ける対象を特定する際に使用するキットであって:
    a.MTAPの発現または活性を求める薬剤と;
    b.アッセイ用試薬とを含む、キット。
  62. 説明および図に関連して本明細書で実質的に記載される、請求項1に記載のダイエタリー製品。
  63. 説明および図に関連して本明細書で実質的に記載される、請求項11に記載の医薬組成物。
  64. 説明および図に関連して本明細書で実質的に記載される、請求項15に記載の使用するためのダイエタリー製品、または請求項23に記載の使用、または請求項25もしくは請求項53に記載の処置方法。
  65. 説明および図に関連して本明細書で実質的に記載される、KRASまたはMTAPのバイオマーカーとしての使用。
JP2018544325A 2016-02-23 2017-02-22 少なくとも2つの非必須アミノ酸を欠くダイエタリー製品 Pending JP2019507754A (ja)

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