JP2019217944A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両制御装置に関し、乗員の手を煩わすことなく車室の快適性を向上させる。【解決手段】空調装置2と窓開閉装置7とワイパー駆動装置9とを備えた車両1に、第一制御部11と第二制御部12とを設ける。第一制御部11は、外気導入から内気循環への切り替えに際し、窓6の開度を記憶した上で全閉にし、全閉状態での経過時間Tを計測する。一方、第二制御部12は、内気循環から外気導入への切り替えに際し、経過時間Tが規定時間T0未満かつワイパー8が非作動ならば、窓6の開度を復元する。また、経過時間Tが規定時間T0以上またはワイパー8が作動していれば、窓6の全閉状態を維持する。【選択図】図3
Description
本発明は、車両に搭載された空調装置による外気の導入状態と窓の開閉状態とを連動させて制御する車両制御装置に関する。
従来、空調装置とパワーウィンドウ装置とを搭載した車両において、空調装置による外気導入を止めて内気循環を実施しつつ窓を閉鎖することで、外気による車室内の汚染を防止する技術が存在する。この技術は、車両が例えばトンネルや地下道路を通行する際に、車室内への外気の進入を一時的に防止するのに利用される。近年では、外気温度やワイパーの作動状態に応じて内気及び外気の割合を調節することも提案されている(特許文献1〜3参照)。なお、車両周囲の環境条件に応じて内気及び外気の割合を調節する制御は、内外気制御とも呼ばれている。
上記のような内外気制御は、車両の走行中に空調装置やパワーウィンドウ装置が自動的に調節されるため、利便性が高い。一方、既存の内外気制御では、開始条件のみが判定されており、その終了条件が判定されていないため、手動で外気導入や窓の開放操作を行う必要がある。そこで、開始条件だけでなく終了条件についても自動的に判断して、空調装置やパワーウィンドウ装置の動作を自動化することが考えられる。例えば、トンネルに進入したときに内外気制御を開始し、トンネルの退出時に内外気制御を終了させることが考えられる。あるいは、ワンタッチのボタン操作で内外気制御を開始,終了できるようにすることも考えられる。
しかし、内外気制御の終了条件は車両の走行状況に応じて変化しうるため、内外気制御を終了させない方がよいこともある。例えば、長いトンネルを通過する際に、進入時には晴れていたにもかかわらず、退出時には雨が降っている場合がある。このような場合、窓を開放すると車室内に雨が入ってしまい、車室の快適性が低下しうる。したがって、既存の内外気制御には改良の余地がある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、乗員の手を煩わすことなく車室の快適性を向上させる車両制御装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示する車両制御装置は、空調モードを外気導入と内気循環とに切り替え可能な車両の空調装置と、前記空調モードに応じて窓の開閉状態を制御する窓開閉装置と、ワイパーの作動状態を検出するワイパー駆動装置とを備える。また、第一制御部及び第二制御部を備える。前記第一制御部は、前記外気導入から前記内気循環への切り替えに際し、前記窓の開度を記憶した上で全閉に制御するとともに、全閉状態での経過時間を計測する。前記第二制御部は、前記内気循環から前記外気導入への切り替えに際し、前記経過時間が規定時間未満かつ前記ワイパーが作動していない場合に前記窓の開度を復元し、前記経過時間が前記規定時間以上または前記ワイパーが作動している場合に前記全閉状態を維持する。
(2)前記第二制御部が、トンネル内を走行している前記車両について、前記トンネル内での滞在時間及び車速に応じて前記規定時間を延長することが好ましい。
(3)前記車両の位置及び前記トンネルの位置を検出するナビゲーション装置を備えることが好ましい。また、前記第一制御部が、前記トンネルへ進入する前に前記窓を全閉にすることが好ましい。さらに、前記第二制御部が、前記トンネルを脱した後に前記窓の開閉状態を復元するか前記全閉状態を維持するかを判断することが好ましい。
(4)乗員が前記外気導入と前記内気循環とを手動で切り替えるための切り替えスイッチを備えることが好ましい。
(3)前記車両の位置及び前記トンネルの位置を検出するナビゲーション装置を備えることが好ましい。また、前記第一制御部が、前記トンネルへ進入する前に前記窓を全閉にすることが好ましい。さらに、前記第二制御部が、前記トンネルを脱した後に前記窓の開閉状態を復元するか前記全閉状態を維持するかを判断することが好ましい。
(4)乗員が前記外気導入と前記内気循環とを手動で切り替えるための切り替えスイッチを備えることが好ましい。
車両に搭載された空調装置の外気導入モードから内気循環モードへの切り替えに際し、開放されている窓が全閉状態に制御されるため、外気による車室内の汚染を防止することができる。その後、内気循環モードから外気導入モードへの切り替えに際し、ワイパーが作動していれば窓の全閉状態が維持されるため、車室への雨の進入を防止することができる。一方、窓が全閉状態になってから規定時間以内であってワイパーが非作動ならば窓の状態が自動的に復元される。したがって、乗員の手を煩わすことなく車室の快適性を向上させることができる。
以下、図面を参照して実施形態としての車両制御装置10について説明する。また、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
車両制御装置10とは、車両1に搭載される各種装置の作動状態を制御するための電子制御装置(コンピューター)である。この車両制御装置10には、プロセッサー(中央処理装置),メモリ(メインメモリ),記憶装置(ストレージ),インタフェース装置などが内蔵され、これらが内部バスを介して互いに接続されている。なお、車両制御装置10には公知のハードウェア構成を適用することが可能である。車両制御装置10の機能をエアコンECUやボディーECUといった公知のECUに実行させてもよい。
[1.構成]
車両制御装置10が適用された車両1を図1に示し、車両制御装置10のシステム構成を図2に示す。車両1の左右側面には開閉可能な窓6が取り付けられ、前方のフロントガラスにはワイパー8が取り付けられる。また、車両1に搭載される空調装置2には、空調風を取り込むための通路として、外気通路3と内気通路4とが接続される。外気通路3は、車両1の外部から空調装置2へと空気を流通させるダクトであり、内気通路4は車室内から空調装置2へと空気を流通させるダクトである。外気通路3と内気通路4との合流箇所には、外気と内気との割合(内外気割合)を変更するための空調用ダンパー5が介装される。空調用ダンパー5の角度を変更することで、空調装置2側へと流れる空調風の内外気割合が変更される。
車両制御装置10が適用された車両1を図1に示し、車両制御装置10のシステム構成を図2に示す。車両1の左右側面には開閉可能な窓6が取り付けられ、前方のフロントガラスにはワイパー8が取り付けられる。また、車両1に搭載される空調装置2には、空調風を取り込むための通路として、外気通路3と内気通路4とが接続される。外気通路3は、車両1の外部から空調装置2へと空気を流通させるダクトであり、内気通路4は車室内から空調装置2へと空気を流通させるダクトである。外気通路3と内気通路4との合流箇所には、外気と内気との割合(内外気割合)を変更するための空調用ダンパー5が介装される。空調用ダンパー5の角度を変更することで、空調装置2側へと流れる空調風の内外気割合が変更される。
空調装置2には、車室外の空気(外気)を車室内へ取り込む外気導入モードと、車室内の空気(内気)を循環させる内気循環モードとが設けられる。本実施形態では、外気導入モード時における外気の割合が100%とされ、内気循環モード時には内気の割合が100%とされるものとする。ただし、外気導入モード時の空調風に少量の内気を含ませてもよいし、内気循環モード時の空調風に少量の外気を含ませてもよい。
外気導入モード及び内気循環モードは、空調用ダンパー5の角度を変更することで切り替えられる。空調用ダンパー5の角度は、車両制御装置10で制御される。また、モードの切り替え条件は、車室内に設けられた空調スイッチ13(切り替えスイッチ)が乗員に操作されること、または、所定の走行条件が成立することである。外気導入モードから内気循環モードへの切り替えのための走行条件を以下に例示する。本実施形態の車両制御装置10は、空調スイッチ13が操作されていない場合であっても、いずれかの条件1〜4が成立したときに、空調装置2の作動モードを自動的に外気導入モードから内気循環モードへと切り替える。
条件1.車両1がトンネルに進入しようとしている
条件2.車両1の前方に大型トラックが走行している
条件3.車両1の周囲の汚染物質(排気ガスや花粉など)の濃度が所定値以上である
条件4.空調装置2に所定出力以上の冷暖房出力が要求されている
条件1.車両1がトンネルに進入しようとしている
条件2.車両1の前方に大型トラックが走行している
条件3.車両1の周囲の汚染物質(排気ガスや花粉など)の濃度が所定値以上である
条件4.空調装置2に所定出力以上の冷暖房出力が要求されている
また、内気循環モードから外気導入モードへの切り替えのための走行条件を以下に例示する。本実施形態の車両制御装置10は、空調スイッチ13が操作されていない場合であっても、いずれかの条件5〜7が成立したときに、空調装置2の作動モードを自動的に内気循環モードから外気導入モードへと切り替える。
条件5.成立していた条件1〜4が不成立になった
条件6.窓6の曇りをとるためのデフロスト制御が実施されている
条件7.車室内の汚染物質(二酸化炭素など)の濃度が所定値以上である
条件5.成立していた条件1〜4が不成立になった
条件6.窓6の曇りをとるためのデフロスト制御が実施されている
条件7.車室内の汚染物質(二酸化炭素など)の濃度が所定値以上である
車両1の窓6には、開閉状態を制御するためのウィンドウレギュレーター7(窓開閉装置)が取り付けられる。ウィンドウレギュレーター7は、それぞれの窓6に対して一つずつ用意される。例えば、車両1の左側面に二つの窓6があり、右側面にも二つの窓があり、ルーフ(天井面)にも窓6がある場合には、合計で五つのウィンドウレギュレーター7が設けられる。ウィンドウレギュレーター7の作動状態は、車室内に設けられる窓スイッチ14(窓開閉スイッチ)を乗員が操作することによって制御される。また、本実施形態のウィンドウレギュレーター7は、空調装置2の作動モードに応じて自動的に制御されうるようになっている。
フロントガラスのワイパー8には、その作動状態を制御するためのワイパーモーター9が取り付けられる。リヤガラスのワイパー8にも同様のワイパーモーター9が設けられる。ワイパーモーター9の作動状態は、レインセンサーの検出情報に基づいて自動的に制御されてもよいし、乗員が手動でワイパーレバー(不図示)を操作する方式としてもよい。なお、ワイパー8が作動しているときには、雨が降っている状況であると考えられる、一方、屋外でワイパー8が非作動ならば、雨が降っていない状況であると考えられる。したがって、ワイパー8の作動状態を利用することで、窓6を開放してもよいか否かを判定することが可能となる。ワイパー8の作動状態に関する情報は、車両制御装置10に入力される。
ナビゲーション装置15は、GNSS(Global Navigation Satellite System,全球測位衛星システム)や車速センサー,舵角センサー,ヨーレイトセンサーなどの検出情報に基づいて、車両1の現在位置を計測するための測位装置(電子制御装置)である。ここでは世界測地系を基準として、車両1の位置の情報(緯度,経度,高さの情報)が測定されるとともに、車両1の移動方向(進行方向)や周囲の道路情報が取得される。例えば、車両1の現在位置がトンネルに進入する前の道路上であるのか、トンネル内であるのか、それともトンネルを退出した後の道路上であるのか、といった情報が取得される。これらは、トンネルの出入口と車両1との距離に基づいて判断することができる。このように、ナビゲーション装置15は、車両1の位置及びトンネルの位置を検出する手段として機能する。
[2.制御]
図2中に示すように、車両制御装置10には第一制御部11と第二制御部12とが設けられる。これらの要素は、車両制御装置10での制御内容を便器的に分類して示したものであり、個々の要素を独立したプログラムとして記述してもよいし、二つの機能を兼ね備えた複合プログラムとして記述してもよい。
図2中に示すように、車両制御装置10には第一制御部11と第二制御部12とが設けられる。これらの要素は、車両制御装置10での制御内容を便器的に分類して示したものであり、個々の要素を独立したプログラムとして記述してもよいし、二つの機能を兼ね備えた複合プログラムとして記述してもよい。
第一制御部11は、外気導入モードから内気循環モードへの切り替え時に、自動的に実施される制御内容を管理するものである。ここでは、以下の三種類の制御が実施される
制御A.窓6の開度を記憶する
制御B.開いている窓6を自動的に閉じ、全閉状態にする
制御C.全閉状態からの経過時間Tを計測する
制御A.窓6の開度を記憶する
制御B.開いている窓6を自動的に閉じ、全閉状態にする
制御C.全閉状態からの経過時間Tを計測する
上記の制御Aでは、車両1に設けられているすべての窓6の開度(開放の割合や度合いなどの開放状態)が記憶される。例えば、左側面に二つの窓6があり、右側面にも二つの窓があり、ルーフ(天井面)にも窓6がある場合には、五つの開度が記憶される。以下に示す表は、それぞれの窓6を識別するための窓番号とその窓6の開度との関係を例示するものである。
第二制御部12は、内気循環モードから外気導入モードへの切り替え時に、自動的に実施される制御内容を管理するものである。ここでは、以下の条件A〜Cが成立する場合に限り、すべての窓6の開閉状態を復元する制御が実施される。
条件A.ワイパー8が非作動である
条件B.制御Bが実施されている
条件C.経過時間Tが規定時間T0未満である
条件A.ワイパー8が非作動である
条件B.制御Bが実施されている
条件C.経過時間Tが規定時間T0未満である
条件Cの規定時間T0は、あらかじめ設定された固定値としてもよいし、車両1の走行状態に応じて設定される可変値としてもよい。例えば、車両1がトンネル内を走行している場合に、トンネル内の滞在時間と車速とに応じて規定時間T0を延長してもよい。本実施形態では トンネル内の滞在時間が長いほど、あるいは車速が遅いほど、規定時間T0が延長されるものとする。
なお、近年では数キロメートル以上のトンネルが多数存在し、例えばアクアトンネル(東京湾アクアライン)は約9.6km、山手トンネル(首都高速中央環状線)は約18kmにもおよぶ。また、トンネルの長さ(延長)が長いほど、入口と出口とで天候が変化する可能性が高く、規定時間T0が短すぎれば天候の変化に対応できなくなってしまう。そのため、規定時間T0は適度な長さに設定することが好ましく、例えば数分〜十数分とすることが考えられる。
図3(A)に示すように、車両1がトンネルに進入しようとすると条件1が成立し、空調装置2の作動モードが自動的に外気導入モードから内気循環モードへと切り替えられたとする。このとき、第一制御部11はすべての窓6の開閉状態を記憶した上で自動的に全閉とする。これにより、トンネル内に滞留する排気ガスが走行中に車室内に進入することがなくなり、車室内の空気が清浄に保たれる。また、第一制御部11は、すべての窓6が全閉状態となった時点からの経過時間Tを計測する。
その後、車両1がトンネルを退出すると、空調装置2の作動モードが自動的に内気循環モードから外気導入モードへと切り替えられる。このとき、経過時間Tが規定時間T0未満であってワイパー8が非作動であれば、図3(A)に示すように、窓6の開閉状態が復元される。これにより、空調装置2の作動モードと窓6の開閉状態とがトンネルの前後で同じとなり、乗員の手を煩わすことなく車室の快適性が向上する。一方、図3(B)に示すように、トンネルの出口側で雨が降っている場合には、乗員の手動操作やオートワイパー機能によってワイパー8が作動した状態となる。これにより、窓6の開閉状態が復元されることなく、全閉状態が維持される。したがって、乗員の手を煩わすことなく車室内への雨の進入が防止される。
[3.フローチャート]
図4は、車両制御装置10による制御の流れを説明するためのフローチャートである。まず、ナビゲーション装置15が車両1の現在位置の情報を検出し、その情報を車両制御装置10に伝達する(ステップA1)。続いて、空調装置2の作動モードを外気導入モードから内気循環モードへと切り替えるための条件の成否が判定される(ステップA2)。図4の例では上記の条件1が判定されており、すなわち車両1がトンネル前に位置しているか否か(車両1の進行方向である前方に存在するトンネル入口までの距離が所定距離未満であるか)が判定されている。
図4は、車両制御装置10による制御の流れを説明するためのフローチャートである。まず、ナビゲーション装置15が車両1の現在位置の情報を検出し、その情報を車両制御装置10に伝達する(ステップA1)。続いて、空調装置2の作動モードを外気導入モードから内気循環モードへと切り替えるための条件の成否が判定される(ステップA2)。図4の例では上記の条件1が判定されており、すなわち車両1がトンネル前に位置しているか否か(車両1の進行方向である前方に存在するトンネル入口までの距離が所定距離未満であるか)が判定されている。
ステップA2の条件が成立する場合にはステップA3へ進み、不成立の場合にはステップA9へ進む。ステップA3では、現在の空調装置2の作動モードが外気導入モードであるか否かが確認される。ここで作動モードが内気循環モードであれば、作動モードを切り替える必要がないため、この演算周期での制御が終了する。一方、作動モードが外気導入モードであれば、その作動モードが内気循環モードへと変更され、外気通路3が閉鎖されるように空調用ダンパー5の角度が制御される(ステップA4)。
外気導入から内気循環への切り替えに際し、第一制御部11は、すべての窓6の開度を記憶する(ステップA5)。その後、開放されている窓6をすべて全閉に制御し(ステップA6)、全閉状態での経過時間Tの計測を開始する(ステップA7)。また、制御用のフラグFをF=1に設定し(ステップA8)、この演算周期での制御が終了する。フラグFは、空調装置2の作動モードが外気導入モードから内気循環モードへと切り替えられたことを記憶しておくための変数であり、作動モードが再び外気導入モードへと切り替えられるときに参照される。
ステップA2からステップA9へ進んだ場合、車両1がトンネル後に位置しているか否か(車両1の後方に存在するトンネル出口までの距離が所定距離未満であるか)が判定される。ステップA9の条件が不成立であるときには、車両1がトンネル内に位置している(トンネル内を走行している)か否かが判定され(ステップA10)、この条件が成立する場合に規定時間T0が延長される(ステップA11)。規定時間T0は、車両1がトンネル内に滞在している時間が長いほど延長される。なお、トンネルを通過するのにかかる時間は車速が小さいほど長くなることから、車速が遅いほど規定時間T0の増分を大きくすることが好ましい。これにより、例えばトンネル内で渋滞が発生しているような状況において、規定時間T0の値が適正化される。
ステップA9の条件が成立するときには、フラグFがF=1であるか否かが判定される(ステップA12)。ここでフラグFがF=0であれば、空調装置2の作動モードが外気導入モードから内気循環モードへと切り替えられていないため、この演算周期での制御が終了する。一方、フラグFがF=1であれば、作動モードが内気循環モードから外気導入モードへと変更され、内気通路4が閉鎖されるように空調用ダンパー5の角度が制御される(ステップA13)。
内気循環から外気導入への切り替えに際し、第二制御部12は、経過時間Tが規定時間T0未満であるか否かを判定するとともに(ステップA14)、ワイパー8が非作動であるか否かを判定する(ステップA15)。これらの条件がともに成立する場合にはすべての窓6の開度を復元し(ステップA16)、フラグFをF=0に設定する(ステップA17)。これにより、図3(A)に示すように、窓6の開閉状態がトンネルに進入する前と同じ状態になる。一方、経過時間Tが規定時間T0以上であるかワイパー8が作動中である場合には、窓6の全閉状態を維持したままフラグFをF=0に設定する。これにより、図3(B)に示すように、車室への雨の進入が防止される。
[4.作用・効果]
(1)上記の車両制御装置10によれば、外気導入から内気循環への切り替えに際し、開放されている窓が全閉状態に制御されるため、外気が窓から車室内に進入することを防止できる。これにより、乗員が意識的に窓スイッチ14を操作する手間を省くことができ、例えばトンネル内に滞留している排気ガスによる、車室内の汚染を防止することができる。なお、外気導入から内気循環への切り替え操作は自動であっても手動であってもよいが、乗員の操作負担を軽減するには手動よりも自動とすることが好ましい。同様に、ワイパー8の動作は自動であっても手動であってもよいが、乗員の操作負担を軽減するには手動よりも自動とすることが好ましい。
(1)上記の車両制御装置10によれば、外気導入から内気循環への切り替えに際し、開放されている窓が全閉状態に制御されるため、外気が窓から車室内に進入することを防止できる。これにより、乗員が意識的に窓スイッチ14を操作する手間を省くことができ、例えばトンネル内に滞留している排気ガスによる、車室内の汚染を防止することができる。なお、外気導入から内気循環への切り替え操作は自動であっても手動であってもよいが、乗員の操作負担を軽減するには手動よりも自動とすることが好ましい。同様に、ワイパー8の動作は自動であっても手動であってもよいが、乗員の操作負担を軽減するには手動よりも自動とすることが好ましい。
窓6が全閉状態に制御された後、内気循環から外気導入への切り替えに際して、経過時間Tが長過ぎる場合やワイパー8が作動中であれば、その全閉状態が維持される。これにより、トンネルの出口側で雨が降っていたような場合であっても、車室への雨の進入を防止することができる。一方、経過時間Tが規定時間T0内であってワイパー8が非作動ならば、窓6の開閉状態が復元される。これにより、トンネルに入る前と同じ室内環境を再現することができる。したがって、乗員の手を煩わすことなく車室の快適性を向上させることができる。
(2)上記の規定時間T0は、車両1のトンネル内での滞在時間や車速に応じて延長される。すなわち、滞在時間が長いほど規定時間T0が延長されるとともに、車速が遅いほど規定時間T0が延長される。このような設定により、規定時間T0を適正化することができ、例えばトンネル内における渋滞の有無や走行速度の大小に依らずに、窓6の開閉状態を適切に制御することができる。また、長いトンネルであるほど規定時間T0が長くなることから、トンネルの延長に依存することなく、出口付近での天候変化に対応する窓6の開閉状態を実現することができる。
(3)上記の車両1では、ナビゲーション装置15でトンネルの位置を検出し、トンネルへ進入する前に窓6が全閉に制御される。また、トンネルを脱した後には、窓6の開閉状態を復元するか全閉状態を維持するかが判断されている。このように、トンネルの前後で空調装置2の作動モードと窓6の開閉状態とを連動させることで、排気ガスによる車室内の汚染を防止しつつ適度に換気することができ、車室の快適性をさらに向上させることができる。また、乗員がトンネルの有無を意識する必要がなく、利便性を向上させることができる。
(4)上記の車両1には空調スイッチ13が設けられており、乗員の手動操作で空調装置2の作動モードを切り替えられるようになっている。このような手動操作においても、空調装置2の作動モードと窓6の開閉状態とを連動させることができ、利便性をさらに向上させることができる。つまり特別な事情がない限り、乗員は窓スイッチ14を操作する必要がなくなり、空調スイッチ13のみの操作で窓6の開閉状態を適切に制御することができる。
[5.変形例]
上記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、本実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。例えば、上述の実施形態における車両制御装置10は、エアコンECUやボディーECUなどに内蔵させることが可能である。少なくとも、第一制御部11及び第二制御部12として機能する手段を用意すれば、上述の実施形態と同様の作用効果を奏するシステムを実現可能である。
上記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、本実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。例えば、上述の実施形態における車両制御装置10は、エアコンECUやボディーECUなどに内蔵させることが可能である。少なくとも、第一制御部11及び第二制御部12として機能する手段を用意すれば、上述の実施形態と同様の作用効果を奏するシステムを実現可能である。
1 車両
2 空調装置
3 外気通路
4 内気通路
5 空調用ダンパー
6 窓
7 ウィンドウレギュレーター(窓開閉装置)
8 ワイパー
9 ワイパーモーター(ワイパー駆動装置)
10 車両制御装置
11 第一制御部
12 第二制御部
13 空調スイッチ(切り替えスイッチ)
14 窓スイッチ
15 ナビゲーション装置
F フラグ
T 経過時間
T0 規定時間
2 空調装置
3 外気通路
4 内気通路
5 空調用ダンパー
6 窓
7 ウィンドウレギュレーター(窓開閉装置)
8 ワイパー
9 ワイパーモーター(ワイパー駆動装置)
10 車両制御装置
11 第一制御部
12 第二制御部
13 空調スイッチ(切り替えスイッチ)
14 窓スイッチ
15 ナビゲーション装置
F フラグ
T 経過時間
T0 規定時間
Claims (4)
- 空調モードを外気導入と内気循環とに切り替え可能な車両の空調装置と、
前記空調モードに応じて窓の開閉状態を制御する窓開閉装置と、
ワイパーの作動状態を検出するワイパー駆動装置と、
前記外気導入から前記内気循環への切り替えに際し、前記窓の開度を記憶した上で全閉に制御するとともに、全閉状態での経過時間を計測する第一制御部と、
前記内気循環から前記外気導入への切り替えに際し、前記経過時間が規定時間未満かつ前記ワイパーが作動していない場合に前記窓の開度を復元し、前記経過時間が前記規定時間以上または前記ワイパーが作動している場合に前記全閉状態を維持する第二制御部と、
を備えることを特徴とする、車両制御装置。 - 前記第二制御部が、トンネル内を走行している前記車両について、前記トンネル内での滞在時間及び車速に応じて前記規定時間を延長する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両制御装置。 - 前記車両の位置及び前記トンネルの位置を検出するナビゲーション装置を備え、
前記第一制御部が、前記トンネルへ進入する前に前記窓を全閉にし、
前記第二制御部が、前記トンネルを脱した後に前記窓の開閉状態を復元するか前記全閉状態を維持するかを判断する
ことを特徴とする、請求項2記載の車両制御装置。 - 乗員が前記外気導入と前記内気循環とを手動で切り替えるための切り替えスイッチを備える
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4137337A1 (en) * | 2021-08-19 | 2023-02-22 | Yazaki Corporation | In-vehicle ventilation system |
-
2018
- 2018-06-21 JP JP2018117702A patent/JP2019217944A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4137337A1 (en) * | 2021-08-19 | 2023-02-22 | Yazaki Corporation | In-vehicle ventilation system |
JP7410092B2 (ja) | 2021-08-19 | 2024-01-09 | 矢崎総業株式会社 | 車載換気システム |
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