JP2019214902A - アンカー孔削孔位置管理システム及びアンカー孔の削孔位置管理方法 - Google Patents

アンカー孔削孔位置管理システム及びアンカー孔の削孔位置管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アンカー孔の削孔作業において、自然斜面においても効率の良い、アンカー孔削孔位置管理システム及びその管理方法を提供する。【解決手段】アンカー孔位置管理システム10は、施工対象領域における地表面の起伏情報及び地層情報を含む地山情報を取得する地山情報取得手段411と、該領域に削孔予定の複数のアンカー孔各々のアンカー孔設計情報を取得する設計情報把握手段412と、位置検出装置8より得た計測データに基づいて、該領域に施工した先行アンカー孔31の実測3次元位置を算出するとともに、実測3次元位置の周囲に保護エリアPを設定する先行孔位置取得手段413と、アンカー孔設計情報に基づいて後行アンカー孔の推定3次元位置を設定する後行孔推定位置取得手段414と、該後行アンカー孔の推定3次元位置の少なくとも一部分が、該先行アンカー孔の該保護エリアに干渉することを検知して警告する安全確認手段415を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、グラウンドアンカー工に用いるアンカー孔位置管理装置を利用したアンカー孔の削孔位置管理方法に関する。
グラウンドアンカー工は、地中に構築したグラウトよりなる定着部と地表付近の構造物とをPC鋼線やPC鋼より線等の引張材で連結させ、引張材に引張力を付与するシステムであり、従来より地山の斜面安定、構造物の転倒や浮上がり防止、山留等に採用されている。
例えば、特許文献1には、グラウンドアンカー工を地山の斜面安定対策に用いる方法が開示されている。まず、地山表面を切り盛りして所望の傾斜角を有する起伏を最小限に抑えた斜面を構築し、当該斜面に法枠工を形成する。次に、法枠工に設けたアンカー挿入孔から地山の不動層に向けてアンカー孔を削孔し、緊張材を挿入するとともに孔底近傍の不動層に位置する部分にグラウトを充填して、緊張材の定着部を構築する。この後、緊張材に張力を付与して、緊張材の頭部を法枠工に固定する。これにより、地山中の不動層の上方に位置しすべり面に沿って移動する可能性のある移動層の安定を図るものである。
このように、地山表面を切り盛りして所望の斜面を構築する場合や、自然斜面であっても法枠工を形成する場合には、グラウンドアンカーを打設するためのアンカー孔を削孔する際、架台を介して削孔機を法枠に支持させるなどして据え付けることができるとともに、削孔機に備えた削孔ロッドの削孔角度を調整しやすいため、安定した精度でアンカー孔の削孔作業を開始できる。
特開2012−149514号公報
しかし、近年では、切り盛りを行わない自然斜面に対して法枠等のフレームを設置することなく、グラウンドアンカー工を採用し斜面を安定させるといったニーズが増加している。なかでも、施工対象領域が崖地等の地表面が複雑な形状である場合には、削孔開始時における削孔ロッドの地表面上における位置決めや削孔角度の調整等、据え付け作業も煩雑となり、設計計画上の3次元位置にアンカー孔を削孔することがより困難となる。
また、削孔を進めるにつれて削孔機の削孔ロッドは、回転、推力、打撃等の外力が作用されることにより削孔角度にズレが生じやすく、削孔予定の孔長が長大である場合には、削孔ロッドの自重や地山の性状によって削孔途中の掘削ロッドがたわみ、削孔時に孔曲りを生じやすい。このため、アンカー孔に孔曲りや削孔角度のズレが生じた場合にも、アンカー体を構築予定の定着長部となる範囲が不動層に到達するよう、あらかじめ設計時にアンカー孔の孔長を必要長さより長く設定するなどしており、無駄が生じていた。さらには、アンカー孔の孔曲りや削孔角度のズレが設計時の想定よりも大きい場合には、隣り合うアンカー孔どうしが干渉しあう恐れがあり、干渉を確認した場合には再削孔が必要となることから、工期や工費に影響を与える結果となっていた。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、グラウンドアンカー工を実施するためのアンカー孔の削孔作業において、施工対象領域の地表面が自然斜面等の不整形な状態であっても、効率よくアンカー孔の位置を管理および制御することの可能な、アンカー孔削孔位置管理システム及びアンカー孔の削孔位置管理方法を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明のアンカー孔削孔位置管理システムは、グラウンドアンカー工に用いるグラウンドアンカー孔削孔位置管理システムであって、削孔したアンカー孔の3次元位置を計測する位置検出装置、及びアンカー孔位置管理装置を備え、該アンカー孔位置管理装置は、施工対象領域における地表面の起伏情報及び地層情報を含む地山情報を取得する地山情報取得手段と、前記施工対象領域に削孔予定の複数のアンカー孔各々のアンカー孔設計情報を取得する設計情報把握手段と、前記位置検出装置より得た計測データに基づいて、施工対象領域に施工した先行アンカー孔の実測3次元位置を算出するとともに、該実測3次元位置の周囲に保護エリアを設定する先行孔位置取得手段と、前記アンカー孔設計情報に基づいて後行アンカー孔の推定3次元位置を取得する後行孔推定位置取得手段と、後行アンカー孔の前記推定3次元位置の少なくとも一部分が、先行アンカー孔の前記保護エリアに干渉することを検知して、警告を発する安全確認手段と、を備える。
上述する本発明のアンカー孔削孔位置管理システムによれば、アンカー孔位置管理装置を用いて施工対象領域の地山情報及びアンカー設計情報を確認しつつ、アンカー孔の削孔作業を実施できる。これにより、施工対象領域が切り盛りした斜面ではない自然斜面等の不整形な状態にあっても、削孔開始時における削孔機の削孔ロッドについて、削孔角度の調整や貫入位置の位置出し等を容易にかつ精度よく行うことができ、効率よくアンカー孔の位置を管理及び制御することが可能となる。
また、アンカー孔位置管理装置を用いて、削孔した先行アンカー孔の実測3次元位置を把握できるとともに、先行アンカー孔に構築予定のアンカー体を健全に機能させるために必要な地山の保護部分である保護エリアを、実測3次元位置の周囲に設定できる。これにより、後行アンカー孔を削孔する前の段階で、アンカー孔設計情報に基づく後行アンカー孔の推定3次元位置と、既に削孔した先行アンカー孔の保護エリアを比較することができ、アンカー孔の3次元位置をより高い精度で管理および制御することが可能となる。
本発明のアンカー孔削孔位置管理システムは、記先行アンカー孔について、前記アンカー孔設計情報と削孔後の実測3次元位置とに基づいて削孔精度を確認し、該削孔精度に影響を与える要因となる削孔特性指標を算定する削孔特性取得手段を備え、前記後行孔推定位置取得手段は、前記後行アンカー孔の推定3次元位置の設定に、前記削孔特性指標を反映させることを特徴とする。
上述する本発明のアンカー孔削孔位置管理システムによれば、先行アンカー孔の実測3次元位置の周囲に設定した保護エリアと、削孔予定の後行アンカー孔の推定3次元位置とを比較検証するにあたり、推定3次元位置を、アンカー設計情報に基づく計画3次元位置に削孔特性指標を反映させて設定できるため、より高い信頼性をもってアンカー孔の位置を管理および制御することが可能となる。
本発明のアンカー孔削孔位置管理システムは、前記安全確認手段が、後行アンカー孔の前記推定3次元位置と前記地山情報に基づいて、前記推定3次元位置の定着長部となる予定範囲が地山の不動層に到達していないことを検知して、警告を発することを特徴とする。
上述する本発明のアンカー孔位置管理装置によれば、後行アンカー孔を削孔する前の段階で、後行アンカー孔の推定3次元位置の管理だけでなく、後行アンカー孔の健全性を確認できるとともに、削孔後の後行アンカー孔に構築予定のアンカー体の位置を事前に推定することも可能となる。したがって、設計計画の段階で、安全を考慮して、アンカー孔の孔長を必要長より長く確保したり、アンカー孔の数量を多くするなどの無駄を省くことができ、合理的で経済的な設計計画を立てることが可能となる。
本発明のアンカー孔削孔位置管理システムは、前記地山情報に、少なくとも前記先行アンカー孔の実測3次元位置及び前記後行アンカー孔の推定3次元位置のいずれか一方をオーバーレイして、出力装置に2次元もしくは3次元で画像表示させる情報合成手段を備えることを特徴とする。
上述する本発明のアンカー孔削孔位置管理システムによれば、施工管理者は、地山情報およびアンカー設計情報に加えて、目視できない先行アンカー孔の実測3次元位置、後行アンカー孔の推定3次元位置等の情報を、出力装置を介して視覚情報として確認することができる。これにより、アンカー孔の3次元位置をより効率よく管理及び制御できるだけでなく、出力装置上で削孔作業完了後の複数のアンカー孔全体の出来形管理を行うことも可能となる。
本発明のアンカー孔削孔位置管理システムは、前記アンカー孔を削孔する削孔機に設置される削孔ロッドの削孔角度及び地山への貫入位置を検出する位置出しセンサをさらに備え、該位置出しセンサに、GNSSセンサを用いることを特徴とする。
上述する本発明のアンカー孔削孔位置管理システムによれば、削孔機の削孔ロッドについて、削孔開始時における削孔角度の調整や貫入位置の位置出しのみでなく、削孔途中の削孔角度のモニタリングを実施できる。したがって、削孔作業中に削孔角度のズレが生じた場合には、これを検知して角度修正を図ることもでき、安全確認手段において先行アンカー孔の保護エリアに干渉しないことを確認した推定3次元位置に、後行アンカー孔を正確に削孔することが可能となる。
本発明のアンカー孔の削孔位置管理方法は、本発明のアンカー孔削孔位置管理システムを利用したアンカー孔の削孔位置管理方法であって、前記施工対象領域の地山に先行削孔した先行アンカー孔の前記実測3次元位置を算出して、該実測3次元位置の周囲に前記保護エリアを設定するとともに、前記保護エリアを設定した先行アンカー孔の近接位置に削孔予定の後行アンカー孔の前記推定3次元位置を取得し、後行アンカー孔の該推定3次元位置が、前記保護エリアと干渉することを検知した場合に、警告を発することを特徴とする。
上述する本発明のアンカー孔の削孔位置管理方法によれば、施工対象領域におけるアンカー孔の削孔作業において、地山情報やアンカー設計情報とともに、削孔した先行アンカー孔の実測3次元位置に関するリアルタイム情報を把握できるため、現場の作業効率を大幅に向上することが可能となる。また、後行アンカー孔を削孔する事前の段階で、先行アンカーの実測3次元位置と後行アンカー孔の推定3次元位置の位置関係を把握できることから、グラウンドアンカー工の施工途中もしくは施工終了後において、アンカー体の補修や再施工を必要とするような、不測の事態を回避できる。これにより、アンカー孔の削孔作業だけでなく、グラウンドアンカー工に係る施工全体について、工期短縮、工費削減等、施工性を向上させることが可能となる。
本発明によれば、グラウンドアンカー工を実施するためのアンカー孔の削孔作業において、施工対象領域が切り盛りした斜面ではない自然斜面等の不整形な状態にあっても、アンカー孔の3次元位置(削孔形状とその位置)をより高い精度で管理および制御することが可能となる。
本発明の実施の形態における自然斜面に引張型アンカーを打設した様子を示す図である。 本発明の実施の形態におけるアンカー孔削孔位置管理システムを示す図である。 本発明の実施の形態における削孔機およびカメラを搭載した無人航空機を示す図である。 本発明の実施の形態におけるアンカー孔の削孔位置管理方法のフロー図である。 本発明の実施の形態におけるアンカー孔位置管理装置の出力装置に出力される2次元画像(正面図及び鉛直方向の縦断面)を示す図である(その1)。 本発明の実施の形態におけるアンカー孔位置管理装置の出力装置に出力される2次元画像(鉛直方向の縦断面)を示す図である(その2)。 本発明の実施の形態におけるアンカー孔位置管理装置の出力装置に出力される2次元画像(水平方向の横断面)を示す図である。
本発明のアンカー孔削孔位置管理システム及びアンカー孔の削孔位置管理方法は、地山の斜面安定対策、構造物の転倒や浮上がり防止、山留等の何れを目的に採用するグラウンドアンカー工の施工であっても適用可能であるが、本実施の形態では、地山の斜面安定対策に採用する、引張型アンカーを用いたグラウンドアンカー工の施工を事例に挙げ、以下に詳細を説明する。
図1で示すような、複数の引張型アンカー1を用いたグラウンドアンカー工では、一般的な施工方法として、まず、施工対象領域の地山2に対して、不動層21の所望位置に孔底が到達するまでアンカー孔3を削孔する。先行削孔したアンカー孔3に続いてその近接位置に、後行のアンカー孔3を順次削孔していく。
一方で、アンカー孔3の削孔作業と並行して、削孔したアンカー孔3にPC鋼線やPC鋼より線等の緊張材11を挿入するとともに、孔底にグラウトよりなるアンカー体12を構築し、このアンカー体12に緊張材11の先端部を定着させる。この後、緊張材11に緊張力を付与しつつ基端部を地山表面に配置した支圧板13に固定し、緊張材11の露出部分を防錆材が充填されたキャップ14により保護し、引張型アンカー1のアンカー頭部を形成する。
このようにして打設される引張型アンカー1を、施工対象領域を網羅するように高さ方向及び横方向に複数配置することにより、地山の移動層22が不動層21に沿って滑る現象を抑止している。
上記の手順で施工されるグラウンドアンカー工は、設計基準や設計要領等において、隣り合う引張型アンカー1におけるアンカー体12どうしの許容間隔L(一般には1.5m以上)が規定されている。そこで、施工後の引張型アンカー1においてアンカー体12どうしの許容間隔Lが確保されるよう、アンカー体12が構築される前のアンカー孔3について、その3次元位置を管理および制御する。
≪アンカー孔削孔位置管理システム≫
図2で示すように、アンカー孔3の3次元位置を管理および制御する方法は、アンカー孔位置管理装置4、アンカー孔3を削孔する削孔機6に設置される削孔ロッド61の削孔角度及び地山2への貫入位置を検出する位置出しセンサ7、及び削孔したアンカー孔3の3次元位置(削孔形状とその位置)を計測する位置検出装置8を備えたアンカー孔削孔位置管理システム10を用いて行う。
<アンカー孔位置管理装置>
まず、アンカー孔削孔位置管理システム10を構成するアンカー孔位置管理装置4の概略を、図2を用いて以下に説明する。以降、先行削孔したアンカー孔3を先行アンカー孔31、先行アンカー孔31の近接位置に後行削孔するアンカー孔3を後行アンカー孔32と称する。
アンカー孔位置管理装置4は、情報処理装置41、入力装置42および出力装置43を少なくとも備えるいわゆるコンピュータである。情報処理装置41は演算処理装置及び記憶装置等のハードウェアと、該ハードウェア上で動作するソフトウェアとで構成されており、地山情報取得手段411、設計情報把握手段412、先行孔位置取得手段413、後行孔推定位置取得手段414、安全確認手段415、削孔機情報取得手段416、及び情報合成手段417を備えている。なお、削孔特性取得手段418については、後述するアンカー孔3の位置管理方法で説明する。
地山情報取得手段411は、入力装置42より取得した施工対象領域における地山地表面の起伏情報及び地層情報を含む地山情報を、ディスプレイ等の出力装置43に対して2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工し、情報処理装置41の記憶装置に格納する。地山地表面の起伏情報は、例えば、地上に設置した位置センサーや定点観測カメラ、人工衛星で撮影した画像等より得た3次元データを用いてもよいし、図3で示すように、カメラを搭載した無人航空機5により得た空撮画像を採用してもよい。また、地層情報を含む地山情報は、例えばボーリング調査で得られる柱状図データ等、少なくとも移動層22と不動層21の間に形成されるすべり面23を把握できる情報であればいずれを用いてもよい。
設計情報把握手段412は、入力装置42より取得した施工対象領域に打設予定の引張型アンカー1各々の配置位置及び全長、アンカー体12の定着体長及び断面径、近接するアンカー体12どうしの許容間隔L等、アンカー孔3を削孔するために必要なアンカー設計情報を、ディスプレイ等の出力装置43に対して2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工し、情報処理装置41の記憶装置に格納する。アンカー設計情報は、グラウンドアンカー工の2次元設計図や3DCADによる3次元モデルを採用してもよいし、入力装置42を介して施工管理者が直接入力してもよい。
先行孔位置取得手段413は、入力装置42より取得した施工対象領域に削孔した先行アンカー孔31の実測3次元位置(実測した削孔形状とその位置)に係る情報を、ディスプレイ等の出力装置43に対して2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工し、情報処理装置41の記憶装置に格納する。先行アンカー孔31の実測3次元位置に係る情報は、地中削孔の分野で削孔軌跡を把握するべく従来より採用されている、いずれの位置検出装置から得たものを採用してもよい。
本実施の形態では、先行アンカー孔31の実測3次元位置を、後述する位置検出装置8により得られる計測データに基づいて算定する。このため、先行孔位置取得手段413では、後述する位置検出装置8の情報から、先行アンカー孔31の実測3次元位置を算定し、情報処理装置41の記憶装置に格納する。
また、先行孔位置取得手段413は、保護エリアPの範囲を算定し、ディスプレイ等の出力装置43に対して2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工して、情報処理装置41の記憶装置に格納する。保護エリアPは、先行アンカー孔31にアンカー体12を構築する際に、定着長部となる予定範囲の周囲に設定するもので、アンカー体12を健全に機能させるために必要な地山2の保護部分である。その範囲は、先行アンカー孔31の実測3次元位置に係る情報と、設計情報把握手段412で取得した近接するアンカー体12どうしの許容間隔Lと、に基づいて算定する。具体的な算定方法は、後述するアンカー孔3の位置管理方法で説明する。
後行孔推定位置取得手段414は、図6(a)(b)で示すように、既に削孔した先行アンカー孔31に近接して削孔予定の後行アンカー孔32について、設計情報把握手段412で取得したアンカー設計情報に基づく計画3次元位置(計画上の削孔形状とその位置)を検出し、ディスプレイ等の出力装置43に対して2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工し、これを推定3次元位置(推定した削孔形状とその位置)として情報処理装置41の記憶装置に格納する。後行アンカー孔32の推定3次元位置として用いる位置情報は、アンカー設計情報に基づく計画3次元位置のみではなくてもよく、後に詳細を述べるが、計画3次元位置に削孔特性指標を加味して予測した予測3次元位置(予測した削孔形状とその位置)を採用してもよい。
安全確認手段415は、先行孔位置取得手段413にて先行アンカー孔31の実測3次元位置の周囲に設定した保護エリアPに係る情報と、後行孔推定位置取得手段414で取得した後行アンカー孔32の推定3次元位置に係る情報とを比較検証し、推定3次元位置と保護エリアPが干渉する可能性を検知した場合に、警報を出力装置43に出力する手段である。
また、安全確認手段415は、後行孔推定位置取得手段414で取得した後行アンカー孔32の推定3次元位置にアンカー体12を構築した場合に定着長部となる予定範囲と、地山情報取得手段411で取得した地山情報とを比較し、推定3次元位置の定着長部となる予定範囲が地山2の不動層21に到達していないことを検知した場合に、警報を出力装置43に出力する。
こうすると、後行アンカー孔32を削孔する前の段階で、後行アンカー孔32の推定3次元位置の管理だけでなく、後行アンカー孔32の健全性を確認できるとともに、削孔後の後行アンカー孔32に構築するアンカー体12の位置を事前に推定することも可能となる。
削孔機情報取得手段416は、図3で示すように、入力装置42より取得した、後述する削孔機6に搭載された位置出しセンサ7の計測データから、削孔ロッド61の削孔角度(水平角度及び鉛直角度を含む)と地山2の貫入位置を算定し、ディスプレイ等の出力装置43に対して2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工し、情報処理装置41の記憶装置に格納する。
情報合成手段417は、2次元もしくは3次元で画像表示可能なデータに加工されて、情報処理装置41の記憶装置に格納されている、地山情報、アンカー設計情報、先行アンカー孔31の実測3次元位置、後行アンカー孔32の推定3次元位置、削孔ロッド61の削孔角度と地山2の貫入位置等に係る各情報を、単独もしくはオーバーレイして、ディスプレイ等の出力装置43に出力する。各情報のオーバーレイは、入力装置42を介して重ね合わせたい情報を適宜選択できるようにするとよい。
上述するアンカー孔位置管理装置4により、施工管理者は、施工対象領域の地山情報及びアンカー設計情報を確認しつつ、アンカー孔3の削孔作業を実施できる。これにより、施工対象領域が切り盛りした斜面ではない自然斜面等の不整形な状態にあっても、削孔開始時における削孔機6の削孔ロッド61について、削孔角度の調整や貫入位置の位置出し等を容易にかつ精度よく行うことができ、効率よくアンカー孔3の位置を管理及び制御することが可能となる。
また、アンカー孔位置管理装置4を用いて、削孔した先行アンカー孔31の実測3次元位置を把握できるとともに、先行アンカー孔31に構築予定のアンカー体12を健全に機能させるために必要な地山の保護部分である保護エリアPを、実測3次元位置の周囲に設定できる。これにより、後行アンカー孔32を削孔する前の段階で、既に削孔した先行アンカー孔31の保護エリアPとアンカー孔設計情報に基づく後行アンカー孔32の推定3次元位置とを比較検証することができ、アンカー孔3の3次元位置をより高い精度で管理および制御することが可能となる。
<位置出しセンサ>
次に、アンカー孔削孔位置管理システム10を構成する、アンカー孔3を削孔する削孔機6に設置される削孔ロッド61の削孔角度及び地山2への貫入位置を検出する位置出しセンサ7の概略を、図3を用いて以下に説明する。
削孔機6は、リーダー62に沿って移動自在な削孔ロッド61を用いて地山に水平、垂直、もしくは斜め方向の削孔穴を形成するものであり、削孔ロッド61の位置および姿勢を把握可能な位置出しセンサ7を備えている。なお、削孔機6は、削孔ロッド61に回転、推力、打撃等のいずれの外力を作用させて地山2を削孔するものを採用してもよい。
位置出しセンサ7は、GNSSを利用して2点間の相対的な位置関係(ベクトル)を求める方法として一般に知られている相対測位を行うべく、2台のGNSSセンサ71、72より構成される。2台のGNSSセンサ71、72をリーダー62の前端近傍と後端近傍に離間して配置することにより、リーダー62の延在位置および鉛直方向および水平方向の傾斜角度に関する情報が得られる。これらリーダー62の位置情報に基づいて、リーダー62に対して常時平行に位置する削孔ロッド61の、削孔角度(水平角度及び鉛直角度を含む)と地山2への貫入位置(地表面位置)とを算定する。
<位置検出装置>
次に、アンカー孔削孔位置管理システム10を構成する削孔したアンカー孔3の3次元位置を計測する際に用いる位置検出装置8の概略を、図2を用いて以下に説明する。
位置検出装置8は、先端にジャイロセンサ81を設置した計測ロッド82と、GNSSセンサを備え、GNSSセンサは、削孔機6に位置出しセンサ7として搭載したGNSSセンサ71、72を兼用させる。また、計測ロッド82は、先行アンカー孔31を削孔した後の削孔機6のリーダー62に、削孔ロッド61に代えて設置する。
このような構成の位置検出装置8は、削孔機6の推進力により計測ロッド82を先行アンカー孔31の孔口から孔底に向けて移動させつつ、計測ロッド82の先端部における方位角と鉛直傾きの連続データおよび移動距離をジャイロセンサ81にて取得する。こうして得た地表面に位置する孔口を基準とする移動軌跡のデータと、GNSSセンサ71、72より得られる孔口の位置データにより、アンカー孔3の3次元位置を把握する。
上述するアンカー孔削孔位置管理システム10は、アンカー孔位置管理装置4を施工現場の工事事務所等に設置することにより、施工管理者が工事事務所等において、地山情報およびアンカー設計情報に加えて、目視できない先行アンカー孔31の実測3次元位置、後行アンカー孔32の推定3次元位置等の情報を、出力装置43を介して視覚情報として確認することができる。したがって、アンカー孔3の位置をより効率よく管理及び制御できるだけでなく、出力装置43上で削孔作業完了後の複数のアンカー孔3全体の出来形管理を行うことも可能となる。
≪アンカー孔削孔位置管理システムを用いたアンカー孔の削孔位置管理方法≫
以下に、図4で示すフロー図にしたがって、アンカー孔削孔位置管理システムを用いたアンカー孔3の位置管理方法を説明する。なお、図5(a)は、アンカー孔位置管理装置4の出力装置43に出力した地山2の正面画像、図5(b)及び図6は、出力装置43に出力した地山2の鉛直方向の縦断面画像である。
本実施の形態では、図3で示すように、施工対象領域の地山2に対して法枠等のフレームを設置することなく、自然斜面に対してグラウンドアンカー工を施工する場合を事例に挙げる。なお、アンカー孔3の位置管理方法に必要な各種データは、地表面の起伏情報を無人航空機5に搭載したカメラより得た空撮画像から、地層情報をボーリング調査で得られる柱状図データから、グラウンドアンカー工の設計計画を2次元設計図から、それぞれ取得するものとする。また、出力装置43への出力は、2次元で画像表示する場合を例示する。
<前処理:STEP1>
まず、施工対象領域の地山2について、空撮画像より得た地表面の起伏情報と柱状図データより得た地山2の地層情報を、地山情報取得手段411にて2次元画像として表示可能なデータに加工し、情報処理装置41の記憶装置に格納する。また、グラウンドアンカー工の設計計画に基づく2次元設計図のアンカー設計情報から得た複数のアンカー孔3各々の計画3次元位置に係る情報を、設計情報把握手段412にて2次元画像として表示可能なデータに加工し、情報処理装置41の記憶装置に格納しておく。
このとき、複数のアンカー孔3各々の計画3次元位置に係る情報には、ぞれぞれ施工計画であらかじめ決定されている削孔の順番に関する情報を関連付けさせておくとよい。こうすると、後の作業で、先行アンカー孔31と後行アンカー孔32が、アンカー設計情報から得た複数のアンカー孔3のうちの何れに該当するのかを、容易に判別できる。
また、図5(a)で示すように、情報合成手段417を介して地山情報と複数のアンカー孔3各々の計画上の地表面位置に係る情報とをオーバーレイして出力装置43に地山2の正面画像として出力させておき、施工管理者が、画像上の複数のアンカー孔3のうちのいずれが現時点における先行アンカー孔31と後行アンカー孔32に該当するを入力装置42を介して特定し、両者の関連付けを行ってもよい。
<アンカー孔の削孔:STEP2>
アンカー孔位置管理装置4では、情報合成手段417を介して、設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報のうち、第1番目に削孔予定のアンカー孔3の計画3次元位置を、地山情報取得手段411で取得した地山情報にオーバーレイさせて、出力装置43に出力する。その一方で、施工対象領域に、位置出しセンサ7を設置した削孔機6を搬入する。
次に、第1番目に削孔予定のアンカー孔3の計画3次元位置をオーバーレイした地山2の3次元データを参照し、削孔機6を第1番目のアンカー孔3の削孔位置に誘導するとともに、削孔ロッド61の地山2への貫入位置の位置出しおよび削孔角度(水平角度及び鉛直角度を含む)の調整を行う。この後、図5(b)で示すように、第1番目のアンカー孔3を削孔する。
なお、アンカー孔3の削孔開始時において、削孔ロッド61の削孔角度の調整、及び貫入位置の位置出しは、アンカー孔位置管理装置4の出力装置43に出力される情報を参照して行うとよい。つまり、削孔機6に備えた位置出しセンサ7より得られる計測データを、入力装置42を介してアンカー孔位置管理装置4に入力すると、これらの計測データから削孔機情報取得手段416にて削孔ロッド61の現在の削孔角度と地山2への貫入位置とを算定し、2次元画像表示可能なデータに加工して情報処理装置41の記憶装置に格納する。
この後、情報合成手段417を介して、これら削孔ロッド61の現在の削孔角度と地山2への貫入位置に係る情報と、設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報のうちの第1番目に削孔予定のアンカー孔3の計画3次元位置とを、地山情報にオーバーレイさせて、出力装置43に出力する。これにより、施工管理者は、削孔ロッド61が、削孔予定のアンカー孔3の計画3次元位置における中心軸上に位置するよう、出力装置43に出力された画像を視認しながら、削孔ロッド61の地山2への貫入位置、及び水平方向及び鉛直方向の削孔角度を適宜調整すればよい。
<先行アンカー孔の実測3次元位置の検出:STEP3>
図2で示すように、削孔した第1番目のアンカー孔3を先行アンカー孔31として設定し、3次元位置を確認する。3次元位置の測定は、前述の位置検出装置8を用いて行い、計測した先行アンカー孔31の地表面に位置する孔口を基準とする移動軌跡のデータと、GNSSセンサ71、72より得られる孔口の位置データを、アンカー孔位置管理装置4に入力装置42を介して入力する。アンカー孔位置管理装置4では、先行孔位置取得手段413にて上記の計測データから先行アンカー孔31の実測3次元位置を算定し、2次元画像表示可能なデータに加工して情報処理装置41の記憶装置に格納する。
<先行アンカー孔の実測3次元位置の精度確認:STEP4>
アンカー孔位置管理装置4において、情報合成手段417を介して、STEP3で算定した先行アンカー孔31の実測3次元位置と、設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報に基づく先行アンカー孔31の計画3次元位置とを、地山情報にオーバーレイさせて、出力装置43に出力する。
出力装置43に出力された先行アンカー孔31の実測3次元位置と計画3次元位置とを比較検証し、先行アンカー孔31の実測3次元位置と計画3次元位置との間に大きなズレが確認され、後行アンカー孔32を削孔する前に事前検討が必要と判断した場合には、先行アンカー孔31の実測3次元位置の周囲に保護エリアPを設定し(STEP5)、後行アンカー孔32の削孔開始位置について検討を行う。
一方、先行アンカー孔31の実測3次元位置がアンカー設計情報に基づく計画3次元位置とほぼ合致しており、近接位置に削孔予定の後行アンカー孔32を削孔する前の事前検討が不要であると判断した場合には、引き続き設計計画に基づいて、後行アンカー孔32となる第2のアンカー孔3を削孔作業(STEP8)を開始する。
<先行アンカー孔に保護エリアPを設定:STEP5>
アンカー孔位置管理装置4の先行孔位置取得手段413において、先行アンカー孔31の実測3次元位置と、設計情報把握手段412で取得した近接するアンカー体12どうしの許容間隔Lに基づいて保護エリアPを算定し、2次元画像表示可能なデータに加工して情報処理装置41の記憶装置に格納する。この後、情報合成手段417を介して、先行アンカー孔31の削孔形状に係る実測3次元位置、保護エリアPを、地山情報にオーバーレイさせて、出力装置43に出力する。
図2で示すように、保護エリアPの範囲は、構築予定のアンカー体12の半径に許容間隔Lを足し合わせた長さを半径とするアンカー体12と同心の円筒体をなし、その長さは、アンカー体12を構築した際に定着長部となる予定範囲の先端及び基端各々に許容間隔Lを足し合わせた、構築予定のアンカー体12の体長より許容間隔Lの2倍分だけ長大な長さとなる。
<後行アンカー孔の推定3次元位置を設定:STEP6、7>
アンカー孔位置管理装置4の情報合成手段417を介して、地山情報と、先行アンカー孔31の実測3次元位置と、STEP5で実測3次元位置の周囲に設定した保護エリアPと、次に削孔予定の後行アンカー孔32の推定3次元位置として、設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報に基づく計画3次元位置と、をオーバーレイさせて、出力装置43に出力する。なお、本実施の形態では、次に削孔予定の後行アンカー孔32が、先行アンカー孔31の下方に位置する場合を事例としているが、これに限定されるものではなく、先行アンカー孔31の水平方向や斜め下方向に位置する場合等いずれの位置でもよい。
図6(a)で示すように、先行アンカー孔31における実測3次元位置の周囲に設定した保護エリアPと後行アンカー孔32の推定3次元位置とを比較検証し、保護エリアPに後行アンカー孔32の推定3次元位置が干渉する可能性が確認された場合には、安全確認手段415がこれを検知して、出力装置43を介して警告を発する。
また、後行アンカー孔32の推定3次元位置と地山情報とを比較検証し、推定3次元位置のアンカー体12が構築された際に定着長部となる予定範囲が、不動層21に到達していない可能性が確認された場合にも、安全確認手段415がこれを検知して、出力装置43を介して警告を発する。
警告が発せられた場合にはSTEP6に戻り、入力装置42を介して設計情報把握手段412で取得した後行アンカー孔32の計画3次元位置に係る情報に対して、掘削ロッド61の地山2への貫入位置を変更する、または削孔角度を適宜調整するなどして適宜見直しを図り、推定3次元位置の再設定を行う。この後、見直しを図った推定3次元位置と、先行アンカー孔31における保護エリアPとの位置関係を再度比較検証する。干渉しないことが確認されるまで、この検証作業を繰り返す。
<削孔特性を加味した推定3次元位置の設定:SUBSTEP1、2>
ところで、削孔機6にて地山2を削孔する際、地盤条件によって、図5(b)で示すような孔曲りを生じやすい。特にアンカー孔3が長大である場合には、自重により削孔ロッド61がたわみやすく、さらに大きな孔曲りを生じる。そこで、この孔曲りを予測し、アンカー孔3の管理および制御に反映させるべく、アンカー孔位置管理装置4の情報処理装置41に削孔特性取得手段418を備えてもよい。
削孔特性取得手段418は、先行アンカー孔31について、先行孔位置取得手段413で取得した実測3次元位置と、設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報に基づく計画3次元位置とを比較し、両者の差分を計測する。この差分情報から、例えば、孔底の位置ずれ量とアンカー長との関係等、孔曲りに係る傾向を把握して削孔特性指標を算出する。なお、上記の削孔特性指標の算定方法は一例であり、これに限定されるものではない。
算出した削孔特性指標は、前述した後行アンカー孔32の推定3次元位置を設定する際(STEP6)に採用する。つまり、次に削孔予定の後行アンカー孔32について、図6(a)で示すような設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報に基づく計画3次元位置に削孔特性指標を加味して、図6(b)で示すような孔曲り等を考慮した予測3次元位置を算出する。この予測3次元位置を後行アンカー孔32の推定3次元位置として取得し、2次元画像表示可能なデータに加工して情報処理装置41の記憶装置に格納する。
この後、アンカー孔位置管理装置4の情報合成手段417を介して、地山情報、先行アンカー孔31の実測3次元位置及びSTEP5で算定した保護エリアPと、次に削孔予定の後行アンカー孔32の推定3次元位置として上記のとおり算出した予測3次元位置を、オーバーレイさせて、図6(b)で示すように、出力装置43に出力する。これにより、施工対象領域の地山2に複数のアンカー孔3を削孔するにあたり、地盤特性やアンカー長に応じた適切な比較検証を実施したうえで、安全な削孔作業を行うことが可能となる。
なお、上記の差分の計測作業を、施工対象領域にアンカー孔3を削孔するごとに繰り返しながら蓄積し、削孔特性指標の精度を向上させながら、後行アンカー孔32の予測3次元位置の算出に反映させてもよい。また、アンカー孔3の削孔工程を実施する本施工の前に、施工対象領域に対して試験削孔を実施し、あらかじめ削孔特性指標を把握しておいてもよい。
これより、先行アンカー孔31の周囲に設定した保護エリアPと、後行アンカー孔32の推定3次元位置とが干渉する可能性をより高い精度で検証でき、より高い信頼性をもってアンカー孔3の3次元位置を管理および制御することが可能となる。また、後行アンカー孔32を削孔する前の段階で、後行アンカー孔32の推定3次元位置の管理だけでなく、後行アンカー孔32の健全性を確認できるとともに、削孔後の後行アンカー孔32に構築予定のアンカー体12の位置を事前に推定することも可能となる。したがって、設計計画の段階で安全を考慮して、アンカー孔3の孔長を必要長より長く確保したり、アンカー孔3の数量を多くするなどの無駄を省くことができ、合理的で経済的な設計計画を立てることが可能となる。
<後行アンカー孔の削孔:STEP8、9>
図6(b)で示すように、後行アンカー孔32の推定3次元位置と先行アンカー孔31における保護エリアPが、干渉しないことを確認したうえで、STEP2で説明した第1番目のアンカー孔3の削孔に係る手順を参照し、削孔機6の削孔ロッド61を、推定3次元位置に係る情報に基づく削孔角度に調整するとともに地山への貫入角度の位置出しを行う。この後、削孔機6を用いて後行アンカー孔32の削孔作業を開始する。
なお、削孔機6の掘削ロッド61は、アンカー孔3の削孔開始時における地山2への貫入位置の位置出しおよび削孔角度の調整だけでなく、アンカー孔3の削孔中における削孔角度の調整を行ってもよい。具体的には、削孔機6について、位置出しセンサ7による計測、及びアンカー孔位置管理装置4による掘削ロッド61の掘削角度の算定を断続的に行い、掘削ロッド61の削孔角度と安全確認手段415において先行アンカー孔31の保護エリアPに干渉しないことを確認した推定3次元位置とを常時モニタリングする。
そして、掘削ロッド61が、推定3次元位置の中心軸上から逸脱した場合に削孔作業を一旦停止し、削孔ロッド61の削孔角度の調整を行った上で、再度削孔作業を再開してもよい。こうすると、先行アンカー孔31の保護エリアPに干渉しないことを確認した推定3次元位置に沿って、後行アンカー孔32を精度よく削孔することが可能となる。
後行アンカー孔32の削孔が終了したのち、後行アンカー孔32を先行アンカー孔31として取り扱い、STEP3に戻って作業を繰り返し、施工対象領域に削孔予定のアンカー孔3をすべて削孔し終えるまで、上記の手順を繰り返す。
削孔作業を繰り返すごとに、先行アンカー孔31の数量は増加し、これに伴い、後行アンカー孔32の推定3次元位置に隣接する先行アンカー孔31の数量も増加する。したがって、後行アンカー孔32の推定3次元位置を設定する際(STEP6、7)、干渉する可能性を検討すべき先行アンカー孔31が複数存在する場合には、そのすべてと後行アンカー孔31の推定3次元位置とを比較検証する。
すべてのアンカー孔3を削孔し終えたのち、アンカー孔位置管理装置4の情報合成手段417を介して、地山情報、設計情報把握手段412にて取得したアンカー設計情報に基づく複数のアンカー孔3すべての計画3次元位置、及び先行孔位置取得手段413で取得したすべての先行アンカー孔31の実測3次元位置をオーバーレイさせて、出力装置43に出力する。これにより、施工管理者は施工後のアンカー孔3について、その出来形を視覚情報として確認することが可能となる。
なお、上記の出力は、すべてのアンカー孔3を削孔し終えた後だけでなく、施工途中の適時に行って、先行アンカー孔31の施工対象領域に対する全体バランスを確認してもよい。こうすると削孔作業の途中段階で、すでに削孔した先行アンカー孔31の実測3次元位置に応じて設計計画の見直しを図ることも可能となり、より経済的かつ合理的なグラウンドアンカー工を施工することが可能となる。
上述したアンカー孔3の位置管理方法によれば、施工対象領域におけるアンカー孔31の削孔作業において、地山情報やアンカー設計情報とともに、削孔した先行アンカー孔3の実測3次元位置に関するリアルタイム情報を把握できるため、現場の作業効率を大幅に向上することが可能となる。
また、後行アンカー孔32を削孔する事前の段階で、先行アンカー31の実測3次元位置と後行アンカー孔32の推定3次元位置の位置関係を把握できることから、グラウンドアンカー工の施工途中もしくは施工終了後において、アンカー体12の補修や再施工を必要とするような、不測の事態を回避できる。これにより、アンカー孔3の削孔作業だけでなく、グラウンドアンカー工に係る施工全体について、工期短縮、工費削減等、施工性を向上させることが可能となる。
本発明のアンカー孔削孔位置管理システムおよびアンカー孔3の位置管理方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態では、法枠等のフレームを設置することなく、自然斜面に対してグラウンドアンカー工を施工する場合を事例に挙げたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、施工対象領域の地山2がいずれの状態の地表面にある場合であっても、アンカー孔削孔位置管理システム10及びアンカー孔3の位置管理方法を採用することが可能である。
また、本実施の形態では、アンカー孔削孔位置管理ステム10が、アンカー孔位置管理装置4、削孔ロッド61の削孔角度及び地山2への貫入位置を検出する位置出しセンサ7、及び位置検出装置8を備える構成としたが、さらに、地表面データを取得するカメラを搭載した無人航空機5を備える構成としてもよい。
なお、本実施の形態では、出力装置43への出力として2次元で画像表示する場合を例示したが、必ずしもこれに限定するものではなく、3次元で画像表示してもよい。また、2次元で画像表示する場合には、図5〜6のような鉛直方向の縦断面による画像表示のみでなく、図7で示すような水平方向の横断面の画像表示も併せて用いるとよい、
10 アンカー孔削孔位置管理システム
1 引張型アンカー
11 緊張材
12 アンカー体
13 支圧板
14 キャップ
2 地山
21 不動層
22 移動層
23 すべり面
3 アンカー孔
31 先行アンカー孔
32 後行アンカー孔
4 アンカー孔位置管理装置
41 情報処理装置
411 地山情報取得手段
412 設計情報把握手段
413 先行孔位置取得手段
414 後行孔推定位置取得手段
415 安全確認手段
416 削孔機情報取得手段
417 情報合成手段
418 削孔特性取得手段
42 入力装置
43 出力装置
5 無人航空機
6 削孔機
61 削孔ロッド
62 リーダー
71 GNSSセンサ
72 GNSSセンサ
8 位置検出装置
81 ジャイロセンサ
82 計測ロッド
P 保護エリア

Claims (6)

  1. グラウンドアンカー工に用いるグラウンドアンカー孔削孔位置管理システムであって、
    削孔したアンカー孔の3次元位置を計測する位置検出装置、及びアンカー孔位置管理装置を備え、
    該アンカー孔位置管理装置は、
    施工対象領域における地表面の起伏情報及び地層情報を含む地山情報を取得する地山情報取得手段と、
    前記施工対象領域に削孔予定の複数のアンカー孔各々のアンカー孔設計情報を取得する設計情報把握手段と、
    前記位置検出装置より得た計測データに基づいて、施工対象領域に施工した先行アンカー孔の実測3次元位置を算出するとともに、該実測3次元位置の周囲に保護エリアを設定する先行孔位置取得手段と、
    前記アンカー孔設計情報に基づいて後行アンカー孔の推定3次元位置を取得する後行孔推定位置取得手段と、
    後行アンカー孔の前記推定3次元位置の少なくとも一部分が、先行アンカー孔の前記保護エリアに干渉することを検知して、警告を発する安全確認手段と、
    を備えることを特徴とするアンカー孔削孔位置管理システム。
  2. 請求項1に記載のアンカー孔削孔位置管理システムにおいて、
    前記先行アンカー孔について、前記アンカー孔設計情報と削孔後の実測3次元位置とに基づいて削孔精度を確認し、該削孔精度に影響を与える要因となる削孔特性指標を算定する削孔特性取得手段を備え、
    前記後行孔推定位置取得手段は、前記後行アンカー孔の推定3次元位置の設定に、前記削孔特性指標を反映させることを特徴とするアンカー孔削孔位置管理システム。
  3. 請求項1または2に記載のアンカー孔削孔位置管理システムにおいて、
    前記安全確認手段が、後行アンカー孔の前記推定3次元位置と前記地山情報に基づいて、前記推定3次元位置の定着長部となる予定範囲が地山の不動層に到達していないことを検知して、警告を発することを特徴とするアンカー孔削孔位置管理システム。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のアンカー孔削孔位置管理システムにおいて、
    前記地山情報に、少なくとも前記先行アンカー孔の実測3次元位置及び前記後行アンカー孔の推定3次元位置のいずれか一方をオーバーレイして、出力装置に2次元もしくは3次元で画像表示させる情報合成手段を備えることを特徴とするアンカー孔削孔位置管理システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンカー孔削孔位置管理システムにおいて、
    前記アンカー孔を削孔する削孔機に設置される削孔ロッドの削孔角度及び地山への貫入位置を検出する位置出しセンサをさらに備え、
    該位置出しセンサに、GNSSセンサを用いることを特徴とするアンカー孔削孔位置管理システム。
  6. 請求項1に記載のアンカー孔削孔位置管理システムを利用したアンカー孔の削孔位置管理方法であって、
    前記施工対象領域の地山に先行削孔した先行アンカー孔の前記実測3次元位置を算出して、該実測3次元位置の周囲に前記保護エリアを設定するとともに、
    前記保護エリアを設定した先行アンカー孔の近接位置に削孔予定の、後行アンカー孔の前記推定3次元位置を取得し、
    後行アンカー孔の該推定3次元位置が、前記保護エリアと干渉することを検知した場合に、警告を発することを特徴とするアンカー孔の削孔位置管理方法。
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