JP2019218562A - 洗浄液 - Google Patents
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Abstract
【課題】これまでに比べて飛躍的に良好な洗浄効果を発揮する洗浄液を提供する。【解決手段】洗浄液は、静的液体13と、静的液体13に含有されて、第1温度の気体で形成される第2微細気泡群26と、静的液体13中に保持される被洗浄物Wに向かって流れる動的液体22と、第1温度から相違する第2温度の気体で形成され、動的液体22の流れに巻き込まれて被洗浄物Wに向かって流れる第2微細気泡群26とを有する。【選択図】図1
Description
本発明は、液体中に微細気泡群を含有する洗浄液に関する。
特許文献1は洗浄液を開示する。洗浄液は、液体に飽和溶解濃度で溶解したナノサイズの気泡を含有する。特許文献1は洗浄効果の向上にあたって液体分子の水素結合の距離に着目する。
特許文献1は、その他、気泡を崩壊させる外力に着目する。そうした外力には、圧力変化や温度変化、衝撃波、超音波、赤外線、振動が含まれる。気泡の崩壊は洗浄力の向上に貢献すると考えられる。
本発明は、これまでに比べて飛躍的に良好な洗浄効果を発揮する洗浄液を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によれば、静的液体と、前記静的液体に含有されて、第1温度の気体で形成される第1微細気泡群と、前記静的液体中に保持される対象物に向かって流れる動的液体と、前記第1温度から相違する第2温度の気体で形成され、前記動的液体の流れに巻き込まれて前記対象物に向かって流れる第2微細気泡群とを有する洗浄液が提供される。
第1側面によれば、物体が洗浄液に触れると、物体の表面に固着する物質(例えば汚染体)と物体の表面との境界(界面の輪郭)に第1微細気泡群と第2微細気泡群とが次々に作用する。第1温度の気体と第2温度の気体とが同一箇所に作用することで、界面の輪郭で温度変化の繰り返し(温度の振動)が生じる。温度の振動は界面で剥離を引き起こす。剥離の進行に伴って輪郭から内側に気体は進入していく。こうして物質は物体の表面から剥離する。物質は物体から分離される。こうした温度の振動の働きで、洗浄液は、気泡の崩壊のエネルギーを必ずしも利用しなくとも、これまでに比べて飛躍的に良好な洗浄効果を発揮する。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
(1)第1実施形態に係る洗浄装置
図1は本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の全体像を示す。洗浄装置11は液槽12を備える。液槽12には液体(以下「静的液体」という)13が湛えられる。静的液体13には、純水のほか、水や有機溶剤を溶媒として電解質、界面活性剤、気体などが溶解している液体が用いられることができる。静的液体13では、温度分布に基づく自然な対流は許容されるものの、動力による強制的な液体の動きは排除されることが望まれる。
図1は本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の全体像を示す。洗浄装置11は液槽12を備える。液槽12には液体(以下「静的液体」という)13が湛えられる。静的液体13には、純水のほか、水や有機溶剤を溶媒として電解質、界面活性剤、気体などが溶解している液体が用いられることができる。静的液体13では、温度分布に基づく自然な対流は許容されるものの、動力による強制的な液体の動きは排除されることが望まれる。
液槽12には第1温度調整装置14が接続される。第1温度調整装置14は例えば静的液体13中に浸される熱交換器を含む。第1温度調整装置14は液槽12内の静的液体13の温度TLを調整する。温度TLの調整にあたって静的液体13には第1温度調整装置14から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で静的液体13に伝達されてもよい。静的液体13の温度は摂氏80度以下に設定されることが望まれる。液体が例えば純水または水溶液の場合には、純水または水溶液の温度が摂氏80度を超えると、気泡は安定的に高い個数密度を維持できない。
液槽12には第1気泡発生装置15が接続される。第1気泡発生装置15は静的液体13中に開口する供給口15aを有する。第1気泡発生装置15は供給口15aから静的液体13中に微細気泡を吹き込む。静的液体13中には第1微細気泡群16の流れが形成される。微細気泡はマイクロバブルおよびナノバブル(=ウルトラファインバブル)を含む。第1微細気泡群16は規定値以下の平均径D1の気泡の集合体であればよい。気泡の径は供給口15aに設置される微細孔の直径に基づき設定されることができる。微細孔の直径は100nm以上50μm以下に設定される。好ましくは、気泡の径D1は1000nm(1μm)以下であるとよい。直径100nm以上50μm以下の気泡濃度は1ミリリットル当たり0.5x106個以上であることが望まれる。
第1気泡発生装置15には気体源17が接続される。気体源17は第1気泡発生装置15に気体を供給する。気体は空気や窒素、水素などに限られずいかなる種類の気体であってもよい。気体源17には第2温度調整装置18が接続される。第2温度調整装置18は気体源17の気体の温度T1を調整する。こうした温度の調整にあたって気体には第2温度調整装置18から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で気体に伝達されてもよい。ここでは、第2温度調整装置18の働きで気体の温度T1は静的液体13の温度TLに等しく設定される。
液槽12には液流発生装置21が接続される。液流発生装置21は静的液体13中に開口する液管21aを有する。液管21aは例えば線形の軸心を有する円管で形成される。液流発生装置21は液管21aの先端から静的液体13中に液体を流し込む。流速(流量)は3.0〜30.0L/minに設定される。こうして静的液体13中に液流(以下「動的液体」という)22は生成される。動的液体22は強制的に静的液体13との間に相対移動を生み出す液体を含む。そういった強制的な相対移動はインペラーによる噴流といった形で達成されればよい。
液流発生装置21には液体源23が接続される。液体源23は液流発生装置21に液体を供給する。液体は静的液体13と同じ液体であればよい。液体源23には第3温度調整装置24が接続される。第3温度調整装置24は液体源23の液体の温度を調整する。こうした温度の調整にあたって液体には第3温度調整装置24から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で液体に伝達されてもよい。ここでは、第3温度調整装置24の働きで動的液体22の温度TDは例えば静的液体の温度TLよりも高く設定される。
液流発生装置21の液管21aには第2気泡発生装置25が接続される。第2気泡発生装置25は液管21a内で開口する供給口25aを有する。第2気泡発生装置25は供給口25aから動的液体22中に微細気泡を吹き込む。液管21a内で微細気泡は動的液体22に巻き込まれて第2微細気泡群26の流れを形成する。微細気泡はマイクロバブルおよびナノバブルを含む。第2微細気泡群26は第1微細気泡群16の平均径D1よりも小さい平均径D2の気泡の集合体であればよい。気泡の径D2は供給口25aに設置される微細孔の直径に基づき設定されることができる。微細孔の直径は100nm未満に設定される。好ましくは、微細孔の直径は50nm以下であるとよい。直径100nm未満の気泡濃度は1ミリリットル当たり1x106個以上であることが望まれる。第2微細気泡群26の気泡濃度は第1微細気泡群16の気泡濃度よりも大きい値の気泡濃度であることが望まれる。第2気泡発生装置25の供給口25aは液管21a内で開口することから、液管21aから噴き出された動的液体に微細気泡が巻き込まれる場合に比べて、動的液体22は確実に規定量の第2微細気泡群を含有することができる。
第2気泡発生装置25には気体源27が接続される。気体源27は第2気泡発生装置25に気体を供給する。気体は空気や窒素、水素などに限られずいかなる種類の気体であってもよい。気体源27には第4温度調整装置28が接続される。第4温度調整装置28は気体源27の気体の温度を調整する。こうした温度の調整にあたって気体には第4温度調整装置28から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で気体に伝達されてもよい。ここでは、第4温度調整装置28の働きで気体の温度T2は動的液体22の温度よりも高い温度に設定される。
洗浄装置11は、被洗浄物Wを保持する保持具29を有する。保持具29には例えばカゴが用いられる。保持具29は静的液体13中に浸される。保持具29に被洗浄物Wは固定される。被洗浄物Wは静的液体13中で保持される。液管21aの開口は保持具29上の被洗浄物Wに向けられる。すなわち、液管21aの軸心の延長線上に被洗浄物Wは配置される。こうして被洗浄物Wに向かって液流は生成される。
保持具29には位置決め機構31が接続されてもよい。位置決め機構31は例えば水平面に沿って保持具29の移動を生み出す駆動力を発揮する。こうした保持具29の移動に応じて、被洗浄物W上の目標位置に動的液体22および第1微細気泡群16は向けられることができる。広い範囲で洗浄面の洗浄は実現されることができる。その他、保持具29の駆動に代えて、固定される保持具29に対して相対的に液槽12が移動してもよい。あるいは、固定される保持具29および液槽12に対して液管21aの向きや供給口15aの向きが変更されてもよい。
洗浄装置11が作動すると、第1気泡発生装置15は第1温度の静的液体13中に第1温度の第1微細気泡群16を吹き込む。液流発生装置21は被洗浄物Wに向かって第1温度よりも高い第2温度の液流を生成する。静的液体13中で動的液体22が生成される。第2気泡発生装置25は液管21a内の液体中に第2温度よりも高い第3温度の第2微細気泡群26を吹き込む。吹き込まれた第2微細気泡群26は動的液体22に巻き込まれる。こうして静的液体13、第1微細気泡群16、動的液体22および第2微細気泡群26の組み合わせに応じて本実施形態に係る洗浄液は生成される。ここでは、例えば第1微細気泡群16の第1温度は摂氏30度に設定され、第2微細気泡群26の第2温度は摂氏60度に設定される。
図2に示されるように、第1微細気泡群16は第1径D1(=100nm以上50μm以下)の平均気泡径を有する。第1気泡発生装置15は最大数[個]で第1径D1の微細気泡を噴き出す。気泡径が第1径D1から増大し、あるいは減少するにつれて、気泡の数量[個]は減少する。すなわち、数量分布は第1径D1(=200nm程度)でピークを示す。その一方で、第2微細気泡群26は第2径D2(=100nm未満)の平均気泡径を有する。第2気泡発生装置25は最大数で第2径D2の微細気泡を噴き出す。気泡径が第2径D2から増大し、あるいは減少するにつれて、気泡の数量は減少する。すなわち、数量分布は第2径D2(=80nm程度)でピークを示す。単位体積当たりで第1微細気泡群16の気泡数[個]は全気泡数の75%以下である。単位体積当たりで第2微細気泡群26の気泡数[個]は全気泡数の25%以上である。
吹き出された第2微細気泡群26および第1微細気泡群16は被洗浄物Wに衝突する。被洗浄物Wの表面と汚染物との境界(界面の輪郭)に温度の異なる微細気泡が次々に接触する。温度の異なる微細気泡が同一箇所に作用することで、界面の輪郭で温度変化の繰り返し(温度の振動)が生じる。温度の振動は界面で剥離を引き起こす。剥離の進行に伴って輪郭から内側に微細気泡は進入していく。こうして汚染物は被洗浄物Wの表面から剥離する。汚染物は被洗浄物Wから分離される。こうした温度の振動の働きで、洗浄液は、気泡の崩壊のエネルギーを必ずしも利用しなくとも、これまでに比べて飛躍的に良好な洗浄効果を発揮する。液体13の温度は第2温度以上であって第1温度以下で任意に設定されればよい。液体13が例えば純水または水溶液の場合には、液体53の温度は摂氏80度以下に設定されることが望まれる。純水または水溶液の温度が摂氏80度を超えると、気泡は安定的に高い個数密度を維持できない。
第1温度および第3温度の相違から第2微細気泡群26の微細気泡内で局所的に温度が変化する。局所的な温度変化は微細気泡内で局所的な体積変動を引き起こし、その結果、通常に比べて微細気泡にはゆがみが発生し、微細気泡は非球形に大きく変化する。非球形の微細気泡は、球形の微細気泡に比べて、被洗浄物Wの表面に固着する物質(例えば汚染体)と被洗浄物Wの表面との境界(界面の輪郭)に進入しやすい。こうして界面で剥離が促進される。剥離の進行に伴って輪郭から内側に気体は進入していく。物質は物体の表面から剥離する。物質は被洗浄物Wから分離される。また、非球形の微細気泡は、球形の微細気泡に比べて、非球形ゆえの局所的な表面エネルギーの偏在により、被洗浄物Wの表面に固着する物質(例えば汚染体)との化学的な結合力が大きいとも考えられる。その結果、微細気泡は固着する物質との間で吸着体を形成し、被洗浄物Wの表面から剥離を促進する。こうして物質は被洗浄物Wの表面から剥離する。物質は被洗浄物Wから分離される。
(2)第2実施形態に係る洗浄装置
図3は本発明の第2実施形態に係る洗浄装置の全体像を示す。洗浄装置41は液槽42を備える。液槽42には液体(以下「静的液体」という)43が湛えられる。静的液体43には、純水のほか、水や有機溶剤を溶媒として電解質、界面活性剤、気体などが溶解している液体が用いられることができる。静的液体43では、温度分布に基づく自然な対流は許容されるものの、動力による強制的な液体の動きは排除されることが望まれる。
図3は本発明の第2実施形態に係る洗浄装置の全体像を示す。洗浄装置41は液槽42を備える。液槽42には液体(以下「静的液体」という)43が湛えられる。静的液体43には、純水のほか、水や有機溶剤を溶媒として電解質、界面活性剤、気体などが溶解している液体が用いられることができる。静的液体43では、温度分布に基づく自然な対流は許容されるものの、動力による強制的な液体の動きは排除されることが望まれる。
静的液体43は第1微細気泡群44を含有する。第1微細気泡群44はマイクロバブルおよびナノバブル(=ウルトラファインバブル)を含む。第1微細気泡群44は規定値以下の平均径D1の気泡の集合体であればよい。平均径D1は100nm以上50μm以下に設定される。好ましくは、平均径D1は1000nm(=1μm)以下であるとよい。気体は空気や窒素、水素などに限られずいかなる種類の気体であってもよい。第1微細気泡群44の気泡濃度は1ミリリットル当たり0.5x106個以上であることが望まれる。
液槽42には第1温度調整装置45が接続される。第1温度調整装置45は例えば静的液体43中に浸される熱交換器を含む。第1温度調整装置45は液槽42内の静的液体43の温度TLを調整する。温度TLの調整にあたって静的液体43には第1温度調整装置45から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で静的液体43に伝達されてもよい。ここでは、静的液体43中の第1微細気泡群44と静的液体43との間で熱エネルギーは平衡化される。したがって、個々の微細気泡に含まれる気体の温度T1は静的液体43として測定される温度TLに等しいと考えられる。静的液体43の温度は摂氏80度以下に設定されることが望まれる。液体が例えば純水または水溶液の場合には、純水または水溶液の温度が摂氏80度を超えると、気泡は安定的に高い個数密度を維持できない。
液槽42には液流発生装置46が接続される。液流発生装置46は静的液体43中に開口する供給口46aを有する。液流発生装置46は供給口46aから静的液体43中に液体を流し込む。こうして静的液体13中に液流(以下「動的液体」という)47は生成される。動的液体47は強制的に静的液体43との間に相対移動を生み出す液体を含む。そういった強制的な相対移動はインペラーによる噴流といった形で達成されればよい。
液流発生装置46には液体源48が接続される。液体源48は液流発生装置46に液体を供給する。液体は静的液体43と同じ液体であればよい。液体源48には第2温度調整装置49が接続される。第2温度調整装置49は液体源48の液体の温度を調整する。こうした温度の調整にあたって液体には第2温度調整装置49から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で液体に伝達されてもよい。ここでは、第2温度調整装置49の働きで動的液体47の温度は静的液体43の温度に等しく設定される。
液槽42には気泡発生装置51が接続される。気泡発生装置51は静的液体43中に開口する供給口51aを有する。気泡発生装置51は供給口51aから静的液体43中に微細気泡を吹き込む。静的液体43中には第2微細気泡群52の流れが形成される。微細気泡はマイクロバブルおよびナノバブルを含む。第2微細気泡群52は第1微細気泡群44の平均径D1よりも小さい平均径D2の気泡の集合体であればよい。気泡の径D2は供給口51aに設置される微細孔の直径に基づき設定されることができる。微細孔の直径は100nm未満に設定される。好ましくは、微細孔の直径は50nm以下であるとよい。直径100nm未満の気泡濃度は1ミリリットル当たり1x106個以上であることが望まれる。
気泡発生装置51には気体源53が接続される。気体源53は気泡発生装置51に気体を供給する。気体は空気や窒素、水素などに限られずいかなる種類の気体であってもよい。気体源53には第3温度調整装置54が接続される。第3温度調整装置54は気体源53の気体の温度を調整する。こうした温度の調整にあたって気体には第3温度調整装置54から熱エネルギーが加えられる(あるいは奪われる)。熱エネルギー(プラスであってもマイナスであっても)はいかなる方法で気体に伝達されてもよい。ここでは、第3温度調整装置54の働きで気体の温度H2は第1微細気泡群44の温度よりも高い温度(=第2温度H2)に設定される。第2温度H2は例えば摂氏60度に設定される。
洗浄装置11は、被洗浄物Wを保持する保持具55を有する。保持具55は静的液体43中に浸される。保持具55の先端に被洗浄物Wは固定される。被洗浄物Wは静的液体43中で保持される。液流発生装置46の供給口46aは保持具55上の被洗浄物Wに向けられる。こうして被洗浄物Wに向かって液流は生成される。気泡発生装置51の供給口51aは同様に保持具55上の被洗浄物Wに向けられる。こうして被洗浄物Wに向かって第2微細気泡群52の流れは生成される。ここでは、液流の方向を示すベクトルと、第2微細気泡群52の流れの方向を示すベクトルとは鋭角で被洗浄物W上で交差することが望まれる。さらに好ましくは、両ベクトルの角度αは90°未満であることが望まれる。こうした角度αによれば、第2微細気泡群52は容易に液流に巻き込まれて被洗浄物Wに到達することができる。その他、液流の流速および第2微細気泡群52の流速に応じて角度αは液流に対する第2微細気泡群52の巻き込みを実現する数値に設定されればよい。第2微細気泡群52の流れは鉛直方向に上向き(重力方向の反対向き)に設定されるとよい。
保持具55には位置決め機構56が接続されてもよい。位置決め機構56は例えば水平面に沿って保持具55の移動を生み出す駆動力を発揮する。こうした保持具55の移動に応じて、被洗浄物W上の目標位置に動的液体47および第2微細気泡群52は向けられることができる。広い範囲で洗浄面の洗浄は実現されることができる。その他、保持具55の駆動に代えて、固定される保持具55に対して相対的に液槽42が移動してもよい。あるいは、固定される保持具55および液槽42に対して供給口46a、51aの向きが変更されてもよい。
洗浄装置41が作動すると、液流発生装置46は被洗浄物Wに向かって液流を生成する。静的液体43中で動的液体47が生成される。気泡発生装置51は被洗浄物Wに向かって静的液体43の温度よりも高い温度の第2微細気泡群52を吹き込む。吹き込まれた第2微細気泡群52は動的液体47の流れに巻き込まれる。こうして、第1微細気泡群44を含む静的液体43、動的液体47および第2微細気泡群52の組み合わせに応じて本実施形態に係る洗浄液は生成される。
被洗浄物Wの表面(洗浄面)は静的液体43に接触することから、静的液体43の温度の上昇に伴って被洗浄物Wの表面の温度は上昇する。静的液体43の温度および第2微細気泡群52の温度の相違から微細気泡内で局所的に温度が変化する。局所的な温度変化は微細気泡内で局所的な体積変動を引き起こし、その結果、通常に比べて微細気泡にゆがみが発生し、微細気泡は非球形に大きく変化する。こうした第2微細気泡群52の微細気泡が被洗浄物Wの表面に接触すると、非球形の微細気泡は、球形の微細気泡に比べて、被洗浄物Wの表面に固着する物質(例えば汚染体)と被洗浄物Wの表面との境界(界面の輪郭)に進入しやすい。こうして界面で剥離が促進される。剥離の進行に伴って輪郭から内側に気体は進入していく。物質は物体の表面から剥離する。物質は被洗浄物Wから分離される。また、非球形の微細気泡は、球形の微細気泡に比べて、非球形ゆえの局所的な表面エネルギーの偏在により、被洗浄物Wの表面に固着する物質(例えば汚染体)との化学的な結合力が大きいとも考えられる。その結果、微細気泡は固着する物質との間で吸着体を形成し、被洗浄物Wの表面から剥離を促進する。こうして物質は被洗浄物Wの表面から剥離する。物質は被洗浄物Wから分離される。
(3)検証
本発明者は第2実施形態に係る洗浄装置41に倣って検証を実施した。検証では静的液体43、動的液体47、第2微細気泡群52の温度条件が観察された。静的液体43には純水が用いられた。観察にあたって液槽42には50リットルの純水が溜められた。純水の温度(=TL)は調整された。液流発生装置46には液体源48から純水が供給された。動的液体47の温度(第1温度T1)は調整された。動的液体47の流速は20.0L/minに設定された。
本発明者は第2実施形態に係る洗浄装置41に倣って検証を実施した。検証では静的液体43、動的液体47、第2微細気泡群52の温度条件が観察された。静的液体43には純水が用いられた。観察にあたって液槽42には50リットルの純水が溜められた。純水の温度(=TL)は調整された。液流発生装置46には液体源48から純水が供給された。動的液体47の温度(第1温度T1)は調整された。動的液体47の流速は20.0L/minに設定された。
気泡発生装置51には気体源53から大気(空気)が供給された。空気の温度(第2温度T2)は調整された。微細気泡の量は調整された。微細気泡の径は調整された。10分間にわたって継続的に第2微細気泡群52は動的液体47中に吹き込まれた。
保持具55にはカゴが用いられた。カゴ上に機械部品が被洗浄物Wとして搭載された。機械部品の表面には切削加工時の切粉が油とともに付着していた。10分間の洗浄後、機械部品の表面に残留した切粉の量および油の量を測定した。切粉の量の測定にあたって洗浄後の機械部品には高圧洗浄が施された。そうして洗い流された切粉を濾紙で採取した。電子天秤を用いて、採取した切粉の重量[ミリグラム]を測定した。一方で、油の量の測定にあたって洗浄後の機械部品は溶剤中に浸漬された。溶剤中に溶解した油の濃度[ppm]が測定された。
温度条件の観察にあたって、以下の通り、3通りの条件が設定された。
条件1では動的液体47の温度TDは静的液体43の温度TLよりも高く設定された。第2微細気泡群52の温度T2は動的液体47の温度TDに等しく設定された。条件2では動的液体47の温度TDは静的液体43の温度TLよりも低く設定された。第2微細気泡群52の温度T2は静的液体43の温度TLよりも高く設定された。条件3、条件4、条件5および条件6では動的液体47の温度TDは静的液体43の温度TLよりも高く設定された。第2微細気泡群52の温度T2は動的液体47の温度TDよりも高く設定された。
同時に本発明者は第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の平均径および気泡量(気泡密度)と洗浄効果との関係を観察した。以下の通り、5通りの条件が設定された。
条件1および条件2では第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の平均径[nm]および気泡量[個/ミリリットル]は等しく設定された。条件3、条件4および条件6では第2微細気泡群52の平均径は第1微細気泡群44の平均径よりも小さく設定された。条件5では第2微細気泡群52の平均径は第1微細気泡群44の平均径よりも大きく設定された。条件5では、条件3、条件4および条件6と反対の関係性が確立された。条件3では第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の気泡量は75対25に設定された。条件4では第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の気泡量は50対50に設定された。条件5および条件6では第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の気泡量は30対70に設定された。
観察の結果、図4に示されるように、比較条件1に比べられる条件1および条件2から、静的液体43および動的液体47の間で温度差が生じると、切粉の除去は促進されることが確認された。特に、条件1および条件2の比較から明らかなように、温度差が等しくても静的液体43の温度TLおよび動的液体47の温度TDが高い方が切粉の除去は促進されることが確認された。また、条件3〜6に示されるように、第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の間で平均径に差が設けられると、切粉の除去は著しく促進されることが確認された。特に、条件3、条件4および条件6の比較から明らかなように、小さい平均径の第2微細気泡群52の割合が25%を超えて増えれば増えるほど、切粉の除去は促進されることが確認された。
図5に示されるように、比較条件1に比べられる条件1および条件2から、静的液体43および動的液体47の間で温度差が生じると、油の除去は促進されることが確認された。特に、条件1および条件2の比較から明らかなように、温度差が等しくても静的液体43の温度TLおよび動的液体47の温度TDが高い方が油の除去は促進されることが確認された。また、条件3〜6に示されるように、第1微細気泡群44および第2微細気泡群52の間で平均径に差が設けられると、油の除去は著しく促進されることが確認された。特に、条件3、条件4および条件6の比較から明らかなように、小さい平均径の第2微細気泡群52の割合が25%を超えて増えれば増えるほど、油の除去は促進されることが確認された。
13…静的液体、16…第1微細気泡群、22…動的液体、26…第2微細気泡群、43…静的液体、44…第1微細気泡群、47…動的液体、52…第2微細気泡群、W…対象物(被洗浄物)。
Claims (4)
- 静的液体と、
前記静的液体に含有されて、第1温度の気体で形成される第1微細気泡群と、
前記静的液体中に保持される対象物に向かって流れる動的液体と、
前記第1温度から相違する第2温度の気体で形成され、前記動的液体の流れに巻き込まれて前記対象物に向かって流れる第2微細気泡群と
を有することを特徴とする洗浄液。 - 請求項1に記載の洗浄液において、前記第1微細気泡群は第1径の平均気泡径を有し、前記第2微細気泡群は前記第1径から相違する第2径の平均気泡径を有することを特徴とする洗浄液。
- 請求項2に記載の洗浄液において、前記第1微細気泡群および前記第2微細気泡群のうち一方の平均気泡径は100nm未満であって、他方の平均気泡径は100nm以上50μm以下であることを特徴とする洗浄液。
- 請求項3に記載の洗浄液において、単位体積あたりで第2微細気泡群の気泡数は全気泡数の25%以上であることを特徴とする洗浄液。
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