本開示がさらに説明される前に、本開示が本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものでないことを理解されたく、また、本明細書で使用される専門用語が特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図しないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値から下限値の間の各介在値、ならびにその表示範囲の任意の他の表示値または介在値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値は、より小さい範囲内に独立して含まれてもよく、また、表示範囲内の任意の具体的な除外限度に従って、本明細書にも包含される。表示範囲がそれらの上限値及び下限値のうちの1つまたは両方を含む場合、それらの包含される上限値及び下限値のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に包含される。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。特許請求の範囲がいずれの任意選択要素を除外するように立案されてもよいことにさらに留意する。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関して「単に」、「のみ」等といった排他的な専門用語の使用、または「否定的な」制限の使用のための先行する基準として役立つことが意図される。
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示に対してのみ提供される。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、別々に確認する必要があり得る。
概要
本開示は、ペグ化バリアント、変異タンパク質を含めたペグ化IL−15分子、及び本明細書に記載される他のIL−15関連分子を企図する。当業者であれば、かかる分子が、頻度のより低い投薬を可能にする延長した半減期を含む、好ましい特徴及び特性を有し得ることを認識するであろう。本明細書に記載のIL−15分子、及びその組成物(例えば、薬学的組成物)を使用して、例えば、炎症関連及び免疫関連障害、ならびにがん及びがん関連障害を含む、種々の疾患、障害、及び病態、ならびに/またはそれらの症状を治療及び/または予防し得る。
本開示のポリペプチド及び核酸分子との関連における「ヒト」へのいずれの言及も、ポリペプチドもしくは核酸が得られる様態または源に関して限定することを意図せず、むしろ、天然発生のヒトポリペプチドまたは核酸分子の配列を参照するのみであることに留意すべきである。それらをコードするヒトポリペプチド及び核酸分子に加えて、本開示は、他の種由来のIL−15関連ポリペプチド及び対応する核酸分子を企図する。
定義
別途指示されない限り、以下の用語は、下記に記載される意味を有することを意図する。他の用語は、本明細書全体にわたって他の箇所で定義される。
「患者」または「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を指して互換的に使用される。
「投与」、「投与する」等の用語は、それらが例えば、対象、細胞、組織、臓器、または生体液に適用される場合、例えば、ペグ化IL−15、次いでペグ化され得るIL−15分子をコードする核酸、前述のものを含む薬学的組成物、または診断薬の、対象、細胞、組織、臓器、または生体液への接触を指す。細胞の関連において、投与は、細胞への試薬の接触(例えば、インビトロまたはエクスビボ)、ならびに、流体が細胞と接触している流体への試薬の接触を含む。
「治療する」、「治療すること」、治療」等の用語は、疾患、障害、もしくは病態、またはその症状が診断された、観察された、及び同様のことの後に開始される、対象が罹患した疾患、障害、もしくは病態の根本的な原因のうちの少なくとも1つ、または対象が罹患した疾患、障害、もしくは病態に関連する症状のうちの少なくとも1つを、一時的であれ永続的であれ、排除する、低減する、抑制する、軽減する、または寛解させるような行為の過程(ペグ化IL−15、またはペグ化IL−15を含む薬学的組成物を投与する等)を指す。故に、治療は、活動性疾患を阻害すること(例えば、疾患、障害、もしくは病態またはそれに関連する臨床的症状の発症またはさらなる発症を停止させること)を含む。この用語はまた、PEG−IL−15が、例えば流体相またはコロイド相において、IL−15受容体に接触する状況等の、他の関連においても使用され得る。
本明細書で使用される「治療を必要とする」という用語は、対象が治療を必要とするまたは治療から益を得るであろうという医師または他の介護者によって下される判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門知識の領域にある多様な要因に基づいて下される。
「予防する」、「予防すること」、「予防」等の用語は、一般に特定の疾患、障害、または病態を有する素因のある対象の関連において、対象が疾患、障害、病態等を発症する危険性を、一時的であれ永続的であれ、予防する、抑制する、阻害する、もしくは低減する(例えば、臨床的症状の不在によって決定される)、またはその発現を遅延させるような様態で(例えば、疾患、障害、病態またはその症状の発現より前に)開始される行為の過程(ペグ化IL−15、またはペグ化IL−15を含む薬学的組成物を投与する等)を指す。ある特定の事例では、これらの用語は、疾患、障害、もしくは病態の進行を減速させること、またはそれが有害なあるいは望ましくない状態に進行するのを阻害することを指す。
本明細書で使用される「予防を必要とする」という用語は、対象が予防的ケアを必要とするまたは予防的ケアから益を得るであろうという医師または他の介護者によって下される判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門知識の領域にある多様な要因に基づいて下される。
「治療上有効量」という語句は、単独であれ薬学的組成物の一部としてであれ、単回用量であれ一連の用量の一部としてであれ、対象に投与されたときに疾患、障害、または病態の任意の症状、側面、特徴に対して任意の検出可能なプラスの効果を有することが可能な量での、薬剤の対象への投与を指す。治療上有効量は、関連性のある生理学的効果を測定することによって確認することができ、それは、投薬レジメン及び対象の状態の診断的分析等に関連して調整することができる。例として、投与後に産生される炎症性サイトカインの量の測定値が、治療上有効量が使用されたかどうかの指標となり得る。
「変化をもたらすのに十分な量」という語句は、特定の療法の投与前に測定された指標のレベル(例えば、ベースラインレベル)と投与後のレベルとの間に検出可能な差異が存在することを意味する。指標には、任意の客観的パラメータ(例えば、IL−15の血清中濃度)または主観的パラメータ(例えば、対象の健康であるという感覚)が含まれる。
「小分子」という用語は、約10kDa未満、約2kDa未満、または約1kDa未満である分子量を有する化学化合物を指す。小分子には、無機分子、有機分子、無機構成成分を含む有機分子、放射性原子を含む分子、及び合成分子が含まれるが、これらに限定されない。治療的に、小分子は、高分子よりも細胞により透過性で、分解の影響を受けにくく、免疫応答を引き出す可能性がより低くあり得る。
「リガンド」という用語は、受容体の作動物質または拮抗物質として作用し得る、例えば、ペプチド、ポリペプチド、膜関連もしくは膜結合分子、またはその複合体を指す。「リガンド」は、天然及び合成リガンド、例えば、サイトカイン、サイトカインバリアント、類似体、変異タンパク質、及び抗体に由来する結合組成物、ならびに、例えば、サイトカインのペプチド模倣体及び抗体のペプチド模倣体を包含する。この用語はまた、作動物質でも拮抗物質でもないが、その生物学的特性、例えば、シグナル伝達または接着に著しい影響を及ぼすことなく受容体に結合し得る、薬剤も包含する。さらに、この用語は、例えば化学法または組換え法によって、膜結合リガンドの可溶性異形へと変化した膜結合リガンドを含む。リガンドまたは受容体は、完全に細胞内であり得、つまり、それはサイトゾル、核、または何らかの他の細胞内区画に存在し得る。リガンド及び受容体の複合体は、「リガンド−受容体複合体」と称される。
「阻害剤」及び「拮抗物質」、または「作動剤」及び「作動物質」という用語は、例えば、リガンド、受容体、補因子、遺伝子、細胞、組織、または臓器の、例えば作動のための、阻害分子または作動分子をそれぞれ指す。阻害剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を減少させる、遮断する、防止する、活性化を遅らせる、不活性化する、脱感作する、または下方調節する分子である。作動剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を、増加させる、活性化する、促進する、活性化を強化する、それに感作する、または上方調節する分子である。阻害剤はまた、構成的活性を低減、遮断、または不活性化する分子としても定義されてもよい。「作動物質」は、標的と相互作用して、標的の活性化の増大を引き起こすまたは促進する分子である。「拮抗物質」は、作動物質の活性(複数可)に対抗する分子である。作動物質が特定されていない場合であっても、拮抗物質は、作動物質の活性を防止、低減、阻害、または無力化し、かつ、標的、例えば、標的受容体の構成的活性を防止、阻害、または低減することもできる。
「調節する」、「調節」等の用語は、分子(例えば、作動剤または阻害剤)がIL−15分子(またはそれらをコードする核酸分子)の機能もしくは活性を、直接的にもしくは間接的に増加もしくは減少させる能力、または分子がIL−15分子の効果に相当する効果を生む能力を強化する能力を指す。「調節因子」という用語は、上記の活性に影響することができる分子を広義に指すことが意味される。例として、例えば、遺伝子、受容体、リガンド、または細胞の調節因子は、活性が、調節特性において活性化、阻害、または改変され得る、遺伝子、受容体、リガンド、または細胞の活性を改変する分子である。調節因子は、単独で作用してもよいし、あるいは補因子、例えば、タンパク質、金属イオン、または小分子を使用してもよい。「調節因子」という用語は、IL−15と同じ作用機序によって効果を表し(すなわち、IL−15と同じシグナル伝達経路をそれに類似した様式で調節する薬剤)、IL−15の生物学的応答に相当する(またはそれを超える)生物学的応答を励起することができる薬剤を含む。
調節因子の例には、小分子化合物及び他の生体有機分子が挙げられる。多数の小分子化合物のライブラリ(例えば、コンビナトリアルライブラリ)が市販されており、これらは調節因子特定の出発点として機能し得る。当業者であれば、かかる化合物ライブラリが、所望の特性を有する1つ以上の化合物を特定するためにスクリーニングされ得る、1つ以上のアッセイ(例えば、生化学または細胞系アッセイ)を開発することができ、その後、熟練した医薬品化学者であれば、かかる1つ以上の化合物を、例えば、それらの類似体及び誘導体を合成及び評価することによって、最適化することができる。合成及び/または分子モデリング研究も上記の分子の特定に利用することができる。
分子の「活性」は、分子のリガンドまたは受容体への結合;触媒作用;遺伝子発現または細胞シグナル伝達、分化、または成熟;抗原活性;他の分子の活性の調節等を指し得るかまたは説明し得る。本用語はまた、細胞間の相互作用(例えば、接着)の調節もしくは維持における活性、または細胞の構造(例えば、細胞膜)の維持における活性を指し得る。「活性」は、特異的活性、例えば、[触媒活性]/[mgタンパク質]、または[免疫活性]/[mgタンパク質]、生物学的コンパートメントにおける密度等も意味し得る。「増殖活性」という用語は、例えば、正常な細胞分裂、及びがん、腫瘍、異形成、細胞形質転換、転移、及び血管新生を促進するか、それらに必要であるか、またはそれらと具体的に関連付けられる活性を包含する。
本明細書で使用される「相当する」、「相当する活性」、「〜に相当する活性」、「相当する効果」、「〜に相当する効果」等は、定量的及び/または定性的に評価することができる相対語である。用語の意味は、多くの場合、それらが使用される文脈に依存する。例として、共に受容体を活性化する2つの薬剤は、定性的観点からは相当する効果を有すると評価され得るが、これらの2つの薬剤は、一方の薬剤が、当該技術分野で認められているアッセイ(例えば、用量応答アッセイ)または当該技術分野で認められている動物モデルにおいて決定して、他の薬剤の活性の20%しか達成できない場合、定量的観点からは相当する効果を欠くと評価され得る。一方の結果を他方の結果と(例えば、一方の結果を参照基準と)比較するとき、「相当する」は、多くの場合(必ずではないが)は、一方の結果の参照基準からの偏差が、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満であることを意味する。特定の実施形態では、一方の結果は、その参照基準からの逸脱が15%未満、10%未満、または5%未満である場合に参照基準に相当する。限定するものではなく例として、活性または効果は、効能、安定性、可溶性、または免疫原性を指し得る。既に示したように、当業者であれば、異なる方法を使用することにより、hIL−15参照基準よりも多かれ少なかれ活性である(タンパク質濃度の計算における差に起因する見掛けの活性または実際の活性のいずれかにおいて)IL−15が生じ得ることを認識する。当業者は、hIL−15に対するIL−15分子の相対的な生物学的活性の決定におけるこれらの差を考慮に入れることができるであろう。
例えば、細胞、組織、臓器、または有機体の「応答」という用語は、生化学的または生理学的挙動、例えば、生物学的コンパートメント内の濃度、密度、接着、もしくは移行、遺伝子発現の速度、または分化状況における変化を、その変化が、活性化、刺激、もしくは処理、または遺伝子プログラミング等の内部機序と相関する場合に、包含する。ある特定の文脈において、「活性化」、「刺激」等の用語は、内部機序及び外部または環境因子によって調節される細胞活性化を指し、「阻害」、「下方調節」等の用語は、逆の効果を指す。
本明細書で互換的に使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、遺伝子的にコードされた及び遺伝子的にコードされていないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、ならびにポリペプチド骨格が修飾されたポリペプチドを含み得る。これらの用語は、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端部メチオニン残基を有するかまたは有しない、異種及び同種のリーダー配列を有する融合タンパク質;免疫学的に標識されたタンパク質等を含むがこれらに限定されない、融合タンパク質を含む。
本明細書で使用される場合、「バリアント」及び「ホモログ」という用語は、それぞれ、参照アミノ酸または核酸配列に類似した、アミノ酸またはDNA配列を指して互換的に使用される。本用語は、天然バリアント及び非天然バリアントを包含する。天然バリアントには、ホモログ(種によって、それぞれ、アミノ酸またはヌクレオチド配列が異なるポリペプチド及び核酸)、及びアレルバリアント(種内の個体によって、それぞれ、アミノ酸またはヌクレオチド配列が異なるポリペプチド及び核酸)が含まれる。故に、バリアント及びホモログは、天然DNA配列及びそれらによってコードされるタンパク質及びそれらのアイソフォーム、ならびにタンパク質または遺伝子のスプライスバリアントを包含する。これらの用語は、1つ以上の塩基において天然DNA配列とは異なるが、遺伝子コードの縮退に起因して依然として天然タンパク質に対応するアミノ酸配列に翻訳される核酸配列も包含する。非天然バリアント及びホモログには、それぞれアミノ酸またはヌクレオチド配列における変化を含むポリペプチド及び核酸が含まれ、ここで、配列におけるこの変化は、人工的に導入され(例えば、変異タンパク質、例えば、変化は、人間の介入(「人の手」)によって研究室で生成される。このため、非天然バリアント及びホモログはまた、1つ以上の保存的置換及び/または標識及び/または抱合体によって天然配列とは異なるものを指してもよい。
本明細書で使用される「変異タンパク質」という用語は、突然変異した組換えタンパク質を広義に指す。これらのタンパク質は、通常、単一または複数のアミノ酸置換を担持し、部位特異的または無作為突然変異誘発に供されたクローニングされた遺伝子、または完全に合成である遺伝子に由来することが多い。別途指示されない限り、「IL−15の突然変異体」等の用語の使用は、IL−15変異タンパク質を指す。
「DNA」、「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」等の用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれか、またはその類似体を指して、本明細書では互換的に使用される。ポリヌクレオチドの非限定例には、直線及び円形の核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補的DNA(cDNA)、組換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、プライマー等が挙げられる。
本開示全体にわたって、アミノ酸は1文字表記または3文字表記に従って言及されることが理解される。読者の便宜のため、1文字及び3文字表記を以下に提供する:
天然ヒトIL−15またはIL−15変異タンパク質に関して本明細書で使用される場合、「修飾された」、「修飾」等の用語は、ヒトIL−15またはIL−15変異タンパク質の所望の特定を増強する1つ以上の変化を指す。かかる所望の特性には、例えば、循環半減期の延長、安定性の増大、クリアランスの低減、免疫原性またはアレルゲン性の改変、及び検出アッセイにおける使用のための特定の抗体の培養の実現(例えば、固有のエピトープの導入により)が含まれる。これ以降に詳細に考察されるように、実行され得るヒトIL−15またはIL−15変異タンパク質に対する修飾は、ペグ化(ポリエチレングリコール(PEG)の1つ以上の分子またはそれらの誘導体の共有結合);グリコシル化(例えば、N−グリコシル化)、ポリシアル化及びhes化;アルブミン融合;例えば、抱合した脂肪酸鎖による、アルブミン結合(アシル化);Fc融合;ならびにPEG模倣体との融合が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リンカーがかかる修飾に使用され、これは以降に記載される。本開示の特定の実施形態において、修飾IL−15分子はペグ化IL−15である。
ポリペプチドの構造との関連において本明細書で使用される場合、「N末端部」(または「アミノ末端部」)及び「C末端部」(または「カルボキシ末端部」)は、それぞれ、ポリペプチドのアミノ極端及びカルボキシル極端を指し、「N末端」及び「C末端」という用語は、それぞれ、N末端及びC末端に対するポリペプチドのアミノ酸配列の相対位置を指し、それぞれ、N末端及びC末端で残基を含み得る。「直接N末端(immediately N−terminal)」または「直接C末端(immediately C−terminal)」は、第1のアミノ酸残基の第2のアミノ酸残基に対する位置を指し、ここで、第1及び第2のアミノ酸残基は共有結合して、連続するアミノ酸配列を提供する。
アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の文脈における「に由来する」(例えば、IL−15ポリペプチド「に由来する」アミノ酸配列)は、ポリペプチドまたは核酸が、参照ポリペプチドまたは核酸(例えば、天然IL−15ポリペプチドまたはIL−15−をコードする核酸)のものに基づく配列を有することを示すものと意味され、タンパク質または核酸が作製されるソースまたは方法に関して限定することを意味しない。例として、「に由来する」という用語は、参照アミノ酸またはDNA配列のホモログまたはバリアントを含む。
ポリペプチドとの関連において、「単離された」という用語は、目的とするポリペプチドであって、それが、天然である場合、天然に生じる環境とは異なる環境にあるポリペプチドを指す。「単離された」は、目的とするポリペプチドを大幅に富化した、及び/または目的とするポリペプチドが部分的にまたは大幅に精製された試料中のポリペプチドを含むことを意味する。ポリペプチドが天然ではない場合、「単離された」は、ポリペプチドが、合成手段または組換え手段のいずれかによって作製された環境から分離されていることを示す。
「富化された」は、試料が、非天然に操作され(例えば、科学者によって)、その結果、目的とするポリペプチドが、a)生体試料(例えば、ポリペプチドが天然に生じるか、またはそれが投与後に存在する試料)等の出発試料中のポリペプチドの濃度よりも高い(例えば、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも8倍高い、少なくとも64倍高い、またはそれ以上高い)濃度、あるいはb)ポリペプチドが作製された環境(例えば、細菌細胞等において)よりも高い濃度で、存在することを意味する。
「実質的に純粋」は、構成成分(例えば、ポリペプチド)が、組成物の全含有量の約50%、典型的には、全ポリペプチド含有量の約60%超を構成することを示す。より典型的には、「実質的に純粋」は、全組成物の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%以上が、目的とする構成成分である組成物を指す。いくつかの場合には、ポリペプチドは、組成物の全含有量の約90%超、または約95%超を構成することになる。
「特異的に結合する」または「選択的に結合する」という用語は、リガンド/受容体、抗体/抗原、または他の結合対を指す場合に、タンパク質及び他の生物製剤の不均一集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を示す。故に、規定された条件下で、指定のリガンドは、特定の受容体に結合し、試料中に存在する他のタンパク質に相当量では結合しない。企図される方法の抗体、または抗体の抗原結合部位に由来する結合組成物は、その抗原、またはそのバリアントもしくは変異タンパク質に、任意の他の抗体、またはそれに由来する結合組成物との親和性よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも10倍高い、少なくとも20倍高い、または少なくとも100倍高い親和性で結合する。特定の実施形態では、抗体は、例えばスキャッチャード分析によって決定して、約109リットル/mol超の親和性を有することになる(Munsen,et al.1980 Analyt.Biochem.107:220−239)。
IL−15
MGC9721とも称されるIL−15は、染色体4q31上の34kb領域によってコードされる12.8kDaのモノマー糖タンパク質であると予測される。IL−15は、4つのα−ヘリックスバンドルファミリーに属し、その他のメンバーには、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)が含まれる。ヒトIL−15のゲノム構造は、9個のエクソン(1〜8及び4A)及び8個のイントロンを含む。ヒトとマウスとは、類似のイントロン/エクソン構造を共有する。成熟タンパク質をコードするIL−15遺伝子の部分のイントロン/エクソン構造は、IL−2遺伝子及び他の4個のα−ヘリックスバンドルサイトカインのものと類似している。
当業者であれば、IL−15核酸及びアミノ酸配列が遺伝子データベース(例えば、GenBank)において公表されていることを理解するであろう。図1C(配列番号3)に図示されるように、成熟ヒトIL−15タンパク質は114個のアミノ酸残基(12.8kDa)を含む。E.coli中で産生される組換えヒトIL−15は、単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖(分子質量が12.9kDaであり、N末端メチオニンを含む、115個のアミノ酸残基)である。2つの転写産物が報告されており、それらの両方が同じ成熟タンパク質を産出していることが報告されている。図1A(配列番号1)を参照して、IL−15ロングシグナルペプチド(LSP)タンパク質(受託番号BC018149.2)は、48残基シグナルペプチド(下線付き)を含む162個のアミノ酸残基を含む。図1B(配列番号2)を参照して、IL−15ショートシグナルペプチド(SSP)タンパク質(受託番号BC100962.1)は、21残基シグナルペプチド(下線付き)を含む135個のアミノ酸残基を含む。LSPは分泌タンパク質として説明されており、SSPは細胞内に残るものとして説明されている。
図2Aは、ロングシグナルペプチド(LSP)cDNA ORF(162個のアミノ酸残基をコードする489個の塩基対(配列番号4))(受託番号BC018149.2)を図示し、シグナルペプチド(下線付き)は、最初の48個のアミノ酸をコードする塩基対1〜144を含む。図2Bは、ショートシグナルペプチド(SSP)cDNA ORF(135個のアミノ酸残基をコードする408個の塩基対(配列番号5))(受託番号BC100962.1)を図示し、シグナルペプチド(下線付き)は、最初の21個のアミノ酸をコードする塩基対1〜63を含む。図2Cは、成熟ヒトIL−15タンパク質をコードする核酸配列(114個のアミノ酸残基をコードする345個の塩基対(配列番号6))を図示する。
例示的な非ヒト哺乳動物IL−15核酸またはアミノ酸配列は、例えば、霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、齧歯類、ネズミ科、ラット、ハムスター、及びモルモットに由来し得る。例示的な非ヒト哺乳動物IL−15核酸配列の受託番号には、U19843(マカク);DQ021912(マカク);AB000555(マカク);NM_214390(ブタ);DQ152967(ヒツジ);NM_174090(ウシ);NM_008357(ネズミ);NM_013129(クマネズミ);DQ083522(スイギュウ);XM_844053(イヌ);DQ157452(ウサギ);及びNM_001009207(ネコ)が挙げられる。例示的な非ヒト哺乳動物IL−15アミノ酸配列の受託番号には、AAB60398(マカク);AAY45895(マカク);NP_999555(ブタ);NP_776515(ウシ);AAY83832(スイギュウ);ABB02300(ヒツジ);XP_849146(イヌ);NP_001009207(ネコ);NP_037261(クマネズミ);及びNP_032383(ネズミ)が挙げられる。ヒトIL−15(「hIL−15」)と比較した成熟カニクイザルIL−15(「cIL−15」)の同一性は96%であり、一方、成熟マウスIL−15(「mIL−15」)と成熟hIL−15との同一性は75%である。
ヒトIL−15は、位置C42〜C88及びC35〜C85にて2つのジスルフィド結合を含み、前者は、IL−2内のC−Cと相同である。N79及びN112に2つのN−結合型グリコシル化部位が存在する(使用する分析方法によっては、N71が第3のグリコシル化部位とみなされる場合がある)。成熟IL−15タンパク質は、アミノ酸残基1〜15、18〜57、65〜78、及び97〜114にて、その4 α−ヘリックスバンドル構造を支持する強力なヘリックスモーメントを有することが予測されている(Fehniger,et al.,Blood 97(1)(Jan 1、2001))。
既に示したように、IL−15とIL−2との間にネクサスが存在する。IL−15及びIL−15Rα発現の複雑な調節及び異なるパターンに基づくと、この受容体/リガンド対の必須のインビボ機能が、IL−2及びIL−2Rαのものとは異なる可能性が高い。IL−15は、いくつかの主要な必須的役割を呈し、これらの役割には、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK−T細胞、及び腸内上皮内リンパ球の発達及び機能中のその重要性が含まれる。IL−15は自己免疫プロセス(例えば、リウマチ性関節炎)及び悪性腫瘍(例えば、T細胞性白血病)において役割を果たすことが報告されているため、正常なIL−15機能の崩壊は対象における有害な影響に関与している。
両方とも、受容体サブユニットIL−2Rβと、一般的なγ−鎖(γ(c))とを通してシグナル伝達するが、IL−15及びIL−2は同じ生物学的機能の全てを共有しない。IL−15−IL−15Rα−IL−2Rβ−γ(c)4元複合体の構造において、IL−15は、IL−2−IL−2Rα−IL−2Rβ−γ(c)複合体のものに類似したヘテロ二量体においてIL−2Rβ及びγ(c)に結合する。IL−15Rαは、IL−15のIL−2Rβに対する親和性を大幅に増大させることが示されており、これは転じて、IL−15のtrans−シグナル伝達に必要とされる。IL−15及びIL−2は、同様のシグナルを誘導し、IL−2Rα対IL−15Rαの特異性は、細胞応答性を決定することが示されている。(Ring et al.,Nat.Immunol.13(12):1187〜95(Dec.13,2012)を参照されたい)。
IL−15は、主に膜結合型として存在するが、可溶性分子としても存在し(Jakobisiak,et al.,Cytokine Growth Factor Ref 22(2)99〜109(April 2011))、かつ2つの明確に異なるシグナル伝達機序と関連付けられる。一次機序は、trans−提示であり、これは、膜結合型複合体IL−15/IL−15Rαによって媒介される。このシグナル伝達機序において、IL−15はIL−15Rα受容体に結合し、その後、細胞表面にIL−15Rβγc複合体を有する周囲の細胞に提示される。第2の機序はcis−提示であり、ここでIL−15は、IL−15Rαによって同じ細胞上の15Rβγcシグナル伝達複合体に提示される。
一次シグナル伝達機序を参照して、IL−15がIL−15Rα受容体に結合し、続いてIL−15Rβγc複合体を担持する周囲の細胞に提示されると、IL−15βサブユニットがヤーヌスキナーゼ1(Jak1)を活性化し、γcサブユニットがヤーヌスキナーゼ2(Jak2)を活性し、これが、転写3(STAT3)及びSTAT5のシグナル伝達物質及び作動剤のリン酸化及び活性化をもたらす。IL−15及びIL−2は受容体サブユニットを共有するため、これらは同様の下流効果を有し、下流効果には、B細胞リンパ腫(Bcl−2)の誘導;マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAP)経路、ならびに細胞増殖及び成熟につながるリンパ球活性化タンパク質チロシンキナーゼ(Lck)及び脾臓チロシンキナーゼ(Syk)のリン酸化が含まれる(Schluns,et al.,Int J Biochem Cell Biol 37(8):1567−71(Aug 2005))。
対照的に、肥満細胞におけるIL−15Rシグナル伝達経路は、Jak1/3及びSTAT3/5の代わりにJak2及びSTAT5を誘導する。リン酸化STATは、転写因子を形成し、適切な遺伝子の転写を活性化する。IL−15Rのβ鎖は、Lck、Fyn、及びLynキナーゼを含むSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼを動員し、かつ活性化する。β鎖はまた、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)及びAKTシグナル伝達経路を活性化し、c−Fos、c−Jun、c−Myc、及びNF−κBを含む種々の転写因子の発現を誘導する(Jakobisiak,et al.,Cytokine Growth Factor Ref 22(2)99〜109(April 2011))。
ペグ化IL−15
組換えヒトIL−15の可用性は、例えば、腎クリアランスまたはタンパク質分解に起因し得る、その比較的短い血清半減期によって制限されることが多い。その結果、その構造を有害に破壊することで活性に対して望ましくない影響を有することなくIL−15の薬物動態プロファイルを改善するために、種々のアプローチが検索されている。例えばCN102145178に報告されているように、IL−15のペグ化により、ある特定の薬物動態パラメータ(例えば、血清半減期)の改善が生じる。
IL−15のペグ化は、N末端部、C末端部、または内部のうちの1つ以上で発生し得る。特定の実施形態では、本開示は、N末端部でのペグ化を企図する。当業者には明らかとなるように、1つ超のポリエチレングリコール分子が1つ超のアミノ酸残基に結合し得る。故に、本明細書で使用される場合、「ペグ化IL−15」及び「PEG−IL−15」という用語は、結合が安定するように、一般にリンカーを介して、IL−15タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸残基に共有結合した1つ以上のポリエチレングリコール分子を有するIL−15分子を指す。「モノペグ化IL−15」及び「モノ−PEG−IL−15」という用語は、1つのポリエチレングリコール分子が、一般にリンカーを介して、IL−15の単一アミノ酸残基に共有結合していることを示すために使用される。「ジペグ化IL−15」及び「ジ−PEG−IL−15」は、一方のポリエチレングリコール分子が一方のアミノ酸残基に共有結合し、別のポリエチレングリコール分子は異なるアミノ酸残基に共有結合する、IL−15タンパク質を説明するために使用され得る。例えば、一方のポリエチレングリコール分子は成熟IL−15のN末端アミノ酸残基に共有結合してもよく、別のポリエチレングリコール分子はC末端残基に共有結合してもよい。ポリエチレン分子が2つ超のアミノ酸残基に共有結合しているタンパク質を生成することも可能であり、当業者であれば、かかる分子の産生手段に精通している。
特定の実施形態では、本開示で使用されるPEG−IL−15は、1〜9個のPEG分子が、リンカーを介して、N末端部でアミノ酸残基のアルファアミノ基に、またはリジン残基の側鎖上でイプシロンアミノ基に共有結合する、モノ−PEG−IL−15である。リンカーは、下文でさらに説明される。成熟IL−15内の通常はペグ化に適していない場合がある部位でペグ化をもたらすために、IL−15上の1つ以上の異なる部位を、1つ超の変異を導入した後で、それらの各々を修飾(すなわち、ペグ化)することによって修飾し得る。例となるペグ化条件は、本明細書の他箇所で説明される。
特定の実施形態では、PEG部分の平均分子量は約5kDa〜約80kDaである。例えば、PEG部分は、分子質量が、約5kDa超、約10kDa超、約15kDa超、約20kDa超、約25kDa超、約30kDa超、約35kDa超、約40kDa超、約45kDa超、約50kDa超、約55kDa超、約60kDa超、約65kDa超、約70kDa超、約75kDa、または約80kDa超であってもよい。いくつかの実施形態では、分子質量は、約5kDa〜約10kDa、約5kDa〜約15kDa、約5kDa〜約20kDa、約10kDa〜約15kDa、約10kDa〜約20kDa、約10kDa〜約25kDa、または約10kDa〜約30kDaである。他の実施形態では、分子質量は、約15kDa〜約20kDa、約15kDa〜約25kDa、約15kDa〜約30kDa、約15kDa〜約35kDa、約15kDa〜約40kDa、または約15kDa〜約45kDaである。
IL−15のサイズに起因して、特定の実施形態では20kDa超(例えば、20〜40kDaの範囲)のPEGが企図される。いくつかの実施形態では、分子質量は、約20kDa〜約25kDa、約20kDa〜約30kDa、約20kDa〜約35kDa、約20kDa〜約40kDa、約20kDa〜約45kDa、または約20kDa〜約50kDaである。いくつかの追加の実施形態では、分子質量は、約25kDa〜約30kDa、約25kDa〜約35kDa、約25kDa〜約40kDa、約25kDa〜約45kDa、または約25kDa〜約50kDaである。また他の実施形態では、分子質量は、約30kDa〜約35kDa、約30kDa〜約40kDa、約30kDa〜約45kDa、または約30kDa〜約50kDaである。さらなる実施形態では、分子質量は、約35kDa〜約40kDa、約35kDa〜約45kDa、約35kDa〜約50kDa、約40kDa〜約45kDa、約40kDa〜約50kDa、または約45kDa〜約50kDaである。またさらなる実施形態では、分子質量は、約50kDa〜約60kDa、約50kDa〜約70kDa、約50kDa〜約80kDa、約60kDa〜約70kDa、約60kDa〜約80kDa、または約70kDa〜約80kDaである。本開示は、分子質量が5kDaの増分で80kDa(例えば、85kDa、90kDa、95kDa等)であるPEGが企図される。
本開示は、特定の方法またはIL−15へのPEG結合の部位の使用を必要とはしないが、ペグ化が、IL−15分子の活性を改善するか、改変しないか、または名目上でのみ減少させることが有利である場合が多い。ある特定の実施形態では、いずれの半減期における増大の影響も、いずれの生物学的活性における減少の影響よりも大きい。PEG−IL−15の生物学的活性は、細菌性抗原(リポ多糖類(LPS))を用いて負荷し、PEG−IL−15で治療した対象の血清中の炎症性サイトカイン(例えば、IFN−γ)のレベルを評価することによって測定される場合が多い。生物活性の他の測定手段は、本明細書の他箇所に記載される。
本開示によって企図される特定のペグ化IL−15分子の包括的な考察が本明細書に示される。
IL−15バリアント
IL−15バリアントは、血清半減期の増大、IL−15に対する免疫応答の低減、精製または調製の促進、分解の低減、治療効果の改善、及び治療的使用中の副作用の重症度または発生の低下を含む、種々の目的を念頭に調製され得る。アミノ酸配列バリアントは、通常、天然に見い出されない所定のバリアントであるが、いくつかは、翻訳後バリアント、例えば、グリコシル化バリアントであってもよい。IL−15活性の好適なレベルを保持することを条件に、IL−15の任意のバリアントを使用することができる。IL−15活性は、本明細書の他箇所に記載される(例えば、T細胞の調節ならびにナチュラルキラー(NK)細胞活性化及び増殖)。
「保存的アミノ酸置換」という語句は、タンパク質中のアミノ酸(複数可)を、側鎖の類似の酸性度、塩基性度、荷電、極性、またはサイズの側鎖を有するアミノ酸で代置することによってタンパク質の活性を保存する置換を指す。保存的アミノ酸置換は、一般に、次の群1)L、I、M、V、F;2)R、K;3)F、Y、H、W、R;4)G、A、T、S;5)Q、N;及び6)D、E内のアミノ酸残基の置換を伴う。置換、挿入、または欠失についての指針は、異なるバリアントタンパク質または異なる種由来のタンパク質のアミノ酸配列のアラインメントに基づき得る。故に、任意の天然のIL−15ポリペプチドに加えて、本開示は、置換が通常は保存的アミノ酸置換である、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、通常は20、10、または5個以下のアミノ酸置換を有するものを企図する。部位特異的抱合を助長する手段として1つ以上の非天然アミノ酸がIL−15に導入されてもよいことに留意されたい。
本開示はまた、成熟IL−15に由来する連続したアミノ酸残基を含有する成熟IL−15の活性断片(例えば、部分配列)を企図する。ペプチドまたはポリペプチド部分配列の連続するアミノ酸残基の長さは、部分配列が由来する特定の天然アミノ酸配列に応じて異なる。一般に、ペプチド及びポリペプチドは、約20アミノ酸〜約40アミノ酸、約41アミノ酸〜約50アミノ酸、約51アミノ酸〜約60アミノ酸、約61アミノ酸〜約70アミノ酸、約71アミノ酸〜約80アミノ酸、約81アミノ酸〜約90アミノ酸、約91アミノ酸〜約100アミノ酸、約101アミノ酸〜約105アミノ酸、約106アミノ酸〜約110アミノ酸、または約111、112、もしくは113アミノ酸〜完全長ペプチドまたはポリペプチドであり得る。
加えて、IL−15ポリペプチドは、連続するアミノ酸の定義された長さ(例えば、「比較ウィンドウ」)にわたって、参照配列と比較して、定義された配列同一性を有し得る。比較のための配列のアラインメント方法は当該技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc.Nat‘l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装(Wisconsin Genetics Software Package,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、または手動のアラインメント及び目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.1995 supplement)を参照されたい)によって実施することができる。
例として、好適なIL−15ポリペプチドは、一続きの約20アミノ酸〜約40アミノ酸、約41アミノ酸〜約50アミノ酸、約51アミノ酸〜約60アミノ酸、約61アミノ酸〜約70アミノ酸、約71アミノ酸〜約80アミノ酸、約81アミノ酸〜約90アミノ酸、約91アミノ酸〜約100アミノ酸、約101アミノ酸〜約105アミノ酸、約106アミノ酸〜約110アミノ酸、または約111、112、もしくは113アミノ酸〜完全長ペプチドまたはポリペプチドとのアミノ酸配列同一性が、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である、アミノ酸配列を含み得る。
以下でさらに考察されるように、IL−15ポリペプチドは、天然源(例えば、その天然環境以外の環境)から単離されてもよく、また遺伝子修飾された宿主細胞が、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸で修飾される場合、組換えによって作製されてもよい(例えば、遺伝子修飾された宿主細胞、例えば、細菌細胞、酵母細胞、Pichia細胞、昆虫細胞等において)から単離されてもよい。IL−15ポリペプチドはまた、合成によって(例えば、細胞を含まない化学合成によって)産生されてもよい。
IL−15断片;異種タンパク質と複合体化したIL−15ポリペプチドを含む分子;及び1つ以上の治療剤(例えば、抗炎症生物製剤)に核酸レベルで融合したIL−15を含むIL−15融合タンパク質を含む、他のIL−15分子が本明細書に包含される。かかる分子は、当該技術分野で既知である本明細書に記載のまたは任意の他のアプローチを使用して修飾されてもよい。
本開示の合理的薬物設計アプローチは、ある数のソースに由来する結晶学的及び類似のデータを利用し得る。例として、IL−15Rアルファのスシドメインとの複合体におけるIL−15の結晶構造が説明されている。Olsen,et al.,J.Biol.Chem.282(51):37191−204(Dec.21 2007)。加えて、Pettit、et al.,J.Biol.Chem.272:2312−18(1997))は、部位特異的突然変異誘発、ポリエチレングリコール抱合、及び相同性モデリングを使用する、IL−15の構造−機能研究を説明している。かかる情報及びデータは、望ましい特徴を有するペグ化IL−15分子の特定及び選択において活用することができる。
IL−15の修飾形態の免疫原性考察
抗原が対象において液性(B細胞)及び/または細胞媒介性(T細胞)免疫応答を励起する能力である免疫原性は、「望ましい」または「望ましくない」として分類され得る。望ましい免疫原性は、典型的には、ワクチン注射によって引き起こされる病原体(例えば、ウイルスまたは細菌)に対して仕掛けられる対象の免疫応答を指す。本文脈では、この免疫応答は有利なものである。逆に、望ましくない免疫原性は、典型的には、治療用タンパク質(例えば、IL−15)等の抗原に対して仕掛けられる対象の免疫応答を指し、この免疫応答は、例えば、治療用タンパク質の有効性もしくはその薬物動態パラメータに悪影響を及し、かつ/または他の悪影響に寄与する抗薬物抗体(ADA)につながり得る。本文脈では、この免疫応答は不利なものである。
対象のタンパク質治療薬に対する免疫反応に影響する対象特異的及び産生物特異的因子がある数存在する。対象特異的因子には、対象の免疫状態及び免疫能;アレルギーの以前の感作/病歴;投与経路;投与の用量及び頻度;対象の遺伝子状態;ならびに内因性タンパク質に対する対象の免疫耐性の状態が含まれる。免疫原性に影響する産物特異的因子には、産物起源(在外または内因性);産物の主要な分子構造/翻訳後修飾、三次及び四次構造等;産物会合体の存在;抱合/修飾(例えば、グリコシル化及びペグ化);アジュバント活性を有する不純物;産物の免疫調節特性;ならびに配合が含まれる。
自己またはヒト様ポリペプチド治療薬は、いくつかの用途においては驚異的に免疫原性であり、他の用途においては驚異的に免疫原性でないことが証明されている。特定のペグ化IL−15分子は、様々な液性及び細胞媒介性免疫応答を引き起こす可能性がある。ある特定の文脈では、1つ以上のアミノ酸残基とPEG部分との抱合により、さもなければ免疫原性が高いタンパク質の免疫原性が劇的に低下し得る。
IL−15の産生方法
本開示のポリペプチドは、非組換え(例えば、化学合成)及び組換え方法を含む、任意の好適な方法によって産生させることができる。
化学合成
ポリペプチドを化学合成する場合、合成は、液相または固相を介して進行し得る。固相ペプチド合成(SPPS)により、非天然アミノ酸及び/またはペプチド/タンパク質骨格修飾の組込みが可能となる。9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びt−ブチルオキシカルボニル(Boc)等のSPPSの種々の形態が、本開示のポリペプチドの合成に利用可能である。化学合成の詳細は当該技術分野で既知である(例えば、Ganesan A.(2006) Mini Rev. Med. Chem. 6:3−10;、及びCamarero J.A. et al., (2005) Protein Pept Lett.12:723−8)。
固相ペプチド合成は、これ以降に記載されるように行ってもよい。アルファ官能性(Nα)及び任意の反応性側鎖は、酸に不安定なまたは塩基に不安定な基で保護される。保護基は、アミド結合の連結のための条件下では安定であるが、形成されたペプチド鎖を損なうことなく容易に切断され得る。α−アミノ官能性に好適な保護基には、Boc、ベンジルオキシカルボニル(Z)、O−クロルベンジルオキシカルボニル(chlorベンジルoxycarbonyl)、ビ−フェニルイソプロピルオキシカルボニル、tert−アミルオキシカルボニル(Amoc)、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシ−ベンジルオキシカルボニル、o−ニトロスルフェニル、2−シアノ−t−ブトキシ−カルボニル、Fmoc、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘックス−1−イリデン)エチル(Dde)等が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な側鎖保護基には、アセチル、アリル(All)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシメチル(Bom)、o−ブロモベンジルオキシカルボニル、t−ブチル(tBu)、t−ブチルジメチルシリル、2−クロロベンジル、2−クロロベンジルオキシカルボニル、2,6−ジクロロベンジル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘックス−1−イリデン)エチル(Dde)、イソプロピル、4−メトキシ−2,3−6−トリメチルベンジルスルホニル(Mtr)、2,3,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)、ピバリル(pivalyl)、テトラヒドロピラン−2−イル、トシル(Tos)、2,4,6−トリメトキシベンジル、トリメチルシリル、及びトリチル(Trt)が挙げられるが、これらに限定されない。
固相合成では、C末端アミノ酸は、好適な支持物質にカップリングされる。好適な支持物質は、合成プロセスの段階的凝縮及び切断反応のための試薬及び反応条件に対して不活性であり、使用される反応媒質に溶解しないものである。市販の支持物質の例には、反応基及び/またはポリエチレングリコールで修飾されているスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー;クロロメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー;ヒドロキシメチル化またはアミノメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー等が挙げられる。
ペプチド酸の調製が所望される場合、4−ベンジルオキシベンジル−アルコール(Wangアンカー)または2−クロロトリチルクロリドで誘導体化したポリスチレン(1%)−ジビニルベンゼンまたはTentaGel(登録商標)を使用し得る。ペプチドアミドの場合、5−(4’−アミノメチル)−3’,5’−ジメトキシフェノキシ)吉草酸(PALアンカー)またはp−(2,4−ジメトキシフェニル−アミノメチル)−フェノキシ基(Rinkアミドアンカー)で誘導体化したポリスチレン(1%)ジビニルベンゼンまたはTentaGel(登録商標)が使用され得る。
ポリマー支持体への連結は、C末端Fmoc保護アミノ酸と支持物質とを、例えば2〜72時間の反応時間で、室温または昇温(例えば、40℃〜60℃)にて、エタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、または類似の溶媒中で活性化試薬を添加することによって反応させることによって達成することができる。
Nα保護アミノ酸(例えば、Fmocアミノ酸)のPAL、Wangアンカー、またはRinkアンカーへのカップリングは、例えば、反応時間2〜72時間(例えば、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、またはジクロロメタン等の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド中で、約10℃〜50℃の温度、例えば、25℃で、1.5〜3倍過剰、例えば、2倍過剰のアミノ酸及びカップリング試薬中、3時間)で、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールの存在下または非存在下で、例えば、HOBtを添加したTBTUの援助の下で、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリエチルアミン、またはN−メチルモルホリン、例えば、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基を添加してまたは添加せずに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、もしくは他のカルボジイミド、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)もしくは他のウロニウム塩、O−アシル−尿素、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)もしくは他のホスホニウム塩、N−ヒドロキシスクシンイミド、他のN−ヒドロキシイミド、またはオキシム等のカップリング試薬の援助の下で、実行することができる。
カップリング試薬の代わりに、活性エステル(例えば、ペンタフルオロフェニル、p−ニトロフェニル等)、Nα−Fmoc−アミノ酸の対称型無水物、その酸塩化物または酸フッ化物を、上記の条件下で使用することも可能である。
Nα保護アミノ酸(例えば、Fmocアミノ酸)は、反応時間10〜120分、例えば、20分で、DIEAを添加したジクロロメタン中で、2−クロロトリチル樹脂にカップリングされ得るが、この溶媒及びこの塩基の使用に限定されない。
保護アミノ酸の連続カップリングは、ペプチド合成における従来的な方法に従って、典型的には、自動ペプチド合成器において実行され得る。固相上でカップリングされたアミノ酸のNα−Fmoc保護基を、例えば、ジメチルホルムアミド中のピペリジン(10%〜50%)で5〜20分間、例えば、DMF中50%のピペリジンで2×2分間、及びDMF中の20%のピペリジンで1×15分間処理することによって切断した後、3〜10倍過剰、例えば、10倍過剰の次の保護アミノ酸を、ジクロロメタン、DMF、またはそれら2つの混合物等の不活性、非水性、極性溶媒中で、約10℃〜50℃、例えば、25℃の温度にて、以前のアミノ酸にカップリングさせた。最初のNα−Fmocアミノ酸をPALにカップリングさせるための前述の試薬、WangアンカーまたはRinkアンカーが、カップリング試薬として好適である。保護アミノ酸の活性エステル、または塩化物もしくはフッ化物、もしくはその対称型無水物も代替手段として使用することができる。
固層合成の終了時に、ペプチドは、支持物質から切断され、これと同時に側鎖保護基を切断する。切断は、5%〜20%V/Vのスカベンジャー、例えば、ジメチルスルフィド、エチルメチルスルフィド、チオアニソール、チオクレゾール、m−クレゾール、アニソール、エタンジチオール、フェノール、または水、例えば、15%v/vの1:1:1のジメチルスルフィド/エタンジチオール/m−クレゾールを、0.5〜3時間、例えば、2時間以内で添加した、トリフルオロ酢酸または他の強酸性媒質を用いて実行され得る。側鎖が完全に保護されたペプチドは、2−クロロトリチルアンカーを2:2:6の氷酢酸/トリフルオロエタノール/ジクロロメタンによって切断することによって得られる。保護されたペプチドは、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製され得る。ペプチドがWangアンカーを介して固相に連結する場合、及びC末端アルキルアミド化によってペプチドを得ることが意図される場合、切断は、アルキルアミンまたはフルオロアルキルアミンを用いたアミノ分解によって実行され得る。アミノ分解は約−10℃〜50℃(例えば、約25℃)の温度で実行され、反応時間は約12〜24時間(例えば、約18時間)である。加えて、ペプチドは、再エステル化によって、例えば、メタノールを用いて、支持から切断され得る。
ペプチドを沈殿させ、スカベンジャーを分離させ、エーテルに残っている切断された保護基を切断するために、得られる酸性溶液を、3〜20倍の量の冷エーテルまたはn−ヘキサン、例えば、10倍過剰のジエチルエーテルと混合してもよい。さらなる精製を、ペプチドを何回か氷酢酸から再沈殿させることによって実行し得る。得られる沈殿物を、水もしくはtert−ブタノール、または2つの溶媒の混合物、例えば、tert−ブタノール/水の1:1の混合物中に取り込ませ、凍結乾燥させ得る。
得られたペプチドは、種々のクロマトグラフィー法によって精製することができ、これらの方法には、酢酸形態にある過度に弱塩基性の樹脂上でのイオン交換;非誘導体化ポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー(例えば、Amberlite(登録商標)XAD)上での疎水性吸着クロマトグラフィー;シリカゲル上での吸着クロマトグラフィー;例えばカルボキシメチルセルロース上でのイオン交換クロマトグラフィー;例えばSephadex(登録商標)G−25上での分配クロマトグラフィー;向流分配クロマトグラフィー、または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、例えば、オクチルもしくはオクタデシルシリルシリカ(ODS)相上での逆相HPLCが挙げられる。
組換え産生
IL−15(例えば、マウス及びヒトIL−15)は、本明細書に記載される技法等の当該技術分野で既知の標準的な技法を使用する、ある数の方法において合成され得る。IL−15はウイルス起源であることができ、ウイルス性IL−15のEpstein Barrウイルス(BCRF1タンパク質)からのクローニング及び発現は、Moore et al.,(1990)Science 248:1230に開示されている。加えて、組換えIL−15は、ある数の供給元(例えば、Life Technologies,Grand Island,NY及びBioLegend,San Diego,CA)から市販されている。
部位特異的突然変異誘発(部位指向性突然変異誘発及びオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発とも称される)を使用して、DNAにおける特異的な変異を生成し、改善したまたは望ましい特性を有する合理的に設計された本開示のタンパク質(例えば、特定のIL−15変異タンパク質、及びそのドメインを含むIL−15の他の修飾されたバージョン)を産生させることができる。部位特異的突然変異誘発のための技法は当該技術分野で周知である。早期部位特異的突然変異誘発法(例えば、Kunkelの方法;カセット突然変異誘発;PCR部位指向性突然変異誘発;及びSPRINPを含む全プラスミド突然変異誘発)は、種々のインビボ方法等のより正確かつ効率的な方法によって代置されており、これらのインビボ方法には、Delitto perfetto(Storici F.and Resnick MA,(2006)Methods in Enzymology 409:329−45を参照);トランスプレースメント「ポップインポップアウト(pop−in pop−out)」;PCR及び1つの再生利用可能なマーカーを伴う直接的遺伝子欠失及び部位特異的突然変異誘発;長い相同領域を使用するPCR及び1つの再生可能なマーカーを伴う直接的遺伝子欠失及び部位特異的突然変異誘発;ならびに合成オリゴヌクレオチドを用いるインビボ部位指向性突然変異誘発(例えば、In Vitro Mutagenesis Protocols(Methods in Molecular Biology),2nd Ed.ISBN 978−0896039100も参照)が挙げられる。加えて、部位特異的突然変異誘発のためのツールが市販されている(例えば、Stratagene Corp.,La Jolla,CA)。
ポリペプチドが組換え技法を使用して産生される場合、ポリペプチドは、原核または真核細胞、例えば、それぞれ、細菌性宿主細胞(例えば、E.coli)または酵母宿主細胞であり得る、任意の好適な構築物及び任意の好適な宿主細胞を使用して、細胞内タンパク質としてまたは分泌されたタンパク質として産生されてもよい。宿主細胞として使用されてもよい真核生物細胞の他の例には、昆虫細胞、哺乳動物細胞、及び/または植物細胞が挙げられる。哺乳動物宿主細胞が使用される場合、それらは、ヒト細胞(例えば、HeLa、293、H9、及びJurkat細胞);マウス細胞(例えば、NIH3T3、L細胞、及びC127細胞);霊長類細胞(例えば、Cos 1、Cos 7、及びCV1);及びハムスター細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)を含んでもよい。
ポリペプチドの発現に好適な多様な宿主−ベクター系が、当該技術分野で既知の標準的な手順に従って用いられ得る。例えば、Sambrook et al.,1989 Current Protocols in Molecular Biology Cold Spring Harbor Press、New York、及びAusubel et al.1995 Current Protocols in Molecular Biology,Eds.Wiley and Sonsを参照されたい。遺伝子物質を宿主細胞に導入するための方法には、例えば、形質転換、エレクトロポレーション、抱合、リン酸カルシウム法等が挙げられる。移行方法は、導入されるポリペプチドをコードする核酸の安定した発現を提供するように選択され得る。ポリペプチドをコードする核酸は、遺伝性エピソーム要素(例えば、プラスミド)として提供され得るか、またはゲノム的に一体化され得る。目的とするポリペプチドの産生に使用するための多様な適切なベクターが市販されている。
ベクターは、宿主細胞における染色体外メンテナンスを提供し得るか、または宿主細胞ゲノムへの一体化を提供し得る。発現ベクターは、転写及び翻訳調節配列を提供し、コード領域が転写開始領域ならびに転写及び翻訳終結領域の転写制御下で動作可能に連結する場合、誘導的または構成的発現を提供してもよい。一般に、転写及び翻訳調節配列には、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、ならびにエンハンサー配列またはアクティベーター配列を挙げることができるが、これらに限定されない。プロモーターは、構成的または誘導的のいずれかであり得、強力な構成的プロモーター(例えば、T7)であり得る。
発現構築物は、一般に、目的とするタンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するためにプロモーター配列付近に位置する簡便な制限部位を有する。発現宿主において動作性である選択可能なマーカーが提示されて、ベクターを含む細胞の選択を促進し得る。さらに、発現構築物は追加の要素を含んでもよい。例えば、発現ベクターは、1つまたは2つの複製系を有してもよく、その結果、発現ベクターが、有機体中に、例えば、発現のために哺乳動物または昆虫細胞中に、ならびにクローニング及び増幅のために原核生物宿主中に維持されるようになる。加えて、発現構築物は、形質転換した宿主細胞の選択を可能にするために選択可能なマーカー遺伝子を含んでもよい。選択可能な遺伝子は周知であり、使用される宿主細胞によって異なることになる。
タンパク質の単離及び精製は、当該技術分野で既知の方法に従って達成することができる。例えば、タンパク質は、タンパク質を構成的に及び/もしくは誘導時に発現するように遺伝子修飾された細胞の溶解物から、または抗タンパク質抗体と接触させ、洗浄して非特異的に結合した物質を除去し、特異的に結合したタンパク質を溶出させることを一般に伴う免疫親和性精製によって合成反応混合物から単離され得る。単離されたタンパク質は、透析及びタンパク質精製に通常用いられる他の方法によってさらに精製され得る。一実施形態では、タンパク質は、金属キレートクロマトグラフィー法を使用して単離されてもよい。タンパク質は、単離を促進するための修飾を含んでもよい。
ポリペプチドは、実質的に純粋なまたは単離された(例えば、他のポリペプチドを含まない)形態で調製され得る。ポリペプチドは、存在し得る他の構成成分(例えば、他のポリペプチドまたは他の宿主細胞構成成分)に対してポリペプチドが豊富な組成物中に存在し得る。例えば、精製されたポリペプチドは、ポリペプチドが、他の発現されたタンパク質を実質的に含まない組成物中に、例えば、約90%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満存在するように提供されてもよい。
IL−15ポリペプチドは、当該技術分野で既知の異なるIL−15関連核酸を操作して、IL−15ポリペプチドをコードすることができる構築物を提供するように、組換え技法を使用して生成され得る。特定のアミノ酸配列が提供される場合、当業者であれば、例えば分子生物学における自身の経歴及び経験を踏まえて、かかるアミノ酸配列をコードする多様な異なる核酸分子を認識するであろうことが理解されることになる。
アミド結合置換
いくつかの場合、IL−15は、ペプチド結合以外の1つ以上の連結を含み、例えば、少なくとも2つの隣接アミノ酸は、アミド結合以外の連結によって接合される。例えば、望ましくないタンパク質分解もしくは他の分解手段を低減もしくは排除するため、及び/または血清安定性を増大させるため、及び/または配座柔軟性を制限もしくは増大させるため、IL−15の骨格内の1つ以上のアミド結合が置換され得る。
別の例では、IL−15中の1つ以上のアミド連結(−CO−NH−)は、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2CH2−、−CH=CH−(cis及びtrans)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、または−CH2SO−等のアミド連結の同配体である連結で代置され得る。IL−15中の1つ以上のアミド連結はまた、例えば、低減した同配体擬似ペプチド結合によって代置され得る。Couder et al.(1993)Int.J.Peptide Protein Res.41:181−184を参照されたい。かかる代置及びこれらをもたらす方法は当業者に既知である。
アミノ酸置換
1つ以上のアミノ酸置換をIL−15ポリペプチド中で作製することができる。以下は非限定例である:
a)分岐状、環状、及び直鎖アルキル、アルケニル、またはアルキニル置換を含む、C1−C10炭素の脂肪族側鎖によって置換されるアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ノルロイシン、(S)−2−アミノブチル酸、(S)−シクロヘキシルアラニン、または他の単純なアルファ−アミノ酸を含む、アルキル置換疎水性アミノ酸の置換;
b)上記の芳香族アミノ酸のアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アザ、ハロゲン化(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)またはアルコキシ(C1−C4)置換形態を含む、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、スルホチロシン、ビフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、2−ベンゾチエニルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、ヒスチジンを含む、芳香族置換疎水性アミノ酸の置換(その例は、2−、3−、または4−アミノフェニルアラニン、2−、3−、または4−クロロフェニルアラニン、2−、3−、または4−メチルフェニルアラニン、2−、3−、または4−メトキシフェニルアラニン、5−アミノ−、5−クロロ−、5−メチル−、または5−メトキシトリプトファン、2’−、3’−、または4’−アミノ−、2’−、3’−、または4’−クロロ−、2、3、または4−ビフェニルアラニン、2’−、3’−、または4’−メチル−、2−、3−、または4−ビフェニルアラニン、及び2−または3−ピリジルアラニンである);
c)置換基が、ヘテロ原子上にあるか(アルファ窒素、または遠位窒素もしくは窒素等)、またはアルファ炭素上、例えばR前の位置にある、以前のアミノ酸のアルキル、アルケニル、またはアリール置換(C1−C10分岐状、直鎖状、または環状)誘導体を含む、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、2,3−ジアミノプロピオン酸、ホモアルギニンを含む、塩基性側鎖を含有するアミノ酸の置換。例として働く化合物には:N−イプシロン−イソプロピル−リジン、3−(4−テトラヒドロピリジル)−グリシン、3−(4−テトラヒドロピリジル)−アラニン、N,N−ガンマ、ガンマ’−ジエチル−ホモアルギニンが挙げられる。アルキル基がアルファ−炭素のR前の位置を占有する、アルファ−メチル−アルギニン、アルファ−メチル−2,3−ジアミノプロピオン酸、アルファ−メチル−ヒスチジン、アルファ−メチル−オルニチン等の化合物も含まれる。アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族(ヘテロ芳香族基が1つ以上の窒素、酸素、または硫黄原子を、単独でまたは組み合わせで有するもの)、カルボン酸、または多くの周知の活性化誘導体のうちのいずれか、例えば、酸塩化物、活性エステル、活性アゾリド、及び関連する誘導体、ならびにリジン、オルニチン、または2,3−ジアミノプロピオン酸から形成されるアミド;
d)アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、チロシン、アルキル、アリール、アリールアルキル、ならびに2,4−ジアミノプリオピオン酸(diaminopriopionic acid)、オルニチンまたはリジン及びテトラゾール置換アルキルアミノ酸のヘテロアリールスルホンアミドを含む、酸性アミノ酸の置換;
e)アスパラギン、グルタミン、及びアスパラギンまたはグルタミンのアルキルまたは芳香族置換誘導体を含む、側鎖アミド残基の置換;ならびに
f)セリン、スレオニン、ホモセリン、2,3−ジアミノプロピオン酸、及びセリンまたはスレオニンのアルキルまたは芳香族置換誘導体を含む、ヒドロキシル含有アミノ酸の置換も含まれる。
いくつかの場合、IL−15は、1つ以上の天然の遺伝的にコードされていないL−アミノ酸、合成L−アミノ酸、またはアミノ酸のD−鏡像異性体を含む。いくつかの実施形態では、IL−15はD−アミノ酸のみを含む。例えば、IL−15ポリペプチドは、以下の残基のうちの1つ以上を含み得る:ヒドロキシプロリン、β−アラニン、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、m−アミノメチル安息香酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、α−アミノイソ酪酸、N−メチルグリシン(サルコシン)、オルニチン、シトルリン、t−ブチルアラニン、t−ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ノルロイシン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、β−2−チエニルアラニン、メチオニンスルホキシド、ホモアルギニン、N−アセチルリジン、2,4−ジアミノ酪酸、rho−アミノフェニルアラニン、N−メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、ε−アミノヘキサン酸、ω−アミノヘキサン酸、ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノデカン酸、ω−アミノテトラデカン酸、シクロヘキシルアラニン、α,γ−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、δ−アミノ吉草酸、及び2,3−ジアミノ酪酸。
追加の修飾
システイン残基またはシステイン類似体をIL−15ポリペプチドに導入して、ジスルフィド連結を介した別のペプチドへの連結を提供するか、またはIL−15ポリペプチドの環化を提供することができる。システインまたはシステイン類似体の導入方法は当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第8,067,532号を参照されたい)。環化の他の手段には、オキシムリンカーまたはランチオニンリンカーの導入が挙げられる。例えば、米国特許第8,044,175号を参照されたい。環化結合を形成し得るアミノ酸(または非アミノ酸部分)の任意の組み合わせを使用及び/または導入することができる。環化結合は、架橋の導入を可能にする官能基を有するアミノ酸の任意の組み合わせを用いて(またはアミノ酸及び−(CH2)n−CO−または−(CH2)n−C6H4−CO−を用いて)生成することができる。一部の例は、ジスルフィド、−(CH2)n−カルバ架橋等のジスルフィド模倣体、チオアセタール、チオエーテル架橋(シスタチオニンまたはランチオニン)、ならびにエステル及びエーテルを含む架橋である。これらの例では、nはいずれの整数でもあり得るが、10未満であることが多い。
他の修飾には、例えば、N−アルキル(またはアリール)置換(ψ[CONR])、または構築物ラクタム及び他の環状構造への骨格架橋が挙げられる。他の誘導体には、C末端ヒドロキシメチル誘導体、o−修飾誘導体(例えば、C末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)、アルキルアミド及びヒドラジド等の置換アミドを含むN末端修飾誘導体が挙げられる。
いくつかの場合、IL−15ポリペプチド中の1つ以上のL−アミノ酸は、1つ以上のD−アミノ酸で代置される。
いくつかの場合、IL−15ポリペプチドは、レトロインベルソ類似体(例えば、Sela and Zisman(1997)FASEB J.11:449を参照されたい)。レトロインベルソペプチド類似体は、アミノ酸配列の方向が逆(レトロ)であり、それにおいて1つ以上のアミノ酸のラリティーであるD−またはL−が、反転(インベルソ)している、例えば、L−アミノ酸ではなくD−アミノ酸を使用する、直鎖状ポリペプチドの異性体である。[例えば、Jameson et al.(1994)Nature 368:744、及びBrady et al.(1994)Nature 368:692を参照されたい]。
IL−15ポリペプチドは、「タンパク質形質導入ドメイン」(PTD)を含み得、これは、脂質二重層、ミセル、細胞膜、オルガネラ膜、またはベシクル膜の横断を促進する、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、または有機もしくは無機分子を指す。別の分子に結合したPTDは、分子が膜を横断すること、例えば、細胞外空間から細胞内空間に、またはサイトゾルからオルガネラ内に移動することを促進する。いくつかの実施形態では、PTDは、IL−15ポリペプチドのアミノ末端部に共有結合し、一方で他の実施形態では、PTDは、IL−15ポリペプチドのカルボキシル末端部に共有結合する。例となるタンパク質形質導入ドメインには、最小ウンデカペプチドタンパク質形質導入ドメイン(YGRKKRRQRRR、配列番号10を含むHIV−1 TATの残基47〜57に対応する);細胞への進入を指揮するのに十分なある数のアルギニン残基(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、または10〜50個のアルギニン)を含むポリアルギニン配列;VP22ドメイン(Zender et al.(2002)Cancer Gene Ther.9(6):489−96);Drosophila Antennapediaタンパク質形質導入ドメイン(Noguchi et al.(2003)Diabetes 52(7):1732−1737);短縮ヒトカルシトニンペプチド(Trehin et al.(2004)Pharm.Research 21:1248−1256);ポリリジン(Wender et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:13003−13008);RRQRRTSKLMKR(配列番号11);Transportan GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKIL(配列番号12);KALAWEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALKCEA(配列番号13);及びRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号14)が挙げられるが、これらに限定されない。例となるPTDには、YGRKKRRQRRR(配列番号10)、RKKRRQRRR(配列番号15);3個のアルギニン残基〜50個のアルギニン残基からのアルギニンホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されず、例となるPTDドメインアミノ酸配列には、以下のうちのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない:YGRKKRRQRRR(配列番号10);RKKRRQRR(配列番号16);YARAAARQARA(配列番号17);THRLPRRRRRR(配列番号18);及びGGRRARRRRRR(配列番号19)。
IL−15ポリペプチドのC末端部におけるアミノ酸のカルボキシル基COR3は、遊離形態(R3=OH)、または例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩等の生理学的に耐容されるアルカリ塩もしくはアルカリ土類塩の形態で存在し得る。カルボキシル基はまた、例えば、メタノール、分岐状もしくは非分岐状C1−C6−アルキルアルコール、例えば、エチルアルコールまたはtert−ブタノール等、一級、二級、または三級アルコールによってエステル化され得る。カルボキシル基はまた、アンモニア、分岐状もしくは非分岐状C1−C6−アルキルアミン、またはC1−C6ジ−アルキルアミン、例えば、mエチルアミンまたはジメチルアミン等、一級または二級アミンによってアミド化され得る。
IL−15ポリペプチドのN末端部におけるアミノ酸のアミノ基NR1R2は、遊離形態(R1=H及びR2=H)、または例えば、塩化物または酢酸塩等の生理学的に耐容される塩の形態で存在し得る。アミノ基はまた、R1=H及びR2=アセチル、トリフルオロアセチル、またはアダマンチルであるように、酸によってアセチル化され得る。アミノ基は、上で提供したもの(例えば、Fmoc、ベンジルオキシ−カルボニル(Z)、Boc、及びAlloc)等、ペプチド化学において従来的に使用されているアミノ保護基によって保護された形態で存在し得る。アミノ基はN−アルキル化され得、ここで、R1及び/またはR2=C1−C6アルキルまたはC2−C8アルケニルまたはC7−C9アラルキルである。アルキル残基は、直鎖状、分岐状、または環状(例えば、それぞれ、エチル、イソプロピル、及びシクロヘキシル)であり得る。
IL−15のペグ化、及びIL−15の他の非タンパク質性ポリマーとの抱合
ポリペプチド配列への抱合に好適なPEGは、一般に、室温で水溶性であり、かつ一般式R(O−CH2−CH2)nO−Rを有し、式中、Rは、水素、またはアルキルもしくはアルカノール基等の保護基であり、nは、1〜1000の整数である。Rは、保護基であるとき、一般に、1〜8個の炭素を有する。ポリペプチド配列に抱合されたPEGは、直鎖状または分岐状であり得る。分岐状PEG誘導体である「スターPEG」及びマルチアームPEGが、本開示によって企図される。本開示で使用されるPEGの分子量(分子質量)は、いずれの特定の範囲にも制限されない。ある特定の実施形態は、分子量が5kDa〜20kDaであり、一方で他の実施形態は、分子量が5kDa〜10kDaである。追加の分子量を有するPEGを説明するさらなる実施形態は、本明細書の他箇所に記載される。
本開示は、PEGが異なるn値を有し、その結果、種々の異なるPEGが特定の割合で存在する、抱合体の組成物も企図する。例えば、一部の組成物は、n=1、2、3、及び4である抱合体の混合物を含む。いくつかの組成物において、n=1である抱合体のパーセンテージは18〜25%であり、n=2である抱合体のパーセンテージは50〜66%であり、n=3である抱合体のパーセンテージは12〜16%であり、n=4である抱合体のパーセンテージは最大で5%である。かかる組成物は、当該技術分野で既知である反応条件及び精製方法によって産生させることができる。例となる反応条件は、本明細書全体で説明される。カチオン交換クロマトグラフィーを使用して抱合体を分離させた後、例えば、所望の数のPEGが結合し、非修飾タンパク質配列及び他の数のPEGが結合した抱合体を含まないように精製された画分を特定し得る。
ペグ化は、ポリペプチドのN末端部におけるアルファアミノ基、リジン残基の側鎖上のイプシロンアミノ基、及びヒスチジン残基の側鎖上のイミダゾール基にて生じることが最も多い。組換えポリペプチドの大部分が、単一のアルファアミノ基、ならびにある数のイプシロンアミノ基及びイミダゾール基を保有するため、リンカー化学に応じて多数の位置異性体が生成され得る。当該技術分野で既知である一般的なペグ化戦略を本明細書で適用することができる。PEGは、ポリペプチド配列のうちの1つ以上の遊離アミノ基またはカルボキシル基とポリエチレングリコールとの間の結合を媒介する末端反応基(「スペーサー」)を介して本開示のポリペプチドに結合し得る。遊離アミノ基に結合し得るスペーサーを有するPEGには、ポリエチレングリコールのコハク酸エステルをN−ヒドロキシスクシンイミドによって活性化することによって調製され得るN−ヒドロキシスクシンイミドポリエチレングリコールが挙げられる。遊離アミノ基に結合し得る別の活性化ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを塩化シアヌルと反応させることによって調製され得る2,4−ビス(O−メトキシポリエチレングリコール)−6−クロロ−s−トリアジンである。遊離カルボキシル基に結合する活性化ポリエチレングリコールには、ポリオキシエチレンジアミンが挙げられる。
スペーサーを有するPEGに本開示のポリペプチド配列のうちの1つ以上を抱合させることは、種々の従来的な方法によって実行され得る。例えば、抱合反応は、4:1〜30:1の試薬対タンパク質のモル比を利用して、30分〜20時間の間、4℃〜室温の温度で、pHが5〜10の溶液中で実行され得る。反応条件は、主に所望の程度の置換を生むことを目指して反応の方向付けるように選択され得る。一般的に、低い温度、低いpH(例えば、pH=5)、及び短い反応時間は、結合したPEGの数を減少させる傾向にあり、一方で高い温度、中性から高いpH(例えば、pH7以上)、及びより長い反応時間は、結合したPEGの数を増加させる傾向にある。当該技術分野で既知である種々の手段を使用して、反応を終了させ得る。いくつかの実施形態では、反応は、反応混合物を酸性化し、例えば−20℃で凍結させることによって終了させる。種々の分子のペグ化が、例えば、米国特許第5,252,714号;第5,643,575号;第5,919,455号;第5,932,462号;及び第5,985,263号で考察されている。
上で示したように、ペグ化は、N末端部、リジン残基の側鎖、及びヒスチジン残基の側鎖上にあるイミダゾール基にて生じることが最も多い。かかるペグ化の有用性は、例えば、反応条件の最適化及び精製プロセスの改善による改良によって強化されてきた。より最近の残基に特化した化学により、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、及びチロシン、ならびにカルボキシ末端部のペグ化が可能となった。これらのアミノ酸残基の一部は特異的にペグ化することができるが、他のものは、より広域的であるか、またはある特定の条件下で部位特異的ペグ化をもたらすのみである。
追加のアミノ酸残基のペグ化を可能にする最新のアプローチには、架橋的ペグ化(ジスルフィド架橋)、酵素的ペグ化(グルタミン及びC末端部)及びグリコペグ化(O−及びN−グリコシル化の部位、または糖タンパク質のグリカン)、ならびにヘテロ二官能性ペグ化が挙げられる。さらなるアプローチは、C末端ペグ化、トランスグルタミナーゼ媒介性ペグ化、ソルターゼA媒介性ペグ化、ならびに解除可能な及び非共有的なペグ化のためのインテイン融合タンパク質、非天然アミノ酸を含有するタンパク質のペグ化となる。加えて、特異的ペグ化アプローチを遺伝子操作技法と組み合わせることによって、ポリエチレングリカンポリマーが、例えば、直交反応基を担持する天然または非天然アミノ酸によるポリペプチドにおける特定のアミノ酸残基の置換に起因して、本質的にタンパク質表面の任意の位置でカップリングできるようになった。概して、例えば、Pasut,G.and Veronese,F.M.,(2012)J.Controlled Release 161:461−72、Roberts,M.J.et al.,(2012)Advanced Drug Delivery Rev.64:116−27、Jevsevar,S.et al.,(2010)Biotechnol.J.5:113−28、及びYoshioka,Y.(2011)Chem.Central J.5:25を参照されたい。
ペグ化分子の治療的価値は十分に確認されている。臨床において使用されるPEG抱合体には、以下が挙げられる:OMONTYS(Affymax/Takeda);CIMZIA(Nektar/UCB Pharma);MACUGEN(Pfizer);DOXIL(Ortho Biotech);ADAGEN(アデノシンデアミナーゼによるmPEG;Enzon);ONCASPAR(mPEG−L−アスパラギナーゼ;Enzon);MICERA(連続赤血球産生受容体作動剤またはメトキシポリエチレングリコール−エポエチンベータ;Roche);PEGASYS(ペグインターフェロンアルファ−2a;Roche);PEG−INTRON(ペグインターフェロンアルファ−−2b;Schering−Plough);SOMAVERT(ペグビソマント;Pfizer);NEULASTA(ペグフィルグラスチム;Amgen);及びKRYSTEXXA(ペグロチカーゼ;Savient)。加えて、PROTHECAN(PEG−カンプトセシン;Enzon)及びNKTR−102(PEG−イリノテカン;Nektar)を含むある数のPEG低分子量薬物抱合体が臨床試験に入っている。
本開示は、PEG模倣体の使用も企図する。PEGの特質(例えば、強化された血清半減期)を保持しながら、いくつかの追加の有利な特性を付与する組換えPEG模倣体が開発されている。例として、目的とするペプチドまたはタンパク質薬(例えば、Amunix’ XTEN技術;Mountain View,CA)に既に融合した、PEGに類似の延長した配座を形成することができる単純なポリペプチド鎖(例えば、Ala、Glu、Gly、Pro、Ser、及びThrを含むもの)を、組換えによって産生させることができる。これにより、製造プロセス中の追加の抱合ステップに対する必要性がなくなる。さらに、確立されている分子生物学技法により、ポリペプチド鎖の側鎖組成物の制御ができるようになり、免疫原性及び製造特性の最適が可能となる。
リンカー:リンカー及びそれらの使用を上で説明した。本開示のポリペプチド配列の修飾に使用される前述の構成成分及び分子のうちのいずれも、リンカーを介して任意選択で抱合させ得る。好適なリンカーには、一般に、修飾されたポリペプチド配列と、連結した構成成分及び分子との間でいくらかの移動を可能にするのに十分長さである「可撓性リンカー」が含まれる。リンカー分子は、一般に、約6〜50アトム長である。リンカー分子はまた、例えば、アリールアセチレン、2〜10のモノマー単位を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二塩基酸、アミノ酸、またはそれらの組み合わせであってもよい。好適なリンカーは、容易に選択することができ、任意の好適な長さ、例えば、1アミノ酸(例えば、Gly)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜50、または50アミノ酸超であり得る。
例となる可撓性リンカーには、グリシンポリマー(G)n、グリシン−セリンポリマー(例えば、(GS)n、GSGGSn(配列番号20)、GGGSn(配列番号21)、(GmSo)n、(GmSoGm)n、(GmSoGmSoGm)n(配列番号22)、(GSGGSm)n(配列番号23)、(GSGSmG)n(配列番号24)、及び(GGGSm)n(配列番号25)、ならびにそれらの組み合わせ(式中、m、n、及びoは、各々独立して、少なくとも1の整数から選択される))、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、及び他の可撓性リンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン−セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、したがって、構成成分間の中立的なテザーとして働き得る。例となる可撓性リンカーには、GGSG(配列番号26)、GGSGG(配列番号27)、GSGSG(配列番号22)、GSGGG(配列番号28)、GGGSG(配列番号20)、及びGSSSG(配列番号29)が挙げられるが、これらに限定されない。
活性化リンカー:本開示のある特定の実施形態では、PEGは、1つ以上のPEG分子に共有結合する活性化リンカーを通してIL−15に抱合される。リンカーは、化学的に反応性であり、ペプチド上の反応基に共有結合する準備ができている場合に、「活性化」されている。活性化PEGは、薬物、酵素、リン脂質、及び他の生物製剤へのPEG鎖の導入を可能にする、多様な官能基を含む。
本開示は、1つ以上のPEG分子を収容し、好適な反応条件下でアミノ酸残基と共有結合を形成し得ることを条件に、いずれの活性化リンカーの使用も企図する。特定の態様において、活性化リンカーは、アルファアミノ基に、他の結合部位(例えば、リジンのイプシロンアミノ基またはヒスチジンのイミノ基)と比べて極めて選択的な様式で結合する。
いくつかの実施形態では、活性化リンカーは、式:(PEG)b−L’によって表すことができ、式中、1つ以上のPEGは、リンカーの炭素原子に共有結合してエーテル結合を形成し、bは1〜9であり(すなわち、1〜9個のPEG分子がリンカーに付着し得る)、L’は、例えば、アミノ酸残基上のアミノまたはイミノ基と反応して、PEGのIL−15への共有結合を提供し得る、反応基(活性化部分)を含む。他の実施形態では、活性化リンカー(L’)は、式RCHOのアルデヒドを含み、式中、Rは、直鎖状または分岐状C1−11アルキルであり、活性化リンカーのIL−15への共有結合後、リンカーは2〜12個の炭素原子を含む。本開示は、PEG−プロピオンアルデヒドが例となる活性化リンカーである実施形態を企図する。PEG−プロピオンアルデヒド(CH2CH2CHO)は、米国特許第5,252,714号に記載されており、かつ市販されている(例えば、Shearwater Polymers(Huntsville,AL)。他の活性化PEG−リンカーは、例えば、Shearwater Polymers and Enzon,Inc.(Piscataway,N.J.)から商業的に入手することができる。
本開示の特定の実施形態では、活性化リンカーは、スクシンイミジルカーボネート−PEG、PEG−ブチルアルデヒド、PEG−ペンタアルデヒド、PEG−アミド−プロピオンアルデヒド、PEG−ウレタノ−プロピオアルデヒド、及びPEG−プロピルアルデヒドからなる群から選択される。
以下の節は、ペグ化技術の使用をより詳細に説明する(併せて、概してShashwat,S.et al.(2012)Journal of Drug Delivery Vol.2012,Article ID 103973(17 pp.)も参照されたい)。
タンパク質のポリエチレングリコール(PEG)及びペグ化
生体分子は、生体抱合と称されるプロセスである別の分子との供給結合によって保護され得る。生物起源及び合成起源の両方に由来する多くのポリマーが生体分子の保護に使用される。結果として得られるポリマー生体抱合体は、低下した免疫原性、低下した抗体認識、増加したインビボ滞留時間、増大した薬物標的化特異性、及び改善した薬物動態等の改善した特性を特徴とする。薬物送達用途に一般的に使用されるポリマーには、ポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(PHPMA)、ポリ(オリゴエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)、ポリD,L−乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ(グルタミン酸)(PGA)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアミド)(PDEAM)、ポリスチレン、及びポリ(エチレングリコール)(PEG)が挙げられる。
ポリエチレングリコール[ポリ(エチレングリコール)]の最も一般的な略記であるPEGは、反復エチレングリコール単位で構成される化学化合物を指す。構成モノマーまたは親分子を(エチレングリコール、エチレンオキシド、またはオキシエチレンとして)定義する方法によって、PEG化合物は、PEO(ポリエチレンオキシド)及びPOE(ポリオキシエチレン)としても知られる。ペグ化の用途は、ペプチド、酵素、抗体断片、ヌクレオチド、及び小有機分子まで広がり得る。PEGは、水酸化物イオンのエポキシド環に対する求核攻撃によって開始されるエチレンオキシドのアニオン重合によって合成される。モノメトキシPEG(mPEG)がポリペプチド修飾に最も有用である。
PEGは、生体適合性であり、免疫原性、抗原性、及び毒性を欠き、水及び他の有機溶媒に可溶性であり、体内から容易に除去され、溶液中の移動性が高いため、生体抱合に最適なポリマーである(Pasut,G.,et al.(2006)Polymer Therapeutics I,192,95−134を参照されたい)。PEGの生体分子との抱合が成功するかどうかは、化学構造、分子量、立体障害、ならびに生体分子及びポリマーの反応性にかかっている。生体抱合合成には、化学物質(すなわち、生体活性剤及びポリマー)の両方が反応基または官能基、例えば、−COOH、−OH、−SH、または−NH2を保有することが必要となるため、抱合体を形成させるための合成方法は、基の保護または脱保護のいずれかを伴う。生体分子のPEGとの抱合により、その生理化学的特性、特にサイズの修飾がもたらされ、身体における治療薬の全身的な保持が増大することになる。これにより、その部分がエンドサイトーシスによって細胞膜を渡り、特定の細胞内標的に達することも可能となる(Khandare,J.及びMinko,T.(2006)Progress in Polymer Science 31(4):359−97)。さらに、PEGは、US FDAによって内服に安全であると一般にみなされている少数の合成ポリマーのうちの1つである(Bhattarai,N.et al.(2005)Macromolecular Bioscience 5(2):107−11を参照されたい)。
上述のように、ペグ化により、修飾されていない形態と比べていくつかの重要かつ独特の薬理学的利点が付与され得、これらの利点には、改善した薬物可溶性;低下した投薬頻度、腎クリアランスの毒性及び速度;延長した循環期、増大した薬物安定性;タンパク質分解からの強化された保護;低下した免疫原性及び抗原性;ならびに生物学的活性の損失の最小化が含まれる(例えば、Kozlowski,A.及びHarris,J.M.(2001)Journal of Controlled Release 72(1−3):217−24を参照されたい)。ペグ化タンパク質の腎クリアランスの低下は、タンパク質表面荷電の見掛けの遮蔽、及びPEG分子がモノマー単位あたり2つ〜3つの水分子と連携する能力に起因する抱合された産物の増加した流体力学的体積に因り得る。
これらの薬理学的利点に加えて、ペグ化は、静電特性及び疎水特性を含むタンパク質の物理化学的特性を大幅に改変し得る。ペグ化は、腎臓経路から肝臓経路への移行によって、分子の排泄経路に顕著に影響する。分子の組織−臓器分布プロファイルもペグ化によって多大な影響を受け、ここでは、ペグ化タンパク質は、好ましくは、末梢分布に従う(Hamidi,M.et al.(2006)Drug Delivery 13(6):399〜4090)。
タンパク質抱合
ペグ化プロセスは、「第1代ペグ化」と称される非特異的な無作為抱合から、「第2代ペグ化」と称される部位特異的抱合法へと発展した。ペグ化特異性の増大は、タンパク質中の特定の官能部分と反応することができるPEG分子のより特異的な官能化能力に主に起因する。結果は、非特異的な無作為抱合によって得られるものと比べて産物プロファイルが改善した、制御され明確に定義された抱合産物である。
プロテオミクス及び他の生物学的研究方法におけるPEGの正確かつ様々な用途は、特定の官能基によって活性化される定義された長さ(MW)のポリエチレングリコール誘導体の入手可能性に依存する。精製されたPEGは、広くまたは狭く定義された分子量(MW)範囲にある異なるオリゴマーサイズの混合物として最も一般的に市販されている。例えば、「PEG 600」は、典型的には、平均MWが600g/molであるオリゴマーの混合物を含む調製物を指す。同様に、「PEG 10000」は、平均MWが10,000g/molであるPEG分子(n=195〜265)の混合物を指す。
アミン抱合。アミン基が関与するカップリング反応は、通常、アシル化またはアルキル化の2種類である。タンパク質表面上で多数の一級アミノ基が可用であることに起因して、この官能基による抱合が最も広く使用されている方法である。リジン、オルニチン、及びN末端 アミノ基が、最も一般的に活用されている(Bruckdorfer,T.,(2008,(Spring))Drug delivery with PEGylaton.European Biopharmaceutical Review 96−104を参照されたい)。早期アミン抱合戦略は、非特異的ペグ化につながることが多い。シアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用する還元的アルキル化によってアミノ基との安定した二級アミン連結を形成することができるPEGアルデヒド誘導体(例えば、PEG−プロピオンアルデヒド)により、これまでのN−アルキル抱合戦略よりも優れた特異性及び選択性が得られる。アルデヒド基の反応性はアミン基の求核性によるため、反応は、媒質のpHがその特定のアミン末端のpKaに近いかまたはそれを超えるときにのみ、起こることになる。故に、反応媒質のpHを制御することで、産物プロファイルの不均一性が大幅に低減し得る。一置換プロピオン酸及びブタン酸PEG誘導体の導入、ならびにスクシンイミド誘導体を使用するそれらの後続の活性化は、アミン抱合の大幅な改善に寄与する。
対照的に、N末端アミノ酸のアシル化により、安定したアミド及びウレタン連結の形成が生じる。スクシンイミジルスクシネート(PEG−SS)、スクシンイミジルカーボネート(PEG−SC)、ベンゾトリアゾールカーボネート(PEG−BTC)、フェニルカーボネート、カルボニルイミダゾール、及びチアゾリジン−2−チオンによるPEG誘導体活性化は、N末端アシル化経路に続き、タンパク質抱合に広く使用されている。求核試薬と反応してNHS脱離基を放出し、アシル化産物を形成する、PEG−NHSエステルは、容易に入手可能である。NHSは、生体共役合成における生理学的pH反応でのそのより高い反応性に起因して、アミンカップリングのための選択である。特に、NHSエステルによって活性化されたカルボキシル基は、アミン求核試薬と高度に反応性であり、ペプチド及びタンパク質中で極めて一般的な存在である。反応性ヒドロキシル基(例えば、PEG)を含むポリマーを修飾して無水物化合物を得ることができる一方、PEGを無水物によってアセチル化して、遊離カルボキシレート基へと終端するエステルを形成させることができる。
チオール抱合。多くのカップリング方法は、1つのタンパク質上の修飾リジン残基を第2のタンパク質上のスルフヒドリル基にカップリングするためのヘテロ二官能性試薬を使用し、ここでは、修飾リジン残基は、マレイミドまたは保護されたスルフヒドリル基と併せて、NHS官能基を含むヘテロ二官能性試薬の使用から生じる。形成させる連結は、導入された基が、それぞれ、スルフヒドリルであるか、マレイミドであるかに応じて、ジスルフィド架橋またはチオエーテル結合のいずれかである。第2のタンパク質上のチオール基は、内因性遊離スルフヒドリルであってもよく、またはリジン残基の修飾によって化学的に導入さてもよい。
天然のまたは遺伝子操作による不対システイン残基との選択的チオール抱合により、部位特異的抱合方法がもたらされる。PEG−マレイミド、ビニルスルホン、ヨードアセトアミド、及びオルトピリジルジスルフィド等のチオール選択的誘導体が、チオエーテルまたはジスルフィド連結の形成によるシステイン抱合に使用される。PEG−マレイミドを使用する例には、5及び20kDaの誘導体を使用するトリコサンチン(TCS)、5、20、及び40kDaの誘導体を使用する抗腫瘍壊死因子α−scFv断片(抗TNF−α−scFv)、ならびに5、10、及び20kDaの誘導体を使用する組換えスタフィロキナーゼ(Sak)の遺伝子的に導入されたシステイン残基におけるものが挙げられる。しかしながら、これは、単一システイン残基の限定された利用可能性、及び遺伝子操作されたシステインの導入から生じるタンパク質二量化の可能性に起因して、一般的に使用される戦略ではない。代替的な戦略は、タンパク質における対になったシステインと共に存在するより数の多い利用しやすいジスルフィド連結を利用する。
酸化炭水化物またはN末端抱合。糖タンパク質またはN末端セリンまたはスレオニン残基中に存在する炭水化物基の酵素的(例えば、ブドウ糖酸化酵素)または化学的(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)酸化により、反応性アルデヒド基が生成され、これは、PEGヒドラジドまたはアミン誘導体とさらに抱合され得る。この方法は、4%に近い炭水化物を含有するPEG化免疫グロブリンG(IgG)のPEG化に使用されており、本方法では、IgGをまず過ヨウ素酸塩で酸化させ、次にmPEG−ヒドラジド誘導体と抱合させる。
トランスグルタミナーゼ(TGase)媒介性酵素的抱合。部位特異的ペグ化のための代替的な抱合戦略は、グルタミン(Gln)末端とPEG一級アミノ基との間のTGase触媒性アシル転移反応を使用してグルタミン残基を標的にする。アポミオグロビン(apoMb)、α−ラクトアルブミン(α−LA)、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG−CSF)、及びヒトインターロイキン−2(hIL−2)のPEGアミンとのTGase触媒性選択的ペグ化が、この技法を利用している。
各種抱合化学。グリコペグ化として知られる部位特異的プロセスは、酵素N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)O−グリコール化、その後のPEGサイリック酸(sailic acid)誘導体を使用する誘導されたO−グリカンのペグ化を使用する。また、クリック化学戦略を使用して、アジド末端に結合するためにPEG−アルキン誘導体を使用する遺伝子修飾されたスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の部位特異的モノペグ化を駆動することができる。
例となるペグ化条件。PEG誘導体をタンパク質にカップリングする種々の手段は、当業者に既知であり(概して、Abuchowski,A.,et al.(1984)Cancer Biochem.Biophys.7,175、Sartore,L.,et al.(1991)Appl.Biochem.Biotechnol.27,45;及びUSP 5,824,784を参照)、本明細書の他箇所に記載されている。以下は、例となる条件であり、本開示と併せて用いられ得る条件を限定すると解釈されるべきではない。
PEG−NHS誘導体のタンパク質アミンへのカップリング(PEG−NHS+タンパク質−NH2)−例示的条件1:50mMのリン酸緩衝液(pH7.2)、4℃、6時間;例示的条件2:ホウ酸−リン酸緩衝液(pH8.0)、25℃、2時間。
PEG−アルデヒド誘導体のタンパク質のNH2基へのカップリング(PEG−アルデヒド+タンパク質−NH2):シアノ水素化ホウ素ナトリウム(10当量)、4℃、20時間。
PEG−マレイミド誘導体のタンパク質のSH基へのカップリング(PEG−マレイミド+タンパク質−SH):100mMのリン酸緩衝液(pH6.5)、4℃、4時間。
PEG−NH2誘導体のタンパク質のCOOH基へのカップリング(PEG−NH2+タンパク質−COOH):50mMのリン酸緩衝液(pH7.2)、WSC(2当量)、4℃、10時間。
PEG−p−ニトロフェニルオキシカルボニル誘導体のタンパク質のNH2基へのカップリング(PEG−NP+タンパク質−NH2):ホウ酸−リン酸緩衝液(pH8.0〜8.3)、室温、一晩。
可逆性ペグ化
多くの場合、タンパク質ペグ化の改善した生理化学的特性は、PEG抱合中に形成される永久的な連結から生じるインビトロのタンパク質活性によって相殺される。その結果、タンパク質が、タンパク質を所定の運動速度にてインビボで放出するPEG誘導体に切断可能な連結によって結合している、可逆性(または放出性)ペグ化戦略が開発されている。使用されている可逆性PEG誘導体の例には、ビシン、オリゴ−乳酸エステル、コハク酸エステル、ジスルフィド、及びβ−アラニンエステルリンカーが挙げられる(例えば、Filpula,D.and Zhao,H.(2008)Advanced Drug Delivery Reviews 60(1):29−49を参照されたい)。
PEGの構造
ある数の市販の物質が、種々の多様な官能基を有するPEG誘導体の異なるシリーズを提供する。例えば、NOF America Corp.(White Plains,NY)は、高度に精製されたメトキシPEGを出発材料として含む単官能性直鎖状PEG;タンパク質、酵素、及び他の薬学的物質間の架橋のための最も一般的な誘導体である二官能性PEG;様々な官能基がマルチアーム(例えば、4及び8アーム)PEGの末端に結合しているマルチアームPEG;マレイミド、アルデヒド、アミン、及び活性化NHSを末端官能基として保有する、2アーム、3アーム、及び4アームの分岐型活性化PEGを含む分岐状PEG;ヘテロ型活性化PEGの使用により、異なる分子がPEGの各々の端部で抱合される、ヘテロ官能性PEG;ならびに2つの反応基を正確な感覚で配置する利点を有するフォーク状PEGを提供する。
さらなる例として、JenKem Technology USA(Plano,TX)は、切断可能なリンカーを有する直鎖状NHS PEG(例えば、メトキシPEGスクシンイミジルスクシネート;メトキシPEGスクシンイミジルグルタレート);直鎖場状カーボネートPEG(例えば、メトキシPEGスクシンイミジルカーボネート;メトキシPEGニトロフェニル カーボネート);安定したリンカーを有するY字形分岐状NHS PEG;安定したリンカーを有する直鎖状単糖NHS PEG(例えば、ガラクトースPEG NHSエステル;グルコースPEG NHSエステル);安定したリンカーを有する直鎖状メトキシNHS PEG(例えば、メトキシPEGスクシンイミジルカルボキシメチル;メトキシPEGスクシンイミジルブタノエート;メトキシPEGスクシンイミジルヘキサノエート;メトキシPEGスクシンイミジルスクシンアムド(Succinamde);メトキシPEGスクシンイミジルグルタルアミド);Y字形分岐状カルボキシPEG;直鎖状カルボキシPEG(例えば、メトキシPEGカルボキシル;メトキシPEGヘキサン酸);アミンペグ化のためのホモ二官能性PEG(例えば、NHS PEG NHS;カルボキシルPEGカルボキシル);及びカルボキシルまたはNHSで官能化したヘテロ二官能性PEGを含む、多数のカテゴリーのPEGを提供する。
市販されているか、または当業者によって合成され得る任意のPEG部分が企図される。例えば、EP1967212は、4つのmPEG分岐を有し、末端COOH基がタンパク質抱合に利用可能である、分岐状PEG誘導体を説明している。この分岐状PEG誘導体は、IFN−α2b、組換えストレプトキナーゼ(r−SK)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、及び上皮成長因子(EGF)を含むある数の治療用タンパク質とのNHS活性化を通した抱合に成功しており、これらの産物について、類似の分子質量の2つの分岐状構造から得られたものと比較して改善した薬理学的特性が観察された。
本開示のいくつかの実施形態は、IL−15が1つ超のPEGに共有結合した分岐状PEG IL−15分子を企図する。2つ以上のPEG分子をIL−15のアミノ酸残基上のアミノ基に(例えば、N末端部にあるアルファアミノ基に)共有結合させる任意の好適な分岐状PEGリンカーを使用することができる。特定の実施形態では、本開示によって企図される分岐状リンカーは、2つまたは3つのPEG分子を含有する。例として、分岐状PEGリンカーは、上記のように、加水分解に安定であり、かつアミノ酸残基のアミノ基と反応する活性化部分(例えば、アルデヒド基)を含有する、直鎖状または分岐状脂肪族基であり得、分岐状リンカーの脂肪族基は、2〜12個の炭素を含有し得る。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、t−ブチルであることができ、このt−ブチルは、例えば、3個の炭素原子の各々に3つのPEG分子(すなわち、合計9個のPEG分子)を、またt−ブチルの第4の炭素に反応性アルデヒド部分を含有してもよい。
さらに例となる分岐状PEGリンカーは、米国特許第5,643,575号、第5,919,455号、第7,052,868号、及び第5,932,462号に記載されている。当業者であれば、例えば活性アルデヒド部分の付加による分岐状PEGリンカーへの修飾を調製することができる。
本開示の目的では、分岐状PEG IL−15分子は、以下の式によって表されてもよく、式中、wは、1つ超のPEGに共有結合したリンカーである。
本開示は、複数のPEGサイズ分布を有する分岐状PEG IL−15分子を企図し、この分岐状PEG IL−15分子は、治療的に許容されるMWのものである。いくつかの実施形態では、xのMWはzのMWと等しく、他の実施形態では、xのMWとzのMWとは異なる。分岐状PEG IL−15分子において、PEGの全体サイズは、リンカーのMWがx及びzのMWに対してごくわずかであるため、xのMW+zのMWzに帰せられる。例として、20kDaのPEGを含む分岐状PEG IL−15分子について、いくつかの実施形態では、x及びzは、各々、10kDaであり得、他の実施形態では、xは5kDaであり得、zは約15kDaであり得る。リンカー及びPEGの例が本明細書に記載される。
本開示の他の実施形態は、マルチアームPEG IL−15分子を企図する。かかる実施形態では、IL−15は、任意選択でリンカーを介して、少なくとも1つが1つ以上の分岐を含む1つ以上のPEG部分に共有結合する。特定の実施形態では、マルチアームPEG IL−15分子は、以下式によって表されてもよく、
式中、x、w、及びzは、PEGの構成成分を表し、IL−15は、任意選択でリンカーを介して、wに共有結合する。本開示は、複数のPEGサイズ分布を有するマルチアームPEG IL−15分子を企図し、このマルチアームPEG IL−15分子は、治療的に許容されるMWのものである。いくつかの実施形態では、x、w、及びzのMWは、等しい。他の実施形態では、x及びzのMWは等しく、wのMWは異なる。依然としてさらなる実施形態では、x及びwのMWは等しく、zのMWは異なる。さらなる実施形態では、w及びzのMWは等しく、xのMWは異なる。依然としてさらなる実施形態では、x、w、及びzのMWは、異なる。マルチアームPEG IL−15分子中、PEGの全体サイズ(MW)は、x、w、及びz構成成分のMWの合計に帰せられる。例として、50kDaのPEGを含むマルチアームPEG IL−15分子のいくつかの実施形態では、x及びzは、各々、20kDaであり得、wは10kDaであり得る。他の実施形態では、x及びwは、各々、20kDaであり得、zは10kDaであり得る。さらなる実施形態では、w及びzは、各々、20kDaであり得、xは10kDaであり得る。リンカー及びPEGの例が本明細書に記載される。
本開示の他の実施形態本開示は、多官能性PEG IL−15分子を企図する。かかる実施形態では、2つ以上のIL−15は、任意選択でリンカーを介して、2つ以上のIL15を複合するPEGに共有結合する。二官能性分子は、PEGを通して相互に共有結合する2つのIL−15を含み、三官能性分子は、PEGを通して相互に共有結合する3つのIL−15を含み、四官能性分子は、PEGを通して相互に共有結合する4つのIL−15を含み、以降同様に続く。本開示の目的では、多官能性PEG IL−15分子は、以下の式によって表されてもよい。
例として、二官能性PEG IL−15分子について、Dは、治療的に許容される任意のMWのPEGを通して各IL−15に共有結合するPEGである。PEGは、任意選択で、リンカーを通してIL−15の一方または両方に結合してもよい。リンカー及びPEGの例が本明細書に記載される。
さらに例として、四官能性PEG IL−15分子について、A1A2A3A4複合体は、各IL−15に共有結合した治療的に許容される任意のMWのPEGを表す。PEGは、任意選択で、リンカーを通してIL−15のうちの1つ以上に結合してもよい。各A1、A2、A3、及びA4は、MWが同じであっても、異なっていてもよい。故に、例えば、40kDaのPEGについては、各A1、A2、A3、及びA4は、10kDaであってもよく;A1及びA2は、両方とも15kDaであり得、A3及びA4は、両方とも5kDaであり得;A1は2.5kDaであり得、A2は7.5kDaであり得、A3は10kDaであり得、A4は20kDa4であり得;以降同様に続く。リンカー及びPEGの例が本明細書に記載される。
ペグ化プロセス考察
タンパク質抱合に使用されるペグ化プロセスは、溶液相バッチプロセス及びカラム上供給バッチプロセス(on−column fed−batch process)の2種類に広義に分類され得る(Fee,C.J.and Van Alstine,J.M.(2006)Chemical Engineering Science 61(3)924−39を参照されたい)。一般的に採用されるバッチプロセスは、試薬を好ましくは4〜6℃の温度で好適な緩衝溶液中で共に混合した後、その生理化学的特性に基づいて好適な技法を使用して所望の産物を分離させ精製することを伴い、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、膜、または水性二相系を含む。バッチプロセスは、典型的には、反応種と産物との間の長期の接触を伴い、これが、複数の抱合をもたらし、ある数のPEG異性体を生じさせる。不均一な産物混合物は、未反応の出発物質の構成、加水分解された活性剤、及び抱合度が異なる多種多様なペグ化産物をもたらす。所望の産物を単離するために大規模な多段階精製及び下流の処理が必要となることが多く、全体収率を大幅に低下させる。治療用タンパク質の高いコスト、及び所望のペグ化タンパク質を反応混合物から分離させるコストにより、製品は非常に高価となり、多くの場合にこのアプローチの用途を限定する。
産物プロファイル及び抱合の特異性を改善することを目的に、いくつかのカラム上ペグ化技法が利用されている。例えば、部位特異的固相ペプチドペグ化が使用されてもよく、これにおいては、ペプチド配列を、RinkアミドMBHA−樹脂にテザリングし、側鎖リジンまたはアスパラギン酸を通してPEG誘導体と抱合させた後、モノペグ化ペプチドを、トリフルオロ酢酸塩(TFA)を使用して樹脂から切断し得る。しかしながら、固相合成は、大型のタンパク質、及び固体に連結したペグ化産物の放出に必要なTFA等の刺激の強い化学物質に対しては実用的ではなく、その結果、この方法の用途は、感受性の高い種では実行可能ではないことが多い。代替的に、タンパク質とイオン交換樹脂との間のイオン交換相互作用を使用して、目的とするペグ化種を単離してもよい。
他のカラム上ペグ化方法には、サイズ排除反応クロマトグラフィー(SERC)が挙げられ、これは、分子サイズが様々である種を、多孔質ビーズを詰めたカラムを通るそれらの異なる直線速度に基づいて分離させることにSECの原理を組み込む。この方法では、活性化PEG及びタンパク質が一時的なインサイツの移動性反応ゾーンを形成し、その中で試薬のいずれよりもサイズが大きいペグ化タンパク質が反応ゾーンの前を移動することで、活性化PEGと接触しているその滞留時間を制限し、過剰なペグ化を減少させる。
薬物送達系としてのPEGプロドラッグ抱合
受動的標的化及び能動的標的化という2つの主なアプローチが、ポリマー性薬物を所望の場所(複数可)に標的化するために使用される。これらのアプローチは、抗癌剤を腫瘍または癌細胞に送達するために最も一般的に使用される。
受動的薬物標的化。受動的標的化は、薬物をポリマーと抱合させることによって標的部位への薬物送達を生じさせ、これは、改変された環境条件に起因して薬物を標的部位の外に放出する。腫瘍及び身体の多数の炎症領域は、腫瘍及び身体の炎症領域中への高分子の滞留を受動的に増大させる、過度に透過性の脈管構造及び不良なリンパ排液を有する。透過性滞留性亢進(EPR)効果と称されるこの現象は、腫瘍または炎症領域へのプロドラッグの蓄積に起因して、受動的標的化に主に利用される。高分子量の担体と共有的にカップリングした低分子薬は、妨げられたリンパ排液に起因して排泄の効率が悪いため、腫瘍中に蓄積する。EPR効果は、腫瘍における薬物のより高い蓄積率に起因して受動的標的化を強化し、プロドラッグは、薬物分子を緩徐に放出し、これが、高いバイオアベイラビリティ及び低い全身毒性をもたらす。[例えば、Haag,R.and Kratz,F(2006)Angewandte Chemie−Intl Ed,45(8):1198−1215を参照されたい]。
能動的標的化。能動的標的化アプローチは、特定の生物学的対(例えば、リガンド−受容体、抗原−抗体、及び酵素−基質)間の相互作用に基づく。これは、細胞表面上の特定の受容体に結合する標的化剤を、多様な抱合化学によってプロドラッグと結合させることによって達成される。最も広く使用される標的化部分は、標的化される細胞または臓器において発現される特定の受容体、セレクチン、抗原、及びmRNAに特異的な、ペプチドリガンド、糖残基、抗体、及びアプタマーである。標的化部分とその標的分子との間の相互作用により、薬物がエンドサイトーシス後に細胞内で切断される、プロドラッグ自体の内在化、または薬物が種々のエンドサイトーシス及び貧食経路によって細胞外で切断される、薬物の標的化される細胞への内在化のいずれかによる薬物の取込みが生じる(例えば、Dharap,S.(2003)Journal of Controlled Release 91(1−2):61−73を参照されたい)。
リンカーのプロドラッグ抱合体への組込み。「リンカー」及び「スペーサー」という用語は、ポリマー技術の場で使用され、別途指示されない限り、本開示の目的では、互換的に使用される。アラニン、グリシン、及び小ペプチド等のアミノ酸スペーサーが、共有的抱合及び生分解性に対するその化学的多用途性に起因して、最も一般的に使用される。スクシンイミジルを含有するヘテロ二官能性カップリング剤も使用されている。リンカーの詳細な説明は、本明細書の他箇所で示される。
プロドラッグの構築物において、リンカーは、薬物をポリマー(例えば、PEG)と融合させて、混み合い効果を増大させ、活性を増大させ、立体障害を低減するために使用され得る(Khandare,J.and Minko,T.(2006)Progress in Polymer Science 31(4):359−97)。また、リンカーの使用により、リガンド−タンパク質結合が強化され、複数の結合部位が提供され得る。好ましいリンカーは、抱合体輸送中に安定であり、適切な作用部位で生物活性剤を放出することができる。
治療的及び予防的使用
本開示は、多岐にわたる疾患、障害、及び/もしくは病態、ならびに/またはその症状の治療または防止における本明細書に記載のIL−15ポリペプチド(例えば、PEG−IL−15)の使用を企図する。特定の使用がこれ以降に詳述されるが、本開示はさほど限定されないことを理解されたい。さらに、特定の疾患、障害、及び病態の一般的なカテゴリーがこれ以降に示されるものの、疾患、障害、及び病態のうちのいくつかは、1つ超のカテゴリーのメンバーである場合があり、他のものは、開示されるカテゴリーのうちのいずれのメンバーでもない場合がある。
以下でより詳細に考察されるように、IL−15は、免疫及び炎症機能(例えば、自己免疫関連障害(例えば、関節リウマチ)、サルコイドーシス、炎症性腸疾患、及び移植片拒絶)、がん(例えば、白血病、リンパ球増殖性障害、及び固形腫瘍)、及び感染疾患(例えば、HIV)と関連付けられる疾患、障害、及び病態において役割を果たすことが示されている。[例えば、Fehniger,et al.,Blood 97(1)(Jan 1,2001)を参照されたい]。
免疫及び炎症病態。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫系の抑制、ならびに免疫関連疾患、障害、及び病態の治療を企図する。本明細書で使用される場合、「免疫疾患」、「免疫病態」、「免疫 障害」、「炎症疾患」、「炎症病態」、「炎症障害」等の用語は、いずれの免疫または炎症関連病態(例えば、病的炎症及び自己免疫疾患)も広義に包含することを意味する。かかる病態は、他の疾患、障害、及び病態と密接に絡み合っていることが多い。例として、「免疫病態」は、がん、腫瘍、及び血管新生等の増殖性病態を指してもよく、免疫系による根絶に抵抗する、感染症(急性及び慢性)、腫瘍、及びがんを含む。
本明細書に記載のIL−15ペプチドは、野生型IL−15とIL−15受容体複合体との間の相互作用の結果として通常生じる細胞事象のうちの1つ以上を阻害するのに有効な量の投与を介して免疫機能を抑制するために使用され得る。あるいは、本明細書に記載のIL−15ペプチドをコードする核酸分子または本明細書に記載のIL−15ペプチドを発現している組換え細胞が投与されてもよい。特定の実施形態では、IL−15ペプチドは、野生型IL−15に類似の親和性でIL−15受容体複合体を結合するが、細胞シグナル変換の活性化には失敗する。IL−15ペプチドが野生型IL−15と効果的に競合し、IL−15シグナル伝達への応答に通常関連付けられる事象を阻害することが有利である。
例えば炎症サイトカインによって引き起こされ得る免疫及び炎症関連疾患、障害、及び病態の非限定的なリストには、関節炎(例えば、関節リウマチ)、サルコイドーシス、腎不全、ループス、喘息、乾癬、大腸炎、膵炎、アレルギー、外科合併症(例えば、炎症 サイトカインが治癒を妨げる場合)、貧血、及び線維筋痛が含まれる。慢性炎症と関連付けられ得る他の疾患及び障害には、アルツハイマー病、鬱血性心不全、卒中、大動脈弁狭窄症、動脈硬化症、骨粗鬆症、パーキンソン病、感染症、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、アレルギー性接触性皮膚炎及び他の湿疹、全身性硬化症、移植、ならびに多発性硬化症が挙げられる。IL−15分子が特に効果的であり得る(例えば、現在の療法の制限により)前述の疾患、障害、及び病態のうちのいくつかは、これ以降により詳細に説明される。
本開示のIL−15ポリペプチドは、炎症性腸疾患(IBD)の治療及び防止に特に効果的であり得る。IBDは、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)を含み、これらの両方は、消化管のいずれの部分にも影響し得る特発性慢性疾患であり、多くの悪影響と関連付けられ、長期的なUCを有する患者は、結腸癌を発病する危険性が増大する。現在のIBD治療は、炎症症状の制御を狙いとしており、またある特定の薬剤(例えば、コルチコステロイド、アミノサリチル酸塩、及び標準的な免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、及びメトトレキサート))はある程度の成果を収めているものの、長期的な治療により肝臓障害(例えば、線維症または肝硬変)及び骨髄抑制が生じ得、患者は、かかる治療に対して反応しなくなることが多い。
一連の一般的な免疫媒介性慢性皮膚疾患である乾癬は、米国で450万人超に影響しており、そのうち150万人は、この疾患の中等度から重度の形態を有すると考えられている。さらに、乾癬患者の10%超が、骨、及び関節周囲の結合組織を損傷する乾癬性関節炎を発病する。乾癬の基礎的生理学の理解が向上したことにより、例えば、疾患の炎症性質の原因となるTリンパ球及びサイトカインの活性を標的化する薬剤の導入がもたらされた。かかる薬剤には、ENBREL(エタネルセプト)、REMICADE(インフリキシマブ)、及びHUMIRA(アダリムマブ)を含むTNF−α阻害剤(関節リウマチ(RA)の治療にも使用される)、ならびにAMEVIVE(アレファセプト)及びRAPTIVA(エファリズマブ)等のT細胞阻害剤が挙げられる。これらの薬剤のうちのいくつかはある特定の患者集団にはある程度効果的であるが、いずれも全ての患者を効果的に治療することは示されていない。
一般に関節の内膜(滑膜)における慢性炎症を特徴とするリウマチ性関節炎(RA)は、米国人口の約1%(約210万人)に影響している。炎症過程におけるTNF−α及びIL−1を含むサイトカインの役割がさらに理解されたことで、新しいクラスの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の開発及び導入が可能となった。薬剤(そのいくつかは他の徴候のための治療法と重複する)には、ENBREL(エタネルセプト)、REMICADE(インフリキシマブ)、HUMIRA(アダリムマブ)、及びKINERET(アナキンラ)が挙げられる。これらの薬剤のいくつかは、特定の患者集団において、症状を緩和し、構造的損傷の進行を阻害し、身体機能を改善するが、改善した効能、作用の補完機序、及びより少ない/より重症度の低い副作用を有する代替薬が依然として必要とされている。
臓器及び組織の移植片拒絶は、ある特定の状況ではIL−15関連要素を伴うことが分かっている。拒絶は、自然免疫応答の要素と併せて、細胞免疫と液性免疫との両方によって媒介される適応免疫応答である。異なる種類の移植された臓器及び組織は、拒絶機序の異なるバランスを有する。腎臓、心臓、骨髄、皮膚、及び血液は、移植片拒絶に最も頻繁に関与する臓器及び組織である。移植片拒絶の治療は、拒絶の医学的カテゴリー(例えば、超急性、急性、または慢性)によって決まる。
免疫抑制療法は、移植片拒絶の主な治療手段を構成する。療法は、一般に、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)によって開始される。併用療法は、典型的には、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン及びタクロリムス)及び抗増殖性薬剤(例えば、アザチオプリン)の添加を伴う。特定の免疫要素に特異的な抗体を免疫抑制療法に加えてもよく、抗体治療薬には、モノクローナル抗IL−2Rα受容体抗体(例えば、ダクリズマド(daclizumad))及びモノクローナル抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)が挙げられる。多くの状況において有用ではあるが、IL−15関連薬剤等の代替的治療法が必要とされている。
脳及び脊髄におけるミエリンの炎症及び瘢痕化の複数の領域を含む著しく消耗性の自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)を患う対象は、現在の治療が症状を緩和するか、または身体障害の進行を遅延させるにすぎないため、本明細書に記載のIL−15ポリペプチドによって特に救済され得る。
IL−15の血清レベルの上昇が、C型肝炎誘導性肝臓疾患中、ならびに肝硬変及び肝炎において観察されている。IL−15レベルは、肝細胞癌腫を患う対象において特に上昇する。
同様に、IL−15ポリペプチドは、神経変性障害、例えば、患者の思考、記憶、及び言語処理を著しく損なう脳障害であるアルツハイマー病(AD);例えば、異常運動、硬直、及び振戦を特徴とするCNSの進行性障害であるパーキンソン病(PD);及び真性糖尿病に罹患した対象に特に有益であり得る。これらの障害は、進行性かつ消耗性であり、根治的薬剤はない。
がん及び関連病態。本開示に従い、本明細書に記載のIL−15分子(例えば、ペプチド)は、IL−15受容体を発現する細胞の望ましくない増殖を有する対象を治療するために使用することができる。あるいは、本明細書に記載のIL−15ペプチドをコードする核酸分子または本明細書に記載のIL−15ペプチドを発現している組換え細胞が投与されてもよい。IL−15が抗増殖効果を及ぼす根本的な作用機序の理解は本開示の実施に必須ではないものの、細胞増殖は、補体指向性細胞溶解または抗体依存性細胞毒性によって阻害され得る。
本明細書に記載のIL−15ペプチドを使用して、がん、例えば、子宮、頸、乳房、前立腺、精巣、消化管(例えば、食道、中咽頭、胃、小腸または大腸、結腸、または直腸)、腎臓、腎細胞、膀胱、骨、骨髄、皮膚、頭部または頸部、肝臓、胆嚢、心臓、肺、膵臓、唾液腺、副腎、甲状腺、脳(例えば、神経膠腫)、神経節、中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)のがん、ならびに造血系及び免疫系(例えば、脾臓または胸腺)のがんを含む、増殖性病態または障害を治療または防止することができる。本開示はまた、例えば、免疫原性腫瘍、非免疫原性腫瘍、休眠腫瘍、ウイルス誘導性癌(例えば、上皮細胞癌、内皮細胞癌、扁平上皮細胞癌、及びパピローマウイルス)、腺癌、リンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、癌腫、黒色腫、白血病、骨髄腫、肉腫、奇形癌、化学誘導性癌、転移、及び血管新生を含む、他のがん関連疾患、障害、または病態の治療または防止方法を提供する。
特定の実施形態では、腫瘍またはがんは、結腸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、肺癌、膠芽腫、または白血病(例えば、HTLV−1媒介性成人T細胞性白血病)である。がん関連疾患、障害、及び病態という用語(複数可)の使用は、がんと直接的または間接的に関連付けられる病態を広義に指すことを意味し、例えば、血管新生、及び異形成等の前がん状態を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、増殖性病態、がん、腫瘍、または前がん状態を、IL−15分子及び少なくとも1つの追加の治療剤または診断剤(その例は本明細書の他箇所に示す)によって治療するための方法を提供する。
ウイルス性及び細菌性病態。ウイルス性及び細菌性疾患、障害、及び病態におけるIL−15の役割について、興味が増している。IL−15は、その受容体結合活性及び他の因子に応じて、刺激効果と阻害効果との両方を生むと仮定されている。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関して、IL−15は、IL−2の作用を模倣するその能力によって、2つの矛盾する効果を有する。1つの効果は、有益である可能性のある免疫機能の強化であり、他の効果は、有害である可能性のあるHIV複製の活性化である。これらの相反する効果は、他のウイルス性関連障害においても存在する。IL−15レベルとウイルス量の変動との間に密接な時間的相関関係が観察された。
本開示は、IL−15による治療が有益であり得る任意のウイルス性疾患、障害、または病態の治療及び/または防止におけるIL−15ポリペプチドの使用を企図する。企図されるウイルス性疾患、障害、及び病態の例には、エプスタイン−バーウイルス、B型肝炎、C型肝炎、HIV、単純ヘルペスウイルス、及びサイトメガロウイルス(CMV)が挙げられる。
IL−15は、最近では、ある特定の細菌感染及び他の侵襲性感染と関連付けられている。例として、報告書によると、例えば、Salmonella及びPlasmodium falciparumによる感染の前に組換えIL−15を投与することで、有機体に対する宿主の防御及びそのクリアランスが改善することが示されている。
薬学的組成物
本開示のIL−15ポリペプチドは、対象への投与に好適な組成物の形態であってもよい。一般に、かかる組成物は、IL−15と、1つ以上の薬学的に許容されるまたは生理学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤とを含む「薬学的組成物」である。ある特定の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、治療的に許容される量で存在する。本薬学的組成物は、本開示の方法で使用され、故に、例えば、薬学的組成物は、本明細書に記載の治療及び予防方法ならびに使用を実施するために、エクスビボまたはインビボで対象に投与され得る。
本開示の薬学的組成物は、意図される投与方法または経路と互換性であるように製剤化され得、例となる投与経路は本明細書に示される。さらに、本薬学的組成物は、本開示によって企図される疾患、障害、及び病態を治療または防止するために、本明細書に記載される他の治療的に活性な薬剤または化合物と組み合わせて使用され得る。
本薬学的組成物は、典型的には、治療上有効量の本開示によって企図されるIL−15ポリペプチドと、1つ以上の薬学的及び生理学的に許容される製剤とを含む。好適な薬学的に許容されるまたは生理学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤には、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸及び重硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、エチルまたはn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸)、乳化剤、懸濁剤、分散剤、溶媒、充填剤、増量剤、界面活性剤、緩衝液、ビヒクル、希釈剤、及び/またはアジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、好適なビヒクルは、場合により非経口投与用薬学的組成物において一般的な他の物質を補充した、生理食塩水またはクエン酸緩衝食塩水であってもよい。中性緩衝食塩水、または血清アルブミンと混合した食塩水が、さらに例となるビヒクルである。当業者であれば、本明細書で企図される薬学的組成物及び剤形において使用され得る多様な緩衝液を容易に認識することになる。典型的な緩衝液には、薬学的に許容される弱酸、弱塩基、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例として、緩衝液構成成分は、リン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びそれらの塩等の水溶性物質であり得る。許容される緩衝薬剤には、例えば、トリス緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、及びN−トリス[ヒドロキシメチル]メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)が挙げられる。
薬学的組成物は、製剤化後、溶液、懸濁液、ゲル、乳剤、固体、または乾燥もしくは凍結乾燥粉末として滅菌バイアル中に貯蔵されてもよい。かかる調製物は、即時使用可能な形態、使用前に再構成が必要な凍結乾燥形態、使用前に希釈が必要な液体形態、または他の許容される形態のいずれかで貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、単回使用容器(例えば、単一使用バイアル、アンプル、シリンジ、または自己注射器(例えば、EpiPen(登録商標)の類似物))中で提供されるが、複数回使用容器(例えば、複数回使用バイアル)が他の実施形態では提供される。全て当業者には周知である、インプラント(例えば、インプラント型ポンプ)及びカテーテル系、緩徐注射ポンプ及びデバイスを含む、任意の薬物送達装置を使用して、IL−15を送達し得る。一般に皮下または筋肉内投与されるデポー注射も、本明細書に開示のポリペプチドを一定期間にわたって放出するために利用され得る。デポー注射は、通常、固体性または油性のいずれかであり、一般に、本明細書に示される製剤成分のうちの少なくとも1つを含む。当業者であれば、可能性のあるデポー注射の製剤化及び使用に精通している。
本薬学的組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、本明細書で言及される好適な分散または湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いてもよい許容される希釈剤、溶媒、及び分散には、水、リンガー溶液、等張食塩水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの好適な混合物が挙げられる。加えて、溶媒または懸濁媒には、無菌固定油が慣習的に利用されている。本目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激性固定油が利用されてもよい。さらに、オレイン酸等の脂肪酸が注入用調製物中での用途を見い出している。特定の注射用製剤の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン)を含めることによって得ることができる。
活性成分を含有する薬学的組成物は、経口使用に好適な形態、例えば、錠剤、カプセル、トローチ、薬飴、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、乳剤、硬性もしくは軟性カプセル、またはシロップ、溶液、マイクロビーズ、またはエリキシル剤であってもよい。経口使用が意図される薬学的組成物は、薬学的組成物の製造者にとって当該技術分野で既知の任意の方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、薬剤的に洗練され味の良い調製物を提供するために、例えば、甘味剤、香味剤、着色剤、及び防腐剤等の1つ以上の薬剤を含有してもよい。錠剤、カプセル等は、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム等の希釈剤;顆粒化及び崩壊剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、またはアカシア;ならびに潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであってもよい。
経口投与に好適な錠剤、カプセル等は、コーティングされていなくてもよく、または消化管での崩壊及び吸収を遅らせるための既知の技法によりコーティングされることにより、持続作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の時間遅延物質を使用してもよい。これらは、当該技術分野で既知である技法によってコーティングされて、制御放出用の浸透圧性治療錠剤を形成してもよい。追加の薬剤は、投与された組成物の送達を制御するために、生分解性または生体適合性粒子またはポリマー物質、例えば、ポリエステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、エチレン−酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミン、またはラクチド/グリコリドコポリマー、ポリラクチド/グリコリドコポリマー、またはエチレンビニル酢酸コポリマーを含む。例えば、経口薬剤は、コアセルベーション技法によって、または界面重合によって、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルまたはポリ(メチルメタクロレート(methylmethacrolate))マイクロカプセルの使用によって、またはコロイド薬物送達系において調製されるマイクロカプセル中に封入され得る。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、マイクロビーズ、ならびに水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。上述の製剤の調製方法は、当業者には明らかとなる。
経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、もしくは微結晶性セルロースと混合される硬性ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が、水、または油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合される軟性ゼラチンカプセルとしても提示されてもよい。
水性懸濁液は、その製造に好適な賦形剤との混合物中に活性物質(複数可)を含有する。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガム、及びアカシアガム;分散または湿潤剤、例えば、天然ホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物(例えば、ステアリン酸ポリオキシ−エチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物(例えば、へプタデカエチレンオキセタノールのため)、またはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合産物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合産物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤を含有してもよい。
油性懸濁液は、活性成分(複数可)を、植物油、例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油中に、または流動パラフィン等の鉱物油中に懸濁させることによって製剤化され得る。油性懸濁液は、糊剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコールを含有してもよい。上述のもの等の甘味剤及び香味剤が、味の良い経口調製物を提供するために添加されてもよい。
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散性粉末及び顆粒は、分散もしくは湿潤剤、懸濁剤、及び1つ以上の防腐剤との混合物中の活性成分を提供する。好適な分散もしくは湿潤剤、及び懸濁剤は、本明細書に例示される。
本開示の薬学的組成物はまた、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくはピーナッツ油、または鉱物油、例えば、流動パラフィン、またはこれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然ゴム、例えば、アカシアゴムまたはトラガカンゴム;天然ホスファチド、例えば、大豆、レシチン、及び脂肪酸由来のエステルまたは部分エステル;ヘキシトール無水物、例えば、ソルビタンモノオレエート;ならびにエチレンオキシドと部分エステルとの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。
製剤はまた、インプラント、リポソーム、ヒドロゲル、プロドラッグ、及びマイクロカプセル送達系を含む、制御放出製剤等の、組成物を急速な分解または身体からの排泄から保護するための担体を含み得る。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を、単独で、またはワックスと組み合わせて、用いてもよい。
本開示は、直腸投与のための座薬の形態にあるIL−15ポリペプチドの投与を企図する。座薬は、薬物と、通常の温度では固体だが、直腸内温度では液体であり、それによって直腸内で溶けて薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。かかる物質には、ココアバター及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示によって企図されるIL−15ポリペプチドは、現在既知であるかまたは将来的に開発される任意の他の好適な薬学的組成物の形態(例えば、鼻内または吸入使用のためのスプレー)であり得る。
ポリペプチドまたはその断片の濃度は、広く異なり得(例えば、約0.1重量%未満から、通常、約2重量%で、または少なくとも約2重量%で、最大20重量%〜50重量%以上)、通常は、例えば、選択される特定の投与様式に従って、主に、液量、粘度、及び対象に基づく因子に基づいて選択されることになる。
投与経路
本開示は、任意の好適な様式における、IL−15分子、及びそれらの組成物の投与を企図する。好適な投与経路には、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、皮下(例えば、注射またはインプラント)、腹腔内、嚢内、関節内、腹腔内、脳内(実質内及び脳室内)、経口、鼻腔内、膣内、舌下、眼内、直腸内、局所(例えば、経皮)、舌下、及び吸入が含まれる。一般に皮下または筋肉内投与されるデポー注射も、本明細書に開示のIL−15分子を一定期間にわたって放出するために利用され得る。
本開示の特定の実施形態は非経口投与を企図し、さらに特定の実施形態では、非経口投与は皮下である。
併用療法
本開示は、1つ以上の活性治療剤(例えば、サイトカイン)または他の予防もしくは治療法(例えば、放射線)と組み合わせたIL−15分子の使用を企図する。かかる併用療法では、種々の活性剤は、異なる相補的な作用機序を有することが多い。かかる併用療法は、薬剤のうちの1つ以上の用量低減を可能にし、その結果、薬剤のうちの1つ以上と関連付けられる副作用を低減または排除することによって、特に有利となり得る。さらに、かかる併用療法は、根本的な疾患、障害、または病態に対する相乗的な治療または予防効果を有し得る。
本明細書で使用される場合、「併用」は、別々の投与のために別々に製剤化された別々に投与することができる治療薬(例えば、キット中で提供され得るもの等)、及び単一の製剤中で共に投与することができる治療薬(すなわち、「同時製剤(co−formulation)」)を含むことを意味する。
ある特定の実施形態では、IL−15ポリペプチド及び1つ以上の活性治療剤または他の予防もしくは治療法は、連続して投与または適用され、例えば、ここでは、1つの薬剤が1つ以上の他の薬剤の前に投与される。他の実施形態では、IL−15ポリペプチド及び1つ以上の活性治療剤または他の予防もしくは治療法は、同時に投与され、例えば、ここでは、2つ以上の薬剤が同時にまたはほぼ同時に投与され、これらの2つ以上の薬剤は、2つ以上の別々の製剤中に存在してもよく、あるいは単一の製剤(すなわち、同時製剤)に組み合されてもよい。2つ以上の薬剤が連続的に投与されるのか同時に投与されるのかにかかわらず、これらは、本開示の目的では組み合わせて投与されるとみなされる。
本開示のIL−15ポリペプチドは、条件下で適切な任意の様式で、少なくとも1つの他の(活性)薬剤と併用されてもよい。一実施形態では、少なくとも1つの活性剤及び少なくとも1つの本開示のIL−15ポリペプチドによる治療は、ある期間にわたって維持される。別の実施形態では、少なくとも1つの活性剤による治療は低減または中止され(例えば、対象は安定している場合)、その間、本開示のIL−15ポリペプチドは一定の投薬レジメンで維持される。さらなる実施形態では、少なくとも1つの活性剤による治療は低減または中止され(例えば、対象は安定している場合)、その間、本開示のIL−15ポリペプチドによる治療は低減される(例えば、より低い用量、より低い頻度の投薬、またはより短い治療レジメン)。なおも別の実施形態では、少なくとも1つの活性剤による治療は低減または中止され(例えば、対象は安定している場合)、本開示のIL−15ポリペプチドによる治療は増大される(例えば、より高い用量、より高い頻度の投薬、またはより長い治療レジメン)。なおも別の実施形態では、少なくとも1つの活性剤による治療は維持され、本開示のIL−15ポリペプチドによる治療は低減または中止される(例えば、より低い用量、より低い頻度の投薬、またはより短い治療レジメン)。なおも別の実施形態では、少なくとも1つの活性剤による治療及び本開示のIL−15ポリペプチドによる治療は、低減または中止される(例えば、より低い用量、より低い頻度の投薬、またはより短い治療レジメン)。
免疫及び炎症病態。本開示は、IL−15分子及び少なくとも1つの追加の治療剤または診断剤を用いた、免疫及び/または炎症関連疾患、障害、及び病態、ならびにそれらと関連付けられる障害の治療及び/または防止方法を提供する。
併用療法に有用な治療剤の例には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、及び他のプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フイロフェナク(fuirofenac)、イブフェナク、イソキセパック、オキシピナック(oxpinac)、スリンダク、チオピナック、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)、及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサル)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、及びテノキシカン(tenoxican))、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)、ならびに、ピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)が挙げられるが、これらに限定されない。他の組み合わせには、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤が挙げられる。
組み合わせのための他の活性剤には、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン等のステロイドが挙げられる。かかる組み合わせは、必要とされるステロイド用量を漸減させることによってステロイドの1つ以上の副作用が低減されるかまたは排除されるため、特に有用であり得る。
例えば、関節リウマチを治療するために併用され得る活性剤の追加の例には、サイトカイン抑制性抗炎症薬(複数可)(CSAID);他のヒトサイトカインまたは成長因子に対する抗体またはそれらの拮抗物質、例えば、TNF、LT、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−16、IL−18、EMAP−II、GM−CSF、FGF、またはPDGFが挙げられる。
活性剤の特定の組み合わせは、自己免疫及び後続の炎症カスケードに異なる点で干渉してもよく、これらの組み合わせには、キメラ、ヒト化、またはヒトTNF抗体、REMICADE、抗TNF抗体断片(例えば、CDP870)、及び可溶性p55またはp75 TNF受容体等のTNF拮抗物質、それらの誘導体、p75TNFRIgG(ENBREL.)またはp55TNFR1gG(LENERCEPT)、可溶性IL−13受容体(sIL−13)、及びTNFα変換酵素(TACE)阻害剤が含まれ、同様に、IL−1阻害剤(例えば、インターロイキン−1変換酵素阻害剤)も有効であり得る。他の組み合わせには、インターロイキン11、抗P7s及びp−セレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)が含まれる。本明細書に記載のIL−15ポリペプチドとの併用に有用な薬剤の他の例には、インターフェロン−β1a(AVONEX);インターフェロン−β1b(BETASERON);コパキソン;高圧酸素;静注用免疫グロブリン;クラブリビン(clabribine);他のヒトサイトカインまたは成長因子に対する抗体またはそれらの拮抗物質(例えば、CD40リガンド及びCD80に対する抗体)が含まれる。
本開示は、上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体も包含する。
がん及び関連病態。本開示は、IL−15分子及び少なくとも1つの追加の治療剤または診断剤を用いた、増殖性病態;がん、腫瘍、または前がん疾患、障害、もしくは病態の治療及び/または防止方法を提供する。
化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド;硫酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボクオン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa);エチレンイミン及びメチラメラミン、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロロメラミン(trimethylolomelamime);ナイトロジェンマスタード、例えば、チロランブシル(chiorambucil)、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニマスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5−FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充液、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド系、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金及び白金配位錯体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
化学療法剤には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤も含まれ、これらには、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、オナプリストン、及びトレミフェンを含む抗エストロゲン剤;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンを含む抗アンドロゲン;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が含まれる。ある特定の実施形態では、併用療法は、ホルモンまたは関連するホルモン剤の投与を含む。
本IL−15ポリペプチドと併用され得る追加の治療法には、IL−12、INFα、もしくは抗上皮成長因子受容体等のサイトカインもしくはサイトカイン拮抗物質、放射線療法、別の腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体、モノクローナル抗体と毒素との複合体、T細胞アジュバント、骨髄移植、または抗原提示細胞(例えば、樹状細胞療法)が挙げられる。ワクチン(例えば、可溶性タンパク質として、または核酸タンパク質をコードする核酸として)も本明細書で提供される。
本開示は、上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体も包含する。
ウイルス性及び細菌性病態。本開示は、IL−15分子及び少なくとも1つの追加の治療剤または診断剤(例えば、1つ以上の他の抗ウイルス性薬剤及び/またはウイルス療法と関連付けられない1つ以上の薬剤)を用いた、ウイルス性疾患、障害、及び病態、ならびにそれらと関連付けられる障害の治療及び/または防止方法を提供する。
かかる併用療法は、種々のウイルス生活環の段階を標的化し、異なる作用機序を有する抗ウイルス薬を含み、これらの抗ウイルス薬には、ウイルス脱外被の阻害剤(例えば、アマンタジン及びリマンチジン(rimantidine));逆転写酵素阻害剤(例えば、アシクロビル、ジドブジン、及びラミブジン);インテグラーゼを標的化する薬剤;転写因子のウイルスDNAとの結合を妨げる薬剤;翻訳に影響を与える薬剤(例えば、アンチセンス分子)(例えば、ホミビルセン);翻訳/リボザイム機能を調節する薬剤;プロテアーゼ阻害剤;ウイルス構造修飾因子(例えば、リファンピシン);ならびにウイルス粒子の放出を防止する薬剤(例えば、ザナミビル及びオセルタミビル)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定のウイルス感染(例えば、HIV)の治療及び/または防止は、抗ウイルス薬の一群(「カクテル」)を伴うことが多い。
IL−15ポリペプチドとの併用が企図される他の抗ウイルス薬には、アバカビル、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリジェン、アルビドル(arbidol)、アタザナビル、アトリプラ、ボセプレビレルテット(boceprevirertet)、シドホビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンズ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル(imunovir)、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、種々のインターフェロン(例えば、ペグインターフェロンアルファ−2a)、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(nexavir)、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、ラルテグラビル、リバビリン、リトナビル、ピラミジン(pyramidine)、サキナビル、スタブジン、テラプレビル、テノホビル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、及びザルシタビンが挙げられるが、これらに限定されない。
桿菌様グラム陰性細菌のSalmenella属のIL−15治療は、現在開発中のワクチンとの併用で最も効果的であると考えられる。寄生虫の治療のための併用療法に関しては、抗マラリア医薬品(例えば、クロロキン)及びアルテミシニニ(artemisinini)がIL−15ペプチドとの併用療法において効果的であり得る。
本開示は、上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体も包含する。
投薬
本開示のIL−15ポリペプチドは、例えば、投与の目標(例えば、所望される消散の程度);製剤が投与される対象の年齢、体重、性別、ならびに健康及び身体的状態;投与経路;ならびに疾患、障害、病態、またはその症状の性質に依存する量で、対象に投与され得る。投薬レジメンは、投与される薬剤(複数可)と関連付けられるいずれかの副作用の存在、性質、及び程度を考慮に入れてもよい。効果的な投薬量及び投薬レジメンは、例えば、安全性及び用量漸増試験、インビボ研究(例えば、動物モデル)、ならびに当業者に既知である他の方法から容易に決定することができる。
一般的に、投薬パラメータにより、対象にとって取り返しがつかないまでに毒性であり得る量を下回り(最大耐量(MTD))、かつ対象に測定可能な効果をもたらすのに必要な量を下回らない投薬量が決定される。かかる量は、例えば、ADMEと関連付けられる薬物動態及び薬力学的パラメータによって、投与経路及び他の因子を考慮に入れながら決定される。
有効用量(ED)は、薬剤を摂取する対象の一部において治療応答または所望の効果を生む、薬剤の投薬量または量である。薬剤の「中央有効用量」またはED50は、薬剤が投与される集団の50%において治療応答または所望の効果を生む、薬剤の投薬量または量である。ED50は、薬剤効果の妥当な見込みの測定値として一般に使用されるが、臨床医が全ての関連因子を考慮に入れて適切であるとみなす可能性のある用量では必ずしもない。故に、いくつかの状況では、有効量は、計算されたED50を上回り、他の状況では、有効量は、計算されたED50を下回り、依然として他の状況では、有効量は、計算されたED50と同じである。
加えて、本開示のIL−15分子の有効用量は、1回以上の投薬で対象に投与される場合に、健常な対象と比較して所望の結果を生む量であってもよい。例えば、特定の障害を患っている対象にとって、有効用量は、その障害の診断パラメータ、測定、マーカー等を、健常な対象が呈する診断パラメータ、測定値、マーカー等を100%と定義した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%超、改善するものであってもよい。本明細書に記載の疾患、障害、または病態を治療するために必要なIL−15分子の量は、抱合タンパク質のIL−15活性に基づき、これは、当該技術分野で既知のIL−15活性アッセイによって決定することができる。
治療上有効量のIL−15分子は、約0.01〜約100μgのタンパク質/体重kg/日、約0.1〜20μgのタンパク質/体重kg/日、約0.5〜10μgのタンパク質/体重kg/日、または約1〜4μgのタンパク質/体重kg/日の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、治療上有効量のIL−15分子は、約1〜16μgのタンパク質/体重kg/日の範囲であり得る。本開示は、例えば、約50〜800μgのタンパク質/体重kg/日を送達する連続注入によるIL−15分子の投与を企図する。注入速度は、例えば、副作用及び血球数の評価に基づいて変化させてもよい。
経口薬剤の投与には、組成物は、1.0〜1000ミリグラムの活性成分、特に、1.0、3.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、または1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤、カプセル等の形態で提供され得る。
ある特定の実施形態では、開示されるIL−15ポリペプチドの用量は「単位剤形」に含有される。「単位剤形」という語句は、物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の効果を生むのに十分な所定の量の本開示のIL−15ポリペプチドを、単独、または1つ以上の追加の薬剤との組み合わせのいずれかで含有する。単位剤形のパラメータは、特定の薬剤及び達成すべき効果に依存することが理解されるであろう。
キット
本開示はまた、IL−15及びその薬学的組成物を含むキットを企図する。キットは、一般に、以下に記載されるように種々の構成要素を収容する物理的構造の形態であり、例えば、本明細書に記載の方法の実施に利用され得る。
キットは、対象への投与に好適な薬学的組成物の形態であってもよい本明細書に開示のIL−15ポリペプチドのうちの1つ以上(例えば、滅菌容器に入って提供される)を含み得る。IL−15ポリペプチドは、即時使用可能な形態、または例えば投与前に再構築もしくは希釈が必要な形態で提供され得る。IL−15ポリペプチドが使用者による再構築を必要とする形態である場合、本キットは、IL−15ポリペプチドと一緒にまたはそれとは別に梱包される、緩衝液、薬学的に許容される賦形剤等を含んでもよい。併用療法が企図される場合、本キットはいくつかの薬剤を別々に含んでもよく、あるいはそれらは本キット中で組み合わせ済みであってもよい。キットの各構成要素は個別の容器内に封入されてもよく、種々の容器の全てが単一のパッケージ内にあってもよい。本開示のキットは、中に収容された構成要素を適当に維持するために必要な条件(例えば、冷蔵または冷凍)に対して設計され得る。
キットは、中の構成要素についての識別情報、ならびにそれらの使用のための説明(例えば、投薬パラメータ、活性成分(複数可)の臨床薬理学、作用機序、薬物動態及び薬力学、副作用、禁忌等)を含む、ラベルまたは添付文書を含んでもよい。ラベルまたは添付文書は、ロット番号及び消費期限等の製造業者情報を含み得る。ラベルまたは添付文書は、例えば、構成要素を収容する物理的構造と一体化されるか、物理的構造内に別々に含まれるか、キットの構成要素(例えば、アンプル、チューブ、またはバイアル)に貼付されてもよい。
ラベルまたは添付文書は、コンピュータ可読媒体、例えば、ディスク(例えば、ハードディスク、カード、メモリーディスク)、光学ディスク、例えば、CD−もしくはDVD−ROM/RAM、DVD、MP3、磁気テープ、または電子記憶媒体、例えば、RAM及びROM、あるいはこれらのハイブリッド、例えば、磁気/光学記憶媒体、FLASH媒体、もしくはメモリー型カードを加えて含むか、それらに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、実際の説明はキット中には存在しないが、遠隔ソースから、例えばインターネットを介して、説明を入手するための手段が提供される。
実験
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作製及び使用するかの完全なる開示及び説明を提供するように提示され、発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されておらず、以下の実験が、実行されたものであり、また実行され得る実験の全てであると表すようにも意図されていない。現在形で書かれている例となる説明は必ずしも実行されておらず、むしろそれらの説明は、本明細書に記載のデータ等を生成するために実行され得ることを理解されたい。使用される数値(例えば、量、温度等)に対する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験によるエラー及び偏差が計上されるはずである。
別途示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、またはそれに近い。
標準的な略記が使用され、以下が含まれる:bp=塩基対(複数可);kb=キロベース(複数可);pl=ピコリットル(複数可);sまたはsec=秒(複数可);min=分(複数可);hまたはhr=時間(複数可);aa=アミノ酸(複数可);kb=キロベース(複数可);nt=ヌクレオチド(複数可);ng=ナノグラム;μg=マイクログラム;mg=ミリグラム;g=グラム;kg=キログラム;dlまたはdL=デシリットル;μlまたはμL=マイクロリットル;mlまたはmL=ミリリットル;lまたはL=リットル;nM=ナノモル;μM=マイクロモル;mM=ミリモル;M=モル;kDa=キロダルトン;i.m.=筋肉内(ly);i.p.=腹腔内(ly);s.c.=皮下(ly);QD=毎日;BID=1日2回;QW=毎週;QM=毎月;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;BW=体重;U=単位;ns=統計的に有意ではない;PBS=リン酸緩衝食塩水;PCR=ポリメラーゼ連鎖反応;NHS=N−ヒドロキシスクシンイミド;DMEM=ダルベッコ改変イーグル培地;GC=ゲノムコピー;ELISA=酵素結合免疫吸着アッセイ;EDTA=エチレンジアミン四酢酸塩;PMA=酢酸ミリスチン酸ホルボール;rhIL−15=組換えヒトIL−15;LPS=リポ多糖。
材料及び方法
以下の実施例において、次の一般的材料及び方法が使用され得る。
分子生物学における標準的な方法は説明されている(例えば、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;ならびに細菌細胞におけるクローニング及びDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳動物細胞及び酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質及びタンパク質発現(Vol.3)、及びバイオインフォマティクス(Vol.4)を説明している、Ausubel,et al.(2001)Current Protocols in Molecular Biology,Vols.1−4,John Wiley and Sons,Inc.New York,N.Y.を参照されたい)。
科学文献は、免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、及び結晶化を含むタンパク質精製方法、ならびに化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の産生、及びタンパク質のグリコシル化を説明している(例えば、Coligan,et al.(2000)Current Protocols in Protein Science,Vols.1−2,John Wiley and Sons,Inc.,NYを参照されたい)。
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の産生、精製、及び断片化が説明されており(例えば、Harlow and Lane(1999)Using Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY);リガンド/受容体相互作用の特性評価のための標準的な技法が利用可能であり(例えば、Coligan et al.(2001)Current Protocols in Immunology,Vol.4,John Wiley,Inc.,NY);蛍光活性化細胞分類(FACS)を含むフローサイトメトリーのための方法が利用可能であり(例えば、Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照されたい)、例えば診断試薬として使用するための、核酸プライマー及びプローブ、ポリペプチド、ならびに抗体を含む、核酸の修飾に好適な蛍光試薬が利用可能である(Molecular Probes(2003)Catalogue,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR.;Sigma−Aldrich(2003)Catalogue,St.Louis,MO.)。
免疫系の組織学の標準的な方法が説明されている(例えば、Louis et al.(2002)Basic Histology:Text and Atlas,McGraw−Hill,New York,NYを参照されたい)。
免疫細胞(CD4+及びCD8+T細胞)の枯渇は、抗体媒介性除去によってもたらされ得る。例えば、250μgのCD4またはCD8特異性抗体を毎週注射し、細胞枯渇をFACS及びIHC分析を使用して検証してもよい。
例えば、抗原断片、リーダー配列、タンパク質折り畳み、官能性ドメイン、グリコシル化部位、及び配列アラインメントを決定するためのソフトウェアパッケージ及びデータベースが利用可能である(例えば、GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);及びDeCypher(商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,NVを参照されたい)。
免疫担当性Balb/CまたはB細胞欠乏性Balb/Cマウスを、Jackson Lab.,Bar Harbor,MEから入手し、標準的な手順に従って使用し得る(例えば、Martin et al(2001)Infect.Immun.,69(11):7067−73及びCompton et al.(2004)Comp.Med.54(6):681−89を参照されたい)。本開示によって企図される実験作業に好適な他のマウス株は、当業者には既知であり、Jackson Labから一般に入手可能である。当業者であれば、本開示の実施にも使用され得るモデル及び細胞株(例えば、炎症のモデル)に精通している。
血清IL−15濃度レベル及び曝露値は、当該技術分野で使用される標準的な方法によって決定してもよい。例えば、血清曝露レベルアッセイは、単純な毛細管の中に切り取ったマウスの尾から全血(約50μL/マウス)を収集し、血清と血液細胞とを遠心分離によって分離させ、標準的なELISAキット(例えば、R&D Systems)及び技法によってIL−15曝露レベルを決定することによって行うことができる。あるいは、または加えて、下記のELISAプロトコル(または類似のプロトコル)、変異タンパク質または修飾変異タンパク質のインビボ半減期を決定する手段として、ヒトIL−15の血清レベルを測定するように適合させることができる。
IL−15タンパク質:ヒトIL−15はR&D系から購入した(Minneapolis,MN、#247−IL/CF、受託#:P40933)。
ヒトIL−15検出ELISA。96ウェルプレート(Nunc Maxisorp #442404)を、100μL/ウェルのPBS+1μg/mLの抗ヒトIL−15 抗体(例えば、ATCC HB−12062、クローンM111、Manassas,VA)によって、4℃で一晩コーティングし、DPBS−Tween 20(Teknova #P0297)中で200μLで6回洗浄し、揺動プラットフォームにおいて室温で2時間、200μL/ウェルのPBS+5%BSA(Calbiochem #2960)中でブロッキングし、前述のように洗浄し得る。試料をPBS中で連続希釈し、100μL/ウェルをアッセイプレートに添加し得る。試料を2連または3連で泳動させ得る。陽性対照として、精製したヒトIL−15をスパイクインしてもよく、一方で、模擬トランスフェクションからの緩衝液または馴化培地を陰性対照として使用してもよく、これらの両方を連続希釈する。試料を揺動プラットフォームにおいて4℃で一晩インキュベートした後、前述のように洗浄し得る。100μL/ウェルのPBS+抗ヒト−IL−15抗体(例えば、ab7213、Abcam)を各ウェルに添加し、揺動プラットフォームにおいて室温で1時間インキュベートし、前述のように洗浄した後、100μL/ウェルのロバ抗ウサギIgG(H+L)−HRP(Jackson Immuno Research#711−035−152、1:10,000で希釈)を添加し、揺動プラットフォームにおいて室温でさらに1時間インキュベートし得る。プレートを記載のように洗浄し、100μL/ウェルの1−Step Ultra TMB−ELISA(Pierce/Thermo#34029)で1〜5分発達させた後、100μL/ウェルのStop Solution(Life Technologies#SS04)で停止させ得る。プレートを、450nmのMolecular Devices M2プレートリーダにおいて読み取り得る。
別のELISA形式は、既成のキットを含み得る(例えば、Human IL−15 Quantikine ELISA Kit(R&D Systems#D1500,Minneapolis,MN)中、製造業者のプロトコルに従う)。
CTLL−2細胞増殖アッセイ。Somanら(J Immunol Methods 348(1−2):83−94(2009 August 31))は、IL−15の生物学的活性を定量的に予測するための溶解性のCellTiter96 Aqueous One Reagent(Promega;Madison,WI)を使用するCTLL−2細胞の最適化したテトラゾリウム色素系比色細胞増殖アッセイを説明している。CTLL−2は、IL−2依存性マウス細胞株である。
Somanらによって説明されているものと実質的に類似しているCTLL−2細胞増殖アッセイを本明細書で使用して、IL−15の生物学的活性を決定した。端的には、CTLL−2細胞(ATCC TIB−214,Manassas,VA)を、10%のFBS及び10%のT−STIM(Corning#354115,Tewsbury,MA)を補充したRPMI 1640(Life Technologies,11875−093,Grand Island,NY)中で培養した。細胞を、10,000細胞/mL〜100,000細胞/mLの密度で、5%のCO2を補充して、37℃で維持し、細胞が対数期で成長しているとき(典型的には解凍から2〜3週間後;細胞生存性95%以上)に採取し、T−STIMを含まない20mLの成長培地で4回洗浄した(1000rpm、5分の遠心分離により)。次に、T−STIMを含まない100μLの成長培地中の25,000細胞/ウェルを、透明な96ウェル組織培養プレートに等分し、タンパク質を希釈する間、インキュベーターに戻した。IL−15試料をアッセイ培地中で8ng/mLの初期濃度に希釈し、続いて2倍希釈を行った後、100μLを96ウェル組織培養プレートのウェルに添加し、37℃、5%のCO2のインキュベーターに48時間戻した。48時間のインキュベーション期間の後、CellTiter96(登録商標)Aqueous One Solutionを添加し(20μL/ウェル)、懸濁液を37℃及び5%のCO2でさらに1〜4時間インキュベートした。プレートを490nmで読み取り、培地を含むウェルにおける背景読み値を試料ウェルの読み出し値から減算した。
M07e細胞増殖アッセイ。Kanakuraら(Blood 76(4):706−15(1990 August 15))、Calicetiら(PLoS One 7(7):e41246.doi:10.1371/journal.pone.0041246(2012))、及びZaunerら(BioTechniques 20:905−13(May 1996))は、増殖がIL−3またはGM−CSF依存性であるヒト白血病巨核球細胞株M07eを使用する細胞増殖アッセイを説明している。M07e細胞は、DSMZ(DSMZ No.ACC 104;Braunschweig,Germany)から購入してもよい。
M07e細胞株は、10%のFBS、rhGM−CSF(10ng/mL)、またはrhIL−3(10ng/mL)を補充したRPMI 1640培地(Gibco,Grand Island,NY)中で培養してもよく、あるいは細胞は、5%のFCS及び10ng/mLのIL3を補充したIMDM中で培養してもよい。MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(Sigma)の組込みを使用して、M07e細胞の因子誘導性の増殖を定量化し得る。端的には、M07e細胞の3連のアリコートを、平底マイクロタイタープレート(100μL/ウェル)において37℃で72時間培養し得る。MTTを培養の最後の4時間に添加してもよい(PBS中5mg/mLのMTT溶液10μL)。72時間目に、100μLの酸性イソプロパノール(イソプロパノール中0.04NのHCl)を全てのウェルに添加し、混合し、光学密度を540nmのマイクロELISAプレートリーダにおいて測定し得る。
野生型及び変異タンパク質ヒトIL−15の精製。抗ヒト−IL−15抗体(例えば、ATCC HB−12062、クローンM111、Manassasm,VA)をCNBr−activated Sepharose 4 Fast Flow(GE Healthcare #71−5000−15 AF、製造業者のプロトコルに従う)にカップリングさせ、PBS中で平衡化し得る。ガラス製のEcono−Column(Bio−Rad,Hercules,CA)中に含まれる馴化培地100mLあたり500μL〜1mLのM111−セファロースを添加し、揺動プラットフォームにおいて室温で1〜2時間インキュベートし得る。培地を、重力流によってカラムに泳動させ、1倍PBS(pH7.4)で1回洗浄し、0.1Mグリシン(pH2.9)で溶出させ、10体積%の1Mトリス緩衝液(pH8.0)で中和し得る。タンパク質を濃縮し、Amicon Ultra Centrifugal Filter Device(Millipore,Billerica,MA、分子量カットオフ5,000kD)を使用してPBS(pH7.4)へと緩衝液交換し得る。タンパク質濃度を280nmの分光光度計によって決定し得る。
SEC分析タンパク質。1100シリーズHPLC(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を使用して、20〜50μgのタンパク質をTSK3000swカラム(Tosoh Biosciences,Tokyo,JP)に注射し、PBS(pH7.4)で平衡化し、1mL/分の流量で泳動させ得る。
IL−15のペグ化
PEG(NOF Corporation,Japan)を、pH4〜8の100mMのNaClを含む50mMのリン酸塩中で10〜100mg/mLの濃度に希釈し、ヒトIL−15をpH7.4のPBS中2〜10mg/mLの濃度に希釈し得る。最終反応混合物は、PEG及びヒトIL−15を10:1〜2:1の割合範囲(PPA PEG:ヒトIL−15)で、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを5〜50mMの最終濃度で含んでもよい。反応物を4℃〜25℃で2〜48時間インキュベートし得る。所望のタンパク質種及び/または緩衝液交換を選択するために、ペグ化タンパク質をSECによって分割してもよく(前述の通り)、あるいはペグ化反応混合物中の非タンパク質種及び/または緩衝液交換の大部分を排除するために、PEG−IL−15反応混合物を限外濾過ステップに供してもよい(例えば、Millipore Labscale TFFシステムを、再生セルロース(PLCGC)膜と共に、5kDaの分子量カットオフで使用する)。
IL−15の修飾形態の生物活性を決定するためのアッセイ
`本開示は、本明細書に記載のIL−15分子の生物活性を決定するための当該技術分野で既知である任意のアッセイ及び方法の使用を企図する。これ以降に記載されるアッセイは、代表するものであって排他的ではない。
CD8+/CD4+T細胞アッセイ。活性化した初代ヒトCD8+及びCD4+T細胞は、PEG−IL−15で処理すると、IFNγ、Granzyme B、Perforin、及びTNFαを分泌する。以下のプロトコルは、これらのサイトカインの産生をスクリーニングするための例となるアッセイを提供する。ヒト初代末梢血単核細胞(PBMC)を、任意の標準的なプロトコルに従って単離し得る(例えば、Fuss et al.(2009)Current Protocols in Immunology,Unit 7.1,John Wiley,Inc.,NYを参照されたい)。2.5mLのPBMC(1000万細胞/mLの細胞密度にて)を、5%のCO2の加湿した37℃のインキュベーター中で、任意の標準的な組織培養処理済み6ウェルプレート(BD;Franklin Lakes,NJ)において、RPMI(Life Technologies;Carlsbad,CA)、10mMのHEPES(Life Technologies;Carlsbad,CA)、10%のウシ胎仔血清(Hyclone Thermo Fisher Scientific;Waltham,MA)、及びペニシリン/ストレプトマイシンカクテル(Life Technologies;Carlsbad,CA)を含む完全RPMIと共に、またはAIM−V無血清培地(Life Technologies#12055−083)中で、培養し得る。Miltenyi BiotecのMACS細胞分離技術を製造業者のプロトコル(Miltenyi Biotech;Auburn,CA)に従って使用して、CD8+及びCD4+ T細胞を単離し得る。T細胞を、24ウェル組織培養プレート(Costar#3526,Corning,NY)を抗CD3及び抗CD−28抗体(Affymetrix eBioscience;San Diego,CA)でコーティングし、1mlのAIM−V培地中の3E6細胞/ウェルを添加することによって活性化し得る。細胞を記載のように3日間成長させた後、収集し、2E6細胞/mLの密度で新たなAIM−Vに懸濁させ、250μL/ウェルを96ウェル組織培養プレート(Falcon#353072,Corning,NY)に等分し得る。ヒトPEG−IL−15を連続希釈し、1μg/mL〜0.01ng/mlの最終濃度でウェルに添加し、細胞を、5%のCO2の加湿した37℃のインキュベーター中で3日間インキュベートし得る。その後、培地を収集し、市販のELISA キットを使用し、製造業者のプロトコルに従って(例えば、Affymetrix Bioscience;San Diego,CA、またはR&D Systems,Minneapolis,MN)、IFNγ、Granzyme B、Perforin、及び/またはTNFαについてアッセイし得る。
NK細胞アッセイ。ヒトNK細胞をPBMC細胞から単離し(プロトコルは記載済み;完全RPMI中で培養)から単離し、Miltenyi BiotecのMACS細胞分離技術を製造業者のプロトコル(Miltenyi Biotech;Auburn,CA)に従って使用して同様に単離し得る。細胞を成長させ培養し(完全RPMIを使用、T細胞について説明した通り)、250μlの完全RPMI中、5E5細胞/ウェルで、96ウェルの組織培養プレート(Falcon#353072、Corning,NY)にプレーティングし得る。1〜3日間成長させた後、培地を、T細胞について説明したようにアッセイし得る。
腫瘍モデル及び腫瘍分析
当該技術分野で認められている任意の腫瘍モデル、アッセイ等を使用して、本明細書に記載のIL−15分子が種々の腫瘍に与える影響を評価することができる。これ以降に記載される腫瘍モデル及び腫瘍分析は、利用できるものの代表である。
合成マウス腫瘍細胞を、腫瘍接種あたり104、105、または106細胞で皮下または皮内注射する。Ep2乳腺癌、CT26結腸癌、皮膚のPDV6扁平上皮癌、及び4T1乳癌モデルを使用し得る(例えば、Langowski et al.(2006)Nature 442:461−465を参照されたい)。免疫担当性Balb/CまたはB細胞欠乏性Balb/Cマウスを使用し得る。PEG−mIL−15を免疫担当性マウスに投与し得、一方でPEG−hIL−15治療はB細胞欠乏性マウスにおいて行い得る。腫瘍を、治療開始前に100〜250mm3のサイズに到達させる。IL−15、PEG−mIL−15、PEG−hIL−15、または緩衝液対照を、腫瘍移植部から離れた部位に皮下投与する。腫瘍成長は、電子キャリパーを使用して、典型的には週に2回監視する。
腫瘍組織及びリンパ器官を種々の終点で採取して、ある数の炎症マーカーについてのmRNA発現を測定し、いくつかの炎症細胞マーカーについて免疫組織化学を行う。組織を液体窒素中で瞬間凍結させ、−80℃で貯蔵する。一次腫瘍成長は、電子キャリパーを使用して、典型的には週に2回監視する。腫瘍体積は、式(幅2×長さ/2)を使用して計算してもよく、式中、長さとは長い方の寸法である。腫瘍を、治療開始前に90〜250mm3のサイズに到達させる。
実施例1
ペグ化rHuIL−15分子のいくつかのシリーズを調製し、それらの活性を非ペグ化rHuIL−15の活性と比較した。本開示は、非ペグ化IL−15の特性よりも優れた特性を1つ以上有するペグ化IL−15分子を企図する。かかる特性の例には、非ペグ化IL−15に相当するかまたはそれを超える効能、延長した半減期及び/または他の有益な薬物動態パラメータ(例えば、約400/ng/mLの血清曝露を維持するのに十分なQW用量)、治療的に許容される安定性、ならびに効率的かつ費用効果的な製造性が挙げられる。
活性化PEGをNOF America Corp.(White Plains,NY)を入手し、標準的なペグ化手順及び条件を使用してrHuIL−15に抱合体化した(例えば、WO2014/172392を参照されたい)。表1に示すように、種々のPEG構造及びサイズ(MW)を含むいくつかのIL−15 PEGシリーズを生成し評価した:シリーズ1:線状PEG;シリーズ2:2−arm分岐状PEG;シリーズ3:3−arm分岐状PEG;シリーズ4:二官能性PEG;及びシリーズ5:四官能性(スター)PEG。別途指示されない限り、各シリーズにおいて、IL−15はそのN末端部でペグ化した。
上記の方法を使用して、EC50値(ng/mL)を計算し、各分子の効能を決定し、非ペグ化rHuIL−15に対する各分子の最大活性のパーセンテージを決定した(すなわち、受容体飽和時に測定した最大吸光度プラトーを非ペグ化IL15最大吸光度プラトーのパーセンテージとして計算した)。
データにより、シリーズ3、シリーズ5、及びシリーズ2におけるペグ化IL−15分子(例えば、20kDaのPEG)が好ましい効力を保有することが示された。非ペグ化IL−15及びシリーズ1分子に対するシリーズ3分子の生物活性における増加は、特にPEGのサイズの観点から驚異的なものであった。表1における特定のシリーズ3分子については、以下の式を参照して、x=y−20kDa、及びw=10kDaである。
本明細書の他箇所に記載されるように、本開示は、シリーズ3分子とみなされ得る他のPEGサイズ分布(例えば、w=20kDa及びx=y=15kDa)を企図する。
表1に示されるシリーズ2分子の各々において、以下の式を参照して、PEGの全体サイズは、例が本明細書に記載されるリンカーのMWがx及びyのMWに対してごくわずかであるため、xのMW+yのMWに帰せられる。例として、表1の20kDa分子については、x=y=10kDaである。
表1に示されるように、40kDa、60kDa、及び80kDaのペグ化IL−15分子の効能は、20kDa分子の効能を劇的に下回った。
本明細書の他箇所に記載されるように、本開示は、シリーズ2分子とみなされ得る他のPEGサイズ分布を企図する。例として、20kDaのPEGを含む分岐状PEG IL−15分子について、いくつかの実施形態では、x及びyは、各々、10kDaであり得、他の実施形態では、xは5kDaであり得、yは15kDaであり得る。リンカー及びPEGの例が本明細書に記載される。
表1における特定のシリーズ5分子(四官能性PEG IL−15分子)については、以下の式を参照して、A
1A
2A
3A
4複合体は、4つのIL−15の各々に共有結合する20kDaのPEGを表す。各A
1、A
2、A
3及びA
4は、5kDaである。PEGは、任意選択で、リンカーを通してIL−15のうちの1つ以上に結合してもよい。
四官能性PEGシリーズ5分子は適度な効能を保有したが、かかるスターPEGは製造性及び安定性に関連する課題を提示する(データ割愛)。
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が本明細書に記載される。前述のもの、説明を読むと、開示される実施形態の変形が当業者には明らかとなり得、当業者らは、適宜かかる変形を用い得ることが予期される。したがって、本発明は、本明細書に具体的に記載されているものとは別なように実施され得ること、及び本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての改変及び均等物を含むことが意図される。さらに、本明細書中で他に指示されない限り、あるいは文脈によって明らかに否定されない限り、それらの全ての考え得るバリエーションにおける上記要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、受託番号、及び他の参照文献は、各個別の刊行物または特許出願が、明確かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。