JP2019218577A - マグネシウム合金 - Google Patents

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敏治 松本
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太司 城戸
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Abstract

【課題】熱伝導性と軽量性を両立しつつ、従来のアルミニウム合金に代替可能なマグネシウム合金を提供する。【解決手段】本発明のマグネシウム合金は、全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のカルシウムと、全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなる。【選択図】図4

Description

本発明は、マグネシウム合金に関する。
電子機器や精密機器、自動車や航空機などの輸送機器、製造機械など、様々な機器や装置において筐体や各種部品などを構成するために種々の金属素材が用いられる。このような様々な機器や装置の筐体や各種部品などは、鉄やアルミなどの単一金属素材で形成されるだけでなく、様々な合金素材が用いられることが多くなってきている。
電子機器や精密機器は、作業性や持ち運び容易性などの観点から、軽量化を必要としている。軽量でありながら、十分な耐久性や強度を必要としている。このような観点から、電子機器や精密機器の筐体や各種部品など(部材)を構成する素材として、軽量性のある合金素材が使われるようになってきている。
あるいは、輸送機器は、燃費向上のためにやはり軽量化が求められている。当然に、輸送機器においては、十分な耐久性や強度も必要である。このような観点から、軽量性のある合金素材が用いられるようになってきている。
これは、製造機械などにおいても同様である。多くの機器や装置は、作業の容易性、運搬の容易性、低燃費性、エコロジー性などを必要としており、これを実現する基準の一つとして、軽量化が求められている。この軽量化を実現するために、軽量性のある合金素材が用いられている。あるいは開発されている。
一方で、これらの機器や装置においては、高い熱伝導性も求められている。
電子機器や精密機器は、半導体素子などによる電気的処理を実行する。この電気的処理による動作によって、電子機器や精密機器の内部が発熱する。この発熱により生じた熱は、電子機器や精密機器の動作、性能維持、耐久性などにおいて、好ましくない。このため、この熱を、素早くかつ適切に外部に放出する必要がある。
また、輸送機器においても、内燃機関や駆動機関を含むことで、動作中に熱が発生する。この熱が高すぎたり溜まりすぎたりすることは、動作機能や性能維持において、好ましくない。もちろん、熱が大きくなりすぎることで、輸送機器の強度や耐久性に悪影響が出ることもある。
同様に製造機械などの機器や装置においても、その動作中に熱が発生することを防止できない。この熱による機能や性能への影響や、耐久性への影響が懸念される。
このため、これらの機器や装置の部材を構成する合金素材としては、熱伝導率の高さが求められる。熱伝導率が高ければ、内部で発生した熱を部材や筺体を通じて伝導させて、外部に放出することが容易となるからである。機器や装置が動作中である限り、熱は発生し続ける。このとき、熱伝導率が高い素材で筐体や部材が構成されていれば、この熱が効率よく伝導されて、外部に放出されることが継続される。この継続によって、機器や装置の性能低下などを防止できる。
このように、様々な機器や装置の筐体や部材において、熱伝導率の高い合金素材が求められている。同様に、上述の通り、軽量性も求められている。
このような熱伝導率と軽量性を両立できる合金素材として、アルミニウム系合金が使用されることがある。
しかしながら、アルミニウムは軽量であるが、強度や耐久性の点で不十分な部分がある。また、元素そのものの重さとして、アルミニウムよりも軽い素材として、マグネシウムが注目されている。
マグネシウムの室温における密度は、1.7g/cm3であり、この密度は鉄の密度の約1/4であり、アルミニウムの密度の約2/3である。また、マグネシウムは、比強度、比剛性、切削性、耐くぼみ性、振動吸収等の性質が優れていることも知られている。
この軽量性の特性により、マグネシウム系合金についての技術が、いくつか提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
特開2002−212662号公報 特開2016−204678号公報 特開平06−25791号公報 特開2012−197490号公報
特許文献1は、亜鉛含有マグネシウム合金において、亜鉛含有量を8〜12重量%とし、カルシウム含有量をゼロ又は1.0重量%以下とし、残部をマグネシウム及び不可避不純物からなるものとする。このマグネシウム合金は、100W/m・K以上140W/m・K未満という高い熱伝導率と、100MPa以上の0.2%耐力と、良好な鋳造性(熱間割れの少なさ)とを併せ持つマグネシウム合金を、開示する。
特許文献1は、マグネシウム合金であって、軽量性と熱伝導性を両立するマグネシウム合金を開示する。
しかしながら、特許文献1のマグネシウム合金は、亜鉛の組成比率が高い。亜鉛そのものは、添加量が多くなると熱伝導性を下げる傾向を有する。このため、特許文献1のマグネシウム合金は、熱伝導性の実現が不十分となり得る。スペック上は可能であっても、実製品において不十分となる懸念がある。また、コストも増加する懸念もある。
また、耐腐食性においても不十分となりうる懸念がある。
特許文献2は、質量%で、Znを2〜15%含有するマグネシウム−亜鉛系合金からなり、全体のZn含有量よりもZn含有量が低い固相粒子を0.5〜50体積%で含むマグネシウム合金を開示する。
しかしながら、特許文献2のマグネシウム合金は、耐熱性に問題が生じる。マグネシウム元素は、発火温度が低く、様々な機器や装置に使用されると、耐熱性に問題が生じやすい。特許文献2のマグネシウム合金は、発火温度の問題を残しており、耐熱性が不十分である問題がある。
特許文献3は、亜鉛3〜8重量%、カルシウム0.8〜5重量%及び銅0〜10重量%を含有し、所望により更にそれぞれ2重量%以下のマンガン、ジルコニウム及びケイ素、及び4重量%以下の希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、残部がマグネシウムと不可避の不純物からなる室温及び高温強度に優れたマグネシウム合金を、開示する。
しかしながら、特許文献3のマグネシウム合金は、種々の元素を含有することで、製造の手間や製造コストが増加する問題がある。多くの機器や装置では、コスト低下が重要である。この点で、素材であるマグネシウム合金のコストが高いことは、好ましくない。また、特許文献3は、熱伝導性に関する開示がなく、熱伝導性を向上させることについての示唆がない。従来技術で説明したように、熱伝導性が高いことで、様々な部材としての適用が困難である問題を、特許文献3は有している。
特許文献4は、全体を100質量%としたときに(以下単に「%」という。)、1.5%以上4.3%以下のZnと、0.3%以上2%以下のSiと、0.1%以上0.5%以下のMnと、残部がMgと不可避不純物および/または改質元素とからなることを特徴とするマグネシウム合金を開示する。
しかしながら、特許文献4のマグネシウム合金は、耐熱性も不十分である問題があり、実際の機器や装置への適用に困難性を残している。
本発明は、熱伝導性と軽量性を両立しつつ、従来のアルミニウム合金に代替可能なマグネシウム合金を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明のマグネシウム合金は、全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなる。
本発明のマグネシウム合金は、従来の汎用のアルミニウム合金にそん色のない熱伝導率を有する。加えて、アルミニウム合金よりも軽量性において優れている。マグネシウムそのものの元素密度が低いことで、本発明のマグネシウム合金の軽量化が実現されるからである。
この熱伝導率と軽量性の両立により、従来のアルミニウム合金に代替可能である。代替されることで、アルミニウム合金よりも軽量化を実現できる。
また、本発明のマグネシウム合金は、耐腐食性も高く、機器や装置へ最適に適用することができる。加えて、耐熱性も高いメリットがある。
本発明の実施の形態におけるマグネシウム合金1の製造工程のフローチャートである。 本発明の実施の形態における溶融工程を示す模式図である。 このウィーデマン・フランツの法則から電気伝導率と熱伝導率の相関関係の比率の定数を算出する内容を示す説明図である。 実験1の実験結果を示す表である。 図4の表をグラフとしたものである。
本発明の第1の発明に係るマグネシウム合金は、全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなる。
この構成により、普及しているアルミニウム合金の置き換えが可能な、十分なレベル(100W/m・K)の熱伝導率を有するマグネシウム合金を実現できる。
本発明の第2の発明に係るマグネシウム合金では、全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなる。
この構成により、普及しているアルミニウム合金の置き換えが可能な、十分なレベル(100W/m・K)の熱伝導率を有するマグネシウム合金を実現できる。
本発明の第3の発明に係るマグネシウム合金では、第1または第2の発明に加えて、マグネシウム合金の熱伝導率が、100W/m・K以上である。
この構成により、普及しているアルミニウム合金の代替が可能となる。加えて、アルミニウム合金よりも軽量化を図ることができる。
本発明の第4の発明に係るマグネシウム合金では、第2の発明に加えて、アルミニウムを、全体に対して0.75mass%とする場合には、
亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
カルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%であり、
残部がマグネシウムと不可避混合物からなる。
この構成により、より高い熱伝導率のマグネシウム合金を実現できる。
本発明の第5の発明に係るマグネシウム合金では、第2の発明に加えて、アルミニウムとカルシウムの添加量を同一とする場合には、
亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
アルミニウムおよびカルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜0.75mass%であり、
残部がマグネシウムと不可避混合物からなる。
この構成により、より高い熱伝導率のマグネシウム合金を実現できる。
本発明の第6の発明に係るマグネシウム合金では、第4または第5の発明に加えて、マグネシウム合金の熱伝導率が、108W/m・Kである。
この構成により、より高い熱伝導率を必要とするアプリケーションでのマグネシウム合金の使用が可能となる。
本発明の第7の発明に係るマグネシウム合金では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、
全体に対して、総量として1.0mass%以下の追加元素群を更に含み、
前記追加元素群は、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、すず(Sn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、ジスプロシウム(Dy)の少なくとも一つ以上の組み合わせである。
この構成により、同等の性能とコンセプトを実現するマグネシウム合金には、他の元素が追加されたものも含み、幅広いパターンを含むことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(参考技術の説明)
現在、すでに実用化されているアルミニウム合金ADC12が存在する。このアルミニウム合金は、軽量であると共に熱伝導性に優れている。熱伝導性に優れていることで、電子機器や輸送機器などの種々の機器や装置の筐体、部材、部品に使用されても、熱を排出しやすいとのメリットを有する。
このような既存のアルミニウム合金は、熱伝導率が100W/m・K以上である。
熱伝導率が100W/m・K以上であることで、このアルミニウム合金は、電子機器や輸送機器などの発熱しやすい機器や装置でも、熱を伝導しやすい。熱を伝導しやすければ、発熱部位の熱を外部に排出しやすくなる。排出しやすければ、機器や装置が使用される中で生じる熱の問題を解消しやすい。
既存のアルミニウム合金は、100W/m・K以上の熱伝導率を有することで、このような熱の問題解消を実現している。このとき、上述のアルミニウム合金ADC12の熱伝導率が、100W/m・K以上を目安としている。
この点から、本発明のマグネシウム合金は、熱伝導率を100W/m・K以上を基準とすることが適当である。 ここで、ADC12とのアルミニウム合金は、次の通りの組成を有する。9.6〜12.0mass%のケイ素、1.5〜3.5mass%の銅、0.3mass%以下のマグネシウム、1.0mass%以下の亜鉛、1.3mass%以下の鉄、0.5mass%以下のマンガン、0.5mass%以下のニッケル、0.2mass%以下のすず、0.2mass%以下の鉛、0.3mass%以下のチタン、残部がアルミニウムである。これは、JIS H 5302で規定されている。
日本ダイカスト協会による開示では、ADC12のアルミニウム合金の熱伝導率は、96W/m・K以上となっている。このため、既存のアルミニウム合金に置き換えを目指す本発明のマグネシウム合金の熱伝導率が、100W/m・K以上であればよいことが分かる。
(マグネシウム合金1)
本発明のマグネシウム合金は、次の組成を有する。
全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなるマグネシウム合金。
この組成と組成比率を有する本発明のマグネシウム合金を、マグネシウム合金1とする。
マグネシウム合金1は、含む組成として、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムである。このとき、原料の由来、製造の工程などにおいて不可避に混合される不可避混合物が、マグネシウム合金1に含まれていることは除外しない。
加えて、マグネシウム合金1の特性や性質、および発明の意図を阻害しない成分が添加されることを除外しない。例えば、上述した成分以外の成分が添加されるが、本発明でのマグネシウム合金1の性質や意図を阻害しない場合がある。マグネシウム合金としての熱伝導率などを阻害しない場合である。
亜鉛(以下、必要に応じて「Zn」という)は、マグネシウム合金全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%である。カルシウム(以下、必要に応じて「Ca」という)は、マグネシウム合金全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%である。アルミニウム(以下、必要に応じて「Al」という)は、マグネシウム合金全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%である。
これらの組成の残部が、マグネシウム(以下、必要に応じて「Mg」という)である。
マグネシウム合金1は、これらの組成比率に応じたそれぞれの組成によって製造される。
図1は、本発明の実施の形態におけるマグネシウム合金1の製造工程のフローチャートである。
図1のフローチャートに示される通り、マグネシウム合金1は、秤量工程ST1、溶融工程ST2、固化工程ST3、成型工程ST4を経て、製造される。もちろん、図1では、製造工程における主だった工程を示しており、他の工程が追加されてマグネシウム合金1が製造されても問題ない。
秤量工程ST1では、上述したような組成比率になるように、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムが秤量される。不可避混合物は、原料である亜鉛などの純度などによって含まれうるし、秤量工程ST1などにおいて混合してしまうことで含まれうる。
溶融工程ST2では、秤量されたそれぞれの原料が溶融容器にて溶融される。図2は、本発明の実施の形態における溶融工程を示す模式図である。秤量された原料である、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムが溶融容器100に投入される。溶融容器100に投入されたこれらの原料は、加熱によって溶融される。
溶融工程ST2を経て得られる溶融金属が、冷却によって固化される。これが固化工程ST3である。固化工程ST3にて冷却により固化されることで、固化した合金が得られる。
次いで、必要に応じて成型工程ST4(例えば、固化工程ST3の後で行われてもよいし、固化工程ST3と並行して成型工程ST4が行われてもよい)が、実施される。この成型工程ST4を経て、例えばインゴット形状などのマグネシウム合金1が製造される。
もちろん、成型工程ST4の後で、追加的な工程が実施されてもよい。
このようにして製造されたマグネシウム合金1は、主原料がマグネシウムであることで、軽量性が高い。原子番号の通り、同じ組成比率であれば、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金よりも軽量である。また、この組成比率を有するマグネシウム合金1は、高い熱伝導率を有する。
このマグネシウム合金1の熱伝導率は、100W/m・K以上である。熱伝導率が100W/m・K以上であることで、参考技術で説明したアルミニウム合金に代替して、様々な機器や装置の筐体、部材、部品に使用することができる。このマグネシウム合金1は、アルミニウム合金よりも軽量であって、同等以上の熱伝導率を有する。このため、軽量化のためにアルミニウム合金が使用されていた分野において、このマグネシウム合金1を代替使用することができる。
この代替使用の結果、より軽量化を図ることができる。従来はアルミニウム合金が使用されていた分野において、より軽量であるマグネシウム合金1が使用されることにより、機器や装置の軽量化が図られる。電子機器であれば、モバイル性が高くなるメリットがあり、輸送機器であれば、燃費向上などのメリットがある。
加えて、既存に使用されているアルミニウム合金と同等の100W/m・K以上の熱伝導率を有する。このため、発熱の問題を解消しなければならない電子機器や輸送機器においても、好適にマグネシウム合金1が使用できる。
既述した通り、この100W/m・K以上の熱伝導率は、既存に使用されているアルミニウム合金の熱伝導率を基準としたものであり、この基準を満たしていることで、アルミニウム合金の代替品としての使用が可能である。
(マグネシウム合金2)
次に、より熱伝導率を上げる組成比率でのマグネシウム合金2について説明する。マグネシウム合金2は、次の通りの組成比率を有する。
アルミニウムを、全体に対して0.75mass%とする場合には、
亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
カルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%であり、
残部がマグネシウムと不可避混合物からなる。
マグネシウム合金2は、マグネシウム合金1の組成比率の中に含まれており、このときアルミニウムを全体に対して0.75mass%とする場合に、残りの原料の組成比率を、上述の範囲とする。この組成範囲を有することで、マグネシウム合金2は、より高い熱伝導率を示す。このより高い熱伝導率は、108W/m・K以上である。マグネシウム合金2が、108W/m・K以上の熱伝導率を有することで、既存のアルミニウム合金よりも更に高い熱伝導率を実現できる。
既存のアルミニウム合金よりも更に高い熱伝導率であることで、既存のアルミニウム合金の置き換えのメリットが更に高まる。アルミニウム合金よりも軽量であって、熱伝導率の高さによる発熱問題の解消メリットが更に高まるからである。
(マグネシウム合金3)
マグネシウム合金2と同様に、108W/m・K以上の熱伝導率を有するマグネシウム合金3は、次の通りの組成比率を有する。
アルミニウムとカルシウムの添加量を略同一とする場合には、
亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
アルミニウムおよびカルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜0.75mass%であり、
残部がマグネシウムと不可避混合物からなる。
マグネシウム合金3は、マグネシウム合金1の組成範囲に含まれて、アルミニウムとカルシウムの添加量を略同一とする場合に、亜鉛を上述の組成比率とする。
マグネシウム合金3の熱伝導率も108W/m・K以上である。既存のアルミニウム合金よりも更に高い熱伝導率を有する。これにより、マグネシウム合金2と同じように、既存のアルミニウム合金との置き換えに高いメリットを生じさせる。
なお、マグネシウム合金2、3もマグネシウム合金1と同様の製造工程で製造される。不可避混合物や特性を変えない組成の添加についても同様である。
図1、2で説明したような製造工程を経て、マグネシウム合金2およびマグネシウム合金3が製造される。マグネシウム合金2の場合には、秤量工程ST1では、マグネシウム合金2に合わせた組成比率での秤量が行われる。マグネシウム合金3の場合には、マグネシウム合金3の組成比率に合わせた秤量が行われる。
それぞれに対応した組成での秤量が行われることで、マグネシウム合金1と同様に、マグネシウム合金2およびマグネシウム合金3が製造される。得られるマグネシウム合金2、3は、より高い熱伝導率である108W/m・K以上を有する。
(マグネシウム合金4)
マグネシウム合金4は、次の組成を有する。
全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなるマグネシウム合金。
このような組成を有するマグネシウム合金4の熱伝導率は、100W/m・K以上である。熱伝導率が100W/m・K以上であることで、参考技術で説明したアルミニウム合金に代替して、様々な機器や装置の筐体、部材、部品に使用することができる。このマグネシウム合金1は、アルミニウム合金よりも軽量であって、同等以上の熱伝導率を有する。このため、軽量化のためにアルミニウム合金が使用されていた分野において、このマグネシウム合金1を代替使用することができる。
この代替使用の結果、より軽量化を図ることができる。従来はアルミニウム合金が使用されていた分野において、より軽量であるマグネシウム合金1が使用されることにより、機器や装置の軽量化が図られる。電子機器であれば、モバイル性が高くなるメリットがあり、輸送機器であれば、燃費向上などのメリットがある。
加えて、既存に使用されているアルミニウム合金と同等の100W/m・K以上の熱伝導率を有する。このため、発熱の問題を解消しなければならない電子機器や輸送機器においても、好適にマグネシウム合金1が使用できる。
既述した通り、この100W/m・K以上の熱伝導率は、既存に使用されているアルミニウム合金の熱伝導率を基準としたものであり、この基準を満たしていることで、アルミニウム合金の代替品としての使用が可能である。
(使用態様)
上述したマグネシウム合金1〜4は、電子機器の筐体、部材、構造材、部品などの用途に使用される。例えば、ノートブック型パソコンやタブレット端末の筐体であったり、内部の構造材だったりに使用される。あるいは、携帯端末の部品や部材に使用される。
また、輸送機器の構造材や部品に使用される。例えば、輸送機器の車軸、ねじなどの部品、シャーシなどの構造材の一部などに使用される。これらは、いずれも熱の問題と軽量化の問題を解決する必要があるからである。
電子機器や輸送機器以外であっても、精密機器や工場などで使用される種々の装置の筐体、部品、部材、構造材などに使用される。これらにおいても、排熱効率を維持しつつも、軽量化することが求められるからである。
(性質を変化させない成分の添加)
マグネシウム合金1〜3は、上述の比率による亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムからなる。マグネシウム合金1は、100W/m・K以上の熱伝導率を有する。マグネシウム合金2、3は、108W/m・K以上の熱伝導率を有する。
また、機械的特性や耐食性を向上させる効果はあるが、熱伝導率への影響が少ない微量の追加元素を追加的に添加したマグネシウム合金も、本発明のマグネシウム合金に含む。
添加される微量の追加元素は、全体に対して総量が1.0mass%以下である。この追加元素は、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、すず(Sn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、ジスプロシウム(Dy)の少なくとも一つ以上の組み合わせである。
例えば、総量として1.0mass%以下となるマンガンとケイ素の組み合わせの追加元素が更に含まれる。あるいは、1.0mass%以下である値であって、添加することの可能な量のマンガンやすずなどが単独として、追加元素として更に含まれる。上記に列挙した元素の内、単独、2つの組み合わせ、3つ以上の組み合わせなど、様々なパターンであって、総量として1.0mass%を上限とする追加元素が、更に含まれるマグネシウム合金も、本発明のマグネシウム合金に含む。
このような追加元素を含むマグネシウム合金は、機械的特性や耐食性の向上との点で効果が期待できる一方で、熱伝導率については上述してきたレベルを維持して、熱伝導率への影響はない。すなわち、本発明の目的と仕様を満たすマグネシウム合金を実現できる。本発明の目的と仕様を満たしつつ、単なる置き換えとなる他の元素を含むマグネシウム合金にも及ぶ。
すなわち、上記した追加元素を総量として1.0mass%以下として含む場合でも、本発明の趣旨に合致したマグネシウム合金である。すなわち、本発明のマグネシウム合金は、その目的や仕様に見合う観点から、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム以外の微量な元素を含むことを除外するものではない。
(実験結果の説明)
発明者は、本発明のマグネシウム合金についての実験を行った。この実験を通じて、本発明を確認した。
(実験1:熱伝導率の測定)
発明者は、マグネシウム合金1、2、3について、熱伝導率を測定した。亜鉛、カルシウム、アルミニウムおよび残部のマグネシウムであるマグネシウム合金を製造した。この際に、それぞれの組成を変えてマグネシウム合金を製造して、それぞれのマグネシウム合金の熱伝導率を測定した。この測定を通じて、最初の基準である100W/m・K以上の熱伝導率となる組成範囲を確認した。次いで、次の基準となる108W/m・K以上の熱伝導率となる組成範囲を確認した。
図4は、実験1の実験結果を示す表である。図4の表は、亜鉛、カルシウム、アルミニウムの組成比率を変化させていきながら、熱伝導率を測定したものである。ここで、熱伝導率を直接測定するのではなく、マグネシウム合金の電気伝導率を測定する。電気伝導率であれば、マグネシウム合金において直接的に測定できるからである。
すなわち、本発明においては、熱伝導率を把握するために、作成したマグネシウム合金のサンプルの電気伝導率を測定した。電気伝導率と熱伝導率との間には、相関性があることが分かっている。
電気伝導率と熱伝導率との間には、ウィーデマン・フランツの法則により、リニアな相関関係があることが分かっている。ここで、リニアな相関関係での、電気伝導率と熱伝導率との比率の定数については、「神戸製鋼技報Vol.65 No.2(2015)P34」において言及がある。この言及においては、相関関係の比率の定数は値「4」とされている。すなわち、測定された電気伝導率を「4倍」にすることで、熱伝導率の値を算出することができる。
また、ウィーデマン・フランツの法則により、相関関係の比率の定数について、ある条件の場合には値「4.15」として算出することもできる。すなわち、電気伝導率の値に対して、4倍の算出を行うことで、熱伝導率を算出することができる。
図3は、このウィーデマン・フランツの法則から電気伝導率と熱伝導率の相関関係の比率の定数を算出する内容を示す説明図である。図3の算出から、電気伝導率を4倍することで、熱伝導率を算出することができる。
(電気伝導率の実験結果)
実験1では、日本ホッキング製 導電率計AutoSigma3000DLを、用いて、電気伝導率を測定した。この測定結果が、図4の表の通りである。図5は、図4の表をグラフとしたものである。
最初の基準となる100W/m・Kの熱伝導率は、25.0(IACS%)の電気伝導率である。図5のグラフ中にこの基準を示している。電気伝導率の値が、25(IACS%)以上であれば、基準となる熱伝導率を有するマグネシウム合金であると判断できる。
図4の表および図5のグラフには、作成したマグネシウム合金の組成比率を示している。なお、いずれの例も不可避混合物を含むことを除外しない。
(図4の表の測定結果)
図4の表の左上から順に電気伝導率の測定結果を説明する。
(1)3.0%の亜鉛、0.0%のカルシウム、0.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:31.8(IACS%)
(2)5.0%の亜鉛、0.0%のカルシウム、0.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:28.5(IACS%)
(3)3.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:29.7(IACS%)
(4)5.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:30.4(IACS%)
(5)5.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、0.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:29.4(IACS%)
(6)3.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.5%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:28.9(IACS%)
(7)4.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.5%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:27.8(IACS%)
(8)5.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.5%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:26.7(IACS%)
(9)3.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:27.9(IACS%)
(10)3.0%の亜鉛、0.75%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:28.1(IACS%)
(11)3.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:28.6(IACS%)
(12)4.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:27.4(IACS%)
(13)4.0%の亜鉛、0.75%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:27.8(IACS%)
(14)4.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:28.3(IACS%)
(15)4.5%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:25.9(IACS%)
(16)4.5%の亜鉛、0.75%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:26.9(IACS%)
(17)4.5%の亜鉛、1.0%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:27.0(IACS%)
(18)5.0%の亜鉛、0.5%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:25.7(IACS%)
(19)5.0%の亜鉛、0.75%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:26.4(IACS%)
(20)5.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、0.75%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:26.5(IACS%)
(21)3.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、1.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:26.9(IACS%)
(22)4.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、1.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:26.4(IACS%)
(23)5.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、1.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:25.1(IACS%)
(24)6.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、1.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金
電気伝導率:24.7(IACS%)
以上の実験結果から、マグネシウム合金1〜4のそれぞれは、電気伝導率が25.0(IACS%)以上であることが確認された。すなわち、このマグネシウム合金1〜4のそれぞれは、熱伝導率が目標である100(W/m・K)以上であることが確認された。
この(1)〜(24)のそれぞれをグラフとして表したのが図5である。図4の表および図5のグラフから、次のことが確認された。アルミニウム合金に置き換えるマグネシウム合金として、100(W/m・K)の熱伝導率を有するのは、次の組成比率の通りである。
(マグネシウム合金1)
全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛、
全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のカルシウム、
全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のアルミニウム、
残部のマグネシウムと不可避混合物からなるマグネシウム合金。
あるいは、
(マグネシウム合金4)
全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のカルシウム、
全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のアルミニウム、
残部のマグネシウムと不可避混合物からなるマグネシウム合金。
亜鉛の添加量が、全体に対して6.0mass%の場合には、電気伝導率が25.0IACS%を下回っている。このため、亜鉛の下限値は全体に対して3.0mass%であり、上限値は、全体に対して5.0mass%である。
また、亜鉛が全体に対して3.0mass%〜5.0mass%の範囲において、カルシウムおよびアルミニウムの組成比率を変化させている。例えば、図5のグラフの左のヒストグラムから見ていく。左から5つ目までのヒストグラムは、図4の表の(1)〜(5)に対応する。このヒストグラムから明らかな通り、いずれの電気伝導率も25.0IACS%を超えている。
左の6番目〜8番目のヒストグラムは、図4の表の(6)〜(8)に対応する。このヒストグラムから明らかな通り、アルミニウムとカルシウムを0.5mass%として亜鉛の範囲を3.0mass%〜5.0mass%に振った場合でも、電気伝導率は25.0IACS%を超えている。
左の9番目〜11番目は、図4の表の(9)〜(11)に対応する。この通り、亜鉛を3.0mass%、アルミニウム0.75mass%として、カルシウムと0.5mass%〜1.0mass%に振った場合でも、電気伝導率は、25.0IACS%を超えている。
左の12番目から23番目は、図4の表の(12)〜(23)に対応する。いずれも、電気伝導率は、25.0IACS%を超えている。
一方、左から24番目(図4の表の(24)に対応)では、電気伝導率が25.0を下回っている。このため、亜鉛の上限値は、5.0mass%であることが確認された。
以上の、図4、図5に示す実験の結果から、マグネシウム合金1、4が、目標とする熱伝導率を達成していることが確認された。
(亜鉛の上限値での熱伝導率の確認)
電気伝導率の実験により、熱伝導率100W/m・K以上となるマグネシウム合金での亜鉛の組成比率上限を、5.0mass%とした。ここで、念のために、発明者は、この上限部分における熱伝導率を測定した。
すなわち、図4の表の(23)の5.0%の亜鉛、1.0%のカルシウム、1.0%のアルミニウム、残部のマグネシウムのマグネシウム合金について、熱伝導率の測定を行った。
測定装置:ブルカー・エイエックスエス社製 熱定数測定システムLAF447
測定方法:フラッシュ法(JIS H7801に従う)
この測定方法によって、このマグネシウム合金の熱伝導率は「101.4W/m・K」であることが確認された。このマグネシウム合金(23)の電気伝導率は、25.1IACS%と、基準となる25.0IACS%以上のギリギリであったが、熱伝導率の測定で100W/m・K以上であることが確認できたので、この亜鉛の上限値が、本発明のマグネシウム合金の組成範囲であることが確認された。
よって、電気伝導率が25.0IACS%以上となる組成範囲を本発明のマグネシウム合金の組成比率として採用できることが、裏付けられた。
(マグネシウム合金2の確認)
また、次の基準である熱伝導率が108W/m・K以上、すなわち電気伝導率が27.0IACS%以上である場合についても、実験1によって確認した。
図5のグラフにおいて、左の9番目から20番目までのヒストグラムは、アルミニウムが全体に対して0.75mass%で固定されている。このとき、亜鉛が4mass%を超えると、電気伝導率が27.0IACS%を下回る。このため、亜鉛の組成比率は、3.0mass%〜4.0mass%であることが確認された。
また、この左の9番目から20番目までのヒストグラムによって、カルシウムは0.5mass%〜1.0mass%であることも確認された。
よって、熱伝導率が108W/m・K以上となるマグネシウム合金2は、実験1から次の組成比率であることが確認された。
アルミニウムを、全体に対して0.75mass%とする場合には、
亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
カルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%であり、
残部がマグネシウムと不可避混合物からなる。
(マグネシウム合金3の確認)
マグネシウム合金3についても実験1から確認した。図5のグラフにおいて、左から6番目〜8番目、10番目、13番目、16番目、19番目などのヒストグラムにおいて、アルミニウムとカルシウムの添加量を略同一としている(例えば、いずれも全体に対して0.5mass%など)。この状態で、亜鉛の組成比率を変化させている(合わせて、マグネシウムの比率も変化する)。
ここで、亜鉛の比率が、全体に対して3.0mass%〜4.0mass%の場合において、電気伝導率が27.0IACS%以上である。これは、図5のグラフにおいて、左から8番目、16番目、19番目のヒストグラムから明らかな通りである。亜鉛の比率が4.0mass%を超える場合には、電気伝導率が27.0IACS%を下回る。
これらから、熱伝導率が108W/m・K以上となるマグネシウム合金3は、実験1から次の組成比率であることが確認された。
アルミニウムとカルシウムの添加量を同一とする場合には、
亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
アルミニウムおよびカルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜0.75mass%であり、
残部がマグネシウムと不可避混合物からなる。
このように、実験結果からも、本発明のマグネシウム合金の組成が目的とする熱伝導率を実現していることが確認された。
なお、実施の形態で説明されたマグネシウム合金は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
ST1 秤量工程
ST2 溶融工程
ST3 固化工程
ST4 成型工程

Claims (7)

  1. 全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
    全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
    全体に対して、0.0mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
    残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなるマグネシウム合金。
  2. 全体に対して、3.0mass%〜5.0mass%の亜鉛と、
    全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のカルシウムと、
    全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%のアルミニウムと、
    残部のマグネシウムおよび不可避混合物とからなるマグネシウム合金。
  3. 前記マグネシウム合金の熱伝導率が、100W/m・K以上である、請求項1または2記載のマグネシウム合金。
  4. 前記アルミニウムを、全体に対して0.75mass%とする場合には、
    前記亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
    前記カルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜1.0mass%であり、
    残部がマグネシウムと不可避混合物からなる、請求項2記載のマグネシウム合金。
  5. 前記アルミニウムと前記カルシウムの添加量を同一とする場合には、
    前記亜鉛は、全体に対して、3.0mass%〜4.0mass%であり、
    前記アルミニウムおよび前記カルシウムは、全体に対して、0.5mass%〜0.75mass%であり、
    残部がマグネシウムと不可避混合物からなる、請求項2記載のマグネシウム合金。
  6. 前記マグネシウム合金の熱伝導率が、108W/m・K以上である、請求項4または5記載のマグネシウム合金。
  7. 全体に対して、総量として1.0mass%以下の追加元素群を更に含み、
    前記追加元素群は、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、すず(Sn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、ジスプロシウム(Dy)の少なくとも一つ以上の組み合わせである、請求項1から6のいずれか記載のマグネシウム合金。
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