以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す平断面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。また、図3は、車両用灯具10を示す正面図である。なお、図3においては、構成要素の一部を破断した状態で示している。
これらの図において、Xで示す方向が灯具としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に設けられるフォグランプであって、ランプボディとしての機能を有するハウジング12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、光源としての発光素子22とこの発光素子22からの光を配光制御するための配光制御ユニット30とが収容された構成となっている。
配光制御ユニット30は、ハウジング12に対して上下方向に回動可能に支持されている。また、発光素子22は、ハウジング12の後壁部12cに装着された光源ユニット20の一部として構成されている。
透光カバー14は、灯具正面視において横長長円形の外形形状を有するカバー本体部14Aと、その外周側に位置する外周フランジ部14Bとを備えている。 カバー本体部14Aは、球面に近い凸曲面に沿って延びるように形成されており、その左端部(灯具正面視では右端部)から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜した状態で配置されている。
外周フランジ部14Bは、カバー本体部14Aよりもひと回り大きい横長長円形の外形形状を有しているが、その左下に位置する部分には張出しフランジ部14Baが形成されている。この張出しフランジ部14Baは、水平方向および鉛直方向に延びる2つの辺を有する直角三角形の形状で外周フランジ部14Bの一般部から外周側へ張り出すように形成されている。
このように透光カバー14として、その外周フランジ部14Bに張出しフランジ部14Baが形成された構成とすることにより、透光カバー14が上下反転した状態での誤組付けが行われてしまうのを未然に防止するとともに、車両の左前端部に設けられるフォグランプ(すなわち車両用灯具10と対をなすべき灯具)との間で透光カバー14の誤組付けが行われてしまうのを未然に防止するようになっている。
ハウジング12は、灯具正面視において透光カバー14の外形形状と同一の外形形状を有している。そして、透光カバー14は、その外周フランジ部14Bの後面に形成された環状突起部14Bbがハウジング12の前端開口部に形成された環状溝部12eに挿入された状態でハウジング12に固定されている。この固定は、透光カバー14の環状突起部14Bbの先端部をハウジング12の環状溝部12eの底面部に当接させた状態で超音波溶着によって行われている。
車両用灯具10は、車両のバンパー100(図1において2点鎖線で示す部材)に埋め込まれた状態で車体側部材(図示せず)に取り付けられるようになっている。
具体的には、車両用灯具10は、透光カバー14のカバー本体部14Aを、バンパー100に形成された開口部100aに露出させた状態で、ハウジング12に形成された左右2対のブラケット12fにおいて車体側部材に取り付けられるようになっている。その際、バンパー100の開口部100aを、透光カバー14のカバー本体部14Aの外周縁形状よりも僅かに大きい横長長円形の内周縁形状で形成しておくことにより、外周フランジ部14Bの張出しフランジ部14Baの大半がバンパー100によって覆われるようにすることが可能である。
次に、配光制御ユニット30の具体的な構成およびそのハウジング12への支持構造について説明する。
配光制御ユニット30は、発光素子22からの直射光を偏向制御する投影レンズ32と、この投影レンズ32を支持するレンズホルダ34とを備えた構成となっている。
投影レンズ32は、無色透明のアクリル樹脂等で構成されており、その光軸Axは発光素子22の下方近傍において灯具前後方向に延びている。
この投影レンズ32は、前面が凸面状に形成されるとともに後面が平面状に形成されたレンズ本体部32Aと、このレンズ本体部32Aの外周側において該レンズ本体部32Aの後面と面一で環状に形成された外周フランジ部32Bとを備えている。この投影レンズ32は、灯具正面視において横長楕円形の外形形状を有しており、その左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜した状態で配置されている。そして、この投影レンズ32は、そのレンズ本体部32Aにおいて、発光素子22からの直射光を、やや下向きで車幅方向に大きく拡がる光として灯具前方へ出射させ、これによりフォグランプ用配光パターンを形成するようになっている。その際、この投影レンズ32は、該投影レンズ32からの出射光の車幅方向外側への最大拡散角度が車幅方向内側への最大拡散角度よりも大きくなるように、そのレンズ本体部32Aの表面形状が設定されている。
レンズホルダ34は、無色透明のポリカーボネート樹脂等の透明部材で構成されている。このレンズホルダ34は、投影レンズ32をその外周縁部において支持する環状の本体部分34Aが投影レンズ32の後面に沿って左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜して延びるように形成されており、その左右両側部には灯具後方へ向けて延びる1対の脚部34L、34Rが形成されている。
このレンズホルダ34による投影レンズ32の支持は、投影レンズ32がレンズホルダ34に対して4箇所において熱カシメによって固定されることにより行われている。これを実現するため、投影レンズ32の外周縁部の後面にはカシメ用突起部32aが4箇所に形成されており、レンズホルダ34の本体部分34Aには、カシメ用突起部32aを挿通させるための挿通孔34Aaが形成されている。なお、図1〜3においては、各カシメ用突起部32aを熱カシメが行われた後の状態で示している。
車両用灯具10においては、灯具前方側から透光カバー14および投影レンズ32を透して、ハウジング12の内部空間(すなわち灯室内において投影レンズ32よりも灯具後方側に位置する空間)に外部光が入射するが、投影レンズ32よりも灯具後方側には、この外部光を反射させるための反射部材36が配置されている。
この反射部材36は、レンズホルダ34に支持されている。具体的には、この反射部材36はレンズホルダ34と一体成形されており、これによりレンズホルダ34に支持された状態となっている。したがって、この反射部材36も無色透明のポリカーボネート樹脂等の透明部材で構成されている。
この反射部材36は、レンズホルダ34の本体部分34Aの外周縁部から灯具後方へ向けて光軸Ax寄りの方向へ向けて延びる環状部材として構成されている。具体的には、この反射部材36は、その前面が円錐面と楕円錐面との中間的な形状を有する曲面に沿って延びるように形成されており、その後端部には光軸Axを中心とする円形に近い内周縁形状を有する開口部36aが形成されている。その際、この反射部材36は、発光素子22から投影レンズ32へ向かう配光制御用の光が遮光されてしまわない位置関係で配置されている。
この反射部材36の後面(すなわち灯具正面視において投影レンズ32のレンズ本体部32Aの周縁部と重複する部分)には、投影レンズ32を透してハウジング12の内部空間に入射した外部光を投影レンズ32へ向けて反射させる複数の反射素子36sが形成されている。各反射素子36sは、例えば三角錐面や三角柱面等の表面形状を有しており、これにより該反射素子36sに到達した外部光を全反射させ得る構成となっている。すなわち、反射部材36は、車両用灯具10を灯具前方側から観察したとき、外部光を観察方向へ向けて全反射する角度で配置されたいくつかの反射素子36sが光って見えるように構成されている。
配光制御ユニット30は、そのレンズホルダ34の左右1対の脚部34L、34Rにおいて、ハウジング12に対して車幅方向(すなわち光軸Axと直交する水平方向)に延びる回動軸線Ax1回りに回動可能に支持されている。
これを実現するための具体的な構成は以下のとおりである。
すなわち、左右1対の脚部34L、34Rは、平面視においてレンズホルダ34の本体部分34Aの左右両側部から灯具後方へ向けて板状に延びるように形成されている。
左右1対の脚部34L、34Rは、いずれも側面視においてレンズホルダ34の本体部分34Aから灯具後方へ向けて舌片状に延びるように形成されている。また、図1に示すように、左右1対の脚部34L、34Rは、平面視において灯具前後方向に延びる鉛直面に対して灯具後方へ向けて互いに僅かに拡がる方向に延びるように形成されている。その際、レンズホルダ34の本体部分34Aが左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜しているのに伴って、右側の脚部34Rよりも左側の脚部34Lの方が長尺(具体的には2倍以上の長さ)で形成されている。そして、左側の脚部34Lの内側面(すなわち光軸Ax側に位置する側面)には、該脚部34Lの曲げ剛性を高めるための補強リブ34Lbが形成されている。
各脚部34L、34Rの後端部の外側面には、回動軸線Ax1上において外側へ突出する支点突起部34La、34Raが形成されている。各支点突起部34La、34Raは、いずれも円錐台状に形成されるとともにその基端部が円柱状に形成されているが、その基端部は右側の支点突起部34Raよりも左側の支点突起部34Laの方が長くなっている。
そして、配光制御ユニット30は、そのレンズホルダ34における右側の脚部34Rの支点突起部34Raがハウジング12の右側壁部12aに形成された支点係合凹部12a1に挿入されるとともに、その左側の脚部34Lの支点突起部34Laがハウジング12の左側壁部12bに形成された支点係合孔12b1に挿入されることによって、ハウジング12に対して回動軸線Ax1回りに回動可能に支持されるようになっている。
すなわち、右側の支点係合部を構成する支点係合凹部12a1は、ハウジング12の右側壁部12aの内側面において円錐台状の凹陥部として形成されており、左側の支点係合部を構成する支点係合孔12b1は、ハウジング12の左側壁部12bを車幅方向に貫通する円柱状の貫通孔として構成されている。
ハウジング12の左側壁部12bには、支点係合孔12b1を塞ぐためのフィルタ50がその外側面側から装着されている(これについては後述する)。
図4は、図2の要部詳細図である。
同図にも示すように、ハウジング12は、その左後端部が後面壁12cから灯具後方側へ張り出す張出し部12dとして構成されている。この張出し部12dの下壁部には、配光制御ユニット30を回動軸線Ax1回りに回動させるための光軸調整ネジ40が、鉛直方向に延びる軸線Ax2回りに回転可能に支持されている。
この光軸調整ネジ40は、樹脂製(例えばポリアミド樹脂製)の部材であって、その下端部から上端部へ向けて段階的に径が小さくなるように形成されており、その上端部にネジ部40aが形成されている。このネジ部40aはメートルネジで構成されている。そして、この光軸調整ネジ40は、そのネジ部40aを灯室内に露出させるとともに、その下端部を外部空間に露出させた状態で、その中間に位置する軸部40bにおいてハウジング12に支持されている。
この光軸調整ネジ40の下端部には、ドライバー挿入穴40cが形成されており、このドライバー挿入穴40cに図示しないドライバーを挿入して操作することにより、光軸調整ネジ40を軸線Ax2回りに回転させ得るようになっている。この光軸調整ネジ40の軸部分40bには、灯室内の気密性を確保するためのOリング42が装着されている。
レンズホルダ34には、その左側部に灯具後方へ向けて延びる突起片34Bが形成されている。この突起片34Bは、左側の脚部34Lと同一鉛直面上において板状に延びるように形成されており、その後端縁は回動軸線Ax1よりも灯具後方側(光軸調整ネジ40よりもさらに灯具後方側)に位置している。
この突起片34Bは、側面視において、レンズホルダ34の本体部分34Aから回動軸線Ax1よりも灯具後方側の位置までの部分が、略U字状のスリット34aを介して左側の脚部34Lを囲むように形成されており、それよりも灯具後方側に位置する後部領域34Baが、光軸Axと同じ高さ位置において灯具後方へ向けて略一定の上下幅で延びるように形成されている。
この突起片34Bは、その外側面(光軸Axとは反対側に位置する側面)が単一平面状に形成されているが、その内側面には後部領域34Baの途中部分に段差が形成されており、これよりも灯具後方側に位置する部分は他の一般部分よりも薄肉になっている(図1参照)。そして、この薄肉になった部分の内側面には、光軸調整ネジ40と螺合するための複数本(具体的には3本)の溝部34Ba1が形成されている。
配光制御ユニット30は、その光軸調整の基準位置となる回動基準位置にあるとき、複数本の溝部34Ba1が光軸Axと同じ高さ位置を中心にして光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合するようになっている。
各溝部34Ba1は、略楔状の鉛直断面形状で灯具前後方向に延びるように形成されており、その上下幅は光軸調整ネジ40のネジ部40aのピッチと同じ値に設定されている。
突起片34Bの後部領域34Baは、その内側面の後端縁寄りの部分が平面視においてテーパー状に形成されており、これに伴い複数本の溝部34Ba1はその後端面が側面視においてジグザグ状に形成されている。
ハウジング12の左側壁部12bの内側面は、滑らかな平面形状を維持したまま張出し部12dまで延びるように形成されているが、その後端部には突起片34Bの溝部34Ba1が光軸調整ネジ40との螺合状態から離脱するのを防止するための離脱防止部12d1が形成されている。この離脱防止部12d1は、左側壁部12bの内側面における後端部の一部領域を他の一般部分よりも内側面側に変位させて厚肉とすることにより、突起片34Bの後部領域34Baの外側面と近接する位置関係で形成されている。
この突起片34Bにおいて回動軸線Ax1よりも灯具前方側に位置する前部領域には、その外側面に上下1対の離脱防止用突起部34Bbが形成されている。具体的には、これら上下1対の離脱防止用突起部34Bbは、突起片34Bの前端部において略U字状のスリット34aの上下に隣接する位置に形成されている。
各離脱防止用突起部34Bbは、平面視において灯具前後方向に長い台形状の外形形状を有しており、その先端面がハウジング12の左側壁部12bの内側面に近接するように形成されている。その際、各離脱防止用突起部34Bbの先端面とハウジング12の左側壁部12bの内側面との間の隙間は、レンズホルダ34の右側の脚部34Rの支点突起部34Raがハウジング12の支点係合凹部12a1と係合している状態での該支点係合凹部12a1への挿入深さよりも小さい値に設定されている。
図5(a)は、図3のVa部詳細図であり、図5(b)は、図3のVb部詳細図である。
図5(a)に示すように、ハウジング12の右側壁部12aの内側面には、支点係合凹部12a1から灯具前方へ向けて延びる溝部12a2が形成されている。
この溝部12a2は、その前部領域の上下幅がその後部領域の上下幅よりも大きい値に設定されている。具体的には、この溝部12a2は、灯具前方へ向けてその上下幅が徐々に大きくなるように形成されている。その際、この溝部12b2の上下幅は、その後端位置においてはレンズホルダ34の支点突起部34Raの基端部の外径と同程度の値に設定されており、その前端位置においては後端位置の上下幅に対して2〜4倍程度の値に設定されている。
また、この溝部12a2は、その前部領域の深さがその後部領域の深さよりも大きい値に設定されている。具体的には、この溝部12a2は、灯具前方へ向けてその深さが徐々に大きくなるように形成されている。その際、この溝部12a2の深さは、その後端位置においては支点突起部34Raの支点係合凹部12a1への挿入深さの0.2〜0.6倍程度の値に設定されており、その前端位置においてはその挿入深さの0.6〜1.2倍程度の値に設定されている。
一方、図5(b)に示すように、ハウジング12の左側壁部12bの内側面には、支点係合孔12b1から灯具前方へ向けて延びる溝部12b2が形成されている。
この溝部12b2は、その前部領域の上下幅がその後部領域の上下幅よりも大きい値に設定されている。具体的には、この溝部12b2は、灯具前方へ向けてその上下幅が徐々に大きくなるように形成されている。その際、この溝部12a2の上下幅は、その後端位置においてはレンズホルダ34の支点突起部34Laの基端部の外径と同程度の値に設定されており、その前端位置においては後端位置の上下幅に対して2〜6倍程度の値に設定されている。
また、この溝部12b2は、その前部領域の深さがその後部領域の深さよりも大きい値に設定されている。具体的には、この溝部12b2は、灯具前方へ向けてその深さが徐々に大きくなるように形成されている。その際、この溝部12b2の深さは、その後端位置において支点突起部34Laの支点係合孔12b1への挿入深さの0.2〜0.6倍程度の値に設定されており、その前端位置においてその挿入深さの0.6〜1.2倍程度の値に設定されている。
図6は、図5(b)の VI方向矢視図であって、ハウジング12へのフィルタ50の装着の様子を示す図である。
同図にも示すように、ハウジング12の左側壁部12bには、支点係合孔12b1の上方側に、該左側壁部12bを車幅方向に貫通する通気孔12b3が形成されている。この通気孔12b3は、灯室内の気体の温度変化に伴う圧力変動を吸収するためのものであって、支点突起部34Laを円弧状に囲むように形成されており、支点係合孔12b1よりも大きい開口形状を有している。
ハウジング12の左側壁部12bには、支点係合孔12b1および通気孔12b3を塞ぐためのフィルタ50がその外側面側から装着されている。
このフィルタ50は、防水性および湿気拡散性を備えたシート状のフィルタとして構成されており、円形の外形形状を有している。このフィルタ50は、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)等の数十μmの厚さを有するシート状の素材で構成されており、複数の微細孔(例えば直径10μm以下の孔)が網目状に形成された構成となっている。
左側壁部12bの外側面には、支点係合孔12b1および通気孔12b3を円環状に囲む環状ビード部12b4が形成されている。この環状ビード12b4の高さは、フィルタ50の厚さよりも大きい値(例えば0.5〜1mm程度の値)に設定されている。また、左側壁部12bの外側面は、環状ビード部12b4の内周側に位置する領域が平面部12b5として形成されている。
フィルタ50の装着は、環状ビード12b4部の内周側の平面部12b5において該フィルタ50をハウジング12の左側壁部12bの外側面に貼り付けることによって行われている。その際、環状ビード部12b4は、フィルタ50をハウジング12の左側壁部12bに貼り付ける際の位置決め用のガイドとして機能するとともに、左側壁部12bに貼り付けられたフィルタ50を剥がれにくくする機能を果たすようになっている。
図7は、本実施形態において、配光制御ユニット30のレンズホルダ34をハウジング12に組み付ける際の様子を示す平断面図である。
同図に示すように、水平面内において配光制御ユニット30を斜めにした状態で、そのレンズホルダ34の突起片34Bの後端部および左側の脚部34Lの支点突起部34Laをハウジング12の左側壁部12bの内側面に当接させ、これらをそれぞれ弾性変形させる。この状態で、右側の脚部34Rをハウジング12の内部に挿入して、この脚部34Rの支点突起部34Raをハウジング12の右側壁部12aの支点係合凹部12a1に挿入する。その後、配光制御ユニット30を、その支点突起部34Ra付近を中心にして図示矢印方向に回動させるようにして押し込み、これにより突起片34Bの後端部および脚部34Lの支点突起部34Laをハウジング12の左側壁部12bの内側面に沿って灯具後方側へ移動させる。そして、突起片34Bの後端部を左側壁部12bの内側面の後端部に形成された離脱防止部12d1に乗り上げさせた後、脚部34Lの支点突起部34Laを左側壁部12bの支点係合孔12b1に挿入する。
これにより、配光制御ユニット30は、ハウジング12に対して回動軸線Ax1回りに回動可能に支持された状態となる。このとき、突起片34Bは、その内側面に形成された複数の溝部34Ba1において光軸調整ネジ40のネジ部40aと螺合するとともに、その外側面がハウジング12の離脱防止部12d1と近接した状態となる。
ハウジング12の右側壁部12aの内側面には、支点係合凹部12a1から灯具前方へ向けて延びる溝部12a2が形成されているので、右側の脚部34Rをハウジング12の内部に挿入する際、その支点突起部34Raを溝部12a2に係合させることにより、上下方向に関してガイドされた状態で灯具後方側へ移動させることが可能となり、これにより支点係合凹部12a1への挿入を容易に行うことが可能となる。
また、ハウジング12の左側壁部12bの内側面には、支点係合孔12b1から灯具前方へ向けて延びる溝部12b2が形成されているので、左側の脚部34Lをハウジング12の内部に挿入する際、その支点突起部34Laを溝部12b2に係合させることにより、上下方向に関してガイドされた状態で灯具後方側へ移動させることが可能となり、これにより支点係合凹部12a1への挿入を容易に行うことが可能となる。
図7において2点鎖線で示すように、レンズホルダ34の構成として、仮に突起片34Bと左側の脚部34Lとが一体的に形成されていたとすると、脚部34Lの支点突起部34Laがハウジング12の左側壁部12bの内側面に当接したとき、突起片34Bは左側壁部12bの内側面から離れてしまい、その後端部が光軸調整ネジ40と干渉してしまうこととなる。しかしながら、本実施形態のレンズホルダ34は、突起片34Bと左側の脚部34Lとが互いに独立して弾性変形する構成となっているので、このような不具合が生じてしまうことなく配光制御ユニット30の組付けが円滑に行われることとなる。
次に、光源ユニット20の具体的な構成およびそのハウジング12への装着構造について説明する。
図8は、車両用灯具10において、ハウジング12への光源ユニット20の組付けの様子を示す正面図である。また、図9(a)は、車両用灯具10を部分的に示す背面図である。
図8に示すように、ハウジング12の後壁部12cには、光源ユニット20を装着するための開口部12c1が形成されている。
光源ユニット20は、発光素子22が搭載された基板24と、この基板24を支持するソケット26とを備えた構成となっている。
発光素子22は、3つの白色発光ダイオードが車幅方向(すなわち左右方向)に互いに隣接して配置された構成となっており、これにより横長矩形状の発光面を有する構成となっている。そして、この発光素子22は、その発光面を灯具正面方向(すなわち車両前方)へ向けた状態で配置されている。
光源ユニット20は、回転装着式の光源ユニットであって、そのソケット26をハウジング12の開口部12c1に対して灯具後方側から挿入して時計回りに所定角度(具体的には45°)回転させることによりハウジング12に装着されるようになっている。
光源ユニット20のソケット26は、樹脂製のソケット本体26Aとこのソケット本体26Aに固定された金属製(例えばアルミダイカスト製)のヒートシンク26Bとを備えた構成となっている。
ソケット本体26Aは、ハウジング12の開口部12c1の内径よりも僅かに小さい外径で円筒状に形成されており、その前端部の外周面には、開口部12c1の周囲においてハウジング12の後壁部12cと係合するための複数の係合用突起部26Aaが形成されている。また、ソケット本体26Aの後端部には、図9(a)に示すように、光源ユニット20に給電するためのコネクタ部26Abが形成されている。
ヒートシンク26Bは、その前端部26B1が円板状に形成されており、この前端部26B1においてソケット本体26Aに固定されている。このヒートシンク26Bは、その前端部26B1の外周面において灯具後方側へ向けて帯状に延びる5つの放熱フィン26B2を備えた構成となっている。これら5つの放熱フィン26B2は、光源ユニット20の頂点位置および該頂点位置から左右両側に等間隔(具体的には45°間隔)をおいた位置に形成されている。
光源ユニット20は、そのソケット26の前端部に弾性シール部材28が装着された構成となっている。この弾性シール部材28は、ソケット本体26Aの外周面に嵌め込まれたOリング等の弾性を有する環状部材で構成されており、ヒートシンク26Bの前端部26B1と接触した状態で装着されている。そして、この弾性シール部材28は、光源ユニット20がハウジング12に装着されたとき、その後壁部12cに押し当てられて弾性圧縮変形するようになっており、これにより灯室内の気密性を確保するようになっている。
図8に示すように、ハウジング12の開口部12c1は、ソケット本体26Aに形成された複数の係合用突起部26Aaに対応した凹凸のある開口形状を有している。この開口部12c1の凹凸形状は、装着状態にある光源ユニット20(図中2点鎖線で示す)の複数の係合用突起部26Aaを灯具正面視において時計回りに45°回転させた位置関係で形成されている。
ハウジング12の後壁部12cの前面における開口部12c1の周囲の1箇所には、該開口部12c1に挿入されたソケット本体26Aを時計回りに45°回転させたとき該ソケット本体26Aの係合用突起部26Aaに当接してそれ以上の回転を規制するためのストッパ12c2が形成されている。
図9(a)に示すように、ハウジング12の後壁部12cの後面には、開口部12c1を囲むようにして灯具後方へ向けて延びるリブ12c3が形成されている。
このリブ12c3は、開口部12c1を全周にわたって囲むように形成された上で、その下端部に切欠き部12c3aが形成された構成となっている。
このリブ12c3は、光源ユニット20の中心軸を中心とする円筒面に沿って延びるように形成されている。その際、このリブ12c3は、弾性シール部材28がハウジング12の後壁部12cに押し当てられている位置よりも灯具後方側まで延びるように形成されている。具体的には、このリブ12c3の後端面は、図1に示すように、弾性シール部材28とヒートシンク26Bの前端部26B1との当接位置よりもさらに灯具後方側に位置している。なお、光源ユニット20の中心軸は、光軸Axの上方近傍に位置している。そして、この光源ユニット20がハウジング12に装着されたとき、発光素子22は、その発光面の下端縁が光軸Axの上方近傍において水平方向に延びた状態で配置されるようになっている(図3および8参照)。
図9(a)に示すように、リブ12c3の外周面には、回転装着式の光源ユニット20の所定の装着位置を示すマーク12c3bが形成されている。このマーク12c3bは、光源ユニット20の中心軸の真上の位置に形成されており、光源ユニット20が正立した状態で装着されていることを示すためのものである。
また、このリブ12c3の外周面には、灯具背面視においてマーク12c3bから45°反時計回りに回転した位置に、もう1つのマーク12c3cが形成されている。このマーク12c3cは、光源ユニット20を開口部12c1に挿入する際の角度位置を示すためのものである。
その際、マーク12c3bは灯具背面視において三角形の突起部として形成されている。一方、マーク12c3cは灯具背面視において半円弧状の突起部として形成されている。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具10は、投影レンズ32を支持するレンズホルダ34がハウジング12に対して上下方向に回動可能に支持されているので、ハウジング12に発光素子22が固定されたままの状態で上下方向の光軸調整を行うことができる。したがって車両用灯具10をコンパクトな構成とすることができ、これをフォグランプ等に特に適したものとすることができる。
その上で、ハウジング12の左側壁部12b(周壁部)には、灯室内の圧力変動を吸収するための通気孔12b3が形成されているので、灯室内にレンズホルダ34を上下方向に回動させるための回動機構として光軸調整ネジ40およびそのネジ部40aと螺合する突起片34Bが配置されているにもかかわらず、通気孔12b3を形成するためのスペースを容易に確保することができる。
このように本実施形態によれば、発光素子22からの光を投影レンズ32によって配光制御するように構成されたレンズ可動式の車両用灯具10において、灯室内の圧力変動を吸収するための通気孔12b3を容易に形成することができる。
しかも本実施形態においては、発光素子22がハウジング12の後壁部12cに装着された光源ユニット20の一部として構成されており、このため後壁部12cに通気孔12b3を形成するためのスペースを確保することが一層困難な灯具構成となっているので、本実施形態の構成を採用することが特に効果的である。
また、本実施形態に係る車両用灯具10は、その透光カバー14が車体形状(具体的にはバンパー100の形状)に沿ってその左端部から右端部へ向けて灯具後方側へ傾斜しており、これに伴いハウジング12は左側壁部12b(すなわち車幅方向内側の側壁部)の前後長が比較的長くなっているので、この左側壁部12bに通気孔12b3が形成された構成とすることにより、ハウジング12の周壁部に通気孔を形成するためのスペースを確保することが容易に可能となる。
本実施形態においては、レンズホルダ34における回動軸線Ax1上の位置に左右1対の支点突起部34La、34Raが形成されるとともに、ハウジング12の右側壁部12aおよび左側壁部12bの内側面に支点係合部としての支点係合凹部12a1および支点係合孔12b1がそれぞれ形成された構成となっているので、レンズホルダ34のハウジング12への支持を簡易な構成によって行うことができる。
その際、右側壁部12aの支点係合部は支点係合凹部12a1として構成されているが、左側壁部12bの支点係合部は該左側壁部12bを車幅方向に貫通する支点係合孔12b1として構成されているので、1本のスライドピンによって支点係合孔12b1および支点係合凹部12a1を形成することができ、これによりハウジング12を成形するための金型の構造を簡素化することができる。
さらに本実施形態においては、ハウジング12の左側壁部12bに、防水性および湿気拡散性を備えたフィルタ50が通気孔12b3および支点係合孔12b1を塞ぐようにして装着されているので、灯室内に発生した水分を拡散作用によって排出することができ、これにより透光カバー14の内面に結露が発生してしまうのを効果的に抑制することができる。しかもこれを単一のフィルタの装着によって実現することができる。
その際、フィルタ50はシート状に形成されているので、車両用灯具10をコンパクトな構成のまま維持することができる。
また、左側壁部12bの外側面には、支点係合孔12b1および通気孔12b3を囲む環状ビード部12b4が形成されるとともに該左側壁部12bにおける環状ビード部12b4の内周側に位置する領域が平面部12b5として形成されており、この平面部12b5に通気孔12b3および支点係合孔12b1が形成されているので、この環状ビード部12b4を、フィルタ50を左側壁部12bに貼り付ける際の位置決め用のガイドとして機能させることができるとともに、左側壁部12bに貼り付けられたフィルタ50を剥がれにくいものとすることができる。しかも、この環状ビード12b4は、その高さがフィルタ50の厚さよりも大きい値に設定されているので、フィルタ50を一層剥がれにくいものとすることができる。また、このフィルタ50は延伸ポリテトラフルオロエチレンで構成されているので、防水性および湿気拡散性を十分に確保することができる。
また本実施形態においては、環状ビード部12b4が円環状に延びるように形成されるとともに、フィルタ50が円形の外形形状を有しているので、フィルタが不用意に剥がれてしまうのを効果的に抑制することができる。
さらに本実施形態においては、通気孔12b3が支点係合孔12b1よりも大きい開口形状を有しているので、通気性能を十分に確保することができる。
上記第1実施形態においては、通気孔12b3が左側壁部12bにおいて支点係合孔12b1とは独立した孔として形成されているものとして説明したが、支点係合孔12b1から延びるスリット等を左側壁部12bに形成することにより、支点係合孔12b1と連通する孔として通気孔が形成された構成とすることも可能である。
上記第1実施形態においては、ハウジング12の左側壁部12bに通気孔12b3が形成されているものとして説明したが、ハウジング12の右側壁部12aや下壁部等に通気孔が形成された構成とすることも可能である。
上記第1実施形態においては、投影レンズ32が平凸レンズ状に形成されているものとして説明したが、両凸レンズ状や凸メニスカスレンズ状に形成されたもの、あるいはフレネルレンズ状に形成されたものを採用することも可能である。
上記第1実施形態においては、反射部材36の後端部に開口部36aが形成されているものとして説明したが、この開口部36aに位置する部分が素通しレンズ状に形成された構成とすることも可能である。
上記第1実施形態においては、配光制御ユニット30を支持するハウジング12がランプボディであるものとして説明したが、それ以外の灯具構成部材(例えばランプボディに支持された部材等)を採用することも可能である。
上記第1実施形態においては、車両用灯具10が、フォグランプであるものとして説明したが、これ以外の灯具(例えばヘッドランプ等)として構成することも可能である。
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。
まず、上記第1実施形態の第1変形例について説明する。
図9(b)は、本変形例に係る車両用灯具を部分的に示す、図9(a)と同様の図である。
同図(b)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、光源ユニット20のハウジング112への装着構造が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち本変形例においても、光源ユニット20のソケット26をハウジング112の開口部(図示せず)に対して灯具後方側から挿入して時計回りに所定角度回転させることにより光源ユニット20がハウジング112に装着されるようになっているが、ハウジング112に逆回転防止構造160が設けられている点で上記実施形態の場合と異なっている。
この逆回転防止構造160は、光源ユニット20が所定の装着位置から緩む方向へ回転してしまうのを、そのソケット26との当接によって防止するための構造である。
具体的には、この逆回転防止構造160は、ソケット26に当接するための当接部材162と、この当接部材162をハウジング112の後壁部112cに締結するための締結部材としてのネジ164とを備えた構成となっている。
ネジ164は、当接部材162を光源ユニット20の真下の位置においてハウジング112の後壁部112cに固定するようになっている。
これを実現するため、ハウジング112の後壁部112cには、光軸Axの真下の位置にネジ164を固定するためのボス部112c4が形成されている。
本変形例のハウジング112においても、その後壁部112cの後面には、光源ユニット20の中心軸を中心とする円筒面に沿って延びるリブ112c3が形成されている。その際、このリブ112c3は、その下端部がボス部112c4の近くまで延びるように形成されており、これによりボス部112c4の左右両側に切欠き部112c3aが形成されるようになっている。
このリブ112c3は、その高さ(すなわち後方突出量)が上記実施形態のリブ12c3と同じ値に設定されている。また、このリブ112c3の外周面には、上記実施形態の場合と同じ位置に同じマーク112c3b、112c3cが形成されている。
当接部材162は、樹脂製の板状部材であって、ネジ164によってハウジング112のボス部112c4に固定される締結部162Aと、この締結部162Aから左右両方向へ向けてリブ112c3に沿って延びる1対のアーム部162Bとを備えた構成となっている。
この当接部材162は、ネジ164によってハウジング112のボス部112c4に固定された状態において、その左右1対のアーム部162Bの先端面が光源ユニット20のヒートシンク26Bに当接(または近接)するようになっている。その際、この当接部材162のヒートシンク26Bに対する当接は、5つの放熱フィン26B2のうち最下端に位置する左右1対の放熱フィン26B2に対して行われるようになっている。そして、この当接部材162は、光源ユニット20が所定の装着位置から緩む方向へ回転するのを、そのヒートシンク26Bの放熱フィン26B2との当接によって防止するようになっている。
また、この当接部材162は、ハウジング112のボス部112c4に固定された状態において、各アーム部162Bの内周縁がヒートシンク26Bの前端部26B1の外周面に沿って延びるように形成されている。
ネジ164は、座付きネジとして構成されており、また、該ネジ164を締め付ける方向への回転力のみを伝達可能とするネジ穴形状を有している。すなわち、このネジ164のネジ穴164aは、プラス(+)形状の溝部に対してその反時計回りの方向に位置する壁面が欠落した形状を有している。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、本変形例のような逆回転防止構造160を備えた構成とすることにより、光源ユニット20が常に所定の装着位置に保持されるので、投影レンズ32から出射した光源からの光によって形成されるフォグランプ用配光パターンの形状が所期の形状とは異なったものとなってしまうのを未然に防止することができる。
次に、上記第1実施形態の第2変形例について説明する。
図10は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図1と同様の図である。
同図に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、配光制御ユニット230の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
本変形例の配光制御ユニット230も、投影レンズ232とレンズホルダ234と反射部材236とを備えた構成となっているが、反射部材236がレンズホルダ234とは別体で構成されている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
具体的には、本変形例の配光制御ユニット230においては、投影レンズ232とレンズホルダ234との間に反射部材236を挟んだ状態で熱カシメが行われている。
これを実現するため、反射部材236の前端部には外周フランジ部236bが形成されており、一方、レンズホルダ234の本体部分234Aの内周縁部には、反射部材236の外周フランジ部236bと係合して、該反射部材236を投影レンズ232の後面に当接させた状態で位置決めする環状のレンズ押え部234Abが形成されている。そして、投影レンズ232とレンズホルダ234との間に反射部材236を挟んだ状態で、投影レンズ232の後面の外周縁部の4箇所に形成されたカシメ用突起部232aをレンズホルダ234の本体部分234Aの4箇所に形成された挿通孔(図示せずに)に挿通させた状態で熱カシメが行われる構成となっている。
投影レンズ232は、上記第1実施形態の投影レンズ32よりもカシメ用突起部232aが長尺で形成された構成となっているが、それ以外の構成については上記第1実施形態の場合と同様である。
また、レンズホルダ234も、その本体部分34Aの構成が上記第1実施形態のレンズホルダ34と異なっているが、左右1対の脚部234L、234Rおよび突起片234Bの構成については上記第1実施形態の場合と同様である。
さらに、反射部材236も、その外周フランジ部236b以外の部分の構成については上記第1実施形態の場合と同様である。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、本変形例の構成を採用することにより、反射部材36とレンズホルダ34とが別体で構成されているにもかかわらず、反射部材36の支持を安価な固定構造によって実現することができる。
さらに、本変形例のように反射部材36をレンズホルダ34と別体で構成することにより、反射部材36の形状自由度を高めることができる。
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る車両用灯具510を示す平断面図であり、図12は、図11のXII−XII線断面詳細図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具510の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、この車両用灯具510は車両の左前端部に設けられるフォグランプとして構成されている。
この車両用灯具510は、ハウジング512および透光カバー514の形状が上記第1実施形態の場合と一部異なっており、また、配光制御ユニット530および反射部材536の構成が上記第1実施形態の場合と異なっている。
すなわち、本実施形態の透光カバー514も、灯具正面視において横長長円形の外形形状を有するカバー本体部514Aと、その外周側に位置する外周フランジ部514Bとを備えているが、この透光カバー514は車両正面方向に正対した状態で配置されており、車両前後方向と直交する鉛直面においてハウジング512に支持されている。
また、本実施形態の配光制御ユニット530も、発光素子22からの直射光を偏向制御する投影レンズ532と、この投影レンズ532を支持するレンズホルダ534とを備えた構成となっているが、この支持は投影レンズ532がレンズホルダ534に嵌め込まれることによって行われている(これについては後述する)。
投影レンズ532は、前面が凸面状に形成されるとともに後面が平面状に形成されたレンズ本体部532Aと、このレンズ本体部532Aの外周側において該レンズ本体部532Aの後面と面一で環状に形成された外周フランジ部532Bとを備えている。この投影レンズ532は、灯具正面視において横長楕円形の外形形状を有しているが、その外周フランジ部532Bの外周面にはレンズホルダ534への嵌め込みを行うための凹凸部が形成されている(これについても後述する)。
レンズホルダ534は、環状に形成された本体部分534Aの左右両側部に、灯具後方へ向けて延びる1対の脚部534L、534Rが形成された構成となっている。これら左右1対の脚部534L、534Rは同じ長さで形成されており、その後端部の外側面には支点突起部534La、534Raがそれぞれ形成されている。
そして、右側の脚部534Rの支点突起部534Raがハウジング512の右側壁部512aに形成された支点係合凹部512a1に挿入されるとともに、左側の脚部534Lの支点突起部534Laがハウジング512の左側壁部512bに形成された支点係合孔512b1に挿入されることによって、レンズホルダ534がハウジング512に対して回動軸線Ax1回りに回動可能に支持されるようになっている。
ハウジング512の左側壁部512bには、上記第1実施形態の通気孔12b3と同様の通気孔(図示せず)が形成されており、また、この左側壁部512bには該通気孔および支点係合孔512b1を塞ぐためのフィルタ50がその外側面側から装着されている。
各脚部534L、534Rの前端部の外側面には、離脱防止用突起部534Lb、534Rbがそれぞれ形成されている。
各離脱防止用突起部534Lb、534Rbは、平面視において灯具前後方向に長い台形状の外形形状を有しており、その先端面がハウジング512の左側壁部512bおよび右側壁部512aの内側面に近接する高さで形成されている。その際、各離脱防止用突起部534Lb、534Rbの先端面と左側壁部512bおよび右側壁部512aの各々の内側面との間の隙間は、各支点突起部534La、534Raが支点係合孔512b1および支点係合凹部512a1の各々と係合している状態でのその挿入深さよりも小さい値に設定されている。
レンズホルダ534の左側部には、灯具後方へ向けて延びる突起片534Bが形成されている。この突起片534Bは、左側の脚部534Lの下方において光軸Axと平行な鉛直面に沿って板状に延びるように形成されており、その後部領域534Baの後端部の内側面に形成された溝部534Ba1において、ハウジング512の張出し部512dに配置された光軸調整ネジ40と螺合するようになっている。
本実施形態においても、回転装着式の光源ユニット20がハウジング512の後壁部512cに装着されているが、この装着のための開口部512c1は後壁部512cの中心位置から右側(すなわち車幅方向内側)に変位した位置に形成されている。そしてこれにより、投影レンズ532からの出射光の車幅方向外側への最大拡散角度が車幅方向内側への最大拡散角度よりも大きくなるようにしている。
ハウジング512の後壁部512cは、開口部512c1の周辺部分が他の一般部分に対して灯具前方側に変位した円筒状の段上がり部512gとして形成されている。
この段上がり部512gは、光源ユニット20の外周形状よりもひと回り大きい内周面形状を有しており、その前方変位量は光源ユニット20の発光素子22の発光面が灯具前後方向に関して回動軸線Ax1と同じ位置になるように設定されている。
本実施形態においても、ハウジング512の後壁部512cの後面には、開口部512c1を囲むようにして灯具後方へ向けて延びるリブ512c3が形成されているが、このリブ512c3は後壁部512cの一般部分においてその内周面が段上がり部512gの内周面と面一で延びるように形成されている。
このリブ512c3は、後壁部512cの一般部分からの後方突出量が上記実施形態のリブ12c3と同じ値に設定されている。したがって、このリブ512c3の後端面の位置は、弾性シール部材28とヒートシンク26Bの前端部26B1との当接位置からかなり灯具後方側に変位している。
本実施形態においても、投影レンズ532よりも灯具後方側には、灯具前方側から透光カバー14および投影レンズ32を透してハウジング12の内部空間に入射する外部光を反射させるための反射部材536が配置されている。
この反射部材536は、不透明の樹脂製部材であって、レンズホルダ34とは別体で構成されており、ハウジング512に支持されている。
この反射部材536は、光源ユニット20を囲むようにして平板状に形成されており、その前面にはアルミ蒸着等の反射面処理が施されるとともに複数の反射素子536sが形成されている。各反射素子536sは、三角錐状の凹部として形成されており、該反射素子536sに到達した光を再帰反射させるようになっている。
この反射部材536は、その後面から灯具後方へ向けて延びる円筒部536aにおいて段上がり部512gの外周面に嵌め込まれている。その際、この反射部材536は、複数の反射素子536sが光源ユニット20における発光素子22の発光面よりも灯具後方側に位置するように構成されており、これにより発光素子22からの出射光を各反射素子536sに入射させてしまわないようになっている。
図13は、光源ユニット20が装着されたハウジング512を示す正面図である。
同図にも示すように、本実施形態においても、ハウジング512の右側壁部512aの内側面には、支点係合凹部512a1から灯具前方へ向けて延びる溝部512a2が形成されており、また、ハウジング512の左側壁部512bの内側面には、支点係合孔512b1から灯具前方へ向けて延びる溝部512b2が形成されている。
各溝部512a2、512b2は、灯具前方へ向けてその上下幅およびその深さが徐々に大きくなるように形成されている。
また、ハウジング512の後壁部512cには、該後壁部512cを貫通する通気孔512hが形成されている。
この通気孔512hは、車幅方向に関して段上がり部512gと光軸調整ネジ40が配置された張出し部512dとの中間に位置するとともに、上下方向に関して回動軸線Ax1よりも上方側に位置するようにして形成されている。
この通気孔512hは、図12に示すように、後壁部512cから灯具後方へ向けて突出するボス部512iに形成されている。
この通気孔512hは、ボス部512iの上半部に形成された灯具前後方向に延びる貫通部と、ボス部512iの下半部において灯具後方側に開口した深穴部と、ボス部512iの下端部において深穴部の一部を切り欠くようにして形成された切欠き部とで構成されている。
ボス部512iの後端面には、ボス部512iの外径よりもやや小さい外径で短い円柱状に形成されたフィルタ552が装着されている。
このフィルタ552は、樹脂製のキャップ554の内部空間に嵌め込まれるようにして収容されており、このキャップ554がボス部512iの後端部に装着されることによってボス部512iの後端面に当接するようになっている。そして、このフィルタ552によって通気孔512hはその通気経路の途中が塞がれるようになっている。
このフィルタ552は、通気性を備えたスポンジ状のフィルタとして構成されている。すなわち、このフィルタ552は、複数の孔(例えば直径0.3〜2.5mm程度の孔)が立体網目状に形成された多孔質フィルタとして構成されている。
このフィルタ552と図11に示すフィルタ50(ハウジング512の左側壁部512bに装着されたフィルタ)とを比較すると、防水性および湿気拡散性に関してはフィルタ50の方がフィルタ552よりも優れており、通気性に関してはフィルタ552の方がフィルタ50よりも優れている。
図14は、本実施形態の配光制御ユニット530において、投影レンズ532がレンズホルダ534に組み付けられる際の様子を示す背面図である。また、図15は、この組付けの様子を斜め下後方から見て示す斜視図である。
これらの図に示すように、レンズホルダ534には、その本体部分534Aの後面の上下2箇所にレンズ締結部534Ab、534Acが形成されており、また、その右側の脚部534Rの内側面に位置決めリブ534Rcが形成されるとともに、その突起片534Bの内側面に位置決めリブ534Bcが形成されている。
下側に位置するレンズ締結部534Acは、図11にも示すように、レンズホルダ534の本体部分534Aの後面から灯具後方へ向けて延びるH型の突起部として形成されている。すなわち、このレンズ締結部534Acは、その前端部に横長矩形状のレンズ係止孔534Ac1が形成されるとともに、その後端部に横長矩形状のガイド用凹部534Ac2が形成された構成となっている。
上側に位置するレンズ締結部534Abも、レンズ締結部534Acと同様の構成を有しており、レンズ係止孔534Ab1およびガイド用凹部534Ab2が形成された構成となっている。ただし、このレンズ締結部534Abは、その左右幅がレンズ締結部534Acよりも大きい値に設定されている。
右側の脚部534Rの位置決めリブ534Rcおよび突起片534Bの位置決めリブ534Bcは、本体部分534Aの後面から灯具後方へ向けて延びるように形成されている。その際、図11にも示すように、位置決めリブ534Bcは位置決めリブ534Rcよりも長く延びるように形成されている。
なお、位置決めリブ534Rcを位置決めリブ534Bcと同程度まで長くすると、配光制御ユニット530をハウジング512に組み付ける際に脚部534Lが弾性変形するのを阻害してしまうので、位置決めリブ534Rcは短めに形成されている。
図14および15に示すように、投影レンズ532の外周フランジ部532Bには、その外周面の上下2箇所に締結用係合部532Ba、532Bbが形成されており、また、その外周面の左右2箇所にリブ係合部532Bc、532Bdが形成されている。
各締結用係合部532Ba、532Bbは、切欠き部532Ba1、532Bb1の中央部に係合用突起部532Ba2、532Bb2が形成された構成となっている。
各締結用係合部532Ba、532Bbの係合用突起部532Ba2、532Bb2は、レンズホルダ534の各レンズ締結部534Ab、534Acのレンズ係止孔534Ab1、534Ac1よりも僅かに狭い左右幅で形成されており、かつ、図11にも示すように、その灯具前方寄りに位置する部分の外面が斜面状に形成されている。
また、各締結用係合部532Ba、532Bbの切欠き部532Ba1、532Bb1は、レンズホルダ534の各レンズ締結部534Ab、534Acよりもやや広幅で形成されている。
右側に位置するリブ係合部532Bcは、レンズホルダ534の脚部534Rの内側面と近接するように形成された凸部532Bc1の中央部に、脚部534Rの位置決めリブ534Rcと同一形状を有する凹部532Bc2が形成された構成となっている。
左側に位置するリブ係合部532Bdは、レンズホルダ534の脚部534Lおよび突起片534Bの内側面と近接するように形成された凸部532Bd1の下部に、突起片534Bの位置決めリブ534Bcと同一形状を有する凹部532Bd2が形成された構成となっている。
さらに、投影レンズ532の外周フランジ部532Bには、その前面の3箇所にL字配置で半球面状の位置決め用突起部532Beが形成されている。
配光制御ユニット530の組付けは、レンズホルダ534に対して投影レンズ532を灯具後方側から嵌め込むことによって行われるが、その際、レンズホルダ534を下向きに配置した状態で投影レンズ532を上方側から嵌め込むようにすると組付けを容易に行うことが可能である。
具体的には、投影レンズ532の上下1対の係合用突起部532Ba2、532Bb2をレンズホルダ534の上下1対のガイド用凹部534Ab2、534Ac2に沿わせて置くと、投影レンズ532の左側の凹部532Bd2が自然にレンズホルダ534の位置決めリブ534Bcと係合する。このとき、投影レンズ532の右側の凹部532Bc2はまだレンズホルダ534の位置決めリブ534Rcと係合していないが、この状態で投影レンズ532をさらに下方へ押し込むと、右側の凹部532Bc2が位置決めリブ534Rcと係合して、上下方向および左右方向の位置決めがなされる。またこのとき、投影レンズ532の外周フランジ部532Bの前面の3箇所に形成された位置決め用突起部532Beがレンズホルダ534の本体部分534Aの後面に当接することにより奥行方向(すなわち灯具前後方向)の位置決めがなされる。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具510は、投影レンズ532を支持するレンズホルダ534がハウジング512に対して上下方向に回動可能に支持されているので、ハウジング512に発光素子22が固定されたままの状態で上下方向の光軸調整を行う6ことができる。したがって車両用灯具510をコンパクトな構成とすることができ、これをフォグランプ等に特に適したものとすることができる。
その上で、ハウジング512の左側壁部512b(周壁部)には、灯室内の圧力変動を吸収するための通気孔(図示せず)が形成されており、この通気孔はフィルタ50で塞がれているので、上記第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
また本実施形態においては、ハウジング512の後壁部512cにも通気孔512hが形成されているので、灯室内の圧力変動吸収効果を高めることができる。しかも、この通気孔512hはフィルタ552で塞がれているので、防水性を確保した上で湿気拡散性を確保することができる。
その際、フィルタ552はフィルタ50よりも通気性に優れており、一方、フィルタ50はフィルタ552よりも防水性および湿気拡散性に優れているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、灯室内に発生した水分を対流作用によって通気孔512hおよびフィルタ552を介して効率良く排出するようにした上で、灯室内に残留する水分を拡散作用によって左側壁部512bの上記通気孔およびフィルタ50を介して効率良く排出することができる。
本実施形態に係る車両用灯具510においても、光源ユニット20がハウジング512の後壁部512cに装着された構成となっているが、この装着のための開口部512c1は後壁部512cの中心位置から右側(すなわち車幅方向内側)に変位した位置に形成されており、光軸調整ネジ40が配置された張出し部512dは後壁部512cの左端部(すなわち車幅方向外側端部)に形成されているので、ハウジング512の後壁部512cにおいても、その段上がり部512gと張出し部512dとの中間位置に、通気孔512hを形成するためのスペースを確保することが可能である。
その際、通気孔512hは、ハウジング512の後壁部512cにおいて回動軸線Ax1よりも上方側の位置に形成されているので、灯室内に発生した水分を対流作用によって効率良く排出することができる。
なお、上記各実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
また、本願発明は、上記各実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。