JP2019217899A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトの面内剪断剛性の確保とタイヤ軽量化の両立を図る。【解決手段】空気入りタイヤ10は、一対のビードコア12Aと、一対のビードコア12A跨って形成されたカーカス18と、カーカス18のタイヤ径方向外側に配置され樹脂で形成された環状の樹脂本体12B、及び、タイヤ周方向に延在すると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並び樹脂本体12Bに埋設された補強コード12C、を有するベルト層と、ベルト層のタイヤ径方向外側及び内側の少なくとも一方において、ベルト層のタイヤ幅方向外側部に配置され、補強コード12Cと交差する方向に延在する外側コード32を有する外側補強層30と、を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、ベルト層を備えた空気入りタイヤに関する。
自動車に装着する空気入りタイヤとしては、カーカスのタイヤ径方向外側にタイヤ周方向に対して傾斜したコードを含んで構成された2枚以上の傾斜ベルトプライ、及び補強層等を備えたベルトを備えた構造が一般的である(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2の空気入りタイヤは、2枚以上の傾斜ベルトプライを備えることにより面内剪断剛性を確保しているが、プライや補強層の層数が多いため、タイヤの軽量化は困難となっている。
本発明は上記事実を考慮し、ベルトの面内剪断剛性の確保とタイヤ軽量化の両立を図った空気入りタイヤの提供を目的とする。
請求項1の空気入りタイヤは、一対のビードコアと、前記一対のビードコアに跨って形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され樹脂で形成された環状の樹脂本体、及び、タイヤ周方向に延在すると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並び前記樹脂本体に埋設された補強コード、を有するベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側及び内側の少なくとも一方において、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側部に配置され、前記補強コードと交差する方向に延在する外側コードを有する外側補強層と、を備えている。
請求項1に係る空気入りタイヤは、カーカスのタイヤ径方向外側に、樹脂本体及び樹脂本体に埋設された補強コードを有するベルト層を備えている。ベルト層では、補強コードがタイヤ周方向に延在すると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並んでいる。このように、補強コード間に樹脂本体を配置することにより、補強コード間にゴムを配置する場合と比較して高い面内剪断剛性を得ることができると共に、タイヤの軽量化も図ることができる。
このように高い面内剪断剛性が得られる一方、ベルト層のタイヤ幅方向端部に歪みが生じやすくなるが、本発明では外側補強層を設けており、外側補強層は、補強コードと交差する方向に延在する外側コードを有しているので、タイヤ幅方向外端部の歪みが抑制され、ベルト層の耐久性を向上させることができる。
請求項2に係る空気入りタイヤは、前記外側コードが、タイヤ幅方向に対して±70°以内の角度で延在する。
請求項2に係る空気入りタイヤによれば、外側コードがタイヤ幅方向に対して±70°以内の角度で延在するので、より効果的に、ベルト層のタイヤ幅方向外側の歪みを抑制することができる。
請求項3に係る空気入りタイヤは、前記外側補強層は、前記ベルト層のタイヤ幅方向外端から前記ベルト層の半幅の1/2の範囲内の少なくとも一部に配置されている。
請求項3に係る空気入りタイヤによれば、特に歪みが生じやすいベルト層のタイヤ幅方向外端からベルト層の半幅の1/2の範囲内に外側補強層を設けることにより、効果的にベルト層のタイヤ幅方向外側の歪みを抑制することができる。
請求項4に係る空気入りタイヤは、前記外側補強層は、前記ベルト層のタイヤ幅方向外端を跨いで配置されている。
請求項4に係る空気入りタイヤによれば、ベルト層のタイヤ幅方向端を跨いで外側補強層が配置されているので、ベルト層のタイヤ幅方向外端における剛性段差が緩和され、この部分への応力集中を抑制することができる。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、面内剪断剛性の確保とタイヤ軽量化の両立を図ることができる。
図1には、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ10が示されている。空気入りタイヤ10は、一例としてラジアルタイヤを示している。なお、図中矢印Wはタイヤ幅方向を示し、矢印Rはタイヤ径方向を示す。ここでいうタイヤ幅方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸と平行な方向を指している。また、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸と直交する方向をいう。また、符号CLはタイヤ10の赤道面(タイヤ赤道面)を示している。
また、本実施形態において、後述するトレッド22の接地端E、接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2018年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
空気入りタイヤ10は、ビードコア12Aが埋設された一対のビード部12、一対のビード部12からそれぞれタイヤ径方向外側に延びる一対のサイド部14、サイド部14からタイヤ幅方向内側に延びるクラウン部16、を有している。一方のビード部12と他方のビード部12との間には、1枚のカーカスプライ18Aからなるカーカス18が跨っている。
カーカス18のタイヤ内側には、ゴムからなるインナーライナー17が配置されている。また、カーカス18のタイヤ幅方向外側には、サイドゴム層13が配置されている。
カーカス18のタイヤ径方向外側のクラウン部16には、樹脂環状ベルト20が設けられている。樹脂環状ベルト20は円環状とされている。樹脂環状ベルト20の詳細については、後述する。樹脂環状ベルト20のタイヤ径方向外側には、トレッド22が配置されている。トレッド22には、タイヤ周方向に沿って複数の主溝22Aが形成されている。
樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外側部分のタイヤ径方向内側には、外側補強層30が配置されている。すなわち、カーカス18と樹脂環状ベルト20の間のタイヤ径方向外側部分に、外側補強層30が配置されている。外側補強層30は、互いに平行に並べられた複数本の外側コード32をゴムで被覆することによって形成されたシートで構成されている。外側コード32はタイヤ幅方向と平行に延出されている。すなわち、外側コード32は、タイヤ径方向に見て、タイヤ幅方向に対しての角度θが0°で配置されている。外側コード32としては、有機繊維コード(炭素繊維を含む)、スチールコード、これらの撚り線コード、モノフィラメント、等を用いることができる。
外側補強層30は、樹脂環状ベルト20の、タイヤ幅方向外端からベルト半幅の1/2(BW/4)の範囲内の少なくとも一部に配置されている。また、外側補強層30は、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外端を跨いで配置されている。外側補強層30のタイヤ幅方向内端は、主溝22Aよりもタイヤ幅方向外側に配置されている。また、外側補強層30のタイヤ幅方向外端は、接地端Eよりもタイヤ幅方向外側に配置されている。
図2及び図3に示すように、樹脂環状ベルト20は、タイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回された補強コード20Aと、補強コード20Aを被覆する樹脂材料の樹脂本体20Bを有している。樹脂環状ベルト20は、補強コード20Aが樹脂本体20Bで被覆された樹脂被覆コード20Cを螺旋状に巻回して一体化させたリング状の箍(たが)で構成することができる。
なお、本実施形態では、1本の樹脂被覆コード20Cをタイヤ周方向に螺旋状に巻いて樹脂環状ベルト20を形成したが、他の構成でタイヤ周方向に沿って延在する補強コード20Aを樹脂本体20B内に埋設させてもよい。例えば、樹脂被覆コード20Cをリング状に形成し、リング状の複数の樹脂被覆コード20Cをタイヤ幅方向に並べて形成することもできる。本実施形態では、樹脂被覆コード20Cは、タイヤ周方向に対して5°以下の角度で巻回されている。
樹脂本体20Bには、サイドゴム層13を構成するゴム材料、及びトレッド22を形成するゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料が用いられている。樹脂本体20Bの引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、100MPa以上が好ましい。また、樹脂本体20Bの引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、樹脂本体20Bの引張弾性率は、200〜700MPaの範囲内が特に好ましい。
樹脂本体20Bの材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂、EVA樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の汎用樹脂のほか、エンジニアリングプラスチック(スーパーエンジニアリングプラスチックを含む)等を用いることができる。なお、ここでの樹脂材料には、加硫ゴムは含まれない。
熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)とは、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になる高分子化合物をいう。本明細書では、このうち、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有する高分子化合物を熱可塑性エラストマーとし、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有しない高分子化合物をエラストマーでない熱可塑性樹脂として、区別する。
熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、及び、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)、ならびに、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性樹脂、及び、ポリエステル系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂とは、温度上昇と共に3次元的網目構造を形成し、硬化する高分子化合物をいい、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
また、補強コード20Aはスチールコードとされている。このスチールコードは、スチールを主成分とし、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、銅、クロムなど種々の微量含有物を含むことができる。
樹脂環状ベルト20は、タイヤ幅方向中央部の外径をタイヤ幅方向両端部の外径よりも大径とし、タイヤ軸線に沿った断面で見たときに、タイヤ幅方向中央部がタイヤ径方向外側へ凸となる緩やかな円弧状とされている。なお、これに限らず、樹脂環状ベルト20を一定径、一定厚さで形成し、タイヤ軸線に沿った断面で見たときに一直線状とすることもできる。
樹脂環状ベルト20の幅BWは、タイヤ軸方向に沿って計測するトレッド22の接地幅TW(接地端E間の距離)に対して75%以上、110%以下とすることが好ましい。
樹脂環状ベルト20の幅BWは、タイヤ軸方向に沿って計測するトレッド22の接地幅TW(接地端E間の距離)に対して75%以上、110%以下とすることが好ましい。
(作用、効果)
次に、本実施形態のタイヤ10の作用、効果を説明する。
次に、本実施形態のタイヤ10の作用、効果を説明する。
本実施形態のタイヤ10では、カーカス18のクラウン部16が、樹脂環状ベルト20で補強されている。樹脂環状ベルト20は、螺旋状に巻回された補強コード20Aが樹脂本体20Bで被覆されて形成されている。したがって、補強コード間にゴムが配置されたベルトに比較して高い面内剪断剛性を得ることができる。また、タイヤの軽量化も図ることができる。
樹脂環状ベルト20の面内剪断剛性が確保されることで、空気入りタイヤ10にスリップ角を付与した場合の横力を十分に発生させることができ、操縦安定性を確保することができ、また、応答性も向上させることができる。
また、樹脂環状ベルト20により、面外曲げ剛性も確保され、空気入りタイヤ10に大きな横力が入力した際、トレッド22のバックリング(トレッド22の表面が波打って、一部が路面から離間する現象)を抑制することができる。
また、樹脂環状ベルト20のタイヤ径方向外側には、タイヤ幅方向に沿って延在する外側コード32を有する外側補強層30が配置されているので、タイヤ幅方向外端部の歪みが抑制され、樹脂環状ベルト20の耐久性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、外側コード32は、タイヤ幅方向に沿って延出されている、すなわち、タイヤ幅方向に対して0°の角度で配置されているが、外側コード32は、必ずしも当該方向に配置する必要はない。外側コード32は、補強コード20Aと交差する方向に配置されていればよい。なお、外側コード32は、タイヤ径方向に見て、タイヤ幅方向に対して±70°以内の角度θで配置されることが好ましい。この角度で外側コード32を配置することにより、効果的に、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向の変形を抑制することができる。
また、外側補強層30は、タイヤ幅方向に対して互いに反対方向に傾斜する外側コード32を有する2枚のシートを積層した交錯層で形成してもよい。
また、外側補強層30は、樹脂環状ベルト20の、タイヤ幅方向外端からベルト半幅の1/2(BW/4)の範囲内の少なくとも一部に配置されていることにより、効果的に樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外側の歪みを抑制することができる。
また、外側補強層30は、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外端を跨いで配置されているので、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外端における剛性段差が緩和され、樹脂環状ベルト20のタイヤ幅方向外端への応力集中を抑制することができる。
なお、本実施形態では、外側補強層30を樹脂環状ベルト20のタイヤ径方向内側に配置したが、外側補強層30を樹脂環状ベルト20のタイヤ径方向外側に配置してもよいし、タイヤ径方向内側と外側の両方に配置してもよい。
10 空気入りタイヤ
12A ビードコア、 18A カーカスプライ
20 樹脂環状ベルト(ベルト層)、 20 補強コード、 20B 樹脂本体
30 外側補強層、 32 外側コード
12A ビードコア、 18A カーカスプライ
20 樹脂環状ベルト(ベルト層)、 20 補強コード、 20B 樹脂本体
30 外側補強層、 32 外側コード
Claims (4)
- 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨って形成されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され樹脂で形成された環状の樹脂本体、及び、タイヤ周方向に延在すると共にタイヤ幅方向に間隔をあけて並び前記樹脂本体に埋設された補強コード、を有するベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側及び内側の少なくとも一方において、前記ベルト層のタイヤ幅方向外側部に配置され、前記補強コードと交差する方向に延在する外側コードを有する外側補強層と、
を備えた空気入りタイヤ。 - 前記外側コードは、タイヤ幅方向に対して±70°以内の角度で延在する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外側補強層は、前記ベルト層のタイヤ幅方向外端から前記ベルト層の半幅の1/2の範囲内の少なくとも一部に配置されている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外側補強層は、前記ベルト層のタイヤ幅方向外端を跨いで配置されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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