以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。図面において、文脈が他に指示しない限り、類似した記号は、典型的には、類似した構成要素と同定する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲において記載された例証的な実施形態は、限定することを意図するものではない。本明細書に提示された主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、他の変化がなされ得る。本明細書に一般的に記載され、及び図面に示されているような本開示の態様は、様々な異なる形態で配置され、置換され、組み合わせられ、分離され、及び設計され得、それらの全ては本明細書において、明確に企図されることは、容易に理解されると予想される。
上記に要約されているように、フルベート画分の組成物及びフルベート画分での処置の方法の態様が、本明細書に提供される。方法はまた、前記組成物を抽出し、精製し、及び製剤化するための方法を含む。
この開示は、記載された特定の実施形態に限定されず、それとして、当然のことながら、変化し得ることは理解されるべきである。本明細書に用いられる用語法は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図されないこともまた理解されるべきである。
この開示を読めば、当業者には明らかであるように、本明細書に記載され、及び例証された個々の実施形態のそれぞれは、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得、又はそれと組み合わせられ得る、別々の構成要素及び特徴を有する。任意の記述された方法は、記述された事象の順序で、又は論理的に可能である任意の他の順序で、実行することができる。
定義
他に規定がない限り、本明細書に用いられる技術的及び科学的用語は、本開示が関係する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味をもつ。本開示のために、以下の用語は下記に定義される。
本明細書に用いられる場合、用語「処置」は、対象、特に、1つ又は複数の創傷又は皮膚障害を患っている対象により顕在化された疾患、障害、又は生理学的病的状態に応えてなされる治療介入を指す。処置の目的には、症状の軽減又は防止、創傷、疾患、障害、又は病的状態の進行又は悪化を遅らせ、又は停止させること、及び創傷、疾患、障害、又は病的状態の寛解の1つ又は複数が挙げられ得るが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、「処置」は、治療的処置と、予防的又は防止的措置の両方を指す。処置を必要としている者には、疾患又は障害又は望まれない生理学的状態にすでに冒された者、加えて、疾患又は障害又は望まれない生理学的状態が防止されるべきである者が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、処置は、疾患の症状を低減する、軽減する、又は根絶する。
本明細書に用いられる場合、用語「防止」は、疾患症状を後で現す個体の負担を低減する任意の活性を指す。これは、一次、二次、及び/又は三次防止レベルで起こり得、a)一次防止は症状/障害/病的状態の発生を回避し、b)二次防止活性は、病的状態/障害/症状処置の初期段階に照準され、それにより、病的状態/障害/症状の進行及び症状の出現を防止するための治療介入の機会を増加させ、並びにc)三次防止は、すでに確立された病的状態/障害/症状のマイナス影響を、例えば、機能を保持し、及び/又は任意の病的状態/障害/症状若しくは関連合併症を低減することにより、低減する。
「薬学的に許容される」担体は、使用される用量及び濃度においてそれに曝されることになっている細胞又は哺乳動物に無毒である担体である。「薬学的に許容される」担体は、局所的、経口、又は静脈内の適用等の選択された適用様式に適切であり、並びに、錠剤、顆粒、粉末、カプセル等の固体、及び溶液、乳濁液、懸濁液、クリーム、ローション、軟膏、ゲル等の液体等の通常の薬学的調製物の形で投与される、有機又は無機の固体又は液体賦形剤であり得るが、それらに限定されない。しばしば、生理学的に許容される担体は、リン酸バッファー又はクエン酸バッファー等の水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容される担体はまた、例えば、アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、アミノ酸、糖質、例えば、グルコース、マンノース、デキストリン、EDTA等のキレート剤、マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール、ナトリウム等の塩形成対イオン、並びにTween(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPluronic(商標)等の非イオン性表面活性剤の1つ又は複数を含み得る。助剤、安定剤、乳化剤、潤滑剤、結合剤、pH調整剤、調節剤、等張剤、及び他の通常の添加剤もまた、担体に加えられ得る。
薬学的に許容される、又は適切な担体には、皮膚の障害された状況に有益であることが知られた他の化合物(例えば、ビタミンC、ビタミンE、セレニウム、又は亜鉛等の抗酸化剤)、又は食品組成物が挙げられ得る。食品組成物は、ミルク、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、ミルクに基づいた発酵生成物、アイスクリーム、発酵穀物に基づいた生成物、ミルクに基づいた粉末、乳幼児用フォーミュラ、錠剤、液体細菌懸濁液、乾燥経口サプリメント、又は湿潤経口サプリメントであり得るが、それらに限定されない。
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つの、又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つの)、その冠詞の文法的目的語を指すように本明細書で用いられる。例として、「1つの要素」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。
「約」とは、基準の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、質量、又は長さに対して、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2 %、又は1%ほど、変動する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、質量、又は長さを意味する。
この明細書を通して、文脈が他に要求しない限り、語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含むこと」は、述べられた工程、又は要素、又は工程若しくは要素の群の包含を含意するが、いかなる他の工程、又は要素、又は工程若しくは要素の群の排除も意味しないと理解される。
「からなる」とは、句「からなる」に続く事柄の全てを含み、それに限定されることを意味する。したがって、句「からなる」は、列挙された要素が必要であるか又は必須であること、且つ他の要素は存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、その句の後に列挙された任意の要素、及び列挙された要素について本開示において特定された活性又は作用に干渉せず、又は寄与しない他の要素に限定された任意の要素を含むことを意味する。したがって、句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要であるか又は必須であることであるが、他の要素が任意であり、それらが、列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響するかどうかに依存して存在し得、又は存在し得ないことを示す。
ある特定の実施形態において、組成物における任意の所定の作用物質(例えば、フルベート画分、成長因子等)の「純度」は、具体的に定義され得る。例えば、ある特定の組成物は、例として且つ非限定的に、化合物を分離し、同定し、及び定量するために生化学及び分析化学において頻繁に用いられる、よく知られた形式のカラムクロマトグラフィである、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)により測定される場合、間の全ての小数を含む、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%純粋である作用物質を含み得る。
本明細書に用いられる場合、用語「機能」及び「機能的な」等は、生物学的、酵素的、又は治療的機能を指す。
用語「単離された」は、天然状態で通常、伴う成分を実質的に、又は本質的に含まない材料を意味する。例えば、本明細書に用いられる場合、「単離された生物活性フルベート画分」は、それの天然に存在する状態から精製されているフルベート画分、例えば、それが天然で存在する腐植有機物から取り出されているフルベート画分を含む。
本明細書に用いられる場合、用語「生物活性の」は、生きている生物体へ生物学的効果を生じる物質を指す。生物活性のある物質は、抗炎症、抗菌、抗刺激、及び抗酸化効果、加えて、創傷治癒の促進及び向上を含む性質を有し得る。
用語「最大半量有効濃度」又は「EC50」は、いくらかの特定された曝露時間後にベースラインと最大値の中間での応答を誘導する時点の、抗体又は本明細書に記載された他の作用物質の濃度を指す;したがって、段階的用量反応曲線のEC50は、それの最大効果の50%が観察される時点の化合物の濃度を表す。ある特定の実施形態において、本明細書に提供された作用物質のEC50は、皮膚障害の症状又は病態に関係した活性に関して示される。EC50はまた、インビボで最大効果の50%を得るのに必要とされる血漿中濃度を表す。同様に、「EC90」は、作用物質又は組成物の、それの最大効果の90%が観察される時点での濃度を指す。「EC90」は、「EC50」及びHill傾きから計算することができ、又はそれは、当技術分野における日常的な知識を用いて、直接的にデータから決定することができる。いくつかの実施形態において、抗体又は他の作用物質のEC50は、約0.01nM未満、約0.05nM未満、約0.1nM未満、約0.2nM未満、約0.3nM未満、約0.4nM未満、約0.5nM未満、約0.6nM未満、約0.7nM未満、約0.8nM未満、約0.9nM未満、約1nM未満、約2nM未満、約3nM未満、約4nM未満、約5nM未満、約6nM未満、約7nM未満、約8nM未満、約9nM未満、約10nM未満、約11nM未満、約12nM未満、約13nM未満、約14nM未満、約15nM未満、約16nM未満、約17nM未満、約1 8nM未満、約19nM未満、約20nM未満、約25nM未満、約30nM未満、約40nM未満、約50nM未満、約60nM未満、約70nM未満、約80nM未満、約90nM未満、又は約100nM未満である。好ましくは、生物学的治療用(biotherapeutic)組成物は、約1nM又はそれ未満のEC50値を有する。
用語「調節すること」は、典型的には、対照と比較して統計学的に有意な、又は生理学的に有意な量で、「増加させること」又は「刺激すること」、加えて、「減少させること」又は「低減すること」を含む。「増加した」又は「増強した」量は、典型的には、「統計学的に有意な」量であり、組成物がない(作用物質又は化合物の非存在)場合に生成された、又は対照組成物により生成された量の1.1倍、1.2倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、1 5倍、20倍、30倍、又はそれ以上(例えば、500倍、1000倍)(間にあって、1より大きい、全ての整数及び小数点を含み、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8等)である増加を含み得る。「減少した」又は「低減した」量は、典型的には、「統計学的に有意な」量であり、組成物がない(作用物質又は化合物の非存在)場合に生成された、又は対照組成物により生成された量の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(間の全ての整数を含む)の減少を含み得る。一つの非限定的例として、正準活性と非正準活性を比較することにおける対照は、処置なし、プラセボ処置、又は対照処置と比べた、製剤組成物、例えば、フルベート画分の皮膚障害への活性(例えば、アンタゴニスト活性)を含み得る。「統計学的に有意な」量の他の例は本明細書に記載されている。
用語「溶解性」は、フルベート画分、ペプチド、又は本明細書に提供された他の作用物質の、液体溶媒中に溶解して、均一な溶液を形成する性質を指す。溶解性は、典型的には、溶媒の単位体積あたりの溶質の質量(溶媒の1kgあたりの溶質のg、1dL(100mL)あたりのg、mg/mL等)、モル濃度、重量モル濃度、モル分率、又は濃度の他の類似した記載のいずれかによる濃度として表される。溶媒量あたり溶解し得る溶質の最大平衡量は、温度、圧力、pH、及び溶媒の性質を含む特定条件下でその溶媒におけるその溶質の溶解度である。ある特定の実施形態において、溶解性は、生理学的pHにおいて測定される。ある特定の実施形態において、溶解性は、水、又はPBS等の生理学的バッファーにおいて測定される。ある特定の実施形態において、溶解性は、血液又は血清等の生物学的流体(溶媒)において測定される。ある特定の実施形態において、その温度は、約室温(例えば、約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃)又は約体温(37℃)であり得る。ある特定の実施形態において、作用物質は、室温又は37℃において少なくとも約0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、1 1mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL、15mg/mL、16mg/mL、17mg/mL、18mg/mL、19mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、又は30mg/mLの溶解性を有する。
本明細書に用いられる場合、「対象」は、本明細書に記載され、及び当技術分野において知られたものの中でも、皺、皮膚の非酵素的グリコシル化、日焼けによる損傷、喫煙による損傷、皮膚の線維症、夏季ざ瘡(マヨルカざ瘡)、集簇性ざ瘡、化粧品性ざ瘡(コスメチックアクネ)、電撃性ざ瘡(急性熱性潰瘍性ざ瘡)、項部ケロイドざ瘡(ケロイドざ瘡、頭部乳頭状皮膚炎、ケロイド性毛包炎、項部ケロイド性毛包炎、項部ケロイドざ瘡)、散在性赤色ニキビを有する成人額、尋常性ざ瘡、発汗障害、機械的ざ瘡、薬物性ざ瘡、粟粒状壊死性ざ瘡(痘瘡状ざ瘡)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を伴うざ瘡(充実性顔面浮腫)、眼瞼腫瘍、紅斑毛細血管拡張性酒さ(紅斑毛細血管拡張型酒さ、血管性酒さ)、引っ掻きざ瘡(若年性女子表皮剥離性ざ瘡、ピッカーざ瘡)、腺の酒さ、顎瘤腫、グラム陰性酒さ、肉芽腫性顔面皮膚炎、大きく赤い団子鼻を有する成人男性、鼻瘤、肉芽腫性口囲皮膚炎、ハロゲン瘡、化膿性汗腺炎(反対型ざ瘡、殿部慢性膿皮症、ヴェルヌイユ病)、特発性顔面無菌性肉芽腫、小児性ざ瘡、狼瘡様酒さ(肉芽腫性酒さ、微小丘疹状結核疹、ルバンドウスキーの酒さ様結核疹)、顔面播種状粟粒性狼瘡、瘤腫、新生児アクネ(小児性ざ瘡、新生児ざ瘡、新生児頭部膿疱症)、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、眼の酒さ(眼科性酒さ、眼酒さ)、耳瘤腫症、口周囲皮膚炎、酒さの持続性浮腫(慢性顔上部紅斑性浮腫、モルビアン病、酒さ様リンパ浮腫)、瘤腫性酒さ、ポマードざ瘡、膿疱性丘疹酒さ(炎症性酒さ)、膿瘍性穿掘性毛包周囲炎(頭皮の解離性蜂巣炎、解離性毛包炎、ホフマンの膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎)、口囲皮膚炎、眼窩周囲皮膚炎(眼周囲皮膚炎)、顔面膿皮症(電撃性酒さ)、鼻瘤、酒さ(酒さ性ざ瘡)、集簇性酒さ、滑膜炎-ざ瘡-膿疱症-骨過形成症-骨髄炎症候群(SAPHO症候群)、ステロイド酒さ、タールざ瘡、皮膚癌(癌腫及び黒色腫)、熱帯ざ瘡、乾癬(例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、爪乾癬、乾癬性関節炎)、又はそれらの組合せ等の1つ又は複数の障害の症状を示し、又はその症状を示すリスクがある任意の動物を含む。診断又は他の目的として、障害に関連したマーカーの存在及び/又はレベルを明らかにすることが望ましい対象もまた含まれる。ある特定の態様において、対象は、本明細書に記載され、及び当技術分野
において知られているような、創傷又は皮膚障害を有する任意の動物を含む。適切な対象(患者)には、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモット)、農業用動物、及び家庭用動物又はペット(例えば、ネコ又はイヌ)が挙げられる。非ヒト霊長類、及び好ましくは、ヒト患者が含まれる。
障害
本明細書に提供されているように、必要とする対象を処置する方法が提供される。必要とする対象は、皮膚、毛髪、及び/又は爪の疾患、障害、病気、及び/又は損傷を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、口の口部疾患を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、目の眼疾患を患っている。いくつかの実施形態において対象は、炎症を患っている。いくつかの実施形態において、対象は創傷を有し得る。
構造的障壁を提供することに加えて、皮膚は、侵入病原体又は皮膚損傷により活性化され得るいくつかの免疫細胞を含有する。創傷治癒に関与する最も重要な免疫細胞の一つは、マクロファージであり、それは、食作用及び抗原提示を含む、皮膚において種々の免疫学的機能を示す。更に、それらは、異なる時期を通して創傷治癒過程を編成する多くのサイトカイン及びケモカインを産生することができる。
本明細書に記載される場合、「皮膚損傷」は、皮膚の刺激状態を引き起こし得る、老化、日焼けによる損傷、癌、皮膚障害、又は皮膚疾患により引き起こされ得る皮膚への損傷を指し得る。非限定的に、「皮膚疾患」及び/又は「皮膚障害」には、皺、皮膚の非酵素的グリコシル化、日焼けによる損傷、喫煙による損傷、皮膚の線維症、夏季ざ瘡(マヨルカざ瘡)、集簇性ざ瘡、化粧品性ざ瘡(コスメチックアクネ)、電撃性ざ瘡(急性熱性潰瘍性ざ瘡)、項部ケロイドざ瘡(ケロイドざ瘡、頭部乳頭状皮膚炎、ケロイド性毛包炎、項部ケロイド性毛包炎、項部ケロイドざ瘡)、散在性赤色ニキビを有する成人額、尋常性ざ瘡、機械的ざ瘡、薬物性ざ瘡、粟粒状壊死性ざ瘡(痘瘡状ざ瘡)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を伴うざ瘡(充実性顔面浮腫)、眼瞼腫瘍、紅斑毛細血管拡張性酒さ(紅斑毛細血管拡張型酒さ、血管性酒さ)、引っ掻きざ瘡(若年性女子表皮剥離性ざ瘡、ピッカーざ瘡)、腺の酒さ、顎瘤腫、グラム陰性酒さ、肉芽腫性顔面皮膚炎、大きく赤い団子鼻を有する成人男性、鼻瘤、肉芽腫性口囲皮膚炎、ハロゲン瘡、化膿性汗腺炎(反対型ざ瘡、殿部慢性膿皮症、ヴェルヌイユ病)、特発性顔面無菌性肉芽腫、小児性ざ瘡、狼瘡様酒さ(肉芽腫性酒さ、微小丘疹状結核疹、ルバンドウスキーの酒さ様結核疹)、顔面播種状粟粒性狼瘡、瘤腫、新生児アクネ(小児性ざ瘡、新生児ざ瘡、新生児頭部膿疱症)、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、眼の酒さ(眼科性酒さ、眼酒さ)、耳瘤腫症、口周囲皮膚炎、酒さの持続性浮腫(慢性顔上部紅斑性浮腫、モルビアン病、酒さ様リンパ浮腫)、瘤腫性酒さ、ポマードざ瘡、膿疱性丘疹酒さ(炎症性酒さ)、膿瘍性穿掘性毛包周囲炎(頭皮の解離性蜂巣炎、解離性毛包炎、ホフマンの膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎)、口囲皮膚炎、眼窩周囲皮膚炎(眼周囲皮膚炎)、顔面膿皮症(電撃性酒さ)、鼻瘤、酒さ(酒さ性ざ瘡)、集簇性酒さ、滑膜炎-ざ瘡-膿疱症-骨過形成症-骨髄炎症候群(SAPHO症候群)、ステロイド酒さ、タールざ瘡、皮膚癌、熱帯ざ瘡、乾癬(例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、爪乾癬、乾癬性関節炎)、並びにそれらの組合せ及び/又は変型が挙げることができる。本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、必要とする対象を処置する方法が提供される。その対象は、本明細書に提供され、記載されている
ような、皮膚を冒す疾患を有し得る。
「毛髪及び頭皮障害」は、毛髪及び頭皮を冒す疾患であり、本明細書にも記載されている。毛髪及び頭皮を冒す疾患には、脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、多毛症、毛幹障害、炎症、先端巨大症、湿疹、乾癬、膿痂疹、アトピー性皮膚炎、ダリエー病、及び毛包炎を挙げることができるが、それらに限定されない。頭皮障害についての一般的な原因には、先端巨大症、アトピー性皮膚炎、ダリエー病、湿疹、脆弱X症候群、膿痂疹、皮膚骨膜肥厚症、乾癬、及びRosenthal-Kloepfer症候群を挙げることができるが、それらに限定されない。本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、必要とする対象を処置する方法が提供される。その対象は、皮膚及び頭皮を冒す疾患を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、多毛症、毛幹障害、炎症、先端巨大症、湿疹、乾癬、膿痂疹、アトピー性皮膚炎、ダリエー病、及び/又は毛包炎を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、先端巨大症、アトピー性皮膚炎、ダリエー病、湿疹、脆弱X症候群、膿痂疹、皮膚骨膜肥厚症、乾癬、及び/又はRosenthal-Kloepfer症候群を患っている。いくつかの実施形態において、処置は、必要とする対象に製剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、ヘアクリーム、ヘアジェル、頭皮ローション、シャンプー、コンディショナー、ヘアスプレー、又はヘアムース内にある。
「爪疾患」は、爪、爪床、又は甘皮領域を冒す障害又は疾患であり、本明細書にも記載されている。爪及び甘皮等の周囲の皮膚エリアを冒す疾患は、医学的支援を必要とし得る感染又は炎症をもたらし得る。爪、爪床、及び/又は甘皮に感染する疾患には、爪炎、陥入爪、爪ジストロフィー、爪鉤弯症、爪甲離床症、爪甲脱落症、爪甲真菌症、爪白癬、爪床部角質上皮増殖症、爪甲脱落症、爪甲縦裂症、爪周囲炎、匙状爪、爪下血腫、爪腫瘍(onychomatricoma)、爪天疱瘡、エリトロニチア(erythronychia)、及び黒爪症を挙げることができるが、それらに限定されない。本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、必要とする対象を処置する方法が提供される。その対象は、爪、爪床、及び/又は甘皮を冒す疾患を有し得る。いくつかの実施形態において、その対象は、爪炎、陥入爪、爪ジストロフィー、爪鉤弯症、爪甲離床症、爪甲脱落症、爪甲真菌症、爪白癬、爪床部角質上皮増殖症、爪甲脱落症、爪甲縦裂症、爪周囲炎、匙状爪、爪下血腫、爪腫瘍、爪天疱瘡、エリトロニチア、及び/又は黒爪症を患っている。いくつかの実施形態において、処置は、必要とする対象に製剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、スキンクリーム、ローション、甘皮クリーム、又はマニキュア液内にある。
本明細書に記載される場合、「口腔の健康」は、歯、及び歯肉等の周囲組織の健康を指す。口腔の不健康は、口腔不衛生、虫歯、歯肉疾患、糖尿病、妊娠、癌、HPV、口腔癌(扁平上皮癌、いぼ状癌、小唾液腺癌、リンパ腫)、良性口腔中咽頭腫瘍(好酸球性肉芽腫、線維腫、顆粒細胞腫、ケラトアカントーマ、平滑筋腫、骨軟骨腫、脂肪腫、シュワン腫、神経線維腫、乳頭腫、尖圭コンジローマ、疣贅型黄色腫、化膿性肉芽腫、横紋筋腫、歯原性腫瘍)、白斑症及び紅斑症、並びに舌癌から生じ得る。口における癌は、舌、歯肉、口蓋の上及び周り、並びに頬及び唇の内側に存在し得る。いくつかの実施形態において、必要とする対象に口腔の健康の維持のために処置が提供される。いくつかの実施形態において、対象は、口腔不衛生、虫歯、歯肉疾患、糖尿病、妊娠、癌、HPV、口腔癌(扁平上皮癌、いぼ状癌、小唾液腺癌、リンパ腫)、良性口腔中咽頭腫瘍(好酸球性肉芽腫、線維腫、顆粒細胞腫、ケラトアカントーマ、平滑筋腫、骨軟骨腫、脂肪腫、シュワン腫、神経線維腫、乳頭腫、尖圭コンジローマ、疣贅型黄色腫、化膿性肉芽腫、横紋筋腫、歯原性腫瘍)、白斑症及び紅斑症、又は舌癌を有する。いくつかの実施形態において、対象は妊娠している。いくつかの実施形態において、処置は、必要とする対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、うがい薬又はリンスの形をとる。いくつかの実施形態において、製剤はゲル中にあり、そのゲルは、歯用トレーにおいて投与される。いくつかの実施形態において、製剤は、練り歯磨き、予防用ペースト、歯磨き剤、歯科用溶液、口腔スプレー、口腔リンス、マウスウォッシュ、デンタルフロス、チューインガム、トローチ剤、又は錠剤である。
本明細書に記載される場合、「炎症」は、有害な刺激に対する身体組織の生物学的応答を指す。有害な刺激には、病原体、細菌、ウイルス、真菌、損傷細胞、及び当業者に知られている他の刺激物を挙げることができるが、それらに限定されない。炎症は、例えば、免疫細胞、白血球、血管、分子メディエータ、及び他の小分子に関わり得る防御免疫応答であり得る。炎症の徴候には、痛み、熱、腫脹、及び/又は機能喪失を挙げることができるが、それらに限定されない。炎症は急性又は慢性であり得る。本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、炎症の処置のために形成が与えられる。いくつかの実施形態において、対象は炎症を患っている。いくつかの実施形態において、炎症は、皮膚、頭皮、鼻道、口、甘皮等の爪エリア、目、膣エリア、又は会陰エリア上にある。
「聴覚の健康」は、耳、内耳、外耳、及び周囲エリアの健康を指し得る。聴覚のケアは、対象が、耳、外耳道、及び周囲組織に炎症をもつ場合に必要とされ得る。細菌、ウイルス、粘液、及び他の皮膚症状等の一般的な刺激物は、耳の炎症をもたらし得る。耳の炎症を引き起こし得る外的刺激もまた、存在し得る。例えば、水が外耳道に閉じ込められた時、細菌は、蔓延することができ、その後、それは、炎症及び痛みを引き起こし得る。内耳炎症もまた、流感又は上気道感染等のウイルス感染後に起こり得る。その後、ウイルスは、平衡器官の腫脹を引き起こし得、それは、内耳炎症中、痛みを伴い、又は伴わないめまいをもたらし得る。
いくつかの実施形態において、聴覚炎症又は耳感染を患っている対象を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの局所用製剤を供給する工程、及び単離されたフルベート画分又は局所用製剤を対象に適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分又は局所用製剤は、耳に適用される。局所用製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。単離されたフルベート画分は、本明細書における記載された実施形態のいずれかの方法により、抽出され、精製され、及び単離され得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。いくつかの実施形態において、製剤は、点耳剤、耳用洗浄液、又は耳用軟膏の形をとる。
本明細書に用いられる場合、用語「高圧カラム分画」は、未反応の成分、反応副産物、及び/又は低分子量賦形剤を分離して、それにより、スラリーを、サイズ及び性質に基づいて様々な画分へ分画するための、高圧下の少なくとも1つのカラムの使用を指す。
本明細書に用いられる場合、用語「分子ふるい」は、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、10nm未満、9nm未満、8nm未満、7nm未満、6nm未満、5nm未満、4nm未満、3nm未満、2nm未満、1nm未満、又は0.1nm未満のポア直径を有する1つ又は複数の多孔質材料への試料の通過を指す。試料は、水性スラリーから様々なサイズ及び性質の画分を得るために、直列のそのような分子ふるいを通過し得る。いくつかの実施形態において、高圧カラム分画は、皮膚疾患、障害、又は創傷の処置に用いられる、所望のフルベート画分を得るために、単独で、又は分子ふるいと組み合わせて、用いることができる。
単離されたフルベート画分
本明細書に用いられる場合、用語「生物活性高分子電解質」又は「BP」は、反復単位が電解質基を有する任意の生物活性ポリマー、加えて、生物活性ポリマーの塩及びエステルを指す。BPは、ヒト、他の動物、及び植物において様々な、幅広く価値のある有益な用途をもち得る。BPは、5つの基本的要素:炭素、水素、窒素、酸素、及びイオウで構成され得、炭素及び酸素が主要な成分である。BPの主な有機基には、例えば、フェノール基、カルボキシル基、OH基、脂肪族CH基、カルボニル基、共役カルボキシル基、芳香族CH2又はCH3、イオン性カルボキシル基、及び場合によっては他の基も挙げられる。BPは、それらの重合度、分子量及び原子粒子サイズ、BPを生成した腐植過程の程度及び型により規定されるように思われる特性により、分類され、ある程度、同定され得る。
BPの例には、フミン酸(HA)、フルボ酸(FA)、ヒューミン、及びウルミン酸(UA)が挙げられるが、それらに限定されない。一般的に、フルボ酸は、低分子量ポリマー化合物を含むが、フミン酸は、高分子量ポリマー化合物を含む。BPのフミン酸画分及びフルボ酸画分は、コロイドとナノ結晶物質の組合せである。HA画分及びFA画分は、生命体に対する優れた生物活性能力を有することが示されている。
BPの分子サイズは、幅広く異なり、例えば、FAについて150〜13,000Daであり得る。本明細書に用いられる場合、用語「フルボ酸」、「フルベート」、又は「FA」は、全てのpH条件下で水中に可溶性である腐植物質の画分を指す。それはまた、メチルエチルケトン、メチルアルコール、及び酸に可溶性である。それは、一般的に、黄色(朽葉色)から黄褐色の色をもつ。フルベートは、カルボキシル基及びフェノラート基を含有する異なる酸の混合物又は集合体を含む。
フルベートの提唱された構造は、酸素含有官能基で広範に置換されている、芳香族構造と脂肪族構造の両方を含有する。提唱されたフルベート構造は、以前に記載されている(Buffle J.、Greter F. L.、Haerdi W.、1977、Measurements of Complexation Properties of Humic and Fulvic Acids in Natural Water, With Lead & Copper Ion-Selective Electrodes. Anal. Chem. 49: 216〜222頁参照;米国特許出願第2015/0216839号も参照;それらのそれぞれは、全体として参照により本明細書に組み入れられている)。本明細書に用いられる場合、用語「フルベート」は、フルボ酸のエステル、塩、又はイオン複合体を包含する。
特定されたフルベート画分を抽出し、単離するための方法が本明細書に提供される。方法は、例えば、腐植有機物(HOM)を有する水性スラリーを供給する工程、水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程、分画化試料を分子ふるいに適用する工程、及びフルベート画分を単離する工程を含み得る。HOMは、幅広い範囲の分子量を有するフルベートを含有する。創傷治癒のために、並びに本明細書に記載されているような皮膚障害及び疾患を処置するために有用な単離された特定のフルベート画分のための方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、フルベート画分は、蒸気圧浸透圧法により測定される場合、80Daから1200Daまでの範囲の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、フルベート画分は、蒸気圧浸透圧法により測定される場合、80Daから350Daまでの範囲の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、フルベート画分は、蒸気圧浸透圧法により測定される場合、300Daから320Daまでの範囲の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、フルベート画分は、蒸気圧浸透圧法により測定される場合、約308.24Daの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、フルベート画分は、蒸気圧浸透圧法により測定される場合、約309Daの平均分子量を有する。本明細書に記載される場合、「蒸気圧浸透圧法」は、ポリマーの数平均分子量を測定するための非分光学的技術を指す。
本明細書に記載された方法を用いて、様々な多数の単離されたフルベート画分は、約27個のフルベート画分に限定される。しかしながら、約309Daの分子量を有するフルベート画分が、創傷及び障害を処置するのに治療的に有効である。いくつかの実施形態において、治療的有効な単離されたフルベート画分は、本明細書ではM-007と呼ばれる。いくつかの実施形態において、M-007は、約80Daから約1200Daまでの範囲である、許容される分子量範囲を有する。いくつかの実施形態において、M-007は、その分子量に対応する、許容される分子式範囲を有する。いくつかの実施形態において、M-007はC12H16O9の一般式を有する。
本明細書に用いられる場合、「単離されたBP画分」は、BP画分が単離されている源に存在する非BP物質を実質的に含まない画分である。単離されたBP画分は、FAが単離されている源に存在する非FA物質を実質的に含まない、単離されたFA画分、HAが単離されている源に存在する非HA物質を実質的に含まない、単離されたHA画分等の、腐植物質の単離された画分であり得る。単離されたBP画分はまた、他の物質を実質的に含まないUA、HA、FA、及びヒューミン画分の2つ以上等の、腐植物質の2つ以上の単離された画分を含有し得る。BP画分は、乾燥質量で約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、又は約2%、好ましくは1%未満の非BP物質(本明細書では、「夾雑物質」とも呼ばれる)がある場合、非BP物質を「実質的に含まない」。
障害を処置する方法
いくつかの実施形態において、障害を患っている対象を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、対象に治療的有効量の組成物を投与する工程であって、前記組成物が単離されたフルベート画分を含む、工程を含む。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分はM-007である。いくつかの実施形態において、組成物は更に、成長因子、生物活性ペプチド断片、又はそれらの組合せを含む。
本明細書に用いられる場合、「投与」又は「投与すること」は、本明細書に記載された薬学的組成物を、処置を必要としている哺乳動物(例えば、ヒト)に提供することとして定義される。本明細書に提供された方法による、単離されたフルベート画分の投与は、所望の治療的有効量及び結果を与える任意の経路により得る。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分は、単位用量の単離されたフルベート画分及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物において投与される。例えば、投与は、経口又は非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、経皮、経粘膜(例えば、頬、鼻、直腸、舌下、及び膣)、吸入による、又は剤形として植え込まれたリザーバを介してであり得る。意図された投与様式に依存して、薬学的組成物は、好ましくは、正確な用量の単回投与に適した、又は複数回の投与用量に適した単位剤形での、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、液体、懸濁液、乳濁液、ゲル、ローション、クリーム、泡、軟膏、坐剤、顆粒、ペレット、ビーズ、粉末等の固体、半固体、又は液体であり得る。適切な薬学的組成物及び剤形は、製剤処方の分野の業者に知られた、並びに関連のあるテキスト及び文献、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(Easton、Pa.: Mack Publishing Co.、1995)(全体として参照により本明細書に組み入れられている)に記載された通常の方法を用いて調製され得る。
本明細書に用いられる場合、用語「治療的有効量」は、組成物の投与が指示される疾患状態を軽減する、緩和する、防止する、寛解させる、又は排除する能力がある単離されたフルベート画分を含む組成物の量を意味する。いくつかの実施形態において、治療的有効量は、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、110mg/kg、120mg/kg、130mg/kg、140mg/kg、150mg/kg、160mg/kg、170mg/kg、180mg/kg、190mg/kg、若しくは200mg/kg、又は前述の量の任意の2つにより定義される範囲内の単離されたフルベート画分の量の、必要とする対象への投与を含む。いくつかの実施形態において、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、11μg/mL、12μg/mL、13μg/mL、14μg/mL、15μg/mL、16μg/mL、17μg/mL、18μg/mL、19μg/mL、20μg/mL、25μg/mL、30μg/mL、35μg/mL、40μg/mL、45μg/mL、若しくは50μg/mL、又は前述の値の任意の2つにより定義される範囲内の単離されたフルベート画分を有する組成物が製剤化される。いくつかの実施形態において、約5% w/vから約65% w/vまでの単離されたフルベート画分を有する組成物が製剤化される。したがって、いくつかの実施形態において、組成物は、約5% w/v、約10% w/v、約15% w/v、約20% w/v、約25% w/v、約30% w/v、約35% w/v、約40% w/v、約45% w/v、約50% w/v、約55% w/v、約60% w/v、若しくは約65% w/v、又は前述の値の任意の2つにより定義される範囲内を含む。
本明細書に用いられる場合、「舌下の」は、「舌の下の」を意味し、物質が舌の下の血管を介して迅速に吸収されるような、口を介しての物質の投与を指す。舌下製剤は望ましくあり得、それらが、肝臓の初回通過代謝過程を迂回し、したがって、より良い生物学的利用率、迅速な作用の開始、及びより高い患者服薬遵守を提供するからである。
本明細書に用いられる場合、用語「経皮の(transdermal)」は、皮膚又は粘膜との直接的接触によっての薬物の送達、投与、又は適用を指す。そのような送達、投与、又は適用はまた、皮膚の(dermal)、経皮的な(percutaneous)、経粘膜の、及び頬の、としても知られている。本明細書に用いられる場合、「皮膚の(dermal)」は、皮膚及び粘膜を含み、その粘膜は、口部、頬、鼻、直腸、及び膣の粘膜を含む。
本明細書に用いられる場合、「経皮薬物送達システム」は、皮膚(又は上記で言及された任意の他の表面)への適用で薬物を放出する組成物の投与のためのシステム又はデバイスを指す。経皮薬物送達システムは、薬物含有層、並びに、任意でバッキング層及び/又は放出性のライナー層を含み得る。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達システムは、それが接触する表面に沿うことができ、対象への局所適用中、有害な生理学的応答なしに、及び水性の接触によってかなり分解されることなしに、局所適用を促進するようにそのような接触を維持することができる、実質的に非水性の固形である。多くのそのようなシステムは当技術分野において知られており、経皮薬物送達パッチ等、市販されている。下記のように、一実施形態において、経皮薬物送達システムは、加圧で接着する接着剤又は生体接着剤を含む薬物含有ポリマーマトリックスを含み、ユーザーの(例えば、対象の)皮膚への直接的適用として採用される。他の実施形態において、ポリマーマトリックスは、非接着性であり、ユーザーの皮膚への適用及び接着のために別個の接着手段(例えば、別個の接着層)と共に提供され得る。
いくつかの実施形態において、その投与様式が、本明細書に記載された組成物の実質的により優れた送達を提供することは、予想外にも発見されている。したがって、いくつかの実施形態において、その投与様式は、通常の送達と比較して、本明細書に記載された組成物の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、又は40倍、又はそれ以上速い送達を提供する。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分の経皮送達は、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、又は40倍、又はそれ以上速い送達を提供する。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分の経皮送達は、通常の送達と比較して、約20倍から約30倍まで速い送達を提供する。
局部的効果と全身的効果の両方のための薬物適用の部位として皮膚へ相当な関心が寄せられている。しかしながら、皮膚、特に角質層は、薬物浸透の手強い障壁となり、それにより、局所的及び経皮的生物学的利用率を制限する。皮膚浸透促進技術は、生物学的利用率を向上させ、局所的及び経皮的送達が実行可能な選択肢である薬物の範囲を増加させるために開発されている。薬物選択、プロドラッグ及びイオン対、過飽和薬物溶液、共融系、錯体形成、リポソーム、ベシクル、及び粒子等の薬物/媒体最適化に基づいた増強技術が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、水和による角質層の改変、角質層脂質及びケラチンの構造に作用する化学的促進剤、並びに分配及び溶解効果によっても増強が起こり得る。
皮膚の障壁機能により引き起こされる薬物送達への制限が、角質層を通して薬物の送達を向上させる方法への探究を促してきた。化学的又は物理的方法を含む様々な方法が探索されている。利用されている化学的方法には、溶解性を増強するために薬物にエタノール又はプロピレングリコールを加えることが挙げられる。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達システム適用においてよく見られる処方集へのM-007の約0.50質量%から約7質量%までの添加は、非増強配合剤と比較して約350%、及び増強薬物送達方法としてエタノールか又はプロピレングリコールのいずれかを用いるそれらの処方集に対して約150%、処方集における活性物質の皮膚浸透及び送達を向上させた。
病気を和らげるための皮膚への薬剤の適用は、数千年にわたり人類に利用されてきた方法であり、湿布、ゲル、軟膏、クリーム、及びペーストの適用を含む。これらの適用は、主に、局部の局所的効果が意図されていた。しかしながら、薬物を全身性に送達するための接着性皮膚パッチの使用は、比較的新しい現象である。
経皮薬物送達システムは、経口経路を凌ぐ薬理学的な利点、並びに向上した患者許容性及び服薬遵守を与える。それとして、それらは、この20〜30年間に渡って、薬学的研究及び開発の重要な領域になっている。Table 1(表1)に、よく見られる経皮薬物送達システム成分及び用途の一部を列挙する。
経皮送達の優先使用は、経皮送達が起こるために、薬物がパッチ内に高濃度で存在することを必要とした。薬物放出のためのエネルギーは、システム内の薬物の飽和溶液と、皮膚におけるはるかに低い濃度との間に存在する濃度勾配から引き出される;薬物移動は拡散により生じる。パッチ内の高濃度と血液中の低濃度があるため、薬物は拡散し続け、循環中の薬物の一定濃度を維持する。
皮膚を越える浸透速度は、以下の式によって与えられる:
式中、Dは拡散係数であり、Coはパッチ内の薬物の一定濃度であり、Pは皮膚と浸漬溶液との間の分配係数であり、hは皮膚の厚さである。
薬物及び/又は担体が以下の性質を有する場合には、経皮浸透が向上し、その性質には、500Da未満の分子量(したがって、いくつかの実施形態において、M-007フルベートは、例えば、250〜310Da等の約500Da未満の分子量を有する)、親油性相と親水性相の両方に対する親和性(したがって、いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分は、天然において親油性と親水性の両方である)、薬物の放出をもたらす低融解点(したがって、いくつかの実施形態において、M-007は非常に低い過渡温度で生物活性のあるイオン性ゾルである)、及び薬物が低用量で有効である高い効力(したがって、いくつかの実施形態において、M-007は、低用量率で有効な非常に強い電解質である)が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態において、M-007フルベート組成物は、経皮浸透が向上している。いくつかの実施形態において、M-007は、局所用組成物及び経皮パッチ処方集において、非常に低い毒物学的結果と共に、皮膚浸透促進を実証している、エステル結合したコンパートメントを有するアミノ酸に基づいた両親媒性化合物である。
いくつかの実施形態において、処置する方法は、必要とする対象を選択する工程を含む。必要とする対象を選択する工程は、本明細書に記載されているような障害、疾患、又は創傷の1つ又は複数を有する対象を同定すること、及び前記対象に処置を施すことに決めることを含む。
いくつかの実施形態において、処置は、皮膚障害を軽減するか又は緩和する。本明細書に記載される場合、用語「軽減する」又は「緩和する」は、皮膚障害、疾患、又は創傷における改善を指す。いくつかの実施形態において、改善は、皮膚障害、疾患、又は創傷の治癒における結果として、表皮の表層の視覚的及び/又は官能的側面の向上を含む。
いくつかの実施形態において、対象は、皮膚障害を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、痛みに苦しんでいる。痛みは、頭痛、胃痛、癌、自己免疫疾患、又は遺伝的障害に源を発し得る。いくつかの実施形態において、痛みは、皮膚刺激、皮膚炎症、炎症のある、関節、筋肉、臓器、及び他の部位から生じる痛み等の全身性の問題に由来する。
いくつかの実施形態において、対象は炎症を患っている。いくつかの実施形態において、対象は炎症を患っている。いくつかの実施形態において、炎症は、皮膚、頭皮、鼻道、口、甘皮等の爪エリア、目、膣エリア、又は会陰エリア上にある。
いくつかの実施形態において、対象は皮膚障害を有する。いくつかの実施形態において、皮膚障害は、ざ瘡、脱毛症、円形脱毛症、全頭脱毛症、血管腫、足白癬、ボーエン病、癰、カンジダ症、蜂巣炎、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮膚線維腫、膿瘡(echtima)、表皮水疱症、紅色陰癬、毛包炎、化膿性汗腺炎、蕁麻疹、多汗症、魚鱗癬、膿痂疹、カポジ肉腫、ケロイド、ケラトアカントーマ、角化症、毛孔性角化症、毛包性角化症、扁平苔癬、黒色腫、黒皮症、汗疹、シラミ寄生症、天疱瘡、ばら色粃糠疹、毛孔性紅色粃糠疹、乾癬、レイノー病、白癬、酒さ、疥癬、強皮症、皮脂嚢胞、皮膚癌、スキンタグ、又は帯状疱疹である。いくつかの実施形態において、対象は、皮膚老化の影響に悩まされている。いくつかの実施形態において、皮膚老化の影響には、例えば、皮膚の皺、夏日斑、たるみ、及び皮膚コラーゲンの喪失が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、対象は、夏季ざ瘡(マヨルカざ瘡)、集簇性ざ瘡、化粧品性ざ瘡(コスメチックアクネ)、電撃性ざ瘡(急性熱性潰瘍性ざ瘡)、項部ケロイドざ瘡(ケロイドざ瘡、頭部乳頭状皮膚炎、ケロイド性毛包炎、項部ケロイド性毛包炎、項部ケロイドざ瘡)、散在性赤色ニキビを有する成人額、尋常性ざ瘡、機械的ざ瘡、薬物性ざ瘡、粟粒状壊死性ざ瘡(痘瘡状ざ瘡)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を伴うざ瘡(充実性顔面浮腫)、眼瞼腫瘍、紅斑毛細血管拡張性酒さ(紅斑毛細血管拡張型酒さ、血管性酒さ)、引っ掻きざ瘡(若年性女子表皮剥離性ざ瘡、ピッカーざ瘡)、腺の酒さ、顎瘤腫、グラム陰性酒さ、肉芽腫性顔面皮膚炎、大きく赤い団子鼻を有する成人男性、鼻瘤、肉芽腫性口囲皮膚炎、ハロゲン瘡、化膿性汗腺炎(反対型ざ瘡、殿部慢性膿皮症、ヴェルヌイユ病)、特発性顔面無菌性肉芽腫、小児性ざ瘡、狼瘡様酒さ(肉芽腫性酒さ、微小丘疹状結核疹、ルバンドウスキーの酒さ様結核疹)、顔面播種状粟粒性狼瘡、瘤腫、新生児アクネ(小児性ざ瘡、新生児ざ瘡、新生児頭部膿疱症)、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、眼の酒さ(眼科性酒さ、眼酒さ)、耳瘤腫症、口周囲皮膚炎、酒さの持続性浮腫(慢性顔上部紅斑性浮腫、モルビアン病、酒さ様リンパ浮腫)、瘤腫性酒さ、ポマードざ瘡、膿疱性丘疹酒さ(炎症性酒さ)、膿瘍性穿掘性毛包周囲炎(頭皮の解離性蜂巣炎、解離性毛包炎、ホフマンの膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎)、口囲皮膚炎、眼窩周囲皮膚炎(眼周囲皮膚炎)、顔面膿皮症(電撃性酒さ)、鼻瘤、酒さ(酒さ性ざ瘡)、集簇性酒さ、滑膜炎-ざ瘡-膿疱症-骨過形成症-骨髄炎症候群(SAPHO症候群)、ステロイド酒さ、タールざ瘡、皮膚癌(癌腫及び黒色腫)、熱帯ざ瘡、乾癬(例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、爪乾癬、乾癬性関節炎)、又はそれらの組合せ及び変型等の皮膚疾患又は障害を患っている。
いくつかの実施形態において、必要とする対象は皮膚障害を患っており、又は皮膚障害を有する対象が、治療用物質を受けるように選ばれている。いくつかの実施形態において、治療用物質は、レチンA、ヒドロキノン、レチノール、又は抗真菌剤である。いくつかの実施形態において、必要とする対象は癌を患っており、又は癌を有する対象が、抗癌治療を受けるように選ばれている。いくつかの実施形態において、対象は、鎮痛薬を受けるように選ばれている。
本明細書に記載されているように、単離されたフルベート画分を含む組成物は、局所用製剤であり得る。局所用製剤は更に、例えば、単離されたフルベート画分の機能及びバイアビリティに干渉しない薬学的媒体を含み得る。本明細書に記載される場合、「薬学的媒体」は、局所用製剤の測定及び投与を促進するために薬剤と混合される不活性物質を指す。
いくつかの実施形態において、活性成分及び活性成分の混合物は、例えば、貯蔵及びその後の投与のために調製された薬学的に許容される担体を含む局所用製剤において、用いることができる。本明細書に用いられる場合、「局所的な」は、皮膚又は様々な身体開口部への製剤の投与又は適用を指す。いくつかの実施形態は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせての、本明細書に記載されたフルベート画分の使用を含む。治療用の許容される担体又は希釈剤は薬学的分野においてよく知られており、例えば、全体として参照により本明細書に組み入れられている、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.(1990)に記載されている。保存剤及び安定剤は、局所用製剤において提供され得る。保存剤は、皮膚細胞のための栄養分を分解させないために用いることができる。本明細書に用いられる場合、用語「担体又は希釈剤」は、固体製剤のための固体担体若しくは希釈剤、液体製剤のための液体担体若しくは希釈剤、又はそれらの混合物であり得る。固体担体/希釈剤には、ゴム、デンプン(例えば、コーンスターチ、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、シュクロース、デキストロース)、セルロース系材料(例えば、結晶セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。局所用又は非経口製剤としての、液体製剤について、薬学的に許容される担体は、水性若しくは非水性溶液、懸濁液、乳濁液、又は油であり得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びオレイン酸エチル等の注射用有機エステルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液、乳濁液、又は懸濁液が挙げられ、例えば、食塩水及び緩衝媒体がある。油の例は、石油、動物、植物、又は合成の起源の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ヒマワリ油、及び魚肝油である。
非経口媒介物(皮下、静脈内、動脈内、又は筋肉内の注射用)には、塩化ナトリウム溶液、リンゲル液デキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、及び固定油が挙げられる。静脈内媒介物には、流体及び栄養補充液、リンゲル液デキストロースに基づいたもの等の電解質補充液等が挙げられる。例は、表面活性剤及び他の薬学的に許容されるアジュバントの添加有り又は無しの、水及び油等の無菌液体である。一般的に、水、食塩水、水性デキストロース及び関連糖溶液、並びにプロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコールが、特に注射用溶液として、好ましい液体担体である。油の例は、石油、動物、植物、又は合成の起源の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ヒマワリ油、及び魚肝油である。
加えて、組成物は更に、結合剤(例えば、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、様々なpH及びイオン強度のバッファー(例えば、Tris-HCl、酢酸バッファー、リン酸バッファー)、表面への吸収を防止するためのアルブミン若しくはゼラチン等の添加剤、界面活性剤(例えば、Tween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、表面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度上昇剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味剤(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン類)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動性補助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング剤(例えば、ポロキサマー類又はポロキサミン類)、コーティング剤及びフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート類、ポリメタクリレート類)、及び/又はアジュバントを含み得る。
単離されたフルベート画分を含む局所用製剤が製剤化されて、局所的適用のために液体、ローション、又はクリームとして用いられ得る。局所用製剤中の適切な成分には、例えば、水、食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アブルミン、又はグルタミン酸ナトリウム等を挙げることができる。必要に応じて、吸収促進調製物(例えば、リポソーム)を利用することができる。
本明細書に用いられる場合、用語「注射用組成物」は、注射による投与のために調製される製剤を指す。これらの注射剤は、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、又は髄腔内のような経路により投与され得る。
いくつかの実施形態において、薬学的媒介物は、大豆油、グレープフルーツ油、若しくはアーモンド油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、又はリポソームである。
ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、及び大豆は、局所用製剤において懸濁剤又は潤滑剤として用いることができる。
単離されたフルベート画分を含む局所用製剤は更に、例えば、1つ又は複数の溶媒、少なくとも1つの植物性薬物、及び/又は少なくとも1つの皮膚軟化剤を含むことができる。
Table 2(表2)は、ヒトにおいて慢性創傷の修復を促進するために用いられる成長因子の部分的なリストを提供する。Table 3(表3)は、成長因子及び慢性創傷の二重盲検プラセボ対照試験の結果を提供する。
VEGFは、新しい血管の成長を促進するシグナル伝達タンパク質である。VEGFは、損なわれた血液循環のために、酸素化された血液が奪われた時、細胞及び組織に血液供給を回復させる機構の一部を形成する。
HGF遺伝子は、多数の細胞型及び組織型において、肝細胞成長因子受容体と結合して、細胞成長、細胞運動性、及び形態形成を制御するタンパク質をコードする。このタンパク質は、間葉系細胞により分泌され、主に上皮性起源の細胞へ多機能サイトカインとして作用する。このタンパク質はまた、血管新生、腫瘍形成、及び組織再生において役割を果たす。ヒトHGFは、697アミノ酸残基を含有する直鎖状ポリペプチド前駆体糖タンパク質として発現する。HGFは、T細胞の心臓組織への走化性を制御する。T細胞上に発現したcMetによるHGFの結合は、cMet、CXCR3、及びCCR4の上方制御を引き起こし、それは、次に、T細胞に心臓組織へ遊走する能力を与える。HGFは、HGF受容体(HGFR)として同定されたC-Met癌遺伝子のタンパク質産物と相互作用することが示されている。Met/HGFR受容体タンパク質の過剰発現と、肝細胞成長因子リガンドの同時発現によるMet/HGFRの自己分泌活性化の両方が、発癌に結びつけられている。
KGFは、FGF-7及びヘパリン結合性成長因子-7(HBGF-7)としても知られている。KGFは、線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーであり、毛髪成長を刺激することが見出されている。頭皮に直接、適用された時、KGFは、細胞表面上のKGF受容体と結合し、上皮細胞増殖、分化、及び遊走を刺激し、いくつかの細胞保護機構を促進し、それにより、発毛を刺激し、皮膚の健康を増強することにより、成長と生存の両方の因子として働く。この挙動は、老化又は化学療法の副作用の影響により脱毛を経験する人々にとって特に有益である。
KGFに応答する細胞は、それらが、その標的細胞の近くの、又はそれから遠くの細胞により正常には産生される成長因子を認識する、細胞膜上に受容体を有するから、そのように応答する。KGFのその受容体との結合は、最終的には、数ある効果の中でも、細胞分裂をもたらすと予想される、分子事象のカスケードを惹起する。KGFは、上皮組織において増殖及び分化を制御することが知られており、毛包の幹細胞を制御し得る。
いくつかの実施形態において、局所用製剤は更に、例えば、少なくとも1つの成長因子を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの成長因子は、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF-α及びTGF-β)、神経成長因子(NGF)、エリスロポエチン(EPO)、インスリン様成長因子(IGF-I及びIGF-II)、インターロイキンサイトカイン(IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13)、インターフェロン(IFN-α、IFN-β、及びIFN-γ)、腫瘍壊死因子(TNF-α及びTNF-β)、コロニー刺激因子(GM-CSF及びM-CSF)である。成長因子(GF)の例は、2013年8月27日に発行された米国特許第8,518,879号、及び2015年9月1日に発行された米国特許第9,119,974号に記載されており、その両方の特許は本明細書に全体として参照により組み入れられている。
いくつかの実施形態において、局所用製剤は更に、1つ又は複数の生物活性断片化ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、生物活性断片化ペプチドは、コラゲナーゼ由来生物活性断片、チゲリニン(tigerinin)に基づいたペプチド、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、生物活性断片化ペプチドは、タイロトイン(tylotoin)に基づいたペプチド等のサンショウウオ皮膚ペプチドである。いくつかの実施形態において、断片化ペプチドは、チゲリニンに基づいたペプチド等のカエル皮膚ペプチドである。
いくつかの実施形態において、局所用製剤は、少なくとも1つの増粘剤、少なくとも1つの湿潤剤、及び/又は少なくとも1つの保存剤を含み得る。増粘剤には、例えば、トリグリセリド、パルミテート、ミリステート、ステアレート、ポリエチレングリコール、植物由来の脂肪アルコール、コポリマー、セルロースガム、又はキサンタンガムを挙げることができる。湿潤剤は、それらの保湿能力として用いることができる。非限定的に、湿潤剤には、PCAナトリウム、ナノ脂質ゲル、グリセリン、α-ヒドロキシ酸、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素、グリセリルトリアセテート、ネオアガロビオース、グリセロール、キシリトール、マルチトール、高分子ポリオール類、ポリデキストロース、キラヤ(quillaia)、MPジオール、海藻及び藻類抽出物、並びに乳酸を挙げることができるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態において、局所用製剤は更に、少なくとも1つの保存剤を含む。非限定的に、保存剤には、ベンゾイン樹脂、ホホバ、ビタミンE、アルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、及びトリクロサンを挙げることができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの保存剤は、ベンゾイン樹脂、ホホバ、ビタミンE、アルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、及び/又はトリクロサンである。
非限定的に、本明細書に記載されているような製剤は、ローション、クリーム、ゲル、化粧品(メーキャップ)、サンスクリーン、又はサンブロックの中にあり得る。その製剤を含有することができるメーキャップには、ファンデーション、頬紅、BBクリーム、CCクリーム、ファンデーション下地、下地、口紅、リップグロス、睫毛用下地、アイシャドウ、クリームアイシャドウ、クリームファンデーション、スキンセラム、及びコンシーラーを挙げることができるが、それらに限定されない。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が頭皮に炎症を有する場合、製剤は、シャンプー、コンディショナー、ヘアスプレー、ムース、ジェル、又はヘアリンスにおいて提供することができる。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、爪又は周囲の甘皮領域に炎症を有する場合、製剤は、ゲル、ローション、クリーム、又は甘皮用油において提供することができる。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、鼻道又は周囲エリアに炎症を有する場合、製剤は、鼻腔用スプレー又は点鼻剤として提供することができる。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、口、又は歯肉、唇、頬の内側、若しくは口蓋等の口腔エリアに炎症を有する場合、製剤は、マウスウォッシュ、練り歯磨き、予防用ペースト、歯磨き剤、歯科用溶液、口腔スプレー、デンタルフロス、チューインガム、トローチ剤、錠剤、マウスリンス、又は歯用トレー内のゲル/クリームとして提供することができる。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、会陰エリアに炎症を有する場合、製剤は、坐剤、クリーム、ゲル、軟膏、又はローションとして提供することができる。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、耳又は耳の周囲エリアに炎症を有する場合、製剤は、点耳剤等の耳のために製剤化された薬剤として提供することができる。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、目又は目の周囲エリアに炎症を有する場合、製剤は、点眼剤、眼軟膏剤、又は眼用クリーム等の目のために製剤化された薬剤として提供することができる。いくつかの実施形態において、睫毛の根元に炎症が生じている場合、製剤は、睫毛用下地に用いることができ、睫毛用下地は、マスカラブラシ又は小筆で睫毛のラインに対して投与され得る。
対象を処置する方法が必要とされる場合、例えば、対象が、会陰エリアの炎症を有する場合、製剤は、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、又は膣坐剤として提供することができる。
皮膚障害を患っている患者は、単離されたフルベート画分を、単独で、又はその疾患若しくは病的状態を処置することが知られた他の治療と組み合わせて、或いは単独で、又は1つ若しくは複数の成長因子及び/若しくは1つ若しくは複数の生物活性断片化ペプチドと組み合わせて、処置することができる。本明細書に用いられる場合、「治療」には、既知の薬物が挙げられるが、それに限定されない。加えて、本明細書に記載された単離されたフルベート画分は、望ましくない副作用を伴う薬物と組み合わせることができる。単離されたフルベート画分をそのような薬物と組み合わせることにより、副作用を有するその薬物の有効用量を低下させて、副作用の発生する確率を減らすことができる。
いくつかの実施形態において、皮膚障害と診断された、又は皮膚障害を呈する患者を治療的有効量の単離されたフルベート画分で処置する方法であって、皮膚障害が寛解し、又は低減するように前記患者に前記単離されたフルベート画分を投与する工程を含む、方法が提供される。実施形態は、皮膚障害と診断された、又は皮膚障害を呈する患者を治療的有効量の単離されたフルベート画分で処置する方法であって、皮膚障害の症状が低減し、又は抑制されるように前記患者に前記単離されたフルベート画分を投与する工程を含む、方法を含む。一実施形態において、単離されたフルベート画分は、創傷治癒の動力学過程を触媒することを含む治癒機能を促進することにより機能する。これらの過程は、結果として血小板凝集、血液凝固、及び炎症細胞の創傷部位への遊走を生じる、血液成分の血管外遊走;再上皮化及び肉芽組織形成をもたらす、ケラチノサイト、線維芽細胞、及び内皮細胞の遊走及び増殖を含む増殖期;並びに、組織構造完全性及び機能的能力を回復する組織再構築期からなる炎症反応段階を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているような単離されたフルベート画分を、単独で、成長因子、生物活性断片化ペプチド、皮膚処置と組み合わせて、或いは当技術分野において知られた方法による創傷又は皮膚治療、例えば、物理的治療、疼痛管理処置、又は当技術分野における他の処置若しくは治療と組み合わせて用いて、皮膚障害を処置する方法が提供される。
薬学的製剤
本開示の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせた、有効量の本開示の単離されたフルベート画分を含み得る。組成物は更に、本明細書に記載されているような1つ若しくは複数の成長因子、本明細書に記載されているような1つ若しくは複数の生物活性断片化ペプチド、又はそれらの組合せを含み得る。組成物は更に、皮膚疾患又は創傷の処置に適した他の既知の薬物を含み得る。本開示の単離されたフルベート画分の有効量は、単離されたフルベート画分処置の非存在下で生じると予想されることと比較して、障害を寛解させ、又は治癒過程の促進を引き起こす量である。有効量(及び投与方式)は、個人レベルで決定され、対象(サイズ、年齢、一般的な健康状態)、処置されることになっている状態の重症度、処置されるべき症状の重症度、求められる結果、用いられることになっている特定の担体又は薬学的製剤、投与経路、及び当業者に明らかであるような他の因子の考慮に基づく。有効量は、当技術分野において知られているような技術を用いて当業者により決定され得る。本明細書に記載された化合物の治療的有効量は、インビトロ試験、動物モデル、又は当技術分野において知られているような他の用量反応研究を用いて決定することができる。本開示の単離されたフルベート画分は、単独で、又は他の治療と共に、用いることができる。治療的有効量は、単離されたフルベート画分が別の治療と共に用いられる場合、低減され得る。
本開示の薬学的組成物は、皮内、静脈内、皮下、経口、直腸、膣、非経口、腹腔内、局所的、肺、鼻腔内、頬、眼、髄腔内、硬膜外、又は別の投与経路に適した製剤として、調製され、包装され、又は販売され得る。化合物は、任意の都合の良い経路により、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜皮膚の内層(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸管粘膜)を通しての吸収により、投与され得、他の生物活性物質と一緒に投与され得る。投与は全身性又は局部性であり得る。例えば、本開示の薬学的組成物は、微量注入法により腫瘍へ局部的に投与することができる。更に、投与は、単回投薬又は一連の投薬により得る。
薬学的使用について、本開示の単離されたフルベート画分処置は、薬学的に許容される担体と組み合わせて用いられ得、任意で、薬学的に許容される希釈剤又は賦形剤を含み得る。
したがって、本開示はまた、対象への投与に適した薬学的組成物を提供する。担体は、組成物が、非経口投与に適応するように液体であり得、又は固体、すなわち、経口投与のために製剤化された錠剤若しくは丸剤であり得る。更に、担体は、組成物が吸入に適応するように、噴霧可能な液体又は固体の形をとり得る。非経口で投与される場合、組成物は、発熱物質を含まず、許容される非経口担体中にあるべきである。或いは、活性化合物は、公知の方法を用いて、リポソーム内に製剤化され、又はカプセル化され得る。他の企図される製剤には、発射されるナノ粒子、及び免疫学的に基づいた製剤が挙げられる。
リポソームは、閉じ込められた水性容積を含有する、完全に閉じた脂質二分子層膜である。リポソームは、単層状(単一の膜)又は多層状(複数の二分子層膜で、それぞれが、水性層により次の膜から分離していることに特徴づけられるタマネギ状構造)であり得るベシクルである。二分子層は、疎水性「尾」領域及び親水性「頭」領域を有する2つの脂質単分子層で構成される。二分子層膜において、脂質単分子層の疎水性(非極性)「尾」は、二分子層の中央へ指向し、一方、親水性(極性)「頭」は水性相へ指向する。
投与方法
いくつかの実施形態はまた、開示された局所用製剤を作製し、投与するための方法を包含する。そのような開示された方法は、とりわけ、局所投与による投与を含み、その投与には、組成物を生きている組織と最適に接触させるために当業者により適切と思われるような、水性懸濁液、油性調製物等として、又は膏薬、軟膏等としての投与、及び徐放性製剤による投与が挙げられる。
当業者に容易に明らかであるように、投与されるべき有用な用量は、処置されるべきエリアの年齢、質量サイズ、用いられる特定の成分、及びこれらの成分が用いられる特定の用途に依存して異なる。
処置方法
皮膚、毛髪、及び爪のケア
本明細書に提供される実施形態は、必要とする対象の処置に用いることができる。例示的実施形態において、局所用製剤は、斑点、皺、きめ、毛穴、UVによるしみ、褐色斑、皮膚の赤色領域、及びポルフィリンを処置するために用いられる。本明細書に記載されているように、ポルフィリンは、皮膚における死んだ細菌の結果である。ポルフィリンの測定は、それが皮膚における吹き出物又はざ瘡についての性向と関係するため、皮膚向上の測定である。
追加として、本明細書に記載された実施形態は、爪、及び毛髪の健康に影響し得る疾患の処置に用いることができる。爪疾患には、爪囲炎、真菌感染、爪萎縮、及び爪乾癬を挙げることができるが、それらに限定されない。毛髪の健康に影響する疾患もまた、処置することができる。毛髪の健康に影響する疾患には、脱毛症、男性型禿頭症(アンドロゲン性脱毛症)、多毛症、毛幹障害、及び白癬を挙げることができるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態において、皮膚障害を患っている対象を処置するための方法が提供される。方法は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの局所用製剤を供給する工程、及び前記単離されたフルベート画分又は局所用製剤を対象に適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分又は局所用製剤は、皮膚上に適用される。いくつかの実施形態において、皮膚障害は、乾癬、皮膚癌、ざ瘡、脱毛症、よう、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、新生児頭部皮膚炎、口周囲皮膚炎、帯状疱疹、白癬、黒皮症、及び膿痂疹からなる群から選択される。実施形態において、皮膚障害は、自己免疫障害から生じる。いくつかの実施形態において、自己免疫障害は、円形脱毛症、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性蕁麻疹、類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病、モルフェア、尋常性天疱瘡、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、ムッハ・ハーベルマン病、乾癬、全身性強皮症、又は白斑症である。いくつかの実施形態において、皮膚疾患及び皮膚障害は、夏季ざ瘡(マヨルカざ瘡)、集簇性ざ瘡、化粧品性ざ瘡(コスメチックアクネ)、電撃性ざ瘡(急性熱性潰瘍性ざ瘡)、項部ケロイドざ瘡(ケロイドざ瘡、頭部乳頭状皮膚炎、ケロイド性毛包炎、項部ケロイド性毛包炎、項部ケロイドざ瘡)、散在性赤色ニキビを有する成人額、尋常性ざ瘡、機械的ざ瘡、薬物性ざ瘡、粟粒状壊死性ざ瘡(痘瘡状ざ瘡)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を伴うざ瘡(充実性顔面浮腫)、眼瞼腫瘍、紅斑毛細血管拡張性酒さ(紅斑毛細血管拡張型酒さ、血管性酒さ)、引っ掻きざ瘡(若年性女子表皮剥離性ざ瘡、ピッカーざ瘡)、腺の酒さ、顎瘤腫、グラム陰性酒さ、肉芽腫性顔面皮膚炎、大きく赤い団子鼻を有する成人男性、鼻瘤、肉芽腫性口囲皮膚炎、ハロゲン瘡、化膿性汗腺炎(反対型ざ瘡、殿部慢性膿皮症、ヴェルヌイユ病)、特発性顔面無菌性肉芽腫、小児性ざ瘡、狼瘡様酒さ(肉芽腫性酒さ、微小丘疹状結核疹、ルバンドウスキーの酒さ様結核疹)、顔面播種状粟粒性狼瘡、瘤腫、新生児アクネ(小児性ざ瘡、新生児ざ瘡、新生児頭部膿疱症)、職業性ざ瘡、油性ざ瘡、眼の酒さ(眼科性酒さ、眼酒さ)、耳瘤腫症、口周囲皮膚炎、酒さの持続性浮腫(慢性顔上部紅斑性浮腫、モルビアン病、酒さ様リンパ浮腫)、瘤腫性酒さ、ポマードざ瘡、膿疱性丘疹酒さ(炎症性酒さ)、膿瘍性穿掘性毛包周囲炎(頭皮の解離性蜂巣炎、解離性毛包炎、ホフマンの膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎)、口囲皮膚炎、眼窩周囲皮膚炎(眼周囲皮膚炎)、顔面膿皮症(電撃性酒さ)、鼻瘤、酒さ(酒さ性ざ瘡)、集簇性酒さ、滑膜炎-ざ瘡-膿疱症-骨過形成症-骨髄炎症候群(SAPHO症候群)、ステロイド酒さ、タールざ瘡、皮膚癌、熱帯ざ瘡、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、爪乾癬、及び乾癬性関節炎を挙げることができる。
本明細書の実施形態に記載されているような単離されたフルベート画分又は局所用製剤は、苦しめられている部位へ、1日に1回、2回、3回、4回、又はそれ以上、適用することができる。いくつかの実施形態において、局所用製剤は、皮膚用セラム、ヘア製品、頭皮、又は爪製品の内にある。本明細書の実施形態における局所用製剤は、様々なパーソナルケアの品目、例えば、ソープ、ローション、シャンプー、コンディショナー、化粧水、又はスキンクリーム等に用いることができる。必要に応じて、製造物は、皮膚用セラム、ヘア製品、爪製品、及びソープからシャンプーまで様々なパーソナルケア品目へ製造することができる。本明細書に記載されているように、局所用製剤は、永続的に用いることができる。
爪及び甘皮領域の処置において、製剤は、クリーム、ゲル、軟膏、甘皮用クリーム、又はローションであり得る。頭皮又は毛髪の健康を向上させるための処置において、製剤は、シャンプー、頭皮用クリーム又はローション、ジェル、スプレー製剤、ムース、又はヘアリンス内にあり得る。
いくつかの態様において、痛みに苦しんでいる対象を処置する方法が提供される。方法は、本明細書に提供された実施形態のいずれかの組成物、又は本明細書に提供された実施形態のいずれかの局所用製剤を供給する工程、及び前記組成物又は局所用製剤を対象に適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物又は局所用製剤は皮膚上に適用される。いくつかの実施形態において、痛みは、関節炎由来である。いくつかの実施形態において、痛みは、疾患由来である。いくつかの実施形態において、痛みは炎症由来である。
口腔の健康
いくつかの態様において、口腔の健康を向上させる方法が提供される。衰えていく口腔の健康は、特定の疾患の進行、又はおまけに、機械的理由、例えば、歯肉線近くの歯の乱暴なブラッシング、若しくは歯及び歯肉領域の適切なメンテナンスの欠如により起こり得る。歯肉疾患もまた、糖尿病、遺伝学的性質、心臓疾患、妊娠、シェーグレン症候群、HIV/AIDS、ドライマウス(口腔乾燥症)、口腔癌、ドライマウスが歯肉及び組織に関する問題をもたらし得る、唾液及び唾液腺の障害、薬物使用、メタンフェタミン使用、コカイン使用、ヘロイン使用、喫煙、並びに噛みタバコの不適切なケアの結果として起こり得る。歯肉線近くの乱暴なブラッシングだけでなく、疾患はまた、歯肉線の菲薄化及び後退を引き起こし得る。
本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、本明細書に記載された製剤は、口腔内の歯肉線又は組織の処置に用いることができる。製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により単離され、精製され、若しくは抽出された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。
製剤は、練り歯磨き、歯用ジェル、マウスリンス、又はマウスウォッシュ内に供給され得る。投与は、1日に2回又は3回、実施することができる。いくつかの実施形態において、処置は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、15日間、21日間、若しくは28日間、又は任意の2つの前述の値の間の任意の日数の間、行われる。
本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、本明細書に記載された製剤は、口腔内の歯肉線又は組織の処置に用いることができる。いくつかの実施形態において、口腔の不健康な状態を患っている対象を処置する方法が提供される。方法は、必要とする対象に製剤を投与する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、投与は、製剤を歯用トレーに置き、歯肉が製剤中に含浸するように、トレーを歯の上部及び下部の一揃えに適用することにより実施される。いくつかの実施形態において、トレーは、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、35分間、40分間、56分間、50分間、55分間、若しくは60分間、又は2つの前述の値の間の任意の他の時間、着用される。いくつかの実施形態において、投与は、1日に2回又は3回、実施される。いくつかの実施形態において、処置は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、15日間、21日間、若しくは28日間、又は任意の2つの前述の値の間の任意の日数の間、行われる。いくつかの実施形態において、必要とする対象は、糖尿病、遺伝性疾患、心臓疾患、シェーグレン症候群、HIV/AIDS、ドライマウス(口腔乾燥症)、口腔癌、又は唾液及び唾液腺の障害を有する。いくつかの実施形態において、対象は妊娠している。いくつかの実施形態において、対象は歯肉疾患(歯周病)を有する。
いくつかの実施形態において、製剤は、練り歯磨き、歯用ジェル、マウスリンス/ウォッシュ、又は含嗽剤である。いくつかの実施形態において、投与は、練り歯磨きを有する歯ブラシを用いることにより、又は口を製剤ですすぐことにより、実施される。
鼻のケア
鼻道が、呼吸のために空気を濾過し、ほこり、病原菌、及び刺激物を除去するために用いられるため、鼻の健康は重要である。鼻道はまた、空気を暖め、湿らせて、肺及び通路を乾燥することから守る。鼻道はまた、嗅覚、加えて味覚に役立ち得る神経細胞を含有する。鼻に影響し得る一般的な問題には、鼻炎、アレルギー、鼻汁、細菌感染、及び病気により引き起こされる、鼻ポリープ、鼻出血、乾いた鼻、及び刺激状態を挙げることができるが、それらに限定されない。
本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、本明細書に記載された製剤は、鼻道の処置に用いることができ、製剤は、必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、投与は、製剤を鼻道へ投与することにより実施される。製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。単離されたフルベート画分は、本明細書における記載された実施形態のいずれかの方法により抽出され、精製され、単離され得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。いくつかの実施形態において、投与は、1日に2回又は3回、実施される。いくつかの実施形態において、処置は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、15日間、21日間、若しくは28日間、又は任意の2つの前述の値の間の任意の日数の間、行われる。いくつかの実施形態において、製剤は、点鼻剤、鼻腔用スプレーとして、又は鼻腔用リンス/ウォッシュとして、投与される。いくつかの実施形態において、必要とする対象は、鼻炎、アレルギー、鼻汁、細菌の鼻感染、又は乾いた鼻道を引き起こし得る病気により引き起こされた、鼻ポリープ、鼻出血、乾いた鼻、及び刺激状態を有する。
聴覚ケア
聴覚ケアは、対象が耳、外耳道、及び周囲組織に炎症を有する場合、必要とされ得る。細菌、ウイルス、粘液、及び他の皮膚症状等のよく見られる刺激物は、耳の炎症をもたらし得る。耳の炎症を引き起こし得る外的刺激もまた、存在し得る。例えば、水が外耳道内に閉じ込められた時、細菌は蔓延することができ、その後、炎症及び痛みを引き起こし得る。内耳炎症もまた、流感又は上気道感染等のウイルス感染後、起こり得る。その後、ウイルスは、内耳炎症の間、痛みを伴う、又は伴わないめまいをもたらす平衡器官の腫脹を引き起こし得る。
いくつかの実施形態において、聴覚炎症又は耳感染症を患っている対象を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの局所用製剤を供給する工程、及び前記単離されたフルベート画分又は局所用製剤を対象に適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分又は局所用製剤は耳の中へ適用される。局所用製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。単離されたフルベート画分は、本明細書における記載された実施形態のいずれかの方法により抽出され、精製され、及び単離され得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。いくつかの実施形態において、製剤は、点耳剤、耳用洗浄液、又は耳用軟膏の形をとる。
腟炎
いくつかの実施形態において、膣又は外陰腟エリアに炎症又は不快感を有する対象に処置が提供される。症状には、生殖器エリアの刺激状態及び/若しくはそう痒、膣若しくは会陰エリアの炎症、又は痛みを挙げることができるが、それらに限定されない。原因には、健全な微生物叢の破壊、感染、酵母、細菌、又はウイルスを挙げることができるが、それらに限定されない。刺激状態を引き起こし得る病原体には、ガードネレラ(Gardnerella)、淋病、クラミジア、マイコプラズマ(Mycoplasma)、疱疹、キャンピロバクター(Campylobacter)、又はトリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)を挙げることができるが、それらに限定されない。刺激状態はまた、糖尿病、受胎調節、間違ったダイエット、ぴったりした衣服、抗生物質の使用、閉経後若しくは分娩後によるホルモン性腟炎、又はエストロゲンの喪失の影響により起こり得る。刺激物はまた、コンドーム、殺精子薬、ソープ、香料、及び潤滑剤由来であり得る。エストロゲンの喪失又はホルモン性腟炎はまた、組織の乾燥をもたらし得る。
いくつかの実施形態において、局所用製剤が提供される。いくつかの実施形態において、局所用製剤は、本明細書における実施形態により記載された方法のいずれかにより作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含む。局所用製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。単離されたフルベート画分は、本明細書における記載された実施形態のいずれかの方法により抽出され、精製され、及び単離され得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。いくつかの実施形態において、局所用製剤は、ジェル、クリーム、泡、又は膣坐剤の形をとる。
いくつかの実施形態において、膣エリアの刺激状態又は炎症を患っている対象を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書における実施形態のいずれかに記載された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの局所用製剤を供給する工程、及び前記単離されたフルベート画分又は局所用製剤を対象に適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、ジェル、クリーム、ローション、泡、又は膣坐剤においてである。いくつかの実施形態において、製剤は、膣又は会陰エリア上へ適用される。いくつかの実施形態において、製剤は、膣坐剤として投与される。いくつかの実施形態において、対象は、膣の乾燥に苦しんでいる。いくつかの実施形態において、対象は、細菌、真菌、又はウイルスの感染を患っている。いくつかの実施形態において、対象は糖尿病を有する。
会陰ケア
本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、対象は、会陰エリアの刺激状態について処置される。会陰エリアの刺激状態には、痔、裂肛、直腸裂、瘻孔、及び直腸感染の他の型を挙げることができるが、それらに限定されない。非限定的に、刺激状態の原因は、直腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、孤立性直腸潰瘍、直腸癌、出生、及び会陰切開に由来し得る。
いくつかの実施形態において、製剤は、会陰ケアにおける使用のために提供される。製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。単離されたフルベート画分は、本明細書における記載された実施形態のいずれかの方法により抽出され、精製され、及び単離され得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。製剤は、クリーム、軟膏、ジェル、又は坐剤として提供することができる。
いくつかの実施形態において、会陰エリアの刺激状態を患っている対象を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、刺激状態は、痔、裂肛、直腸裂、瘻孔、及び直腸感染の他の型、直腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、孤立性直腸潰瘍、直腸癌、出生、及び/又は会陰切開により引き起こされる。方法は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれか1つの局所用製剤を供給する工程、及び前記単離されたフルベート画分又は局所用製剤を対象に適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、単離されたフルベート画分又は局所用製剤は、皮膚又は会陰エリア上へ適用される。いくつかの実施形態において、製剤は、坐剤として提供される。いくつかの実施形態において、投与は、坐剤の挿入により実施される。いくつかの実施形態において、対象は糖尿病を患っている。
目のケア
目のケアは、免疫が低下している人、又は定期的に細菌及び刺激物に曝される対象のために必要である。例えば、コンタクトユーザー、又はアレルギーを患っている人は、定期的に刺激物に曝されることが知られている。上位を占める目の刺激物には、結膜炎をもたらし得る細菌又はウイルス、ほこり又は花粉等のアレルギートリガー、及びドライアイ症候群を挙げることができるが、それらに限定されない。
本明細書に記載されたいくつかの実施形態において、対象は、目及び周囲エリアの刺激状態について処置される。目エリアの刺激状態には、結膜炎、細菌若しくはウイルスの感染、アレルゲン、又はドライアイ症候群を挙げることができるが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態において、製剤は、目のケアにおける使用のために提供される。製剤は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの方法により作製された単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分を含み得る。単離されたフルベート画分は、本明細書における記載された実施形態のいずれかの方法により抽出され、精製され、及び単離され得る。方法は、HOMを含む水性スラリーを供給する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、HOMを含む水性スラリーを高圧カラム分画に適用して、分画化試料を得る工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、分画化試料を分子ふるいに適用する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は更に、フルベート画分を単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、フルベート画分はM-007である。製剤は、洗眼剤、眼用クリーム、又は点眼剤として提供することができる。いくつかの実施形態において、睫毛の毛根が炎症に冒されており、製剤は、睫毛用下地中に用いることができる。いくつかの実施形態において、睫毛用下地は、マスカラブラシ又は小さいブラシで、睫毛のラインに対して投与される。
いくつかの実施形態において、目の刺激状態を患っている対象を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、刺激状態は、細菌若しくはウイルスによる眼感染症、アレルゲンにより、又はドライアイ症候群から引き起こされる。方法は、本明細書に記載された実施形態のいずれかの単離されたフルベート画分、又は本明細書に記載された実施形態のいずれか1つの製剤を供給する工程、及び前記単離されたフルベート画分又は局所用製剤を対象に適用する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、製剤は、目へ点眼剤として投与される。いくつかの実施形態において、睫毛の毛根が炎症に冒されており、製剤は、睫毛用下地中に用いることができる。いくつかの実施形態において、睫毛用下地は、マスカラブラシ又は小さいブラシで、睫毛のラインに対して投与される。
血管新生促進
血管新生は、既存の血管からの新しい血管の形成であり、膝のかすり傷から静脈うっ血潰瘍、褥瘡、及び糖尿病性足部潰瘍までの全ての型の創傷治癒において重要な工程である。組織が修復されるために、栄養分、酸素、及びシグナル伝達分子を傷害部位へ運ぶ十分な血液供給がなければならない。
本明細書に開示され、M-007画分内に見出される生物活性断片化ペプチドは、新しい血管、及び皮膚等の上皮組織の成長を通して創傷治癒を促進する。本明細書に提供されているように、これらの創傷治癒性ペプチドは、血管新生をインビトロで300〜400パーセント、増加させる。これらの結果は、創傷治癒を制御する機構のより良い理解を与え、急性及び慢性創傷治癒のための新しい局所治療をもたらし得る。本明細書に記載されているように、M-007画分に存在する特定の生物活性ペプチドが同定された。M-007フルベートと共役するいくつかの重要なペプチド断片の組合せを生み出すことにより、傷害に対する基本的応答、すなわち血管形成及び上皮化を促進する創傷治癒性ペプチドの追加のクラスを合成することができる。これは、そのペプチドを様々なフルボ酸画分と共に、様々な濃度で注入することにより達成される。接触により、クロストリジウム・ヒストリティカム(Clostridium histolyticum)由来のコラゲナーゼ酵素が放出し、細胞外哺乳類タンパク質からペプチドとして生物活性断片を生じる。これらのペプチドは、自分自身の能力で、毛細血管内皮細胞の増殖を刺激し、微小血管リモデリングを増強することが示されている。
上記で論じられた実施形態のいくつかの態様は、以下の実施例において更に詳細に開示されており、その実施例は、本開示の範囲を限定することを決して意図するものではない。多くの他の実施形態もまた、本明細書の上記及び特許請求の範囲において記載されているような、本開示の範囲内にあることを当業者は理解していると予想される。
物理的障壁の破壊が、自然免疫系へのシグナルを生じ、周囲の微生物からの差し迫った侵入を防止すると予想される応答を惹起することをこれらの実施例は実証している。実際、皮膚傷害後のカテリシジン及び分泌型白血球プロテアーゼインヒビター(SLPI)の発現の増加が、以前、実証された。本明細書に記載されているように、成長因子が、産生されて、傷害後の創傷組織の再生を刺激し、本明細書に示されているように、M-007フルベートと組み合わせての、抗菌ペプチドの誘導物質である。成長因子応答は、微生物感染に対する物理的障壁保護が再構築される組織の再生後、終わる。
本明細書に示されているように、単独での、又は成長因子と組み合わせてのM-007フルベートは、創傷治癒を有意に向上させる。M-007フルベート、IGF-I、及びTGF-αはまた、ヒトケラチノサイトにおいて、抗菌ペプチド/ポリペプチドhCAP-18、hBD-3、NGAL、及びSLPIの発現を誘導し、又は増強する。更に、これらの成長因子と組み合わせたフルベート画分は、これらの抗菌ペプチド/ポリペプチドの一部の発現を誘導することにおいて相乗的/相加的効果を生じる。これらの成長因子は、唾液中に存在し、動物が彼らの創傷をなめる時、創傷における細胞の増殖を支援すると長い間、考えられてきた。本明細書に提供された実施例は、これらの成長因子がまた、創傷における感染の防止を助け得ることを示している。
TGF-αは、創傷治癒における中心的因子であるが、それはまた、免疫学的機能を有する可能性がある。実際、本明細書に示されているように、TGF-αは、炎症促進性サイトカインIL-1と同じ数の抗菌ペプチド/ポリペプチドの発現を誘導した。
M-007及び成長因子による抗菌ペプチド/ポリペプチドの誘導が、乾癬及び皮膚傷害におけるこれらのタンパク質/ペプチドの存在を説明し得る。ペプチド/ポリペプチドhCAP-18、SLPI、NGAL、及びhBD-3が、乾癬病変において検出されており、hCAP-18及びSLPIが創傷(皮膚傷害)において増加している。
IGF-I受容体及びTGF-αは、乾癬性表皮において増加し、IGF-IとTGF-αの両方は創傷において発現している。ここ数年、感染の過程において、細菌及び細菌産物が上皮細胞における抗菌ペプチドの発現をどのように誘発するかを理解しようと多くの研究が試みられている。炎症病変における成長因子の発生は、この応答に寄与し得る。炎症の過程において、TGF-αが存在し、報告によれば、上皮にリクルートされた好中球、単球、及び好酸球から放出されることは注目に値する。更に、TGF-αの合成が、LPSへの曝露後、マクロファージにおいて誘導される。抗菌ペプチド/ポリペプチドは典型的には、広域の抗菌活性を有するが、それらの特異性に違いがある。ヒトケラチノサイトにおいて誘導される一連の抗菌ペプチド/タンパク質が、存在するアゴニスト(成長因子、サイトカイン)に依存することを本発明者らは見出した。結果として、ケラチノサイトは、抗菌エフェクター分子の発現の異なるパターンにより、異なる病理学的刺激に応答し得る。構造的及び遺伝的に密接に関係したβ-デフェンシンについてさえも同じことがいえた。そのペプチド/ポリペプチドの異なる抗菌特異性のために、防御レパートリーを変化させる能力は機能的に重要であり得、M-007フルベートへの曝露により選別されると考えられる。差異化された免疫応答を生じるそれらの能力はまた、自然免疫系における免疫担当細胞としてのケラチノサイトの重要性を浮き彫りにしている。
抗菌タンパク質/ペプチドの誘導は、本明細書に参照された昆虫(ショウジョウバエ(Drosophila))において最も徹底的に記載されており、その昆虫において、抗菌ペプチド発現の主要な誘導物質は、成長及び発生を制御することが以前に知られた分子であった。高等動物において、IGF-IとTGF-αの両方は、このことをそれらの主要な機能としてもつ。逆に、抗菌ペプチドの発現を誘導することが知られた炎症促進性サイトカインIL-1及びIL-6はまた、ヒトケラチノサイトの成長を刺激することが見出されており、したがって、成長因子とみなされ得る。したがって、昆虫から人間まで、成長と抗菌ペプチド発現の過程は、絡み合っているように思われる。
臨床の観点から、ヒトケラチノサイトにおける、成長因子の、抗菌ペプチド/ポリペプチドの誘導発現のメディエータとしての役割の同定は、これらの因子が操作されて、植皮片の感染に対する抵抗性を増加させ得る可能性を高める。
実験材料及び方法
以下の実験材料及び方法が、下記の実施例に用いられた。
StrataTest(登録商標)ヒト皮膚研究モデル
全層StrataTest(登録商標)ヒト皮膚モデルは、インビトロでの消費者製品試験、創薬、及び毒性スクリーニングのための、表皮と真皮組織の両方で構成される。それは、ヒト皮膚と同じ物理的、化学的、及び組織学的特性を示し、すぐに利用できる、使いやすい24ウェル試験フォーマットで供給される。今日の動物及び細胞に基づいた毒性試験モデルの多くは、有意な正確性、再現性、費用、及び倫理的な問題を抱えている。StrataTest(登録商標)皮膚組織の独特な特性は、強化された高品質インビトロ試験モデルを提供するだけではなく、それらは、標準2次元単層培養より、インビボの生物学的応答のより良い予測を可能にする。表皮層のみを有するモデルとは違って、表皮コンパートメントと真皮コンパートメントの両方の存在は、パラクリンシグナル伝達を可能にする。StrataTest(登録商標)プレートにおいてインビトロで成長した組織は、新しいヒト皮膚がインビボで成長するように正確に成長し、それの構造及び機能を完全に複製する。他の供給源由来の培養されたヒトケラチノサイトとは違って、独特に均一なNIKS(登録商標)細胞は、実験室において無制限に成長することができ、結果として、バッチ間の変動性がより小さい。StrataTest(登録商標)ヒト皮膚モデルは、天然のヒト皮膚の忠実な3次元的再現と相まって、一貫した細胞調達及び品質を提供する。これらの特性は、幅広い範囲の化学物質、化合物、及び他の潜在的毒素に対するインビトロ応答の、高再現性で、正確で、費用効率が高い測定を顧客に提供する。
SDS-PAGE及びイムノブロッティング
SDS-PAGE及びイムノブロッティングを、Bio-Radシステムを用いて、製造会社(Bio-Rad社、Hercules、CA)により提供された使用説明書に従って実施した。イムノブロッティングについて、14%ポリアクリルアミドゲルからのタンパク質の転写後、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜(Millipore社、Bedford、MA)を、PBS中5%スキムミルクで1時間、ブロッキングした。hCAP-18、NGAL、及びSLPIの検出について、PVDF膜を、一次抗体と一晩、インキュベートした。次の日、膜を洗浄し、アルカリフォスファターゼコンジュゲート化二次抗体(DAKO社、Glostrup、Denmark)と2時間、インキュベートし、その後、洗浄し、5'-ブロモ-クロロ-インドリルホスフェート(Sigma-Aldrich社)及びニトロブルーテトラゾリウム(Sigma-Aldrich社)により可視化した。
ヒトβデフェンシン(hBD-3)の抽出及び検出
ケラチノサイトからの培地を、MacroPrep CM Supportビーズ(Bio-Rad社)を用いて、4℃で一晩、抽出した。その後、ビーズを洗浄し、結合した物質を、30%酢酸で溶出した。溶出した物質を、5%酢酸中で透析し、酸-尿素(AU) -PAGEのための試料バッファー中での再懸濁の前に、凍結乾燥した。
AU-PAGE及びイムノブロッティングを、製造会社(Hoeffer社、San Francisco、CA)により提供された使用説明書に従って実施した。12.5%アクリルアミドゲルからのタンパク質の転写後、PVDF膜を、0.05%グルタルアルデヒドを含むTBS(Sigma-Aldrich社)中に30分間、固定し、その後、Superblockブロッキングバッファー(Pierce社、Rockford、IL)でブロッキングした。hBD-3の可視化について、PVDF膜を、一次抗体と一晩、インキュベートした。次の日、膜を、HRPコンジュゲート化二次抗体(Pierce)と2時間、インキュベートし、Immun-Star HRPルミノール/エンハンサー及びImmun-Star過酸化物バッファー(Bio-Rad社)により可視化した。
初代ケラチノサイトの成長及び刺激
ウシ下垂体抽出物、トランスフェリン、ヒト上皮成長因子(EGF)、ヒドロコルチゾン、ゲンタマイシン、アンホテリシンB、及びエピネフリンを含むが、インスリンを含まない、Clonetics社製の無血清ケラチノサイト培地(KGM-2 Bullet Kit;San Diego、CA)において細胞を成長させた。細胞の刺激を、完全なコンフルエンスに達してから24時間後から開始た。IGF-I(100ng/mL)、TGF-α(50ng/mL)、TGF-β1(10ng/mL)、bFGF(100ng/mL)、IGF-I/TGF-α、IL-1β(20ng/mL)、IL-6(100ng/mL)、EGF(100ng/mL)、及びTNF-α(20ng/mL)での刺激後0時間目、3時間目、6時間目、12時間目、24時間目、及び48時間目に、細胞及び培地を採取した。hCAP-18の実証について、IGF-Iでの刺激後0時間目、24時間目、48時間目、72時間目、及び96時間目に、培地及び細胞を採取した。
器官型培養及び刺激
ヒト表皮ケラチノサイトを含有する初代表皮培養物EPI-200-3S(MatTek社、Ashland、MA)を、コラーゲンコーティング化Millicel CM膜上で成長させた。その培養物を、製造会社により供給された培地(ウシ下垂体抽出物を含有しない)を含む12ウェルプレートに置いた。4日目、表皮培養物を、気液界面へリフトし、その後、気液界面において更に4日間、製造会社の使用説明書に従って、培養した。培養物をエアリフトした後の2日目、培地を、インスリンもEGFも含まない培地へ交換した。エアリフト後の4日目、培養物を、IGF-I(100ng/mL)、TGF-α(50ng/mL)、又はIGF-IとTGF-αの組合せで刺激した。48時間の刺激後、細胞を採取した。
RNA単離
全RNAを、TRIzol(Life Technologies社、Gaithersburg、MD)を用いて、製造会社の推奨に従って単離した。RNAをエタノールで沈殿させ、0.1mM EDTA中に再懸濁した。濃度を、分光光度法の測定により決定し、RNAの完全性を、試料をアガロースゲル上に流すことにより評価した。
ノーザンブロッティング
ノーザンブロッティングについて、5μgのRNAを、サイズ分離のために、1×MOPSに溶解した6%ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル上に流した。RNAを、キャピラリーブロッティングによりHybond-N膜(Amersham Pharmacia Biotech、Little Chalfont、U.K.)へ転写し、UV照射により固定した。フィルターを、42℃で最低30分間、10mLのULTRAhyb(Ambion社、Austin、TX)中、プレハイブリダイズし、P標識プローブを含有するULTRAhybの追加の5mLの添加後、42℃で一晩、ハイブリダイズした。膜を、2×SSC(1×SSC=150mM NaCl/15mMクエン酸ナトリウム、pH7.0)/0.1% SDS中、42℃で各回5分間、2回、続いて、42℃において、2×SSC/0.1% SDS中、各回15分間、2回、0.2×SSC/0.1% SDS中、15分間、1回、及び0.1×SSC/0.1% SDS中、15分間、1回、洗浄した。ブロットを発色させ、ホスフォイメージャー(Fuji Imager Analyzer BAS-2500、Image Reader version 1.4E、Image Gauge version 3.01 software;Fuji社、Stockholm、Sweden)により定量した。mRNAのサイズを、18S及び28S rRNAを参照することにより決定し、それらは、エチジウムブロマイド染色により可視化した。膜を、再ハイブリダイゼーション前に0.1% SDS中での煮沸によりストリッピングした。
ハイブリダイゼーションに用いられるプローブは、ランダムプライマーDNA標識システム(Life Technologies社)を用いて、[α-P]dCTPで放射標識されたcDNA断片であった。プローブNGAL、hCAP-18、hBD-2、及びβ-アクチンは以前に記載されている。SLPI、hBD-1、及びhBD-3についてのプローブは、以下のプライマーを用いて、ケラチノサイト由来のcDNAから増幅された: SLPI、5'-ATGAAGTCCAGCGGCCTC-3'(配列番号1)及び5'-AAGAGAAATAGGCTCGTTTATTT-3'(配列番号2);hBD-1、5'-GCTCAGCCTCCAAAGGAGC-3'(配列番号3)及び5'-AAAAGAATGCTTATAAAAAGTTCAT-3'(配列番号4);並びにhBD-3、5'-GGAATCATAAACACATTACAGAA-3'(配列番号5)及び5'-CGGGAATCATAAACACATTACAGAA-3'(配列番号6)。hBD-4についてのプローブは、以下のプライマーを用いてゲノムDNAから増幅された: 5' GCAGCCCCAGCATTATGCA-3'(配列番号7)及び5'-AAGCTACTGAGGTCCTACTTC-3'(配列番号8)。PCR増幅されたプローブを、プラスミドへクローニングし、DNAシーケンシングにより検証した。標識のためのプローブを、適切な制限酵素での制限によりプラスミドから遊離させた。その消化物を、1%アガロースゲル上に流し、プローブを、標識前にゲル抽出により精製した。
タンパク質の定量
ヒトCAP-18及びNGALを、以前に記載されているようにELISAにより測定した。SLPIを、標準として組換えSLPIを用いるサンドイッチELISAにより測定した。
初代ケラチノサイトの免疫組織化学法を、以下のように実施した。サイトスピン調製物を、成長因子での刺激後、10%ホルマリン中、10分間、固定した;サイトスピン調製物を、トリプシン含有PBSから調製し、その後、TBSで洗浄した。そのスライドを、NGAL及びhCAP-18に対するウサギポリクローナル抗体の1/1000希釈溶液、並びにhBD-3に対するウサギポリクローナル抗体の1/666希釈溶液とインキュベートした。抗体を、1%ゼラチン、0.05% Tween 2(Sigma-Aldrich社)、及び0.01%チメロサールを含むTBS中に希釈し、スライドを、室温で24時間、インキュベートした。0.05% Tween 20を含むTBS中での20分間の3回の洗浄後、スライドを、最初の抗体と同じバッファー中に1/1000希釈されたアルカリフォスファターゼコンジュゲート化ヤギ抗ウサギIgG(Pierce)と更に24時間、インキュベートし、その後、3回の20分間の洗浄を行った。Trisバッファー中、Fast Red色素原(Sigma-Aldrich社)で発色させ、スライドを、Harrisヘマトキシリン(EM Science社、Gibbstown、NJ)で対比染色した。
(実施例1)
フルベート画分の抽出及び単離
この実施例は、腐植有機物からフルベート画分を抽出し、単離するための方法を実証する。
腐植有機物(HOM)は、泥炭、ヒューミン、レオナルダイト、フミライト(humilite)、褐炭、河川水、湖水、湿地残渣、及び有機物に富む泥の堆積物から得られる。特に、レオナルダイトはフルベート画分が高い。
原料としてのレオナルダイト等の有機亜炭源からフメート(humate)を抽出し、精製するための効率的な方法が本明細書に提供される。採掘されたレオナルダイトは、一般的に様々な石炭鉱床への表土として出現するものは除去され、43〜50%の含水率のものが採取され、窯の中で空気乾燥されて、それが原料として用いることができるように水分レベルを15〜20%まで低減される。その後、それを、ジェットミル微粉砕機を用いて、8mm未満まで粉砕する。その後、粉砕されたレオナルダイトの5〜30%を、1〜5%の水酸化カリウムを含有する70〜95%の溶液と混合する。その内容物を、温度60〜80℃の範囲で、およそ2〜6時間の間、その材料が懸濁状態であるように、必要に応じて連続撹拌しながら、反応させておく。必要とされる過程温度は、その溶液自体と接触して燃焼しない、埋め込まれた電気コイルヒーター、外部スチーム暖房、又は発熱の他の供給源により維持することができる。媒体のpH(7〜12)は、腐植ゾルの望ましい抽出物を得るように、その過程の間、連続的に調整されるべきである。原料消化期間後、その溶液は、均一な分散のために1〜2時間、撹拌されるべきである。その後、それを、固体とスラッジの分離のために沈降カラムへ移す。しばらくして、一般的には24時間から48時間後、透明の褐色から琥珀色の溶液が得られる。その溶液を、2〜4%の濃度に整え、pHを8〜10.5へ補正する。その溶液を、主要な貯蔵タンクへ移し、その時点で、残留する未反応のレオナルダイト及び鉱物、加えて凝集塊部分を廃棄する。
抽出された液体を、約150℃の温度で、約10〜15%の濃度を得るように、円筒多管式エバポレータにおいて更に濃縮する。濃縮された溶液を、100〜150℃に電気的に加熱された/スチーム加熱された棚型乾燥器に移す。蒸気を排気するために真空雰囲気を連続して維持して、約8〜15%の残留水分を含有する所望の乾燥生成物を得る。得られた生成物は、50〜70%フミン酸(HA)を含有する黒色の光沢のある、完全に水溶性のフレークであり、そのフミン酸の13〜18%がフルボ酸(FA)及びウルミン酸の画分である。この乾燥粉末濃縮フミン酸を、様々な画分への更なる処理のために保存する。HA/FA粉末を、1ガロンの脱イオン水あたり5ポンドのHF/FA濃縮物の比率で脱イオン水を用いて溶液にする。そのゾルを、75〜90℃に加熱し、クエン酸粉末の添加に供し、4.7のpHが得られるまでゆっくり加える。調整されたpH 4.7のゾルを、低速で、75〜90℃の温度を維持しながら、1〜5時間、撹拌する。選択された混合及び反応の時間後、ゾルを、改変型電流誘導カラム分離装置へ移し、そのままにしておく。DC電流を、1平方メートルあたり2.4〜4.2アンペアの率でゾルに印加し、それは、フミン酸画分とフルボ酸画分の分離を助ける。24〜72時間後、分離層が現れ、カラム底部における重い暗褐色から黒色の物質(主にウルミン酸を含有する)、フミン酸濃縮物である濃い褐色から中位の褐色のゾルの第2層、続いて、主にフルボ酸からなる明るい褐色から黄色の層の上層を示す。これらの個々の層を抽出し、更なる使用及び/又は処理のために適切な容器内で保存する。
塩基性の抽出されたフルボ酸は、平均して約50Daから約1200Daまでの分子量を有し、フルボ酸の一般的な化学組成物は、(蒸気圧浸透圧法により測定された)951の数平均分子量を有する化学的及び生物学的に相対的に安定な高分子電解質としてであり、1gあたり、9.1mEq COOH、3.3mEqのフェノール性OH、3.6mEqのアルコール性OH、及び3.1mEqのC=Oを含有する。分析(%)は、50.90、C;3.35、H;0.75、N;0.25、S;及び44.75、Oを示し、C12H16-(COOH),(OH),(CO)としてこのデータから計算された分子式を有する。
抽出されたフルボ酸濃縮物(EFAC)は、XAD-8のカラム(最初の試料乾燥質量の1グラムあたり0.15mLの樹脂)に「FA抽出物1」と名付けられた上清を(1時間あたり15ベッド体積の流速で)通過させることにより、更に処理及び精製する。溶出液を捨てる;吸着したフルボ酸を含有するXAD-8カラムを、0.65カラム体積の蒸留水ですすぐ。XAD-8カラムを、1カラム体積の0.1M NaOH、続いて2〜3カラム体積の蒸留水で逆溶出する。その溶液を、すぐに、6M HClで1.0のpHへ酸性化する。濃縮されたフッ化水素酸(HF)を加えて、0.3M HFの最終濃度にする。その溶液体積は、溶液中でフルボ酸を維持するのに十分であるべきである。その後、「FA抽出物2」と名付けられた上清を、XAD-8のカラム(最初の試料乾燥質量の1グラムあたり1.0mLの樹脂)に通過させる。上記の「FA抽出物1」について実施されているように逆溶出及び酸性化工程を繰り返す。フルボ酸抽出物のそれぞれからの最終溶出液を合わせて、ガラスカラム(カラム体積は試料体積の5分の1であるべきである)中のXAD-8樹脂に通過させる。カラムを、0.65カラム体積の蒸留水ですすぎ、その後、1カラム体積の0.1M NaOHで、続いて2カラム体積の蒸留水で逆溶出する。その溶出液を、溶液中Naイオンのモルの3倍を用いるH+飽和陽イオン交換樹脂(Bio-Rad AG-MP-5(Bio-Rad社、Richmond、CA))に通過させる。生じた溶出液を凍結乾燥して、H+飽和フルボ酸を回収する。
樹脂処理を用いる精製の代替として、蒸留水に対する完全透析を用い得る。Al3+等の多価陽イオンの有意な濃度が存在する場合には、その溶液が中和される時、これらは、不溶性の金属-フメートの複合体を形成し得る。したがって、透析は、最終的に蒸留水に対して透析する前に、いかなる多価陽イオンの濃度も有意に低下している時まで、最初、希釈したHClに対して実行されるべきである。技術的には、このようにして得られた画分は、フルボ酸というより、フルボ酸画分と呼ばれるべきであり、有意な量の非結合型多糖を含有する可能性が高いからである。
重要性が知られたフルボ酸分子量を選択するために、サイズ画分によるフルボ酸の分子組成の違いを、オンラインでフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析を介した、サイズ排除クロマトグラフィにより検出した。
フルボ酸単離物を3つのサイズ画分へ分離するために、及びこれらの画分におけるフルボ酸の基本的な組成を選択するために、サイズ排除クロマトグラフィを、エレクトロスプレーイオン化フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析と連結した(SEC-FTICR-MS)。200〜700Daの質量範囲における約3000個のイオンの分子式が導かれ、それらの多くは、全ての3つの画分に存在し、同じ系の基本的組成に従う。四重極飛行時間型MS(Q-TOF-MS)と連結したSECにより生じたプロダクトイオンスペクトルは、全ての3つの画分のイオンが、ほとんどいかなる他の官能基部分ももたないポリカルボキシレートであることを確認した。しかしながら、SEC-FTICR-MSにより、高分子量(HMW)画分から発生したイオンが、カルボキシル基が豊富にあり、低分子量(LMW)画分と比較してより芳香族が多いことが明らかにされた。これらの所見は、HMWフルボ酸がLMWフルボ酸から形成されるという考えを支持する。LMW画分からHMW画分へのイオンの相対頻度のシフトは、以下の異なる相互作用機構と一致している:HMWフルボ酸は、水素結合を介した若しくは多価陽イオンとのカルボキシレート基の静電気的相互作用により、又はそれらの炭素主鎖の疎水性相互作用により一緒に保持された凝集物であり得、又はお互いに、若しくは(脂肪族)アルコールと共有結合したLMWフルボ酸からなり得る。これらの所見に基づいて、本発明者らは、強い陽イオン交換が望ましい場合、及び細胞成長刺激物の硝化のために鉱物と金属基質のキレート化が望ましい場合の、生物刺激の適用において、80Daから350Daの間の質量を有するフルボ酸画分がより望ましいことを決定している。いくつかの実施形態において、M-007分子は、約80〜700Daの範囲のMWを有する。いくつかの実施形態において、M-007の分子量は約309Daである。
(実施例2)
フルベート画分の効力
この実施例は、画分M-007が特に生物活性があり、効果的であることを実証する。
その画分を、それらの効力を決定するために試験し、M-007が、小さく、陽イオン性であり、活性が高く、メッセンジャー、輸送、及び送達機構において有効であるため、細胞再生のための治療剤として特に有用であることが見出された。
(実施例3)
M-007と成長因子の組合せ
この実施例は、M-007を様々な成長因子と組み合わせることの治療効果を示す。
線維芽細胞成長因子結合性タンパク質(FGF-BP)1は、線維芽細胞成長因子(FGF)1及び2を結合することができる分泌タンパク質である。これらのFGFは、典型的には、不活性の形で、細胞外マトリックス内のヘパリン硫酸プロテオグリカン上に貯蔵されており、FGF-BP1が、局部的に貯蔵されたFGFを動員し、その成長因子をそれのチロシンキナーゼ受容体へ提示することができるシャペロン分子として機能することが提唱されている。FGF-BP1は、扁平上皮癌、結腸癌、及び乳癌において上方制御され、上皮細胞の悪性化中、血管新生スイッチとして働くことができる。FGF-1及びFGF-2の組換えヒトFGF-BP1タンパク質との相互作用が調べられ、シグナル伝達、細胞増殖、及び血管新生への効果が確認された。組換えFGF-BP1は、FGF-2を特異的に結合し、この結合は、FGF-1、ヘパリン硫酸、及びヘパリノイドにより阻害される。更に、FGF-BP1は、NIH-3T3線維芽細胞のFGF-1及びFGF-2依存性増殖、並びにFGF-2誘導性細胞外シグナル制御キナーゼ2リン酸化を増強する。最後に、ニワトリ絨毛尿膜血管新生アッセイにおいて、FGF-BP1は、外から加えられたFGF-2と協力する。本発明者らは、FGF-BP1がFGF-1及びFGF-2と直接的に結合し、これらの成長因子の生物活性を正に調節すると結論づける。これらの所見をベースラインとして用いて、本発明者らは、これらのタンパク質を、フルベート及びフルベート画分と共に、より具体的には、以下の処方集において309Daの分子量を有するM-007画分と共に、注入し、示されているように、ヒト皮膚細胞培養物を処理した。
ケラチノサイトを、創傷治癒に関与する成長因子(IGF-I、TGF-α、TGF-β1、及びbFGF)で、加えて、代表的な炎症促進性サイトカイン(IL-1β、IL-6、及びTNF-α)で、及びM-007フルベートで、刺激した。培地中にすでに存在する成長因子からの干渉を避けるために、細胞を、インスリン(インスリンはIGF-I受容体と低親和性で結合する)を含まず、0.15ng/mL EGFのみを含む無血清培地中で成長させた。ケラチノサイトは、抗菌ペプチドを発現するためにある特定のレベルの分化に達しなければならないことが、以前に言及されている。初代ケラチノサイトがコンフルエンスに成長したモデルを選択し、その後、24時間後に刺激し、これは、成長因子での刺激後、抗菌ペプチド/ポリペプチドの一貫した発現を与え、M-007処理されたケラチノサイトと直接的に比較されるからであった。
カテリシジンhCAP-18は、タンパク質レベル(ELISA)とmRNAレベルの両方において、IGF-Iにより上方制御された。培地におけるhCAP-18の蓄積を実証するために、長時間の誘導を選択した。刺激されたケラチノサイトにおけるhCAP-18の存在を更に、刺激された、及び刺激されていないケラチノサイトの、抗hCAP-18抗体でのウェスタンブロット及び免疫染色により検証した。
(実施例4)
M-007とbFGFの組合せ
この実施例は、ヒト表皮細胞培養物において組織修復を促進する、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の能力を詳述する。
4mmの粘膜欠損を、CBA表皮培養物に外科的に生じさせた。bFGF、M-007、及び対照食塩水の製剤溶液を、引っ掻き後すぐに、創傷欠損の縁に沿って注射した。対照群は、リン酸緩衝食塩水媒体のみを受けた。
bFGF、及びbFGF+M-007フルベートは、肉芽組織形成及び再上皮化を有意に促進した。組織学的分析から、bFGFとM-007の両方で処理された試料は、相対的により速いコラーゲン成熟を示した。両方のbFGF-M-007処理された試料において、引っ掻き/創傷後の3日目から始まって、線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)陽性細胞が、再上皮化粘膜の顆粒細胞層及び有棘細胞層に現れ、一方、無傷口腔粘膜においてほとんど全く観察されなかった。5日目まで、FGFR1陽性細胞は、対照群においてさえも、角質層より下に見られた。しかしながら、bFGF処理群におけるFGFR1陽性細胞の数及び強度は、対照群においてより高く、bFGF+M-007処理群は、bFGF単独のそれより75%の増加を示した。増殖性細胞核抗原に対する免疫染色の結果は、bFGF+M-007フルベートが、再生中の上皮において基底細胞層の細胞増殖を刺激することを示した。より高い用量のbFGF及びM-007において、増殖性細胞核抗原陽性細胞がまた、粘膜下結合組織において観察された。ベースラインスクリーニング試験の結果は図2に示されている。図2は、創傷後の創傷閉鎖のための日数を示す。各試料は2連で繰り返され、したがって、図2は、各試料の平均を表す。P1-2は、対照プレート1及び2であり、外部処理なしの表皮細胞培養物である。P3-4は、リン酸緩衝食塩水のみで処理された表皮細胞培養物である。P5-6は、bFGFで処理された表皮細胞培養物である。P7-8は、bFGF溶液番号00376で処理された表皮細胞培養物である。P9-10は、M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。P11-12は、M-007フルベート溶液番号00321Bで処理された表皮細胞培養物である。P13-14は、70/30比でのbFGF番号00373+M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。P15-16は、50/50比でのbFGF番号00373+M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。P17-18は、30/70比でのbFGF番号00373+M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。P19-20は、70/30比でのbFGF溶液番号00379+M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。P21-22は、50/50比でのbFGF溶液番号00376+M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。P23-24は、30/70比でのbFGF溶液番号00376+M-007フルベート溶液番号00321Aで処理された表皮細胞培養物である。
成長因子の最適な送達は、臨床解釈に関する規制問題に直面し得る、複雑な操作されたバイオマテリアルマトリックスを必要とする場合が多い。送達システムを単純化し、戦略をより適用可能にするために、成長因子は、臨床的に認可されたバイオマテリアルと共に、又は送達部位に存在する内因性ECMと共に最適に機能するように操作することができる。図2は、M-007フルベートが、選択された成長因子の送達、半減期、及び効果的な情報交換を、75〜85%も向上させ得ることを示す。加えて、創傷の自然治癒機構が、図2の曲線プロフィールにより示されているように、促進される。これらの向上した結果に関与する機構は完全には理解されていないが、本明細書で試験された全ての濃度におけるフルベート分子M-007が、治癒サイクルを向上させ、傷跡を残すことを低減することは疑いがない。
図3は、B) bFGF溶液番号00376+M-007溶液番号00321Aで処理された処理化表皮細胞培養プレートと比較した、A)未処理の対照群についての表皮細胞培養プレートを示す。
(実施例5)
M-007とインターロイキンの組合せ
この実施例は、M-007をインターロイキンと組み合わせることの治療効果を示す。
この研究に用いられる主要な抗炎症サイトカインには、インターロイキン(IL)-1受容体アンタゴニスト、IL-4、IL-6、IL-10、IL-11、及びIL-13が挙げられる。IL-1、腫瘍壊死因子-α、及びIL-18についての特定のサイトカイン受容体もまた、炎症促進性サイトカイン阻害剤として機能する。
スクリーニング試験の結果は、サイトカインのレベルが、24時間及び48時間の時間に渡って、試験細胞プレート上の血漿中、中程度のみ増加したことを示した。創傷滲出液におけるサイトカインレベルは、数倍高かった。創傷滲出液におけるIL-6は、細胞プレート調製後7時間目にピークに達した(271+/-135.8pg/mL);IL-8は4時間後(11+/-9.4ng/mL);sTNFR-1は術後2日目(11.1+/-3.4ng/mL)。TGF-βは、術後1日目(15.2+/-8.6ng/mL)及び2日目(11.7+/-5.0ng/mL)に減少した。これらのスクリーニング試験に基づいて、M-007フルベートと組み合わせるのに、サイトカインIL-6を選択した。
(実施例6)
M-007のヒトβデフェンシンへの効果
この実施例は、M-007がhBDを上方制御することを実証する。
デフェンシンhBD-1は、様々な上皮に構成的に発現している。しかしながら、ケラチノサイトにおけるhBD-1の基底の構成的発現は、ハウスキーピング遺伝子β-アクチンに対して、時間とともに増加する(β-アクチンと比較して、IGF-I刺激されたケラチノサイトについて、24時間目に3倍の増加、48時間目に7倍の増加が見出された)。しかしながら、発現は、IL-6での24時間及び48時間の刺激後、mRNAレベルにおいて、対照と比較して約50%、及びM-007処理群については85%から90%の間、上方制御された。
別のデフェンシン、hBD-2は、ケラチノサイト中のIL-1により、ケラチノサイトにおいて上方制御されることが見出された。他のサイトカイン/成長因子のいずれも、hBD-2の発現を誘導しなかった。hBD-3についてのmRNAは、刺激されていないケラチノサイトにおいて検出されなかったが、TGF-αにより有意に誘導された。IGF-Iは、hBD-3の発現を誘導しなかったが、M-007フルベート処理は、8倍高いmRNAレベルを生じた。これらの結果は、TGF-α単独での刺激と比較して、48時間の刺激後、IGF-I、M-007フルベート、及びTGF-αの組合せに応答して見出された。これは、IGF-I及びM-007フルベートが、EGF受容体のトランス活性化及びトランス調節を引き起こし、したがって、EGF受容体と結合するTGF-αの効果を潜在的に増大させるという所見と一致する。炎症促進性サイトカイン又は他の成長因子のいずれもhBD-3を誘導しなかった。イムノブロットにより、hBD-3が、TGF-α、M-007フルベート、及びIGF-I/TGF-αで刺激されたケラチノサイトからの培地において検出されたが、刺激されなかった細胞からの培地においては検出されず、したがって、タンパク質レベルでのhBD-3の誘導を実証している。hBD-3に対する抗体での初代ケラチノサイトの免疫染色は、hBD-3ペプチドが、TGF-α単独によるよりも、M-007フルボ酸分子によって、より高い程度で、及びIGF-I/TGF-αによって、より低い程度で、誘導されることを確認した。
(実施例7)
M-007の生物活性断片化ペプチドとの組合せ
この実施例は、M-007の生物活性断片化ペプチドとの組合せの細胞再生についての効力を実証する。
2つの抗菌ペプチド(チゲリニン-RC1: RVCSAIPLPICH(配列番号9);チゲリニン-RC2: RVCMAIPLPLCH(配列番号10))は、カニクイガエル(Fejervarya cancrivora)の皮膚分泌物から以前、同定されている。それらは、創傷治癒活性を発揮することが見出されている。本明細書において、チゲリニンに基づいたいくつかのペプチドを合成して、潜在的創傷治癒活性を含有する候補をスクリーニングする。これらのペプチドの中で、M-007フルベートを含有する小ペプチドが、皮膚創傷の強力な治療薬であることを明らかにされた。M-007フルベートの単離されたペプチド(c [WCKPKPKPRCH-NH2](配列番号11))を更に、合成し、HPLC及び質量分析により分析して、純度を確認した。M-007フルベートペプチドの分子量は、MALDI-TOF質量スペクトル分析により決定された1209.20Daであり、その分析により、そのペプチドが環状の形であることが示された。M-007含有ペプチドを、標準食塩水中の様々な濃度で、皮膚細胞プレート上で評価し、用量選択後、M-007フルボ酸セラムへと組み合わせた。
(実施例8)
M-007のモデル皮膚創傷への効果
この実施例は、M-007の創傷治癒についての効力を実証する。
創傷治癒は、糖尿病誘発性皮膚潰瘍及び火傷等の重大な健康負担を表す。M-007は、全層皮膚創傷のマウスモデルにおいて強い創傷治癒促進活性を示す。M-007フルベートは、(1)炎症反応段階における創傷部位へのマクロファージのリクルートメントの誘導、(2)再上皮化及び肉芽組織形成をもたらす、ケラチノサイトと線維芽細胞の両方の遊走及び増殖の促進、並びに(3)マウスマクロファージにおけるトランスフォーミングTGF-β1及びインターロイキン6(IL-6)の放出を促進し、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路を活性化することによる組織リモデリング期を含む、創傷治癒進行の3つの段階への有意な効果を発揮した。それの容易な製造、貯蔵及び移動、並びに内因性創傷治癒物質(TGF-β)の産生を促進するための機能を考慮すると、M-007フルベートは、新規な創傷治癒剤の開発のためのバイオマテリアル又は鋳型として働く。
(実施例9)
動物抗炎症効果
この実施例は、ラットにおけるM-007の安全性並びに抗炎症及び創傷治癒特性を実証する。
M-007フルベート(≧100mg/kg経口)が、ラットにおいて、カラゲナン誘発性足浮腫を効果的に低下させ、それは、10mg/kg経口のインドメタシンに匹敵した。pH 4.98において滅菌ワセリン軟膏中に3.75%活性生成物を含有するように製剤化されたM-007フルベートの局所適用は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に感染した切除された創傷の治癒を促進することにおいて、一般的に用いられるフシジン酸クリーム(10mg/g)と比べて遜色なかった。M-007フルベート(100mg/kg経口)での6日間の急性処置及び3ヶ月間の慢性処置の間、ラットにおいて毒性の徴候は観察されなかった。UEAクリーム中に製剤化され、1日目及び7〜38日目においてマウスの右耳に400mg/g体重で適用されたM-007フルベートの局所適用は、有害事象を生じなかった。M-007フルベートが、妊娠中の雌マウスへ受精の3日前から妊娠の14日間まで100mg/kg経口で投与された、催奇性研究において毒性の徴候は観察されなかった。結論として、M-007フルベートは、抗炎症及び創傷治癒の性質を有する安全な化合物であり、類似した病的状態を患っている患者の処置において更なる評価に値する。
(実施例10)
M-007は細胞増殖を促進する
この実施例は、M-007フルベートがHaCat細胞の増殖及び遊走を促進することを実証する。
ケラチノサイト、線維芽細胞、又はマクロファージ(2×104細胞/mL)を、96ウェルプレートのウェルにおいて別々に培養し、細胞を、様々な濃度のM-007フルベート(2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL)又は滅菌水単独と24時間、インキュベートした。5mg/mL 3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)との4時間のインキュベーション後、吸光度を決定した。HaCatケラチノサイトとヒト皮膚線維芽細胞(HSF)の両方が、M-007フルベートで処理された場合、濃度依存様式で増加した。値は、3つの独立した実験の平均±SEである。M-007フルベート刺激された細胞と刺激されていない細胞を比較した場合、*P<0.05、**P<0.01。
(実施例11)
創傷治癒引っ掻きアッセイ
この実施例は、M-007が、インビトロ創傷治癒アッセイにおいて創傷を処置するのに有効であることを実証する。
HaCatケラチノサイト細胞(1×106個)を、6ウェルプレートに播種し、血清飢餓の前に一晩、コンフルエンスまで単層として24時間、培養した。その後、単層を、黄色の200μlのピペットチップで引っ掻いて、およそ1mm幅の創傷エリアを生じさせ、PBSで2回、洗浄して浮遊細胞を除去した。線の引っ掻き後、M-007フルベートのケラチノサイト遊走への効果を観察するために、各ウェルへ2mL DMEMを加えた。細胞を、様々な時間の間(0時間から36時間まで)、細胞増殖を防ぐためにマイトマイシンC(5μg/mL)の存在下で、M-007(20μg/mL)とインキュベートした。
創傷組織は、損傷領域を修復するために複雑で構造化された一連の事象を開始する。これらの事象は、血管新生因子による血管新生の増加、細胞増殖及び細胞外マトリックス沈着の増加、並びに壊死組織を破壊する過程の一部としての炎症性免疫細胞による浸潤を含み得る。創傷治癒過程は、細胞が創傷へと極性化し、突起を開始し、遊走し、創傷エリアを閉鎖することとして始まる。これらの過程は、個々の細胞の挙動及び組織複合体全体に反映する。創傷治癒アッセイは、細胞極性化、組織マトリックスリモデリングを研究し、又は異なる細胞及び培養条件の細胞増殖及び遊走速度を推定するために長年、研究者に採用されている。創傷治癒アッセイは、RhoファミリーGTPアーゼの役割、微小管及びゴルジ体の配向、細胞遊走におけるp53の役割、加えて他の生理学的過程を通して、細胞極性及びアクチン細胞骨格構造制御を研究するために用いられている。これらのアッセイは、典型的には、コンフルエントな細胞単層を培養する工程、及びその後、単層を通って線を引っ掻くことにより細胞群を移動させ、又は破壊する工程を含む。この「創傷」により生じた開いた裂け目は、その後、時間が経つにつれて、細胞が近寄って来て、損傷エリアを満たすのを、顕微鏡的に視察される。
この「治癒」効果は、細胞型、病的状態、及び「損傷」領域の表面積に依存して数時間から数日間、かかり得る。これらの「引っ掻き創傷」アッセイの欠点は、限定された、創傷表面積又は細胞間の裂け目がないことである。これらの損傷のほとんどは、様々なサイズ及び幅であり、そのことは、一貫した結果を阻害し、ウェル間の変動を生じさせる。加えて、「引っ掻き創傷」アッセイは、創傷の縁における細胞へ損傷を引き起こす場合が多く、それは、創傷部位への細胞遊走及び治癒を妨げ得る。この状況は、本明細書において、特定の厚さの不活性インサートが引っ掻き/創傷エリアに挿入された後に、限定された創傷フィールド又は裂け目を生じさせ得る自動引っ掻きスタイラスを開発することにより克服される。この方法は、図4及び図5に描かれている。細胞がインサートの周りに単層を形成するまで、細胞が培養される。インサートは除去され、細胞間に正確な0.9mm開いた「創傷フィールド」を残す。細胞は、この時点で、処理され、創傷フィールドへの遊走及び増殖についてモニターされ得る。これらの事象の進行は、特定の時点で固定された試料を画像化することにより、又は微速度顕微鏡観察法により、測定することができる。図7に示されているように、遊走性細胞は、突起を延ばし、最終的に浸潤し、創傷フィールドを閉鎖することができる。細胞増殖及び遊走速度は、手作業での固定及び顕微鏡画像化を用いて決定することができる。固定液は、必要に応じて特定の時点で細胞を停止させるために供給される。細胞染色及びDAPI染色もまた、光学及び蛍光顕微鏡観察法を用いて結果を見るために用いられる。
CytoSelect(商標)創傷治癒インサートと共に24ウェルプレートを、室温で10分間、ウォーミングアップしておく。滅菌ピンセットを用いて、所望の数のインサートを、プレートウェルにおいて、方向づけ、「創傷フィールド」が同じ方向に整列する。インサートは、プレートウェルの底としっかり接触している。全ての試料を3連で実行する。
10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有する培地中、0.5〜1.0×106細胞/mLを含有する細胞懸濁液。インサートの上部における開放端を通してピペットチップを注意深く挿入することにより、各ウェルへ500μLの細胞懸濁液を加える。最適な細胞分散のために、本発明者らは、インサートの上部の開放端の両側に250μLの細胞懸濁液を加えた。細胞を、一晩、又は単層が形成されるまで、細胞培養インキュベータ内でインキュベートする。インサートをウェルから注意深く除去し、創傷治癒アッセイを開始する。滅菌ピンセットを用いて、プレートウェルからインサートをつかみ、持ち上げる。ウェルを、ゆっくり吸引して、培地を捨てる。ウェルを培地で洗浄して、死細胞及びデブリを除去する。その後、培地をウェルに加えて、細胞を水和させておく。その後、細胞を光学顕微鏡下で可視化する。ウェルがまだデブリ又は非付着性細胞を有する場合には、洗浄を繰り返す。洗浄が完了した時、FBS及び/又は化合物を含む培地を加えて、細胞培養及び創傷治癒過程を継続する。細胞遊走を阻害し、又は刺激する作用物質は、ウェルへ直接、加えることができる。細胞を、細胞培養インキュベータ内に置く。最良の結果について、創傷の閉鎖又は「治癒」をモニターするために、レチクルマイクロメートル測定を用いて、限定された表面積を生じさせる。創傷フィールドの中心が標的にされて、スケール視野で示される。図6に示されているように、限定された表面積は、創傷フィールドの幅(0.9mm)に長さを掛けることにより生じる。
創傷のパーセント閉鎖の結果を計算するために、限定された創傷エリアの表面積が決定される(図6参照)。総表面積=0.9mm×長さ。次に、創傷エリアに遊走した細胞の表面積が決定される。遊走した細胞表面積=細胞遊走の長さ(mm)×2×長さ。最後に、パーセント閉鎖(%)=遊走した細胞表面積/総表面積×100。遊走速度は、細胞の限定された創傷エリアへの遊走速度を決定することにより決定される。したがって、遊走速度=細胞遊走の長さ(nm)/遊走時間(時間)。図8は、CytoSelect(商標)24ウェル創傷治癒アッセイキットでの典型的な結果を示す。
創傷細胞単層の画像を、引っ掻き創傷後の0時間目、24時間目、及び36時間目において顕微鏡(Olympus社、Tokyo、Japan)を用いて撮影した。細胞遊走活性を、Image Jソフトウェア(National Institutes of Health、Bethesda、MD、USA)を用いて、乱刺の修復率と名付けられた、引っ掻き後すぐに、無細胞領域の総面積に対する裂け目のパーセンテージとして表した。乱刺の修復率%についての式=(0時間目の裂け目の幅-特定の時点の裂け目の幅)/0時間目の裂け目の幅×100%。各プレートについて、6個のランダムに選択された画像が取得された。全ての実験は、独立して、3連で実行された。値は、3つの独立した実験の平均±SEである。値は、前に記載されているように、時間(日)に対する創傷閉鎖のパーセントとして決定される。
皮膚創傷の治癒の間、ケラチノサイト遊走は重要である。早くから創傷エリアへ遊走し、新上皮舌を形成して創傷切り込みを覆う、パイオニアのケラチノサイトは、結果として、適切でタイムリーな創傷修復に有利となる。インビトロ細胞引っ掻きアッセイは、M-007フルベートのケラチノサイト遊走への効果を調べるために実施された。ケラチノサイト遊走速度は、0〜36時間のM-007フルベート処理での創傷領域を浸潤する単層細胞の効率に基づいた。M-007フルベート処理は、ケラチノサイトの創傷エリアへの遊走速度を有意に増加させた。予想された通り、創傷前領域は、媒体対照より狭いように思われ、24時間のM-007フルベート処理後、有意により大きい剥離エリアを有した。36時間の処理後、M-007フルベート処理された創傷エリアは、ほとんど完全に閉鎖され、一方、対照は広い裂け目を保持した。乱刺の修復率は、Image Comparisonにより計算された。
(実施例12)
M-007のサイトカイン分泌への効果
この実施例は、マウス細胞株におけるM-007フルベートのサイトカイン排出への効果を実証する。
TGF-β1、IL-1β、IL-6、及びTNF-α等の多くのサイトカインは、創傷治癒におけるそれらの重要な役割のために、最近の研究において特に注目されている。マウスマクロファージ細胞株RAW264.7におけるM-007フルベートのサイトカイン分泌への効果を、ELISAを用いて試験した。TGF-β1産生は、対照と比較して、M-007フルベート刺激された上清において有意に増加した。上清におけるTGF-β1濃度は、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/ml、及び20μg/mLでのM-007フルベートの16時間のインキュベーション後、607.69pg/mLから718.96pg/mL(18.31%)、836.92pg/mL(37.72%)、及び951.92pg/mL(56.65%)へ増加した。IL-6分泌もまた、M-007フルベート処理細胞において濃度依存様式で増加した。51pg/mLのベースラインレベルと比較して、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/ml、及び20μg/mL M-007フルベートは、それぞれ、58pg/mL、60pg/mL、73pg/mL、及び81pg/mL IL-6分泌を誘導した。M-007フルベートはまた、3.6%(質量/体積)及び4.1%(質量/体積) M-007フルベートにおいて、IL-1β及びTNF-α分泌に影響した。M-007フルベートは、マクロファージのリクルートメント、TGF-β1発現上昇、及び筋線維芽細胞分化を促進した。
(実施例13)
エクスビボヒト皮膚処置
この実施例は、ヒト皮膚外植片においてM-007が創傷閉鎖を誘導することを実証する。
皮膚は、最も大きい器官であり、それの主要な機能は、外部環境及び過度の水分損失に対する防護壁としての役割を果たすことである。皮膚は、2つの主要な組織層:角質化重層表皮、及び支持及び栄養分を与えるコラーゲンリッチな皮膚結合組織の、根底にある厚い層からなる。創傷治癒障害は、いくつかの疾患過程(例えば、糖尿病)が根底にある主要な合併症である。効率的な創傷治癒は、低酸素(酸素欠乏)、炎症、感染、及び有害な活性酸素種(ROS)の発生を通しての酸化ストレスを含む様々な過程によって妨害される。創傷治癒の固有の複雑性が、結果として、遅い治癒過程に関与する単一のパラメータを標的にするたいていの治療の効力に制限を生じさせている。フルベート画分は、腐植源由来の有機生物活性高分子電解質酸であり、幅広い生物学的活性を示すことが以前に示されている。これらの分子が強力な抗炎症剤及び抗酸化剤として示されていることを考慮して、本発明者らは、これらの性質に基づいて、フルベート画分が創傷治癒に役立ち得ると仮定した。本発明者らは、フルベート誘導体のパネルをデザインし、合成し、改変型引っ掻きアッセイプロトコール、エクスビボヒト皮膚モデル、及び皮膚刺激状態のマウスモデルを用いて、創傷治癒を促進するそれらの能力を調べた。いくつかの誘導体、特にM-007は、細胞遊走を支援し、ヒト皮膚外植片において創傷閉鎖を誘導し、創傷治癒がインビボで起こる速度を大いに加速した。したがって、フルベート誘導体は、創傷治癒処置において役立ち得る創傷治癒治療において有効であり、皮膚創傷治癒の局所的及び注射用組成物において有用である。
上記で提供された実施例は、M-007フルベートの単独での、又は成長因子及び/若しくは生物活性断片化ペプチドと組み合わせての治療効力を示す。M-007は、アミノイオンを遊離する水素結合分子である。M-007は、核磁気共鳴(NMR)を用いる一連の最新式検査を利用して検証のために試験されている。全ての試験結果は、この新しい分子が、副作用をもたず、本質的に無毒であり、蒸留水と同等に安全とみなされることを示している。M-007は、経口、吸入、局所的、及び動脈間と動脈内の両方、又は静脈間と静脈内の両方の投与を通して送達される天然に基づいた治癒剤を具体化する、フルボ酸化合物内に天然で見出されるアミノ酸の水溶性混合物である。M-007は、広域の医学的な病気及び健康状態に渡る治癒を、浸水させる水和溶液中の、機能不全細胞の不安定なタンパク質内の核酸と結合する遊離アミノ酸を通して促進する。結果として生じた生合成は、不安定なタンパク質を整列させ、安定にさせ、細胞を、それらのDNA構造内にまだ埋め込まれているそれらの本来のDNAコードによりプログラムされているようなそれらの正常な機能へ戻す。この機構はまた、そのDNAにより制御される増殖期の再活性化を引き起こし、それに従って、治癒過程を有意に加速させる。M-007は、天然のフルボ酸画分内の天然アミノ酸に関連した、天然に基づいたアミノ酸由来であり、加えて、最も効果的な創傷治癒及び細胞成長利益を与えるそれらのアミノ酸及びペプチドを選択する、フルボ酸分子の分画により増強されるペプチド及び酵素である。フルボ酸画分M-007の天然の無毒の性質は、FDA GRAS(Generally Recognized As Safe)資格を保証する。その分子は、調合薬ではない。本明細書に記載されているように、それは、ヒトと動物の両方の健康問題の処置において多数の適用がある。ベースのM-007フルベートは、シリアルスラリーへ取り込まれ、それへ、追加のアミノ酸、核酸、ペプチド、及び様々な成長因子が加えられて、独特な一連の配合物の組合せを利用可能にする。M-007フルベートは、化学的に純粋な医薬品グレードの溶液であり、アミノフルボ酸分子に関して増強されるだけでなく、現在利用可能な、最も効果的な無毒の、全て天然の広域の抗真菌剤、抗細菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤の創傷治癒
供給源を製造するための(GF)の豊富な選択の幅の付加利益を有する。この新しい製剤は、細胞タンパク質内の核酸とより容易に結合する性向を与え、更に核を、それのDNAにより本来プログラムされているように機能するようにする。フルボ酸のM-007への添加が、結合過程を助けるのは、フルベートが全てのタンパク質と強く結合するからである。毒性のある微生物、ウイルス、及び真菌は、M-007部分のフルベート成分の作用に対して、微生物細胞、ウイルスフォーム、及び真菌の被覆膜のタンパク質部分と結合するそれの素晴らしい能力のために、免疫を形成せず、形成できない。M-007フルベートは、ウイルスコートタンパク質に対する非特異的侵入阻害剤である。それは、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、HIV、C型肝炎ウイルス、及びH5N1を含むインフルエンザウイルス等のたいていのエンベロープウイルスに対して広域の抗ウイルス活性を示す。
前に記載された実施形態の少なくとも一部において、実施形態に用いられる1つ又は複数の要素は、置き換えが技術的に実行可能ではない限り、別の実施形態において交換可能に用いることができる。様々な他の省略、追加、及び改変が、主張された主題の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び構造になされ得ることは、当業者に認識されていると予想される。全てのそのような改変及び変化は、添付の特許請求の範囲により定義されているような主題の範囲内にあることを意図される。
本明細書における実質的に任意の複数形及び/又は単数形用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は適用に適切であるように、複数形から単数形へ、及び/又は単数形から複数形へ書き換えることができる。様々な単数形/複数形の交換は、明瞭さのために、本明細書においてはっきりと示され得る。
一般的に、本明細書、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)に用いられる用語は、一般的に、「オープン」用語として意図される(例えば、用語「含むこと」は、「含むが、それらに限定されないこと」と解釈されるべきであり、用語「有すること」は、「少なくともそれらを有すること」と解釈されるべきであり、用語「含む」は、「含むが、それらに限定されない」と解釈されるべきである等)ことは当業者に理解されていると予想される。導入された特許請求の範囲の記述の特定の数が意図される場合には、そのような意図が特許請求の範囲において明確に記述され、そのような記述が存在しない時、そのような意図は存在しないと当業者により更に理解されていると予想される。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記述を導入するための導入句「少なくとも1つの」及び「1つ又は複数の」の利用を含有し得る。しかしながら、そのような句の使用は、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による特許請求の範囲の記述の導入が、その同じ特許請求の範囲が導入句「1つ又は複数の」又は「少なくとも1つの」及び「1つの(a)」又は「1つの(an)」等の不定冠詞を含む場合でさえも、そのような導入された特許請求の範囲の記述を含有する任意の特定の特許請求の範囲を、1つだけのそのような記述を含有する実施形態に限定することを含意すると解釈されるべきではない(例えば、「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」を意味すると解釈されるべきである);特許請求の範囲の記述を導入するために用いられる定冠詞の使用についても同じである。加えて、導入された特許請求の範囲の記述の特定の数が明確に記述されている場合でさえも、そのような記述は、少なくとも記述された数を意味すると解釈されるべきであること(例えば、他の修飾句なしに「2つの記述」というただそれだけの記述は、少なくとも2つの記述又は2つ以上の記述を意味する)を、当業者は認識していると予想される。更に、「A、B、及びC等の少なくとも1つ」に類似した慣例表現が用いられる場合、一般的に、そのような解釈は、当業者がその慣例表現を理解すると予想される意味で意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有する系」には
、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はAとBとCを一緒に有する系が挙げられるが、それらに限定されない等)。「A、B、及びC等の少なくとも1つ」に類似した慣例表現が用いられる場合、一般的に、そのような解釈は、当業者がその慣例表現を理解すると予想される意味で意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有する系」には、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はAとBとCを一緒に有する系が挙げられるが、それらに限定されない等)。説明の中、特許請求の範囲の中、又は図面の中かに関わらず、2つ以上の選言的用語を提示する事実上、任意の離接語及び/又は句は、それらの用語の1つ、それらの用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきである。例えば、句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
加えて、開示の特徴又は態様がマーカッシュ群によって記載される場合、その開示はまた、そのマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの部分群に関してもそれらにより記載されることを当業者は認識していると予想される。
当業者により理解されているように、書面による明細書を提供することに関して等、ありとあらゆる目的のために、本明細書に開示された全ての範囲はまた、それらのありとあらゆる可能な部分的範囲及び部分的範囲の組合せを包含する。任意の列挙された範囲が十分に説明されており、その範囲は少なくとも同等の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に更に分けられることを可能にすると容易に認識することができる。当業者により理解されているように、「まで」、「少なくとも」、「より高い」、「より低い」等の全ての言語は、記述された数を含み、上記で論じされているように、部分的範囲へ実質的に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者により理解されているように、範囲は、各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1〜3個の項目を有する群は、1個、2個、又は3個の項目を有する群を指す。同様に、1〜5個の項目を有する群は、1個、2個、3個、4個、又は5個の項目を有する群を指す等。
様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態は、当業者に明らかであろう。本明細書に開示された様々な態様及び実施形態は、例示を目的とし、限定することを意図するものではなく、真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲により示されている。