JP2019220889A - 撮像装置、撮像装置の制御方法、および、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 画像データに含まれるぶれを任意の大きさに調整することは困難であった。【解決手段】 第一の撮像手段が第一のフレームの画像データのための露光を行っている間に第二の撮像手段にて撮像された複数のフレームの画像データを用いて、複数のフレームの画像データにおける被写体の動き量を算出し、第一の撮像手段の露光時間がシャッタスピードに対応する時間に達していなくとも、動き量が閾値に達した場合には、第一の撮像手段による第一のフレームの画像データのための露光を停止するものであって、動き量が前記閾値に達するまでは、露光時間の経過とともにシャッタスピードを更新する撮像装置を提供する。【選択図】 図1
Description
本発明は、ぶれを抑制した画像を撮像するための技術に関するものである。
近年、スマートフォンに搭載されたカメラやデジタルカメラなどの撮像装置において、シャッタスピードを優先する撮影モードを搭載するものが知られている。この撮影モードは、撮像者が所望のシャッタスピードを設定し、絞り値やISO感度といったシャッタスピード以外の露出設定値を撮像装置が自動で設定する撮影モードである。撮像者は、この撮影モードを用いることにより、好みのシャッタスピードで撮像することができる。例えば、露光時間の短いシャッタスピードを設定することで、滝の水しぶきやレーシングカーといった動きの速い被写体に対しても、被写体ぶれが少ない画像を撮像することができる。あるいは、露光時間の長いシャッタスピードを設定することで、動く被写体が含まれる場合に躍動感のある画像を撮像することができる。特許文献1には、静止画の撮像前に撮像した画像から被写体の動き量を検出し、その検出結果に基づいて、シャッタスピードを決定する撮像装置が開示されている。
被写体ぶれが少ない画像を撮像するためには、露光時間の短い高速のシャッタスピードにて撮像する必要がある。しかしながら、撮像前に高速なシャッタスピードを設定して撮像したとしても、被写体がぶれた画像が撮像されてしまうことがある。
例えば、撮像者あるいは撮像装置は、撮像前に移動体の動く速さを予測し、被写体のぶれが少なくなると予想されるシャッタスピードを設定して撮像する。ところが、記録用の画像の撮像時に、予想外に被写体の動きが速くなってしまうと、撮像前に設定したシャッタスピードで撮像を行ったとしても、被写体がぶれて撮像されてしまうことがある。シャッタスピードを極力速くすることで、被写体がぶれて撮像されることを予防することはできるが、光量の不足を補うために感度を高くする必要が生じ、画像に含まれるノイズ成分が増加してしまう。また、被写体のぶれを抑えたい場合に限らず、敢えて被写体にぶれが生じるように撮像したい場合であっても、ユーザの意図したとおりのぶれが画像に生じるようにシャッタスピードを設定することは容易ではない。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、ノイズ成分を抑制しつつ、画像に生じるぶれの大きさを任意に調整することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明の撮像装置は、第一の撮像手段と、第二の撮像手段と、第一の撮像手段が第一のフレームの画像データのための露光を行っている間に第二の撮像手段にて撮像された複数のフレームの画像データを用いて、複数のフレームの画像データにおける被写体の動き量を算出する算出手段と、第一の撮像手段の露光時間である第一の時間を設定する制御手段を有し、制御手段は、第一の撮像手段の露光時間が第一の時間に達していなくとも、算出手段が算出した動き量が閾値に達した場合には、第一の撮像手段による第一のフレームの画像データのための露光を停止するものであって、動き量が閾値に達するまでは、第一の撮像手段の露光時間の経過とともに第一の時間を更新することを特徴とするものである。
本発明によれば、ノイズ成分を抑制しつつ、画像に生じるぶれの大きさを任意に調整することが可能な技術を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を用いて詳細に説明する。ここでは、本発明の実施形態に係る撮像装置として、所謂、デジタルカメラを取り上げることとするが、本発明はこれに限定されるものではない。撮像機能を有する他の装置、例えば、デジタルビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン、その他の携帯型電子機器等として実施されても良い。
(本実施形態)
本発明の本実施形態では、露光中の期間における動きベクトルを用いた動き解析結果に基づき、露光終了のタイミングを決めることにより、ぶれの少ない画像を撮像する撮像装置の説明を行う。以下、本発明の本実施形態について説明する。
本発明の本実施形態では、露光中の期間における動きベクトルを用いた動き解析結果に基づき、露光終了のタイミングを決めることにより、ぶれの少ない画像を撮像する撮像装置の説明を行う。以下、本発明の本実施形態について説明する。
図1は、本発明本実施形態に係る撮像装置100の構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、第一の撮像システム110、第二の撮像システム120、および、操作部材130より構成される。
まず、第一の撮像システム110について説明する。第一の制御回路111は、例えばCPUやMPUなどのプロセッサである。第一の制御回路111は、第一の撮像システム110が備える各ブロックの動作プログラムを後述の第一のROM112より読み出し、後述の第一のRAM113に展開して実行することにより第一の撮像システム110が備える各ブロックの動作を制御する。また、第一の制御回路111は、第一の撮像システム110および第二の撮像システム120の全体の動作を統括し、制御する。第一のROM112は、電気的に消去および記録が可能な不揮発性メモリであり、第一の撮像システム110が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータ等を記憶する。第一のRAM113は、書き換え可能な揮発性メモリであり、第一の撮像システム110が備える各ブロックの動作において出力されたデータの一時的な記憶領域として用いられる。
第一の光学系114は、ズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群で構成され、被写体像を後述の第一の撮像素子115に結像する。第一の撮像素子115は、例えば複数色のカラーフィルタを備えたCCDやCMOSセンサ等で構成されている。第一の撮像素子115は、第一の光学系114により第一の撮像素子115に結像された光学像を光電変換し、得られたアナログ画像信号を第一のA/D変換回路116に出力する。また、第一の撮像素子115は、操作部材130に含まれるシャッタボタンが全押しされたタイミングに基づき露光を開始し、後述の露光終了のタイミング生成回路200より出力された露光終了のタイミングを指示する信号に基づき露光を終了する。第一のA/D変換回路116は、入力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換し、得られたデジタル画像データを第一のRAM113に出力する。
第一の画像処理回路117は、第一のRAM113に記憶されている画像データに対して、ホワイトバランス調整、色補間、ノイズ補正、ガンマ処理、輝度/色差信号への変換、および、収差補正など、様々な画像処理を適用する。画像出力回路118は、第一の画像処理回路117で処理された画像データを、第一のRAM113を介して受け取り、外部装置に出力するための回路である。具体的には、撮像装置100に着脱可能な記録メディアに対して画像データの読み出しや書き込みを行ったり、無線あるいは有線通信機能を用いてスマートフォンやサーバーなどと画像の送受信を行ったりする。表示装置119は、LCDや有機ELディスプレイ等の表示デバイスであり、第一のRAM113に記録した画像を表示する。
次に、第二の撮像システム120について説明する。第二の制御回路121は、例えばCPUやMPUなどのプロセッサである。第二の制御回路121は、第二の撮像システム120が備える各ブロックの動作プログラムを後述の第二のROM122より読み出し、後述の第二のRAM123に展開して実行することにより第二の撮像システム120が備える各ブロックの動作を制御する。第二のROM122は、電気的に消去および記録が可能な不揮発性メモリであり、第二の撮像システム120が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータ等を記憶する。第二のRAM123は、書き換え可能な揮発性メモリであり、第二の撮像システム120が備える各ブロックの動作において出力されたデータの一時的な記憶領域として用いられる。
第二の光学系124は、ズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群で構成され、被写体像を後述の第二の撮像素子125に結像する。第二の撮像素子125は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、第二の光学系124により第二の撮像素子125に結像された光学像を光電変換し、得られたアナログ画像信号を第二のA/D変換回路126に出力する。第二の撮像素子125は、動きやぶれを検出するために用いる素子であるため、必ずしも複数色のカラーフィルタを備えている必要はなく、単色(ホワイト)のフィルタや赤外フィルタを備えた構成としてもよい。第二のA/D変換回路126は、入力されたアナログ画像信号にデジタル画像信号に変換し、得られたデジタル画像データを第二のRAM123に出力する。
第二の画像処理回路127は、第二のRAM123に記憶されている画像データに対して、簡易的なノイズ補正やガンマ処理など、様々な画像処理を適用する。第二の撮像素子125が複数色のカラーフィルタを備えているのであれば、色補間、あるいは輝度信号への変換処理も行う。また、第二の画像処理回路127は、タイミング生成回路200を具備しており、第二のRAM123に記憶されている画像データを用いた動き解析結果に基づき、第一の撮像素子115の露光終了のタイミングを指示する信号を生成する。なお、露光終了のタイミングを指示する信号は、第二の制御回路121を介して第一の撮像システム110に出力される。第一の撮像システム110ではこの信号を受け取ると、第一の制御回路111が第一の撮像素子115の露光を終了させるよう制御する。
操作部材130は、ユーザからの指示を受け付ける操作部材であり、シャッタボタンやダイヤルキーを含む。また、表示装置119がタッチパネル機能を備えるようにしてもよい。ユーザがこれらの操作部材を操作することで生成される信号は、第一の撮像システム110と第二の撮像システム120の駆動制御に反映される。
なお、ここでは第一の撮像システム110と第二の撮像システム120が、撮像装置100として一体的に構成されている例を上げて説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、第一の撮像システム110と操作部材130がカメラ本体であり、第二の撮像システム120は、カメラ本体と着脱可能な撮像装置としてもよい。つまり、第二の撮像システム120は、外部の撮像装置に着脱可能な撮像装置であってもよい。また、第一の撮像システム110が一眼レフカメラであるとするならば、第一の光学系114を含む交換レンズ装置は、第一の撮像素子115乃至表示装置119、および、操作部材130を含むカメラ本体に対して着脱可能な構成となる。
また、第二の制御回路121の機能を第一の制御回路111が兼用するようにすれば、第二の制御回路121を省くことも可能である。また、第二の撮像システム120は第二の光学系124、第二の撮像素子125、第二のA/D変換回路126、および、第二のRAM123のみを有し、他の構成要素を第一の撮像システム110が兼用するようにしてもよい。こうすることで、第二の撮像システム120を別のカメラ装置とした場合に、その構成を簡素化することが可能となる。
ここで、第一の撮像素子115が記録用の画像を生成することを目的とするのに対して、第二の撮像素子125は素早く移動する被写体の動きを検出することを目的としており、必要とされるフレームレートが互いに異なる。図12に、本実施形態における第一の撮像素子115と第二の撮像素子125の構成を比較した表を示す。本実施形態では、第一の撮像素子115のフレームレートが20fps(フレーム/秒)であるのに対し、第二の撮像素子125のフレームレートは1000fpsであるものとする。
そのため、第二の撮像素子125は、第一の撮像素子115よりも、より短い露光時間となるシャッタスピードを設定することができる。そして、このシャッタスピードを実現可能とするため、第二の撮像素子125は第一の撮像素子115よりも感度を高くする必要がある。そこで、第二の撮像素子125は、第一の撮像素子115に対して、画素数を減らす代わりに、画素ピッチが大きくなるように構成されている。具体的には、図12に示すように、撮像部の水平サイズは第一の撮像素子115が36mmであるのに対して、第二の撮像素子125は4mmである。水平画素数は第一の撮像素子115が6400画素であるのに対して、第二の撮像素子125は640画素である。画素ピッチは第一の撮像素子115が5.62μmであるのに対して、第二の撮像素子125は6.25μmである。
次に、第二の撮像システム120の第二の画像処理回路127が具備する、タイミング生成回路200の構成について図2を用いて説明する。このタイミング生成回路200は、第二の撮像素子125が高速のフレームレートで撮像して第二のRAM123に記憶した画像データの動きベクトルを検出することで、動きの解析を行う。この画像データは、第二の撮像素子125が複数色のカラーフィルタを備えた構成であるならば、色補間や輝度信号への変換処理が先に行われており、各画素が同じ成分の信号を備えているものとする。そして、この動きの解析結果に基づいて、第一の撮像素子115の露光終了のタイミングを決定し、第一の撮像素子115の露光を終了させるための信号を、第一の撮像システム110に出力する。
図2は、本実施形態に係るタイミング生成回路200の構成例を示すブロック図である。図2において、タイミング生成回路200は、動きベクトル算出回路201、累積量算出回路202、代表累積量算出回路203およびタイミング決定回路204より構成する。
次に、本発明の本実施形態の撮像装置100におけるぶれ調整撮影モードにおける撮像処理について、図3および図4のフローチャートを用いて説明する。図3および図4は、本実施形態のぶれ調整撮影モードにおける撮像処理のフローチャートである。図3のフローチャートは撮像装置100の電源がオンになると開始される。
ステップS301において、第一の制御回路111は撮影モードが設定されているかを判定し、設定されていなければステップS302に進み、設定されていればステップS305に進む。
ステップS302において、第一の制御回路111はぶれレベルの設定メニューが選択されているかを判定し、他の処理が選択されていればステップS303に進み、ステップS303において他の処理を行う。第一の制御回路111はぶれレベルの設定メニューが選択されていれば、ステップS304に進む。
ステップS304において、第一の制御回路111は表示装置119にぶれレベル設定のための画面の表示し、ユーザによる操作部材130の操作結果に応じて、ぶれのレベルを設定する。例えば、第一の表示装置119にぶれレベルが段階的に表示され、ユーザが選択できるようになっている。ユーザが低い段階のぶれレベルを選択するほど、撮像した画像に含まれるぶれが小さくなるように、後述する閾値が設定される。反対に、ユーザが高い段階のぶれレベルを選択するほど、撮像した画像に含まれるぶれが大きくなるように、後述する閾値が設定される。本実施形態では、ユーザが最もぶれが小さくなるぶれレベル「最小」を選択したものとして説明を行う。
ぶれレベルが選択されると、第一の制御回路111は、第一の撮像システム110におけるぶれ許容値を決定し、第二の制御回路121は、このぶれ許容値に基づいて後述のステップS323で用いる閾値を設定する。ぶれレベル「最小」の場合、ぶれ許容値は許容錯乱円径に設定されるものとする。ここで許容錯乱円径とは、明視距離250mmで写真を観察するときに、視力1.0の観察者が解像可能な限界値を表し、36×24mmの撮像素子上では約20μmになる。本発明の本実施形態では第一の撮像素子115の4画素分のピッチ22.48μm(5.62×4)を許容錯乱円径とする。ぶれレベルおよび閾値の設定を終えると、ステップS301に戻る。
ステップS305において、第一の制御回路111は第一の撮像素子115を起動する。
ステップS306において、第一の制御回路111は撮影モードとしてぶれ調整撮影モードが選択されているかを判定し、選択されていなければステップS307に進み、ステップS307においてその他の撮影モードの処理を行う。第一の制御回路111は、ぶれ調整撮影モードが選択されていればステップS308に進む。
ステップS308において、第一の制御回路111は第一の撮像素子115から得られる被写体のコントラスト値、あるいは、不図示の測距センサの出力に基づいて、第一の光学系114を駆動して自動フォーカス制御(AF)を行う。
ステップS309において、第一の制御回路111は第一の撮像素子115から得られる被写体の輝度値に基づいて、第一の撮像素子115のための自動露出制御(AE)を行う。
ステップS310において、第一の制御回路111は操作部材130に含まれるシャッタスイッチが半押しされることによって、シャッタスイッチ内のSW1がオンになったかを判定し、オンになるまでステップS308およびS309を繰り返す。
ステップS310においてSW1がオンになると、ステップS311において、第二の制御回路121は第二の撮像素子125を起動する。
ステップS312において、第一の制御回路111は、SW1がオンになった際に選択された主被写体に対して、第一の光学系114を用いたAFを行う。
ステップS313において、第一の制御回路111は、SW1がオンになった際に選択された主被写体に対して第一の撮像素子115のためのAEを行う。
ステップS314において、第二の制御回路121は、第一の制御回路111から第一の光学系114のズーム情報を受信し、第二の光学系124のズーム状態を制御する。この第二の光学系124のズーム状態を制御について、図5を用いて説明する。
図5は、SW1がオンされたときの撮像装置100と被写体500の位置関係を説明するための図である。図5において、撮像装置100の第一の光学系114は焦点距離300mmであり、40m先を0.3m/sec(300mm/sec)で移動する被写体500を撮像しようとしている。なお、被写体500は第一の光学系114の光軸近傍を移動しているものとする。以降の説明において、40m先を物面と呼ぶ。また、被写体500の移動速度は、被写体500までの距離情報と、フレーミング中に得られる画像から後述の動きベクトルを算出することで計測することができる。
また、本実施形態における第一の光学系114の結像倍率は、被写体までの距離÷焦点距離で求められるため、40×1000÷300=133.3となる。
第一の撮像素子115の全体が捉えている物面での被写体の画角は、133.3×5.62×6400/1000=4795.7mmである。
ここで、SW1がオンになる前は、第一の撮像システム110と第二の撮像システム120で得られる画像の画角が同じであるとする。このとき、第二の光学系124の結像倍率は4795.7×1000÷6.25÷640=1198.9であり、焦点距離は40×1000÷1198.9=33.3mmである。また、このとき第二の撮像素子125における単位画素あたりの物面での被写体サイズは、1198.9×6.25÷1000=7.5mmである。この値に後述する動きベクトルの算出の分解能を掛け合わせた値が第二の撮像素子125で捉えることができる動きの分解能となる。動きベクトルの算出の分解能を0.5画素とすると、動きの分解能は7.5×0.5=3.75mmとなる。
一方、第一の撮像素子115における単位画素あたりの物面での被写体サイズは、133.3×5.62÷1000=0.75mmとなり、ぶれ許容値は4画素分なので0.75×4=3.0mmとなる。そのため、このままでは第二の撮像素子125の動きの分解能よりもぶれ許容値のほうが小さいので、第二の撮像素子125を用いたとしても、第一の撮像素子115のぶれが許容値以下であるかを判定することができない。
そこで、第二の制御回路121は第二の光学系124の焦点距離を望遠側に移動してズームを行い、第二の撮像素子125における動き検知の分解能を高くする。
300mm/secで移動する被写体400がぶれ許容値3.0mmに達する時間は3.0÷300×1000=10.0msecである。
そのため、第二の撮像システム120における単位フレーム(1msec)あたりに求められる動きの分解能は3.0÷10.0÷0.5=0.6mmとなる。
そこで、第二の制御回路121は、第二の光学系124の結像倍率を0.6×1000÷6.25=96.0、焦点距離を40×1000÷96.0=416.6mmに移動すれば、動きの分解能がぶれ許容値よりも細かくなる。こうすることで、第二の撮像素子125で得られた画像データを用いて動き検知結果に基づいて、第一の撮像素子115の露光終了のタイミングを制御し、被写体400を許容錯乱円径以下のぶれで撮像することが可能となる。
なお、第二の光学系124を望遠側にズームしているので、第二の撮像素子125の画角は第一の撮像素子115と異なっており、第二の撮像素子125の画角は、96.0×6.25×640/1000=384.0mmである。このように焦点距離を大きくし、ズーム位置を望遠側に移動すると画角が狭くなるため、光軸近傍以外に被写体が存在する場合には、被写体が視野外になってしまう可能性がある。その場合、公知の光軸や撮像素子の位置を移動する技術を用いて、光軸から外れた領域に視野を移動することができる構成とするのがよい。
図3に戻り、ステップS315において、第二の制御回路121は、SW1がオンになった際に選択された主被写体の情報に基づいて第二の光学系124を用いたAFを行う。
ステップS316において、第二の制御回路121は、SW1がオンになった際に選択された主被写体の情報に基づいて第二の撮像素子125のためのAEを行う。
ステップS317において、第一の制御回路111は操作部材130に含まれるシャッタスイッチが全押しされることによって、シャッタスイッチ内のSW2がオンになったかを判定し、オンになるまでステップS312乃至S316を繰り返す。
ステップS317においてSW2がオンになると、図4のステップS318において、第一の制御回路111は、ステップS313にて行ったAEの結果に基づいて露光時間、絞り、および、感度を設定し、第一の撮像素子の露光を開始する。
図13は、第一の撮像素子115の露光開始からの時間と設定されるシャッタスピードの関係を示す図である。第一の制御回路111は、第一の撮像素子115の露光開始後の時間の経過とともに、第一の撮像素子115のシャッタスピードの設定を変更する。図13(a)に示す例では、露光開始時の露光時間を1/800秒と設定しているが、第二の制御回路121から露光終了のタイミングを指示する信号が送信されてこなければ、シャッタスピードを段階的に長い時間に変更するとともに、信号を読み出す際の感度を段階的に小さく変更している。
図14は、シャッタスピードと感度の関係を示す図である。図14に示す例では、シャッタスピードが1/800秒に設定されたときの感度はISO800に設定されているが、シャッタスピードが長くなるにつれて、感度も小さく変化する。
そして、図13(a)に示す例では、露光時間が1/100秒に達すると、感度も下限値であるISO100に達するため、露光時間が1/100秒に達した場合には第一の撮像素子115の露光を停止する。なお、ここでは露光開始時のシャッタスピードを1/800秒としているが、これはユーザが任意に設定できる。
ステップS319において、第二の制御回路121は、1000fps、あるいは、第一の撮像素子115に対して設定されたフレームレートの所定倍(例えば、50倍)となるフレームレートを設定し、第二の撮像素子125の露光を開始する。第二の撮像素子125は設定したフレームレートに応じた露光時間に達すると、得られたアナログ画像信号を第二のA/D変換回路126に出力するとともに、すぐさま次の露光を開始する処理を繰り返す。すなわち、第一の撮像素子115の1回の露光時間の間に、それよりも早いフレームレートで、第二の撮像素子125の露光が繰り返し行われる。
ここで、図6は、第一の撮像素子115、第二の撮像素子125、および、タイミング生成回路200による動作を説明するための図である。図6の時刻T0において、ユーザによりシャッタボタンが全押しされてSW2がオンになると、すぐさま第一の撮像システム110における第一の撮像素子115は露光を開始する。さらに、第二の撮像システム120における第二の撮像素子125は高速フレームレートで画像の撮像を開始する。第二の撮像素子125は、SW2がオンになった時刻T0の後は、時刻T1、時刻T2、時刻T3・・・において短い露光時間で連続して撮像を行う。
ステップS320において、タイミング生成回路200内の動きベクトル算出回路201が、第二の撮像素子125で得られた画像データのフレーム間における動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を算出する。動きベクトルとは、フレーム間における被写体の水平方向の移動量と垂直方向の移動量をベクトルとして表したものである。動きベクトルの算出方法について、図7乃至図9を用いて詳しく説明する。
図7は、動きベクトル算出回路201による動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度の算出処理を示すフローチャートである。図8は動きベクトルの算出方法を説明するための図であり、図8(a)はM番目フレームの画像データを示す図であり、図8(b)はM+1番目フレームの画像データを示す図である。また、図8(c)は、M番目フレームとM+1番目フレームの間における動きベクトルを示す図である。図8(c)の動きベクトルは、簡略化のため、代表的な動きベクトルのみを記載している。なお、Mは正の整数である。図9は、ブロックマッチング法による動きベクトルの算出方法を説明するための図である。なお、本実施形態では、動きベクトルの算出手法として、ブロックマッチング法を例に挙げて説明するが、動きベクトルの算出手法はこの例に限定されず、例えば勾配法でもよい。
図7のステップ701において、動きベクトル算出回路201には、時間的に隣接する2つのフレームの画像データが入力される。そして、動きベクトル算出回路201は、M番目フレームを基準フレームに設定し、M+1番目フレームを参照フレームに設定する。
図7のステップ702において、動きベクトル算出回路201は、図9のように、基準フレーム901において、N×N画素の基準ブロック902を配置する。
図7のステップ703において、動きベクトル算出回路201は、図9のように、参照フレーム903に対し、基準フレーム901の基準ブロック902の中心座標と同座標904の周囲(N+n)×(N+n)画素を、探索範囲905として設定する。
図7のステップ704において、動きベクトル算出回路201は、基準フレーム901の基準ブロック902と、参照フレーム903の探索範囲905内に存在する異なる座標のN×N画素の参照ブロック906との相関演算を行い、相関値を算出する。相関値は、基準ブロック902および参照ブロック906の画素に対するフレーム間の差分絶対値の和に基づき算出する。つまり、フレーム間の差分絶対値の和の値が最も小さい座標が、最も相関値が高い座標となる。なお、相関値の算出方法は、フレーム間の差分絶対値の和を求める方法に限定されず、例えばフレーム間の差分二乗和や正規相互相関値に基づく相関値を算出する方法でもよい。図9の例では、参照ブロック906が最も相関が高いことを示しているとする。なお、公知の技術を用いて動きベクトルをサブピクセル単位で算出することができる。具体的には、図10に示す連続した相関値データC(k)において、下記(1)〜(4)式による3点内挿の手法を用いる。
x=k+D÷SLOP・・・(1)
C(x)=C(k)−|D|・・・(2)
D={C(k−1)−C(k+1)}÷2・・・(3)
SLOP=MAX{C(k+1)−C(k)、C(k−1)−C(k)}・・・(4)
x=k+D÷SLOP・・・(1)
C(x)=C(k)−|D|・・・(2)
D={C(k−1)−C(k+1)}÷2・・・(3)
SLOP=MAX{C(k+1)−C(k)、C(k−1)−C(k)}・・・(4)
ただし、図10ではk=2である。
なお、本発明本実施形態ではサブピクセル単位の分解能を0.5画素とする。また、(1)はx成分に関する式だが、同様にしてy成分も算出できる。
図7のステップ705において、動きベクトル算出回路201は、ステップ704で求めた最も高い相関値を示す参照ブロックの座標に基づいて動きベクトルを算出し、その動きベクトルの相関値を動きベクトルの信頼度とする。図9の例の場合、参照フレーム903の探索範囲905の中で、基準フレーム901の基準ブロック902の中心座標に対応した同座標904と、参照ブロック906の中心座標に基づき動きベクトルが求められる。つまり、同座標904から参照ブロック906の中心座標までの座標間距離と方向が動きベクトルとして求められる。また、その動きベクトル算出時における参照ブロック906との相関演算結果である相関値が動きベクトルの信頼度として求められる。なお、動きベクトルの信頼度は、基準ブロックと参照ブロックとの相関値が高いほど高くなる。
図7のステップ706において、動きベクトル算出回路201は、基準フレーム701の全画素について動きベクトルを算出したか否か判定する。動きベクトル算出回路201は、ステップ706において全画素の動きベクトルを算出していないと判定した場合には、ステップ702に処理を戻す。そして、ステップ702では、動きベクトルが算出されていない画素を中心として前述した基準フレーム701にN×N画素の基準ブロック902が配置され、以下前述同様に、ステップ703からステップ705の処理が行われる。すなわち、動きベクトル算出回路201は、図9の基準ブロック902を移動させながら、ステップ702からステップ705までの処理を繰り返して、基準フレーム901の全画素の動きベクトルを算出する。この動きベクトルの例を図8(c)に示す。図8の例では、図8(a)のM番目のフレームと図8(b)のM+1番目のフレームの間で、人が左から右に移動している例を示している。このように被写体が移動している場合の動きベクトルの代表例を図8(c)に示している。図8(c)に示す動きベクトルは、M番目のフレームに存在している被写体位置を動きベクトルの始点とし、それに対応するM+1番目のフレームの被写体位置を動きベクトルの終点としている。なお、動きベクトル算出回路201は、全画素の動きベクトルを算出するのではなく、全画素よりも少ない所定画素において動きベクトルを算出してもよい。
以上のような処理により、時間的に隣接する2枚の高速撮像フレーム間における動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を算出する。
なお、被写体の移動速度が変化する場合もある。そのため、時間的に隣接する2つのフレーム間における動きベクトルの大きさから物面における移動速度に換算し、前述の計算方法で、第一の撮像素子115の露光中に第二の光学系の焦点距離、結像倍率、画角を適宜変更する構成とするのがよい。
次に、動きベクトル算出回路201が、第二の撮像素子125から得られた画像データに対して動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を算出する時系列動作について、図6を参照して説明する。
動きベクトル算出回路201は、時刻T1において、時刻T0と時刻T1で得られた画像データのフレーム間の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を前述の図7のフローチャートの処理に基づき算出する。その後、時刻T2において、時刻T1と時刻T2で得られた画像データのフレーム間の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を算出する。時刻T3以後、同様の処理を繰り返し、第二の撮像素子125から得られた画像データのフレーム間における動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を算出する。
以上が、図4のステップS320における動きベクトルの算出方法についての説明である。
図4に戻り、ステップS321において、累積量算出回路202は、ステップ320において算出した動きベクトルを複数フレームにおいて追跡し、動きベクトルの累積量を算出する。そして、代表累積量算出回路203は、算出した動きベクトルの累積量に基づき、フレーム全体を代表する代表累積量を決定する。
まず動きベクトルの累積量の算出方法について、図11を用いて説明する。図11は、ステップS320において算出した複数のフレーム間の動きベクトルを示す図である。なお、説明の簡略化のため、時刻T0から時刻T3までの期間における動きベクトルの累積量の算出方法について説明するが、それ以降の期間に関しても同様の方法で動きベクトルの累積量を算出するものとする。
図11において、動きベクトル1101は、図6の時刻T0のフレームと時刻T1のフレームとの間で算出された動きベクトルを示す。動きベクトル1102は、図6の時刻T1のフレームと時刻T2のフレームとの間で算出された動きベクトルを示す。動きベクトル1103は、図6の時刻T2のフレームと時刻T3のフレームとの間で算出された動きベクトルを示す。
累積量算出回路202は、時刻T0と時刻T1のフレーム間で算出した動きベクトル1101の終点座標Qを始点座標とする動きベクトルを、時刻T1と時刻T2のフレーム間で算出した動きベクトルの中から検索する。そして、条件を満たす動きベクトル1102を、動きベクトル1101と連結する。また、累積量算出回路202は、時刻T1と時刻T2のフレーム間で算出した動きベクトル1102の終点座標Rを始点座標とする動きベクトルを、時刻T2と時刻T3のフレーム間で算出した動きベクトルの中から検索する。そして、条件を満たす動きベクトル1103を、動きベクトル1102と連結する。これ以降の期間においても同様の処理により、動きベクトルを連結していく。
このような複数フレームにおける動きベクトルの連結処理を時刻T0で算出した全ての動きベクトルに対して行うことにより、全画素の追跡動きベクトルを算出する。なお、算出した追跡動きベクトルにより、時刻T0において座標Pに存在した被写体が、時刻T1では座標Qに移動し、時刻T2では座標Rに移動し、時刻T3では座標Sに移動したことが分かる。
次に、累積量算出回路202が、追跡動きベクトルに基づき、動きベクトルの累積量を算出する方法について説明する。
累積量算出回路202は、式(5)のように追跡動きベクトルの長さを動きベクトルの累積量(VecLen)として算出する。
VecLen=VecLen1+VecLen2+VecLen3・・・(5)
VecLen=VecLen1+VecLen2+VecLen3・・・(5)
VecLen1は、時刻T0と時刻T1のフレーム間で算出した動きベクトル1101の動きベクトルの長さを示す。VecLen2は、時刻T1と時刻T2のフレーム間で算出した動きベクトル1102の動きベクトルの長さを示す。VecLen3は、時刻T2と時刻T3のフレーム間で算出した動きベクトル1103の動きベクトルの長さを示す。累積量算出回路202は、式(5)に基づき、追跡動きベクトルを構成する動きベクトルの長さの総和を動きベクトルの累積量として算出する。以上のような動きベクトルの累積量の算出処理を全画素の追跡動きベクトルに対して行い、全画素の動きベクトルの累積量を算出する。
なお、累積量算出回路202は、動きベクトルの信頼度が所定値よりも低い動きベクトルに関しては、式(5)による動きベクトルの長さの総和処理から除外しても良い。また、累積量算出回路202は、動きベクトルの信頼度が所定値よりも低い動きベクトルおよび時間的にそれ以降の動きベクトルに関しては、式(5)による動きベクトルの長さの総和処理から除外しても良い。これにより、動きベクトルの信頼度が高い動きベクトルのみを用いた動きベクトルの累積量を算出することができる。また、それぞれの動きベクトルをX方向の成分とY方向の成分に分離し、それぞれの方向毎に動きベクトルの長さの総和を求めるようにしてもよい。
次に、代表累積量の算出方法について説明する。代表累積量算出回路203は、フレーム内の全画素から得られた動きベクトルの累積量のうちの最大値を選択し、選択した最大の動きベクトルの累積量を代表累積量として決定する。このような処理をフレーム毎に行うことにより、図6に示すように、フレーム毎に1つの代表累積量を算出する。
なお、代表累積量算出回路203による代表累積量は、フレーム内の全画素の動きベクトルの累積量のうちの最大値に基づくものに限られるものではなく、フレーム内の全画素の動きベクトルの累積量の平均値や中央値でも良い。また、動きベクトルの累積量をX方向の成分とY方向の成分に分離した場合には、それぞれの方向における代表累積量を決定するようにしてもよい。
図4に戻り、ステップS322において、第二の画像処理回路127は、第二の撮像素子125から得られた画像データの各フレームの輝度値を算出し、フレーム間における輝度値の差分を算出する。具体的には、各フレームの画像データを複数のブロック領域に分割し、各ブロックの平均輝度値に対して重み付けを行って加算平均することで、フレーム全体の代表輝度値を算出する。重み付けは、画像データの中央部や、主被写体が存在するとみなされる領域において、値を大きくする。最新のフレームと直前のフレームとの間で、この代表輝度値の差分を算出する。差分が大きい、すなわち、フレーム間の輝度が急激に変化する要因としては、第三者がストロボを用いることや、光源と被写体の間に別の物体が侵入することなどが考えられる。
ステップS323において、タイミング決定回路204は、ステップS321で算出した代表累積量が閾値以上になったかを判定し、閾値以上になっていなければステップS324に進む。
ステップS324において、タイミング決定回路204は、ステップS322で代表輝度値の差分が予め定めた閾値以下であるかを判定し、差分が閾値以下であればS326に進み、差分が閾値を越えていればステップS325に進む。
ステップS325において、タイミング決定回路204は、第二の制御回路121を介して、第一の撮像システム110の第一の制御回路111に、代表輝度値の差分が予め定めた閾値を超えていることを通知する。第一の制御回路111は、この通知を受け、第一の撮像素子のシャッタスピードと感度の関係を更新する。
図15は、代表輝度値の差分が予め定めた閾値を超えたことによってシャッタスピードが更新される様子を説明するための図である。図15(a)は、直前のフレームに対して代表輝度値が大きく増加したことによって、感度の下限値であるISO100に対応するシャッタスピードが1/400秒に更新された様子を示す。図15(b)は、直前のフレームに対して代表輝度値が大きく減少したことによって、感度の下限値であるISO100に対応するシャッタスピードが1/50秒に更新された様子を示す。なお、シャッタスピードだけでなく、絞り値を変更しても構わない。代表輝度値が増加した場合には絞りの開口径を小さく変更し、代表輝度値が減少した場合には絞りの開口径を大きく変更することで、シャッタスピードの変更量を抑制することができるようになる。
ステップS326において、第一の撮像システム110の第一の制御回路111は、第一の撮像素子115の露光時間が設定されたシャッタスピードの最大値に達したかを判定し、達していなければステップS322に戻る。第一の撮像素子115の露光時間が設定されたシャッタスピードの最大値に達していれば、ステップS328に進む。
ステップS323に戻り、タイミング決定回路204は代表累積量が閾値以上なっていればステップS327に進む。
ステップS327において、タイミング決定回路204は、第一の撮像システム110に露光終了を指示するための信号を出力する。この処理は、代表累積量が閾値以上になったことが判定されるとすぐに行われる。図6に示す例では、時刻T8までの各フレーム間で算出した動きベクトルに基づく代表累積量が閾値以上になっている。そのため、この時点でタイミング決定回路204は、第二の制御回路121を介して、第一の撮像システム110に露光終了を指示するための信号を出力する。なお、X方向とY方向で別々に代表累積量を求めた場合には、いずれか一方の代表累積量が閾値以上となった場合に、露光終了を指示するための信号を出力する。
図6に示す例では、第一の制御回路111は、時刻T8よりわずかに後のタイミングで第一の撮像素子115の露光を停止することになる。実際には、第二の撮像素子125において時刻T8のフレーム画像が生成されてから代表累積量が得られるまでの算出時間や、タイミング決定回路204から出力された信号が第一の制御回路111に到達するまでの時間がタイムラグとして生じる。しかしながら、これらのタイムラグを考慮して閾値を設定するようにすれば、タイムラグによる影響を抑えることができる。
ステップS328において、第一の制御回路111は第一の撮像素子115の露光を停止する。そして、第一の制御回路111は、第一の撮像素子115の信号を、露光停止したときに設定されていたシャッタスピードに対応する感度で読み出してアナログ画像信号を生成し、第一のA/D変換回路116に出力する。例えば、図14に示す例では、シャッタスピードが1/200秒に設定されている状態で露光を停止したのであれば、アナログ画像信号を生成する際の感度はISO200に設定される。そして、A/D変換回路116で生成されたデジタル画像データは第一の画像処理回路117で所定の処理が施され、記録用の画像データとして画像出力回路118に出力される。画像出力回路118は、撮像装置100に着脱可能な記録メディアに対して記録用の画像データの書き込みを行ったり、無線あるいは有線通信機能を用いてスマートフォンやサーバーなどの外部装置に記録用の画像データを送信したりする。
このように、タイミング生成回路200が第二の撮像素子125で生成された画像データに基づいて被写体の動き量を判定し、第一の撮像素子115の露光を停止することで、第一の撮像素子115から得られる画像データのぶれの大きさを調整することが可能となる。さらに、被写体の動き量が予め設定した値に達していなければ、段階的に露光時間が長くなるようにシャッタスピードを変更することで、ぶれの大きさを調整しつつ、露光時間を最大限長くすることができる。そのため、ぶれの大きさを調整しつつ、ノイズ成分を抑制することが可能となる。
ステップS329おいて、第二の撮像システム120の第二の制御回路121は、第二の撮像素子125の露光を停止する。
ステップS330において、第一の制御回路111は、第一の撮像素子115で生成された画像データに含まれるぶれの大きさ、すなわち、その画像データに対応する代表累積量と、ステップS304で設定したぶれレベルを比較する。第一の撮像素子115の露光時間が、感度の下限値に対応するシャッタスピードに達したことで第一の撮像素子115の露光を停止した場合には、画像データに含まれるぶれの大きさが、ステップS304で設定したぶれレベルに達していない可能性が高い。そこで、第一の制御回路111は、画像データに対応する代表累積量がステップS304で設定したぶれレベルに比べて所定値以上低い場合には、不足分のぶれを有する画像データを生成するため、ステップS331に進む。この所定値は、例えば、ステップS304で設定されていた閾値に対応するぶれの大きさの30%に相当する値とする。画像データに対応する代表累積量とステップS304で設定したぶれレベルの差が所定値未満であれば、ステップS332に進む。
ステップS331では、不足分のぶれの大きさに応じて、ステップS323の判定で用いる閾値を更新し、ステップS318に戻り、再度撮像を行う。撮像後に、それぞれの撮像で得られた画像データを合成することで、ステップS304で設定したぶれレベルに近い大きさのぶれを有する画像データを生成することができる。この画像データの合成は、撮像装置100の内部で行ってもよいし、これらの画像データを読み込んだ外部のパーソナルコンピュータやタブレット端末などの外部装置で行ってもよい。
ここで、ステップS330において、画像データに対応する代表累積量とステップS304で設定したぶれレベルの差が所定値未満である場合には、不足分のぶれを有する画像データの生成を行わない理由について説明する。不足分のぶれの大きさが小さければ、ステップS323において新たに用いられる閾値は、その前に設定されていた閾値に比べて、大幅に小さい値となる。そのため、次の撮像では、ステップS323において、代表累積量が短期間で閾値以上となる可能性が高く、露光時間が短くなる可能性が高い。図14に示すように、露光時間に応じて感度が変化するため、合成対象となる画像データ間で露光時間に乖離があると、それぞれの画像データを読み出す際に設定される感度も乖離してしまう。そのため、合成対象となる画像データに含まれるノイズ成分の大きさにも差が生じてしまい、合成後の画像データの品位が低下してしまう。そこで、ステップS330において、画像データに対応する代表累積量とステップS304で設定したぶれレベルの差が所定値未満である場合には、不足分のぶれを有する画像データの生成を行わない構成としている。
ステップS332において、第一の撮像システム110の第一の制御回路111は、撮影モードが選択されたままであるかを判定し、撮影モードのままであればステップS306に戻り、別のモードが選択されていればステップS302に戻る。
以上説明したように、本実施形態においては、第一の撮像素子115の露光期間中の被写体の動き量に基づいて、第一の撮像素子115の露光を終了させるため、ぶれの少ない画像を撮像することができる。
また、本実施形態では、タイミング決定回路204は、代表累積量が閾値以上になったタイミングで露光終了を指示する例について説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、タイミング決定回路204は、得られた最新の代表累積量が閾値以上になっていない場合だとしても、次フレームで代表累積量が閾値を大きく超えることが予想される場合は、現フレームに基づき露光終了を指示しても良い。次フレームにおいて代表累積量が閾値を大きく超える場合は、次フレームのタイミングで露光終了を指示したとしても、ぶれが発生してしまう。そのため、次フレームにおいて代表累積量が閾値を大きく超えることが予想される場合は、現フレームにおいて露光終了を指示する。なお、閾値を大きく超えるか否かの判定としては、上述した閾値より十分に値の大きな第二の閾値を設定し、次フレームにおける代表累積量の予測値がこの第二の閾値以上となるか否かを判定すればよい。
次フレームにおける代表累積量の予測値(VecLen_PRED)は、例えば、式(6)のように最新の動きベクトル長を2倍した動きベクトルの累積量に基づき算出すればよい。
VecLen_PRED=VecLen1+VecLen2+2×VecLen3・・・(6)
VecLen_PRED=VecLen1+VecLen2+2×VecLen3・・・(6)
式(6)では、最新の動きベクトル長は、時刻T2と時刻T3のフレーム間で算出したVecLen3としている。このように次に得られる動きベクトルの累積量の予測値を全画素に対して算出し、そのフレームの最大値を代表累積量とする。
また、本実施形態では、タイミング決定回路204から出力された信号に基づいて、撮像素子115のフレーム全体の露光を終了する例について説明したが、これに限られるものではない。例えば第一の撮像素子115が、ライン、領域、あるいは、画素毎に露光時間を制御できる構成であれば、タイミング決定回路204は、第一の撮像素子115のこれらの部分毎の累積量に基づいて露光終了の信号を出力するようにしてもよい。また、フレーム全体を分割ブロックに分割し、分割ブロックを代表する累積量に基づき、分割ブロック毎に露光終了の信号を出力しても良い。また、露光の最中にシャッタスピードを更新しているが、シャッタスピードだけでなく、絞りも合わせて変更してもよい。絞りの開口径を適宜選択することで、感度の下限値に対応するシャッタスピードの値を変更することが可能になる。ただし、絞りを変えることによって被写界深度も変わってしまうため、絞りを変更する範囲は1段以内に制限するとよい。
また、本実施形態では、累積量算出回路202は、追跡動きベクトルの長さとして、連結した動きベクトル各々の長さの総和を動きベクトルの累積量として算出する例について説明したが、これに限られるものではない。図9のような追跡動きベクトルを構成する各動きベクトル、または、各動きベクトルの一部が同一座標を通過する場合は、同一座標を通過する長さを式(5)による動きベクトルの長さの総和処理から除外しても良い。これにより、例えば、隣接座標を行き来するような微小な周期的動き(反復運動)の被写体に対して、動きベクトル長を過分に加算してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第二の撮像システム120の焦点距離、結像倍率、および、画角を変更して得た画像を用いた動き解析結果に基づき、第一の撮像素子115の露光終了のタイミングを決めている。そのため、第一の撮像素子115と第二の撮像素子125で解像度が異なる仕様であっても、ぶれの少ない画像を撮像することができる。
なお、本実施形態では、第二の光学系124の焦点距離を望遠側に移動することで動きの分解能を上げたが、一般的なレンズにおいて焦点距離を望遠側に移動するとF値が大きくなり、画像が暗くなる。その分、明るくするために感度を上げるとノイズが多くなり、動きベクトルの算出精度が悪化してしまう。そこで、第二の撮像素子125で得られる画像のノイズ成分の大きさに応じて、焦点距離の最大移動量に制限を設ける構成としてもよい。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
100 撮像装置
110 第一の撮像システム
111 第一の制御回路
112 第一のROM
113 第一のRAM
114 第一の光学系
115 第一の撮像素子
116 第一のA/D変換回路
117 第一の画像処理回路
118 第一のメモリ
119 第一の表示装置
120 第二の撮像システム
121 第二の制御回路
122 第二のROM
123 第二のRAM
124 第二の光学系
125 第二の撮像素子
126 第二のA/D変換回路
127 第二の画像処理回路
130 操作部材
200、1500 タイミング生成回路
110 第一の撮像システム
111 第一の制御回路
112 第一のROM
113 第一のRAM
114 第一の光学系
115 第一の撮像素子
116 第一のA/D変換回路
117 第一の画像処理回路
118 第一のメモリ
119 第一の表示装置
120 第二の撮像システム
121 第二の制御回路
122 第二のROM
123 第二のRAM
124 第二の光学系
125 第二の撮像素子
126 第二のA/D変換回路
127 第二の画像処理回路
130 操作部材
200、1500 タイミング生成回路
Claims (13)
- 第一の撮像手段と、
第二の撮像手段と、
前記第一の撮像手段が第一のフレームの画像データのための露光を行っている間に前記第二の撮像手段にて撮像された複数のフレームの画像データを用いて、前記複数のフレームの画像データにおける被写体の動き量を算出する算出手段と、
前記第一の撮像手段の露光時間である第一の時間を設定する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記第一の撮像手段の露光時間が前記第一の時間に達していなくとも、前記算出手段が算出した前記動き量が閾値に達した場合には、前記第一の撮像手段による前記第一のフレームの画像データのための露光を停止するものであって、前記動き量が前記閾値に達するまでは、前記第一の撮像手段の露光時間の経過とともに前記第一の時間を更新することを特徴とする撮像装置。 - 前記制御手段は、前記第一の撮像手段の露光時間の経過とともに、前記第一の時間を長くすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記第一の撮像手段の露光時間の経過とともに、前記第一の撮像手段の感度を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記第一の撮像手段の露光時間の経過とともに、前記第一の撮像手段の感度を小さくすることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記第一の撮像手段の露光時間が前記第一の時間に達したことで前記第一の撮像手段の露光を停止した場合に、前記第一の撮像手段による画像データに含まれる動き量に応じて、前記第一の撮像手段に再び露光を行わせることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記第一の撮像手段の露光時間が前記第一の時間に達したことで前記第一の撮像手段の露光を停止した場合に、前記第一の撮像手段による画像データに含まれる動き量が、予め設定された動き量に対して所定値以上だけ小さい場合に、前記第一の撮像手段に再び露光を行わせることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
- 前記所定値は、ユーザの指示に応じて設定した値であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
- 前記算出手段は、複数の画像データのフレーム間における前記被写体の動き量の累積量を算出する累積量算出手段を有し、
前記制御手段は、前記累積量と閾値を比較した結果に応じて、前記第一の撮像手段による前記第一のフレームの画像データのための露光を停止することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 前記累積量算出手段は、前記第二の撮像手段にて新たなフレームの画像データが撮像されると、それまで撮像された複数の画像データのフレーム間における前記被写体の動き量の累積量を新たに算出し、
前記制御手段は、前記累積量が前記閾値以上となった場合に、前記第一の撮像手段による前記第一のフレームの画像データのための露光を停止することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。 - 前記制御手段は、前記累積量が前記閾値以上でなくとも、前記第二の撮像手段で撮像される次のフレームにおいて予測される累積量が前記閾値より大きな値の第二の閾値以上である場合に、前記第一の撮像手段による前記第一のフレームの画像データのための露光を停止することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
- 前記算出手段は、前記被写体の動き量として、動きベクトルを算出することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 撮像装置の制御方法であって、
第一の撮像手段の露光時間である第一の時間を設定し、
前記第一の撮像手段が第一のフレームの画像データのための露光を行っている間に第二の撮像手段にて撮像された複数のフレームの画像データを用いて、前記複数のフレームの画像データにおける被写体の動き量を算出し、
前記第一の撮像手段の露光時間が前記第一の時間に達していなくとも、算出した前記動き量が閾値に達した場合には、前記第一の撮像手段による前記第一のフレームの画像データのための露光を停止し、
前記動き量が前記閾値に達するまでは、前記第一の撮像手段の露光時間の経過とともに前記第一の時間を更新する、
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。 - 撮像装置で用いられるプログラムであって、前記撮像装置に備えられたコンピュータに、
第一の撮像手段の露光時間である第一の時間を設定するステップと、
第一の撮像手段が第一のフレームの画像データのための露光を行っている間に第二の撮像手段にて撮像された複数のフレームの画像データを用いて、前記複数のフレームの画像データにおける被写体の動き量を算出するステップと
前記第一の撮像手段の露光時間が前記第一の時間に達していなくとも、算出した前記動き量が閾値に達した場合には、前記第一の撮像手段による前記第一のフレームの画像データのための露光を停止するステップと、
前記動き量が前記閾値に達するまでは、前記第一の撮像手段の露光時間の経過とともに前記第一の時間を更新するステップを、
実行させることを特徴とするプログラム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018118130A JP2019220889A (ja) | 2018-06-21 | 2018-06-21 | 撮像装置、撮像装置の制御方法、および、プログラム |
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Family Applications (1)
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JP2018118130A Pending JP2019220889A (ja) | 2018-06-21 | 2018-06-21 | 撮像装置、撮像装置の制御方法、および、プログラム |
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- 2018-06-21 JP JP2018118130A patent/JP2019220889A/ja active Pending
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