JP2019217956A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】補強コードを樹脂で被覆してベルトを形成する場合において、補強コードの耐久性を確保することができる空気入りタイヤを得る。【解決手段】空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスを含んで構成され、少なくとも前記カーカスのタイヤ幅方向の外側部がゴム材料で被覆されたタイヤケースと、波状に屈曲しながらタイヤ周方向に巻かれる補強コード30を樹脂32で被覆して構成され、かつ前記タイヤケースの外周側に接合されるベルト26と、を備えている。【選択図】図3
Description
本発明は、螺旋状に巻回したコードを含んで構成されたベルトを備えた空気入りタイヤに関する。
自動車に装着する空気入りタイヤとしては、カーカスのタイヤ径方向外側にタイヤ周方向に対して傾斜したコードを含んで構成された2枚以上の傾斜ベルトプライと、傾斜ベルトプライのタイヤ径方向外側に配置された補強層等を備えた複数層からなるベルトを備えた構造が一般的である(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、特許文献3には、補強コードを樹脂で被覆して構成された樹脂被覆コードがタイヤ骨格部材の外周においてタイヤ周方向に螺旋状に巻かれて構成されたベルトを有するタイヤが開示されている。
特許文献1、2の空気入りタイヤは、2枚以上の傾斜ベルトプライと、補強層を備えているため、カーカスのクラウン部の補強として必要な面内剪断剛性等を確保することは可能であるが、プライや補強層の層数が多いためタイヤの軽量化は困難となっている。
そこで、傾斜ベルトプライと補強層からなるベルトに代えて、特許文献3の樹脂製ベルトを備えた空気入りタイヤを形成することで軽量化を図ることができる。しかしこの場合、転動時にベルトがタイヤ周方向に圧縮されると、樹脂で被覆された補強コードはタイヤ幅方向及びタイヤ径方向への逃げ場がないため圧縮力を繰り返し受ける。そのため、空気入りタイヤにおいて単に従来のベルトを樹脂製のベルトに置き換えた場合は耐久性の向上が難しい。
本発明は、補強コードを樹脂で被覆してベルトを形成する場合において、ベルトの耐久性を確保することができる空気入りタイヤの提供を目的とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスを含んで構成され、少なくとも前記カーカスのタイヤ幅方向の外側部がゴム材料で被覆されたタイヤケースと、波状に屈曲しながらタイヤ周方向に巻かれる補強コードを樹脂で被覆して構成され、かつ前記タイヤケースの外周側に接合されるベルトと、を備えている。
請求項1に記載の空気入りタイヤのベルトは、樹脂に被覆された補強コードを含んで構成されている。このベルトは、波状に屈曲する補強コードがタイヤ周方向に巻かれているため、空気入りタイヤが転動する際にタイヤ周方向に圧縮力が働いても、補強コードは波状に屈曲したまま波長方向に収縮する。補強コードは、軸方向に圧縮力を繰り返し受けることが無いため、補強コードを含むベルトは耐久性を確保することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ベルトは、前記補強コードを樹脂で被覆して構成された樹脂被覆コードが前記タイヤケースに対して螺旋状に巻かれる共に、前記樹脂被覆コードにおけるタイヤ幅方向に互いに隣接する部分同士が接合されている。
請求項2に記載の空気入りタイヤのベルトは、補強コードを樹脂で被覆した樹脂被覆コードを巻回することにより構成されている。そのため、樹脂被覆コードの巻径や巻数を変えるだけで、空気入りタイヤのサイズの違いに容易に対応させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記補強コードは、タイヤ幅方向に対して波状に屈曲している。
請求項3に記載の空気入りタイヤでは、ベルトのタイヤ径方向の高さを変えずに補強コードの振幅を大きくすることができるため、ベルトの重量を増やすことなく耐久性を確保することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記補強コードは、タイヤ径方向に対して波状に屈曲している。
請求項4に記載の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向において補強コードが占有する幅は、補強コードを直線状に配置する場合と同じであることから、ベルトにおける補強コードの密度(単位幅当たりの本数)を変えずに補強コードの振幅を大きくすることができる。そのため、ベルトの耐久性を確保しつつ、剛性の高いベルトを提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記補強コードの屈曲方向における振幅は、前記ベルトのタイヤ幅方向端部よりもタイヤ幅方向中央部が大きい。
請求項5に記載の空気入りタイヤのベルトによれば、タイヤ幅方向中央部の振幅を増すことにより、タイヤ幅方向端部よりもタイヤ周方向の圧縮力の高いタイヤ幅方向中央部の耐久性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤによれば、補強コードを樹脂で被覆してベルトを形成する場合において、ベルトの耐久性を確保することができる。
[第1の実施形態]
図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。
図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアルタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。なお、図1は、空気入りタイヤ10の空気充填前の自然状態の形状を示している。カーカス16は、タイヤケースの一例である。
カーカスプライ14は、空気入りタイヤ10のラジアル方向に延びる複数本のコード(図示せず)をコーティングゴム(図示せず)で被覆して形成されている。即ち、本実施形態の空気入りタイヤ10は、所謂ラジアルタイヤである。カーカスプライ14のコードの材料は、例えば、PETであるが、従来公知の他の材料であっても良い。
カーカスプライ14は、タイヤ幅方向(タイヤ軸方向)の端部分がビードコア12をタイヤ径方向外側に折り返されている。カーカスプライ14は、一方のビードコア12から他方のビードコア12に跨る部分が本体部14Aと呼ばれ、ビードコア12から折り返されている部分が折り返し部14Bと呼ばれる。
カーカスプライ14の本体部14Aと折返し部14Bとの間には、ビードコア12からタイヤ径方向外側に向けて厚さが漸減するビードフィラー18が配置されている。なお、空気入りタイヤ10において、ビードフィラー18のタイヤ径方向外側端18Aからタイヤ径方向内側の部分がビード部20とされている。
カーカス16のタイヤ内側にはゴムからなるインナーライナー22が配置されており、カーカス16のタイヤ幅方向外側には、第1のゴム材料からなるサイドゴム層24が配置されている。
なお、本実施形態では、ビードコア12、カーカス16、ビードフィラー18、インナーライナー22、及びサイドゴム層24によってタイヤケース25が構成されている。タイヤケース25は、言い換えれば、空気入りタイヤ10の骨格を成すタイヤ骨格部材のことである。
(ベルト)
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、ベルト26が配置されており、ベルト26はカーカス16の外周面に密着している。図2に示すように、ベルト26は、複数本(本実施形態では2本)の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34をタイヤ周方向に巻回することで形成されている。
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、ベルト26が配置されており、ベルト26はカーカス16の外周面に密着している。図2に示すように、ベルト26は、複数本(本実施形態では2本)の補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34をタイヤ周方向に巻回することで形成されている。
また、図3に示すように、平面視において補強コード30は、タイヤ周方向に延びる樹脂被覆コード34に対してタイヤ幅方向に波状(本実施形態では正弦波状)に屈曲した状態で樹脂32に被覆されている。つまり、本実施形態のベルト26は、正弦波状に屈曲しながらタイヤ周方向に巻かれる補強コード30を含んで構成されている。なお、ベルト26の製法方法は後述する。
ベルト26の補強コード30は、カーカスプライ14のコードよりも太く、かつ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。ベルト26の補強コード30は、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。本実施形態の補強コード30は、スチールコードである。補強コード30としては、例えば、直径が0.225mmの“1×5”のスチールコードを用いることができるが、従来公知の他の構造のスチールコードを用いることもできる。
補強コード30を被覆する樹脂32には、サイドゴム層24を構成するゴム、及び後述するトレッド36を構成する第2のゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料が用いられている。補強コード30を被覆する樹脂32としては、弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸び(JIS K7113)が50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、100MPa以上が好ましい。また、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、補強コード30を被覆する樹脂32の引張弾性率は、200〜700MPaの範囲内が特に好ましい。
本実施形態のベルト26の厚さ寸法tは、補強コード30の直径寸法よりも大きくすることが好ましい、言い換えれば、補強コード30が完全に樹脂32に埋設されていることが好ましい。ベルト26の厚さ寸法tは、空気入りタイヤ10が乗用車用の場合、具体的には、0.70mm以上とすることが好ましい。
図1に示すように、ベルト26のタイヤ径方向外側には、第2のゴム材料からなるトレッド36が配置されている。トレッド36に用いる第2のゴム材料は、従来一般公知のものが用いられる。トレッド36には、排水用の溝37が形成されている。また、トレッド36のパターンも従来一般公知のものが用いられる。
タイヤ幅方向に沿って計測するベルト26の幅BWは、タイヤ幅方向に沿って計測するトレッド36の接地幅TWに対して75%以上とすることが好ましい。なお、ベルト26の幅BWの上限は、接地幅TWに対して110%とすることが好ましい。ここで、ベルト26の幅BWは、ベルト26における一方のタイヤ幅方向端から他方のタイヤ幅方向端までに範囲をいう。
ここで、トレッド36の接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2018年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
また、ベルト26の面内剪断剛性は、ゴム被覆で形成されたベルト以上であることが好ましい。
(空気入りタイヤの製造方法)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法の一例を説明する。
まず、公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、ゴム材料からなるインナーライナー22、ビードコア12、ゴム材料からなるビードフィラー18、コードをゴム材料で被覆したカーカスプライ14、及びサイドゴム層24からなる未加硫のタイヤケース25を形成する。ここまでの製造方法は、従来通りである。
一方、樹脂被覆コード34(図2及び図3において、2点鎖線で図示。)は、2本の補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆して形成される。ここで、補強コード30を構成するスチールコードは、予め波状に屈曲させた上で、樹脂32で被覆する。本実施形態の樹脂被覆コード34の断面形状は矩形(タイヤ幅方向に長い長方形)である。
ベルト26は、樹脂被覆コード34を螺旋状に巻回して形成される。
ベルト26は、樹脂被覆コード34を螺旋状に巻回して形成される。
以下に、ベルト26の製造工程の一例を図4にしたがって説明する。
まず、ベルト成形ドラム40の近傍にコード供給装置42、加熱装置50、押付ローラ60、及び冷却ローラ70を移動可能に配置する。
まず、ベルト成形ドラム40の近傍にコード供給装置42、加熱装置50、押付ローラ60、及び冷却ローラ70を移動可能に配置する。
コード供給装置42は、補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34を巻き付けたリール43と、このリール43から巻き出された樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周に案内するためのガイド部材44とを含んで構成されている。このガイド部材44は、筒状とされ、内部を樹脂被覆コード34が通過するようになっている。また、ガイド部材44の口部46からは、ベルト成形ドラム40の外周面に向かって樹脂被覆コード34が送り出される。
加熱装置50は、熱風を樹脂被覆コード34に吹き当てて、吹き当てた部分を加熱し溶融させるものである。なお、本実施形態では、電熱線(不図示)で加熱した空気をファン(不図示)で発生させた気流で吹出し口52から吹き出し、この吹き出した熱風を樹脂被覆コード34に吹き当てるようになっている。なお、加熱装置50の構成は、上記構成に限定されず、熱可塑性樹脂を加熱溶融できれば、どのような構成であってもよい。例えば、樹脂被覆コード34の側面に熱鏝を接触させて側面を加熱溶融させてもよく、輻射熱で加熱溶融させてもよく、赤外線を照射して加熱溶融させてもよい。
押付ローラ60は、後述する樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40外周面に押し付けるものであり、押付力Fを調整できるようになっている。また、押付ローラ60のローラ表面には、溶融状態の樹脂材料の付着を防ぐための加工が施されている。そして、押付ローラ60は、回転自在となっており、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周に押し付けている状態では、ベルト成形ドラム40の回転方向(矢印A方向)に対して従動回転するようになっている。
また、冷却ローラ70は、押付ローラ60よりもベルト成形ドラム40の回転方向下流側に配置され、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に押し付けつつ、樹脂被覆コード34を冷却するものである。この冷却ローラ70は、押付ローラ60と同様に、押付力を調整でき、かつ、ローラ表面に溶融状態の樹脂材料の付着を防ぐための加工が施されている。さらに、冷却ローラ70は、押付ローラ60と同様に、回転自在となっており、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に押し付けている状態では、ベルト成形ドラム40の回転方向(矢印A方向)に対して従動回転するようになっている。また、冷却ローラ70は、ローラ内部を液体(例えば、水など)が流通するようになっており、この液体の熱交換によりローラ表面に接触した部材(本実施形態では、樹脂被覆コード34)などを冷却することができる。なお、溶融状態の樹脂材料を自然冷却させる場合には、冷却ローラ70を省略してもよい。
次に、ベルト成形ドラム40を矢印A方向に回転させると共にコード供給装置42の口部46から樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に向けて送り出す。
そして、加熱装置50の吹出し口52から樹脂被覆コード34に向かって熱風を吹き出して加熱し樹脂32の表面を溶融させながら、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40に付着させつつ、樹脂被覆コード34を押付ローラ60でベルト成形ドラム40の外周面に押し付ける。この押付ローラ60によって樹脂被覆コード34は、側部がタイヤ幅方向に膨出するように変形(押し潰しによる変形)して、樹脂32のタイヤ幅方向に隣接する側面同士が接触して溶着する。
その後、樹脂32の溶融部分は、冷却ローラ70に接触して固化され、隣接する樹脂被覆コード34同士の溶着が完了する。
その後、樹脂32の溶融部分は、冷却ローラ70に接触して固化され、隣接する樹脂被覆コード34同士の溶着が完了する。
このようにして、樹脂被覆コード34をベルト成形ドラム40の外周面に螺旋状に巻き付けると共に該外周面に押し付けていくことで、ベルト成形ドラム40の外周面にベルト26が形成される。なお、樹脂被覆コード34を螺旋状に巻き付けるには、コード供給装置42の口部46の位置を、タイヤケース17の回転に伴ってタイヤ幅方向に移動させたり、タイヤケース17をタイヤ幅方向に移動させたりすればよい。
次に、樹脂32が固化したベルト26をベルト成形ドラム40から取り外し、タイヤ成形ドラムのタイヤケースの径方向外側に配置し、タイヤケースを拡張してタイヤケースの外周面、言い換えればカーカス16の外周面をベルト26の内周面に圧着する。
最後に、ベルト26の外周面に、一般の空気入りタイヤと同様に未加硫のトレッド36を貼り付け、生タイヤが完成する。
このようにして製造された生タイヤは、一般の空気入りタイヤと同様に加硫成形モールドで加硫成形され、空気入りタイヤ10が完成する。
(作用、効果)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用、効果を説明する。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、カーカス16のクラウン部が、螺旋状に巻回された補強コード30が樹脂32で被覆されたベルト26で補強されているため、従来タイヤの2枚以上のベルトプライから構成された複数層からなるベルトに比較して軽量となり、製造も簡単になる。
本実施形態のベルト26は、補強コード30を樹脂32で被覆した樹脂被覆コード34が螺旋状に巻回されることにより構成されている。そのため、樹脂被覆コード34の巻径や巻数を変えるだけで、空気入りタイヤ10のサイズの違いに容易に対応させることができる。
本実施形態のベルト26は、補強コード30を被覆している樹脂32の引張弾性率が50MPa以上とされ、厚みも0.7mm以上確保されているので、ベルト26のタイヤ幅方向の面内剪断剛性を十分に確保することができる。
ベルト26の面内剪断剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10にスリップ角を付与した場合の横力を十分に発生させることができ、操縦安定性を確保することができ、また、応答性も向上させることができる。
また、ベルト26の面外曲げ剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10に大きな横力が入力した際、トレッド36のバックリング(トレッド36の表面が波打って、一部が路面から離間する現象)を抑制することができる。
さらに、本実施形態の空気入りタイヤ10では、面内剪断剛性が高いベルト26を用いており、ベルト26の幅BWをトレッド36の接地幅TWの75%以上としているので、ショルダー39付近の剛性を高めることができる。
空気入りタイヤ10におけるベルト26は、補強コード30が螺旋状に巻回され、周上で補強コード30がタイヤ径方向に重なる部分が無く、タイヤ周方向に厚さが均一となっているので、空気入りタイヤ10はユニフォミティーに優れたものとなる。
ところで、空気入りタイヤでは、ベルトはタイヤケースの形状に合わせて、タイヤ幅方向中央側に比べてタイヤ幅方向端側が僅かに小径となるように形成されている。そのため、空気入りタイヤが転動する際、ベルトはタイヤ幅方向端部においてはタイヤが拡径する方向の力、つまりタイヤ周方向の張力を受け、タイヤ幅方向中央部においてはタイヤが縮径する方向の力、つまりタイヤ周方向の圧縮力を受けている。
ここで、ベルト26のタイヤ幅方向端部とは、ベルト26のタイヤ幅方向端から所定の範囲をいい、好適には、ベルト26の幅BWの15〜35%の領域である。また、ベルト26のタイヤ幅方向中央部とは、タイヤ赤道面CLを中心に所定の範囲をいい、好適には、タイヤ幅方向端部に挟まれた、ベルト26の幅BWの30〜70%の領域である。
ここで、補強コードを樹脂で被覆した樹脂被覆コードを形成し、この樹脂被覆コードを螺旋状に巻いてベルトを構成する場合、ベルトが圧縮力を受けると樹脂被覆コードを構成する樹脂は弾性圧縮する。一方、タイヤ周方向に延びる樹脂被覆コードに対して直線状に補強コードを配した場合、補強コードは樹脂被覆コードの断面内部においてタイヤ幅方向及びタイヤ径方向への逃げ場がない。そのため樹脂被覆コードがタイヤ周方向の圧縮力を受けると補強コードは軸方向に向かう圧縮力を受ける。そして、補強コードがスチールコードの場合、圧縮力を繰り返し受けると樹脂被覆コードの内部で座屈して、金属疲労を生ずる可能性がある。
これに対して、本実施形態のベルト26によれば、樹脂被覆コード34の内部において補強コード30が波状に屈曲している。そのため、ベルト26がタイヤ周方向の圧縮力を受けた場合、弾性圧縮される樹脂32と共に、補強コード30は波状に屈曲したまま波長方向に収縮する。すなわち、補強コード30では、ベルト26に対するタイヤ周方向の圧縮力が軸方向に及ばないため、補強コード30を含むベルト26の耐久性を確保することができる。
本実施形態の補強コード30はタイヤ幅方向に正弦波状に屈曲した状態で樹脂32に被覆されている。本実施形態では、ベルト26のタイヤ径方向の高さ(図2の厚さ寸法t)を変えずに補強コード30の振幅を大きくすることができるため、ベルト26の重量を増やすことなく耐久性を確保することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る空気入りタイヤ10を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
次に、本発明の第2の実施形態に係る空気入りタイヤ10を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、樹脂製からなる一の円筒体によりベルト26が形成されている。本実施形態のベルト26においても、補強コード30はタイヤ幅方向に波状(本実施形態では正弦波状)に屈曲した状態で樹脂32に被覆されている。
本実施形態のベルト26は、例えば、予め円筒状に形成された樹脂製のリングの外周に補強コード30を螺旋状に巻回し、巻回された補強コード30の外周をさらに樹脂32で被覆することで形成することができる。樹脂製で円筒状のリングは、インジェクション成形や、押出し成形した樹脂円筒を所定の長さに切断して形成することができる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、樹脂被覆コードを巻回し、隣接する部分同士を接合した形成したベルトの場合、溶着不良によりベルトが幅方向に分断される可能性があるが、本実施形態のベルト26はタイヤ幅方向に界面を有していない。そのため、溶着不良によりベルト26がタイヤ幅方向に分断される懸念が無く、耐久性を向上させることができる。また、樹脂被覆コードを溶着してベルトを形成する場合に比べて、工数が減るため生産性が向上すると共に、コストの低減を図ることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る空気入りタイヤ10を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
次に、本発明の第3の実施形態に係る空気入りタイヤ10を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態の空気入りタイヤ10は、補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆して形成された樹脂被覆コード34を巻回してベルト26が形成されている。図6に示すように、本実施形態のベルト26では、補強コード30はタイヤ径方向に波状(本実施形態では正弦波状)に屈曲した状態で樹脂32に被覆されている。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
ここで、補強コード30をタイヤ幅方向に波状に屈曲させて配置する場合、補強コード30を直線状に配置する場合と比べて、補強コード30の占有する幅が広いため、ベルト26における補強コード30の密度(単位幅当たりの本数)を増やすことができない。これに対して、本実施形態のベルト26によれば、タイヤ幅方向において補強コード30が占有する幅は、補強コードを直線状に配置する場合と同じであることから、ベルト26における補強コード30の密度を変えずに補強コード30の振幅を大きくすることができる。そのため、本実施形態によれば、ベルト26の耐久性を確保しつつ、剛性の高いベルト26を提供することができる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る空気入りタイヤ10を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
次に、本発明の第4の実施形態に係る空気入りタイヤ10を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態の空気入りタイヤ10は、補強コード30を被覆用の樹脂32で被覆して形成された樹脂被覆コード34を巻回してベルト26が形成されている。本実施形態のベルト26では、補強コード30はタイヤ幅方向に波状(本実施形態では正弦波状)に屈曲した状態で樹脂32に被覆されているが、振幅はタイヤ幅方向の位置によって異なる。具体的には、図7に示すように、ベルト26に配置される補強コード30は、タイヤ幅方向端部の振幅Aよりもタイヤ幅方向中央部の振幅Bの方が大きい。本実施形態のベルト26では、端部ほど振幅が小さく、中央ほど振幅の大きい樹脂被覆コード34を巻回することで形成することができる。
なお、本実施形態のベルト26では、補強コード30の振幅を段階的(二段階)に変化させているが、漸次的に変化させてもよい。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。特に、タイヤ幅方向中央部の振幅を増すことにより、タイヤ幅方向端部よりもタイヤ周方向の圧縮力の高いタイヤ幅方向中央部の耐久性を向上させることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
また、各実施形態の特徴をそれぞれ組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態の特徴と第3の実施形態の特徴とを組み合わせることで、補強コード30がタイヤ幅方向かつタイヤ径方向(つまり、タイヤ幅方向断面において斜め方向)に波状に屈曲するベルト26を形成してもよい。
上記実施形態の補強コード30は正弦波状に屈曲しているが、この限りではなく、例えば方形波状や三角波状に屈曲していてもよい。
上記実施形態の補強コード30は、タイヤ周方向の波長や、隣接する補強コード30同士のピッチを一定にしていたがこれに限らず、空気入りタイヤ10のサイズに応じて適宜調整してもよい。なお、各実施形態のベルト26において、補強コード30はタイヤ幅方向に分散している方が、ベルト26と共に弾性圧縮される樹脂32の影響を受け難い。
上記実施形態のベルト26では、隣接する補強コード30における波の位相(山谷の位置)が揃っていないが、補強コード30の巻径に基づいて波長を変えることで、隣接する補強コード30同士の波の位相を揃えてもよい。一方、隣接する補強コード30同士の波の位相が一致しないようにランダムに配置してもよい。
上記実施形態では、ベルト26を製造する際に用いた樹脂被覆コード34が、2本の補強コード30を樹脂32で被覆したものであったが、樹脂被覆コード34は1本の補強コード30を樹脂32で被覆したものであってもよく、3本以上の補強コード30を樹脂32で被覆したものであってもよい。
上記実施形態の樹脂被覆コード34は断面形状が矩形であり、図2に示すように、カーカス16側(図面下方側)の内周面34Aと、トレッド36側(図面上方側)の外周面34Bとが、ベルト幅方向に変位していないが、樹脂被覆コード34は断面形状は矩形に限らず、カーカス側(図面下方側)の内周面34Aと、トレッド側(図面上方側)の外周面34Bとが、ベルト幅方向に変位していてもよい。例えば、樹脂被覆コード34は断面形状が平行四辺形状であってもよい。
本実施形態のベルト26は、一般的な空気入りタイヤに限らず、サイド部を補強ゴムで補強したランフラットタイヤに用いることもできる。
第1、第3及び第4の実施形態のベルト26では、ベルト幅方向に隣接する樹脂被覆コード34のタイヤ幅方向の側面同士が溶着により接合されていたが、接着剤を用いて接合されていてもよい。
10…空気入りタイヤ、16…カーカス、20…ビード部、25…タイヤケース、26…ベルト、30…補強コード、32…樹脂、34…樹脂被覆コード、BW…ベルトの幅、TW…接地幅
Claims (5)
- 一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスを含んで構成され、少なくとも前記カーカスのタイヤ幅方向の外側部がゴム材料で被覆されたタイヤケースと、
波状に屈曲しながらタイヤ周方向に巻かれる補強コードを樹脂で被覆して構成され、かつ前記タイヤケースの外周側に接合されるベルトと、
を備える空気入りタイヤ。 - 前記ベルトは、
前記補強コードを樹脂で被覆して構成された樹脂被覆コードが前記タイヤケースに対して螺旋状に巻かれる共に、前記樹脂被覆コードにおけるタイヤ幅方向に互いに隣接する部分同士が接合されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記補強コードは、
タイヤ幅方向に対して波状に屈曲している請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記補強コードは、
タイヤ径方向に対して波状に屈曲している請求項1〜3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記補強コードの屈曲方向における振幅は、前記ベルトのタイヤ幅方向端部よりもタイヤ幅方向中央部が大きい請求項1〜4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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