JP2019215170A - 光学ユニットおよび変位計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光源光の波長のゆらぎに起因するセンサ精度の低下を防ぐことができる光学ユニットおよびこれを備えた変位計測装置を提供する。【解決手段】本発明の一形態に係る光学ユニットは、第1回折格子と、第2回折格子と、光回折部とを具備する。前記第1回折格子は、光源からの光が入射することにより回折光を出射する。前記第2回折格子は、前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する。前記光回折部は、前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる。【選択図】図2
Description
本発明は、干渉光を発生させる光学ユニットおよびその干渉光を検出して変位を計測する変位計測装置に関する。
1μm以下の分解能を有するセンサとして、干渉光を利用した変位計測装置が知られている。例えば特許文献1には、光源からの光が入射する第1回折格子と、第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する第2回折格子と、第1回折格子から出射した複数次数の回折光のうち特定の一の次数の回折光である±m次回折光を第2回折格子に向けて反射する一対の反射面とを有する光学ユニットが開示されている。
この種の変位計測装置においては、光源として、一定波長の光を出射するレーザ光源が用いられる。ところが、レーザ光源は一般的に、モードのホッピング現象や温度特性を有するため、波長のゆらぎの発生が避けられない。光源光の波長のゆらぎが生じると、第1回折格子における光の回折角にゆらぎが生じる。その結果、第2回折格子上での回折光の重ね合わせにズレが生じ、干渉光の生成条件が変化することで、センサ精度が低下するという問題がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、光源光の波長のゆらぎに起因するセンサ精度の低下を防ぐことができる光学ユニットおよびこれを備えた変位計測装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る光学ユニットは、第1回折格子と、第2回折格子と、光回折部とを具備する。
前記第1回折格子は、光源からの光が入射することにより回折光を出射する。
前記第2回折格子は、前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する。
前記光回折部は、前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる。
前記第1回折格子は、光源からの光が入射することにより回折光を出射する。
前記第2回折格子は、前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する。
前記光回折部は、前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる。
上記光学ユニットにおいては、第1回折格子から出射した回折光を第2回折格子に向けて回折させる光回折部を備えているため、光源光の波長のゆらぎが生じたとしても、第1回折格子での回折角の変化を光回折部で補正することができる。これにより、第2回折格子上において位相ズレを生じさせることなく回折光を重ね合わせることができるので、波長のゆらぎに起因するセンサ精度の低下を防ぐことができる。
前記光回折部は、第1格子面と、第2格子面とを有してもよい。
前記第1格子面は、前記第1回折格子から出射した回折光のうち、+N次の回折光を−N次で回折させ、−N次の回折光を+N次で回折させる。
前記第2格子面は、前記第1格子面で回折された回折光のうち、−N次の回折光を−N次で回折させ、+N次の回折光を+N次で回折させる。
前記第1格子面は、前記第1回折格子から出射した回折光のうち、+N次の回折光を−N次で回折させ、−N次の回折光を+N次で回折させる。
前記第2格子面は、前記第1格子面で回折された回折光のうち、−N次の回折光を−N次で回折させ、+N次の回折光を+N次で回折させる。
この場合、前記光回折部は、前記第1格子面を有する第1光学素子と、前記第1光学素子の後段に配置され前記第2格子面を有する第2光学素子とを含んでもよい。
あるいは、前記光回折部は、単一の光学素子で構成されてもよい。この場合、例えば、前記第1回折格子および第2回折格子は、第1の格子ピッチを有し、前記光回折部は、前記第1の格子ピッチの半分の大きさの第2の格子ピッチを有する回折格子で構成される。
前記光回折部は、前記第1回折格子から出射される0次回折光を遮蔽する遮光部をさらに有してもよい。これにより、センサ精度のさらなる向上を図ることができる。
前記第1回折格子および前記光回折部は、それぞれ透過型回折格子で構成され、前記第2回折格子は、反射型回折格子で構成されてもよい。
あるいは、前記第1回折格子、前記光回折部および前記第2回折格子は、それぞれ反射型回折格子で構成されてもよい。
本発明の一形態に係る変位計測装置は、光源と、第1回折格子と、第2回折格子と、光回折部と、検出器と、演算部とを具備する。
前記第1回折格子は、前記光源からの光が入射することにより回折光を出射する。
前記第2回折格子は、前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する。
前記光回折部は、前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる。
前記検出器は、前記干渉光を検出する。
前記演算部は、前記検出器により得られる信号に基づき、前記第1回折格子に対する前記第2回折格子の相対変位を演算する。
前記第1回折格子は、前記光源からの光が入射することにより回折光を出射する。
前記第2回折格子は、前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する。
前記光回折部は、前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる。
前記検出器は、前記干渉光を検出する。
前記演算部は、前記検出器により得られる信号に基づき、前記第1回折格子に対する前記第2回折格子の相対変位を演算する。
以上述べたように、本発明によれば、光源光の波長のゆらぎに起因するセンサ精度の低下を防ぐことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
[変位計測装置の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットを備えた変位計測装置を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す変位計測装置をX軸方向から見た概略図である。
[変位計測装置の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットを備えた変位計測装置を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す変位計測装置をX軸方向から見た概略図である。
本実施形態の変位計測装置100は、光源12、コリメートレンズ14、アパーチャ部材16、第1回折格子21、光回折部30、第2回折格子22、PD(光検出器:Photo Detector)ユニット40、演算部50を備える。第1回折格子21、光回折部30および第2回折格子22は、変位計測装置100の光学ユニット1を構成する。図2では、光源12、コリメートレンズ14およびアパーチャ部材16、PDユニット40の図示が省略されている。
光源12は、LD(Laser Diode)であり、図示しないドライバにより駆動される。光源12は、例えば、400nm〜900nmで設定される中心波長を持つ光(レーザ光)Lを発生する発光素子であるが、もちろんこのような構成に限られない。
コリメートレンズ14は、光源12から出射された光Lを平行光にする。少なくともこれら光源12およびコリメートレンズ14により、平行光を発生する光学系が構成される。アパーチャ部材16は、コリメートレンズ14から出射された光Lのビーム径を所定のビーム径に絞る機能を有する。コリメートレンズ14やアパーチャ部材16は、原理的には無くても構わない。
第1回折格子21および第2回折格子22は、共に、同じピッチPで同じ向きに形成された複数の格子線(格子溝)215,225を有する(図2参照)。複数の格子線215、225は、一方向、ここではY軸方向に配列されている。格子線215,225のピッチPの大きさは特に限定されず、例えば、3μmである。格子線215,225が形成される面(以下、格子面ともいう)は図示するように光源12側の面である場合に限られず、その反対側の面であってもよい。
第1回折格子21および第2回折格子22は、格子線215、225のその配列方向(Y軸方向)に相対的に変位することが可能に構成されている。この変位計測装置100は、基本的に、そのY軸方向の相対変位を計測する。
第1回折格子21は透過型の回折格子である。第1回折格子21は、光源12から出射し、コリメートレンズ14およびアパーチャ部材16を介して進む光Lを受け、回折光を生成して出射する。この回折光には、複数の次数の回折光、つまり、±1次、±2次、・・・といった±N次(Nは自然数)の各回折光が含まれる。
説明の便宜上、図2を参照してZ軸に沿う線であって、第1回折格子21および第2回折格子22の中心を通る軸(つまり光軸)の線に対して、図中左側に発生する回折光を正(+N次)の回折光L1Aとし、その光軸の右側に発生する回折光を負(−N次)の回折光L1Bとする。なお個別に説明する場合を除き、以下の説明では、回折光L1A,L1Bを第1回折光L1とも総称する。
光回折部30は、第1回折格子21から第2回折格子22に至る光学系路上に配置され、第1回折格子21から出射した第1回折光L1を第2回折格子22に向けて回折させる。本実施形態において光回折部30は、第1光学素子31と、その後段に配置された第2光学素子32とを含む。
第1光学素子31は、透過型の回折格子で構成される。第1光学素子31は、第1回折格子21から出射した第1回折光L1のうち、+N次の回折光L1Aを−N次で回折させ、−N次の回折光L1Bを+N次で回折させる第1格子面311(図2参照)を有する。
第2光学素子32も同様に、透過型の回折格子で構成される。第2光学素子32は、第1格子面311で回折された第1回折光L1のうち、−N次の回折光L2Aを−N次でさらに回折させ、+N次の回折光L2Bを+N次でさらに回折させる第2格子面321(図2参照)を有する。なお個別に説明する場合を除き、以下の説明では、回折光L2A,L2Bを第2回折光L2とも総称する。
第2光学素子32は、第2格子面321で回折された−N次の回折光L3Aを第2回折格子22に向けて出射し、第2格子面321で回折された+N次の回折光L3Bを第2回折格子22に向けて出射する。なお個別に説明する場合を除き、以下の説明では、回折光L3A,L3Bを第3回折光L3とも総称する。
第1格子面311および第2格子面321は、第1回折格子21の格子面と同様に構成され、Y軸方向に配列された複数の格子線(格子溝)を有する。これら複数の格子線(格子溝)は、第1回折格子21の格子線(格子溝)と同一ピッチで形成される。したがって、第1格子面311および第2格子面に入射する光は、第1回折格子21と同一の条件で回折される。
第1格子面311(第1光学素子31)に入射する第1回折光L1の次数(N)および第2格子面321(第2光学素子32)に入射する第2回折光L2の次数(N)は、特に限定されず、本実施形態では、1次(N=1)である。つまり、第1回折格子21から出射する±1次の第1回折光L1が、第1格子面311に入射し、第1格子面311から出射する±1次の第2回折光L2が第2格子面321に入射することが可能に、光回折部30が構成される。
すなわち、第1回折格子21から出射する+1次の回折光L1Aは、第1光学素子31へ入射し、第1格子面311から−1次の回折光L2Aとして出射する。一方、第1回折格子21から出射する−1次の回折光L1Bは、第1光学素子31へ入射し、第1格子面311から+1次の回折光L2Bとして出射する。これら−1次の回折光L2Aおよび+1次の回折光L2Bは、相互に平行に第2光学素子32へ入射し、第2格子面321からそれぞれ−1次の回折光L3Aおよび+1次の回折光L3Bとして第2回折格子22に向けて出射する。
好適には、±1次以下の第1回折光L1のみが第1格子面311へ入射するように、第1光学素子31の大きさ、あるいは、第1回折格子21と第1光学素子31との距離が設定される。±2次以上の回折光の第1格子面311への入射を規制することで、第2光学素子22へ到達する迷光の量を制限することができる。第1格子面311および第2格子面321は、第1光学素子31および第2光学素子32のいずれの面(光入射面あるいは光出射面)に形成されてもよい。
第1光学素子31および第2光学素子32は、別部材として構成されてもよいし、共通の支持体を介して一体的に構成されてもよい。これにより、光回折部30をひとつのユニットとして構成することができるため、第1回折格子21および第2回折格子22に対するこれら第1光学素子31および第2光学素子32に対する位置決めが容易となり、また、光学ユニット1の組立作業性が高められる。
光回折部30は、第1回折格子21からの0次回折光L5を遮光する遮光部材33をさらに有する。遮光部材33は、第1光学素子31および第2光学素子32の間に配置され、第1回折格子21の光軸上に位置する。遮光部材33は、光吸収性あるいは光反射性の材料で構成される。遮光部材33により、0次回折光L5の第2回折格子22への進入に起因する干渉光L4の検出精度の低下を防ぐことができる。
第2回折格子22は、光回折部30が第1回折格子21との間に配置されるように、第1回折格子21とZ軸方向に対向して配置される。第2回折格子22は反射型の回折格子である。第2回折格子22には、主材料が透明材料で構成される回折格子の格子面が金属膜で被覆されたものが用いられてもよいし、主材料が金属で構成された回折格子が用いられてもよい。
第2回折格子22は、光回折部30から出射された±N次の第3回折光L3が入射することにより、これらの干渉光L4を生成し、Z軸方向に沿って出射する。干渉光L4は、−N次の回折光L3Aの第2回折格子22による回折光L4Aと、+N次の回折光L3Bの第2回折格子22による回折光L4Bとが相互に干渉することで形成される光であり、プリズムミラー35を介してPDユニット40に入射する。
プリズムミラー35は、光回折部30(第2光学素子32)と第2回折格子との間に配置される。プリズムミラー35は、図1に示すように、Z軸方向に対して45°に配置されたミラー部35aを有する。ミラー部35aは、Z軸方向に沿って進行する干渉光L4をX軸方向へ直角に反射し、PDユニット40へ向けて進行させる。
PDユニット40は、第2回折格子22から出射された干渉光L4を検出する。第1回折格子21および第2回折格子22が相対的にY軸方向に移動するとき、PDユニット40は、格子線215(225)のピッチごとに、明暗のセットを1周期とする周期性の光量(光強度に対応)を得る。その周期性を持つ波形は、典型的にはサインカーブとなる。PDユニット40は、例えばその波形を持つ電圧信号を出力し、演算部50に出力する。
演算部50は、PDユニット40により得られる信号に基づき、第1回折格子21に対する第2回折格子22のY軸方向の相対変位を演算する。演算部50は、例えばAD変換器および演算回路を備える。
AD変換器は、PDユニット40から出力されたアナログ信号をデジタル値に変換して出力する。AD変換器は、例えば波形信号の周波数、波数、電圧ピーク等をカウントし、そのカウント値を出力する。演算回路は、上記電圧信号に応じた変位を出力するように構成される。演算回路は、AD変換器から出力されるカウント値に基づき、第1回折格子21に対する第2回折格子22の相対変位量を演算する。なお、AD変換器および/または演算回路は、PDユニット40に一体に設けられていてもよい。
[変位計測装置の作用]
(基本動作)
光源12から出射した光Lは、コリメートレンズ14およびアパーチャ部材16を介して第1回折格子21へ入射することにより、第1回折光L1が生成される。第1回折格子21で生成された第1回折光L1は、光回折部30において第2回折光L2および第3回折光L3を順次生成する。第3回折光L3は、第2回折格子22へ入射することにより干渉光L4を生成し、プリズムミラー35を介してPDユニット40へ入射する。
(基本動作)
光源12から出射した光Lは、コリメートレンズ14およびアパーチャ部材16を介して第1回折格子21へ入射することにより、第1回折光L1が生成される。第1回折格子21で生成された第1回折光L1は、光回折部30において第2回折光L2および第3回折光L3を順次生成する。第3回折光L3は、第2回折格子22へ入射することにより干渉光L4を生成し、プリズムミラー35を介してPDユニット40へ入射する。
第1回折格子21に対して第2回折格子22が静止しているとき、PDユニット40は一定の受光量の干渉光L4を検出する。一方、第1回折格子21に対して第2回折格子22がY軸方向に相対変位したとき、PDユニット40は、干渉光L4の周期的な受光量の変化を検出する。演算部50は、PDユニット40における干渉光L4の受光量の変化に基づき、第1回折格子21に対する第2回折格子22の相対変位量を検出する。これにより、第1回折格子21および第2回折格子22の格子線215,225のピッチ単位以下の計測精度で回折格子21,22間の相対変位を検出することができる。
ここで、この種の変位計測装置においては、光源として、一定波長の光を出射するレーザ光源が用いられる。ところが、レーザ光源は一般的に、モードのホッピング現象や温度特性を有するため、波長のゆらぎの発生が避けられない。光源光の波長のゆらぎが生じると、第1回折格子における光の回折角にゆらぎが生じる。その結果、第2回折格子上での回折光の重ね合わせにズレが生じ、干渉光の生成条件が変化することで、変位量の計測精度が低下するという問題がある。
例えば特許文献1に記載の変位計測装置は、図3に概略的に示すように、第1回折格子21と第2回折格子22との間に平行平板型の一対の反射面23a,23bを有する導光部材23が配置される。一対の反射面23a,23bは、Y軸方向に相互に対向し、一方の反射面23aは第1回折格子21から出射する+N次の回折光を第2回折格子22に向けて正反射し、他方の反射面23bは第1回折格子から出射する−N次の回折光を第2回折格子22に向けて正反射する。第1回折格子21および第2回折格子22の距離は、第1回折格子21で生成された波長λ0の光の±N次の回折光がそれぞれ第2回折格子22の光軸Lz上で重なり合うように設定される。
一方、光源光Lの波長λ0が変動すると、第1回折格子21における回折角が波長に依存するため、反射面23a,23bにおける反射位置が波長の変動前後で変化する。図3には+N次の回折光の光線軌跡図であって、波長がプラス方向およびマイナス方向にそれぞれ変動したときの様子を示している。
同図に示すように、基準とする波長λ0の+N次(例えば+1次。以下同様)の回折光は、第2回折格子22の光軸Lz上に到達する。これに対して、基準波長λ0より長い波長λ1の+N次の回折光および基準波長λ0より短い波長λ2の回折光はそれぞれ、第2回折格子22の光軸LzからY軸方向にシフトした位置に到達する。波長λ0の−N次の回折光についても同様となる。その結果、第2回折格子22での各回折光の重ね合わせ位置にズレが生じる結果、干渉条件の位相ズレが起き、干渉波形の検出精度が低下して、変位量の測定精度が劣化するという問題がある。
図4に、図3の変位計測装置を用いて行った波長のゆらぎと測定誤差との関係を示すシムレーション結果である。図中横軸(LD Zpos)は、図1に示した光源12とコリメートレンズ14とのZ軸方向における位置決め誤差であり、当該位置決め誤差が大きいほど光源光Lの球面収差が大きいことを示している。ここでは、基準波長λ0を660nm、波長λ1を664nm、波長λ2を656nmとした(波長の変動幅:±4nm)。
図4に示すように、波長が基準波長λ0で変動がない場合、光源12の位置決め誤差によらず、測定誤差はほぼゼロであった。一方、波長がλ1あるいはλ2に変動すると、光源12の位置決め誤差が大きくなるほど、誤差が大きくなることが確認された。これはつまり、比較例に係る変位計測装置は、光源光の波長のゆらぎによる測定精度の低下は、光源12の位置決め誤差が大きくなるほど飛躍的に増加するため、光源12の位置決め精度が測定精度にシビアに反映することを示している。
これに対して本実施形態の変位計測装置100においては、第1回折格子21と第2回折格子22との間に光回折部30を有する光学ユニット1を備えている。図5に概略的に示すように、第1回折格子21における回折光は、第1光学素子31および第2光学素子32によって順次回折されて、第2回折格子22へ到達する。本実施形態では、第1光学素子31および第2光学素子32が第1回折格子21の格子面と同一の格子面(同一方向に同一ピッチで配列された格子線)を有するため、第1回折格子21において+N次で回折された回折光は、第1光学素子31によって−N次に回折された後、第2光学素子32によってさらに−N次に回折される。その結果、光源光Lの波長が変動した場合でも、第1回折格子21における回折角のゆらぎが光回折部30によって適切に補正される。これにより、各回折光が第2回折格子22の軸線上に到達するため、各回折光の到達位置のばらつきが抑えられる。
なお図5において、実線は、基準波長λ0の光線軌跡を、一点鎖線は、波長λ1の光線軌跡を、そして破線は、波長λ2の光線軌跡を、それぞれ示している。また、図では+N次の回折光の光線軌跡を示しているが、−N次の回折光についても同様であるため、その図示は省略している。
以上のように本実施形態によれば、第1回折格子21から出射した回折光を第2回折格子22に向けて回折させる光回折部30を備えているため、光源光Lの波長のゆらぎが生じたとしても、第1回折格子21での回折角の変化を光回折部30で補正することができる。これにより、第2回折格子22上において位相ズレを生じさせることなく回折光を重ね合わせることができるので、波長のゆらぎに起因する変位量の検出精度の低下を防ぐことができる。
図6に、本実施形態の変位計測装置100を用いて行った波長のゆらぎと測定誤差との関係を示すシミュレーション結果である。図4と比較して明らかなように、本実施形態によれば、波長の変動の有無によらず、計測誤差はほぼ0であり、高精度な変位量測定を実現することができる。また、同図に示すように、光源の位置決め誤差の影響を受けにくいため、光源12の組付け作業性を向上させることができる。
<第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光学ユニットの構成を示す概略側面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光学ユニットの構成を示す概略側面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の光学ユニット2は、光回折部34の構成が上述の第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の光回折部34は、第1回折格子21と第2回折格子22との間に配置された単一の透過型回折格子で構成される。光回折部34は、その光軸上に、第1回折格子21から出射される0次回折光を遮蔽するための遮光部36が設けられる。
光回折部34は、Y軸方向に複数の格子線が配列された格子面341を有する。格子面341は、第1回折格子21との対向面であってもよいし、第2回折格子22との対向面であってもよい。本実施形態において格子面341を構成する複数の格子線は、第1および第2回折格子21,22の格子ピッチ(第1の格子ピッチ、例えば3μm)の半分の格子ピッチ(第2の格子ピッチ、例えば1.5μm)で形成されるため、光回折部34において回折光は、第1回折格子21での回折角の2倍の角度で回折される。これにより、第1回折格子21から出射される±N次の回折光は、光回折部34によって、第2回折格子22の軸線上で高精度に重ね合わされる。
以上のように構成される本実施形態の光学ユニット2においても、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、光回折部34が単一の回折格子で構成されているため、光回折部30の構成を簡素化することができるとともに、光学ユニット2およびこれを備えた変位計測装置の小型化を図ることができる。
<第3の実施形態>
図8は、本発明の第3の実施形態に係る光学ユニットの構成を示す概略側面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る光学ユニットの構成を示す概略側面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の光学ユニット3は、第1回折格子21と、第2回折格子22と、光回折部60とを備え、これらが反射型回折格子で構成されている点で第1の実施形態と異なる。
本実施形態において、第1回折格子21および第2回折格子22は、各々の格子面を相互に反対方向に向けて配置されている。第1回折格子21および第2回折格子22は、Z軸方向に間隙をおいてY軸方向に相対移動可能に対向配置される。
光回折部60は、第1光学素子61と、第2光学素子62とを有する。第1光学素子61および第2光学素子62は、第1回折格子21の格子面と同一構造の格子面(第1号紙面611、第2格子面621)を有する反射型回折格子で構成される。第1光学素子61および第2光学素子62は、第1回折格子21および第2回折格子22を挟んでZ軸方向に対向して配置される。
第1光学素子61は、光源光Lが通過する貫通孔61aを有し、第1格子面611が第1回折格子21の格子面とZ軸方向に対向するように配置される。第1光学素子61は、第1回折格子21の格子面で反射した±N次の回折光L1が入射することで、それらの回折光L2を生成する。回折光L2は、Z軸方向に沿って第2光学素子62へ入射する。
第2光学素子62は、第2格子面621が第2回折格子22の格子面および第1光学素子61の第1格子面611とZ軸方向に対向するように配置される。第2光学素子62は、第1光学素子61から出射する±N次の回折光L2を反射して、第2回折格子22へ向かう回折光L3を生成する。第2回折格子22は、第2光学素子62から入射する±N次の回折光L3の干渉光L4を生成する。第2光学素子62は、干渉光L4が通過する貫通孔62aを有する。第2回折格子22において生成された干渉光L4は、貫通孔62aを介して図示しないPDユニットに向かって出射する。
以上のように構成される本実施形態の光学ユニット3においても、上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、第1回折格子21および第2回折格子22を互いに近接配置させることができるため、変位計測装置の軸長の短縮化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば以上の第1の実施形態において、光回折部30を構成する第1光学素子31および第2光学素子32は、それぞれ一体的に接合されてもよい。この場合、一方の面に第1格子面311が、他方の面に第2格子面321がそれぞれ設けられた単一の光学素子で光回折部を構成することができる。
さらに以上の第1および第2の実施形態では、第1回折格子21は透過型回折格子で構成され、第2回折格子22は反射型回折格子で構成されたが、これに限られず、第1回折格子21が反射型回折格子、第2回折格子22が透過型回折格子であってもよい。
1,2,3…光学ユニット
12…光源
21…第1回折格子
22…第2回折格子
30,34,60…光回折部
33,36…遮光部材
31,61…第1光学素子
32,62…第2光学素子
40…PDユニット
50…演算部
100…変位計測装置
311,611…第1格子面
321,621…第2格子面
12…光源
21…第1回折格子
22…第2回折格子
30,34,60…光回折部
33,36…遮光部材
31,61…第1光学素子
32,62…第2光学素子
40…PDユニット
50…演算部
100…変位計測装置
311,611…第1格子面
321,621…第2格子面
Claims (8)
- 光源からの光が入射することにより回折光を出射する第1回折格子と、
前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する第2回折格子と、
前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる光回折部と
を具備する光学ユニット。 - 請求項1に記載の光学ユニットであって、
前記光回折部は、
前記第1回折格子から出射した回折光のうち、+N次の回折光を−N次で回折させ、−N次の回折光を+N次で回折させる第1格子面と、
前記第1格子面で回折された回折光のうち、−N次の回折光を−N次で回折させ、+N次の回折光を+N次で回折させる第2格子面と、を有する
光学ユニット。 - 請求項2に記載の光学ユニットであって、
前記光回折部は、前記第1格子面を有する第1光学素子と、前記第1光学素子の後段に配置され前記第2格子面を有する第2光学素子とを含む
光学ユニット。 - 請求項1に記載の光学ユニットであって、
前記第1回折格子および第2回折格子は、第1の格子ピッチを有し、
前記光回折部は、前記第1の格子ピッチの半分の大きさの第2の格子ピッチを有する回折格子で構成される
光学ユニット。 - 請求項2〜4のいずれか1つに記載の光学ユニットであって、
前記光回折部は、前記第1回折格子から出射される0次回折光を遮蔽する遮光部をさらに有する
光学ユニット。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光学ユニットであって、
前記第1回折格子および前記光回折部は、それぞれ透過型回折格子で構成され、
前記第2回折格子は、反射型回折格子で構成される
光学ユニット。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光学ユニットであって、
前記第1回折格子、前記光回折部および前記第2回折格子は、それぞれ反射型回折格子で構成される
光学ユニット。 - 光源と、
前記光源からの光が入射することにより回折光を出射する第1回折格子と、
前記第1回折格子から出射した回折光が入射することにより干渉光を生成する第2回折格子と、
前記第1回折格子から前記第2回折格子に至る光学系路上に配置され、前記第1回折格子から出射した回折光を前記第2回折格子に向けて回折させる光回折部と、
前記干渉光を検出する検出器と、
前記検出器により得られる信号に基づき、前記第1回折格子に対する前記第2回折格子の相対変位を演算する演算部と
を具備する変位計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018110900A JP2019215170A (ja) | 2018-06-11 | 2018-06-11 | 光学ユニットおよび変位計測装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018110900A JP2019215170A (ja) | 2018-06-11 | 2018-06-11 | 光学ユニットおよび変位計測装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019215170A true JP2019215170A (ja) | 2019-12-19 |
Family
ID=68918005
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018110900A Pending JP2019215170A (ja) | 2018-06-11 | 2018-06-11 | 光学ユニットおよび変位計測装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019215170A (ja) |
-
2018
- 2018-06-11 JP JP2018110900A patent/JP2019215170A/ja active Pending
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