JP2019220648A - パワーモジュール、電力変換装置、及びパワーモジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この熱応力によるひずみを低減する半導体装置として、例えばプレート電極のハーフカット部に凸部を設け、凸部に半田を用いて半導体チップと接合する技術が提案されている。この技術においては、ハーフカット部の凸部側から突出するエンボス加工部を備え、エンボス加工部を半導体チップに当接させることによってエンボス加工部の高さだけ、接合材の厚みを確保する。そして、ハーフカット部及びエンボス加工部の高さによって、複数の半導体チップの接合材の厚みを均一に保ち、ヒートサイクル性を向上させる(例えば、特許文献1参照)。
発明者らは、鋭意検討により、基板実装する実装部材の横方向の熱膨張係数差による熱応力を、縦方向で緩和することを見出した。すなわち、複数の半導体素子と、プレート電極との接合において、接合部の厚みを十分確保すれば、熱膨張係数差による横方向の熱応力を、縦方向に緩和できる。そして、熱応力によるダメージが発生しやすい緻密な構造を有するトランジスタ素子の表面に、エンボス加工等による突起を設けることなく熱応力を低減できる。以下、図を用いて本発明を説明する。
接合部31、32、33には、接合材として、例えばAg焼結材が用いられる。例えば、保護膜が施されたAg粒子を、溶媒を繋ぎとして接合部31、32、33に供給する。これらをプレート電極60で規制しながら焼成すると、溶媒、保護膜が飛ばされ、Ag−Agの新生面が互いに接することにより、固相接合される。焼成後、Ag粒子が連なることにより、フレキシブルな状態で、厚みを確保でき、電気的に接続される。
さらに、シート状はんだ30を加熱し、導体層13とトランジスタ素子22及びダイオード素子21のそれぞれの裏面電極とを接合して、トランジスタ素子22及びダイオード素子21を実装した絶縁基板11を形成する。
また、予め例えばインサート成型によって、外部端子となるドレイン端子61、エミッタ端子62、信号端子63の一部を露出させ、埋め込んだケース5を形成する。
ここで、例えば接合面601は、ダイオード素子21と0.2mm程度のギャップを有し、接合面602は、トランジスタ素子22と0.5mm程度のギャップを有した状態とする。200℃のオーブンで1時間加熱し、表面電極211、221及びエミッタ端子62上のAg焼結材を焼成することにより、プレート電極60を介して、エミッタ端子62は、トランジスタ素子22及びダイオード素子21と接続される。また、ドレイン端子61及び導体層13もリード64を介してトランジスタ素子22及びダイオード素子21と接続される。
また、プレート電極60の接合部31、32とのコンタクト部には、余剰のAg焼結材311、322が逃げる逃げ穴65を設けると好ましい。また、この逃げ穴65は、Ag焼結材311、322を逃がす役割の他、検査時の覗き窓ともなる。
このように、トランジスタ素子22及びダイオード素子21を、ダイオード素子21側の接合部31(第1の接合部)より厚いトランジスタ素子22側の接合部32(第2の接合部)を介してプレート電極60と接合できる。
ケース5に固定された信号端子63は、トランジスタ素子22の表面に設けられた制御電極222と例えば径0.15mmのAlのワイヤ4を介してゲート電極や温度センサ電極等と接続される。
接合するプレート電極60とトランジスタ素子22及びダイオード素子21の熱膨張係数の差は特に大きい。トランジスタ素子22は応力に対する感受性が高いため、ひずみに伴う変形によって特性変動を起こしたり、ヒートサイクル試験によって繰り返し起こる熱変形によりクラックが生じたりする等の懸念があったところ、プレート電極60の高さを規制してトランジスタ素子22側の接合部32を厚く構成することにより熱応力を低減でき、信頼性を高めることができる。
図5は、本発明の実施の形態2にかかるパワーモジュールを示す概略断面図である。図6において、図2と同じ符号を付けたものは、同一又は対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、プレート電極60に規制部10を備えた構成が相違している。
図6は、本発明の実施の形態3にかかるパワーモジュールの製造工程の一部を示す概略図である。図6において、図3と同じ符号を付けたものは、同一又は対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、ケース5とプレート電極60を予め一体化した構成が相違している。
両面に導体層12、13が形成された絶縁基板11の導体層13上に、導電部3を形成する導電材として例えばシート状はんだ30を配置し、シート状はんだ30上にトランジスタ素子22及びダイオード素子21をそれぞれ配置する。さらに、シート状はんだ30を加熱し、導体層13とトランジスタ素子22及びダイオード素子21のそれぞれの裏面電極とを接合し、トランジスタ素子22及びダイオード素子21が実装された実装基板101を作製する。
実装基板101のトランジスタ素子22及びダイオード素子21上に、接合材としてAg焼結材322、311を配置する。
そして、プレート電極60の低い部位をダイオード素子21上のAg焼結材311上に配置し、プレート電極60の高い部位をトランジスタ素子22上のAg焼結材322上に配置する。トランジスタ素子22及びダイオード素子21が実装された実装基板101上のAg焼結材311、322をプレート電極付ケース102で規制しながら、Ag焼結材311、322、355を加熱して接合し、接合部31及び接合部31より厚い接合部32を形成する。
実施の形態1〜3では、トランジスタ素子22はSi基板に形成されたIGBTの例を示したが、トランジスタ素子22又はダイオード素子21を、Si基板に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体基板によって形成してもよい。ワイドバンドギャップ半導体基板の材料としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム、ダイヤモンド等を用いることができる。
本実施の形態は、実施の形態1〜4にかかるパワーモジュールを電力変換装置に適用したものである。本発明は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態5として、三相のインバータに本発明を適用した場合について説明する。
10 規制部、11 絶縁基板、12、13 導体層、21 ダイオード素子、
22 トランジスタ素子、30 シート状はんだ、31、32、33、34、35 接合部、40 板状電極、60 プレート電極、61 ドレイン端子、62 エミッタ端子、
63 信号端子、64 リード、65 逃げ穴、100、712 パワーモジュール、
101 実装基板、102 プレート電極付ケース、211、221 表面電極、
222 制御電極、311、322、333、355 Ag焼結材、600 折曲部、
601、602 接合面、622 ネジ穴、700 電源、710 電力変換装置、
711 主変換回路、713 制御回路、720 負荷。
Claims (11)
- 導体層を有する絶縁基板と、
前記導体層上の導電部にそれぞれの裏面電極が接合されたダイオード素子及びトランジスタ素子と、
前記ダイオード素子の表面電極上に形成された第1の接合部と、
前記トランジスタ素子の表面電極上に形成され、前記第1の接合部よりも厚く形成された第2の接合部と、
前記第1の接合部及び前記第2の接合部を介して前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子と外部端子を接続するプレート電極と、
前記プレート電極、前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子を封止する封止樹脂部と
を備えたことを特徴とするパワーモジュール。 - トランジスタ素子上のプレート電極の裏面が、ダイオード素子上の前記プレート電極の裏面よりも高くなるように、前記プレート電極に折曲部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
- プレート電極の、第1の接合部と第2の接合部の間とを繋ぐ部位に緩衝部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
- ダイオード素子とトランジスタ素子との間の絶縁基板又は導体層上に一端が接し、他端がプレート電極の裏面に接するように配置され、前記プレート電極の高さを規制する規制部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
- 導電部にはんだ、第1の接合部及び第2の接合部に金属焼結材が用いられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
- 導電部、第1の接合部、及び第2の接合部に金属焼結材が用いられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
- ダイオード素子及びトランジスタ素子の少なくともいずれかはワイドバンドギャップ半導体基板に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
- ワイドバンドギャップ半導体基板は、炭化珪素、窒化ガリウム、ダイヤモンドのいずれかを材料とすることを特徴とする請求項7に記載のパワーモジュール。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のパワーモジュールを有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路と
を備えた電力変換装置。 - 絶縁基板の導体層上に配置された導電材上にダイオード素子及びトランジスタ素子を配置する工程と、
前記導電材を加熱して前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子のそれぞれの裏面電極を前記導体層と接合する工程と、
前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子のそれぞれの表面電極上に接合材を配置する工程と、
前記ダイオード素子上及び前記トランジスタ素子上に、前記トランジスタ素子上のプレート電極の裏面の高さが前記ダイオード素子上の前記プレート電極の裏面の高さより高くなるように前記プレート電極を配置し、前記接合材を加熱することにより前記プレート電極と前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子をそれぞれ接合する工程と、
前記プレート電極、前記トランジスタ素子、及び前記ダイオード素子を封止する工程と
を備えたパワーモジュールの製造方法。 - 絶縁基板の導体層上に配置された導電材上にダイオード素子及びトランジスタ素子を配置する工程と、
前記導電材を加熱して前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子のそれぞれの裏面電極を前記導体層と接合して実装基板を作製する工程と、
前記実装基板の前記ダイオード素子及び前記トランジスタ素子のそれぞれの表面電極上に接合材を配置する工程と、
高低差を設けたプレート電極をケースに固定したプレート電極付ケースを作製する工程と、
前記プレート電極付ケースの前記プレート電極の低い部位を前記ダイオード素子上の前記接合材上に、前記プレート電極の高い部位を前記トランジスタ素子上の前記接合材上に配置し、前記接合材を加熱して接合する工程と、
接合された前記実装基板と前記プレート電極付ケースを樹脂で封止する工程と
を備えたパワーモジュールの製造方法。
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