JP2019211093A - 扁平状熱交換管およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化を図りうる扁平状熱交換管を提供する。【解決手段】扁平状熱交換管5は、1対の平坦壁26,27および両平坦壁26,27の両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁28を有する扁平状管本体25と、管本体25と別個に形成されかつ管本体25内に配置されたインナーフィン30とを備えている。インナーフィン30が、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体25内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路25aに分ける複数の仕切壁33と、隣り合う仕切壁33どうしを管高さ方向の両端で交互に一体に連結し、かつ両平坦壁26,27内面に接合された連結部34A,34Bとを有する。インナーフィン30の管幅方向の両端部に、管本体25の側壁28内面に沿う単層構造の補強部36を一体に形成する。補強部36の肉厚を、仕切壁33および連結部34A,34Bの肉厚よりも厚くする。【選択図】図2
Description
この発明は、たとえばカーエアコンを構成する冷凍サイクルのコンデンサやエバポレータ、ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器や室内熱交換器、およびカーエアコンを構成するヒータコアに用いられる扁平状熱交換管およびその製造方法に関する。
たとえばカーエアコンを構成する冷凍サイクルのコンデンサに用いられる扁平状熱交換管として、互いに対向する1対の平坦壁および両平坦壁の両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁を有する扁平状管本体と、管本体と別個に形成されかつ管本体内に配置されたインナーフィンとを備えており、管本体が、全体が一体に形成された第1平坦壁と、管幅方向に並んだ2つの分割壁により形成された第2平坦壁と、第1平坦壁の両側縁部と両分割壁における管幅方向外側縁部との間にそれぞれ設けられた側壁と、両分割壁における管幅方向内側縁部に一体に形成されて第1平坦壁側に突出し、かつ相互に接合された突出壁とを有し、インナーフィンが、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路に分ける複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁内面に接合された連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かついずれか一方の平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿う補強部とを有し、インナーフィンの幅方向中央部の1つの連結部が、他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に管本体の2つの突出壁の先端が当接させられて接合されており、管本体の両平坦壁、両側壁および両突出壁の肉厚が等しく、インナーフィンの仕切壁、連結部、延伸壁、補強部および広幅連結部の肉厚が等しくなっているとともに、管本体の各壁の肉厚よりも薄くなっており、管本体が全体に肉厚の等しい1枚の金属板を用いて形成されるとともに、インナーフィンが全体に肉厚の等しい1枚の金属板を用いて形成されている扁平状熱交換管が知られている(特許文献1参照)。
ところで、特許文献1記載の扁平状熱交換管を備えた熱交換器において、飛び石などによる管本体の側壁の破損を防止するには、管本体の側壁の肉厚およびインナーフィンの補強部の肉厚の合計を一定以上に厚くすることが効果的である。しかしながら、管本体およびインナーフィンが、それぞれ全体に肉厚の等しい1枚の金属板を用いて形成されているので、管本体の側壁の肉厚およびインナーフィンの補強部の肉厚の合計を一定以上に厚くすると、管本体の側壁を除いた平坦壁および突出壁と、インナーフィンの補強部を除いた仕切壁、連結部、広幅連結部および延伸壁の肉厚が必要以上に厚くなり、熱交換管全体の重量が大きくなる。
この発明の目的は、上記問題を解決し、特許文献1記載の扁平状熱交換管に比べて軽量化を図りうる扁平状熱交換管およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)互いに対向する1対の平坦壁および両平坦壁の両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁を有する扁平状管本体と、管本体と別個に形成されかつ管本体内に配置されたインナーフィンとを備えており、インナーフィンが、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路に分ける複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁内面に接合された連結部とを有しており、仕切壁および連結部が一体に形成されている扁平状熱交換管であって、
インナーフィンの管幅方向の少なくともいずれか一端部に、管本体の側壁内面に沿う単層構造の補強部が一体に形成されており、補強部の肉厚が、仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている扁平状熱交換管。
インナーフィンの管幅方向の少なくともいずれか一端部に、管本体の側壁内面に沿う単層構造の補強部が一体に形成されており、補強部の肉厚が、仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている扁平状熱交換管。
2)インナーフィンの補強部が、インナーフィンの管幅方向の両端部に一体に形成されている上記1)記載の扁平状熱交換管。
3)管本体の一方の第1平坦壁の全体が一体に形成されるとともに、他方の第2平坦壁が管幅方向に並んだ2つの分割壁により形成されており、第1平坦壁の両側縁部と第2平坦壁の両分割壁における管幅方向外側縁部との間にそれぞれ側壁が設けられ、両分割壁における管幅方向内側縁部に、それぞれ第1平坦壁側に突出した突出壁が一体に形成されるとともに両突出壁が相互に接合され、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合された1つの連結部が他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に、第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝が形成されており、当該凹溝が、広幅連結部から第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁と、両溝側壁の先端どうしを連結する底壁とを有し、凹溝内に管本体の2つの突出壁が嵌め入れられるとともに、両突出壁が凹溝の両溝側壁内面および底壁内面に接合されている上記1)または2)記載の扁平状熱交換管。
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合された1つの連結部が他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に、第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝が形成されており、当該凹溝が、広幅連結部から第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁と、両溝側壁の先端どうしを連結する底壁とを有し、凹溝内に管本体の2つの突出壁が嵌め入れられるとともに、両突出壁が凹溝の両溝側壁内面および底壁内面に接合されている上記1)または2)記載の扁平状熱交換管。
4)インナーフィンの管幅方向の少なくとも一端部の仕切壁に、管幅方向外側に突出しかついずれか一方の平坦壁内面に沿う延伸壁が一体に形成され、当該延伸壁の先端に補強部が一体に形成されている上記3)記載の扁平状熱交換管。
5)インナーフィンが押出形材からなる上記4)記載の扁平状熱交換管。
6)インナーフィンが、圧延加工が施された圧延板により形成されており、補強部と延伸壁とが、管幅方向外側部分のみで一体に連結され、全仕切壁、連結部および延伸壁の肉厚が等しくなっている上記4)記載の扁平状熱交換管。
7)インナーフィンの広幅連結部に形成された凹溝の底壁が、全仕切壁、連結部および延伸壁の肉厚よりも厚くなっているとともに、凹溝の両溝側壁と底壁とが、凹溝の両溝側壁の高さ方向の下側部分のみで一体に連結されており、凹溝の両溝側壁の肉厚が、全仕切壁、連結部および延伸壁の肉厚と等しくなっている上記6)記載の扁平状熱交換管。
8)互いに間隔をおくとともに幅方向を通風方向に向けて並列状に配置された複数の扁平状熱交換管と、熱交換管の両端部が接続されたヘッダタンクと、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたアウターフィンとを備えており、熱交換管が、上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の扁平状熱交換管からなる熱交換器。
9)互いに対向する1対の平坦壁および両平坦壁の両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁を有する扁平状管本体と、管本体と別個に形成されかつ管本体内に配置されたインナーフィンとを備えており、
管本体が、全体が一体に形成された第1平坦壁と、管幅方向に並んだ2つの分割壁により形成された第2平坦壁と、第1平坦壁の両側縁部と両分割壁における管幅方向外側縁部との間にそれぞれ設けられた側壁と、両分割壁における管幅方向内側縁部に一体に形成されて第1平坦壁側に突出し、かつ相互に接合された突出壁とを有し、
インナーフィンが、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路に分ける複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁内面に接合された連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かついずれか一方の平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿い、かつ仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている単層構造の補強部とを有し、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合された1つの連結部が他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に、第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝が形成されており、当該凹溝が、広幅連結部から第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁と、両溝側壁の先端どうしを連結する底壁とを有し、凹溝内に管本体の2つの突出壁が嵌め入れられるとともに、両突出壁が凹溝の両溝側壁内面および底壁内面に接合されている扁平状熱交換管を製造する方法であって、
第1平坦壁を形成する平坦壁形成部と、平坦壁形成部の両側縁に設けられかつ側壁を形成する2つの側壁形成部と、両側壁形成部における平坦壁形成部とは反対側の側縁に設けられかつ第2平坦壁の分割壁を形成する2つの分割壁形成部と、両分割壁形成部における側壁形成部とは反対側の側縁に設けられかつ突出壁を形成する2つの突出壁形成部とを有する管本体用金属板を用意すること、
管長さ方向にのびるとともに管幅方向に並んで設けられ、かつ隣り合う冷媒通路どうしを隔てる複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ管本体の両平坦壁内面に接合される連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かつ第1平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿い、かつ仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている単層構造の補強部とを有するインナーフィンを用意すること、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合される1つの連結部を他の連結部よりも広幅に形成し、当該広幅連結部に、第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した1対の溝側壁および両溝側壁の先端どうしを連結する底壁からなり、かつ第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝を形成すること、
管本体用金属板の突出壁形成部を分割壁形成部に対して同方向に曲げて突出壁を形成すること、
突出壁が形成された管本体用金属板の平坦壁形成部上に、凹溝が上方に開口するようにインナーフィンを載せること、
管本体用金属板の側壁形成部および分割壁形成部を、平坦壁形成部に対して一体に曲げることによって、第1平坦壁を形成するとともに側壁形成部の内面にインナーフィンの補強部を沿わせること、
管本体用金属板の両分割壁形成部を両側壁形成部に対して曲げて、側壁および両分割壁からなる第2平坦壁を形成するとともに、突出壁をインナーフィンの凹溝内に嵌め入れることによって、管本体用金属板の折り曲げ体からなりかつ内部にインナーフィンが配置された管本体素材をつくること。
管本体が、全体が一体に形成された第1平坦壁と、管幅方向に並んだ2つの分割壁により形成された第2平坦壁と、第1平坦壁の両側縁部と両分割壁における管幅方向外側縁部との間にそれぞれ設けられた側壁と、両分割壁における管幅方向内側縁部に一体に形成されて第1平坦壁側に突出し、かつ相互に接合された突出壁とを有し、
インナーフィンが、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路に分ける複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁内面に接合された連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かついずれか一方の平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿い、かつ仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている単層構造の補強部とを有し、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合された1つの連結部が他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に、第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝が形成されており、当該凹溝が、広幅連結部から第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁と、両溝側壁の先端どうしを連結する底壁とを有し、凹溝内に管本体の2つの突出壁が嵌め入れられるとともに、両突出壁が凹溝の両溝側壁内面および底壁内面に接合されている扁平状熱交換管を製造する方法であって、
第1平坦壁を形成する平坦壁形成部と、平坦壁形成部の両側縁に設けられかつ側壁を形成する2つの側壁形成部と、両側壁形成部における平坦壁形成部とは反対側の側縁に設けられかつ第2平坦壁の分割壁を形成する2つの分割壁形成部と、両分割壁形成部における側壁形成部とは反対側の側縁に設けられかつ突出壁を形成する2つの突出壁形成部とを有する管本体用金属板を用意すること、
管長さ方向にのびるとともに管幅方向に並んで設けられ、かつ隣り合う冷媒通路どうしを隔てる複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ管本体の両平坦壁内面に接合される連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かつ第1平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿い、かつ仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている単層構造の補強部とを有するインナーフィンを用意すること、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合される1つの連結部を他の連結部よりも広幅に形成し、当該広幅連結部に、第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した1対の溝側壁および両溝側壁の先端どうしを連結する底壁からなり、かつ第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝を形成すること、
管本体用金属板の突出壁形成部を分割壁形成部に対して同方向に曲げて突出壁を形成すること、
突出壁が形成された管本体用金属板の平坦壁形成部上に、凹溝が上方に開口するようにインナーフィンを載せること、
管本体用金属板の側壁形成部および分割壁形成部を、平坦壁形成部に対して一体に曲げることによって、第1平坦壁を形成するとともに側壁形成部の内面にインナーフィンの補強部を沿わせること、
管本体用金属板の両分割壁形成部を両側壁形成部に対して曲げて、側壁および両分割壁からなる第2平坦壁を形成するとともに、突出壁をインナーフィンの凹溝内に嵌め入れることによって、管本体用金属板の折り曲げ体からなりかつ内部にインナーフィンが配置された管本体素材をつくること。
管本体素材の両突出壁どうし、両突出壁と凹溝の両溝側壁内面および底壁内面、第1平坦壁と凹溝の底壁、両平坦壁と連結部、第1平坦壁と延伸壁、ならびに両側壁と両補強部とを同時にろう付することを含む扁平状熱交換管の製造方法。
10)管本体用金属板を、両面がろう材で覆われたブレージングシートで形成しておき、インナーフィンを、押出形材からなるベア材で全体に一体に形成しておく上記9)記載の扁平状熱交換管の製造方法。
11)インナーフィンを、圧延加工が施された圧延板により形成しておくことを含み、
前記圧延板が、幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝の両溝側壁を形成する全体に同一肉厚の2つの本体部分と、両本体部分の幅方向外側縁部に一体に形成され、かつ本体部分よりも厚肉となっている2つの補強部形成部と、両本体部分間に設けられ、かつ本体部分よりも厚肉となっているとともに前記凹溝の底壁を形成する底壁形成部とからなり、
圧延板の本体部分にロール成形を施すことによって、仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝を形成した後、補強部形成部を延伸壁に対して曲げることにより補強部を形成してインナーフィンをつくることを特徴とする上記9)記載の扁平状熱交換管の製造方法。
前記圧延板が、幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝の両溝側壁を形成する全体に同一肉厚の2つの本体部分と、両本体部分の幅方向外側縁部に一体に形成され、かつ本体部分よりも厚肉となっている2つの補強部形成部と、両本体部分間に設けられ、かつ本体部分よりも厚肉となっているとともに前記凹溝の底壁を形成する底壁形成部とからなり、
圧延板の本体部分にロール成形を施すことによって、仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝を形成した後、補強部形成部を延伸壁に対して曲げることにより補強部を形成してインナーフィンをつくることを特徴とする上記9)記載の扁平状熱交換管の製造方法。
12)管本体用金属板を、両面がろう材で覆われたブレージングシートで形成しておき、インナーフィンを、圧延加工が施されたベア材からなる圧延板により形成しておく上記11)記載の扁平状熱交換管の製造方法。
上記1)〜7)の扁平状熱交換管によれば、管本体と、管本体と別個に形成されかつ管本体内に配置されたインナーフィンとを備えた扁平状熱交換管において、インナーフィンの管幅方向の少なくともいずれか一端部に、管本体の側壁内面に沿う単層構造の補強部が一体に形成されており、補強部の肉厚が、仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっているので、この熱交換管を用いた熱交換器において、飛び石などによる管本体の少なくともいずれか一方の側壁の破損を防止するには、インナーフィンの補強部の肉厚だけを必要厚さにすればよく、インナーフィンの補強部を除いた仕切壁および連結部の肉厚、ならびに管本体の1対の平坦壁および両側壁の肉厚は必要以上に厚くしなくてもよい。したがって、飛び石などによる管本体の少なくともいずれか一方の側壁の破損を防止した上で、扁平状熱交換管、ひいては熱交換器全体の軽量化を図ることが可能になる。
上記2)の扁平状熱交換管によれば、飛び石などによる管本体の両側壁の破損を防止することが可能になり、扁平状熱交換管のどちらの側壁を、飛び石が飛んで来やすい向きに向けて配置してもよくなり、扁平状熱交換管を用いた熱交換器を製造する際の作業性が向上する。
上記3)の扁平状熱交換管によれば、インナーフィンの補強部、広幅連結部の凹溝の両溝側壁および凹溝内に嵌め入れられた管本体の両突出壁の働きにより、扁平状熱交換管の管高さ方向(厚み方向)の剛性を効果的に高めることができる。また、管本体が、両面にろう材層を有するとともに、外面となる面のろう材層にZnなどの防食性を高める元素が含まれているブレージングシートを用いて形成されていた場合、突出壁の耐食性が不足して腐食するおそれがあるとともに、両突出壁どうしの合わせ目の存在に起因して熱交換管の製造時にエロージョンが発生して突出壁が薄くなるおそれがある。しかしながら、この場合であっても、凹溝の両溝側壁の働きにより、熱交換管内を流れる流体の漏れを防止することができる。
上記5)の扁平状熱交換管によれば、インナーフィンが押出形材からなるので、インナーフィンを比較的簡単に製造することができ、その結果インナーフィンを用いた扁平状熱交換管全体の製造作業も容易になる。
上記6)の扁平状熱交換管においては、インナーフィンの仕切壁、連結部、延伸壁および広幅連結部の凹溝の両溝側壁は、たとえば圧延板にロール成形を施すことによって形成されるが、圧延板にロール成形を施す場合、インナーフィンの高さ方向の寸法を一様に揃えることが容易であり、加工精度が上がる。したがって、インナーフィンを高精度で製造することができ、インナーフィンを用いた扁平状熱交換管も高精度で製造することができる。
上記7)の扁平状熱交換管の場合、幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝の両溝側壁を形成する全体に同一肉厚の2つの本体部分と、両本体部分の幅方向外側縁部に一体に形成され、かつ本体部分よりも厚肉となっている2つの補強部形成部と、両本体部分間に設けられ、かつ本体部分よりも厚肉となっているとともに前記凹溝の底壁を形成する底壁形成部とからなる圧延板の本体部分にロール成形を施すことによって、仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝を形成した後、補強部形成部を延伸壁に対して曲げることにより補強部を形成してインナーフィンをつくることができる。
上記9)〜11)の扁平状熱交換管の製造方法によれば、管本体用金属板を形成するブレージングシートの外面となる面のろう材層にZnなどの防食性を高める元素が含まれている場合、突出壁の耐食性が不足して腐食するおそれがあるとともに、両突出壁どうしの合わせ目の存在に起因して熱交換管の製造時にエロージョンが発生して突出壁が薄くなるおそれがある。しかしながら、この場合であっても、広幅連結部の凹溝の両溝側壁の働きにより、熱交換管内を流れる流体の漏れを防止することができる。
上記12)の扁平状熱交換管の製造方法によれば、ロール成形を施す圧延板がベア材からなるので、圧延板がSiを含むろう材層を有するブレージングシートからなる場合に比べて、圧延板を得る圧延加工に用いられる圧延ロールや、圧延板に施すロール成形に用いられる成形ロールの摩耗を低減することが可能になる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による扁平状熱交換管を、カーエアコンのコンデンサに使用したものである。
図1はこの発明による扁平状熱交換管を用いたカーエアコン用コンデンサの全体構成を示し、図2は図1のコンデンサに用いられている扁平状熱交換管の構成を示し、図3は図2の扁平状熱交換管のインナーフィンを示す。また、図4は図2に示す扁平状熱交換管を製造する方法の一部の工程を示す。
なお、以下の説明において、図1の上下、左右を上下、左右というものとし、図2の左側を前、これと反対側を後というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1において、コンデンサ(1)は、凝縮部(2)と、凝縮部(2)の下方に設けられた過冷却部(3)と、長手方向を上下方向に向けた状態で凝縮部(2)と過冷却部(3)との間に設けられ、かつ凝縮部(2)で凝縮した気液混相冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離し、かつ液相冷媒を貯留するとともに液相冷媒を過冷却部(3)に供給するアルミニウム製タンク状受液器(4)とからなる。コンデンサ(1)は、圧縮機、膨張弁(減圧器)およびエバポレータとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両に搭載される。
コンデンサ(1)は、幅方向を通風方向(前後方向)に向けるとともに長手方向を左右方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(5)と、長手方向を上下方向に向けた状態で左右方向に間隔をおいて配置されるとともに熱交換管(5)の左右両端部が接続された2つのアルミニウム製ヘッダタンク(6)(7)と、隣り合う熱交換管(5)どうしの間および上下両端の熱交換管(5)の外側に配置されて熱交換管(5)にろう材により接合されたコルゲート状のアルミニウム製アウターフィン(8)と、上下両端のアウターフィン(8)の外側に配置されてアウターフィン(8)にろう材により接合されたアルミニウム製サイドプレート(9)とを備えている。以下、ろう材による接合をろう付というものとする。
コンデンサ(1)の凝縮部(2)および過冷却部(3)には、それぞれ上下に連続して並んだ複数の熱交換管(5)からなる少なくとも1つ、ここでは1つの熱交換パス(P1)(P2)が設けられており、凝縮部(2)に設けられた熱交換パス(P1)が冷媒凝縮パスとなり、過冷却部(3)に設けられた熱交換パス(P2)が冷媒過冷却パスとなっている。各熱交換パス(P1)(P2)を構成する全ての熱交換管(5)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(5)の冷媒流れ方向が異なっている。ここで、凝縮部(2)の熱交換パス(P1)を第1熱交換パスといい、過冷却部(3)の熱交換パス(P2)を第2熱交換パスというものとする。
両ヘッダタンク(6)(7)内は、第1熱交換パス(P1)と第2熱交換パス(P2)との間でかつ下側の同一高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切部材(11)により上下方向に並んだ2つの区画に仕切られており、コンデンサ(1)における両仕切部材(11)よりも上方に位置する部分が凝縮部(2)となり、両仕切部材(11)よりも下方に位置する部分が過冷却部(3)となっている。
右側ヘッダタンク(6)の周壁における仕切部材(11)よりも上方部分に,圧縮機により圧縮された気相冷媒が流入する冷媒入口(図示略)が形成され、右側ヘッダタンク(6)の周壁における仕切部材(11)よりも下方の部分に、液相冷媒が膨張弁に向かって流出する冷媒出口(図示略)が形成されている。また、右側ヘッダタンク(6)に、冷媒入口に通じるアルミニウム製冷媒入口部材(14)と、冷媒出口(13)に通じるアルミニウム製冷媒出口部材とがろう付されている。また、左側ヘッダタンク(7)の周壁における仕切部材(11)よりも上方部分に、気液混相冷媒が受液器(4)内に流出する冷媒流出口(図示略)が形成され、左側ヘッダタンク(7)の周壁における仕切部材(11)よりも下方の部分に、液相冷媒が過冷却部(3)に流入する冷媒流入口(図示略)が形成されている。したがって、右側ヘッダタンク(6)における仕切部材(11)よりも上方の区画が凝縮部入口ヘッダ(18)となっているとともに、左側ヘッダタンク(7)における仕切部材(11)よりも上方の区画が凝縮部出口ヘッダ(19)となり、左側ヘッダタンク(7)における仕切部材(11)よりも下方の区画が過冷却部入口ヘッダ(21)となっているとともに、右側ヘッダタンク(6)における仕切部材(11)よりも下方の区画が過冷却部出口ヘッダ(22)となっている。
受液器(4)は上下両端が閉鎖された円筒状であり、受液部(4)の周壁における凝縮部出口ヘッダ(15)と対応する高さ位置に、冷媒が凝縮部出口ヘッダ(19)から受液部(4)内に流入する受液部側冷媒流入口(図示略)が形成され、同じく過冷却部入口ヘッダ(21)と対応する高さ位置に、冷媒が受液部(4)から過冷却部入口ヘッダ(21)に流出する受液部側冷媒流出口(図示略)が形成されている。受液部(4)の受液部側冷媒流入口と凝縮部出口ヘッダ(19)の凝縮部側冷媒流出口、および受液部(4)の受液部側冷媒流出口と過冷却部入口ヘッダ(21)の過冷却部側冷媒流入口は、それぞれアルミニウム製連通部材(23)によって通じさせられている。図示は省略したが、受液部(4)内に、通気性および通液性を有するとともに乾燥剤が収容され、かつ長手方向が上下方向を向いた乾燥剤バッグが配置されている。
コンデンサ(1)を備えたカーエアコンにおいて、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材(14)および冷媒入口を通って右側ヘッダタンク(6)の凝縮部入口ヘッダ(18)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の熱交換管(5)および左側ヘッダタンク(7)の凝縮部出口ヘッダ(19)を経て受液器(4)内に入るとともに、受液器(4)において気液に分離される。受液器(4)において気液に分離されて得られた液相冷媒は、左側ヘッダタンク(7)の過冷却部入口ヘッダ(21)および第2熱交換パス(P2)の熱交換管(5)を経て右側ヘッダタンク(6)の過冷却部出口ヘッダ(22)内に入り、冷媒出口および冷媒出口部材(15)を通って流出し、膨張弁を経てエバポレータに送られる。
図2に示すように、扁平状熱交換管(5)は、上下方向に間隔をおいて互いに対向する1対の平坦壁(26)(27)、および両平坦壁(26)(27)の前後両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁(28)を有するアルミニウム製扁平状管本体(25)と、管本体(25)と別個に形成されかつ管本体(25)内に配置されたインナーフィン(30)とを備えている。
管本体(25)の一方の第1平坦壁、ここでは下側平坦壁(26)の全体が一体に形成されるとともに、他方の第2平坦壁、ここでは上側平坦壁(27)が管幅方向に並んだ2つの分割壁(31)により形成されており、下側平坦壁(26)の前後両側縁部と両分割壁(31)における管幅方向外側縁部との間に、それぞれ平坦でかつ両平坦壁(26)(27)と直角をなす側壁(28)が設けられている。また、両分割壁(31)における管幅方向内側縁部に、それぞれ下側平坦壁(26)側に真っ直ぐに突出した突出壁(32)が一体に形成されるとともに両突出壁(32)が相互に接合されている。管本体(25)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにより形成されている。
インナーフィン(30)はベア材であるアルミニウム押出形材からなり、管長さ方向(左右方向)にのびるとともに管幅方向(前後方向)に間隔をおいて設けられ、かつ管本体(25)内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路(25a)に分ける複数の仕切壁(33)と、隣り合う仕切壁(33)どうしを管高さ方向(上下方向)の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁(26)(27)内面にろう付された連結部(34A)(34B)と、前後両端の仕切壁(33)に管幅方向外側に突出するように一体に形成された延伸壁(35)と、延伸壁(35)の先端に一体に形成されかつ管本体(25)の側壁(28)内面に密着状に沿う単層構造の補強部(36)とよりなる。
インナーフィン(30)の全仕切壁(33)、全連結部(34A)(34B)および延伸壁(35)の肉厚は等しくなっており、補強部(36)の肉厚は全仕切壁(33)、全連結部(34A)(34B)および延伸壁(35)の肉厚よりも厚くなっている。インナーフィン(30)の全連結部(34A)(34B)は管本体(25)の両平坦壁(26)(27)内面にろう付され、延伸壁(35)は管本体(25)の下側平坦壁(26)内面に沿わされてろう付されている。補強部(36)は管本体(25)の側壁(28)内面に沿わされるとともに、補強部(36)の管幅方向外側面が側壁(28)内面にろう付されている。なお、補強部(36)の上端は上側平坦壁(27)内面にろう付されている。
インナーフィン(30)の全連結部(34A)(34B)のうち管幅方向中央部に位置しかつ上側平坦壁(27)にろう付された1つの連結部(34A)は他の連結部(34B)よりも広幅に形成されており、広幅連結部(34A)に、上側平坦壁(27)側(上側)に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝(37)が形成されている。凹溝(37)は、広幅連結部(34A)から下側平坦壁(26)(第1平坦壁)側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁(37a)と、両溝側壁(37a)の先端どうしを一体に連結し、かつ下面が下側平坦壁(26)にろう付された底壁(37b)とを有しており、管本体(25)の2つの突出壁(32)が凹溝(37)内に嵌め入れられて凹溝(37)の両溝側壁(37a)内面および底壁(37b)内面にろう付されている。なお、広幅連結部(34A)を除いた他の連結部(34B)の幅はほぼ等しくなっている。
扁平状熱交換管(5)は、図4に示す方法で製造される。
まず、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる管本体用金属板(40)と、仕切壁(33)、連結部(34A)(34B)、延伸壁(35)、補強部(36)および凹溝(37)を有するアルミニウム押出形材製インナーフィン(30)とを用意する。管本体用金属板(40)は、下側平坦壁(26)を形成する平坦壁形成部(41)、平坦壁形成部(41)の両側縁に設けられかつ側壁(28)を形成する2つの側壁形成部(42)、両側壁形成部(42)における平坦壁形成部(41)とは反対側の側縁に設けられかつ上側平坦壁(27)の分割壁(31)を形成する2つの分割壁形成部(43)、および両分割壁形成部(43)における側壁形成部(42)とは反対側の側縁に設けられかつ突出壁(32)を形成する2つの突出壁形成部(44)を有する(図4(a)参照)。
ついで、管本体用金属板(40)の突出壁形成部(44)を分割壁形成部(43)に対して同方向、ここでは上方に曲げて突出壁(32)を形成した後、管本体用金属板(40)の平坦壁形成部(41)上に、インナーフィン(30)を、凹溝(37)が上方に開口するように載せる(図4(b)参照)。
ついで、管本体用金属板(40)の側壁形成部(42)および分割壁形成部(43)を、平坦壁形成部(41)に対して一体に上方に曲げて下側平坦壁(26)を形成するとともに(図4(c)参照)、側壁形成部(42)の内面にインナーフィン(30)の補強部(36)を沿わせて側壁(28)を形成する。
ついで、管本体用金属板(40)の両分割壁形成部(43)を両側壁(28)に対して曲げることによって(図4(d)参照)、側壁(28)および分割壁(31)を形成するとともに、突出壁(32)をインナーフィン(30)の凹溝(37)内に嵌め入れ、管本体用金属板(40)の折り曲げ体からなりかつ内部にインナーフィン(30)が配置された管本体素材(45)をつくる(図4(e)参照)。
その後、管本体素材(45)の両突出壁(32)どうし、両突出壁(32)と凹溝(37)の両溝側壁(37a)内面および底壁(37b)内面、下側平坦壁(26)と凹溝(37)の底壁(37b)、両平坦壁(26)(27)と連結部(34A)(34B)、下側平坦壁(26)と延伸壁(35)、両側壁(28)と両補強部(36)、上側平坦壁(27)と両補強部(36)の上端面とを同時にろう付する。こうして、扁平状熱交換管(5)が製造される。
扁平状熱交換管(5)の製造は、図1に示すコンデンサ(1)を製造する際に同時に行われる。すなわち、ヘッダタンク(6)(7)を構成する部品からなりかつ管挿入穴を有するヘッダタンク素材、複数のアウターフィン(8)、サイドプレート(9)、仕切部材(11)、入口部材(14)、および出口部材(15)を用意する。ついで、1対のヘッダタンク素材を間隔をおいて配置するとともに、両ヘッダタンク素材に仕切部材(11)を配置する。また、図4(e)に示す内部にインナーフィン(30)が配置された管本体素材(45)と、アウターフィン(8)とを交互に配置し、管本体素材(45)の両端部をヘッダタンク素材の管挿入穴に挿入する。また、両端のアウターフィン(8)の外側にサイドプレート(9)を配置し、さらに入口部材(14)および出口部材(15)を配置する。
その後、上述したようにして扁平状熱交換管(5)を製造すると同時に、ヘッダタンク素材および仕切部材(11)によりヘッダタンク(6)(7)を製造し、熱交換管(5)とヘッダタンク(6)(7)、熱交換管(5)とアウターフィン(8)、アウターフィン(8)とサイドプレート(9)、ならびにヘッダタンク(6)と入口部材(14)および出口部材(15)とを、それぞれ同時にろう付する。こうして、コンデンサ(1)が製造される。
上述した実施形態においては、扁平状熱交換管(5)の両側壁(28)の内側に補強部(36)材が設けられているが、これに限定されるものではなく、一方の側壁(28)の内側だけに補強部(36)が設けられていてもよい。
図5および図6はこの発明による扁平状熱交換管(5)に用いられるインナーフィンの変形例を示し、図7は当該変形例のインナーフィンを形成する圧延板を示す。
図5および図6に示すインナーフィン(50)は、圧延加工が施されたベア材であるアルミニウム製圧延板を用いて形成されており、管長さ方向(左右方向)にのびるとともに管幅方向(前後方向)に間隔をおいて設けられ、かつ管本体(25)内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路(25a)に分ける複数の仕切壁(51)と、隣り合う仕切壁(51)どうしを管高さ方向(上下方向)の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁(26)(27)内面にろう付された連結部(52A)(52B)と、前後両端の仕切壁(51)に管幅方向外側に突出するように一体に形成された延伸壁(53)と、延伸壁(53)の先端に一体に形成されかつ管本体(25)の側壁(28)内面に密着状に沿う単層構造の補強部(54)とよりなる。インナーフィン(50)の延伸壁(53)と補強部(54)とは、管幅方向外側部分のみで一体に連結されている。
インナーフィン(50)の全仕切壁(51)、全連結部(52A)(52B)および延伸壁(53)の肉厚は等しくなっており、補強部(54)の肉厚は全仕切壁(51)、全連結部(52A)(52B)および延伸壁(53)の肉厚よりも厚くなっている。インナーフィン(50)の全連結部(52A)(52B)は管本体(25)の両平坦壁(26)(27)内面にろう付され、延伸壁(53)は管本体(25)の下側平坦壁(26)内面に沿わされてろう付されている。補強部(54)は管本体(25)の側壁(28)内面に沿わされるとともに、補強部(54)の管幅方向外側面が側壁(28)内面にろう付されている。なお、補強部(54)の上端面は上側平坦壁(27)内面にろう付されている。
インナーフィン(50)の全連結部(52A)(52B)のうち管幅方向中央部に位置しかつ上側平坦壁(27)にろう付された1つの連結部(52A)は他の連結部(52B)よりも広幅に形成されており、広幅連結部(52A)に、上側平坦壁(27)側(上側)に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝(55)が形成されている。凹溝(55)は、広幅連結部(52A)から下側平坦壁(26)(第1平坦壁)側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁(55a)と、両溝側壁(55a)の先端どうしを一体に連結し、かつ下面が下側平坦壁(26)にろう付された底壁(55b)とを有しており、管本体(25)の2つの突出壁(32)が凹溝(55)内に嵌め入れられて凹溝(55)の両溝側壁(55a)内面および底壁(55b)内面にろう付されている。なお、広幅連結部(52A)を除いた他の連結部(52B)の幅はほぼ等しくなっている。
インナーフィン(50)を形成するアルミニウムベア材製圧延板(60)は、図7に示すように、全体に平坦なアルミニウムベア材製素板に圧延加工を施すことによって形成されたものであり、幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ仕切壁(51)、連結部(52A)(52B)、延伸壁(53)および凹溝(55)の両溝側壁(55a)を形成する全体に同一肉厚の2つの本体部分(61)と、両本体部分(61)の幅方向外側縁部に一体に形成され、かつ本体部分(61)よりも厚肉となっている2つの補強部形成部(62)と、両本体部分(61)間に設けられかつ本体部分(61)よりも厚肉となっているとともに、溝(55)の底壁(55b)を形成する底壁形成部(63)とからなる。
そして、圧延板(60)の本体部分(61)にロール成形を施すことによって、全仕切壁(51)、全連結部(52A)(52B)、凹溝(55)および延伸壁(53)を形成した後、補強部形成部(62)を延伸壁(53)に対して曲げることにより補強部(54)を形成することによって、インナーフィン(50)が形成される。凹溝(55)は、本体部分(61)における底壁形成部(63)の両側に連なった一定幅部分が、ロール成形により底壁形成部(63)に対して曲げられて溝側壁(55a)がつくられることにより形成される。
インナーフィン(50)を用いた扁平状熱交換管(5)は、上述したインナーフィン(30)を備えた扁平状熱交換管(5)と同様にして、コンデンサ(1)の製造と同時に製造される。
この発明による扁平状熱交換管は、カーエアコンを構成する冷凍サイクルのコンデンサに好適に用いられる。
(1):コンデンサ(熱交換器)
(5):扁平状熱交換管
(6)(7):ヘッダタンク
(8):アウターフィン
(25):管本体
(26)(27):平坦壁
(28):側壁
(30)(50):インナーフィン
(31):分割壁
(32):突出壁
(33)(51):仕切壁
(34A)(52A):広幅連結部
(34B)(52B):連結部
(35)(53):延伸壁
(36)(54):補強部
(37)(55):凹溝
(37a)(55a):溝側壁
(37b)(55b):底壁
(40):管本体用金属板
(41):平坦壁形成部
(42):側壁形成部
(43):分割壁形成部
(44):突出壁形成部
(60):圧延板
(61):本体部分
(62):補強部形成部
(63):底壁形成部
(5):扁平状熱交換管
(6)(7):ヘッダタンク
(8):アウターフィン
(25):管本体
(26)(27):平坦壁
(28):側壁
(30)(50):インナーフィン
(31):分割壁
(32):突出壁
(33)(51):仕切壁
(34A)(52A):広幅連結部
(34B)(52B):連結部
(35)(53):延伸壁
(36)(54):補強部
(37)(55):凹溝
(37a)(55a):溝側壁
(37b)(55b):底壁
(40):管本体用金属板
(41):平坦壁形成部
(42):側壁形成部
(43):分割壁形成部
(44):突出壁形成部
(60):圧延板
(61):本体部分
(62):補強部形成部
(63):底壁形成部
Claims (12)
- 互いに対向する1対の平坦壁および両平坦壁の両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁を有する扁平状管本体と、管本体と別個に形成されかつ管本体内に配置されたインナーフィンとを備えており、インナーフィンが、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路に分ける複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁内面に接合された連結部とを有しており、仕切壁および連結部が一体に形成されている扁平状熱交換管であって、
インナーフィンの管幅方向の少なくともいずれか一端部に、管本体の側壁内面に沿う単層構造の補強部が一体に形成されており、補強部の肉厚が、仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている扁平状熱交換管。 - インナーフィンの補強部が、インナーフィンの管幅方向の両端部に一体に形成されている請求項1記載の扁平状熱交換管。
- 管本体の一方の第1平坦壁の全体が一体に形成されるとともに、他方の第2平坦壁が管幅方向に並んだ2つの分割壁により形成されており、第1平坦壁の両側縁部と第2平坦壁の両分割壁における管幅方向外側縁部との間にそれぞれ側壁が設けられ、両分割壁における管幅方向内側縁部に、それぞれ第1平坦壁側に突出した突出壁が一体に形成されるとともに両突出壁が相互に接合され、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合された1つの連結部が他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に、第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝が形成されており、当該凹溝が、広幅連結部から第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁と、両溝側壁の先端どうしを連結する底壁とを有し、凹溝内に管本体の2つの突出壁が嵌め入れられるとともに、両突出壁が凹溝の両溝側壁内面および底壁内面に接合されている請求項1または2記載の扁平状熱交換管。 - インナーフィンの管幅方向の少なくとも一端部の仕切壁に、管幅方向外側に突出しかついずれか一方の平坦壁内面に沿う延伸壁が一体に形成され、当該延伸壁の先端に補強部が一体に形成されている請求項3記載の扁平状熱交換管。
- インナーフィンが押出形材からなる請求項4記載の扁平状熱交換管。
- インナーフィンが、圧延加工が施された圧延板により形成されており、補強部と延伸壁とが、管幅方向外側部分のみで一体に連結され、全仕切壁、連結部および延伸壁の肉厚が等しくなっている請求項4記載の扁平状熱交換管。
- インナーフィンの広幅連結部に形成された凹溝の底壁が、全仕切壁、連結部および延伸壁の肉厚よりも厚くなっているとともに、凹溝の両溝側壁と底壁とが、凹溝の両溝側壁の高さ方向の下側部分のみで一体に連結されており、凹溝の両溝側壁の肉厚が、全仕切壁、連結部および延伸壁の肉厚と等しくなっている請求項6記載の扁平状熱交換管。
- 互いに間隔をおくとともに幅方向を通風方向に向けて並列状に配置された複数の扁平状熱交換管と、熱交換管の両端部が接続されたヘッダタンクと、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたアウターフィンとを備えており、熱交換管が、請求項1〜7のうちのいずれかに記載の扁平状熱交換管からなる熱交換器。
- 互いに対向する1対の平坦壁および両平坦壁の両側縁部どうしの間に設けられた2つの側壁を有する扁平状管本体と、管本体と別個に形成されかつ管本体内に配置されたインナーフィンとを備えており、
管本体が、全体が一体に形成された第1平坦壁と、管幅方向に並んだ2つの分割壁により形成された第2平坦壁と、第1平坦壁の両側縁部と両分割壁における管幅方向外側縁部との間にそれぞれ設けられた側壁と、両分割壁における管幅方向内側縁部に一体に形成されて第1平坦壁側に突出し、かつ相互に接合された突出壁とを有し、
インナーフィンが、管長さ方向にのびるとともに管幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ管本体内を管幅方向に並んだ複数の冷媒通路に分ける複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ両平坦壁内面に接合された連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かついずれか一方の平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿い、かつ仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている単層構造の補強部とを有し、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合された1つの連結部が他の連結部よりも広幅に形成され、当該広幅連結部に、第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝が形成されており、当該凹溝が、広幅連結部から第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した2つの溝側壁と、両溝側壁の先端どうしを連結する底壁とを有し、凹溝内に管本体の2つの突出壁が嵌め入れられるとともに、両突出壁が凹溝の両溝側壁内面および底壁内面に接合されている扁平状熱交換管を製造する方法であって、
第1平坦壁を形成する平坦壁形成部と、平坦壁形成部の両側縁に設けられかつ側壁を形成する2つの側壁形成部と、両側壁形成部における平坦壁形成部とは反対側の側縁に設けられかつ第2平坦壁の分割壁を形成する2つの分割壁形成部と、両分割壁形成部における側壁形成部とは反対側の側縁に設けられかつ突出壁を形成する2つの突出壁形成部とを有する管本体用金属板を用意すること、
管長さ方向にのびるとともに管幅方向に並んで設けられ、かつ隣り合う冷媒通路どうしを隔てる複数の仕切壁と、隣り合う仕切壁どうしを管高さ方向の両端で交互に連結し、かつ管本体の両平坦壁内面に接合される連結部と、管幅方向の両端部の仕切壁に一体に形成されて管幅方向外側に突出し、かつ第1平坦壁内面に接する延伸壁と、延伸壁の先端に一体に形成されて管本体の側壁内面に沿い、かつ仕切壁および連結部の肉厚よりも厚くなっている単層構造の補強部とを有するインナーフィンを用意すること、
インナーフィンにおける管幅方向の中間部に位置しかつ第2平坦壁に接合される1つの連結部を他の連結部よりも広幅に形成し、当該広幅連結部に、第1平坦壁側に突出するとともに管幅方向に間隔をおいて対向した1対の溝側壁および両溝側壁の先端どうしを連結する底壁からなり、かつ第2平坦壁側に開口するとともに管長さ方向にのびる凹溝を形成すること、
管本体用金属板の突出壁形成部を分割壁形成部に対して同方向に曲げて突出壁を形成すること、
突出壁が形成された管本体用金属板の平坦壁形成部上に、凹溝が上方に開口するようにインナーフィンを載せること、
管本体用金属板の側壁形成部および分割壁形成部を、平坦壁形成部に対して一体に曲げることによって、第1平坦壁を形成するとともに側壁形成部の内面にインナーフィンの補強部を沿わせること、
管本体用金属板の両分割壁形成部を両側壁形成部に対して曲げて、側壁および両分割壁からなる第2平坦壁を形成するとともに、突出壁をインナーフィンの凹溝内に嵌め入れることによって、管本体用金属板の折り曲げ体からなりかつ内部にインナーフィンが配置された管本体素材をつくること。
管本体素材の両突出壁どうし、両突出壁と凹溝の両溝側壁内面および底壁内面、第1平坦壁と凹溝の底壁、両平坦壁と連結部、第1平坦壁と延伸壁、ならびに両側壁と両補強部とを同時にろう付することを含む扁平状熱交換管の製造方法。 - 管本体用金属板を、両面がろう材で覆われたブレージングシートで形成しておき、インナーフィンを、押出形材からなるベア材で全体に一体に形成しておく請求項9記載の扁平状熱交換管の製造方法。
- インナーフィンを、圧延加工が施された圧延板により形成しておくことを含み、
前記圧延板が、幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝の両溝側壁を形成する全体に同一肉厚の2つの本体部分と、両本体部分の幅方向外側縁部に一体に形成され、かつ本体部分よりも厚肉となっている2つの補強部形成部と、両本体部分間に設けられ、かつ本体部分よりも厚肉となっているとともに前記凹溝の底壁を形成する底壁形成部とからなり、
圧延板の本体部分にロール成形を施すことによって、仕切壁、連結部、延伸壁、広幅連結部および広幅連結部の凹溝を形成した後、補強部形成部を延伸壁に対して曲げることにより補強部を形成してインナーフィンをつくることを特徴とする請求項9記載の扁平状熱交換管の製造方法。 - 管本体用金属板を、両面がろう材で覆われたブレージングシートで形成しておき、インナーフィンを、圧延加工が施されたベア材からなる圧延板により形成しておく請求項11記載の扁平状熱交換管の製造方法。
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2019211093A (ja) |
Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JP2000329488A (ja) * | 1999-05-20 | 2000-11-30 | Toyo Radiator Co Ltd | 熱交換器用偏平チューブ |
JP2010008018A (ja) * | 2008-06-30 | 2010-01-14 | Showa Denko Kk | インナーフィン付き熱交換管およびこれを用いた熱交換器 |
US20160356555A1 (en) * | 2014-02-21 | 2016-12-08 | Hanon Systems | Tube for heat exchanger |
EP3184948A1 (en) * | 2015-12-21 | 2017-06-28 | Mahle International GmbH | Tube body and production method |
-
2018
- 2018-05-31 JP JP2018104370A patent/JP2019211093A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000329488A (ja) * | 1999-05-20 | 2000-11-30 | Toyo Radiator Co Ltd | 熱交換器用偏平チューブ |
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Legal Events
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