JP2019212697A - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる基板処理方法および基板処理装置を提供する。【解決手段】基板Wの上面に処理液が供給される(処理液供給工程)。基板Wの上面に供給された処理液を、基板Wの上面に存在する除去対象物に接触させた状態で固化または硬化させる。これによって、除去対象物103の見かけのサイズが拡大される(除去対象物拡大工程)。基板Wの上面に剥離液を供給して、見かけのサイズが拡大された除去対象物103を基板Wの上面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する(除去工程)。【選択図】図6D

Description

この発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等の基板が含まれる。
半導体装置の製造工程では、基板に付着した各種汚染物、前工程で使用した処理液やレジスト等の残渣、あるいは各種パーティクル等(以下「除去対象物」と総称する場合がある。)を除去するために、洗浄工程が実施される。
洗浄工程では、脱イオン水(DIW:Deionized Water)等の洗浄液を基板に供給することにより、除去対象物を洗浄液の物理的作用によって除去する手法が一般的である。下記特許文献1には、DIWを基板の表面に供給することによって、基板上から除去対象物を除去する方法が記載されている。
特開2004−260099号公報 特開2014−197717号公報
洗浄液によって除去対象物を基板上から除去する場合において、基板の表面に沿う方向における洗浄液の流速が大きいほど、除去対象物が洗浄液から受けるエネルギーが大きいので、除去対象物を基板の表面から剥がしやすい。
基板の表面を流れる洗浄液の流速は、その洗浄液の粘性の影響を受ける。詳しくは、基板の表面を流れる洗浄液は、その洗浄液の粘性に起因して基板に引っ張られる。そのため、基板の表面に沿う方向における洗浄液の流速は、基板の表面から充分に離れた位置よりも基板の表面近傍において小さくなる。
除去対象物は非常に微小であるため、特許文献1に記載の方法で基板の表面から除去対象物を除去する場合には、除去対象物は、基板の表面近傍において洗浄液を受ける。そのため、除去対象物は洗浄液から充分なエネルギーを受けることができないおそれがある。
そこで、特許文献2では、基板の上面に、溶質および揮発性を有する溶媒を含む処理液を供給し、当該処理液を固化または硬化させた処理膜を形成した後に、当該処理膜を溶解して除去する手法が提案されている。
この手法では、処理液が固化または硬化して処理膜が形成される際に、除去対象物が基板から引き離される。そして、引き離された除去対象物が処理膜中に保持される。次いで、基板の表面に溶解処理液が供給される。これにより、処理膜が基板上で溶解される。そして、基板の表面に沿う溶解処理液の流れを受けて除去対象物が基板の上面から除去される。
ところが、特許文献2の方法では、溶解処理液によって処理膜が溶解されることによって、除去対象物が溶解処理液中を浮遊し、基板に再付着する。このような再付着した除去対象物は、基板の表面を流れる溶解処理液から充分なエネルギーを受けることができない。したがって、除去対象物を基板の表面から効率良く除去できないおそれがある。
そこで、この発明の1つの目的は、基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
この発明の一実施形態は、処理液を基板の表面に供給する処理液供給工程と、前記基板の表面に供給された前記処理液を、前記基板の表面に存在する除去対象物に接触させた状態で固化または硬化させることによって、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する除去対象物拡大工程と、前記基板の表面に剥離液を供給して、見かけのサイズが拡大された前記除去対象物を前記基板の表面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する除去工程とを含む、基板処理方法を提供する。
この方法によれば、除去対象物に接触させた状態で処理液を固化または硬化させることによって、除去対象物の見かけのサイズが拡大される。除去対象物の見かけのサイズとは、除去対象物が他の固体と一体化されたときの除去対象物および当該他の固体の全体のサイズである。見かけのサイズが拡大された除去対象物は、元の大きさの除去対象物よりも、基板の表面から離れた位置に達する。そのため、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを増大させることができる。したがって、除去対象物が基板から剥離しやすくなる。
そして、除去対象物は、見かけのサイズが拡大された状態で基板から剥離されて剥離液とともに基板の表面から除去される。そのため、除去対象物が基板の表面から剥離された後においても、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーが増大された状態を維持することができる。したがって、剥離液とともに除去対象物を基板外へ速やかに排除することができる。
その結果、基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記除去対象物拡大工程が、前記除去対象物の見かけのサイズが前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも前記基板の厚さ方向において大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する工程を含む。
基板の厚さ方向において境界層厚さよりも基板の表面に近い位置では、剥離液の粘性に起因して剥離液の流速が低減される。基板の厚さ方向において境界層厚さよりも基板の表面から離れた位置では、流速への剥離液の粘性の影響を充分に抑制できる。そこで、除去対象物の見かけのサイズが、剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きければ、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。したがって、除去対象物を、基板から剥離しやすくすることができ、かつ、剥離液とともに基板外へ速やかに排除することができる。
この発明の一実施形態では、前記除去対象物拡大工程が、前記基板の表面に供給された前記処理液を固化または硬化させて前記除去対象物を保持する処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程を含み、前記除去工程が、前記処理膜とともに前記除去対象物を前記基板の表面から剥離する工程を含む。
この方法によれば、処理液を固化または硬化することによって、処理膜を基板の表面に形成することができる。除去対象物は、処理膜によって保持されるので、除去対象物の見かけのサイズを処理膜の大きさに拡大することができる。そして、処理膜とともに除去対象物を剥離することによって、見かけのサイズが処理膜の大きさに拡大された状態を維持しながら基板の表面から除去対象物を除去できる。したがって、剥離液の流れから除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記除去工程が、前記剥離液によって前記処理膜を部分的に溶解して前記処理膜に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含む。そのため、剥離液が基板の表面付近に到達しやすくなる。そのため、処理膜と基板との界面に剥離液を作用させて処理膜を基板から効率良く剥離することができる。その一方で、処理膜において貫通孔が形成された部分以外の部分が剥離液に溶解されずに固体状態で維持されるため、除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。したがって、除去対象物を基板の表面から効率良く剥離しつつ、剥離液の流れから除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記除去工程が、前記貫通孔を介して前記処理膜と前記基板の表面との間に前記剥離液を進入させる剥離液進入工程をさらに含む。そのため、処理膜と基板との界面に剥離液を作用させて処理膜を基板の表面から一層効率良く剥離することができる。
この発明の一実施形態では、前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有する。そして、前記処理膜形成工程が、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを有する前記処理膜を形成する工程を含む。
この方法によれば、第1成分は剥離液に対する溶解性が第2成分よりも高い。そのため、第1成分によって形成される第1固体は、第2成分によって形成される第2固体よりも剥離液に溶解しやすい。そのため、基板の表面に剥離液を供給することで、剥離液は、主に第1固体を溶解して基板の表面付近に到達する。したがって、剥離液を処理膜と基板との界面に剥離液を作用させることができる。その一方で、第2固体は、その大部分が剥離液に溶解されずに固体状態で維持される。そのため、除去対象物が第2固体に保持された状態、すなわち、除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。
その結果、除去対象物を基板の表面から効率良く剥離しつつ、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い。
この方法によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を少なくすることができる。そのため、処理膜の部分的な溶解に伴って処理膜から離脱する除去対象物を少なくできる。したがって、大部分の除去対象物は、処理膜とともに基板の表面から除去できるので、基板への再付着を抑制しながら、除去対象物を効率的に基板外に排除できる。
この発明の一実施形態では、前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が少ない。
この方法によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を多くすることができる。そのため、処理膜を比較的細かい膜片に分裂させることができる。処理膜が比較的細かい膜片に分裂されるので、膜片は、剥離液の流れから受ける力を受けて浮きやすく剥離液の流れに乗って基板外に排出されやすい。したがって、処理膜とともに除去対象物を基板から効率良く除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記第1成分および前記第2成分が、合成樹脂である。
この発明の一実施形態は、処理液を基板の表面に供給する処理液供給ユニットと、前記処理液を固化または硬化させる固体形成ユニットと、前記基板の表面に剥離液を供給する剥離液供給ユニットと、前記処理液供給ユニット、前記固体形成ユニットおよび前記剥離液供給ユニットを制御するコントローラとを含む基板処理装置を提供する。
そして、前記コントローラが、前記処理液供給ユニットから前記基板の表面に前記処理液を供給する処理液供給工程と、前記基板の表面に供給された前記処理液を前記固体形成ユニットに固化または硬化させることによって、前記基板の表面に存在する除去対象物の見かけのサイズを拡大する除去対象物拡大工程と、前記基板の表面に前記剥離液供給ユニットから前記剥離液を供給することによって、見かけのサイズが拡大された前記除去対象物を前記基板の表面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する除去工程とを実行するようにプログラムされている。
この構成によれば、除去対象物に接触させた状態で処理液を固化または硬化させることによって、除去対象物の見かけのサイズが拡大される。見かけのサイズが拡大された除去対象物は、元の大きさの除去対象物よりも、基板の表面から離れた位置に達する。そのため、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを大きくすることができる。したがって、除去対象物が基板から剥離しやすくなる。
そして、除去対象物は、見かけのサイズが拡大された状態で基板から剥離されて剥離液とともに基板の表面から除去される。そのため、除去対象物が基板の表面から剥離された後においても、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーが増大された状態を維持することができる。したがって、剥離液とともに除去対象物を基板外へ速やかに排除することができる。
その結果、基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の厚さ方向において、前記基板の表面に沿う前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大するようにプログラムされている。
基板の厚さ方向において境界層厚さよりも基板の表面に近い位置では、剥離液の粘性に起因して剥離液の流速が低減される。基板の厚さ方向において境界層厚さよりも基板の表面から離れた位置では、流速への剥離液の粘性の影響を充分に抑制できる。そこで、除去対象物の見かけのサイズが、剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きければ、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。したがって、除去対象物を、基板から剥離しやすくすることができ、かつ、剥離液とともに基板外へ速やかに排除することができる。
この発明の一実施形態は、前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の表面に供給された前記処理液を固化または硬化させて前記除去対象物を保持する処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程を実行し、かつ、前記除去工程において、前記処理膜とともに前記除去対象物を前記基板の表面から剥離するようにプログラムされている。
この構成によれば、処理液を固化または硬化することによって、処理膜を基板の表面に形成することができる。除去対象物は、処理膜によって保持されるので、除去対象物の見かけのサイズを処理膜の大きさに拡大することができる。そして、処理膜とともに除去対象物を剥離することによって、見かけのサイズが処理膜の大きさに拡大された状態を維持しながら基板の表面から除去対象物を除去できる。したがって、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記コントローラが、前記除去工程において、前記剥離液に前記処理膜を部分的に溶解させて前記処理膜に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を実行するようにプログラムされている。そのため、剥離液が基板の表面付近に到達しやすくなる。そのため、処理膜と基板Wとの界面に剥離液を作用させて処理膜を基板から効率良く剥離することができる。その一方で、処理膜において貫通孔が形成された部分以外の部分が剥離液に溶解されずに固体状態で維持されるため、剥離液中においても除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。したがって、除去対象物を基板の表面から効率良く剥離しつつ、剥離液の流れから除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記コントローラが、前記除去工程において、前記貫通孔を介して前記処理膜と前記基板の表面との間に前記剥離液を進入させるようにプログラムされている。そのため、処理膜と基板との界面に剥離液を作用させて処理膜を基板の表面から一層効率良く剥離することができる。
この発明の一実施形態では、前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有する。そして、前記コントローラが、前記処理膜形成工程において、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを含む前記処理膜を形成するようにプログラムされている。
この構成によれば、第1成分は剥離液に対する溶解性が第2成分よりも高い。そのため、第1成分によって形成される第1固体は、第2成分によって形成される第2固体よりも剥離液に溶解しやすい。そのため、基板の表面に剥離液を供給することで、剥離液は、主に第1固体を溶解して基板の表面付近に到達する。したがって、剥離液を処理膜と基板との界面に剥離液を作用させて、除去対象物を保持した状態の処理膜を基板の表面から効率良く剥離することができる。その一方で、第2固体は、その大部分が剥離液に溶解されずに固体状態で維持されるため、除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。
その結果、除去対象物を基板の表面から効率良く剥離しつつ、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い。
この構成によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を少なくすることができる。そのため、処理膜の部分的な溶解に伴って処理膜から離脱する除去対象物を少なくできる。したがって、大部分の除去対象物は、処理膜とともに基板の表面から除去できるので、基板への再付着を抑制しながら、除去対象物を効率的に基板外に排除できる。
この発明の一実施形態では、前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が少ない。
この構成によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を多くすることができる。そのため、処理膜を比較的細かい膜片に分裂させることができる。処理膜が比較的細かい膜片に分裂されるので、膜片は、剥離液の流れから受ける力を受けて浮きやすく剥離液の流れに乗って基板外に排出されやすい。したがって、処理膜とともに除去対象物を基板から効率良く除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記第1成分および前記第2成分が、合成樹脂であある。
図1は、この発明の一実施形態にかかる基板処理装置のレイアウトを示す模式的な平面図である。 図2は、前記基板処理装置に備えられる処理ユニットの概略構成を示す模式的な部分断面図である。 図3は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を示すブロック図である。 図4は、前記基板処理装置による基板処理の一例を説明するための流れ図である。 図5Aは、前記基板処理の処理液供給工程(ステップS5)の様子を説明するための模式図である。 図5Bは、前記基板処理の薄膜化工程(ステップS6)の様子を説明するための模式図である。 図5Cは、前記基板処理の加熱工程(ステップS7)の様子を説明するための模式図である。 図5Dは、前記基板処理の緩衝工程(ステップS8)の様子を説明するための模式図である。 図5Eは、前記基板処理の除去工程(ステップS9)の様子を説明するための模式図である。 図5Fは、前記基板処理の第2リンス工程(ステップS10)の様子を説明するための模式図である。 図5Gは、前記基板処理の第2有機溶剤供給工程(ステップS11)の様子を説明するための模式図である。 図5Hは、前記基板処理のスピンドライ工程(ステップS12)の様子を説明するための模式図である。 図6Aは、前記薄膜化工程(ステップS6)後の基板表面付近の様子を説明するための模式的な断面図である。 図6Bは、前記加熱工程(ステップS7)後の基板表面付近の様子を説明するための模式的な断面図である。 図6Cは、前記除去工程(ステップS9)実行中の基板表面付近の様子を説明するための模式的な断面図である。 図6Dは、前記除去工程(ステップS9)実行中の基板表面付近の様子を説明するための模式的な断面図である。 図7は、基板の表面に沿う剥離液の流れにおける境界層厚さと除去対象物の大きさとを比較するための模式図である。 図8は、基板の表面に沿って流れる剥離液の流速と境界層厚さとの関係を示すグラフである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態にかかる基板処理装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。
基板処理装置1は、基板Wを流体で処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを含む。
搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。詳しくは後述するが、処理ユニット2内で基板Wに供給される処理流体には、薬液、リンス液、処理液、剥離液、熱媒、不活性ガス等が含まれる。
各処理ユニット2は、チャンバ4と、チャンバ4内に配置された処理カップ7とを備えており、処理カップ7内で基板Wに対する処理を実行する。チャンバ4には、チャンバ4内に基板Wを搬入したり、チャンバ4内から基板Wを搬出したりするための出入口(図示せず)が形成されている。チャンバ4には、この出入口を開閉するシャッタユニット(図示せず)が備えられている。
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。処理ユニット2は、スピンチャック5と、対向部材6と、第1移動ノズル8と、第2移動ノズル9と、第3移動ノズル10と、中央ノズル11と、下面ノズル12とをさらに含む。
スピンチャック5は、基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに回転させる。スピンチャック5は、複数のチャックピン20と、スピンベース21と、回転軸22と、スピンモータ23とを含む。
スピンベース21は、水平方向に沿う円板形状を有している。スピンベース21の上面には、基板Wの周縁を把持する複数のチャックピン20が、スピンベース21の周方向に間隔を空けて配置されている。スピンベース21および複数のチャックピン20は、基板Wを水平に保持する基板保持ユニットを構成している。基板保持ユニットは、基板ホルダともいう。
回転軸22は、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びている。回転軸22の上端部は、スピンベース21の下面中央に結合されている。スピンモータ23は、回転軸22に回転力を与える。スピンモータ23によって回転軸22が回転されることにより、スピンベース21が回転される。これにより、基板Wが回転軸線A1のまわりに回転される。スピンモータ23は、回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる基板回転ユニットの一例である。
対向部材6は、スピンチャック5に保持された基板Wに上方から対向する。対向部材6は、基板Wとほぼ同じ径またはそれ以上の径を有する円板状に形成されている。対向部材6は、基板Wの上面(上側の表面)に対向する対向面6aを有する。対向面6aは、スピンチャック5よりも上方でほぼ水平面に沿って配置されている。
対向部材6において対向面6aとは反対側には、中空軸60が固定されている。対向部材6において平面視で回転軸線A1と重なる部分には、対向部材6を上下に貫通し、中空軸60の内部空間60aと連通する連通孔6bが形成されている。
対向部材6は、対向面6aと基板Wの上面との間の空間内の雰囲気を当該空間の外部の雰囲気から遮断する。そのため、対向部材6は、遮断板とも呼ばれる。
処理ユニット2は、対向部材6の昇降を駆動する対向部材昇降ユニット61をさらに含む。対向部材昇降ユニット61は、下位置から上位置までの任意の位置(高さ)に対向部材6を位置させることができる。下位置とは、対向部材6の可動範囲において、対向面6aが基板Wに最も近接する位置である。上位置とは、対向部材6の可動範囲において対向面6aが基板Wから最も離間する位置である。
対向部材昇降ユニット61は、たとえば、中空軸60を支持する支持部材(図示せず)に結合されたボールねじ機構(図示せず)と、当該ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータ(図示せず)とを含む。
処理カップ7は、スピンチャック5に保持された基板Wから外方に飛散する液体を受け止める複数のガード71と、複数のガード71によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ72と、複数のガード71と複数のカップ72とを取り囲む円筒状の外壁部材73とを含む。
この実施形態では、2つのガード71(第1ガード71Aおよび第2ガード71B)と、2つのカップ72(第1カップ72Aおよび第2カップ72B)とが設けられている例を示している。
第1カップ72Aおよび第2カップ72Bのそれぞれは、上向きに開放された環状溝の形態を有している。
第1ガード71Aは、スピンベース21を取り囲むように配置されている。第2ガード71Bは、第1ガード71Aよりも基板Wの回転径方向外方でスピンベース21を取り囲むように配置されている。
第1ガード71Aおよび第2ガード71Bは、それぞれ、ほぼ円筒形状を有しており、各ガード71A,71Bの上端部は、スピンベース21に向かうように内方に傾斜している。
第1カップ72Aは、第1ガード71Aによって下方に案内された液体を受け止める。第2カップ72Bは、第1ガード71Aと一体に形成されており、第2ガード71Bによって下方に案内された液体を受け止める。
処理ユニット2は、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bをそれぞれ別々に昇降させるガード昇降ユニット74を含む。ガード昇降ユニット74は、下位置と上位置との間で第1ガード71Aを昇降させる。ガード昇降ユニット74は、下位置と上位置との間で第2ガード71Bを昇降させる。
第1ガード71Aおよび第2ガード71Bがともに上位置に位置するとき、基板Wから飛散する液体は、第1ガード71Aによって受けられる。第1ガード71Aが下位置に位置し、第2ガード71Bが上位置に位置するとき、基板Wから飛散する液体は、第2ガード71Bによって受けられる。
ガード昇降ユニット74は、たとえば、第1ガード71Aに結合された第1ボールねじ機構(図示せず)と、第1ボールねじに駆動力を与える第1モータ(図示せず)と、第2ガード71Bに結合された第2ボールねじ機構(図示せず)と、第2ボールねじ機構に駆動力を与える第2モータ(図示せず)とを含む。
第1移動ノズル8は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて薬液を供給(吐出)する薬液供給ユニットの一例である。
第1移動ノズル8は、第1ノズル移動ユニット36によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第1移動ノズル8は、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。第1移動ノズル8は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。基板Wの上面の回転中心とは、基板Wの上面における回転軸線A1との交差位置である。
第1移動ノズル8は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第1移動ノズル8は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
第1ノズル移動ユニット36は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸(図示せず)と、回動軸に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含む。
回動軸駆動ユニットは、回動軸を鉛直な回動軸線まわりに回動させることによってアームを揺動させる。さらに、回動軸駆動ユニットは、回動軸を鉛直方向に沿って昇降することにより、アームを上下動させる。第1移動ノズル8はアームに固定される。アームの揺動および昇降に応じて、第1移動ノズル8が水平方向および鉛直方向に移動する。
第1移動ノズル8は、薬液を案内する薬液配管40に接続されている。薬液配管40に介装された薬液バルブ50が開かれると、薬液が、第1移動ノズル8から下方に連続的に吐出される。
第1移動ノズル8から吐出される薬液は、たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、蓚酸等)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液である。これらを混合した薬液の例としては、SPM液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)、SC1液(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)等が挙げられる。
第2移動ノズル9は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて処理液を供給(吐出)する処理液供給ユニットの一例である。
第2移動ノズル9は、第2ノズル移動ユニット37によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第2移動ノズル9は、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。第2移動ノズル9は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。
第2移動ノズル9は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第2移動ノズル9は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
第2ノズル移動ユニット37は、第1ノズル移動ユニット36と同様の構成を有している。すなわち、第2ノズル移動ユニット37は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸(図示せず)と、回動軸および第2移動ノズル9に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含む。
第2移動ノズル9は、処理液を案内する処理液配管41に接続されている。処理液配管41に介装された処理液バルブ51が開かれると、処理液が、第2移動ノズル9から下方に連続的に吐出される。
第2移動ノズル9から吐出される処理液は、溶質および溶媒を含んでいる。この処理液は、溶媒の少なくとも一部が揮発することによって固化または硬化される。この処理液は、基板W上で固化または硬化することによって、基板W上に存在するパーティクル等の除去対象物を保持する処理膜を形成する。
ここで、「固化」とは、たとえば、溶媒の揮発(蒸発)に伴い、分子間や原子間に作用する力等によって溶質が固まることを指す。「硬化」とは、たとえば、重合や架橋等の化学的な変化によって、溶質が固まることを指す。したがって、「固化または硬化」とは、様々な要因によって溶質が「固まる」ことを表している。
第2移動ノズル9から吐出される処理液中の溶質には、第1成分および第2成分が含まれている。処理液に含まれる第1成分の量(含有量)は、処理液に含まれる第2成分の量(含有量)よりも少ない。
第1成分および第2成分は、たとえば、互いに性質が異なる合成樹脂である。第2移動ノズル9から吐出される処理液に含まれる溶媒は、第1成分および第2成分を溶解させる液体であればよい。
溶質として用いられる合成樹脂の例としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド等が挙げられる。
合成樹脂を溶解させる溶媒としては、たとえば、IPA、PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル)、PGMEA(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート)、EL(乳酸エチル)等が挙げられる。
第3移動ノズル10は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて剥離液を供給(吐出)する剥離液供給ユニットの一例であり、この実施形態では、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて緩衝液を供給(吐出)する緩衝液供給ユニットの一例でもある。
第3移動ノズル10は、第3ノズル移動ユニット38によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第3移動ノズル10は、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。
第3移動ノズル10は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。第3移動ノズル10は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第3移動ノズル10は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
第3ノズル移動ユニット38は、第1ノズル移動ユニット36と同様の構成を有している。すなわち、第3ノズル移動ユニット38は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸(図示せず)と、回動軸および第3移動ノズル10に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含む。
第3移動ノズル10は、第3移動ノズル10に剥離液を案内する上側剥離液配管42に接続されている。上側剥離液配管42に介装された上側剥離液バルブ52が開かれると、剥離液が、第3移動ノズル10の吐出口から下方に連続的に吐出される。
第3移動ノズル10は、第3移動ノズル10に緩衝液を案内する上側緩衝液配管43にも接続されている。上側緩衝液配管43に介装された上側緩衝液バルブ53が開かれると、緩衝液が、第3移動ノズル10の吐出口から下方に連続的に吐出される。
剥離液は、基板W上の処理膜を基板Wの上面から剥離するための液体である。剥離液としては、処理液の溶質に含まれる第2成分よりも処理液の溶質に含まれる第1成分を溶解させやすい液体が用いられる。言い換えると、剥離液としては、剥離液に対する第1成分の溶解性(溶解度)が、剥離液に対する第2成分の溶解性(溶解度)よりも高い液体が用いられる。剥離液は、処理液に含有される溶媒と相溶性を有する(混和可能である)液体であることが好ましい。
剥離液は、たとえば、水系の剥離液である。水系の剥離液の例としては、DIW、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(例えば、10ppm〜100ppm程度)の塩酸水、アルカリ水溶液等が挙げられる。アルカリ水溶液の例としては、SC1液、アンモニア水溶液、TMAH等の4級水酸化アンモニウムの水溶液、コリン水溶液等が挙げられる。
緩衝液は、処理膜に対する剥離液の剥離作用が緩衝するための液体である。剥離液に先立って処理膜に緩衝液を供給することによって、処理膜の一部に高濃度の剥離液が作用することを回避できる。これにより、処理膜に対して剥離液の供給に先立って緩衝液を供給しておくことで、処理膜の全体に対して満遍なく剥離液を作用させることができる。
緩衝液の例としては、DIW、炭酸水、電解イオン水、希釈濃度(たとえば、1ppm〜100ppm程度)の塩酸水、希釈濃度(たとえば、1ppm〜100ppm程度)のアンモニア水、還元水(水素水)等が挙げられる。すなわち、緩衝液としては、リンス液と同様の液体を用いることができる。
中央ノズル11は、対向部材6の中空軸60の内部空間60aに収容されている。中央ノズル11の先端に設けられた吐出口11aは、基板Wの上面の中央領域に上方から対向する。基板Wの上面の中央領域とは、基板Wの上面において基板Wの回転中心を含む領域のことである。
中央ノズル11は、流体を下方に吐出する複数のチューブ31〜33(第1チューブ31、第2チューブ32および第3チューブ33)と、複数のチューブ31〜33を取り囲む筒状のケーシング30とを含む。複数のチューブ31〜33およびケーシング30は、回転軸線A1に沿って上下方向に延びている。中央ノズル11の吐出口11aは、複数のチューブ31〜33の吐出口でもある。
第1チューブ31は、リンス液を基板Wの上面に供給するリンス液供給ユニットの一例である。第2チューブ32は、気体を基板Wの上面と対向部材6の対向面6aとの間に供給する気体供給ユニットとしての一例である。第3チューブ33は、IPA等の有機溶剤を基板Wの上面に供給する有機溶剤供給ユニットの一例である。
第1チューブ31は、リンス液を第1チューブ31に案内する上側リンス液配管44に接続されている。上側リンス液配管44に介装された上側リンス液バルブ54が開かれると、リンス液が、第1チューブ31(中央ノズル11)から基板Wの上面の中央領域に向けて連続的に吐出される。リンス液は、緩衝液と同様の液体であるため、第1チューブ31は、緩衝液供給ユニットの一例でもある。
第2チューブ32は、気体を第2チューブ32に案内する気体配管45に接続されている。気体配管45に介装された気体バルブ55が開かれると、気体が、第2チューブ32(中央ノズル11)から下方に連続的に吐出される。
第2チューブ32から吐出される気体は、たとえば、窒素ガス(N)等の不活性ガスである。第2チューブ32から吐出される気体は、空気であってもよい。不活性ガスとは、窒素ガスに限られず、基板Wの上面や、基板Wの上面に形成されたパターンに対して不活性なガスのことである。不活性ガスの例としては、窒素ガスの他に、アルゴン等の希ガス類が挙げられる。
第3チューブ33は、有機溶剤を第3チューブ33に案内する有機溶剤配管46に接続されている。有機溶剤配管46に介装された有機溶剤バルブ56が開かれると、有機溶剤が、第3チューブ33(中央ノズル11)から基板Wの上面の中央領域に向けて連続的に吐出される。
第3チューブ33から吐出される有機溶剤は、剥離液によって処理膜を除去した後の基板Wの上面に残る残渣を除去する残渣除去液である。第3チューブ33から吐出される有機溶剤は、処理液およびリンス液との相溶性を有することが好ましい。
第3チューブ33から吐出される有機溶剤の例としては、IPA、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール、アセトンおよびTrans-1,2-ジクロロエチレンのうちの少なくとも1つを含む液等が挙げられる。
また、第3チューブ33から吐出される有機溶剤は、単体成分のみからなる必要はなく、他の成分と混合した液体であってもよい。たとえば、IPAとDIWとの混合液であってもよいし、IPAとHFEとの混合液であってもよい。
下面ノズル12は、スピンベース21の上面中央部で開口する貫通孔21aに挿入されている。下面ノズル12の吐出口12aは、スピンベース21の上面から露出されている。下面ノズル12の吐出口12aは、基板Wの下面の中央領域に下方から対向する。基板Wの下面の中央領域とは、基板Wの下面において基板Wの回転中心を含む領域のことである。
下面ノズル12には、リンス液、剥離液、および熱媒を下面ノズル12に共通に案内する共通配管80の一端が接続されている。共通配管80の他端には、共通配管80にリンス液を案内する下側リンス液配管81と、共通配管80に剥離液を案内する下側剥離液配管82と、共通配管80に熱媒を案内する熱媒配管83とが接続されている。
下側リンス液配管81に介装された下側リンス液バルブ86が開かれると、リンス液が、下面ノズル12から基板Wの下面の中央領域に向けて連続的に吐出される。下側剥離液配管82に介装された下側剥離液バルブ87が開かれると、剥離液が、下面ノズル12から基板Wの下面の中央領域に向けて連続的に吐出される。熱媒配管83に介装された熱媒バルブ88が開かれると、熱媒が、下面ノズル12から基板Wの下面の中央領域に向けて連続的に吐出される。
下面ノズル12は、基板Wの下面にリンス液を供給する下側リンス液供給ユニットの一例である。リンス液として用いられる液体は、緩衝液としても用いることができるので、下面ノズル12は、下側緩衝液供給ユニットの一例でもある。
また、下面ノズル12は、基板Wの下面に剥離液を供給する下側剥離液供給ユニットの一例である。また、下面ノズル12は、基板Wを加熱するための熱媒を基板Wに供給する熱媒供給ユニットの一例である。下面ノズル12は、基板Wを加熱する基板加熱ユニットでもある。
下面ノズル12から吐出される熱媒は、たとえば、室温よりも高く、処理液に含まれる溶媒の沸点よりも低い温度(たとえば、60℃〜80℃)の高温DIWである。下面ノズル12から吐出される熱媒は、高温DIWには限られず、室温よりも高く、処理液に含有される溶媒の沸点よりも低い温度(たとえば、60℃〜80℃)の高温不活性ガスや高温空気等の高温気体であってもよい。
図3は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を示すブロック図である。コントローラ3は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)3Aと、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。コントローラ3は、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
とくに、コントローラ3は、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ23、第1ノズル移動ユニット36、第2ノズル移動ユニット37、第3ノズル移動ユニット38、対向部材昇降ユニット61、ガード昇降ユニット74、バルブ50,51,52,53,54,55,56,86,87,88を制御するようにプログラムされている。
図4は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図である。図4には、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図5A〜図5Hは、前記基板処理の各工程の様子を説明するための模式図である。
基板処理装置1による基板処理では、たとえば、図4に示すように、基板搬入工程(ステップS1)、薬液供給工程(ステップS2)、第1リンス工程(ステップS3)、第1有機溶剤供給工程(ステップS4)、処理液供給工程(ステップS5)、薄膜化工程(ステップS6)、加熱工程(ステップS7)、緩衝工程(ステップS8)、除去工程(ステップS9)、第2リンス工程(ステップS10)、第2有機溶剤供給工程(ステップS11)、スピンドライ工程(ステップS12)および基板搬出工程(ステップS13)がこの順番で実行される。
まず、未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CR(図1参照)によってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5に渡される(ステップS1)。これにより、基板Wは、スピンチャック5によって水平に保持される(基板保持工程)。スピンチャック5による基板Wの保持は、スピンドライ工程(ステップS12)が終了するまで継続される。基板Wの搬入時には、対向部材6は、上位置に退避している。
次に、搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、薬液供給工程(ステップS2)が開始される。具体的には、スピンモータ23が、スピンベース21を回転させる。これにより、水平に保持された基板Wが回転される(基板回転工程)。そして、ガード昇降ユニット74が第1ガード71Aおよび第2ガード71Bを上位置に移動させる。
そして、第1ノズル移動ユニット36が第1移動ノズル8を処理位置に移動させる。第1移動ノズル8の処理位置は、たとえば中央位置である。そして、薬液バルブ50が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第1移動ノズル8から薬液が供給(吐出)される。薬液供給工程において、基板Wは、所定の薬液回転数、たとえば、800rpmで回転される。
基板Wの上面に供給された薬液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面が薬液によって処理される。第1移動ノズル8からの薬液の吐出は、所定時間、たとえば、30秒間継続される。
次に、第1リンス工程(ステップS3)が開始される。第1リンス工程では、基板W上の薬液がリンス液によって洗い流される。
具体的には、薬液バルブ50が閉じられる。これにより、基板Wに対する薬液の供給が停止される。そして、第1ノズル移動ユニット36が第1移動ノズル8をホーム位置に移動させる。そして、対向部材昇降ユニット61が対向部材6を上位置と下位置との間の処理位置に移動させる。対向部材6が処理位置に位置するとき、基板Wの上面と対向面6aとの間の距離は、たとえば、30mmである。第1リンス工程において、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bの位置は、上位置に維持されている。
そして、上側リンス液バルブ54が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、中央ノズル11からリンス液が供給(吐出)される。また、下側リンス液バルブ86が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの下面の中央領域に向けて、下面ノズル12からリンス液が供給(吐出)される。第1リンス工程において、基板Wは、所定の第1リンス回転速度、たとえば、800rpmで回転される。
中央ノズル11から基板Wの上面に供給されリンス液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面の薬液が基板W外に洗い流される。
下面ノズル12から基板Wの下面に供給されたリンス液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの下面の全体に行き渡る。薬液供給工程によって基板Wから飛散した薬液が下面に付着した場合であっても、下面ノズル12から供給されたリンス液によって、下面に付着した薬液が洗い流される。中央ノズル11および下面ノズル12からのリンス液の吐出は、所定時間、たとえば、30秒間継続される。
次に、第1有機溶剤供給工程(ステップS4)が開始される。第1有機溶剤供給工程では、基板W上のリンス液が有機溶剤によって置換される。
具体的には、上側リンス液バルブ54および下側リンス液バルブ86が閉じられる。これにより、基板Wの上面および下面に対するリンス液の供給が停止される。そして、ガード昇降ユニット74が、第2ガード71Bを上位置に維持した状態で、第1ガード71Aを下位置に移動させる。対向部材6は、処理位置に維持される。
第1有機溶剤供給工程において、基板Wは、所定の第1有機溶剤回転速度、たとえば、300rpm〜1500rpmで回転される。基板Wは、第1有機溶剤供給工程において一定の回転速度で回転する必要はない。たとえば、スピンモータ23は、有機溶剤の供給開始時に基板Wを300rpmで回転させ、基板Wに有機溶剤を供給しながら基板Wの回転速度が1500rpmになるまで基板Wの回転を加速させてもよい。
そして、有機溶剤バルブ56が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、中央ノズル11から有機溶剤が供給(吐出)される。
中央ノズル11から基板Wの上面に供給された有機溶剤は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板W上のリンス液が有機溶剤によって置換される。中央ノズル11からの有機溶剤の吐出は、所定時間、たとえば、10秒間継続される。
次に、処理液供給工程(ステップS5)が開始される。具体的には、有機溶剤バルブ56が閉じられる。これにより、基板Wに対する有機溶剤の供給が停止される。そして、対向部材昇降ユニット61が、対向部材6を上位置に移動させる。そして、ガード昇降ユニット74が、第1ガード71Aを上位置に移動させる。処理液供給工程において、基板Wは、所定の処理液回転速度、たとえば、10rpm〜1500rpmで回転される。
そして、図5Aに示すように、第2ノズル移動ユニット37が、第2移動ノズル9を処理位置に移動させる。第2移動ノズル9の処理位置は、たとえば、中央位置である。そして、処理液バルブ51が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第2移動ノズル9から処理液が供給(吐出)される(処理液供給工程、処理液吐出工程)。これにより、基板W上の有機溶剤が処理液によって置換されて、基板W上に処理液の液膜(処理液膜101)が形成される(処理液膜形成工程)。第2移動ノズル9からの処理液の供給は、所定時間、たとえば、2秒〜4秒の間継続される。
次に、処理膜形成工程(ステップS6およびステップS7)が実行される。処理膜形成工程では、基板W上の処理液が固化または硬化されて基板Wの上面に処理膜100(図5C参照)が形成される。
処理膜形成工程では、薄膜化工程(スピンオフ工程)(ステップS6)が実行される。薄膜化工程では、まず、処理液バルブ51が閉じられる。これにより、基板Wに対する処理液の供給が停止される。そして、第2ノズル移動ユニット37によって第2移動ノズル9がホーム位置に移動される。
図5Bに示すように、薄膜化工程では、基板W上の処理液膜101の厚さが適切な厚さになるように、基板Wの上面への処理液の供給が停止された状態で遠心力によって基板Wの上面から処理液の一部が排除される。薄膜化工程では、対向部材6、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bが上位置に維持される。
薄膜化工程では、スピンモータ23が、基板Wの回転速度を所定の薄膜化速度に変更する。薄膜化速度は、たとえば、300rpm〜1500rpmである。基板Wの回転速度は、300rpm〜1500rpmの範囲内で一定に保たれてもよいし、薄膜化工程の途中で300rpm〜1500rpmの範囲内で適宜変更されてもよい。薄膜化工程は、所定時間、たとえば、30秒間実行される。
図5Cを参照して、処理膜形成工程では、薄膜化工程後に、基板Wを加熱する加熱工程(ステップS7)が実行される。加熱工程では、基板W上の処理液の溶媒の一部を揮発(蒸発)させるために、基板W上の処理液膜101(図5B参照)を加熱する。
具体的には、対向部材昇降ユニット61が、対向部材6を、上位置と下位置との間の近接位置に移動させる。近接位置は、下位置であってもよい。近接位置は、基板Wの上面から対向面6aまでの距離がたとえば1mmの位置である。加熱工程では、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bが上位置に維持される。
そして、気体バルブ55が開かれる。これにより、基板Wの上面(処理液膜101の上面)と、対向部材6の対向面6aとの間の空間に気体が供給される(気体供給工程)。
そして、熱媒バルブ88が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの下面の中央領域に向けて、下面ノズル12から熱媒が供給(吐出)される(熱媒供給工程、熱媒吐出工程)。下面ノズル12から基板Wの下面に供給された熱媒は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの下面の全体に行き渡る。基板Wに対する熱媒の供給は、所定時間、たとえば、60秒間継続される。加熱工程において、基板Wは、所定の加熱回転速度、たとえば、1000rpmで回転される。
基板Wの下面に熱媒が供給されることによって、基板Wを介して、基板W上の処理液膜101が加熱される。これにより、処理液膜101中の溶媒の蒸発が促進される(溶媒蒸発工程、溶媒蒸発促進工程)。そのため、処理膜100の形成に必要な時間を短縮することができる。下面ノズル12は、処理液中の溶媒の蒸発させる蒸発ユニット(蒸発促進ユニット)として機能する。
薄膜化工程および加熱工程が実行されることによって、処理液が固化または硬化されて、基板W上に処理膜100が形成される。このように、基板回転ユニット(スピンモータ23)および下面ノズル12は、処理液を固化または硬化させて固体(処理膜100)を形成する固体形成ユニットに含まれる。
加熱工程では、基板W上の処理液の温度が溶媒の沸点未満となるように、基板Wが加熱されることが好ましい。処理液を、溶媒の沸点未満の温度に加熱することにより、処理膜100中に溶媒を適度に残留させることができる。これにより、処理膜100内に溶媒が残留していない場合と比較して、その後の除去工程(ステップS9)において、処理膜100中に残留した溶媒と、剥離液との相互作用によって、剥離液を処理膜100になじませやすい。したがって、剥離液で処理膜100を剥離しやすくなる。
遠心力によって基板W外に飛散した熱媒は、第1ガード71Aによって受けられる。第1ガード71Aによって受けられた熱媒は、第1ガード71Aから跳ね返る場合がある。しかしながら、対向部材6は、基板Wの上面に近接しているため、第1ガード71Aから跳ね返った熱媒から基板Wの上面を保護することができる。したがって、処理膜100の上面への熱媒の付着を抑制することができるので、第1ガード71Aからの熱媒の跳ね返りに起因するパーティクルの発生を抑制できる。
さらに、中央ノズル11からの気体の供給によって、対向部材6の対向面6aと基板Wの上面との間の空間には、基板Wの上面の中央領域から基板Wの上面の周縁に向けて移動する気流Fが形成される。基板Wの上面の中央領域から基板Wの上面の周縁に向けて移動する気流Fを形成することによって、第1ガード71Aから跳ね返った熱媒を第1ガード71Aに向けて押し戻すことができる。したがって、処理膜100の上面への熱媒の付着を一層抑制することができる。
次に、緩衝工程(ステップS8)が実行される。具体的には、熱媒バルブ88が閉じられる。これにより、基板Wの下面に対する熱媒の供給が停止される。そして、気体バルブ55が閉じられる。これにより、対向部材6の対向面6aと基板Wの上面との間の空間への気体の供給が停止される。
そして、対向部材昇降ユニット61が対向部材6を上位置に移動させる。そして、図5Dに示すように、第3ノズル移動ユニット38が、第3移動ノズル10を処理位置に移動させる。第3移動ノズル10の処理位置は、たとえば、中央位置である。緩衝工程において、基板Wは、所定の緩衝回転速度、たとえば、800rpmで回転される。
そして、上側緩衝液バルブ53が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第3移動ノズル10から緩衝液が供給(吐出)される(緩衝液供給工程、緩衝液吐出工程)。基板Wの上面に供給された緩衝液は、遠心力により、基板Wの上面の全体に広がる。基板Wの上面への緩衝液の供給は、所定時間、たとえば、60秒間継続される。
次の除去工程(ステップS9)で基板Wに供給される剥離液は、その濃度が高い場合に、とりわけ、剥離液の供給開始時に、基板Wの上面に局所的に作用することがある。そこで、剥離液に先立って緩衝液を基板Wの上面に供給することによって、処理膜100に対する剥離液の作用が緩衝される。これにより、基板Wの上面に剥離液が局所的に作用することを回避できるため、基板Wの上面の全体に万遍なく剥離液を作用させることができる。
次に、図5Eを参照して、除去工程(ステップS9)が実行される。除去工程において、基板Wは、所定の除去回転速度、たとえば、800rpmで回転される。
そして、上側緩衝液バルブ53が閉じられる。これにより、基板Wの上面に対する緩衝液の供給が停止される。そして、上側剥離液バルブ52が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第3移動ノズル10から剥離液が供給(吐出)される(上側剥離液供給工程、上側剥離液吐出工程)。基板Wの上面に供給された剥離液は、遠心力により、基板Wの上面の全体に広がる。基板Wの上面への剥離液の供給は、所定時間、たとえば、60秒間継続される。
基板Wの上面に剥離液が供給されることによって、基板Wの上面から処理膜100が剥離される。処理膜100は、基板Wの上面から剥離される際に分裂して膜片となる。そして、分裂した処理膜100の膜片は、基板Wの回転に伴う遠心力を受け、剥離液とともに基板W外へ排除される。これにより、基板Wの上面から処理膜100とともに除去対象物が除去される。
ここで、図5Aに示す処理液供給工程(ステップS5)で基板Wの上面に供給された処理液は、基板Wの周縁を伝って基板Wの下面に回り込むことがある。また、基板Wから飛散した処理液が、第1ガード71Aから跳ね返って基板Wの下面に付着することがある。このような場合であっても、図5Cに示すように、加熱工程(ステップS7)において基板Wの下面に熱媒が供給されるので、その熱媒の流れによって、基板Wの下面から処理液を排除することができる。
さらに、処理液供給工程(ステップS5)に起因して基板Wの下面に付着した処理液が固化または硬化して固体を形成することがある。このような場合であっても、図5Eに示すように、除去工程(ステップS9)において基板Wの上面に剥離液が供給されている間、下側剥離液バルブ87を開いて下面ノズル12から基板Wの下面に剥離液を供給(吐出)することによって、その固体を基板Wの下面から剥離することができる(下側剥離液供給工程、下側剥離液吐出工程)。
さらに、図5Dに示すように緩衝工程(ステップS8)において基板Wの上面に緩衝液が供給されている間、下側リンス液バルブ86を開いて下面ノズル12から基板Wの下面に緩衝液としてのリンス液を供給(吐出)すれば、基板Wの下面に供給される剥離液の作用を緩衝することができる(下側緩衝液供給工程、下側緩衝液吐出工程)。
次に、第2リンス工程(ステップS10)が実行される。具体的には、上側剥離液バルブ52および下側剥離液バルブ87が閉じられる。これにより、基板Wの上面および下面に対する剥離液の供給が停止される。そして、第3ノズル移動ユニット38が、第3移動ノズル10をホーム位置に移動させる。
そして、図5Fに示すように、対向部材昇降ユニット61が、対向部材6を処理位置に移動させる。第2リンス工程において、基板Wは、所定の第2リンス回転速度、たとえば、800rpmで回転される。第1ガード71Aおよび第2ガード71Bは、上位置に維持される。
そして、上側リンス液バルブ54が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、中央ノズル11からリンス液が供給(吐出)される(第2上側リンス液供給工程、第2上側リンス液吐出工程)。基板Wの上面に供給されたリンス液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面に付着していた剥離液がリンス液で洗い流される。
そして、下側リンス液バルブ86が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの下面の中央領域に向けて、下面ノズル12からリンス液が供給(吐出)される(第2下側リンス液供給工程、第2下側リンス液吐出工程)。これにより、基板Wの下面に付着していた剥離液がリンス液で洗い流される。基板Wの上面および下面へのリンス液の供給は、所定時間、たとえば、35秒間継続される。
次に、第2有機溶剤供給工程(ステップS11)が実行される。具体的には、ガード昇降ユニット74が第1ガード71Aを下位置に移動させる。そして、対向部材6は、処理位置に維持される。第2有機溶剤供給工程において、基板Wは、所定の第2有機溶剤回転速度、たとえば、300rpmで回転される。
そして、上側リンス液バルブ54および下側リンス液バルブ86が閉じられる。これにより、基板Wの上面および下面に対するリンス液の供給が停止される。そして、図5Gに示すように、有機溶剤バルブ56が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、中央ノズル11から有機溶剤が供給(吐出)される(第2有機溶剤供給工程、第2有機溶剤吐出工程、残渣除去液供給工程)。基板Wの上面への有機溶剤の供給は、所定時間、たとえば、30秒間継続される。
基板Wの上面に供給された有機溶剤は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面のリンス液が有機溶剤で置換される。基板Wの上面に供給された有機溶剤は、基板Wの上面に残る処理膜100の残渣を溶解したのち、基板Wの上面の周縁から排出される(残渣除去工程)。
次に、スピンドライ工程(ステップS12)が実行される。具体的には、図5Hを参照して、有機溶剤バルブ56が閉じられる。これにより、基板Wの上面への有機溶剤の供給が停止される。そして、対向部材昇降ユニット61が、対向部材6を処理位置よりも下方の乾燥位置に移動させる。対向部材6が乾燥位置に位置するとき、対向部材6の対向面6aと基板Wの上面との間の距離は、たとえば、1.5mmである。
そして、スピンモータ23が基板Wの回転を加速し、基板Wを高速回転させる。スピンドライ工程において基板Wは、乾燥速度、たとえば、1500rpmで回転される。スピンドライ工程は、所定時間、たとえば、30秒間実行される。それによって、大きな遠心力が基板W上の有機溶剤に作用し、基板W上の有機溶剤が基板Wの周囲に振り切られる。
そして、スピンモータ23が基板Wの回転を停止させる。ガード昇降ユニット74が第1ガード71Aおよび第2ガード71Bを下位置に移動させる。気体バルブ55が閉じられる。対向部材昇降ユニット61が対向部材6を上位置に移動させる。
搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック5のチャックピン20から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(ステップS13)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
次に、図6A〜図6Dを参照して、処理膜100が基板Wから剥離されるときの様子について説明する。図6Aは、薄膜化工程(ステップS6)後の基板Wの上面付近の様子を示している。図6Bは、加熱工程(ステップS7)後の基板Wの上面付近の様子を示している。図6Cおよび図6Dは、除去工程(ステップS9)実行中の基板Wの上面付近の様子を示している。
処理液供給工程(ステップS5)において基板Wの上面に処理液膜101が形成されることによって、基板Wの上面に存在する除去対象物103に処理液が接触する。そのため、図6Aに示すように、薄膜化工程(ステップS6)によって処理液膜101が薄膜化された後も、処理液は除去対象物103に接触した状態で維持される。
加熱工程(ステップS7)では、処理液を除去対象物103に接触させた状態で、基板W上の処理液膜101が加熱されて固化または硬化される。これにより、図6Bに示すように、除去対象物103を保持した処理膜100が形成される。詳しくは、溶媒の少なくとも一部が蒸発することによって、処理液の溶質に含まれる第1成分が第1固体110を形成し、処理液の溶質に含まれる第2成分が第2固体111を形成する。
除去対象物103を保持する処理膜100が形成されることによって、除去対象物103の見かけのサイズが、厚さ方向Tにおける処理膜100の厚さDに拡大される(除去対象物拡大工程)。除去対象物103の見かけのサイズとは、除去対象物103が他の固体(処理膜100)と一体化されたときの除去対象物103および処理膜100の全体の厚さ方向Tにおけるサイズである。
そして、図6Cを参照して、除去工程において、処理膜100が部分的に溶解される。基板Wの上面に剥離液が供給されると、第2成分よりも剥離液に対する溶解性が高い第1成分によって形成されている第1固体110が主に溶解される。これにより、処理膜100において第1固体110が偏在している部分に貫通孔102が形成される(貫通孔形成工程)。
貫通孔102は、特に、基板Wの厚さ方向T(処理膜100の厚さ方向でもある)に第1固体110が延びている部分に形成されやすい。貫通孔102は、平面視で、たとえば、直径数nmの大きさである。
第2固体111も剥離液に溶解される。しかし、剥離液に対する第2成分の溶解性は第1成分の溶解性よりも低いため、第2固体111は、剥離液によってその表面付近が僅かに溶解されるだけである。そのため、貫通孔102を介して基板Wの上面付近まで到達した剥離液は、第2固体111において基板Wの上面付近の部分を僅かに溶解させる。これにより、図6Cの拡大図に示すように、剥離液が、基板Wの上面付近の第2固体111を徐々に溶解させながら、処理膜100と基板Wの上面との間の隙間G1に進入していく(剥離液進入工程)。
そして、たとえば、貫通孔102の周縁を起点として処理膜100が分裂して膜片となり、図6Dに示すように、処理膜100の膜片が除去対象物103を保持した状態で基板Wから剥離される(処理膜分裂工程、剥離工程)。
そして、処理膜100が剥離液に流されて基板W外に排除されることによって、処理膜100とともに除去対象物103が基板Wの上面から除去される。すなわち、除去対象物103の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら、除去対象物103が基板Wの上面から除去される(除去工程)。
次に、基板Wの上面を流れる剥離液から除去対象物103が受けるエネルギーについて説明する。基板Wの上面を流れる剥離液の流速は、その剥離液の粘性の影響を受ける。そのため、基板Wの上面に沿う方向における剥離液の流速は、基板Wの上面から充分に離れた位置よりも基板Wの上面近傍において小さくなる。
剥離液の流れにおいて、剥離液の粘性の影響を強く受ける層のことを境界層BLという。基板Wの厚さ方向T(剥離液の流れる方向に対する直交方向)における境界層BLの大きさを、境界層厚さδという。
図7は、基板Wの上面に沿う剥離液の流れにおける境界層厚さδと除去対象物103の大きさとを比較するための模式図である。図8は、基板Wの上面に沿って流れる剥離液の流速と境界層厚さδとの関係を示すグラフである。図8では、横軸が剥離液の流速Vを示しており、縦軸が境界層厚さδを示している。
境界層BLの外側における剥離液の流速をVとすると、流速Vにおける境界層厚さδは、下記式(1)で表される。αは、係数である。vは、剥離液の動粘度を示している。xは、基板Wの上面の任意の位置を原点としたときの、当該原点と剥離液が流れる方向に沿って当該原点から離間した位置との間の距離である。
Figure 2019212697
図7に実線で示すように、基板Wの厚さ方向Tにおける除去対象物103のサイズd1(除去対象物103が球体の場合は直径)が境界層厚さδ以下である場合、基板Wの上面に付着した除去対象物103は、流速Vよりも小さい流速の剥離液流からエネルギーを受ける。
一方、図7に二点鎖線で示すように、基板Wの厚さ方向Tにおける除去対象物103のサイズd2が境界層厚さδよりも大きい場合、基板Wの上面に付着した除去対象物103は、流速Vよりも小さい流速の剥離液流に加えて、流速Vの剥離液流からもエネルギーを受ける。すなわち、基板Wの厚さ方向Tにおける除去対象物103のサイズd2が境界層厚さδよりも大きい場合、基板Wの上面に付着した除去対象物103は、基板Wの上面から剥離するために充分なエネルギーを剥離液から受けられる可能性が高い。
しかし、図8に示すように、基板Wの上面に存在する一般的な除去対象物103のサイズd1は、50nmよりも小さい。また、基板Wの上面に沿って流れる剥離液の流速Vが0m/sよりも大きく100m/sよりも小さい場合(0m/s<V<100m/s)、境界層厚さδは、50nmよりも大きい。基板Wの上面を流れる剥離液の流速Vは、一般的に、0m/sよりも大きく100m/sよりも小さい。
したがって、基板Wの上面に存在する一般的な除去対象物103のサイズd1は、剥離液の流速Vにかかわらず、境界層厚さδよりも遥かに小さい。これでは、基板Wの上面に存在する除去対象物103は、基板Wの上面に沿って流れる剥離液から充分なエネルギーを受けることができないおそれがある。
そこで、本実施形態によれば、除去対象物103に接触させた状態で処理液を固化または硬化させて処理膜100を形成することによって、除去対象物103の見かけのサイズが拡大される。処理膜100が形成されることによって、基板Wの厚さ方向Tにおける除去対象物103の見かけのサイズは、処理膜100の厚さDとなるため、元の大きさの除去対象物103よりも大きい。そのため、見かけのサイズが拡大された除去対象物103は、元の大きさの除去対象物103よりも基板Wの上面から離れた位置に達する。
そのため、基板Wの上面に沿って流れる剥離液から除去対象物103が受けるエネルギーを大きくすることができる。したがって、処理膜100に保持された除去対象物103が基板Wから剥離しやすくなる。
そして、除去対象物103は、見かけのサイズが拡大された状態で基板Wから剥離されて剥離液とともに基板Wの上面から除去される。そのため、除去対象物103が基板Wの上面から剥離された後においても、基板Wの上面を流れる剥離液から除去対象物103が受けるエネルギーが増大された状態を維持することができる。
その結果、基板Wの上面に存在する除去対象物103を効率良く除去することができる。
また、基板Wの上面から剥離した処理膜100は、除去対象物103とともに基板Wの上面から浮き上がるので、剥離液内で基板Wの上面から一層離間する。そのため、基板Wの上面から剥離した処理膜100は、一層流速が大きい剥離液からエネルギーを受ける可能性が高い。したがって、基板Wの上面から剥離した処理膜100は、剥離液によって基板W外に流されやすい。
また、前述したように、基板Wの厚さ方向Tにおいて、基板Wの上面から境界層厚さδよりも離れた位置においては、剥離液の粘性に起因する基板Wの上面に沿って流れる剥離液の流速の低減が実質的に生じない。図6Bに示すように、加熱工程(ステップS7)後の除去対象物103の見かけのサイズ(処理膜100の厚さD)が境界厚さδよりも大きければ(D>δ)、除去対象物103が基板Wの上面を流れる剥離液から受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。したがって、除去対象物103を、基板Wから剥離しやすくすることができ、かつ、剥離液とともに基板W外へ速やかに排除することができる。
また、この実施形態によれば、剥離液によって処理膜100を部分的に溶解することによって、処理膜100に貫通孔102が形成される。そのため、剥離液が基板Wの上面付近に到達しやすくなる。そのため、処理膜100と基板Wとの界面に剥離液を作用させて処理膜100を基板Wから効率良く剥離することができる。その一方で、処理膜100において貫通孔102が形成された部分以外の部分(第2固体111)は、剥離液に溶解されずに固体状態で維持されるため、剥離液中においても除去対象物103の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。したがって、除去対象物103を基板Wの上面から効率良く剥離しつつ、剥離液の流れから除去対象物103が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
また、この実施形態によれば、貫通孔102を介して処理膜100と基板Wの上面との間に剥離液が進入する。そのため、処理膜100と基板Wとの界面に剥離液を作用させて処理膜100を基板Wの上面から一層効率良く剥離することができる。
また、この実施形態によれば、第1成分は剥離液に対する溶解性が第2成分よりも高い。そのため、第1成分によって形成される第1固体110は、第2成分によって形成される第2固体111よりも剥離液に溶解しやすい。そのため、基板Wの上面に剥離液を供給することで、剥離液は、主に第1固体110を溶解して基板Wの上面付近に到達する。したがって、剥離液を処理膜100と基板Wとの界面に剥離液を作用させることができる。その一方で、第2固体111は、その大部分が剥離液に溶解されずに固体状態で維持される。そのため、除去対象物103が第2固体111に保持された状態、すなわち、除去対象物103の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。
その結果、除去対象物103を基板Wの上面から効率良く剥離しつつ、基板Wの上面を流れる剥離液から除去対象物103が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
また、この実施形態では、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い。そのため、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜100において剥離液によって溶解される部分を少なくすることができる。したがって、処理膜100の部分的な溶解に伴って処理膜100から離脱する除去対象物103を少なくできる。その結果、大部分の除去対象物103は、処理膜100とともに基板Wの上面から除去できるので、基板Wへの再付着を抑制しながら、除去対象物103を効率的に基板W外に排除できる。
さらに、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜100において剥離液によって溶解される部分を少ないため、処理膜100を比較的大きい膜片に分裂させることができる。処理膜100が比較的大きい膜片に分裂されるので、膜片は、剥離液の流れから力を受ける表面積を増やすことができる。したがって、剥離液の流れに乗って基板W外に排出されやすい。したがって、除去対象物103を処理膜100とともに基板Wから効率良く除去することができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、基板処理装置1では、薬液供給工程(ステップS2)、第1リンス工程(ステップS3)および第1有機溶剤供給工程(ステップS4)が省略された基板処理が行われてもよい。
また、上述の実施形態における基板処理では、処理膜形成工程(ステップS6およびステップS7)において、熱媒による基板Wの加熱によって処理液の溶媒が蒸発した。しかしながら、基板Wは、熱媒の供給に限られず、たとえば、スピンベース21や対向部材6に内蔵されたヒータ等(図示せず)によって加熱されてもよい。この場合、当該ヒータが、基板加熱ユニットおよび蒸発ユニット(蒸発促進ユニット)として機能する。
また、処理膜100の形成には、必ずしも基板Wの加熱を行う必要はない。すなわち、薄膜化工程(ステップS6)において、溶媒が充分に揮発(蒸発)した場合には、その後の加熱工程(ステップS7)は、実行しなくてもよい。とくに、処理膜100の内部に溶媒を残留させてもよい場合には、基板Wを加熱させなくても所望の度合まで溶媒を蒸発させやすい。
また、上述した基板処理において、緩衝工程(ステップS8)を省略することも可能である。
また、上述した各実施形態では、処理液における第2成分の含有量は、処理液における第1成分の含有量よりも多い。しかしながら、処理液における第2成分の含有量は、処理液における第1成分の含有量よりも少なくてもよい。
この場合、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い構成と比較して、処理膜100において剥離液によって溶解される部分を多くすることができる。そのため、処理膜100を比較的細かい膜片に分裂させることができる。処理膜100が比較的細かい膜片に分裂されるので、膜片は、剥離液の流れから受ける力を受けて浮きやすく剥離液の流れに乗って基板W外に排出されやすい。したがって、処理膜100を基板Wから効率良く除去することができる。
また、上述した実施形態では、処理液に含まれる溶質の各成分(第1成分および第2成分)は、合成樹脂である。しかしながら、溶質の各成分は、必ずしも合成樹脂である必要はなく、処理液に含まれる溶媒によって溶解され、剥離液による溶解性が第2成分よりも第1成分の方が高くなるものであればよい。そうであるならば、溶質の各成分は、たとえば、金属や塩であってもよい。
また、上述した実施形態では、処理液に含まれる溶質には、第1成分および第2成分が含まれる。しかしながら、溶質は、単一の成分を含むように構成されていてもよいし、剥離液に対する溶解性が互いに異なる3つ以上の成分を含んでいてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
1 :基板処理装置
3 :コントローラ
9 :第2移動ノズル(処理液供給ユニット)
10 :第3移動ノズル(剥離液供給ユニット)
12 :下面ノズル(固体形成ユニット)
23 :スピンモータ(固体形成ユニット)
100 :処理膜
103 :除去対象物
110 :第1固体
111 :第2固体
T :厚さ方向
δ :境界層厚さ

Claims (18)

  1. 処理液を基板の表面に供給する処理液供給工程と、
    前記基板の表面に供給された前記処理液を、前記基板の表面に存在する除去対象物に接触させた状態で固化または硬化させることによって、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する除去対象物拡大工程と、
    前記基板の表面に剥離液を供給して、見かけのサイズが拡大された前記除去対象物を前記基板の表面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する除去工程とを含む、基板処理方法。
  2. 前記除去対象物拡大工程が、前記基板の厚さ方向において、前記基板の表面に沿う前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する工程を含む、請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記除去対象物拡大工程が、前記基板の表面に供給された前記処理液を固化または硬化させて前記除去対象物を保持する処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程を含み、
    前記除去工程が、前記処理膜とともに前記除去対象物を前記基板の表面から剥離する工程を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
  4. 前記除去工程が、前記剥離液によって前記処理膜を部分的に溶解して前記処理膜に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含む、請求項3に記載の基板処理方法。
  5. 前記除去工程が、前記貫通孔を介して前記処理膜と前記基板の表面との間に前記剥離液を進入させる剥離液進入工程をさらに含む、請求項4に記載の基板処理方法。
  6. 前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有し、
    前記処理膜形成工程が、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを有する前記処理膜を形成する工程を含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
  7. 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い、請求項6に記載の基板処理方法。
  8. 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が少ない、請求項6に記載の基板処理方法。
  9. 前記第1成分および前記第2成分が、合成樹脂である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
  10. 処理液を基板の表面に供給する処理液供給ユニットと、
    前記処理液を固化または硬化させる固体形成ユニットと、
    前記基板の表面に剥離液を供給する剥離液供給ユニットと、
    前記処理液供給ユニット、前記固体形成ユニットおよび前記剥離液供給ユニットを制御するコントローラとを含み、
    前記コントローラが、前記処理液供給ユニットから前記基板の表面に前記処理液を供給する処理液供給工程と、前記基板の表面に供給された前記処理液を前記固体形成ユニットに固化または硬化させることによって、前記基板の表面に存在する除去対象物の見かけのサイズを拡大する除去対象物拡大工程と、前記基板の表面に剥離液を供給して、見かけのサイズが拡大された前記除去対象物を前記基板の表面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する除去工程とを実行するようにプログラムされている、基板処理装置。
  11. 前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の厚さ方向において、前記基板の表面に沿う前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大するようにプログラムされている、請求項10に記載の基板処理装置。
  12. 前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の表面に供給された前記処理液を固化または硬化させて前記除去対象物を保持する処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程を実行し、かつ、前記除去工程において、前記処理膜とともに前記除去対象物を前記基板の表面から剥離するようにプログラムされている、請求項10または11に記載の基板処理装置。
  13. 前記コントローラが、前記除去工程において、前記剥離液に前記処理膜を部分的に溶解させて前記処理膜に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を実行するようにプログラムされている、請求項12に記載の基板処理装置。
  14. 前記コントローラが、前記除去工程において、前記貫通孔を介して前記処理膜と前記基板の表面との間に前記剥離液を進入させるようにプログラムされている、請求項13に記載の基板処理装置。
  15. 前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有し、
    前記コントローラが、前記処理膜形成工程において、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを含む前記処理膜を形成するようにプログラムされている、請求項12〜14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  16. 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い、請求項15に記載の基板処理装置。
  17. 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が少ない、請求項15に記載の基板処理装置。
  18. 前記第1成分および前記第2成分が、合成樹脂である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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