JP2019212697A - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
洗浄工程では、脱イオン水(DIW:Deionized Water)等の洗浄液を基板に供給することにより、除去対象物を洗浄液の物理的作用によって除去する手法が一般的である。下記特許文献1には、DIWを基板の表面に供給することによって、基板上から除去対象物を除去する方法が記載されている。
基板の表面を流れる洗浄液の流速は、その洗浄液の粘性の影響を受ける。詳しくは、基板の表面を流れる洗浄液は、その洗浄液の粘性に起因して基板に引っ張られる。そのため、基板の表面に沿う方向における洗浄液の流速は、基板の表面から充分に離れた位置よりも基板の表面近傍において小さくなる。
そこで、特許文献2では、基板の上面に、溶質および揮発性を有する溶媒を含む処理液を供給し、当該処理液を固化または硬化させた処理膜を形成した後に、当該処理膜を溶解して除去する手法が提案されている。
そこで、この発明の1つの目的は、基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
この発明の一実施形態では、前記除去対象物拡大工程が、前記除去対象物の見かけのサイズが前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも前記基板の厚さ方向において大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する工程を含む。
基板の厚さ方向において境界層厚さよりも基板の表面に近い位置では、剥離液の粘性に起因して剥離液の流速が低減される。基板の厚さ方向において境界層厚さよりも基板の表面から離れた位置では、流速への剥離液の粘性の影響を充分に抑制できる。そこで、除去対象物の見かけのサイズが、剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きければ、基板の表面を流れる剥離液から除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。したがって、除去対象物を、基板から剥離しやすくすることができ、かつ、剥離液とともに基板外へ速やかに排除することができる。
この方法によれば、処理液を固化または硬化することによって、処理膜を基板の表面に形成することができる。除去対象物は、処理膜によって保持されるので、除去対象物の見かけのサイズを処理膜の大きさに拡大することができる。そして、処理膜とともに除去対象物を剥離することによって、見かけのサイズが処理膜の大きさに拡大された状態を維持しながら基板の表面から除去対象物を除去できる。したがって、剥離液の流れから除去対象物が受けるエネルギーを充分に大きくすることができる。
この発明の一実施形態では、前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有する。そして、前記処理膜形成工程が、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを有する前記処理膜を形成する工程を含む。
この発明の一実施形態では、前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い。
この方法によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を少なくすることができる。そのため、処理膜の部分的な溶解に伴って処理膜から離脱する除去対象物を少なくできる。したがって、大部分の除去対象物は、処理膜とともに基板の表面から除去できるので、基板への再付着を抑制しながら、除去対象物を効率的に基板外に排除できる。
この方法によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を多くすることができる。そのため、処理膜を比較的細かい膜片に分裂させることができる。処理膜が比較的細かい膜片に分裂されるので、膜片は、剥離液の流れから受ける力を受けて浮きやすく剥離液の流れに乗って基板外に排出されやすい。したがって、処理膜とともに除去対象物を基板から効率良く除去することができる。
この発明の一実施形態は、処理液を基板の表面に供給する処理液供給ユニットと、前記処理液を固化または硬化させる固体形成ユニットと、前記基板の表面に剥離液を供給する剥離液供給ユニットと、前記処理液供給ユニット、前記固体形成ユニットおよび前記剥離液供給ユニットを制御するコントローラとを含む基板処理装置を提供する。
この発明の一実施形態では、前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の厚さ方向において、前記基板の表面に沿う前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大するようにプログラムされている。
この発明の一実施形態では、前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有する。そして、前記コントローラが、前記処理膜形成工程において、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを含む前記処理膜を形成するようにプログラムされている。
この発明の一実施形態では、前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い。
この構成によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を少なくすることができる。そのため、処理膜の部分的な溶解に伴って処理膜から離脱する除去対象物を少なくできる。したがって、大部分の除去対象物は、処理膜とともに基板の表面から除去できるので、基板への再付着を抑制しながら、除去対象物を効率的に基板外に排除できる。
この構成によれば、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い構成と比較して、処理膜において剥離液によって溶解される部分を多くすることができる。そのため、処理膜を比較的細かい膜片に分裂させることができる。処理膜が比較的細かい膜片に分裂されるので、膜片は、剥離液の流れから受ける力を受けて浮きやすく剥離液の流れに乗って基板外に排出されやすい。したがって、処理膜とともに除去対象物を基板から効率良く除去することができる。
図1は、この発明の一実施形態にかかる基板処理装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。
搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。詳しくは後述するが、処理ユニット2内で基板Wに供給される処理流体には、薬液、リンス液、処理液、剥離液、熱媒、不活性ガス等が含まれる。
スピンチャック5は、基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに回転させる。スピンチャック5は、複数のチャックピン20と、スピンベース21と、回転軸22と、スピンモータ23とを含む。
対向部材6において対向面6aとは反対側には、中空軸60が固定されている。対向部材6において平面視で回転軸線A1と重なる部分には、対向部材6を上下に貫通し、中空軸60の内部空間60aと連通する連通孔6bが形成されている。
処理ユニット2は、対向部材6の昇降を駆動する対向部材昇降ユニット61をさらに含む。対向部材昇降ユニット61は、下位置から上位置までの任意の位置(高さ)に対向部材6を位置させることができる。下位置とは、対向部材6の可動範囲において、対向面6aが基板Wに最も近接する位置である。上位置とは、対向部材6の可動範囲において対向面6aが基板Wから最も離間する位置である。
処理カップ7は、スピンチャック5に保持された基板Wから外方に飛散する液体を受け止める複数のガード71と、複数のガード71によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ72と、複数のガード71と複数のカップ72とを取り囲む円筒状の外壁部材73とを含む。
第1カップ72Aおよび第2カップ72Bのそれぞれは、上向きに開放された環状溝の形態を有している。
第1ガード71Aおよび第2ガード71Bは、それぞれ、ほぼ円筒形状を有しており、各ガード71A,71Bの上端部は、スピンベース21に向かうように内方に傾斜している。
処理ユニット2は、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bをそれぞれ別々に昇降させるガード昇降ユニット74を含む。ガード昇降ユニット74は、下位置と上位置との間で第1ガード71Aを昇降させる。ガード昇降ユニット74は、下位置と上位置との間で第2ガード71Bを昇降させる。
ガード昇降ユニット74は、たとえば、第1ガード71Aに結合された第1ボールねじ機構(図示せず)と、第1ボールねじに駆動力を与える第1モータ(図示せず)と、第2ガード71Bに結合された第2ボールねじ機構(図示せず)と、第2ボールねじ機構に駆動力を与える第2モータ(図示せず)とを含む。
第1移動ノズル8は、第1ノズル移動ユニット36によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第1移動ノズル8は、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。第1移動ノズル8は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。基板Wの上面の回転中心とは、基板Wの上面における回転軸線A1との交差位置である。
第1ノズル移動ユニット36は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸(図示せず)と、回動軸に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含む。
第1移動ノズル8は、薬液を案内する薬液配管40に接続されている。薬液配管40に介装された薬液バルブ50が開かれると、薬液が、第1移動ノズル8から下方に連続的に吐出される。
第2移動ノズル9は、第2ノズル移動ユニット37によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第2移動ノズル9は、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。第2移動ノズル9は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。
第2ノズル移動ユニット37は、第1ノズル移動ユニット36と同様の構成を有している。すなわち、第2ノズル移動ユニット37は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸(図示せず)と、回動軸および第2移動ノズル9に結合されて水平に延びるアーム(図示せず)と、回動軸を昇降させたり回動させたりする回動軸駆動ユニット(図示せず)とを含む。
第2移動ノズル9から吐出される処理液は、溶質および溶媒を含んでいる。この処理液は、溶媒の少なくとも一部が揮発することによって固化または硬化される。この処理液は、基板W上で固化または硬化することによって、基板W上に存在するパーティクル等の除去対象物を保持する処理膜を形成する。
第2移動ノズル9から吐出される処理液中の溶質には、第1成分および第2成分が含まれている。処理液に含まれる第1成分の量(含有量)は、処理液に含まれる第2成分の量(含有量)よりも少ない。
溶質として用いられる合成樹脂の例としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド等が挙げられる。
第3移動ノズル10は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて剥離液を供給(吐出)する剥離液供給ユニットの一例であり、この実施形態では、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて緩衝液を供給(吐出)する緩衝液供給ユニットの一例でもある。
第3移動ノズル10は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心に対向する。第3移動ノズル10は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。第3移動ノズル10は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
第3移動ノズル10は、第3移動ノズル10に緩衝液を案内する上側緩衝液配管43にも接続されている。上側緩衝液配管43に介装された上側緩衝液バルブ53が開かれると、緩衝液が、第3移動ノズル10の吐出口から下方に連続的に吐出される。
緩衝液の例としては、DIW、炭酸水、電解イオン水、希釈濃度(たとえば、1ppm〜100ppm程度)の塩酸水、希釈濃度(たとえば、1ppm〜100ppm程度)のアンモニア水、還元水(水素水)等が挙げられる。すなわち、緩衝液としては、リンス液と同様の液体を用いることができる。
中央ノズル11は、流体を下方に吐出する複数のチューブ31〜33(第1チューブ31、第2チューブ32および第3チューブ33)と、複数のチューブ31〜33を取り囲む筒状のケーシング30とを含む。複数のチューブ31〜33およびケーシング30は、回転軸線A1に沿って上下方向に延びている。中央ノズル11の吐出口11aは、複数のチューブ31〜33の吐出口でもある。
第1チューブ31は、リンス液を第1チューブ31に案内する上側リンス液配管44に接続されている。上側リンス液配管44に介装された上側リンス液バルブ54が開かれると、リンス液が、第1チューブ31(中央ノズル11)から基板Wの上面の中央領域に向けて連続的に吐出される。リンス液は、緩衝液と同様の液体であるため、第1チューブ31は、緩衝液供給ユニットの一例でもある。
第2チューブ32から吐出される気体は、たとえば、窒素ガス(N2)等の不活性ガスである。第2チューブ32から吐出される気体は、空気であってもよい。不活性ガスとは、窒素ガスに限られず、基板Wの上面や、基板Wの上面に形成されたパターンに対して不活性なガスのことである。不活性ガスの例としては、窒素ガスの他に、アルゴン等の希ガス類が挙げられる。
第3チューブ33から吐出される有機溶剤は、剥離液によって処理膜を除去した後の基板Wの上面に残る残渣を除去する残渣除去液である。第3チューブ33から吐出される有機溶剤は、処理液およびリンス液との相溶性を有することが好ましい。
また、第3チューブ33から吐出される有機溶剤は、単体成分のみからなる必要はなく、他の成分と混合した液体であってもよい。たとえば、IPAとDIWとの混合液であってもよいし、IPAとHFEとの混合液であってもよい。
下側リンス液配管81に介装された下側リンス液バルブ86が開かれると、リンス液が、下面ノズル12から基板Wの下面の中央領域に向けて連続的に吐出される。下側剥離液配管82に介装された下側剥離液バルブ87が開かれると、剥離液が、下面ノズル12から基板Wの下面の中央領域に向けて連続的に吐出される。熱媒配管83に介装された熱媒バルブ88が開かれると、熱媒が、下面ノズル12から基板Wの下面の中央領域に向けて連続的に吐出される。
また、下面ノズル12は、基板Wの下面に剥離液を供給する下側剥離液供給ユニットの一例である。また、下面ノズル12は、基板Wを加熱するための熱媒を基板Wに供給する熱媒供給ユニットの一例である。下面ノズル12は、基板Wを加熱する基板加熱ユニットでもある。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)3Aと、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。コントローラ3は、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
図4は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図である。図4には、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図5A〜図5Hは、前記基板処理の各工程の様子を説明するための模式図である。
そして、第1ノズル移動ユニット36が第1移動ノズル8を処理位置に移動させる。第1移動ノズル8の処理位置は、たとえば中央位置である。そして、薬液バルブ50が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第1移動ノズル8から薬液が供給(吐出)される。薬液供給工程において、基板Wは、所定の薬液回転数、たとえば、800rpmで回転される。
次に、第1リンス工程(ステップS3)が開始される。第1リンス工程では、基板W上の薬液がリンス液によって洗い流される。
下面ノズル12から基板Wの下面に供給されたリンス液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの下面の全体に行き渡る。薬液供給工程によって基板Wから飛散した薬液が下面に付着した場合であっても、下面ノズル12から供給されたリンス液によって、下面に付着した薬液が洗い流される。中央ノズル11および下面ノズル12からのリンス液の吐出は、所定時間、たとえば、30秒間継続される。
具体的には、上側リンス液バルブ54および下側リンス液バルブ86が閉じられる。これにより、基板Wの上面および下面に対するリンス液の供給が停止される。そして、ガード昇降ユニット74が、第2ガード71Bを上位置に維持した状態で、第1ガード71Aを下位置に移動させる。対向部材6は、処理位置に維持される。
中央ノズル11から基板Wの上面に供給された有機溶剤は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板W上のリンス液が有機溶剤によって置換される。中央ノズル11からの有機溶剤の吐出は、所定時間、たとえば、10秒間継続される。
処理膜形成工程では、薄膜化工程(スピンオフ工程)(ステップS6)が実行される。薄膜化工程では、まず、処理液バルブ51が閉じられる。これにより、基板Wに対する処理液の供給が停止される。そして、第2ノズル移動ユニット37によって第2移動ノズル9がホーム位置に移動される。
薄膜化工程では、スピンモータ23が、基板Wの回転速度を所定の薄膜化速度に変更する。薄膜化速度は、たとえば、300rpm〜1500rpmである。基板Wの回転速度は、300rpm〜1500rpmの範囲内で一定に保たれてもよいし、薄膜化工程の途中で300rpm〜1500rpmの範囲内で適宜変更されてもよい。薄膜化工程は、所定時間、たとえば、30秒間実行される。
具体的には、対向部材昇降ユニット61が、対向部材6を、上位置と下位置との間の近接位置に移動させる。近接位置は、下位置であってもよい。近接位置は、基板Wの上面から対向面6aまでの距離がたとえば1mmの位置である。加熱工程では、第1ガード71Aおよび第2ガード71Bが上位置に維持される。
そして、熱媒バルブ88が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの下面の中央領域に向けて、下面ノズル12から熱媒が供給(吐出)される(熱媒供給工程、熱媒吐出工程)。下面ノズル12から基板Wの下面に供給された熱媒は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの下面の全体に行き渡る。基板Wに対する熱媒の供給は、所定時間、たとえば、60秒間継続される。加熱工程において、基板Wは、所定の加熱回転速度、たとえば、1000rpmで回転される。
加熱工程では、基板W上の処理液の温度が溶媒の沸点未満となるように、基板Wが加熱されることが好ましい。処理液を、溶媒の沸点未満の温度に加熱することにより、処理膜100中に溶媒を適度に残留させることができる。これにより、処理膜100内に溶媒が残留していない場合と比較して、その後の除去工程(ステップS9)において、処理膜100中に残留した溶媒と、剥離液との相互作用によって、剥離液を処理膜100になじませやすい。したがって、剥離液で処理膜100を剥離しやすくなる。
そして、対向部材昇降ユニット61が対向部材6を上位置に移動させる。そして、図5Dに示すように、第3ノズル移動ユニット38が、第3移動ノズル10を処理位置に移動させる。第3移動ノズル10の処理位置は、たとえば、中央位置である。緩衝工程において、基板Wは、所定の緩衝回転速度、たとえば、800rpmで回転される。
そして、上側緩衝液バルブ53が閉じられる。これにより、基板Wの上面に対する緩衝液の供給が停止される。そして、上側剥離液バルブ52が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、第3移動ノズル10から剥離液が供給(吐出)される(上側剥離液供給工程、上側剥離液吐出工程)。基板Wの上面に供給された剥離液は、遠心力により、基板Wの上面の全体に広がる。基板Wの上面への剥離液の供給は、所定時間、たとえば、60秒間継続される。
次に、第2リンス工程(ステップS10)が実行される。具体的には、上側剥離液バルブ52および下側剥離液バルブ87が閉じられる。これにより、基板Wの上面および下面に対する剥離液の供給が停止される。そして、第3ノズル移動ユニット38が、第3移動ノズル10をホーム位置に移動させる。
そして、上側リンス液バルブ54が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、中央ノズル11からリンス液が供給(吐出)される(第2上側リンス液供給工程、第2上側リンス液吐出工程)。基板Wの上面に供給されたリンス液は、遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面に付着していた剥離液がリンス液で洗い流される。
そして、上側リンス液バルブ54および下側リンス液バルブ86が閉じられる。これにより、基板Wの上面および下面に対するリンス液の供給が停止される。そして、図5Gに示すように、有機溶剤バルブ56が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面の中央領域に向けて、中央ノズル11から有機溶剤が供給(吐出)される(第2有機溶剤供給工程、第2有機溶剤吐出工程、残渣除去液供給工程)。基板Wの上面への有機溶剤の供給は、所定時間、たとえば、30秒間継続される。
次に、スピンドライ工程(ステップS12)が実行される。具体的には、図5Hを参照して、有機溶剤バルブ56が閉じられる。これにより、基板Wの上面への有機溶剤の供給が停止される。そして、対向部材昇降ユニット61が、対向部材6を処理位置よりも下方の乾燥位置に移動させる。対向部材6が乾燥位置に位置するとき、対向部材6の対向面6aと基板Wの上面との間の距離は、たとえば、1.5mmである。
そして、スピンモータ23が基板Wの回転を停止させる。ガード昇降ユニット74が第1ガード71Aおよび第2ガード71Bを下位置に移動させる。気体バルブ55が閉じられる。対向部材昇降ユニット61が対向部材6を上位置に移動させる。
次に、図6A〜図6Dを参照して、処理膜100が基板Wから剥離されるときの様子について説明する。図6Aは、薄膜化工程(ステップS6)後の基板Wの上面付近の様子を示している。図6Bは、加熱工程(ステップS7)後の基板Wの上面付近の様子を示している。図6Cおよび図6Dは、除去工程(ステップS9)実行中の基板Wの上面付近の様子を示している。
加熱工程(ステップS7)では、処理液を除去対象物103に接触させた状態で、基板W上の処理液膜101が加熱されて固化または硬化される。これにより、図6Bに示すように、除去対象物103を保持した処理膜100が形成される。詳しくは、溶媒の少なくとも一部が蒸発することによって、処理液の溶質に含まれる第1成分が第1固体110を形成し、処理液の溶質に含まれる第2成分が第2固体111を形成する。
第2固体111も剥離液に溶解される。しかし、剥離液に対する第2成分の溶解性は第1成分の溶解性よりも低いため、第2固体111は、剥離液によってその表面付近が僅かに溶解されるだけである。そのため、貫通孔102を介して基板Wの上面付近まで到達した剥離液は、第2固体111において基板Wの上面付近の部分を僅かに溶解させる。これにより、図6Cの拡大図に示すように、剥離液が、基板Wの上面付近の第2固体111を徐々に溶解させながら、処理膜100と基板Wの上面との間の隙間G1に進入していく(剥離液進入工程)。
そして、処理膜100が剥離液に流されて基板W外に排除されることによって、処理膜100とともに除去対象物103が基板Wの上面から除去される。すなわち、除去対象物103の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら、除去対象物103が基板Wの上面から除去される(除去工程)。
剥離液の流れにおいて、剥離液の粘性の影響を強く受ける層のことを境界層BLという。基板Wの厚さ方向T(剥離液の流れる方向に対する直交方向)における境界層BLの大きさを、境界層厚さδという。
境界層BLの外側における剥離液の流速をVとすると、流速Vにおける境界層厚さδは、下記式(1)で表される。αは、係数である。vは、剥離液の動粘度を示している。xは、基板Wの上面の任意の位置を原点としたときの、当該原点と剥離液が流れる方向に沿って当該原点から離間した位置との間の距離である。
そこで、本実施形態によれば、除去対象物103に接触させた状態で処理液を固化または硬化させて処理膜100を形成することによって、除去対象物103の見かけのサイズが拡大される。処理膜100が形成されることによって、基板Wの厚さ方向Tにおける除去対象物103の見かけのサイズは、処理膜100の厚さDとなるため、元の大きさの除去対象物103よりも大きい。そのため、見かけのサイズが拡大された除去対象物103は、元の大きさの除去対象物103よりも基板Wの上面から離れた位置に達する。
そして、除去対象物103は、見かけのサイズが拡大された状態で基板Wから剥離されて剥離液とともに基板Wの上面から除去される。そのため、除去対象物103が基板Wの上面から剥離された後においても、基板Wの上面を流れる剥離液から除去対象物103が受けるエネルギーが増大された状態を維持することができる。
また、基板Wの上面から剥離した処理膜100は、除去対象物103とともに基板Wの上面から浮き上がるので、剥離液内で基板Wの上面から一層離間する。そのため、基板Wの上面から剥離した処理膜100は、一層流速が大きい剥離液からエネルギーを受ける可能性が高い。したがって、基板Wの上面から剥離した処理膜100は、剥離液によって基板W外に流されやすい。
また、この実施形態によれば、第1成分は剥離液に対する溶解性が第2成分よりも高い。そのため、第1成分によって形成される第1固体110は、第2成分によって形成される第2固体111よりも剥離液に溶解しやすい。そのため、基板Wの上面に剥離液を供給することで、剥離液は、主に第1固体110を溶解して基板Wの上面付近に到達する。したがって、剥離液を処理膜100と基板Wとの界面に剥離液を作用させることができる。その一方で、第2固体111は、その大部分が剥離液に溶解されずに固体状態で維持される。そのため、除去対象物103が第2固体111に保持された状態、すなわち、除去対象物103の見かけのサイズが拡大された状態を維持できる。
また、この実施形態では、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が多い。そのため、処理液中の第1成分の含有量よりも処理液中の第2成分の含有量の方が少ない構成と比較して、処理膜100において剥離液によって溶解される部分を少なくすることができる。したがって、処理膜100の部分的な溶解に伴って処理膜100から離脱する除去対象物103を少なくできる。その結果、大部分の除去対象物103は、処理膜100とともに基板Wの上面から除去できるので、基板Wへの再付着を抑制しながら、除去対象物103を効率的に基板W外に排除できる。
たとえば、基板処理装置1では、薬液供給工程(ステップS2)、第1リンス工程(ステップS3)および第1有機溶剤供給工程(ステップS4)が省略された基板処理が行われてもよい。
また、上述した各実施形態では、処理液における第2成分の含有量は、処理液における第1成分の含有量よりも多い。しかしながら、処理液における第2成分の含有量は、処理液における第1成分の含有量よりも少なくてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
3 :コントローラ
9 :第2移動ノズル(処理液供給ユニット)
10 :第3移動ノズル(剥離液供給ユニット)
12 :下面ノズル(固体形成ユニット)
23 :スピンモータ(固体形成ユニット)
100 :処理膜
103 :除去対象物
110 :第1固体
111 :第2固体
T :厚さ方向
δ :境界層厚さ
Claims (18)
- 処理液を基板の表面に供給する処理液供給工程と、
前記基板の表面に供給された前記処理液を、前記基板の表面に存在する除去対象物に接触させた状態で固化または硬化させることによって、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する除去対象物拡大工程と、
前記基板の表面に剥離液を供給して、見かけのサイズが拡大された前記除去対象物を前記基板の表面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する除去工程とを含む、基板処理方法。 - 前記除去対象物拡大工程が、前記基板の厚さ方向において、前記基板の表面に沿う前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大する工程を含む、請求項1に記載の基板処理方法。
- 前記除去対象物拡大工程が、前記基板の表面に供給された前記処理液を固化または硬化させて前記除去対象物を保持する処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程を含み、
前記除去工程が、前記処理膜とともに前記除去対象物を前記基板の表面から剥離する工程を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。 - 前記除去工程が、前記剥離液によって前記処理膜を部分的に溶解して前記処理膜に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含む、請求項3に記載の基板処理方法。
- 前記除去工程が、前記貫通孔を介して前記処理膜と前記基板の表面との間に前記剥離液を進入させる剥離液進入工程をさらに含む、請求項4に記載の基板処理方法。
- 前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有し、
前記処理膜形成工程が、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを有する前記処理膜を形成する工程を含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法。 - 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い、請求項6に記載の基板処理方法。
- 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が少ない、請求項6に記載の基板処理方法。
- 前記第1成分および前記第2成分が、合成樹脂である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- 処理液を基板の表面に供給する処理液供給ユニットと、
前記処理液を固化または硬化させる固体形成ユニットと、
前記基板の表面に剥離液を供給する剥離液供給ユニットと、
前記処理液供給ユニット、前記固体形成ユニットおよび前記剥離液供給ユニットを制御するコントローラとを含み、
前記コントローラが、前記処理液供給ユニットから前記基板の表面に前記処理液を供給する処理液供給工程と、前記基板の表面に供給された前記処理液を前記固体形成ユニットに固化または硬化させることによって、前記基板の表面に存在する除去対象物の見かけのサイズを拡大する除去対象物拡大工程と、前記基板の表面に剥離液を供給して、見かけのサイズが拡大された前記除去対象物を前記基板の表面から剥離し、前記除去対象物の見かけのサイズが拡大された状態を維持しながら前記除去対象物を基板の表面から除去する除去工程とを実行するようにプログラムされている、基板処理装置。 - 前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の厚さ方向において、前記基板の表面に沿う前記剥離液の流れにおける境界層厚さよりも大きくなるように、前記除去対象物の見かけのサイズを拡大するようにプログラムされている、請求項10に記載の基板処理装置。
- 前記コントローラが、前記除去対象物拡大工程において、前記基板の表面に供給された前記処理液を固化または硬化させて前記除去対象物を保持する処理膜を前記基板の表面に形成する処理膜形成工程を実行し、かつ、前記除去工程において、前記処理膜とともに前記除去対象物を前記基板の表面から剥離するようにプログラムされている、請求項10または11に記載の基板処理装置。
- 前記コントローラが、前記除去工程において、前記剥離液に前記処理膜を部分的に溶解させて前記処理膜に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を実行するようにプログラムされている、請求項12に記載の基板処理装置。
- 前記コントローラが、前記除去工程において、前記貫通孔を介して前記処理膜と前記基板の表面との間に前記剥離液を進入させるようにプログラムされている、請求項13に記載の基板処理装置。
- 前記処理液が、第1成分と前記第1成分よりも前記剥離液に対する溶解性が低い第2成分とを有する溶質と、前記溶質を溶解する溶媒とを有し、
前記コントローラが、前記処理膜形成工程において、前記第1成分によって形成される第1固体と前記第2成分によって形成される第2固体とを含む前記処理膜を形成するようにプログラムされている、請求項12〜14のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が多い、請求項15に記載の基板処理装置。
- 前記処理液中の前記第1成分の含有量よりも前記処理液中の前記第2成分の含有量の方が少ない、請求項15に記載の基板処理装置。
- 前記第1成分および前記第2成分が、合成樹脂である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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