本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本書に記載するリソグラフィ装置は、例えば集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドの製造といった他の用途も有しうることが理解されよう。当業者であれば、このような代替的な用途において、本書における「ウェハ」または「ダイ」の用語の任意の使用がより一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」のそれぞれと同義とみなされうることが理解されよう。本書で参照される基板は、露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、および/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用されうる。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本書における基板という用語はすでに処理されている多数の処理層を含む基板をも意味しうる。基板は、基板テーブルにより保持されてよい。
本書で用いられる「放射」および「ビーム」の用語は、いかなる種類の電磁的な放射を包含し、紫外(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmまたは126nm)、極短紫外(EUV)放射(例えば4−20nmの範囲の波長を有する)、および、イオンビームや電子ビームといった粒子ビームを含む。
本書で用いる「パターニングデバイス」の用語は、放射ビームの断面にパターンを付与して基板のターゲット部分にパターンを生成するように用いることのできる任意のデバイスを称するものとして広く解釈されるべきである。放射ビームに付されるパターンは、例えば、パターンが位相シフトフィーチャやいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンと正確に一致しなくてもよいことに留意されよう。一般に、放射ビームに付されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイス内の特定の機能層に一致するでろう。
パターニングデバイスは、透過型でもよいし、反射型でもよい。パターニングデバイスの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルを含む。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、および、様々なハイブリッド型マスクを含む。プログラマブルミラーアレイの例は、小さなミラーのマトリックス状配置を採用し、各ミラーは入射する放射ビームを異なる方向に反射させるように個別に傾斜することができる。傾斜されるミラーは、ミラーマトリックスにより反射される放射ビームにパターンを付与する。このようにして、反射されるビームがパターン化される。
サポート構造は、パターニングデバイスを保持しうる。サポート構造がパターニングデバイスを保持する態様は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否かといった他の条件に依存しうる。サポート構造は、機械式、真空式、静電式または他の固定技術を用いてパターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、フレームまたはテーブルであってもよく、例えば、必要に応じて固定式または可動式であってもよく、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを確実にする。本書での「レチクル」または「マスク」の用語の任意の使用は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義とみなされてよい。
本書で用いる「投影システム」の用語は、用いられる露光放射や、液浸液の使用または真空の使用といった他の要素について適切であれば、屈折型光学システム、反射型光学システムおよび屈折反射型光学システムを含む、任意の形式の投影システムを包含するもの広く解釈されるべきである。本書での「投影レンズ」の用語の任意の使用は、より一般的な用語である「投影システム」と同義とみなしてもよい。
「照明システム」の用語は、放射を方向付け、成形し、または、制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型または他の形式の光学素子、もしくは、これらの任意の組み合わせといった様々な形式の光学素子も包含しうる。このような素子は、以下で一括してまたは個別に「レンズ」と称されてもよい。
リソグラフィ装置は、二つの基板ステージ(デュアルステージ)またはそれより多くの基板テーブル(および/または二以上のサポート構造)を有する形式であってよい。このような「マルチステージ」の機械において、追加のテーブルが並行して用いられてよいし、または、準備ステップが一以上のテーブルで実行される間に一以上の他のテーブルが露光に用いられてもよい。
リソグラフィ装置は、基板が比較的高屈折率を有する液体(例えば水)で浸され、投影システムの最終素子と基板の間の空間が満たされる形式であってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増大するための技術として周知である。
図1は、本発明の具体的な実施の形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射(例えばUV放射またはEUV放射)のビームPBを調整する照明システム(イルミネータ)ILと;パターニングデバイス(例えばマスク)MAを保持し、パターニングデバイスを投影システムPLに対して正確に位置決めする第1位置決め装置PMに接続されるサポート構造MTと;基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持し、基板を投影システムPLに対して正確に位置決めするための第2位置決め装置PWに接続される基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと;パターニングデバイスMAにより放射ビームPBに付与されるパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば一以上のダイを備える)に結像させるよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズ)PLと;リソグラフィ装置の一以上の構成要素を制御し、および/または、リソグラフィ装置に関連する一以上の特性を計算するよう構成されるコントローラCNと;を備える。
図示されるように、装置は透過型である(例えば透過型マスクを用いる)。代わりに、装置は反射型であってもよい(例えば、上述したような形式のプログラマブルミラーアレイを用いる)。
照明システムILは、放射のビームを放射源SOから受ける。放射源およびリソグラフィ装置は、例えば放射源がエキシマレーザである場合、別体であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとみなされず、放射ビームは、放射源SOからイルミネータILに向けて、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDの助けを借りて通過する。別の場合、放射源がリソグラフィ装置の一体的な部分であってもよい。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じて、ビームデリバリシステムBDとともに放射システムと称されてもよい。
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するよう構成されるアジャスタAMを含んでもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の外側半径範囲および/または内側半径範囲(通常それぞれσアウタおよびσインナと称される)を少なくとも調整できる。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといった様々な他の要素を含んでもよい。照明システムは、断面に所望の均一性および強度分布を有する放射の調整されたビームPBを提供する。
放射ビームPBは、サポート構造MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。パターニングデバイスMAを通過すると、放射ビームPBは、基板Wのターゲット部分Cにビームをフォーカスさせる投影システムPLを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば干渉計装置)の助けを借りて、例えば放射ビームPBの経路上に異なるターゲット部分Cが位置するように基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(これは図1に明示されていない)を用いて、例えばマスクライブラリからの機械検索後またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、対象物テーブルMTおよびWTの動きはロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現され、これらは位置決め装置PMおよびPWの一部を形成するであろう。しかしながら、(スキャナとは対照的に)スキャナの場合、サポート構造MTはショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよいし、固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1,M2および基板アライメントマークP1,P2を用いてアライメントされてよい。
図示される装置は、以下の好ましいモードで用いることができる。
1.ステップモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTが実質的に静止状態とされる間、ビームPBに付与されたパターンの全体がターゲット部分Cに1回で投影される(つまり、単一静的露光)。基板テーブルWTはその後、X方向および/またはY方向にシフトされ、異なるターゲット部分Cを露光できる。ステップモードにおいて、露光フィールドの最大サイズは、単一静的露光にて結像されるターゲット部分Cのサイズを制限する。
2.スキャンモードでは、サポート構造MTおよび基板テーブルWTが同期してスキャンされる間、ビームPBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(つまり、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの拡大(縮小)特性および像反転特性により決定されうる。スキャンモードにおいて、露光フィールドの最大サイズは、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向の)幅を制限する一方で、スキャン動作の長さは、ターゲット部分の(スキャン方向の)高さを決定する。
3.別のモードでは、サポート構造MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態を維持し、基板テーブルWTが移動またはスキャンされる間、ビームPBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される。このモードにおいて、一般にパルス放射源が用いられ、基板テーブルWTの各移動の後またはスキャン中の一連の放射パルスの間に必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
放射源SOは、コヒーレンス長を有する空間的コヒーレンスおよびコヒーレンス時間を有する時間的コヒーレンスを示す放射を出力しうる。例えば、放射源SOがレーザ(例えばエキシマレーザ)を備える実施の形態において、出力されるレーザビームは空間的および時間的コヒーレンスを示しうる。照明システムILおよび/または投影システムPSにおいて、放射源SOから出力される放射ビームの異なる部分からの放射は一緒に混合されうる。放射ビームの空間的コヒーレンスは、一緒に混合される放射ビームの異なるビームを互いに干渉させ、干渉パターンを形成させうる。特に、スペックルとして一般的に知られる干渉効果が生じうる。スペックルは、一連の波面の相互干渉により生じる放射ビームの強度の位置変化である。例えば、リソグラフィ装置の結像面内の放射は干渉しうる。その結果、干渉パターンは結像面内に形成される。干渉パターンはスペックルパターンと称されうる。基板Wは、典型的にリソグラフィ装置LAの結像面内に実質的に位置する。したがって、結像面内のスペックルパターンは、基板Wに露光される放射の空間強度プロファイルに影響を及ぼすであろう。
リソグラフィプロセス中、基板上の異なる位置で受ける放射のドーズを制御することが望ましい。基板上のある点で受ける放射のドーズは、その点に放射が露光される時間にわたってその点が受ける放射の強度の積分値である。
時間的な一点において、基板W上の異なる位置は、静的スペックル(瞬間的なスペックルパターン)に起因して放射の異なる強度を受けうる。しかしながら、スペックルパターンは時間とともに変化しうる。スペックルパターンが変化する間の時間スケールは、放射ビームのコヒーレンス時間である。コヒーレンス時間よりも長いある時間期間(露光時間)にわたって基板のある領域が放射に露光されれば、スペックルパターンは露光時間中に何回も変化するであろう。これは、時間の経過とともにスペックルパターンの影響を平滑化し、その結果、基板Wの露光領域を横切る異なる位置で受ける放射のドーズに比較的小さな変化のみを生じさせうる。
しかしながら、露光時間がコヒーレンス時間と同程度以下であれば、スペックルパターンは露光時間中に変化しないかもしれず、または、数回しか変化しないかもしれない。その結果、基板Wの露光領域の異なる部分は、スペックルに起因して異なる放射のドーズを受けるかもしれない。
放射源SOがパルス放射ビームを提供する実施の形態において、放射ビームのコヒーレンス時間は放射ビームの単一パルスの期間より短いかもしれない。したがって、二以上のスペックルパターンが放射ビームの単一パルス中に生じるであろう。いくつかの実施の形態において、露光期間は放射ビームの複数のパルスを含みうる。これは、基板上のある点に露光されるスペックルパターンの総数を増大させるよう機能し、これにより、単一の露光期間にわたって見られるスペックルの影響を時間的に平均化させうる。
いくつかの実施の形態において、放射の単一パルスは多くの独立したスペックルパターンを含みうる。例えば、放射の単一パルス中の独立したスペックルパターンの数は、10より大きいかもしれない。いくつかの実施の形態において、放射の単一パルス中の独立したスペックルパターンの数は約25、約50または約100より大きいかもしれない。
本書での「露光時間」への言及は、基板上のある点に放射が露光される間の時間の総量を指すことが意図される。パルス放射源が用いられる実施の形態において、露光時間は基板上の所定点に露光される放射のパルスの全てにわたる時間の積分値に等しい。露光時間は、放射パルスの間の時間を含まない。
本書での「露光期間」への言及は、基板上の所定点が放射(例えば放射のパルス)を受ける時間期間を指すことが意図される。露光期間は、例えば、多数の放射パルスおよび放射パルスの間の時間を含みうる。
基板Wを横切る放射のドーズの位置変化は、基板W上にパターン化されるフィーチャに影響を及ぼしうる。例えば、基板Wには(例えばトラックと称されるツールを用いて)レジストの層が設けられうる。レジストの領域はリソグラフィ露光中に放射で露光され、これによりレジストの露光領域に状態変化を生じさせる。レジストは、その後、エッチングプロセスの実行により現像され、(状態変化を受けている)レジストの露光領域または(状態変化を受けていない)レジストの非露光領域のいずれかが除去されうる。レジストのいくつかの領域のエッチングは、レジストにパターン化されるフィーチャを生じさせる。レジスト内のパターンフィーチャは、例えばレジストが除去されている基板Wの部分をエッチングすることにより、基板Wにフィーチャをパターン化するためのマスクを形成しうる。
レジストにパターニングされ、その後に基板Wにパターニングされるフィーチャの寸法は、(基板Wにて)レジストが受ける放射のドーズに依存する。例えば、いくつかの実施の形態において、一以上のラインフィーチャは、レジストにパターニングされ、その後に基板Wにパターニングされうる。ラインフィーチャの幅WLは、基板Wが受ける放射のドーズに依存する。リソグラフィ・フィーチャの幅WLは、代わりにリソグラフィ・フィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)と称されてもよい。
一般に、二つの異なる種類のレジストが基板W上にパターンを形成するために用いられうる。この二つの異なる種類のレジストは、ポジ型およびネガ型レジストとも称されうる。ネガ型レジストは、放射で露光されるときに状態変化を受け、レジストの露光された部分がエッチングプロセス中にエッチングによる除去に耐えて基板上に残るように構成される。放射に露光されていないレジストの部分は、エッチングプロセス中にエッチングにより除去される。ネガ型レジストを用いる場合、基板が受けるドーズの増加はラインフィーチャの幅WLを増加させ、受けるドーズの減少はラインフィーチャの幅WLを減少させるであろう。
ポジ型レジストは、放射で露光されるときに状態変化を受け、レジストの露光された部分がエッチングプロセス中にエッチングにより除去されて基板Wから除去されるように構成される。放射に露光されないレジストの部分は、エッチングによる除去に耐えて基板W上に残る。したがって、エッチングプロセスの間、放射で露光されるレジストの部分は、エッチングプロセス中にエッチングにより除去される部分となる。ポジ型レジストを用いる場合、基板Wが受けるドーズの増加はライン幅WLを減少させ、受けるドーズの減少はラインフィーチャの幅WLを増加させるであろう。
本書に記載される方法は、基板Wが受ける放射のドーズを基板W上の位置の関数として決定することを探求する。これは、ポジ型レジストまたはネガ型レジストのいずれかの使用を通じて達成されうる。なぜなら、双方の形態のレジストの使用時に、ライン幅WLが受ける放射のドーズに依存するためである。したがって、露光されたラインフィーチャのライン幅WLのラインフィーチャに沿った位置の関数としての測定値は、ラインフィーチャに沿った各位置で受ける放射のドーズを決定するために用いられうる。
上述の説明から理解されるであろうように、(例えばスペックルにより生じる)基板W上の異なる位置で受ける放射のドーズの変化は、ラインフィーチャに沿った異なる位置が異なる放射のドーズを受けることを生じさせうる。ラインフィーチャに沿った受けるドーズの変化は、ラインに沿った異なる位置でのラインフィーチャの幅の変化につながりうる。
ラインの長さに沿ったラインフィーチャの幅の変化は、ライン幅粗さとも称されうる。ライン幅粗さは、リソグラフィ・フィーチャを特徴付けるのに用いる一般的な尺度である。上述したように、干渉、特にスペックルは、リソグラフィ装置LAにおいて、リソグラフィ装置LAにより形成されるリソグラフィ・フィーチャのライン幅粗さに影響を及ぼしうる。
リソグラフィ・フィーチャのサイズ(一般にクリティカルディメンジョンとも称される)の低減に対して増大する要求が存在する。クリティカルディメンジョンが低減するにつれて、ライン幅粗さの影響はますます重要な要素となり、ライン幅粗さに対する寄与を理解し、定量化することが望まれる。たいていの場合、ライン幅粗さに寄与する多数の異なる影響が存在し、これらの影響を分離することは困難であるかもしれない。特にライン幅粗さに対するスペックルの寄与を評価することは、ライン幅粗さに寄与する多数の確率的影響によって困難となる。ライン幅粗さに寄与する他の確率的影響は、例えばリソグラフィ露光中に用いられるレジスト内で生じる化学プロセスに関連する影響を含みうる。
リソグラフィ装置LAのいくつかの使用において、放射源SOにより提供される放射の帯域幅を減少させること、および/または、1回の露光期間中に放射源SOから出力される放射のパルス数を減少させることが望まれるかもしれない。放射の帯域幅を減少させることは、たいていの場合、放射に関連するコヒーレンス長およびコヒーレンス時間を増加させ、したがって、スペックルにより生じるドーズ変化を生じさせうる(コヒーレンス時間は、コヒーレンス長を光速で割ったものに等しい)。露光期間の放射のパルス数を減少させることは、放射で露光される基板W上の所定点への総露光時間を減少させるであろう。これは、基板上の所定点で見られる独立したスペックルパターンの数を減少させるであろうから、基板上のその点で受ける放射のドーズへのスペックルの影響を増加させうる(コヒーレンス時間が同じままであると仮定する)。したがって、ライン幅粗さへのスペックルの寄与は、帯域幅および/またはパルス数の低減が企図される状況では特に重要となりうる。
たいていの場合、リソグラフィ装置におけるスペックルの影響を決定することが望ましい。例えば、リソグラフィ装置LAにより基板Wに形成されるリソグラフィ・フィーチャの変化に対するスペックルの寄与を決定することが望ましいかもしれない。例えば、リソグラフィ装置LAにより基板Wに形成されるラインフィーチャのライン幅粗さに対するスペックルの寄与を決定することが望ましいかもしれない。
リソグラフィ装置LAにおけるスペックルの影響を決定することは、スペックルの影響をより良く理解することを可能にし、リソグラフィ装置LAの他の特性を選択するときにスペックルを適切に考慮することを可能にする点で有利である。例えば、スペックルの影響を理解することは、スペックルの影響を考慮しながら、放射源SOから出力される放射の帯域幅および/またはパルス数の選択を可能にする点で有利でありうる。
スペックルは、スペックルコントラストCを用いて定量化されることが多い。スペックルコントラストCは、領域を横切る放射強度の標準偏差σを領域を横切る平均放射強度Iで割ったものとして定義され、式(1)により与えられうる。
ここで、Nは、単一露光期間中に所定点に露光される独立したスペックルパターンの数である。放射源SOがレーザビームを出力するレーザを備える実施の形態において、独立したスペックルパターンの数Nは、所定の露光期間中にレーザが動作する独立したレーザモードの数に等しい。
上述したように、リソグラフィ・フィーチャの変化(例えばライン幅粗さ)に対するスペックルの寄与を決定することは、確率的影響といったリソグラフィ・フィーチャの変化を生じさせる他の寄与により複雑化する。本書で企図する本発明の実施の形態は、スペックルの影響をリソグラフィ装置LAの結像面(露光される基板が実質的に位置する平面)内の限定された空間周波数に制限することによりスペックルの寄与を他の影響から分離することを探求する。
リソグラフィ装置の結像面内の異なる空間周波数は、信号処理分析用いて分析されうる。リソグラフィ・フィーチャの位置の関数としての一以上の寸法は、異なる空間周波数にて異なる寄与を有する系列(シリーズ)として処理されうる。例えば、ラインフィーチャに沿った異なる位置でのラインフィーチャのライン幅WLは、系列として処理されうる。図2は、基板Wに形成されるリソグラフィ・ラインフィーチャ11a,11bの画像である。図2に示される画像は、電子顕微鏡を用いて取得した。第1リソグラフィ・ラインフィーチャ11aおよび第2リソグラフィ・ラインフィーチャ11bのエッジが検出されており、図2において実線でマークされる。リソグラフィ・フィーチャ(リソグラフィ・ライン11a,11bなど)は、適切な画像処理技術を用いて検出されうる。
いったんリソグラフィ・ライン11a,11bが検出されると、検出されたエッジ間の距離が決定されうる。検出されたエッジ間の距離はライン幅であり、図2で符号WLが付される。図2で分かるように、リソグラフィ・ラインフィーチャのライン幅WLは、x軸に沿った位置の関数として変化する。x軸は、リソグラフィ・ラインが延びる方向にほぼ平行に走る。各ライン11a,11bの異なるx位置でのライン幅WLは、異なる空間周波数で異なる寄与を有する系列を形成する。
図3は、空間周波数(ミクロン)の関数として複数のライン幅WL系列の平均パワースペクトル密度を示す。図3に示されるものは、ライン幅系列に対する異なる空間周波数での寄与を示し、異なるx位置でのライン幅WLで構成される。ライン幅WL系列のパワースペクトル密度は、スペックルにより生じる寄与およびスペックル以外の影響により生じる寄与を含む。本書で企図される本発明の実施の形態は、スペックルにより生じる寄与を他の寄与から分離し、スペックルにより生じる変化を導出することを探求する。
図4は、位置オフセット(ミクロン)の関数としてライン幅系列の自己相関関数(百分率で表現される)を示す。自己相関関数は、二つの系列の類似性の指標である。図4に示されるケースにおいて、第1ライン幅系列は同一である第2系列と比較される。第1系列および第2系列は互いに異なる距離だけオフセットしており、二つの系列間の自己相関はオフセットごとに計算されている。図4は、第1系列と第2系列の間で異なる位置オフセットで計算された自己相関関数を示す。
大きな中心最大値13は、図4の0μmのオフセット付近に見られる。この中心最大値13は、第1系列および第2系列が同じ(これらの間でオフセットがないため)であり、したがって系列が高い相関を有する状況を示す。中心最大値13は、ライン幅系列の総分散(標準偏差σの2乗)に等しい。中心最大値13の両側には、第1極大値15aおよび第2極大値15bが見られる。第1および第2極大値15a,15bは、(他の周囲のオフセットと比較したときに)第1系列と第2系列の間で増大した相関が存在する位置オフセットを示す。
(図3に示されるような)異なる周波数でのライン幅系列のパワースペクトル密度および/または(図4に示されるような)異なるオフセットでのライン幅系列の自己相関は、いくつかの実施の形態において、ライン幅系列を一以上の空間周波数で分析するために用いられうる。スペックルの寄与が限られた空間周波数に制限されれば、パワースペクトル密度および/または自己相関関数といったツールは、スペックルの影響を他の確率的影響から分離するために用いられうる。
光学システムの結像面内のスペックルコントラストの自己相関と、光学システムの照明瞳面内の放射の強度プロファイルとの間にはフーリエ関係が存在する。このフーリエ関係は、結像面内のスペックルの寄与を限られた空間周波数に制限するために用いられうる。例えば、照明瞳内の放射が周期的な強度プロファイルを有していれば、これは結像面内のスペックルの寄与を限られた空間周波数に制限するよう機能する。この限られた空間周波数は、照明瞳内の強度プロファイルの周期により決定される。
図5は、リソグラフィシステムの照明瞳内の放射の強度プロファイルを概略的に示す。図5の明るい部分は高強度を示し、暗い部分は低強度を示す。照明瞳は、対物面内に位置するパターニングデバイスMAの照明を決定する瞳面である。照明瞳は、パターニングデバイスMAが位置する対物面とフーリエ関係を有する。つまり、照明瞳内の放射の空間強度プロファイルは、対物面内の放射の角度強度プロファイルを決定する。
照明システムILは、照明瞳内の空間強度プロファイルを制御するよう動作可能であり、これにより、パターニングデバイスMAを照明する角度強度プロファイルが制御される。例えば、典型的なリソグラフィ露光中、照明システムILは、照明瞳内の放射の空間範囲を(例えば二重極または四重極配置の)複数の極領域に限定し、多重極照明モードを形成するよう構成される。多重極照明モードは、パターニングデバイスMAが一以上の離散的な角度範囲から照明されるようにする。
図5に示される照明瞳は、図5に示されるようにx方向に周期的な強度プロファイルを有する。図5に示される実施の形態において、強度はx軸上の位置の正弦関数である。正弦関数は周期PPを有する。正弦関数は、例えば、照明瞳のx中心位置(図5のx=0)にて放射強度が実質的に極大または極小となるようなコサイン関数でありうる。放射強度は照明瞳内の任意の位置で負になり得ないことが理解されるであろう。実際には照明瞳内のx位置の関数としての放射強度は1+cos(x)に比例しうる。このような強度分布は、正弦関数の例およびコサイン関数の例と考えられる。
y軸上の位置の関数としての強度は、y中心位置(図5のy=0)を中心としたガウス分布にしたがう。y方向についてガウス分布を用いることは、照明瞳内の放射のy範囲をy領域の中心領域に制限する。本書で用いられるy方向は、基板Wおよび/またはパターニングデバイスMAが相対的にスキャンされるスキャン方向を示す。本書で用いられるx方向は、スキャン方向に直交する非スキャン方向を示す。
本書に記載される方法の目的のため、基板Wにて等焦点(アイソフォーカル)動作が生じることが望ましい。アイソフォーカル動作とは、結像面を横切って焦点の変化に起因するライン幅WLの変化が導入されないことを意味する。その結果、ライン幅WLの変化は、ドーズの変化に固有となることができ、焦点の変化によっては生じない。これは、ライン幅WLの変化の測定を可能にし、ドーズの変化の決定に用いることを可能にする。
アイソフォーカル動作は、y方向の放射の(照明瞳内の)範囲を制限し、y方向の放射の強度プロファイルをy中心位置yCについてセンタリングすることにより実現されうる。しかしながら、y方向の放射の範囲が小さすぎれば、照明システムILにて局所的に放射強度が高い値となりうるため、照明システムの構成部品にダメージを生じさせうる。したがって、y方向の放射の範囲は、照明瞳のy範囲の約3%以上となりうる。
y方向の放射の範囲が照明瞳の中心領域に制限される一方で、放射はパターニングデバイスMAを通過するため、一以上の回折次数が形成されうる。例えば、放射はパターニングデバイスMAのラインフィーチャを通過し、−1次、0次および+1次の回折次数を形成しうる(高次の回折次数も形成しうる)。投影システムPLの瞳面内において、回折次数はy方向に分布し、y方向の放射の範囲がもはやy中心領域に限定されず、y中心領域の両側に位置する+1次および−1次の回折次数も含むようになりうる。アイソフォーカル動作を維持するため、投影システムPLを通過する回折次数を+1次、0次および−1次の回折次数に制限することが望ましいかもしれない。これは、例えば、パターニングデバイスMA上のフィーチャのピッチを投影システムPLの開口数NAに対して選択することにより実現されうる。パターニングデバイスMA上のフィーチャのピッチは、例えば、λ/NAより大きく、かつ、2λ/NAより小さくすることができ、ここでλは放射の波長である。さらに、低い露光ドーズでアイソフォーカル動作が維持されるようにパターニングデバイスMA上のフィーチャのデューティサイクルを選択することが望ましいかもしれない。
パターニングデバイスMAは、例えば、約160nmのピッチを有するフィーチャを含んでよい。放射の波長λは、約193nmであってよく、投影システムの開口数NAは約1.35であってよい。このような実施の形態において、約160nmのピッチは、λ/NAより大きく、2λ/NAより小さい。ある実施の形態において、各ピッチは、例えば、約120nmの幅を有する透過領域と約40nmの幅を有する減衰領域を含みうる。これは、低い露光ドーズでアイソフォーカル動作が維持されるデューティサイクルを提供しうる。
代替的な実施の形態において、パターニングデバイスMAは、例えば、上述のパターニングデバイスよりも高いコントラストを提供するよう構成されるレベンソン型位相シフトマスクを備えてもよい。ある実施の形態において、レベンソン型位相シフトマスクは約160nmのピッチを持つグレーティングを備えうる。放射の波長λは約193nmであり、投影システムの開口数NAは約1.35でありうる。レベンソン型位相シフトマスクの1周期は、40nm幅の第1減衰部分、40nm幅の第1透過部分、40nm幅の第2減衰部分および40nm幅の第2透過部分を備えうる。第2透過部分は、入射放射に対して180°の位相シフトを付与するよう構成されてよく、第1透過部分は位相シフトを付与しないように構成されてよい。このレベンソン型位相シフト構成は、0次回折を減衰させるよう機能し、その結果、基板W上に形成される像のコントラストを増大させる(1次回折の放射は減衰されない)。0次回折の減衰は、その次数の放射の平均電界がゼロになるため、0次回折を実質的に除去しうる。基板で形成される像のコントラストを増加させるのに加えて、0次回折を除去することは、基板で形成されるグレーティング像のピッチを半分にする点においても有利である。
別の代替的な実施の形態において、パターニングデバイス(NA)は、例えば、減衰部分を含まないレベンソン型位相シフトマスクとして形成されるグレーティングを含んでよい(つまり、マスクフィーチャは、相対的な位相シフトを付与する全体的領域を備える)。
図5に示される照明瞳の強度プロファイルは、x方向に周期的であり、x方向に延在するラインフィーチャを露光するために用いられる。代替的な実施の形態において、y方向に延在するラインフィーチャが露光されてもよい。このような実施の形態において、照明瞳は(図5に示されるような)x方向とは対照的にy方向に周期的であってよい。y方向の強度は、x中心位置にセンタリングされたガウス分布にしたがってよい。
照明瞳内の強度プロファイルは、照明システムILを制御することにより確立されてよい。照明システムILは、例えば、向きが調整されうるミラーのアレイを備えうる。ミラーのアレイの各ミラーは、放射源SOから提供される放射ビームの部分を受け、ミラーの向きにしたがって放射ビームの受けた部分を方向付けしうる。ミラーの向きは、照明瞳内の所望の空間強度プロファイルを形成するように構成されてよい。例えば、ミラーの向きは、図5に示される空間強度プロファイルを形成するように構成されてよい。
図5に示される実施の形態において、照明瞳はx方向に9個の周期PPを含む。他の実施の形態において、照明瞳は、x方向に9より多いまたは9より少ない周期PPを含んでもよい。照明瞳は、x方向に整数個の周期PPを含むことが望ましいかもしれない。いくつかの実施の形態において、照明システムILは、照明瞳内で対称な空間強度プロファイルを形成するよう制限されうる。例えば、照明システムILは、x中心位置について鏡面対称性を示す、および/または、y中心位置について鏡面対称性を示す空間強度プロファイルを形成してもよい。照明瞳の対称性は、x方向に取りうる周期PPの数を偶数の周期に制限しうる。
たいていの場合、照明瞳内の空間強度分布は、全体でK個の周期を含みうる。いくつかの実施の形態でKは整数である。いくつかの実施の形態でKは偶数である。照明瞳内の周期の数Kは2より大きくてよい。いくつかの実施の形態において、照明瞳内の周期の数Kは5以上であってよい。いくつかの実施の形態において、照明瞳内の周期の数Kは17以下であってよい。
上述したように、(図5に示されるように)瞳面内で周期的な空間強度プロファイルを提供することは、基板Wが位置する結像面内でスペックルの影響を限られた空間周波数に制限するよう機能する。(基板Wが位置する)結像面内でスペックルの影響が視認可能となる空間周波数は、周期PSを有する。スペックルの影響が視認可能となる周期PSは、式(2)に係る照明瞳内の空間強度プロファイルの周期に関連する。
ここでλは放射源SOにより提供される放射ビームの波長であり、NAは投影システムPLの開口数であり、Kは照明瞳内の周期PPの数である(上で述べたのと同様である)。
図6は、ライン幅系列に関連する自己相関関数を示し、これは周期的な照明瞳(例えば図5に示される照明瞳)を用いるリソグラフィ・ラインフィーチャの露光から生じる。図4を参照しながら上で説明したように、自己相関関数は、同一の系列間(これらの間でずれがない)の高い相関性に起因して、0の位置ずれでセンタリングされる大きな中心最大値13を含む。中心最大値13の両側には第1極大値15aおよび第2極大値15bが位置する。第1および第2極大値15a,15bは、(中心最大値13がセンタリングされる)0の両側に距離PSで位置し、ライン幅系列が自身から距離PSだけオフセットされるときに増大する相関を示す。第1および第2極大値15a,15bにて示される増大する相関は、K個の周期を含む周期的な照明瞳により1/PSの周波数でセンタリングされる限られた空間周波数に制限されたスペックルの影響により生じる。したがって、第1および第2極大値15a,15bは、基板Wでのスペックルの指標を提供しうる。例えば、第1および第2極大値15a,15bの高さHLは、ライン幅粗さに対するスペックルの寄与を示しうる。
1/PSの空間周波数でのスペックルの寄与は、周波数の関数としてのライン幅系列のパワースペクトル密度の図(不図示)にて視認可能となるであろう。スペックルの影響は、l/PSの空間周波数にてパワースペクトル密度の極大値をもたらすであろう。ここで、lは正の整数であり、l≦Kである。
図7は、多数の異なるライン幅系列に関連する自己相関関数を示す。図7に示される異なるライン幅系列は、異なる照明瞳を用いるラインフィーチャの露光により生じるライン幅を示す。図7に示される第1曲線101は、周期的ではない照明瞳を用いる場合の参照露光を示す。第2曲線103は、照明瞳内で5個の周期(K=5)を有するよう実行される露光を示す。第3曲線105は、照明瞳内で9個の周期(K=9)を有するよう実行される露光を示す。第4曲線107は、照明瞳内で13個の周期(K=13)を有するよう実行される露光を示す。第5曲線109は、照明瞳内で17個の周期(K=17)を有するよう実行される露光を示す。
図7に示される自己相関関数のそれぞれは、第2極大値15bを示す。自己相関関数は第1極大値も示すが、図7には示されていない。図7に見られるように、極大値15bの高さは異なる照明瞳について異なっている。上述のように、極大値の位置は、スペックルの影響が視認可能となる周期PSである。周期PSは上述の式(2)により与えられ、照明瞳内の周期数Kに依存する。したがって、極大値15bの位置は、図7で見られるように、照明瞳内の異なる周期数Kについて異なる。
図8は、照明瞳内の異なる周期数Kを用いるときに観察される異なる極大値15bの位置を示す。極大値15bの位置は、スペックルの影響が視認可能となる周期PSに相当する。図8に示されるデータは、照明瞳内の異なる周期数Kを用いて多数の異なるラインフィーチャを露光することにより得られる。基板Wのラインフィーチャは、走査型電子顕微鏡を用いてラインフィーチャの画像を生成することで観察した。画像は、ラインフィーチャのエッジを検出してラインに沿った異なる位置でのライン幅WLを決定するように分析された。ラインに沿った異なる位置でのライン幅WLは、ライン幅系列を構築するために用いた。
照明瞳内で所定の周期数Kを有する各照明モードについて、複数の異なるラインフィーチャが露光され、露光されるラインフィーチャのそれぞれからライン幅WL系列が導出されうる。例えば、いくつかの実施の形態において、約100より多いラインフィーチャが露光され、これにより、所定の照明モードについて約100より多いラインフィーチャが提供されうる。いくつかの実施の形態において、所定の照明モードについて約1000より多いライン幅系列を提供するために約1000より多いラインフィーチャが露光されてもよい。所定の照明モードについての複数のライン幅系列は、その照明モード用の平均パワースペクトル密度を計算するために用いられてもよい。
ある周期数Kを有する各照明モード用の平均パワースペクトル密度は、各周期数Kについて自己相関関数を計算するために用いられる。自己相関関数は異なる位置オフセットで計算され、その極大値の位置が決定され、それにより図8に示されるデータが提供される。図8で分かるように、式(2)で予測されるように極大値の位置は周期数Kに比例して増大する。
図9は、異なる値のKについての極大値15bの高さを示す。図9に見られるように、極大値15bの高さは異なる値のKについて異なっている。この極大値15bの高さの変化は、異なる値のKでの照明モードの差異に主に起因する。図9に示される極大値15bの高さの変化のいくつかは、露光の実行時の実験条件の小さな差異にも起因しうる。
自己相関関数は、スペックルの寄与および他の確率的影響の寄与(例えば、露光プロセス中に用いるレジスト内に生じる化学プロセスの結果)を含む。上述したように、周期的照明モードを用いることにより、スペックルの影響が限られた数の空間周波数に制限されることが有利である。その結果、自己相関関数内の極大値15bの高さは、スペックルの寄与にほぼ起因する。したがって、極大値15bの高さは、少なくとも部分的にスペックルの寄与に依存し、ライン幅粗さに対するスペックルの寄与を決定するために用いられうる。しかしながら、極大値15bの高さは、他の確率的影響からの寄与のいくつかも含む。スペックルの寄与を他の寄与から分離することが望ましい。
スペックルの寄与は、周期的ではない照明モードを用いる状況を示す参照自己相関関数(例えば図7に示される第1曲線101)を導出することにより他の寄与から分離しうる。例えば、瞳面内で周期的ではない強度プロファイルを備える照明モードは、一以上のラインフィーチャを露光するために用いられうる。この露光されたラインフィーチャに対応する自己相関関数はコンピュータで計算され、この自己相関関数は参照自己相関関数として機能しうる。参照自己相関関数は、スペックルからの寄与を含むであろうが、この寄与は全ての空間周波数にわたって拡がっている(非周期的照明モードが用いられるためである)。したがって、各位置オフセットでの参照自己相関関数の高さは、スペックル以外の寄与にほぼ起因し、用いられる照明モードに依存しないであろう。参照自己相関関数は、他の寄与からスペックルの寄与を分離するために周期的照明モードを用いて導出される自己相関関数から減算されうる。例えば、周期的照明モードを用いて導出される自己相関関数の極大値15bの高さと、同じ位置オフセットでの参照自己相関関数の高さとの差が決定されうる。結果として生じる差は、特定の照明モードを用いるライン幅粗さに対するスペックルの寄与(他の寄与が差し引かれている)の尺度となる。
自己相関関数の極大値15bの決定された高さは符号HLで示されうる。周期的照明モードを用いて導出される自己相関関数の極大値15bに対応する位置オフセットでの参照自己相関関数の高さは、参照極大高さとも称され、符号HLRで示されうる。この決定された高さHLと参照高さHLRの差は、スペックル極大高さとも称され、符号HLSで示されうる。ここでHLS=HL−HLRである。
いくつかの実施の形態において、参照自己相関関数(参照極大高さHLRを含む)は、非周期的照明モードを用いる露光の実行とは異なる手段により導出されうる。例えば、いくつかの実施の形態において、参照自己相関関数は、極大値15bを挟む両側の位置オフセットでの自己相関関数を考慮することにより、周期照明モードを用いて決定される自己相関関数から推定されてもよい。つまり、極大値15bのいずれかの側の自己相関関数の高さは、(極大値に対応する位置オフセットでの)自己相関関数の高さHLRを推定するために用いられてもよく、これは極大値が存在しない場合(非周期照明モードが用いられる場合に相当)に生じるであろう。
上記では、特定の照明モードを用いる場合のスペックルの寄与を導出する方法について説明した。例えば、スペックル極大高さHLSは、スペックルの寄与の尺度を提供する。しかしながら、この尺度は、自己相関関数を形成するために用いる照明モードに依存し、異なる照明モード用に異なりうる。
測定プロセス中に用いる照明モードに依存しないスペックルの寄与の尺度を提供することが望ましいかもしれない。この尺度は、測定プロセス中に用いられる照明モードとは異なる照明モードを用いて露光が実行される場合のスペックルの寄与を推定するために用いられうる。例えば、典型的なリソグラフィ露光プロセス中、多重極照明モード(例えば二重極照明モード)を用いることが望ましいかもしれない。多重極照明モードは、スペックルの寄与を測定するために用いられうる周期的照明モードとは異なる。したがって、全ての照明モードに関連するスペックルの寄与の尺度を提供することが望ましい。
用いる照明モードとは独立したスペックルの寄与の尺度は、例えば、スペックルにより生じるライン幅WLの分散(または同等に標準偏差σ)を備えうる。いくつかの実施の形態において、用いる照明モードに独立したスペックルの寄与の尺度は、スペックルにより生じる放射のドーズの分散(または同等に標準偏差σ)を備えうる。いくつかの実施の形態において、用いる照明モードに独立したスペックルの寄与の尺度は、例えば、スペックルコントラストCを備えうる。同等に、用いる照明モードに独立したスペックルの寄与の尺度は、単一露光期間中に基板上の所定点に露光される独立したスペックルパターンの数Nを備えうる。上述したように、放射源SOがレーザ(例えばエキシマレーザ)を備える実施の形態において、独立したスペックルパターンの数Nは、露光期間中にレーザで励起されるアクティブな独立したレーザモードの数に等しい。
上述の通り、自己相関関数の中心最大値13の高さは、ライン幅系列の総分散(標準偏差σの2乗)に等しい。スペックルに起因するライン幅系列の分散(または同等に標準偏差σ)を決定することが望ましいかもしれない。つまり、分散に対する寄与がスペックルのみである場合に生じるであろう中心最大値の高さ(つまり総分散)を決定することが望ましいかもしれない。上述の測定プロセスを用いることで得られる中心最大値13の高さ(つまり総分散)は、スペックルからの寄与とともに他の寄与も含むであろう。したがって、上述の測定プロセスを用いることで得られる中心最大値13の高さを決定することは、分散に対するスペックルの寄与に直接的につながらない。
いくつかの実施の形態において、極大値15bの高さは、スペックルによってのみ生じる変化に対応する自己相関関数の中心最大値13の高さを推定するために用いられうる。つまり、極大値15bの高さは、スペックルに起因する総分散を推定するために用いられうる。スペックルによってのみ生じる変化に対応する自己相関関数は、スペックル自己相関関数とも称されうる。上述したように、参照自己相関関数を差し引いた後の自己相関関数の極大値15bの高さ(スペックル極大高さHLSとも称される)は、スペックルの影響にのみ起因し、いかなる他の寄与にも起因しないと考えられうる。したがって、スペックル極大高さHLSは、スペックル自己相関関数上の点であると考えられうる。スペックル自己相関関数の一般的形状が既知であれば、スペックル自己相関関数上の点を決定することは、スペックル自己相関関数上の他の点を決定するために用いられうる。具体的には、スペックル自己相関関数の極大値15bと中心最大値13の比率が既知であれば、スペックル極大高さHLSの決定は、スペックル自己相関関数の中心最大値の高さの決定に用いられうる。
スペックル自己相関関数の中心最大値13の高さは、スペックル中心最大高さとも称され、符号HCSが付されうる。上述のように、スペックル中心最大高さHCSとスペックル極大高さHLSの比率RSを、式(3)で与えられるように決定することが望ましいかもしれない。
比率RSは、スペックル極大高さLSの実験的な決定値からスペックル中心最大高さHCSを決定するために用いられうる。したがって、スペックル極大高さHLSの決定が実行されるのと同じ照明モード用に比率RSを決定することが望ましいかもしれない。
いくつかの実施の形態において、比率RSは、照明瞳の強度プロファイルの測定を通じて決定されうる。照明瞳の強度プロファイルは、例えば、投影システムPLの結像面で受ける放射の角度強度プロファイルを測定することにより決定されうる。例えば、パターニングデバイスMAは、対物面内に位置しうる小さなピンホールアパチャを備え、放射が対物面の小さな範囲のみを通過するようにする。パターニングデバイスMAのアパチャは、用いる照明瞳に依存した角度分布を有する放射を受ける。放射は、アパチャを通過し、投影システムPLを通過して伝搬し、結像面(リソグラフィ露光中に基板Wが位置する平面)に結像される。結像面内の放射の角度強度プロファイルは、一以上の画像センサを用いて測定されうる。例えば、波面センサは、結像面内の放射の角度強度プロファイルを導出するために用いられうる。結像面内の放射の角度強度プロファイルを導出するために用いられうる波面センサは、すでにリソグラフィ装置内に存在し、投影システムPLにより生じる波面収差を測定するよう動作可能であってもよい。
結像面内の角度強度プロファイルは、照明瞳内の空間強度プロファイルと等価である。照明瞳内の空間強度プロファイル(または同等に結像面内の角度強度分布)のフーリエ変換が決定されうる。照明瞳の空間強度プロファイルのフーリエ変換は、フィールド面または結像面(例えば基板Wが位置する結像面)内の強度プロファイルの自己相関関数と等価である。したがって、照明瞳の空間強度プロアイルのフーリエ変換は、照明瞳の自己相関関数と称されてもよい。
図10は、異なる位置オフセットで測定される照明瞳内の強度の自己相関関数を示す。x位置のそれぞれにて、全てのy位置にわたる放射強度が加算され、所定のx位置での放射強度の合計が提供されうる。異なるx位置での放射強度をyにわたって合計することは、異なるx位置での強度測定値の系列を提供する。この系列のフーリエ変換は、図10に示される自己相関関数を決定するために実行されうる。図10に示される自己相関関数は、自己相関関数の中心最大値(図10には示されていない)の高さの百分率として示される。
図10に見られるように、極大値15bが自己相関関数に生じる。極大値15bは、照明瞳内の周期的強度プロファイルの周期PPと等価な位置にあり、自己相関関数の中心最大値の高さの約25%の高さを有する。
中心最大高さと極大高さの比率は、スペックル自己相関関数の場合と同様、照明瞳の強度プロファイルの自己相関関数についてほぼ同じでありうる。したがって、中心最大高さと極大高さの比率は、照明瞳の強度プロファイルの自己相関関数から決定されることができ、式(3)により与えられる比率RSの推定に用いることができる。推定される比率RSは、式(3)を再構成することにより、スペックル極大高さHLSからスペックル中心最大高さHCSを決定するために用いられうる。
図11は、照明瞳内で異なる値の周期数Kを有する異なる照明モードについて、照明瞳の自己相関関数の極大値15bの高さを(自己相関関数の中心最大値の百分率として)示す。図11に百分率として示される極大値の高さは、照明瞳内の多数の異なる周期数Kについての比率RS(式(3)により表現される)の推定を提供しうる。
上述のプロセスを用いて、ライン幅粗さの分散に対するスペックルの寄与を推定することが可能である。例えば、具体的な実験において、照明瞳内に17周期を有する(つまりK=17)照明モードが多数のラインフィーチャを露光するために用いられた。露光されたラインフィーチャに沿った異なる位置でのライン幅の測定値は、図6に示される自己相関関数に類似した自己相関関数を決定するために用いられた。測定されるライン幅系列に関連する自己相関関数の中心最大値13の高さが約3.68nm2であることが推定された。上述したように、自己相関関数の中心最大値13の高さは、ライン幅の総分散(スペックルの影響および他の影響からの寄与を含む)に等しい。対応する標準偏差σ(分散の平方根)は約1.92nmである。
図7から分かるように、K=17の値に関連する自己相関関数の極大値の高さは、0.12nm2におおよそ等しいことが分かる。図11は、K=17の値において、照明瞳に関連する自己相関関数の極大値の高さが約20%であることを示す。したがって、スペックル中心最大高さHCSとスペックル極大高さHLSの比率RSはK=17の値において約0.2である。式(3)を再構築することにより、スペックル中心最大高さHCSは、HLS/RS=0.12/0.2=0.6nm2により与えられる。上で説明したように、スペックル極大高さHLSは、スペックルにより生じるライン幅の分散である。したがって、スペックルにより生じる分散は0.6nm2と推定される。スペックルにより生じるライン幅の対応する標準偏差σは、√0.6=0.77nmにより与えられる。
スペックルにより生じるライン幅の変化は、スペックルにより生じるドーズの変化の決定に用いられうる。上で説明したように、フィーチャのライン幅は、受ける放射のドーズに依存する。したがって、フィーチャのライン幅の変化は、受ける放射のドーズの変化に依存する。放射のドーズとライン幅の関係は、用いられる照明瞳に依存し、別々の実験により決定されうる。例えば、所定の照明モードを用いて多数の異なるラインフィーチャが露光される実験が実行されうる。基板に露光される放射のドーズが変化しうるため、その結果生じるライン幅の変化が測定されうる。この測定値は、特定の照明モードにおけるドーズの変化に対するライン幅の感度を導出するために用いられうる。同じプロセスは、各照明モードにおけるドーズの変化に対するライン幅の感度を導出するために多数の異なる照明モードを用いて実行されうる。
所定の照明モード用のドーズの変化に対するライン幅の感度は、ライン幅変化をドーズ変化に変換するために用いられうる。例えば、異なる照明モードにおけるドーズの変化に対するライン幅の感度のルックアップテーブルが蓄積されうる。ルックアップテーブルは、測定されたライン幅変化をドーズ変化に変換するために参照され、使用されうる。スペックルにより生じるライン幅変化は、用いられる照明モードに依存しうる。しかしながら、スペックルにより生じるドーズ変化は、用いられる照明モードに非依存となりうる。したがって、スペックルにより生じるドーズ変化は、任意の照明モードを用いるスペックルの寄与についての情報を提供するスペックルの有益な尺度となりうる。
上述の方法を用いると、具体的な実験において、スペックルにより生じるライン幅の0.77nmの標準偏差σは、スペックルに起因する約0.64%のラインフィーチャに沿ったドーズ変化に対応することが決定されている。上で説明したように、このドーズ変化は、照明モードに非依存である。
上記では、スペックル中心最大高さHCSとスペックル極大高さHLSの比率RSが照明瞳の空間強度プロファイルの尺度から推定される方法について説明した。他の実施の形態では、比率RSが他の手段を用いて推定されてもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、比率RSを推定するためにシミュレーションが用いられてもよい。例えば、シミュレーションされたスペックルパターンを導出するために、投影システムPLを伝搬する放射のシミュレーションが実行されてもよい。シミュレーションされたスペックルパターンから自己相関関数が導出されてもよい。シミュレーションされた自己相関関数の中心最大値の高さおよび極大値の高さは、中心最大値の高さに対する極大値の高さの比率RSを決定するために用いられてもよい。シミュレーションを通じて導出される比率RSは、実験を通じて決定されるスペックル極大高さHLSからスペックル中心最大高さHCSを決定するために用いられてもよい。
シミュレーションされたスペックルパターンを決定するために用いられうるシミュレーションの一例は、モンテカルロシミュレーションでありうる。例えば、コヒーレント・モンテカルロシミュレーションは、リソグラフィ装置を通過する放射の伝搬をシミュレーションするために用いられうる。シミュレーションへの入力は、平面内に位置する複数の放射源を備えうる。各放射源は同じ強度を有してもよく、各放射源の相対位相はランダムなものとしてシミュレーションされてもよい。照明システムIL、パターニングデバイスMAおよび投影システムPLの影響は、振幅フィルタによりシミュレーションされてもよい。投影システムの結像面内の各位置で、各放射源からの強度が加算されてその位置での強度が定義されてもよい。したがって、シミュレーションの出力は、結像面内の放射の強度分布であってもよい。出力強度分布は、自己相関関数を導出するために用いられてもよく、これから比率RSが導出されてもよい。
いくつかの実施の形態において、部分的にコヒーレントな放射源の古典的なシミュレーションが実行されてもよい。シミュレーションは、リソグラフィ装置の光学伝達関数を出力するために用いられてもよい。光学伝達関数は、パワースペクトル密度と等価であり、これから自己相関関数が導出されうる。自己相関関数は、比率RSを決定するために用いられてもよい。
部分的にコヒーレントな放射源のシミュレーションは、照明瞳内の強度分布をコヒーレントではない点放射源の系列としてモデリングすることを備えうる。シミュレーションされる点源は、例えば、上述したような周期的照明モード(例えば図5に描かれる周期的照明モード)をエミュレートするように配置されうる。照明瞳内の点源分布の包絡線は、照明瞳フィリングに一致する。パターニングデバイスMAおよび投影システムを通過する各点源からの放射の伝搬は、基板Wが位置する投影システムの結像面に入射する放射のシミュレーションを提供するようにシミュレーションされる。パターニングデバイスMAは透過型ライン(例えばラインは非スキャン方向に延在)の周期的系列としてシミュレーションされうる。例えば、パターニングデバイスMAは、約160nmの周期を有する周期的ラインパターンとしてシミュレーションされうる。
パターニングデバイスMAにて、照明瞳内の各点源からの放射は所定の方向に伝搬する平面波に変換される。パターニングデバイスMAは、シミュレーションされる平面波を複数のビームに回折するよう機能する。投影システムPLにおいて、回折パターンは、投影システムPLの限られた開口数NAによって切り取られうる。投影システムの結像面内において、照明瞳内の各点源から生じる強度プロファイルが決定される。各点源から生じる結像面内での強度プロファイルの加算は、結像面内の全強度プロファイルを導出するように実行される。各点源からの寄与の加算は、コヒーレントではない加算として実行される。リソグラフィ装置を通過する放射の伝搬のシミュレーションは、コヒーレントな加算(つまり、振幅の加算)として実行される。
いくつかの実施の形態において、他の要素がシミュレーションに考慮されてもよい。例えば、結像面内に位置するレジストに入射する放射の伝搬および/またはその後のレジストの現像がシミュレーションされてもよい。いくつかの実施の形態において、放射の偏光の影響がシミュレーションに考慮されてもよい。例えば、照明瞳内、パターニングデバイスMAおよび結像面内での偏光の影響がシミュレーションに考慮されてもよい。いくつかの実施の形態において、シミュレーションは追加的に、例えばパターニングデバイスMAおよび基板Wでの三次元結像効果を考慮してもよい。
本発明の実施の形態にて用いられうる部分的にコヒーレントな放射源のシミュレーションの例は、例えば、Hyperlith、 Prolithおよび/またはSolid-Cシミュレーションを含んでよい。
いくつかの実施の形態において、シミュレーションは、シミュレーションされるパターニングデバイスMAの異なる設定を用いて実行されてよい。例えば、シミュレーションされるパターニングデバイスMAの一以上の特性が変調されてよく、シミュレーションの出力(例えばシミュレーションされる結像面内の放射強度プロファイル)に生じる変調が検出されてもよい。シミュレーションの出力で検出される変調の振幅は、変調の伝達関数の決定を可能にしてもよい。変調伝達関数は、周波数の関数として導出されてもよい。上で説明したように、光学システムの光学伝達関数(例えば変調伝達関数)は、パワースペクトル密度と等価であり、これから自己相関関数が導出されうる。自己相関関数は、比率RSを決定するために用いられうる。
いくつかの実施の形態において、シミュレーションされるパターニングデバイスMAの一以上の特性は、特性の平均値の約5%以下の変調振幅で変調されうる。いくつかの実施の形態において、シミュレーションされるパターニングデバイスMAの幅が上述したように変調されうる。
いくつかの実施の形態において、比率RSが実験的に決定されうる。例えば、単一露光期間中に放射源SOの異なる数のパルスを用いて複数の露光が実行されうる。上で説明したように、基板上のある点に露光されるパルス数は、所定の露光期間中にその点に露光される独立したスペックルパターンの数Nに影響を及ぼす(パルス幅が同じままであると仮定している)。例えば、露光期間中のパルスを増やすと、基板上のある点に露光されるスペックルパターンの数Nは増加するであろう。
図12は、本発明の代替的な実施の形態に係るリソグラフィシステムの照明瞳内の放射の強度プロファイルを概略的に示す。図12の明るい領域は高い放射強度を示し、暗い領域は低い放射強度を示す。放射はダイポールモードであり、つまり、照明瞳のy方向の中心には放射が存在しないが、放射極が(照明瞳のy方向エッジにて)y方向に分かれている。図12に概略的に描かれる照明瞳は、x方向に周期的な強度プロファイルを有する。強度プロファイルは、x方向の位置の正弦関数でありうる。
ダイポールの各極について、y方向の位置の関数としての強度はガウス分布にしたがいうる。ダイポールの極の強度分布は、図5に関連して別途上述したような態様でアイソフォーカル動作を提供するよう構成されうる。
図5に描かれる形式の中央に位置する照明モードの代わりにダイポール照明モードを用いることにより生じる利点は、ダイポール照明モードが基板(W)上に形成される像のより高いコントラストを提供するであろうということである。図12に描かれる形式のダイポール照明モードは、例えば、y方向に延在するグレーティングが設けられるパターニングデバイスとともに用いられうる。このようなグレーティングの繰り返し単位の例は、図13に概略的に描かれる。グレーティングは、約80nmのピッチを有しうる。グレーティングの各単位は、例えば、約40nm幅の不透過部分と、約40nm幅の透過部分とを有しうる。このグレーティングは、約193nmの放射波長λおよび約1.35の開口数NAを有する投影システムと組み合わせて用いられうる。
パターニングデバイスは、(図示されるような)従来型(バイナリ)マスクを備えてもよいし、レベンソン型位相シフトマスクまたは(例えば約6%の減衰を持つ)減衰型位相シフトマスクを備えてもよい。
一般に、本発明の任意の実施の形態のパターニングデバイスは、従来型(バイナリ)マスク、レベンソン型位相シフトマスクまたは減衰型位相シフトマスク(例えば6%減衰型位相シフトマスク)を備えうる。
一般に、自己相関関数の中心最大値13に対するスペックルの寄与は、独立したスペックルパターンの数Nにほぼ反比例する。つまり、中心最大値に対するスペックルの寄与は1/Nに比例する。中心最大値に対するスペックル以外の影響の寄与は、独立したスペックルパターンの数Nの変化に実質的に影響されない。したがって、中心最大値13の高さが1/Nの変化に応じて変化する勾配は、中心最大高さに対するスペックル以外の影響の寄与に非依存である。代わりに、スペックル以外の影響は、1/Nに依存しない中心最大値13の高さにオフセットを導入する。
所定の露光期間に異なるパル数を用いて複数の露光が実行されてもよい。上で説明したように、露光期間内にパルス数を変化させることは、基板上の各点に露光される独立したスペックルパターンの数Nを変化させるであろう。露光期間内の各パルス数について、自己相関関数が導出され、自己相関関数の中心最大値13の高さが決定されうる。この方法を用いて、独立したスペックルパターンの数Nの異なる値にて中心最大値13の高さの変化が観察されうる。中心最大値13の高さが1/Nの変化に応じて変化する勾配は、スペックル以外の影響により生じる中心最大値13の高さのオフセットとともに、これらの測定から決定されうる。これは、中心最大値の高さに対するスペックルの寄与を中心最大値のスペックル以外の影響から分離することを可能にする。その結果、スペックル中心最大高さHCS(したがって、スペックルに起因する分散)が各露光用に決定されうる。この方法は、各露光から生じる自己相関関数の極大値の高さを決定することにより、比率RSを決定することも可能にする。
上記では、スペックルにより生じるライン幅および/またはドーズの分散に係る方法について説明してきた。上記の測定および方法は、追加的または代替的に、露光期間中に基板上の所定点に露光される独立したスペックルパターンの数Nを決定するために用いられうる。上で説明したように、比率RSの決定は、スペックルにより生じる標準偏差σの導出を可能にする。基板上の所定点に露光される独立したスペックルパターンの数Nは、式(1)を再構成することにより標準偏差σから導出されることができ、以下の式(4)を与える。
上で説明したように、スペックルの寄与を示すパラメータは、単一照明モードを用いて実行される一以上の露光から取得されうる。単一照明モードを用いて決定されるパラメータは、用いられる照明モードに非依存となりうる。例えば、スペックルにより生じるドーズ変化は、単一照明モードを用いて決定されうる。ドーズ変化は、ドーズ変化の決定に用いる照明モードに非依存となりうる。追加的または代替的に、基板上の所定点に露光される独立したスペックルパターンの数Nが決定されうる。いくつかの実施の形態において、照明瞳内で単一の周期数Kを持つ単一照明モードのみがスペックルの寄与を決定するために用いられうる。この尺度は、全ての照明モードに適用可能でありうる。
一般に、照明瞳内の任意の周期数Kは、スペックルの寄与を決定するための測定プロセスの実行のために選択されうる。式(2)から、照明瞳内の周期数Kを増やすことは、スペックルが影響を持つ結像面内での周期PSの増加につながることが分かるであろう。スペックルの寄与を決定するため、結像面内の所定数のスペックル周期PSにわたってライン幅WLを測定することが望ましいかもしれない。スペックル周期PSを増やすことは、所定数のスペックル周期PSが占めるラインフィーチャに沿った長さの増加につながるであろう。したがって、スペックル周期PSを増やすことは、スペックルの寄与を決定するために測定されるライン幅WL系列の長さの増加につながる。
上で説明したように、いくつかの実施の形態において、ライン幅系列は、露光されたラインフィーチャの画像を走査型電子顕微鏡を用いて取得することにより決定されうる。走査型電子顕微鏡は、限られた視野を有しうる。仮にライン幅WL系列の長さが走査型電子顕微鏡の視野より大きければ、ラインフィーチャの長さに沿って複数の画像が取得され、ライン幅WL系列全体を決定するために画像が一緒に縫い合わされてもよい。画像を一緒に縫い合わせることは、ライン幅WL系列の決定に誤差を導入し、したがって、ライン幅WL系列の決定精度を低減しうる。いくつかの実施の形態において、基板W上の所定数のスペックル周期PSを走査型電子顕微鏡の単一の視野に適合させるのに十分に小さい周期数Kを有する照明モードを用いることが望ましいかもしれない。これは、ライン幅WL系列全体を決定するために複数の走査型電子顕微鏡像を一緒に縫い合わせる必要性を回避しうる。
リソグラフィプロセスの変化(例えばドーズ変化またはライン幅変化)に対するスペックルの寄与を決定することは、上述のように、スペックルの寄与を考慮しながらリソグラフィプロセスを最適化することを可能にしうる点で有利である。例えば、スペックルの寄与の知見を有することで、スペックルの寄与を考慮するためにリソグラフィプロセスの他の側面を設計しうる。いくつかの実施の形態において、基板が露光および現像された後に、ライン幅粗さを低減するために後処理工程が用いられてもよい。
いくつかの実施の形態において、スペックルの寄与が高すぎることが分かっていれば(例えばスペックルの寄与が閾値を超えることが決定されている)、スペックルの寄与を低減するためのアクションが取られてもよい。例えば、放射源SOの一以上の特性は、露光期間中に生じる独立したスペックルパターンの数Nを増加させるために変更されてよい。独立したスペックルパターンの数Nを増加させうる一つの方法は、単一露光期間中に生じるレーザパルスの数を増やすことである。しかしながら、単一露光期間中に生じるレーザパルス数を増やすことは、リソグラフィ装置のスループット(単位時間あたりに露光される基板数)を減少させうる。
追加的および/または代替的に、放射源SOから出力される放射ビームのパルスのパルス幅を増やしてもよい。例えば、放射のパルス幅を増加させるよう構成される一以上のパルス伸長器が放射ビームの光路(例えば放射源SOと照明システムILの間)に追加されてもよい。
追加的または代替的に、露光期間中に見られる独立したスペックルパターンの数Nは、放射源SOから出力される放射の帯域幅を増加させることにより増やされてもよい。放射源SOがレーザを備える実施の形態において、放射源SOから出力される放射の帯域幅を増やすことは、アクティブな独立したレーザモード数を増加させ、したがって、独立したスペックルパターンの数を増加させるであろう。
上述してきた装置および方法は、リソグラフィ・フィーチャの変化に対するスペックルの寄与の決定を可能にする。このような決定は、リソグラフィプロセスの特性の変化から生じるスペックルの寄与の変化を監視するために有利に用いられうる。例えば、放射源SOから出力される放射ビームの一以上の特性が変更され、その結果生じるスペックルの寄与の変化が測定されうる。例えば、放射源SOから出力される放射ビームの帯域幅および対応するスペックルの寄与の変化が測定されうる。
放射源SOから出力される放射ビームの帯域幅を減少させることは、ライン幅粗さに対するスペックルの寄与の増加を生じさせることが実験を通じて示されている。帯域幅の変化により生じるスペックルの変化を決定することは、帯域幅の変更の有益性を評価することを可能にし、所望の結果を生成する適切な帯域幅の選択を可能にする点で有利である。
図14は、リソグラフィ装置を用いて基板に結像されるグレーティングのラインを示す写真である。放射は193nmの波長を有し、x偏光である。マスクは、約160nmのピッチを有するグレーティングが設けられるレベンソン型位相シフトマスクである。リソグラフィ装置の開口数は1.35である。照明モードは、7周期(K=7)の700nmのx方向変調を有する単一の軸上極である。写真は走査型電子顕微鏡を用いて生成されている。見て分かるように、グレーティングはy方向に延在し(つまりy方向に周期的である)、グレーティングの個々のラインはx方向に延びる。上で説明したように、各ラインの幅WLは、x方向位置の関数として測定されうる。各ラインについて生じる幅データは、自身と相関されてもよい(つまり、各ラインの幅はx方向の長さに沿って自身と相関される)。これは、ライン幅変化(クリティカルディメンジョンの変化に等価)がスペックルによりどの程度生じるかを決定するために用いることのできる自己相関関数を提供する。上で説明したように、自己相関関数を用いて一般的に適用可能なスペックルの寄与の尺度(つまり照明モードに非依存)を得ることは、照明瞳の強度プロファイルを測定すること、または、そのシミュレーションを生成することを含みうる。以下は、すでに説明した方法よりも単純かつ容易に実現しうる代替的な方法の記載である。
各ラインに沿ったx方向の1次元の自己相関を実行する代わりに、二次元相関が実行される。図14を参照すると、x方向に沿った各ラインの幅WLの自己相関が実行される。隣接する次のラインに対する各ラインの幅WLのx方向相関が実行される。隣接しないが次のラインであるラインに対する各ラインの幅WLのx方向相関は、隣接ラインの後に実行される(つまり、中間ラインにより離間されるライン同士が相関される)。二つの中間ラインにより離間されるラインに対する各ラインの幅WLのx方向相関が実行される。さらに、ライン間のより大きい離間についてもラインの幅WLのx方向相関が実行される。
別途上述したように、結像されるラインの幅は、x方向の位置の関数として変化し、幅の変化は部分的にスペックルにより生じる。幅の変化は、ラインを形成する放射の強度の変化により生じ、強度変化の一部はスペックルにより生じる。したがって、ライン幅の標準偏差σ(これはクリティカルディメンジョン標準偏差とも称されうる)はスペックルに部分的に依存する。
ラインのy方向位置もスペックルにより生じる寄与を含むいくらかの変化を含むことが分かっている。ラインのy方向位置は、ラインのエッジでの強度変化の勾配(つまり、高強度から低強度に強度が変化する比率)により影響される。強度変化の勾配はスペックルにより影響される。その結果、ライン位置dYの標準偏差σは部分的にスペックルに依存する。
図15は、シミュレーションを用いて生成されるグラフである。シミュレーションは、図14の画像を生成するために用いた実験的セットアップと同じパラメータを使用した。つまり、波長193nmのx偏光放射、160nmのピッチを有するグレーティングを持つレベンソン型位相シフトマスク、および、1.35のリソグラフィ装置開口数である。7周期(K=7)の700nmのx方向変調を有する単一軸上極を用いた。シミュレーションは、振幅1でランダムな位相を有する放射電界を用いるモンテカルロシミュレーションであり、シミュレーションされたリソグラフィ装置投影システムを用いて数十万回実行した。
図15から分かるように、ラインのクリティカルディメンジョンCDの標準偏差σは、1/√Nの関数として直線的に変化する。別途上述したように、用いる照明モードに非依存のスペックルの寄与の尺度は、単一露光期間中に基板上の所定点に露光される独立したスペックルパターンの数Nを備える。放射源SOがレーザであるとき、独立したスペックルパターン数Nは、露光期間中にレーザ内で励起されるアクティブな独立したレーザモードの数に等しい。したがって、1/√Nの関数としてのライン・クリティカルディメンジョン標準偏差の直線的な変化は、ライン・クリティカルディメンジョンとスペックルの関係を裏付ける。
図15からも分かるように、ラインのy方向位置dYの標準偏差σも、1/√Nの関数として直線的に変化する。したがって、ラインのy方向位置dYは、ライン・クリティカルディメンジョンと同様のスペックル依存性を有する。y方向位置dYに対するスペックルの影響は、クリティカルディメンジョンCDに対するスペックルの影響よりも強くはないが、1/√Nの関数に対して線形であるため、やはりスペックル決定を助けるために用いることができる。ライン位置変化dYに対する影響はCD変化に対するものよりも小さいが、これは強度変化の勾配が強度変化に比べて相対的に小さいためである。
図16は、シミュレーションを用いて生成される二次元相関関数を示す。相関関数はラインに沿った位置オフセット(ミクロン)の関数としてnm2で表される。見て分かるように、相関関数は、中心最大値と、中心最大値から離間する第1および第2極大値を含む。別途上述したように、第1および第2極大値は、スペックルにより照明モードの周期的変調と組み合わされて生じる。ラインのy方向の間隔に対応するy方向に沿って、これら最大値はy方向間隔が増えるにつれて減衰する。dYのゼロ位置は各ラインの自身との相関に対応し、最も高い最大値を提供することが予想されるであろう。ゼロ位置のいずれかの側で、相関関数は、隣接するラインに対する各ラインのライン幅の相関である。このいずれかの側で、相関関数は、2番目に隣接するラインに対する各ライン(つまり、中間ラインにより離間されるライン同士)のライン幅の組み合わせなどである。相関するライン間の間隔(ラインの数の観点で)が増加するにつれて、二次元相関関数の最大値はその高さが減少する。
図17は、図14に描かれる写真を用いて得られる実験結果を示す。結果は各ラインの自身との相関、各ラインの隣接するラインとの相関、各ラインの2番目に隣接するラインとの相関などとして示される。見て分かるように、自己相関関数の中心最大値の頂部は、各ラインが自身と相関するときには視認できない。しかしながら、自己相関関数の中心最大値の頂部は、隣接するラインと相関するときに視認可能となる。同様に、中心最大値の頂部は、2番目に隣接するラインと相関するときに視認可能となる。相関するラインの間隔が増えるにつれて、中心最大値の高さが減少する。言いかえれば、互いに相関するライン間の間隔が大きくなればなるほど、自己相関関数の最大値は小さくなる。
図17に描かれるデータは、スペックルの影響を決定するために用いることができる。最初に、互いに大きく離間する(例えば7以上の中間ラインにより離間する)ラインについて得られるデータを見ることにより背景レベルが決定され、これは他のラインについて得られるデータから減算される。次に、極大値の高さHLSと中心最大値の高さHCSの比率RSが異なるライン間隔について決定される。この比率の平均が次に決定される。次に、平均比率RSは、自身と相関するラインについてのスペックル極大高さHLSと組み合わせて用いられ、自身と相関するラインについてのスペックルにより生じる中心最大値HCSの高さが推定される。これは、スペックルにより生じる像のラインのCD分散(言いかえれば、中心最大値に対するスペックル寄与)を決定する。
スペックルに起因する(nm2で測定される)CD分散は、ドーズ分散に変換され、これにより、放射源の独立したスペックルパターン数Nを決定するために用いられうる。これは、フィーチャサイズ(例えばライン幅)の変化を基板に届けられる放射のドーズにリンクさせる実験的データを用いてなされうる。実験的データは、いわゆるフォーカス露光量行列を用いて生成されうる。ここで、グレーティングは、放射の異なるドーズを用いて、かつ、焦点面に対する異なる位置を用いて基板上に露光され、結像されるグレーティングのライン幅が測定される。ライン幅とドーズの関係は、スペックルにより生じるCD分散に適用され、スペックルにより生じるドーズ分散に変換される(これは等価的に強度分散とも称される)。これは、その後、放射源の独立したスペックルパターン数N(放射源がレーザであれば独立したレーザモードの数)の測定値に式(1)を用いて変換されることができる。特定のマスクグレーティング寸法といった特定のパラメータを用いる実施の形態について説明したが、他の実施の形態が用いられうることが理解されよう。一般に、基板上のラインの像を形成するであろうグレーティングを備えるパターンが用いられてよい。パターンは、変調された照明モードと組み合わせて用いられてよい。自身と相関され、他のラインと相関されるラインの幅変化は、スペックルを決定するために分析されてよい。
ある実施の形態において、ラインdYの位置変化は、スペックルを決定するために用いられうる。これは、各ライン、各隣接ライン、中間ラインによって互いに離間するラインなどについてラインの位置変化dYを相関させることによりなされてもよい。その後、二次元相関の結果は、ライン位置変化へのスペックルの影響のシミュレーションと組み合わせて、(他の実施の形態について上述したものと同様の方法で)スペックルを決定するために用いられうる。
図18は、本発明の別の代替的な実施の形態により用いられうる照明モードを概略的に示す。照明モードは、四重極モードであり、照明瞳のx方向の縁およびy方向の縁に位置する極を有する。以前に説明した実施の形態の照明モードとは異なり、図18の照明モードの各極は、変調を含まない。しかしながら、全体としての照明モードは、モードの反対側の極との空間的離間に起因するいくらかの変調を効果的に含む。
図19は、図18の照明モードと組み合わせてスペックルの測定を可能にしうるパターニングデバイス上に設けられるパターンの繰り返し単位の一つを概略的に示す。パターンは、正方形の二次元グリッドを備える。正方形は、例えば、不透明であり(例えばクロムで構成される)、正方形の間に透明領域が設けられうる。一例において、図示されるように、各正方形は40μm×40μmの寸法であり、各正方形は隣接する正方形からxおよびy方向に40μmのギャップだけ離間しうる。したがって、(図示されるように)80μm×80μmの寸法の繰り返し単位が設けられる。照明モードおよびパターンは、例えば、193nmの波長の放射源および1.35の開口数の投影システムに対して用いられうる。他の実施の形態において、パターンは他の寸法の二次元グリッドを備えてもよい。パターンは、バイナリ(従来型)マスク、位相シフトマスクまたは減衰型位相シフトマスクを用いて形成されてもよい。
パターニングデバイス上のパターンは、基板上のフィーチャのグリッド(または二次元アレイ)を生成する。フィーチャは、穴(ホール)と称されてもよい。穴は、走査型電子顕微鏡を用いて写真化され、その後に穴の特性が分析されうる。
四重極照明モードは、フィーチャの二次元アレイの形態となる回折パターンを生成する。二次元アレイのフィーチャの向きおよびピッチは、四重極照明モードにより決定される。向きは(図示されるように)xおよびy方向に極を離間させることにより、xおよびy方向に一致するように選択されうる。フィーチャのピッチは、ブラッグスの法則により決定され、放射の波長および反対側の極との距離に依存する。この実施の形態において、波長は193nmであり、極間の間隔は193/80=2.41である。したがって、フィーチャは(瞳の中心点から)193/(80×2×1.35)=0.89の相対的な極位置および1.78の相対的な極間隔で最適に結像される。
基板上に形成される像は、マスクパターンにより生成されるパターンと四重極照明モーにより生成される回折フィーチャの組み合わせである。結像される穴のサイズの変化は、クリティカルディメンジョンの変化に対応し、測定されうる。結像される穴のx方向およびy方向の相対位置の変化(dX,dY)も測定されうる。これらの測定結果は、スペックルの影響を決定するために用いられうる。これは、スペックルが隣接する穴の特性間の相関として現れるためである。
図20は、図19に描かれる正方形のグリッドを備えるパターニングデバイスが図18に描かれる四重極モードを用いて照明される場合のシミュレーション結果を示す。放射の波長は193nmであり、TE偏光であり、リソグラフィ装置の開口数は1.35である。シミュレーションは、振幅1でランダムな位相(−180度と+180度の間で分布する)を有する放射電界を用いるモンテカルロシミュレーションであり、数十万回実行した。
図20に見られるように、穴のクリティカルディメンジョンCDの標準偏差σは、1/√Nの関数として直線的に変化する。この1/√Nの関数としての線形変化は、穴のクリティカルディメンジョンとスペックルの関係を裏付ける。
また図20に見られるように、穴のx方向位置dXの標準偏差σは、1/√Nの関数として直線的に変化する。したがって、穴のx方向位置dXは、ライン・クリティカルディメンジョンと同様のスペックル依存性を有し、つまり、1/√Nの関数として線形である。x方向位置dXへのスペックルの影響は、クリティカルディメンジョンCDへの影響とその大きさにおいて非常に類似する。図15との比較から、穴の位置の標準偏差の1/√Nの関数としての変化は、グレーティングラインについて見られた位置変化よりも顕著に大きいことが分かる。これは、グリッドのフィーチャについての強度変化の勾配がグレーティングラインについての強度変化の勾配より急峻であるためである。
また図20に見られるように、穴のy方向位置dYの標準偏差σも1/√Nの関数として直線的に変化する。y方向位置dYへのスペックルの影響は、クリティカルディメンジョンCDへの影響およびx方向位置dXへの影響とその大きさにおいて非常に類似する。
穴のクリティカルディメンジョンの総分散は、スペックルおよび様々な他の要素により影響される。しかしながら、隣接する穴同士のクリティカルディメンジョンの相関は、スペックルのみにより影響され、放射の他の特性には影響されない。同様に、隣接する穴同士のx方向位置変化およびy方向位置変化は、スペックルのみにより影響され、放射の他の特性には影響されない。
シミュレーション結果を用いて、穴のクリティカルディメンジョンの二次元自己相関が決定されてもよい。言いかえれば、穴サイズの自己相関が穴のグリッドについて決定されて自己相関関数が得られる。穴のグリッドについてx方向にすぐ隣の穴に対する穴サイズの相関も決定される。穴のグリッドについて中間穴によりx方向に離間する穴に対する穴サイズの相関が決定される。穴のグリッドについて二つの中間穴によりx方向に離間する穴に対する穴サイズの相関などが決定される。対応する相関は、y方向について決定される。相関は、穴間のx方向およびy方向の離間の組み合わせについても実行される。
図21は、上で言及したシミュレーションの結果を示す。シミュレーションされた画像内の穴サイズの二次元相関は、全ての穴のx方向およびy方向のサイズを決定することによってx方向およびy方向の関数として生成され、その後、これらを互いの穴の間隔の関数として相関させている。
図21において、中心最大値は、各穴のサイズの自身との相関(自己相関)である。最大値のサイズは、スペックルにより生じるクリティカルディメンジョンの総分散を示す(リソグラフィ装置を用いて実際に画像が形成される際に現実には見られるようなクリティカルディメンジョンの変化の他の要因はシミュレーションに存在しない)。中心最大値のいずれかの側で、隣接する穴についてのクリティカルディメンジョンの相関もスペックルのみによって決定される。中心最大値でのクリティカルディメンジョンの変化の相対的なサイズと、中心最大値のいずれかの側のクリティカルディメンジョンの分散とは、シミュレーションにより生成されるデータを用いて決定される。
リソグラフィ装置は、図18に描かれる照明モードを持つ放射を用いて基板上に図19のマスクパターンを投影するために用いられる。放射は、上述のシミュレーションと同様、193nmの波長などの特性を有する。得られる像内の穴サイズの二次元相関は、全ての穴のx方向およびy方向のサイズを決定し、これらを相対的な穴の位置の関数として相関させることにより、x方向およびy方向の関数として生成される。二次元相関を用いて得られる中心最大値は、スペックルにより生じる分散および他の原因に起因する分散を含む、クリティカルディメンジョンの総分散を示す。中心最大値のいずれかの側で、隣接する穴についてのクリティカルディメンジョン分散がスペックルのみにより(またはスペックルによりほぼ排他的に)決定される。これは、穴の間隔が十分に大きく、短い相関長を有する他の影響が隣接する穴にまで及ばない(またはその影響が隣接する穴において非常に小さい)ためである。
シミュレーションを用いて、中心最大値でのクリティカルディメンジョン分散の相対的なサイズ(比率)および中心最大値のいずれかの側でのクリティカルディメンジョン分散が決定されている。リソグラフィ装置により露光される画像内の中心最大値のいずれかの側のクリティカルディメンジョン分散のサイズが測定されている。比率を知ること、および、露光された画像について最大値のいずれかの側のクリティカルディメンジョン分散を知ることは、スペックルのみにより生じる中心最大値のサイズを決定することを可能にする。言いかえれば、スペックルのみにより生じる穴のクリティカルディメンジョン分散が決定される。
スペックルにより生じる穴のクリティカルディメンジョン分散はnm2で決定される。これは、以前の実施の形態に関連して上述した方法で、スペックルにより生じるドーズ変化に変換することができ、かつ、放射源の独立したスペックルパターン数Nに変換することができる。
図22および23は、同じシミュレーション結果を描くが、穴の間隔の関数として穴のy位置の変化dY(図22)および穴の間隔の関数としてのx位置の変化dX(図23)を示すデータを今回は示す。シミュレーションから得られるデータは、リソグラフィ装置を用いて形成される像と一緒に、クリティカルディメンジョン変化に関連して上述したものと同様の方法でスペックルを決定するために用いられうる。
パターンフィーチャサイズといった特定のパラメータを用いる実施の形態を説明してきたが、他の実施の形態が用いられうることが理解されるであろう。一般に、基板上に画像フィーチャの二次元アレイを形成するであろうパターンフィーチャの二次元アレイを備えるパターンが用いられうる。このパターンは、フィーチャのアレイを備える二次元回折パターンを生成するであろう照明モードと組み合わせて用いられうる。二次元回折パターンのフィーチャは、結像されるパターンフィーチャと同じピッチおよび向きを有しうる。自身と相関し、他のフィーチャと相関するフィーチャのクリティカルディメンジョン変化は、スペックルを決定するために分析されうる。自身と相関し、他のフィーチャと相関するフィーチャの位置変化は、スペックルを決定するために分析されうる。
スペックルの寄与を測定する方法および装置の特定の実施の形態を図面を参照しながら上述してきた。しかしながら、本発明の他の実施の形態は、上述の特定の実施の形態とは異なっていてもよい。本発明の実施の形態をリソグラフィ装置LAを参照しながら上述したが、本発明は、パターニングデバイスを照明するよう構成される照明システムおよびパターン放射ビームを結像面に投影するよう構成される投影システムを含む、任意の光学システムにおけるスペックルの寄与を決定するために用いられてよい。
図24は、ある実施の形態に係る光学システム内のスペックルの影響を測定する一般的な方法のステップの概略を示すフローチャートである。ステップS1にて、照明システムは周期的照明モードを形成するように構成される。周期的照明モードは、照明システムの瞳面内で少なくとも一方向に周期的な空間強度プロファイルを備える。例えば、瞳面内の放射の強度は、瞳面内の少なくとも一方向(例えばx方向)の位置の関数として実質的に正弦的(例えば1+cox(x)といったコサイン関数)である。
瞳面内の空間強度プロファイルは、一部の方向について周期的でなくてもよい。例えば、空間強度プロファイルは、x方向に周期的であるが、y方向に周期的でなくてもよい。空間強度プロファイルは、例えば、y方向にガウス分布にしたがってもよい。
周期的空間強度プロファイルは、瞳面内でK個の周期を含んでもよい。Kは整数であってよい。Kは偶数であってよい。Kは2より大きくてよい。Kは例えば5以上であってよい。いくつかの実施の形態において、Kは約17以下である。
照明モードは、光学システム内でパターニングデバイスを照明する。パターニングデバイスは、放射にパターンを付与し、これによりパターン放射ビームを形成する。瞳面内の放射の空間強度プロファイルは、パターニングデバイスを照明する放射の角度強度プロファイルを決定する。したがって、瞳面内の周期的空間強度プロファイルは、パターニングデバイスを周期的な角度強度プロファイルで照明されるようにするであろう。
ステップS2にて、光学システムの結像面内で受ける放射のドーズが結像面内の位置の関数として測定される。パターン放射ビームは、投影システムにより結像面上に投影される。パターン放射ビームは、例えば、一以上のラインフィーチャ(つまり、放射のライン)を含みうる。受ける放射のドーズは、直接的に測定されてもよいし、間接的に測定されてもよい。例えば、基板は、結像面内に位置決めされ、パターン放射ビームで露光されてもよい。パターン放射ビームの一以上のフィーチャは、基板を一以上のフィーチャで露光することにより基板に転写されてもよい。例えば、レジストが基板上に設けられてもよい。パターン放射ビームのフィーチャをレジストに露光することは、レジストの露光された部分に状態変化を生じさせてもよい。レジストは、例えば、エッチングプロセスを用いて現像され、レジスト内にパターン放射ビームの一以上のフィーチャが形成されてもよい。現像されたレジストは、基板内にフィーチャを彫り込む(エッチングする)ためのマスクを形成し、基板にフィーチャが転写されるようにしてもよい。
ある実施の形態において、パターン放射ビームのフィーチャが基板に転写される。結像面内で受ける放射のドーズは、基板内の一以上のフィーチャの寸法を測定することで間接的に測定されうる。例えば、基板内のフィーチャの幅は、結像面内のその場所で受ける放射のドーズにほぼ比例しうる。したがって、基板上の位置の関数としてフィーチャの幅を測定することは、結像面内で受ける放射のドーズを結像面内の位置の関数として決定することを可能にする。
基板内の一以上のフィーチャの寸法は、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて測定されうる。走査型電子顕微鏡は、基板にパターニングされるフィーチャの画像を形成するために用いられうる。フィーチャの寸法は、基板にパターニングされるフィーチャの画像に対して画像分析を実行することにより測定されうる。例えば、フィーチャの一以上のエッジは、画像内で検出され、フィーチャのエッジ(例えばラインフィーチャのエッジ)の位置が決定されうる。フィーチャのエッジの位置は、フィーチャの寸法を決定するために用いられうる。例えば、フィーチャの幅は、フィーチャ内の異なる位置で決定されうる。いくつかの実施の形態において、ラインフィーチャの幅は、ラインの長さに沿った異なる位置で決定されうる。フィーチャの基板上の位置の関数として測定される幅は、結像面内で受ける放射のドーズを結像面内の位置の関数として決定することを可能にしうる。
いくつかの実施の形態において、複数のフィーチャが露光され、複数のフィーチャの寸法が測定されうる。例えば、いくつかの実施の形態において、約100より多いラインフィーチャが露光され、各フィーチャのライン幅が測定され、その結果、所定の照明モード用に約100より多いライン幅系列が提供されうる。いくつかの実施の形態において、所定の照明モード用に約1000より多いライン幅系列を提供するために、約1000より多いラインフィーチャが露光されてもよい。所定の照明モード用の複数のライン幅系列は、所定の照明モード用の複数の空間周波数での平均パワースペクトル密度を計算するために用いられうる。
結像面内で受ける放射のドーズを結像面上の位置の関数として測定するよう構成される装置は、測定システムとみなされてもよい。測定システムは、パターン放射ビームを受けるように投影システムの結像面内で基板を保持するよう構成される基板テーブルを備えてもよい。基板にはレジストが設けられてもよい。測定システムは、上述したように、レジストを現像し、パターンを基板に転写するよう構成される装置をさらに備えてもよい。レジストを基板に塗布し、レジストを現像するよう構成される装置は、トラックと称されてもよい。
測定システムは、基板上の異なる位置で基板内のフィーチャの寸法を検出するよう構成されるセンサをさらに備えてもよい。例えば、測定システムは、基板内のフィーチャの画像を形成するよう構成されるセンサ(例えば走査型電子顕微鏡)を備えてもよい。測定システムは、基板内のフィーチャの寸法を決定するよう構成される装置(例えばコントローラ)をさらに備えてもよい。例えば、コントローラは、画像を処理してフィーチャの一以上のエッジ(例えばラインフィーチャのエッジ)の位置を検出し、エッジの検出位置からフィーチャの寸法を決定してもよい。コントローラは、フィーチャの決定された寸法から結像面内で受ける放射のドーズを決定するようさらに構成されてもよい。
放射のドーズを決定するために基板上にフィーチャを露光し、露光されたフィーチャの寸法を測定することは、結像面内の位置の関数として結像面内で受けた放射のドーズを決定するための方法の一例にすぎない。他の実施の形態において、受けた放射のドーズを測定するための他の方法が用いられてもよい。いくつかの実施の形態において、結像面内で受ける放射は、例えば、実質的に結像面内に位置決めされるセンサを用いて直接的に測定されてもよい。センサは、結像面内の放射の空間強度プロファイルを結像面内の異なる位置で測定してもよい。
結像面内の空間強度プロファイルのフィーチャの小さなサイズに起因して、いくつかの実施の形態では、結像面内の空間強度プロファイルの拡大画像が別の結像面内で形成されてもよい。センサは、その別の結像面内に実質的に位置決めされてもよく、その結像面内で空間強度プロファイルの拡大画像を測定するよう構成されてもよい。センサは、例えば、カメラを備えてもよい。
結像面内の空間強度プロファイルを測定するよう構成される装置は、測定システムの例とみなされてもよい。例えば、測定システムは、結像面内の異なる位置で結像面内の空間強度プロファイルを測定するよう構成されるセンサを備えてもよい。いくつかの実施の形態において、測定システムは、別の結像面内で結像面の拡大画像を形成するよう構成される一以上の光学素子を備えてもよい。センサは、別の結像面内に実質的に位置決めされてもよい。測定システムは、結像面内の異なる位置で受ける放射のドーズを決定するよう構成されるコントローラをさらに備えてもよい。
ステップS3にて、スペックルによりドーズの変化が生じる結像面内の一以上の空間周波数が選択される。スペックルがドーズの変化を生じさせる一以上の空間周波数は、照明システムの瞳面内の周期的強度プロファイルの周期に依存する。照明システムの瞳面内の周期的強度プロファイルの周期(または等価に瞳面内の周期数K)は一以上の周波数を選択するために用いられうる。例えば、上記式(2)は一以上の周波数を選択するために用いられうる。
ステップS4にて、選択された一以上の空間周波数でのドーズの変化の尺度が決定される。ドーズの変化の尺度は、結像面内のスペックルを示す。この尺度は、例えば、第1系列および第2系列の自己相関関数を備えうる。第1系列は、結像面内の異なる位置で測定されるパターン放射ビームのフィーチャの寸法でありうる。第2系列は、第1系列と同一でありうるが、第1系列と第2系列の間の自己相関関数は、第2系列が第1系列に対してオフセットされる場合に計算されうる。自己相関関数は、ステップS3にて選択された一以上の空間周波数の逆数に等しい第2系列と第1系列の間の位置オフセットで計算されうる。つまり、位置オフセットは、スペックルにより測定される寸法の変化が生じる空間周期に等しくなりうる。このようなオフセットでの自己相関関数の大きさは、結像面内のスペックルを示す。
ステップS3にて選択される空間周波数は、極大値が見られる自己相関関数の位置オフセットに対応しうる。したがって、ステップS3にて選択される周波数に対応する位置オフセットでの自己相関関数の大きさは、自己相関関数の極大値での自己相関関数の高さとなりうる。
ステップS3にて選択される空間周波数は、例えば、自己相関関数の極大値を見つけるように選択されうる。極大値が見られる位置オフセットは、選択される空間周波数に対応しうる。つまり、空間周波数は、極大値が見られる位置オフセットに対して1となりうる。
本書での極大値への言及は、関数(例えば自己相関関数)が極大値に到達するが関数全体の最大値ではない領域を参照するものと意図される。したがって、極大値への言及は、関数が全体の最大値(例えば中心最大値)となる領域を含むことを意図していない。本書での自己相関関数の中心最大値への言及は、自己相関関数が全体の最大値となる自己相関関数の領域を参照するものと意図される。
ドーズの変化の尺度は、用いられる照明モードに独立した結像面内のスペックルの尺度を導出するために用いられうる。ドーズの変化の尺度は、例えば、スペックルにより生じる結像面内で測定されるドーズの変化(または等価に標準偏差σ)を導出するために用いられうる。ステップS2で測定される寸法を用いて自己相関関数が決定される実施の形態において、スペックルにより生じる結像面内で測定されるドーズの変化は、自己相関関数の全体の最大値での自己相関関数の高さに対するスペックルの寄与に対応する。
いくつかの実施の形態において、自己相関関数の極大値での自己相関関数の高さは、自己相関関数の全体最大値での自己相関関数の高さに対するスペックルの寄与を導出するために用いられうる。例えば、測定されるドーズの変化に対するスペックルの寄与を表す自己相関関数の極大値の高さと全体最大値の高さの比率が決定されうる。決定される比率は、自己相関関数の全体最大値の高さに対するスペックルの寄与を見出すために、測定される自己相関関数の極大値での高さの目盛りを読むために用いられうる。
図24に示される上述した一以上のステップは、コントローラにより実行されうる。例えば、図1に示されるコントローラCNは、図24に示される上述した一以上のステップを実行しうる。
本書に記載されるコントローラCNは、いくつかの実施の形態において、コンピュータを備えうる。コンピュータは、例えば、ランダムアクセスメモリの形態をとる揮発性メモリに記憶される指令を読み込んで実行するよう構成されるCPU(中央処理ユニット)を含みうる。揮発性メモリは、CPUにより実行される指令およびその指令により用いられるデータを記憶する。
実施の形態は、パターニングデバイスMAを照明してパターン放射ビームを形成するよう構成される照明システムILと、パターン放射ビームを結像面に投影するよう構成される投影システムPLと、を含むリソグラフィ装置を参照しながら上で説明された。しかしながら、本書に記載される装置および方法は、リソグラフィ装置ではない他の光学システムでのスペックルの寄与を決定することに適用可能でありうる。
上述したように、結像面にパターンフィーチャが形成されるようにパターニングデバイスを用いてパターン放射ビームを形成し、その後に結像面内のパターンフィーチャの寸法を測定することは、結像面内で受ける放射のドーズを決定する方法の一例にすぎない。他の実施の形態において、パターニングデバイスを用いることなく、他の任意の手段により結像面内で受けるドーズの放射が結像面内の位置の関数として測定されてもよい。
上述の実施の形態では、結像面(典型的に基板が位置する平面)内で受けるドーズの放射を測定することについて言及したが、他の実施の形態では、結像面と光学的に共役な任意の平面で受ける放射のドーズが測定されてもよい。例えば、受ける放射のドーズは、代わりに光学システムの対物面で測定されてもよい。ここで対物面は結像面の共役面である。リソグラフィシステムの対物面の例は、パターニングデバイスMAが典型的に位置する平面でありうる。
結像面(例えば対物面)と光学的に共役な任意の平面が本書にてフィールド面と称されうる。したがって、フィールド面の例は、結像面(例えば基板Wが典型的に位置する平面)および対物面(例えばパターニングデバイスMAが典型的に位置する平面)を含む。一般に、スペックルの寄与は、本書に記載される方法を用いて、フィールド面の位置の関数として光学システムの任意のフィールド面で受ける放射のドーズを測定することにより決定されうる。フィールド面は、例えば、光学システムの結像面または対物面でありうる。したがって、光学システムの結像面の放射のドーズを測定することへの本書の言及は、フィールド面の放射のドーズを測定することに等価に置き換えされうる。
一般に、本書に開示される本発明の概念は、光学システムの瞳面内に周期的照明モードを形成するよう動作可能な照明システムを備える任意の光学システムのスペックルの寄与を決定するために用いられうる。瞳面内の周期的照明モードは、スペックルの寄与を光学システムのフィールド面内の限られた数の空間周波数に有利に制限するよう機能する。これは、フィールド面内のドーズ変化に対するスペックルの寄与を他の影響の寄与から分離することを可能にする点で有利である。
光学システムの瞳面は、フィールド面とフーリエ関係を有する平面である。つまり、瞳面内の空間的な各点は、対応するフィールド面内の角度に対応し、逆もしかりである。
本発明の態様は、任意の都合のよい形態で実装されうる。例えば、本発明は、有形の搬送媒体(例えばディスク)または無形の搬送媒体(例えば通信信号)でありうる適切な搬送媒体で搬送されうる適切なコンピュータプログラムにより実施されうる。本発明の態様は、本発明を実装するよう構成されるコンピュータプログラムを実行するプログラム可能コンピュータの形態を具体的に取りうる適切な装置を用いても実装されうる。
本発明の特定の実施の形態が上述されたが、本発明は説明したものとは異なる態様で実施しうることが理解されよう。本記載は、本発明を限定することを意図していない。