JP2019218452A - 部品内蔵基板用熱硬化性接着シートおよび部品内蔵基板の製造方法 - Google Patents

部品内蔵基板用熱硬化性接着シートおよび部品内蔵基板の製造方法 Download PDF

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一樹 築山
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昌克 神谷
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Abstract

【課題】電子部品の位置精度および耐熱性に優れ、信頼性の高い部品内臓基板を得ることが可能な、部品内蔵基板用熱硬化性接着シートを提供する。【解決手段】少なくとも接着層3を有し、上記接着層は、23℃でのタック力が0.5N以上であり、23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm2以上であり、硬化後のガラス転移温度が150℃以上であり、硬化前後の電子部品の位置ずれ量が30μm以下である、部品内蔵基板用熱硬化性接着シート1。【選択図】図1

Description

本開示の実施形態は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる熱硬化性接着シート、およびそれを用いた部品内蔵基板の製造方法に関する。
近年の電子機器の小型化、多機能化の流れの中、電子部品の高密度化が一層求められている。かかる観点より、配線基板においても、高密度化への対応が要求されている。このような要求に答えるべく、現在では配線基板中に部品を内蔵させた部品内蔵基板が盛んに開発されている。
部品内蔵基板の製造方法としては、種々の方法が知られており、例えば、粘着シートや接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法が開示されている。
例えば、貫通孔を有する基板を準備し、貫通孔を有する基板の一方の面に粘着シートを配置し、基板の貫通孔内の粘着シート上に電子部品を仮固定し、基板の貫通孔内に樹脂を充填して硬化させた後、粘着シートを除去する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。この方法では、粘着シートは電子部品の仮固定に使用された後、除去される。
また、貫通孔を有する基板を準備し、貫通孔を有する基板の一方の面に接着シートを配置し、接着シートを加熱しながら基板の貫通孔内の接着シート上に電子部品を仮固定した後、接着シートを硬化させ、基板の貫通孔内に樹脂を充填して硬化させる方法が開示されている(例えば、特許文献2)。この方法では、接着シートは、電子部品の仮固定に使用されるとともに、硬化後は絶縁層として用いられる。
また、基板上に接着シートを配置し、接着シート上に電子部品を配置し、接着シートを硬化させた後、電子部品を樹脂で封止する方法が開示されている(例えば、特許文献3)。この方法では、接着シートは、電子部品の仮固定に使用されるとともに、硬化後は絶縁層として用いられる。
特許第4885366号公報 特許第4551468号公報 特許第5771988号公報
部品内蔵基板においては、電子部品の高密度化に伴い、高い位置精度が求められる。しかし、上記のような粘着シートや接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法においては、電子部品を仮固定した後に樹脂で封止する際に、樹脂の流動によって、電子部品がずれたり、傾いたりするおそれがある。また、電子部品の仮固定後、樹脂封止前の、基板の搬送時の振動や衝撃によって、電子部品がずれたり、傾いたり、外れたりするおそれもある。これらの問題は、上記粘着シートを用いる方法の場合に顕著である。また、上記接着シートを用いる方法では、接着シートを加熱しながら電子部品を仮固定する際の接着シートの溶融や、電子部品を仮固定した後に接着シートを硬化させる際の接着シートの硬化収縮によって、電子部品がずれたり、傾いたりするおそれがある。このように電子部品の位置精度の低下が問題となっていた。
また、上記のような接着シートを用いて電子部品を仮固定する方法においては、接着シートに電子部品を押し付けることにより、接着シートの粘着性を利用して電子部品を仮固定する。そのため、接着シートは高い粘着性を有することが望まれる。
ここで、部品内蔵基板には、高周波伝送特性に優れていることも要求されており、耐熱性も求められる。しかし、耐熱性向上のために、接着シートの耐熱性を高くする、例えば接着シートのガラス転移温度を高くすると、接着シートの粘着性が低下する傾向にある。このように、接着シートの粘着性および耐熱性は相反関係にあり、耐熱性を重視する部品内蔵基板に用いられる接着シートにおいては、高い粘着性を実現するのが困難であった。
さらに、接着シートの硬化収縮を抑制するために、無機フィラーを添加することが提案されているが(例えば特許文献3)、無機フィラーの添加により接着シートの粘着性や接着強度は低下する傾向にある。
また、上記接着シートを用いる方法では、接着シート内や、接着シートと基板との間、または接着シートと電子部品との間に、ボイド(空隙)が発生するという問題がある。特に、電子部品の接着シートと接する面に凹凸が存在している場合には、接着シートと電子部品との間のボイドの発生が顕著となる。また、接着シートに無機フィラーが添加されている場合、接着シートと基板や電子部品との密着性が低下し、ボイドが発生する場合がある。ボイドは、その後の工程で膨張することもあり、剥離や短絡の原因となり、層間接続の信頼性、硬化後の接着シートの接着性、硬化後の接着シート(絶縁層)の絶縁性を低下させる。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる熱硬化性接着シートにおいて、電子部品の位置精度および耐熱性に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能な、熱硬化性接着シート、および部品内蔵基板の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる部品内蔵基板用熱硬化性接着シートであって、少なくとも接着層を有し、上記接着層は、23℃でのタック力が0.5N以上であり、23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、硬化後のガラス転移温度が150℃以上であり、硬化前後の電子部品の位置ずれ量が30μm以下である、部品内蔵基板用熱硬化性接着シートを提供する。
また、本開示は、少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、基板の一方の面に、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面または他方の面に、電子部品を配置する配置工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、樹脂により上記電子部品を封止する封止工程と、を有し、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのタック力が0.5N以上であり、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、上記層間絶縁層のガラス転移温度が150℃以上であり、上記硬化工程前後の上記電子部品の位置ずれ量が30μm以下である、部品内蔵基板の製造方法を提供する。
本開示は、電子部品の位置精度および耐熱性に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能な、熱硬化性接着シート、および部品内蔵基板の製造方法を提供できるという効果を奏する。
本開示の部品内蔵基板用熱硬化性接着シートの一例を示す概略断面図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示の部品内蔵基板の製造方法の他の例を示す工程図である。
本開示の発明者らは、鋭意検討を行った結果、所定の特性を有する接着層を備える熱硬化性接着シートを用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。具体的には、本開示の発明者らは、電子部品の位置精度には、熱硬化性接着シートの接着層の接着特性が重要であることを見出した。また、接着層のタック力を高くすれば粘着性が良くなり電子部品との密着性が良くなるものの、接着層のタック力を高くするだけでは電子部品の位置ずれを十分に抑えることができないことを知見した。本開示の発明者らはさらに検討を重ね、接着層のタック力が高い場合であっても、接着層の凝集力が低い場合には、外部からの応力による接着層の凝集破壊によって、電子部品が剥離するおそれがあることを知見した。また、熱硬化性接着シートを電子部品の仮固定に用いる場合には、電子部品の仮固定後、接着層の硬化前に、基板の搬送時の振動や衝撃によって、電子部品がずれたり、傾いたり、外れたりするおそれもある。そして、本開示の発明者らは、熱硬化性接着シートの接着層のタック力およびダイシェア強度を所定の範囲とすることにより、電子部品を確実に仮固定することができ、電子部品の位置ずれを抑制することができることを見出した。本開示は、上記知見に基づくものである。
以下、本開示の部品内蔵基板用熱硬化性接着シートおよび部品内蔵基板の製造方法について詳細に説明する。
A.部品内蔵基板用熱硬化性接着シート
本開示の部品内蔵基板用熱硬化性接着シートは、部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられるものであって、少なくとも接着層を有し、上記接着層は、23℃でのタック力が0.5N以上であり、23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、硬化後のガラス転移温度が150℃以上であり、硬化前後の電子部品の位置ずれ量が30μm以下である。
なお、本明細書において、「シート」には、「フィルム」等と呼ばれる部材も含まれる。また、「フィルム」には、「シート」等と呼ばれる部材も含まれる。
また、「部品内蔵基板用熱硬化性接着シート」を「接着シート」と略称する場合がある。
本開示においては、接着層の23℃でのタック力が所定の値以上であることにより、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、常温で接着層の面に電子部品を貼り付けることができる。そのため、接着層の面に電子部品を配置する際に、接着層を加熱する必要が無く、接着層の溶融による電子部品の位置ずれを回避することができる。また、接着層の23℃でのタック力が所定の値以上であり、かつ、23℃でのダイシェア強度が所定の値以上であることから、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、接着層と電子部品との密着性を高めることができる。特に、硬化前の接着層の23℃でのダイシェア強度が所定の値以上であることにより、接着シートを用いて電子部品を仮固定した後の搬送時に、電子部品に外部から何らかの応力がかかった場合であっても、電子部品が外れるのを抑制することができる。そのため、電子部品の仮固定後、接着層の硬化前の、基板搬送時の振動や衝撃による電子部品の位置ずれや剥離を抑制することができる。さらに、本開示の接着シートは熱硬化可能であるため、電子部品を樹脂で封止する前に、接着層を熱硬化させて、硬化後の接着層と電子部品との接着性を高めることができる。そのため、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合、電子部品を樹脂で封止する際に、樹脂の流動による電子部品の位置ずれを抑制することができる。したがって、本開示においては、電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。
さらに、本開示における接着層は、23℃でのタック力が所定の値以上であり、また23℃でのダイシェア強度が所定の値以上であることに加えて、硬化前後の電子部品の位置ずれ量が所定の範囲内であるため、本開示の接着シートを用いることにより、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
また、本開示における接着層は、23℃でのタック力が所定の値以上であるため、柔らかい層となる。そのため、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合において、接着層の面に電子部品を配置する際に、接着層が電子部品の被着面に密着しやすくなり、電子部品の被着面に追従しやすくなる。そのため、接着層と電子部品との間にボイドが発生するのを抑制することができる。よって、例えば、電子部品の接着層と接する面に凹凸が存在している場合であっても、接着層と電子部品との間でのボイドの発生を抑制することが可能である。さらに、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合において、基板の一方の面に接着層を配置する際には、接着層が基板の被着面に密着しやすくなるため、接着層と基板との間にボイドが発生するのを抑制することができる。したがって、ボイドによる剥離や短絡を抑制することができ、層間接続の信頼性、硬化後の接着層の接着性、硬化後の接着層(層間絶縁層)の絶縁性を高めることができる。
また、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合、本開示における接着層は、硬化後は、部品内蔵基板の層間絶縁層として用いられるものである。本開示における接着層は、硬化後のガラス転移温度が所定の値以上であるため、耐熱性に優れる層間絶縁層を得ることができる。
したがって、本開示の接着シートを用いることにより、電子部品の位置精度および耐熱性に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
本開示の接着シートについて、図面を参照して説明する。図1は、本開示の接着シートの一例を示す概略断面図である。接着シート1は、少なくとも接着層3を有する。接着シートは、接着層の少なくとも一方の面に剥離層を有していてもよい。図1に示す例においては、接着層3の両面にそれぞれ剥離層2a、2bが配置されている。
以下、本開示の接着シートの各構成について説明する。
1.接着層
本開示の接着シートは、少なくとも接着層を有する。
(1)接着層の特性
接着層の23℃でのタック力は、接着層と電子部品との間や、接着層と基板との間でのボイドの発生を抑制する観点から、0.5N以上であり、中でも1.0N以上であることが好ましい。上記タック力が上記範囲であることにより、電子部品との密着性を高めることができる。これにより、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、電子部品の位置ずれを抑制することができるとともに、ボイドの発生を抑制することができる。
また、上記タック力の上限は特に限定されないが、タック力が高すぎると凝集力が低くなり、剥離層からの剥離が困難になる等の不具合を生じる場合があるため、上記タック力は、50N以下であることが好ましい。タック力が上記範囲であることにより、剥離層を容易に剥離することができ、接着シートの取り扱いが良好になる。
ここで、タック力は、プローブタック試験機を用いてプローブタック試験により測定することができる。プローブタック試験機としては、例えば、JIS Z 3284に準拠するRHESCA社製のタッキング試験機「TAC−II」を用いることができる。具体的には、以下の手順により測定することができる。まず、接着シートが剥離層を有する場合には、剥離層を剥離して、接着層を露出させる。次に、タッキング試験機(RHESCA製、TAC−II)を用いて、接着シートの接着層面に、直径5.05mmのステンレス製のプローブを、温度25℃、荷重1kgf/cm、接触速度5mm/minで押し付け、10秒間保持した後、剥離速度1mm/minで引き剥がし、引き剥がすときの荷重を測定する。この測定を3回行い、平均値をタック力とする。
接着層の23℃でのダイシェア強度は、0.5N/mm以上であり、中でも0.8N/mm以上であることが好ましく、特に1.0N/mm以上であることが好ましい。なお、上記ダイシェア強度は、硬化前の接着層のダイシェア強度である。上記ダイシェア強度が上記範囲であることにより、電子部品との密着性を高くすることができ、接着シートを用いて電子部品を仮固定した後の搬送時に、電子部品に外部から何らかの応力がかかった場合であっても、電子部品が外れるのを抑制することができる。これにより、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
また、上記ダイシェア強度の上限は特に限定されないが、上記ダイシェア強度は、例えば10N/mm以下とすることができる。
ここで、ダイシェア強度は、EIAJ ED−4703に準拠して測定する。具体的には、以下の手順により測定することができる。まず、接着シートを、銅箔(福田金属箔粉工業社製 RCF−T5B)の粗化面にラミネートし、3cm×5cmにカットする。次に、接着シートが剥離層を有する場合には剥離層を剥離した後、接着層面に10mm×10mmサイズのシリコンウエハを積載する。次に、移動速度200μm/sにて、EIAJ ED−4703に準拠し、ダイシェア強度を測定する。強度試験機としては、例えば、万能型ボンドテスター dage series 4000(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製)を用いることができる。
接着層の硬化後のガラス転移温度は、耐熱性の観点から、150℃以上であり、中でも160℃以上であることが好ましい。接着層の硬化後のガラス転移温度が上記範囲であることにより、優れた耐熱性を有する層間絶縁層を得ることができる。なお、接着層の硬化後のガラス転移温度の上限は、特に限定されない。
ここで、硬化後の接着層のガラス転移温度を測定するに際しては、まず、接着層を加熱して硬化させる。硬化時の加熱温度は、120℃以上、250℃以下であり、好ましくは140℃以上、180℃以下である。また、加熱時間は、1分間以上、240分間以下であり、好ましくは10分間以上、120分間以下である。
また、ガラス転移温度(Tg)は、損失正接(tanδ)のピークトップの値に基づく方法(DMA法)により測定された値を意味する。また、損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率の値により決定される。これら弾性率は、硬化後の接着層に対して一定の周波数で力を付与した時の応力を、動的粘弾性測定装置を用いて測定される。具体的には、TA Instruments社製の動的粘弾性計測定装置RSA−IIIを用い、JIS K7244−1(プラスチック−動的機械特性の試験方法−第1部:通則)に準拠した動的粘弾性測定法により下記条件で測定することができる。
・アタッチメントモード:圧縮モード
・周波数:1.0Hz
・温度範囲:−50℃以上250℃以下
・昇温速度:10℃/分
接着層の硬化前後の電子部品の位置ずれ量は、電子部品の位置精度の観点から、30μm以下であり、中でも20μm以下であることが好ましい。接着層の硬化前後の電子部品の位置ずれ量が上記範囲であることにより、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることができる。
ここで、接着層の硬化前後の電子部品の位置ずれ量は、以下の手法により測定する。まず、接着シートを、銅箔(福田金属箔粉工業社製 RCF−T5B)の粗化面にラミネートし、3cm×5cmにカットする。次に、接着シートが剥離層を有する場合には剥離層を剥離した後、接着層面に電子部品(村田製作所製 GRM153)を積載する。次に、画像測定器(Nikon社製 NEXIV VMR−H3030)を用いて、任意の点で原点を決定し、原点からの電子部品の位置を測定する。その後、接着層を加熱して硬化させる。接着層の硬化後、再度、電子部品の位置を測定する。そして、接着層の硬化前後の電子部品の位置ずれ量を算出する。
接着層を加熱して硬化させる際の条件としては、加熱温度は、120℃以上、250℃以下であり、好ましくは140℃以上、180℃以下である。また、加熱時間は、1分間以上、240分間以下であり、好ましくは10分間以上、120分間以下である。
また、接着層の23℃、周波数1GHzでの比誘電率は、3.3以下であることが好ましく、中でも3.2以下であることが好ましい。接着層の上記比誘電率が上記範囲であることにより、本開示における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として用いる場合には、高速化、小型化が可能となる。なお、接着層の上記比誘電率の下限は、特に限定されない。
また、接着層の23℃、周波数1GHzでの誘電正接は、0.033以下であることが好ましく、中でも0.032以下であることが好ましい。接着層の上記誘電正接が上記範囲であることにより、本開示における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として用いる場合には、高周波での誘電損失を小さくすることができる。なお、接着層の上記誘電正接の下限は、特に限定されない。
ここで、周波数1GHzでの比誘電率および誘電正接は、IEC 62810に準拠して測定された値である。具体的には、以下の方法で測定することができる。まず、接着シートが剥離層を有する場合には、剥離層を剥離し、接着層単層の状態にして、試験片を準備する。試験片の寸法は、16mm×92mmとする。次に、IEC 62810に準拠し、下記の装置および条件で比誘電率および誘電正接を測定する。比誘電率、誘電正接の値は、1サンプルの測定値である。
・測定方法:空洞共振器法
・装置:Vector network analyzer HP8510(アジレント・テクノロジー社製)
Synthesizer sweeper HP83651A(同上)
Test set HP8517B(同上)
・共振器の寸法:直径229mm、高さ40mm
・試験環境:22℃、60%RH
接着層の体積抵抗率は、1014Ω・cm以上であることが好ましく、中でも1015Ω・cm以上であることが望ましい。接着層の体積抵抗率が上記範囲であれば、本開示における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として好適に用いることができる。なお、接着層の体積抵抗率の上限は、特に限定されない。
接着層の表面抵抗率は、1012Ω/□以上であることが好ましく、中でも1013Ω/□以上であることが好ましい。接着層の表面抵抗率が上記範囲であれば、本開示における接着層を部品内蔵基板の層間絶縁層として好適に用いることができる。なお、接着層の表面抵抗率の上限は、特に限定されない。
ここで、体積抵抗率および表面抵抗率は、JIS K 6911:2006(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して測定された値である。
(2)材料
接着層の材料としては、熱硬化型接着剤であれば特に限定されないが、エポキシ樹脂系接着剤が好ましく用いられる。すなわち、接着層は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、を含むことが好ましい。エポキシ樹脂系接着剤は、接着性、耐久性および絶縁性に優れており、電子部品の固定および層間絶縁層に好適である。
中でも、接着層は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、粒子と、を含むことが好ましい。接着層が粒子を含むことにより、接着層の硬化収縮を低減することができるとともに、接着層が硬化する際に電子部品を動きにくくすることができる。そのため、本開示の接着シートを用いて電子部品を固定する際の位置ずれを抑制することができる。さらに、接着層が粒子を含むことにより、硬化後の接着層の耐熱性や強度を高めることができる。
以下、接着層の各成分について説明する。
(a)エポキシ樹脂
本開示における接着層に含まれるエポキシ樹脂は、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有するものであり、硬化剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化するものであればよく、一般にエポキシ樹脂系接着剤に使用されるエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、芳香族系エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環系エポキシ樹脂等が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂やクレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリコール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂やゴム変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
中でも、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格等の剛直構造を主鎖に有するエポキシ樹脂が好ましい。特に、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
エポキシ樹脂は、常温で液状のエポキシ樹脂であってもよく、常温で固体のエポキシ樹脂であってもよい。なお、常温とは23℃をいう。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格の繰り返し単位の数によって、常温で液体の状態、または常温で固体の状態で存在することができる。主鎖のビスフェノール骨格が1以上、3以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で液体である。また、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温で固体である。このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は結晶性があり、常温で結晶化して固体のものも、融点以上の温度になると、急速に融解して低粘度の液状に変化する。したがって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合には、硬化後の接着層の接着強度を高めることができる。また、このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、架橋密度が高くなるため、機械的強度が高く、耐薬品性が良く、硬化性が高く、自由体積が小さくなるため吸湿性が小さくなるという特徴がある。
接着層は、エポキシ樹脂として、常温で液状のエポキシ樹脂および常温で固体のエポキシ樹脂の少なくとも一方を含んでいればよく、例えば、常温で液状のエポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、常温で固体のエポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、常温で液状のエポキシ樹脂および常温で固体のエポキシ樹脂の両方を含んでいてもよい。接着層が、常温で液状のエポキシ樹脂を含む場合には、硬化前の粘着性を高めることができ、タック力を向上させることができる。一方、接着層が、常温で固体のエポキシ樹脂を含む場合には、硬化後の接着性を高めることができる。また、接着層が、常温で液状のエポキシ樹脂および常温で固体のエポキシ樹脂の両方を含む場合には、機械的強度を保ちつつ、柔軟性を得ることができる。その結果、硬化後の接着層の接着強度を向上させることができる。
常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、機械的強度および耐熱性の観点から、ガラス転移温度が50℃以上、150℃以下であることが好ましい。
具体的には、常温で液状であり、主鎖のビスフェノール骨格が1以上、3以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学(ジャパンエポキシレジン)社製 jER828等が挙げられる。また、常温で固体であり、主鎖のビスフェノール骨格が2以上、10以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学(ジャパンエポキシレジン)社製 jER1001、jER1009等が挙げられる。
また、接着層は、エポキシ樹脂として、3官能以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂が架橋構造を形成することにより、硬化後の耐熱性を向上させることができる。また、架橋形成により、エポキシ樹脂をマトリックスとした自己組織化が起こり、その結果、局所的に海島構造が形成される。このような海島構造により、硬化後の接着層に靱性を付与できるものと考えられる。さらに、3官能以上のエポキシ樹脂は、タッキファイヤとして機能すると考えられ、硬化前の粘着性を高めることができ、タック力を向上させることができる。すなわち、接着層が、3官能以上のエポキシ樹脂を含むことにより、タック力と耐熱性との両方を高めることができる。
3官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン構造を有するエポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン構造を有するエポキシ樹脂、アミノフェノール構造を有するエポキシ樹脂、ビス(アミノフェニル)メタン構造を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。中でも、ビス(アミノフェニル)メタン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。3官能以上のエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
3官能以上のエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基としては、例えば、グリシジルアミン基やグリシジルエーテル基等が挙げられるが、中でも、接着シートの保存安定性の観点からは、1分子中に3つ以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
3官能以上のエポキシ樹脂としては、市販のものを使用してもよい。例えば、三菱化学株式会社製jER1032H60(トリス(ヒドロキシフェニル)メタン構造を有するエポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製jER1031S(テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン構造を有するエポキシ樹脂)、株式会社ダイセル製EHPE3150(オキシシラニルシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製jER630(アミノフェノール構造を有するエポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製jER604(ジアミノジフェニルメタン構造を有するエポキシ樹脂)等を挙げることができる。
また、接着層は、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、3官能以上のエポキシ樹脂と、を含むことが好ましい。
接着層中のエポキシ樹脂の含有量は、例えば、樹脂成分の合計量100質量部に対して、40質量部以上、90質量部以下とすることができる。なお、樹脂成分には、エポキシ樹脂、後述のエポキシ変性シリコーン樹脂、相溶性重合体等が含まれる。
接着層中の3官能以上のエポキシ樹脂の含有量は、例えば、5質量%以上、50質量%以下とすることができる。3官能以上のエポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であれば、硬化前の粘着性、すなわちタック力と、硬化後の耐熱性との両方を高めることができる。
(b)硬化剤
本開示における接着層に含まれる硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂系接着剤に使用される硬化剤を用いることができる。例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、チオール系硬化剤、フェノール系硬化剤等が挙げられる。
中でも、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、チオール系硬化剤が好ましく、特に、アミン系硬化剤が好ましい。アミン系硬化剤は、反応速度を速くすることができ、硬化時間を短くすることができる。本開示における接着層は、23℃でのタック力が所定の値以上であるため、柔らかい層であるが、硬化時間の短縮により、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合には、接着層の硬化前に、電子部品が沈み込むのを抑制することができると考えられる。
また、硬化剤は、潜在性硬化剤であることが好ましい。潜在性硬化剤は、接着層の保存安定性(ポットライフ)を長くすることができるため、接着層と電子部品との密着性をより高めることができるとともに、接着層と電子部品との間でのボイドの発生をさらに抑制することができる。
また、硬化剤は、23℃で固体の硬化剤であることが好ましい。23℃で固体である硬化剤は、23℃で液体である硬化剤と比較して、接着層のポットライフを長くすることができる。これにより、接着層と電子部品との密着性をより高めることができるとともに、接着層と電子部品との間でのボイドの発生をより抑制することができる。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族アミン;ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族アミン;脂環式アミン;ポリアミドアミン等が挙げられる。また、アミン系硬化剤として、ジシアンジアミド(DICY)等のジシアンジアミド系硬化剤、有機酸ジヒドラジド系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤、ケチミン系硬化剤を用いることができる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物(液状酸無水物);無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ブロックイソシアネート等が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールや、イミダゾール化合物のカルボン酸塩、エポキシ化合物との付加物等が挙げられる。
チオール系硬化剤としては、例えば、エステル結合型チオール化合物、脂肪族エーテル結合型チオール化合物、芳香族エーテル結合型チオール化合物等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、硬化剤は、硬化促進剤をさらに含んでもよい。硬化促進剤を併用することにより、反応速度を速くすることができ、硬化時間を短くすることができる。
硬化剤の含有量は、硬化剤のアミン価や酸価によって適宜決定することができる。例えば、硬化剤としてジシアンジアミドを使用した場合、硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂およびエポキシ変性シリコーン樹脂100質量部に対して、5質量部以上、30質量部以下とすることができる。硬化剤の含有量が上記範囲であれば、硬化後の耐熱性を高くでき、接着強度が温度変化によって劣化することを抑制できるとともに、保存安定性(ポットライフ)を維持することができる。なお、保存安定性が低いと、接着シートの保管中に硬化反応が進行してしまう場合がある。また、硬化剤の含有量が多すぎると、接着層が硬化した後も未反応の硬化剤が残留し、接着力が低下する場合がある。
(c)粒子
本開示における接着層に含まれる粒子としては、絶縁性を有するものであればよく、例えば、無機粒子および有機粒子のいずれも用いることができる。中でも有機粒子が好ましく、特に樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子であれば、エポキシ樹脂中への分散性を良くすることができるからである。これにより、粒子による粘着性の低下を抑制することができる。また、接着層の硬化収縮を抑制することができるとともに、接着層が硬化する際に電子部品を動きにくくすることができ、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
無機粒子としては、一般に接着剤に使用される無機フィラーを用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ガラス、タルク、クレー、マイカ等の粒子が挙げられる。
樹脂粒子としては、一般に接着剤に使用される有機フィラーを用いることができる。例えば、アクリル粒子、ポリスチレン粒子、ウレタン粒子、ポリアミド粒子、ポリイミド粒子、ポリエステル粒子、ポリエチレン粒子等が挙げられる。
中でも、アクリル粒子が好ましい。アクリル粒子は、エポキシ樹脂に添加しても凝集しにくく、エポキシ樹脂中への分散性を高めることができる。これにより、粒子による粘着性の低下を抑制することができる。また、接着層の硬化収縮を抑制することができるとともに、接着層が硬化する際に電子部品を動きにくくすることができ、電子部品の位置ずれを抑制することができる。
また、粒子はコアシェル構造を有していてもよい。
コアシェル構造のシェル部としては、特に限定されないが、樹脂であることが好ましい。樹脂で覆われた粒子であれば、エポキシ樹脂との親和性を高め、エポキシ樹脂中への分散性を良くすることができるからである。
また、シェル部を構成する樹脂としては、特に限定されないが、アクリル樹脂であることが好ましい。アクリル樹脂で覆われた粒子は、エポキシ樹脂に添加しても凝集しにくく、エポキシ樹脂中への分散性を高めることができる。すなわち、アクリル粒子は、単一構造を有していてもよく、コアシェル構造を有していてもよい。
また、コアシェル構造のコア部としては、特に限定されるものではなく、例えば、無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。また、有機材料の場合、例えば、ゴムであってもよく、樹脂であってもよい。コア部がゴムである場合には、接着層に靱性を付与することができる。ゴムとしては、例えば、ブタジエン系ゴム等が挙げられる。
また、粒子は、表面に反応性官能基を有していてもよい。エポキシ樹脂との親和性を高めることができるからである。
反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基等が挙げられる。中でも、エポキシ基が好ましい。エポキシ樹脂との親和性を向上させることができるからである。
無機粒子の場合、シランカップリング剤で表面修飾することにより、表面に反応性官能基を有する無機粒子を得ることができる。シランカップリング剤としては、例えば、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基等を有する一般的なシランカップリング剤を用いることができる。
無機粒子をシランカップリング剤で表面装飾する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法を適用することができる。
また、樹脂粒子の場合、予め反応性官能基を有する樹脂を用いてもよく、樹脂粒子を反応させて反応性官能基を導入してもよい。
粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
粒子の形状は、特に限定されるものではなく、球、楕円体、多面体、鱗片形等、任意の形状とすることができる。
粒子の平均粒径は、例えば、0.01μm以上、20μm以下とすることができ、中でも0.1μm以上、10μm以下とすることができる。平均粒径が小さすぎる粒子は、製造が困難であり、また再凝集が生じるおそれがある。また、平均粒径が大きすぎると、接着層の厚みよりも大きくなり、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合に、接着層と電子部品や基板との密着性が低下するおそれがある。
ここで、粒子の平均粒径は、接着層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
接着層中の粒子の含有量は、例えば、5質量%以上とすることができ、中でも20質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量は、50質量%以下とすることができ、
中でも40質量%以下であることが好ましい。粒子の含有量が少なすぎると、本開示の接着シートを用いて部品内蔵基板を製造する場合に、電子部品の位置ずれを抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、粒子の含有量が多すぎると、接着層の粘着性が低下し、十分なタック力が得られないだけでなく、ボイドが発生しやすくなるおそれがある。
また、接着層の形成に用いられる接着剤組成物を調製する際に、粒子としては、樹脂中に粒子に分散させた組成物を用いてもよい。すなわち、エポキシ樹脂と、樹脂中に粒子を分散させた組成物とを混合してもよい。樹脂中に粒子に分散させた組成物において、樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。予め樹脂中に粒子を分散させた組成物を用いることにより、エポキシ樹脂中への粒子の分散性を向上させることができる。
(d)エポキシ変性シリコーン樹脂
本開示における接着層は、エポキシ変性シリコーン樹脂を含んでいてもよい。エポキシ変性シリコーン樹脂が含まれることにより、耐熱性と柔軟性(靱性)とを両立させることができる。
エポキシ変性シリコーン樹脂は、シリコーン樹脂の一部にエポキシ基又はエポキシ化合物を導入したものをいう。シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサン骨格を有する化合物であり、通常、主骨格(主鎖)部分が主としてオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、その主骨格が少なくとも1つのシラノール基を備える化合物であり、このシラノール基とエポキシ化合物との付加反応によりエポキシ変性シリコーン樹脂を得ることができる。シリコーン樹脂の主骨格は、少なくとも1つのシラノール基を有していれば、分枝状の構造を有するものであってもよい。また、エポキシ変性シリコーン樹脂は、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂との反応物であってもよく、例えばエポキシ樹脂骨格中のOH基とシラノールとが反応したものであってもよい。なお、上記反応物において、エポキシ樹脂の方が多くなり、見かけ上エポキシ樹脂にシリコーンがぶら下がっているようなものであっても、エポキシ変性シリコーン樹脂とする。
エポキシ変性シリコーン樹脂としては、市販のものを使用してもよい。例えば、ES1001N、ES1002T、ES1023(以上、信越シリコーン株式会社製);メチルシリケートMSEP2(三菱化学株式会社製)等を挙げることができる。
エポキシ変性シリコーン樹脂の含有量は、例えば、樹脂成分の合計量100質量部に対して、5質量部以上、40質量部以下とすることができる。
(e)相溶性重合体
本開示における接着層は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する相溶性重合体を含むことができる。接着層が相溶性重合体をさらに含むことにより、製膜性を向上させることができ、長期間、シート形状を保持することができる。また、接着層においては、エポキシ樹脂は可塑剤として機能するため、接着層にさらに相溶性重合体を加えることで、接着層全体が可塑化され、相溶性重合体による粘着性や柔軟性が発揮される。これにより、硬化前の粘着性や電子部品との密着性の向上を図ることが可能となり、また、硬化後の接着層の靭性が向上し、かつ、接着力をより高めることができる。
ここで、相溶性重合体がエポキシ樹脂に対して相溶性を有するとは、エポキシ樹脂との親和性がよく、エポキシ樹脂と任意の割合で混合した場合に、相分離しないことをいう。接着層において、相溶性重合体がエポキシ樹脂に対して相溶していることは、例えば、接着層の透明性が高いこと、接着層のヘイズ値が低いこと、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)により接着層の表面もしくは断面を観察したときに、層内にミクロンサイズの島が発生していないこと、等から確認することができる。
相溶性重合体は、エポキシ樹脂との相溶性が良好なものであれば特に限定されない。上記重合体は、極性基を有していてもよい。極性基としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基等が挙げられる。
中でも、相溶性重合体は、アクリル樹脂であることが好ましい。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステル単量体の単独重合体であり、上記単独重合体を2種以上含む混合成分であってもよく、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体であり、共重合体を1以上含む成分であってもよい。また、アクリル樹脂は、上記単独重合体と上記共重合体との混合成分であってもよい。アクリル酸エステル単量体の「アクリル酸」には、メタクリル酸の概念も含まれる。具体的には、アクリル樹脂は、メタクリレートの重合体とアクリレートの重合体との混合物であってもよく、アクリレート−アクリレート、メタクリレート−メタクリレート、メタクリレート−アクリレート等のアクリル酸エステル重合体であってもよい。中でも、アクリル樹脂は、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体((メタ)アクリル酸エステル共重合体)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する単量体成分としては、例えば、特開2014−065889号公報に記載の単量体成分が挙げられる。上記単量体成分は、上述した極性基を有していてもよい。硬化前の接着層において、エポキシ樹脂との相溶性が向上し、硬化前の粘着力および硬化後の接着力を高めることができるからである。上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、エチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。なお、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」を含む。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、ブロック共重合体が好ましく、さらにメタクリレート−アクリレート共重合体等のアクリル系ブロック共重合体が好ましい。アクリル系ブロック共重合体を構成するアクリレートやメタクリレートは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジジル等が挙げられる。これらの「アクリル酸」には、メタクリル酸も含まれる。
メタクリレート−アクリレート共重合体の具体例としては、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート(MMA−BA−MMA)共重合体等のアクリル系共重合体が挙げられる。MMA−BA−MMA共重合体には、ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート(PMMA−BA−MMA)のブロック共重合体も含まれる。このようなアクリル系共重合体は、製膜性が向上し、被着面に対して十分な接着性を示すことができる。
アクリル系共重合体は、極性基を有していなくてもよく、また一部に上述した極性基を導入した変性物であってもよい。上記変性物は、硬化前の接着層においてエポキシ樹脂との相溶性がさらに向上するため、接着強度がより向上する。
中でも、相溶性重合体は、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である第1重合体部分と、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である第2重合体部分とを有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、柔らかいセグメントとなる第1重合体部分と、硬いセグメントとなる第2重合体部分とを有する。このような共重合体を添加することにより、接着層は、被着面に対する浮きや剥がれを有効に抑制することができ、また、硬化後の靭性が向上して接着力をより高めることができるからである。
上記の効果の発現は、以下のように推定できる。従来のエポキシ樹脂系接着剤では、靱性や柔軟性を付与するために、エポキシ樹脂の他に、アクリル樹脂を添加することが行われていたが、アクリル樹脂の添加により接着剤自体の耐熱性が低下する場合があった。これに対し、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体のような、柔らかいセグメントと、硬いセグメントとを併せ持つアクリル樹脂を用いることで、硬いセグメントが耐熱性に寄与し、柔らかいセグメントが靱性ないし柔軟性に寄与するため、硬化後の接着層は、靱性を有しかつ優れた接着性を保持することができると考えられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分および第2重合体部分の少なくとも一方は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する。第1重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、柔軟性を高めることができる。また、第2重合体部分がエポキシ樹脂に対して相溶性を有する場合には、凝集性や靱性を高めることができる。
第1重合体部分または第2重合体部分の一方がエポキシ樹脂に対して相溶性を有さない場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エポキシ樹脂に対して相溶性を有する重合体部分である相溶部位と、エポキシ樹脂に対して相溶性を有さない重合体部分である非相溶部位とを有することになる。この場合、エポキシ樹脂を含む接着剤組成物に上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を添加すると、相溶部位がエポキシ樹脂と相溶し、非相溶部位がエポキシ樹脂と相溶しないため、相分離が起こる。その結果、硬化後の接着層では、海島構造が発現する。海島構造としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の種類、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分および第2重合体部分の相溶性、極性基導入による変性の有無によって異なり、例えば、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、エポキシ樹脂の硬化物が島であるような海島構造が挙げられる。硬化後の接着層は、このような海島構造を有することで、応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、優れた接着強度を維持することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、中でもブロック共重合体であることが好ましく、特に、相溶部位を重合体ブロックA、非相溶部位を重合体ブロックBとするA−B−Aブロック共重合体であることが好ましい。さらには、第1重合体部分が非相溶部位、第2重合体部分が相溶部位であり、第1重合体部分を重合体ブロックB、第2重合体部分を重合体ブロックAとするA−B−Aブロック共重合体であることが好ましい。アクリル樹脂としてこのようなA−B−Aブロック共重合体を用いることにより、硬化後の接着層内では、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が海、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が島であるような海島構造の場合には、島部分を小さくすることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の非相溶部位が海、エポキシ樹脂の硬化物および(メタ)アクリル酸エステル共重合体の相溶部位が島であるような海島構造の場合や、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が海、エポキシ樹脂の硬化物が島であるような海島構造の場合には、海部分を小さくすることができる。そのため、硬化後の接着層内では、見かけ上、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂が相溶した状態となる。このような見かけ上の相溶状態が発現されることにより、硬化後の接着層は、さらに応力を分散させやすくすることができるので、界面破壊を避けることができ、優れた接着強度を維持することができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、第1重合体部分または第2重合体部分の一部に上述の極性基を導入した変性物であってもよい。硬化後の接着層の耐熱性がより向上するとともに、エポキシ樹脂との相溶性も向上するため、接着性が向上する。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分のTgは、10℃以下であり、−150℃以上、10℃以下の範囲内、中でも−130℃以上、0℃以下の範囲内、特に−110℃以上、−10℃以下の範囲内とすることができる。
なお、第1重合体部分のTgは、「POLYMERHANDBOOK第3版」(John Wiley & Sons,Ink.発行)に記載された各単独重合体のTg(K)を基にして、下記式で計算により求めることができる。
1/Tg(K)=W/Tg+W/Tg+・・・・+W/Tg
;各単量体の質量分率
Tg;各単量体の単独重合体のTg(K)であり、ポリマーハンドブック(3rd Ed.,J.Brandrup and E.H.Immergut,WILEY INTERSCIENCE)中の値など、一般に公開されている掲載値を用いればよい。後述の第2重合体部分のTgも同様である。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第1重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体であることが好ましい。第1重合体部分を構成する単量体成分および重合体成分は、Tgが所定の範囲である第1重合体部分を得ることができる単量体成分および重合体成分であればよく、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、酢酸ビニル、アセタール、ウレタン等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体、EVA等の共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第2重合体部分のTgは、20℃以上であり、20℃以上、150℃以下の範囲内、中でも30℃以上、150℃以下の範囲内、特に40℃以上、150℃以下の範囲内とすることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる第2重合体部分は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、中でも単独重合体であることが好ましい。第2重合体部分を構成する単量体成分は、Tgが所定の範囲である第2重合体部分を得ることができる単量体成分であればよく、例えばメタクリル酸メチル等のアクリル酸エステル単量体や、アクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、アミド、アクリロニトリル、酢酸セルロース、フェノール、ウレタン、塩化ビニリデン、塩化メチレン、メタクリロニトリル等の他の単量体、上述の極性基を含む極性基含有単量体が挙げられる。
上記の第1重合体部分および第2重合体部分を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の具体例としては、上記のMMA−BA−MMA共重合体等が挙げられる。
相溶性重合体の重量平均分子量は、接着層に要求される粘着性や凝集力に応じて適宜設定することができ、中でも接着層に含有される他の成分の重量平均分子量よりも大きいことが好ましく、さらにはエポキシ樹脂の重量平均分子量よりも大きいことが好ましい。相溶性重合体に製膜性を任せ、接着層に含まれるエポキシ樹脂は可塑成分として働く必要があるからである。具体的には、相溶性重合体の重量平均分子量は、1万以上90万以下の範囲内、中でも3万以上50万以下の範囲内とすることができる。相溶性重合体の重量平均分子量が小さすぎると、3次元架橋が支配的となり、靱性が低下する場合があり、一方、大きすぎると、相溶性が悪くなるため強度が低下する。相溶性重合体の重量平均分子量は、GPC(溶離液:THF、標準物質:PS、試料:20μL、流量:1mL/min、カラム温度:40℃)により測定することができる。
接着層中の相溶性重合体の含有量は、相溶性重合体の種類、エポキシ樹脂、接着層に要求される粘着性、凝集性、粘性等に応じて適宜調整することが可能である。例えば、接着層が相溶性重合体として上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む場合、接着層中の(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して4質量部以上、100質量部以下の範囲内とすることができる。この割合で両者を配合すると、接着層は、硬化前の段階で、エポキシ樹脂中に、ナノオーダーレベルの微粒子状に相溶性重合体であるアクリル樹脂が分散した構造が発現し、見かけ上の相溶状態が発現される。そして、接着層は、見かけ上の相溶状態を維持しながら硬化することで、優れた接着強度を発揮することができる。また、硬化後の接着層が上記の構造を有することで、被着体との界面からの水の侵入を抑制でき、さらに優れた接着保持特性を有することができる。
(f)他の成分
本開示における接着層は、必要に応じて、例えば、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤等を含んでいてもよい。
また、接着層は、必要に応じて、シラン系、チタン系、アルミニウム系等のカップリング剤を含むことができる。これにより、接着層と電子部品との密着性を向上させることができる。また、後述するように、接着層が芯材を含む場合には、芯材との密着性を高めることができる。
また、シランカップリング剤としては、中でも、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。エポキシ変性シリコーン樹脂とエポキシ系シランカップリング剤とを併用することにより、より一層接着強度を向上させることができる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジメチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エトキシ)ジエチルシラン、又はその部分縮合物を挙げることができる。エポキシ系シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
(g)接着層
接着層は、上述の各成分を含む接着剤組成物を用いて形成することができる。
接着剤組成物は、上述の各成分の他に、溶剤を含んでいてもよい。接着剤組成物に含まれる溶剤は、接着剤組成物を塗布し乾燥して接着層を形成する際に揮発して除去される。
接着剤組成物は、上述の各成分を混合し、必要に応じて混練、分散して、調製することができる。混合および分散方法は、特に限定されるものではなく、一般的な混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、及び超音波分散機等が適用できる。エポキシ樹脂として複数種を用いる場合は、先に硬いエポキシ樹脂を混合撹拌し、次に硬化剤を混合撹拌し、溶剤で希釈した後に、軟らかいエポキシ樹脂を混合撹拌し、次いで、アクリル樹脂を混合撹拌することが好ましい。
接着層は、例えば、後述の剥離層の一方の面に接着剤組成物を塗布し、溶剤を除去することで形成することができる。具体的な塗布方法としては、接着剤組成物を塗布することができる方法であればよく、特に限定されないが、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコート等が挙げられる。
また、接着剤組成物の塗膜上に他の剥離層を配置することで、接着層の両面に剥離層を有する接着シートを得ることができる。
また、接着層は、芯材をさらに含み、上記接着剤組成物が芯材に含浸されたものであってもよい。芯材としては、一般に接着シートに使用される芯材を用いることができる。例えば、織布又は不織布が好ましく用いられる。織布又は不織布としては、例えば、液晶ポリマー等の耐熱性のあるプラスチック繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル不織布、ビニロン繊維、発泡ウレタン等を挙げることができ、これらで構成した織布、不織布を使用することができる。
芯材を含む接着層は、以下の方法により形成することができる。
まず、コーティング機を用いて剥離層と芯材とを重ねて走行させ、上記芯材を有する面に接着剤組成物を塗布して芯材に含浸させ、次に、上記芯材に含浸された接着剤組成物を乾燥させて溶剤を除去することで、芯材を含む接着層を得ることができる。また、接着剤組成物の塗布面に他の剥離層を配置することで、接着層の両面に剥離層を有する接着シートを得ることができる。
また、まず、第1剥離層に接着剤組成物を塗布して乾燥させ、接着剤組成物を介して第1剥離層を芯材シートでラミネートし、また、第2剥離層に接着剤組成物を塗布して乾燥させ、次に、上記芯材シートを介して上記第1剥離層と対向するように第2剥離層をラミネートすることで、接着剤組成物を芯材に含浸させた接着層を得ることもできる。上記ラミネート時のドラムの温度は、例えば70℃以上、90℃以下とすることができる。
2.剥離層
本開示の接着シートは、剥離層と、接着層と、を有することができる。剥離層は、接着層の片面に配置されていてもよく、接着層の両面に配置されていてもよい。
剥離層としては、一般に接着シートに使用される剥離層を用いることができる。例えば、剥離フィルム、剥離紙等が挙げられる。また、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の基材の片面又は両面に離型層を有するものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等がある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれも使用できる。
剥離層は、接着層に対して所定の剥離力を有することが好ましい。具体的には、剥離力は1mN/cm以上、2000mN/cm以下とすることができ、中でも100mN/cm以上、1000mN/cm以下であることが好ましい。剥離層の剥離力が上記範囲内であることにより、剥離層と接着層とを十分に接着させることができるとともに、剥離も良好に行うことが可能となる。
なお、剥離力の測定方法としては、接着層の両面に剥離層を有する接着シートをカットして幅25mmの試験体とし、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)に準拠して、剥離速度0.3m/分、剥離角180°にて剥離強度を測定する方法を採用することができる。
接着層の両面に剥離層が配置されている場合、2つの剥離層は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、接着層の両面に剥離層が配置されている場合、一方が軽剥離性を有し、他方が重剥離性を有することが好ましい。
3.用途
本開示の接着シートは、部品内蔵基板の製造方法における電子部品の固定に用いられ、かつ、部品内蔵基板の層間絶縁層に用いられるものである。
中でも、本開示の接着シートは、貫通孔を有する基板の上記貫通孔内に電子部品を固定する部品内蔵基板の製造方法に用いられることが好ましい。基板の貫通孔内に電子部品を配置する工程を有する部品内蔵基板の製造方法では、電子部品の高密度化に伴い、電子部品の小型化、貫通孔の狭小化が進んでいることから、貫通孔内に電子部品を挿入する際に、接着層に電子部品を十分に押し付けることが困難である場合がある。そのため、接着シートの接着層に高い粘着性が要求される。よって、本開示の接着シートは、このような部品内蔵基板の製造方法に好適である。すなわち、本開示の接着シートは、基板の開口部内に電子部品が配置されている部品内蔵基板に好適である。
上記のような部品内蔵基板の製造方法においては、基板の貫通孔内に電子部品を配置することから、比較的厚い基板が用いられる。基板の厚みが比較的厚い場合には、接着層の硬化収縮の影響を小さくすることができる。そのため、接着層の硬化収縮の抑制のために粒子を添加する場合、粒子の含有量は少なくてもよい。したがって、粒子の添加による接着層の粘着性の低下を抑えることができる。
この場合、貫通孔を有する基板の厚みは、電子部品の厚み以上であることが好ましい。また、基板の厚みは、電子部品の厚みの3倍以下であることが好ましく、中でも2倍以下であることが好ましく、特に等倍程度であることが好ましい。
なお、本開示の接着シートを用いた部品内蔵基板の製造方法については、後述する。
B.部品内蔵基板の製造方法
本開示の部品内蔵基板の製造方法は、少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、基板の一方の面に、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面または他方の面に、電子部品を配置する配置工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、樹脂により上記電子部品を封止する封止工程と、を有し、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのタック力が0.5N以上であり、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、上記層間絶縁層のガラス転移温度が150℃以上であり、上記硬化工程前後の上記電子部品の位置ずれ量が30μm以下である。
本開示の部品内層基板の製造方法は、2つの態様を有する。
本開示の部品内蔵基板の製造方法の第1態様は、貫通孔を有する基板を用いる製造方法である。すなわち、本開示の部品内蔵基板の製造方法の第1態様は、少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、貫通孔を有する基板の一方の面に、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、上記基板の上記貫通孔内の、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面に、電子部品を配置する配置工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、樹脂により上記電子部品を封止する封止工程と、を有する。
また、本開示の部品内蔵基板の製造方法の第2態様は、少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、基板の一方の面に、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の他方の面に、電子部品を配置する配置工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、樹脂により上記電子部品を封止する封止工程と、を有する。
以下、本開示の部品内層基板の製造方法について、各態様に分けて説明する。
1.第1態様
本態様の部品内蔵基板の製造方法は、貫通孔を有する基板を用いる製造方法である。すなわち、本開示の部品内蔵基板の製造方法の第1態様は、少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、貫通孔を有する基板の一方の面に、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、上記基板の上記貫通孔内の、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面に、電子部品を配置する配置工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、樹脂により上記電子部品を封止する封止工程と、を有し、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのタック力が0.5N以上であり、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、上記層間絶縁層のガラス転移温度が150℃以上であり、上記硬化工程前後の上記電子部品の位置ずれ量が30μm以下である。
図2(a)〜(h)および図3(a)〜(c)は、本態様の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図2(a)に示すように基板11を準備し、図2(b)に示すように基板11に複数の貫通孔12を形成する。また、図2(c)に示すように、少なくとも接着層3aを有する接着シート1を準備する。図2(c)に示す接着シート1は、接着層3aの両面にそれぞれ剥離層2a、2bを有している。次に、図2(d)に示すように、貫通孔12を有する基板11の一方の面に、接着シート1の接着層3aの一方の面を貼合する。この際、接着層3aの両面に剥離層2a、2bが配置されている場合には、貼合前に、一方の剥離層2bを剥離して、接着層3aの面を露出させる。次に、図2(e)に示すように、基板11の貫通孔12内の、接着シート1の接着層3aの一方の面に、電子部品13a、13bを配置する。この際、電子部品13a、13bは、接着層3aの粘着性によって仮固定される。次に、図2(f)に示すように、接着層3aを熱硬化させる。これにより、層間絶縁層3bが形成される。なお、この層間絶縁層3bを、第1層間絶縁層と称する場合がある。
次に、図2(g)〜(h)に示すように、基板11の第1層間絶縁層3b(硬化後の接着層)の面とは反対側の面に、層間絶縁フィルム14aを配置した後、例えば真空ラミネートし、加熱する。この際、層間絶縁フィルム14aを構成する樹脂が溶融するため、貫通孔12内が樹脂で充填され、その後、樹脂は熱硬化される。これにより、層間絶縁層14bが形成される。なお、この層間絶縁層14bを、第2層間絶縁層と称する場合がある。
次に、図3(a)に示すように、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層14bに、穴15を形成する。この際、第1層間絶縁層3bの基板11側の面とは反対側の面に剥離層2aが配置されている場合には、穴の形成前に、剥離層2aを剥離する。次に、図3(b)に示すように、例えば無電解めっきおよび電解めっきを行い、穴15内に導電部16を形成するとともに、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層14bの面に導電層17a、18aを形成する。次いで、図3(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィにより、導電層17a、18aをパターニングして、配線層17b、18bを形成する。
その後、図示しないが、一般的な多層化工程を行い、部品内蔵基板を得ることができる。
本態様においては、接着シートの接着層の23℃でのタック力が所定の値以上であることにより、配置工程では、常温で接着層の面に電子部品を貼り付けることができる。そのため、配置工程では、接着層を加熱する必要が無く、接着層の溶融による電子部品の位置ずれを回避することができる。また、接着層の23℃でのタック力が所定の値以上であり、かつ、接着層の23℃でのダイシェア強度が所定の値以上であることから、基板の貫通孔内に電子部品を配置する場合においても、接着層と電子部品との密着性を高めることができる。特に、硬化前の接着層の23℃でのダイシェア強度が所定の値以上であることにより、接着シートを用いて電子部品を仮固定した後の搬送時に、電子部品に外部から何らかの応力がかかった場合であっても、電子部品が外れるのを抑制することができる。そのため、電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。
さらに、本態様において、接着シートの接着層は23℃でのタック力が所定の値以上であり、ダイシェア強度が所定の値以上であることに加えて、硬化工程前後の電子部品の位置ずれ量が所定の範囲内であるため、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
また、本態様における接着シートの接着層は、23℃でのタック力が所定の値以上であるため、柔らかい層となる。そのため、配置工程では、接着層が電子部品の被着面に密着しやすくなり、電子部品の被着面に追従しやすくなる。そのため、接着層と電子部品との間にボイドが発生するのを抑制することができる。よって、基板の貫通孔内に電子部品を配置する場合において、接着層に電子部品を十分に押し付けることが困難である場合であっても、接着層と電子部品との間にボイドが発生するのを抑制することが可能である。また、例えば、電子部品の接着層と接する面に凹凸が存在している場合であっても、接着層と電子部品との間でのボイドの発生を抑制することが可能である。さらに、貼合工程では、接着層が基板の被着面に密着しやすくなるため、接着層と基板との間にボイドが発生するのを抑制することができる。したがって、ボイドによる剥離や短絡を抑制することができ、層間接続の信頼性、層間絶縁層(硬化工程後の接着層)の接着性、層間絶縁層(硬化工程後の接着層)の絶縁性を高めることができる。
また、本態様においては、層間絶縁層(硬化工程後の接着層)のガラス転移温度が所定の値以上であるため、耐熱性に優れる部品内蔵基板を得ることができる。
したがって、本態様においては、電子部品の位置精度および耐熱性に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
以下、本態様の部品内蔵基板の製造方法の各工程について説明する。
(1)準備工程
本態様における準備工程では、少なくとも接着層を有する接着シートを準備する。
なお、接着シートについては、上述の「A.部品内蔵基板用熱硬化性接着シート」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)貼合工程
本態様における貼合工程では、貫通孔を有する基板の一方の面に、上記接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する。
基板としては、特に限定されるものではなく、例えば、メタルベース基板、メタルコア基板、銅張積層板、金属箔や金属板等の金属基材等が挙げられる。上記の基板を構成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、SUS等が挙げられる。
基板に貫通孔を形成する方法としては、一般に部品内蔵基板の製造に適用される貫通孔の形成方法を採用することができる。
基板の厚みとしては、基板の貫通孔内に電子部品を配置することから、比較的厚いことが好ましい。具体的な基板の厚みについては、上述の「A.部品内蔵基板用熱硬化性接着シート 3.用途」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
基板と接着シートの接着層との貼合方法としては、特に限定されない。本態様においては、接着シートの接着層は23℃でのタック力が所定の値以上であることから、常温での貼合が可能である。そのため、貼合工程において加熱する必要はない。
(3)配置工程
本態様における配置工程では、上記基板の上記貫通孔内の、上記接着シートの上記接着層の一方の面に、電子部品を配置する。
配置工程では、接着層の粘着性により接着層の面に電子部品を仮固定する。本態様においては、接着層は23℃でのタック力が所定の値以上であることから、常温での貼り付けが可能である。そのため、配置工程において加熱する必要はない。
電子部品としては、例えば、半導体等の能動部品であってもよく、抵抗、インダクタンス、コンデンサ等の受動部品であってもよい。
(4)硬化工程
本開示における硬化工程では、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする。
硬化時の加熱温度は、例えば、120℃以上、250℃以下とすることができ、中でも140℃以上、180℃以下とすることができる。
加熱時間は、例えば、1分以上、240分以下とすることができ、中でも10分以上、120分以下とすることができる。
本態様において、層間絶縁層のガラス転移温度は150℃以上である。
なお、層間絶縁層のガラス転移温度については、上述の「A.部品内蔵基板用熱硬化性接着シート 1.接着層 (1)接着層の特性」の項に記載した接着層の硬化後のガラス転移温度と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、層間絶縁層の比誘電率、誘電正接、体積抵抗率および表面抵抗率は、上述の「A.部品内蔵基板用熱硬化性接着シート 1.接着層 (1)接着層の特性」の項に記載した接着層の比誘電率、誘電正接、体積抵抗率および表面抵抗率と同様とすることができる。
また、本態様において、硬化工程前後の電子部品の位置ずれ量は、30μm以下である。
なお、硬化工程前後の電子部品の位置ずれ量については、上述の「A.部品内蔵基板用熱硬化性接着シート 1.接着層 (1)接着層の特性」の項に記載した硬化前後の電子部品の位置ずれ量と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(5)封止工程
本態様における封止工程では、樹脂により上記電子部品を封止する。封止工程により、電子部品は固定され、封止される。
樹脂による電子部品の封止方法としては、部品内蔵基板の製造における一般的な封止方法を適用することができる。例えば、電子部品が配置された基板の貫通孔内に、樹脂を充填し、熱硬化させる方法が挙げられる。
基板の貫通孔内に樹脂を充填し、熱硬化させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂組成物を注入して、加熱する方法、層間絶縁フィルムを積層して、加熱する方法、プリプレグを積層して、加熱する方法、樹脂組成物を注入した後、層間絶縁フィルムを積層して、加熱する方法、樹脂組成物を注入した後、プリプレグを積層して、加熱する方法等が挙げられる。
樹脂組成物、層間絶縁フィルム、およびプリプレグとしては、一般に部品内蔵基板の製造に使用されるものを用いることができる。
また、上述の方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。層間絶縁フィルムを用いる場合、例えば、層間絶縁フィルムを真空ラミネート等により積層し、加熱する方法等を用いることができる。また、プリプレグを用いる方法の場合、例えば、真空下で加熱プレスする方法等を用いることができる。
樹脂組成物を注入した後、層間絶縁フィルムまたはプリプレグを積層する場合、基板の貫通孔内に注入された樹脂組成物は、層間絶縁フィルムまたはプリプレグの積層前に、熱硬化させてもよく、層間絶縁フィルムまたはプリプレグの積層後に、一括して熱硬化させてもよい。
加熱温度、加熱時間等の硬化条件は、部品内蔵基板の製造における一般的な条件とすることができる。
接着シートが接着層の基板側の面とは反対側の面に剥離層を有する場合には、基板の貫通孔内に充填された樹脂の硬化後、剥離層を剥離することができる。
(6)他の工程
本態様においては、上記封止工程後は、一般的な多層化工程を行うことができる。
2.第2態様
本態様の部品内蔵基板の製造方法は、少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、基板の一方の面に、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の他方の面に、電子部品を配置する配置工程と、上記熱硬化性接着シートの上記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、樹脂により上記電子部品を封止する封止工程と、を有し、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのタック力が0.5N以上であり、上記熱硬化性接着シートの上記接着層の23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、上記層間絶縁層のガラス転移温度が150℃以上であり、上記硬化工程前後の上記電子部品の位置ずれ量が30μm以下である。
図4(a)〜(g)および図5(a)〜(c)は、本態様の部品内蔵基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図4(a)に示すように基板21を準備する。また、図4(b)に示すように、少なくとも接着層3aを有する接着シート1を準備する。図4(b)に示す接着シート1は、接着層3aの両面にそれぞれ剥離層2a、2bを有している。次に、図4(c)に示すように、基板21の一方の面に、接着シート1の接着層3aの一方の面を貼合する。この際、接着層3aの両面に剥離層2a、2bが配置されている場合には、貼合前に、一方の剥離層2bを剥離して、接着層3aの面を露出させる。次に、図4(d)に示すように、接着シート1の接着層3aの他方の面に、電子部品13aを配置する。この際、電子部品13aは、接着層3aの粘着性によって仮固定される。次に、図4(e)に示すように、接着層3aを熱硬化させる。これにより、層間絶縁層3bが形成される。なお、この層間絶縁層3bを、第1層間絶縁層と称する場合がある。
次に、図4(f)〜(g)に示すように、第1層間絶縁層3b(硬化後の接着層)の電子部品13a側の面に、層間絶縁フィルム14aを配置した後、例えば真空ラミネートし、加熱する。この際、層間絶縁フィルム14aを構成する樹脂が溶融するため、電子部品13aが樹脂で覆われ、その後、樹脂は熱硬化される。これにより、層間絶縁層14bが形成される。なお、この層間絶縁層14bを、第2層間絶縁層と称する場合がある。
次に、図5(a)に示すように、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層14bに、穴15を形成する。次に、図5(b)に示すように、例えば無電解めっきおよび電解めっきを行い、穴15内に導電部16を形成するとともに、第1層間絶縁層3bおよび第2層間絶縁層14bの面に導電層17a、18aを形成する。次いで、図5(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィにより、導電層17a、18aをパターニングして、配線層17b、18bを形成する。
その後、図示しないが、一般的な多層化工程を行い、部品内蔵基板を得ることができる。
本態様においても、上記第1態様と同様に、電子部品の位置精度および耐熱性に優れ、信頼性の高い部品内蔵基板を得ることが可能である。
なお、本態様の部品内蔵基板の製造方法において、準備工程、硬化工程および他の工程は、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本態様の部品内蔵基板の製造方法の他の工程について説明する。
(1)貼合工程
本態様における貼合工程では、基板の一方の面に、上記接着シートの接着層の一方の面を貼合する。
基板としては、貫通孔を有さない基板が用いられる。基板の材料については、上記第1態様と同様とすることができる。
基板と接着シートの接着層との貼合方法としては、上記第1態様と同様とすることができる。
(2)配置工程
本態様における配置工程では、上記接着シートの上記接着層の他方の面に、電子部品を配置する。
配置工程では、接着層の粘着性により接着層の面に電子部品を仮固定する。配置工程での条件としては、上記第1態様と同様とすることができる。
(3)封止工程
本開示における封止工程では、樹脂により上記電子部品を封止する。封止工程により、電子部品は固定され、封止される。
樹脂による電子部品の封止方法としては、部品内蔵基板の製造における一般的な封止方法を適用することができる。例えば、樹脂で電子部品を覆い、樹脂を熱硬化させる方法が挙げられる。具体的には、層間絶縁フィルムを積層して、加熱する方法、プリプレグを積層して、加熱する方法等が挙げられる。これらの封止方法については、上記第1態様と同様とすることができる。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。なお、各層の各組成物は溶媒を除いた固形分の質量部である。
[実施例1]
(接着剤組成物の調製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER1001」三菱化学株式会社)50質量部と、4官能のエポキシ樹脂(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、「jER604」三菱化学株式会社)65質量部と、アクリル樹脂(PMMA−PBA−PMMA共重合体、「M22N」アルケマ株式会社)30質量部と、エポキシ変性シリコーン樹脂(「ES1023」信越化学工業株式会社)20質量部と、エポキシ型シランカップリング剤(「KBM403」信越化学工業株式会社)2質量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にコアシェル型ゴム粒子が分散したマスターバッチ(シェル部がポリメタクリレート、コア部がブタジエン系ゴムであるコアシェル粒子の配合量:33質量%、「カネエースMX153」株式会社カネカ)65質量部と、ジシアンジアミド(「Dyhard100SH」、エボニック株式会社)14質量部と、アミンアダクト系化合物(「アミキュアMY−H」、味の素ファインテクノ株式会社)9質量部と、を撹拌機にて混合し、酢酸エチルで希釈し、接着剤組成物を調製した。
(接着層の形成)
離型フィルム1(「E7304」東洋紡株式会社、厚み38μm)上に、上記接着剤組成物をコンマコーターにて有機溶剤乾燥後の厚みが35μmとなるように塗工し、塗工面に離型フィルム2(「E7006」東洋紡株式会社、厚み38μm)を貼り合わせ、接着シートを作製した。
[実施例2〜3]
表1に示すように、アクリル樹脂の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[実施例4]
表1に示すように、粒子として、シリカ粒子(「UF−310」株式会社トクヤマ)20質量部を配合し、ジシアンジアミドおよびアミンアダクト系化合物の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例1]
粒子を用いず、表1に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例2]
表1に示すように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にコアシェル型ゴム粒子が分散したマスターバッチを用いず、固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER1001」三菱化学株式会社)25質量部、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER828」三菱化学株式会社)25質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例3]
表1に示すように、硬化剤として、フェノール系硬化剤(「GPH−103」日本化薬株式会社)208質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例4〜5]
表1に示すように、4官能のエポキシ樹脂、ジシアンジアミドおよびアミンアダクト系化合物の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例6]
表1に示すように、シリカ粒子の配合量を変更したこと以外は、実施例4と同様にして、接着剤組成物を調製し、接着シートを作製した。
[比較例7]
ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(「ZX1059」新日鉄住金化学株式会社)20質量部と、エポキシ化ポリブタジエン(「PB3600M」ダイセル化学株式会社)6.4質量部と、ナフタレン型エポキシ樹脂(「HP−4700」DIC株式会社)14質量部と、ノボラック型フェノール樹脂(「LA7054」DIC株式会社)15質量部と、球状シリカ(「SO−C4」株式会社アドマテックス)40質量部と、難燃フィラー(「HCA−HQ」三光株式会社)6質量部と、有機フィラー(「AC3816N」ガンツ化成株式会社)3質量部と、ブチラール樹脂(「BL−1」積水化学株式会社)1.5質量部と、アクリル樹脂(「SG−70L」ナガセケムテックス株式会社)0.1質量部と、を撹拌機にて混合し、メチルエチルケトンで希釈し、接着剤組成物を調製した。
[評価]
(タック力)
硬化前の接着層のタック力を、タッキング試験機「TAC−II」(RHESCA社製)を用いて測定した。すなわち、まず、接着シートの一方の離型フィルムを剥離して接着層を露出させ、試験機専用の冶具に取り付けた。接着シートの接着層面に、直径5.05mmステンレス製のプローブを、温度25℃、荷重1kgf/cm、接触速度5mm/minで押し付け、10秒間保持した後、剥離速度1mm/minにて引き剥がした。引き剥がすときの荷重を測定した。この測定を3回行い、平均値をタック力とした。
(ダイシェア強度)
ダイシェア強度は、EIAJ ED−4703に準拠し、万能型ボンドテスター dage series 4000(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製)を用いて測定した。具体的には、まず、接着シートの一方の離型フィルムを剥離した後、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)の粗化面に、接着シートの接着層の面を貼り合せた後、3cm×5cmにカットした。次に、他方の離型フィルムを剥離した後、接着層面に、10mm×10mmサイズのシリコンウエハを積載した。次いで、移動速度200μm/sにて、EIAJ ED−4703に準拠し、ダイシェア強度を測定した。
なお、表1中、「※」は、接着層のタック力が低く、電子部品の貼り付けが不可であったために、測定不可であったことを示す。
(貼付性)
接着シートの一方の離型フィルムを剥離した後、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)の一方の面に、接着シートの接着層の面を貼り合せた。その後、目視により気泡の有無を確認し、評価した。気泡が無い場合を「○」とし、気泡が有る場合を「×」とした。
(接着シートと電子部品との間のボイド)
接着シートの一方の離型フィルムを剥離した後、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)の一方の面に、接着シートの接着層の面を貼り合せた後、3cm×5cmにカットした。次に、他方の離型フィルムを剥離した後、接着層上に、電子部品(「GRM153」村田製作所社)をマウンター(多機能モジュラーマウンターDT401−F Panasonic社製)を用いて載せた。この後、光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープVHX−6000 キーエンス社製)を用いて、ボイドを評価した。気泡が無い場合を「○」とし、気泡が有る場合を「×」とした。
(ガラス転移温度(Tg))
まず、接着シートを150℃、30分加熱して接着層を硬化させた後、両面の離型フィルムを剥離した。その後、硬化後の接着層のTgを、動的粘弾性計測定装置「RSA−III」(TA Instruments社製)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法により下記条件で測定した。
・アタッチメントモード:圧縮モード
・周波数:1.0Hz
・温度範囲:−50℃〜250℃
・昇温速度:10℃/分
(耐熱性)
接着シートの一方の離型フィルムを剥離した後、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、接着シートの接着層の一方の面に、銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)を貼り合せた。次に、接着シートの他方の離型フィルムを剥離し、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、接着層の他方の面に、さらに銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)を貼り合せた。これにより、銅箔と接着層と銅箔とが積層された積層体を得た。次に、積層体を150℃、30分加熱して接着層を硬化させた。その後、冷熱衝撃試験機「TSA−201S−W」(エスペック社製)を用いて、−40℃以上150℃以下の範囲内でサーマルサイクル試験を500回実施した。そして、テンシロン万能試験機「RTF1350」(エー・アンド・デイ社製)を用いて、サーマルサイクル試験前後のT字剥離強度を測定した。サーマルサイクル試験後に、T字剥離強度が初期強度の80%以上を維持している場合を「○」とし、T字剥離強度が初期強度の80%未満である場合を「×」とした。
(電子部品の位置ずれ量)
接着シートの一方の離型フィルムを剥離した後、ラミネーター(「GL835PRO」アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用いて、銅箔(「RCF−T5B−35μ」福田金属箔粉工業株式会社、厚み35μm)の粗化面に、接着シートの接着層の面を貼り合せた後、3cm×5cmにカットした。次に、他方の離型フィルムを剥離した後、接着層上に、電子部品(「GRM153」村田製作所社)を載せた。画像測定器「NEXIV VMR−H3030」(Nikon社製)を用いて、任意の点で原点を決定し、原点からの電子部品の位置を測定した。続いて、接着層を150℃で30分間加熱して硬化させた。接着層の硬化後、再度、電子部品の位置を測定した。そして、接着層の硬化前後の電子部品の位置ずれ量を算出した。
なお、表1中、「※」は、接着層のタック力が低く、電子部品の貼り付けが不可であったために、測定不可であったことを示す。
(比誘電率および誘電正接)
周波数1GHzでの比誘電率および誘電正接は、IEC 62810に準拠し、10GHzでの比誘電率および誘電正接は、JIS R1641に準拠して、測定した。まず、接着シートから両面の離型フィルムを剥離し、試験片を作製した。試験片の寸法は、周波数1GHzでの比誘電率および誘電正接の測定については、16mm×92mmとして、周波数10GHzでの比誘電率および誘電正接の測定については、60mm×100mmとした。次に、下記の装置及び条件にて比誘電率及び誘電正接を測定した。比誘電率および誘電正接の値は、1サンプルの測定値とした。
・測定方法:空洞共振器法
・装置:Vector network analyzer HP8510(アジレント・テクノロジー社製)
Synthesizer sweeper HP83651A(同上)
Test set HP8517B(同上)
・共振器の寸法:1GHzの場合、直径229mm、高さ40mm
10GHzの場合、直径42mm、高さ30mm
・試験環境:22℃、60%RH
(体積抵抗率および表面抵抗率)
まず、接着シートから両面の離型フィルムを剥離した。その後、JIS K 6911:2006に準拠して、接着層の体積抵抗率および表面抵抗率を測定した。装置には高抵抗率計ハイレスターUP MCP−HT450(三菱化学社製)を用い、プローブにはURSプローブ MCP−HTP14(三菱化学社製)を用い、温度25±4℃、湿度50±10%の環境下で500Vの印加電圧にて体積抵抗率および表面抵抗率の測定を実施した。
なお、比誘電率、誘電正接、体積抵抗率および表面抵抗率については、実施例1〜3および比較例1〜7について測定した。
Figure 2019218452
1 … 部品内蔵基板用熱硬化性接着シート
2a、2b … 剥離層
3、3a … 接着層
3b … 層間絶縁層
11 … 基板
12 … 貫通孔
13a、13b … 電子部品
14a … 層間絶縁フィルム
14b … 層間絶縁層
15 … 穴
16 … 導電部
17a、18a … 導電層
17b、18b … 配線層

Claims (5)

  1. 部品内蔵基板の電子部品の固定および層間絶縁層に用いられる部品内蔵基板用熱硬化性接着シートであって、
    少なくとも接着層を有し、
    前記接着層は、23℃でのタック力が0.5N以上であり、23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、硬化後のガラス転移温度が150℃以上であり、硬化前後の電子部品の位置ずれ量が30μm以下である、部品内蔵基板用熱硬化性接着シート。
  2. 前記接着層が、エポキシ樹脂と、硬化剤と、粒子と、を含む、請求項1に記載の部品内蔵基板用熱硬化性接着シート。
  3. 前記エポキシ樹脂が、3官能以上のエポキシ樹脂を含む、請求項2に記載の部品内蔵基板用熱硬化性接着シート。
  4. 前記硬化剤が、アミン系硬化剤である、請求項2または請求項3に記載の部品内蔵基板用熱硬化性接着シート。
  5. 少なくとも接着層を有する熱硬化性接着シートを準備する準備工程と、
    基板の一方の面に、前記熱硬化性接着シートの前記接着層の一方の面を貼合する貼合工程と、
    前記熱硬化性接着シートの前記接着層の一方の面または他方の面に、電子部品を配置する配置工程と、
    前記熱硬化性接着シートの前記接着層を熱硬化させて層間絶縁層とする硬化工程と、
    樹脂により前記電子部品を封止する封止工程と、
    を有し、
    前記熱硬化性接着シートの前記接着層の23℃でのタック力が0.5N以上であり、前記熱硬化性接着シートの前記接着層の23℃でのダイシェア強度が0.5N/mm以上であり、前記層間絶縁層のガラス転移温度が150℃以上であり、前記硬化工程前後の前記電子部品の位置ずれ量が30μm以下である、部品内蔵基板の製造方法。
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WO2022070900A1 (ja) * 2020-09-29 2022-04-07 日東電工株式会社 粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シート
WO2022070899A1 (ja) * 2020-09-29 2022-04-07 日東電工株式会社 粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シート
JP7453841B2 (ja) 2020-04-22 2024-03-21 積水化学工業株式会社 多層管

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